非刃要素を有するかみそりカートリッジ
新規なかみそりカートリッジが少なくとも1つの非刃要素を含み、その非刃要素は、ガードとキャップとの間のかみそり刃アレイ内の任意の位置に、かつ/又はフレームのかみそり刃位置に配設され、皮膚/毛の管理をもたらすものである。この非刃要素は、剃毛の快適性、接近性、効率、及び/又は水洗能力を改善する方式で、かみそり刃と皮膚の接触、毛の方向付け、かみそり刃スパン、及びリンス通り抜けギャップなどのパラメータを微調整することを可能にする。この非刃要素は、突出部、フィン様の要素、歯を有する櫛様の機構、剥脱又は潤滑機能を含んでもよい。固定された非刃要素をかみそり刃アレイ内の中間に配設することにより、多段カートリッジが中間制御点を設けられ、この中間制御点は、非刃要素の前後で場合によっては異なる機能性を有する。非刃要素は、かみそり刃アレイ内の別のかみそり刃に取り付けられるものではないが、改良型かみそり刃支持体として製造されても、かみそり刃支持体に取り付けられても、フレーム又はクリップの一部とされてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はかみそり刃に関し、より具体的には、少なくとも1つの非刃要素を有するかみそりカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、市場に出回っているウェットシェービング用の多数のかみそりは、ハンドルに操作可能に結合されたかみそりカートリッジ内に1枚以上のかみそり刃(多くは3枚〜6枚のかみそり刃を有する)を有し、一部のかみそりは使い捨てであり、一部のかみそりは再使用可能なハンドルを有する。複数枚のかみそり刃を有するかみそりカートリッジが、例えば、2005年2月24日に公開された米国特許公開第2005/0039337A1号に記載されており、そのようなかみそりカートリッジが、ジレット社によって5枚刃のフュージョン(商標)かみそりとして商品化されてきた。
【0003】
複数枚のかみそり刃は深剃りを改善するが、一般に、いくつかの性能上の問題を依然として生じ得る。第1に、何らかの不快感が剃毛の間にユーザーに実感され得る。第2に、見逃される毛があること、及び首などの問題の多い領域を剃毛する際の難しさが原因で、剃毛は依然として、比較的緩慢でかつ非効率的なプロセスである。剃毛する人の多くは、毛の大半が切断されているにもかかわらず、相当な量の毛が見逃されていることを認識している(例えば、毛が全く切断されない、あるいは毛が皮膚の近くで又は皮膚線にて切断されないこと)。
【0004】
加えて、いくつかの領域(例えば、首、顎、及び/又は顔)は特に剃毛が困難であることが示されてきた。これらの領域は一般に、多くの場合に種々の方向付けられる、低く横たわる毛を有している。これらの低く横たわる毛は、皮膚に対して近接するか、密接するか、あるいは同じ高さをなし得る。多くの事例において、ユーザーは、切断されていないかあるいは十分に皮膚に近接して切断されていない毛を切断しようと試みて、同じ領域を繰り返し剃毛しなければならず、結果として、皮膚の刺激を増大させることになる。
【0005】
この不快な状況は、特に3枚以上の鋭いカミソリ刃縁部を有するカートリッジにおいて、刃の枚数及び鋭さが増すこと、並びに皮膚に対する力又は負荷が累積されることに起因し得るものである。
【0006】
安全性と接近性を維持すると同時に不快感を軽減しようと試みる従来技術の解決策は、いくつかの属性の中でも特に、しばしばかみそり刃先端部スパンと呼ばれる、かみそり刃の先端部同士の縮小されたスパンを与えるものである。そのような縮小は一般に、かみそり刃同士の間における皮膚の突き出しを低減することによって、より良好な皮膚の管理をもたらすことが一般に知られているが、スパンが狭くなるとかみそり刃間のリンス通り抜けギャップの寸法が減じられるので、かみそり刃間に存在する、切り取られた髪、皮膚の粒子、シェービングクリーム、及び/又は他の細片の水洗能力が低下することも知られている。
【0007】
リンス通り抜けギャップは、剃毛の分野で一般に知られているように、2枚のかみそり刃の間、又はかみそり刃とガード若しくはキャップなどの固定点との間の最短距離又は最小点を表すものであり、通常、リンス通り抜けギャップは、かみそり刃先端部のスパンよりも、長さにおいて短い。有利にも、リンス通り抜けギャップにより、一般に、ユーザーはかみそりカートリッジを流水の下に置いて、リンス通り抜けギャップの片側に水を進入させ、切り取られた毛などをギャップのもう一方の側に押しやることができる。
【0008】
2005年6月10日に出願された従来技術の文献、名称「かみそり刃間ガード及びそれを製造する方法(Inter-Blade Guard and Method of Manufacturing the Same)」、シリアル番号11/150,744号は、水洗能力を維持すると同時に皮膚の突き出しを低減することによって快適性を改善しようとするものである。これは、かみそり刃自体に配設されたかみそり刃間ガード要素を設け、かみそり刃の長さ方向にわたって、皮膚係合要素のすぐ前にリンス通り抜けギャップを設けるものである。この従来技術による解決策の1つの欠点は、かみそり刃間ガード要素が必然的にかみそり刃要素に接合され、したがって、それ自体ではかみそりカートリッジ内の独立した要素ではないことである。これにより、リンス通り抜けギャップ又は領域が、かみそり刃間要素とかみそり刃間要素のすぐ前のかみそり刃との間にのみ設けられ、かみそり刃要素の後(例えばかみそり刃間要素の両側)には設けられないので、水洗能力が制限され得る。また、そのようなかみそり刃間要素をかみそり刃の上に製作することは、時間と費用を増加させることにもなり得る。
【0009】
類似の従来技術による別の解決策は、かみそりカートリッジ内のかみそり刃及びかみそり刃支持体に連結された皮膚接触部分を開示するものであり、したがって類似した欠点を有している。例えば、2001年6月12日発行され、本願の譲受人に譲渡された米国特許第6,243,951号、名称「安全かみそり」を参照されたい。
【0010】
従来の別の解決策は、中央に配置された潤滑ストリップを双方向かみそりヘッドに設けることによって、剃毛の効率を改善しようとするものである。例えば、2000年12月19日に発行された米国特許第6,161,288号、名称「柔軟なガードシステムを有する4枚刃双方向かみそり構造(Four Blade Bi-Directional Razor Structure with Flexible Guard System)」を参照されたい。この解決策は、しかしながら、典型的にはすべてのかみそり刃が単に1つの方向に向いている通常のかみそりカートリッジに対して、改善された剃毛属性又は利点をもたらすものではない。
【0011】
したがって、従来技術による多くの解決策は、快適性及び効率を改善しようとするものであるが、それらの解決策は、切断される毛の本数及び/又は困難な領域(例えば、首、顎)を効率的に剃毛する能力を増すという問題に答えるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許公開第2005/0039337A1号
【特許文献2】シリアル番号11/150,744号
【特許文献3】米国特許第6,243,951号
【特許文献4】米国特許第6,161,288号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、接近性及び水洗能力などの剃毛属性を維持又は改善すると同時に、かみそりカートリッジにおける皮膚及び毛の管理(例えば、快適性及び効率)を改善することが、依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、各々が刃縁部を有する1枚以上のかみそり刃と、少なくとも1つの非刃要素と、フレーム上の複数のかみそり刃位置とを有するかみそりカートリッジを提供するものであり、複数枚のかみそり刃のうちの各1枚と、少なくとも1つの非刃要素の各々とが、複数のかみそり刃位置のうちの異なる位置に配設される。
【0015】
本発明は、1枚以上のかみそり刃を有するかみそり刃アレイであって、かみそり刃の各々は刃縁部を有するかみそり刃アレイと、かみそり刃アレイ内に配設された少なくとも1つの非刃要素であって、かみそり刃のうちのいずれにも取り付けられていない非刃要素と、を備えているかみそりカートリッジを提供する。
【0016】
本発明は、ガード、少なくとも1枚のかみそり刃、非刃要素を含む第1の段と、該非刃要素、複数のかみそり刃、及びキャップを含んでおり、該非刃要素は、ガードとキャップとの間の任意の位置に配設される第2の段と、を有するかみそりカートリッジを提供する。
【0017】
本発明は、かみそりカートリッジを製造する方法であって、非刃要素を、カートリッジの位置にあるかみそり構成要素に結合する工程と、フレームの残りの位置に複数のかみそり刃を挿入する工程と、を備え、かみそり構成要素は、フレーム若しくは少なくとも1つのクリップ、又はそれらの任意の組合わせであり、結合する工程は、射出成形、機械的若しくは化学的取付け、又はそれらの任意の組合わせを更に含んでいる方法を提供する。
【0018】
別段に定義されていない限り、本明細書において使用されているすべての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に共通に理解されるものと同じ意味を有している。本願に記載されているものと類似した又は等価な方法及び材料が本発明の実施又は試験において使用され得るが、好適な方法及び材料が以下に記載されている。本願において言及したすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参照文献は、引用によってすべてが本願に組み込まれる。何らかの不一致がある場合、本明細書が、定義を含めて優先される。加えて、材料、方法、及び例は、単に例示的なものであり、限定を意図したものではない。
【0019】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から、また特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本明細書は、本発明を構成するとみなされる主題を具体的に指摘しかつ明確に主張する特許請求の範囲を結論とするが、本発明は、添付の図面と関連してなされた以下の説明によって更に理解されると考えられる。添付の図面において同様の参照符号が、実質的に同一の要素を示すために用いられている。
【図1】本発明による、中にある非刃要素を示すかみそりカートリッジの斜視図。
【図1A】ハンドルに取り付けて示された図1のかみそりカートリッジの斜視図。
【図2】図1のかみそりカートリッジの横断面図。
【図2A】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図2B】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図2C】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図2D】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図3A】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図3B】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図3C】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図3D】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図4】通常のかみそりカートリッジとそれぞれのカミソリ刃露出量の横断面図。
【図4A】中にある非刃要素と本発明のそれぞれのかみそり刃露出量を示すかみそりカートリッジの横断面図。
【図4B】本発明の別の実施形態による、中にある非刃要素を示すかみそりカートリッジの横断面図。
【図4C】中にある非刃要素とそれぞれのかみそり刃の接触角度を示す、本発明のかみそりカートリッジの側面図。
【図4D】本発明の別の実施形態による、中にある非刃要素とそれぞれのかみそり刃の接触角度を示すかみそりカートリッジの側面図。
【図5A】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5B】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5C】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5D】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5E】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5F】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5G】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5H】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5I】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5J】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5K】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5L】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5M】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5N】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5O】本発明による非刃要素内の複数の歯の頂面図。
【図5P】図5Oの斜視図。
【図5Q】本発明による歯を有する非刃要素の考えられる実施形態の頂面図。
【図5R】本発明による、皮膚と接触している様々な非刃要素の横断面図。
【図6】本発明による、非刃要素の別の実施形態の斜視図。
【図7】本発明による非刃要素の更に別の実施形態の斜視図。
【図8】本発明による非刃要素の更に別の実施形態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ウェットシェービング用のかみそり内の新規なかみそりカートリッジに関するものであり、このかみそりカートリッジにおいて、少なくとも1つの非刃要素がかみそり刃アレイ内に配設される。例えば、ある望ましい実施形態において、非刃要素は、かみそり刃スロット又はかみそり刃位置のうちの1つに配設される。このようにしてかみそり刃を非刃要素と交換することにより、接近性及び/又は水洗能力を維持又は改善し、更なる費用又は時間を伴うこともない一方で、快適性及び効率の改善が実現される。
【0022】
例えば、いくつかの実施形態において、この新規な非刃要素は、皮膚に対するかみそり刃の圧力を低減することによって快適性を改善するが(例えば、負の露出量による)、他の実施形態において、本発明は、効率の改善をもたらすものであり、剃毛困難な領域は、非刃要素の毛整列機構を介して処理される。
【0023】
本発明において、特定の関連用語が以下のように定義される。
【0024】
「非刃要素」という用語は、一般には毛又は皮膚を切断しないが、ユーザーの皮膚及び/又は毛に対して、接触、係合、向上、振り動かし又は伸張をなして、剃毛中の皮膚の管理及び/又は毛の管理(例えば、毛の整列)をもたらす物理的構造を示し、この物理的構造は、限定するものではないが、少なくとも1つの開放スロットを画定する複数の突出部、突起部、細長い繊維、ナブ、フィン、起伏部、曲線部、くぼみ、毛様の要素、1つ以上のフック様の構造、1つ以上の潤滑ストリップ、1種類以上の発泡体、1種類以上の剥脱材料、1種類以上の剃毛補助材料、複数の歯を有する1本以上の櫛様の機構、又はそれらの任意の組合わせからなる群から選択された少なくとも1つの機構を含み、それらの機構は、離間若しくは連結され、寸法が一定若しくは可変の上記のうちのいずれか、一部分又は上部表面を有することを含めて、任意のタイプ、寸法、形状、又は形態をなすものであってもよい。本発明の非刃要素は、限定するものではないが、直立するか、湾曲するか、ある角度を右になすか、ある角度を左になすか、あるいはある角度を中心に対してなす機構を有してもよく、その機構は、軟質であっても、硬質であって、半硬質であってもよく、平面的な表面を有しても非平面的な表面を有してもよく、隣接しても、隣接しなくても、パターン化されても、それらの任意の組合わせであってもよい。
【0025】
