説明

静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、並びに、画像形成装置

【課題】光輝性を有する画像を形成し得ると共に、像保持体表面での傷の発生が抑制された静電荷像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】結着樹脂及びアルミ顔料を含有し、X線光電子分光法(XPS)によるAl元素の含有率A(atm%)とC元素の含有率B(atm%)との比(A/B)が0〜0.03であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。前記アルミ顔料の平均粒径が3μm〜20μmであることが好ましく、前記アルミ顔料の静電荷像現像用トナー中の含有量が10〜40重量%であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法、並びに、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属光沢のごとき輝きを有する画像を形成する目的から、光輝性のトナーが用いられている。
特許文献1には、メタリックな色調を有し、メタリック顔料を含むトナーであって、前記メタリック顔料が、a)脂肪酸、少なくとも1種類の酸のアミド、少なくとも1種類の酸の塩、オレフィン系材料、天然蝋、合成蝋、ポリマー、及びそれらの組合せから選択される有機層(その有機層は帯電制御剤と所望により着色剤を含む)、b)所望により、ケイ酸塩、チタン酸塩、又はアルミン酸塩の塗膜、を含み、前記トナーが所望により疎水性のヒュームド金属酸化物で被覆されていることを特徴とするトナーが開示されている。
また、特許文献2には、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含むトナーであって、前記着色剤が、平均厚さ2〜5μm、長手方向平均長15〜500μmの平板状ガラスフレークに銀をコーティングした光輝性顔料であることを特徴とする静電潜像現像用金色トナーが開示されている。
特許文献3には、少なくとも結着樹脂と金属光沢を呈するのに十分な金属粉末とを含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示され、特許文献4には、定着用樹脂、着色剤及びトナー用配合剤を含有して成る電子写真用トナーにおいて、着色剤が薄片状無機結晶基質上に二酸化チタンから成る薄層を被覆させた顔料であることを特徴とする電子写真用銀色トナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−501349号公報
【特許文献2】特開2003−207941号公報
【特許文献3】特開昭62−67558号公報
【特許文献4】特開昭62−100769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、光輝性を有する画像を形成し得ると共に、像保持体表面での傷の発生が抑制された静電荷像現像用トナーを提供することにある。
ここで「光輝性」とは、該トナーによって形成された画像を視認した際に金属光沢のごとき輝きを有することを表す。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の<1>、<4>〜<9>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>及び<3>と共に以下に記載する。
<1> 結着樹脂及びアルミ顔料を含有し、X線光電子分光法(XPS)によるAl元素の含有率A(atm%)とC元素の含有率B(atm%)との比(A/B)が0〜0.03であることを特徴とする静電荷像現像用トナー、
<2> 前記アルミ顔料の体積平均粒径が3μm〜20μmである、<1>に記載の静電荷像現像用トナー、
<3> 前記アルミ顔料の静電荷像現像用トナー中の含有量が10〜40重量%である、<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー、
<4> アルミ顔料分散液、又は、樹脂と同時乳化したアルミ顔料分散液を調製する工程、及び、前記分散液にトナー構成材料を数回に分けて添加する工程を有することを特徴とする<1>〜<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法、
<5> <1>〜<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーと、キャリアと、を含むことを特徴とする静電荷像現像剤、
<6> 静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段を少なくとも備えた画像形成装置に対して着脱可能であり、前記現像手段に供給するためのトナーとして<1>〜<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収納していることを特徴とするトナーカートリッジ、
<7> <1>〜<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容すると共に、前記静電荷像現像用トナーを保持して搬送するトナー保持体を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ、
<8> 像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体表面に形成された静電潜像を<1>〜<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を少なくとも含むことを特徴とする画像形成方法、
<9> 像保持体と、前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を<1>〜<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写手段と、被転写体表面に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を少なくとも備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0006】
上記<1>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、光輝性を有する画像を形成し得ると共に、像保持体表面での傷の発生が抑制された静電荷像現像用トナーが提供される。
上記<2>に記載の発明によれば、アルミ顔料の体積平均粒径が3μm未満又は20μmを超える場合に比して、更に優れた光輝性を有する画像を形成し得る静電荷像現像用トナーが提供される。
上記<3>に記載の発明によれば、アルミ顔料の含有量が10重量%未満、又は、40重量%を超える場合に比して、更に優れた光輝性を有する画像を形成し得る静電荷像現像用トナーが提供される。
上記<4>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、光輝性を有する画像を形成し得ると共に、像保持体表面での傷の発生が抑制された静電荷像現像用トナーの製造方法が提供される。
上記<5>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、光輝性を有する画像を形成し得ると共に、像保持体表面での傷の発生が抑制された静電荷像現像剤が提供される。
上記<6>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、光輝性を有する画像を形成し得ると共に、像保持体表面での傷の発生が抑制された静電荷像現像用トナーを収容したトナーカートリッジが提供される。
上記<7>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、光輝性を有する画像を形成し得ると共に、像保持体表面での傷の発生が抑制された静電荷像現像用トナーを収容したプロセスカートリッジが提供される。
上記<8>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、優れた光輝性を有する画像が得られると共に、像保持体表面での傷の発生が抑制された画像形成方法が提供される。
上記<9>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、優れた光輝性を有する画像が得られると共に、像保持体表面での傷の発生が抑制された画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態が適用された画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態について以下に説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。
【0009】
1.静電荷像現像用トナー
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、結着樹脂及びアルミ顔料を含有し、X線光電子分光法(XPS)によるAl元素の含有率A(atm%)とC元素の含有率B(atm%)との比(A/B)が0〜0.03であることを特徴とする。
トナーに光輝性を付与するために、トナー中にアルミ顔料を含有させることが検討されている。得られる画像が高い光輝性を発現するためには、アルミ顔料量を増加させること、及び、アルミ顔料粒径をある程度大きいままトナー中に含有させることが重要である。光輝性顔料は可視領域の光に対し、広い波長領域について光を反射させる必要があるためである。仮に反射波長に偏りがあると、特定波長の光の反射量が少なくなるため、光輝性に劣る画像になる。
これは通常のマゼンタ、イエロー、シアン顔料等を用いる有色トナーが特定の波長領域を吸収、反射させることにより有色のトナーと認識させるものとは異なる。有色トナーは、顔料分散径をなるべく小さくすることで、透明性が向上し、鮮やかな発色性を有するため、その粒径を可視領域である約400nm〜850nmの下限である400nmよりもはるかに小さくする必要がある。これに対し、光輝性顔料は、より広い波長領域にわたって入射光を反射させる必要があるため、逆に850nmよりも大きい分散径にする必要がある。
【0010】
