説明

非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐための組成物、および当該組成物の利用

【課題】非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐための液剤であって、非ヒト動物本来の習性に影響されず、薬剤の所望の効果を得ることができる外部寄生虫防除用組成物を開発する。
【解決手段】本発明にかかる組成物は、グリセライド系溶剤と有効成分とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物から外部寄生虫を駆除する、または動物への外部寄生虫の接触を防ぐための組成物、および当該組成物の利用に関する。具体的には、非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐための組成物、当該組成物を備えるキット、および当該組成物を用いて非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、動物の皮膚には、動物にとって有害なノミ、ダニ等の外部寄生虫が寄生することが多い。これらの外部寄生虫が動物に寄生することにより、動物の免疫力および体力が低下する。動物への外部寄生虫の寄生を低減させることは、動物が種々の病原菌に感染する確率を低減させるために重要である。また、皮膚の痒み等を引き起こすため、外部寄生虫の寄生は動物に多大なストレスを生じさせる原因となる。このように、動物から外部寄生虫を駆除することは動物愛護の観点から重要である。さらには、外部寄生虫の中には病原体を媒介するものもいるため、動物への外部寄生虫の接触を防ぐことは疫学的な観点から重要である。
【0003】
近年、非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐための簡便な方法が開発されている。特に、殺虫剤を含む液剤を非ヒト動物の体表に滴下する方法が広く用いられている。例えば、特許文献1には、殺虫剤とともに、紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤とをさらに含有した外部寄生虫駆除用組成物が開示されている。また、特許文献2には、殺虫剤とともに液状ポリブデンをさらに含有した有害生物防除剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−153795号公報(2007年6月21日公開)
【特許文献2】特開平11−5702号公報(1999年1月12日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、外部寄生虫の防除剤として、動物の内的要因(例えば、動物本来の習性)を考慮して開発されたものはない。これまでに開発された防除剤は、動物にとっての外的要因(例えば、雨、光)を考慮したものに過ぎない。具体的には、特許文献1記載の技術は、光安定性を向上させるためのものであり、特許文献2記載の技術は、外部寄生虫の防除効果を長期にわたって安定するためのものであり、その適用対象として屋内で飼育される動物だけでなく屋外で飼育される動物をも含めることを意図するものである。
【0006】
本発明の目的は、動物本来の習性に影響されずに、薬剤の所望の効果を得ることができる外部寄生虫の防除のための組成物を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、防除剤を有効に機能するために考慮すべき非ヒト動物の習性を検討した。一般に、非ヒト動物は、体表面での異物の接触を感じた際に、身体を左右に振る、いわゆる「水切り」の動作を行うことが多い。また、身繕いするかのように被毛を舐めることも多い。このような「水切り」や「身繕い」の動作によって、上述したような液剤は体表に留まりにくくなり、その結果、液剤による所望の効果を期待し得なくなると考えられる。
【0008】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、溶媒としてグリセライド系溶剤を用いた防除剤を適用した場合に、非ヒト動物が「水切り」や「身繕い」などの動作をほとんど示さないことを見出し、本発明を完成させるに至った。「水切り」や「身繕い」などの動作を考慮して開発された防除剤はこれまでに知られていない。本発明者らは、非ヒト動物が行う「水切り」や「身繕い」などの動作を指標とすれば外部寄生虫の防除のための組成物(すなわち外部寄生虫防除用組成物)の効果を確認し得ることということに初めて着目し、そのような外部寄生虫防除用組成物について初めてここに開示するものである。すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
【0009】
本発明にかかる組成物は、非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐための組成物であって、グリセライド系溶剤と有効成分とを含むことを特徴としている。
【0010】
本発明にかかる組成物では、上記グリセライド系溶剤に上記有効成分が溶解されていることが好ましい。
【0011】
本発明にかかる組成物では、上記グリセライド系溶剤は、飽和脂肪酸とグリセロールとからなることが好ましい。
【0012】
本発明にかかる組成物では、上記飽和脂肪酸は、炭素数が4〜20であることが好ましい。
【0013】
