説明

非ペプチド及びペプチドBDNFニューロトロフィン類似体を用いた神経細胞生存促進法

神経病やその他の疾患を治療するための方法と化合物を提供する。本発明には、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ化合物の有効量を患者に投与することが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願:本出願は2005年6月8日出願の米国仮出願番号60/688,767に基づくものであり、またこれによる優先権を主張するものであり、当該出願内容は引用することにより本明細書に組み込まれているものとする。
助成金:本研究は国立衛生研究所(NIH)助成金番号NS30687及び加齢研究所助成金番号40967による助成を受けた。従って、米国政府は本出願において開示された対象について特定の権利を有する。
この発明は、一般的に神経病やこれに限定されない疾患の患者の治療に関する。より具体的には、本出願で開示した対象の方法は、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ化合物の有効量を該患者に投与し、それにより該疾患を治療することに関する。
【背景技術】
【0002】
ニューロトロフィン(神経栄養因子)は、ニューロン(神経細胞)を含む特定の細胞の発生、機能及び/又は生存における役割を演ずるポリペプチドである。神経細胞の死又は機能障害は多くの神経病に直接関係していると見なされている。ニューロトロフィン局在性、ニューロトロフィンの発現レベル及び/又は、ニューロトロフィンを結合する受容体の発現レベルの変化は、従って神経細胞の変性又は機能不全に関連すると示唆されてきた。この変性又は機能不全は特にアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)その他に生ずる可能性がある。また、ニューロトロフィンは、例えば、鬱病、肥満症、及び末梢組織の虚血などの非神経病に関連する基本機構の媒介となる。
【0003】
様々なニューロトロフィンが同定されており、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン−3(NT−3),ニューロトロフィン−4/5(NT−4/5)、ニューロトロフィン−6(NT−6)及び脳由来神経栄養因子(BDNF)等が挙げられる。ニューロトロフィンは、プロニューロトロフィンとして知られている前駆体型及び成熟型の両者で発見されている。成熟型は、約120アミノ酸長のタンパク質であり、生理的状態では安定な、近似的に25kDaの非共有結合性ホモダイマーとして存在する。各ニューロトロフィンモノマーは、ニューロトロフィンファミリーを通して比較的高程度のアミノ酸保存を示し、ループ1,2及び4と呼ばれる、3個の溶媒に露出したβ−ヘアピンループを持つ。
【0004】
成熟したニューロトロフィンは優先的に受容体Trk及びp75NTRと結合するが、成熟型ではタンパク質分解より除去されるN−末端領域を持つプロニューロトロフィンは、主にp75NTR受容体と相互作用し、またN−末端領域を介して選別受容体ソルティリン(Fahnestock,M.,Michalski,B.,Xu, B.,Coughlin,M.D.(2001)Mol Cell Neurosci 18,210-220;Harrington,A.W.他(2004)Proc Natl Acad Sci USA 101,6226-6230;Nykjaer,A.他(2004)Nature 427,843-848)と相互作用する。p75NTR受容体はTrksと相互作用し、Trkのシグナリングを修飾するが、独立してIRAK/TRAF6/NFκB、PI3/AKT等のプロ生存シグナル,及びNRAGE/JNK(Mamidipudi, V., Li, X., Wooten,M.W.(2002)J Biol Chem 277,28010-28018;Roux,P.P.,Bhakar,A.L.,Kennedy,T.E.,Barker,P.A.(2001)J Biol Chem 276,23097-23104;Salehi,A.H.,他(2000)Neuron 27,279-288)の様なプロアポトティックシグナル等の幾つかのシグナリングシステムと結合する。
【0005】
機能的配位子、Trk又はその他の受容体の共発現、及び下流のシグナリング要素の発現に依存して、p75NTRは細胞の生存と死を促す。pro−NGFは、p75NTRを介して上頸神経節神経と乏突起神経膠芽細胞の死を引き起こし、そのp75NTRやソルチリン(sortilin)への結合関与は細胞死経路を活性化させることが分かってきた(Nykjaer, A. et al., (2004) Nature 427, 843-848; Lee, R., Kermani, P., Teng, K.K., Hempstead, B.L. (2001) Science 294, 1945-1948; Beattie, M.S., et al. (2002) Neuron 36, 375-386)。
【0006】
治療目的で投与されると、ニューロトロフィンは、低い血清中半減期を示す不安定性、恐らく低い経口生体利用性及び中枢神経系への制限された透過性(Podulso,J.F.,Curran,G.L.(1996)Brain Res Mol Brain Res 36,280-286;Saltzman,W.M.,Mak,M.W.,Mahoney,M.J.,Duenas, E.T.,Cleland,J.L.(1999)Pharm Res 16, 232-240;Partridge,W.M.(2002)Adv Exp Med Bio513,397-430)など、最適以下の薬理的特徴を示す。さらに、三重受容体シグナリングネットワークの作用を持つことで得られるニューロトロフィンの非常に多面的な効果は、不都合な効果の可能性を増す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
不幸なことに、今までは、技術的及び倫理的考察が、ニューロトロフィンに基づく治療薬の開発を阻害した。例えば、組み換えDNA技術を用いて十分量の純粋なニューロトロフィンを生産することは技術的に困難である。さらに、ニューロトロフィンを生産するためにヒト胎児細胞を用いることは可能であるが、この様な細胞(通常流産胎児から得るが)を用いることについて生ずる倫理的派生問題は、このアプローチを用いることをほとんど不可能にした。
今までの研究により、BDNFタンパク質の種々のドメインに相当する合成ペプチドが、軸索突起の増殖を促進するBDNF効果を達成しうることが示された(O'Leary and Hughes, 2003; Williams et al., 2005; Fletcher and Hughes, 2006)。これらの合成BDNFペプチドがTrkB受容体を活性化させるかどうか、及びこれらが非TrkB機構により神経組織栄養効果を達成するかどうかについてはまだ知られていないが、これらのペプチドは実際の医学的化合物を構成するには大きすぎる(分子量が約2000)。
従って、これらの疾患を治療する場合に用いるための神経栄養因子に基づく小分子(例えば、分子量が500未満、有効な薬剤として特徴的である)非ペプチド剤又はペプチド剤の開発を求めるニーズがある。特に、神経栄養因子タンパク質の重要領域に似て、TrkB受容体を活性化させることのできる小分子を特定するニーズがある。更に、有害なp75NTRとの潜在的相互作用を避ける又は最小限にするために、TrkB受容体やソルチリン受容体を目標とする小分子へのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここには、本発明を開示するいくつかの実施態様を示すが、これらの実施態様には多くの変化や変更が可能である。ここには、これらの変化や変更のうちの単に模範例を示すに過ぎない。示した実施態様の一つ又はそれ以上の代表的特徴もまた模範例に過ぎない。このような実施態様は典型的にこれらの特徴を持ったり持たなかったりすることができる。また、同様に、これらの特徴は、ここに記載されたかされないかにかかわらず、ここに開示された発明の他の実施態様に適用することができる。過剰な繰り返しを避けるために、ここには本発明の特徴の可能な全ての組み合わせを記載又は示唆したりはしない。
【0009】
ここに開示するのは、神経病又は非神経病の患者の疾患を治療する方法であって、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ小分子化合物の有効量を該患者に投与する方法である。
【0010】
いくつかの実施態様において、この疾患は、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、レット症候群、てんかん、パーキンソン病、脊髄損傷、脳梗塞、低酸素症、虚血症、脳損傷、糖尿病性神経障害、末梢性神経障害、神経移植合併症、運動ニューロン病、多発性硬化症、HIV痴呆症、末梢神経障害、聴力損失、鬱病、肥満症、メタボリックシンドローム、痛み、癌、及びその他のTrkBを発現する細胞の変性又は機能不全を含む病気からなる群から選択される。
いくつかの実施態様において、患者はヒト患者である。
また、ここに開示するのは、神経細胞の生存を促進する方法又は神経機能を促進する方法であって、神経細胞を、TrkB受容体分子に特異的に結合する及び/又は調節する能力を持つ化合物で処理することからなる方法である。
更に、ここに開示するのは、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ化合物である。
いくつかの実施態様において、このTrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ化合物は、脳由来神経栄養因子(BDNF)のβ−ターンループの類似体である。
いくつかの実施態様において、この化合物は、図1に例証された薬理作用団と実質的に同一である薬理作用団からなる。
いくつかの実施態様において、この化合物は小分子又は小ペプチドである。
いくつかの実施態様において、このBDNFのβ−ターンループは、ループ2である。
【0011】
いくつかの実施態様において、このループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(I)
【化1】

(式中、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;X及びXは、独立して、CH基及びNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;Dは水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基及び下式の基
【化2】

(式中、各R及びRは水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基である。)からなる群から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0012】
いくつかの実施態様において、この化学式(I)の化合物は、下記構造
【化3】

又はその立体異性体である。
【0013】
いくつかの実施態様において、このループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(II)
【化4】

(式中、L及びLは、独立して、C〜Cのアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基及び置換アリーレン基からなる群から選択され;Lは、C〜Cのアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、置換アリーレン基、
【化5】

からなる群から選択され;Lは、C〜Cのアルキレン基であり;Z、Z及びZは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基及びアラルキル基から選択され;X、X、X及びXは、独立して、N又はCH基であり;Y、Y及びYは、独立して、カルボニル基、スルホニル基又はメチレン基であり;D、D、D及びDは、独立して、水素原子、アルキル基、ハロ基、水酸基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0014】
いくつかの実施態様において、この化学式(II)の化合物は、下記
【化7】

から成る群から選択される。
【0015】
いくつかの実施態様において、このループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(III)
【化8】

(式中、Lは、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X及びXは、独立して、N又はCH基であり;R10及びR11は、独立して、水素原子、ハロ基、アルキル基及びシアノ基から成る群から選択され;D、D及びDは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0016】
いくつかの実施態様において、この化学式(III)の化合物は、下記化合物
【化9】

である。
【0017】
いくつかの実施態様において、このループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(IV)
【化10】

(式中、X及びX10は、独立して、CH基又はNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)であり;R12は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アシル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;R13は、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;R14及びR15は、独立して、水素原子、アルキル基、置換アルキル基及びアラルキル基からなる群から選択され;R16は、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基、及び
【化2】

(式中、R及びRは水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基から選択される。)からなる群から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0018】
いくつかの実施態様において、この化学式(IV)の化合物は、下記化合物
【化11】

又はその立体異性体である。
【0019】
いくつかの実施態様において、このループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(V)
【化12】

(式中、L及びLは、独立して、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X11は、O、S、CH基又はNR17基であり(式中、R17は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。);X12、X13及びX14は、独立して、N又はCH基であり;X15は、O、S及びNR18基(式中、R18は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から成る群から選択され;D、D10、D11及びD12は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0020】
いくつかの実施態様において、この化学式(V)の化合物は、下記化合物
【化13】

又はその立体異性体である。
【0021】
いくつかの実施態様において、このループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(VI)
【化14】

(式中、Lは、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X16は、O、S及びNR19基(式中、R19は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X17は、O、S、CH基及びNR20基(式中、R20は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X18及びX19は、独立して、N及びCH基から選択され;D13及びD14は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0022】
いくつかの実施態様において、この化学式(VI)の化合物は、下記化合物
【化15】

である。
【0023】
いくつかの実施態様において、このループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(VII)
【化16】

(式中、m及びnは、独立して、1又は2であり;各L及びL10は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X20及びX21は、独立して、CH基、CH基、N及びNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X22は、水素原子及びハロ基から選択され;各D15及びD16は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0024】
いくつかの実施態様において、この化学式(VII)の化合物は、下記化合物
【化17】

である。
【0025】
いくつかの実施態様において、このループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(VIII)
【化18】

(式中、L11は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X23は、N又はCH基を表し;R21及びR22は、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から成る群から選択され;D17、D18及びD19は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0026】
いくつかの実施態様において、この化学式(VIII)の化合物は、下記化合物
【化19】

から成る群から選択される。
【0027】
いくつかの実施態様において、このループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(IX)
【化20】

(式中、L12は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X24は、N又はCH基を表し;R23は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から成る群から選択され;D20、D21、D22、D23及びD24は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0028】
いくつかの実施態様において、この化学式(IX)の化合物は、下記化合物
【化21】

である。
【0029】
いくつかの実施態様において、このループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(X)
【化22】

(式中、tは1又は2であり;各L13は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X25及びX26は、N及びCH基から選択され;X27は、N、CH基、CH基及びNR25基(式中、R25は水素原子又はアルキル基を表す。)から選択され;R24は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から選択され;D25及び各D26は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0030】
いくつかの実施態様において、この化学式(X)の化合物は、下記化合物
【化23】

である。
【0031】
いくつかの実施態様において、このループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(XI)
【化24】

(式中、X28は、CH基、O、S及びNR26基(式中、R26は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X29は、N又はCH基を表し;X30は、CH基又はNR27基を表し(式中、R27は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。);X31は、N又はCH基を表し;D27、D28及び各D29は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0032】
いくつかの実施態様において、この化学式(XI)の化合物は、下記化合物
【化25】