本発明の非刃要素は、限定するものではないが、高分子材料、エラストマー材料、熱可塑性エラストマー材料、ウレタン材料、オレフィン材料、ゴム材料、金属材料、又はそれらの任意の組合わせ等のいずれかの種類の材料から作製され得る。シリコーン、フルオロシリコーン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレンなどのエラストマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)系熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)系熱可塑性エラストマー、ポリオキシエチレン−ポリウレタン系エラストマーなどのコポリマー、若しくは、ポリウレタン、ポリスチレン及びポリエチレンなどの他のポリマー、若しくは、アクリロニトリル−ブタジエン、ポリアクリラート及び天然ゴムなどのゴム、又はそれらの任意の組合わせもまた、本発明において企図される。加えて、非刃要素の材料は、上記の材料のうちの1種類以上(例えば、ポリマー及びゴムとそれらの複合材)を他の材料で改質したものを含んでもよい。
【0026】
高分子材料又は他のエラストマー材料から作製される場合、非刃要素は射出成形されてもよい。アルミニウム又はステンレス鋼などの金属から作製される場合、非刃要素は機械加工又は切削されてもよい。
【0027】
更に、非刃要素用の材料は、繊維若しくは織物材料、天然材料(例えば、木材)、又は、エラストマー材料若しくは塑性材料でコーティングするかあるいはエラストマー材料若しくは塑性材料を組み込んだ金属を含んでもよい。
【0028】
本発明の非刃要素は、剥脱部材をなす剥脱性能を備えた材料(例えば、細粒研磨コーティング、薬品、又は表面組織)を付加的に含んでもよく、また、皮膚若しくは毛に作用する(例えば、限定するものではないが潤い又は感覚などの皮膚の改善、限定するものではないが成長の最小化又は増進、コンディショニングなどの毛の管理)薬品を有する材料、又はそれらの任意の組合わせを付加的に含んでもよい。
【0029】
更に、非刃要素は、剃毛補助材料若しくは他の薬品を埋め込まれるかあるいはそれらでコーティングされた石けん、スポンジ又は発泡体などの潤滑体、又は、剃毛補助材料若しくは他の薬品の層を埋め込まれるかあるいはそのような層でコーティングされたエラストマー性のガード様の構造を含んでもよい。その発泡体は、「液体送出システム」という名称の米国特許出願第12/350,286号に、また本発明の譲受人に譲渡された「液体送出を用いた毛の除去」という名称の米国特許出願第12/350,446号に開示されているような基本的な発泡体若しくはスポンジ材料又は傾斜発泡体であってもよい。
【0030】
本明細書で用いられる「剃毛補助材料」という用語は、皮膚及び/又は毛に使用するための任意の組成物を表す。そのような組成物は、限定するものではないが、親水性ポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド/ポリスチレン、つまりPEO/PS)などの潤滑用の薬剤、又は、脱毛、洗浄、冷却、毛の成長の抑制若しくは促進、微生物の成長の抑制、抵抗の抑制、しわの抑制、保湿、皮膚の色合い若しくは状態の改善、医療目的、又はそれらの任意の組合わせのための薬剤を含んでもよい。薬剤は、限定するものではないが、アロエ、ビタミンE、ラノリン、香料、又はグリコール酸などの成分を含んでもよい。
【0031】
非刃要素内に設けられた化学物質は、かみそりカートリッジのキャップ又はガード内に見出される化学物質と相互作用してもよい。加えて、本発明の非刃要素は、摩耗指示体として働いてもよい。
【0032】
本明細書で用いられる「かみそり刃アレイ」は、1枚以上のかみそり刃(例えば、一般に複数枚のかみそり刃)のアレイとして定義されており、各かみそり刃は刃縁部を有し、各刃縁部は一般に同じ方向に向いている。かみそり刃の刃縁部又はかみそり刃の縁部は、本明細書においてかみそり刃先端部と同じ意味で用いられてもよく、かみそり刃先端部は、かみそり刃の縁部上の一点を表してもよい。この新規なかみそりカートリッジは、刃要素と非刃要素がアレー内に存在するという点で、混合した機能を備えた「混合型かみそり刃アレイ」を有するものと見なされてもよい。
【0033】
皮膚及び毛の管理は剃毛の成果を改善するのに重大となり得ることが一般に知られている。したがって、皮膚及び毛の管理は一般に、あるいは、かみそり刃が皮膚/毛に接触又は「提示される」方式は、本発明の重要な一面である。
【0034】
かみそり刃が皮膚に差し出される方式に影響を及ぼす1つの要因は、露出量、つまりかみそり刃が皮膚に押し込まれる、あるいは皮膚から持ち上げられる距離であり、この距離は、皮膚にかかるかみそり刃荷重に影響を与える。かみそり刃が皮膚に差し出される方式に影響を及ぼす別の要因は、要素同士(例えば、かみそり刃同士など)の間のスパンであり、このスパンは、かみそり刃の前方に生じる皮膚の突き出しに影響を与え、また皮膚にかかるかみそり刃荷重にも影響を与える。
【0035】
露出量及びスパンに加えて、皮膚及び毛の管理はまた、かみそりカートリッジ内のかみそり刃の枚数、かみそり刃のタイプ、皮膚線に対するかみそり刃の角度など、相互に関連する多数の変数によって影響を及ぼされ得ることもまた、剃毛の技術分野において知られている。
【0036】
本発明の非刃要素は、かみそり刃アレイにおいて、これらの相互に関連する変数を更に制御する能力を有し、皮膚及び毛の管理に影響を与えるものである。例えば、非刃要素は、毛がかみそり刃全体に送り込まれ得ると同時に皮膚にかかるかみそり刃荷重の制御点を改善するような方式で、毛を方向付け若しくは整列すること、及び/又は毛の流れを制御することによって毛を管理してもよい。
【0037】
加えて、本発明の非刃要素は、いかなるタイプのかみそりカートリッジにおいても、したがって当然ながら男性用のかみそりと女性用のかみそりのいずれにおいても利用され得ることに留意されたい。
【0038】
本開示の様々な態様について、以下に説明する。
【0039】
ここで図1を参照すると、個々の刃縁部13a、13b、13d、13eを各々が有する4枚のかみそり刃12a、12b、12d、及び12eと、かみそり刃12bと12dの2枚の間に配設された非刃要素14とを備えるかみそり刃アレイ12を有するかみそりカートリッジ10が、本発明に従って設けられている。したがって、この新規なかみそりカートリッジは、刃要素と非刃要素がアレイ内に存在するという点で、混合した機能を備えた「混合型かみそり刃アレイ」を有するものと見なされてもよい。
【0040】
留意されたいこととして、一般に、カートリッジの前部に配設されたかみそりカートリッジ10のガード16(及び/又はガードバー16a)は、より高い摩擦力をカートリッジの前部に発生させて、剃毛プロセスの間に、かみそり刃の前方の皮膚を伸張し、望ましくは毛を支持又は整列することが知られているが、キャップ17は一般に、カートリッジの背部に設置される低摩擦要素であり、皮膚の伸張を維持するのを支援する一方で、皮膚がカートリッジの背部を越えて摺動できるようにするものであることが知られている。キャップはまた望ましくは、潤滑、滑らかな滑動又は他の皮膚の制御をもたらし得る。
【0041】
4枚のかみそり刃が図1に示されているが、それ以上又はそれ以下の任意の枚数のかみそり刃がカートリッジ10内に装着されてもよいことが理解されよう。通常のかみそりのハウジング19は、一般に、フレーム15と、ガード16及び/又はガードバー16aとを含む。かみそり刃12a、12b、12d、及び12e、並びに非刃要素14は、クリップ18a及び18bでハウジング19内に固定されて示されている。非刃要素14は、機械的(例えば、バネ荷重印加、圧嵌め)、熱的、化学的手段、又は当業者に知られている他の手段によって、ハウジング19のフレーム15内に固定、装着、又は他の形で、ただし望ましくは通常のかみそり刃と同じ方式で結合されてもよい。また、本発明の非刃要素に対する他の組立方法についても、以下でより詳細に説明することにする。
【0042】
本発明に関し、非刃要素14は有利にも、通常の又は標準的なかみそり刃(例えば、かみそり刃支持体を有するかみそり刃又は湾曲したかみそり刃)が装着されて、バネ押しされる能力又はバネ押しされない能力を有するのと全く同様に装着され得るが、最も望ましくは、非刃要素は、バネ押しされないか、あるいは固定されなくてもよい。
【0043】
図1は、望ましくもかみそり刃アレイ12全体にわたって標準的な第3のかみそり刃位置(又は図2に示すようなかみそり刃スロット15c)の近く又はその第3のかみそり刃位置に配置された非刃要素14を示しており、カートリッジ10の幅方向にガード16からキャップ17に向かって移動して見たときの、この非刃要素14は、基本的にかみそり刃のうちの1枚に取って代わっており、また事実上、カートリッジをそれぞれ、カートリッジユニット10aとカートリッジユニット10b、つまり、非刃要素14の前方のカートリッジユニットと、非刃要素14の後方のカートリッジユニットとに分割しており、非刃要素14は望ましくは、カートリッジユニット10aと10bの両方に包囲されてもよく、あるいは一般的には、カートリッジ10内のキャップ17とガード16との間の任意の位置に配設されてもよい。
【0044】
そのような「2段」又は「多段」カートリッジは、剃毛に関する多数の利点をもたらし得るが、それらの利点の多くは、図4A及び図4Bと関連させて説明され、図4Bは、本発明の「2段」カートリッジ構想の別の実施形態を説明するものである。
【0045】
図1Aは、機能的なかみそり20をなすように、相互連結部材11aを介してハンドル11に動作可能に結合された図1のかみそりカートリッジ10を示している。本発明において、かみそりは全体として使い捨てであってもよく、あるいはかみそりは使い捨てカートリッジを有する再使用型ハンドルを含んでもよい。
【0046】
ここで図2を参照すると、図1の横断側面図が示されており、非刃要素がスロット15c内に配設され得ることが、またかみそり刃アレイ12(又は例えば「混合型」かみそり刃アレイ12)の中央に配置され得ることが分かる。望ましくは、非刃要素14は、単独の又は独立した要素であり、別のかみそり刃に取り付けられていない。この実施形態において、非刃要素14は、模型又は「ダミー」のかみそり刃であると考えられてもよい。
【0047】
図2において、「リンス通り抜けギャップ」(例えば、切断された毛及び細片が流れ込むためのものであり、一般にかみそり刃同士又はかみそり刃とガード若しくはキャップなどの固定点との間の最短距離を表すギャップ)がそれぞれ、第1のリンス通り抜けギャップ23a及び第2のリンス通り抜けギャップ23bに示すように、非刃要素14の前後に設けられている。第1のリンス通り抜けギャップ23aは、約0.05mm〜約0.5mm、望ましくは約0.1mm〜約0.2mmに及んでもよく、第2のリンス通り抜けギャップ23bは、約0.05mm〜約0.6mm、望ましくは約0.2mm〜約0.5mmに及んでもよい。一般に、標準的なかみそり刃カートリッジは、約0.5mm幅であるリンス通り抜けギャップ(例えば、事実上、かみそり刃同士の間の最短距離)を有し、約0.65mmの第1かみそり刃スパン(例えば、ガード16から第1のかみそり刃12aまでの距離)を有する。非刃要素14がカートリッジ10内に配設された状態で、リンス通り抜けギャップの間隔は一般に、特にかみそり刃が互いに接近して設置される場合に縮小され得る。
【0048】
第1のリンス通り抜けギャップ23aを非刃要素14の前に配設することにより、第2のかみそり刃12bによって切断された過剰な毛又は他の細片は、このギャップ23aの中に流れ込むことができ、カートリッジ内の更に後にあるかみそり刃の塞がりが回避される。更に、非刃要素14の後に配設された第2のリンス通り抜けギャップ23bが、切断された毛(例えば、非刃要素14のすぐ後方で第3のかみそり刃12dによって切断された毛)を流し込むための領域を設けることができる。
【0049】
第1のリンス通り抜けギャップ23aと第2のリンス通り抜けギャップ23bは同じ幅であってもよく、あるいは、一方のギャップは他方のギャップよりも幅の狭いものであってもよい。例えば、かみそり刃12eは、非刃要素14とかみそり刃12eとの間に流れ込む、切断された毛と過剰な細片をより多量に有し得るので、第2のリンス通り抜けギャップ23bよりも狭い幅を有する第1のリンス通り抜けギャップ23aを設計することが望ましいこととなり得る。
【0050】
図2に示すように、かみそり刃12bの刃縁部13bとかみそり刃12dの刃縁部13dとの間のかみそり刃先端部のスパン22は、それらの間に要素14を配設した状態で、約1.50mm〜約2.50mm、望ましくは約2.10mmに及ぶ。したがって、スパン22は、通常のかみそり刃先端部のスパン、又は非刃要素14を間に持たない隣接するかみそり刃同士の間のかみそり刃間スパン、例えば、図示のように、かみそり刃12aの刃縁部13aとかみそり刃13bの刃縁部13bとの間の、望ましくは約1.05mmである図2のスパン24の長さの約2倍となり得る。
【0051】
図1における5枚刃のかみそりカートリッジ10の第3の又は中央のかみそり刃位置に配設されて示されているが、本発明の非刃要素14は、任意の枚数のかみそり刃を有するかみそりカートリッジの任意の位置又はかみそり刃スロットに、その近くに、又はその中に配設されてもよい。5枚刃のかみそりカートリッジにおいて、非刃要素14は、通常は5枚のかみそり刃のために利用される、かみそりカートリッジの第1、第2、第3、第4若しくは第5の位置又はかみそり刃スロットのうちのいずれか、その近く、又はその中に配設されてもよく、残りのかみそり刃スロットはかみそり刃を有する。特に図2A、2B、2C、及び2Dを参照すると、本発明の非刃要素の、他に考えられる位置が示されている。例えば、非刃要素14は、図2Aに示されるように第1の位置又はかみそり刃スロット15a内に、すなわち1枚のかみそり刃12bに隣接して配設されても、図2Bに示すようにスロット15bの第2の位置に、すなわち2枚のかみそり刃12aと12cとの間に配設されても、2枚のかみそり刃12cと12eとの間にある、図2Cにおける第4の位置又はスロット15d内に配設されても、1枚のかみそり刃12dに隣接する、図2Dにおける第5の位置又はスロット15e内に配設されてもよい。非刃要素14は、図1に関しては、上述したように第3の位置又はスロット15c内に、すなわち2枚のかみそり刃12bと12dとの間に配設されて示されている。
【0052】
本発明では、図3A、3B、3C、及び3Dの例示的な実施形態に示されるように、2つ以上の非刃要素14をカートリッジ10のかみそり刃アレイ12内に配設することが更に企図される。例えば、図3Aにおいて、2つの非刃要素14a及び14bが、それぞれ第3及び第5の位置(又はかみそり刃スロット15c及び15e)に配設されている。非刃要素14a及び14bは任意のタイプのものであってもよいが、この実施形態において、非刃要素14aは望ましくは、エラストマー性のガード様の要素であってもよく、非刃要素14bは剥脱要素であってもよい。図3Bにおいて、2つの非刃要素14a及び14bが、それぞれ第2及び第4の位置(又はかみそり刃スロット15b及び15d)に配設されている。この実施形態において、非刃要素14aは望ましくは、エラストマー性のガード様の要素であってもよいが、非刃要素14bは、潤滑ストリップ要素であってもよく、あるいは、キャップ17の機能を補足するために、改良された剃毛補助材料を提供してもよい。図3Cにおいて、2つの非刃要素14a及び14bが、それぞれ第1及び第5の位置(又はかみそり刃スロット15a及び15e)に配設されている。図3Dにおいて、3個の非刃要素14a、14b、及び14cが、それぞれ第1、第3、及び第5の位置(又はかみそり刃スロット15a、15c、及び15e)に配設されている。
【0053】
3個以上の非刃要素がかみそり刃アレイ内に配設されてもよいが、かみそり刃アレイが別段に設計されない限り、非刃要素が増加すると、全体として、かみそり刃アレイ内に配設できるかみそり刃の枚数が減少することになるので、余分な非刃要素をかみそり刃アレイ内に有することは非実用的であると見なされ得る。
【0054】
しかしながら、一般には、カートリッジ10又はハウジング19(ハウジングは一般にフレーム15とガード16とを含む)の構造にほとんど変更を加えることなく、かみそり刃の種類及び個数を望ましく変更したもの並びに1つ以上の非刃要素14が本発明において設けられてもよい。
【0055】
ここで図4及び4Aを参照して、非刃要素をかみそり刃アレイ内に配設することの肯定的な影響について、より詳細に説明することにする。
【0056】
かみそり刃露出量は、かみそり刃にかかる皮膚荷重に影響を及ぼし得るものであり、皮膚荷重は、快適性、安全性及び効率などの剃毛属性に影響を与え得ることが知られている。したがって、ここで図4を参照すると、複数枚のかみそり刃又はかみそり刃アレイ12を有する従来のかみそり設計40(例えば、非刃要素がかみそり刃アレイ12内に配設されていない)のかみそり刃露出量が、ガード16及び/又はガードバー16a並びにキャップ17に対する個々のかみそり刃(12a〜12e)の配置によって規定されるものとして示されており、ガード/ガードバー及びキャップはそれぞれ、皮膚に対する第1及び第2の制御点を与えている。したがって、露出量は、キャップ17とガード16を通る相当に真っ直ぐな線44a(想像上の又は仮想の皮膚線)を引き、その真っ直ぐな線44aに対してかみそり刃縁部13a〜13e(又はかみそり刃先端部)が当たる位置に留意することによって決定されてもよい。
