説明

静電霧化ヘアドライヤー

【課題】 静電霧化装置6により発生された静電霧化ミストをヘアドライヤー1の本体部10から吐出される空気流中に効率的に分散させ、静電霧化ミストを毛髪に均一に噴霧することを可能にして、毛髪のトリートメントなどに要する時間を短縮する。
【解決手段】 静電霧化装置6を構成するタンク61を本体部10の外周部近傍に着脱可能に設けると共に、静電霧化ミストを発生させる電極部60を、本体部10の内部に吸引された空気流の流路中に、断熱材50により加熱部5の熱から遮断されるように設ける。さらに、静電霧化ミストを噴出させる静電霧化ミスト噴射口70を、本体部10の空気吐出口14とほぼ同面で、かつそのほぼ中心に配置する。静電霧化ミスト噴射口70から噴射される静電霧化ミストは、空気吐出口14から吐出される空気流中に効率良く分散される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温風や冷風を吐出して毛髪の乾燥やセットを行なうヘアドライヤーに関し、特に、静電霧化ミストを噴射させて毛髪のトリートメントを行なうことが可能な静電霧化ヘアドライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、毛細管などの給水体に高電圧を印加することにより、微細な霧状の水(以下、「静電霧化ミスト」とする)を飛散させる静電霧化技術が知られている。例えば特許文献1では、この静電霧化技術をヘアドライヤーに応用して、静電霧化ミストを毛髪に噴射することにより、毛髪の水分保持性を向上させ、髪にまとまり感やつやを与えるという効果を得ている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の静電霧化ヘアドライヤーでは、静電霧化装置をヘアドライヤー本体の外側に設けているために、ヘアドライヤー本体から吐出される空気流中に静電霧化ミストを効率的に分散させることができず、短時間の内に静電霧化ミストを毛髪に均一に噴霧することが困難である。そのため、毛髪のトリートメントなどに要する時間が長くなり、局部的に毛髪の過乾燥な状態が生じる可能性を有していた。
【特許文献1】特開2002−151146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、静電霧化装置により発生された静電霧化ミストをヘアドライヤー本体から吐出される空気流中に効率的に分散させ、静電霧化ミストを毛髪に均一に噴霧することを可能にして、毛髪のトリートメントなどに要する時間を短縮することが可能な静電霧化ヘアドライヤーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、静電霧化ヘアドライヤーであって、
空気吸引口及び空気吐出口を有する本体部と、
前記本体部の内部に設けられ、前記空気吸引口から前記本体部の内部に空気を吸引し、前記本体部の内部で空気流を発生させて、前記空気吐出口から空気流を吐出させる送風手段と、
前記送風手段により発生される空気流の一部又は全部を加熱する加熱手段と、
少なくとも液体を貯蔵するタンク、前記タンクから供給された液体を静電霧化して、静電霧化ミストを発生させる静電霧化ミスト発生手段と、前記静電霧化ミストを噴出させる静電霧化ミスト噴射口を有する静電霧化装置を備え、
前記静電霧化ミスト噴射口は、前記送風手段により発生される空気流の流路中に設けられ、前記静電霧化ミスト噴射口から噴射される静電霧化ミストが前記空気吐出口から吐出される空気流中に分散されることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の静電霧化ヘアドライヤーにおいて、前記静電霧化ミスト噴射口は、前記送風手段により発生される空気流の方向において、前記空気吐出口とほぼ同面に設けられ、前記空気吐出口に異物侵入防止部材が設けられ、前記静電霧化装置の前記静電霧化ミスト噴射口部が前記異物侵入防止部材に保持されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2の静電霧化ヘアドライヤーにおいて、前記静電霧化ミスト噴射口に、さらに帯電防止処理が施された異物侵入防止部材が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの静電霧化ヘアドライヤーにおいて、前記送