説明

静電霧化装置

【課題】霧化発生部の水溜め部への水補給のわずらわしい作業を容易にせしめることができると共に霧化発生部の洗浄や水補給の際に安全性を確保できる静電霧化装置を提供する。
【解決手段】水溜め部9より水を搬送する搬送部4Aと、搬送部4Aの水に高電圧を印加する印加電極と、高電圧発生源と接続される接点接触部20とで、静電霧化によりミストを発生させる霧化発生部8を構成する。霧化発生部8を水溜め部9に対して着脱可能とする。収納凹所73から霧化発生部8及び水溜め部9を外部に取り出すための取り出し用開口部50を設ける。取り出し用開口部50を開閉可能に且つ吹き出し口を有する蓋51にて覆うと共に、蓋51の開閉操作時に霧化発生部8への高電圧の印加を停止させるためのスイッチ手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に高電圧を印加して微細化されたミストを発生させる静電霧化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭内で発生する粉塵及び臭気分を捕集、脱臭するための空気清浄機としては種々のものが提供されており、これらの空気清浄機の除塵方法には、大きく分けてファイバーフィルター等を用いる機械式と、電気集塵式及びその両方の機能を兼ね備えたものとがある。
【0003】
また、シロッコファンなどで構成される送風部と、空気中の汚れの粒子やニオイ成分を清浄化するための清浄フィルターとからなり、清浄フィルターにより清浄された空気を吐出口から吹き出す空気清浄機が知られている。
【0004】
さらに、上記空気清浄機の他例として、霧化発生部を空気清浄機内部に内蔵し、電界により微細化されたミストが室内に飛び出すようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。このミストは、活性種を含んでおり室内に浮遊したホコリやニオイを分解・除去することが可能である。
【特許文献1】特開2002−203657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の霧化発生部を内蔵した空気清浄機においては、静電霧化により微細化されたミストを連続的に室内に放出しつづけるには、空気清浄機の使用者が定期的に水の補給を行わなければならず、煩わしいものであった。
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、霧化発生部の水溜め部への水補給のわずらわしい作業を容易にせしめることができると共に霧化発生部の洗浄や水補給の際に安全性を確保できる静電霧化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明は、以下の構成を特徴としている。
【0008】
水溜め部9より水を搬送する搬送部4Aと、搬送部4Aの水に高電圧を印加する印加電極2と、高電圧発生源と接続される接点接触部20とで、静電霧化によりミストを発生させる霧化発生部8が構成され、当該霧化発生部8を前記水溜め部9に対して着脱可能とし、前記霧化発生部8及び水溜め部9を収納する収納凹所73から霧化発生部8及び水溜め部9を外部に取り出すための取り出し用開口部50を設け、当該取り出し用開口部50を開閉可能に且つ吹き出し口77を有する蓋51にて覆うと共に、蓋51の開閉操作時に霧化発生部8への高電圧の印加を停止させるためのスイッチ手段53を設けた。
【0009】
このように構成とすることにより、霧化発生部8及び水溜め部9を取り出し用開口部50から取り外して水溜め部に水を入れることで、水補給のわずらわしい作業を容易に行なえるものである。また、取り出し用開口部50を開閉可能な蓋51にて覆うことにより、高電圧部に触れることができないようになる。さらに、蓋51の開閉操作時にはスイッチ手段53により霧化発生部8への高電圧の印加を停止させるので、蓋51を開いて水の補給や霧化発生部8の洗浄などのメンテナンスを行なう際の使用者の安全性を確保できるものである。
【0010】
また前記霧化発生部8は、周面に通風孔が開口すると共に下部に搬送部4Aの保持部が嵌めこまれたホルダー10を備え、保持部の下端に水溜め部9が上方から引っ掛けて支持されているのが好ましく、この場合、ホルダー10を引き上げることで霧化発生部8全体を本体ケース39から取り外し可能となる。