本発明にかかる組成物では、上記グリセライド系溶剤は、ブチル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、バレリアン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、カプロン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、エナント酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、カプリル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ペラルゴン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、カプリン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ウンデシル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ラウリン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、トリデシル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ミリスチン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ペンタデシル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、パルミチン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ヘプタデシル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ノナデカン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、アラキジン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライドより選ばれる1種以上が好ましい。
【0014】
本発明にかかる組成物では、上記有効成分が、ピレスロイド系殺虫剤、ネオニコチノイド系殺虫剤、N−フェニルピラゾール系殺虫剤、オキサジアゾール系殺虫剤、有機リン系殺虫剤およびカーバメート系殺虫剤から選ばれる1種以上の殺虫剤であることが好ましい。
【0015】
本発明にかかる組成物では、上記非ヒト動物は、小動物であることが好ましい。
【0016】
本発明にかかるキットは、非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐためのキットであって、グリセライド系溶剤と有効成分とを備えていることを特徴としている。
【0017】
本発明にかかる方法は、非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐための方法であって、上述した組成物を非ヒト動物に適用する工程を含むことを特徴としている。
【0018】
本発明にかかる方法では、上記工程は、塗布、噴霧、および滴下から選ばれる1以上を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明を用いれば、非ヒト動物は「水切り」や「身繕い」などの動作をほとんど起こさないため、適用された組成物が体表に留まりやすくなり、長期に渡って薬剤の所望の効果が持続するという効果を奏する。
【0020】
なお、本発明にかかる組成物に含まれるグリセライド系溶剤は、当該溶剤に溶解された有効成分等の溶質の効果を阻害することなく、非ヒト動物の、「水切り」や「身繕い」などの動作を軽減することができる点で非常に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について説明すれば以下のとおりであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
〔1.本発明にかかる組成物〕
本発明にかかる組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう)は、非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐ(以下、「非ヒト動物の外部寄生虫を防除する」ともいう)ための組成物である。一般に、「寄生」とは、栄養や生育場所を宿主動物に一方的に依存して生活することをいう。上記「外部寄生虫」は、その生活環のほとんどの期間または一定の期間、宿主動物の体表に寄生するものをいう。この点で、その生活環のほとんどの期間または一定の期間、宿主動物の体内に寄生する「内部寄生虫」とは区別される。本明細書では、宿主動物の体表で生活することはないものの、一時的に動物の体表に接触し、吸血する等の害を及ぼすものも上記「外部寄生虫」の範疇に含まれる。
【0023】
このような外部寄生虫としては、その生活環のほとんどの期間または一定の期間、宿主動物の体表に寄生するまたは一時的に体表に接触することによってその宿主動物に害を及ぼすものであれば特に限定されるものではなく、あらゆる種類の外部寄生虫が含まれる。例えば、イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミ、ケオプスネズミノミ等のノミ目の外部寄生虫、フタトゲチマダニ、オウシマダニ等のダニ目の外部寄生虫、ウシジラミ、ヒツジジラミ等のシラミ目の外部寄生虫、ツツガムシ、ササラダニ、ヒゼンダニ、ケモノツメダニ、フタトゲチマダニ、オウシマダニ等のダニ目の外部寄生虫、アカイエカ、ヒトスジシマカ、ウシヌカカ、ノイエバエ、クロイエバエ、ノサシバエ、ツメトゲブユ、ウシアブ等の双翅目の外部寄生虫等を挙げることができる。
【0024】
