説明

非共沸混合冷媒を使用するヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システム

【課題】 二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができる手段を備える、ヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 非共沸混合冷媒を使用するヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システムであって、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とを備え、蒸発器が、非共沸混合物冷媒が送られる伝熱管を備え、該伝熱管は、鉛直方向に延在し非共沸混合物冷媒を鉛直方向下方に送る下方伝熱管と、鉛直方向に延在し非共沸混合物冷媒を鉛直方向上方に送る上方伝熱管と、下方伝熱管と上方伝熱管とを接続する接続管とからなる部分を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非共沸混合冷媒を使用するヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システムに関し、特に、二液分離した液相の非共沸混合冷媒を均一に分散させることができる手段を備える、ヒートポンプシステムまたは空調機システム若しくは冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、二酸化炭素は、オゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数が1であり、環境への負荷が極めて小さく、かつ毒性、可燃性が無く安全で安価であること、臨界温度が31.1℃と低く、空調や給湯用では、サイクルの高圧側が容易に超臨界になることから冷媒と被冷却流体との温度差が小さい加熱を行うことができるので、給湯のように昇温幅が大きい加熱プロセスでは、高い成績係数(COP)が得られること、圧縮機の単位流入体積当たりの加熱能力が大きく、熱伝導率が高いことから、エコキュート(登録商標)の名称でヒートポンプ給湯機用冷媒として普及利用されている。
【0003】
図1に、二酸化炭素を冷媒として利用する従来のヒートポンプシステム100の代表的な構成図を示す。図1に示されるヒートポンプシステムは、圧縮機101、凝縮器102、膨張弁103、蒸発器104、二酸化炭素冷媒用の配管105、および加熱されるべき水用の配管106を備える。図1の矢印で示されるように、二酸化炭素冷媒は、配管105を介して、圧縮機101、凝縮器102、膨張弁103、および蒸発器104の順番で循環する。また加熱されるべき水は、水用の配管106を介して凝縮器102に導入され、凝縮器102で加熱された後で暖房用/給湯用として使用される。なお空調機若しくは冷凍機システムの場合には、水用の配管106は無い。
【0004】
図2に、二酸化炭素を冷媒として利用した従来のヒートポンプシステム100におけるサイクルを、横軸がエンタルピーを表しかつ縦軸が温度を表す線図を用いて示す。なお、図2における5は外気温を表し、6は造温水過程を表す線である。
【0005】
図1および図2を参照して、従来のヒートポンプのサイクルを、各構成部品の動作および各構成部品における冷媒の状態に基づいて以下に簡単に説明する。
【0006】
蒸発器104で外部から熱を奪いながら蒸発した低圧低温の気相の二酸化炭素は、圧縮機101へ送られる。この蒸発器104における状態は、図2の4〜1に対応する。二酸化炭素冷媒は、温度は低温で一定のままであるが、外部から熱を奪うことによってエンタルピーは増大して、液相から気化し続けて飽和蒸気線に近付く。
【0007】
この低圧低温の気相の二酸化炭素は、圧縮機101で断熱圧縮されて高圧高温の気相の二酸化炭素になり、凝縮器102へ送られる。この圧縮機101における状態は、図2の1〜2に対応する。二酸化炭素冷媒は、温度が上昇した過熱状態の気相の二酸化炭素になる。
【0008】
温度が上昇した過熱状態の気相の二酸化炭素は、凝縮器102において放熱し冷却される。この凝縮器102における状態は、図2の2〜3に対応する。過熱状態の気相の二酸化炭素(図2の2)から、超臨界圧の状態で冷却されてエンタルピーが減少し、液相の二酸化炭素になる(図2の3)。この凝縮器102において、気相の二酸化炭素冷媒から放出される熱を利用して、水用の配管106から導入される水を加熱して、暖房または給湯に用いる。
【0009】
高圧で温度が低下した液相の二酸化炭素は、凝縮器102から膨張弁103へ送られる。膨張弁103で、液相の二酸化炭素は、圧力が急激に低下しかつ温度が急激に低下して、低圧低温の気相および液相の二酸化炭素になる。この膨張弁104における状態は、図2の3〜4に対応する。二酸化炭素は、エンタルピーが同一で温度が急激に低下する。
【0010】
低圧低温の気相および液相の二酸化炭素は、再び蒸発器104で外部から熱を奪い蒸発して、図2の4〜1に対応する状態になり、低圧低温の気相の二酸化炭素になる。
【0011】
二酸化炭素冷媒がこのようなサイクルを繰り返すことによって、ヒートポンプシステム100が動作して、凝縮器102において水を加熱する。
【0012】
このように動作するヒートポンプシステムにおいて冷媒として二酸化炭素を用いることは、普及利用されているが、二酸化炭素冷媒の作動圧が、約10MPaと他の冷媒と比べると非常に高く、そのため、ヒートポンプシステムにおける各構成部品を超高圧仕様にしなければならない問題があった。そのため、作動圧が低い冷媒の開発が大きな課題となっている。