【0057】
図4において共に配列されたかみそり刃は、それぞれ2001年4月10日及び2001年4月17日に発行された「安全かみそり」という名称の米国特許第6,212,777号及び「安全かみそり」という名称の米国特許第6,216,349号において、漸進的な幾何学的配置を提示しており、これらの米国特許は共に、本願の譲受人に譲渡されている。結果的に、当該技術分野で知られているように、皮膚は概して、平坦に、あるいは仮想的な皮膚線44aで示されるようにガードバー16aとキャップ17との間の相当に真っ直ぐな線をなして横たわるという仮定に基づけば、このかみそり刃の配置が用いられると、かみそり刃12aがガードバー16aの高さの下方にあることによる、かみそり刃12aにおける負のかみそり刃露出量43、かみそり刃12cがガードバー16a又はキャップ17と同じ高さ又は平面にあることによる、かみそり刃12cにおける中立のかみそり刃露出量42、及び、かみそり刃12eの先端部がキャップ17の上方にあることによる、かみそり刃12eにおける正のかみそり刃露出量41が生じ得る。加えて、仮想的な皮膚線44aと相対して、かみそり刃12bは負の露出量を、かみそり刃12dは正の露出量を有し得る。
【0058】
かみそり刃12a及び12bの負の露出量43は、望ましくは約−0.18mm〜約−0.01mmの範囲内にあり、より望ましくは約−0.07mmとなり得るが、かみそり刃12d及び12eの正の露出量41は、望ましくは約0.18mm〜約0.48mmの範囲内にあり、より望ましくは約0.33mmとなり得る。
【0059】
一般に、負の露出量を有するかみそり刃は、毛を最適に切断すると同時に皮膚を保護する上でより優れたものとなり得るが、正の露出量を有するかみそり刃は、閉じ込められた毛を解放する上でより優れたものとなり得るので、かみそり刃アレイ内に正の露出量と負の露出量を有することは、有利にも望ましいこととなり得る。しかしながら、皮膚が単に表面をかすめられ、実質的にかみそり刃との接触が最小限となり、したがって快適性及び安全性などの剃毛属性が改善されるように、中立又はゼロの露出量をアレイ全体にわたって有することも望ましいこととなり得る。
【0060】
図4における露出量は望ましいものとなり得るが、これらの露出量は、皮膚が概して、仮想的な皮膚線44aで示すように、ガード16/ガードバー16aとキャップ17との間の比較的真っ直ぐな線をなして横たわるという仮説に基づいているため、理論の上で設計されたものである。言うまでもなく現実には、皮膚は軟質かつ柔軟であり、実際の皮膚流線44bは、かみそり刃にわたって流動するものであり、かみそり刃の様々な位置でかみそり刃先端部又は縁部の上部表面に適合するか、あるいはその上部表面に沿って存在することがあり、したがって、図4に示されるように、真っ直ぐな仮想的な皮膚流線44aにおそらくは一致しないこともある。
【0061】
図から分かるように、図4におけるかみそり刃12eなど、正の方向に露出したかみそり刃は、皮膚線44bを押し上げて仮想的な線44aから離し、より大きなかみそり刃先端部の荷重を生じ得るが、図4におけるかみそり刃12aなど、負の方向に露出したかみそり刃は一般に、かみそり刃12aが皮膚又は皮膚線44aを押し上げるのではなく、皮膚線44bがカートリッジの中に突き出てかみそり刃12a自体と接触することを利用し得る。この図は、ガード/ガードバーの付近で、また皮膚が流動する固定(又は制御)点を表すキャップの付近で皮膚を(したがって更には毛を)制御する方がおそらくは容易となり得ることを示すものである。一般に、これらの構想に従うと、この幾何学的制御は、かみそり刃がキャップ17又はガード16/ガードバー16aのいずれかから離れるにつれて、不正確となり得ることが分かるであろう。したがって、多くの状況において、カートリッジ10の中間又はかみそり刃アレイ12の中心の付近は、規定の皮膚/毛制御が損なわれ得る領域となり得る。
【0062】
従来のかみそりは、かみそりカートリッジ又はかみそり刃アレイの全体にわたって、皮膚及び毛の流動を適切に制御するが、以下で説明するように、(望ましくは、中央に配置された)1つ以上の非刃要素をかみそり刃アレイ12内に加えることにより、有利にも、皮膚の制御点が少なくとも1つ余分に挿入され、それにより、快適性及び毛の切断(例えば、接近性及び本数)を、したがって剃毛性能を更に改善するように、個々の又は少数のかみそり刃に対する幾何学的配置、皮膚の突き出しの微調整、露出量、そして更にはかみそり刃先端部の荷重をも更に制御することが可能となる。
【0063】
留意されたいこととして、図3A、3B、及び3Cの上述した実施形態において、2つの非刃要素14a及び14bがかみそり刃アレイに挿入されるが、ガード16及びキャップ17の制御点に加えて、これらの非刃要素によって2つの補助的な制御点が設けられる。再び図3Cを参照すると、1つの制御点が第1のかみそり刃12bの前に非刃要素14aによって設けられることができ、また1つの制御点が第3のかみそり刃12dの後に非刃要素14bによって設けられることができる。更に、非刃要素14a及び14bのタイプ及び機能範囲に応じて、本発明は、最小化された又は場合によっては存在しないガード16又はキャップ17の構造(図示せず)を有するかみそりカートリッジの実施形態を理論的に企図し得る。
【0064】
ここで図4Aを参照すると、少なくとも1つの非刃要素14を一般に、図4のかみそり刃アレイ12の中央に加えることにより、中心又は第3の制御点が(それぞれ第1及び第2のガード及びキャップによる制御点に加えて)効果的に設けられ、それにより、単一又は一群のかみそり刃の皮膚荷重の望ましい、あるいはより優れた操作性が付与される。第3の制御点により、事実上、2本の皮膚線が存在し得る。例えば、図4Aにおいて、仮想的な皮膚線を参照すると、ガードバー16aから非刃要素14へと向かう仮想的な皮膚流線44a’と、非刃要素14からキャップ17へと向かう仮想的な皮膚流線44a”が存在し得る。
【0065】
非刃要素14は、かみそり刃アレイ12のかみそり刃12a、12b、12d、及び12eと同じ平面上に横たわっても、異なる平面上に配置されても、それらの任意の組合わせで配置されてもよい。非刃要素14はまた、かみそり刃12b及び12dと同じ平面上に、ただしかみそり刃12a又は12eの平面とは異なる平面上に配置されてもよい。後者の構成では、非刃要素14に対し、かみそり刃12b及び12dの中立の露出がもたらされ、また、これらのかみそり刃は単に皮膚をかすめ得るものであるので、非刃要素の領域の付近では、皮膚にかかるかみそり刃先端部の荷重を低下させることができる。非刃要素はまた、上述したように、カートリッジ10内のキャップ17とガード16との間の任意の位置に配設されてもよい。
【0066】
また、かみそり刃12dが非刃要素14に対して負の露出量に設定されるように、かみそり刃の露出量を調節することが望ましいこととなり得る。例えば、図4Aから分かるように、かみそり刃アレイ12のかみそり刃12a、12b、12d、及び12eの露出量は、互いに対して、図4の露出量と同様に構成されているが、非刃要素14がかみそり刃12bと12dとの間に存在し、かみそり刃12b又は12dの一方又は両方と比べてわずかに高く配設されていることにより、固定された制御点だけでなく、これらの下部のかみそり刃の負の露出量が与えられている。したがって、かみそり刃12bのすぐ後で、非刃要素は、図4Aに示されるように、実際の皮膚線44bをその上部表面14aへと押し上げることになり、望ましくは、毛Hが押し込まれるのを防止することができ、かつ/又は、皮膚が押し上げられるのと同時に毛Hを持ち上げるかあるいは上昇させることもできる。説明の目的で、1本の毛Hのみが図4Aに示されている。非刃要素14に対するかみそり刃12dの負の露出量は、望ましくは約−0.3mmまでとなり得るが、この負の露出量により、剃毛行程が非刃要素14を通過し、その後方のかみそり刃12dに達したとき、望ましくはかみそり刃12dと皮膚44bとの接触が最小限となり、あるいは皮膚が効果的にマスクされ、かみそり刃12の接触を実質的に毛Hとのみとすることができる。これにより、望ましくは、各毛の長さのうちのより多くが切断されるように、毛Hをより皮膚に近い点H1にて切断することが可能となり、見逃された毛が切断される範囲が改善され、更にまた、切断される見逃された毛の本数が増加され、したがって、ユーザーによる剃毛の結果の認識が高められる(例えば、皮膚は剃毛の直後はより滑らかに感じられる)。
【0067】
非刃要素がかみそり刃アレイ内に存在すると、すべてのかみそり刃は望ましくは、皮膚と接触することを実質的に防止され得るが(例えば、快適性、滑り及び安全性が改善する)、かみそり刃が皮膚と最小限に接触するかあるいは接触しないことで(例えば、特に、上述のように非刃要素14の後のかみそり刃12dにおいて)毛の切断が改善されることと相まって、毛の高さを上昇させることにより、かみそり刃の毛との接触が向上される。
【0068】
しかしながら、かみそり刃アレイ12内のかみそり刃の各々に対して中立又はゼロのかみそり刃露出量が存在するように(例えば、かみそり刃と非刃要素が単に皮膚をかすめるように)、図4Aの非刃要素14が配設された場合、剃毛の快適性、滑り及び安全性などの属性もまた、剃毛の間に改善される。更に、理論的には、例えば、本発明の図3Dに示すように、各かみそり刃が非刃要素の後方に配置され、中立又は負の露出量を持たせて配列される場合、皮膚はかみそり刃先端部又はかみそり刃縁部と実質的に接触し得なくなり、ここでもかみそり刃は、切断される毛と実質的に接触した状態に維持される。これにより、表面的には、剃毛が非常に快適に、またより望ましくは皮膚に切り傷が付けられないことになる。そのような改善された皮膚の流動性はまた、剃毛の接近性に関してもプラスとなり得る。
【0069】
皮膚の流動性が改善されること、及び毛との接触が増すことに加えて、非刃要素がまた毛送給用の又は毛整列用の構造(例えば、図5B及び5Dに関連して以下に図示及び説明する突出部)を有する場合、毛の制御/流動性を更に向上させることができ、剃毛の効率を望ましくは改善することができる。
【0070】
したがって、その結果、1つ以上の非刃要素をかみそり刃アレイ12内に有することにより、一般には皮膚と毛の両方が望ましく管理され得る。図示しないが、本発明はまた、2個の非刃要素が、隣接する位置(例えば、かみそり刃の位置)に置かれることによって、あるいは互いに装着され同じかみそり刃の位置に置かれることによって、かみそり刃アレイ12の中央に配設され得る構成をも企図するものである。
【0071】
更に、1つ以上の非刃要素をかみそり刃アレイ内に配設することにより、有利にも、非刃要素がなければ通常のかみそりでは過度に鋭利となるか(例えば、切断の危険が非常に高い)あるいはユーザーにとって不快となり得る、より一層鋭利なかみそり刃(例えば、小さな切断力で)又は他のかみそり刃配列を利用することが可能となる。例えば、非常に鋭利なタイプのかみそり刃が望ましくは、そのような非刃要素のすぐ後方のかみそり刃の位置に配設され得る(例えば、かみそり刃12d)。
【0072】
ここで図4Bを参照すると、本発明の「2段」カートリッジの別の実施形態が示されている。
【0073】
上記のように、かみそりカートリッジ10のガード領域16は、より大きな摩擦力をカートリッジの前部に生じさせることで知られており、この摩擦力により、剃毛の間、かみそり刃の前方の皮膚が伸張され、望ましくは毛が整列されるが、一方で、キャップ17は一般に、その上を皮膚が滑るようにするための低摩擦要素であり、望ましくは潤滑性、滑らかな滑り、又は他の皮膚制御を更にもたらすものであることが知られている。
【0074】
カートリッジユニット10aの前部は、「第1の段」と考えられ得るものであり、図4Bに示されるように、従来のかみそりと同様に、ガード16及びガードバー16aと、2枚のかみそり刃12a及び12bと、非刃要素14の一部分又は全体とを有してもよく、従来のかみそりでは、この例の非刃要素14は、皮膚の管理又は潤滑など、第1の段に関する「キャップ」機能を提供し得る。
【0075】
カートリッジ10の前部に向けて配置されたカートリッジユニット10aは、ユーザーの毛及び皮膚に最初に接触するものであり、したがって、ユーザーの毛の大部分を剃毛するように、あるいは(例えば、剃毛を毎日行わない場合など)長い毛を除去できるように設計されてもよい。2009年8月17日に出願され本願の譲受人に譲渡された係属中の米国特許出願第12/542,141号、名称「剃毛かみそり及びカートリッジ」に記載されているように、この機能は、ガードバー16aが、かみそり刃の刃縁部を横切る突起部を備えて形成されており、それにより、ガードとかみそり刃との相乗作用がもたらされ、毛の流動性と皮膚の管理が改善される場合に改善され得る。
【0076】
カートリッジの「第2の段」、つまりカートリッジユニット10bにおいて、非刃要素14と、2枚のかみそり刃12d及び12eと、キャップ17が、カートリッジの後部にかつキャップ17の前部に配置されている。第2の段の非刃要素14の少なくとも一部分は、望ましくは、通常のガードと同じように作用するか、あるいは、上述したような皮膚管理の改善など、ガードと同様の機能を有し得る。このカートリッジユニット10bは、「第1の段」、つまりユニット10aから受け継いだ、見逃されたあるいは問題のある毛を対象としてもよい。
【0077】
この多段カートリッジは、すべての毛が切断される機会を2回、つまり各段階に1回、与えることができる。これにより、切断困難な毛を切断する機会が、2回得られ、したがって、切断困難な毛が各剃毛で実際に切断される(例えば、見逃されない)かあるいは更に切断される(例えば、皮膚線で又はその付近で)見込みが改善される。
【0078】
上述した第1の段は、毛の大部分を望ましくは除去している可能性があるため、カートリッジユニット10bの水洗能力は、第2の段では、第1の段ほどには問題とならないことがあり、それにより、塞がり又は水洗能力の問題を伴うことなく、第2の段において、第1の段よりもスパンを狭くすることが可能となる。図4Bにおいて、これらのスパンには、第2の段にある非刃要素14とかみそり刃12dとの間のスパンSP3及びかみそり刃12dとかみそり刃12eとの間のスパンSP4が含まれ得る。一般に、狭いスパンを有するかみそり刃は、剃毛性能を改善し得ることが知られている。したがって、図4Bに示すように、カートリッジユニット10bの第3及び第4のかみそり刃12d及び12eは、カートリッジユニット10aのかみそり刃12aと12bとの間のスパンSP1よりも狭いかみそり刃スパンSP4を有し得る。
【0079】
通常の(非刃要素を持たない)かみそりカートリッジにおいては、一般に、主かみそり刃スパン、つまり、固定制御点(例えば、ガードバー16a又はガード16)と第1のかみそり刃12aとの間に位置するスパンが1つのみ存在する。主かみそり刃スパンは、近くの固定制御点(例えば、ガード/ガードバー)を有する幾何学的配置を適切に制御する能力をもたらす。
【0080】
図4Bは、2つの主スパンを有することを企図するものである。例えば、固定制御点(例えば、ガードバー16a又はガード16)と第1のかみそり刃12aとの間に位置する第1の段の主スパンSP0と、第2の段、つまりカートリッジユニット10bのスパンSP3とが存在してもよく、スパンSP3は、第1の段の主スパンSP0が固定制御点(例えば、ガードバー16a又はガード16)と第1のかみそり刃との間に位置するのと同様に、固定制御点(例えば、非刃要素14)とかみそり刃12dとの間に位置するので、第2の段の主スパンと考えられてもよい。
【0081】
一般に、カートリッジ全体にわたってスパンが狭くなるにつれて(例えば、主スパン及びかみそり刃の先端部同士のスパン)、皮膚はカートリッジの中へあまり突き出さなくなり、切り傷と不快感もあまり実感されなくなる。本発明において、第1の段の主スパンSP0は約0.01mm〜約1mmの範囲に及んでもよく、かみそり刃先端部スパンSP1は約0.5mm〜約1.5mmの範囲に及んでもよく、副スパンSP2は約0.5mm〜約2.0mmの範囲に及んでもよく、第2の段の主スパンSP3は約0.01mm〜約1mmの範囲に及んでもよく、かみそり刃先端部スパンSP4は約0.5mm〜約2mmの範囲に及んでもよく、かみそり刃先端部スパンSP5は約1.5mm〜約2.5mm、望ましくは約2.10mmの範囲に及んでもよい。
【0082】
また、留意されたいこととして、図4Bの非刃要素の前及び後のリンス通り抜けギャップの寸法は、図示されていないが、図2の第1及び第2のリンス通り抜けギャップ23a及び23bの寸法と同等であってもよい。
【0083】
