説明

非セラミック床材のための接着剤

非セラミック床材を基材に接合する方法であって、バインダーとして合成ポリマーを有する水性接着剤を使用し、かつ該接着剤が加水分解性シラン基を有する、非セラミック床材を基材に接合する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非セラミック床材(nonceramic floor coverings)を基材に接合するための方法に関し、その際、バインダーとして合成ポリマーを有する水性接着剤を使用しかつ、その際、該接着剤は加水分解性シラン基を有する。とりわけ本発明は、床(基材(substrate))に、カーペットのような軟質床材を接合するための、または木材床を接合するための方法に関する。
【0002】
セラミック基材のための、とりわけタイルのための接着剤としてシラン基を有するポリマーの使用が、EP−A−35332、EP−A−366969およびDE−A−19736409に記載されている。
【0003】
シラン基を有しかつ他の用途用のポリマーは、さらに、例えばUS6,541,566、US6,620,881、US6,258,460、US6,528,590およびUS5,240,992から、また同様にEP−A−1,153,979、DE−A−19526759およびWO99/37716からも公知である。
【0004】
セラミック床材の場合、ポリマー中のシラン基と、セラミック基材、殊にタイルのケイ酸塩との相互作用は、とりわけ、有利な特性につながる。カーペットおよび木材床のような非セラミック基材の場合、そのような相互作用は存在しない。
【0005】
木材床またはカーペットを基材に接合することと関連して、高い強度が所望される。重要な他の要素は高い熱安定性である:例えば激しい日光曝露によって引き起こされる比較的高い温度においても、接合はその強さを保持するべきである。
【0006】
軟質床材の場合、さらに所望されるのは、良好ないわゆる生強度形成(green strength development)およびオープンタイムである。良好な生強度形成とは、接着剤でコーティングされた基材上にカーペットが敷設された後、早期の安定した接着が形成されることを意味する。
【0007】
良好なオープンタイムとは、カーペットが床上に敷設される前に、長期間通気された後でも、床とカーペットとの間のしっかりした接着が得られることを意味する。
【0008】
それゆえ、上の要求を最大の効果で満たす非セラミック床材のための接着剤が所望される。
【0009】
この所望に従って、上で定義された方法が見つかった。
【0010】
該方法は、バインダーとして合成ポリマーおよび加水分解性シラン基を有する水性接着剤の使用を包含する。
【0011】
合成ポリマーについて
とりわけポリマーは、水性分散液の形である。有利には、ポリマー、またはポリマーの水性分散液は、エチレン性不飽和化合物(モノマー)のラジカル付加重合によって得られる。
【0012】
ポリマーは、主モノマーとして公知であるもの少なくとも40質量%、さらに有利には少なくとも60質量%および極めて有利には少なくとも80質量%からなる。
【0013】
主モノマーは、C1〜C20アルキル(メタ)アクリレート、炭素原子20個までを有するカルボン酸のビニルエステル、炭素原子20個までを有するビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ハロゲン化ビニル、炭素原子1〜10個を有するアルコールのビニルエーテル、炭素原子2〜8個および1つまたは2つの二重結合を有する脂肪族炭化水素、またはこれらのモノマーの混合物から選択される。
【0014】
アルキル(メタ)アクリレートの例は、C1〜C10アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートを包含する。
【0015】
とりわけ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物もまた適している。
【0016】
炭素原子1〜20個を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えばビニルラウレート、ビニルステアレート、ビニルプロピオネート、バーサチック酸ビニルエステルおよびビニルアセテートである。適したビニル芳香族化合物は、ビニルトルエン、α−およびp−メチルスチレン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレンおよび、有利にはスチレンを包含する。ニトリルの例は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルである。
【0017】
ハロゲン化ビニルは、塩素、フッ素、臭素、有利には塩化ビニルおよび塩化ビニリデンによって置換されたエチレン性不飽和化合物である。
【0018】
ビニルエーテルの例は、ビニルメチルエーテルまたはビニルイソブチルエーテルを包含する。有利なビニルエーテルは、炭素原子1〜4個を有するアルコールのものである。
【0019】
炭素原子2〜8個および1つまたは2つのオレフィン二重結合を有する炭化水素として、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレンおよびクロロプレンが言及されうる。
【0020】
有利な主モノマーは、C1〜C20アルキルアクリレートおよびメタクリレート、殊にC1〜C10アルキルアクリレートおよびメタクリレート、およびビニル芳香族化合物、殊にスチレン、およびアルキル(メタ)アクリレートとスチレンとの混合物である。
【0021】
極めて有利なのは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレート、スチレンおよびこれらのモノマーの混合物である。
【0022】
とりわけ有利には、ポリマーは、C1〜C20、殊にC1〜C10アルキル(メタ)アクリレート少なくとも40質量%、とりわけ少なくとも60質量%および極めて有利には少なくとも80質量%からなる。
【0023】
ポリマーは、主モノマーの他にさらなるモノマー、例えば、カルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸基を含有するモノマーを有してよい。カルボン酸基が有利である。言及されうる例は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸を包含する。
【0024】
さらなるモノマーは、例えば、またヒドロキシルを有するモノマー、殊にC1〜10ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびまた(メタ)アクリルアミドである。
【0025】
言及されうるさらなるモノマーは、加えて、フェニルオキシエチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、および2−アミノエチル(メタ)アクリレートのようなアミノ(メタ)アクリレートを包含する。
【0026】
さらなるモノマーとして、架橋モノマーも言及されうる。
【0027】
ポリマーは、有利な一実施態様において、エマルジョン重合によって製造され、それゆえ生成物はエマルジョンポリマーである。
【0028】
代替的に、製造は溶液重合によって行われえ、続いて水中に分散させられる。
【0029】
エマルジョン重合の場合、イオン性および/または非イオン性の乳化剤および/または保護コロイド、および/または安定剤が、表面活性化合物として使用される。
【0030】
適した保護コロイドの詳細な記述は、Houben-Weyl, Methoden der oraganischen Chemie(有機化学の方法), Volume XIV/1, Makromolekulare Stoffe [macromolecular compounds], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart, 1961, pp.411〜420に見られる。適した乳化剤は、アニオン性、カチオン性および非イオン性の乳化剤を包含する。随伴する表面活性物質として、その分子量が保護コロイドのそれとは異なり、たいてい2000g/モルを下回る乳化剤をもっぱら使用することが有利である。表面活性物質の混合物が使用される時には、当然のことながら個々の成分は互いに相容性である必要があり、何か疑わしい場合には、いくつかの予備試験によって確認されうる。表面活性物質として、アニオン性および非イオン性の乳化剤を使用することが有利である。慣例の随伴する乳化剤は、例えばエトキシル化された脂肪アルコール(EO単位:3〜50、アルキル基:C8〜C36)、エトキシル化されたモノ−、ジ−およびトリ−アルキルフェノール(EO単位:3〜50、アルキル基:C4〜C9)、スルホコハク酸のジアルキルエステルのアルカリ金属塩およびまたアルキル硫酸エステル(アルキル基:C8〜C12)の、エトキシル化されたアルカノール(EO単位:4〜30、アルキル基:C12〜C18)の、エトキシル化されたアルキルフェノール(EO単位:3〜50、アルキル基:C4〜C9)の、アルキルスルホン酸(アルキル基:C12〜C18)のおよびアルキルアリールスルホン酸(アルキル基:C9〜C18)のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩である。
【0031】
さらなる適した乳化剤は、一般式
【化1】