である。
【0033】
いくつかの実施態様において、その化合物は、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ親化合物の誘導体であり、この誘導体もまたTrkB受容体に結合特異性及び/又は調節特異性を持つか、又はTrkB受容体に結合特異性及び/又は調節特異性を持つようにインビボで形質転換された誘導体である。いくつかの実施態様において、この誘導体は、前記親化合物に比べて、潜在能力、選択性、親水性、親油性、両親媒性、溶解性、生物学的利用能、及び肝臓疾患への耐性から成る群から選択される少なくとも1つの特徴の増大を示す。
本発明の目的は、脳由来神経栄養因子(BDNF)小分子を用いて、神経細胞の生存を促進する方法、又は神経細胞又はその他の細胞の機能を促進する方法を提供することである。
本発明により全体的又は部分的に扱われ、上記のように本明細書に記載された本出願に開示された対象物の特定の目的、他の目的及び側面は、本明細書で以下に記載するように、添付した実施例と関係して取り上げられた時、記載が進むにつれて明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本明細書では以下の略語を用いる。
2D:2次元の;3D:3次元の;Aβ:アミロイド−β;Ab:抗体;AD:アルツハイマー病;ALS:筋萎縮性側索硬化症;BCA:ビシンコニン酸;BDNF:脳由来の神経栄養因子;b.i.d.:1日2回;cm:センチメートル;d:日;D:ダルトン;DMEM:ダルベッコ変法イーグル培地;ECL:電気発生化学発光;EDTA:エチレンジアミン4酢酸;ELISA:固相酵素免疫測定法;ERK:細胞外シグナル制御タンパク質キナーゼ;FBS:仔牛胎児血清;g:グラム;h:時間;HBA:水素結合受容体;HBD:水素結合供与体;HD:ハンチントン病;HEPES:4−2−ヒドロキシエチル−1−ピペラジンエタンスルホン酸;HRP:セイヨウワサビペルオキシダーゼ;IgG:免疫グロビンG;IP:腹腔内の;IV:静脈内;K32:32番目リジン残基;kcal:キロカロリー;kg:キログラム;MBP:ミエリン塩基性タンパク質;mg:ミリグラム;min:分;ml:ミリリットル;mM:ミリモル;mol:モル;MTT:3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム臭化物;MW:分子量;NaCl:塩化ナトリウム;ng:ナノグラム;nM:ナノモル;NS:有意でない;NMR:核磁気共鳴;NGF:神経成長因子;nM:ナノモル;P:確率;p75NTR:p75神経栄養受容体;PBS:リン酸緩衝塩;PD:パーキンソン病;pmol:ピコモル;PMSF:フェニルメチルスルホニルフッ化物;PO:経口の(口から);pro−NGF:NGFの非処理の前駆体;PVDF:ポリビニリジンジフッ化物;SDS:ドデシル硫酸ナトリウム;SE:標準誤差;s.e.m.:測定の標準誤差;Tris:2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール;TUNEL:末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介デオキシウリジン3リン酸ニック−エンドラベリング;μg:マイクログラム;μl:マイクロリットル;μM:マイクロモル;%:パーセント;℃:摂氏度;>:と等しく又はより大きく;>:より大きく;<:と等しく又はより小さく;<:より小さく
【0035】
神経病及び他の疾患を含む特定の疾患を持つ患者では、ニューロトロフィン局在性、ニューロトロフィン発現レベル、及び/又はニューロトロフィンと結合する受容体の発現レベルの変化が生じうる。従って、上記の疾患に罹る患者に、対応するニューロトロフィン因子又はこの類似体を提供することで、この様な神経病は緩和されるか、又は予防できる。いくつかのケースでは、ニューロトロフィンの機能の阻害が有効である。本明細書に初めて開示するように、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ非ペプチド化合物を患者に投与することにより、該疾患を治療する方法、及び/又は神経細胞の生存を促進する方法が提供される。
本明細書において開示する発明の方法及び化合物は、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ化合物に関する。本明細書で用いるように、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ化合物のコンピューターによるスクリーニングによる発見は、神経及び他の細胞の生存をポジティブに制御するに適している。詳しくは、ニューロトロフィンに対し栄養性応答を示す細胞において、この化合物は生存シグナリングを促進することができる。
【0036】
I.定義
本明細書で用いる用語は詳細な実施態様を記載する目的のためであり、限定することを意図するものではないことを理解されたい。明細書とクレームに渡って、記載された化学式とその名前は、全ての光学異性体及び立体異性体を含み、このような異性体とその混合物が存在するラセミ混合物をも含む。
もし別に定義されなければ、本明細書で用いた全ての技術的及び科学的用語は、本明細書で開示した対象物に関わる同業者の1人に通常理解される意味と同じである。本明細書に記載した事柄と同様又は等価な全ての方法及び物質は、本明細書に開示した対象物の実施又は試験において用いることができるが、本明細書では代表的な方法及び物質を記載する。
長年にわたる特許法協定に従い、原文の"不定冠詞−ある(a, an)""定冠詞−その(the)"は、クレイムを含む本出願で用いられる場合、"1又は2以上"を意味する。従って、例えば、"ある担体"は、1又は2以上の担体の混合物、2又は3以上の担体の混合物、等々を表す。
もし別途示されなければ、明細書及び請求の範囲で用いられる構成要素の量、反応条件、等々を表す全ての数は、用語"約"で全ての事例において修正されると理解すべきである。従って、それと反対に示されない場合は、本明細書及び添付した請求の範囲に述べられた数字的なパラメーターは、本明細書に開示された対象物により見出された好ましい特性によって変わりうる近似的なものである。
重さ、時間、投与量、その他の量のような測定しうる値に関して、本明細書で用いられた、用語"約"は、特定の値から、或る例では±20%又は±10%、他の例では±5%、更に他の例では±1%、更にまた他の例では±0.1%の変化量を含み、この様なものとして、この様な変化量は開示した方法を実行する上で適切である。
【0037】
本明細書に使用されているように、用語"神経病"は、神経系細胞の損傷により特徴付けられる全ての疾患を含み、また制限付けることなく、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、てんかん、パーキンソン病、脊髄損傷、脳梗塞、低酸素症、虚血症、脳損傷、糖尿病性神経障害、末梢性神経障害、神経移植合併症、多発性硬化症、末梢神経障害、及びその他のTrkBを発現する細胞の変性又は機能不全を含む病気が挙げられる。
【0038】
本明細書で用いるように、用語"アルキル基"は、線状の(即ち"直鎖の")、分枝状の、又は環状の("シクロアルキル基")、飽和又は少なくとも部分的にまたある場合は完全に不飽和な(即ち、アルケニル基及びアルキニル基)炭化水素鎖を包含するC1〜20を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tertブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル機、ブタジエニル基、プロピニル基、メチルプロペニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル機、ヘプチニル基及びアレニル基が挙げられる。"分枝した"とは、メチル基、エチル基、又はプロピル基のような、低級アルキル基が直鎖状のアルキル鎖に付加したアルキル基を表す。"低級アルキル基"は、例えば、1,2,3,4,5,6,7,又は8炭素原子のような、1〜約8までの炭素原子、を有するアルキル基(即ち、C1−8アルキル基)を表す。"高級アルキル基"は、例えば、10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,又は20炭素原子、の様な約10〜約20の炭素原子を持つアルキル基を表す。或る実施態様において、"アルキル基"は、特に、C1〜8直鎖アルキル基を表す。別な実施態様において、"アルキル基"は、特に、C1〜8分岐鎖アルキル基を表す。
【0039】
アルキル基は、任意に、1又は2以上の、同一又は異なってもよいアルキル基置換基により置換できる("置換アルキル基")。"アルキル基の置換基"としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロ基、アリールアミノ基、アシル基、水酸基、アリールオキシル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルオキシル基、アラルキルチオ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、オキソ基及びシクロアルキル基が挙げられるが、これらに制限されない。任意に、アルキル鎖にそって1又は2以上の酸素原子、イオウ原子又は置換又は非置換の窒素原子を挿入できるが、ここで窒素置換基は、水素原子、低級アルキル基(以下"アルキルアミノアルキル基"と呼ぶ)又はアリール基である。
この様に、本明細書で用いられるように、用語"置換アルキル基"は、ここで定義されたように、1又は2以上の原子又はアルキル基の官能基が、他の原子又は官能基で置き換えられたアルキル基を含み、例えば、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、置換アリール基、アルコキシル基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、硫酸塩基及びメルカプト基が挙げられる。
【0040】
さらに、本明細書で用いるように、用語アルキル基及び/又は"置換アルキル基"には、"アリル基"又は"アリル型基"が含まれる。用語"アリル型基"又は"アリル基"は、−CHHC=CH基及び置換により作られたその誘導体を表わす。用語アルキル基及び/又は"置換アルキル基"は、アリル基、メチルアリル基、ジメチルアリル基、等々のようなアリル基を含むが、これらに制限されない。用語"アリル位"又は"アリル部位"は、アリル型基の飽和した炭素原子を表す。従って、アリル位に付加する水酸基又は他の置換基のような官能基は、"アリル型基"と表わす。
【0041】
本明細書で用いる用語"アリール基"は、互いに縮合し、共有結合で連結した、又はメチレン基又はエチレン基部分のような、しかしこれらに制限されない、共通の官能基に結合した単一の芳香族環、又は、多環の芳香族環であることができる芳香族置換基を指す。共通の連結基はまた、ベンゾフェノンの場合のようなカルボニル基、又はジフェニルエーテルにおけるような酸素分子、又はジフェニルアミンにおけるような窒素分子でもあることができる。用語"アリール基"は、特に、複素環式芳香族化合物を含む。芳香族環は、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルアミン基及びベンゾフェノン基からなる。特別な実施態様において、用語"アリール基"は、約5〜約10の炭素原子、例えば、5,6,7,8,9又は10炭素原子、からなる環状芳香族を意味し、また5−及び6−員環炭化水素及び複素環式芳香族環を含む。
【0042】
アリール基は同一又は異なる1又は2以上のアリール基置換基で任意に置換しうる("置換アリール基")。"アリール基の置換基"としては、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル機、水酸基、アルコキシル基、アリールオキシル基、アラルキルオキシル基、カルボキシル基、アシル基、ハロ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルオキシル基、アシルアミノ基、アロイルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アルキレン基及び−NR’R’’基を含み、ここでR’及びR’’は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基及びアラルキル基であってもよい。
【0043】
従って、本明細書で用いられたように、用語"置換アリール基"は、本明細書で定義されたようなアリール基を含み、前記アリール基の1又は2以上の原子又は官能基は、他の原子又は、例えば、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、置換アリール基、アルコキシル基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、硫酸塩基及びメルカプト基を含む、官能基と置き換えうる。
アリール基の特別な例としては、シクロペンタジエニル基、フェニル基、フラン基、チオフェン基、ピロール基、ピラン基、ピリジン基、イミダゾール基、ベンジミダゾール基、イソチアゾール基、イソキサゾール基、ピラゾール基、ピラジン基、トリアジン基、ピリミジン基、キノリン基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、等々が挙げられるが、これらに制限されない。
【0044】
本明細書で用いる、次のような化学式で表される構造:
【化29】

は、環状構造を表し、例えば、置換基Rを含む、3−炭素、4−炭素、5−炭素、6−炭素等々の脂肪族及び/又は芳香族環状化合物を表わすが、ここでR基は、存在しても、存在しなくともよく、存在する場合は、1又は2以上のR基は各々、環状構造の1又は2以上の可能な炭素原子上で置換されるものであるが、上記の環状化合物に制限されない。R基が存在するか否か及びR基の数は、整数n値で決められる。各R基は、もし1以上ならば、他のR基上ではなく、環状構造の可能な炭素原子上で置換される。例えば、nが0〜2の整数である構造:
【化30】

は、以下の化合物群:
【化31】

等々を含むが、これらに制限されない。
【0045】
nが1である、構造:
【化32】

は、以下のような化合物:
【化33】

を含み、ここで、1つのR置換基は、他の表示された置換基により占領されてないベンゾフラン親構造上のどの炭素原子にも付加することができて、上記の場合は、炭素原子6はXで置換され、また炭素原子2はYで置換されている。
【0046】
環状(環)構造において結合を表す破線は、その結合が環上に存在しても、しなくとも良いことを示す。環状構造において結合を表す線が破線であることは、環状構造が飽和環状構造、部分飽和環状構造及び不飽和環状構造からなる群から選択されることを意味する。
芳香族環又は複素環式芳香族環の指定された原子が"存在しない"と規定された場合、指定された原子は直接結合により置き換えられる。連結基又はスペーサー基が存在しないと規定された場合、連結基又はスペーサー基は直接結合により置き換えられる。
【0047】
"アルキレン基"は、例えば、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,又は20個の炭素原子である、1〜約20個の炭素原子を持つ、直鎖型又は分枝型の2価の脂肪族炭化水素群を表わす。アルキレン基は直鎖、分枝又は環状であることができる。アルキレン基もまた、任意に、不飽和であり、及び/又は1又は2以上の"アルキル基置換基"により置換されていてもよい。アルキレン基に沿って、任意に、1又は2以上の酸素原子、イオウ原子、又は置換又は非置換窒素原子(これはまた"アルキルアミノアルキル基"とも呼ばれる)とが挿入され、ここで窒素置換基は既述のようにアルキル基でアラルキレン基の例としては、メチレン(−CH−)基;エチレン(−CH−CH−)基、プロピレン(−(CH−)基;シクロへキシレン(−C10−)基;−CH=CH−CH=CH−基;−CH=CH−CH−基;−(CH)q−N(R)−(CH)r−基があり、ここでq及びrの各々は、独立して0〜約20の整数であり、例えば、0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,又は20であり、またRは水素原子又は低級アルキル基:メチレンジオキシル(−O−CH−O−)基;及びエチレンジオキシル(−O−(CH−O−)基でアラルキレン基は、約2〜3個の炭素原子を持ち、またさらに6〜20個の炭素原子を持つことができる。
【0048】
"アリーレン基"は、2価のアリール基をいう。典型的なアリーレン基は、フェニレン基であり、これは、お互いにオルト、メタ又はパラ位に結合可能な環の炭素原子を有し、具体的には下記に示す:
【化34】