風手段により発生された空気流の一部が前記静電霧化装置に導入され、導入された空気により、前記静電霧化ミストを噴出させることを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項4の静電霧化ヘアドライヤーにおいて、前記静電霧化装置に導入される空気流は、前記加熱手段により加熱される以前の空気流であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、静電霧化ミスト噴射口は、本体部の内部で発生される空気流の流路中に設けられ、静電霧化ミスト噴射口から噴射される静電霧化ミストが空気吐出口から吐出される空気流中に分散されるので、静電霧化装置がヘアドライヤー本体の外側に設けられた従来の静電霧化ヘアドライヤーに比べて、ヘアドライヤー本体部から吐出される空気流中に静電霧化ミストを効率的に分散させることができる。そのため、短時間の内に静電霧化ミストを毛髪に均一に噴霧することができ、毛髪のトリートメントなどに要する時間を短くしたり、局部的な毛髪の過乾燥状態の発生を防止したりすることができる。その結果、短時間の内に効率良く毛髪表面にトリートメント効果を与え、毛髪につやと潤いを与えることが可能な静電霧化ヘアドライヤーを提供することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、空気吐出口に異物侵入防止部材が設けられているので、異物が本体内部に侵入することによる感電や発火などを防止することができる。また、静電霧化ミスト噴射口は、空気吐出口とほぼ同面に設けられ、静電霧化装置の静電霧化ミスト噴射口部が異物侵入防止部材に保持されているので、空気吐出口から吐出される空気流中に、静電霧化装置によるエアーポケットが生じ、エアーポケットに生じる負圧により、静電霧化ミスト噴射口から噴射される静電霧化ミストが、空気流中に効率良く分散される。さらに、静電霧化ミスト噴射口に異物侵入防止部材を設けない場合は、異物侵入防止部材が帯電することによる静電霧化ミスト発生手段の対向電極側先端への電界集中が減少することがないので、静電霧化ミストの粒子径が大きくなることもなく、発生静電霧化ミスト数が減少することもない。そのため、毛髪表面のトリートメント効果が減少することを防止することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、例えば、静電霧化装置を複数箇所に設けるなど、静電霧化ミスト噴射口に異物侵入防止部材を設ける必要がある場合において、表面に帯電防止材料を塗布したり接地したりすることによって、異物侵入防止部材に帯電防止処理を施すことにより、静電霧化ミスト発生手段の対向電極側先端への電界集中の減少を防止している。そのため、請求項2の場合と同様の効果が得られる。
【0013】
請求項4の発明によれば、送風手段により発生された空気流の一部を静電霧化装置に導入し、導入された空気により静電霧化ミストを噴出させるので、静電霧化装置により発生された静電霧化ミストを効率良く押し出し、静電霧化ミストが対向電極付近で消失されることを防止し、静電霧化ミスト噴射口から噴射される静電霧化ミストを空気吐出口から吐出される空気流中に分散させることができる。
【0014】
請求項5の発明によれば、静電霧化装置に導入される空気流として、加熱手段により加熱される以前の空気流を用いているので、加熱手段からの熱による液体の膨張に起因する液体の漏れを防止すると共に、静電霧化ミストの蒸発を防止することができる。その結果、短時間の内に静電霧化ミストを毛髪に均一に噴霧することができ、効率良く毛髪表面にトリートメント効果を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の第1実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーについて説明する。図1は、第1実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤー1の構成を示す断面図である。
【0016】
