説明

静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される静電荷現像用現像剤を提供すること。
【解決手段】トナー粒子、体積平均粒子径80nm以上200nm以下の球状外添剤、及び不定形形状の不定形外添剤を含むトナーと、体積平均粒子径45μm以上75μm以下で、飽和磁化70A・m/kg以上95A・m/kg以下のキャリアと、を有する静電荷現像用現像剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子写真法を利用した画像形成装置としては、従来から知られている。電子写真法による画像形成装置では、一般的には、次のように実施される。まず、光導電性物質を利用した感光体(静電潜像保持体)表面に、種々の手段により電気的に静電潜像を形成する。続いて、トナーを含む現像剤により静電潜像を現像してトナー像を形成する。その後、トナー像を、場合により中間転写体を介して、紙等の記録媒体表面に転写する。そして、記録媒体表面に転写されたトナー像を定着することにより、記録媒体表面に画像を形成する。また、感光体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリーニングされ、再びトナー像の現像に利用される。
【0003】
この画像形成装置において、例えば、高速機でのキャリア飛散や潜像保持体上へのキャリア飛翔による白点などの画像欠損を抑制することを目的とし、現像剤保持体上の現像剤量と磁束密度の規定をした提案がなされている(特許文献1参照)。また、現像剤保持体上の現像剤の穂立ち(所謂磁気ブラシ)の位置を変更することにより、ベタ画像での白抜けやキャリア飛翔を防止することが提案されている(例えば、特許文献2参照)
【特許文献1】特開2003−255711号公報
【特許文献2】特開2006−72312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの後が画像に残る現象)の発生が抑制される静電荷現像用現像剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
トナー粒子、体積平均粒子径80nm以上200nm以下の球状外添剤、及び不定形形状の不定形外添剤を含むトナーと、
体積平均粒子径45μm以上75μm以下で、飽和磁化70A・m/kg以上95A・m/kg以下のキャリアと、
を有する静電荷現像用現像剤。
【0006】
請求項2に係る発明は、
前記球状外添剤の前記トナー粒子に対する添加量が、前記不定形外添剤の前記トナー粒子に対する添加量よりも多い、請求項1に記載の静電荷現像用現像剤。
【0007】
請求項3に係る発明は、
前記球状外添剤の前記トナー粒子に対する添加量と、前記不定形外添剤の前記トナー粒子に対する添加量と、の比が、100:5乃至100:90である、請求項1に記載の静電荷現像用現像剤。
【0008】
請求項4に係る発明は、
前記球状外添剤の前記トナー粒子に対する添加量が、0.01質量%以上10.00質量%以下である、請求項1に記載の静電荷現像用現像剤。
【0009】
請求項5に係る発明は、
前記不定形外添剤の前記トナー粒子に対する添加量が、0.02質量%以上10.00質量%以下である、請求項1記載の静電荷現像用現像剤。
【0010】
請求項6に係る発明は、
前記不定形外添剤の形状係数SF1が、135以上190以下である、請求項1に記載の静電荷現像用現像剤。
【0011】
請求項7に係る発明は、
前記球状外添剤と前記不定形外添剤との形状係数SF1との差が、15以上70以下である請求項1に記載の静電荷現像用現像剤。
【0012】
請求項8に係る発明は、
画像形成装置に脱着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための現像剤を収納し、
前記現像剤が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用現像剤である静電荷像現像用現像剤カートリッジ。
【0013】
請求項9に係る発明は、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用現像剤を収納すると共に、静電潜像保持体表面上に形成された静電潜像を前記静電荷像現像用現像剤によりトナー像に現像する現像手段と、
静電潜像保持体、前記静電潜像保持体を帯電する帯電手段、及び前記静電潜像保持体表面上に残存したトナーを除去するためのトナー除去手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を備え、
画像形成装置本体に脱着されるプロセスカートリッジ。
【0014】
請求項10に係る発明は、
静電潜像保持体と、
前記静電潜像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像保持体に対向配置される現像剤保持体を有し、前記静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像手段と、
前記静電潜像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備え、
前記現像剤が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用現像剤である画像形成装置。
【0015】
請求項11に係る発明は、
前記潜像保持体と前記現像剤保持体との回転方向が、同方向である、請求項10に記載の画像形成装置。
【0016】
請求項12に係る発明は、
プロセス速度が、700mm/sec以上である、請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
請求項2に係る発明によれば、トナーの球状外添剤及び不定形外添剤の添加量を考慮しない場合に比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、トナーの球状外添剤及び不定形外添剤の添加量を考慮しない場合に比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
請求項4に係る発明によれば、トナーの球状外添剤の添加量を考慮しない場合に比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
請求項5に係る発明によれば、トナーの不定形外添剤の添加量を考慮しない場合に比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
請求項6に係る発明によれば、トナーの不定形外添剤の形状係数を考慮しない場合に比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
請求項7に係る発明によれば、トナーの球状外添剤と不定形外添剤との形状係数差を考慮しない場合に比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有さない場合い比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
請求項9に係る発明によれば、本構成を有さない場合い比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
請求項10に係る発明によれば、本構成を有さない場合い比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
請求項11に係る発明によれば、潜像保持体と現像剤保持体との回転方向が同方向であっても、キャリア飛散が抑制される。
請求項12に係る発明によれば、プロセス速度が特定以上であっても、キャリア飛散が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
[現像剤]
本実施形態に係る静電荷現像用現像剤(以下、現像剤と称する)は、
トナー粒子と、体積平均粒子径80nm以上200nm以下の球状外添剤、及び不定形形状の不定形外添剤、を含むトナーと、
体積平均粒子径45μm以上75μm以下で、飽和磁化70A・m/kg以上95A・m/kg以下のキャリアと、
を有する。
【0020】
ここで、トナーとキャリアとを含む現像剤による静電潜像の現像では、キャリア飛散(飛翔)が生じてしまうことが知られている。例えば、特に、ベタ画像の濃度確保を目的とし、現像ニップ部(潜像保持体と現像剤保持体との対向部)へのトナー供給量を増加させる手段として、静電潜像保持体と現像剤保持体の周速に差を持たせた場合や、潜像保持体と現像剤保持体の回転方向を逆にして対向させた場合、現像剤保持体上の現像剤の穂立ちと潜像保持体が接触した際に、両者の速度差から、キャリアが現像機外部に飛ばされ、現像機周辺を汚染したり、又は飛散したキャリアがベアリングやギアなどに咬み込み、故障の原因となる場合がある。さらに、現像剤の長期にわたる使用では、キャリア飛散により徐々に現像剤量が減少し、現像量が維持できないなどの問題が生じることがある。特に、潜像保持体と現像剤保持体の回転数が高速となる高速機(例えばプロセス速度が700mm/sec以上)や、現像剤保持体と潜像保持体の現像ニップ部における接線方向のベクトルが逆になる現像(所謂、アゲインスト現像)では、キャリアの飛散(現像剤の減少)はより顕著となる。