【0011】
また前記霧化発生部8は、搬送部4Aの先端に所定間隔をあけて対向配置された対向電極3を備えているのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の静電霧化装置は、霧化発生部及び水溜め部を取り出し用開口部から取り外して水を入れることで、水補給のわずらわしい作業を容易に行なえるものである。また、取り出し用開口部を開閉可能な蓋にて覆うことにより、高電圧部に触れることができないものであり、さらに蓋を開いて水の補給や霧化発生部の洗浄などのメンテナンスを行なう際の使用者の安全性を確保できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0014】
以下本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、図1に示す静電霧化装置1は、水に高電圧を印加して活性種を含んだナノメータサイズのミストを発生させる霧化発生部8と、霧化させることになる水を補給する水補給部6とが、水溜め部9を介して連通している。なお使用する水は、水道水、地下水、電解水、PH調整水、ミネラルウォーター、ビタミンCやアミノ酸などの有用成分の入った水、アロマオイルや芳香剤や消臭剤などが入った水などがあげられる。なお図1中の39は霧化発生部8と水補給部6と水溜め部9とを収納する本体ケース、73は本体ケース39を収納する収納凹所を示している。
【0015】
先ず、霧化発生部8は、円筒状で且つ周面に通風孔が開口するホルダー10と、該ホルダー10の上部に配された対向電極3と、ホルダー10の下部に嵌め込まれて水に対する電圧印加を担う印加電極2と、この印加電極2によって保持されている複数本の棒状吸水体4と、同じく印加電極2によって保持されているイオン化針5とで構成されている。棒状吸水体4は、水溜め部9内の水を霧化発生部8に搬送する搬送部4Aとしての機能を有している。印加電極2は、棒状吸水体4中の水に高電圧を印加する機能に加えて、棒状吸水体4を機械的に保持・固定する搬送保持としての機能を有している。図1中の22は印加電極2から下方に突出している円筒状のスカートで、上記複数本の棒状吸水体4の外側を囲んでいるとともに、スカート22の下端は水溜め部9の内側壁に設けたスカート受け部9bにて支持されるようになっている。
【0016】
対向電極3と印加電極2は共にカーボンのような導電材を混入した合成樹脂やSUSのような金属で形成されることで導電性を有しているもので、ホルダー10の上部に被せられる対向電極3はその外周面に形成された接点接触部30の外面に接触するGND接点71を通じて接地される。ホルダー10の下部内に嵌め込み固定されてホルダー10内面で押さえ固定されている印加電極2も同じく外周面に形成された接点接触部20の外面に接触する高圧接点72を介して高電圧発生源に接続される。ここで各接点接触部20、30は導電性プラスチックやステンレスなどの金属材科など導電性の材質で構成されている。
【0017】
前記棒状吸水体4は、多孔質セラミックなどの多孔質の材質や繊維質の材質で構成され、放電現象が起こりやすいように、つまり電界強度の集中が起こりやすいように、先端が例えば、φ0.25以下の鋭角形状に形成されている。本例では、複数本、例えば図2に示す6本の棒状吸水体4が印加電極2に取り付けられている。これら棒状吸水体4は印加電極2の中央に配されたイオン化針5を中心とする同心円上に等間隔で配置されて、上部が印加電極2よりも上方に突出し、下部は下方に突出して水溜め部9の底部9aに接触しており、水溜め部9に入れられた水と接触している。
【0018】
前記ホルダー10の上面開口を閉じるように装着された対向電極3は、図2に示すように中央に開口部31を有するとともに、この開口部31の縁は上方から見た時、複数本の棒状吸水体4の上端の針状部を中心とする複数の同一径の円弧Rを他の円弧rで滑らかにつないだものとなっている。対向電極3を接地し、印加電極2に高電圧発生源を接続するとともに、棒状吸水体4が毛細管現象で水を吸い上げている時、棒状吸水体4の上端の針状部が印加電極2側の実質的な電極として機能すると同時に、対向電極3の円弧Rが実質的な電極として機能するものである。なお、前記開口部31には格子状保護カバー16が被せられることで、開口部31を通じてイオン化針5や棒状吸水体4に手指などが容易に接触することが防止されている。