[式中、RおよびRは、水素またはC4〜C14アルキルであり、同時には水素でなく、かつXおよびYは、アルカリ金属イオンおよび/またはアンモニウムイオンであってよい]の化合物である。有利には、RおよびRは、炭素原子6〜18個、とりわけ炭素原子6、12および16個を有する線状または分岐状のアルキル基または水素であるが、しかしRおよびRは、2つ同時には水素でない。有利には、XおよびYは、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムイオンであり、ナトリウムがとりわけ有利である。とりわけ有利な化合物IIは、XおよびYがナトリウムであるものである。Rは、炭素原子12個を有する分岐状アルキル基であり、かつRは、水素またはRである。頻繁に、モノアルキル化された生成物50質量%〜90質量%の部分を含有する工業用混合物、例えばDowfax(R)2 A1(Dow Chemical Companyの商標)が用いられる。
【0032】
適した乳化剤は、Houben-Weyl, Methoden der oraganischen Chemie, Volume 14/1, Makromolekulare Stoffe, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart, 1961, pp.192〜208にも見られる。
【0033】
乳化剤の商品名は、例えばDowfax(R)2 A1、Emulan(R)NP 50、Dextrol(R)OC 50、Emulgator 825、Emulgator 825 S、Emulan(R)OG、Texapon(R)NSO、Nekanil(R)904 S、Lumiten(R)I−RA、Lumiten E 3065、Disponil FES 77、Lutensol AT 18、Steinapol VSLおよびEmulphor NPS 25である。
【0034】
たいてい表面活性物質は、重合されるべきモノマーに対して0.1質量%〜10質量%の量で使用される。
【0035】
エマルジョン重合のための水溶性開始剤は、例えば、ペルオキソ二硫酸、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウムのアンモニウム塩およびアルカリ金属塩、過酸化水素または有機過酸化物、例えばt−ブチルヒドロペルオキシドである。
【0036】
同様に適しているのは、還元−酸化(レドックス)開始剤系として公知のものである。
【0037】
レドックス開始剤系は、少なくとも1つの還元剤、たいてい無機還元剤、および1つの有機酸化剤または無機酸化剤からなる。
【0038】
酸化成分は、例えば上ですでに言及されたエマルジョン重合開始剤を有する。
【0039】
還元成分は、例えば、亜硫酸のアルカリ金属塩、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸のアルカリ金属塩、例えば二亜硫酸ナトリウム、脂肪族アルデヒドおよびケトンを有する亜硫酸水素塩付加化合物、例えばアセトン重亜硫酸塩、または還元剤、例えばヒドロキシメタンスルフィン酸およびその塩、またはアスコルビン酸を有する。レドックス開始剤系は、その金属成分が複数の原子価状態で存在しうる可溶性金属化合物と一緒に使用されうる。
慣例のレドックス開始剤系は、例えばアスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ペルオキソ二硫酸ナトリウム、t−ブチルヒドロペルオキシド/二亜硫酸ナトリウム、t−ブチルヒドロペルオキシド/ヒドロキシメタンスルフィン酸Naである。個々の成分、例えば還元成分は、混合物、例えばヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム塩と二亜硫酸ナトリウムとの混合物であってもよい。
【0040】
示された化合物は、主として水溶液の形で使用され、その際、下位の濃度は、分散液中で許容されうる水量によって測定され、かつ上位の濃度は、それぞれの化合物の水中での溶解度によって測定される。一般に濃度は、溶液に対して0.1〜30質量%、有利には0.5〜20質量%、さらに有利には1.0〜10質量%である。
【0041】
一般に開始剤の量は、重合されるべきモノマーに対して0.1質量%〜10質量%、有利には0.5質量%〜5質量%である。2つ以上の異なる開始剤をエマルジョン重合において使用することも可能である。
【0042】
重合の過程で、例えば重合されるべきモノマー100質量部当たり0〜0.8質量部の量で調節剤を使用することが可能であり、かつこれらの調節剤はモル質量を減少させる。適した例は、チオール基を有する化合物、例えばt−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸エチルアクリルエステル、メルカプトエチノール、メルカプトプロピルトリメトキシシランまたはt−ドデシルメルカプタンを包含する。
【0043】
エマルジョン重合は、一般に30〜130℃で、有利には50〜90℃で行われる。重合媒体は、水単独でなるか、またはそうでなければ水と、メタノールのような水混和液体との混合物からなってよい。単に水を使用することが有利である。エマルジョン重合は、バッチ操作としてかまたは、供給法、例えば段階法または勾配法の形で実施されうる。有利なのは供給法であり、そこで、重合バッチの一部が出発装入物(initial charge)として導入され、重合温度に加熱されかつ部分的に重合され、次いで重合バッチの残りは、たいてい空間的に分離された供給物(その1つ以上は、モノマーを純粋な形でまたは乳化された形で有する)によって重合帯域に連続して段階的に供給されるか、または濃度勾配を受け、かつ添加の間ずっと重合は維持される。重合と関連して、例えば粒度の改善された設定を目的として、ポリマーシードを出発装入物中に含めることも可能である。
【0044】
開始剤をラジカル水性エマルジョン重合の過程で重合容器に添加する仕方は、当業者に公知である。それは重合容器に対して完全に出発装入物中に含まれているか、またはそうでなければ、それがラジカル水性エマルジョン重合の過程で消費される速度で、連続してまたは段階的に挿入されうる。特にこれは、開始剤系の化学的性質および重合温度に依存する。有利には、一回分が出発装入物中に含まれ、残りは、それが消費される速度で重合帯域に供給される。
【0045】
残留モノマーを除去するために、実際のエマルジョン重合の終了後でも、すなわち少なくとも95%のモノマー変換率後でも、開始剤は通常、添加されるべきである。
個々の成分は、供給法の場合、上方から、側方部を介してまたは下方から、反応器床を介して反応器に添加してよい。
【0046】
エマルジョン重合の場合、一般に、15質量%〜75質量%、有利には40質量%〜75質量%の固体含有率を有するポリマーの水性分散液が得られる。
【0047】
本発明のために、有利な固体含有率は、50質量%〜75質量%、とりわけ55質量%〜75質量%である。
【0048】
反応器の高い空時収量のために、有利なのは、極めて高い固体含有率を有する分散液である。固体含有率>60質量%を達成しうるために、バイモーダルまたはポリモーダルな粒度が設定されるべきである。なぜなら、それ以外では粘度があまりに高くなりすぎ、かつ分散液をもはや取り扱うことができなくなるからでる。粒子の新世代を形成するには、シードを添加することによって(EP81083)、過剰の分量の乳化剤を添加することによって、またはミニエマルジョンを添加することによって達成されうる。低い粘度と高い固体含有率との組み合わせに対応付けられるさらなる利点は、高い固体含有率での改善されたコーティング挙動である。粒子の1つ以上の新世代は、任意の時点で引き起こされうる。それらの形成は、低い粘度を目的とする粒度分布によって制御される。
【0049】
このように製造されたポリマーは、有利にはその水性分散液の形で使用される。
【0050】
ポリマー分散液の粘度は、有利には50〜1000mPas、とりわけ50〜500mPasである。
【0051】
ポリマーのまたはエマルジョンポリマーのガラス転移点は、有利には−60℃〜0℃、さらに有利には−60℃〜−10℃および極めて有利には−60℃〜−20℃である。
【0052】
ガラス転移点は、慣例の方法、例えば示差熱分析または示差走査熱分析(例えばASTM 3418/82、中点温度を参照のこと)によって測定されうる。
【0053】
ポリマー分散液のpH値は、有利には5〜8、最も有利には5〜7である。pHのこの範囲において、加水分解反応は抑制され、殊に、抑制は、2つを上回るC原子を有するアルコキシ基、特にイソプロポキシ基により観察される。加水分解は、この範囲を下回るかまたは上回るpHでまたは温度を上昇させることによって、生じるかまたは促進されうる。
【0054】
加水分解性シランについて
加水分解性シラン基は、水と反応し(加水分解)直接的にケイ素原子に結合したOH基を形成する分子基である。
【0055】
とりわけ加水分解性シラン基は、ケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルコキシ基を有する。
【0056】
加水分解性シラン基は、上の合成ポリマー自体に結合させてよい;代替的に、接着剤は、加水分解性シラン基を有するさらなる添加剤を有してよい。
【0057】
ポリマーに結合されるシラン基は、とりわけ式I
【化2】