このアリーレン基は、ナフチレン基又は2価のフルオレン部分であってもよい。このアリーレン基はまた任意に、1又は2以上の、同一又は異なってもよい"アリール基置換基"アルキル基置換基により置換されていてもよい("置換アリーレン基")。
"アラルキレン基"は、アルキル基とアリール基の両方を含む2価基をいう。例えば、アラルキレン基は、2つのアルキル基と1つのアリール基(即ち、−アルキル基−アリール基−アルキル基−)、1つのアルキル基と1つのアリール基(即ち、−アルキル基−アリール基−)、又は1つのアルキル基と2つのアリール基(即ち、−アリール基−アルキル基−アリール基−)を有するものであってもよい。
【0049】
本明細書で用いるように、用語"アシル基"は、そのカルボキシル基の−OH基が他の置換基に置き変えられた有機酸基を表す(例えば、RCO−で代表されるように、Rは、本明細書で定義されたようなアルキル基又はアリール基である)。従って、用語"アシル基"は、特に、アセチルフラン基及びフェナシル基のようなアリールアシル基を含む。アシル基の特別な例は、アセチル基及びベンゾイル基である。
【0050】
"環状"及び"シクロアルキル"は、例えば、3,4,5,6,7,8,9又は10個の炭素原子のような、約3〜約10個の炭素原子の非芳香族型モノ又はマルチ環状系を指す。シクロアルキル基は任意に部分的に不飽和であることができる。シクロアルキル基は、また任意に、本明細書で定義したようにアルキル基置換基で置換することができる。環状アルキル鎖に沿って、1又は2以上の酸素原子、イオウ原子、又は、窒素置換基が水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、又は置換アリール基である置換、又は非置換の窒素原子を任意に挿入でき、このようにして複素環式基を提供する。代表的なモノサイクリックなシクロアルキル環としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、等々があるが、これらに制限されない。更に、シクロアルキル基は、任意に既述のように定義されたアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基等々、のような、連結基で、任意に、置換できる。この様な場合、シクロアルキル基は、例えば、シクロプロピルメチル基及びシクロブチルメチル基等々を指す。更に、多環シクロアルキル環としては、アダマンチル基、オクタヒドロナフチル基、デカリン、樟脳、カンファン及びノラダマンチルがある。
【0051】
"アルコキシル基"又は"アルコキシアルキル基"はアルキル−O−基を指し、ここでアルキル基は既述の通りである。本明細書で用いる"アルコキシル基"は、炭素数が1〜20であってもよく、直鎖型、分枝型、又は環状、飽和又は不飽和オキソ炭化水素鎖を含むことができ、例えば、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、イソプロポキシル基、ブトキシル基、t−ブトキシル基及びペントキシル基が挙げられる。
"アリールオキシル基"はアリール−O−基を指し、ここでアリール基は、既述の通りであり、置換アリール基を含む。本明細書で用いる"アリールオキシル基"という語は、フェニルオキシル基、又はヘキシルオキシル基及びアルキル基、置換アルキル基、ハロ基又はアルコキシル置換フェニルオキシル基又はヘキシルオキシル基を指すことができる。
"アラルキル基"はアリール−アルキル−基を指し、ここでアリール基及びアルキル基は既述の通りであり、置換アリール基及び置換アルキル基を含む。アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、又はナフチルメチル基がある。
"アラルキルオキシル基"は、アラルキル−O−基を指し、ここでアラルキル基は既述の通りでアラルキルオキシル基の例としては、ベンジルオキシル基がある。
【0052】
"アルキルアミノ基"は−NHR基を指し、Rは、既述したようなアルキル基又は置換アルキル基である。
"ジアルキルアミノ基"は−NRR’基を指し、各R及びR’は、独立して既述の通りのアルキル基及び/又は置換アルキル基でアラルキルアミノ基の例としては、エチルメチルアミノ基、ジメチルアミノ基及びジエチルアミノ基がある。
"アルコキシカルボニル基"はアルキル−O−CO−基を指す。アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基及びt−ブチルオキシカルボニル基がある。
"アリールオキシカルボニル基"はアリール−O−CO−基を指す。アリールオキシカルボニル基の例としては、フェノキシ−及びナフトキシ−カルボニル基がある。
"アラルコキシカルボニル基"はアラルキル−O−CO−基を指す。アラルコキシカルボニル基の例としては、ベンジルオキシカルボニル基がある。
"カルバモイル基"はHN−CO−基を指す。
【0053】
"アルキルカルバモイル基"はR’RN−O−基を指し、ここでR及びR’の一つは水素原子であり、またR及びR’の他の一つは、既述の通りのアルキル基及び/又は置換アルキル基である。
"ジアルキルカルバモイル基"はR’RN−CO−基を指し、ここでR及びR’の各々は独立して既述の通りのアルキル基及び/又は置換アルキル基を表わす。
"アシルオキシル基"はアシル−O−基を指し、ここでアシル基は既述の通りである。
"アシルアミノ基"は、アシル−NH−基を指し、ここでアシル基は既述のとおりである。
用語"アルケニレン基"は、炭素−炭素二重結合を持つ非環式炭素鎖(即ち、開かれた鎖構造)を示し、1又は2以上の回数、任意に、置換できる、CnH2nー2という化学式で表される。代表的なアルケニレン基としては、エテニレン基、プロペニレン基、1−又は2−ブテニレン基、1−又は2−ペンチレン基等々があるが、これらに制限されない。
"アロイルアミノ基"はアロイル−NH−基を指し、ここでアロイル基は既述の通りである。
【0054】
用語"アミノ基"は、−NH基を指す。
用語"カルボニル基"は、−(C=O)−基を指す。
用語"カルボキシル基"は、−COOH基を指す。
用語"シアノ基"は、−CN基を指す。
本明細書で用いられる用語"ハロ基"、"ハロゲン化物"又は"ハロゲン原子"は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基を指す。
用語"水酸基"は、−OH基を指す。
用語"ヒドロキシアルキル基"は、1個の−OH基で置換されたアルキル基を指す。
用語"メルカプト基"は、−SH基を指す。
用語"メルカプトアルキル基"は、−SR基を指し、Rは、アルキル基又は置換アルキル基である。
用語"オキソ基"は、1個の炭素原子が一個の酸素原子で置き換えられた、本明細書で既述の、化合物を指す。
用語"ニトロ基"は、−NO基を指す。
用語"チオ基"は、1個の炭素原子又は酸素原子が、1個のイオウ原子で置き換えられた、本明細書に既述の、化合物である。
用語"硫酸塩基"は、−SO基を指す。
用語"スルホニル基"は、−S(=O)−基を指す。
【0055】
用語"シクロアルケニル基"は、例えば、環当たり、3,4,5,6,7又は8炭素原子のように、環当たり3又は4以上の炭素原子を有する、1環、2環、3環又は4環を持つ、1又は2以上の環を有する部分的に不飽和な環状炭化水素基を指す。典型的なシクロアルケニル基としては、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等々があるが、これらに制限されない。
用語"置換シクロアルケニル基"は、可能な付加部位に1又は2以上の置換基で、好ましくは1,2,3又は4置換基で、置換されたシクロアルケニル基を指す。典型的な置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロ基、アリールアミノ基、アシル基、水酸基、アリールオキシル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルオキシル基、アラルキルチオ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、オキソ基及びシクロアルキル基があるが、これらに制限されない。
【0056】
用語"独立して選択される"が用いられる場合、指定された置換基(例えば、R及びR基のようなR基又はX基及びY基)は同一又は異なる。例えば、R及びRともに置換アルキル基である、又はRは水素原子であり、Rは置換アルキル基である等々。
"R"、"R’"、"X"、"Y"、"Y’"、"A"、"A’"、"B"、"L"、又は"Z"基は、本明細書において特に特定しない場合、名前を持つ官能基として当業者に認識される構造を一般的に持つ。表示の目的のために、上述のある代表的"R","X"及び"Y"基は、以下のように定義される。これらの定義は、本開示を閲覧する通常の技術者にとって自明である定義を、補助し例示することを意図しており、除外するものではない。
【0057】
本明細書で用いる用語"治療"は、動物又は哺乳動物、特にヒトの病気、疾患及び/又は(不健康)状態について全ての治療をカバーしており、また以下3点を含む:即ち(i)病気、疾患及び/又は状態に罹りやすい、又は病気、疾患及び/又は状態を引き起こしうる作用因子に曝される危険性のあるヒトが病気、疾患及び状態に罹ることを防止すること;だが、この作用因子を持つと診断されてない;(ii)病気、疾患及び/又は状態を阻害すること、即ち、病気の伸展を止めること;
及び(iii)病気、疾患及び/又は状態を軽減すること、即ち、病気、疾患及び/又は状態からの回復を起こすこと。
【0058】
用語"類似物"は、他の既知の化合物と同様な機能及び/又は構造特性を有する化合物、又は生物原料、即ちポリペプチド又はその断片、の既知の化合物のような、既知の化合物の断片を表わす。
"結合特異性"は、他のタンパク質又は他の種類の分子の相補的部位を認識し、相互作用することができる、蛋白質又は他の種類の分子の活性を表わす。この明細書では、用語 結合特異性とは、他の分子よりも一つのタイプの分子に優先的に結合することのできる分子の能力をいう。例えば、TrkAやTrkCとは反対に、TrkBに優先的に結合するBDNF類似物の持つ能力を、結合特異性ということができる。ある受容体に対して結合特異性を持つ分子は、その受容体に結合し、その受容体を活性化し、及びその受容体を阻害することのうちの一つ又はそれ以上の目的のために用いることができる。
【0059】
用語"調節特異性"は、選択的に一つの受容体の活性を調節することのできる分子に関して用いる。その分子は、ある受容体の活性を、他の受容体よりも大いに調節し、又はある受容体群に属する一つの受容体の活性を調節することができる。例えば、BDNF類似物は、TrkBの活性を特異的に調節することができるが、TrkAやTrkCの活性を調節することはない。活性の調節として、アップレギュレーション、ダウンレギュレーション、活性化、部分的活性化、アゴニスム(agonism)、アンタゴニスム、部分的アンタゴニスム、阻害、部分的阻害、又はこれらの混合が挙げられるが、これらに限定されない。ある受容体に対して調節特異性を持つ分子は、例えば、その受容体に結合してその受容体を活性化したり、又はその受容体に結合してその受容体を阻害するために用いることができる。
用語"結合特異性及び/又は調節特異性"とは、指定した受容体に結合することができる、指定した受容体の活性を調節することができる、又は指定した受容体に結合してその活性を調節することができる分子に関する。
【0060】
本明細書で用いる用語"薬理作用団"は、選択された生物効果、即ち、酵素の阻害、受容体への結合、イオンのキレーション等々、を発揮することができる分子部分の特別なモデル又は表現を指す。選択された薬理作用団は、1以上の生化学的効果を持つことができる、即ち一つの酵素の阻害剤であり、また第2の酵素の作用剤であることができる。治療薬は1又は2以上の薬理作用団を含み、これらは同一又は異なる生化学的活性を有する。
本明細書で用いられる用語"誘導体"は、親化合物と差異をつけるために化学的に修飾した化合物を指す。この様な化学的な修飾としては、例えば、水素原子をアルキル基、アシル機、又はアミノ基での置き換えを挙げることができる。誘導体は、例えば、グリコシル化、ペグ化、又は類似した工程で修飾可能であり、親化合物の少なくとも1個の生物学的又は免疫学的機能を保持する。
【0061】
用語"小分子"及び"小ペプチド"は、分子量が1000以下の化合物のことをいう。幾つかの実施態様において、この小分子又は小ペプチドは、分子量が750以下の化合物のことをいう。幾つかの実施態様において、この小分子又は小ペプチドは、分子量が500以下の化合物のことをいう。
用語"ペプチド"は、各アミノ酸のアミノ基と隣接するアミノ酸のカルボキシル基との間のアミド結合により連結された複数のアミノ酸から成るポリマーのことをいう。このペプチドを形成する各アミノ酸単位は、"残基"という。従って、"アミノ酸残基"とは、20個の標準アミノ酸のうちの一つ、又は非標準アミノ酸であって、そのアミノ基からプロトンを失ったもの、そのカルボキシル基から水酸基を失ったもの、若しくはその両方を失ったもの、の1価又は2価のラジカルをいう。また、用語"ペプチド"は、そのアミノ末端、カルボキシル末端、一つ若しくはそれ以上のアミノ酸側鎖、又はこれらの組み合わせが、例えば、アシル化、アルキル化、還元若しくはアミド生成又はペプチド化学の分野で知られたその他の方法を通じて、化学的に修飾され又は変性された、ペプチドの誘導体をいう。
用語"立体異性体"は、それが与えられた化合物についていわれる場合には、その分野でよく理解されており、同じ分子式を持つが異なる化合物のことをいい、他方の化合物を形成する一団の原子が、空間的に異なる配置をしているが、他方の化合物の一団の原子が、一方の化合物の一団の原子とは、お互いの結合が似ている(即ち、光学異性体、ジアステレオマー又は幾何異性体)。
【0062】
用語"親水性"は、水に対して親和性を持つ;水を直ちに吸収する及び/又は水に溶ける、の様にこの分野の共通のやり方で用いられる。
用語"親油性"は、脂質に対する親和性、脂質と結合する傾向、又は脂質に溶解可能であるとして、この分野共通のやり方で用いられる。
本明細書で用いられる用語"両親媒性"は、別々に、疎水性領域と、親水性領域を有する構造を表す。従って、構造の一部は水性媒体及び他の極性媒体と有利に相互作用し、構造の他の部分が非極性媒体と有利に相互作用する。
本明細書で用いられる用語"溶解度"は、特定の温度で、指定量の溶媒に溶ける溶質の最大量を表す。
本明細書で用いられる"生体利用性"は患者に投与された指定量の化合物の全体的利用度(即ち、血液/血漿中濃度)を指す。この用語は更に、作用部位に到達する化合物の速度及び、吸収率を含む。
【0063】
II.化合物
本発明は、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ化合物を提供する。幾つかの実施態様において、この化合物は、ニューロトロフィンβ−ターンループの類似体である。幾つかの実施態様において、このニューロトロフィンは脳由来神経栄養因子(BDNF)である。幾つかの実施態様において、このβ−ターンループはBDNFのループ2である。これらの化合物は、神経病(例えば、神経変性疾患)を含むがこれに限定されない疾患の治療や予防に用いられるここで開示される医薬化合物と医療方法に従って用いることができる。
幾つかのTrkB結合及び/又は調節化合物は、アゴニスト機能を示し、従って、TrkB活性を促進する。幾つかのTrkB結合及び/又は調節化合物は、部分的アゴニスト機能を示す。これらの化合物は、TrkB活性を促進するため、又は幾つかのケースでは内因性BDNFの機能を部分的に阻害するために用いられる。BDNF機能を阻害することは、てんかん又は過剰なBDNF機能が根源的な病気のメカニズムに貢献するようなその他の疾患の予防若しくは治療に有用であることを示す。幾つかのTrkB結合及び/又は調節化合物は、アゴニスト機能を示さず、従って、TrkBアンタゴニストとして有用であることを示す。
本発明のTrkB結合及び/又は調節化合物は、天然素材から単離できるし、市販品を購入することができるし、又は合成有機化学の分野で知られた方法により合成することができる。
【0064】
II.A.構造
本出願に開示した対象物に従い、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つBDNFβ−ターンループ2の代表的化合物又は類似体は、化学式(1)〜(XI)のうちの一つの構造を持つ化合物を含む。
幾つかの実施態様において、ループ2BDNF類似化合物は、化学式(I)
【化1】