静電霧化ヘアドライヤー1(以下、単に「ヘアドライヤー1」とする)は、本体部10と、本体部10に対して所定の角度をなすように設けられたグリップ部20などで構成されている。本体部10の内部で、かつグリップ部20との分岐部近傍には、モータ及びファンなどで構成された送風部(送風手段)4が設けられている。また、本体部10の後端(図中左端)には、空気吸引口13が形成されており、安全のために指や異物などが入らないように格子が設けられている。本体部10の内部で、かつ送風部4に対して空気流の下流側には、ヒータなどで構成された加熱部(加熱手段)5及び後述する静電霧化装置6が設けられている。空気吐出口14にも、安全のために指や異物などが入らないように格子が設けられている。このように、空気吸引口13及び空気吐出口14に格子などの異物侵入防止部材を設けることにより、異物の挿入による感電や発火などを防止することができる。
【0017】
また、グリップ部20には、送風のオン/オフ、冷風と温風の切り換え、温風の強弱の切り換えを行うためのスライド式スイッチ21や、静電霧化ミストの噴射のオン/オフを切り換えるためのプッシュスイッチ22が設けられている。スライドスイッチ21をオンすることにより、送風部4のファンが回転し、空気吸引口13から空気が送風部4に吸引される。温風が選択されている場合、送風部4により吸引され、本体部10の内部で発生された空気流は加熱部5側に送出され、その一部又は全てが加熱部5を通過する際にヒータにより加熱され、温風となり空気吐出口14から吐出される。また、プッシュスイッチ22をオンすることにより、静電霧化ミストの噴射が選択されている場合は、静電霧化装置6からさらに静電霧化ミストが噴射され、空気吐出口14から吐出される空気流中に効率的に分散されて、ユーザの毛髪などに吹き付けられる。
【0018】
静電霧化装置6は、静電霧化ミストを発生させるための中心電極65及び対向電極66を有する電極部(静電霧化ミスト発生手段)60と、水などの液体63を貯蔵するタンク61と、液体63をタンク61から電極部に供給するためのパイプなどの液体供給管64と、中心電極65と対向電極66との間に所定の電圧を印加するための高電圧発生回路67などで構成されている。電極部60は、断熱材50によって加熱部5から遮断されており、加熱部5のほぼ中心部を貫通するように設けられている。このように、断熱材50により、加熱部5からの熱による電極部60の温度上昇を抑制することにより、電極部60で発生された静電霧化ミストが蒸発することを防止することができる。静電霧化ミスト噴射口70は、送風部4により発生される空気流の方向において、空気吐出口14と空気流の方向に直交するほぼ同面(同位置)に設けられ、かつ空気吐出口14の開口部のほぼ中央に位置する。なお、静電霧化ミスト噴射口70は、必ずしも空気吐出口14とほぼ同面に設ける必要はなく、それよりも若干上流側あるいは下流側であってもよい。
【0019】
タンク61は本体部10に対して着脱可能である。本体部10には、タンク61を装着するためのタンク装着部11及びその蓋12が設けられている。液体供給管64は、タンク装着部11の底部と、電極部60の中心電極65との間を接続するように設けられている。また、タンク61には、液体63をタンク61内に注入するための液体注入口62及びタンク61内の液体63を液体供給管64に供給するための液体吐出口68が設けられている。
【0020】
指や異物が電極部60の内部に入らないようにするために、静電霧化ミスト噴射口70にも、格子などの異物侵入防止部材が設けられている。但し、静電霧化ミスト噴射口70に異物侵入防止部材を設けると、異物侵入防止部材が帯電し、高電圧を印加している対向電極66側への電界集中が減少し、静電霧化ミストの粒子径が大きくなり、発生される静電霧化ミスト数が減少する。そのため、静電霧化ミストを毛髪に噴射することにより、毛髪の水分保持性を向上させ、髪にまとまり感やつやを与えるという効果が得られにくくなる。そこで、静電霧化ミスト噴射口70に設けられた異物侵入防止部材が帯電しないように、帯電防止対策が施されている。具体的には、静電霧化ミスト噴射口70に設けられた格子の表面に、例えば、シリコン系、有機ホウ素系、高分子型の樹脂系などの帯電防止材を塗布している。または、格子自体を接地させてもよい。あるいは、対向電極66に対して、中心電極65に印加されている電圧よりも十分に低い電圧を印加してもよい。
【0021】