本発明者らは、鋭意検討の結果、所望の光輝性を発現させるために、粒径の大きなアルミ顔料を用いたトナーは、アルミ顔料内包性に課題があることを見出した。具体的には樹脂に被覆されていないアルミ顔料がトナー表面に存在することで、直接感光体(像保持体)に接触し、感光体を摩耗・劣化させる問題が生じることを見出した。すなわち、前記有色トナーの顔料においても感光体に対する摩耗・劣化は生じる可能性はあるものの、前述のように顔料分散径が小さいため、生じる摩耗は小さく、劣化は顕著でないのに対し、前記アルミ顔料は粒径が大きく、特に感光体表面へのキズが生じた場合、そのまま目視されるものになりやすいことを見出した。
本実施形態では、上記の構成を採用することにより、アルミ顔料のトナー表面に存在する比率を制御し、前記感光体の摩耗・劣化を抑制するものである。
【0011】
(Al元素の含有率とC元素の含有率)
本実施形態において、トナーにおけるX線光電子分光法(XPS)によるAl元素の含有率A(atm%)とC元素の含有率B(atm%)との比(A/B)は、0〜0.03である。A/Bが0〜0.03であると、感光体の摩耗、劣化が抑制される。
A/Bは、0〜0.025であることが好ましく、0〜0.02であることがより好ましく、0〜0.015であることが更に好ましい。
【0012】
ここで、X線光電子分光法(X−ray photoelectron spectroscopy、XPS)とは、一定エネルギーのX線を固体表面に照射したときに放出される光電子のエネルギーを解析するものであり、電子の束縛エネルギーを求めることによって、物質内原子の種類、濃度等が測定される。検出深さは、光電子の脱出深さである、数nm程度である。従って、XPSによりトナーの表面近傍(表面から数nm)の原子の濃度が測定される。
本実施形態において、アルミ顔料のトナーへの内包性を向上させることにより、トナーの表面近傍におけるAl元素濃度を低くすることで、A/Bを上記の範囲とするものである。
XPSによるトナーの測定には、日本電子(株)製、JPS−9000MX等が使用される。
【0013】
以下に、本実施形態のトナーを構成する材料について詳述する。
(顔料)
本実施形態に係るトナーは、光輝性を有する顔料粒子として、アルミ顔料を含有する。 前記アルミ顔料は、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウム合金を用いる場合、アルミニウムに添加され得る別の金属元素又は非金属元素としては、金属光沢を有する等の機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等を挙げることができ、これらの単体又はこれらの合金及びこれらの混合物の少なくとも一種が好適に用いられる。
【0014】
前記アルミ顔料の製造方法は、例えば、シート状基材面に剥離用樹脂層と金属又は合金層とが順次積層された構造からなる複合化顔料原体の前記金属又は合金層と前記剥離用樹脂層の界面を境界として前記シート状基材より剥離し粉砕し微細化して鱗片状(平板状)粒子を得る方法が例示される。
【0015】
本実施形態において、顔料は、鱗片状(平板状)粒子であることが好ましい。
鱗片状粒子とは、略平坦な面(X−Y平面)を有し、かつ、厚み(Z)が略均一である粒子をいう。ここで、鱗片状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZと定義する。なお、X−Y平面は、最大の投影面積を与える面である。
平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、また、厚みをZとした場合、R50は該鱗片状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の数平均粒子径である。
円相当径は、平板状粒子の略平坦な面(X−Y平面)を、当該粒子の投影面積と同じ投影面積を有する円と想定したときの、当該円の直径である。平板状粒子の略平坦な面(X−Y平面)が多角形である場合、その多角形の投影面を円に変換して得られた当該円の直径を、その平板状粒子の円相当径であるという。
【0016】
アルミ顔料のR50は光輝性の観点から、5〜25μmであることが好ましく、7〜20μmであることがより好ましく、10〜16μmであることが更に好ましい。
また、アルミ顔料のR50と、厚みdとの関係は、高い光沢性を確保する観点から、R50/d>5であることが好ましい。R50/dは、6以上であることがより好ましく、8以上であることが更に好ましい。
前記R50は、粒子像分析装置を用いて測定することができ、例えば、シスメックス(株)製のフロー式粒子像分析装置FPIA−2100、FPIA−300、FPIA−3000S等が例示できる。
また、厚みdは、SEM画像によって測定することができる。
【0017】
本実施形態に係るトナーにおける、光輝性の観点から、前記アルミ顔料の含有量としては、後述のトナー100重量%に対して、10〜40重量%であることが好ましく、15〜35重量%であることがより好ましく、20〜30重量%であることが更に好ましい。
アルミ顔料の含有量は、トナー母粒子に外添剤が外添されている場合には、外添剤を含めたトナー全体の重量に対して規定しているが、外添剤の量は、一般にトナー母粒子に対して少量であるため、トナー母粒子中の含有量で近似してもよい。
【0018】
本実施形態において、光輝性の観点から、アルミ顔料の体積平均粒径は、3〜20μmであることが好ましく、7〜20μmであることがより好ましく、10〜16μmであることが更に好ましい。
なお、本実施形態において、前記の体積平均粒径とは、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いて測定したものであり、測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径を体積平均粒径と定義する。
【0019】
なお、トナー中のアルミ顔料は、一般に水及び有機溶媒等に不溶である。そこで、トナーの外添剤を篩い分け等により除去したのち、適当な有機溶剤でトナー中の結着樹脂、離型剤を溶解させ、遠心分離、又は、濾過することにより、アルミ顔料を回収し、アルミ顔料の回収量から、トナー中のアルミ顔料の含有量が測定される。
【0020】
(結着樹脂)
本実施形態に用いられる結着樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のエチレン系樹脂;ポリスチレン、α−ポリメチルスチレン等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂及びこれらの共重合樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂を用いることが望ましい。
以下においては、特に好ましく用いられるポリエステル樹脂について説明する。
【0021】
ポリエステル樹脂は、主として酸(多価カルボン酸)成分とアルコール(多価アルコール)成分とから合成されるものであり、本実施形態において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
【0022】
<酸由来構成成分>
酸由来構成成分は、特に制限はなく、脂肪族ジカルボン酸、芳香族カルボン酸が好ましく用いられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。また芳香族カルボン酸としては例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類の低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられる。また、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類等が挙げられる。更に良好な定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸と共に3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。また、前述のアルケニルコハク酸類の具体的なものとしては、ドデセニルコハク酸、ドデシルコハク酸、ステアリルコハク酸、オクチルコハク酸、オクセニルコハク酸等が挙げられる。
【0023】
<アルコール由来構成成分>
アルコール由来構成成分としては特に制限はないが、脂肪族ジオールとして、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。また、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどや、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が用いられる。また、良好な定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールと共に3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
本実施形態に用いることができるポリエステル樹脂は、これらの重縮合性単量体の組み合わせにより非結晶性ポリエステル樹脂や結晶性ポリエステル樹脂を容易に得られる。
【0024】
結晶性ポリエステル樹脂を得るために使用される多価カルボン酸としては、前記カルボン酸のうち、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコ酸、イタコン酸、グルタコン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、これらの酸無水物あるいは酸塩化物を挙げられる。
【0025】
また、結晶性ポリエステル樹脂を得るために使用されるポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4,ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を挙げられる。
【0026】
このような結晶性の重縮合樹脂としては、1,9−ノナンジオールと1,10−デカンジカルボン酸、又は、シクロヘキサンジオールとアジピン酸とを反応して得られるポリエステル樹脂、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル樹脂、エチレングリコールとコハク酸とを反応して得られるポリエステル樹脂、エチレングリコールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル樹脂、1,4−ブタンジオールとコハク酸とを反応して得られるポリエステル樹脂を挙げられる。これらの中でも特に1,9−ノナンジオールと1,10−デカンジカルボン酸、及び、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応させて得られるポリエステル樹脂が更に好ましい。