【0021】
キャリアの飛散抑制(現像剤の減少抑制)は、キャリア磁化や現像剤保持体の磁力を上昇させ、磁気拘束力を向上させることによりある程度の改善は見られるものの十分とはいえず、キャリア磁化の上昇には技術的な限界もある。特に、接触によるキャリア飛散抑制は、キャリア磁化の上昇だけでは困難であるのが現状である。
【0022】
一方で、キャリア磁化の上昇は特に長期にわたる使用により、帯電量が低下し、現像剤中トナー濃度が低くなった場合に、ベタの現像時に磁気ブラシの跡が残る、いわゆるブラシマークと呼ばれる画像欠陥が生じやすいことがある。これは、キャリア磁化の磁力上昇により、現像剤保持体上の現像剤の穂立ちが硬くなり、現像と同時に発生する潜像保持体上にある現像像のスキャベンジ(掻き取り)が強くなることにより、磁気ブラシの跡が画像に残る現象が生じると考えられる。
【0023】
そこで、本実施形態に係る現像剤では、上記構成とすることで、当該構成を有さない場合に比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。これは、上記構成の現像剤が、現像剤保持体上の現像剤穂立ちが適度な柔軟性を持ち、静電潜像保持体に接触した際に、衝撃を穂立ち全体で受け流すためであると考えられる。上記構成の現像剤が現像剤穂立ちを適度な柔軟性を有し、上記効果を奏する理由については定かではないが以下に示す理由によるものと考えられる。
【0024】
まず、キャリアとして、白点や、濃度ムラを抑制するために上記特定の体積平均粒子径とすると共に、現像剤保持体の回転に伴う遠心力に負け難い現像剤の穂立ち(磁気ブラシ)を形成しやすくすると共に、現像剤の穂立ちの柔軟性が低下を抑制するために上記特定の飽和磁化を持つキャリアを採用する。
【0025】
一方で、上記キャリアと共に、特定の球状外添剤と特定の不定形外添剤の2種が含まれるトナーを併用することで、現像剤の穂立ちに適切な柔軟性が付与されると考えられる。これは、トナーの外添剤として、特定の2種の外添剤を併用することで、現像剤の穂立ち形成時に現像剤は適度に柔軟性のある穂立ちが形成されると考えられるためである。
【0026】
この適度に柔軟性のある穂立ちの状態とは、キャリアが現像剤保持体上で磁気的な拘束力を受けている状態での見かけ上の密度と同様に考えられ、柔軟性が低くなると、キャリアとトナーが密に存在し、トナー供給量が増加する一方で現像剤の穂立ちとしては硬くなり、潜像保持体との接触など外部からの力により変形しにくくなると考えられる。その結果、ベタ画像を現像する際に、現像像に穂立ちの跡が残るいわゆるブラシマークと呼ばれる画像欠陥が生じることになる。逆に、柔軟性が過度に高くなると、現像剤の穂立ちは柔らかくなり、ブラシマークは発生しにくくなるが、現像部へのトナー供給量が不足することにより、濃度低下や、ベタ画像での濃度ムラが発生するなどの画質欠陥が発生しやすくなる。
すなわち、現像剤の穂立ちの状態を経時にわたり適切な状態に保つことが重要となる。
【0027】
そして、2種の外添剤のうち、球状外添剤が、現像剤の穂立ちを適切な状態に保つ役割を有していると考えられ、現像剤を適切な状態に保つことが容易になる。一方で、長期にわたる使用や使用環境の変化などにより、現像剤(トナー)の帯電量は変化し、その結果、トナー濃度も常に変化していると考えられる。特に、長期使用では徐々にキャリアの帯電付与能力の低下からトナー濃度は低くなり、結果、現像剤の見かけ上の密度は上昇し、硬い現像剤の穂立ちとなりやすい傾向となる。
【0028】
このため、上記球状外添剤と共に、不定形外添剤を併用することで、現像剤の穂立ち形成時に、現像剤中に空隙を作り、トナー濃度が低くなった場合でも現像剤の見かけ上の密度の上昇が抑制されると考えられる。
【0029】
以上の理由から、本実施形態に係る現像剤では、上記構成により、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
【0030】
以下、本実施形態に係る現像剤の各構成について説明する。
【0031】
(トナー)
トナーは、トナー粒子と、球状外添剤と、不定形外添剤と、を含んで構成される。トナー粒子は、例えば、結着剤、着色剤、及び、必要に応じて他の添加剤を含んで構成される。
【0032】
−結着樹脂−
結着樹脂としては、公知のバインダー樹脂が使用される。結着樹脂の主成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂が望ましいが、スチレンとアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂等などが単独又は併用される。
これらの中では、定着後の画像強度を高くしやすい等の点から、ポリエステル樹脂を使用することが望ましい。
【0033】
結着樹脂としてのポリエステル樹脂についてさらに説明すると、かかるポリエステル樹脂において用いられる酸成分は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、又はこれらの無水物等を包含し、望ましくはテレフタル酸/イソフタル酸である。これらの酸成分は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。なお、他の酸成分を上記酸成分に組み合わせて使用してもよい。特に、他の酸成分は、フラッシュ定着(光定着)の場合、臭いが問題にならない範囲で組み合わせて使用する。他の酸成分として、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸等が挙げられ、更には、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキル又はアルケニルコハク酸、又はこれらの酸の無水物、低級アルキルエステル、その他の二価のカルボン酸も挙げられる。また、ポリエステル樹脂に架橋を施すためには、三価以上のカルボン酸成分も同様に他の酸成分として混合使用してもよい。三価以上のカルボン酸成分としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、その他のポリカルボン酸、及びこれらの無水物が挙げられる。
【0034】
また、このポリエステル樹脂は、通常、アルコール成分中の80モル%以上がビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物からなるものであり、望ましくは、90モル%以上、さらに望ましくは、95モル%である。ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物の量が80モル%未満であると、相対的に臭いの発生原因となるモノマー使用量が多くなるため、望ましくない。
【0035】
上記ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0036】
ポリエステル樹脂において、必要に応じて、他のアルコール成分を上記のアルコール成分に組み合わせて使用してもよい。他のアルコール成分として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等、その他の二価のアルコールが挙げられる。
【0037】
また、他のアルコール成分として、三価以上のアルコールも好適である。かかるアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、その他の三価以上のアルコールが挙げられる。
【0038】
ポリエステル樹脂を合成する反応の際には、その反応を促進せしめるため、通常使用されているエステル化触媒、例えば酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート等を使用することがよい。
【0039】
結着樹脂のガラス転移温度Tgは、望ましくは50℃以上80℃以下の範囲である。
【0040】
−着色剤−
着色剤としては、下記に示すものをトナーの色彩に対応させて選択して用いられる。
例えばシアントナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同23、同60、同65、同73、同83、同180、C.I.バットシアン1、同3、同20等や、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーの部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCのシアン顔料、C.I.ソルベントシアン79、162等のシアン染料などが用いられる。これらの中では、C.I.ピグメントブルー15:3が有効である。
【0041】
マゼンタトナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同48、同49、同70、同51、同52、同53、同54、同55、同57、同58、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同163、同184、同202、同206、同207、同209等、ピグメントバイオレット19のマゼンタ顔料や、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40等のマゼンタ染料等、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ロータミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどが用いられる。
【0042】
イエロートナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントイエロー2、同3、同15、同16、同17、同74、同97、同180、同185、同139等のイエロー顔料などが用いられる。
また、ブラックトナーにおいては、その着色剤として、例えば、カーボンブラック、活性炭、チタンブラック、磁性粉、Mn含有の非磁性粉などが用いられる。また、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー顔料を混合して、ブラックトナーとしてもよい。
【0043】
各着色剤の添加量は、結着樹脂等との混合により作製された最終的なトナー中で1質量%以上20質量%以下の範囲であることが望ましい。
【0044】
−他の添加剤−
トナー粒子に含まれる他の添加剤としては、例えば、ワックス、帯電制御剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。
【0045】
ワックスとしては、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの共重合物が最も望ましいが、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0046】
ワックスとしては、示差走査熱量測定(DSC)において50℃乃至90℃に吸熱ピークを示すワックス材料が望ましい。ピーク温度が50℃より低いとトナーがブロッキングしてしまう場合があり、90℃より高いと定着性向上に寄与できない場合がある。
なお、前記DSCの測定は、測定原理から、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが望ましく、室温(25℃)から昇温速度10℃/分にて行う。
【0047】
ワックスの添加量はトナー粒子全体中の0.5質量%以上7質量%以下とすることが望ましく、2質量%以上4質量%以下とすることがより好適である。
【0048】
帯電制御剤としては、公知のカリックスアレン、ニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、アミノ基含有のポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸の錯化合物、フェノール化合物、アゾクロム系、アゾ亜鉛系などが使用される。 その他、トナーには鉄粉、マグネタイト、フェライト等の磁性材料を混合し磁性トナーとして使用してもよい。特に、カラートナーの場合には公知の白色の磁性粉(例えば日鉄鉱業社製)が用いられる。
【0049】
赤外線吸収剤は、本実施形態に係る現像剤(トナー)をフラッシュ定着などの光定着用として用いる場合には、例えば、通常前記着色剤と共に併用することがよい。ここで赤外線吸収剤とは、例えば、分光光度計等により測定した際に800nm乃至2000nmの近赤外領域に少なくとも1つ以上の強い光吸収ピークを有する材料を指し、有機物であっても無機物であって使用され得る。
【0050】
赤外線吸収剤としては公知の材料が用いられることが、具体例としては、例えば、シアニン化合物、メロシアニン化合物、ベンゼンチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、芳香族ジアミン系金属錯体、ニッケル錯体化合物、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム化合物、アミニウム化合物、ジイモニウム化合物等が挙げられる。
【0051】
赤外線吸収剤としてより具体的には、シアニン系赤外線吸収剤(富士写真フイルム社製、商品名:CTP−1、IRF−106、IRF−107)、シアニン化合物(日本化薬社製、商品名:CY−2、CY−4、CY−9)、ニッケル金属錯体系赤外線吸収剤(三井化学社製、商品名:SIR−130、SIR−132)、ビス(ジチオベンジル)ニッケル(みどり化学社製、商品名:MIR−101)、ビス[1,2−ビス(p−メトキシフェニル)−1,2−エチレンジチオレート]ニッケル(みどり化学社製、商品名:MIR−102)、テトラ−n−ブチルアンモニウムビス(シス−1,2−ジフェニル−1,2−エチレンジチオレート)ニッケル(みどり化学社製、商品名:MIR−1011)、テトラ−n−ブチルアンモニウムビス[1,2−ビス(p−メトキシフェニル)−1,2−エチレンジチオレート]ニッケル(みどり化学社製、商品名:MIR−1021)、ビス(4−tert−1,2−ブチル−1,2−ジチオフェノレート)ニッケル−テトラ−n−ブチルアンモニウム(住友精化社製、商品名:BBDT−NI)、可溶性フタロシアニン(日本触媒社製:TX−305A)、ナフタロシアニン(山陽色素社製、SnNc FT−1)、無機材料系(信越化学社製、商品名:イッテルビウムUU−HP;住友金属社製、インジュームチンオキサイド)などが挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。
【0052】
上記赤外線吸収剤の添加量は、トナー粒子全体中の0.01質量%以上5質量%以下の範囲が望ましく、さらに望ましくは0.1質量%以上5質量%以下の範囲である。添加量が0.01質量%未満では、フラッシュを用いた光定着の場合にトナーを定着させることができない場合がある。また、5質量%を超えると、トナーの色が濁ってしまう場合がある。
【0053】
−トナー粒子の特性−
トナー粒子は、その体積平均粒子径D50vが3μm以上10μm以下の範囲が望ましく、4μm以上8μm以下の範囲内であることがより望ましい。
【0054】
本実施形態におけるトナー粒子の体積平均粒子径、及び粒子径分布指標等は、測定装置としてコールターマルチサイザー−II型(ベックマンーコールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマンーコールター社製)を使用した。
測定法としては、分散剤として界面活性剤、望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg乃至50mg加える。これを前記電解液100ml乃至150ml中に添加した。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザー−II型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2μm乃至60μmの粒子の粒度分布を測定して、体積平均粒子径D50vを求めた。測定する粒子数は50000とした。
【0055】
−外添剤−
外添剤としては、球状外添剤と、不定形外添剤と、が併用される。まず、球状外添剤について説明する。
【0056】
球状外添剤は、その体積平均粒子径が80nm以上200nm以下の粒子であるが、望ましくは80nm以上180nm以下、より望ましくは90nm以上170nm以下、もっとも望ましくは100nm以上160nm以下の範囲の粒子である。この体積平均粒子径が、80nmより小さくなると、パッキング密度が高くなりすぎ、前述のように経時でのブラシマークの悪化が見られる。逆に体積平均粒子径が200nmより大きいとパッキングが低くなり、キャリアの飛散や濃度ムラを引き起こす。
【0057】
球状外添剤は、その形状係数SF1が100以上130以下、望ましくは100以上125以下、より望ましくは100以上123以下の範囲の粒子であることがよい。
【0058】