【0019】
前記霧化発生部8及び水補給部6は、水溜め部9を介して連通している。水溜め部9は、図1に示すように、水受け可能な横長状の容器形状をしており、その片側に霧化発生部8の装着部が設けられ、他の片側に水補給部6の装着部が設けられている。水溜め部9の底部9aは水補給部6側では高く、霧化発生部8に向かうにつれて徐々に下り傾斜して、霧化発生部8側で最も低くなっている。霧化発生部8の装着部は、平面から見てリング状をしたスカート受け部9bで構成されている。このスカート受け部9bは印加電極2のスカート22と同心円状をしていると共に、上向きフック状の断面形状をしており、印加電極2のスカート22の下端を上方からスカート受け部9bに引っ掛けて支持することで、棒状吸水体4の下端部を水溜め部9の底部に接触させた状態で保持できるようになっている。これにより霧化発生部8をスカート受け部9bに装着した状態で霧化発生部8に対して高電圧が印加可能となり、またホルダー10を引き上げることで印加電極2、対向電極3を含む霧化発生部8全体を本体ケース39から取り外し可能となっている。
【0020】
一方、水補給部6の装着部は、平面から見てリング状をしたタンク受け部9cで構成されている。このタンク受け部9cは後述する水補給部6のキャップ6bと同心円状をしており、水補給部6の水タンク6aを逆さにしてその下端外周をタンク受け部9cに載置する支持することで、水タンク6aのキャップ6bがタンク受け部9cの内側に入り込み、水タンク6aを逆さ状態で保持できるようになっている。
【0021】
ここで、水補給部6は、水タンク6aと、水タンク6aの開口に着脱可能なキャップ6bとで構成されている。キャップ6bの外周面は滑り止め用の凹凸形状となっている。キャップ6bには水流出孔6cと、この水流出孔6cを開閉する開閉弁6dとが設けられている。開閉弁6dは、上下に移動可能な弁棒6eと、一端がキャップ6b側に支持され他端が弁棒6eに支持されるバネ6fと、弁棒6eの先端に取り付けられてタンク開口6iを開閉可能に閉塞する弁体6gとからなる。一方、水溜め部9の底部9aからは弁棒6eを押して水流出孔6cを開く弁解放用の突起6hが突設されている。この突起6hは水流出孔6cに挿入可能な形状とされている。水タンク6aに水を入れ、逆さにしてキャップ6bをタンク受け部9cに嵌め込むと、水タンク6aの重量によって弁棒6eが突起6hにより押し上げられ、これにより弁体6gが開いてタンク開口6iから水が流出し、さらにキャップ6bの水流出孔6cから外部に流出して水溜め部9内に補給されるようになっている。このように水補給部6は、本体ケース39のタンク受け部9cに着脱可能に装着できる構造であると共に、本体ケース39への装着状態では水補給部6と霧化発生部8とが開閉弁6dを介して連通可能となっている。なお、リング状のタンク受け部9cは水タンク6aと本体ケース39間を密閉状態に保持するため、水タンク6a内への空気の侵入が防がれ、これにより水溜め部9内の水位が常に一定に保たれることとなる。
【0022】
今、水を入れた水補給部6を装着することで、水補給部6から水溜め部9に水が補給される。これにより、棒状吸水体4の下部に水を接触させて毛細管現象で水を吸い上げさせることができ、さらに対向電極3を接地するとともに印加電極2に高電圧発生源を接続して、印加電極2にマイナスの電圧を印加した時、この電圧が水にレイリー分裂を起こさせることができる高電圧であれば、棒状吸水体4の上端の針状部に達した水はここでレイリー分裂を起こしてナノメータサイズの粒子径の霧化を生じさせる静電霧化がなされる。
【0023】
また、この静電霧化装置1ではイオン化針5にも高い負電圧が同時に印加され、対向電極3との間でのコロナ放電によってマイナスイオンの発生もなされる。この時、電極間の距離が同じであればマイナスイオン発生のために必要な電圧よりも静電霧化に必要な電圧の方が高いことから、ここでは棒状吸水体4の上端の針状部から対向電極3までの距離L1(図2)よりも、イオン化針5から対向電極3までの距離L2(図2)をかなり長くすることで静電霧化の方を生じやすくしている。もっとも、水溜め部9内の水が無くなるとともに棒状吸水体4で保持している水も霧化されてなくなれば、マイナスイオンの発生のみが継続して行われる。