また、本発明にかかる組成物は、非ヒト動物に適用することができる。上記「非ヒト動物」としては、例えば、ヒトを除く哺乳類、および鳥類を挙げることができる。ヒトを除く哺乳類としては、特に限定されるものではなく、例えば、ウシ、イノシシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等の偶蹄類、ウマ等の奇蹄類、マウス、ラット、ハムスター、リス等のげっ歯類、ウサギ等のウサギ目、イヌ、ネコ、フェレット等の食肉類等を挙げることができる。また、鳥類としては、特に限定されるものではなく、例えば、アヒル、ニワトリ、ハト、インコ等を挙げることができる。また、これらの非ヒト動物は、家畜またはコンパニオンアニマルであることに限定されるものではなく、野生動物であってもよい。また、本発明にかかる組成物を適用する非ヒト動物は、小動物〜大動物のいずれであってもよい。ここで、「小動物」とは、例えば、イヌ、ネコ、ハムスター、ウサギ、ニワトリ等のような動物が意図され、「大動物」とは、例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等のような動物が意図される。
【0025】
本発明にかかる組成物は、上述したように非ヒト動物の外部寄生虫を防除するための組成物であって、グリセライド系溶剤と有効成分とを含むことを特徴としている。よって、本発明にかかる組成物は、溶媒または溶質として、例えば、共力剤、安定剤、溶解助剤、香料等をさらに含んでいてもよい。しかしながら、非ヒト動物本来の習性に基づく動作を起こしにくく、その結果として薬剤の所望の効果を得ることができるという本発明の効果は、溶媒をグリセライド系溶剤とすることにより顕著に発揮されるものであることを考慮すると、本発明にかかる組成物は、グリセライド系溶剤を実質的に含む溶媒と有効成分とを含むことが好ましく、グリセライド系溶剤のみからなる溶媒と有効成分とを含むことがより好ましい。
【0026】
なお、本明細書において、「グリセライド系溶剤を実質的に含む溶媒」とは、溶媒の大部分としてグリセライド系溶剤が含まれているが、グリセライド系溶剤を用いることによって得られる本発明の効果に影響しないグリセライド系溶剤以外の物質も僅かではあるが溶媒として含まれていることを指す。この場合、溶媒全体に占めるグリセライド系溶剤の割合が80重量/容量(W/V)%より大きく100W/V%未満であることが好ましく、95W/V%より大きく100W/V%未満であることがより好ましく、99W/V%より大きく100W/V%未満であることがさらに好ましい。なお、グリセライド系溶剤は、粘性があるために狭い面積の範囲に留まりやすい。よって、小動物に適用する場合は、グリセライド系溶剤の割合が高いことが好ましい。
【0027】
また、組成物の調整が容易であるという観点から、本発明にかかる組成物は、グリセライド系溶剤のみからなる溶媒と有効成分からなる溶質とを含むことがさらに好ましく、グリセライド系溶剤および有効成分のみからなることが最も好ましい。
【0028】
本発明にかかる組成物では、上記グリセライド系溶剤に上記有効成分が溶解された溶解液であっても、上記グリセライド系溶剤に上記有効成分が分散された懸濁液であってもよいが、常に均一な組成物が得られて取り扱い性に優れることから、上記グリセライド系溶剤に上記有効成分が溶解されていることが好ましい。
【0029】
ここで、本発明にかかる組成物に含まれる「グリセライド系溶剤」、「有効成分」、「その他の物質」について、以下に詳細を説明する。
【0030】
(1−1.グリセライド系溶剤)
本発明にかかる組成物に含まれるグリセライド系溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、飽和脂肪酸とグリセロールとからなるグリセライド、または不飽和脂肪酸とグリセロールとからなるグリセライド等を挙げることができるが、飽和脂肪酸とグリセロールとからなるグリセライドであることが好ましい。
【0031】
また、上記「飽和脂肪酸」としては、特に限定されるものではないが、炭素数が4〜20の飽和脂肪酸であることが好ましく、炭素数が4〜10の飽和脂肪酸であることがより好ましく、炭素数が4〜9の飽和脂肪酸であることがさらに好ましい。
【0032】
また、炭素数が4〜20の飽和脂肪酸とグリセロールとからなるグリセライド系溶剤としては、特に限定されるものではないが、ブチル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、バレリアン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、カプロン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、エナント酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、カプリル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ペラルゴン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、カプリン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ウンデシル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ラウリン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、トリデシル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ミリスチン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ペンタデシル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、パルミチン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ヘプタデシル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ノナデカン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、アラキジン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライドより選ばれる1種以上であることが好ましい。