【0013】
二酸化炭素超臨界冷媒に代わる、オゾン層破壊の危険性がなく、地球温暖化に及ぼす悪影響が小さく、かつ不燃性ないし難燃性で、低圧において作動する等の優れた性能を有する、安全で毒性のない給湯/暖房用冷媒組成物として、ジメチルエーテルと二酸化炭素との混合物冷媒が提案されている。
【0014】
すなわち、物性的に伝熱効果の高い二酸化炭素(0.02W/mK)とより高い比熱を有するジメチルエーテル(138J/molK)とを混合することによって、極めて高い熱効率を示す物性になり、低圧で作動する成績係数(COP)の優れた暖房用/給湯用冷媒となる。このジメチルエーテルと二酸化炭素との混合物冷媒を利用した暖房用/給湯用ヒートポンプは、外気温5℃程度の条件下で、数値シミュレーションと実証実験の結果、3.5MPa以下の低圧で作動し、かつ高い成績係数(COP)が得られる。
【0015】
このように、二酸化炭素冷媒と比べて低圧で作動するジメチルエーテルと二酸化炭素との混合物冷媒を用いた場合のサイクルを、図3を参照して説明する。図3は、図2と同様に、横軸がエンタルピーを表しかつ縦軸が温度を表す線図である。図3が、図2と大きく異なる点は、蒸発器104における冷媒の状態である14〜11が、温度が一定ではなく、ある傾斜を持った直線で表されていることである。これは、ジメチルエーテルおよび二酸化炭素からなる混合物冷媒は、非共沸特性を有し、蒸発するにつれて蒸発温度が上昇する性質を持っているからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ジメチルエーテルと二酸化炭素との非共沸混合物冷媒を使用する場合に、蒸発器104における未蒸発の液相の非共沸混合物冷媒、あるいは凝縮器102における液相の非共沸混合物冷媒が、二液分離する問題がある。凝縮器102は、通常、凝縮を促進するために過冷却領域を有しているため、非共沸混合物冷媒を用いる場合には、混合物冷媒が二液分離する可能性が高い。特に、運転停止時にはこのような二液分離が顕著になる。混合物冷媒が二液分離した場合には、蒸発温度または蒸発圧力の制御が、不安定になる。
【0017】
蒸発器104および凝縮器102は、冷媒が送られる伝熱管を有する。単一冷媒の場合には、その伝熱管は、気化潜熱関与領域と気化後の顕熱関与領域とに分けられるが、非共沸混合物冷媒の場合には、そのように明確に分けられず、これも蒸発温度または蒸発圧力の制御を難しくしている。
【0018】
本発明は、二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができる手段を備える、ヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、非共沸混合冷媒を使用するヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システムであって、
低圧低温の気相の非共沸混合冷媒を吸入圧縮して、高圧高温の気相の非共沸混合物冷媒にする圧縮機と、
圧縮機に接続され、かつ高圧高温の気相の非共沸混合物冷媒を液相に凝縮し放熱させて、液相の非共沸混合物冷媒にする凝縮器と、
凝縮器に接続され、かつ液相の非共沸混合物冷媒を減圧膨張させて、低圧低温の気相および液相の非共沸混合物冷媒にする膨張弁と、
膨張弁に接続され、かつ低圧低温の気相および液相の非共沸混合物冷媒を気相に蒸発し吸熱させて、低圧低温の気相の非共沸混合物冷媒を圧縮機に送る蒸発器とを備え、
蒸発器が、非共沸混合物冷媒が送られる伝熱管を備え、該伝熱管は、鉛直方向に延在し非共沸混合物冷媒を鉛直方向下方に送る下方伝熱管と、鉛直方向に延在し非共沸混合物冷媒を鉛直方向上方に送る上方伝熱管と、下方伝熱管と上方伝熱管とを接続する接続管とからなる部分を含むことを特徴とする。
【0020】
このような鉛直方向に延在する下方伝熱管において、液相の非共沸混合物冷媒は気相の非共沸混合物冷媒より早く下降しようとし、一方、上方伝熱管において、気相の非共沸混合物冷媒は液相の非共沸混合物冷媒より早く上昇しようとする。そのため、下方伝熱管および上方伝熱管を通過する非共沸混合物冷媒は、激しい上下動を含む攪拌された状態で流動する。このような攪拌作用を有する伝熱管を用いることによって、二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができる。さらに、伝熱管の管壁に対する非共沸混合物冷媒の衝突の効果もあり、境膜伝熱係数が上昇し、結果として伝熱効果が低下することはない。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、下方伝熱管と、上方伝熱管と、接続管とからなる部分を含む蒸発器の部分が、蒸発器内を非共沸混合物冷媒が送られる方向における下流側に配置され、かつ蒸発器全体での伝熱面積の50%以下の伝熱面積を有することを特徴とする。
【0022】
このような構成によって、蒸発器内の全ての伝熱管を鉛直方向に延在する伝熱管にしなくとも、二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができ、蒸発器のより柔軟な設計が可能になる。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、蒸発器が、膨張弁から非共沸混合物冷媒が送られる第1の蒸発器部分と、該第1の蒸発器部分の下方に配置されかつ第1の蒸発器部分に接続され、圧縮機へ非共沸混合物冷媒を送る第2の蒸発器部分とから構成され、
第1の蒸発器部分が、下方伝熱管と、上方伝熱管と、接続管とから構成され、