(式中、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;
及びXは、独立して、CH基及びNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;
は水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基及び下式の基
【化2】

(式中、各R及びRは水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基である。)からなる群から選択される。)
で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0065】
幾つかの実施態様において、R、R及びRは水素原子、X及びXはNH基、Dはアルコキシ基である。幾つかの実施態様において、化学式(I)の化合物は下記
【化3】

又はその立体異性体である。
【0066】
幾つかの実施態様において、ループ2BDNF類似化合物は、化学式(II)
【化4】

(式中、L及びLは、独立して、C〜Cのアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基及び置換アリーレン基からなる群から選択され;
は、C〜Cのアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、置換アリーレン基、
【化5】

からなる群から選択され;
は、C〜Cのアルキレン基であり;
、Z及びZは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基及びアラルキル基から選択され;
、X、X及びXは、独立して、N又はCH基であり;
、Y及びYは、独立して、カルボニル基、スルホニル基又はメチレン基であり;
、D、D及びDは、独立して、水素原子、アルキル基、ハロ基、水酸基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)
で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0067】
幾つかの実施態様において、L及びLは、独立して、C〜Cのアルキレン基又はフェニレン機である。幾つかの実施態様において、D及びDは、水酸基又はカルバモイル基である。幾つかの実施態様において、X及びXはNである。幾つかの実施態様において、化学式(II)の化合物は下記
【化7】

から成る群から選択される。
【0068】
幾つかの実施態様において、ループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(III)
【化8】

(式中、Lは、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;
及びXは、独立して、N又はCH基であり;
10及びR11は、独立して、水素原子、ハロ基、アルキル基及びシアノ基から成る群から選択され;
、D及びDは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)
で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0069】
幾つかの実施態様において、R10及びR11は、シアノ基である。幾つかの実施態様において、Dは、水酸基である。幾つかの実施態様において、Dは、NRである。幾つかの実施態様において、Dは、アシルアミノ基である。幾つかの実施態様において、化学式(III)の化合物は下記
【化9】

である。
【0070】
幾つかの実施態様において、ループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(IV)
【化10】

(式中、X及びX10は、独立して、CH基又はNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)であり;
12は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アシル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;
13は、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;
14及びR15は、独立して、水素原子、アルキル基、置換アルキル基及びアラルキル基からなる群から選択され;
16は、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基、及び
【化2】

(式中、R及びRは水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基から選択される。)からなる群から選択される。)
で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0071】
幾つかの実施態様において、R12、R13、R14及びR15は、水素原子又はアルキル基である。幾つかの実施態様において、X及びX10は、NR基である。幾つかの実施態様において、R16は、NR(式中、R及びRは水素原子又はアルキル基である。)である。幾つかの実施態様において、化学式(IV)の化合物は下記
【化11】

又はその立体異性体である。
【0072】
幾つかの実施態様において、ループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(V)
【化12】

(式中、L及びLは、独立して、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;
11は、O、S、CH基又はNR17基であり(式中、R17は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。);
12、X13及びX14は、独立して、CH基又はNであり;
15は、O、S及びNR18基(式中、R18は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から成る群から選択され;
、D10、D11及びD12は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)
で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0073】
幾つかの実施態様において、D、D10、D11及びD12は、水酸基、アルコキシ基又はカルバモイル基である。幾つかの実施態様において、化学式(V)の化合物は下記
【化13】

又はその立体異性体である。
【0074】
幾つかの実施態様において、ループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(VI)
【化14】

(式中、Lは、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;
16は、O、S及びNR19基(式中、R19は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;
17は、O、S、CH基及びNR20基(式中、R20は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;
18及びX19は、独立して、N及びCH基から選択され;
13及びD14は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)
で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0075】
幾つかの実施態様において、D13及びD14は、水素原子又はアルキル基である。幾つかの実施態様において、化学式(VI)の化合物は下記
【化15】

である。
【0076】
幾つかの実施態様において、ループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(VII)
【化16】

(式中、m及びnは、独立して、1又は2であり;
各L及びL10は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;
20及びX21は、独立して、CH基、CH基、N及びNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;
22は、水素原子及びハロ基から選択され;
各D15及びD16は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)
で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0077】
幾つかの実施態様において、X22は、ハロ基である。幾つかの実施態様において、各D15及びD16は、水酸基である。幾つかの実施態様において、化学式(VII)の化合物は下記
【化17】

である。
【0078】
幾つかの実施態様において、ループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(VIII)
【化18】

(式中、L11は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;
23は、N又はCH基を表し;
21及びR22は、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から成る群から選択され;
17、D18及びD19は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)
で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0079】
幾つかの実施態様において、R21及びR22は、アルキル基である。
幾つかの実施態様において、D17、D18及びD19は、水酸基、アルコキシ基及びカルバモイル基から選択される。幾つかの実施態様において、化学式(VIII)の化合物は下記
【化19】

から成る群から選択される。
【0080】
幾つかの実施態様において、ループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(IX)
【化20】

(式中、L12は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;
24は、N又はCH基を表し;
23は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から成る群から選択され;
20、D21、D22、D23及びD24は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)
で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0081】
幾つかの実施態様において、D20、D21、D22、D23及びD24は、水酸基、アルコキシ基及びカルバモイル基から選択される。幾つかの実施態様において、R23は、アルキル基である。幾つかの実施態様において、化学式(IX)の化合物は下記
【化21】

である。
【0082】
幾つかの実施態様において、ループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(X)
【化22】

(式中、tは1又は2であり;
各L13は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;
25及びX26は、N及びCH基から選択され;
27は、N、CH基、CH基及びNR25基(式中、R25は水素原子又はアルキル基を表す。)から選択され;
24は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から選択され;
25及び各D26は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)
で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0083】
幾つかの実施態様において、D25及び各D26は、水酸基及びアルコキシ基から選択される。幾つかの実施態様において、R24は、アルキル基である。幾つかの実施態様において、化学式(X)の化合物は下記
【化23】

である。
【0084】
幾つかの実施態様において、ループ2BDNF類似化合物は、下記化学式(XI)
【化24】

(式中、X28は、CH基、O、S及びNR26基(式中、R26は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;
29は、N又はCH基を表し;
30は、CH基又はNR27基を表し(式中、R27は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。);
31は、N又はCH基を表し;
27、D28及び各D29は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)
で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である。
【0085】
幾つかの実施態様において、D27、D28及び各D29は、独立して、水酸基又はアルコキシ基である。幾つかの実施態様において、化学式(XI)の化合物は下記
【化25】

である。
【0086】
ここで開示した化合物は、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ親化合物の誘導体であって、TrkB受容体に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ誘導体をも含む。この誘導体は、親化合物に比べて、潜在能力、選択性、親水性、親油性、両親媒性、溶解性、生物学的利用能、及び肝臓疾患への耐性から成る群から選択される少なくとも1つの特徴の増大を示すことができる。
幾つかの実施態様において、この化合物は、TrkB受容体に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ親化合物の誘導体であって、親化合物又は親化合物の他の誘導体にインビボで形質転換されて、TrkB受容体に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ誘導体である。このような誘導体は、幾つかの実施態様において、プロドラッグと呼ばれる。プロドラッグは、インビボで化学的に加水分解し(即ち、pHの変化により触媒された加水分解)又は酵素により加水分解する結合を含む。このような結合として、エステル、アミド及びカーボネートが挙げられるが、これらに限定されない。インビボでのこのような結合の加水分解は、例えば、アルコールやアミンのような水素供与部分(成分)の存在を示す。
幾つかの実施態様において、本明細書で開示した化合物は、図1に表示した薬理作用団と実質的に同一の薬理作用団を含むことができることを理解すべきである。
その様な化合物の代表例としては、化学式(I)〜(XI)が挙げられるが、これらに制限されない。
【0087】
II.B.製剤
本明細書で開示した化合物は、好ましい投与ルートに適応したルーティン手順に従い製剤化できる。従って、本明細書で開示した化合物は、油性又は水性の媒体を使った懸濁液、溶液、又は乳状液の様な形をとることができ、また浮遊剤、安定剤、及び/又は分散剤を含むことができる。本明細書で開示した化合物は、埋め込み、又は注射のための調整品として製剤化できる。従って、例えば、上記化合物は、適切な高分子又は疎水性材料(例えば、許容可能な油のなかの乳濁液)、又はイオン交換樹脂、又は発泡溶解誘導体(例えば、発泡溶解塩)と共に製剤化できる。又は、活性な構成要素は、例えば、無菌で発熱物質を含まない水のような、適切な媒体と使用前に混合するための粉末状であることができる。各々の投与方法に対する適切な製剤については、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,A.Gennaro,編,第20版,Lippincott,Williams & Wilkins,Philadelphia,Pa.に、見出すことができる。
【0088】
例えば、非経口投与のための製剤は共通の添加物として、無菌水又は無菌生理食塩水、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、植物由来の油、水和化したナフタレン等々が含まれる。特に、生体許容性、生体分解可能ラクチド重合体、ラクチド/グリコール・コポリマー、又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン・コポリマーは活性化合物の放出を制御するための有用な添加物となることができる。他の潜在的に有用な非経口の運搬システムとしては、エチレン−酢酸ビニル・コポリマー粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み輸液システム、及びリポソームが挙げられる。吸入投与に対する製剤は、例えば、ラクトースを添加物として含み、又は、例えば、ポリオキシエチレン−9−アウリルエーテル、グリココレート及びデオキシコレートを含む水溶液であることができて、又は点鼻液の形での投与に対する油性溶液であることができて、又は鼻腔内に作用させるゲルとして含む。非経口性投与の製剤は、また、舌下錠投与のためのグリココレート、直腸投与のためのメトキシサリチル酸塩、又は膣投与のためのクエン酸を含むことができる。
【0089】
静脈内投与のための製剤は、無菌の等張緩衝液による溶液を含むことができる。必要な場合、この製剤は、また、溶解補助剤及び注射部位の苦痛緩和のための局所麻酔を含むことができる。一般的に、構成要素は単一投薬形態において、例えば、活性試薬の量を示すアンプル又は小袋のような密封した容器の中に、凍結乾燥粉末又は無水濃縮物として、別々に、又は混合して提供される。化合物を輸液として投与する場合、無菌の医薬用級の水、生理食塩水、又はデキストローズ/水を入れた輸液ビンを伴う製剤として調剤できる。化合物を注射で投与する場合、注射のための無菌水アンプル、又は生理食塩水のアンプルが提供され、投与に先立って構成成分を混合できる。
適切な製剤としては、さらに抗酸化剤、緩衝、靜菌薬、殺菌性抗生物質、及び意図されている受容者の体液と等張な調整液をつくる溶質を含むことができる、水性及び非水性無菌注射溶液;懸濁剤及び増粘剤を含むことができる水性及び非水性の無菌懸濁液がある。
【0090】
上記化合物の組成物は、少量の湿潤剤又は乳化剤、又はpH緩衝剤を含むことができる。上記化合物からなる組成物は、液体溶液、懸濁液、乳濁液、錠剤、ピル、カプセル、持続放出製剤、又は粉末であることができる。
上記化合物は座薬として、伝統的結合剤及びトリグリセリドのような担体と共に調剤できる。
経口調剤は医薬品級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、サッカリンナトリウム、セルローズ、炭酸カルシウム等々のような標準的担体を含むことができる。
本出願で開示した化合物からなる医薬品調剤は、化合物の放出を制御し、それによって、化合物を指定時刻に、又は持続した放出を行う、試薬を含むことができる。
【0091】
II.C.担体
医薬的に許容される担体は、当業者にはよく知られており、約0.01から約0.1M、及び好ましくは0.05Mリン酸緩衝液及び0.8%生理食塩水を含むが、これに制限されない。そのような医薬的に許容された担体は、水性又は非水性溶液、懸濁液、及び乳濁液である。
本出願で開示された対象物の使用に適した、非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、及びオレイン酸エチルの様な注射可能有機エステルを含むが、これらに制限されない。
本出願で開示した対象物への使用に適した水性担体としては、生理食塩水及び緩衝液媒体を含め、水、エタノール、アルコール性/水性溶液、グリセロール、乳濁液又は懸濁液が挙げられるが、これらに制限されない。経口担体は、エリクシル剤、シロップ、カプセル、錠剤、等々であることができる。
本出願で開示した対象物への使用に適した液性担体は、溶液、懸濁液、乳濁液、シロップ、エリクシル、及び与圧化合物を調製して用いることができる。活性な構成成分は、水、有機溶媒、両者の混合物、又は医薬的に許容される油又は脂肪の様な、医薬的に許容可能な液性担体に溶解又は懸濁できる。液性担体は、溶解補助剤、乳化剤、緩衝液、保存液、甘味、芳香試薬、懸濁剤、濃縮剤、着色剤、粘性制御剤、安定剤、又は浸透圧制御因子のような、他の適切な医薬的な添加物を含むことができる。
【0092】
本出願で開示した対象物への使用に適した液性担体は、水(部分的に上記のような添加物、例えば、セルローズ誘導体、好ましくは、カルボキシメチルセルローズナトリウム溶液を部分的に含む)、アルコール(1水酸基を有するアルコール及び例えば、グリコールのような、多価水酸基アルコールを含む)及びこれらの誘導体、及び油(例えば、分画されたココナッツ油及びラッカセイ油)を含むが、これらに制限されない。非経口投与のためには、担体はまたエチルオレイン酸塩、及びイソプロピルミリスチン酸塩のような、油性エステルを含むことができる。無菌の液性担体は、非経口の投与の為の化合物からなる無菌の液性形態で有用である。本明細書で開示された、与圧化合物のための液性担体は、ハロゲン化した炭化水素又は多の医薬的に許容された噴射剤であることができる。
本出願で開示した対象物の使用のために適切な固体担体は、ラクトース、デンプン、グルコース、メチル−セルローズ、ステアリン酸マグネシウム、リン酸2カルシウム、マンニトール等々のような不活性物質を含むが、これらに制限されない。固体担体はさらに、芳香剤、潤滑剤、可溶剤、懸濁剤、充填剤、滑走剤、圧縮補助剤、結合剤、又は錠剤―粉砕剤のような、1又は2以上の物質を含み;これはカプセル化した材料でもあることができる。粉末状の担体は、細かく分割した固体で、細かく分割した活性化合物との混合物である。錠剤として、活性化合物は、必要な圧縮特性を持つ担体と適切な割合に混ぜられ、望みの形、大きさに圧縮される。粉末及び錠剤は、好ましくは、99%までの活性化合物を含む。適切な固体担体としては、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、砂糖、ラクトース、デクストリン、デンプン、ゲラチン、セルローズ、ポリビニルピロリジン、低融点ワックス及びイオン交換樹脂が挙げられる。
【0093】
本出願で開示した対象物への使用に適した非経口担体としては、塩化ナトリウム溶液、リンゲル−デキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル及び不揮発油があるが、これらに制限されない。静脈内担体としては、流動性及び栄養補強剤、リンゲル−デキストロース等に基づく電解質補強剤がある。保存剤及び他の添加物も存在可能であり、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガス、等々がある。

