説明

非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤

本発明は、HIV感染を治療するために、もしくはHIV感染を予防するために、またはAIDSもしくはARCを処置するために有用な化合物を提供する。本発明の化合物は、式(I)のもの(式中、R、R、R、R、XおよびXは本明細書に定義されているとおりである)である。同じく、本発明で開示されているのは、本明細書で定義されている化合物およびその化合物を含有する医薬組成物でのHIV感染の処置方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス療法の分野、特に、HIV逆転写酵素を阻害し、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)仲介疾患を処置するために有用な非ヌクレオシド化合物に関するものである。本発明は、単剤療法もしくは併用療法でこの化合物を使用する、HIV仲介疾患、AIDSもしくはARCを治療または予防するための、式Iに係る新規なN−フェニルフェノキシアセトアミド化合物を提供する。
【0002】
ヒト免疫不全ウイルスHIVは、免疫系、特にCD4T細胞の崩壊とそれに伴う日和見感染症への感受性を特徴とする疾患である後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因因子である。HIV感染はまた、持続性の全身性リンパ節腫脹、発熱および体重減少といった症状を特徴とする症候群である、前駆症状AIDS関連症候群(ARC)に関連している。
【0003】
他のレトロウイルスと同様に、HIVゲノムは、ウイルスプロテアーゼにより処理されてプロテアーゼ、逆転写酵素(RT)、エンドヌクレアーゼ/インテグラーゼおよびウイルス核の成熟構造タンパク質を生成するgagおよびgag−polとして知られるタンパク質前駆体をコードしている。この処理が妨害されると、正常な感染性ウイルスの産生が妨げられる。ウイルスによりコードされている酵素の阻害によるHIV制御を目的として多大な努力がなされている。
【0004】
HIV−1化学療法について、2種の酵素:HIVプロテアーゼおよびHIV逆転写酵素が、広く検討されている(J. S. G. Montaner et al. Antiretroviral therapy: 'the state of the art', Biomed & Pharmacother. 1999 53:63-72; R. W. Shafer and D. A. Vuitton, Highly active retroviral therapy (HAART) for the treatment of infection with human immunodeficiency virus type, Biomed. & Pharmacother. 1999 53:73-86; E. De Clercq, New Developments in Anti-HIV Chemotherap. Curr. Med. Chem.2001 8:1543-1572)。二つの一般的クラスのRTI阻害剤:ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)および非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)が同定されている。現在、CCR5共受容体が、抗HIV化学療法のための可能性のある標的として浮上している(D. Chantry, Expert Opin. Emerg. Drugs 2004 9(1):1-7; C. G. Barber, Curr. Opin. Invest. Drugs 2004 5(8):851-861; D. Schols, Curr. Topics Med. Chem. 2004 4(9):883-893; N. A. Meanwell and J. F. Kadow, Curr. Opin. Drug Discv. Dev. 2003 6(4):451-461)。HIV−1インテグラーゼ阻害剤のN−置換ヒドロキシピリミジノンカルボキサミド阻害剤が、2003年5月1日に刊行されたWO2003/035077中で、B. Crescenzi et al.により開示されており、MK−0518が承認に近づいている。
【0005】
NRTIは、典型的には2’,3’−ジデオキシヌクレオシド(ddN)類似体であって、これはウイルスRTと相互作用する前にリン酸化される必要がある。対応する三リン酸は、ウイルスRTの競合的阻害剤または代替基質として機能する。このヌクレオシド類似体は、核酸に取り込まれると、鎖伸張プロセスを停止させる。HIV逆転写酵素はDNA編集能を有し、これが、ヌクレオシド類似体を開裂させて伸張を継続させることにより、耐性株が遮断に打ち勝つことを可能にする。現在臨床的に使用されているNRTIには、ジドブジン(AZT)、ジダノシン(ddI)、ザルシタビン(ddC)、スタブジン(d4T)、ラミブジン(3TC)およびテノホビル(PMPA)がある。2種の酵素:HIVプロテアーゼおよびHIV逆転写酵素が、HIV−1化学療法に広く検討されている。(J. S. G. Montaner et al., Antiretroviral therapy: 'the state of the art', Biomed & Pharmacother. 1999 53:63-72; R. W. Shafer and D. A. Vuitton, Highly active retroviral therapy (HAART) for the treatment of infection with human immunodeficiency virus type, Biomed. & Pharmacother. 1999 53:73-86; E. De Clercq, New Developments in Anti-HIV Chemotherap. Curr. Med. Chem. 2001 8:1543-1572)。2種の一般的なクラスのRTI阻害剤:ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)および非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤が同定されている。現在、CCR5共受容体が、抗HIV化学療法のための可能性のある標的として浮上している(D. Chantry, Expert Opin. Emerg. Drugs 2004 9(1):1-7; C. G. Barber, Curr. Opin. Invest. Drugs 2004 5(8):851-861; D. Schols, Curr. Topics Med. Chem. 2004 4(9):883-893; N. A. Meanwell and J. F. Kadow, Curr. Opin. Drug Discv. Dev. 2003 6(4):451-461)。HIV−1インテグラーゼ阻害剤のN−置換ヒドロキシピリミジノンカルボキサミド阻害剤が、2003年5月1日に刊行されたWO2003/035077中で、B. Crescenzi et al.により開示されており、MK−0518が承認に近づいている。
【0006】
NNRTIは1989年に初めて発見された。NNRTIはHIV逆転写酵素の非基質結合部位に可逆的に結合し、それによって活性部位の形状を変化させ、またはポリメラーゼ活性を遮断する、アロステリック阻害剤である(R. W. Buckheit, Jr., Non-nucleoside reverse transcriptase inhibitors: perspectives for novel therapeutic compounds and strategies for treatment of HIV infection, Expert Opin. Investig. Drugs 2001 10(8):1423-1442; E. De Clercq, The role of non-nucleoside reverse transcriptase inhibitors (NNRTIs) in the therapy of HIV infection, Antiviral Res. 1998 38:153-179; E. De Clercq, New Developments in Anti-HIV Chemotherapy, Current Medicinal Chem. 2001 8(13):1543-1572; G. Moyle, The Emerging Roles of Non-Nucleoside Reverse Transcriptase Inhibitors in Antiviral Therapy, Drugs 2001 61(1):19-26)。30を超えるNNRTI構造クラスが実験室で同定されているが、HIV治療のために承認されたのは僅か三つの化合物:エファビレンツ、ネビラピンおよびデラビルジンだけである。2種の酵素:HIVプロテアーゼおよびHIV逆転写酵素が、HIV−1化学療法に広く検討されている。(J. S. G. Montaner et al., Antiretroviral therapy: 'the state of the art', Biomed & Pharmacother. 1999 53:63-72; R. W. Shafer and D. A. Vuitton, Highly active retroviral therapy (HAART) for the treatment of infection with human immunodeficiency virus type, Biomed. & Pharmacother. 1999 53:73-86; E. De Clercq, New Developments in Anti-HIV Chemotherap. Curr. Med. Chem. 2001 8:1543-1572)。2種の一般的なクラスのRTI阻害剤:ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)および非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤が同定されている。現在、CCR5共受容体が、抗HIV化学療法のための可能性のある標的として浮上している(D. Chantry, Expert Opin. Emerg. Drugs 2004 9(1):1-7; C. G. Barber, Curr. Opin. Invest. Drugs 2004 5(8):851-861; D. Schols, Curr. Topics Med. Chem. 2004 4(9):883-893; N. A. Meanwell and J. F. Kadow, Curr. Opin. Drug Discv. Dev. 2003 6(4):451-461)。HIV−1インテグラーゼ阻害剤のN−置換ヒドロキシピリミジノンカルボキサミド阻害剤が、2003年5月1日に刊行されたWO2003/035077中で、B. Crescenzi et al.により開示されており、MK−0518が承認に近づいている。
【0007】
最初は有望な種類の化合物であると見られていたが、インビトロおよびインビボ研究で、そのNNRTIが薬物耐性HIV株の出現に対してバリアが低く、そしてクラス特異的毒性を呈することがすぐに判明した。薬剤耐性は、多くの場合、RTにおける単一の点突然変異だけで発生する。NRTI、PIおよびNNRTIの併用治療は、多くの場合において、劇的にウイルス量を低減させ、病状の悪化を遅延するが、重大な治療上の問題が残っている。(R. M. Gulick, Eur. Soc. Clin. Microbiol. and Inf. Dis. 2003 9(3):186-193)。多剤併用療法(cocktails)は全ての患者で有効ではなく、潜在的に重篤な副作用がしばしば起こり、急激に繁殖するHIVウイルスは、野生型プロテアーゼおよび逆転写酵素の突然変異薬剤耐性変種を創り出すのが巧みであることが証明された。HIVの野生型や一般的に起こる耐性菌に対する活性を有する、より安全な薬剤が依然として必要とされている。
【0008】
特定のN−フェニルフェニルオキシアセトアミド化合物が、ここに、所望の種々の薬理学的特性を有することが見出されている。
【0009】
2002年9月12日に刊行されたWO2002070471中で、B. Cezanne et al.は、凝固因子Xaの阻害剤であり、血栓塞栓性障害の予防および/または治療あるいは腫瘍の処置用に有用であるフェニル誘導体を開示している。
【0010】
米国特許第6,531,291号中で、C. Kabbash et al.は、エノイル還元酵素の酵素活性を阻害する化合物を選択する方法を開示している。
【0011】
BE854−683(Derwent82937Y/47)中で、K. G. Merckle は、例えば、抗炎症剤、抗アレルギー剤および筋肉弛緩剤として有用である(N)−アシル−メトクロプラミド(metoclopramide)誘導体を開示している。
【0012】
2002年9月12日に刊行されたWO9316036中で、R. Anderskewitz et al.は、LTBアンタゴニストであり、アレルギー障害の処置に有用である新規なアミジン誘導体を開示している。
【0013】
1997年8月27日に刊行されたEP0791576中で、T. S. Abram et al.は、ロイコトリエンアンタゴニストであり、呼吸器疾患の処置に有用である新規な安息香酸化合物を開示している。
【0014】
2003年9月10日に刊行されたWO2003075907中で、M. -P. DeBethune et al.は、ウイルス侵入阻害剤として、例えば、ヒト免疫不全ウイルス感染または後天性免疫不全症候群の処置に有用である新規なN−置換アニリン誘導体を開示している。
【0015】
1998年4月21日に刊行された米国特許第5,741,926号中で、D. E. Bierer and A. G. Dubenkoは、抗高血糖活性を示すアニリン誘導体を開示している。
【0016】
【化1】

【0017】
2−ベンゾイルフェニル−N−[フェニル]−アセトアミド化合物1aおよび1bは、HIV−1逆転写酵素を阻害することが示されている(P. G. Wyatt et al., J. Med. Chem. 1995 38(10):1657-1665)。さらなるスクリーニングから、関連する化合物、例えば2−ベンゾイルフェニルオキシ−N−[フェニル]−アセトアミド2aおよびスルホンアミド誘導体2bが同定され、これらも逆転写酵素を阻害した(J. H. Chan et al., J. Med Chem. 2004 47(5):1175-1182; ## et al., J. Med. Chem. 2006 K. R. Romines et al., J. Med. Chem. 2006 49(2):727-739; C. L. Webster et al., WO01/17982)。2006年3月30日に刊行されたUS20060069261中で、P. Bonneau et al.は、HIV逆転写酵素の阻害剤である、4−{4−[2−(2−ベンゾイル−フェノキシ)−アセチルアミノ]−フェニル}−2,2−ジメチル−ブタ−3−イン酸化合物3を開示している。
【0018】
2002年9月12日に刊行されたWO9316036中で、R. Anderskewitz et al.は、LTBアンタゴニストであり、アレルギー障害の処置に有用である新規なアミジン誘導体を開示している。
【0019】
1997年8月27日に刊行されたEP0791576中で、T. S. Abram et al.は、ロイコトリエンアンタゴニストであり、呼吸器疾患の処置に有用である新規な安息香酸化合物を開示している。
【0020】
2003年9月10日に刊行されたWO2003075907中で、M. -P. DeBethune et al.は、ウイルス侵入阻害剤として、例えば、ヒト免疫不全ウイルス感染または後天性免疫不全症候群の処置に有用である新規なN−置換アニリン誘導体を開示している。
【0021】
1998年4月21日に刊行された米国特許第5,741,926号中で、D. E. Bierer and A. G. Dubenkoは、抗高血糖活性を示すアニリン誘導体を開示している。
【0022】
【化2】

【0023】
2−ベンゾイルフェニル−N−[フェニル]−アセトアミド化合物1aおよび1bは、HIV−1逆転写酵素を阻害することが示されている(P. G. Wyatt et al., J. Med. Chem. 1995 38(10):1657-1665)。さらなるスクリーニングから、関連する化合物、例えば2−ベンゾイルフェニルオキシ−N−[フェニル]−アセトアミド2aおよびスルホンアミド誘導体2bが同定され、これらも逆転写酵素を阻害した(J. H. Chan et al., J. Med Chem. 2004 47(5):1175-1182; ## et al., J. Med. Chem. 2006 K. R. Romines et al., J. Med. Chem. 2006 49(2):727-739; C. L. Webster et al., WO01/17982)。2006年3月30日に刊行されたUS20060069261中で、P. Bonneau et al.は、HIV逆転写酵素の阻害剤である、4−{4−[2−(2−ベンゾイル−フェノキシ)−アセチルアミノ]−フェニル}−2,2−ジメチル−ブタ−3−イン酸化合物3を開示している。
【0024】
【化3】

【0025】
ピリダジノン非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤4は、2007年3月13日に発行された米国特許第7,18,718号中でJ. P. Dunn et al.により、また2005年3月22日に出願された米国公報第2005021554号中でJ. P. Dunn et al.により記載されている。5−アラルキル−2,4−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾール−3−オン、5−アラルキル−3H−[1,3,4]オキサジアゾール−2−オンおよび5−アラルキル−3H−[1,3,4]チアジアゾール−2−オン非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤5が、2007年4月24日に発行された米国特許第7,208,509号中でJ. P. Dunn et al.により、また2005年6月27日に出願された米国公報第20060025462号中でJ. P. Dunn et al.により記載されている。関連化合物は、米国出願(U. S. Ser.)第60/722,335号中でY. D. Saito et al.により開示されている。フェニルアセトアミド非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤6は、2007年1月27日に発行された米国特許第7,166,738号中でJ. P. Dunn et al.により開示されており、フェニルアセトアミド化合物でのレトロウイルス感染の処置方法は、2005年10月27日に刊行された米国公報(U. S. Publication)第20050239880号中でJ. P. Dunn et al.;2007年4月19日に刊行された米国公報第20070088053号中でT. Mizadegan and T. Silva;また2007年4月19日に刊行された米国公報第20070088015号中でZ. K. Sweeney and T. Silvaにより開示されている。これらの出願は、本明細書にその全体が参照により組み込まれる。
【0026】
【化4】

