説明

静電荷帯電方法と静電荷帯電具

【課題】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦静電気の帯電系列を利用することで、(−)の電荷を蓄電することの出来る静電荷蓄電方法とその蓄電具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日常生活において、人体が歩行などの動作をすると、衣服の摩擦などにより静電気が発生する。又、ホテルのフロアーにはカーペットが施設されており、カーペットの上を歩くことにより、身体に静電気が帯電し、これらの静電気は、自然放電されず電荷が高くなる、そのためエレベーターの操作盤、車のドアーの取手、金属製家具等に、手を触れた際、衣服に帯電した静電気が急速に放電して、強い衝撃を与えることになる。
このように、一般的には、静電気は、どちらかと言えば、悪いイメージとして、表現されている。一方、マイナスイオンと言うと、良いイメージとして、捉えられている。
空気清浄器にも、マイナスイオン発生の機構を付属したもの等、市場に出ている。
現代の生活環境での(+)の静電気は人体をはじめ、各分野で、弊害となっている。
そのため、一般的には、マイナスイオンを発生させて、此れに対応している。
即ち、マイナスイオン発生装置によって(+)の静電気を中和する、等として、実用化されていて、それらの先行技術も提示されている。
(例えば、特許文献1)
また、(+)イオンの除去治療器で、人体面に幅広になじみやすい柔軟性の静電気の集積体によって、(+)の静電気を放電させるようなものも、先行技術として提示されている。
(例えば、特許文献2)
【0003】
一般に、静電気治療法は、マットのような敷物に静電気治療器によって静電気を放電して電界を人工的に作り、このマットを身体の一部に当て、或いはマット上に座って、電界内におき、体の機能を活発化させるというものがあったが、更に、これ等の欠点を改良した、粘着テープもしくは、テープを皮膚に貼ることにより、皮膚に電流が流れて電界を発生させ、この電界で人体の細胞を活性化して治療及び健康促進をはかると言う様なことが、先行技術として、提示されている。
(例えば、特許文献3)
【0004】
上記のように、先行技術としては、マイナスイオンに関しては、装置によって作り出してマイナスイオンを利用することはあるが、静電気の(−)の電荷を溜める、そして、溜めてから利用するという先行文献は、見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−265628号公報
【特許文献2】特開平06−114115号公報
【特許文献3】特許2509455号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「指さき健康法」発行所 KKロングセラーズ 堤 芳郎 著 3頁、31〜32頁、
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記、先行技術では、(−)電荷を発生させるために、電力を必要とする方法が一般的で、電源をはじめ、ファンやフィルターを、必要とする。
簡単の方法で、(−)の電荷を作り出し、其れを、持続させて保持する方法、その(−)電荷を利用して、身体や装置等に応用できる方法を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題を解決する為の第一の技術手段は、摩擦帯電系列において(−)側に位置する素材からなる樹脂チューブ、或いはパイプの外周面に、摩擦帯電系列で常に零付近、或は(+)に位置する素材からなるチューブ、或いはパイプを密着状に当接させ、(−)側に位置する素材からなるチューブ、或いはパイプに、(−)の電荷を保持させる、又、外周面への押し圧によって(−)の電荷を昇圧する、ことの出来る静電荷蓄電方法。
【0009】
第二の技術手段として、摩擦帯電系列において(−)側に位置する素材からなる樹脂チューブとしてシリコーンゴムチューブを、摩擦帯電系列で常に零付近、或は(+)に位置する素材からなるチューブとして、ニトリルゴムからなるスポンジチューブを採用して、密着状に当接させ、全体に短尺状に構成し、シリコーンゴムチューブに(−)の電荷を保持させる、又、外周面への押し圧によって(−)の電荷を昇圧する、ことの出来る静電荷蓄電具。
【発明の効果】
【0010】