[式中、R〜Rは、互いに無関係に、それぞれ有機基であり、ただし、基R〜Rの少なくとも1つは、アルコキシ基、とりわけC〜Cアルコキシ基、有利にはC〜Cアルコキシ基である]のものである。とりわけ有利には、基R〜Rの2つ、3つまたは全ては、アルコキシ基である。
【0058】
極めて非常に有利な、適したアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基または、そうでなければ、とりわけイソプロポキシ基である。
【0059】
残りの基は、それぞれ別に有機基であり、とりわけ、炭素原子20個までを、および適切ならば、ヘテロ原子、例えばO、N、Sを有してよい有機基である。とりわけ適しているのは、アルキル基、殊にC〜C20、C〜C10アルキル基である。
【0060】
このシラン基は、4位の自由原子価を介してポリマーに結合される。
【0061】
適したシラン基の例は、モノ−、ジ−またはトリアルコキシシラン基であり、残りの基は、有機基、殊にアルキル基である。
【0062】
ポリマーは、ポリマー100g当たりにつき、シラン基を、有利には0.001〜0.1モル、さらに有利には0.001〜0.01モルおよび極めて有利には0.001〜0.005モル有する。
【0063】
シラン基は、シラン基を有するモノマーとの共重合、シラン基を有する調節剤の使用、またはポリマーと、シラン基を有する反応性化合物との反応の結果としてポリマーに結合しうる。
【0064】
シラン基を有する、適したモノマーまたは調節剤は、式II
【化3】

