説明

静電霧化装置を備えたヘアドライヤー

【課題】大きな水滴の吹き飛びを抑制することにより、イオンミストの生成を安定させ、ユーザの使用感を向上させる。
【解決手段】ハウジングと、前記ハウジング内に風路を形成させるファンと、前記ハウジング内で対向する電極のうち、何れか一方を冷却して空気中の水を結露させる冷却素子と、前記対向する電極間に高電圧を印加して前記結露した水を霧化させる高電圧発生器と、を具備し、前記対向する電極のうち前記冷却素子により冷却される方の電極からみて前記風路の上流側を、前記風路に対して遮蔽した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪に温風をあてて乾かすためのヘアドライヤーに関し、特に、静電霧化装置を備えたヘアドライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
温風で髪を乾かすとともにイオンミストを生成して髪に好影響を与えるヘアドライヤーが知られている。この種のヘアドライヤーは、例えばファン及びヒータを備えたハウジング内の風路に、周辺空気を露点以下の温度に冷却して空気中の水分を結露させるペルチェ素子と、高電圧を印加してマイナスイオンを生成する放電極及び対向電極とを備えて構成されている。この構成により、結露した水からナノメータサイズのイオンミストを生成し(霧化)、ファンから送出されて来る空気流によりイオンミストを髪に吹き付けることができる。ナノメータサイズのイオンミストを髪に吹き付けると、プラスに帯電していることが多い毛髪を電気的に中和でき、さらに毛髪の内部深くまで水分を浸透させて水分率を高め、髪に好影響を与えることができるとされている。
【0003】
このようなヘアドライヤーにおいて、例えば下記の特許文献1のように、ペルチェ素子により放電極を冷却して放電極に空気中の水を結露させ、この放電極に高電圧を印加することによりナノイオンミストを生成するものが存在する。そして、ファンを起点とする風路が放電極を経て外方に通ずるように構成することにより、イオンミストを外部に放出している。
【0004】
しかしながら、特許文献1のヘアドライヤーにおいては、放電極において結露した水が空気流に晒されるので、大きな水滴のままの状態で空気流に吹き飛ばされてしまうことがあり、イオンミストの生成が不安定になってしまったり、ユーザに水滴を付着させ不快感を与えてしまったりするおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−190211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、大きな水滴の吹き飛びを抑制することにより、イオンミストの生成を安定させ、ユーザの使用感を向上させたヘアドライヤーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係るヘアドライヤーは、
ハウジングと、
前記ハウジング内に風路を形成させるファンと、
前記ハウジング内で対向する電極のうち、何れか一方を冷却して空気中の水を結露させる冷却素子と、
前記対向する電極間に高電圧を印加して前記結露した水を霧化させる高電圧発生器と、
を具備し、
前記対向する電極のうち前記冷却素子により冷却される方の電極からみて前記風路の上流側を、前記風路に対して遮蔽したものである。
【0008】
この構成によれば、冷却素子により冷却される方の電極からみて前記風路の上流側を前記風路に対して遮蔽したので、大きな水滴の吹き飛びが抑制される。その結果、イオンミストの生成を安定させ、ユーザの使用感を向上させることができる。
【0009】
上記ヘアドライヤーにおいて、
前記対向する電極のうち、前記冷却素子により冷却される方の電極を板状に形成し、
前記対向する電極のうち、他方の電極を針状に形成するのが好ましい。
【0010】
この構成によれば、前記冷却素子により冷却される方の電極を板状に形成したので、結露面を大きくとることができ、十分な量の結露水を供給できる。その結果、イオンミストの生成をさらに安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るヘアドライヤーの風路に沿った断面図である。