上記のように、極めて簡単な方法で、静電気の(−)の電荷を溜める事が出来、外部よりの加圧によって、(−)電荷の昇圧も出来、小型軽量にして、携帯も出来、人体のツボを刺激、血液の循環を促し、更に、汚濁液処理装置の一部に装着する事で、汚濁の分離をより効率的にし、人体及び機械装置等、広い分野に、応用、利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の構想の参考表、摩擦帯電系列(MIL HDBK263)
【図2】本発明の実施化品の概略図
【図3】本発明の構造図 A−A断面
【図4】本発明の構造図 B−B断面
【図5】本発明の構造図 C−C断面
【図6】本発明の他の実施品の概略図
【図7】本発明の他の実施品の概略図
【図8】本発明の他の実施品の写真(使用状態)
【図9】本発明の他の実施品の構造概略図
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、全く新しい構想に基づいて、創案されたもので、その意図するところは、物質は(+)、と、(―)の電気がバランスを保って安定しているが、摩擦等によって、(−)の電荷は離脱しやすく、(+)電荷だけ残って、「帯電状態」になり、(+)電荷の帯電は、人体や、各種装置に悪い影響を及ぼす。そこで、帯電列の異なる物質を、互いに、密着状に組み合わせ形成する事で、離脱しやすい(−)の電荷を、保持する事ができる事を知得した。
【0013】
静電気の電荷の極性の目安として摩擦帯電系列がある。物質同士を擦り、正に帯電しやすいものから順に並べたものである、摩擦電気系列として、図1に示す表が一般的で、様々な物質の組み合わせがあって、極性を決めることは難しかった。発明者は、各種物質を調べ、テフロン(登録商標)、シリコーンゴムに関して長期に亘って調査、実験した結果、下記のことを知得した。尚、この摩擦帯電系列は、(MIL HDBK263)
に示されている。
【0014】
まず、テフロン(登録商標)、シリコーンゴムは常時、略、マイナスの電荷を持ち、他の物質と摩擦しても、常に(−)の電荷を持ち、{テフロン(登録商標)とシリーコンゴムとの摩擦の際はシリコーンゴムは僅かに(+)に帯電することもある}湿度が低い状態でも、水分にぬれた状態でも、(−)の電荷を保持することが判った、また、形状によって、帯電電位が大幅に変化、帯電時間も変わることも判明した、特に、パイプ形状のものを、内部に外気と遮断した空気を保持した状態でループ状に形成することで、一層、帯電量、帯電時間が大幅にアップすること、シリコーンゴムの場合は、それ自体に、加圧等の物理的ストレスを加えることでも、同様の変化を生じるのである。更に、シリコーンゴムに(+)の高電圧を印加すると、その電圧に対応した、(−)の電荷が発生することも知得した。
【0015】
通常の状態では、シリコーンゴムの表面は0.5KVから3KV程度の(−)の電圧を保っているが、時間の経過と共に、その電荷は、減少していく、ところが、その外部表面を帯電列で、略、零、或は、(+)側に位置する物質で、覆ってやると、(−)電荷は大幅に上昇、10KVを超える事もある、更には、長時間、保持しつづける事にも知得した。然し、人が接触しない状態で、長時間放置すると、徐徐に電荷は減少していく。
【0016】
時間の経過につれて、減少していく電荷に対しては、外部より、加圧することでその電荷は上昇、復帰する。その様にすると、常に(−)の電荷を得る事が出来るのである。
即ち、帯電列の(−)側の物質からなるチューブを、零に近い摩擦帯電系列(+)側の物質からなるチューブで覆う事で(−)側のチューブに(−)の電荷を溜めることができる。
ここで、帯電系列の(−)側を、内側に位置するように構成する事が必要である。
此れが、本発明の第一の技術手段である。
【0017】
第2の技術手段は、上記方法を、用いて、小形で、携帯の出来、手指に挿入することで、(−)の電荷が、指先のツボを刺激できる図2に示す健康具1の作製である。外部を、帯電系列で、略、零に位置するニトリルゴムからなるスポンジチューブ2で被ったシリコーンゴムチューブ3の内径部分に、指先を挿入することで、爪の生え際に有るツボを、シリコーンゴムチューブに帯電の(―)の電荷によって刺激することが出来る。指先の血行が良くなり、全身に、活力を生み出す事になる。
【0018】
此処に1冊の書物、30年前に発行された「指さき健康法」と言う本がある。病弱の著者が20数年、東洋医学、強健康法について、古今東西の文献を読破、その実践と実績から生まれた、堤式指さき健康法、と言う理論、之に依ると、東洋医学では、身体の末端部分である手足こそ身体の全てを支配する生気の素とも言うべき流れが集中している。この手足の指先の部分を一方の指などを使って、多点的に刺激することにより従来一般の人では、効果はあると判っていても探すのが難しいとされていた東洋医学の経絡