【0024】
しかして、上記水補給部6をタンク受け部9cに対して着脱可能であり、これにより水補給部6は霧化発生部8に対して着脱可能な構成となる。従って、水補給部6を霧化発生部8から取り外して水補給部6に水を入れ、霧化発生部8に装着することで、水補給部6から水溜め部9に水の補給ができるようになるので、水補給のわずらわしい作業を容易にせしめるものである。また、霧化発生部8に補給される水には、カルシウムやナトリウムなど不純物が含まれていることが多く、静電霧化現象により、その不純物が全て飛んでいく訳ではなく、霧化発生部8には不純物が残ってしまい、安定した静電霧化現象を継続することができなくなってしまい、霧化発生部8を洗浄する必要が生じる。そこで、霧化発生部8を本体ケース39のスカート受け部9bに対して着脱可能な構成とすることにより、霧化発生部8の洗浄作業が容易となり、結果、霧化発生部8のメンテナンス作業を容易にせしめるものである。
【0025】
また、水補給部6及び霧化発生部8の装着部を水受け可能な容器形状に形成してあるので、水補給部6への水補給や霧化発生部8の洗浄の際に使用者が誤って水をこぼしてしまった場合でも、本体内部の充電部やモータ部に水がかかり破損してしまう恐れがなくなる。従って、内部回路やモータ部の破損が起こりにくいような構成とすることができ、本体の破損を防止することが可能となる。
【0026】
なお前記実施形態では、霧化発生部8の一側方に寄せて接点接触部20と接点接触部30とを配置しているため、霧化発生部8の洗浄のために取り外すと高圧接点72とGND接点71とが図1の実線で示すように突出した状態となり、この状態では高圧接点72とGND接点71の接点の押し力により霧化発生部8が装着しづらくなるという問題や、高電圧部とGND部の距離が近くなり、接点部での異常放電が起こってしまうという問題がある。そこで、霧化発生部8の対角の位置に、高圧接点72に接触する印加電極2の接点接触部20とGND接点71に接触する対向電極3の接点接触部30とを配置するのが望ましい。つまり、霧化発生部8の一側方に印加電極2の接点接触部20を配置し、反対側に対向電極3の接点接触部30を配置することで、高圧接点72とGND接点71とが霧化発生部8を挟んでその両側に位置するようになり、これにより高圧接点72とGND接点71の押し力が打ち消しあい、霧化発生部8の装着がしやすくなるという利点があり、さらに、霧化発生部8の対角位置に配置することで高電圧とGNDの絶縁のための距離を長くとることもでき、絶縁不足による異常放電を防止することができるという利点がある。
【0027】
図3は、印加電極2の接点接触部20の幅面積を高圧接点72の幅面積よりも幅広とし、且つ対向電極3の接点接触部30の幅面積をGND接点71の幅面積よりも幅広とした場合の一例を示している。図3はGND接点71と接点接触部30との幅面積の関係を示しているが、高圧接点72と接点接触部20との幅面積の関係も同様である。図3において、Aは例えば22mm、Bは例えば28mmとされている。ところで、A>Bの場合、霧化発生部8を着脱操作する際に、接点(高圧接点72、GND接点71)のエッジが接点接触部20、30を削ってしまうことが考えられる。特に霧化発生部8の着脱操作の繰り返しにより、各接点接触部20,30が磨耗により削れやすくなる。そこで、図3において、A<Bとすることで、接点のエッジが各接点接触部20、30を削ってしまう可能性が低くなり、結果、接点による磨耗を減少させることができるものである。
【0028】
図4は上記構成の静電霧化装置1を備えた空気清浄機7を示している。モータ83によって駆動されるファン82と風洞70とからなる送風機を備えて、前面の吸い込み口76から吸い込んだ空気をフィルター部81で濾過した後、吹き出し口77から外部に放出するのであるが、この空気清浄機7における吸い込み口76から吹き出し口77に至るまでの空気流路のうち、送風機における風洞70内で且つ吹き出し口77の近傍位置に静電霧化装置1が配設されている。
【0029】
ここでは、前面が開口する箱状のハウジング91と、このハウジング91内に収納配置されて、比較的大きな粉塵を捕集するプレフィルター92、吸い込まれたホコリやニオイを機械的に集塵・脱臭するフィルター部81と、静電霧化装置1とで主体が構成されており、プレフィルター92やフィルター部81の着脱・洗浄などの際に前面パネル90が開閉できるようになっている。