一方、静電霧化ミスト噴射口70に格子などの異物侵入防止部材を設けず、静電霧化ミスト噴射口70から指や異物などが入らないようにするために、静電霧化ミスト噴射口70の一部又は全部に、3〜7mm程度に開口部隙間を狭めた部位を設けてもよい。なお、空気吐出口14からの送風に静電霧化ミストを効率的に分散させるために、静電霧化ミスト噴射口70は空気吐出口14より下流部側に突出していることが望ましいが、空気吐出口14と同一面上や上流部側にあってもよい。
【0022】
静電霧化装置6のタンク61は、熱による液体63の膨張及びそれに伴う液体63の漏れを防止するために、加熱部5による熱の影響を受けにくい箇所に設けることが好ましく、第1実施形態では、図1に示すように、加熱部5よりも空気流路の上流側に設けている。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、加熱部5よりも空気流路の上流側でなくても、断熱材により遮断された部位にタンク61を設けてもよい。あるいは、タンク61自体を断熱材で構成してもよい。これらの場合、タンク61の設置場所は、加熱部5の周辺や加熱部5の内部、加熱部5より空気流路の下流側に設けることも可能である。
【0023】
タンク61への液体63の補充を容易にするために、図1に示すように、タンク61をヘアドライヤー1の本体部10の上部にタンク装着部11を設け、タンク61を着脱可能にしている。タンク61を着脱可能とする場合、タンク装着部11は図示した位置に限定されず、本体部10の下部や側部などに設けてもよい。しかしながら、タンク61は、必ずしも着脱可能である必要はなく、本体部10にタンク61を固定してもよい。その場合、タンク61への液体63の補充を容易にするために、本体部10の上部、下部又は側部など、外部に面した部位にタンク61の液体注入口62設けることが好ましい。さらに、タンク61は、本体部10の外部に面しない位置に設けることも可能であり、その場合、タンク61の液体注入口62と本体部10の外周部に設けられた液体注入口とをつなぐ液体流入経路を設ければよい。さらに、タンク61の位置にかかわらず、タンク61自体又は液体流入経路の一部に、液体63の漏れ出しを防止するための蓋や逆止弁を設けてもよい。また、タンク61から電極部60へ液体63を供給するための液体供給管64や上記タンク61と本体部10の外周部とをつなぐ液体流入経路にフェルトなどを併用してもよい。
【0024】
さらに、ヘアドライヤー1は、様々な角度で使用されるため、タンク61の脱落を防止するなどのために、タンク装着部11の蓋12にロック機構を設けてもよい。あるいは、タンク装着部11にタンク61を固定するためのインターロック機構を設けてもよい。また、タンク装着部11にゴムなどのパッキンで構成された圧入部を設け、タンク61をこの圧入部に圧入して固定してもよい。なお、蓋12を省略し、タンク61を直接本体部10の外周部に着脱可能に設ける場合も同様である。
【0025】
さらに、タンク61を省略し、本体部10の外周部と電極部60をつなぐ液体流入経路をタンク61の代用として使用することも可能である。その場合、中心電極65として、セラミック、フェルト、金属のメッシュ構造のような多孔体のものを使用することにより、中心電極65を、液体を蓄えるための貯液部の一部として使用することが可能である。
【0026】
電極部60の中心電極65に対して高電圧発生回路67から電圧を印加するには、電線などを介して中心電極65に直接電圧を印加する方法の他、タンク61の内部の液体63や液体供給管64の内部の液体を介して電圧を印加する方法などが考えられる。対向電極66には、高電圧発生回路67で発生され中心電極65に印加される電圧よりも十分に低い電圧が印加されるが、高電圧発生回路67の低電圧側の電圧を印加してもよいし、それ以外にも、ヘアドライヤー1に入力される商用電源の電圧を直接印加したり、あるいは商用電源の電圧をさらに変圧して印加したりしてもよい。
【0027】
本発明の第2実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーについて説明する。図2は、第2実施形態に係るヘアドライヤー1の構成を示す断面図である。第2実施形態では、電極部60とタンク61とを一体化すると共に、本体部10に対して着脱可能にしたものである。
【0028】