第2の蒸発器部分が、水平面に対して所定の傾斜を有する平面内に延在する伝熱管から構成され、前記傾斜は、非共沸混合物冷媒を圧縮機に送る流出口端部が、第1の蒸発器部分に接続される端部に対してより低い位置にあるような傾斜であることを特徴とする。
【0024】
このように第2の蒸発器部分の伝熱管を水平面に対して傾斜させる構成によって、さらに効果的に二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができる。
【0025】
請求項4に係る発明によれば、蒸発器が、膨張弁から非共沸混合物冷媒が送られる第3の蒸発器部分と、該第3の蒸発器部分に接続され、圧縮機へ非共沸混合物冷媒を送る第4の蒸発器部分とから構成され、
第3の蒸発器部分が、水平面に延在する伝熱管から構成され、
第4の蒸発器部分が、1本の下方伝熱管または管と、1本の上方伝熱管または管と、下方伝熱管または管と上方伝熱管または管とを接続する1本の接続管とから構成され、若しくは並列または直列に配置された、複数本の下方伝熱管または管と、複数本の上方伝熱管または管と、複数本の下方伝熱管または管と複数本の上方伝熱管または管とを接続する複数本の接続管とから構成されることを特徴とする。
【0026】
このような比較的簡単な構成で、二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができる。
【0027】
請求項5に係る発明によれば、蒸発器が、膨張弁から非共沸混合物冷媒が送られる第5の蒸発器部分と、該第5の蒸発器部分に接続される第6の蒸発器部分と、該第6の蒸発器部分に接続され、圧縮機へ非共沸混合物冷媒を送る第7の蒸発器部分とから構成され、
第5の蒸発器部分が、水平面に延在する伝熱管から構成され、
第6の蒸発器部分が、1本の下方伝熱管または管と、1本の上方伝熱管または管と、下方伝熱管または管と上方伝熱管または管とを接続する1本の接続管とから構成され、若しくは、並列または直列に配置された、複数本の下方伝熱管または管と、複数本の上方伝熱管または管と、複数本の下方伝熱管または管と複数本の上方伝熱管または管とを接続する複数本の接続管とから構成され、
第7の蒸発器部分が、水平面に延在する伝熱管から構成され、若しくは、水平面に対して所定の傾斜を有する平面内に延在する伝熱管から構成され、前記傾斜は、非共沸混合物冷媒を圧縮機に送る流出口端部が、第6の蒸発器部分に接続される端部に対してより高い位置にあるような傾斜であることを特徴とする。
【0028】
このような比較的簡単な構成でも、二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができる。また、第7の蒸発器部分が、非共沸混合物冷媒を圧縮機に送る流出口端部が、第6の蒸発器部分に接続される端部に対してより高い位置にあるような傾斜を有する平面内に延在する伝熱管で構成されることにより、蒸発器内の未蒸発の液相の非共沸混合物冷媒が圧縮機へ送られることを防止し、かつ運転停止時に、第7の蒸発器部分で生じた未蒸発の液相の非共沸混合物冷媒を第6の蒸発器部分へ戻し、第7の蒸発器部分に滞留した未蒸発の液相の非共沸混合物冷媒が一挙に圧縮機へ送られて、圧縮機を破壊することを防止することができる。
【0029】
請求項6に係る発明によれば、非共沸混合冷媒を使用するヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システムであって、
低圧低温の気相の非共沸混合冷媒を吸入圧縮して、高圧高温の気相の非共沸混合物冷媒にする圧縮機と、
圧縮機に接続され、かつ高圧高温の気相の非共沸混合物冷媒を液相に凝縮し放熱させて、液相の非共沸混合物冷媒にする凝縮器と、
凝縮器に接続され、かつ液相の非共沸混合物冷媒を減圧膨張させて、低圧低温の気相および液相の非共沸混合物冷媒にする膨張弁と、
膨張弁に接続され、かつ低圧低温の気相および液相の非共沸混合物冷媒を気相に蒸発し吸熱させて、低圧低温の気相の非共沸混合物冷媒を圧縮機に送る蒸発器とを備え、
凝縮器が、非共沸混合物冷媒が送られる伝熱管を備え、該伝熱管は、鉛直方向に延在し非共沸混合物冷媒を鉛直方向下方に送る下方伝熱管と、鉛直方向に延在し非共沸混合物冷媒を鉛直方向上方に送る上方伝熱管と、下方伝熱管と上方伝熱管とを接続する接続管とからなる部分を含むことを特徴とする。
【0030】
攪拌作用を有する下方伝熱管および上方伝熱管を用いることによって、二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができる。さらに、伝熱管の管壁に対する非共沸混合物冷媒の衝突の効果もあり、境膜伝熱係数が上昇し、結果として伝熱効果が低下することはない。
【0031】
請求項7に係る発明によれば、下方伝熱管と、上方伝熱管と、接続管とからなる部分を含む凝縮器の部分が、凝縮器内を非共沸混合物冷媒が送られる方向における下流側に配置され、かつ凝縮器全体での伝熱面積の50%以下の伝熱面積を有することを特徴とする。
【0032】
このような構成によって、凝縮器内の全ての伝熱管を鉛直方向に延在する伝熱管にしなくとも、二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができ、凝縮器のより柔軟な設計が可能になる。
【0033】
請求項8に係る発明によれば、凝縮器が、圧縮機から非共沸混合物冷媒が送られる第1の凝縮器部分と、該第1の凝縮器部分の上方に配置されかつ第1の凝縮器部分に接続され、膨張弁へ非共沸混合物冷媒を送る第2の凝縮器部分とから構成され、
第1の凝縮器部分が、下方伝熱管と、上方伝熱管と、接続管とから構成され、