【0030】
ハウジング91内に室内の空気を送るための送風部としては、シロッコファン82が用いられるものであり、この送風部はハウジング91内において、上記フィルター部81の下流側に配置されている。
【0031】
ハウジング91の内部は、本体背面側の送風部93と本体手前側のフィルター部81とに大別されている。ここでは、ハウジング91の手前側にフィルター部81が収納され、その手前にプレフィルター92が収納されている。フィルター部81は、前面パネル90を取り外した状態で、手前に取り出すことができるように着脱自在に取り付けられている。本実施形態のフィルター部81は、図5に示すように、極細の繊維が配合されたろ材で形成された集塵部40と、この集塵部40の下流側に活性炭などからなる脱臭剤41、集塵部40と脱臭部を分離するための中敷きシート42、脱臭剤41を充填によるバラツキ、移動、偏りを防止するためめハニカムコア43、不織布で形成されるカバーリング材44で構成されている。
【0032】
上記集塵部40には、微細粒子化された微細脱臭剤45がバインダにより接着されており、捕集した臭いを脱臭・分解する働きがある。また、上記カバーリング材44は、フィルター部81の最下流部に配置され、ハニカムコア43に熱溶着されている。このハニカムコア43とカバーリング材44は、脱臭剤41の漏れ、バラツキ、移動、偏りを防止する働きを持っている。
【0033】
また上記フィルター部81の下流側には、図4に示す送風部93が設けられており、そこにはモータ83が設置されると共に、シロッコファン82が配置してある。ハウジング91の天面部には、吹き出し口77が設けられている。したがって、シロッコファン82が回転すると、前面パネル90とハウジング91の周囲の吸込口から空気が吸い込まれ、プレフィルター92で大きな粉塵が捕集され、フィルター部81で集塵・脱臭する。フィルター部81で集塵・脱臭された空気は、その下流にある脱臭剤41(図5)で臭気を除去され、浄化・無臭化された空気がシロッコファン82を経て吹き出し口77から上方に排出される。
【0034】
ここで上記構成の静電霧化装置1を空気清浄機7に組み込んだ状態にあたっては、図1のように、高電圧発生源(図示せず)で発生した高電圧(約−4〜−5kV)が導電材料で構成された接点接触部20と、ステンレス材などで板バネ形状に成形された高圧接点72を介して、印加電極2に供給されている。また、高電圧発生源の接地(GND)側は、ステンレス材などで板バネ形状に成形されたGND接点71を介して、導電材料で構成された接点接触部30と電気的に接続されている。そして、前述のように水補給部6から水溜め部9に補給された水が棒状吸水体4に毛細管現象により吸上げられ、印加電極2の接点接触部20に高電圧が印加され、対向電極3の接点接触部30が電気的に接地されると、接点接触部20に印加された高電圧が棒状吸水体4に吸上げられた水に印加され、放電現象が発生する。放電現象により水溜め部9の水は、微細化された活性種を含むミストに分裂し、室内に飛散する。このとき、送風部93によって起こされた風に乗り、微細化ミストは室内のすみずみまでいきわたることになる。
【0035】
つまり、静電霧化で生じたナノメータサイズの粒子径のミストであるナノサイズミストは拡散性が元々高いが、送風機による送風に乗って広がるためにさらに拡散性が良好になっているものであり、このためにナノサイズミストが有している活性種によるところの室内空気中の臭気成分や室内壁面への付着物についての脱臭機能を有効に利用することができる。特に図示例のものでは、風洞70の一部に設けた収納凹所73内に静電霧化装置1を配置した時、GND接点71と接点接触部30、高圧接点72と接点接触部20との接触をそれぞれ可能とするために収納凹所73の壁面に明けた開口部74と静電霧化装置1のホルダー10における通風孔を通じて、静電霧化装置1の内部に一部の風が流入するために、霧化が促進されて霧化量が増大するとともにミストが風に乗って飛散しやすくなっている。
【0036】
また、風洞70内に静電霧化装置1が配されているものの、静電霧化装置1付近を通過する空気はフィルター部81で濾過された清浄な空気であり、このために静電霧化装置1が汚れることはなく、上述のように一部の風が静電霧化装置1内に入るものの、汚れが原因で静電霧化が生じにくくなることが殆どないものである。