【0027】
また、本実施形態における非結晶性ポリエステル樹脂を得るために使用される多価カルボン酸としては、上記の多価カルボン酸のうち、ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸を挙げることができる。また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。また、これらカルボン酸のカルボキシル基を酸無水物、酸塩化物、又は、エステル等に誘導したものを用いてもよい。
これらの中でも、テレフタル酸やその低級エステル、ジフェニル酢酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることが好ましい。なお、低級エステルとは、炭素数1以上8以下の脂肪族アルコールのエステルをいう。
【0028】
また、本実施形態における非結晶性ポリエステル樹脂を得るために使用されるポリオールとしては、上記ポリオールのうち、特に、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール等を用いることが好ましい。
また、非結晶性樹脂としてヒドロキシカルボン酸の重縮合体を用いることができる。
ヒドロキシカルボン酸とは、分子内にヒドロキシル基とカルボキシル基の両方をもつ化合物である。ヒドロキシカルボン酸としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸や脂肪族ヒドロキシカルボン酸が例示されるが、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を使用することが好ましい。
具体的には、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシウンデカン酸、乳酸が例示される。これらの中でも乳酸を使用することが好ましい。
【0029】
前記多価カルボン酸及びポリオールは、1種の重縮合樹脂を作製するために、それぞれ1種ずつを単独で用いても、一方が1種で他方が2種以上用いても、それぞれ2種以上ずつを用いてもよい。また、1種の重縮合樹脂を作製するためヒドロキシカルボン酸を用いる場合、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよく、多価カルボン酸やポリオールを併用してもよい。
【0030】
ポリエステル樹脂の製造方法としては特に制限はなく、酸成分とアルコール成分を反応させる一般的なポリエステル重合法で製造すればよく、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、単量体の種類によって使い分けて製造すればよい。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、通常1/1程度である。
【0031】
ポリエステル樹脂の製造は、例えば、重合温度180℃以上230℃以下の間で行えばよく、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させてもよい。単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、重合反応が部分的に速くなったり、遅くなる場合があり、無着色粒子を多く発生する場合があるため、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行ってもよい。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合はあらかじめ相溶性の悪い単量体と、その単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させてもよい。
【0032】
ポリエステル樹脂の製造時に使用してもよい触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、及びアミン化合物等が挙げられる。この中でも、例えば、スズ、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド等のスズ含有触媒を用いることが好ましい。
【0033】
本実施形態においては、静電荷像現像用トナー用の樹脂として共重合可能なものであれば、親水性極性基を有する化合物を用いてもよい。具体例としては、仮に用いる樹脂がポリエステルである場合、スルホニル−テレフタル酸ナトリウム塩、3−スルホニルイソフタル酸ナトリウム塩等の芳香環に直接スルホニル基が置換したジカルボン酸化合物が挙げられる。
【0034】
本実施形態に係るトナーは、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を含有することも好ましい。また結晶性ポリエステル樹脂のうち、芳香族結晶性樹脂は一般に後述の融解温度範囲よりも高いものが多いため、脂肪族結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
本実施形態に係るトナー中における結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、2重量%以上30重量%以下が好ましく、4重量%以上25重量%以下がより好ましい。
【0035】
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下の範囲であることが好ましく、55℃以上95℃以下の範囲であることが好ましく、60℃以上90℃以下の範囲であることがより好ましい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度の測定には、示差走査熱量計を用い、室温(20℃)から180℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性ポリエステル樹脂は、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融解温度とみなす。
なお、前記の「結晶性ポリエステル」に示すような「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを示し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が15℃以内であることを意味し、以下も同様とする。また、結晶性ポリエステル樹脂は、その主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50重量%以下の場合は、この共重合体も結晶性ポリエステルと呼ぶ。
一方、吸熱ピークの半値幅が15℃を越える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性(非晶質)であることを意味し、以下も同様とする。
【0036】
一方、非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は30℃以上であることが好ましく、30〜100℃であることがより好ましく、50〜80℃であることが更に好ましい。
上記の数値の範囲内であると、高温度域での結着樹脂自体の凝集力が良好であるため、定着の際にホットオフセット性に優れ、また、十分な溶融が得られ、最低定着温度が上昇しにくいので好ましい。
ここで、非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値のことをいう。
また、本実施形態におけるガラス転移温度の測定は、例えば、示差走査熱量測定法に従い、例えば、「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)によって測定でき、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークの傾線との交点よりガラス転移温度が得られる。
【0037】
本実施形態に係るトナーにおいて、ポリエステル樹脂以外の樹脂としては特に制限されないが、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体;更にアクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルフォン酸ナトリウム等のエチレン系不飽和酸単量体;更にアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類単量体の単独重合体、それらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、又はそれらの混合物、更には、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、又は、それらと前記ビニル系樹脂との混合物、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
結着樹脂のトナー中の総含有量は、50〜90重量%であることが好ましく、60〜85重量%であることがより好ましく、70〜80重量%であることが更に好ましい。結着樹脂の含有量が上記範囲内であると、所望の光輝性を保ちつつ、アルミ顔料の露出を抑制可能であるので好ましい。
【0039】
(離型剤)
本実施形態に係るトナーには、必要に応じて離型剤を含有してもよい。離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;等が挙げられる。
これらの離型剤の融解温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、60℃以上95℃以下がより好ましい。
これらの離型剤は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。トナー中の離型剤の含有量は、0.5重量%以上15重量%以下が好ましく、1.0重量%以上12重量%以下がより好ましい。
【0040】
(その他の添加剤)
本実施形態に係るトナーには、上記した成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