[式中、R〜Rは、上で定義されたものと同じであり、かつXは、少なくとも1つの、有利には1つの、共重合性の、エチレン性不飽和基、とりわけビニル基、殊にアクリル基またはメタクリル基、またはアリル基、または調節基(regulating group)(例えば鎖末端官能基化基(chain-terminating group))、とりわけメルカプト基を有する有機基である]のものを包含する。共重合性基または調節基に加えて、とりわけXは、例えば、共重合性基または調節基をケイ素原子に結び付ける、アルキレン基のようなスペーサー基を有することも可能である。しかしながら、共重合性基または調節基はまたケイ素原子に直接的に結合しうる。有利には、Xは、200g/モル未満の、とりわけ100g/モル未満の分子量を有する。
【0065】
モノマーの例は、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン(その際、ビニル基は、ケイ素原子に直接的に結合している)、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(その際、メタクリル基は、スペーサーとしてのプロピル基を介してケイ素原子に結合している)を包含する。調節剤として、メルカプトプロピルトリメトキシシランが言及されうる。
【0066】
ポリマー中の上のモノマーまたは調節剤の量は、上のシラン基含有率が達成されるように選択される;このためには一般に、ポリマー100質量部当たり0.005〜5質量部、さらに有利には0.01〜2.0質量部、最も有利には0.1〜1.0質量部で十分である。
【0067】
代替的に、接着剤は、加水分解性シラン基を有する添加剤を有してもよい。有利には、そのような添加剤は、上の式Iの基を有する化合物であってよい。有利な添加剤は、100〜2000g/モル、最も有利には100〜1000g/モル、殊に100〜250g/モルの低い分子量を有する。最も有利には、そのような添加剤は上の式Iを有し、その際、ポリマーに対する自由原子価は、さらなる置換基R4によって置換される。
【0068】
R4は、水素原子または有機基、とりわけ、炭素原子20個までを、および適切ならば、ヘテロ原子、例えばO、N、Sを有してよい有機基である。とりわけ適しているのは、アルキル基、殊にC〜C20、C〜C10アルキル基または上で定義されたアルコキシ基である。最も有利なR4は、ヒドロキシ基、第一級アミノ基、第二級アミノ基または第三級アミノ基、イソシアネート基、ウレイド基、カルバメート基、無水物基、カルボキシル基またはエポキシ基、例えばグリシジル基のような官能基を有する。とりわけ有利には、R〜Rの1つ、2つまたは3つの基はアルコキシ基である。
【0069】
そのような添加剤の例は、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランである。適したシランは、Wackerから商品名Geniosil(R)で提供されている。
【0070】
接着剤は、シラン基を有する合成ポリマーまたはシラン基を有する添加剤を有してよく、またはシラン基を有する合成ポリマーとシラン基を有する添加剤の両方を有してよい。
【0071】
シラン基(式Iに相当する)の全体の量は、合成ポリマー100g当たり、有利には0.001〜0.1モル、さらに有利には0.001〜0.01モルおよび極めて有利には0.001〜0.005モルであり、そこでシラン基は、ポリマーに結合されていてよく、または添加剤または2つの部分であってよい。
【0072】
水性接着剤の使用について
水性接着剤は、バインダーとして上のポリマーを有する。水性接着剤は、単にバインダーからなるかまたはバインダーの水性分散液からなる;代替的に、それはさらなる成分を有してよい。
【0073】
水性接着剤は、本発明に従って非セラミック床材のために使用される。セラミック床材は、とりわけタイルである。
【0074】
非セラミック床材の場合、軟質床材と非軟質床材の区別がつけられるべきである。
【0075】
軟質床材のための使用について
この適用のために、水性接着剤は、とりわけ、さらなる添加剤として充填剤、粘着性付与樹脂(粘着性付与剤)、増粘剤、抑泡剤または湿潤剤および/または分散補助剤を有してよい。
【0076】
この適用のために、有利には、接着剤は充填剤を有する。
【0077】
適した充填剤は、とりわけ無機充填剤を包含する。言及されうる例は、細かく粉砕された白亜または沈降白亜、殊に、一般に2〜50mmの間の平均粒径を有するものおよび/または3〜50mmの通常の平均粒径を有する石英粉を包含する。
【0078】
充填剤の量は、ポリマー(固体、溶媒なし)100質量部当たり、とりわけ10〜1000質量部、さらに有利には少なくとも30質量部、最も有利には少なくとも60質量部である。
【0079】
有利な粘着性付与樹脂(粘着性付与剤)は、0〜90℃、有利には40〜85℃のガラス転移点を有する、アビエチン酸または変性アビエチン酸、例えば水素化アビエチン酸または不均化アビエチン酸またはこれらの化合物のエステルをベースとする樹脂である。
【0080】
この種類の樹脂は、とりわけロジンとして公知である。
【0081】
改善された表面湿潤性のために、接着剤は、とりわけ湿潤補助剤、例えば脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、スルホコハク酸エステル、ノニルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレン/プロピレンまたはドデシルスルホン酸ナトリウムを有することが可能である。
【0082】
例えば、水性接着剤中のポリマー(固体、溶媒なし)100質量部当たり、湿潤剤は0〜5質量部の量で、増粘剤は0〜10質量部の量で、防腐剤は0〜3質量部の量でかつ抑泡剤は0〜10質量部の量で含まれていてよい。
【0083】
接着剤は、例えば、有機溶媒および可塑剤、例えばブチルアセテート、トルエンまたはフタレートを有利には本質的に含まず、かつさらに有利には完全に含まない。それゆえ、それは、大気圧(1bar)下で300℃を下回る沸点を有する有機化合物を、ポリマー(固体、溶媒なし)100質量部当たり、有利には0.5質量部を下回る量で、さらに有利には0.1質量部を下回る量で、極めて有利には0.05質量部を下回る量でかつ、とりわけ0.01質量部を下回る量で含む。とりわけ有利には、接着剤は、German Association for Emissions-Controlled Installation Materials(Gemeinschaft Emissionskontrollierter Verlegewerkstoffe)によって定義された放散量から免れた要求を満たす。
【0084】