球状外添剤の材質は、特に限定されることはなく、有機粒子、無機粒子が挙げられ、これらを併用してもよい。
無機粒子としては例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化硅素、窒化硅素などが挙げられるが、シリカが特に望ましい。
樹脂粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メラミン樹脂等の樹脂粒子などが挙げられる。
【0059】
球状粒子の添加量(外添量)としては、トナー粒子に対して0.01質量%以上10.00質量%以下、望ましくは0.05質量%以上5.0質量%以下、より望ましくは0.05質量%以上4.0質量%以下、もっとも望ましくは0.08質量%以上3.5質量%以下の範囲であることがよい。この添加量を上記範囲とすることで、トナーの球状外添剤の添加量を考慮しない場合に比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
【0060】
一方、不定形外添剤は、その体積平均粒子径が0.03μm以上5.0μm以下、望ましくは0.05μm以上4.0μm以下、より望ましくは0.08μm以上4.0μm以下、もっとも望ましくは0.08μm以上3.8μm以下の範囲の粒子であることがよい。この体積平均粒子径が0.03μmより小さいと、トナー濃度が低い場合(例えばトナー濃度が2.0質量%以下の場合)など、空隙が生成し難くなることがある。逆に、体積平均粒子径が5.0μmを越えると、均一な状態での現像剤の穂立ち形成が困難になることがある。
【0061】
不定形外添剤は、その形状係数SF1が135以上190以下、望ましくは135以上180以下の範囲の粒子であることがよい。形状係数を上記範囲とすることで、トナーの不定形外添剤の形状係数を考慮しない場合に比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。特に、この形状係数が、135を下回るとトナー濃度低下時に現像剤中に空隙が生成され難くなり、現像剤穂立ちのパッキングが上昇してしまうことがある。一方、形状係数が190を超えると、例えば、低温低湿環境(例えば10℃15%RH)下などでトナー濃度が上昇した場合に、現像剤穂立ちのパッキング状態を低下させすぎてしまうことがあり、キャリアの飛散を引き起こすことがある。
【0062】
不定形外添剤の材質は、上記球状粒子と同様に、有機粒子、無機粒子が挙げられ、これらを併用してもよい。
【0063】
不定形外添剤の添加量(外添量)としては、トナー粒子に対して0.02質量%以上10.00質量%以下、望ましくは0.02質量%以上7.00質量%以下、より望ましくは0.03質量%以上5.00質量%以下、もっとも望ましくは0.05質量%以上4.50質量%以下の範囲であることがよい。この添加量を上記範囲とすることで、トナーの不定形外添剤の添加量を考慮しない場合に比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
【0064】
ここで、球状外添剤のトナー粒子に対する添加量は、不定形外添剤のトナー粒子に対する添加量よりも多いことがよい。具体的は、例えば、球状外添剤のトナー粒子に対する添加量と、不定形外添剤のトナー粒子に対する添加量と、の比は、100:5乃至100:90、望ましくは100:7乃至100:80、より望ましくは100:10乃至100:70の範囲であることがよい。トナーの球状外添剤及び不定形外添剤の添加量を考慮しない場合に比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
【0065】
また、球状外添剤と不定形外添剤との形状係数SF1との差は、15以上70以下、
望ましくは15以上60以下、より望ましくは20以上50以下の範囲であることがよい。トナーの球状外添剤と不定形外添剤との形状係数差を考慮しない場合に比べ、キャリア飛散が抑制されると共に、濃度ムラ及びブラシマーク(磁気ブラシの跡が画像に残る現象)の発生が抑制される。
【0066】
ここで、外添剤の体積平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、BECKMAN COULTER社製)を用いて測定する。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒子径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒子径を体積平均粒子径とする。
【0067】
また、外添剤の形状係数SF1は、下記式により求められる。
・式:SF1=(ML/A)×(π/4)×100
上記式(1)中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
形状係数SF1は、主に走査型電子顕微鏡(日立製作所;S−4100)画像を画像解析装置(ルーゼックス画像解析装置)に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(1)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0068】
−トナーの製造方法−
トナーは、例えば、トナー粒子を作製した後、ヘンシェルミキサー等の混合機により外添剤と混合して得られる。
【0069】
トナー粒子は、例えば、粉砕法や重合法等の公知のトナー製造方法と同様の方法で作製される。
粉砕法を利用する場合には、例えば、まず、バインダ樹脂(結着樹脂)に、必要に応じて着色剤、ワックス組成物、帯電制御剤などの成分を混合した後、ニーダー、押し出し機などを用いて上記材料を溶融混練する。この後、得られた溶融混錬物を粗粉砕した後、ジェットミル等で微粉砕し、風力分級機により、目的とする粒子径のトナー粒子を得る。更には、その後工程として、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)等を用いて、機械的外力を加えることで粉砕後のトナー形状が調整される。また、後工程として、熱風による球状化を実施してもよい。さらには、後工程として、風力分級機等により分級処理を施してトナー粒度分布を調整してもよい。
【0070】
また、重合法を利用する場合には、主に懸濁重合法又は乳化重合法が利用される。
懸濁重合法を利用する場合には、例えば、まず、スチレン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのモノマー、ジビニルベンゼンなどの架橋剤、ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動剤、重合開始剤に加えて、必要に応じて着色剤、帯電制御剤、ワックス組成物などをさらに混合してモノマー組成物を作製する。
【0071】
その後、リン酸三カルシウム、ポリビニルアルコール等の懸濁安定剤、界面活性剤が入った水相中に、前記モノマー組成物を投入し、ローターステータ式乳化機、高圧式乳化機、超音波式乳化機などを用いてエマルションを作製した後、加熱によりモノマーの重合を行い、粒子を得る。重合終了後、得られた粒子の洗浄、乾燥を行い、必要に応じて外添剤を添加してトナー粒子が得られる。
【0072】
また、乳化重合法を利用する場合には、例えば、まず、過硫酸カリウムなどの水溶性重合開始剤を溶解させた水中に、スチレン、ブチルアクリレート、2エチルヘキシルアクリレートなどのモノマーを加え、さらに必要に応じてドレシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を添加し、攪拌を行いながら加熱することにより重合を行い、樹脂粒子を得る。
その後、必要に応じて着色剤、帯電制御剤、ワックス組成物などの粉末を樹脂粒子が分散したサスペンション中に添加し、サスペンションのpH、攪拌強度、温度などを調整することにより樹脂粒子と、酸化ポリエチレンのアルカリ金属塩粉末などをヘテロ凝集させてヘテロ凝集体を得る。さらに、反応系を樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱して、ヘテロ凝集体を融着させトナー粒子を得る。その後、このトナー粒子の洗浄、乾燥を行う。
【0073】
(キャリア)
キャリアとしては、特定の体積平均粒子径、及び特定の飽和磁化を持つキャリアである。
【0074】
キャリアの体積平均粒子径は、45μm以上75μm以下であるが、望ましくは45μm以上70μm以下、より望ましくは45μm以上65μm以下である。キャリアの体積平均粒子径が45μm未満では、キャリアが現像されやすくなり、白点などの画像欠損を引き起こしやすくなる。逆に、キャリアの体積平均粒子径が75μmより大径になると、穂立ちの密度が低下しやすくなり、画像濃度が出難く、また濃度ムラのある画像になりやすくなる。