【0027】
2006年6月26日に刊行されたWO2006/067587中で、L. H. Jones et al.は、酵素である逆転写酵素に結合し、そのモジュレーター、特に阻害剤である、ビアリールエーテル誘導体7およびそれらを含有する組成物を開示している。2007年1月25日に刊行された米国公報第2007/0021442号中で、S. A. Saggar et al.は、ジフェニルエーテルHIV−1逆転写酵素阻害剤を開示している。
【0028】
本発明は、式I:
【0029】
【化5】

【0030】
[式中、
は、フッ素または水素であり;
は、水素、クロロ、ブロモ、C1−3アルキル、C3−5シクロアルキルまたはC1−3アルコキシであり;
は、OまたはSであり;
は、クロロ、ブロモ、シアノ、C1−3アルコキシ、C3−5シクロアルキルまたはC1−3ハロアルキルであり;
は、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、C3−5シクロアルキル、ハロゲンおよびシアノよりなる群から選択され;
【0031】
【化6】

【0032】
は、SONHR5a6a、COX、−C≡CC(Me)、A1またはA2であり;
は、OHまたはNR5b6bであり;
5aおよびR6aは、(i)独立に、R5aおよびR6aの一方は、水素またはC1−6アルキルであり、R5aおよびR6aの他方は、水素、C1−6アルキルおよび−C(=O)Rよりなる群から選択されるか;
(ii)それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはアゼピン環を形成し、このアゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはアゼピン環は、ヒドロキシ、アミノ、C1−3アルキルアミンまたはC1−3ジアルキルアミンで場合により置換されているか;あるいは
(iii)一緒になって、(CH−X−(CHであり;
5bおよびR6bは、(i)独立に、水素、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6カルボキシアルキル、(CHNR5c6c(ここで、rは2〜6である)およびSO−C1−6アルキルよりなる群から選択されるか;
(ii)それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはアゼピン環を形成し、このアゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはアゼピン環は、ヒドロキシ、アミノ、C1−3アルキルアミンまたはC1−3ジアルキルアミンで場合により置換されているか;あるいは
(iii)一緒になって、(CH(CHであり;
5cおよびR6cは、(i)独立に、水素およびC1−6アルキルよりなる群から選択されるか;
(ii)それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはアゼピン環を形成し、このアゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはアゼピン環は、ヒドロキシ、アミノ、C1−3アルキルアミンまたはC1−3ジアルキルアミンで場合により置換されているか;あるいは
(iii)一緒になって、(CH(CHであり;
5dおよびR6dは、各存在が独立に、水素、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキルまたはC1−6カルボキシアルキルであり;
は、O、S(O)またはNR10であり;
は、水素またはC1−6アルキルであり;
は、OH、NR5d6d、COH、CONR5d5dまたはC(=O)NR9aC(=NR9b)NR9c9dであり;
9a、R9b、R9cおよびR9dは、(i)独立に水素またはC1−6アルキルであるか、あるいは(ii)R9aおよびR9dは、独立に水素またはC1−6アルキルであり、R9bおよびR9cは、一緒になって、C2−4アルキレンであり;
10は、水素、C1−6アルキルまたはC1−6アシルであり;
pは、0〜2である]
に係る化合物またはその薬学的に許容しうる塩に関する。
【0033】
式Iの化合物は、HIV逆転写酵素を阻害し、HIV感染を予防および治療し、AIDSおよび/またはARCを処置する方法をもたらす。HIVは、その遺伝子コードを容易に変異して、現在の治療オプションでの療法に感受性が低下した株を与える。本発明は、また、HIV感染の予防および治療ならびにAIDSおよび/またはARCの処置に有用な式Iの化合物を含有する組成物に関する。本発明は、さらに、単剤療法または他の抗ウイルス剤との併用療法に有用な、式Iの化合物に関する。
【0034】
本発明の一実施態様において、R、R、R、R、R5a、R5b、R5c、R5d、R6a、R6b、R6c、R6d、R、R、R9a、R9b、R9c、R9d、R10、X、X、X、X、rおよびpは、本明細書中で上に定義されているとおりである。語句「本明細書中で上に定義されているとおり」は、発明の概要で提示されている各々の基に対する最も広い定義を意味する。以下に提示されている他の実施態様において、明示的には定義されていない各々の実施態様において存在する置換基は、発明の概要で提示されている最も広い定義を保持している。
【0035】
本発明の他の実施態様において、Rが、SONHR5a6aまたはCOXである、式Iに係る化合物を提供する。
【0036】
本発明の他の実施態様において、Xが、Oであり、Rが、フルオロであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、SONHR5a6aである、式Iに係る化合物を提供する。
【0037】
本発明のその他の実施態様において、Xが、Oであり、Xが、クロロ、ブロモ、ジフルオロメチルまたはシアノであり、Rが、フルオロであり、Rが、メチル、エチル、メトキシ、クロロまたはブロモであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、SONHR5a6aである、式Iに係る化合物を提供する。
【0038】
本発明のさらに他の実施態様において、Xが、Oであり、Xが、クロロ、ブロモ、ジフルオロメチルまたはシアノであり、Rが、フルオロであり、Rが、メチル、エチル、メトキシ、クロロまたはブロモであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、SONHR5a6aであり、R5aが、水素であり、R6aが、水素またはRC(=O)であり、Rが、C1−10アルキルである、式Iに係る化合物を提供する。
【0039】
本発明のさらにその他の実施態様において、Xが、Oであり、Rが、フルオロであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、CONR5b6bである、式Iに係る化合物を提供する。
【0040】
本発明のさらにその他の実施態様において、Xが、Oであり、Xが、クロロ、ブロモ、ジフルオロメチルまたはシアノであり、Rが、フルオロであり、Rが、メチル、エチル、メトキシ、クロロまたはブロモであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、CONR5b6bである、式Iに係る化合物を提供する。
【0041】
本発明の他の実施態様において、Xが、Sであり、Xが、クロロ、ブロモ、ジフルオロメチルまたはシアノであり、Rが、フルオロであり、Rが、メチル、エチル、メトキシ、クロロまたはブロモであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、SONHR5a6aまたはCOXである、式Iに係る化合物を提供する。
【0042】
本発明の他の実施態様において、Xが、ジフルオロメチルである、式Iに係る化合物を提供する。
【0043】
本発明の他の実施態様において、Xが、ジフルオロメチルであり、Rが、SONHR5a6aまたはCOXである、式Iに係る化合物を提供する。
【0044】
本発明のさらに他の実施態様において、Xが、Oであり、Xが、ジフルオロメチルであり、Rが、フルオロであり、Rが、メチル、エチル、メトキシ、クロロまたはブロモであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、SONHR5a6aである、式Iに係る化合物を提供する。
【0045】
本発明の他の実施態様において、Xが、Oであり、Rが、フルオロであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、−C≡CC(Me)である、式Iに係る化合物を提供する。
【0046】
本発明のその他の実施態様において、Xが、Oであり、Rが、フルオロであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、−C≡CC(Me)であり、Rが、COHである、式Iに係る化合物を提供する。
【0047】
本発明のその他の実施態様において、Xが、Oであり、Rが、フルオロであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、−C≡CC(Me)であり、Rが、NR5c5dである、式Iに係る化合物を提供する。
【0048】
本発明の他の実施態様において、Xが、Oであり、Rが、フルオロであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、A1またはA2である、式Iに係る化合物を提供する。
【0049】
本発明のさらに他の実施態様において、Xが、Oであり、Xが、ジフルオロメチルであり、Rが、フルオロであり、Rが、メチル、エチル、メトキシ、クロロまたはブロモであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、CONR5b6bである、式Iに係る化合物を提供する。
【0050】
本発明の他の実施態様において、治療有効量の請求項1記載の化合物を、それを必要とする宿主に投与することを含む、HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための方法を提供する。
【0051】
本発明の他の実施態様において、治療有効量の請求項2記載の化合物を、それを必要とする宿主に投与することを含む、HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための方法を提供する。
【0052】
本発明の他の実施態様において、治療有効量の請求項12記載の化合物を、それを必要とする宿主に投与することを含む、HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための方法を提供する。
【0053】
本発明の他の実施態様において、治療有効量の請求項15記載の化合物を、それを必要とする宿主に投与することを含む、HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための方法を提供する。
【0054】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項1記載の化合物と、HIVプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、CCR5アンタゴニストおよびウイルス融合阻害剤よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを、それを必要とする宿主に共に投与することを含む、HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための方法を提供する。
【0055】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項2記載の化合物と、HIVプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、CCR5アンタゴニストおよびウイルス融合阻害剤よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを、それを必要とする宿主に共に投与することを含む、HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための方法を提供する。
【0056】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項12記載の化合物と、HIVプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、CCR5アンタゴニストおよびウイルス融合阻害剤よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを、それを必要とする宿主に共に投与することを含む、HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための方法を提供する。
【0057】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項15記載の化合物と、HIVプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、CCR5アンタゴニストおよびウイルス融合阻害剤よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを、それを必要とする宿主に共に投与することを含む、HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための方法を提供する。
【0058】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項1記載の化合物と、ジドブジン、ラミブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、レスクリプター、サスティバ、ビラミューン、エファビレンツ、ネビラピン、サキナビル、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アンプレナビル、ロピナビルおよびエンフビルチドよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを、それを必要とする宿主に共に投与することを含む、HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための方法を提供する。
【0059】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項2記載の化合物と、ジドブジン、ラミブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、レスクリプター、サスティバ、ビラミューン、エファビレンツ、ネビラピン、サキナビル、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アンプレナビル、ロピナビルおよびエンフビルチドよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを、それを必要とする宿主に共に投与することを含む、HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための方法を提供する。
【0060】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項12記載の化合物と、ジドブジン、ラミブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、レスクリプター、サスティバ、ビラミューン、エファビレンツ、ネビラピン、サキナビル、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アンプレナビル、ロピナビルおよびエンフビルチドよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを、それを必要とする宿主に共に投与することを含む、HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための方法を提供する。
【0061】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項15記載の化合物と、ジドブジン、ラミブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、レスクリプター、サスティバ、ビラミューン、エファビレンツ、ネビラピン、サキナビル、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アンプレナビル、ロピナビルおよびエンフビルチドよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを、それを必要とする宿主に共に投与することを含む、HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための方法を提供する。
【0062】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項1記載の化合物を、宿主に投与することを含む、HIVに感染した宿主におけるHIV逆転写酵素の阻害方法を提供する。
【0063】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項2記載の化合物を、宿主に投与することを含む、HIVに感染した宿主におけるHIV逆転写酵素の阻害方法を提供する。
【0064】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項12記載の化合物を、宿主に投与することを含む、HIVに感染した宿主におけるHIV逆転写酵素の阻害方法を提供する。
【0065】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項15記載の化合物を、宿主に投与することを含む、HIVに感染した宿主におけるHIV逆転写酵素の阻害方法を提供する。
【0066】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項1記載の化合物を、宿主に投与することを含む、HIVに感染した宿主における野生型HIV逆転写酵素と比較して少なくとも1つの変異を有するHIV逆転写酵素の阻害方法を提供する。
【0067】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項2記載の化合物を、宿主に投与することを含む、HIVに感染した宿主における野生型HIV逆転写酵素と比較して少なくとも1つの変異を有するHIV逆転写酵素の阻害方法を提供する。
【0068】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項12記載の化合物を、宿主に投与することを含む、HIVに感染した宿主における野生型HIV逆転写酵素と比較して少なくとも1つの変異を有するHIV逆転写酵素の阻害方法を提供する。
【0069】
本発明のさらに他の実施態様において、治療有効量の請求項15記載の化合物を、宿主に投与することを含む、HIVに感染した宿主における野生型HIV逆転写酵素と比較して少なくとも1つの変異を有するHIV逆転写酵素の阻害方法を提供する。
【0070】
本発明のさらにその他の実施態様において、治療有効量の請求項1記載の化合物を、宿主に投与することを含む、エファビレンツ、ネビラピンまたはデラビルジンに対して感受性が低下したHIVの株に感染した宿主におけるHIV逆転写酵素の阻害方法を提供する。
【0071】
本発明のさらにその他の実施態様において、治療有効量の請求項2記載の化合物を、宿主に投与することを含む、エファビレンツ、ネビラピンまたはデラビルジンに対して感受性が低下したHIVの株に感染した宿主におけるHIV逆転写酵素の阻害方法を提供する。
【0072】
本発明のさらにその他の実施態様において、治療有効量の請求項12記載の化合物を、宿主に投与することを含む、エファビレンツ、ネビラピンまたはデラビルジンに対して感受性が低下したHIVの株に感染した宿主におけるHIV逆転写酵素の阻害方法を提供する。
【0073】
本発明のさらにその他の実施態様において、治療有効量の請求項15記載の化合物を、宿主に投与することを含む、エファビレンツ、ネビラピンまたはデラビルジンに対して感受性が低下したHIVの株に感染した宿主におけるHIV逆転写酵素の阻害方法を提供する。
【0074】
本発明の実施態様において、治療有効量の請求項1記載の化合物と、少なくとも1種の担体、賦形剤または希釈剤とを含む、HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための医薬組成物を提供する。
【0075】
本発明の実施態様において、治療有効量の請求項2記載の化合物と、少なくとも1種の担体、賦形剤または希釈剤とを含む、HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための医薬組成物を提供する。
【0076】
本発明のさらに他の実施態様において、式Iに係る化合物の製造方法であって、
(i)置換3−シアノフェノールIIの塩を2,3,4−トリフルオロニトロベンゼンと縮合させて、ビアリールエーテルIIIを得;
(ii)不活性溶媒中で、IIを、ベンズアルドキシムおよび塩基と反応させて、フェノールIVを得;
(iii)フェノールIVを、ブロモ酢酸アルキル塩または同等の酢酸の合成的等価物でアルキル化して、Vを得;
(iv)ニトロのアミンへの還元、アミンのジアゾ化およびジアゾ基の塩化物または臭化物での置換の三工程の手順により、V中のニトロ基を塩化物または臭化物VI(X=ClまたはBr)に変換し、場合によりこのようにして生成した臭化物をパラジウム触媒の存在下にジアルキル亜鉛で置換してVI(X=アルキル)を得;
(v)エステルVIを、対応する4−スルファモイル−アニリドVII(R=SONHR5a6a)または4−カルバモイル−アニリドVII(R=CONR5b6b)に変換する、工程を含む、製造方法を提供する。
【0077】
本発明の他の実施態様において、表1のI−1〜I−32から選択される化合物を提供する。
【0078】
本明細書で使用される語句「a」または「an」は、そのものが1以上であることを意味し;例えば、化合物とは、1以上の化合物または少なくとも一つの化合物を意味する。同様に、「a」(または「an」)、「1以上」および「少なくとも1」は、本明細書では互換的に使用され得る。
【0079】
本明細書で使用される技術用語および科学用語は、別に示されない限り、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されている意味を有する。本明細書では、当業者に公知の種々の方法論および材料が参照される。薬理学の一般原理を示している標準的な参考資料として、Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th Ed., McGraw Hill Companies Inc., New York (2001)が挙げられる。当業者に公知の任意の好適な材料および/または方法を、本発明の実施に利用することができる。しかしながら、好ましい材料および方法を記述する。以下の記載および実施例中で参照されている材料、試薬などは、別に示されない限り、商業的供給源から得ることができる。
【0080】
移行句中であれ、請求項中であれ、この明細書中で使用される用語「含む」および「含まれる」は、非限定的な意味を有するものとして解釈されたい。すなわち、用語は、語句「少なくとも有する」または「少なくとも含む」と同義的に解釈されたい。方法の文脈で使用されるとき、用語「含まれる」は、その方法が少なくとも列挙された工程を含むが、追加の工程を含みうる。化合物または組成物の文脈で使用されるとき、用語「含まれる」は、その化合物または組成物が少なくとも列挙された特徴または成分を含むが、追加の特徴または成分を含みうる。
【0081】
本明細書で使用される用語「約」は、大体の、概略で、またはおよその、を意味する。用語「約」が、数値範囲に関して使用される場合、示された数値の上および下に境界を拡げることにより、その範囲を修正する。一般に、用語「約」は、20%の変動幅で、言及された値の上および下に数値を修正するように本明細書で使用される。
【0082】
本明細書に記載の定義は、付加されて、化学的に関連する組み合わせ、例えば「ヘテロアルキルアリール」、「ハロアルキルヘテロアリール」、「アリールアルキルヘテロシクリル」、「アルキルカルボニル」、「アルコキシアルキル」などを形成する。用語「アルキル」が、「フェニルアルキル」または「ヒドロキシアルキル」中でのように、他の用語の後に接尾辞として使用される場合、これは、他の特定して名づけられた基から選択される1〜2個の置換基で置換されているアルキル基を示すことが意図される。そこで、例えば、「フェニルアルキル」は、1〜2個のフェニル置換基を有するアルキル基を示し、したがって、ベンジル、フェニルエチルおよびビフェニルを包含する。「アルキルアミノアルキル」は、1〜2個のアルキルアミノ置換基を有するアルキル基である。「ヒドロキシアルキル」は、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−(ヒドロキシメチル)、3−ヒドロキシプロピルなどを包含する。したがって、本明細書で使用される用語「ヒドロキシアルキル」は、以下に定義されるヘテロアルキル基の下位集合を定義するために使用される。用語(アル)アルキルは、非置換アルキルまたはアラルキル基のいずれかを示す。用語(ヘテロ)アリールまたは(ヘト)アリールは、アリールまたはヘテロアリールのいずれかを示す。
【0083】
本明細書で使用される用語「場合による」または「場合により」は、後に続く記載の事象または状況が起こってもよいが起こる必要もなく、そしてその記載が、その事象または状況が起こる場合と起こらない場合とを含むことを意味する。例えば、「場合により置換されている」は、その部分が水素であっても、置換基であってもよいことを意味する。
【0084】
語句「場合による結合」は、その結合が存在するか、または存在しなくてもよいことを意味し、その記述は、単結合、二重結合または三重結合を包含することを意味する。置換基が「結合」または「不存在」であることを表す場合には、置換基に結合している原子は、直接結合される。
【0085】
いずれかの可変物(例えば、R、R4a、Ar、XまたはHet)が、本発明で使用されまたは特許請求される化合物を示し且つ記述する任意の部分または式の中で一回より多く生じる場合には、出現ごとのその定義は、すべての他の出現でのその定義とは独立している。また、置換基および/または可変物の組み合わせは、そのような化合物が安定な化合物をもたらす場合にのみ、許容される。
【0086】
異なるように明示的に言及されない限り、本明細書中で示される全ての範囲は包括的である。例えば、「1〜4個のヘテロ原子」を含有するとして記述されているヘテロ環は、環が1、2、3または4個のヘテロ原子を含有できることを意味する。本明細書中で示される任意の範囲は、その範囲内の全ての下位集合のその範囲内を包含することも理解されたい。そこで、例えば、「1〜5個の置換基」で場合により置換されているように記述されるアリールまたはヘテロアリールは、その態様として、1〜4個の置換基、1〜3個の置換基、1〜2個の置換基、2〜5個の置換基、2〜4個の置換基、2〜3個の置換基、3〜5個の置換基、3〜4個の置換基、4〜5個の置換基、1個の置換基、2個の置換基、3個の置換基、4個の置換基および5個の置換基で場合により置換されている任意のアリールを包含することが意図される。
【0087】
結合の末端の符号「*」または結合を通して描かれる
【0088】
【化7】