本出願で開示した対象物への使用に適した担体は、必要に応じて、技術上従来の技術で用いられる、錠剤分解物質、稀釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合材等々と、混合される。担体はまた、技術上既知であるが、反応により化合物に悪影響を与えない方法を用いて無菌化できる。
【0094】
II.D.塩
開示した化合物は、さらに医薬上許容される塩からなることができること、を理解すべきである。
この様な塩としては、医薬上許容される酸添加による塩、医薬上許容される塩基添加による塩、医薬上許容される金属塩、アンモニウム及びアルキル化したアンモニウム塩が挙げられるが、これらに制限されない。
酸添加塩としては、有機酸のみならず、無機酸の塩が含まれる。適切な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸、等々がある。適切な有機酸の代表的な例としては、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ケイ皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモ酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパルチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA,グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、硼酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、グリセロリン酸塩、ケトグルタール酸塩等々が挙げられる。
【0095】
塩基添加塩としては、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、テトラメチルアンモニウムヒロロキシド、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、エフェナミン、デヒドロアビエチルアミン、N−エチルピペリジン、ベンジルアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、例えば、リジン及びアルギニンジシクロヘキシルアミンのような塩基性アミノ酸、等々が挙げられるが、これらに制限されない。
金属塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム塩等々が挙げられる。
アンモニウム及びアルキル化アンモニウム塩の例としては、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム塩等々が挙げられる。有機塩基の例としては、リジン、アルギニン、グアニジン、ジエタノールアミン、コリン等々がある。
【0096】
II.E.トレーサー
本出願で開示した対象物の幾つかの実施態様において、BDNF模倣化合物はインビボ(すなわち、患者生体の中)又はインビトロ(すなわち、患者生体の外)で検知できるトレーサー(探索子)又はラベル(標識)を含む。幾つかの実施態様において、該トレーサーは、インビボにおいて、シンチグラフ法、磁気共鳴画像、超音波、又は蛍光のような、しかしこれらに限られない、非侵襲的方法で検知できる。トレーサーは、BDNF模倣化合物、薬物担体、又はこれらの組合せと接合体を作る、又は別な方法で結合する。患者に標識化した組成物を投与した後、またインビボにおける局在のための充分な時間経過後、該化合物の生体分布が可視化できる。例えば、放射性トレーサーで標識化したBDNF模倣化合物を用いて、インビボにおいてTrkB発現が変化した腫瘍又はたの病理学的状態を検出できる。
幾つかの実施態様において、該標識を、シンチグラフ画像法によって検知する。シンチグラフ画像法には、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography,単一光子放射型コンピュータ断層撮影法)、PET(Positron Emission Tomography,ポジトロン放射型断層撮影法)、ガンマカメラ画像、及び直線走査がある。ガンマカメラ及び直線走査は、各々単一平面内の放射能を検知する機器を代表する。多くのSPECTシステムは、1又は2以上の分析対象物の周りを回転するガンマカメラを使用する、したがって1次元以上の放射能を積算する。PETシステムは、多次元の放射能を検知する輪状に並んだ検知器からなる。
【0097】
シンチグラフ画像法を用いる場合、検知できるトレーサー又は、標識は、18フッ素、64銅、65銅、67ガリウム、68ガリウム、77硼素、80m硼素、95ルテニウム、97ルテニウム、103ルテニウム、105ルテニウム、99mテクネチウム、107水銀、203水銀、123ヨウ素、124ヨウ素、125ヨウ素、126ヨウ素、131ヨウ素、133ヨウ素、111インジウム、113ミンジウム、99mレニウム、105レニウム、101レニウム、186レニウム、188レニウム、121ムテルリウム、122mテルリウム、125mテルリウム、165ツリウム、167ツリウム、168ツリルム及び上記核種の窒化物又は酸化物型からなる群から選択した放射性核種標識を含むことができるが、これらに制限されない。
開示した方法に従って用いられるための分子を放射性核種標識する方法は、当業界で既知である。例えば、BDNF模倣化合物は、放射性核種が直接この化合物に結合するように誘導化できる。従って、本明細書の化学式(I〜XI)に記載されたBDNF模倣化合物の中の1水素原子を放射性核種で置き換えることができる。あるいは、放射性核種又は放射性トレーサーは、化学式(I〜XI)のBDNF模倣化合物と、アルキレン基のような適切な有機連結分子を介して結合できる。
放射性核種を含む組成物を用いる場合、標識化された標的分子を含む組成物に、アスコルビン酸、ゲンチジン酸、又は他の適切な抗酸化物質の様な、放射性分解損傷を防ぐ、又は最小限にするための安定剤を加えることができる。
【0098】
III.使用方法
本出願で開示した対象物は、神経病(例えば、神経変性疾患)を含むが、これに限らない、及び患者における病気を治療する新しい方法を提供する。より具体的には、本出願で開示した対象物の方法は、TrkB受容体分子に対して結合特異性、及び/又は調節特異性を有する化合物を、病気を治療するための患者に、投与することを含む。生存シグナルを誘導するため、及び/又は神経機能を亢進するために、有効量の該化合物を投与することができる。該化合物を用いて、非神経細胞の好ましい機序を促進することができる。また、該化合物を用いて、内因性BDNFを部分的に、又は完全に阻害することができる。
治療する病気は、ニューロトロフィンのTrkB受容体への結合を、少なくとも部分的に介する、如何なる健康状態、及びTrkB受容体は存在するが、必ずしもその状態に因果的に結びつかない健康状態でもあり得る。ニューロトロフィンは、その健康状態において、存在しても、不在でもあり得る。そのような病気としては、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、レット症候群、パーキンソン病、脊髄損傷、脳梗塞、低酸素症、虚血症、脳損傷、糖尿病性ニューロパチー、末梢性ニューロパチー、神経移植合併症、多発性硬化症、末梢神経障害、TrkBを発現する細胞の変性又は機能障害を含む状態、を含むが、これらに限られない。治療すべき病気としてはさらに、躁鬱、肥満症、末梢組織の虚血状態を含む。表1に、TrkB関与が結びつけられている様々な病気を載せる。
【0099】
【表1】

【0100】
本出願で開示した対象物はさらに、神経細胞及び非神経細胞を含む、細胞生存又は細胞機能を促進する方法を提供する。代表的な神経細胞としては、海馬錐体細胞、皮質細胞、線条体細胞、黒質細胞、運動神経細胞、プルキニエ細胞、後根神経節細胞が挙げられるが、これらに制限されない。

非神経細胞としては、血管内皮細胞があるが、これに限らない。該方法は、神経細胞又は非神経細胞をTrkB受容体分子に対する結合特異性又は調節特異性を有する化合物で処理することを含み、これにより該化合物は、生存シグナリング、及び/又は細胞機能の亢進を誘発する。