第2の凝縮器部分が、水平面に対して所定の傾斜を有する平面内に延在する伝熱管から構成され、前記傾斜は、非共沸混合物冷媒を膨張弁に送る流出口端部が、第2の凝縮器部分に接続される端部に対してより高い位置にあるような傾斜であることを特徴とする。
【0034】
このように第2の凝縮器部分の伝熱管を水平面に対して傾斜させる構成によって、さらに効果的に二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができる。
【0035】
請求項9に係る発明によれば、凝縮器が、圧縮機から非共沸混合物冷媒が送られる第3の凝縮器部分と、該第3の凝縮器部分に接続され、膨張弁へ非共沸混合物冷媒を送る第4の凝縮器部分とから構成され、
第3の凝縮器部分が、水平面に延在する伝熱管から構成され、
第4の凝縮器部分が、1本の下方伝熱管または管と、1本の上方伝熱管または管と、下方伝熱管または管と上方伝熱管または管とを接続する1本の接続管とから構成され、若しくは、並列または直列に配置された、複数本の下方伝熱管または管と、複数本の上方伝熱管または管と、複数本の下方伝熱管または管と複数本の上方伝熱管または管とを接続する複数本の接続管とから構成されることを特徴とする。
【0036】
このような比較的簡単な構成で、二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができる。
【0037】
請求項10に係る発明によれば、非共沸混合物冷媒が、ジメチルエーテルと二酸化炭素との混合物であることを特徴とする。
【0038】
このような構成によって、二液分離したジメチルエーテルと二酸化炭素との混合物からなる非共沸混合物冷媒を、均一に分散させることができる。
【0039】
以下、本発明を、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態に基づいて詳細に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図4は、本発明によるヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システム1000の第1の実施形態の構成図を示す。
【0041】
図1に示される従来のシステム構成と、図4に示されるシステム構成との異なる点は、蒸発器200であり、他の要素である圧縮機101、凝縮器102、膨張弁103、冷媒用の配管105、および加熱されるべき水用の配管106は同一である。これら同一の要素は、図1と同じ参照符号で示される。蒸発器200は、図5bに示される鉛直方向に延在する伝熱管または管から構成される部分を備える。
【0042】
図5aは、蒸発器において従来使用されていた水平方向に延在する伝熱管で送られるときに、非共沸混合冷媒が移動する様子を示す模式図であり、図5bは、本発明によるヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システムの蒸発器において使用される鉛直方向に延在する伝熱管または管で送られるときに、非共沸混合冷媒が移動する様子を示す模式図である。
【0043】
図5aの水平方向に延在する伝熱管400において、図5aにおいて左側から送られる非共沸混合冷媒は、ほとんど攪拌されることなく伝熱管400内を移動する。
【0044】
一方、図5bに示される鉛直方向に延在する伝熱管または管は、鉛直方向に延在し非共沸混合物冷媒を鉛直方向下方に送る下方伝熱管または管210と、鉛直方向に延在し非共沸混合物冷媒を鉛直方向上方に送る上方伝熱管または管230と、下方伝熱管または管210と上方伝熱管または管230とを接続する接続管220とを備える。非共沸混合冷媒は、図5bにおいて左側から送られて、下方伝熱管または管210、接続管220、および上方伝熱管または管230を通り、右側から出る。
【0045】
下方伝熱管または管210において、液相の非共沸混合物冷媒は気相の非共沸混合物冷媒より早く下降しようとし、一方、上方伝熱管または管230において、気相の非共沸混合物冷媒は液相の非共沸混合物冷媒より早く上昇しようとする。そのため、下方伝熱管または管210および上方伝熱管または管230を通過する非共沸混合物冷媒は、激しい上下動を含む攪拌された状態で流動する。そのため二液分離した非共沸混合物冷媒は、このような伝熱管で送られると攪拌されて均一に分散した状態に変化する。
【0046】
蒸発器200は、図6に示されるように、図5bに示される下方伝熱管または管210、上方伝熱管または管230、および接続管220を、並列または直列に配置された構成で、それぞれ複数個含む。さらに、下方伝熱管210および上方伝熱管230の管壁に対する非共沸混合物冷媒の衝突の効果もあり、境膜伝熱係数が上昇し、結果として伝熱効果が低下することはない。これは、図17に示される伝熱試験データに示されている。図17は、二酸化炭素とジメチルエーテルとの非共沸混合冷媒と、二酸化炭素冷媒との伝熱試験データを示し、縦軸が管理温度(℃)であり、横軸が伝熱管距離(m)である。a、bは、二酸化炭素85%でジメチルエーテルが15%の場合の結果であり、cは、二酸化炭素100%の場合の結果である。aは、蒸発圧力2.0MPaGで、試験温度25.0℃〜25.3℃の試験条件であり、bは、蒸発圧力1.5MPaGで、試験温度25.3℃の試験条件であり、cは、試験温度23.8℃〜23.9℃の試験条件である。図17において、垂直とは、伝熱管が、下方および上方伝熱管または管と接続管とから構成される場合を示し、水平とは、伝熱管が、水平面に延在する場合を示す。a、bでは、これら垂直と水平の伝熱管で、冷媒の流量が、1000NL/Hと500NL/Hの場合の結果が示され、cでは、冷媒の流量が、500NL/Hの場合の結果が示される。なお、cにおけるpとは、蒸発圧力(ゲージ圧)あり、単位はMPaGである。