【0089】
は、それぞれ、官能基または他の化学的部分の、その一部である分子の残余への結合点を示す。したがって、例えば:
MeC(=O)OR、ここで、
【0090】
【化8】


である。
【0091】
本明細書で使用される用語「アシル」は、式:C(=O)Rの基を示し、ここで、Rは、水素または本明細書で定義されているような低級アルキルである。C1−3アシルは、本明細書で定義されているようなアシル基(ここで、RはC1−3アルキルである)を示す。
【0092】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、1〜10個の炭素原子を含む、非分岐鎖状または分岐鎖状の、飽和で一価の炭化水素残基を示す。用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含む、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素残基を示す。本明細書で使用される「C1−10アルキル」は、1〜10個の炭素原子からなるアルキルをいう。
【0093】
本明細書で使用される用語「アミノ」、「アルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」は、それぞれ−NH2、−NHRおよび−NR2を意味し、Rは、上記で定義されたアルキルである。ジアルキル部分における窒素に結合している2個のアルキル基は、同一であるかまたは異なっていることができる。本明細書で使用される用語「アミノアルキル」、「アルキルアミノアルキル」および「ジアルキルアミノアルキル」は、それぞれNH2(CH2n−、RHN(CH2n−およびR2N(CH2n−を意味し、ここで、nは1〜10であり、Rは上記で定義されたアルキルである。本明細書で使用される「C1−6アルキルアミノ」は、アルキルがC1−6であるアミノアルキルをいう。本明細書で使用される用語「フェニルアミノ」は、−NHPh(ここで、Phは場合により置換されているフェニル基を示す)をいう。
【0094】
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子を含む、飽和炭素環、すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルを示す。本明細書で使用される「C3−5シクロアルキル」は、炭素環中3〜5個の炭素原子からなるシクロアルキルをいう。
【0095】
本明細書で使用される用語「アルコキシ」は、−O−アルキル基を意味し、ここで、アルキル基は上で定義されているとおりであり、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ(これらの異性体を含む)である。本明細書で使用される「低級アルコキシ」は、先に定義されているとおりの「低級アルキル」基を持つアルコキシ基を示す。「C1−10アルコキシ」は、アルキルがC1〜10である、−O−アルキルをいう。
【0096】
本明細書で使用される用語「シアノ」は、三重結合で窒素に結合している炭素、すなわち、−C≡Nをいう。本明細書で使用される用語「ニトロ」は、基−NOをいう。
【0097】
本明細書で使用される用語「ハロアルキル」は、1個、2個、3個またはそれ以上の水素原子がハロゲンに置き換わっている、上で定義されているとおりの、非分岐鎖状または分岐鎖状のアルキル基を示す。本明細書で使用される「C1−3ハロアルキル」は、1〜3個の炭素および1〜8個のハロゲン置換基からなるハロアルキルを示す。例は、1−フルオロメチル、1−クロロメチル、1−ブロモメチル、1−ヨードメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、トリヨードメチル、1−フルオロエチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、1−ヨードエチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、2−ヨードエチル、ジフルオロメチル、2,2−ジクロロエチル、3−ブロモプロピルまたは2,2,2−トリフルオロエチルである。
【0098】
本明細書で使用される用語「ハロアルコキシ」は、−O−ハロアルキル基を意味し、ここで、ハロアルキルは上で定義されている。
【0099】
本明細書で使用される用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0100】
本明細書で使用される用語「ヒドロキシアルキル」または「アルコキシアルキル」は、異なる炭素原子上の1〜3個の水素原子が、それぞれヒドロキシまたはアルコキシ基で置き換えられている、本明細書で定義されているようなアルキル基を示す。C1−6ヒドロキシアルキルは、異なる炭素原子上の1〜3個の水素原子が、ヒドロキシ基で置き換えられている、本明細書で定義されているようなC1−6アルキル基を示す。
【0101】
本明細書で使用される用語「C1−6カルボキシアルキル」は、異なる炭素原子上の1個または2個の水素原子が、ヒドロキシル基で置き換えられている、本明細書で定義されているようなC1−6アルキルを示す。Rがカルボキシアルキル基である請求項1で使用される基NRとして、天然アミノ酸の、グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
用語「アゼチジン」、「ピロリジン」、「ピペリジン」および「アゼピン」は、1個の炭素原子が窒素原子で置き換えられている、4員、5員、6員または7員のシクロアルカンをそれぞれ示す。
【0103】
本明細書で使用される用語「アリール」は、他に示されていない限り、ヒドロキシ、チオ、シアノ、アルキル、アルコキシ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、およびジアルキルアミノアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、カルバモイル、アルキルカルボニルおよびジアルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノより独立して選択される1以上の、好ましくは1個または3個の置換基で場合により置換されていることができるフェニル環を示す。あるいは、アリール環の2つの隣り合う原子は、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシ基で置換されうる。本明細書で使用される用語「アリールオキシ」は、場合により置換されているフェノールを示す。
【0104】
用語「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」は、その溶媒が、関連して記述されている反応の条件下で不活性であることを意味する。ベンズアルドキシムの塩基との反応の場合には、不活性溶媒は、酸性プロトンを持たず、またトリフルオロニトロベンゼンと反応しないものである。不活性溶媒の例として、エーテル系溶媒および炭化水素が挙げられる。用語「塩基」は、フェノールIIを脱プロトン化するのに十分な強さの有機または無機塩基を意味する。そのような塩基の例は、数多くあり、この分野で周知である。
【0105】
ブロモ酢酸アルキルの酢酸合成的等価体は、フェノラート塩により置き換えられることができるα炭素上に脱離基を有する酢酸誘導体である。反応は、本明細書ではブロモ酢酸エチルで例示されているが、他のエステルも同様に利用しうる。エステルは、また、本明細書に記載のアニリド誘導体を包含するアミドで置き換えることができる。
【0106】
本明細書で使用される用語「野生型」は、逆転写酵素阻害剤に曝されていない通常の集団で自然に存在する、優位な遺伝子型を有するHIVウイルス株を意味する。本明細書で使用される用語「野生型逆転写酵素」は、配列決定され、受入番号P03366でSwissProtデータベースに寄託されている野生型株で発現した、逆転写酵素を意味する。
【0107】
本明細書で使用される用語「低下した感受性」は、同じ実験系において、野生型ウイルスにより示される感受性と比較した、特定のウイルス分離株の感受性における約10倍以上の変化を意味する。
【0108】
本明細書で使用される用語「ヌクレオシドおよびヌクレオチド逆転写酵素阻害剤」(「NRTI」)は、ウイルスゲノムHIV−1 RNAのプロウイルスHIV−1 DNAへの変換を触媒する酵素である、HIV−1逆転写酵素の活性を阻害する、ヌクレオシドおよびヌクレオチドおよびそれらの類似体を意味する。RTIおよびPI阻害剤の開発における最近の進歩が概説されている:F. M. Uckun and O. J. D'Cruz, Exp. Opin. Ther. Pat. 2006 16:265-293; L. Menendez-Arias, Eur. Pharmacother. 2006 94-96およびS. Rusconi and O. Vigano, Future Drugs 2006 3(1):79-88。
【0109】
典型的に好適なNRTIとして、ジドブジン(AZT;RETROVIR(登録商標));ジダノシン(ddl;VIDEX(登録商標));ザルシタビン(ddC;HIVID(登録商標));スタブジン(d4T;ZERIT(登録商標));ラミブジン(3TC;EPIVIR(登録商標));アバカビルβ(ZIAGEN(登録商標));アデフォビル・ジピボキシル[ビス(POM)−PMEA;PREVON(登録商標)];ロブカビル(lobucavir)(BMS−180194)、EP−0358154およびEP−0736533で開示されているヌクレオシド逆転写酵素阻害剤;BCH−10652、Biochem Pharmaで開発中の逆転写酵素阻害剤(BCH−10618およびBCH−10619のラセミ混合物の形態);Triangle Pharmaceuticalsにより開発中のエミトリシタビン(emitricitabine)[(−)−FTC];Vion Pharmaceuticalsにライセンス供与された、β−L−FD4(β−L−D4Cとも呼ばれ、β−L−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロ−シチデンと命名された);DAPD、EP−0656778で開示され、Triangle Pharmaceuticalsにライセンス供与された、プリンヌクレオシド、(−)−β−D−2,6−ジアミノ−プリンジオキサオラン;およびロデノシン(lodenosine)(FddA)、9−(2,3−ジデオキシ−2−フルオロ−β−D−トレオ−ペントフラノシル)アデニン、U.S. Bioscience Inc.により開発中の酸安定プリン系逆転写酵素阻害剤が挙げられる。
【0110】
典型的に好適なNNRTIとして、ネビラピン(BI−RG−587;VIRAMUNE(登録商標));デラビラジン(BHAP、U−90152;RESCRIPTOR(登録商標));エファビレンツ(DMP−266;SUSTIVA(登録商標))、;PNU−142721、Pfizerにより開発中のフロピリジン−チオ−ピリミジン;AG−1549(旧シオノギ(Shionogi)#S−1153);WO96/10019で開示された5−(3,5−ジクロロフェニル)−チオ−4−イソプロピル−1−(4−ピリジル)メチル−1H−イミダゾール−2−イルメチルカルボナート;MKC−442(1−(エトキシ−メチル)−5−(1−メチルエチル)−6−(フェニルメチル)−(2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン);ならびに(+)−カラノライド(calanolide)A(NSC−675451)およびB、米国特許第5,489,697号で開示されたクマリン誘導体が挙げられる。
【0111】
本明細書で使用される用語「プロテアーゼ阻害剤」(「PI」)は、ウイルスポリタンパク質前駆物質(例えば、ウイルスGAGおよびGAG Polポリタンパク質)を感染性HIV−1で見出される個別の機能性タンパク質にタンパク質分解性の切断をするのに必要な酵素である、HIV−1プロテアーゼの阻害剤を意味する。HIVプロテアーゼ阻害剤として、ペプチド模倣構造、高分子量(7600ダルトン)および実質的なペプチド特性を有する化合物、例えば、CRIXIVAN(登録商標)ならびに非ペプチドプロテアーゼ阻害剤、例えば、ビラセプト(VIRACEPT(登録商標))が挙げられる。
【0112】
典型的に好適なPIとして、サキナビル(Ro31−8959;INVIRASE(登録商標);FORTOVASE(登録商標));リトナビル(ABT−538;NORVIR(登録商標));インジナビル(MK−639;CRIXIVAN(登録商標));ネルフナビル(nelfnavir)(AG−1343;VIRACEPT(登録商標));アンプレナビル(141W94;AGENERASE(登録商標));TMC114(ダルナビル、PREZISTA(登録商標));ラシナビル(lasinavir)(BMS−234475);DMP−450、Triangle Pharmaceuticalsにより開発中の環状尿素;BMS−2322623、第二世代のHIV−1 PIとしてBristol-Myers Squibbにより開発中のアザペプチド;Abbotにより開発中のABT−378;およびAG−1549、Agouron Pharmaceuticals, Inc.により開発中のイミダゾールカルバマートが挙げられる。
【0113】
ペンタフシド(FUZEON(登録商標))は、HIV−1の標的膜への融合を阻害する36アミノ酸の合成ペプチドである。ペンタフシド(3〜100mg/日)は、三剤併用療法が無効であるHIV−1陽性患者に、エファビレンツおよび2種のPIと共に、連続的皮下(sc)注入または注射として投与される。FUZEONは、ウイルスコーティング上のGP41に結合し、ウイルスのカプシドに対して侵入孔の生成を阻害して、ウイルスを細胞外に留める。
【0114】
HIV−1は、ウイルスのエンベロープ糖タンパク質(Env)のCD−4抗原との高親和性相互作用を利用することにより、単球マクロファージ系およびヘルパーT細胞リンパ球の細胞に感染する。CD−4抗原は、細胞侵入に必要ではあるが、十分条件ではないことが見出されており、少なくとも一つの他の表面タンパク質が、細胞への感染に必要であった(E. A. Berger et al., Ann. Rev. Immunol. 1999 17:657-700)。2種のケモカイン受容体、CCR5またはCXCR4受容体のいずれかが、その後、CD4と共に共受容体であることが見出され、これらは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による細胞の感染に必要とされている。CCR5結合のアンタゴニストが、ウイルス融合の防止のために探索されている。マラビロック(Pfizer)は、FDAにより近く承認されるCCR5アンタゴニストである。Pfizerによるビクリビロック(Schering)は、後期開発段階にある。多数の他の会社が、種々の発見および開発段階の研究プログラムを持っている(例えば、A. Palani and J. R. Tagat, J. Med. Chem. 2006 49(10):2851-2857; P. Biswas et al., Expert. Opin. Investg. Drugs 2006 15(5):451-464; W. Kazmierski et al. Biorg Med. Chem. 2003 11:2663-76参照)。市販されているCCR5アンタゴニストは、NNRTI、NRTIおよびPIとの組み合わせで有用であると思われる。