化学式(I〜XI)のBDNF模倣化合物は、インビボ及びインビトロ両場面で使うことができる。幾つかの実施態様において、BDNF模倣化合物をインビトロ法におけるBDNFに対するコスト削減のための代替え物として用いることができる。幾つかの実施態様において、BDNF模倣化合物を、幹細胞に関する方法においても用いることができる。従って、幾つかの実施態様において、幹細胞を未分化状態に保つ、又は幹細胞を分化誘導させるために、BDNF模倣化合物を用いることができる。例えば、本明細書で開示したようにBDNF模倣化合物を、BDNF模倣化合物による置き換え以外のBDNFを用いる、本技術分野において現在可能な方法において用いることができる(Huang,E.J.,Reichardt,L.F.(2003)Annu Rev Biochem72,609-642;Banker、G.,Goslin,K.(編)(1996)Culturing Nerve Cells,第10,14章(Cambridge,Massachusetts:The MIT Press))。
【0101】
III.A.投与
本出願で開示した対象物は、患者におけるTrkB結合、又はTrkB調節を介した疾病を改善するためにTrkB受容体化合物に対する結合、及び/又は調節特異性、を有する化合物を投与する方法を提供する。該方法は、本明細書で開示したいずれかの化合物のような、TrkB受容体に対する結合、及び/又は調節特異性を有する化合物の有効量を患者に投与することを含むことができる。
本明細書で用いるように、投与は当業者に知られている様々な方法の中のどの方法を用いても、達成又は行うことができる。上記化合物を、例えば、皮下に、静脈内に、非経口的に、腹腔内に、皮内に、筋肉内に、局所的に、腸内に(例えば、経口的に)、直腸に、鼻腔内に、口内に、舌下に、膣内に、吸入スプレイで、医薬ポンプ又は埋め込んだリザーバーを通して、通常の非毒性の生理的に許容される担体又は媒体を含む投薬投与量を投与できる。
さらに、本出願で開示された化合物は、処置の必要に応じて、局所的領域に投与されうる。これは、例えば、シアラスチックメンブレン又は繊維のような膜も含め、手術の間の局所的輸液、局所的適用、経皮パッチ、注射、カテーテル、座薬、埋め込み(埋め込みは、任意に、多孔性、非多孔性、又はゼラチン性の材料である)によって行われるが、これらに制限されない。
【0102】
上記化合物が投与される形状(例えば、シロップ、エリクシル、カプセル、錠剤、溶液、発泡体、乳濁液、ゲル、ゾル)は、化合物が投与される経路に部分的に依存するであろう。例えば、粘膜(例えば、口内粘膜、直腸、小腸粘膜、気管粘膜)投与のために、鼻ドロップ、噴霧質、吸入物、ネブライザー、点眼又は座薬が用いられる。本明細書で開示した化合物及び薬剤は、鎮痛剤、抗炎症剤、麻酔剤及びTrkB介在性疾患の1又は2以上の症状又は原因を調節できる他の薬剤のような、他の生物活性のある薬剤と共に投与することができる。
さらに、投与は、適切な期間、複数の投薬量を患者に投与することを含むことができる。この様な投与療法は日常業務の方法に従い、本明細書に開示の総説に基づき決定できる。
幾つかの実施態様において、投与は、細胞内又は細胞微少環境における化合物の濃度が約0.10μMと約50μMの間に達するように、患者に単独又は複数の投薬量を投与することを含む。
本出願で開示した対象物の化合物は、医薬品における単独の活性薬剤として用いることができる、又は、例えばニューロトロフィン、又は神経変性疾病における神経生存又は軸索成長を促進することができる他の因子又は薬物のような、他の活性な成分と組み合わせて(例えば、互いに時間的に近い投与、又は同じ処方)用いることができる。例えば、患者にTrkB受容体分子に対する結合、及び/又は調節特異性を持つ化合物と、p75NTR受容体分子に対する結合、及び/又は調節特異性を持つ化合物第2の化合物との投与によって、相乗効果が提供される。p75NTR受容体分子に対する結合特異性を有する代表的化合物については、本明細書の参考文献に全体が取り込まれている2006年4月3日出願の米国特許番号11/396,936に考察されている。
【0103】
III.B. 投与量
本明細書で開示した化合物の投与のために、齧歯動物モデルに投与する投与量に基づく、ヒト投与量に外挿する従来の方法は、マウス投与量をヒト投与量に換算する換算因子を用いて行うことができる:kgあたりのヒト投与量=kg当たりのマウス投与量x12(Freireich他、(1966)Cancer Chemotherapy Rep.50,219-244)。また、薬剤投与量は、体重よりも体表面積平方メートル当たりのミリグラムでも与えられるが、その理由は、この方法がある種の代謝的及び排出機能に対し、良い相関を与えるからである。さらに、体表面積は、異なる動物種のみならず、成人及び子供の投薬量のための共通分母として用いられる(Freireich他、(1966)Cancer Chemotherapy Rep.50,219-244)。要約すると、すべての与えられた動物種におけるmg/kg投与量を等価なmg/sqm投与量として表すために、投薬量に適切なkm因子を掛ける。ヒト成人では、100mg/kgは100mg/kgx37kg/sqm=3700mg/mである。
本明細書に開示している化合物がこの模倣化合物又は断片の形をとることができる範囲で、活性及び有効量の投与量は変わりうることを理解しなければならない。しかしながら、当業者は本出願で開示した対象物により想定されるタイプの化合物の活性を容易に検定できる。
本明細書で開示した化合物は、単位投与量で用いることができて、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.,Easton,PA,1980)に記載されているように、製剤技術でよく知られている如何なる方法によっても製造できる。
【0104】
投与量範囲が、特定の化合物及びその有効性に依存することは、当業者によりよく認識されている。投与量範囲は、神経病及び神経病に結びついた症状を改善する、及び/又は神経細胞の生存が達せられるという好ましい効果を得るほど充分多量であり、処置できない様々な副作用を引き起こす程に多量でないと理解すべきである。治療有効性に対する適切な範囲は、投与経路、年齢、及び治療される患者の状態に応じて当業者により直ちに決定されるであろう。如何なる複雑な事態に対しても、個々の医師は投与量を調節することができる。本明細書で討議された化合物を、本出願で開示した対象物に従って用いた場合、許容できない毒性効果は起こらないであろう。
本明細書で開示された化合物の有効量は、測定できる生物学的応答をもたらすに充分な量からなる。本明細書で開示した対象物の治療化合物中の活性構成成分の実際の薬用濃度は、特定の患者、及び/又は使用に対する好ましい治療効果を達成するために有効な、活性化合物の量を投与するために変わりうる。好ましくは、最小薬用量を投与することであり、また薬用量は、薬用量規定毒性がない場合、最小有効薬用量まで上げられる。通常の当業者は、治療上有効薬用量の決定及び調整について、及び何時またどの様にその様な調整を行うかという事と共に、熟知している。
【0105】
さらに、本出願で開示した対象物の方法に関して、好ましい患者は、脊椎動物の患者である。好ましい脊椎動物は、温血動物であり;好ましい温血脊椎動物は、哺乳動物である。本出願で開示した対象物の原理は、用語"患者"に含まれている、全ての脊椎動物に関して有効であることを示すが、本出願で開示した方法により治療される患者は、好ましくはヒトである。この文脈では、脊椎動物とは、神経変性疾患の治療が望まれる全ての脊椎動物種であると理解すべきである。本明細書で用いるように、用語"患者"は、ヒト及び動物患畜(患禽)を含む。従って、獣医の治療上の使用は、本出願で開示された対象物に基づき提供される。
従って、本出願で開示された対象物は、ヒト及び、シベリアタイガーのような、絶滅の危機にあるために重要な哺乳類;ヒトによる消費のために農場で飼育される経済的に重要な哺乳類;及び/又は、ペット又は動物園で飼われている動物のような、ヒトにとって社会的に重要な動物などの、哺乳類の治療に提供される。この様な動物の例としては、ネコ及び犬のような肉食動物;ピッグ、ホッグ及び野生イノシシのような豚及び/又は牛、雄牛、羊、キリン、鹿、山羊、バイソン、及びラクダ;馬のような反芻動物及び/又は有蹄類が含まれるが、これらに限らない。また、絶滅危惧種の及び/又は動物園のトリ類、及びニワトリ、及びより具体的には、七面鳥、鶏、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥等々の家禽の治療を含め、トリの治療が提供されるが、これらのトリ類はまた、ヒトにとっても経済的にも重要である。従って、また家畜としての豚、反芻動物、有蹄類、馬(競走馬も含め)、家禽類等々、の治療も提供される。
【0106】
III.C.コーティング
幾つかの実施態様において、本出願で開示した対象物の化合物を、コーティングをして用いることができる。例えば、医療デバイスと接触する組織又は体液中の神経、及び/又は非神経細胞生存を促進するため、又は医療デバイスと接触する領域のTrkB発現変化を伴う病理学的状態を治療するために、化学式(I〜XI)のBDNF模倣化合物を、手術道具、バイオセンサー、及び移植部材のような、医療デバイスをコーティングするために用いることができる。幾つかの実施態様において、医療デバイスは、人工内耳、神経系のインターフェースとなる電子デバイス、又は神経再生を支持するようデザインされた合成マトリックスである。
該模倣化合物は、様々な方法で医療デバイスにコーティングされる。例えば、該模倣化合物を、液体担体に懸濁又は溶解し、医療デバイス上にコーティングし、乾燥する。あるいは、該模倣化合物を、デバイスの化学的に官能化した表面に結合させる、又は医療デバイスの高分子コーティングの中に埋め込む、又は結合させることができる。幾つかの実施態様において、コーティングされた該デバイスは、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、金、銀、プラチナ、及びこれらの組合せのような、金属表面を持つことができる。幾つかの実施態様において、該デバイスは、ガラス又は高分子表面を持つことができる。
【実施例】
【0107】
以下の実施例は本出願で開示した対象物の実例を提供するものである。本開示及び当業者の一般レベルを考慮して、以下の実施例は例示だけが目的であり、本出願で開示した対象物の精神及び範囲から離れることなく、無数の変化、修正、変換を用いることができることは、当業者に理解されるだろう。
【0108】
実施例のための材料及び方法
計算的研究
計算的研究は、Accelrys(San Diego,California,United States of America)から得たAccelrys Catalyst(R)及びInsightIIシステムを用いて行った。
【0109】
抗体とタンパク質
モノクローナル抗リン酸化ERKT202/Y204抗体,ポリクローナル抗ERK42/44抗体,モノクローナル抗リン酸化AKTS473抗体,ポリクローナル抗AKT抗体,ポリクローナル抗リン酸化NFκB−p65(Ser563)抗体,及び部位特異的ポリクローナル抗TrkY490抗体は、Cell Signaling Technology,Inc.(Beverly,Massachusetts,United States of America)より得た。モノクローナル抗アクチン抗体は、Sigma-Aldrich Corp.(St.Louis,Missouri,United States of America)より得た。ポリクローナルTrkA及びTrkB抗体は、Upstate USA, Inc.(Charlottesville,Virginia,United States of America)より得た。組み換えヒトNGFは、Invitrogen(Carlsbad,California,United States of America)より得て、またBDNFはSigma-Aldrich(St.Louis,Missouri,United States of America)より得た。
海馬神経細胞はE16−17マウス胎児より前述(Yang,T.他(2003)J Neurosci 23,3353-3363)の様に調整した。低密度培養は、各ウェルにポリ−L−リジン−塗布A/2プレートに25μlの細胞懸濁液(2000神経細胞/ウェル;12,500細胞/cm)、25μlの10%FBS含有DMEM、及び様々な濃度の組み換えBDNF,NGF,又はTrkB−結合性化合物を加えて、開始した。
【0110】
培養48時間後に、与えられた細胞がMTTを青色ホルマザン産物に変換するか否かの視覚的測定による標準的な形態学的基準のコンビネーションを用いて、生存細胞を、前述(Longo,F.M.,Manthorpe,M.,Xie,Y.M.,Varon,S. 1997)J Neurosci Res 48,1-17)のように検定した。要約すると、生存神経細胞数は、各ウェル中の、形態学的に原型を保ち、また青色産物で満たされた、全細胞数を計数して測定した(Longo,F.M.,Manthorpe,M.,Xie,Y.M.,Varon,S. 1997)J Neurosci Res 48,1-17)。ニューロトロフィン及び化合物の各濃度に対して、デュプリケート(二重)のウェルを計数し、結果値を平均化した。各化合物の活性は、盲検計数で確認した。計数は25ng/mlBDNFによる生存数又はベースライン生存数により規格化した。SYSTAT software Inc.(Richmond,California,United State of America)から得たSigmaplotにより、用量依存性曲線のフィッティングを行った。
シグナリング経路阻害研究のために、LY294002,PD98059(EMD Biosciences/Calbiochem,SanDiego, California, United States of Americaより得た)を、それぞれ最終濃度25μM,50μM,及び2.5μg/ml培養細胞に加え、同時にBDNF,又はTrkB結合性化合物を加えた。シグナリング阻害剤を加えた全ての研究に対して、生存細胞の検定は48時間後に行った。
【0111】
タンパク質抽出及びウェスタンブロット解析
Trk,AKT,及びERK活性化の検定のために、E16−17マウス由来の海馬神経を、ポリ−L−リジン塗布の6ウェルプレート(Corning,Inc.,Corning,New York,United States of America)中、10%FBSを含むDMEMを用いて培養し、その後ニューロトロフィン又は化合物を添加する2時間前に、無血清DMEM中でインキュベートした。指定した時点で、神経細胞を採取し、20mM Tris,pH8.0,137mM NaCl,1%lgepalCA−630,10%グリセロール、1mM PMSF,10μg/mlアプロチニン、1μg/mlロイペプチン、500μMオルソバナジン酸塩(Zhou,J.,Valletta,J.S.,Grimes,M.L.,Mobley,W.C.(1995)J Neurochem 65,1146-1156)を含む溶解緩衝液中で可溶化した。細胞溶解液を遠心し、上清を集め、タンパク質濃度をPierce(Rockford, Illinois,United States of America)より得たBCAタンパク質アッセイ試薬を用いて測定した。
ウェスタンブロットは前述(Yang,T.他(2003)J Neurosci 23,3353-3363)の様に行った。ウェスタンブロットシグナルは、Amersham(Piscataway,New Jersey,United States of America)から得たECL化学発光システムを用いて測定した(Yang,T.他(2003)J Neurosci 23,3353-3363)。抗Trk抗体の存在を検出するために、Amersham/Pharmacia Biotech (Piscataway,New Jersey,United States of America)より得た西洋わさびペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウサギIgGを転写膜(ブロット)のプローブとして用いた。シグナルをAmersham Biosciences(Piscataway, New Jersey,United States of America)から得たECL化学発光システムにより検知した。負荷したタンパク量に差異があるので、転写膜を切り取り、Sigma(St.Louis,Missouri,United States of America)より得た抗β−アクチンモノクローナル抗体により再プローブしてタンパク量を比較した。
【0112】
実施例1
計算によるモデリング、薬理作用団の生成、仮想的及び機能的スクリーニング
受容体と相互作用する可能性が高いループ構造を模倣し、化合物産出性の薬理作用団を作り出すために、次の2条件を仮定した:(1)リガンド(配位子)ペプチド構造の自由度はタンパク質中に存在することにより制限を受ける;(2)標的とした受容体サブサイト(副部位)においてループ構造の変化を伴う"誘導適合"は殆どない、又はその構造変化は小分子リガンドの柔軟性により対応する。これらの2条件を適用した場合、天然のリガンドに似た様態で、受容体と相互作用する小分子コンフォメーションの相互作用/活性化が可能となる。
単一ループのBDNFループ2構造を模倣した化合物を探し出すことに努力を集中した。計算的研究により、インサイテュー(原位置)で束縛されたループ2骨格、及び側鎖構造の近位部分は、自由度を制限し、またループ分子動力学シミュレーションからのサンプル集合から選択した中間構造を抽出し、薬理原子団モデルの作成に用いた。薬理原子団に関与する残基は、BDNFのSer45,Lys46及びGln48であった(図1)。薬理原子団フィーチャーの配置の指針を、ループ系統発生論及び側鎖化学から得た。
薬理原子団に対し、5.500,000個以上の化合物の夫々より、平均35個の配座異性体をスクリーンして、内部エネルギーの計算値が10kcal/mol以下である約3000個を得た。此の数は、目視検査、計算した血管脳障壁透過性、及び仮想的に浅い受容体結合ポケットとの適合可能性及び官能基の最大順応性に基づく他の予想される医薬的特性により、約50個に減少した。
【0113】
実施例2
海馬神経生存を促進する化合物
BDNFループ2モデル(図1)及び小規模インビトロ生物検定に基づく高効率仮想的スクリーニングを用いて、潜在的神経栄養活性を有する化学的に様々な化合物を同定することができる。インシリコ(計算機)により約5.500,000個の化合物をスクリーニングして、32化合物から15個の陽性化合物を選びインビトロのスクリーニングに付した(47%)。
BDNFループ2模倣化合物の作用機序を理解し、また標的受容体、TrkB,を介する働きを推量するテストを行うために、BDNFが神経細胞生存を促進する培養条件で胎児海馬神経細胞を用いて、模倣化合物の生存促進活性の用量依存関係をBDNFと比較した。この培養において、TrkA発現は殆ど無いので、主にTrkB及びp75NTRを経由したBDNFが、神経栄養活性を媒介した(Brann,A.B.,他、(1999)J Neurosci 19,8199-8206;Bui,N.T.他、(2002)J Neurochem 81,594-605)。
化合物4(BD2−4)はE16海馬神経細胞死を防ぐこと、及び化合物4により促進された神経突起アウトグロース長はBDNFで見られる結果と似ているということが、研究によって示された。図2を参照のこと。化合物1〜4(BD2−1,BD2−2,BD2−3,及びBD2−4夫々は;図3A〜E)の用量依存性プロフィールによると、EC50値は、0.1〜1.0nMの範囲であり、またBDNF応答の50〜200%の固有な活性を示した。さらに、部分的作用薬に対して予想されたように、BDNFの最大有効濃度(50ng/mL)存在下で化合物4は、BDNF活性の阻害を起こした。図4参照のこと。化合物1〜4の構造は、以下の表2に示されている。
【0114】
【表2】