【0047】
図7は、蒸発器200が、水平方向に延在する伝熱管から構成される部分240と、下方伝熱管または管、上方伝熱管または管、および接続管から構成される部分250とからなり、部分250が、蒸発器200において非共沸混合物冷媒が送られる方向で下流側に配置される様子を模式的に示す図である。蒸発器200の全ての伝熱管を鉛直方向に延在する伝熱管にしなくとも、二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができ、蒸発器のより柔軟な設計が可能になる。
【0048】
図8は、第1の蒸発器部分と第2の蒸発器部分とからなる蒸発器を備える構成を示す図である。
【0049】
図8において、第1の蒸発器部分260は、膨張弁103から非共沸混合物冷媒が送られる。第2の蒸発器部分270は、第1の蒸発器部分260の下方に配置され、かつ第1の蒸発器部分260に接続され、圧縮機101へ非共沸混合物冷媒を送る。第1の蒸発器部分260は、下方伝熱管または管と、上方伝熱管または管と、接続管とから構成され、一方、第2の蒸発器部分270が、水平面に対して所定の傾斜を有する平面内に延在する伝熱管から構成さる。
【0050】
図9に、第2の蒸発器部分270における伝熱管の状態の例を示し、水平面Oに対して伝熱管が延在する平面Pは、水平面Oに対して所定の角度αを有数する。この傾斜角度αは、非共沸混合物冷媒を圧縮機に送る流出口端部272が、第1の蒸発器部分260に接続される端部271に対してより低い位置にあるような傾斜である。
【0051】
このように第2の蒸発器部分270の伝熱管を水平面に対して傾斜させる構成によって、さらに効果的に二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができる。
【0052】
図10は、水平面に延在する伝熱管から構成される第3の蒸発器部分と、下方伝熱管または管、上方伝熱管または管、および下方伝熱管または管と上方伝熱管または管とを接続する接続管から構成される第4の蒸発器部分とからなる蒸発器の構成を示す。
【0053】
図10に示される蒸発器は、膨張弁103から非共沸混合物冷媒が送られる第3の蒸発器部分280と、第3の蒸発器部分280に接続され、圧縮機101へ非共沸混合物冷媒を送る第4の蒸発器部分281とから構成される。第3の蒸発器部分280は、水平面に延在する伝熱管から構成され、一方、第4の蒸発器部分281は、1本の下方伝熱管または管282と、1本の上方伝熱管または管284と、下方伝熱管または管282と上方伝熱管または管284とを接続する1本の接続管283とから構成される。なお、第4の蒸発器部分は、並列または直列に配置された、複数本の下方伝熱管または管と、複数本の上方伝熱管または管と、複数本の下方伝熱管または管と複数本の上方伝熱管または管とを接続する複数本の接続管とから構成されることもできる。
【0054】
このような比較的簡単な構成の第4の蒸発器部分281を備えることによって、二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができる。
【0055】
図11は、水平面に延在する伝熱管から構成される第5および第7の蒸発器部分と、下方伝熱管または管、上方伝熱管または管、および下方伝熱管または管と上方伝熱管または管とを接続する接続管から構成される第6の蒸発器部分とからなる蒸発器を示す。
【0056】
図11に示される蒸発器は、膨張弁103から非共沸混合物冷媒が送られる第5の蒸発器部分290と、第5の蒸発器部分290に接続される第6の蒸発器部分292と、該第6の蒸発器部分292に接続され、圧縮機101へ非共沸混合物冷媒を送る第7の蒸発器部分291とから構成される。第5の蒸発器部分290は、水平面に延在する伝熱管から構成される。第6の蒸発器部分292は、1本の下方伝熱管または管293と、1本の上方伝熱管または管295と、下方伝熱管または管293と上方伝熱管または管295とを接続する1本の接続管294とから構成される。なお、第7の蒸発器部分は、並列または直列に配置された、複数本の下方伝熱管または管と、複数本の上方伝熱管または管と、複数本の下方伝熱管または管と複数本の上方伝熱管または管とを接続する複数本の接続管とから構成されることもできる。第7の蒸発器部分291は、水平面に延在する伝熱管から構成され、若しくは、水平面に対して所定の傾斜を有する平面内に延在する伝熱管から構成され、前記傾斜は、非共沸混合物冷媒を圧縮機101に送る流出口端部が、第6の蒸発器部分292に接続される端部に対してより高い位置にあるような傾斜である。
【0057】
このような比較的簡単な構成の第6の蒸発器部分292を備えることによって、二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができる。また、第7の蒸発器部分291は、非共沸混合物冷媒を圧縮機に送る流出口端部が、第6の蒸発器部分292に接続される端部に対してより高い位置にあるような傾斜を有する平面内に延在する伝熱管で構成されることにより、蒸発器内の未蒸発の液相の非共沸混合物冷媒が圧縮機101へ送られることを防止し、かつ運転停止時に、第7の蒸発器部分291で生じた未蒸発の液相の非共沸混合物冷媒を第6の蒸発器部分292へ戻し、第7の蒸発器部分291に滞留した未蒸発の液相の非共沸混合物冷媒が一挙に圧縮機101へ送られて、圧縮101機を破壊することを防止することができる。
【0058】
図12は、本発明によるヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システム1100の第2の実施形態の構成図を示す。