【0115】
付着阻害剤は、ウイルス性エンベロープタンパク質とケモカイン受容体またはCD40タンパク質との間の相互作用を有効にブロックする。TNX−355は、CD4のドメイン2上のコンフォメーショナルエピトープに結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である。(L.C. Burkly et al., J. Immunol. 1992 149:1779-87)TNX−355は、CCR5−、CXCR4−、および二重/混合トロピックHIV−1株のウイルス付着を阻害することができる(E. Godofsky et al., In Vitro Activity of the Humanized Anti-CD4 Monoclonal Antibody, TNX-355, against CCR5, CXCR4, and Dual-Tropic Isolates and Synergy with Enfuvirtide, 45th Annual Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy (ICAAC). December 16-19, 2005, Washington DC. Abstract #3844; D. Norris et al. TNX-355 in Combination with Optimized Background Regime (OBR) Exhibits Greater Antiviral Activity than OBR Alone in HIV-Treatment Experienced Patients, 45th Annual interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy (ICAAD). December 16-19, Washington DC. Abstract #4020.)。
【0116】
抗体、可溶性受容体およびそれらの生物学的に活性なフラグメントを含む高分子治療剤は、従来の低分子量薬物に対する益々重要な補助物となりつつある。(O. H. Brekke and I. Sandlie Nature Review Drug Discov. 2003 2:52-62; A. M. Reichert Nature Biotech. 2001 19:819-821)。高い特異性および親和性を持つ抗体は、ウイルス性細胞融合に必須の細胞外タンパク質を標的とすることができる。CD4、CCR5およびCXCR4は、ウイルス性融合を阻害する抗体の標的となっている。
【0117】
V. Roschke et al.(Characterization of a Panel of Novel Human Monoclonal Antibodies that Specifically Antagonize CCR5 and Block HIV-1 Entry, 44th Annual Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy (ICAAC). 2004年10月29日、ワシントンDC. Abstract #2871)は、CCR5受容体に結合し、CCR5受容体を発現する細胞へのHIV侵入を阻害するモノクローナル抗体を開示している。L. Wu and C. R MacKayは、2001年5月30日出願の米国出願第09/870,932号において、細胞のHIV感染を阻害することができる形でCCR5受容体に結合するモノクローナル抗体5C7および2D7を開示している。W. C. Olsen et al.(J. Virol. 1999 73(5):4145-4155)は、(i)HIV−1細胞侵入、(ii)HIV−1エンベローブ介在膜融合、(iii)CCR5に結合するgp120、および(iv)CC−ケモカイン活性を阻害することができるモノクローナル抗体を開示している。抗CCR5抗体Pro140と低分子量CCR5拮抗剤との間の相乗作用が、Murga et al.(3rd IAS Conference on HIV Pathogenesis and Treatment, Abstract TuOa.02.06. 2005年7月24〜27日、Rio de Janeiro, Brazil)により開示されている。HIV−1細胞侵入を阻害する抗CCR5抗体は、M. Brandt et al.により、2006年3月31日出願の米国出願第11/394,439号において、単離され、また、開示されている。
【0118】
他の抗ウイルス性薬剤として、ヒドロキシ尿素、リバビリン、IL−2、IL−12、ペンタフシドが挙げられる。ヒドロキシ尿素(Droxia)、T細胞の活性化に関わる酵素である、リボヌクレオシド三リン酸還元酵素阻害剤は、NCIで発見され、Bristol-Nyers Squibbにより開発中であり、それは、前臨床試験において、ジダノシンの活性に対して相乗効果を有することを示し、スタブジンと共に研究されてきた。IL−2は、EP−0142268(Ajinomoto)、EP−0176299(Takeda)、米国特許第RE33,653号、同第4,530,787号、同第4,569,790号、同第4,604,377号、同第4,748,234号、同第4,752,585号および同第4,949,314号(Chiron)で開示されており、静脈注入または皮下投与用の凍結乾燥粉末として、PROLEUKIN(登録商標)(アルデスロイキン(aldesleukin))の名称でカイロン社(Chiron Corp.)より入手可能である。IL−12は、WO96/25171中で開示されており、Roche および Wyeth Pharmaceuticalsから入手可能である。リバビリン、1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミドは、米国特許第4,211,771号に記載されており、ICN Pharmaceuticalsから入手可能である。
【0119】
本出願で使用される略語には次が含まれる:アセチル(Ac)、酢酸(HOAc)、アゾ−ビス−イソブチリルニトリル(AIBN)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、雰囲気(Atm)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBNまたはBBN)、メチル(Me)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、アセトニトリル(MeCN)、ジ−tert−ブチルピロカルボネートまたはboc無水物(BOC2O)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、ベンジル(Bn)、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、ブチル(Bu)、メタノール(MeOH)、ベンジルオキシカルボニル(cbzまたはZ)、融点(mp)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、MeSO2−(メシルまたはMs)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、質量スペクトル(ms)、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、ジベンジリデンアセトン(Dba)、N−カルボキシ無水物(NCA)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、N−クロロコハク酸イミド(NCS)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−メチルピロリドン(NMP)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、二クロム酸ピリジニウム(PDC)、ジクロロメタン(DCM)、プロピル(Pr)、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)、フェニル(Ph)、ジ−イソ−プロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)、平方インチ当たりのポンド(psi)、ジイソ−プロピルエチルアミン(DIPEA)、ピリジン(pyr)、ジ−イソ−ブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL−H)、室温(rtまたはRT)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、tert−ブチルジメチルシリルまたはt−BuMe2Si(TBDMS)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン(EtNまたはTEA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、トリフラートまたはCFSO−(Tf)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トリフルオロ酢酸(TFA)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−2,6−ジオン(TMHD)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、薄膜クロマトグラフィー(TLC)、酢酸エチル(EtOAc)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル(EtO)、トリメチルシリルまたはMeSi(TMS)、エチル(Et)、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOHまたはpTsOH)、リチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)、4−Me−CSO−またはトシル(Ts)、イソ−プロピル(i−Pr)、N−ウレタン−N−カルボキシ無水物(UNCA)、エタノール(EtOH)。接頭辞ノルマル(n)、イソ(i)、第二級(sec−)、第三級(tert−)およびネオを含む従来の命名法は、アルキル部分と共に使用されるとき、慣用の意味を有する。(J. Rigaudy and D. P. Klesney, Nomenclature in Organic Chemistry, IUPAC 1979 Pergamon Press, Oxford.)。
【0120】
本発明の化合物は、下記に示し、記載した例示の合成反応スキームで記述されている種々の方法によって調製することができる。これらの化合物の調製に使用される出発材料および試薬は、一般に、Aldrich Chemical Co.のような商業供給者から入手可能であるか、またはFieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, Volumes 1-21; R. C. LaRock, Comprehensive Organic Transformations, 2nd edition Wiley-VCH, New York 1999; Comprehensive Organic Synthesis, B. Trost and I. Fleming (Eds.) vol. 1-9 Pergamon, Oxford, 1991; Comprehensive Heterocyclic Chemistry, A. R. Katritzky and C. W. Rees (Eds) Pergamon, Oxford 1984, vol. 1-9; Comprehensive Heterocyclic Chemistry II, A. R. Katritzky and C. W. Rees (Eds) Pergamon, Oxford 1996, vol. 1-11; and Organic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40のような参考文献に記載の手順に従って当業者に既知の方法により調製されるかのいずれかである。下記の合成反応スキームは、本発明の化合物を合成することができるいくつかの方法を例示しているに過ぎず、これらの反応スキームに対して種々の変更を行うことができ、本出願に含まれる開示内容に参考として当業者に示唆されることになる。
【0121】
合成反応スキームの出発材料および中間体を、所望であれば、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを含むが、それらには限定されない従来の技術を使用して、単離および精製することができる。そのような材料を、物理定数およびスペクトルデータを含む従来の手段を使用して特徴付けすることができる。
【0122】
別に特記しない限り、本明細書に記載される反応は、好ましくは、不活性雰囲気下、大気圧下で約−78℃〜約150℃、より好ましくは約0℃〜約125℃の反応温度範囲、最も好ましく、かつ好都合には約室温(または周囲温度)、例えば約20℃で実施される。
【0123】
下記のスキームにおけるいくつかの化合物は、一般的な置換基と共に示されているが、R基の性質を変えると、本発明で考慮される種々の化合物が得られることは、当業者は直ちに理解するであろう。また、反応条件は例示的であって、代替的な条件は周知である。下記の実施例の反応シーケンスは、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を制限することを意味しない。
【0124】
本発明に包含され本発明の範囲内にある代表的化合物の例を以下の表に示す。これらの例およびその後に記載する製造は、当業者が本発明をより明確に理解し実施できるようにするために提供するものである。これらは本発明の範囲を限定するものと考えてはならず、単にその例および代表と考えるべきである。
【0125】
一般に、本出願に使用した命名法は、IUPAC系統的命名法の作製のためのBeilstein Instituteコンピューター化システムであるAUTONOM(商標)v.4.0に基づいている。表示した構造とその構造に与えられた名称の間に相違がある場合、表示した構造に、より重きが置かれるべきである。
【0126】
【表1】



【0127】
本発明の化合物は、4−ニトロ−3−アリールオキシフェノール(18)から調製され(スキームA)、これは、適切に置換されたフェノールによる2−フルオロの求核的芳香族置換およびその後のN−O結合の開裂をもたらす条件下でのベンズアルデヒドオキシムでの4−フルオロの置換を含む2工程法により、2,3,4−トリフルオロニトロベンゼンまたは2,4−ジニトロベンゼンから調製できる(R. D. Knudsen and H. R. Snyder, J. Org. Chem. 1974 39(23):3343-3346)。当業者は、この反応に様々な置換および位置化学を有するフェノールを使用できることを理解するであろう。本明細書で開示されているチオエーテルは、フッ素のチオグリコール酸アルキルでの直接置換により調製できる。
【0128】
【化9】