中でも、含まれる飽和脂肪酸の炭素数が4〜10であるものがより好ましく、含まれる飽和脂肪酸の炭素数が4〜9であるものがさらに好ましい。
【0033】
上述したグリセライド系溶剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
また、上記グリセライド系溶剤と従来の液剤で用いられる溶剤とを混合し、混合溶媒として用いてもよい。従来の溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール類、ケロシン、流動パラフィン等の炭化水素類、ベンジルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、炭酸プロピレン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。上記「混合溶媒」に占めるグリセライド系溶剤の割合は、80%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、99%以上であることがさらに好ましい。
【0035】
上記グリセライド系溶剤の含有量は、本発明にかかる組成物全量に対して、10部〜95部であることが好ましく、30部〜90部であることがさらに好ましい。グリセライド系溶剤の含有量が10部以上であることにより、所望の流動性が得られる。また、含有量が95部以下であることにより、有効成分の濃度を増加させることができるため好ましい。
【0036】
(1−2.有効成分)
本発明にかかる組成物に含まれる有効成分としては、上述した外部寄生虫を、死滅させる成分のみに限定されない。例えば、外部寄生虫を弱体化させる、外部寄生虫の成長を阻害する、外部寄生虫の接触を防ぐ等の成分も上記「有効成分」の範疇に含まれる。
【0037】
外部寄生虫を死滅させるまたは弱らせることができる成分としては、特に限定されるものではなく、従来公知の殺虫剤を用いることができる。例えば、ピレスロイド系殺虫剤、ネオニコチノイド系殺虫剤、N−フェニルピラゾール系殺虫剤、オキサジアゾール系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤等を挙げることができる。
【0038】
上記「ピレスロイド系殺虫剤」としては、特に限定されるものではなく、例えば、アレスリン、テトラメスリン、プラレトリン、レスメトリン、シフェノトリン、デルタメトリン、シペルメトリン、フェノトリン、ペルメトリン、トラロメトリン、イミプロトリン、トランスフルトリン、ビフェントリン、エトフェンプロクス、フェンバレレート、フェンプロパスリン、シラフルオフェン、シフルトリン、シハロトリン、ジョチュウギクエキス等を挙げることができる。中でも、アレスリン、ペルメトリン、フェノトリン、エトフェンプロクスまたはジョチュウギクエキスであることが好ましい。これらのピレスロイド系殺虫剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
上記「ネオニコチノイド系殺虫剤」としては、特に限定されるものではなく、例えば、イミグクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、チアメトキサム、チアクロプリド、ジノテフラン、クロチアニジン等を挙げることができる。これらのネオニコチノイド系殺虫剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
上記「N−フェニルピラゾール系殺虫剤」としては、特に限定されるものではなく、例えば、アセトプロール、エチプロール、バニリブロール、ピリブロール、ピラフルプロール等を挙げることができる。これらのN−フェニルピラゾール系殺虫剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
上記「オキサジアゾール系殺虫剤」としては、特に限定されるものではなく、例えば、メトキサジアゾン等を挙げることができる。
上記「有機リン系殺虫剤」としては、特に限定されるものではなく、例えば、ジクロルボス、フェニトロチオン、テトラクロロビンホス、フェンチオン、クロルピリホス、ダイアジノン等を挙げることができる。これらの有機リン系殺虫剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
上記「カーバメート系殺虫剤」としては、特に限定されるものではなく、例えば、プロポキサー、カルバリル、メトキサジアゾン、フェノブカルブ等を挙げることができる。これらのカーバメート系殺虫剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