【0059】
図1に示される従来のシステム構成と、図12に示されるシステム構成との異なる点は、凝縮器300であり、他の要素である圧縮機101、凝縮器102、膨張弁103、冷媒用の配管105、および加熱されるべき水用の配管106は同一である。これら同一の要素は、図1と同じ参照符号で示される。
【0060】
凝縮器300は、図5bに示される鉛直方向に延在する伝熱管または管から構成される部分を備える。下方伝熱管または管210および上方伝熱管または管230を通過する非共沸混合物冷媒は、激しい上下動を含む攪拌された状態で流動し、二液分離した非共沸混合物冷媒は、攪拌されて均一に分散した状態に変化する。凝縮器300は、図6に示されるように、下方伝熱管または管210、上方伝熱管または管230、および接続管220を、並列または直列に配置された構成で、複数個含むことができる。図17に示されるように、下方伝熱管または管210および上方伝熱管または管230の管壁に対する非共沸混合物冷媒の衝突の効果もあり、境膜伝熱係数が上昇し、結果として伝熱効果が低下することはない。
【0061】
図13は、凝縮器300が、水平方向に延在する伝熱管から構成される部分310と、下方伝熱管または管、上方伝熱管または管、および接続管から構成される部分320とからなり、部分320が、凝縮器300において非共沸混合物冷媒が送られる方向で下流側に配置される様子を模式的に示す図である。凝縮器300の全ての伝熱管を鉛直方向に延在する伝熱管にしなくとも、二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができ、凝縮器のより柔軟な設計が可能になる。
【0062】
図14は、第1の凝縮器部分と第2の凝縮器部分とからなる蒸発器を備える構成を示す図である。
【0063】
図14において、第1の凝縮器部分330は、圧縮機101から非共沸混合物冷媒が送られる。第2の凝縮器部分340は、第1の凝縮器部分330の上方に配置され、かつ第1の凝縮器部分330に接続され、膨張弁103へ非共沸混合物冷媒を送る。第1の凝縮器部分330は、下方伝熱管または管と、上方伝熱管または管と、接続管とから構成され、一方、第2の凝縮器部分340が、水平面に対して所定の傾斜を有する平面内に延在する伝熱管から構成さる。
【0064】
図15に、第2の凝縮器部分340における伝熱管の状態の例を示し、水平面Oに対して伝熱管が延在する平面Qは、水平面Oに対して所定の角度βを有数する。この傾斜角度βは、非共沸混合物冷媒を膨張弁103に送る流出口端部342が、第1の凝縮器部分330に接続される端部341に対してより高い位置にあるような傾斜である。
【0065】
このように第2の凝縮器部分340の伝熱管を水平面に対して傾斜させる構成によって、さらに効果的に二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができる。
【0066】
図16は、水平面に延在する伝熱管から構成される第3の凝縮器部分と、下方伝熱管または管、上方伝熱管または管、および下方伝熱管または管と上方伝熱管または管とを接続する接続管から構成される第4の凝縮器部分とからなる凝縮器の構成を示す。
【0067】
図16に示される凝縮器は、圧縮機101から非共沸混合物冷媒が送られる第3の凝縮器部分350と、第3の凝縮器部分350に接続され、膨張弁103へ非共沸混合物冷媒を送る第4の凝縮器部分351とから構成される。第3の凝縮器部分350は、水平面に延在する伝熱管から構成され、一方、第4の凝縮器部分351は、1本の下方伝熱管または管354と、1本の上方伝熱管または管352と、下方伝熱管または管354と上方伝熱管または管352とを接続する1本の接続管353とから構成される。なお、第4の蒸発器部分352は、並列または直列に配置された、複数本の下方伝熱管または管354と、複数本の上方伝熱管または管352と、複数本の下方伝熱管または管354と複数本の上方伝熱管または管352とを接続する複数本の接続管とから構成されることもできる。
【0068】
このような比較的簡単な構成の第4の凝縮器部分352を備えることによって、二液分離した非共沸混合物冷媒を均一に分散させることができる。
【0069】
非共沸混合物冷媒は、大きな温度勾配の値を示すジメチルエーテルと二酸化炭素との混合物であることが好ましいが、本発明のヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システムで使用される非共沸混合物冷媒は、これに限定されるものではなく、任意の混合物冷媒を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】二酸化炭素を利用したヒートポンプシステムの代表的な構成図を示す。
【図2】二酸化炭素を冷媒として利用した従来のサイクルを示す、横軸がエンタルピーでありかつ縦軸が温度の線図である。
【図3】非共沸混合物冷媒を利用したサイクルを示す、横軸がエンタルピーでありかつ縦軸が温度の線図である。
【図4】本発明によるヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システムの第1の実施形態の構成図を示す。
【図5a】液相の非共沸混合冷媒が蒸発器において従来使用されていた水平方向に延在する伝熱管で送られるときに、非共沸混合冷媒が移動する様子を示す模式図である。
【図5b】液相の非共沸混合冷媒が、本発明によるヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システムの蒸発器において使用される鉛直方向に延在する伝熱管で送られるときに、非共沸混合冷媒が移動する様子を示す模式図を示す。