【0037】
また本例では、霧化発生部8と水補給部6と水溜め部9とは本体ケース39に一体に収納されており、本体ケース39の両端のフランジ40aを手で持って静電霧化装置1を空気清浄機7の収納凹所73に容易にセットできるようになっている。さらに本例では吹き出し口77の一部に、図6に示すように、水補給部6又は霧化発生部8を外部に取り出すための取り出し用開口部50が設けられ、この取り出し用開口部50が開閉可能な蓋51にて覆われている。これにより、霧化発生部8の洗浄や水補給部6への水補給の際に、高電圧部に触れることができないようにしながら、霧化発生部8又は水補給部6の取り外しが可能となっている。さらに、蓋51の開閉操作時には霧化発生部8への高電圧の印加を停止させるためのスイッチ手段53が設けられている。ここでは、図7〜図9に示すように、蓋51の一端から押圧片58が突設されており、一方、空気清浄機7側には押圧片58が挿入される挿入凹所59が設けられ、挿入凹所59内に押圧片58にて押圧されるスイッチ部53が設けられており、蓋51の着脱操作により高電圧のON−OFF制御を行えるようになっている。これにより蓋51を開いて、水補給部6への水の補給や霧化発生部8の洗浄などのメンテナンスを行なう際の使用者の安全性を確保できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態の静電霧化装置を説明する断面図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】同上の霧化発生部側の接点接触部と高圧接点又はGND接点との寸法関係の説明図である。
【図4】同上の静電霧化装置を用いた空気清浄機の断面図である。
【図5】同上のフィルター部の説明図である。
【図6】同上の高電圧発生源の取りだし用開口部を説明する平面図であある。
【図7】(a)は同上の蓋の正面図、(b)は側面図である。
【図8】同上のスイッチ手段が設けられる挿入凹所の説明図である。
【図9】図8のC−C線断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 静電霧化装置
2 印加電極
3 対向電極
4A 搬送部
8 霧化発生部
9 水溜め部
20 接点接触部
50 取り出し用開口部
51 蓋
53 スイッチ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溜め部より水を搬送する搬送部と、搬送部の水に高電圧を印加する印加電極と、高電圧発生源と接続される接点接触部とで、静電霧化によりミストを発生させる霧化発生部が構成され、当該霧化発生部を前記水溜め部に対して着脱可能とし、前記霧化発生部及び水溜め部を収納する収納凹所から霧化発生部及び水溜め部を外部に取り出すための取り出し用開口部を設け、当該取り出し用開口部を開閉可能に且つ吹き出し口を有する蓋にて覆うと共に、蓋の開閉操作時に霧化発生部への高電圧の印加を停止させるためのスイッチ手段を設けたことを特徴とする静電霧化装置。
【請求項2】
前記霧化発生部は、周面に通風孔が開口すると共に下部に搬送部の保持部が嵌めこまれたホルダーを備え、保持部の下端に水溜め部が上方から引っ掛けて支持されていることを特徴とする請求項1記載の静電霧化装置。
【請求項3】
前記霧化発生部は、搬送部の先端に所定間隔をあけて対向配置された対向電極を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の静電霧化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−272757(P2008−272757A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136765(P2008−136765)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【分割の表示】特願2003−160021(P2003−160021)の分割
【原出願日】平成15年6月4日(2003.6.4)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】