例えば、中立又は負の露出量を有するかみそり刃は、実質的に皮膚と接触しなくてもよく、あるいは図4A又は図4Bに示されるように皮膚をかすめるだけでもよいことが既知であるので、本発明の第2の段、つまりカートリッジユニット10bはまた、従来のかみそり刃アレイと比べて、更に鋭利なかみそり刃及び/又はより高い「かみそり刃接触角度(BTA)」を有するかみそり刃を有するように改良されてもよく、この後者の場合は図4Dに示されている。
【0084】
特に、このBTAに関して言えば、かみそり刃と皮膚線との間の角度を示すことが一般に公知である。また、この角度を増加させることにより、より一般的な第1の段、つまりカートリッジユニット10aが見逃した可能性のある毛を第2の段で捕捉することが可能となる。しかしながら、BTAを大きくすると接近性が改善され得るが(例えば、より多くの毛が切断される)、通常は快適性が失われ(例えば、かみそり刃が皮膚の上で引きずられ、皮膚に損傷を与えることがある)、対照的に、BTAを小さくすると快適性が改善されるが、通常は接近性が失われるので、BTAの調節は、設計において事前の計画を必要とする。
【0085】
BTAに関連して、図4C及び4Dは、本発明の2つの構成を示している。図4Cにおいて、かみそり刃接触角度47は、皮膚線44bに対して約20度〜24度の範囲に及んでよく、望ましくは約22.5度であってもよい。図4Cは、図4Aの構成で見出され得るBTAを表現し得るものである。
【0086】
図4Dにおいて、BTA 48は、皮膚線44bから約25度〜30度の範囲に及んでもよく、望ましくは約28度であってもよい。加えて、図4Dは、図4Bのスパンと類似した狭いスパンを有して示されている。図4Cと比較して、図4Dに示すスパンは狭く、BTAは増大されていることにより、少なくともかみそり刃12dの負の露出量43と相まって、望ましくは、皮膚にかかるかみそり刃先端部の荷重が改善され、皮膚の損傷を伴わずに切断される毛の本数が増加し得る。
【0087】
そのような多段カートリッジは有利には、本発明の非刃要素の新規な応用をもたらし得る。例えば、多段カートリッジは、中心に配置される非刃要素の前後で異なる機能を有し、そのため種々のタイプの毛及び/又は種々の毛領域(例えば、首、顎、顔、体)を対象とするように多様な選択によって設計されてもよい。例えば、切断困難で低く横たわる毛の切断は、図4Dの構成で改善され得る。
【0088】
したがって、本発明の非刃要素を用いて多段カートリッジを構成して、概ね中心の制御点を設ける上で、非刃要素、ガード及びキャップなどの制御点に対して、かみそり刃のタイプ、角度、スパン、露出量、及びかみそり刃の枚数など、相互に関連する複数の変数の釣り合いをとることは一般に、毛を効果的に切断する一方で皮膚に損傷を与えることのない最適な設計をもたらすために重要となり得る。
【0089】
本発明の非刃要素又は制御点が存在することにより、従来のかみそりカートリッジで可能となる範囲と比べて、より広範な範囲で、これらの相互に関連する変数を微調整することが可能となり、それによって更に多くの利点がもたらされ得る。
【0090】
上述のように、望ましくは、かみそり刃の鋭利さ及び角度を増すことができ、スパンを縮小することができ、露出量を中立又は負にして、皮膚に損傷がないように、また(長さと本数の両方で)更に多くの毛を切断するようにすることができる。更に、非刃要素は、望ましくは、高い摩擦力を発生させることなく皮膚と毛を通過させることになり、したがって、非刃要素は、かみそり刃アレイ内の実質的に低摩擦の要素として維持される。
【0091】
しかしながら、留意されたいこととして、多段カートリッジ(例えば、カートリッジユニット10a及び10b)におけるかみそり刃のタイプ、角度、露出量、及び枚数の任意の構成、並びに任意のタイプの非刃要素が、本発明において企図される。
【0092】
非刃要素自体の設計に関して言えば、「2段」カートリッジにおいて、非刃要素14は、第1の段のキャップと第2の段のガードの双方として働き得るので、そのような多段カートリッジの非刃要素14は、(例えば、刈り取りから刈り取りへと向かう方向に移動して)長さ方向の各部分に二分化されてもよい。非刃要素は、図5Eに関連して以下でより詳細に説明するように、カートリッジユニット10aの側の長さ方向に沿った潤滑ストリップ、及び/又は、カートリッジユニット10b側の隣接する長さ方向の突起若しくは他のガード様の要素を有してもよい。潤滑ストリップ部分は、キャップの機能、例えば、潤滑性、滑らかな滑り、又は他の皮膚制御をユニット10aに与えるのを支援し得るが、突起部は、一般には切断又は剃毛プロセスの間に毛を整列させ支持するように働くガードの機能をユニット10bに与えるのを支援し得るものである。
【0093】
ここで図5A〜5Qを参照すると、本発明の範囲に含まれる非刃要素50の様々な設計が示されている。説明するこれらのタイプの非刃要素は一般に、高分子材料、エラストマー材料、発泡体、金属、又は他の材料からなっていてもよく、また、潤滑、剃毛補助、又は剥脱の能力を備え、したがって一般には射出成形又は機械加工プロセスによって形成された材料を含んでもよい。
【0094】
例えば、図5Aにおいて、実質的に平面的又は平坦である上部表面51と長さ51aとを有する非刃要素50aが示されている。非刃要素の長さ51aは一般に、従来のかみそり刃とおおよそ同じ長さであってもよく、約35mm〜40mm、又は望ましくは約36mmであってもよい。非刃要素50aの上部表面51は、任意の形状を取るように形成又は成形されてもよい。図5Aに示されるように、要素50aは上部表面51を有してもよく、上部表面51は、ガード16からキャップ17に向かってカートリッジ10の幅方向に移動して見ると、望ましくは最大で約0.2mmの幅を有する前方部分51dにおいてわずかに丸みをおびるか湾曲しており、望ましくは最大で約0.3mmの幅を有する中央部分51eにわたって実質的に平坦であり、次いで、望ましくは最大で約0.4mmの幅を有する傾斜したあるいは下向きの後方部分51fを有している。非刃要素50aの全幅は、約0.1mm〜約1.2mmの範囲をなし、望ましくは約0.3mm〜約0.5mmである。非刃要素50aの高さ51cは一般に、約1.5mmであってもよい。非刃要素50aの取り得る他の形状は、かみそり刃の外形又は輪郭(図示せず)と類似した形状であってもよい。
【0095】
非刃要素50aの寸法は一般に、通常のかみそり刃アレイ又はかみそりカートリッジ内への配置を容易にするために、望ましくは通常のかみそり刃と同じ範囲内にあってもよい。
【0096】
図5Bにおいて、微小な突出部、突起部又はナブ52が、図示のように非刃要素50の上部表面又はベース51上に配設されている。本発明は、任意の個数のナブ52を企図するものであり、これらのナブ52はそれぞれ、望ましくは構造において類似していてもよい。
【0097】
ナブ52は、非刃要素50の長さ全体にわたって、間隔に応じて約50個〜150個、望ましくは50個であってもよく、本発明の非刃要素は一般に、かみそり刃とおおよそ同じ長さに延在してもよい。各ナブ52は、非刃要素50のベース又は表面51からナブ52の上部表面52’にかけて測定して約0.25mm〜約1mm、望ましくは約0.50mmの高さと、前面52c又は背面52c’にわたって測定して約0.15mm〜約1mm、望ましくは約0.2mm〜約0.3mmの幅と、ナブ52cの前面からナブ52c’の背面にかけて、あるいは前縁部52bから後縁部52b’にかけて測定して約0.3mm〜約1.5mm、望ましくは約0.8mmの長さを有し得る。ナブ又は突出部52は、通常のガード構造に見出されるものと類似したものであってもよく、あるいは、この非刃要素50bに関しては、以下で説明するナブ52及び開放スロット52aが望ましくはより小さな寸法を有することを除き、例えば、2009年8月17日に出願され本願の譲受人に譲渡された係属中の米国特許出願第12/542,141号、名称「剃毛かみそり及びカートリッジ」に記載されているように、別の形で形成又は構成されてもよい。
【0098】
図5Bの拡大図を参照すると、隣接する2個の突出部52の詳細な斜視図が示されている。開放スロット52aが、互いに隣接して配設された1対の突出部52の間に画定され得る。人間の毛の太さは約0.10mmであり得るので、開放スロット52aの幅が約0.1mm未満である場合、その毛はスロット52a内に捕捉され、他の毛が適切にスロットを通過して非刃要素の後方又は前方のかみそり刃に達するのを妨げることがある。スロット52aの幅が小さすぎる場合、スロット52a及び非刃要素に隣接するかみそり刃の適切な水洗が妨害され得る。剃毛補助剤、毛、埃及び細片が、スロット52a内に、また隣接するかみそり刃の周りに閉じ込められ、したがって、かみそり刃が毛を切断する効率が低下することもある。長い毛ほど閉じ込められやすく、水洗して落とすことが困難となり得るので、頻繁に剃毛しないユーザーにとって、このことは更に重大となり得る。また、長い毛自体が更に毛、剃毛補助剤、埃、及び細片を閉じ込めやすくなり得る。
【0099】
前述の隣接する1対の突出部52はスロット52aを画定しており、スロット52aは、毛との相互作用をほとんどあるいは全く伴わずに毛を追跡するように寸法を定められており、そのため、毛が突出部52によって捕捉されたり、閉じ込められたり、引っ張られたりすることがなく、それによって不快感を生じることもない。スロット52aと突出部52は、毛の邪魔にならないように、可能な限り小さく離間されている。スロット52aと突出部52はまた、スロット52a内への皮膚の突き出し及びスロット52aの端部の各点における圧力を減じるように寸法を定められており、これらは突出部52a又はスロット52が過度に離間している場合に結果として生じ得るものである。皮膚の突き出しは、かみそり刃縁部(例えば、特に不図示のかみそり刃12d)が不必要に皮膚を切断することにつながり、結果として不快感を生じることになり得る。非刃要素50bの長さ方向の全体にわたる比較的多数の突出部52は、カートリッジ10によって皮膚に加えられる力を分散するように働き得るが、一方で、スロット52aの個数を増加することによっても、非刃要素のスロット52aを通過する毛の本数を増加させることができ、これにより、本発明に関しては図1のように構成された場合、例えば,かみそり刃12d(図示せず)のかみそり刃縁部13dによって適切に切断される毛の本数を増加させることができる。
【0100】
したがって、ナブ52を非刃要素50b上に配設することの主な利点は、望ましくは、スロット52aを介して非刃要素50bの後方の1枚及び/又は複数枚のかみそり刃(例えば、図1におけるかみそり刃12d及び12e)へ向けて、毛が配置又は供給及び整列されることであり、これによって望ましくは効率が改善され得る。加えて、突出部52は、皮膚領域においてマッサージするかあるいは血流を増加するように働き得る。
【0101】
スロット52aは、前端部分52bから後端部分52b’にかけて同じ幅を有してもよく、あるいはスロットの幅は先細となっていてもよい。スロット52a’の前端部分52bは毛を受容し、スロットの後端部分52b’は、切断のためにカートリッジ(図示せず)の後部のかみそり刃にその毛を送給する。前端部分52bは、約0.1mm〜約0.5mm、望ましくは約0.20mmの幅w1を有し得る。後端部分52b’は、先細のスロット52aを設けるために、w1よりも狭い幅w2を有してもよく、この先細のスロット52aは、毛を漏斗状にして非刃要素の後方のかみそり刃に送るためのものである。スロット52aの前端部分52bは、面取り部又は導入部(図示せず)を有してもよく、その導入部は、毛の移動及び通過をより効率的にするために、前端部分52bから後端部分52b’にかけて先細となったものである。
【0102】
図5Bにおけるナブ52のうちの1つの第1の側面52dと、隣接する突出部の第1の側面52d’との間にわたる開放スロット52aのピッチ又は間隔は、約0.2mm〜約1mm、望ましくは約0.2mm〜約0.4mmであってもよい。
【0103】
図示しないが、スロット52aは、隣接する突出部52の前面52cを越えて延びていてもよく、結果として、スロットの長さは、隣接する突出部52の長さよりもわずかに長くなる。
【0104】
突出部52の高さは、先細となるかあるいは上又は下に段付きになっていてもよく、そのため、スロット52aの前端部分52bの付近での突出部52の高さが、スロット52aの後端部分52b’の近くでの突出部52の高さよりも高く、あるいは低くなっていてもよい。段付きの又は上向きに角度をなす設計は、非刃要素50bの強度を向上することができ、スロット52aの中に入る毛の追跡を改善することができる。一般に、かみそりカートリッジに設けられた図5Bの構成は、短い毛と長い毛の両方を対象とし得る。
【0105】
図示のように、ナブ52は、毛がかみそり刃に対して横方向に(例えば、ガード16からキャップ17に向かってカートリッジ10の幅方向に)スロット52aの中に流れ込むように配設されている。本発明による上述した横方向の構成に加えて、ナブ52はまた、実行可能として望まれる場合、かみそり刃の刃縁部に対して平行に、角度をなして、ジグザグ、山形、ヘリンボーン又は市松模様のパターンをなして、あるいはそれらの任意の組合わせで延びていてもよい。
【0106】
ここで図5Cを参照すると、非刃要素50cが示されており、この非刃要素50cは、上部表面51上に配設された波形53若しくは小さな波しわの反復パターン、磯波の起伏部又は他の類似のパターンを有している。波53は、図5Cの拡大図に示されるように、角度53aで示されるような、望ましくは15度、最大で約60度の斜角開口部、及び、約0.30mm〜約0.80mm、望ましくは約0.50mm〜約0.60mmのピッチ又は間隔53bを有する波を示している。この波の高さ又は深さ53cは、約0.20mm〜約1mmの範囲をなし、望ましくは約0.50mmとなり得る。波53の個数は、非刃要素50cの長さ方向にわたって約50個〜約100個の範囲をなし、望ましくは約75個となり得る。
【0107】
斜角開口部及び波53の他の寸法に応じて、かみそりカートリッジに設けられた図5Cの構成は、カートリッジの前部の通常のガードでは見逃され得る、低く横たわる短い毛を適切に対象とし得る。
【0108】
図5Dにおいて、本発明の非刃要素50d上にある1つ以上の突出部54が示されているこれらの突出部は、ナブであってもフィン様の要素であってもよい。突出部54は望ましくは、金属、プラスチック、又はエラストマー材料で作製され得る。突出部54は、かみそり刃の刃縁部に対して平行であるか、垂直であるか、互い違いであるか、パターン形成されているか、角度をなす(あるいはそれらの任意の組合わせをなす)1以上の行又はアレイをなして配列されてもよい。図5Dに示すように、突出部54は、非刃要素50dの長さ方向に沿って延びる2つの列54a及び54a’をなして配列され、また、突出部の間にある複数の開放スロット54b’を備えて配列されており、これらの開放スロット54b’は、剃毛の間に毛を自在に通過させるためのものである。
【0109】
各ナブ様の要素54は、約0.10mm〜約1mm、又は望ましくは約0.4mm〜約0.5mmの幅54b、及び、約0.30mm〜約1mm、又は望ましくは約0.5mm若しくは0.60mmの高さ54dを有し得る。突出部は開放スロット54cを有することができ、開放スロット54cは、約0.15mm〜約0.8mm、望ましくは0.20mmの幅と、約0.25mm〜約2.0mm、より望ましくは約0.60mmのピッチ又は間隔54c’を有する。
【0110】
図示のように、突出部54は、わずかに丸みの付いた先端部又は湾曲した上部表面54’を有してもよいが、上部表面54’の任意の形状が本発明において企図される。
【0111】
突出部54の各行において、約50個〜80個の突出部54、又は望ましくは約65個〜70個の突出部54が、非刃要素50dの上部表面51の長さ51aの方向に沿って配設されていてもよい。図5Bのナブ52に関連して上述したように、突出部54はまた、非刃要素50dの長さ51aの全体にわたって等しい寸法を備えて、あるいは、異なる寸法(例えば、先細となるか若しくは減少する幅又は突出部の寸法)を備えて、あるいは、それらの任意の組合わせで配列されてもよい(図示せず)。
【0112】
丸みの付いた又は湾曲した上部の形状構成を有することにより、図5Dの突出部54は、好ましい皮膚荷重を与えることができ、また、2行の突出部54を有することにより、非刃要素の後方のかみそり刃が毛を切断できるように、毛は理論的に、より良好に持ち上げられるか、あるいは整列され得る。
【0113】
図5Eにおいて、フィン様の要素55と潤滑ストリップ56との組合わせが示されており、各々が非刃要素50eの長さ全体にわたって延びている。この二分構成は、図4Bに関連して上述したように、多段カートリッジに有益となり得るものであり、例えば、この非刃要素は、第1のカートリッジユニット10a又は第1の段においてはキャップ又は潤滑ストリップとして機能し、第2のカートリッジユニット10b又は第2の段においてはガードとして機能する。非刃要素50eのフィン様の要素55は、図5Dに関連して上述したタイプのもの又はそれに類似したものであっても、寸法がより微細でかつより柔軟なものであってもよい。潤滑ストリップ56は、任意の既知のタイプの潤滑ストリップの材料を含んでもよく、例えば、アロエ、ビタミンE、無機質又は油を含んでもよい。非刃要素50eの2つの部分55及び56は、限定するものではないが、シール、接着剤又は他の既知の機械的手段など、任意の既知の望ましい取付け方法で互いに取り付けられてもよい。可能な場合、3つ以上の部分が互いに取り付けられて、本発明の1つの非刃要素50eを形成してもよい。