【図2】図1の囲み線II内の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態に係るヘアドライヤーは、一端を吐出口1、他端を吸込口2とした筒状のハウジング3と、ハウジング3内に配置された、モータ4及びその駆動軸に固定されたファン5と、静電霧化装置6とを備えている。ハウジング3の吐出口1にはアタッチメント7を取り付けることができるようになっている。また、ハウジング3内には加熱装置(図示せず)を備えていることが望ましい。
【0013】
静電霧化装置6は、一方の面を放熱面、他方の面を吸熱面としたペルチェ素子(冷却素子)61と、ペルチェ素子61の放熱面側に設けられた放熱フィン62と、ペルチェ素子61の吸熱面側に設けられた平板状の接地電極63と、接地電極63に対し所定の間隔をもって対向する針状の放電極64とを備えている。接地電極63は、回路内の接地端子(図示せず)に接続されている。放電極64は、回路内の高電圧発生器(図示せず)に接続されている。
【0014】
ハウジング3内においてファン5により形成される風路は、仕切り板31によって下流側が二手に分かれている。一方の主風路Aは吐出口1へ向かい、他方の放熱風路Bは静電霧化装置6の放熱フィン62を経て、主風路Aと合流することなくハウジング3の放熱口32へと抜けるように構成されている。
【0015】
静電霧化装置6の接地電極63は、接地電極63よりも上流側が遮蔽板33によって主風路Aに対して遮蔽されている。接地電極63よりも下流側には、遮蔽板33によって遮蔽されていない開口34が形成されている。なお接地電極63は、放熱風路Bに対しては静電霧化装置6自身によって遮蔽されている。
【0016】
以上の構成において、ペルチェ素子61に通電すると、ペルチェ素子61の吸熱面において熱が吸収され、放熱面において放熱される。その結果、ペルチェ素子61の吸熱面側に設けられた接地電極63の周辺空気が露点以下に冷却され、接地電極63の表面に結露が生じる。
【0017】
一方、放電極64に高電圧(負電荷)を印加すると、接地電極63との間に強い電場が形成され、接地電極63に結露した水からイオンミストが生成される。生成されたイオンミストは、接地電極63より下流側の開口34において主風路Aの空気流に誘引され、吐出口1から吐出される。
【0018】
本実施形態によれば、ペルチェ素子61により冷却される接地電極63からみて主風路Aの上流側を、遮蔽板33により主風路Aに対して遮蔽したので、大きな水滴の吹き飛びが抑制される。その結果、イオンミストの生成を安定させ、ユーザの使用感を向上させることができる。
【0019】
また、本実施形態によれば、ペルチェ素子61により冷却される接地電極63を平板状に形成したので、結露面を大きくとることができ、十分な量の結露水を供給できる。その結果、イオンミストの生成をさらに安定させることができる。
【0020】
以上の各実施形態は本発明の具体例を示すものであり、特許請求の範囲に記載した発明概念の範囲内で適宜に変更・追加等を行うことができる。例えば、ヘアドライヤーの各構成部材の形状、材質、寸法、部材の数、結合方法などは上記の各実施形態に拘泥すべきものではない。
【符号の説明】
【0021】
1 吐出口
2 吸込口
3 ハウジング
4 モータ
5 ファン
6 静電霧化装置
7 アタッチメント
31 仕切り板
32 放熱口
33 遮蔽板
34 開口
61 ペルチェ素子(冷却素子)
62 放熱フィン
63 接地電極
64 放電極
A 主風路
B 放熱風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に風路を形成させるファンと、
前記ハウジング内で対向する電極のうち、何れか一方を冷却して空気中の水を結露させる冷却素子と、
前記対向する電極間に高電圧を印加して前記結露した水を霧化させる高電圧発生器と、
を具備し、
前記対向する電極のうち前記冷却素子により冷却される方の電極からみて前記風路の上流側を、前記風路に対して遮蔽したヘアドライヤー。
【請求項2】
請求項1において、
前記対向する電極のうち、前記冷却素子により冷却される方の電極を板状に形成し、
前記対向する電極のうち、他方の電極を針状に形成したヘアドライヤー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−213739(P2010−213739A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60339(P2009−60339)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(391043996)株式会社テスコム (14)
【Fターム(参考)】