図2に示すように、電極部60とタンク61とを一体化し、本体部10に対して着脱可能なカートリッジ7を形成する。さらに、カートリッジ7には、上記第1実施形態と同様に、帯電防止処理が施された静電霧化ミスト噴射口70が装着されている。中心電極65は、電極部60とタンク61の間の隔壁を貫通するように設けられているので、第1実施形態で述べた液体供給管64や液体流入経路を省略することができる。一方、中心電極65に対して高電圧発生回路67から電圧を印加すると共に、対向電極66に所定の電圧を印加するために、導体69A及び69Bなどが設けられている。導体69A及び69Bとしては、板バネ電極のような接触型の端子や、差込型の端子などを用いることができる。さらに、高電圧発生回路67も脱着式としてもよい。その場合、高電圧発生回路67の1次側への入力端子として、同様に、接触型や差込型の端子などを用いることができる。
【0029】
このように、電極部60、タンク61及び静電霧化ミスト噴射口70をカートリッジ7として一体化し、ヘアドライヤー1の本体部10に対して着脱可能とすることにより、タンク61に液体63を容易に充填することができると共に、静電霧化ミスト噴射口70に付着した埃などを容易に除去することができる。さらに、長期間の使用により、電極部60の中心電極65などにカルシウムなどが析出することもあり得るが、析出したカルシウムなども比較的容易に除去することができる。
【0030】
図3にカートリッジ7の他の構成例を示す。図2に示す構成例では、液体注入口62をタンク61の後端面に設けているが、図3に示す構成例では、液体注入口62をタンク61の側面に設けている。カートリッジ7の紙面に垂直な方向の断面形状は、特に限定されないが、製造の容易さなどを効力すると、略円形又は略矩形が好ましい。図2に示す構成例は、カートリッジ7の断面が略円形の場合に適し、図3に示す構成例は、カートリッジ7の断面が略矩形の場合に適する。
【0031】
図4は、上記第1及び第2実施形態に係るヘアドライヤー1の本体部10の正面図である。図1及び図2に示す第1及び第2実施形態では、電極部60が本体部10の正面視略中央に設けられている。特に、電極部60、タンク61及び静電霧化ミスト噴射口70がカートリッジ7として一体化され、ヘアドライヤー1の本体部10に対して着脱可能と下第2実施形態では、空気吐出口14の格子を取り外し可能又は開閉可能な構造にすることにより、カートリッジ7の着脱を容易にすることができる。あるいは、空気吐出口14の格子をカートリッジ7の静電霧化ミスト噴射口70よりも、空気流の上流側に設けることによっても、同様に、カートリッジ7の着脱を容易にすることができる。
【0032】
また、図5に示すようなヘアドライヤー1の本体部10の上部、あるいは下部や側部など、本体部10の外周部に面した位置にカートリッジ7を設けてもよい。その場合、本体部10の上部、下部又は側部などからカートリッジ7を脱着することも可能である。さらに、第1実施形態のように、電極部60及び静電霧化ミスト噴射口70を本体部10に固定し、タンク61のみを脱着可能としてもよい。あるいは、タンク61も本体部10に固定し、本体部10の外周面に液体注入口62を設けてもよい。
【0033】
図6及び図7は、それぞれ電極部60及び静電霧化ミスト噴射口70(カートリッジ7の場合を含む)を2カ所及び3カ所に設けた構成例を示す。その場合、電極部60及び静電霧化ミスト噴射口70を等角度に配置して、ヘアドライヤー1から吐出される空気流中に均一に分散させることが好ましい。しかしながら、タンク61からの液体供給又は高電圧発生回路67からの電圧印加などの構造上、2以上の電極部60及び静電霧化ミスト噴射口70を隣接させることも考えられる。その場合、対向電極66を共通のものとするように構成してもよい。また、電極部60及び静電霧化ミスト噴射口70の数に応じて複数のタンク61を設けてもよいが、1つのタンク61から複数の液体供給管64を介して液体を電極部60に供給するように構成してもよい。
【0034】
次に、本発明の第3実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーについて説明する。図8は、第3実施形態に係るヘアドライヤー1の構成を示す断面図である。第3実施形態では、送風部4により発生された空気流の一部を断熱材50の内側に通し、加熱部5により加熱されることなく通過させている。そのため、図9に示すように、温風の内側に冷風、さらにその内側に静電霧化ミストが発生される構造となる。このように、加熱部5によって加熱されていない冷風を、電極部60の外側を通過させることにより、温風による温度上昇に伴う液体の膨張によって、内部の液体が液体供給管64から漏れ出すことを防止すると共に、電極部60で発生された静電霧化ミストが蒸発することを防止することができる。