【0129】
フルオロニトロ芳香族化合物は、ソフトな求核剤による求核攻撃に非常に感受性であることが知られている。フッ素置換基は、一般に、他のハロゲン置換基よりも明らかにより不安定である。水や水酸化物のようなハードな求核剤はフッ化物を置換できないが、フェノール、イミダゾール、アミン、チオールおよびある種のアミドのようなソフトな求核剤は、室温でも容易に置換反応する(D. Boger et al., Biorg. Med. Chem. Lett. 2000 10:1471-75; F. Terrier Nucleophilic Aromatic Displacement: The Influence of the Nitro Group VCH Publishers, New York, NY 1991)。1994年3月8日に発行されたUS5,292,967中で、T. Papenfuhs et al.は、12をアルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属水酸化物で処理することによる、良好な収率および高い選択性での2,3−ジフルオロ−6−ニトロ−フェノールの製造方法を開示している。J. H. Marriott et al.(J. Chem. Soc. Perkin I 2000 4265-4278)は、相間移動条件下(DCM/aq NaOH/Bu4N+HSO4-/RT)でのアルカリアルコキシドの優先的なペンタフルオロ−ニトロ−ベンゼンのパラ位への付加を開示している。2,4−ジフルオロ−ニトロ−ベンゼンは、非位置選択的に反応して、パラおよびオルト置換の双方をもたらす。メタノール中でのナトリウムメトキシドの2,3,4−トリフルオロニトロベンゼンとの反応は、対応する2−および4−モノメトキシならびに2,4−ジメトキシ誘導体の分離不能な混合物を与えることが報告されている(P. M. O'Neill et al., J. Med. Chem. 1994 37:1362-70)。2,4−ジフルオロニトロベンゼンのオルト−フッ素のアミン求核剤での置換も、報告されている(W. C. Lumma, Jr. et al., J. Med. Chem. 1981 24:93-101)。
【0130】
本発明の化合物は、フェノキシ酢酸部分の4位に種々の置換基を有し、ニトロ基は、サンドマイヤー反応を利用して、他の置換基を導入するのに活用することができる。スキームAは、ニトロ基の還元、得られたアミンのジアゾ化およびハロゲンでの置換によるハロゲン部分の導入を示している。ハロゲンが臭素である場合、パラジウムが介在する置換により、アルキル置換基の導入が可能である。
【0131】
ニトロ基の還元は、多種の周知の還元剤で行うことができる。例えば、活性化鉄、亜鉛またはスズ等の活性化金属(例えば、鉄粉末を希塩酸等の希酸溶液で洗浄することにより生成される)。還元は、また、白金またはパラジウム等の水素化反応を触媒するのに有効な金属の存在下、不活性溶媒の存在下に水素雰囲気下で行うこともできる。ニトロ化合物をアミンに還元するのに使用される他の試薬として、AlH−AlCl、ヒドラジンおよび触媒、TiCl、Al−NiCl−THF、ギ酸およびPd/CおよびNaHS、(NHSまたはポリスルフィド等のスルフィド(すなわち、Zinn反応)が挙げられる。芳香族ニトロ基は、NiClおよびCoCl等の触媒の存在下に、NaBHまたはBHで還元される。そこで、例えば、還元は、50〜150℃の範囲の温度、好都合には約70℃で、十分に活性化した鉄等の金属ならびにHOおよびアルコール、例えばMeOHもしくはEtOH等の溶媒または希釈剤の存在下に、ニトロ基を加熱することにより行いうる(J. March, Advanced Organic Chemistry, John Wiley & Sons: New York, NY, 1992, p1216)。
【0132】
アリールアミンのハロゲン化アリールへの変換は、アミンのジアゾ化により行われ、得られたジアゾニウム基のハロゲン化物での置換は、標準的な条件下に行われる。アリールアミンのジアゾ化は、アミンを亜硝酸で処理することにより達成され、この酸は、通常希HCl中でアミンの溶液を亜硝酸ナトリウムの水溶液で0〜10℃で処理することにより生成する。塩化物対イオンが望ましくない場合は、硫酸およびリン酸等の他の鉱酸を使用できる。アミンのジアゾ化は、亜硝酸エステル、例えば亜硝酸ブチルおよび亜硝酸ペンチルの存在下に、有機溶媒、例えばHOAc、MeOH、EtOH、ホルムアミドおよびDMF中で行うことができる。(K. Schank, Preparation of diazonium groups, In The chemistry of diazonium and diazo groups, Part 2; S. Patai, Ed.; John Wiley & Sons: New York, NY, 1978, p. 647-648)。得られたジアゾニウム塩の塩素または臭素への変換は、HCl/Cu(I)ClまたはHBr/Cu(I)Br中で行われる。臭化アリールおよび塩化アリールは、また、一級芳香族アミンから、アミンを、65℃で亜硝酸tert−ブチルおよび無水CuClもしくはCuBrで、またはRTでチオ亜硝酸tert−ブチルもしくはチオ硝酸tert−ブチルおよび無水CuClもしくはCuBrで処理することにより調製することができる。(J. March, Advanced Organic Chemistry, John Wiley & Sons: New York, NY, 1992, p723)。
【0133】
本発明の範囲の他の化合物は、フェノキシ酢酸の4位でアルキルまたはシクロアルキル基で置換されている。アルキルおよびアルケニル基は、ハロゲン化有機亜鉛、ジアルキル亜鉛またはジアルケニル亜鉛のハロアレーンおよびアリールトリフラートとの根岸カップリングを利用して導入され、これはアルキル基のアレーンへの結合用の有効な手段である(E. -I. Negishi, Acc. Chem. Res. 1982 15:340-348)。反応は、パラジウムPd(0)で触媒され、パラジウムは、好ましくは、Pd(dppf)ClおよびPd(dppe)Clを含む二座配位子に連結される(J. M. Herbert Tetrahedron Lett. 2004 45:817-819)。典型的には、反応は、不活性非プロトン性溶媒で行われ、ジオキサン、DMEおよびTHFを含む通常のエーテル系溶媒が好適である。反応は、通常、加温温度で行われる。根岸反応は、メチルおよびエチル置換基を導入するために利用された。
【0134】
4−シクロプロピル置換基は、臭化物のエテニルトリメチルスズ介在置換および得られたオレフィンのシクロプロパン化により、2工程で導入される。シクロプロパン化は、ジアゾメタンのPd(OAc)触媒シクロ付加で達成された。他のシクロプロパン化条件は、この分野で周知であり、この基質に適合させうる。
【0135】
酢酸の導入は、塩基の存在下に、フェノールを市販のハロ酢酸アルキルでアルキル化することにより、容易に達成される。得られたエチルエステルの加水分解、酸塩化物への変換およびアニリンとの縮合は、すべて、標準の方法論を用いて行われる。
【0136】
アミドは、対応するエステルまたはカルボン酸から、この分野で公知の任意の適切なアミド化手段により生成される。このような化合物を調製する一つの方法は、酸を酸塩化物に変換し、次いでその化合物を水酸化アンモニウムまたは適切なアミンで処理することである。例えば、エステルを、室温で約30分間、エタノール性KOHまたはLiOH等のアルコール性塩基溶液(約10%モル過剰)で処理する。溶媒を除去し、残渣を、ジエチルエーテル等の有機溶媒中に入れ、ジアルキルホルムアミドと過剰の塩化オキザリルで処理する。これは、すべて、約−10〜10℃の間の適度に低下した温度で行われる。次いで、得られた溶液を、低下した温度で1〜4時間撹拌する。溶媒を除去すると残渣が得られ、これを、不活性有機溶媒、例えばDCM、EtOAc、THFまたはトルエン中に入れ、約0℃に冷却し、濃水酸化アンモニウムまたは適切なアミンで処理する。反応により非反応性アンモニウム塩を形成するHClが生成されるので、過剰のアミンを供給する必要がある。あるいは、トリアルキルアミンまたはピリジンを塩基として反応に加えて、反応中に生成するHClと反応させる。得られた混合物を低下した温度で1〜4時間撹拌する。あるいは、当業者は、ハロゲン化アシルのアミド化は、炭酸アルカリ金属および適切なアミンの存在下に、水性有機溶媒中で行うことができるということが理解されよう(Shotten-Bauman条件)。
【0137】
あるいは、酸は、1当量の好適なカップリング剤または脱水剤、例えばEDCl、CDIまたはDCCで活性化してもよい。多数の添加剤が同定されており、これはカップリング効率を改善するものであり、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび3−ヒドロキシ−3,4−ヒヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(W. Koenig and R. Geiger Chem. Ber. 1970 788:2024および2034)、N−ヒドロキシコハク酸イミド(E. Wunsch and F. Drees, Chem. Ber. 1966 99:110)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(L. A. Carpino J. Am. Chem. Soc. 1993 115:4397-4398)が挙げられる。脱水カップリングのプロトコルは、ペプチド合成技術において広く洗練されており、これらのプロトコルが本明細書中で使用されている。これらのプロトコルは、概説されており、例えば、M. Bodanszky, Principles of Peptides Synthesis, Springer Verlag, New York 1993; P. Lloyd-Williams and F. Albericio Chemical Methods for the Synthesis of Peptides and Proteins CRC press, Boca Raton, FL 1997参照。
【0138】
L. H. Jones et al.は、2005年1月6日に刊行された米国公報第20050004129号の実施例6〜8で利用されている3−クロロ−5−ヒドロキシ−ベンゾニトリルの調製を記述している。本発明の化合物を調製するのに使用できる他のフェノールの調製は、実施例に見出すことができる(下記)。
【0139】
本発明の化合物は、多種多様な経口投与投薬形態および担体で配合することができる。経口投与は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬および軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤、シロップ剤または懸濁剤の剤形であることができる。本発明の化合物は、他の投与経路のうち、持続的(静脈内滴注)、非経口的、筋肉内、静脈内、および坐剤投与を含む他の投与経路により投与される場合に有効である。好ましい投与方法は、一般に、罹患の程度および活性成分に対する患者の応答に従って調整できる都合のよい1日用量レジメンを使用する経口である。
【0140】
1個または複数個の本発明の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる塩を、従来の賦形剤、担体または希釈剤の1種以上と一緒に、医薬組成物および単位投薬形態にすることができる。医薬組成物および単位投薬形態は、追加の活性化合物もしくは有効成分と共にまたはなしで、従来の成分を従来の割合で含むことができ、単位投薬形態は、使用される1日投与量の意図される範囲に相応する活性成分の任意の適切な有効量を含むことができる。医薬組成物は、錠剤もしくは充填カプセル剤、半固形剤、粉末剤、持続性放出製剤のような固体として、または液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤のような液体、または経口用の充填カプセル剤として;または直腸内もしくは膣内投与用の坐剤の形態で;または非経口的使用の注射用滅菌液剤の形態で使用することができる。典型的な調合剤は、1個または複数個の活性化合物を約5%〜約95%(w/w)含有する。本明細書で使用される用語「調合剤」または「投薬形態」は、活性化合物の固体および液体製剤の両方を含むことを意図しており、当業者は、活性成分が標的器官または組織、ならびに所望の用量および薬物動態パラメータに応じて異なる調合で存在できることを理解するであろう。
【0141】
本明細書で使用される用語「賦形剤」は、一般的に安全で、非毒性であり、生物学的にも、それ以外でも望ましくないものでない、医薬組成物の調製に有用である化合物を意味し、ヒトに対する薬学的使用と同様に獣医学用に許容できる賦形剤を含む。本明細書で使用される用語「賦形剤」は、そのような賦形剤の1種または2種以上の両方を含む。
【0142】
化合物の「薬学的に許容しうる塩」という語句は、薬学的に許容可能であり、親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。そのような塩には以下が含まれる:(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸により形成される酸付加塩;または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などのような有機酸により形成される酸付加塩;あるいは(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンもしくはアルミニウムイオンにより置換されるか;またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどのような有機塩基と配位結合するかのいずれかの場合に形成される塩。N−アシルスルホンアミドは、有機または無機カチオンと塩を形成するために引き抜くことができる、酸性プロトンを有する。
【0143】
好ましい薬学的に許容しうる塩は、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、酒石酸、クエン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛およびマグネシウムから形成される塩である。薬学的に許容しうる塩への全ての言及には、同じ酸付加塩の本明細書で定義される溶媒付加形態(溶媒和物)または結晶形(多形)が含まれることを理解するべきである。
【0144】
固体形態の調合剤として、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤および分散性顆粒剤が挙げられる。固体担体は、希釈剤、風味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩解剤またはカプセル化材料としても作用することができる1種以上の物質であってよい。粉末剤では、担体は、一般に微粉化した活性成分との混合物である微粉化した固体である。錠剤では、活性成分は、一般に必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状および大きさに成形される。適切な担体には、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ロウ、カカオバターなどが含まれるが、これらに限定されない。固体形態の調合剤は、活性成分に加えて、着色剤、風味剤、安定剤、緩衝剤、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有してもよい。
【0145】
液体製剤も経口投与に適切であり、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、および水性懸濁剤を含む液体製剤が含まれる。これらには、使用の直前に液体形態の調合剤に変換されることが意図される固体形態の調合剤が含まれる。乳剤は、溶液、例えば、プロピレングリコール水溶液で調製されることができるか、またはレシチン、ソルビタンモノオレエートもしくはアカシアのような乳化剤を含有することができる。水性液剤は、活性成分を水に溶解し、適切な着色剤、風味剤、安定剤および増粘剤を加えることにより調製できる。水性懸濁剤は、微粉化した活性成分を、天然または合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび他の周知の懸濁剤のような粘性材料と共に水に分散することにより調製できる。
【0146】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射、例としてはボーラス注入または持続注入による)のために配合することができ、アンプル、充填済注射器(pre-filled syringes)、小量注入容器に単位用量形態で、または防腐剤を添加した複数回投与用容器中に存在できる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤、例えばポリエチレングリコール水溶液中の液剤のような形態をとることができる。油性または非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)および注射用有機エステル類(例えば、オレイン酸エチル)が挙げられ、防腐剤、湿潤剤、乳化剤もしくは懸濁剤、安定剤および/または分散剤のような配合剤を含有していてもよい。あるいは、活性成分は、適切なビヒクル、例えば滅菌した、発熱物質を含まない水を用いて使用前に構成されるための、滅菌固体の無菌分離によるかまたは溶液から凍結乾燥することにより得られる粉末形態であってよい。
【0147】
本発明の化合物は、軟膏剤、クリーム剤もしくはローション剤としてまたは経皮パッチ剤として表皮に局所投与するために処方することができる。例えば、軟膏剤およびクリーム剤は、適切な増粘剤および/またはゲル化剤を加え、水性または油性基剤を用いて配合することができる。ローション剤は、水性または油性基剤を用いて配合することができ、また一般に、1種以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤または着色剤をも含有する。口腔内の局所投与に適切な製剤には、風味付けした基剤中、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に活性剤を含むトローチ剤;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアのような不活性基剤中に活性成分を含むパステル剤;ならびに適切な液体担体中に活性成分を含む洗口剤が含まれる。
【0148】
本発明の化合物は坐剤としての投与のために処方することができる。脂肪酸グリセリドまたはカカオバターの混合物などの低融点ロウを最初に溶融し、活性成分を例えば撹拌により均質に分散する。次に均質溶融混合物を、都合のよい大きさの成形型に注いで、冷却および固化させる。
【0149】
本発明の化合物は膣内投与用に処方することができる。ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレーは、活性成分に加えて当該技術分野で適切であると知られているような担体を含む。
【0150】
本発明の化合物は鼻腔内投与用に処方することができる。液剤または懸濁剤を、従来の方法、例えば、滴瓶、ピペットまたはスプレーを用いて直接鼻腔に適用する。製剤は単回投与または複数回投与形態で提供することができる。後者の滴瓶またはピペットの場合、液剤または懸濁剤の適切で所定の容量を患者が投与することで、それを達成することができる。スプレーの場合、例えば計量噴霧スプレーポンプを用いて達成することができる。
【0151】
本発明の化合物は、特に、鼻腔内投与を含む、気道へのエアゾール投与用に処方してもよい。化合物は、一般に、例えば5μ以下のオーダーの小さい粒径を有する。そのような粒径は、当該技術で既知の方法、例えば微粉砕により得ることができる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンもしくはジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素、あるいは他の適切なガスのような適切な噴射剤を用いた加圧パックで提供される。エアゾールは、また、レシチンのような界面活性剤を含有することが好都合である。薬剤の用量は、計量弁により制御してもよい。あるいはまた、活性成分は、乾燥粉末の形態で、例えば、乳糖、デンプン、デンプン誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリジン(PVP)のような適切な粉末基剤中の化合物の粉末混合物で提供されてもよい。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、例えばゼラチンの、例えばカプセルもしくはカートリッジ、またはブリスターパックのような単位用量形態で提供されてよく、これから粉末剤が吸入器により投与されてもよい。
【0152】
所望であれば、製剤は、活性成分の持続的または制御的放出投与に適合するように、腸溶コーティングを用いて調製できる。例えば本発明の化合物は、経皮または皮下薬剤送達デバイスに処方できる。これらの送達系は、化合物の持続放出が必要であり、患者の治療レジメンに対するコンプライアンスが重要である場合に有益である。経皮送達系における化合物は、多くの場合、皮膚付着固体支持体に添加されている。目的の化合物は、また、浸透向上剤、例えばエイゾン(1−ドデシルアザ−シクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることができる。持続的放出送達系は、手術または注入により皮下層に皮下的に挿入される。皮下インプラントは、脂溶性膜、例えばシリコーンゴムまたは生物分解性ポリマー、例えばポリ乳酸で化合物を包み込む。
【0153】
医薬担体、希釈剤および賦形剤を伴った好適な製剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 1995, edited by E. W. Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。熟練した製剤科学者は、本明細書の組成物を不安定にするかまたはその治療活性を損なうことなく、特定の投与経路のための多数の製剤を提供するために、本明細書の教示の範囲内で製剤を変更することができる。
【0154】
水または他のビヒクル中で本発明の化合物をより可溶性にするそれらの化合物の変性は、例えば、僅かな変性(塩形成、エステル化など)により容易に達成することができ、これは十分に、当分野における通常の技術の範囲内である。また、患者おける最大限の有益な効果のために本発明の化合物の薬物動態を管理する目的で、特定の化合物の投与経路および投薬レジメンを変更することは、十分に、当分野における通常の技術の範囲内である。
【0155】
本明細書で使用される用語「治療有効量」は、個体における疾患の症状を軽減するために必要な量を意味する。HIV感染の状態は、ウイルス負荷(RNA)を測定するか、あるいはT細胞レベルをモニターすることによりモニターすることができる。用量は、それぞれの特定の場合において個別の要件に適合される。用量は、治療される疾患の重篤度、患者の年齢および身体全体の健康状態、患者が治療を受けている他の医薬、投与経路および形態、ならびに関与する医師の選択および経験のような多数の要因に応じて広い範囲で変わることができる。経口投与では、1日あたり約0.01〜約100mg/kg体重の1日投与量が、単剤療法および/または併用療法で適切である。好ましい1日投与量は、1日あたり、約0.1〜約500mg/kg体重、より好ましくは0.1〜約100mg/kg体重、最も好ましくは1.0〜約10mg/kg体重である。したがって、70kgの人に対する投与では、投与量範囲は、1日あたり約7mg〜0.7gであろう。1日投与量は、単回投与としてまたは分割投与で、典型的には1日あたり1〜5回投与で投与できる。一般に、処置は、化合物の最適用量未満であるより少ない投与量で始められる。その後、投与量は、個別の患者に最適な効果が達成されるまで少量ずつ増加される。本明細書で記載されている疾患を処置する通常の技術のうちの1つにより、過度の実験を行うことなく、かつ個人的な知識、経験および本出願の開示に拠り、所与の疾患および患者のための本発明の化合物の治療有効量を確認することが可能となろう。
【0156】
本発明の実施態様において、活性化合物または塩は、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、別の非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤またはHIVプロテアーゼ阻害剤などの、別の抗ウイルス性薬剤と組み合わせて投与できる。活性化合物またはその誘導体もしくは塩が別の抗ウイルス性薬剤と組み合わせて投与されるとき、活性は、親化合物を超えて増大することができる。処置が併用療法であるとき、そのような投与は、ヌクレオシド誘導体の投与と同時であるか、またはそれに続くものであってもよい。したがって、本明細書で使用されるとき、「同時投与」には、同時または異なる時の薬剤の投与が含まれる。同時に2種以上の薬剤を投与することは、2種以上の活性成分を含有する単一の製剤によってか、または単一の活性薬剤の2種以上の投与形態の実質的な同時投与によって、達成できる。
【0157】
本明細書での処置に対する言及は、予防ならびに現在の状態の治療にまで及ぶものであり、動物の処置には、ヒト、ならびに他の動物の処置を含むことが理解されるであろう。さらに、本明細書で使用されるとき、HIV感染の処置には、HIV感染に関連するまたはそれが介在する疾患もしくは状態、またはその臨床症状の治療または予防も含まれる。
【0158】
医薬調合剤は、好ましくは単位投薬形態である。そのような形態では、調合剤は、活性成分の適切な量を含有する単位用量に細分化されている。単位投薬形態は、パッケージ調合剤であることができ、そのパッケージは、パケット錠剤、カプセル剤およびバイアルまたはアンプル中の粉末剤のように、調合剤の別個の分量を含有する。また、単位投薬形態は、それ自体カプセル剤、錠剤、カシェ剤またはトローチ剤であることができるか、またはこれらのうちのいずれかの適切な数のパッケージ形態であることができる。
【0159】
以下のこれらの実施例および製剤は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施することを可能とするために提供される。それらは本発明の範囲を限定するものとして考えるべきではなく、単にそれらを例証し、代表するものとして考えるべきである。
【0160】
実施例1
2−[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド(I−1)
【0161】
【化10】