放散量は、チャンバー試験法によって測定される。本発明の床接着剤または組成物は、その大きさがチャンバーの体積によって制御されているガラスプレートに300g/mで塗布される。チャンバーには、チャンバー容積1m当たり、コーティングされたガラスプレート0.4mが装入される。ステンレス鋼の試験チャンバー(その容積は少なくとも125リットルである)における放散条件は、23℃、相対湿度50%、および二時間毎に完全な換気がもたらされる時間制の換気方式である。このために、定義された容量の気流が吸着剤に導通させられる。脱着が続けて行われ、放散された物質は、ガスクロマトグラフィー(GC−MSカップリング)または液体クロマトグラフィーによって測定される。長期にわたる放散量は、標準物質としてのトルエンを用いて、mg/mにおいて測定される。そのチャンバー濃度が20mg/mより大きい、放散された物質は、同定されかつ同定された純粋な物質により較正される。そのチャンバー濃度が20mg/m未満である、放散された物質は、個々に同定されない。これらの場合、較正にはトルエンが用いられる。
【0085】
全ての物質の値が加算される。
【0086】
本発明の組成物の場合、全ての有機化合物の合計の放散値は、有利には1500mg/mを上回らずかつ、とりわけ500mg/mを上回らない。
【0087】
水性接着剤は、容易に、例えば充填剤および、適切であればさらなる添加剤を、攪拌しながら、エマルジョン重合から得られる水性ポリマー分散液に添加することによって製造されうる。
【0088】
水性接着剤の水含有率は、全体としての水性組成物に対して、例えば5質量%〜50質量%、とりわけ10質量%〜40質量%でありうる。
【0089】
軟質床材は、とりわけ、例えばPVC(多層材または均質材としての形態での)、繊維バッキング(例えばジュート)を有する発泡材、ポリエステル不織布、ゴム材、繊維材、例えば種々のバッキング(例えばポリウレタンフォーム、スチレン−ブタジエン−フォーム、繊維二次バッキング)を有するもの、ニードルフェルト材、ポリオレフィン材またはリノリウム材からなる、カーペットまたは他の床材である。
【0090】
これらの軟質床材は、木材、プラスチックのような基材、スクリーディング(screeding)、コンクリート、セラミックタイルのような鉱物基材、金属基材等に接着されうる。
【0091】
接着剤は、例えば歯付き塗布装置を用いて基材に塗布されうる。慣例の通気後、床材が敷設される。
【0092】
非軟質床材のための使用について
本発明のための非軟質床材は、とりわけ木材床、有利には木材ブロック床(wood block floors)またはラミネート床(laminate floors)である。この場合、本発明に従って、接着剤は個々の板を互いに接合するためには用いられず、むしろ板を基材に接合するために用いられる(非フローティング取り付け(non-floating installation))。
【0093】
水性接着剤は、バインダーとして上のポリマーを有する。この適用のために、水性接着剤は、単にバインダーからまたはバインダーの水性分散液からなってよい;代替的に、それは、さらなる成分、とりわけ、例えば充填剤、粘着性付与樹脂(粘着性付与剤)、増粘剤、抑泡剤または湿潤剤および/または分散補助剤を有してよい。
【0094】
本発明の接着剤組成物は、良好な水準の性能特性、例えば剥離強度(付着力)、極めて良好な剪断強度(付着層内での凝集力)、生強度形成(早期の剪断強度の形成)、オープンタイム(長時間の通気後でもなお良好な付着力)および耐熱性を示す。
【0095】
A)非軟質床材に関する例(木材床)
ポリマー合成
一般的なデータ:反応を、機械攪拌機が備え付けられた反応器でセミバッチエマルジョン重合として行った。以下の材料を重合において用いた:SULFOLETM 120 t−ドデシルメルカプタン(Phillips Petroleum of Bartlesville, Oklahomaから)を連鎖移動剤として用い、Trilon BX、15%の水溶液としてのTEXAPONTM K 12 PA 15 ラウリル硫酸ナトリウム(Cognis Corp., Cincinnati, Ohioから)および90%の溶液としてのIconolTM TDA−8 エトキシル化された非イオン表面活性剤(BASF Corp.)を表面活性剤として用いた;シランとして、DegussaからのDYNASYLAN VTEO(=ビニルトリエトキシシラン)およびGE SiliconesからのCOATOSIL 1706(=ビニルトリス(イソプロポキシ)シラン)を用いた。
【0096】
ラテックス 1のためにここで概説される方法:水199.6g、Trilon BX gの40%の水溶液0.06gおよびアスコルビン酸0.6gを反応容器に装入し、かつ混合物を90℃に加熱した。水116.2gおよび過硫酸ナトリウム8.7gの開始剤供給物から10%を移し、かつ反応混合物に添加した。引き続き、以下の3つの分離された供給物を一定の供給速度でこのように添加した:(a)開始剤供給物の残りを3.75時間以内に添加した;(b)モノマーエマルジョン混合供給物(水165.0g、15%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液45.2g、90%の水性Iconol TDA−8 5.0g、10%の水酸化ナトリウム溶液45.2g、t−ドデシルメルカプタン1.1g、メタクリル酸33.9g、およびn−ブチルアクリレート1039.6gからなる)から20gを15分以内に添加し、引き続き別の60gを15分以内に、かつ残りを3.0時間以内に添加した;(c)30分の時間遅れの後、アクリロニトリル56.5gを2.5時間以内に添加した。供給の全体の継続時間を通じて、温度を90℃で保持した。供給段階後に、モノマーエマルジョンタンクを水16.3gでフラッシングし、かつ温度を85℃に変化させた。分散液を、以下の2つの混合物を2つの分離された供給物として2時間の過程にわたって添加することによって後ストリップした:(a)70%のt−ブチルヒドロペルオキシド溶液6.5gおよび水33.5gおよび(b)メタ重亜硫酸ナトリウム4.5g、アセトン2.6gおよび水32.9g。次に、10%のNaOH22.6gの溶液および水19.2gを添加し、かつ12.5%の過酸化水素1.5gを添加した。次いでラテックスを冷却し、かつ場合により後添加剤を添加した(殺虫剤)。
【0097】
ラテックス 2:ラテックス 1の調製、ただしこれらの変化を伴う:AAEM 11.3gおよびn−ブチルアクリレート1028.3gを用いた。
ラテックス 3:ラテックス 1の調製、ただしこれらの変化を伴う:ビニルトリエトキシシラン6.8g、n−ブチルアクリレート1028.3gおよびアクリロニトリル61.0gを用いた。
ラテックス 4:ラテックス 1の調製、ただしこれらの変化を伴う:ビニルトリス(イソプロポキシ)シラン8.5g、n−ブチルアクリレート1028.3gおよびアクリロニトリル59.3gを用いた。
ラテックス 5:出発装入物中での水156.0gおよびモノマーエマルジョン中での水98.4gを用いた。