【0115】
最初に同定した4個の化合物の中の1個、化合物4はLipinski基準(Lipinski, C.A.,(2000)J Pharm Toxicol Methods 44,235-249)及び血管脳障壁計算(Fu,X.C,Chen,C.X.,Liang,W.Q.,Yu,Q.S.(2001)Acta Pharmacol Sin 22,663-668;Clark,D.E.,(2002)J Pharm Sci 88,815-821)による最も"薬物類似"特性を持つことが予想される。従って、化合物4をさらに詳細な機構的研究のために選択した。
【0116】
実施例3
TrkB受容体を活性化する化合物
BDNFループ2模倣化合物とTrkB受容体との相互作用を検定するために、化合物4によるTrkA,TrkB及びTrkC活性化能を一連のウェスタンブロット実験により比較した。これらの研究により、BDNF模倣化合物が、TrkBのみを活性化するという高レベルの特異性を持つことが分かった。
図5Aの最上部2パネルは、TrkBを発現するNIH3T3において、BDNF及び化合物4(BD2−4)は、Trkリン酸化(最上部のパネルに抗TrkY490抗体によるプローブで示されている)により明らかになったようにTrkBを活性化することを示す。培養液(CM)単独又はNGFによる処理では、TrkBを活性化しない。上部の2番目のパネルは、抗TrkB抗体を用いたウェスタンブロットが、存在するTrkB全量を示す。図5Aの下部2パネルでは、TrkAを発現するNIH3T3細胞を用いた。NGFは、Trkリン酸化で明らかなように、TrkAを活性化したが、BDNF及び化合物4は活性化しなかった。
図5Bでは、TrkCを発現するNIH3T3細胞を用いた。最下部のパネルでは、抗TrkC抗体のプローブによる存在するTrkC全量を示す。NT−3はTrkのリン酸化を促進する(上部パネル)が、培養液(CM)単独、BDNF,及び化合物4は活性化しない。
【0117】
実施例4
ハンチントン病モデルにおける化合物活性
キノリン酸誘発の線条ニューロン細胞死はハンチントン病(HD)の確立したモデルである。以前の研究によると、BDNF機能はHDにおいて損なわれ、またBDNF投与がキノリン酸誘発細胞死を防ぐ。Perez-Navarro,E.,他(2000)J.Neurochem 75,2190-2199;及びKells,A.P.,他(2004)Mol Ther 9,682-688を参照のこと、これらは本明細書に参考文献として全体が取り込まれている。
第6A図に示すように、7.5mMキノリン酸添加は、培養液(CM)単独と比較して約50%のマウスE16線条ニューロン細胞死をもたらす。0から1.5ng/mLの用量範囲を越えるBDNF、及び10〜1000nMの用量範囲を越えるBD2−4は、キノリン酸誘発細胞死を減少させる上で同様の効率を示す。
K252a阻害剤は、良く特性が研究されたTrkB受容体活性化の阻害剤である。図6Bに示すように、K252aはキノリン酸誘発細胞死に効果を持たないが、細胞死を防ぐBDNF及びBD2−4の活性を妨害する。これらの知見は、BD2−4効果は、TrkB受容体活性化能を介することを確認する。
図6Bに示す結果と同様の研究が行われ、DARP32−陽性神経細胞のみが検定された。DARP32陽性神経細胞は、HDにおいて特に脆弱な線条体内に存在する。図6Cに示すように、BD2−4はDARP32−陽性神経細胞をBDNFの場合と同様の効率で保護する。図6Cはさらに、この保護は、TrkBを介するものであり、またBD2−4の効率は、BDNFの効率と似ていることを示す。図6Bに示すように、阻害剤K252aの添加は、細胞死を防ぐBDNF及びBD2−4の活性を減少させる(図6C)。
【0118】
実施例5
パーキンソン病モデルにおける化合物活性
SH−SY5Y細胞を1−メチル−4−フェニルピリジニウム(MPP+)に暴露した結果もたらされる細胞死は、良く特性が研究されたパーキンソン病(PD)のモデルである。Presgraves,S.P.,他(2004)Exp Neurol 190,157-170,及びDluzen,D.E.,他(2004)Neuroscience 128,201-208を参照、これらは本明細書の参考文献にその全体が取り込まれている。BDNFはまた、ドーパミン産生神経細胞を保護することで知られている。さらに、MPPは霊長類にPD−類似の状態を引き起こす。
パーキンソン病モデル検定のために、最終分化してドーパミン産生の表現形質(Presgraves,S.P.,他(2004)Exp Neurol 190,157-170)になった後のヒトSH−SY5Y細胞を用いた。ヒトSH−SY5Y神経芽細胞腫を10%仔牛血清、100μg/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、0.25μg/mLアンホテリシンB,及び0.01μM非必須アミノ酸を補強したダルベッコ変法イーグル培地中で集密状態まで増殖させ、その後分化のために継代した。分化のために、該細胞を10μMレチノイン酸を含む同一培地中で3日間培養し;その後3日間の分化のために、培地を除き、160nMのホルボールエステル12−O−テトラデカノイル−ホルボール−13−アセテート(TPA)を含む培地に置き換えた。次ぎに細胞を、100μM MPPを加える3日前に、DMEM中に、ある用量範囲のBD2−4又はBDNF(1x10−12Mから1mM)で30分間処理した。MPPを培地に加えた後、細胞死の異なる側面を正確に測定するMTT及び乳酸デヒドロゲナーゼ法(LDH)により、MPPの細胞毒性を6,12,24及び48時間シスター培養を検定した。さらに、MPP誘発細胞死に対する固定用量のBD2−4及びBDNFの神経細胞保護効果をTrkB阻害剤K252a(200nM)存在下及び非存在下で検定した。
図7に示すように、TrkB阻害剤K252aはドーパミン産生神経細胞の細胞生存率を僅かに低下させるという効果があった。MPPは実質的に全ての細胞死を促進した。MPPの細胞死誘導活性は、BDNF及びBD2−4により顕著に、同程度阻害された。K252aはBDNF及びBD2−4により生じた保護効果を顕著に阻害し、このことはこの保護効果はTrkB活性化を介するものであることを示す。平均値±SEを示す。
【0119】
実施例6
アルツハイマー病モデルにおける化合物活性
BDNF模倣化合物の持つAβ−誘発神経変性阻害能を、該化合物のアルツハイマー病治療能のモデルとして試験した。E16−17海馬神経細胞を6日間成熟させ、3日間、Aβオリゴマー調剤(Dahlgren,K.N.,他(2002)J Biol Chem 277,32046-32053)、ニューロトロフィン及びニューロトロフィン模倣化合物の指定した組合せとインキュベートした。3日間のインキュベーション後、生存神経細胞を、標準的基準に従い検定した(Massa,S.M.,他(2006)J Neurosci 26,5288-5300)。
図8に示すように、Aβ1−42オリゴマー(10μM)添加により、生存神経細胞は約40%減少したが、対照Aβscrambledオリゴマーでは減少が見られなかった。NGFは、Aβ誘発変性を阻止できなかった。NGF p75NTR受容体(2006年4月3日申請の米国特許出願番号11/396,936に記載)のリガンドとして働くことが知られている、NGF模倣化合物LM11A−31は、Aβ誘発変性を阻止した。この阻害活性自体は、NGFで阻害され、p75NTR受容体上でNGFとLM11A−31の競合すること、及び競合による防御効果であることと一致する。BDNF模倣化合物BD2−4(化合物4)及びBD2−24(化合物24)はAβ誘発変性を阻止する上でBDNFと同程度有効であった。これらの研究により初めて、BDNFはAβオリゴマー誘発変性を阻害できること、及びBDNF模倣化合物が、BDNF蛋白質と同様に有効にAβオリゴマー誘発変性を阻害することが示された。
【0120】
参考文献
以下に記載する参考文献及び本明細書に引用した全ての参照文献は、これらが補足し、説明し、背景を提供し、又は方法、技術及び/又は本明細書で使用される化合物を教示する限り、本明細書に参照文献として取り込まれている。
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以前に権利主張された対象物の様々な詳細については、本明細書で権利主張した対象物の観点から離れない限り変更されうることは理解されるであろう。さらに、前述の記載は、例示の目的だけに行われ、限定を目的にしたものではない。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】ループ2を含むヒトBDNFペプチドの1部分のX線結晶構造のリボン表示である。水素結合フィーチャーを、受容体と供与体の位置を示す相対的位置を示す一対の球で表す。各々一対の球の1つは、モデルにおける想定される受容体/供与体フィーチャー上に中心を置き、一方他の球(即ち、矢で示した端に中心を持つ球)は、相互作用の可能性を有する全ての分子上の相補的フィーチャーの標的位置を示す。球の直径は、3D配座ライブラリースキャンとマッチする化学的フィーチャーに対する空間的な許容性を表す。
【図2】培地(CM)のみ、又はBDNF又は化合物4(図においては、LM22A−4又はBD2−4とも示される)を含む培地で処理されたE16マウス海馬培養神経細胞の一連の蛍光顕微鏡写真であり、化合物4はBDNFに類似した神経栄養効果を持つことを示す。神経細胞は、GAP43抗体により免疫染色されている。
【図3】図3A〜Eは、マウスE16海馬神経細胞を用いた、一連のBDNF(図3A),化合物1(BD2−1とも示される、図3B)、化合物2(BD2−2とも示される、図3C),化合物3(BD2−3とも示される、図3D)、及び化合物4(BD2−4とも示される、図3E)の神経細胞生存率の用量応答曲線である。生存率は、形態学的に無傷であり、同時に青色ホルマザンMTT変換産物で満たされた各ウェル中の全細胞数として測定した(Longo,F.M.,Manthorpe,M.,Xie,Y.M.,及びVaron,S.(1997)J Neurosci Res 48,1-17)。計数は25ng/mL BDNFで得られた生存率に標準化した。生存率は、48時間後検定した。符号及びバーは平均値+/−s.e.mを示し、また線はデータに対し単一上昇指数関数モデルを適合させたものである。
【図4】神経細胞生存率(マウスE16海馬神経細胞)を無処理(CM),BDNF(50ng/mL)処理、化合物4(BD2−4)処理、又はBDNF及び化合物4の組合せ(BDNF+BD2−4)処理について比較した棒グラフであり、化合物4が部分的にBDNFの作用薬であることを示す。これは、小分子BDNF模倣化合物が部分的作用薬として機能できることを示す初めての観測である。
【図5】図5Aは、TrkB(上部の2パネル)又はTrkA(下部の2パネル)を発現するNIH3T3細胞におけるY490でのTrkリン酸化の促進により示されたTrk活性化をモニターするウェスタンブロットのディジタル合成画像であり、BDNF及び化合物4(BD2−4)(ブロットにおける各レーンの上部に示されている)がTrkBを活性化するがTrkAを活性化せず、他方NGF(左より2つ目のカラム)はTrkAを活性化するがTrkBを活性化しないことを示す。各一対の上部のレーンは抗p−TrkY490抗体(p−TrkY490)による染色を示し、他方各一対の下部のレーンは全TrkB又はTrkAを示す。CMは培養液を示す。図5Bは、TrkCを発現するNIH3T3細胞におけるY490でのTrkリン酸化の促進により示されたTrkC活性化をモニターするウェスタンブロットのディジタル合成画像である。BDNF及び化合物4(BD2−4)(右側2レーン)はTrkCを活性化しないが、NT−3(左から2本目のレーン)はTrkCを活性化する。CMは培養液を示す。
【図6】図6Aは、マウスE16の線条神経細胞のキノリン酸誘発性細胞死が、異なる濃度のBDNF及び化合物4(BD2−4)により阻害されることを示す棒グラフである。キノリン酸誘発細胞死は、ハンチントン病(HD)における神経細胞死のモデルとして使われている。7.5mMのキノリン酸処理が、BDNF非存在下で、培養液(CM)処理と比較し約50%の細胞死を引き起こした。バーは平均値±s.e.mを示す。図6Bは、キノリン酸誘発マウスE16線条神経細胞死のBDNF及び化合物4(BD2−4)による阻害に対する、K252a(TrkB受容体活性化阻害剤)の効果を示す棒グラフである。CMは培養液を表し、またQUINはキノリン酸を表す。バーは平均値±s.e.mを表し、また**はp<0.005ステューデントtテストを示す。図6Cは、Darp32−陽性神経細胞を使ったのみで、図6Bに記載したものと似た研究結果の棒グラフである。バーは平均値±s.e.mを表し、また***はp<0.005ステューデントtテストを示す。
【図7】BDNF模倣化合物がパーキンソン病(PD)における神経細胞死を防ぐことを示す棒グラフである。左より2本目の棒で示すように、TrkB阻害剤K252aは、培養液(CM)のみで処理した細胞と比較して、SH−SY5Y神経芽細胞の生存率を下げる効果を殆ど持たない。神経毒素1−メチル−4−フェニルピリジニウム(MPP、100μM)は、実質的に全ての細胞死を促進した。BDNF及びBD2−4(化合物4)は、MPPの細胞死誘発活性を同程度阻害した(即ち細胞死から保護した)。K252aは、BDNF及びBD2−4の保護効果を阻害し(グラフ右方の2本の棒)、この保護効果がTrkBの活性化を介することを示す。平均値±SEを示す。一元配置ANOVA(分散分析)により、薬剤条件間で有意の効果があることが示された(F=648.2,P<0.0001).***;MPPに対しP<0.001、;CMに対しP<0.001.
【図8】BDNF及びBDNF模倣化合物が、E16−17海馬神経細胞のAβ誘発性神経変性を防ぐことを示す棒グラフである。培養液(CM)中の神経細胞生存率及び10μM AβScrambledオリゴマー添加による神経細胞生存率はグラフの左側の2本の棒により陽性対照として示されている。細胞を、各棒の下に示したように、10μM Aβ1−42単独;又はNGFとLM11A−31の一つの組合せである、NGF(100ng/mL)とNGF模倣化合物LM11A−31(100nM)との組合せ;化合物4(BD2−4,500nM)との組合せ;化合物24(BD2−24,500nM)との組合せ;又は20又は100ng/mLのBDNFとの組合せで処理した。対照AβScrambledオリゴマー添加では効果がないが、Aβ1−42オリゴマーの添加により神経細胞の生存率は約40%低下するという結果になった。BDNF模倣化合物BD2−4及びBD2−24は、Aβ―誘発性神経変性を阻害する上でBDNFと同程度有効であった。平均値±SEを示し、またCMベースラインの生存率に対して***はp<0.001であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TrkB受容体に接触し、それを活性化し又はそれを抑止することにより治療できる疾患の治療を必要とする患者の疾患を治療する方法であって、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ化合物の有効量を該患者に投与し、それにより該疾患を治療することから成る治療方法。
【請求項2】
前記疾患が、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、レット症候群、てんかん、パーキンソン病、脊髄損傷、脳梗塞、低酸素症、虚血症、脳損傷、糖尿病性神経障害、末梢性神経障害、神経移植合併症、運動ニューロン病、多発性硬化症、HIV痴呆症、末梢神経障害、聴力損失、鬱病、肥満症、メタボリックシンドローム、痛み、癌、及びその他のTrkBを発現する細胞の変性又は機能不全を含む病気からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者がヒト患者である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物が脳由来神経栄養因子(BDNF)のβ−ターンループの類似体である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物が図1に例証された薬理作用団と実質的に同一である薬理作用団からなる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物が小分子である請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記BDNFのβ−ターンループがループ2である請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が下記化学式(I)
【化1】

(式中、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;X及びXは、独立して、CH基及びNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;Dは水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基及び下式の基
【化2】