【0075】
キャリアの体積平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、BECKMAN COULTER社製)を用いて測定する。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒子径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒子径を体積平均粒子径とする。
【0076】
キャリアの飽和磁化は、70A・m/kg以上95A・m/kg以下であるが、望ましくは75A・m/kg以上95A・m/kg以下、より望ましくは80A・m/kg以上95A・m/kg以下である。キャリアの飽和磁化を上記範囲にすると、現像剤保持体の回転に伴う遠心力に負けない現像剤の穂立ちを形成しやすくなる。特に、高速機(例えばプロセス速度が700mm/secを越えるような高速機)での使用、また、小型機においても高速化により周速が上昇しており、こういった場合においても、遠心力に負けない現像剤の穂立ちを形成しやすくなる。キャリアの飽和磁化が70A・m/kg未満では、例えば、現像剤の穂立ちが磁気拘束力が現像剤保持体の回転に伴う遠心力に対して不足しやすく、キャリアが飛散しやすくなる。逆に、キャリアの飽和磁化が95A・m/kgを越えると、磁気拘束力が強くなりすぎ、現像剤の穂立ちが硬くなりやすくなり、現像剤の穂立ちの柔軟性が低下しやすく、ブラシマークなどの画像欠損を引き起こす原因となることがある。この飽和磁化は、キャリアの材質(特に芯材の材質)により制御される
【0077】
飽和磁化は、振動試料型磁気測定装置VSMP10−15(東英工業社製)を用い測定を行った値である。測定試料は内径7mm、高さ5mmのセルに詰めて前記装置にセットする。測定は印加磁場を加え、最大238.7kA/m(3kエルステッド)まで掃引する。ついで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作製する。カーブのデータより、飽和磁化、残留磁化、保持力を求める。飽和磁化は238.7kA/m(3kエルステッド)の磁場において測定された磁化を示す
【0078】
キャリアの構成としては、例えば、特に制限はなく、公知のキャリアが用いられる。キャリアとしては、例えば、芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリアが挙げられる。また、キャリアとしては、マトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
【0079】
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
キャリアのコート剤に用いる導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
キャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが望ましい。キャリアの芯材としてより好ましくはカルシウム、マンガン、マグネシウム、銅、ニッケル、亜鉛等を含有するフェライトが好ましく、さらにマンガン、マグネシウムを含有するフェライトが、穂立ちの柔軟性が得られやすいという観点から好ましく用いられる。キャリアの芯材の体積平均粒子径としては、一般的には10μm以上500μm以下であり、望ましくは20μm以上90μm以下である。
【0082】
キャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
【0083】
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
【0084】
ここで、本実施形態に係る現像剤において、現像剤中のトナー濃度はキャリアの帯電付与能力の変化に伴い、常に変化しており、一定ではないことから、現像剤中のトナー濃度は、特に規定されるものではないが、例えば、通常の使用においては2.0質量%以上15.0質量%以下の範囲に制御されることが望ましく、より望ましくは2.0質量%以上10.0質量%以下、更に望ましくは2.0質量%以上8.0質量%以下、もっとも望ましくは2.0質量%以上7.0質量%以下の範囲である。このトナー濃度が2.0質量%を下まわると、トナー供給量が不足しやすく、ベタ画像などで濃度低下が発生しやすくなる。逆に、トナー濃度が15質量%を越えると、現像剤中へトナーが追加されてたときにトナー帯電の立ち上がりが遅くなりやすくなり、結果として、カブリやクラウドが発生しやすくなる。
【0085】
なお、トナーとキャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100乃至30:100程度の範囲であり、3:100乃至20:100程度の範囲がより望ましい。
【0086】
[画像形成装置]
本実施形態の画像形成装置は、本実施形態に係る現像剤を用いて、記録媒体上にトナー像の定着像を形成するものであれば特に限定されないが、静電潜像保持体と、静電潜像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、静電潜像保持体に対向配置される現像剤保持体を有し、前記静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像手段と、静電潜像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置が挙げられる。
【0087】
本実施形態の画像形成装置における画像の形成は、静電潜像保持体として電子写真感光体を利用した場合、例えば、以下のように行う。まず、電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により帯電した後、露光し、静電荷像を形成する。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーを付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の記録媒体表面に転写される。さらに、記録媒体表面に転写されたトナー像は、定着器により定着され、記録媒体に画像が形成される。
【0088】
電子写真感光体としては、一般に、アモルファスシリコン、セレンなど無機感光体、ポリシラン、フタロシアニンなどを電荷発生材料や電荷輸送材料として使用した有機感光体が用いられる。特に、電子写真感光体としては、耐摩耗性の観点から無機感光体であればアモルファスシリコン感光体、有機感光体であれば最表層にメラミン樹脂、フェノール樹脂又はシリコーン樹脂などの架橋構造を有する樹脂層を有した所謂オーバーコート層を有する感光体であることが望ましい。
【0089】
また、定着器としては、加熱・加圧あるいは光により定着を行うものであればよく、本実施形態の電子写真用トナーを光定着用トナーとして用いる場合には、光定着器(フラッシュ定着器)が用いられるが、その他の場合には、熱ロール定着器、オーブン定着器等が望ましく用いられる。
【0090】
熱ロール定着器としては、一般的に一対の定着ロールが対向して圧接された加熱ロール型定着装置が用いられる。一対の定着ロールとしては、加熱ロール及び加圧ロールが対向して設けられ、圧接してニップが形成されている。加熱ロールは、内部にヒーターランプを有する金属製の中空芯金コアに耐油耐熱性弾性体層(弾性層)及びフッ素樹脂等よりなる表面層が順次形成されてなり、加圧ロールは、必要に応じて内部にヒーターランプを有する金属製の中空芯金コアに耐油耐熱性弾性体層及び表面層が順次形成されてなる。これらの加熱ロールと加圧ロールとが形成するニップ域に、未定着トナー像が形成された記録媒体を通過させることで、未定着トナー像を定着させる。
【0091】
一方、光定着器に用いられる光源としては、通常のハロゲンランプ、水銀ランプ、フラッシュランプ、赤外線レーザ等があるが、フラッシュランプによって瞬時に定着させることでエネルギーが節約され最適である。フラッシュランプの発光エネルギーが1.0J/cm2乃至7.0J/cm2の範囲であることが望ましく、2J/cm2乃至5J/cm2の範囲であることがより望ましい。
【0092】
ここで、キセノンのランプ強度を示すフラッシュ光の単位面積当りの発光エネルギーは以下の式で表される。
式:S=((1/2)×C×V2)/(u×L)×(n×f)
上記式中、nは一度に発光するランプ本数(本)、fは点灯周波数(Hz)、Vは入力電圧(V)、Cはコンデンサ容量(F)、uはプロセス搬送速度(cm/s)、Lはフラッシュランプの有効発光幅(通常は最大用紙幅、cm)、Sはエネルギー密度(J/cm2)を表す。
【0093】