ラテックス 6:ラテックス 1の調製、ただしこれらの変化を伴う:ビニルトリエトキシシラン4.2g、n−ブチルアクリレート1100.0g、出発装入物中での水156.0gおよびモノマーエマルジョン中での水94.8gを用いた。
ラテックス 7:ラテックス 1の調製、ただしこれらの変化を伴う:ジアセトンアクリルアミド22.6gおよびn−ブチルアクリレート1017.0gを用いた。
ラテックス 8:ラテックス 1の調製、ただしこれらの変化を伴う:ビニルトリス(イソプロポキシ)シラン4.5g、n−ブチルアクリレート1032.3gおよびアクリロニトリル59.3gを用いた。
ラテックス 9:ラテックス 1の調製、ただしこれらの変化を伴う:出発装入物は、水195.0g、Trilon BX0.07gおよびアスコルビン酸0.65gであった;モノマーエマルジョン混合物は、水144.3g、15%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液52.0g、90%の水性Iconol TDA−8 5.8g、10%の水酸化ナトリウム水溶液52.0g、53%のアクリルアミド水溶液9.8g、メタクリル酸19.5g、およびn−ブチルアクリレート1171.3gであった;他の成分は、1.08の係数を掛けた、ラテックス 1におけるのと同じものであった。
ラテックス 10:ラテックス 9の調製、ただしこれらの変化を伴う:ビニルトリス(イソプロポキシ)シラン9.8gおよびn−ブチルアクリレート1161.6gを用いた。
ラテックス 11:ラテックス 9の調製、ただしこれらの変化を伴う:出発装入物中での水169.0gおよびモノマーエマルジョン中での水98.0gを用いた。
ラテックス 12:ラテックス 9の調製、ただしこれらの変化を伴う:ビニルトリス(イソプロポキシ)シラン7.2gおよびn−ブチルアクリレート1164.2gを用いた。
ラテックス 13:ラテックス 9の調製、アクリロニトリルの代わりにスチレンを用いる。
ラテックス 14:ラテックス 9の調製、ただしこれらの変化を伴う:スチレン65.0gおよびアクリロニトリル39.0gを用いた。
ラテックス 15:ラテックス 9の調製、ただしこれらの変化を伴う:スチレン39.0gおよびアクリロニトリル65.0gを用いた。
ラテックス 16:ラテックス 9の調製、ただしこれらの変化を伴う:メタクリル酸26.0gを用いかつアクリルアミドを用いなかった。
ラテックス 17:ラテックス 9の調製、ただしこれらの変化を伴う:ビニルトリス(イソプロポキシ)シラン7.2g、n−ブチルアクリレート1164.2gおよびt−ドデシルメルカプタン0.7gを用いた。
ラテックス 18:ラテックス 9の調製、ただしこれらの変化を伴う:スチレン84.5gおよびアクリロニトリル19.5gを用いた。
【0098】
全体の固体、pH、粒度、および粘度の測定。全体の固体含有率を、出力設定(power setting)70%のCEM Labware 9000 Microwave Moisture/Solids Analyzer instrumentの使用によって測定した。pH測定を、Orion 310 pH計を使用することによって実施し、その際、較正を、使用する前に実施した。粒度は、25℃で90゜の角度での動的光散乱法を利用するNICOMPTM 308 Submicron Particle Sizerの使用によって行った。各々のラテックス試料の粘度は、Brookfield RV BF-1 DVII viscometerを使用して得た。
【0099】
ラテックス 1:固体含有率62.8%、pH7.3、粘度290cps
ラテックス 2:固体含有率63.8%、pH7.3、粘度290cps
ラテックス 3:固体含有率63.4%、pH6.6、粘度270cps
ラテックス 4:固体含有率63.2%、pH6.4、粘度360cps
ラテックス 5:固体含有率67.7%、pH6.4、粘度1320cps
ラテックス 6:固体含有率67.5%、pH6.4、粘度280cps
ラテックス 7:固体含有率62.6%、pH6.5、粘度70cps
ラテックス 8:固体含有率63.2%、pH6.4、粘度70cps
ラテックス 9:固体含有率65.7%、pH7.6、粘度420cps
ラテックス 10:固体含有率67.1%、pH7.6、粘度560cps
ラテックス 11:固体含有率68.7%、pH7.4、粘度900cps
ラテックス 12:固体含有率67.0%、pH7.8、粘度460cps
ラテックス 13:固体含有率65.5%、pH7.0、粘度1000cps
ラテックス 14:固体含有率66.0%、pH7.8、粘度490cps
ラテックス 15:固体含有率66.1%、pH8.1、粘度640cps
ラテックス 16:固体含有率67.3%、pH7.0、粘度400cps
ラテックス 17:固体含有率66.8%、pH8.3、粘度430cps
ラテックス 18:固体含有率67.0%、pH7.6、粘度594cps
pH9.5での粘度:ラテックス 1−520cps、ラテックス 2−340cps、
ラテックス 3−270cps、ラテックス 4−340cps、ラテックス 5−>10000cps、ラテックス 6−>10000cps、ラテックス 7−130cps、ラテックス 8−141cps、ラテックス 9−187cps、ラテックス 10−270cps、ラテックス 11−986cps、ラテックス 12−482cps、ラテックス 13−>10000cps、ラテックス 14−594cps、ラテックス 15−574cps、ラテックス 16−478cps、ラテックス 17−424cps、ラテックス 18−1536cps。
【0100】
ラテックスフィルム調製、機械的特性(引張試験)および吸水率。ラテックスフィルムをまず、全体の固体含有率40%を達成するために十分な水の添加によって調製した。次いで、結果生じる希釈分散液をテフロンモールド内に注入し、かつ湿度50%で25℃にて3日間、空気乾燥した。場合によりその後、フィルムをオーブン内に規定された時間のあいだ50℃で置いた。フィルム厚は、約0.02インチであった。
引張実験のための試料調製は、まず試料の両サイドに剥離紙を置くことによって実施し、かつ相応する0.158"(幅に関して)"dog bone"型試料を切断した。一般に、3つの試料を試験で用いた。22 Ibロードセルが備え付けられたInstron 4505を使用した。伸びを7.9インチ/分で実施し、かつ最大強度および破断伸び率を記録した(表1を参照のこと)。
【0101】
フィルムの吸水率は、2インチ×2インチのフィルム片を切断し、乾燥質量を測定し、該片部を、室温で24時間、脱イオン水中に浸漬させ、かつそれらを水から取り出した後に試料の質量を測定することによって決定した。吸水率は、得られた質量百分率であり、かつそれは試験試料1つ当たり平均3〜5つの供試体からなる。
【0102】
【表1】