【0035】
さらに、電極部60にスリットなどを設け、断熱材50の内側を通過する冷風の一部を電極部60内に引き込むように構成してもよい。後者の場合、さらに電極部60内に引き込まれた空気流によって、電極部60で発生された静電霧化ミストが静電霧化ミスト噴射口70から外部に押し出される。その結果、電極部60で発生された静電霧化ミストが対向電極66付近で消失されることなく、静電霧化ミストがヘアドライヤー1の本体部10の空気吐出口14から吐出される空気流中に効率的に分散される。
【0036】
次に、本発明の第4実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーについて説明する。第4実施形態は、ブラシつきのヘアドライヤーに関するものである。図10は、第4実施形態に係るブラシ付きヘアドライヤー3の構成を示す断面図である。ブラシ付きヘアドライヤー3は、送風部4及び加熱部5が設けられた本体部30に対してブラシ部40がアタッチメントとして着脱可能に装着されている。静電霧化装置6は、断熱材50による熱から遮断されるように、ブラシ部40の内部に設けられている。また、電極部60及び静電霧化ミスト噴射口70は、ブラシ41の略中央部に設けられている。
【0037】
なお、電極部60及び静電霧化ミスト噴射口70の位置は、ブラシ部40の略中央部に限定されず、ブラシ部40の先端部や根元部など、断熱材50により遮断された部位であればブラシ部40の内部の様々な場所に設置することが可能である。また、電極部60及び静電霧化ミスト噴射口70の数に関しても、例えば、ブラシ部40の先端と根元の両方など、複数箇所に設置することも可能である。
【0038】
図11に示す構成例は、ブラシ部40の内部のほぼ中央に筒状の断熱材50を設け、断熱材50の内部に静電霧化装置6を設けている。また、本体部30の加熱部5に対向する位置にも筒状の断熱材50を設けており、送風部4により発生された空気流の一部を断熱材50の内側に通し、加熱部5により加熱されることなく通過させている。そして、本体部30から吐出される冷風をブラシ部40内の断熱材の内側に導入している。このような構成により、上記第3実施形態と同様に、断熱材50の内側を通過する空気流により静電霧化ミスト噴射口70付近に発生される負圧により、電極部60で発生された静電霧化ミストが静電霧化ミスト噴射口70から外部に吸い出される。また、電極部60にスリットなどを設け、断熱材50の内側を通過する冷風の一部を電極部60内に引き込むように構成してもよい。その場合、さらに電極部60内に引き込まれた空気流によって、電極部60で発生された静電霧化ミストが静電霧化ミスト噴射口70から外部に押し出される。その結果、静電霧化ミスト噴射口70から外部噴射される静電霧化ミストが、ブラシ41の間から吐出される空気流中に効率的に分散される。
【0039】
図12に示す構成例では、本体部30の加熱部5に対向する位置に筒状の断熱材50を設け、断熱材50の内部に静電霧化装置6を設けている。また、ブラシ部40は、ブラシ41の略中央部に設けられた静電霧化ミスト噴射口70と、本体部30側の断熱材50の吐出部と静電霧化ミスト噴射口70とをつなぐ略J字状の断熱材51を備えている。なお、断熱材51に帯電防止材を塗布したり、断熱材51を接地したりするなどして、帯電を抑制することが好ましい。このような構成によれば、静電霧化装置6が本体部30側に設けられているので、アタッチメントとして様々な形状のブラシ部40が使用された場合であっても、静電霧化ミストが効率的に分散された空気流を吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーの一構成例を示す断面図。
【図2】本発明の第2実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーの一構成例を示す断面図。
【図3】第2実施形態におけるカートリッジの他の構成例を示す断面図。
【図4】第1及び第2実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーの正面図。