(スジ)や経穴(ツボ)への刺激が簡単に楽しみながら出来る、と推奨していた。この簡単な方法の実践は、現代医学で近年盛んに叫ばれている予防医学の役割はもとより、高血圧の予防、イライラ、不満、ストレスの解消、又年寄りには老化防止になると言う画期的な効果をもたらしてくれる。(例えば、非特許文献1参照)
【0019】
従来からのツボ刺激の方法は、各種あるが、昔からのものとしては、お灸、この場合は、艾に火をつけて、皮膚を刺激するもので、熱さに耐えなければならない、最近では、磁石によって、磁気を印加するもの、このものは、磁気の漏洩が付近に影響し、磁気カード、ペースメーカー等の精密機器の不具合を生じさせる場合がある。
それに反して、本発明の静電荷蓄電具は、使用する付近の環境には何らの悪影響を及ぼさない。ツボの付近に、(―)の電荷を印加させて、外部には、摩擦帯電系列で僅かに(+)、略、零に近い外装カバーによって、静電気の影響は少ない。
【0020】
静電荷蓄電具の効果の確認は、例えば、指先に嵌めて、暫く経つと、指先に脈を打つようになる、どの指先で、この現象が起きるかは、人によって異なる。
全く感じない人も居れば、指先に挿入と同時に、脈を感じる人も居る。
人体の各指の爪の付け根には、ツボがあり、そのツボを刺激することは、昔から、お灸、磁石、爪楊枝、等各種の、部材を使って、行われているが、これ等は、一定の刺激を与えるに、留まっている。静電荷蓄電具の場合は、外装のスポンジを押すことで、変化した、(−)の電荷が、ツボと、ツボの付近を、幅広く刺激することが出来る。
【0021】
この場合の静電荷蓄電具は簡単で、シリコーンゴムチューブ3と、ニトリルゴムからなるスポンジチューブ2によって構成されている。シリコーンゴムチューブ3の長さ寸法は、ニトリルゴムからなるスポンジチューブ2の長さより、幾分長く、設定し、更に、スポンジが外れないように鍔4を付けることが好ましい。鍔はシリコーンゴムチューブの延長である。図3、図4、図5は夫々の構成を断面図によって示している。
【0022】
この静電荷蓄電具としての健康具は、優れもので、従来のマイナスイオン発生器などの様に、高圧電源必要としないで、シリコーンゴムチューブ自体の(−)の電荷を用いて、ツボを刺激し、電荷が減少した場合は、該シリコーンゴムチューブを、外部より加圧する事で、電荷は復帰する、自己回復作用を有するものである。又、汚れに対しても、シリコーンゴムの部分は水で洗う事で、汚れも落ちる。更に、スポンジを加圧する事も手の指先、手の平の運動にもなる、一石二鳥である。
【0023】
尚、シリコーンゴムチューブ、単独でも、(―)電荷を得ることが出来るが、
ニトリルゴムチューブ等の外装が無い場合は、(−)の電荷が減少早い、表面にごみが
付着、等の欠点がある。即ち、本発明の基となる外装のチューブ等の(+)電荷の存在が重要である。又、外形、寸法等は、夫々、使用する状態に合わせて、選択すればよい。シリコーンゴムチューブ以外で、(−)電荷を得られる素材としては、フッ素系の樹脂、TFE樹脂:PTFE,PFA樹脂:PFA、テフロン(登録商標)等が特に良いが、これ等は、柔軟性に欠けるので、その用途によって使い分ける必要がある。
人体に接触する場合は、シリコーンゴムが最適である。
【0024】
図6に示すのは、下肢から、足首周辺部に着脱自在に装着することもできるような構成とした静電気蓄電具5である。一般的に、脚絆6と呼ばれているものの一部分を改造したもので、人体への装着具として、(−)の静電荷を常時発生させて、下肢の静脈の血行を良くするように働く働きに血栓が生ずる事を防ぐ役目をする。
下肢の皮膚の部位にシリコーンゴムパイプ7或いは肉薄のシリコーン板が接触するように装着し、シリコーンゴムパイプ7或いは肉薄のシリコーン板を覆う皮シート9の表面を、押圧、軽く叩く、ことで、シリコーンゴムパイプ或はシリコーン板に(−)の静電荷が増加、発生、或は、(−)の電荷の電圧の上昇を生じ、下肢の血管を刺激して、血行を良くし静脈血の鬱帯や血液凝固の亢進を防ぐような構成になっている。
シリコーンゴム自体に、(−)の電荷を常に持つということが、外部からの電力等を必要としないで、指先以外の身体の他の部分に存在する経絡、経穴への刺激が何時でも何処でも簡単に実践できるという優れた特徴をも持っている。
【0025】
又、長時間同じ体勢でいることで、下肢の血行が悪くなることが問題とされている。