【0103】
硬化条件1:室温で5日間
硬化条件2:室温で5日間および50℃で1日間
硬化条件3:室温で5日間および50℃で2日間
硬化条件4:室温で5日間および50℃で3日間
硬化条件5:室温で5日間および50℃で9日間
硬化条件2における吸水率;
ラテックス 1−29.2%
ラテックス 3−25.0%
ラテックス 4−31.3%
ラテックスpHを、30%の水酸化ナトリウム水溶液で以下の値に調節し、次いで硬化条件2を適用した(N/mm2における最大強度;%における破断伸び率)
【表2】

【0104】
剪断試験のために、試料を以下のように配合した:攪拌しながら、以下の成分を水性分散液126g(固体含有率60〜65%)に添加した:Drewplus L−108 0.75g(Ashland Chemicalsから)、Igepal CO 530 0.15g(Rhodiaから)、20%のSTPP(=トリポリリン酸ナトリウム、Astarisから)の水性スラリー1.5g。この混合物に、Duramite 135g(Imerysから)を強い攪拌下でゆっくりと添加した。pHを、KOH水溶液を用いて8〜9に調節し、かつ最後にLatekoll D 3.0g(BASF Aktiengesellschaft)を添加した。
木材上の木材(wood-on-wood)の剪断結果を、わずかに変更されたASTM D 3498プロトコールを用いて得た。堅木および合板に関する全ての寸法は、前述の規格において定められたものとして用いた。しかしながら、コーキング装置で堅木上に接着剤の2つのビードを置いた後、接着剤を、合板ストリップを置く前に10分間空気乾燥した。その後、10ポンドの重しを、合板を堅木上にプレスするために用いた。次いで、くぎを、合板ストリップを固定するために用いた。次いで試験を、24時間、5日間、および湿度50%にて25℃で2週間空気乾燥した後に、指定されたように行った。圧縮を、0.2インチ/分のクロスヘッド速度でInstron 4504を用いて行い、かつ最大荷重量を記録した。
【0105】
剪断試験。試料を、CT&H条件下で硬化させた。数字は、最大値での応力を指す(N/mm2)
【表3】