外部寄生虫の接触を防ぐことができる成分としては、特に限定されるものではなく、従来公知の動物性、植物性の天然香料、炭化水素、アルコール、天然精油、他の忌避化合物及び/またはその成分等を挙げることができる。例えば、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、オイゲノール、メチルオイゲノール、ゲラニオール、シンナミックアルデヒド、リナロール、ペリラアルデヒド、ネペタリック酸、メチルヘプテノン、デシルアルデヒド、ミルセン、酢酸ゲラニオール、チモール、リモネン、シオネール、シメン、ピネン、テルピネン、サビネン、エレメン、セドレン、エレモール、ビドロール、セドロール、ヒノキチオール、ツヤプリシン、トロポロイド、ヒノキチン、ツヨプセン、ボルネオール、カンフェン、テルピネオール、テルピニルエステル、ジペンテン、ファランドレン、シネオール、カリオレフィン、バニリン、フルフラール、フルフリルアルコール、ピノカルベオール、ピノカルボン、ミルテノール、ベルベノン、カルボン、オイデスモール、ピペリトン、ツエン、ファンキルアルコール、メチルアンスラニレート、ビサボレン、ベルガプトール、ノニルアルデヒド、ノニルアルコール、ヌートカトン、オクチルアルデヒド、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、ネロリドール、オシメン、アンスラニル酸メチル、インドール、ジャスモン、ニーム、ベンツアルデヒド、プレゴン、樟脳およびN,N−ジエチルトルアミド、並びに上記の異性体及び/または誘導体等を挙げることができる。これらの外部寄生虫の接触を防ぐことができる成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
また、外部寄生虫の成長を阻害する成分としては、特に限定されるものではなく、例えば、幼若ホルモン、幼若ホルモン様物質、エクダイソン様物質、キチン形成阻害物質等の外部寄生虫成長調節物質を挙げることができる。
【0045】
上記「幼若ホルモン」、または上記「幼若ホルモン様物質」としては、例えば、メチル−10,11−エポキシ−7−エチル−3,11−ジメチル−2,6−トリデカジエノエート、4−フェノキシフェニル 2−(2−ピリジルオキシ)プロピル エーテル(一般名:ピリプロキシフェン)、エチル 2−(4−フェノキシフェノキシ)エチル カーバメート(一般名:フェノキシカルブ)、イソプロピル (2E,4E)−11−メトキシ−3,7,11−トリメチル−2,4−ドデカジエノエート(一般名:メトプレン)、エチル (2E,4E)−3,7,11−トリメチル−2,4−ドデカジエノエート(一般名:ヒドロプレン)等を挙げることができる。
【0046】
上記「エクダイソン様物質」としては、例えば、N−tert−ブチル−N'−(4−エチルベンゾイル)−3,5−ジメチルベンゾヒドラジド(一般名:テブフェノジド)等を挙げることができる。
【0047】
上記「キチン形成阻害物質」としては、例えば、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロキシ)フェニル]ウレア、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]ウレア、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア、1−[3,5−ジクロロ−4−(3−クロロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イルオキシ)フェニル]−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア(一般名:クロルフルアズロン)、1−[2,5−ジクロロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロキシ)フェニル]−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア(一般名:ルフェヌロン)、1−(4−クロロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア(一般名:ジフルベンズロン)、1−(3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア(一般名:テフルベンズロン)、1−(2−クロロベンゾイル)−3−(4−トリフルオロメトキシフェニル)ウレア(一般名:トリフルムロン)、1−[4−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフエノキシ)−2−フルオロフエニル]−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア(一般名:フルフェノクスロン)、1−[α−(4−クロロ−α−シクロプロピルベンジリデンアミノオキシ)−p−トリル]−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア(一般名:フルシクロクスロン)、1−[3,5−ジクロロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア(一般名:ヘキサフルムロン)、N−シクロプロピル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(一般名:シロマジン)等を挙げることができる。
【0048】
上述した外部寄生虫成長調節物質のうち、ピリプロキシフェンまたはメトプレンが好ましい。これらの外部寄生虫成長調節物質は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