【0041】
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
【0042】
無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機粒子を単独又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、屈折率が前記結着樹脂よりも小さいシリカ粒子が好ましく用いられる。また、シリカ粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが好ましく用いられる。
【0043】
<外添剤>
本実施形態においては、トナー母粒子に外添剤を添加することが好ましい。
前記外添剤としては特に限定されるものではないが、例えば、SiO2、TiO2、Al23、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe23、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2n、Al23・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等の無機酸化物粒子が挙げられる。
上記無機酸化物粒子のうち、特にシリカ粒子、チタニア粒子が望ましい。また、無機酸化物粒子は、表面が予め疎水化処理されていることが望ましい。この疎水化処理により、トナーの粉体流動性が改善されるほか、帯電の環境依存性及びキャリア汚染性の改善に対してより効果的である。
【0044】
また、ポリオレフィン系樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン;ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂又はその変性品;ポリエステル;ポリカーボネート:フッ素樹脂等が挙げられる。これら樹脂形成と共にジビニルベンゼン等の架橋成分を同時に用いて硬化樹脂粒子とすることができる。
熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂;アミノ樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂;エポキシ樹脂、等が挙げられる。
【0045】
外添剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
外添剤の添加量は、トナー母粒子100重量部に対して、合計して0.1〜5重量部であることが好ましく、0.2〜4重量部であることがより好ましく、0.3〜2重量部であることが更に好ましい。
【0046】
(トナーの特性)
本実施形態に係るトナーの体積平均粒径D50は1μm以上30μm以下であることが好ましく、より好ましくは3μm以上20μm以下であり、更に好ましくは5μm以上10μm以下である。
なお、上記体積平均粒径D50は、マルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2として算出される。
【0047】
(トナーの製造方法)
本実施形態に係るトナーは、湿式法や乾式法など公知の方法により作製されるが、特に湿式法で製造することが好ましい。該湿式法としては、溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等が挙げられる。これらの中でも、乳化凝集法にて製造することが好ましい。
ここで、乳化凝集法とは、トナーに含まれる成分(結着樹脂、着色剤等)を含む分散液(乳化液、顔料分散液等)をそれぞれ調製し、これらの分散液を混合して混合液とし、その後凝集粒子を結着樹脂の融解温度又はガラス転移温度以上(結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを両方含有するトナーを製造する場合には、結晶性樹脂の融解温度以上、かつ非結晶性樹脂のガラス転移温度以上)に加熱してトナー成分同士を凝集させると共に、合一させる方法である。
【0048】
本実施形態において、特に、アルミ顔料分散液、又は、樹脂と同時乳化したアルミ顔料分散液を調製する工程(以下、分散液調製工程ともいう。)、及び、前記分散液にトナー構成材料を数回に分けて添加する工程(以下、添加工程ともいう。)を有することが好ましい。ここで、トナー構成材料とは、アルミ顔料を除くトナーの構成材料を意味し、具体的には、結着樹脂及び離型剤が例示される。その他、上述した内添剤等を添加してもよい。
分散液調製工程では、アルミ顔料分散液、又は、樹脂と同時乳化したアルミ顔料分散液を調製する。これらの中でも、樹脂と同時乳化したアルミ顔料分散液を調製することが好ましい。アルミ顔料分散液の調製は、例えば、界面活性剤を用いてアルミ顔料を分散させて調製することができる。
アルミ顔料、離型剤、結着樹脂等の分散、それらの凝集、又は、その安定化などの目的で用いる界面活性剤を例示すると、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤、及び、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤を使用することができる。また、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。これらの分散手段としては、回転剪断型ホモジナイザーやメディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものを使用できる。
【0049】
本実施形態において、トナーの製造方法は、添加工程を複数回有することが好ましい。添加工程の回数は、所望のA/B(Al元素含有量とC元素含有量との比)が得られる範囲で、適宜選択すればよいが、2〜10回であることが好ましく、2〜7回であることがより好ましく、3〜6回であることが更に好ましい。
【0050】
なお、本実施形態において、分散工程でアルミ顔料分散液を調製する場合には、まず、アルミ顔料の凝集を生じさせ、その後、添加工程において、結着樹脂分散液及び離型剤分散液を添加する度に、凝集剤を添加してヘテロ凝集を生じさせ、その後、凝集剤の添加を含む添加工程を複数回繰り返し、トナー径に相当する凝集粒子を形成させた後、系を結着樹脂のガラス転移温度又は融点以上の温度に加熱することにより、凝集粒子を構成する個々の粒子を合一させることでトナー粒子を得ることが好ましい。
また、分散工程で樹脂と同時乳化したアルミ顔料分散液を調製する場合には、該分散液でヘテロ凝集を生じさせ、その後、添加工程において、結着樹脂分散液及び離型剤分散液を添加し、添加の度に凝集剤を添加してヘテロ凝集を生じさせることが好ましい。
【0051】
結着樹脂を水系媒体中に分散、粒子化する方法としては、例えば、強制乳化法、自己乳化法、転相乳化法など、既知の方法からも選択することができる。これらのうち、乳化に要するエネルギー、得られる乳化物の粒子径制御性、安定性等を考慮すると、自己乳化法、転相乳化法が好ましく適用され、特に、転相乳化法が好ましい。
【0052】
凝集剤としては、界面活性剤のほか、無機塩、2価以上の金属塩を好適に用いることができる。特に、金属塩を用いる場合、凝集性制御及びトナー帯電性などの特性において好ましい。凝集に用いる金属塩化合物としては、一般の無機金属化合物又はその重合体を樹脂粒子分散液中に溶解して得られるが、無機金属塩を構成する金属元素は周期律表(長周期律表)における2A、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B族に属する2価以上の電荷を有するものであり、樹脂粒子の凝集系においてイオンの形で溶解するものであればよい。好ましい無機金属塩を具体的に挙げると、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などである。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。一般的に、よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価以上であることが好ましく、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方がより適している。
【0053】
分散工程及び添加工程において、例えば2枚パドルを有した層流を形成する撹拌翼を使用し、撹拌速度を高速度にして(例えば500rpm以上1,500rpm以下)撹拌することで、光輝性の顔料粒子が凝集粒子中で長軸方向の向きを揃え、かつ、凝集粒子も長軸方向に向かって凝集し、トナーが扁平となる。最後に粒子安定化のためにアルカリ性にした後、温度をトナーのガラス転移温度(Tg)以上まで上昇させ、凝集粒子を合一させる。なお、合一工程において、より低温(例えば60℃以上80℃以下)で合一させることで、材料の再配置に伴う移動を小さくし、顔料の配向性が保たれる。
なお、上記撹拌速度としては、更に650rpm以上1,130rpm以下が好ましく、760rpm以上870rpm以下が特に好ましい。また、上記合一工程における合一の温度としては、更に63℃以上75℃以下が好ましく、65℃以上70℃以下が特に好ましい。
【0054】
2.現像剤
本実施形態に係るトナーは、そのまま一成分現像剤として用いてもよく、またキャリアと混合して二成分現像剤として用いてもよい。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが用いられる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等が挙げられる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
【0055】
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
導電材料としては、金、銀、銅といった金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、10μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以上100μm以下である。
また、キャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
【0058】