(式中、各R及びRは水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基である。)からなる群から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が下記構造
【化3】

又はその立体異性体である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が下記化学式(II)
【化4】

(式中、L及びLは、独立して、C〜Cのアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基及び置換アリーレン基からなる群から選択され;Lは、C〜Cのアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、置換アリーレン基、
【化5】

からなる群から選択され;Lは、C〜Cのアルキレン基であり;Z、Z及びZは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基及びアラルキル基から選択され;X、X、X及びXは、独立して、N又はCH基であり;Y、Y及びYは、独立して、カルボニル基、スルホニル基又はメチレン基であり;D、D、D及びDは、独立して、水素原子、アルキル基、ハロ基、水酸基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が下記
【化7】

から成る群から選択される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が下記化学式(III)
【化8】

(式中、Lは、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X及びXは、独立して、N又はCH基であり;R10及びR11は、独立して、水素原子、ハロ基、アルキル基及びシアノ基から成る群から選択され;D、D及びDは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が下記化合物
【化9】

である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が下記化学式(IV)
【化10】

(式中、X及びX10は、独立して、CH基又はNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)であり;R12は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アシル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;R13は、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;R14及びR15は、独立して、水素原子、アルキル基、置換アルキル基及びアラルキル基からなる群から選択され;R16は、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基、及び
【化2】

(式中、R及びRは水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基から選択される。)からなる群から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が下記化合物
【化11】

又はその立体異性体である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が下記化学式(V)
【化12】

(式中、L及びLは、独立して、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X11は、O、S、CH基又はNR17基であり(式中、R17は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。);X12、X13及びX14は、独立して、N又はCH基であり;X15は、O、S及びNR18基(式中、R18は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から成る群から選択され;D、D10、D11及びD12は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項7に記載に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が下記化合物
【化13】

又はその立体異性体である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が下記化学式(VI)
【化14】

(式中、Lは、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X16は、O、S及びNR19基(式中、R19は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X17は、O、S、CH基及びNR20基(式中、R20は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X18及びX19は、独立して、N及びCH基から選択され;D13及びD14は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項7に記載に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が下記化合物
【化15】

である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が下記化学式(VII)
【化16】

(式中、m及びnは、独立して、1又は2であり;各L及びL10は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X20及びX21は、独立して、CH基、CH基、N及びNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X22は、水素原子及びハロ基から選択され;各D15及びD16は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項7に記載に記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が下記化合物
【化17】

である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記化合物が下記化学式(VIII)
【化18】

(式中、L11は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X23は、N又はCH基を表し;R21及びR22は、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から成る群から選択され;D17、D18及びD19は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項7に記載に記載の方法。
【請求項23】
前記化合物が下記化合物
【化19】

から成る群から選択される請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物が下記化学式(IX)
【化20】

(式中、L12は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X24は、N又はCH基を表し;R23は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から成る群から選択され;D20、D21、D22、D23及びD24は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項7に記載に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が下記化合物
【化21】

である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が下記化学式(X)
【化22】

(式中、tは1又は2であり;各L13は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X25及びX26は、N及びCH基から選択され;X27は、N、CH基、CH基及びNR25基(式中、R25は水素原子又はアルキル基を表す。)から選択され;R24は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から選択され;D25及び各D26は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項7に記載に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物が下記化合物
【化23】

である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記化合物が下記化学式(XI)
【化24】

(式中、X28は、CH基、O、S及びNR26基(式中、R26は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X29は、N又はCH基を表し;X30は、CH基又はNR27基を表し(式中、R27は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。);X31は、N又はCH基を表し;D27、D28及び各D29は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項7に記載に記載の方法。
【請求項29】
前記化合物が下記化合物
【化25】

である請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ親化合物の誘導体から成り、該誘導体もまたTrkB受容体に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記誘導体が、前記親化合物に比べて、潜在能力、選択性、親水性、親油性、両親媒性、溶解性、生物学的利用能、及び肝臓疾患への耐性から成る群から選択される少なくとも1つの特徴の増大を示す請求項30に記載の方法。
【請求項32】
神経細胞又はその他のTrkBを発現する細胞を、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ化合物で処理することからなる、神経細胞又はその他の細胞の生存を促進する方法。
【請求項33】
前記化合物が脳由来神経栄養因子(BDNF)のβ−ターンループの類似体である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が図1に例証された薬理作用団と実質的に同一である薬理作用団からなる請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物が小分子である請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記BDNFのβ−ターンループがループ2である請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記化合物が下記化学式(I)
【化1】

(式中、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;X及びXは、独立して、CH基及びNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;Dは水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基及び下式の基
【化2】

(式中、各R及びRは水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基である。)からなる群から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記化合物が下記構造
【化3】

又はその立体異性体である請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記化合物が下記化学式(II)
【化4】

(式中、L及びLは、独立して、C〜Cのアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基及び置換アリーレン基からなる群から選択され;Lは、C〜Cのアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、置換アリーレン基、
【化5】

からなる群から選択され;Lは、C〜Cのアルキレン基であり;Z、Z及びZは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基及びアラルキル基から選択され;X、X、X及びXは、独立して、N又はCH基であり;Y、Y及びYは、独立して、カルボニル基、スルホニル基又はメチレン基であり;D、D、D及びDは、独立して、水素原子、アルキル基、ハロ基、水酸基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記化合物が下記
【化7】

から成る群から選択される請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記化合物が下記化学式(III)
【化8】

(式中、Lは、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X及びXは、独立して、N又はCH基であり;R10及びR11は、独立して、水素原子、ハロ基、アルキル基及びシアノ基から成る群から選択され;D、D及びDは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記化合物が下記化合物
【化9】

である請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記化合物が下記化学式(IV)
【化10】

(式中、X及びX10は、独立して、CH基又はNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)であり;R12は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アシル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;R13は、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;R14及びR15は、独立して、水素原子、アルキル基、置換アルキル基及びアラルキル基からなる群から選択され;R16は、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基、及び
【化2】

(式中、R及びRは水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基から選択される。)からなる群から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記化合物が下記化合物
【化11】

又はその立体異性体である請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記化合物が下記化学式(V)
【化12】

(式中、L及びLは、独立して、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X11は、O、S、CH基又はNR17基であり(式中、R17は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。);X12、X13及びX14は、独立して、N又はCH基であり;X15は、O、S及びNR18基(式中、R18は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から成る群から選択され;D、D10、D11及びD12は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項36に記載に記載の方法。
【請求項46】
前記化合物が下記化合物
【化13】

又はその立体異性体である請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記化合物が下記化学式(VI)
【化14】

(式中、Lは、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X16は、O、S及びNR19基(式中、R19は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X17は、O、S、CH基及びNR20基(式中、R20は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X18及びX19は、独立して、N及びCH基から選択され;D13及びD14は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項36に記載に記載の方法。
【請求項48】
前記化合物が下記化合物
【化15】

である請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記化合物が下記化学式(VII)
【化16】

(式中、m及びnは、独立して、1又は2であり;各L及びL10は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X20及びX21は、独立して、CH基、CH基、N及びNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X22は、水素原子及びハロ基から選択され;各D15及びD16は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項36に記載に記載の方法。
【請求項50】
前記化合物が下記化合物
【化17】

である請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記化合物が下記化学式(VIII)
【化18】

(式中、L11は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X23は、N又はCH基を表し;R21及びR22は、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から成る群から選択され;D17、D18及びD19は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項36に記載に記載の方法。
【請求項52】
前記化合物が下記化合物
【化19】

から成る群から選択される請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記化合物が下記化学式(IX)
【化20】

(式中、L12は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X24は、N又はCH基を表し;R23は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から成る群から選択され;D20、D21、D22、D23及びD24は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項36に記載に記載の方法。
【請求項54】
前記化合物が下記化合物
【化21】

である請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記化合物が下記化学式(X)
【化22】

(式中、tは1又は2であり;各L13は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X25及びX26は、N及びCH基から選択され;X27は、N、CH基、CH基及びNR25基(式中、R25は水素原子又はアルキル基を表す。)から選択され;R24は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から選択され;D25及び各D26は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項36に記載に記載の方法。
【請求項56】
前記化合物が下記化合物
【化23】

である請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記化合物が下記化学式(XI)
【化24】

(式中、X28は、CH基、O、S及びNR26基(式中、R26は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X29は、N又はCH基を表し;X30は、CH基又はNR27基を表し(式中、R27は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。);X31は、N又はCH基を表し;D27、D28及び各D29は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持つ化合物、又はその医薬的に許容されうる塩である請求項36に記載に記載の方法。
【請求項58】
前記化合物が下記化合物
【化25】

である請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記化合物が、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ親化合物の誘導体から成り、該誘導体が、前記親化合物に比べて、潜在能力、選択性、親水性、親油性、両親媒性、溶解性、生物学的利用能、及び肝臓疾患への耐性から成る群から選択される少なくとも1つの特徴の増大を示す請求項32に記載の方法。
【請求項60】
前記誘導体が、TrkB受容体に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ誘導体、及びTrkB受容体に結合特異性及び/又は調節特異性を持つようにインビボで形質転換された誘導体から選択され、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記処理がインビトロで行なわれる請求項32に記載の方法。
【請求項62】
前記細胞が幹細胞である請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記処理が、更に、前記幹細胞を未分化状態に保持すること、及び前記幹細胞に分化を誘導することのいずれか1つを含む請求項62に記載の方法。
【請求項64】
TrkB受容体に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ親化合物であって、該化合物が化学式(I)〜(XI)のいずれか1つの構造を有し、該化学式(I)が下記
【化1】

(式中、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;X及びXは、独立して、CH基及びNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;Dは水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基及び下式の基
【化2】

(式中、各R及びRは水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基である。)からなる群から選択される。)で表される構造を持ち、
該化学式(II)が下記
【化4】

(式中、L及びLは、独立して、C〜Cのアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基及び置換アリーレン基からなる群から選択され;Lは、C〜Cのアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、置換アリーレン基、
【化5】

からなる群から選択され;Lは、C〜Cのアルキレン基であり;Z、Z及びZは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基及びアラルキル基から選択され;X、X、X及びXは、独立して、N又はCH基であり;Y、Y及びYは、独立して、カルボニル基、スルホニル基又はメチレン基であり;D、D、D及びDは、独立して、水素原子、アルキル基、ハロ基、水酸基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持ち、
化学式(III)が下記
【化8】

(式中、Lは、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X及びXは、独立して、N又はCH基であり;R10及びR11は、独立して、水素原子、ハロ基、アルキル基及びシアノ基から成る群から選択され;D、D及びDは、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持ち、
化学式(IV)が下記
【化10】

(式中、X及びX10は、独立して、CH基又はNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)であり;R12は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アシル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;R13は、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基及びジアルキルカルバモイル基からなる群から選択され;R14及びR15は、独立して、水素原子、アルキル基、置換アルキル基及びアラルキル基からなる群から選択され;R16は、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルコキシ基、及び
【化2】

(式中、R及びRは水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基から選択される。)からなる群から選択される。)で表される構造を持ち、
化学式(V)が下記
【化12】

(式中、L及びLは、独立して、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X11は、O、S、CH基又はNR17基であり(式中、R17は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。);X12、X13及びX14は、独立して、N又はCH基であり;X15は、O、S及びNR18基(式中、R18は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から成る群から選択され;D、D10、D11及びD12は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持ち、
化学式(VI)が下記
【化14】

(式中、Lは、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X16は、O、S及びNR19基(式中、R19は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X17は、O、S、CH基及びNR20基(式中、R20は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X18及びX19は、独立して、N及びCH基から選択され;D13及びD14は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持ち、
化学式(VII)が下記
【化16】

(式中、m及びnは、独立して、1又は2であり;各L及びL10は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X20及びX21は、独立して、CH基、CH基、N及びNR基(式中、Rは水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X22は、水素原子及びハロ基から選択され;各D15及びD16は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持ち、
化学式(VIII)が下記
【化18】

(式中、L11は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X23は、N又はCH基を表し;R21及びR22は、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から成る群から選択され;D17、D18及びD19は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持ち、
化学式(IX)が下記
【化20】

(式中、L12は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X24は、N又はCH基を表し;R23は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から成る群から選択され;D20、D21、D22、D23及びD24は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持ち、
化学式(X)が下記
【化22】

(式中、tは1又は2であり;各L13は、存在してもしなくてもよく、存在する場合には、C〜Cのアルキレン基を表し;X25及びX26は、N及びCH基から選択され;X27は、N、CH基、CH基及びNR25基(式中、R25は水素原子又はアルキル基を表す。)から選択され;R24は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基及びハロ基から選択され;D25及び各D26は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持ち、
化学式(XI)が下記
【化24】

(式中、X28は、CH基、O、S及びNR26基(式中、R26は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択され;X29は、N又はCH基を表し;X30は、CH基又はNR27基を表し(式中、R27は水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。);X31は、N又はCH基を表し;D27、D28及び各D29は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロ基、水酸基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基、
【化6】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立して、水素原子、アルキル基、アラルキル基及びアリール基から選択される。)から選択される。)で表される構造を持ち、
又はこれらの医薬的に許容されうる塩であり、
ただし、化学式(I)〜(XI)で表される化合物が下記
【化26】

【化27】

【化28】

から成る群から選択される化合物ではない化合物。
【請求項65】
TrkB受容体が存在する環境で用いるための基体を被覆する方法であって、該基体を、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ化合物から成る組成物で被覆することからなる方法。
【請求項66】
下記(a)及び(b)から成るTrkB受容体を有する細胞を描写する方法。
(a)該細胞に、TrkB受容体分子に結合特異性及び/又は調節特異性を持つ化合物を接触させる段階であって、該化合物が更に検出可能なラベルを含む段階、及び
(b)該検出可能なラベルを検出し、それにより該細胞を描写する段階

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−545793(P2008−545793A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515915(P2008−515915)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/022268
【国際公開番号】WO2006/133353
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(501345323)ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル (52)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
【住所又は居所原語表記】308 Bynum Hall,Campus Box 4105,Chapel Hill,North Carolina 27599−4105, United States of America
【出願人】(507403078)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (2)
【出願人】(308028544)
【Fターム(参考)】