その予防としては、時々、下肢を動かす事であるが、例えば、飛行機内等では無闇に席を立って歩いたり出来ないので座席で出来る簡便な足の運動を推奨されている。足を動かす代わりに、本発明品を使用して下肢の血行を良くすることも可能である。
【0026】
更に、図7は、本発明者の開発した汚濁液の処理装置でテフロン(登録商標)パイプ11に発生の(−)の電荷によって、汚濁物を分離する方法を採用している装置であるが、テフロン(登録商標)からなる循環パイプ11の外部に同心円状にニトリルゴムからなるスポンジチューブ10を被せる事で、(−)の静電気の発生がアップし、汚濁物の分離効率が大幅に改良された。
【実施例1】
【0027】
図2は請求項2記載の静電気蓄電具で、外形24mmΦ内径18mmΦ、長さ25mmのシリコーンゴムチューブの外周に密着状に外形30mmΦ、内径24mmΦ、長さ20mmのニトリルゴムからなるスポンジチューブを装着した。
図8の写真の様に、指先に装着して、指先のツボ刺激、手指の運道具として使用できる。
【実施例2】
【0028】
図6は、脚伴の一部分を、本発明の方法によって(−)電荷を、保持するよう構成したもので、人体の皮膚に接触する部分に、シリコーンゴムパイプの外周の一部分を密着装着、外周の他の部分を、皮シート9によって被う様に構成されている。
一定時間経過後、皮シートを、押圧、或は、摩擦することで(−)の電荷が昇圧、変化して、静脈に刺激を与え、血液の流れが滞ることを防ぐことが出来る。
図9は、その脚絆の一部に装着した、静電気蓄電具5の断面構造の概観図で、人体8にシリコーンゴムパイプ7の略、外周半分が密着接触しその反対側の半分を、皮シート9で被った構造になっている。シリコーンゴムパイプ7の本数が今回は3本であるが、寸法、本数等はその都度、任意に変更することができる。
【実施例3】
【0029】
本発明者の特許出願中の汚濁液の処理装置のテフロン(登録商標)からなる循環パイプ11の外周に同心円状に、ニトリルゴムからなるスポンジカバー10を装着する事で、汚濁物の分離効率が大幅にアップした。
表1は、分離効率の比較データである。汚濁液1、2、夫々において、タンクの上部と底部の導電率の違いは汚濁物質が分離していることを示しているが、共にスポンジカバーを取り付けた方は、そこに差を生じている。即ち、分離効率が上昇している事が、確認できる。
【0030】
【表1】



【符号の説明】
【0031】
1 静電荷蓄電具(健康具として)
2 二トリルゴムからなるスポンジチューブ(短)
3 シリコーンゴムチューブ
4 鍔
5 静電荷蓄電具(他の健康具として)
6 脚絆
7 シリコーンゴムパイプ
8 人体
9 皮シート
10 二トリルゴムからなるスポンジチューブ(長)
11 テフロン(登録商標)からなる循環パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦帯電系列において(−)側に位置する素材からなる樹脂チューブ、或いはパイプの外周面に、摩擦帯電系列で常に零付近、或は(+)に位置する素材からなるチューブ、或いはパイプを密着状に当接させ、(−)側に位置する素材からなるチューブ、或いはパイプに、(−)の電荷を保持させる、又、外周面への押し圧によって(−)の電荷を昇圧する、ことの出来ることを特徴とする静電荷蓄電方法。
【請求項2】
摩擦帯電系列において(−)側に位置する素材からなる樹脂チューブとしてシリコーンゴムチューブを、摩擦帯電系列で常に零付近、或は(+)に位置する素材からなるチューブとして、ニトリルゴムからなるスポンジチューブを採用して、密着状に当接させ、全体に短尺状に構成し、シリコーンゴムチューブに(−)の電荷を保持させる、又、外周面への押し圧によって(−)の電荷を昇圧する、ことの出来ることを特徴とする静電荷蓄電具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−209(P2013−209A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132060(P2011−132060)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【特許番号】特許第4960521号(P4960521)
【特許公報発行日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【出願人】(300004681)
【Fターム(参考)】