【0106】
ラテックス 10ポリマーフィルム引張率:0.66N/mm2および2165%を生じる硬化条件1;1.4および1330%を生じる効果条件;1.87および1412%を示す硬化条件3。
【0107】
ラテックスのpHを、30%の水酸化ナトリウム水溶液で以下の値に調節し、次いで硬化条件2を適用した(N/mm2における最大強度;%における破断伸び率、%における吸水率)
【表4】

【0108】
90度剥離試験(N/mm2における)
【表5】

【0109】
これらのフィルム試験のために、硬化条件2を適用した。
【0110】
【表6】

【0111】
硬化条件2による、Latex 16の引張率および伸び率のデータ;0.78および2390%。0.15%の水酸化カルシウムの添加後のデータ:1.60および1684%;水酸化カルシウム0.30%の添加後:2.38および948%の伸び率。
【0112】
硬化条件2を用いた、Latex 17および18の引張率および伸び率のデータ:Latex 17は、1.22および1538%の伸び率を示す。Latex 18は、1.22および2111%の伸び率を示す。
【0113】
以下の表中で用いられる略記:
MAA:メタクリル酸
AM.アクリルアミド
BA:n−ブチルアクリレート
シラン 1:ビニルトリエトキシシラン
シラン 2:ビニル(トリ−イソプロポキシ)シラン
DAAM:ジアセトンアクリルアミド
AAEM:アセトアセチルエチルメタクリレート
Sty:スチレン
ACN:アクリロニトリル
【表7】

【0114】
【表8】

【0115】
B)軟質床材のための例
1.エマルジョン重合によるポリマー分散液の調製
エマルジョン重合のために、ポリスチレンシード(モノマーに対して1.5質量%)およびイタコン酸の3分の1の量を、出発装入物中に含めた。
【0116】
重合温度は78℃であった。使用した開始剤は過硫酸ナトリウムで、使用した乳化剤はTexaponNSO−IS(脂肪族、エトキシル化されたNa塩)であった。
【0117】
モノマーを5.5時間にわたって計量供給し、開始剤溶液を6時間にわたって計量供給した。
【0118】
ポリマーの組成は、以下の表中で指摘されている(質量部において)。
【0119】
【表9】

【0120】
水性組成物の調製
ポリマー分散液を、以下の表中で指摘される充填剤、粘着付与剤およびさらなる添加剤と混合した。
【0121】
【表10】

【0122】
質量部における量
【表11】

【0123】
3.性能試験
−生強度形成
接着剤を、DINのコーターを用いて、取り外す向きでセメントファイバーボードパネル(例えば、Eternit(R)2000)(20×50cm)に排出した。塗布した量は、約350〜400g/mである。ニードルフェルト床材ストリップ(NFCストリップ)を、10分後に接着剤の層に置き、かつ2.5kgのローラーを3回、前後に転がすことによってプレスする。その30分後、ストリップを取り出し装置で引っ張り出すことによって、耐剥離性をN/5cmにおいて測定する。
【0124】
−耐熱性
5分間、空気にさらした後、接着剤でコーティングされている5つのPVC試験ストリップ(60×50mm)を、DIN 16860(10cm2 接着面)に規定されるファイバーセメントに付着し、かつ14日間、標準実験室雰囲気中で保った。その後、それらを30分間のあいだ50℃に調整し、次いで2kgの荷重を施し、かつ供試体をそれらが引き離されるまで8〜最大1440分間、循環空気炉内で50℃に保つ。
【0125】
結果は、以下の表中で示される:
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非セラミック床材を基材に接合する方法であって、バインダーとして合成ポリマーを有する水性接着剤を使用し、かつ該接着剤が加水分解性シラン基を有する、非セラミック床材を基材に接合する方法。
【請求項2】
ポリマー自体が加水分解性シラン基を有するか、または接着剤が加水分解性シラン基を有するさらなる添加剤を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
シラン基がポリマーに結合されており、かつ該シラン基は、式
【化1】

[式中、R〜Rは、互いに無関係に、それぞれ有機基であり、ただし、前記基の少なくとも1つはアルコキシ基である]の基である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
シラン基の量が、0.001〜0.1モル/100g ポリマーである、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ポリマーを、C1〜C20アルキル(メタ)アクリレート、炭素原子20個までを有するカルボン酸のビニルエステル、炭素原子20個までを有するビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、炭素原子1〜10個を有するアルコールのビニルエーテル、炭素原子2〜8個および1つまたは2つの二重結合を有する脂肪族炭化水素、またはこれらのモノマーの混合物から選択された主モノマー少なくとも40質量%から合成する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ポリマーが、C1〜C20アルキル(メタ)アクリレート少なくとも40質量%からなる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
シラン基を、シラン基を有するモノマーとの共重合、シラン基を有する調節剤の使用、またはポリマーと、シラン基を有する反応性化合物との反応の結果としてポリマーに結合する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
シラン基を有する調節剤およびモノマーの質量分率が、ポリマー100質量部当たり0.005〜5質量部である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
ポリマーが、エマルジョンポリマーでありかつ水性ポリマー分散液の形である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
水性ポリマー分散液の固体含有率が、50質量%〜75質量%、とりわけ55質量%〜70質量%である、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
ポリマー分散液の粘度が50〜1000mPas、とりわけ50〜500mPasである、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
ポリマーのガラス転移点が−60〜0℃である、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
軟質床材、殊にカーペットを接合するための、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
接着剤が、ポリマー(固体)100質量部当たり充填剤10〜400質量部を有する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
接着剤が、さらに粘着性付与樹脂、増粘剤および湿潤剤を有してよい、請求項13または14記載の方法。
【請求項16】
接着剤を基材に塗布し、引き続き床材を敷設する、請求項13から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
木材、殊に木材ブロックまたはラミネートからなる非軟質床材を接合するための、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2009−504861(P2009−504861A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526479(P2008−526479)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065048
【国際公開番号】WO2007/020201
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】