【0114】
図5Fに示されるように非刃要素50fの長さ51aの全体にわたって延びる領域又は谷57が形成されており、望ましくは、谷57の中に配設される任意のタイプの組成物又は剃毛補助剤などの材料57aを含んでもよい。この組成物又は剃毛補助材料は、望ましくは、皮膚、毛、水又は他の液体が非刃要素50と接触したときに滲み出されるかあるいは染み出されて、剃毛の間の皮膚の流動制御を改善し得るものである。
【0115】
図5Gにおいて、ナブ52とフィン様の要素55との組合わせが、非刃要素50gの長さ方向に沿った様々な部分において示されている。例えば、図5Eのものと類似したフィン様の要素55が外側部分50g”上に配列されている一方で、図5Bのナブ52が、図5Gに示すように要素50gの中央領域50g’に配列されていてもよい。この配列は、フィン様の要素が配設されている外側部分50g”におけるかみそり刃の端部の付近では、更なる快適性又は皮膚の保護をもたらし、ナブが配設されているかみそり刃の中央領域50g’の付近では、毛の流動又は制御を改善することができる。任意のタイプの非刃要素のそのような任意の組合わせが本発明において企図されることに留意されたい。
【0116】
図5Hは、上部表面51上に配設された剥脱層58を備える非刃要素50hを示している。そのような剥脱層は望ましくは、皮膚層の少なくとも一部分を、例えば、薄片又は鱗屑として除去できる細粒研磨コーティング又は表面組織を備えてもよい。また、本発明の剥脱層58は、皮膚領域への血流を増加させてもよく、あるいは、(例えば、死滅細胞を除去するために)皮膚の上部層のごく一部分をはぎ取るかあるいは剥がし落とすことができる成分を含んでもよい。
【0117】
図5Iは、スポンジ又は発泡体59とした非刃要素50iを示しており、このスポンジ又は発泡体59は、潤滑剤などの剃毛補助材料を埋封されていても埋封されていなくてもよい。潤滑剤を埋封された場合、要素50iは、滑りを改善し、皮膚の流動及び/又は他の皮膚の改善若しくは保護を高めることができ、皮膚は非刃要素50iの上を滑らかに移動する。そのような皮膚の制御又は管理は、例えば図1に示すように非刃要素50iがカートリッジの中間に配置される場合、望ましいものとなり得る。
【0118】
図5Jは、望ましくは改良型又は機能拡張型のかみそり刃支持体として形成された非刃要素50jを示しており、このかみそり刃支持体は、任意の材料で作製されるが、有利には、従来よりかみそり刃支持体に用いられてきた金属と同じ種類の金属からなるものである。図5Jにおける下向きの矢印は、非刃要素50jとかみそり刃12a、12b、12d、及び12eをカートリッジ10へとトップダウン式で搭載することを示している。
【0119】
図5Kに示される図5Jの横断側面図において、本発明の非刃要素50jは、L字形状、かみそり刃の輪郭など、任意の形状を有してもよく、あるいは、図5Kに示すような望ましくは湾曲した若しくは丸み付きの前縁部又はフック様の構造59を有してもよい。湾曲又はフック様の構造59は、皮膚が非刃要素50jを通り過ぎるときに皮膚が接触するための、より滑らかな表面をなし、それによってユーザーの快適性を改善している。
【0120】
本発明は、改善されたかみそり刃支持体型の非刃要素50jに関し、実現可能な任意の構造を企図するものである。例えば、図5Jに示すように、要素50jは、一体型又は単一の要素(例えば、1つの部品)であってもよい。したがって、非刃要素50jを製造する一方法は、かみそり刃支持体を改善し、かみそり刃支持体の頂部にかけてかみそり刃に刃縁部を溶接するのではなくかみそり刃支持体の輪郭を延長することであってもよい。要素50jはまた、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は他の望ましい被覆剤で被覆されてもよい。標準的なかみそり刃支持体と類似した構造を有することにより、要素50jは、装置の改良を必要とすることもその費用を要することもなく、従来のかみそりカートリッジ装置でうまく取り扱われることが可能となる。
【0121】
そのような非刃要素(図示せず)を製造する別の方法は、かみそり刃支持体の部分に非刃要素を溶接するか、装着するか、あるいは他の形で(例えば、接着剤又は機械的若しくは熱的手段によって)取り付けることによって、改良型かみそり刃支持体の頂部領域又は上部に非刃要素(図5A〜5Iに関連して説明したものなど)を結合するかあるいは取り付けることであってもよい。これは、二体式の改良型かみそり刃支持体構造と見なされてもよい。例えば、かみそり刃支持体は、1つ以上のフィン様の要素又は突出部を上部表面上に含むかあるいは配設して、別のタイプの改良型かみそり刃支持体、又は非刃要素の後方のかみそり刃に向かって毛を送出するかあるいは持ち上げることが可能な本発明の範囲に含まれる非刃要素を形成するように拡張されてもよい。したがって、本発明の非刃要素は、実用的となる場合、一体式又は二体式以上の改良型かみそり刃支持体を含んでもよい。いずれの場合においても、非刃要素は、刃要素とはならない。
【0122】
一体式及び二体式の非刃要素が図5Lに示されているが、図5Lはまた、本発明の別の実施形態を示しており、この実施形態において、非刃要素154a又は非刃要素154bは、一種の櫛、又は複数の歯を有する櫛様の機構として形成されるか、あるいはそれらを追加された上部表面を有してもよく、それら複数の歯は望ましくは硬質であってもよいが、軟質であっても半硬質であっても、あるいはそれらの任意の組合わせであってもよい。非刃要素1540aの上部表面は、角形の縁部154a’を有するものとして示されているが、非刃要素154bの上部表面は、先細の縁部154b’を有するものとして示されている。
【0123】
非刃要素は、二体式の組立体155aであっても一体式の組立体155bであってもよい。図5Lのかみそり刃アレイ152に示されるように、二体式の組立体のタイプ155aは望ましくは、非刃要素154bの前部の2枚のかみそり刃152a、152bと、後部の2枚のかみそり刃152d及び152eとを有するかみそり刃アレイ152の中央に配置されてもよく、二体式の組立体155aとして示されている。櫛形の非刃要素154bは望ましくは標準的なかみそり刃と類似した幾何学的形状を有しており、したがって、レーザー溶接又はかみそりの当業者に知られている他の技術で、通常のかみそり刃支持体要素151に接合され得るので、非刃要素154bのこの二体式の組立体は、標準的なかみそり刃組立体と類似した方式で生産され得る。
【0124】
同様にかみそり刃アレイ152の中央に配設されて示された一体式の組立体155bは、ユーザーの皮膚表面に接触する非刃要素154aの、角形の縁部をなす上部表面154a’を有しており、単一の曲線部要素として、あるいは、図5J〜5Kに関連した上述したような改良型かみそり刃支持体として形成されている。
【0125】
非刃要素154aと154bはいずれも、標準的なかみそり刃及びかみそり刃支持体組立体に対する「落とし込み式」の交換品と見なされてもよい。
【0126】
ここで図5Mを参照すると、本発明の別の代替的な実施形態が示されており、非刃要素155cが、単一の曲線部要素154cを有するものとして示されているが、非刃要素155cが望ましくは皮膚表面に接触する丸み付きの上部表面154c’を更に含み得ることを除き、この非刃要素155cは、図5Lの一体式の櫛形構造をなす非刃要素155bと類似したものである。上記のように、非刃要素155cは、かみそり刃アレイ152の中央の位置に示すように、標準的なかみそり刃及びかみそり刃支持体の組立体に対する「落とし込み式」の交換品と見なされてもよい。
【0127】
図5Nは、本発明の更に別の代替的な実施形態を示しており、非刃要素155dが、皮膚表面に接触する丸み付きの上部表面154d’を有する単一の曲線部要素154dとして示されている。しかしながら、図示の方向付けは、図5L及び5Mに示す櫛形の実施形態のものとは逆転されている。図示の非刃要素154d内に示された開口部156は、組立の間に非刃要素155dがカートリッジのバネ指を緩めるかあるいはそのバネ指の上に滑るように、寸法と形状を定められてもよい。
【0128】
図5Nにおける方向付けが逆転された櫛は望ましくは、図5L及び5Mの他の櫛形の非刃要素と類似した方式で皮膚と接触し得る。非刃要素155dが、図5Nに示されるように後方のかみそり刃152dへと後ろ向きに延びることにより、非刃要素155dは望ましくは、図5L及び5Mの実施形態と比べて、後方の刃縁部に至るまで毛をより良好に導き得るが、図5L及び5Mは、後方のかみそり刃152dのかなり前方にある櫛形機構を示しており、したがって、理論的には、後方のかみそり刃に至るまで毛を適切に導き得ないものである。
【0129】
この逆転した方向付けは更に、皮膚との接触半径を最大化し、後方のかみそり刃縁部に毛を案内するように働くことができる。接触半径については、以下で更に詳細に説明することにする。しかしながら、上記のように、非刃要素155dは、かみそり刃アレイ152の位置に示すように、標準的なかみそり刃及びかみそり刃支持体の組立体に対する「落とし込み式」の交換品と見なされてもよい。
【0130】
図5L〜5Nに関連して上述した櫛を備える非刃要素は、他のタイプの非刃要素と共に説明したように、前方にあるかみそり刃152b又は非刃要素に続くかみそり刃152dに近接して(例えば、約50μm以上)配置され得る。一般に、図5L及び5Nの実施形態のリンス通り抜けギャップは、図2に関連して上述したものと類似した寸法をなしてもよい。同様に、スパン、BTA、及び露出量は、例えば図4Dで上述したように、同様に改良されてよく(例えば、スパンを狭め、BTAを増加し、後方のかみそり刃の露出量を負にする)、望ましくは、皮膚にかかるかみそり刃先端部の荷重を改善し、皮膚の損傷を伴うことなく切断される毛の本数を改善することができる。
【0131】
非刃要素によって整列及び案内された毛を見逃すことがないように、後方のかみそり刃又は非刃要素のすぐ前のかみそり刃を非刃要素に非常に近接して置くと望ましいことが判明している。
【0132】
本発明に従って、非刃要素の櫛又は歯の構造面の望ましい寸法範囲が、図5Oにより詳細に示されている。例えば、図5L及び5Nにおいて上に示した非刃要素の歯162の幅は、望ましくは約100μm〜約2000μmの範囲に及び、より望ましくは約500μmであってもよく、歯164同士の間に画定されるギャップの幅又は開放スロットは、望ましくは約100μm〜約2000μmの範囲に及び、望ましくは約500μmであってもよい。一般に、ギャップの幅164により、剃毛の間に毛が自在に通過できるようになる。ギャップの深さ(又は歯の高さ)166は、望ましくは約100μm〜約2000μmの範囲に及び、望ましくは約650μmであってもよく、その一方で、ギャップのピッチ168は、一般にギャップの幅164と歯の幅162の寸法を互いに加算することによって推定され得るものであるが、望ましくは約200μm〜約4000μmの範囲に及び、望ましくは約1000μmであってもよい。全体的な深さ(又は全体的な高さ)は、非刃要素のギャップの深さ166と底部の深さ方向の区間166aとを含み得るが、一般には、標準的なかみそり刃組立体とおおよそ同じ、典型的には約0.09インチ、つまり約2.29mmであってもよい。各歯の長さ(又は厚さ)165は、図5Pに示されるように、約75μm〜約250μmの範囲に及んでもよく、より望ましくは約150μmであってもよい。
【0133】
また留意されたいこととして、本発明に従えば、本明細書に記載するこれらの寸法のいずれかが、非刃要素の長さ方向に沿って一定であっても可変であってもよい。
【0134】
ここで図5Qを参照すると、限定されるものではないが本発明によって企図される様々な「櫛形」の実施形態の頂面図が示されている。非刃要素172における歯の方向付けは、直線的であってもよく、あるいは一般に、剃毛の方向に対して平行であってもよい。歯の方向付けは、非刃要素174においては、ある角度を右になしていてもよく、非刃要素176においては、ある角度を左になしていてもよく、非刃要素178においては、ある角度を中央に向かってなしていてもよい。方向付けが異なることにより、剃毛されている皮膚の領域に利点がもたらされ得る。例えば、ある角度をなす方向付けは、首、顎、膝、又は脇の下など、剃毛困難な領域における剃毛(例えば、効率)を改善し得る。
【0135】
有利にも、図5L、5M、及び5Nに示すものなど、上部表面に櫛を配列又は追加された非刃要素は、望ましくは、上記の実施形態(例えば、図5B、5D)においてもそうであるように、皮膚表面の下方で閉じ込められた毛、又は他の低く横たわる毛を自由にする又は解放するために、皮膚を振り動かすように働くことができ、したがって、毛が回転して横にそれることが防止され、また、毛の飛び越しが防止又は低減されると共に水洗の利点がもたらされる。非刃要素上のそのような櫛又は櫛様の機構(例えば、歯)は、望ましくは、それに続く基端側のかみそり刃が長さと本数の両方においてより多くの毛を切断するように、毛を整列させ、次いでそれらの毛を時間内に離すのを支援することができる。したがって、これらの剃毛困難な領域が、非刃要素上の櫛又は他の毛整列機構によって、より容易に処理され得るので、効率が改善される。加えて、直接、切断用のかみそり刃に毛を案内する能力を付与し、切断される毛を増加させることにより、櫛様の機構(例えば、歯)を有する非刃要素は一般に、剃毛直後の滑らかな感覚を改善することができる。
【0136】
図5Rを参照すると、本発明の種々の非刃要素に関する様々な接触角度が示されている。接触半径182a、182b、及び182cは、非刃要素(それぞれ非刃要素155a、155c、及び155dと同様に示す)に関して示されたものであり、非刃要素の上部表面によって形成された接触「円」の、ユーザーの皮膚表面185までの半径長さを表している。非刃要素155aの接触半径182aが一般に最も小さく、望ましくは約25μm未満であり、一方で、非刃要素155cの接触半径182bはそれよりも少し大きく、望ましくは約250μmであり、非刃要素155dの接触半径182cは、図示の3つのうちで最大であり、望ましくは約550μmである。理論的に、他のすべての条件が同じであれば、一般に、接触半径が小さくなるにつれて、皮膚にかかる圧力も高くなり、その一方で、一般に、接触半径が大きくなるにつれて、皮膚にかかる圧力も低くなる。高い圧力は、過度にチクチクする、あるいはザラザラしているとユーザーが感じることがあるので、望ましくないことがあり、一方で、低い圧力は、それよりも高い圧力と同等に良好であると評価されないかあるいは感じられないことがある。したがって、有利には、最適な圧力を得るために、種々のタイプの非刃要素とそれらの接触半径とのバランスを取ることが必要となり得る。
【0137】
これまでに説明した非刃要素は一般に、(例えば、かみそり刃の装着と同様に)かみそり刃位置又はスロットにかみそり刃アレイ又はカートリッジの頂部から装填又は装着されるものであるが、本発明は、非刃要素を通常のかみそり刃位置又はかみそり刃スロットに置くことに限定されない。
【0138】
かみそり刃アレイ内に置くための非刃要素を製造する他の方法について、以下で説明することにする。
【0139】
本発明の非刃要素は、例えば、図6に示されるように、カートリッジフレーム65の少なくとも一方の側に配設された少なくとも1つのホール、開口部又はスロット65aを介して、かみそり刃アレイ62に装填され得るものであり、ここで、非刃要素64は、一般には丸形の形状のものであるが、本発明の範囲内で、任意の形状、構造、又は組成のものであってもよい。ホール65aは望ましくは、かみそり刃アレイ62内の、したがってかみそりカートリッジ60内の定位置に非刃要素64を難なく挿入し、概ね保持することができるように、寸法及び構造を定められ得る。
【0140】
これまでに、本発明の非刃要素は、かみそり刃自体と同様に、独立した、単独の、又は分離可能な要素として説明されてきた。この要素が、刃縁部を持たない非刃要素であることを考慮すれば、かみそりカートリッジ内にそのような非刃要素を設けるための別の方法もまた、本発明の範囲に含まれ得る。本発明のそのような別の実施形態について、以下で説明する。
【0141】
ここで図7を参照すると、本発明のそのような1つの例示的な別の実施形態が示されており、図7にフレーム75の拡大図で示されるように、フレーム75の一部分として形成された少なくとも1つの非刃要素74を有している。例えば、フレーム75は、図1〜3に関連しておおまかに説明したように、望ましくはカートリッジ内の任意の位置に長さ方向に配置された少なくとも1つの非刃要素74を有するように射出成形されてもよい。この非刃要素はまた、スナップ嵌め又は他の既知の連結によってフレームに結合されてもよい。非刃要素74は、当業者に知られている他の機械的、熱的、化学的方法を用いてフレーム75に結合されてもよい。非刃要素は、フレームと共に形成されているが、かみそり刃に取り付けられたものでも、かみそり刃と一体化されたものでもないことに留意する。非刃要素は、カートリッジフレームの一部であるが、任意のタイプのものであってもよく、また、例えば、エラストマー又は他の材料の突出部、ナブ又はフィン要素(図示せず)の上部表面を有してもよい。