上記「有効成分」としては、外部寄生虫に対する殺虫効果および/または忌避効果の観点から、ピレスロイド系殺虫剤、ネオニコチノイド系殺虫剤、N−フェニルピラゾール系殺虫剤、オキサジアゾール系殺虫剤、有機リン系殺虫剤およびカーバメート系殺虫剤から選ばれる1種以上の殺虫剤であることが好ましい。また、これらの殺虫剤と上述した外部寄生虫成長調節物質とを組み合わせて用いてもよい。
【0050】
上記有効成分の含有量は、本発明にかかる組成物全量に対して、0.01部〜80部であることが好ましく、0.1部〜70部であることがさらに好ましい。有効成分の含有量が0.01部以上であることにより、薬効を高めることができる。また、含有量が80部以下であることにより、所望の流動性を得ることができるため好ましい。
【0051】
(1−3.その他の物質)
また、本発明にかかる組成物は、必要に応じて、例えば、共力剤、安定剤、香料、溶解助剤等がさらに添加されていてもよい。
【0052】
上記「安定剤」としては、特に限定されるものではなく、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(以下、「BHT」と略す)、ブチルヒドロキシアニソール(以下、「BHA」と略す)、4,4−チオビス−3−メチル−6−t−ブチルフェノール等を挙げることができる。
【0053】
上記「共力剤」としては、殺虫剤と混合して用いた場合に、殺虫剤が有する殺虫力を増強する働きを有する物質であれば、特に限定されるものではなく、例えば、N−(2−エチルヘキシル−ビシクロ[2,2,1]−へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(以下「MGK−264」と略される)、チオシアノ酢酸イソボルニル(以下、「IBTA」と略される)、ピベロニルブトキサイド(以下、「PBO」と略される)、等を挙げることができる。
【0054】
上記「溶解助剤」としては、特に限定されるものではなく、例えば、フタル酸ジノルマルブチル等の芳香族カルボン酸エステル、オクチルドデカノール等の高級アルコール等を挙げることができる。
【0055】
上記「香料」としては、特に限定されるものではなく、当該分野において公知の種々の香料を任意に使用することができる。
【0056】
本発明の組成物の製造方法としては、特に限定されるものではない。例えば、有効成分を含む溶質にグリセライド系溶剤を加えながら溶解させてもよいし、グリセライド系溶剤に有効成分を含む溶質を加えながら溶解させてもよい。
【0057】
本発明の組成物の最終的な態様としては、特に限定されるものではなく、例えば、溶液、懸濁液、クリーム、錠剤、坐薬等を挙げることができる。塗布、噴霧、滴下等により、適用が容易であることから溶液または懸濁液であることが好ましい。
【0058】
後述する実施例で示すように、本発明の組成物を適用された非ヒト動物は、非ヒト動物本来の習性に基づく動作(例えば、水切りや身繕い)を起こしにくい。これらの動作は、非ヒト動物にストレスが負荷された際にも見られる動作である。従って、この結果を別の観点から見ると、本発明の組成物を適用された非ヒト動物は「ストレス」を受けていないともいうことができる。この点から、本発明にかかる組成物は、従来の防除剤よりも好ましい組成物であるといえる。
【0059】
〔2.本発明にかかるキット〕
上記本発明にかかる組成物を用いて非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐためのキット(以下、単に「本発明のキット」という)を構成することができる。本発明のキットは、グリセライド系溶剤と有効成分とを備えて備えていればよく、これらは別々の容器に充填されていてもよいし、同じ容器に充填されていてもよい。
【0060】
なお、本発明にかかる方法の対象となる外部寄生虫、および本発明にかかる外部寄生虫防除方法の対象となる非ヒト動物については、「1.本発明にかかる組成物」で説明したとおりである。
【0061】
また、上記「グリセライド系溶剤」および上記「有効成分」については、「1.本発明にかかる組成物」で説明したとおりである。
【0062】
本発明にかかるキットには、さらに、本発明に影響しない物質、例えば、共力剤、安定剤、溶解助剤、香料等が含まれていてもよい。
【0063】
また上記キットを構成する成分を格納するための1つ以上の容器(例えば、バイアル、管、アンプル、ビンなど)が含まれていてもよい。
【0064】
本発明のキットは、上述したような組成物と同様の成分を備えている。そのため、本発明のキットを適用された非ヒト動物は、非ヒト動物本来の習性に基づく動作(例えば、水切りや身繕い)を起こしにくい。これらの動作は、非ヒト動物にストレスが負荷された際にも見られる動作である。従って、この結果を別の観点から見ると、本発明のキットを適用された非ヒト動物は「ストレス」を受けていないともいうことができる。この点から、本発明にかかるキットは、従来の防除剤よりも好ましいといえる。
【0065】
〔3.本発明にかかる方法〕
本発明にかかる方法(以下、単に「本発明の方法」ともいう)は、非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐための方法であって、本発明の組成物を非ヒト動物に適用する工程を含む。ここで、「本発明の組成物を非ヒト動物に適用する」とは、適用される組成物の態様によって異なるが、例えば、本発明の組成物が液剤の態様であれば、塗布、噴霧、滴下等によって、非ヒト動物の体表または被毛に適用することを指し、本発明の組成物が坐薬の態様であれば、非ヒト動物の肛門に坐薬を投与することを指すが、本発明はこれらに限定されない。
【0066】