光定着の方式としては、複数のフラッシュランプを時間差を設けて発光させるディレイ方式であることが望ましい。このディレイ方式は、複数のフラッシュランプを並べ、各々のランプを0.01ms乃至100ms程度ずつ遅らせて発光を行い、同じ箇所を複数回照らす方式である。これにより一度の発光でトナー像に光エネルギーを供給するのではなく分割して供給するため、定着条件をマイルドにし、耐ボイド性と定着性との両立が実現される。
ここで、複数回トナーに対しフラッシュ発光を行う場合、前記フラッシュランプの発光エネルギーは、発光1回ごとの前記単位面積に与える発光エネルギーの総和量を指すこととする。
【0094】
本実施形態においては、フラッシュランプの本数は1本乃至20本の範囲であることが望ましく、2本乃至10本の範囲であることがより望ましい。また、複数のフラッシュランプ間の各々の時間差は0.1msec乃至20msecの範囲であることが望ましく、1msec乃至3msecの範囲であることがより望ましい。
さらに、フラッシュランプ1本の1回の発光による発光エネルギーは、0.1J/cm2以上1J/cm2以下の範囲であることが望ましく、0.4J/cm2以上0.8J/cm2以下の範囲であることより望ましい。
【0095】
本実施形態においては、潜像保持体(電子写真感光体)と現像剤保持体(現像手段の現像剤を潜像保持体へ供給する保持体)との回転方向が同方向であることがよい。この方式では、現像ニップ部へのトナー供給量が増加される。そして、本実施形態では、本方式であっても、キャリア飛散が抑制される。
【0096】
また、プロセス速度(記録媒体の搬送速度)は、700mm/sec以上、より望ましくは1000mm/s以上、さらに望ましくは1200mm/sec以上であることがよい。そして、本実施形態では、上記プロセス速度であっても、キャリア飛散が抑制される。
【0097】
以下、本実施形態の画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0098】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例について示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、シアン、マゼンタ、イエローの3色にブラックを加えたトナーによりトナー像形成を行うものを示す。また、この画像形成装置におけるプロセス速度(記録媒体搬送速度)も700mm/秒以上に設定されている。
【0099】
図1に示す画像形成装置は、ロール状に巻かれた記録媒体Pを紙送りローラ328によって送るようにし、このように送られる記録媒体Pの片面側上に、この記録媒体Pの送り方向上流側から下流側に向けて、並列して4つの画像形成ユニット312(ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C))が設けられ、さらに、当該画像形成ユニット312の下流側に光定着方式の定着器326が設けられている。
【0100】
ブラック用画像形成ユニット312Kは、公知の電子写真方式の画像形成ユニットである。具体的には、感光体314Kの周辺に、帯電器316K、露光手段318K、現像器320K、クリーナ322Kが設けられ、記録媒体Pを介して転写器324Kが設けられている。他のイエロー用、マゼンタ用、シアン用画像形成ユニット312Y、312M、312Cについても同様である。
なお、白黒プリント用として用いる場合には、画像形成ユニット312としてブラック(K)のみを設けてもよい。
【0101】
図1に示す画像形成装置では、ロール状態から引き出された記録媒体P上に、各画像形成ユニット312K、312Y、312M、312Cにより公知の電子写真方式でトナー画像が順次転写され、そして、当該トナー画像に定着器326により光定着が施されて、画像が形成される。
【0102】
なお、光定着手段としての光源は、その種類によって最も強い発光ピークがそれぞれ異なるため、これに対応して要求される近赤外線領域の最適な光吸収特性も異なる。しかしながら、この近赤外線領域の光吸収特性の調整は、分子構造を制御することにより容易に行われる。
【0103】
次に、他の実施形態に係る画像形成装置について説明する。図2は、他の実施形態に係る画像形成装置の一例について示す概略構成図である。
【0104】
図2に示す画像形成装置は、4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置を示している。図2に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに所定距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着されるプロセスカートリッジであってもよい。
【0105】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻回されて設けられ、第1ユニット10Yから第4ユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20に所定の張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給される。
【0106】
上述した第1乃至第4ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0107】
第1ユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電荷像を形成する露光装置3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、及び1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを、クリーニングブレードにて除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配設されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0108】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V以上−800V以下程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0109】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って所定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
【0110】
現像装置4Y内には、例えば、イエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き所定速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が所定の1次転写位置へ搬送される。
【0111】
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに所定の1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0112】
また、第2ユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
【0113】
第1乃至第4ユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録媒体Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に所定のタイミングで給紙され、所定の2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録媒体Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録媒体P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0114】
この後、記録媒体Pは定着装置(定着手段)28へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録媒体P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録媒体Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録媒体Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
【0115】
[プロセスカートリッジ]