【0142】
加えて、図8において、例示的な別の代替的な実施形態が非刃要素84を示しており、この非刃要素84は、一体構造84aとしたクリップ88aと88bの双方の一部分として形成されており、したがって、クリップが装着されるときに必然的にフレーム(又はカートリッジ)に装着される。図示されていないが、本発明によれば、複数の非刃要素がクリップの一部分として形成されてもよく、あるいは、非刃要素はそれぞれ、単一の又は他のクリップ88a若しくは88bの一部分として形成されてもよい。そのような構造84aは、通常のクリップと同じ方法を用いて当業者によって作製され得るものであり、また、任意の実行可能な方式で、機械加工、成形、又は形成されてもよい。
【0143】
非刃要素74は、フレーム75の一部分として形成されてもよく、また、非刃要素84は、クリップ88a、88bの一部分として形成されてもよく、これらは共に別のかみそり構成要素の一部として形成されているが、これらの非刃要素は一般に、かみそり刃のいずれに取り付けられるものでも、それらと一体化されるものでもない。少なくとも1つの非刃要素をかみそり刃アレイ内に有することに起因する剃毛の利点は、依然として不変であった。
【0144】
本明細書で開示した寸法及び値は、列挙した厳密な数値に厳格に限定されるものとして解釈されるべきではない。その代わりに、別段の指定がない限り、そのような各寸法は、列挙した値と、その値を包含する機能的に等価な範囲との双方を意味することを意図したものである。例えば、「40mm」として開示した寸法は、「約40mm」を意味することを意図したものである。
【0145】
「発明を実施するための形態」で引用したすべての文書は、関連部分において参照によって本明細書に組み込まれるが、いずれの文書の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照によって組み込まれる文書における用語のいずれかの意味又は定義と対立する限りにおいて、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義を優先するものとする。
【0146】
本発明の特定の実施形態について図示し説明したが、種々の他の変更及び修正が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされ得ることが、当業者には明らかとなろう。したがって、本発明の範囲に含まれるそのようなすべての変更及び修正は、添付の「特許請求の範囲」で網羅することとする。
【技術分野】
【0001】
本発明はかみそり刃に関し、より具体的には、少なくとも1つの非刃要素を有するかみそりカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、市場に出回っているウェットシェービング用の多数のかみそりは、ハンドルに操作可能に結合されたかみそりカートリッジ内に1枚以上のかみそり刃(多くは3枚〜6枚のかみそり刃を有する)を有し、一部のかみそりは使い捨てであり、一部のかみそりは再使用可能なハンドルを有する。複数枚のかみそり刃を有するかみそりカートリッジが、例えば、2005年2月24日に公開された米国特許公開第2005/0039337A1号に記載されており、そのようなかみそりカートリッジが、ジレット社によって5枚刃のフュージョン(商標)かみそりとして商品化されてきた。
【0003】
複数枚のかみそり刃は深剃りを改善するが、一般に、いくつかの性能上の問題を依然として生じ得る。第1に、何らかの不快感が剃毛の間にユーザーに実感され得る。第2に、見逃される毛があること、及び首などの問題の多い領域を剃毛する際の難しさが原因で、剃毛は依然として、比較的緩慢でかつ非効率的なプロセスである。剃毛する人の多くは、毛の大半が切断されているにもかかわらず、相当な量の毛が見逃されていることを認識している(例えば、毛が全く切断されない、あるいは毛が皮膚の近くで又は皮膚線にて切断されないこと)。
【0004】
加えて、いくつかの領域(例えば、首、顎、及び/又は顔)は特に剃毛が困難であることが示されてきた。これらの領域は一般に、多くの場合に種々の方向付けられる、低く横たわる毛を有している。これらの低く横たわる毛は、皮膚に対して近接するか、密接するか、あるいは同じ高さをなし得る。多くの事例において、ユーザーは、切断されていないかあるいは十分に皮膚に近接して切断されていない毛を切断しようと試みて、同じ領域を繰り返し剃毛しなければならず、結果として、皮膚の刺激を増大させることになる。
【0005】
この不快な状況は、特に3枚以上の鋭いカミソリ刃縁部を有するカートリッジにおいて、刃の枚数及び鋭さが増すこと、並びに皮膚に対する力又は負荷が累積されることに起因し得るものである。
【0006】
安全性と接近性を維持すると同時に不快感を軽減しようと試みる従来技術の解決策は、いくつかの属性の中でも特に、しばしばかみそり刃先端部スパンと呼ばれる、かみそり刃の先端部同士の縮小されたスパンを与えるものである。そのような縮小は一般に、かみそり刃同士の間における皮膚の突き出しを低減することによって、より良好な皮膚の管理をもたらすことが一般に知られているが、スパンが狭くなるとかみそり刃間のリンス通り抜けギャップの寸法が減じられるので、かみそり刃間に存在する、切り取られた髪、皮膚の粒子、シェービングクリーム、及び/又は他の細片の水洗能力が低下することも知られている。
【0007】
リンス通り抜けギャップは、剃毛の分野で一般に知られているように、2枚のかみそり刃の間、又はかみそり刃とガード若しくはキャップなどの固定点との間の最短距離又は最小点を表すものであり、通常、リンス通り抜けギャップは、かみそり刃先端部のスパンよりも、長さにおいて短い。有利にも、リンス通り抜けギャップにより、一般に、ユーザーはかみそりカートリッジを流水の下に置いて、リンス通り抜けギャップの片側に水を進入させ、切り取られた毛などをギャップのもう一方の側に押しやることができる。
【0008】
2005年6月10日に出願された従来技術の文献、名称「かみそり刃間ガード及びそれを製造する方法(Inter-Blade Guard and Method of Manufacturing the Same)」、シリアル番号11/150,744号は、水洗能力を維持すると同時に皮膚の突き出しを低減することによって快適性を改善しようとするものである。これは、かみそり刃自体に配設されたかみそり刃間ガード要素を設け、かみそり刃の長さ方向にわたって、皮膚係合要素のすぐ前にリンス通り抜けギャップを設けるものである。この従来技術による解決策の1つの欠点は、かみそり刃間ガード要素が必然的にかみそり刃要素に接合され、したがって、それ自体ではかみそりカートリッジ内の独立した要素ではないことである。これにより、リンス通り抜けギャップ又は領域が、かみそり刃間要素とかみそり刃間要素のすぐ前のかみそり刃との間にのみ設けられ、かみそり刃要素の後(例えばかみそり刃間要素の両側)には設けられないので、水洗能力が制限され得る。また、そのようなかみそり刃間要素をかみそり刃の上に製作することは、時間と費用を増加させることにもなり得る。
【0009】
類似の従来技術による別の解決策は、かみそりカートリッジ内のかみそり刃及びかみそり刃支持体に連結された皮膚接触部分を開示するものであり、したがって類似した欠点を有している。例えば、2001年6月12日発行され、本願の譲受人に譲渡された米国特許第6,243,951号、名称「安全かみそり」を参照されたい。
【0010】
従来の別の解決策は、中央に配置された潤滑ストリップを双方向かみそりヘッドに設けることによって、剃毛の効率を改善しようとするものである。例えば、2000年12月19日に発行された米国特許第6,161,288号、名称「柔軟なガードシステムを有する4枚刃双方向かみそり構造(Four Blade Bi-Directional Razor Structure with Flexible Guard System)」を参照されたい。この解決策は、しかしながら、典型的にはすべてのかみそり刃が単に1つの方向に向いている通常のかみそりカートリッジに対して、改善された剃毛属性又は利点をもたらすものではない。
【0011】
したがって、従来技術による多くの解決策は、快適性及び効率を改善しようとするものであるが、それらの解決策は、切断される毛の本数及び/又は困難な領域(例えば、首、顎)を効率的に剃毛する能力を増すという問題に答えるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許公開第2005/0039337A1号
【特許文献2】シリアル番号11/150,744号
【特許文献3】米国特許第6,243,951号
【特許文献4】米国特許第6,161,288号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、接近性及び水洗能力などの剃毛属性を維持又は改善すると同時に、かみそりカートリッジにおける皮膚及び毛の管理(例えば、快適性及び効率)を改善することが、依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、各々が刃縁部を有する1枚以上のかみそり刃と、少なくとも1つの非刃要素と、フレーム上の複数のかみそり刃位置とを有するかみそりカートリッジを提供するものであり、複数枚のかみそり刃のうちの各1枚と、少なくとも1つの非刃要素の各々とが、複数のかみそり刃位置のうちの異なる位置に配設される。
【0015】
本発明は、1枚以上のかみそり刃を有するかみそり刃アレイであって、かみそり刃の各々は刃縁部を有するかみそり刃アレイと、かみそり刃アレイ内に配設された少なくとも1つの非刃要素であって、かみそり刃のうちのいずれにも取り付けられていない非刃要素と、を備えているかみそりカートリッジを提供する。
【0016】
本発明は、ガード、少なくとも1枚のかみそり刃、非刃要素を含む第1の段と、該非刃要素、複数のかみそり刃、及びキャップを含んでおり、該非刃要素は、ガードとキャップとの間の任意の位置に配設される第2の段と、を有するかみそりカートリッジを提供する。
【0017】
本発明は、かみそりカートリッジを製造する方法であって、非刃要素を、カートリッジの位置にあるかみそり構成要素に結合する工程と、フレームの残りの位置に複数のかみそり刃を挿入する工程と、を備え、かみそり構成要素は、フレーム若しくは少なくとも1つのクリップ、又はそれらの任意の組合わせであり、結合する工程は、射出成形、機械的若しくは化学的取付け、又はそれらの任意の組合わせを更に含んでいる方法を提供する。
【0018】
別段に定義されていない限り、本明細書において使用されているすべての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に共通に理解されるものと同じ意味を有している。本願に記載されているものと類似した又は等価な方法及び材料が本発明の実施又は試験において使用され得るが、好適な方法及び材料が以下に記載されている。本願において言及したすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参照文献は、引用によってすべてが本願に組み込まれる。何らかの不一致がある場合、本明細書が、定義を含めて優先される。加えて、材料、方法、及び例は、単に例示的なものであり、限定を意図したものではない。
【0019】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から、また特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本明細書は、本発明を構成するとみなされる主題を具体的に指摘しかつ明確に主張する特許請求の範囲を結論とするが、本発明は、添付の図面と関連してなされた以下の説明によって更に理解されると考えられる。添付の図面において同様の参照符号が、実質的に同一の要素を示すために用いられている。
【図1】本発明による、中にある非刃要素を示すかみそりカートリッジの斜視図。
【図1A】ハンドルに取り付けて示された図1のかみそりカートリッジの斜視図。
【図2】図1のかみそりカートリッジの横断面図。
【図2A】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図2B】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図2C】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図2D】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図3A】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図3B】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図3C】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図3D】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図。
【図4】通常のかみそりカートリッジとそれぞれのカミソリ刃露出量の横断面図。
【図4A】中にある非刃要素と本発明のそれぞれのかみそり刃露出量を示すかみそりカートリッジの横断面図。
【図4B】本発明の別の実施形態による、中にある非刃要素を示すかみそりカートリッジの横断面図。
【図4C】中にある非刃要素とそれぞれのかみそり刃の接触角度を示す、本発明のかみそりカートリッジの側面図。
【図4D】本発明の別の実施形態による、中にある非刃要素とそれぞれのかみそり刃の接触角度を示すかみそりカートリッジの側面図。
【図5A】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5B】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5C】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5D】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5E】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5F】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5G】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5H】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5I】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5J】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5K】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5L】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5M】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5N】本発明による非刃要素の考えられる実施形態の斜視図。
【図5O】本発明による非刃要素内の複数の歯の頂面図。
【図5P】図5Oの斜視図。
【図5Q】本発明による歯を有する非刃要素の考えられる実施形態の頂面図。
【図5R】本発明による、皮膚と接触している様々な非刃要素の横断面図。
【図6】本発明による、非刃要素の別の実施形態の斜視図。
【図7】本発明による非刃要素の更に別の実施形態の斜視図。
【図8】本発明による非刃要素の更に別の実施形態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ウェットシェービング用のかみそり内の新規なかみそりカートリッジに関するものであり、このかみそりカートリッジにおいて、少なくとも1つの非刃要素がかみそり刃アレイ内に配設される。例えば、ある望ましい実施形態において、非刃要素は、かみそり刃スロット又はかみそり刃位置のうちの1つに配設される。このようにしてかみそり刃を非刃要素と交換することにより、接近性及び/又は水洗能力を維持又は改善し、更なる費用又は時間を伴うこともない一方で、快適性及び効率の改善が実現される。
【0022】