【0162】
工程1 − 固体のKOtBu(9.7g、1.05当量)を、THF(350mL)中の26(12.7g、83mmol)の溶液に0℃で加えた。混合物を20分間撹拌し、2,3,4−トリフルオロニトロベンゼン(12、10mL、1.05当量)を加えた。溶液をRTに温め、2時間エージングした。混合物を塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層を、乾燥し(MgSO)、揮発性物質をエバポレートした。得られた固体をMeOHから再結晶して、28aを得た。
【0163】
工程2 − 乾燥DMSO(125mL)に、NaH(55%懸濁物3.6g、2.1当量)を加え、得られた懸濁液を70℃に30分間加熱した。溶液を加熱浴から一時的に引き上げ、ベンズアルドキシム(9.5g、2当量)を滴下した。混合物を70℃でさらに30分間撹拌した。濃厚黄色溶液をRTに冷却し、28a(12.2g、39mmol)とDMSO(100mL)の溶液を滴下した。混合物を、反応溶液が均一になるまで加熱した。反応混合物をRTで2時間撹拌し、次いで水に注いだ。得られた混合物を、EtOで抽出し、乾燥し、エバポレートして、28bを固体として得、これは、MeOHから再結晶することができた(8.5g、70%)。
【0164】
工程3 − アセトン(60mL)中のブロモ酢酸エチル(4.85g、1.5当量)と28b(6.0g、19.4mmol)の溶液に、無水KCO(5.3g、2当量)を加え、得られた溶液を60℃に2時間加熱した。大部分のアセトンをエバポレートにより留去し、残った物質を、EtOAcと水の間で分配した。有機層を乾燥し(MgSO)、揮発性物質をエバポレートして固体を得、これを、10%EtO/ヘキサンで磨砕(triturate)して、7.2g(95%)の28cを得た。
【0165】
工程4 − THF(23mL)中の28c(2.28g、5.79mmol)、バナジルアセチルアセトナート(0.184g、0.12当量)および5%Pd/C(0.525g、0.23wt当量)の混合物を、風船で維持したH雰囲気下に撹拌した。懸濁液を36時間撹拌し、CELITE(登録商標)を通して濾過した。溶媒をエバポレートし、粗生成物を30%EtOAc/ヘキサンで溶出するSiOクロマトグラフィーで精製して、1.65g(78%)の30aを得た。
【0166】
工程5 − 亜硝酸tert−ブチル(0.674mL、1.3当量)および30a(1.60g、4.38mmol)とMeCN(8mL)の溶液を、順次、60℃に加熱したMeCN(22mL)中のLiCl(0.371g、2当量)とCuCl(0.765g、1.3当量)の溶液に加えた。反応混合物を60℃に2時間維持し、次いで1N HClでクエンチした。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥し(MgSO)、濾過し、エバポレートした。粗生成物を17%EtOAc/ヘキサンで溶出するSiOクロマトグラフィーで精製して、1.06g(63%)の30bを得た。
【0167】
工程6 − LiOH・HO(0.378g、1.5当量)とHO(23mL)の溶液を、30b(2.31g、6.01mmol)とTHF(39mL)の氷冷溶液に滴下した。30分後、1N水性HClを反応混合物に滴下し、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下に濃縮して、1.96g(91%)の32aを得た。
【0168】
工程7 − 塩化オキザリル(0.47mL、2当量)を、DCM(8mL)中の32a(0.96g、2.7mmol)の溶液に加え、次いでDMF(2滴)を加えた。1時間後、溶媒を除去し、得られた粗製の酸塩化物32bを、さらに精製することなく次の工程で使用した。
【0169】
工程8− アセトン(1.3mL)中の酸塩化物32b(1.01g、2.71mmol)の溶液に、2−クロロ−4−スルファモイルアニリン(1.12g、2当量)を加えた。1時間後、反応混合物をHOで希釈し、得られた固体を濾過し、アセトンで洗浄し、乾燥して、1.27g(86%)のI−1を得た。
【0170】
工程9 − 90℃に加熱したI−1(0.729g、1.34mmol)、DMAP(0.041g、0.25当量)およびDMF(1mL)の溶液に、無水プロピオン酸(0.172mL、1当量)を加え、反応混合物を90℃に維持した。2時間後、HO(4mL)およびi−PrOH(11mL)を加え、反応混合物を60℃で1時間エージングし、次いで、冷却し、HO(7mL)を加えた後、得られた固体を集めた。固体をi−PrOHとHOで洗浄し、次いで乾燥して、0,713g(89%)の34を得た。
【0171】
工程10 − THF(4mL)中の34(0.666g、1.11mmol)と2−エチルヘキサン酸ナトリウム(0.368g、2当量)の溶液を、90℃に加熱した。THFが蒸留されるにつれ、酢酸ブチルを加えて、エバポレートされたTHFと置き換えた。温度を127℃に上げると、白色固体物質が生成した。反応混合物をRTに冷却し、白色固体を濾過し、THFから再結晶して、0.280g(41%)のI−24を得た。
【0172】
工程9および10を省略し、工程8において、加えた2−クロロ−4−スルファモイルアニリンを、加えた2−メチル−4−スルファモイルアニリンで置き換えたことを除いて、類似の経路によりI−2を調製した。
【0173】
工程9および10を省略し、工程8において、加えた2−クロロ−4−スルファモイルアニリンを、2−ブロモ−4−スルファモイルアニリンで置き換えたことを除いて、類似の経路によりI−3を調製した。
【0174】
工程1において、3−ヒドロキシ−5−クロロ−ベンゾニトリルを、3−ヒドロキシ−5−ブロモ−ベンゾニトリルで置き換えたことを除いて、工程8において、適切なアニリン誘導体を用いて同様にして、I−18およびI−19を調製した。
【0175】
工程1において、3−ヒドロキシ−5−クロロ−ベンゾニトリルを、3−ヒドロキシ−5−メトキシ−ベンゾニトリルで置き換えたことを除いて、工程8において、適切なアニリン誘導体を用いて同様にして、I−11およびI−12を調製した。
【0176】
実施例2
2−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド(I−4)
【0177】
【化11】

【0178】
ブロモ誘導体を、30a(1.15g、3.16mmol)、LiBr(0.824g、3当量)、CuBr(0.707g、1当量)、亜硝酸tert−ブチル(0.450mL、1.2当量)およびCHCN(21mL)から、実施例1の工程5に記載の手順により調製したところ、モノ−およびジブロモ化合物の混合物が得られ、これをSiOクロマトグラフィーにより分離して、0.663g(49%)の36と0.335g(22%)の38を得た。
【0179】
工程8において、2−クロロ−4−スルファモイルアニリン(1.12g、2当量)を、2−メチル−4−スルファモイルアニリンで置き換えたことを除いて、モノ−ブロモエステル36aを、実施例1の工程6〜8に記載のように独立に続けて、I−4を得た。
【0180】
工程8において、2−メチル−4−スルファモイルアニリンを、2−クロロ−4−スルファモイルアニリンで置き換えたことを除いて、I−4を調製するのに使用した経路と類似の経路により、36からI−5を調製した。
【0181】
実施例1の工程1において、3−クロロ−5−ヒドロキシ−ベンゾニトリルを、3−ヒドロキシ−5−メトキシ−ベンゾニトリルで置き換えたことを除いて、実施例1および2に記載のようにして調製した[3−(3−シアノ−5−メトキシ−フェノキシ)−2−フルオロ−4−ニトロ−フェノキシ]−酢酸エチルエステルから同様にして、I−17およびI−18を調製した。
【0182】
実施例3
4−{2−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−アセチルアミノ}−3−メチル−ベンズアミド(I−28)
【0183】
【化12】