本発明にかかる方法としては、本発明の組成物を非ヒト動物に適用する工程を含む限り特に限定されるものではないが、非ヒト動物への適用が容易であることから、上記工程は、塗布、噴霧、および滴下から選ばれる1以上を行うことが好ましい。中でも、適用するための操作が簡便であることから、滴下によって本発明の組成物を適用することが好ましい。上記「滴下」としては、従来公知の方法であるポアオン法、スポットオン法等を用いることができる。ポアオン法とは、非ヒト動物の背中線に沿って直線状に液状の組成物を注ぎかけ、これを体表に拡がらせる方法をいう。また、スポットオン法とは、非ヒト動物の肩甲骨背部の皮膚に液状の外部寄生虫防除剤を極少量滴下する方法をいう。
【0067】
なお、本発明にかかる外部寄生虫防除方法の対象となる外部寄生虫、および本発明にかかる外部寄生虫防除方法の対象となる非ヒト動物については、「1.本発明にかかる組成物」で説明したとおりである。
【0068】
また、上記「グリセライド系溶剤」および上記「有効成分」については、「1.本発明にかかる組成物」で説明したとおりである。
【0069】
本発明にかかる方法において、本発明の組成物の非ヒト動物への適用量は、対象となる非ヒト動物の大きさや、組成物中の有効成分の濃度によって異なるが、適用のし易さや適用される非ヒト動物の安全性を考えると、例えば、本発明の組成物の態様が液剤である場合は、1個体あたりの有効成分の量として、通常は0.01〜100g、好ましくは0.05〜50gである。
【0070】
本発明の方法は、本発明にかかる組成物を非ヒト動物に適用する工程以外の工程を含んでいてもよい。例えば、本発明の組成物の態様が液剤であり、適用される非ヒト動物の被毛が長い場合は、液剤が体表に適切に適用されるように、被毛を除去する工程等を含んでいてもよい。
【0071】
本発明の方法は、上述したような効果を有する組成物と同様の成分を非ヒト動物に適用する工程を含む。そのため、本発明の方法を適用された非ヒト動物は、非ヒト動物本来の習性に基づく動作(例えば、水切りや身繕い)を起こしにくい。これらの動作は、非ヒト動物にストレスが負荷された際にも見られる動作である。従って、この結果を別の観点から見ると、本発明の方法を適用された非ヒト動物は「ストレス」を受けていないともいうことができる。この点から、本発明にかかる方法は、従来の防除剤よりも好ましいといえる。
【0072】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0074】
まず、本発明にかかる組成物の製剤例、または比較製剤例を示す。なお、以後、特に明記しない限り、部は質量部を表すものとする。
【0075】
(製剤例1)
有効成分としてフェノトリン20部と、安定剤としてBHT0.1部とを、カプリル酸トリグリセライド79.9部に溶解させた溶液を調製した。
【0076】
(製剤例2)
有効成分としてペルメトリン10部と、安定剤としてBHT0.1部とを、ラウリン酸トリグリセライド89.9部に溶解させた溶液を調製した。
【0077】
(製剤例3)
有効成分としてエトフェンプロックス10部およびピリプロキシフェン0.5部と、安定剤としてBHA0.3部とを、カプリン酸トリグリセライド89.2部に溶解させた溶液を調製した。
【0078】
(製剤例4)
有効成分としてイミグクロプリド5部およびメトプレン1部と、安定剤としてBHT0.5部とを、カプリン酸トリグリセライド83.5部とN−メチルピロリドン10部との混合液に溶解させた溶液を調製した。
【0079】
(製剤例5)
有効成分としてフェノトリン20部およびピリプロキシフェン0.4部と、共力剤としてMGK−264 10部とを、ラウリン酸トリグリセライド40部とジエチレングリコールモノエチルエーテル29.6部とからなる混合溶媒に溶解させた溶液を調製した。
【0080】
(製剤例6)
有効成分としてフェノトリン10部およびピリプロキシフェン0.5部と、安定剤としてBHT0.1部とを、カプリル酸ジグリセライド89.4部に溶解させた溶液を調製した。
【0081】
(製剤例7)
有効成分としてフェノトリン30部およびピリプロキシフェン1部と、安定剤としてBHT0.1部とを、カプリル酸トリグリセライド68.9部に溶解させた溶液を調製した。
【0082】
(比較製剤例1)
有効成分としてフェノトリン20部と、安定剤としてBHT0.1部とを、炭酸プロピレン79.9部に溶解させた溶液を調製した。
【0083】
(比較製剤例2)
有効成分としてペルメトリン10部と、安定剤としてBHT0.1部とを、ジエチレングリコールモノメチルエーテル89.9部に溶解させた溶液を調製した。
【0084】
(比較製剤例3)
有効成分としてエトフェンプロックス10部およびピリプロキシフェン0.5部と、安定剤としてBHA0.3部とを、ケロシン89.2部に溶解させた溶液を調製した。
【0085】
(比較製剤例4)
有効成分としてイミグクロプリド5部およびメトプレン1部と、安定剤としてBHT0.5部とを、N−メチルピロリドン93.5部との混合液に溶解させた溶液を調製した。
【0086】
(比較製剤例5)
有効成分としてフェノトリン20部およびピリプロキシフェン0.4部と、共力剤としてMGK−264 10部とを、ジエチレングリコールモノエチルエーテル69.6部に溶解させた溶液を調製した。
【0087】
(比較製剤例6)
有効成分としてフェノトリン10部およびピリプロキシフェン0.5部と、安定剤としてBHT0.1部とを、ケロシン89.4部に溶解させた溶液を調製した。
【0088】
(比較製剤例7)
有効成分としてフェノトリン30部およびピリプロキシフェン1部と、安定剤としてBHT0.1部とを、エチルアルコール68.9部に溶解させた溶液を調製した。
【0089】
<確認方法>
イヌ(柴系雑種、オス、14才、17kg)の首筋に、上記製剤例または上記比較製剤例の溶液1mLを約10cm上方から滴下した。その後、10分間、イヌの挙動を観察した。