図3は、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。図3に示すプロセスカートリッジは、感光体107と、帯電ローラ108、現像装置111、感光体クリーニング装置(クリーニング手段)113が備えられたユニットを、露光のための開口部118、除電露光のための開口部117、及び取り付けレール116が配設された筐体119と組み合わせ、そして一体化したものである。
そして、このプロセスカートリッジは、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。なお、Pは記録媒体である。
【0116】
図3で示すプロセスカートリッジでは、感光体107、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置(クリーニング手段)113を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせることがなされる。具体的には、例えば、本実施形態のプロセスカートリッジでは、現像装置111のほかには、感光体107、帯電装置108、及びクリーニング装置(クリーニング手段)113からなる群から選択される少なくとも1種を備える。
【0117】
[現像剤カートリッジ]
次に、本実施形態の現像剤カートリッジについて説明する。本実施形態の現像剤カートリッジは、画像形成装置に脱着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための現像剤を収納するものである。そして、当該現像剤として、上記実施形態に係る現像剤が適用される。
【0118】
なお、図2に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応した現像剤カートリッジと、図示しない現像剤供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、この現像剤カートリッジの交換がなされる。
【実施例】
【0119】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。なお、特に断りがない限り、「部」は「重量部」を示す。
【0120】
(キャリア)
(キャリアAの作製)
Fe(64モル%)、MnO(36モル%)をボールミルで湿式混合し、乾燥・粉砕した後、900℃で1時間仮焼成し、0.1mm乃至1.5mm程度に粉砕した。さらにボールミルで24時間湿式粉砕し、バインダーとしてポリビニルアルコールをFe、MnOの総量に対して0.8重量%加え、スプレードライヤー法で球状粒子を造粒し、窒素雰囲気下、1280℃で焼成し、解砕後分級を行うことで芯材を得た。
得られた芯材100部に対してジメチルシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製;SR2410)を固形分で1.5部となるように被覆し、キャリアAを得た。
【0121】
(キャリアBの作製)
Fe(57モル%)、MnO(43モル%)にする以外はキャリアAと同様の方法でキャリアBを得た。
【0122】
(キャリアCの作製)
Fe(80モル%)、MnO(20モル%)にする以外はキャリアAと同様の方法でキャリアCを得た。
【0123】
(キャリアDの作製)
Fe(51モル%)、MnO(49モル%)にする以外はキャリアAと同様の方法でキャリアDを得た。
【0124】
(キャリアEの作製)
ポリビニルアルコールを0.6重量%にする以外はキャリアAと同様の方法でキャリアEを得た。
【0125】
(キャリアFの作製)
ポリビニルアルコールを1.0重量%にする以外はキャリアAと同様の方法でキャリアFを得た。
(キャリアGの作製)
Fe(65モル%)、CaO(35モル%)にする以外はキャリアAと同様の方法でキャリアBを得た。
【0126】
下記表1にキャリアA乃至Gの体積平均粒径及び飽和磁化を示す。
【0127】
【表1】

【0128】
(トナーの作製)
−トナー粒子の作製−
・ポリエステル樹脂:87部
(ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/テレフタル酸/フマル酸/トリメリット酸を主成分とするポリエステル樹脂:Tg=63℃、重量平均分子量:39000)
・カーボンブラック(三菱化学社製:商品名#25):8部
・ポリエチレンワックス(三井化学社製:商品名400P、重量平均分子量4000):3部
・正帯電制御剤(ニグロシン染料:オリエント化学社製:商品名ボントロンN−04):2部
【0129】
上記組成をヘンシェルミキサーにより粉体混合し、これを2軸エクストルーダー(設定温度105℃)により熱混練し、冷却後、ハンマーミルによる粗粉砕、ジェットミルによる微粉砕、気流分級機による分級を経て、体積平均粒子径D50が8.8μmのトナー粒子を得た。
【0130】
−トナーの作製−
得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ粒子(TGー820F;キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク社製)0.8部と共に、球状外添剤として架橋樹脂粒子MP1451(体積平均粒子径:150nm、形状係数SF1=115,綜研化学株式会社製)0.25部、及び不定形外添剤としてミレークE−10(体積平均粒子径:0.65μm,形状係数SF1=150、三井金属株式会社製)0.15部を、ヘンシェルミキサーにより外添混合を行い、トナーaを得た。
【0131】
そして、下記表2乃至表4に従って、球状外添剤、及び不定形外添剤の種類・添加量等を変更する以外は、トナーaと同様にしてトナーb乃至mを得た。
【0132】
【表2】

【0133】
【表3】

【0134】
【表4】

【0135】
なお、上記表中、不定形樹脂粒子A、B、Cは、以下のように作製したものである。
−不定形樹脂粒子Aの作製−
スチレン370部、n−ブチルアクリレート30部、アクリル酸8部、ドデカンチオール24部四臭化炭素4部を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)10部をイオン交換水550部に溶解したフラスコ中で乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、150nmであり、Tg=58℃、重量平均分子量Mw=11500の樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液が得られた。この分散液の固形分濃度は40重量%であった。
【0136】
上記樹脂粒子分散液260部にポリ塩化アルミニウム(PAC100W:浅田化学社製)1.8部を添加し、更にイオン交換水900部を加え、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて混合、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら40℃まで攪拌した。その後、30分保持した後、粒子サイズを測定すると3.0μmであった。その後、この分散液に0.1N水酸化ナトリウムを追加して、系のpHを7に調整した後、攪拌を継続しながら、80℃まで加熱し、30分間保持した。冷却後、体積平均粒子径を測定すると3.2μmであった。この樹脂粒子を濾別しイオン交換水で4回洗浄した後、乾燥し不定形樹脂粒子を得た。この不定形樹脂粒子の形状係数SF1の値は135であった。
【0137】
−不定形樹脂粒子Bの作製−
水酸化ナトリウム添加後、系のpHを7に調整した後、85℃まで加熱し、45分間保持した以外は、不定形樹脂粒子Aと同様の操作を行い、不定形樹脂粒子Bを得た。この不定形樹脂粒子Bの体積平均粒子径は3.1μm、形状係数SF1は128であった。
【0138】
−不定形樹脂粒子Cの作製−
水酸化ナトリウム添加後、系のpHを7.2に調整した後、75℃まで加熱し、20分間保持した以外は、不定形樹脂粒子Aと同様の操作を行い、不定形樹脂粒子Cを得た。この不定形樹脂粒子Cの体積平均粒子径は3.5μm、形状係数SF1は190であった。

【0139】
(実施例1乃至11、比較例1乃至5)
下記表5に従った組み合わせで、キャリア及びトナーをV型ブレンダーに投入し、40rpmにて20分混合し、現像剤A乃至Pを得た。これらを、各実施例、及び比較例の現像剤とした。
【0140】
【表5】

【0141】
[評価1]
上記現像剤A乃至Pについて、富士ゼロックス(株)製DocuPrint 1100 CF改造機(プロセス速度1000mm/sec、潜像保持体と現像剤保持体との回転方向が同方向で潜像保持体と現像剤保持体が対向する現像ニップ部において、両者の接線方向のベクトルが逆方向となるアゲインスト方式)にて、それぞれ評価を行った。評価は20℃、50%RHの環境下、ハーフトーン画像、写真画像及びベタ画像が含まれた画像密度5%のチャートを富士ゼロックス(株)製上質普通紙(E)A2ロール 200mを12,000m巻きに加工したものに出力した。初期及びA4:1,000,000枚印刷相当時の濃度ムラ、画質(ブラシマーク)、現像機及び装置内汚れ及び現像剤量変化に関して評価を行った。なお、前記出力は、幅がA4紙の長辺の長さであるロール紙に行っており、A4紙の短辺1枚分(210mm)の長さを印刷したときを、A4:1枚相当時とした。評価結果を表6に示す。