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0059】
前記二成分現像剤における本実施形態に係るトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100以上30:100以下の範囲が好ましく、3:100以上20:100以下の範囲がより好ましい。
【0060】
3.画像形成装置
図1は、本実施形態に係るトナーが適用された現像装置を含む画像形成装置の実施の形態を示す概略構成図である。
同図において、本実施形態に係る画像形成装置は、定められた方向に回転する像保持体としての感光体ドラム20を有し、この感光体ドラム20の周囲には、感光体ドラム20を帯電する帯電装置21と、この感光体ドラム20上に静電潜像Zを形成する潜像形成装置としての例えば露光装置22と、感光体ドラム20上に形成された静電潜像Zを可視像化する現像装置30と、感光体ドラム20上で可視像化されたトナー像を被転写体である記録紙28に転写する転写装置24と、感光体ドラム20上の残留トナーを清掃するクリーニング装置25とを順次配設したものである。
【0061】
本実施形態において、現像装置30は、図1に示すように、トナー40を含む現像剤Gが収容される現像ハウジング31を有し、この現像ハウジング31には感光体ドラム20に対向して現像用開口32を開設すると共に、この現像用開口32に面してトナー保持体としての現像ロール(現像電極)33を配設し、この現像ロール33に定められた現像バイアスを印加することで、感光体ドラム20と現像ロール33とに挟まれる領域の現像領域に現像電界を形成する。更に、現像ハウジング31内には前記現像ロール33と対向して電荷注入部材としての電荷注入ロール(注入電極)34を設けたものである。特に、本実施の形態では、電荷注入ロール34は現像ロール33にトナー40を供給するためのトナー供給ロールをも兼用したものになっている。
ここで、電荷注入ロール34の回転方向については選定して差し支えないが、トナーの供給性及び電荷注入特性を考慮すると、電荷注入ロール34としては、現像ロール33との対向部にて同方向で、かつ、周速差(例えば1.5倍以上)をもって回転し、電荷注入ロール34と現像ロール33とに挟まれる領域にトナー40を挟み、摺擦しながら電荷を注入する態様が好ましい。
【0062】
次に、実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
作像プロセスが開始されると、先ず、感光体ドラム20表面が帯電装置21により帯電され、露光装置22が帯電された感光体ドラム20上に静電潜像Zを書き込み、現像装置30が前記静電潜像Zをトナー像として可視像化する。しかる後、感光体ドラム20上のトナー像は転写部位へと搬送され、転写装置24が被転写体である記録紙28に感光体ドラム20上のトナー像を静電的に転写する。なお、感光体ドラム20上の残留トナーはクリーニング装置25にて清掃される。この後、不図示の定着装置によって記録紙28上のトナー像が定着され、画像が得られる。
【0063】
(プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ)
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。本実施形態に係るプロセスカートリッジは、前述の本実施形態に係るトナーを収容すると共に、該トナーを保持して搬送するトナー保持体を備えることを特徴としている。
【0064】
図2に示すプロセスカートリッジ200は、像保持体としての感光体107と共に、帯電ローラ108、前述の本実施形態に係るトナーを収容する現像装置111、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ一体化したものである。このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体と共に画像形成装置を構成するものである。
【0065】
図2で示すプロセスカートリッジ200では、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせてもよい。本実施形態に係るプロセスカートリッジでは、現像装置111のほかには、感光体107、帯電装置108、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備える。
【0066】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。本実施形態に係るトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱自在に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収めるトナーカートリッジにおいて、前記トナーが既述した本実施形態に係るトナーであることを特徴とする。なお、本実施形態に係るトナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。
【0067】
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ(図示せず)の着脱が自在な構成を有する画像形成装置であり、現像装置30はトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジを交換してもよい。
【実施例】
【0068】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を表す。
【0069】
(測定方法)
<顔料粒径の測定>
顔料粒子の体積平均粒径は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いて測定した。電解液としては、ISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
まず、THF(テトラヒドロフラン)にトナーを溶解、不溶分を濾過により抽出し乾燥、測定試料とした。測定は、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーII型により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が3.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定した。測定する粒子数は50,000とした。
測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径を体積平均粒径と定義する。
【0070】
<顔料含有量の測定>
顔料含有量の測定は、まずトナーを超音波処理し外添剤とトナー母粒子を分離した。次に分離したトナー母粒子の重量を測定し、A(g)とした。この母粒子をTHFに溶解、不溶分すなわちアルミ顔料を濾過により抽出し乾燥した。乾燥後アルミ顔料の重量を測定しB(g)とした。アルミ顔料の含有量はAとBから算出した。
【0071】
<XPS測定>
トナー表面のAl及びC量はXPS(X線光電子分光)により測定した。XPSによる測定条件は、以下の通りとした。
・X線光電子分光装置:日本電子(株)製JPS−9000MX
・X線源:MgKα線
・加速電圧:10.0kV
・Emission電流:20mA
・光電子エネルギーアナライザーのパスエネルギー:30V
Al、O、N、S、Na、Cの各元素のピーク強度(測定誤差も考慮し、1,000の位を四捨五入した)より表面原子濃度を見積った。なお、表面原子濃度の計算は日本分光社提供の相対感光因子を用いた。バックグラウンド補正及び面積(Area)は、日本電子社製分析アプリケーションソフトに従い導いた。
【0072】
<樹脂の吸熱ピーク温度及びガラス転移温度の測定方法>
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、ASTM D3418に準拠して、示差走査熱量計((株)島津製作所製:DSC−60A)を用いて測定した。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/分で昇温し、200℃で5分間ホールドし、200℃から0℃まで液体窒素を用いて−10℃/分で降温し、0℃で5分間ホールドし、再度0℃から200℃まで10℃/分で昇温を行った。2度目の昇温時の吸熱曲線から解析を行い、非晶性ポリエステル樹脂についてはオンセット温度をTgとし、結晶性ポリエステル樹脂については極大ピークより吸熱ピーク温度とした。
【0073】
<樹脂の重量平均分子量、分子量分布測定方法>
本実施形態において、結着樹脂等の分子量は以下の条件で行ったものである。GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー(株)製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
【0074】
<トナーの体積平均粒径の測定方法>
トナーの体積平均粒径は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いて測定した。電解液としては、ISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
測定法としては、まず、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーII型により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定した。測定する粒子数は50,000とした。
測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径を体積平均粒径と定義する。
【0075】
<キャリアの体積平均粒径の測定方法>
キャリアの体積平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、ベックマン−コールター社製)を用いて測定した。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径とした。
【0076】
(結着樹脂1の合成)
・アジピン酸ジメチル:74部
・テレフタル酸ジメチル:192部
・ビスフェノールAエチレンオキシド付加物:216部
・エチレングリコール:38部
・テトラブトキシチタネート(触媒):0.037部、