【0184】
2−クロロ−4−スルファモイルアニリンを、4−カルボキサミド−2−メチル−アニリンで置き換えたことを除いて、実施例1の工程8に記載のようにして、I−28を調製した。
【0185】
3−クロロ−4−{2−[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−アセチルアミノ}−安息香酸(I−27)を、4−アミノ−3−クロロ安息香酸tert−ブチルの40との縮合および標準的な条件下での得られたエステルの加水分解により、同様に調製した。
【0186】
実施例4
2−[3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−4−エチル−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド(I−6)
【0187】
【化13】

【0188】
THF(5mL)中の40(0.663g、1.55mmol)の溶液に、(dppf)PdClCHCl(0.127g、0.10当量)、ZnEt(2.8mL、2.00当量、1.1Mトルエン)およびジメチルアミノエタノール(0.031mL、0.20当量)を、順次加えた。反応混合物を、最初65℃に加熱し、次いで、50℃に3時間冷却した。反応混合物をRTに冷却し、氷冷飽和水性NHClでクエンチした。水層をEtOAcで抽出し、有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、エバポレートした。粗生成物を、15%EtOAc/ヘキサンで溶出するSiOクロマトグラフィーで精製して、0.395g(67%)の42を得た。
【0189】
アミド化工程(工程8)において2−メチル−4−スルファモイルアニリンおよび2−クロロ−4−スルファモイルアニリンをそれぞれ使用して、実施例1の工程6〜8に記載のようにして42からI−6およびI−8を調製した。
【0190】
実施例5
2−[3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−4−シクロプロピル−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド(I−9)
【0191】
【化14】

【0192】
工程1 − トリブチルビニルスズ(0.749mL、1.1当量)を、40(1.00g、2.33mmol)、Pd(PPh(0.269g、0.1当量)およびトルエン(10mL)の溶液に加えた。反応混合物を5時間還流し、次いで、RTに冷却し、CELITE(登録商標)を通して濾過した。溶出物を、飽和NHCl(水性)およびEtOAcの間で分配し、有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、エバポレートした。粗生成物をEtOAc/ヘキサングラジエント(17〜20%EtOAc)で溶出するSiOクロマトグラフィーで精製して、0.645g(73%)の44aを得た。
【0193】
工程2 − N−ニトロソ−N−メチルウレア(1.75g、10当量)を、少量ずつ、EtO(27mL)およびKOH(4.45g)を含むHO(15mL)の氷冷混合物に加えた。得られた黄色混合物を0℃で1時間撹拌した。EtO層を十分なKOHを含有する三角フラスコに静かに移して、そのフラスコの底面を覆うようにし、その後、溶液を、44a(0.638g、1.69mmol)とPd(OAc)(19mg、0.05当量)のDCM(15mL)溶液に加えた。反応混合物を0℃で2時間撹拌し、CELITE(登録商標)を通して濾過し、濃縮して、0.531g(80%)の44bを得た。
【0194】
アミド化工程(工程8)において2−クロロ−4−スルファモイルアニリンおよび2−メチル−4−スルファモイルアニリンをそれぞれ使用して、実施例1の工程6〜8に記載のようにして44bからI−9およびI−10を調製した。
【0195】
実施例6
2−[4−クロロ−3−(3−シアノ−5−エチル−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド(I−20)
【0196】
【化15】

【0197】
工程1 − n−BuLi(1.6M溶液2.6mL、1.1当量)を、N雰囲気下に−78℃に冷却したEtO(20ml)中の46a(1.0g、3.8mmol)の溶液にゆっくり加えた。溶液を45分間撹拌し、DMFをシリンジを介して加えた。溶液をゆっくりRTまで温め、飽和NHClに加え、エーテルで抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、エバポレートして、0.80g(98%)の46bを得た。
【0198】
工程2 − アルデヒド46b(12.0g、56mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(19.4g、5当量)、EtOH(100mL)およびピリジン(10mL)の溶液を65℃に16時間加熱した。混合物をRTに冷却し、50%EtOAc/ヘキサンと水の間で分配した。有機層を、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、揮発性物質をエバポレートして、12.4g(97%)のオキシムを得た。この物質を、無水ジオキサン(100mL)とピリジン(26mL、6当量)中に溶解した。溶液を0℃に冷却し、TFAA(15mL、2当量)を加え、混合物をRTにまで温めた。溶液を2d撹拌し、60℃に1時間温めた。混合物をRTに冷却し、氷水に注意深く加えた。混合物をDCMで抽出し、合わせた有機層を水、1M HClおよびブラインで洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、エバポレートして、10.4g(90%)の46cを得た。
【0199】
工程3 − 無水コリジン(100mL)を、46c(10.4g、49mmol)とLiI(19.6g、3当量)を含む乾燥フラスコに加えた。溶液を窒素下、150℃に一晩加熱し、RTに冷却し、氷冷1M HCl溶液に注いだ。混合物を、1:1EtOAc/ヘキサン溶液で抽出し、水洗し、乾燥した(MgSO)。真空下で濃縮して、8.7g(89%)の48を得た。
【0200】
3−ブロモ−5−ヒドロキシ−ベンゾニトリル(48)を、実施例1の工程1〜5に記載の手順により50bに変換した。50bの52への変換(工程4)を、実施例4に記載の手順により行った。エステルの加水分解、酸塩化物の生成、およびアリールアミンの縮合による52のI−20への最終的な変換は、実施例1の工程6〜8に記載の標準的な手順により行った。
【0201】
実施例7
2−[4−クロロ−3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド(I−14)
【0202】
【化16】

【0203】
50a(2.89g、6.59mmol)、Zn(CN)(0.464g、0.6当量)、Pd(PPh(0.761g、0.1当量)およびDMF(33mL)の溶液を、90℃に16時間加熱した。反応混合物を冷却し、1N NHCl(水性)でクエンチし、EtOAcを加えて、有機相を分離し、HOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下に濃縮した。粗生成物を30%EtOAc/ヘキサンで溶出するSiOクロマトグラフィーで精製して、0.535g(22%)の54を得た。
【0204】
臭化アリール50aは、実施例6に記載のようにして調製した。ビス−シアノエステル54は、アミド化工程(工程8)において2−メチル−4−スルファモイルアニリンおよび2−クロロ−4−スルファモイルアニリンをそれぞれ使用して、実施例1の工程6〜8に記載のようにしてI−13およびI−14に変換した。
【0205】
実施例2に記載のようにしてサンドマイヤー(臭素化)反応を用い、引き続き、工程8において2−クロロ−4−スルファモイルアニリンおよび2−メチル−4−スルファモイルアニリンを使用して、実施例1の工程6〜8に記載のようにして、54からI−21およびI−22を調製した。
【0206】
実施例8
2−[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド(I−15)
【0207】
【化17】

【0208】
工程1 − 0℃に冷却したTHF(34mL)中の26(5.00g、32.6mmol)の溶液に、KOBu(36mL、1.1当量、THF中の1.00M溶液)を滴下し、その後、溶液をRTまで温めた。1時間後、THF溶液を0℃に再度冷却し、THF(34mL)中の2,4−ジフルオロニトロベンゼン(56、5.70g、35.8mmol)の溶液を加え、反応物を50℃に3時間加熱した。反応混合物をRTに冷却し、氷冷HOに注ぎ、EtOAcで抽出した。合わせた抽出物をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下に濃縮した。得られた固体をDCMで磨砕して、6.65g(70%)の58aを得た。
【0209】
工程2 − 58a(6.65g、22.7mmol)、ベンズアルデヒドオキシム(4.95mL、2当量)、NaH(1.9g、2.1当量)およびDMSO(136mL)の混合物を、実施例1の工程2に記載の手順を利用して、6.60g(100%)の58bに変換した。
【0210】
工程3 − 実施例1の工程3に記載の手順を利用して、フェノール58b(6.60g、22.7mmol)を、ブロモ酢酸エチル(3.77mL、1.5当量)、KCO(6.27g、2.0当量)およびアセトン(91mL)でアルキル化して、7.94(93%)の60aを得た。
【0211】
ニトロ基の塩化物での置換(工程4)ならびにエステル60bの適切なアニリンでのアニリドI−10およびI−15への変換は、実施例1の工程5〜8中の手順により行った。
【0212】
実施例9
2−[4−クロロ−3−(3−シアノ−5−ジフルオロメチル−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド(I−29)
【0213】
【化18】

【0214】
工程1 − BBr3(DCM中の1.0M溶液29.1mL、29.1mmol)の溶液を、N下に−78℃に維持された無水DCM(25mL)中の62a(2.5g、11.62mmol)の溶液にゆっくり加えた。橙色の溶液をRTに温め、2時間撹拌し、氷上に注いだ。混合物をCHCl(100mL)で抽出し、有機層をHO(50mL)とブライン(50mL)で洗浄した。溶媒をエバポレートし、残った油状体を、EtOAc/ヘキサングラジエント(0%〜20%EtOAc)で溶出するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製して、所望のフェノールを得た。アルゴン下に、ピリジン(10mL)中のこのフェノールの溶液に、無水酢酸(0.6mL、6.33mmol)をゆっくり加えた。2時間後、揮発性物質を除去して、酢酸3−ブロモ−5−ホルミル−フェニル(62b、1.02g、40%)を得た。
【0215】
工程2 − DAST(1.02mL、7.69mmol)を、NALGENE(登録商標)ボトル中に入れた窒素下のDCM(5mL)中の酢酸3−ブロモ−5−ホルミル−フェニル(62b、1.1g、4.52mmol)の溶液に加えた。EtOH(0.013mL、0.23mmol)を加え、混合物を16時間撹拌した。次いで、反応混合物を、飽和NaHCOの水溶液にゆっくり加えた。発泡が終わったのち、DCM(50mL)を加え、層を分離した。有機層をブライン(30mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥した。溶媒を除去して、黄色油状体を得、これをTHF(15mL)とHO(4mL)の混合物中に入れた。LiOH一水塩(474mg、11.3mmol)を加え、反応混合物をRTで2時間撹拌した。次いで、溶液を5%水性HCl(50mL)に滴下し、混合物をEtOAc(3x30mL)で抽出した。合わせた有機画分をブライン(30mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥した。揮発性物質をエバポレートすると、油状体が得られ、これをシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(0%〜25%EtOAc/ヘキサン)で精製すると、800mg(79%)の3−ブロモ−5−ジフルオロメチル−フェノール(64)が得られた。
【0216】
3−ブロモ−5−ジフルオロメチル−フェノール(64)と12との縮合(工程3)は、実施例1の工程1中に記載のようにして行うことができる。フルオロのヒドロキシでの置換(工程4)は、実施例1の工程2中に記載のようにして達成することができる。フェノールのブロモ酢酸エチルでのアルキル化(工程5)は、実施例1の工程3中に記載のようにして行うことができる。ニトロ置換基の塩化物への変換(工程6)は、実施例1の工程4および5中に記載のようにして行うことができる。臭化アリールのシアニドでの置換(工程7)は、実施例7に記載の手順により行うことができる。エステルの加水分解、酸塩化物への変換および2−メチル−4−スルファモイルアニリンとの縮合(工程8)は、実施例1の工程6〜8中に記載のようにして行うことができ、これは、I−29を与える。
【0217】
実施例10
2−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−[2−クロロ−4−(2,4−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル)−フェニル]−アセトアミド(I−30)
【0218】
【化19】

【0219】
工程1 − RTで、80(CASRN 825−41−2、1.03g、5.97mmol)および乾燥ジオキサンの溶液に、イソシアン酸2−クロロアセチル(82、CASRN 4461−30−7、0.51mL、5.99mmol)を加え、得られた溶液をRTで3時間撹拌した。黄褐色の固体が約1時間後に析出した。DBU(1.78mL)を混合物に加え、懸濁液をRTで一晩撹拌した。追加のDBU(1mL)を加え、溶液をさらに24時間撹拌した。揮発性物質をエバポレートし、暗褐色の残渣をDCM(100mL)に溶解し、1N HClで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、エバポレートして、1.13gの橙色固体を得、これを、最少量のDCM中で超音波処理し、濾過し、DCMで、0.5gの84aを橙色粉末として得た。
【0220】
工程2 − 84a(0.5g、1095mmol)、Fe粉末(0.54g、9.75mmol、電解グレード、100メッシュ未満)、NHCl(4.58g、85.7mmol)およびEtOH/HO(1:1)の混合物を、迅速に撹拌し、85℃で加熱した。1時間後、得られた懸濁液をCELITE(登録商標)パッドを通して濾過し、そのパッドを沸騰EtOHで洗浄した。EtOH溶液をRTに冷却し、それ以上析出物が生成しなくなるまでHOを少しずつ加えた。固体を濾過し、HOで洗浄し、空気乾燥して、0.29gの84bを黄褐色固体として得た。追加の100mgが、濾液をEtOAcで抽出することにより得られた。
【0221】
工程3 − 86(0.1g、0.26mmol、実施例1の工程6の手順を用いて36から調製)、84b(0.065g、0.28mmol)、EDCI(60mg、0.312mmol)および無水DMF(2mL)の溶液を、不活性雰囲気下にRTで一晩撹拌した。得られた溶液をHOで希釈し、EtOAcで2回抽出した。合わせた抽出物をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、エバポレートした。粗生成物を加熱し、MeOHと共に超音波処理し、濾過して、0.020gのI−30を得た。
【0222】
実施例11
N−[4−(3−アミノ−3−メチル−ブタ−1−イニル)−2−クロロ−フェニル]−2−[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−アセトアミド(I−32)
【0223】
【化20】