【0142】
−濃度ムラ−
A4面積内のベタ画像部5ヶ所の濃度をX−RITE404を用い測定を行い、その最大・最小の差を濃度ムラとして評価した。下記基準により評価を行い、◎及び○は許容されるが、△及び×は許容できないレベルとした。
◎:最大−最小<0.10
○:0.1≦最大−最小<0.15
△:0.15≦最大−最小<0.20
×:0.20≦最大−最小
【0143】
−ブラシマーク−
濃度ムラと同様、ベタ画像部を目視によりブラシマークの発生を確認し、下記基準により評価を行った。
◎:ブラシマークは確認できない。
○:軽微なブラシマーク発生はあるが、画質上問題ないレベル
△:ブラシマークが発生しているが、許容できるレベル
×:ブラシマークが発生しており、画質上許容できないレベル
【0144】
−現像機及び装置内汚れ−
初期及び印字後に機内の汚染状況を目視で観察し、下記基準により評価を行った。
◎;目視で機内の汚れが確認できないレベル
○;目視でわずかに機内の汚れが観察されるもののほとんど目立たず、許容されるレベル
△;目視の観察で機内の汚れが目立ち、許容できないレベルの汚れ
×;目視の観察で機内の汚れが非常に目立ち、許容できないレベルの汚れ
【0145】
−現像剤量変化−
投入現像剤量(4kg)に対して1000000枚後の現像剤量変化を測定し、下記基準により評価を行った。
◎:3.8kg≦現像剤量≦4.0kg・・・現像剤量の現象はほとんどなく、問題ない
○:3.7kg≦現像剤量<3.8kg・・・多少の減少はあるが、実用上問題ないレベル
△:3.6kg≦現像剤量<3.7kg・・・補給が必要なレベルであり、許容できないレベル
×:現像剤量<3.6kg・・・・・・現像剤保持体上の現像剤量が不足しており、問題。
【0146】
【表6】

【0147】
上記評価1の結果から、本実施例は、比較例に比べ、ブラシマーク、濃度ムラ、現像機及び装置内汚れ、及び現像剤量変化について、優れた結果が得られることがわかる。
【0148】
[評価2]
富士ゼロックス(株)製DocuPrint 1100 CF改造機を、プロセス速度600mm/secに変更した以外は、評価1と同様にして、評価を行った。結果を、表7に示す。
【0149】
【表7】

【0150】
上記評価2と共に評価1の結果から、本実施例は、比較例に比べ、特に、プロセス速度を上昇させたときでも、ブラシマーク、濃度ムラ、現像機及び装置内汚れ、及び現像剤量変化について、優れた結果が得られることがわかる。
【0151】
[評価3]
富士ゼロックス(株)製DocuPrint 1100 CF改造機を、潜像保持体と現像剤保持体との回転方向が逆方向で潜像保持体と現像剤保持体が対向する現像ニップ部において、両者の接線方向のベクトルが同方向となるウィズ方式に変更した以外は、評価1と同様にして、評価を行った。結果を、表8に示す。
【0152】
【表8】

【0153】
上記評価3と共に評価1の結果から、本実施例は、比較例に比べ、特に、潜像保持体と現像剤保持体との回転方向が同方向のウィズ方式を採用したときでも、ブラシマーク、濃度ムラ、現像機及び装置内汚れ、及び現像剤量変化について、優れた結果が得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例について示す概略構成図である。
【図2】他の実施形態に係る画像形成装置の一例について示す概略構成図である。
【図3】本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である
【符号の説明】
【0155】
1Y、1M、1C、1K 感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K 現像装置
5Y、5M、5C、5K 1次次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K クリーニング装置
8Y、8M、8C、7K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ
28 定着装置
30 中間転写体クリーニング装置
107 感光体
108 帯電ローラ
108 帯電装置
111 現像装置
112 転写装置
115 定着装置
116 取り付けレール
117 開口部
118 開口部
119 筐体
312Y、312M、312C、312K シ画像形成ユニット
314Y,34M、314C、314K、314K 感光体
316Y,316M、316C、316K、316K 帯電器
318Y、318M、318C、318K、318K 露光手段
320Y,320M、320C、320K、320K 現像器
322Y,322M、322C、322K、322K クリーナ
324Y,324M、324C、324K、324K 転写器
326 定着器
328 紙送りローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー粒子、体積平均粒子径80nm以上200nm以下の球状外添剤、及び不定形外添剤を含むトナーと、
体積平均粒子径45μm以上75μm以下で、飽和磁化70A・m/kg以上95A・m/kg以下のキャリアと、
を有する静電荷現像用現像剤。
【請求項2】
前記球状外添剤の前記トナー粒子に対する添加量が、前記不定形外添剤の前記トナー粒子に対する添加量よりも多い、請求項1に記載の静電荷現像用現像剤。
【請求項3】
前記球状外添剤の前記トナー粒子に対する添加量と、前記不定形外添剤の前記トナー粒子に対する添加量と、の比が、100:5乃至100:90である、請求項1に記載の静電荷現像用現像剤。
【請求項4】
前記球状外添剤の前記トナー粒子に対する添加量が、0.01質量%以上10.00質量%以下である、請求項1に記載の静電荷現像用現像剤。
【請求項5】
前記不定形外添剤の前記トナー粒子に対する添加量が、0.02質量%以上10.00質量%以下である、請求項1記載の静電荷現像用現像剤。
【請求項6】
前記不定形外添剤の形状係数SF1が、135以上190以下である、請求項1に記載の静電荷現像用現像剤。
【請求項7】
前記球状外添剤と前記不定形外添剤との形状係数SF1との差が、15以上70以下である請求項1に記載の静電荷現像用現像剤。
【請求項8】
画像形成装置に脱着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための現像剤を収納し、
前記現像剤が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用現像剤である静電荷像現像用現像剤カートリッジ。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用現像剤を収納すると共に、静電潜像保持体表面上に形成された静電潜像を前記静電荷像現像用現像剤によりトナー像に現像する現像手段と、
静電潜像保持体、前記静電潜像保持体を帯電する帯電手段、及び前記静電潜像保持体表面上に残存したトナーを除去するためのトナー除去手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を備え、
画像形成装置本体に脱着されるプロセスカートリッジ。
【請求項10】
静電潜像保持体と、
前記静電潜像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像保持体に対向配置される現像剤保持体を有し、前記静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像手段と、
前記静電潜像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備え、
前記現像剤が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用現像剤である画像形成装置。
【請求項11】
前記潜像保持体と前記現像剤保持体との回転方向が、同方向である、請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
プロセス速度が、700mm/sec以上である、請求項10に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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