例えば、いくつかの実施形態において、この新規な非刃要素は、皮膚に対するかみそり刃の圧力を低減することによって快適性を改善するが(例えば、負の露出量による)、他の実施形態において、本発明は、効率の改善をもたらすものであり、剃毛困難な領域は、非刃要素の毛整列機構を介して処理される。
【0023】
本発明において、特定の関連用語が以下のように定義される。
【0024】
「非刃要素」という用語は、一般には毛又は皮膚を切断しないが、ユーザーの皮膚及び/又は毛に対して、接触、係合、向上、振り動かし又は伸張をなして、剃毛中の皮膚の管理及び/又は毛の管理(例えば、毛の整列)をもたらす物理的構造を示し、この物理的構造は、限定するものではないが、少なくとも1つの開放スロットを画定する複数の突出部、突起部、細長い繊維、ナブ、フィン、起伏部、曲線部、くぼみ、毛様の要素、1つ以上のフック様の構造、1つ以上の潤滑ストリップ、1種類以上の発泡体、1種類以上の剥脱材料、1種類以上の剃毛補助材料、複数の歯を有する1本以上の櫛様の機構、又はそれらの任意の組合わせからなる群から選択された少なくとも1つの機構を含み、それらの機構は、離間若しくは連結され、寸法が一定若しくは可変の上記のうちのいずれか、一部分又は上部表面を有することを含めて、任意のタイプ、寸法、形状、又は形態をなすものであってもよい。本発明の非刃要素は、限定するものではないが、直立するか、湾曲するか、ある角度を右になすか、ある角度を左になすか、あるいはある角度を中心に対してなす機構を有してもよく、その機構は、軟質であっても、硬質であって、半硬質であってもよく、平面的な表面を有しても非平面的な表面を有してもよく、隣接しても、隣接しなくても、パターン化されても、それらの任意の組合わせであってもよい。
【0025】
本発明の非刃要素は、限定するものではないが、高分子材料、エラストマー材料、熱可塑性エラストマー材料、ウレタン材料、オレフィン材料、ゴム材料、金属材料、又はそれらの任意の組合わせ等のいずれかの種類の材料から作製され得る。シリコーン、フルオロシリコーン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレンなどのエラストマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)系熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)系熱可塑性エラストマー、ポリオキシエチレン−ポリウレタン系エラストマーなどのコポリマー、若しくは、ポリウレタン、ポリスチレン及びポリエチレンなどの他のポリマー、若しくは、アクリロニトリル−ブタジエン、ポリアクリラート及び天然ゴムなどのゴム、又はそれらの任意の組合わせもまた、本発明において企図される。加えて、非刃要素の材料は、上記の材料のうちの1種類以上(例えば、ポリマー及びゴムとそれらの複合材)を他の材料で改質したものを含んでもよい。
【0026】
高分子材料又は他のエラストマー材料から作製される場合、非刃要素は射出成形されてもよい。アルミニウム又はステンレス鋼などの金属から作製される場合、非刃要素は機械加工又は切削されてもよい。
【0027】
更に、非刃要素用の材料は、繊維若しくは織物材料、天然材料(例えば、木材)、又は、エラストマー材料若しくは塑性材料でコーティングするかあるいはエラストマー材料若しくは塑性材料を組み込んだ金属を含んでもよい。
【0028】
本発明の非刃要素は、剥脱部材をなす剥脱性能を備えた材料(例えば、細粒研磨コーティング、薬品、又は表面組織)を付加的に含んでもよく、また、皮膚若しくは毛に作用する(例えば、限定するものではないが潤い又は感覚などの皮膚の改善、限定するものではないが成長の最小化又は増進、コンディショニングなどの毛の管理)薬品を有する材料、又はそれらの任意の組合わせを付加的に含んでもよい。
【0029】
更に、非刃要素は、剃毛補助材料若しくは他の薬品を埋め込まれるかあるいはそれらでコーティングされた石けん、スポンジ又は発泡体などの潤滑体、又は、剃毛補助材料若しくは他の薬品の層を埋め込まれるかあるいはそのような層でコーティングされたエラストマー性のガード様の構造を含んでもよい。その発泡体は、「液体送出システム」という名称の米国特許出願第12/350,286号に、また本発明の譲受人に譲渡された「液体送出を用いた毛の除去」という名称の米国特許出願第12/350,446号に開示されているような基本的な発泡体若しくはスポンジ材料又は傾斜発泡体であってもよい。
【0030】
本明細書で用いられる「剃毛補助材料」という用語は、皮膚及び/又は毛に使用するための任意の組成物を表す。そのような組成物は、限定するものではないが、親水性ポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド/ポリスチレン、つまりPEO/PS)などの潤滑用の薬剤、又は、脱毛、洗浄、冷却、毛の成長の抑制若しくは促進、微生物の成長の抑制、抵抗の抑制、しわの抑制、保湿、皮膚の色合い若しくは状態の改善、医療目的、又はそれらの任意の組合わせのための薬剤を含んでもよい。薬剤は、限定するものではないが、アロエ、ビタミンE、ラノリン、香料、又はグリコール酸などの成分を含んでもよい。
【0031】
非刃要素内に設けられた化学物質は、かみそりカートリッジのキャップ又はガード内に見出される化学物質と相互作用してもよい。加えて、本発明の非刃要素は、摩耗指示体として働いてもよい。
【0032】
本明細書で用いられる「かみそり刃アレイ」は、1枚以上のかみそり刃(例えば、一般に複数枚のかみそり刃)のアレイとして定義されており、各かみそり刃は刃縁部を有し、各刃縁部は一般に同じ方向に向いている。かみそり刃の刃縁部又はかみそり刃の縁部は、本明細書においてかみそり刃先端部と同じ意味で用いられてもよく、かみそり刃先端部は、かみそり刃の縁部上の一点を表してもよい。この新規なかみそりカートリッジは、刃要素と非刃要素がアレー内に存在するという点で、混合した機能を備えた「混合型かみそり刃アレイ」を有するものと見なされてもよい。
【0033】
皮膚及び毛の管理は剃毛の成果を改善するのに重大となり得ることが一般に知られている。したがって、皮膚及び毛の管理は一般に、あるいは、かみそり刃が皮膚/毛に接触又は「提示される」方式は、本発明の重要な一面である。
【0034】
かみそり刃が皮膚に差し出される方式に影響を及ぼす1つの要因は、露出量、つまりかみそり刃が皮膚に押し込まれる、あるいは皮膚から持ち上げられる距離であり、この距離は、皮膚にかかるかみそり刃荷重に影響を与える。かみそり刃が皮膚に差し出される方式に影響を及ぼす別の要因は、要素同士(例えば、かみそり刃同士など)の間のスパンであり、このスパンは、かみそり刃の前方に生じる皮膚の突き出しに影響を与え、また皮膚にかかるかみそり刃荷重にも影響を与える。
【0035】
露出量及びスパンに加えて、皮膚及び毛の管理はまた、かみそりカートリッジ内のかみそり刃の枚数、かみそり刃のタイプ、皮膚線に対するかみそり刃の角度など、相互に関連する多数の変数によって影響を及ぼされ得ることもまた、剃毛の技術分野において知られている。
【0036】
本発明の非刃要素は、かみそり刃アレイにおいて、これらの相互に関連する変数を更に制御する能力を有し、皮膚及び毛の管理に影響を与えるものである。例えば、非刃要素は、毛がかみそり刃全体に送り込まれ得ると同時に皮膚にかかるかみそり刃荷重の制御点を改善するような方式で、毛を方向付け若しくは整列すること、及び/又は毛の流れを制御することによって毛を管理してもよい。
【0037】
加えて、本発明の非刃要素は、いかなるタイプのかみそりカートリッジにおいても、したがって当然ながら男性用のかみそりと女性用のかみそりのいずれにおいても利用され得ることに留意されたい。
【0038】
本開示の様々な態様について、以下に説明する。
【0039】
ここで図1を参照すると、個々の刃縁部13a、13b、13d、13eを各々が有する4枚のかみそり刃12a、12b、12d、及び12eと、かみそり刃12bと12dの2枚の間に配設された非刃要素14とを備えるかみそり刃アレイ12を有するかみそりカートリッジ10が、本発明に従って設けられている。したがって、この新規なかみそりカートリッジは、刃要素と非刃要素がアレイ内に存在するという点で、混合した機能を備えた「混合型かみそり刃アレイ」を有するものと見なされてもよい。
【0040】
留意されたいこととして、一般に、カートリッジの前部に配設されたかみそりカートリッジ10のガード16(及び/又はガードバー16a)は、より高い摩擦力をカートリッジの前部に発生させて、剃毛プロセスの間に、かみそり刃の前方の皮膚を伸張し、望ましくは毛を支持又は整列することが知られているが、キャップ17は一般に、カートリッジの背部に設置される低摩擦要素であり、皮膚の伸張を維持するのを支援する一方で、皮膚がカートリッジの背部を越えて摺動できるようにするものであることが知られている。キャップはまた望ましくは、潤滑、滑らかな滑動又は他の皮膚の制御をもたらし得る。
【0041】
4枚のかみそり刃が図1に示されているが、それ以上又はそれ以下の任意の枚数のかみそり刃がカートリッジ10内に装着されてもよいことが理解されよう。通常のかみそりのハウジング19は、一般に、フレーム15と、ガード16及び/又はガードバー16aとを含む。かみそり刃12a、12b、12d、及び12e、並びに非刃要素14は、クリップ18a及び18bでハウジング19内に固定されて示されている。非刃要素14は、機械的(例えば、バネ荷重印加、圧嵌め)、熱的、化学的手段、又は当業者に知られている他の手段によって、ハウジング19のフレーム15内に固定、装着、又は他の形で、ただし望ましくは通常のかみそり刃と同じ方式で結合されてもよい。また、本発明の非刃要素に対する他の組立方法についても、以下でより詳細に説明することにする。
【0042】
本発明に関し、非刃要素14は有利にも、通常の又は標準的なかみそり刃(例えば、かみそり刃支持体を有するかみそり刃又は湾曲したかみそり刃)が装着されて、バネ押しされる能力又はバネ押しされない能力を有するのと全く同様に装着され得るが、最も望ましくは、非刃要素は、バネ押しされないか、あるいは固定されなくてもよい。
【0043】
図1は、望ましくもかみそり刃アレイ12全体にわたって標準的な第3のかみそり刃位置(又は図2に示すようなかみそり刃スロット15c)の近く又はその第3のかみそり刃位置に配置された非刃要素14を示しており、カートリッジ10の幅方向にガード16からキャップ17に向かって移動して見たときの、この非刃要素14は、基本的にかみそり刃のうちの1枚に取って代わっており、また事実上、カートリッジをそれぞれ、カートリッジユニット10aとカートリッジユニット10b、つまり、非刃要素14の前方のカートリッジユニットと、非刃要素14の後方のカートリッジユニットとに分割しており、非刃要素14は望ましくは、カートリッジユニット10aと10bの両方に包囲されてもよく、あるいは一般的には、カートリッジ10内のキャップ17とガード16との間の任意の位置に配設されてもよい。
【0044】
そのような「2段」又は「多段」カートリッジは、剃毛に関する多数の利点をもたらし得るが、それらの利点の多くは、図4A及び図4Bと関連させて説明され、図4Bは、本発明の「2段」カートリッジ構想の別の実施形態を説明するものである。
【0045】
図1Aは、機能的なかみそり20をなすように、相互連結部材11aを介してハンドル11に動作可能に結合された図1のかみそりカートリッジ10を示している。本発明において、かみそりは全体として使い捨てであってもよく、あるいはかみそりは使い捨てカートリッジを有する再使用型ハンドルを含んでもよい。
【0046】
ここで図2を参照すると、図1の横断側面図が示されており、非刃要素がスロット15c内に配設され得ることが、またかみそり刃アレイ12(又は例えば「混合型」かみそり刃アレイ12)の中央に配置され得ることが分かる。望ましくは、非刃要素14は、単独の又は独立した要素であり、別のかみそり刃に取り付けられていない。この実施形態において、非刃要素14は、模型又は「ダミー」のかみそり刃であると考えられてもよい。
【0047】
図2において、「リンス通り抜けギャップ」(例えば、切断された毛及び細片が流れ込むためのものであり、一般にかみそり刃同士又はかみそり刃とガード若しくはキャップなどの固定点との間の最短距離を表すギャップ)がそれぞれ、第1のリンス通り抜けギャップ23a及び第2のリンス通り抜けギャップ23bに示すように、非刃要素14の前後に設けられている。第1のリンス通り抜けギャップ23aは、約0.05mm〜約0.5mm、望ましくは約0.1mm〜約0.2mmに及んでもよく、第2のリンス通り抜けギャップ23bは、約0.05mm〜約0.6mm、望ましくは約0.2mm〜約0.5mmに及んでもよい。一般に、標準的なかみそり刃カートリッジは、約0.5mm幅であるリンス通り抜けギャップ(例えば、事実上、かみそり刃同士の間の最短距離)を有し、約0.65mmの第1かみそり刃スパン(例えば、ガード16から第1のかみそり刃12aまでの距離)を有する。非刃要素14がカートリッジ10内に配設された状態で、リンス通り抜けギャップの間隔は一般に、特にかみそり刃が互いに接近して設置される場合に縮小され得る。
【0048】
第1のリンス通り抜けギャップ23aを非刃要素14の前に配設することにより、第2のかみそり刃12bによって切断された過剰な毛又は他の細片は、このギャップ23aの中に流れ込むことができ、カートリッジ内の更に後にあるかみそり刃の塞がりが回避される。更に、非刃要素14の後に配設された第2のリンス通り抜けギャップ23bが、切断された毛(例えば、非刃要素14のすぐ後方で第3のかみそり刃12dによって切断された毛)を流し込むための領域を設けることができる。
【0049】
第1のリンス通り抜けギャップ23aと第2のリンス通り抜けギャップ23bは同じ幅であってもよく、あるいは、一方のギャップは他方のギャップよりも幅の狭いものであってもよい。例えば、かみそり刃12eは、非刃要素14とかみそり刃12eとの間に流れ込む、切断された毛と過剰な細片をより多量に有し得るので、第2のリンス通り抜けギャップ23bよりも狭い幅を有する第1のリンス通り抜けギャップ23aを設計することが望ましいこととなり得る。
【0050】
図2に示すように、かみそり刃12bの刃縁部13bとかみそり刃12dの刃縁部13dとの間のかみそり刃先端部のスパン22は、それらの間に要素14を配設した状態で、約1.50mm〜約2.50mm、望ましくは約2.10mmに及ぶ。したがって、スパン22は、通常のかみそり刃先端部のスパン、又は非刃要素14を間に持たない隣接するかみそり刃同士の間のかみそり刃間スパン、例えば、図示のように、かみそり刃12aの刃縁部13aとかみそり刃13bの刃縁部13bとの間の、望ましくは約1.05mmである図2のスパン24の長さの約2倍となり得る。
【0051】
図1における5枚刃のかみそりカートリッジ10の第3の又は中央のかみそり刃位置に配設されて示されているが、本発明の非刃要素14は、任意の枚数のかみそり刃を有するかみそりカートリッジの任意の位置又はかみそり刃スロットに、その近くに、又はその中に配設されてもよい。5枚刃のかみそりカートリッジにおいて、非刃要素14は、通常は5枚のかみそり刃のために利用される、かみそりカートリッジの第1、第2、第3、第4若しくは第5の位置又はかみそり刃スロットのうちのいずれか、その近く、又はその中に配設されてもよく、残りのかみそり刃スロットはかみそり刃を有する。特に図2A、2B、2C、及び2Dを参照すると、本発明の非刃要素の、他に考えられる位置が示されている。例えば、非刃要素14は、図2Aに示されるように第1の位置又はかみそり刃スロット15a内に、すなわち1枚のかみそり刃12bに隣接して配設されても、図2Bに示すようにスロット15bの第2の位置に、すなわち2枚のかみそり刃12aと12cとの間に配設されても、2枚のかみそり刃12cと12eとの間にある、図2Cにおける第4の位置又はスロット15d内に配設されても、1枚のかみそり刃12dに隣接する、図2Dにおける第5の位置又はスロット15e内に配設されてもよい。非刃要素14は、図1に関しては、上述したように第3の位置又はスロット15c内に、すなわち2枚のかみそり刃12bと12dとの間に配設されて示されている。
【0052】
本発明では、図3A、3B、3C、及び3Dの例示的な実施形態に示されるように、2つ以上の非刃要素14をカートリッジ10のかみそり刃アレイ12内に配設することが更に企図される。例えば、図3Aにおいて、2つの非刃要素14a及び14bが、それぞれ第3及び第5の位置(又はかみそり刃スロット15c及び15e)に配設されている。非刃要素14a及び14bは任意のタイプのものであってもよいが、この実施形態において、非刃要素14aは望ましくは、エラストマー性のガード様の要素であってもよく、非刃要素14bは剥脱要素であってもよい。図3Bにおいて、2つの非刃要素14a及び14bが、それぞれ第2及び第4の位置(又はかみそり刃スロット15b及び15d)に配設されている。この実施形態において、非刃要素14aは望ましくは、エラストマー性のガード様の要素であってもよいが、非刃要素14bは、潤滑ストリップ要素であってもよく、あるいは、キャップ17の機能を補足するために、改良された剃毛補助材料を提供してもよい。図3Cにおいて、2つの非刃要素14a及び14bが、それぞれ第1及び第5の位置(又はかみそり刃スロット15a及び15e)に配設されている。図3Dにおいて、3個の非刃要素14a、14b、及び14cが、それぞれ第1、第3、及び第5の位置(又はかみそり刃スロット15a、15c、及び15e)に配設されている。