【0224】
工程1 − 丸底フラスコに、88a(CASRN 42016−93−3、10.7g、54.1mmol)、CuI(0.8g、0.1当量)、ジエチルアミン(10.9mL、2.5当量)、1.1−ジメチル−プロパ−2−イニルアミン(CASRN 2978−58−7、3.5g、1.0当量)およびTHF150mLを入れ、アルゴンをRTで20分間、得られた混合物に吹き込んだ。混合物に、Pd(PPh(4.9g、0.1当量)を加え、フラスコを窒素でフラッシュし、70℃に6時間加熱した。揮発性溶媒を真空下に除去し、残渣を、MeOH/DCMグラジエント(0%〜15%MeOH)で溶出するSiOクロマトグラフィーで精製して、7.0gの88bを得た。
【0225】
工程2 − THF(5mL)中の88b(0.23g、1.08mmol)、二炭酸ジ−tert−ブチル(0.26g、1.1当量)、TEA(0.224mL、1.5当量)の溶液を16時間撹拌した。溶媒を真空下にエバポレートし、残渣をEtOAc/ヘキサングラジエント(5〜30%EtOAc)で溶出するSiOクロマトグラフィーで精製して、0.18g(54%)の88cを得た。
【0226】
工程3 − DCM(5mL)中のR−23a(0.22g、0.583mmol)、塩化オキザリル(0.1mL、2当量)、DMF(2滴)の溶液をRTで1時間撹拌し、その後、溶媒を真空下に除去した。
【0227】
32bとDCMの溶液を、DCM(2mL)中の88c(0.18g、1当量)とピリジン(1.5mL)の氷冷溶液に加え、得られた混合物を16時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、5%HClに注いだ。有機相を水とブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、エバポレートした。残渣を、EtOAc/ヘキサングラジエント(5〜30%EtOAc)で溶出するSiOクロマトグラフィーで精製して、90を得た。
【0228】
工程4 − ジオキサン中の90a(3g、4.44mmol)の溶液に、ジオキサン中の4M HCl(11mL、10当量)を加え、得られた混合物を20時間撹拌した。反応混合物を飽和水性NaHCOに注ぎ、得られた溶液をDCMで抽出した。合わせた抽出物を水とブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、溶媒をエバポレートして、I−31を得た。
【0229】
実施例12
2−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−ブタ−1−イニル)−フェニル]−アセトアミド(I−31)
【0230】
【化21】

【0231】
32(2.6mmol)とDCMの溶液に、DCM(5mL)中の92(0.6、1.1当量)とピリジン(5mL)の溶液を加え、得られた溶液を20時間撹拌した。反応混合物を5%HClに注ぎ、DCMで抽出した。合わせた抽出物を水とブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、エバポレートした。残渣を、EtOAc/ヘキサンで溶出するSiOクロマトグラフィーで精製して、I−31を得た。
【0232】
実施例13
HIV逆転写酵素アッセイ 阻害剤IC50決定:
RNA依存DNAポリメラーゼ活性は、ビオチン化プライマーオリゴヌクレオチドおよびトリチウム化dNTP基質を用いて測定した。新たに合成したDNAを、ストレプトアビジンをコーティングしたシンチレーションプロキシミティアッセイ(Scintillation Proximity Assay、SPA)ビーズ(Amersham)上でビオチン化プライマー分子を捕捉することにより定量した。ポリメラーゼアッセイ基質の配列は:18ntDNAプライマー、5’−ビオチン/GTC CCT GTT CGG GCG CCA−3’;47ntRNAテンプレート、5’−GGG UCU CUC UGG UUA GAC CAC UCU AGC AGU GGC GCC CGA ACA GGG AC−3’である。ビオチン化DNAプライマーは、Integrated DNA Technologies Inc.から得られ、RNAテンプレートは、Dharmaconにより合成された。DNAポリメラーゼアッセイ(最終容量50μl)は、32nMビオチン化DNAプライマー、64nM RNA基質、dGTP、dCTP、dTTP(各々5μMで)、103nM[H]−dATP(比活性=29μCi/mmol)、45mMトリス−HCl中、pH8.0、45mM NaCl、2.7mM Mg(CHCOO)、0.045%トリトンX−100w/v、0.9mM EDTAを含有していた。反応物は、IC50決定用の100%DMSO中の化合物連続希釈物5μlを含有し、DMSOの最終濃度は、10%であった。反応は、30μlのHIV−RT酵素(最終濃度1〜3nM)を加えることにより開始した。タンパク質濃度は、少なくとも30分のインキュベーションについて直線的な生成物の生成をもたらすように調整した。30℃で30分間インキュベーションしたのち、反応を、200mM EDTA(pH8.0)50μlと2mg/ml SA−PVT SPAビーズ(Amersham、RPNQ0009、20mMトリス−HCl中で再構成、pH8.0、100mM EDTAおよび1%BSA)を添加することによりクエンチした。ビーズを一晩放置して落ち着かせ、SPA信号を、96ウエルトップカウンター−NXT(Packard)中でカウントした。IC50値は、GraphPad Prism 3.0(Graphpad Software, Inc.)を用いて、S字状回帰分析により得た。
【0233】
実施例14
いくつかの経路による投与用の対象化合物の医薬組成物を、本実施例に記載のようにして調製した。
【0234】
【表2】

【0235】
成分を混合し、約100mgずつを含有するカプセルに調剤する;1カプセルがほぼ全1日用量となる。
【0236】
【表3】

【0237】
成分を合わせ、メタノールなどの溶媒を使用して造粒する。次に、処方物を乾燥し、適切な錠剤成形機を用いて錠剤(活性化合物約20mg含有)を成形する。
【0238】
【表4】

【0239】
成分を混合して、経口投与用の懸濁剤を形成する。
【0240】
【表5】

【0241】
活性成分を注射剤用の水の一部に溶解する。次に、塩化ナトリウムの十分な量を撹拌しながら加えて、溶液を等張にする。注射剤用の水の残りで溶液を増量にして、0.2μ膜フィルターを通して濾過し、滅菌条件下で包装する。
【0242】
【表6】

【0243】
成分を一緒に溶融し、蒸気浴で混合し、全重量2.5gを含有する型に注ぐ。
【0244】
前記の記載、あるいは、特定の形態でまたは開示された機能を実行する手段により、または適切であれば、開示された結果を達成する方法もしくはプロセスに関して表現された下記の特許請求の範囲に開示された特徴は、別個に、または、このような特徴の任意の組み合わせにおいて、それらの多様な形態で本発明を実現するために利用しうる。
【0245】
前記の発明は、明瞭さおよび理解の目的のために、説明および例により、いくらか詳細に記載されている。変更および変形を添付の特許請求の範囲の範囲内で実施してもよいことが、当業者には明白であろう。したがって、上記の記載は、例示的であり制限的ではないことを意図していることを理解すべきである。したがって、本発明の範囲は、上記の記載を参照して決定されるべきではなく、下記添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が享有できるものの同等物の全範囲と共に決定されるべきである。
【0246】
本出願に引用した全ての特許、特許出願および刊行物は、それぞれの個々の特許、特許出願または刊行物が個々に意味するのと同じ程度に、すべての目的に対して、それぞれその全体が参照として本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化22】


[式中、
は、フッ素または水素であり;
は、水素、クロロ、ブロモ、C1−3アルキル、C3−5シクロアルキルまたはC1−3アルコキシであり;
は、OまたはSであり;
は、クロロ、ブロモ、シアノ、C1−3アルコキシ、C3−5シクロアルキルまたはC1−3ハロアルキルであり;
は、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、C3−5シクロアルキル、ハロゲンおよびシアノよりなる群から選択され;
【化23】


は、SONHR5a6a、COX、−C≡CC(Me)、A1またはA2であり;
は、OHまたはNR5b6bであり;
5aおよびR6aは、(i)独立に、R5aおよびR6aの一方は、水素またはC1−6アルキルであり、R5aおよびR6aの他方は、水素、C1−6アルキルおよび−C(=O)Rよりなる群から選択されるか;
(ii)それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはアゼピン環を形成し、このアゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはアゼピン環は、ヒドロキシ、アミノ、C1−3アルキルアミンまたはC1−3ジアルキルアミンで場合により置換されているか;あるいは
(iii)一緒になって、(CH−X−(CHであり;
5bおよびR6bは、(i)独立に、水素、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6カルボキシアルキル、(CHNR5c6c(ここで、rは2〜6である)およびSO−C1−6アルキルよりなる群から選択されるか;
(ii)それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはアゼピン環を形成し、このアゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはアゼピン環は、ヒドロキシ、アミノ、C1−3アルキルアミンまたはC1−3ジアルキルアミンで場合により置換されているか;あるいは
(iii)一緒になって、(CH(CHであり;
5cおよびR6cは、(i)独立に、水素およびC1−6アルキルよりなる群から選択されるか;
(ii)それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはアゼピン環を形成し、このアゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはアゼピン環は、ヒドロキシ、アミノ、C1−3アルキルアミンまたはC1−3ジアルキルアミンで場合により置換されているか;あるいは
(iii)一緒になって、(CH(CHであり;
5dおよびR6dは、各存在が独立に、水素、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキルまたはC1−6カルボキシアルキルであり;
は、O、S(O)またはNR10であり;
は、水素またはC1−6アルキルであり;
は、OH、NR5d6d、COH、CONR5d5dまたはC(=O)NR9aC(=NR9b)NR9c9dであり;
9a、R9b、R9cおよびR9dは、(i)独立に水素またはC1−6アルキルであるか、あるいは(ii)R9aおよびR9dは、独立に水素またはC1−6アルキルであり、R9bおよびR9cは、一緒になって、C2−4アルキレンであり;
10は、水素、C1−6アルキルまたはC1−6アシルであり;
pは、0〜2である]
の化合物またはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
が、SONHR5a6aまたはCOXである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、Oであり、Rが、フルオロであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、SONHR5a6aである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
が、メチル、エチル、メトキシ、クロロまたはブロモであり、Xが、クロロ、ブロモ、ジフルオロメチルまたはシアノである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
5aが、水素であり、R6aが、水素またはRC(=O)であり、Rが、C1−10アルキルである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
が、Oであり、Rが、フルオロであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、CONR5b6bである、請求項2記載の化合物。
【請求項7】
が、メチル、エチル、メトキシ、クロロまたはブロモであり、Xが、クロロ、ブロモ、ジフルオロメチルまたはシアノである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
が、Sであり、Xが、クロロ、ブロモ、ジフルオロメチルまたはシアノであり、Rが、フルオロであり、Rが、メチル、エチル、メトキシ、クロロまたはブロモであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルである、請求項2記載の化合物。
【請求項9】
が、ジフルオロメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
が、SONHR5a6aまたはCOXである、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
が、Oであり、Rが、フルオロであり、Rが、メチル、エチル、メトキシ、クロロまたはブロモであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、SONHR5a6aである、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
が、Oであり、Rが、フルオロであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、−C≡CC(Me)である、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
が、COHである、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
が、NR5c5dである、請求項12記載の化合物。
【請求項15】
が、Oであり、Rが、フルオロであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、A1またはA2である、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
が、Oであり、Rが、フルオロであり、Rが、メチル、エチル、メトキシ、クロロまたはブロモであり、Rが、クロロ、ブロモまたはメチルであり、Rが、CONR5b6bである、請求項9記載の化合物。
【請求項17】
2−[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
N−(2−ブロモ−4−スルファモイル−フェニル)−2−[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−アセトアミド;
2−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−4−エチル−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−4−エチル−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−4−シクロプロピル−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−4−シクロプロピル−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−クロロ−3−(3−シアノ−5−メトキシ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−クロロ−3−(3−シアノ−5−メトキシ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−クロロ−3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−クロロ−3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−ブロモ−3−(3−シアノ−5−メトキシ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−ブロモ−3−(3−シアノ−5−メトキシ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[3−(3−ブロモ−5−シアノ−フェノキシ)−4−クロロ−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[3−(3−ブロモ−5−シアノ−フェノキシ)−4−クロロ−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−クロロ−3−(3−シアノ−5−エチル−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−ブロモ−3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−ブロモ−3−(3,5−ジシアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−プロピオニルスルファモイル−フェニル)−アセトアミド、ナトリウム塩;
2−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−プロピオニルスルファモイル−フェニル)−アセトアミド、ナトリウム塩;
2−[4−クロロ−3−(3−シアノ−5−シクロプロピル−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−メチル−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−クロロ−3−(3−シアノ−5−シクロプロピル−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
3−クロロ−4−{2−[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−アセチルアミノ}−安息香酸;
4−{2−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−アセチルアミノ}−3−メチル−ベンズアミド;
2−[4−クロロ−3−(3−シアノ−5−ジフルオロメチル−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−(2−クロロ−4−スルファモイル−フェニル)−アセトアミド;
2−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−[2−クロロ−4−(2,4−ジオキソ−イミダゾリジン−1−イル)−フェニル]−アセトアミド;
2−[4−ブロモ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−N−[2−クロロ−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−ブタ−1−イニル)−フェニル]−アセトアミド;及び、
N−[4−(3−アミノ−3−メチル−ブタ−1−イニル)−2−クロロ−フェニル]−2−[4−クロロ−3−(3−クロロ−5−シアノ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェノキシ]−アセトアミド
よりなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
医薬としての使用のための、請求項1〜17のいずれか1項記載の化合物。
【請求項19】
HIV感染を治療するための、またはHIV感染を予防するための、あるいはAIDSまたはARCを処置するための医薬の製造用の、請求項1〜17のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項20】
治療有効量の請求項1〜17のいずれか1項記載の化合物と、少なくとも1種の担体、賦形剤または希釈剤とを含む、医薬組成物。
【請求項21】
式Iの化合物の製造方法であって、
(i)置換3−シアノフェノールIIの塩を2,3,4−トリフルオロニトロベンゼンと縮合させて、ビアリールエーテルIIIを得;
【化24】


(ii)不活性溶媒中で、IIを、ベンズアルドキシムおよび塩基と反応させて、フェノールIVを得;
【化25】


(iii)フェノールIVを、ブロモ酢酸アルキル塩または同等の酢酸の合成的等価物でアルキル化して、Vを得;
【化26】


(iv)ニトロのアミンへの還元、アミンのジアゾ化およびジアゾ基の塩化物または臭化物での置換の三工程の手順により、V中のニトロ基を塩化物または臭化物VI(X=ClまたはBr)に変換し、場合により、このようにして生成した臭化物をパラジウム触媒の存在下にジアルキル亜鉛で置換して、VI(X=アルキル)を得;
【化27】


(v)エステルVIを、対応する4−スルファモイル−アニリドVII(R=SONHR5a6a)または4−カルバモイル−アニリドVII(R=CONR5b6b)に変換する、
【化28】


工程を含む、製造方法。

【公表番号】特表2009−544645(P2009−544645A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521203(P2009−521203)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057155
【国際公開番号】WO2008/009613
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】