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した後、160℃で7時間共縮重合反応させ、その後、10Torr(1.33kPa)まで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し4時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸9部を加え、再度10Torr(1.33kPa)まで徐々に減圧し220℃で1時間保持することによりポリエステル樹脂1(結着樹脂1)を合成した。
得られたポリエステル樹脂1のガラス転移温度は58℃、重量平均分子量は22,000であった。
【0077】
(結着樹脂分散液1の調製)
・結着樹脂1:160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
上記成分をセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液を更に撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより樹脂粒子分散液1(固形分濃度30%)を得た。
【0078】
(結着樹脂2の合成)
加熱乾燥した3口フラスコに、セバシン酸ジメチル43.4部と、1,10−デカンジオール32.8部と、ジメチルスルホキシド27部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.03部と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌にて180℃で4時間撹拌を行った。減圧下、ジメチルスルホキシドを留去し、その後、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行い1.5時間撹拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、脂肪族結晶性ポリエステル樹脂(結着樹脂2)65部を合成した。得られた結晶性ポリエステル樹脂(結着樹脂2)の融解温度は、76℃であった。
【0079】
(結着樹脂分散液2の調製)
結晶性ポリエステル樹脂(結着樹脂2)160部と、酢酸エチル233部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.3N)0.1部と、を用意し、これらをセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液を更に撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより結晶性ポリエステル樹脂分散液(結着樹脂分散液2)を得た。結晶性ポリエステル樹脂分散液(結着樹脂分散液2)中の樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであり、固形分濃度は30%であった。
【0080】
(光輝性顔料分散液の調製)
<光輝性顔料分散液1の調製>
・アルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、260EA、平均粒径10μm):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:400部
アルミ顔料のペーストから溶剤を除去し、上記活性剤及びイオン交換水と混合した後、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間ほど分散して、光輝性顔料粒子(アルミニウム顔料)を分散させてなる光輝性顔料分散液1(顔料分散径10μm)を調製した(固形分濃度20%)。
【0081】
<光輝性顔料分散液2の調製>
・アルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、260EA、平均粒径10μm):100部
・結着樹脂1:100部
・酢酸エチル:233部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:800部
アルミ顔料のペーストから溶剤を除去したものと、結着樹脂1を100部と、酢酸エチル233部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.3N)0.1部と、を用意し、これらをセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して混合液を調製した。この混合液を更に撹拌しながら、徐々にイオン交換水800部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより樹脂で被覆された光輝性顔料分散液2を得た。固形分濃度は20%であった。
【0082】
<光輝性顔料分散液3の調製>
アルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、210EA、平均粒径9μm)に変更した。アルミ顔料のペーストから溶剤を除去し、スターミル(アシザワ・ファインテック(株)製、LMZ)を用いて、上記顔料を機械的に平均粒径が8.2μmまで粉砕、分級した。その後、上記活性剤及びイオン交換水と混合し溶解後、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間ほど分散して、光輝性顔料粒子(アルミニウム顔料)を分散させてなる光輝性顔料分散液3(顔料分散径8.2μm)を調製した(固形分濃度20%)。
【0083】
<光輝性顔料分散液4の調製>
アルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、220EA、平均粒径17μm)に変更した。その後、スターミルによる顔料粉砕を平均粒径が13.8μmになるまで実施した。他の工程は光輝性顔料分散液1の調製と同様の工程を経て光輝性顔料分散液4を調製した(固形分濃度20%)。
【0084】
<光輝性顔料分散液5の調製>
アルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、210EA、平均粒径9μm)に変更した。その後、スターミルによる顔料粉砕を平均粒径が7.8μmになるまで実施した。他の工程は光輝性顔料分散液1の調製と同様の工程を経て光輝性顔料分散液5を調製した(固形分濃度20%)。
【0085】
<光輝性顔料分散液6の調製>
アルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、220EA、平均粒径17μm)に変更した。その後、スターミルによる顔料粉砕を平均粒径が14.2μmになるまで実施した。他の工程は光輝性顔料分散液1の調製と同様の工程を経て光輝性顔料分散液6を調製した(固形分濃度20%)。
【0086】
<光輝性顔料分散液7の調製>
アルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、2173EA、平均粒径6μm)に変更した。その後、スターミルによる顔料粉砕を平均粒径が5.2μmになるまで実施した。他の工程は光輝性顔料分散液1の調製と同様の工程を経て光輝性顔料分散液7を調製した(固形分濃度20%)。
【0087】
<光輝顔料分散液8の調製>
アルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、220EA、平均粒径17μm)に変更した。他の工程は光輝性顔料分散液1と同様の工程を経て光輝性顔料分散液8を調製した(顔料分散径16.8μm、固形分濃度20%)。
【0088】
<光輝性顔料分散液9の調製>
アルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、2173EA、平均粒径6μm)に変更した。その後、スターミルによる顔料粉砕を平均粒径が4.8μmになるまで実施した。他の工程は光輝性顔料分散液1の調製と同様の工程を経て光輝性顔料分散液9を調製した(固形分濃度20%)。
【0089】
<光輝性顔料分散液10の調製>
アルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、525EA、平均粒径20μm)に変更した。その後、スターミルによる顔料粉砕を平均粒径が17.2μmになるまで実施した。他の工程は光輝性顔料分散液1の調製と同様の工程を経て光輝性顔料分散液10を調製した(固形分濃度20%)。
【0090】
<光輝性顔料分散液11の調製>
アルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、2173EA、平均粒径6μm)に変更した。その後、スターミルによる顔料粉砕を平均粒径が3.2μmになるまで実施した。他の工程は光輝性顔料分散液1の調製と同様の工程を経て光輝性顔料分散液11を調製した(固形分濃度20%)。
【0091】
<光輝性顔料分散液12の調製>
アルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、525EA、平均粒径20μm)に変更した。他の工程は光輝性顔料分散液1の調製と同様の工程を経て光輝性顔料分散液12を調製した(固形分濃度20%)。
【0092】
<光輝性顔料分散液13の調製>
・アルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、525EA、平均粒径20μm):100部
・結着樹脂1:100部
・酢酸エチル:233部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:800部
アルミ顔料のペーストから溶剤を除去したものと、結着樹脂1を100部と、酢酸エチル233部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.3N)0.1部と、を用意し、これらをセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して混合液を調製した。この混合液を更に撹拌しながら、徐々にイオン交換水800部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより樹脂で被覆された光輝性顔料分散液13を得た。固形分濃度は20%であった。
【0093】
<光輝性顔料分散液14の調製>
アルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、2173EA、平均粒径6μm)に変更した。その後、スターミルによる顔料粉砕を平均粒径が2.8μmになるまで実施した。他の工程は光輝性顔料分散液1の調製と同様の工程を経て光輝性顔料分散液14を調製した(固形分濃度20%)。
【0094】
<光輝性顔料分散液15の調製>
アルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、625EA、平均粒径22μm)に変更した。他の工程は光輝性顔料分散液1の調製と同様の工程を経て光輝性顔料分散液15を調製した(分散径22μm、固形分濃度20%)。
【0095】
(離型剤分散液の調製)
・カルナウバワックス(東亜化成(株)製、RC−160、Tm68℃):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1.0部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で360分間の分散処理をして、体積平均粒径が0.23μmである離型剤粒子を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度20%)を調製した。
【0096】
(実施例1)
<トナー1の作製>
・結着樹脂分散液1:232部
・離型剤分散液:72部
・光輝性顔料分散液1:140部
上記光輝性顔料分散液1を円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)により4,000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液0.35部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5,000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
その後、層流を形成するための2枚パドルの撹拌翼を用いた撹拌装置、及び、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、撹拌回転数を810rpmにしてマントルヒーターにて加熱し始め、撹拌しながら温度を樹脂のTg付近まで上昇させた。この昇温中に、その他の上記トナー材料(結着樹脂分散液、離型剤分散液)及び凝集剤1.4部の添加を5回繰り返すことで、アルミ顔料を多層の樹脂で被覆した凝集粒子を形成した。なお、トナー材料及び凝集剤は添加回数に応じ、均等に分割した。またこの際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2〜3.5の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。
その後、凝集粒子を融合させるためにpHを8.0に上げた後、結着樹脂のTg以上離型剤のTm以下の温度まで昇温させた。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、上記温度で保持したままpHを6.0まで下げ、1時間後に加熱を止め、1.0℃/分の降温速度で冷却した。その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子1を得た。得られたトナー粒子1の体積平均粒径は15.2μmであった。
【0097】
得られたトナー粒子1 100重量部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、RY50)を1.5重量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル(株)製、T805)を1.0重量部とを、サンプルミルを用いて10,000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナー1を調製した。この際、マルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)を用いて測定したトナー1の体積平均粒径は14.4μmであった。
【0098】
<キャリアの作製>
・トルエン:14部
・スチレン−メチルメタクリレート共重合体(成分比:80/20(重量比)、重量平均分子量:70,000):2部
・MZ500(酸化亜鉛、チタン工業(株)製):0.6部
上記成分を混合し、10分間スターラーで撹拌させて酸化亜鉛が分散した被覆層形成用溶液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(体積平均粒径:38μm)100部とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分撹拌した後、更に加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを作製した。
【0099】
<現像剤1の作製>
前記トナー1:8部と前記キャリア:100部とを、Vブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後212μmで篩分して現像剤1を作製した。
【0100】
(実施例2〜40、比較例1〜2)
実施例1に記載の光輝性トナーの製造方法において、以下の通り変更した以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
【0101】
実施例2においては、実施例1の光輝性顔料分散液1の量を140部から118部に変更した。
【0102】
実施例3においては、実施例1の光輝性顔料分散液1の量を140部から163部に変更した。
【0103】
実施例4においては、実施例1の光輝性顔料分散液1の量を140部から98部に、添加回数を5回から4回に変更した。
【0104】
実施例5においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液2に、使用量を、140部から377部に変更し、更に、結着樹脂分散液使用量を232部から106部に変更した。
【0105】
実施例6においては、実施例1の光輝性顔料分散液1の量を140部から57部に、添加回数を5回から4回に変更した。
【0106】
実施例7においては、実施例1の光輝性顔料分散液1の量を140部から257部に、添加回数を5回から6回に変更した。
【0107】
実施例8においては、実施例1の光輝性顔料分散液1の量を140部から36部に、添加回数を5回から2回に変更した。
【0108】
実施例9においては、実施例1の光輝性顔料分散液1量を140部から304部に、添加回数を5回から7回に変更した。
【0109】
実施例10においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液3に変更した。
【0110】
実施例11においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液3に、添加回数を5回から4回に変更した。
【0111】
実施例12においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液4に変更した。
【0112】
実施例13においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液4に、添加回数を5回から6回に変更した。
【0113】
実施例14においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液5に変更した。
【0114】
実施例15においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液5に、添加回数を5回から4回に変更した。
【0115】
実施例16においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液6に変更した。
【0116】
実施例17においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液6に、添加回数を5回から6回に変更した。
【0117】
実施例18においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液7に、添加回数を5回から4回に変更した。
【0118】
実施例19においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液7に、添加回数を5から6回に変更した。
【0119】
実施例20においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液8に、添加回数を5回から3回に変更した。
【0120】
実施例21においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液8に変更した。
【0121】
実施例22においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液9に添加回数を5回から4回に変更した。
【0122】
実施例23においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液9に、添加回数を5回から6回に変更した。
【0123】
実施例24においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液8に、添加回数を5回から6回に変更した。
【0124】
実施例25においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液10に、添加回数を5回から6回に変更した。
【0125】
実施例26においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液10に、添加回数を5回から7回に変更した。
【0126】
実施例27においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液11に、添加回数を5回から4回に変更した。
【0127】
実施例28においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液11に、添加回数を5回から2回に変更した。
【0128】
実施例29においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液12に、添加回数を5回から7回に変更した。