【図5】第1及び第2実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーの別の構成例を示す正面図。
【図6】第1及び第2実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーのさらに別構成例を示す正面図。
【図7】第1及び第2実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーのさらに別構成例を示す正面図。
【図8】本発明の第3実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーの一構成例を示す断面図。
【図9】第3実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーにより吐出される温風、冷風及び静電霧化ミストの流路を示す正面図。
【図10】本発明の第4実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーの一構成例を示す断面図。
【図11】第4実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーの別の構成例を示す断面図。
【図12】第4実施形態に係る静電霧化ヘアドライヤーのさらに別の構成例を示す断面図。
【符号の説明】
【0041】
1 静電霧化ヘアドライヤー
3 ブラシ付きヘアドライヤー
4 送風部(送風手段)
5 加熱部(加熱手段)
6 静電霧化装置
7 カートリッジ
10 本体部
11 タンク装着部
12 (タンク装着部の)蓋
13 空気吸引口
14 空気吐出口
20 グリップ部
21 スイッチ
30 本体部
40 ブラシ部
41 ブラシ
50、51 断熱材
60 電極部(静電霧化ミスト発生手段)
61 タンク
62 液体注入口
63 液体
64 液体供給管
65 中心電極
66 対向電極
67 高電圧発生回路
68 液体吐出口
69A、69B 導体
70 静電霧化ミスト噴射口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸引口及び空気吐出口を有する本体部と、
前記本体部の内部に設けられ、前記空気吸引口から前記本体部の内部に空気を吸引し、前記本体部の内部で空気流を発生させて、前記空気吐出口から空気流を吐出させる送風手段と、
前記送風手段により発生される空気流の一部又は全部を加熱する加熱手段と、
少なくとも液体を貯蔵するタンク、前記タンクから供給された液体を静電霧化して、静電霧化ミストを発生させる静電霧化ミスト発生手段と、前記静電霧化ミストを噴出させる静電霧化ミスト噴射口を有する静電霧化装置を備え、
前記静電霧化ミスト噴射口は、前記送風手段により発生される空気流の流路中に設けられ、前記静電霧化ミスト噴射口から噴射される静電霧化ミストが前記空気吐出口から吐出される空気流中に分散されることを特徴とする静電霧化ヘアドライヤー。
【請求項2】
前記静電霧化ミスト噴射口は、前記送風手段により発生される空気流の方向において、前記空気吐出口とほぼ同面に設けられ、
前記空気吐出口に異物侵入防止部材が設けられ、
前記静電霧化装置の前記静電霧化ミスト噴射口部が前記異物侵入防止部材に保持されていることを特徴とする請求項1記載の静電霧化ヘアドライヤー。
【請求項3】
前記静電霧化ミスト噴射口に、さらに帯電防止処理が施された異物侵入防止部材が設けられていることを特徴とする請求項2記載の静電霧化ヘアドライヤー。
【請求項4】
前記送風手段により発生された空気流の一部が前記静電霧化装置に導入され、導入された空気により、前記静電霧化ミストを噴出させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電霧化ヘアドライヤー。
【請求項5】
前記静電霧化装置に導入される空気流は、前記加熱手段により加熱される以前の空気流であることを特徴とする請求項4記載の静電霧化ヘアドライヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−87836(P2006−87836A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−280498(P2004−280498)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】