【図6】蒸発器が、複数の下方伝熱管または管、上方伝熱管または管、および接続管を含む構成を示す。
【図7】蒸発器が、水平方向の延在する伝熱管の部分と、下方伝熱管または管、上方伝熱管または管、および接続管から構成される部分とからなる構成を示す。
【図8】第1の蒸発器部分と第2の蒸発器部分とからなる蒸発器を備える構成を示す図である。
【図9】第2の蒸発器部分270における伝熱管の状態の例を示す。
【図10】水平面に延在する伝熱管から構成される第3の蒸発器部分と、下方伝熱管または管、上方伝熱管または管、および下方伝熱管または管と上方伝熱管または管とを接続する接続管から構成される第4の蒸発器部分とから構成される蒸発器の構成を示す。
【図11】水平面に延在する伝熱管から構成される第5の蒸発器部分と、下方伝熱管または管、上方伝熱管または管、および下方伝熱管または管と上方伝熱管または管とを接続する接続管から構成される第6の蒸発器部分と、水平面若しくは水平面に対して所定の傾斜を有する平面内に延在する伝熱管から構成される第7の蒸発器部分とからなる蒸発器を示す。
【図12】本発明によるヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システムの第2の実施形態の構成図を示す。
【図13】凝縮器が、水平方向の延在する伝熱管の部分と、下方伝熱管または管、上方伝熱管または管、および接続管から構成される部分とからなる構成を示す。
【図14】第1の凝縮器部分と第2の凝縮器部分とからなる蒸発器を備える構成を示す図である。
【図15】第2の凝縮器部分における伝熱管の状態の例を示す。
【図16】水平面に延在する伝熱管から構成される第3の凝縮器部分と、下方伝熱管または管、上方伝熱管または管、および下方伝熱管または管と上方伝熱管または管とを接続する接続管から構成される第4の凝縮器部分とからなる凝縮器の構成を示す。
【図17】二酸化炭素とジメチルエーテルとの非共沸混合冷媒と、二酸化炭素冷媒との伝熱試験データを示す。
【符号の説明】
【0071】
100 ヒートポンプシステム
101 圧縮機
102、300 凝縮器
103 膨張弁
104、200 蒸発器
105 冷媒用の配管
106 水用の配管
210、282、354 下方伝熱管または管
220、283、353 接続管
230、284、352 上方伝熱管または管
240、310 水平方向に延在する伝熱管から構成される部分
250、320 下方伝熱管または管、上方伝熱管または管、および接続管から構成される部分
260 第1の蒸発器部分
270 第2の蒸発器部分
280 第3の蒸発器部分
281 第4の蒸発器部分
290 第5の蒸発器部分
292 第6の蒸発器部分
297 第7の蒸発器部分
330 第1の凝縮器部分
340 第2の凝縮器部分
350 第3の凝縮器部分
351 第4の凝縮器部分
400 水平方向に延在する伝熱管
1000、1100 ヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システム
O 水平面
P、Q 伝熱管が延在する平面
α、β 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非共沸混合冷媒を使用するヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システムであって、
低圧低温の気相の非共沸混合冷媒を吸入圧縮して、高圧高温の気相の非共沸混合物冷媒にする圧縮機と、
圧縮機に接続され、かつ高圧高温の気相の非共沸混合物冷媒を液相に凝縮し放熱させて、液相の非共沸混合物冷媒にする凝縮器と、
凝縮器に接続され、かつ液相の非共沸混合物冷媒を減圧膨張させて、低圧低温の気相および液相の非共沸混合物冷媒にする膨張弁と、
膨張弁に接続され、かつ低圧低温の気相および液相の非共沸混合物冷媒を気相に蒸発し吸熱させて、低圧低温の気相の非共沸混合物冷媒を圧縮機に送る蒸発器とを備え、
蒸発器が、非共沸混合物冷媒が送られる伝熱管を備え、該伝熱管は、鉛直方向に延在し非共沸混合物冷媒を鉛直方向下方に送る下方伝熱管と、鉛直方向に延在し非共沸混合物冷媒を鉛直方向上方に送る上方伝熱管と、下方伝熱管と上方伝熱管とを接続する接続管とからなる部分を含むことを特徴とするヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システム。
【請求項2】
下方伝熱管と、上方伝熱管と、接続管とからなる部分を含む蒸発器の部分が、蒸発器内を非共沸混合物冷媒が送られる方向における下流側に配置され、かつ蒸発器全体での伝熱面積の50%以下の伝熱面積を有することを特徴とする、請求項1に記載のヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システム。
【請求項3】
蒸発器が、膨張弁から非共沸混合物冷媒が送られる第1の蒸発器部分と、該第1の蒸発器部分の下方に配置されかつ第1の蒸発器部分に接続され、圧縮機へ非共沸混合物冷媒を送る第2の蒸発器部分とから構成され、
第1の蒸発器部分が、下方伝熱管と、上方伝熱管と、接続管とから構成され、
第2の蒸発器部分が、水平面に対して所定の傾斜を有する平面内に延在する伝熱管から構成され、前記傾斜は、非共沸混合物冷媒を圧縮機に送る流出口端部が、第1の蒸発器部分に接続される端部に対してより低い位置にあるような傾斜であることを特徴とする、請求項1に記載のヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システム。