【0129】
実施例30においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液12に、添加回数を5回から8回に変更した。
【0130】
実施例31においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液11に、また、光輝性顔料分散液11の量を140部から36部に変更し、添加回数を5回から3回に変更した。
【0131】
実施例32においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液11に、また、光輝性顔料分散液11の量を140部から36部に変更し、添加回数を5回から2回に変更した。
【0132】
実施例33においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液12に、また、光輝性顔料分散液12の量を140部から304部に変更し、添加回数を5回から8回に変更した。
【0133】
実施例34においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液12に、また、光輝性顔料分散液12の量を140部から304部に変更し、添加回数を5回から10回に変更した。
【0134】
実施例35においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液14に、添加回数を5回から3回に変更した。
【0135】
実施例36においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液14に、添加回数を5回から2回に変更した。
【0136】
実施例37においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液15に、添加回数を5回から10回に変更した。
【0137】
実施例38においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液15に、添加回数を5回から8回に変更した。
【0138】
実施例39においては、実施例1の結着樹脂分散液1を232部から170部に、結着樹脂分散液2を62部に変更した。
【0139】
比較例1においては、実施例1の光輝性顔料分散液1から光輝性顔料分散液11に変更した。更に、追添加する結着樹脂分散液を除いた全ての原料を円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)により4,000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5,000rpmにして15分間分散して混合した。その後、凝集粒子を形成した後、結着樹脂分散液1を100部を追添加した。
【0140】
比較例2においては、実施例1の光輝性顔料分散液1を光輝性顔料分散液13に、光輝性顔料分散液13の使用量を140部から280部に、結着樹脂分散液1の使用量を232部から138部に変更した。更に、追添加する結着樹脂分散液を除いた全ての原料を円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)により4,000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5,000rpmにして15分間分散して混合した。その後、凝集粒子を形成した後、結着樹脂分散液1:100部を追添加した。
【0141】
(実施例40)
・結着樹脂分散液1:380部
・離型剤分散液:72部
・光輝性顔料分散液1:140部
上記トナー材料すべてを円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)により4,000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5,000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。その後の造粒は、トナー材料の追加添加を除いた実施例1のように行った。上記トナーを乾燥後、予め結着樹脂分散液100部をフリーズドライしたものと混ぜ合わせ、サンプルミル(協立理工(株)製、SK−M10型)を使用し機械的にトナーへの樹脂の付着を行い、樹脂で覆われた光輝性トナー40を得た。なお、サンプルミルは10,000rpmで60秒間を10回行った。その後の外添工程等は実施例1同様に行った。
【0142】
(評価試験)
<感光体摩耗評価方法>
DocuCentre Color 400CP (富士ゼロックス(株)製)を使用し、まず低温低湿(20℃、30%RH)において連続して10,000枚のベタパターンを出力した。低温低湿(20℃、30%RH)環境下のまま24時間放置した後、高湿(28℃、60%RH)環境下にて5,000枚のベタパターンを出力した。高湿(28℃、60%RH)環境下のまま24時間放置した後、再度低温低湿(20℃、30%RH)環境下に戻し、更に20,000枚のベタパターンを出力した。出力後の感光体の摩耗状態を目視で評価した。なお、G2以上が実用可能レベルである。
G6 新品同様の光沢感がある。
G5 目視で傷が確認されない。
G4 1〜2か所、ごく小さい傷発生。
G3 数か所、ごく小さい傷発生。
G2 部分的に、ごく小さい傷発生。
G1 全面に傷発生。
【0143】
<光輝性評価方法>
試料となる現像剤を、DocuCentre Color 400CP(富士ゼロックス(株)製)の現像器に充填し、記録紙(ラフ紙、王子製紙(株)製)、定着温度200℃、定着圧力4.0 Kg/cm2、プロセススピード220mm/sにて、トナー載り量が4.5g/cm2のベタ画像を形成した。得られたベタ画像に関し、以下の基準で目視による光輝性の評価を行った。JISK5600−4−3:1999「塗料一般試験方法−第四部:塗料の視覚特性−第三節:色の目視比較」に準じた色観察用照明(自然昼光照明)下で目視にて光輝性を評価した。なお評価は、粒子感(キラキラ輝く光輝性の効果)、光学的効果(見る角度による色相の変化)を評価した。なお、G2以上が実用可能レベルである。
G5 粒子感と光学的効果が調和している。
G4 やや粒子感、光学的効果がある。
G3 普通の感覚。
G2 ぼやけた感じがする。
G1 全く粒子感、光学的効果がない。
評価結果を以下の表に示す。
【0144】
【表1】

【符号の説明】
【0145】
20 感光体ドラム
21 帯電装置
22 露光装置
24 転写装置
25 クリーニング装置
28 記録紙
30 現像装置
31 現像ハウジング
32 現像用開口
33 現像ロール
34 電荷注入ロール
40 トナー
107 感光体(像保持体)
108 帯電ローラ
111 現像装置(現像手段)
112 転写装置
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
115 定着装置(定着手段)
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(被転写体)
G 現像剤
Z 静電潜像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂及びアルミ顔料を含有し、
X線光電子分光法(XPS)によるAl元素の含有率A(atm%)とC元素の含有率B(atm%)との比(A/B)が0〜0.03であることを特徴とする
静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記アルミ顔料の体積平均粒径が3μm〜20μmである、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記アルミ顔料の静電荷像現像用トナー中の含有量が10〜40重量%である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
アルミ顔料分散液、又は、樹脂と同時乳化したアルミ顔料分散液を調製する工程、及び、
前記分散液にトナー構成材料を数回に分けて添加する工程を有することを特徴とする
請求項1〜3いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーと、キャリアと、を含むことを特徴とする静電荷像現像剤。
【請求項6】
静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段を少なくとも備えた画像形成装置に対して着脱可能であり、
前記現像手段に供給するためのトナーとして請求項1〜3いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収納していることを特徴とする
トナーカートリッジ。
【請求項7】
請求項1〜3いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容すると共に、
前記静電荷像現像用トナーを保持して搬送するトナー保持体を備えることを特徴とする
プロセスカートリッジ。
【請求項8】
像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
前記像保持体表面に形成された静電潜像を請求項1〜3いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を少なくとも含むことを特徴とする
画像形成方法。
【請求項9】
像保持体と、
前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像を請求項1〜3いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を被転写体表面に転写する転写手段と、
被転写体表面に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を少なくとも備えることを特徴とする
画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−72944(P2013−72944A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210762(P2011−210762)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】