【0090】
<結果>
製剤例1の溶液を滴下されたイヌでは、溶液が滴下された後も、滴下前と挙動は全く変わらず、「水切り」や「身繕い」の動作が見られないことを確認できた。一方、比較製剤例1の溶液を滴下されたイヌでは、溶液滴下5秒後に体を左右に激しく振る「水切り」の動作および「身繕い」の動作が観察された。
【0091】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明によれば、薬剤の所望の効果を低下させる要因となる、動物本来の習性に基づく動作を起こしにくい。例えば、組成物の態様が液剤である場合、適用された組成物が体表に留まりやすくなり、液剤の所望の効果が持続する。
【0093】
本発明にかかる発明は、非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐ必要がある全ての産業(畜産産業、ペット産業等)において利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐための組成物であって、
グリセライド系溶剤と有効成分とを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
上記グリセライド系溶剤に上記有効成分が溶解されていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
上記グリセライド系溶剤は、飽和脂肪酸とグリセロールとからなることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
上記飽和脂肪酸は、炭素数が4〜20であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
上記グリセライド系溶剤は、ブチル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、バレリアン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、カプロン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、エナント酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、カプリル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ペラルゴン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、カプリン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ウンデシル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ラウリン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、トリデシル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ミリスチン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ペンタデシル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、パルミチン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ヘプタデシル酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、ノナデカン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライド、アラキジン酸モノグリセライド、ジグリセライド、またはトリグリセライドより選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
上記有効成分が、ピレスロイド系殺虫剤、ネオニコチノイド系殺虫剤、N−フェニルピラゾール系殺虫剤、オキサジアゾール系殺虫剤、有機リン系殺虫剤およびカーバメート系殺虫剤から選ばれる1種以上の殺虫剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
上記非ヒト動物は、小動物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐためのキットであって、
グリセライド系溶剤と有効成分とを備えていることを特徴とするキット。
【請求項9】
非ヒト動物から外部寄生虫を駆除する、または非ヒト動物への外部寄生虫の接触を防ぐための方法であって、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物を非ヒト動物に適用する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
上記工程は、塗布、噴霧、および滴下から選ばれる1つ以上の手順を行うことを特徴とする請求項9に記載の方法。

【公開番号】特開2010−215542(P2010−215542A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61889(P2009−61889)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(597025677)アース・バイオケミカル株式会社 (10)
【出願人】(390000527)住化ライフテク株式会社 (54)
【Fターム(参考)】