【請求項4】
蒸発器が、膨張弁から非共沸混合物冷媒が送られる第3の蒸発器部分と、該第3の蒸発器部分に接続され、圧縮機へ非共沸混合物冷媒を送る第4の蒸発器部分とから構成され、
第3の蒸発器部分が、水平面に延在する伝熱管から構成され、
第4の蒸発器部分が、1本の下方伝熱管または管と、1本の上方伝熱管または管と、下方伝熱管または管と上方伝熱管または管とを接続する1本の接続管とから構成され、若しくは並列または直列に配置された、複数本の下方伝熱管または管と、複数本の上方伝熱管または管と、複数本の下方伝熱管または管と複数本の上方伝熱管または管とを接続する複数本の接続管とから構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システム。
【請求項5】
蒸発器が、膨張弁から非共沸混合物冷媒が送られる第5の蒸発器部分と、該第5の蒸発器部分に接続される第6の蒸発器部分と、該第6の蒸発器部分に接続され、圧縮機へ非共沸混合物冷媒を送る第7の蒸発器部分とから構成され、
第5の蒸発器部分が、水平面に延在する伝熱管から構成され、
第6の蒸発器部分が、1本の下方伝熱管または管と、1本の上方伝熱管または管と、下方伝熱管または管と上方伝熱管または管とを接続する1本の接続管とから構成され、若しくは、並列または直列に配置された、複数本の下方伝熱管または管と、複数本の上方伝熱管または管と、複数本の下方伝熱管または管と複数本の上方伝熱管または管とを接続する複数本の接続管とから構成され、
第7の蒸発器部分が、水平面に延在する伝熱管から構成され、若しくは、水平面に対して所定の傾斜を有する平面内に延在する伝熱管から構成され、前記傾斜は、非共沸混合物冷媒を圧縮機に送る流出口端部が、第6の蒸発器部分に接続される端部に対してより高い位置にあるような傾斜であることを特徴とする、請求項1に記載のヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システム。
【請求項6】
非共沸混合冷媒を使用するヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システムであって、
低圧低温の気相の非共沸混合冷媒を吸入圧縮して、高圧高温の気相の非共沸混合物冷媒にする圧縮機と、
圧縮機に接続され、かつ高圧高温の気相の非共沸混合物冷媒を液相に凝縮し放熱させて、液相の非共沸混合物冷媒にする凝縮器と、
凝縮器に接続され、かつ液相の非共沸混合物冷媒を減圧膨張させて、低圧低温の気相および液相の非共沸混合物冷媒にする膨張弁と、
膨張弁に接続され、かつ低圧低温の気相および液相の非共沸混合物冷媒を気相に蒸発し吸熱させて、低圧低温の気相の非共沸混合物冷媒を圧縮機に送る蒸発器とを備え、
凝縮器が、非共沸混合物冷媒が送られる伝熱管を備え、該伝熱管は、鉛直方向に延在し非共沸混合物冷媒を鉛直方向下方に送る下方伝熱管と、鉛直方向に延在し非共沸混合物冷媒を鉛直方向上方に送る上方伝熱管と、下方伝熱管と上方伝熱管とを接続する接続管とからなる部分を含むことを特徴とするヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システム。
【請求項7】
下方伝熱管と、上方伝熱管と、接続管とからなる部分を含む凝縮器の部分が、凝縮器内を非共沸混合物冷媒が送られる方向における下流側に配置され、かつ凝縮器全体での伝熱面積の50%以下の伝熱面積を有することを特徴とする、請求項6に記載のヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システム。
【請求項8】
凝縮器が、圧縮機から非共沸混合物冷媒が送られる第1の凝縮器部分と、該第1の凝縮器部分の上方に配置されかつ第1の凝縮器部分に接続され、膨張弁へ非共沸混合物冷媒を送る第2の凝縮器部分とから構成され、
第1の凝縮器部分が、下方伝熱管と、上方伝熱管と、接続管とから構成され、
第2の凝縮器部分が、水平面に対して所定の傾斜を有する平面内に延在する伝熱管から構成され、前記傾斜は、非共沸混合物冷媒を膨張弁に送る流出口端部が、第2の凝縮器部分に接続される端部に対してより高い位置にあるような傾斜であることを特徴とする、請求項6に記載のヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システム。
【請求項9】
凝縮器が、圧縮機から非共沸混合物冷媒が送られる第3の凝縮器部分と、該第3の凝縮器部分に接続され、膨張弁へ非共沸混合物冷媒を送る第4の凝縮器部分とから構成され、
第3の凝縮器部分が、水平面に延在する伝熱管から構成され、
第4の凝縮器部分が、1本の下方伝熱管または管と、1本の上方伝熱管または管と、下方伝熱管または管と上方伝熱管または管とを接続する1本の接続管とから構成され、若しくは、並列または直列に配置された、複数本の下方伝熱管または管と、複数本の上方伝熱管または管と、複数本の下方伝熱管または管と複数本の上方伝熱管または管とを接続する複数本の接続管とから構成されることを特徴とする、請求項6または7に記載のヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システム。
【請求項10】
非共沸混合物冷媒が、ジメチルエーテルと二酸化炭素との混合物であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のヒートポンプシステムまたは空調機若しくは冷凍機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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