【0053】
3個以上の非刃要素がかみそり刃アレイ内に配設されてもよいが、かみそり刃アレイが別段に設計されない限り、非刃要素が増加すると、全体として、かみそり刃アレイ内に配設できるかみそり刃の枚数が減少することになるので、余分な非刃要素をかみそり刃アレイ内に有することは非実用的であると見なされ得る。
【0054】
しかしながら、一般には、カートリッジ10又はハウジング19(ハウジングは一般にフレーム15とガード16とを含む)の構造にほとんど変更を加えることなく、かみそり刃の種類及び個数を望ましく変更したもの並びに1つ以上の非刃要素14が本発明において設けられてもよい。
【0055】
ここで図4及び4Aを参照して、非刃要素をかみそり刃アレイ内に配設することの肯定的な影響について、より詳細に説明することにする。
【0056】
かみそり刃露出量は、かみそり刃にかかる皮膚荷重に影響を及ぼし得るものであり、皮膚荷重は、快適性、安全性及び効率などの剃毛属性に影響を与え得ることが知られている。したがって、ここで図4を参照すると、複数枚のかみそり刃又はかみそり刃アレイ12を有する従来のかみそり設計40(例えば、非刃要素がかみそり刃アレイ12内に配設されていない)のかみそり刃露出量が、ガード16及び/又はガードバー16a並びにキャップ17に対する個々のかみそり刃(12a〜12e)の配置によって規定されるものとして示されており、ガード/ガードバー及びキャップはそれぞれ、皮膚に対する第1及び第2の制御点を与えている。したがって、露出量は、キャップ17とガード16を通る相当に真っ直ぐな線44a(想像上の又は仮想の皮膚線)を引き、その真っ直ぐな線44aに対してかみそり刃縁部13a〜13e(又はかみそり刃先端部)が当たる位置に留意することによって決定されてもよい。
【0057】
図4において共に配列されたかみそり刃は、それぞれ2001年4月10日及び2001年4月17日に発行された「安全かみそり」という名称の米国特許第6,212,777号及び「安全かみそり」という名称の米国特許第6,216,349号において、漸進的な幾何学的配置を提示しており、これらの米国特許は共に、本願の譲受人に譲渡されている。結果的に、当該技術分野で知られているように、皮膚は概して、平坦に、あるいは仮想的な皮膚線44aで示されるようにガードバー16aとキャップ17との間の相当に真っ直ぐな線をなして横たわるという仮定に基づけば、このかみそり刃の配置が用いられると、かみそり刃12aがガードバー16aの高さの下方にあることによる、かみそり刃12aにおける負のかみそり刃露出量43、かみそり刃12cがガードバー16a又はキャップ17と同じ高さ又は平面にあることによる、かみそり刃12cにおける中立のかみそり刃露出量42、及び、かみそり刃12eの先端部がキャップ17の上方にあることによる、かみそり刃12eにおける正のかみそり刃露出量41が生じ得る。加えて、仮想的な皮膚線44aと相対して、かみそり刃12bは負の露出量を、かみそり刃12dは正の露出量を有し得る。
【0058】
かみそり刃12a及び12bの負の露出量43は、望ましくは約−0.18mm〜約−0.01mmの範囲内にあり、より望ましくは約−0.07mmとなり得るが、かみそり刃12d及び12eの正の露出量41は、望ましくは約0.18mm〜約0.48mmの範囲内にあり、より望ましくは約0.33mmとなり得る。
【0059】
一般に、負の露出量を有するかみそり刃は、毛を最適に切断すると同時に皮膚を保護する上でより優れたものとなり得るが、正の露出量を有するかみそり刃は、閉じ込められた毛を解放する上でより優れたものとなり得るので、かみそり刃アレイ内に正の露出量と負の露出量を有することは、有利にも望ましいこととなり得る。しかしながら、皮膚が単に表面をかすめられ、実質的にかみそり刃との接触が最小限となり、したがって快適性及び安全性などの剃毛属性が改善されるように、中立又はゼロの露出量をアレイ全体にわたって有することも望ましいこととなり得る。
【0060】
図4における露出量は望ましいものとなり得るが、これらの露出量は、皮膚が概して、仮想的な皮膚線44aで示すように、ガード16/ガードバー16aとキャップ17との間の比較的真っ直ぐな線をなして横たわるという仮説に基づいているため、理論の上で設計されたものである。言うまでもなく現実には、皮膚は軟質かつ柔軟であり、実際の皮膚流線44bは、かみそり刃にわたって流動するものであり、かみそり刃の様々な位置でかみそり刃先端部又は縁部の上部表面に適合するか、あるいはその上部表面に沿って存在することがあり、したがって、図4に示されるように、真っ直ぐな仮想的な皮膚流線44aにおそらくは一致しないこともある。
【0061】
図から分かるように、図4におけるかみそり刃12eなど、正の方向に露出したかみそり刃は、皮膚線44bを押し上げて仮想的な線44aから離し、より大きなかみそり刃先端部の荷重を生じ得るが、図4におけるかみそり刃12aなど、負の方向に露出したかみそり刃は一般に、かみそり刃12aが皮膚又は皮膚線44aを押し上げるのではなく、皮膚線44bがカートリッジの中に突き出てかみそり刃12a自体と接触することを利用し得る。この図は、ガード/ガードバーの付近で、また皮膚が流動する固定(又は制御)点を表すキャップの付近で皮膚を(したがって更には毛を)制御する方がおそらくは容易となり得ることを示すものである。一般に、これらの構想に従うと、この幾何学的制御は、かみそり刃がキャップ17又はガード16/ガードバー16aのいずれかから離れるにつれて、不正確となり得ることが分かるであろう。したがって、多くの状況において、カートリッジ10の中間又はかみそり刃アレイ12の中心の付近は、規定の皮膚/毛制御が損なわれ得る領域となり得る。
【0062】
従来のかみそりは、かみそりカートリッジ又はかみそり刃アレイの全体にわたって、皮膚及び毛の流動を適切に制御するが、以下で説明するように、(望ましくは、中央に配置された)1つ以上の非刃要素をかみそり刃アレイ12内に加えることにより、有利にも、皮膚の制御点が少なくとも1つ余分に挿入され、それにより、快適性及び毛の切断(例えば、接近性及び本数)を、したがって剃毛性能を更に改善するように、個々の又は少数のかみそり刃に対する幾何学的配置、皮膚の突き出しの微調整、露出量、そして更にはかみそり刃先端部の荷重をも更に制御することが可能となる。
【0063】
留意されたいこととして、図3A、3B、及び3Cの上述した実施形態において、2つの非刃要素14a及び14bがかみそり刃アレイに挿入されるが、ガード16及びキャップ17の制御点に加えて、これらの非刃要素によって2つの補助的な制御点が設けられる。再び図3Cを参照すると、1つの制御点が第1のかみそり刃12bの前に非刃要素14aによって設けられることができ、また1つの制御点が第3のかみそり刃12dの後に非刃要素14bによって設けられることができる。更に、非刃要素14a及び14bのタイプ及び機能範囲に応じて、本発明は、最小化された又は場合によっては存在しないガード16又はキャップ17の構造(図示せず)を有するかみそりカートリッジの実施形態を理論的に企図し得る。
【0064】
ここで図4Aを参照すると、少なくとも1つの非刃要素14を一般に、図4のかみそり刃アレイ12の中央に加えることにより、中心又は第3の制御点が(それぞれ第1及び第2のガード及びキャップによる制御点に加えて)効果的に設けられ、それにより、単一又は一群のかみそり刃の皮膚荷重の望ましい、あるいはより優れた操作性が付与される。第3の制御点により、事実上、2本の皮膚線が存在し得る。例えば、図4Aにおいて、仮想的な皮膚線を参照すると、ガードバー16aから非刃要素14へと向かう仮想的な皮膚流線44a’と、非刃要素14からキャップ17へと向かう仮想的な皮膚流線44a”が存在し得る。
【0065】
非刃要素14は、かみそり刃アレイ12のかみそり刃12a、12b、12d、及び12eと同じ平面上に横たわっても、異なる平面上に配置されても、それらの任意の組合わせで配置されてもよい。非刃要素14はまた、かみそり刃12b及び12dと同じ平面上に、ただしかみそり刃12a又は12eの平面とは異なる平面上に配置されてもよい。後者の構成では、非刃要素14に対し、かみそり刃12b及び12dの中立の露出がもたらされ、また、これらのかみそり刃は単に皮膚をかすめ得るものであるので、非刃要素の領域の付近では、皮膚にかかるかみそり刃先端部の荷重を低下させることができる。非刃要素はまた、上述したように、カートリッジ10内のキャップ17とガード16との間の任意の位置に配設されてもよい。
【0066】
また、かみそり刃12dが非刃要素14に対して負の露出量に設定されるように、かみそり刃の露出量を調節することが望ましいこととなり得る。例えば、図4Aから分かるように、かみそり刃アレイ12のかみそり刃12a、12b、12d、及び12eの露出量は、互いに対して、図4の露出量と同様に構成されているが、非刃要素14がかみそり刃12bと12dとの間に存在し、かみそり刃12b又は12dの一方又は両方と比べてわずかに高く配設されていることにより、固定された制御点だけでなく、これらの下部のかみそり刃の負の露出量が与えられている。したがって、かみそり刃12bのすぐ後で、非刃要素は、図4Aに示されるように、実際の皮膚線44bをその上部表面14aへと押し上げることになり、望ましくは、毛Hが押し込まれるのを防止することができ、かつ/又は、皮膚が押し上げられるのと同時に毛Hを持ち上げるかあるいは上昇させることもできる。説明の目的で、1本の毛Hのみが図4Aに示されている。非刃要素14に対するかみそり刃12dの負の露出量は、望ましくは約−0.3mmまでとなり得るが、この負の露出量により、剃毛行程が非刃要素14を通過し、その後方のかみそり刃12dに達したとき、望ましくはかみそり刃12dと皮膚44bとの接触が最小限となり、あるいは皮膚が効果的にマスクされ、かみそり刃12の接触を実質的に毛Hとのみとすることができる。これにより、望ましくは、各毛の長さのうちのより多くが切断されるように、毛Hをより皮膚に近い点H1にて切断することが可能となり、見逃された毛が切断される範囲が改善され、更にまた、切断される見逃された毛の本数が増加され、したがって、ユーザーによる剃毛の結果の認識が高められる(例えば、皮膚は剃毛の直後はより滑らかに感じられる)。
【0067】
非刃要素がかみそり刃アレイ内に存在すると、すべてのかみそり刃は望ましくは、皮膚と接触することを実質的に防止され得るが(例えば、快適性、滑り及び安全性が改善する)、かみそり刃が皮膚と最小限に接触するかあるいは接触しないことで(例えば、特に、上述のように非刃要素14の後のかみそり刃12dにおいて)毛の切断が改善されることと相まって、毛の高さを上昇させることにより、かみそり刃の毛との接触が向上される。
【0068】
しかしながら、かみそり刃アレイ12内のかみそり刃の各々に対して中立又はゼロのかみそり刃露出量が存在するように(例えば、かみそり刃と非刃要素が単に皮膚をかすめるように)、図4Aの非刃要素14が配設された場合、剃毛の快適性、滑り及び安全性などの属性もまた、剃毛の間に改善される。更に、理論的には、例えば、本発明の図3Dに示すように、各かみそり刃が非刃要素の後方に配置され、中立又は負の露出量を持たせて配列される場合、皮膚はかみそり刃先端部又はかみそり刃縁部と実質的に接触し得なくなり、ここでもかみそり刃は、切断される毛と実質的に接触した状態に維持される。これにより、表面的には、剃毛が非常に快適に、またより望ましくは皮膚に切り傷が付けられないことになる。そのような改善された皮膚の流動性はまた、剃毛の接近性に関してもプラスとなり得る。
【0069】
皮膚の流動性が改善されること、及び毛との接触が増すことに加えて、非刃要素がまた毛送給用の又は毛整列用の構造(例えば、図5B及び5Dに関連して以下に図示及び説明する突出部)を有する場合、毛の制御/流動性を更に向上させることができ、剃毛の効率を望ましくは改善することができる。
【0070】
したがって、その結果、1つ以上の非刃要素をかみそり刃アレイ12内に有することにより、一般には皮膚と毛の両方が望ましく管理され得る。図示しないが、本発明はまた、2個の非刃要素が、隣接する位置(例えば、かみそり刃の位置)に置かれることによって、あるいは互いに装着され同じかみそり刃の位置に置かれることによって、かみそり刃アレイ12の中央に配設され得る構成をも企図するものである。
【0071】
更に、1つ以上の非刃要素をかみそり刃アレイ内に配設することにより、有利にも、非刃要素がなければ通常のかみそりでは過度に鋭利となるか(例えば、切断の危険が非常に高い)あるいはユーザーにとって不快となり得る、より一層鋭利なかみそり刃(例えば、小さな切断力で)又は他のかみそり刃配列を利用することが可能となる。例えば、非常に鋭利なタイプのかみそり刃が望ましくは、そのような非刃要素のすぐ後方のかみそり刃の位置に配設され得る(例えば、かみそり刃12d)。
【0072】
ここで図4Bを参照すると、本発明の「2段」カートリッジの別の実施形態が示されている。
【0073】
上記のように、かみそりカートリッジ10のガード領域16は、より大きな摩擦力をカートリッジの前部に生じさせることで知られており、この摩擦力により、剃毛の間、かみそり刃の前方の皮膚が伸張され、望ましくは毛が整列されるが、一方で、キャップ17は一般に、その上を皮膚が滑るようにするための低摩擦要素であり、望ましくは潤滑性、滑らかな滑り、又は他の皮膚制御を更にもたらすものであることが知られている。
【0074】
カートリッジユニット10aの前部は、「第1の段」と考えられ得るものであり、図4Bに示されるように、従来のかみそりと同様に、ガード16及びガードバー16aと、2枚のかみそり刃12a及び12bと、非刃要素14の一部分又は全体とを有してもよく、従来のかみそりでは、この例の非刃要素14は、皮膚の管理又は潤滑など、第1の段に関する「キャップ」機能を提供し得る。
【0075】
カートリッジ10の前部に向けて配置されたカートリッジユニット10aは、ユーザーの毛及び皮膚に最初に接触するものであり、したがって、ユーザーの毛の大部分を剃毛するように、あるいは(例えば、剃毛を毎日行わない場合など)長い毛を除去できるように設計されてもよい。2009年8月17日に出願され本願の譲受人に譲渡された係属中の米国特許出願第12/542,141号、名称「剃毛かみそり及びカートリッジ」に記載されているように、この機能は、ガードバー16aが、かみそり刃の刃縁部を横切る突起部を備えて形成されており、それにより、ガードとかみそり刃との相乗作用がもたらされ、毛の流動性と皮膚の管理が改善される場合に改善され得る。
【0076】
カートリッジの「第2の段」、つまりカートリッジユニット10bにおいて、非刃要素14と、2枚のかみそり刃12d及び12eと、キャップ17が、カートリッジの後部にかつキャップ17の前部に配置されている。第2の段の非刃要素14の少なくとも一部分は、望ましくは、通常のガードと同じように作用するか、あるいは、上述したような皮膚管理の改善など、ガードと同様の機能を有し得る。このカートリッジユニット10bは、「第1の段」、つまりユニット10aから受け継いだ、見逃されたあるいは問題のある毛を対象としてもよい。
【0077】
この多段カートリッジは、すべての毛が切断される機会を2回、つまり各段階に1回、与えることができる。これにより、切断困難な毛を切断する機会が、2回得られ、したがって、切断困難な毛が各剃毛で実際に切断される(例えば、見逃されない)かあるいは更に切断される(例えば、皮膚線で又はその付近で)見込みが改善される。
【0078】
上述した第1の段は、毛の大部分を望ましくは除去している可能性があるため、カートリッジユニット10bの水洗能力は、第2の段では、第1の段ほどには問題とならないことがあり、それにより、塞がり又は水洗能力の問題を伴うことなく、第2の段において、第1の段よりもスパンを狭くすることが可能となる。図4Bにおいて、これらのスパンには、第2の段にある非刃要素14とかみそり刃12dとの間のスパンSP3及びかみそり刃12dとかみそり刃12eとの間のスパンSP4が含まれ得る。一般に、狭いスパンを有するかみそり刃は、剃毛性能を改善し得ることが知られている。したがって、図4Bに示すように、カートリッジユニット10bの第3及び第4のかみそり刃12d及び12eは、カートリッジユニット10aのかみそり刃12aと12bとの間のスパンSP1よりも狭いかみそり刃スパンSP4を有し得る。
【0079】
通常の(非刃要素を持たない)かみそりカートリッジにおいては、一般に、主かみそり刃スパン、つまり、固定制御点(例えば、ガードバー16a又はガード16)と第1のかみそり刃12aとの間に位置するスパンが1つのみ存在する。主かみそり刃スパンは、近くの固定制御点(例えば、ガード/ガードバー)を有する幾何学的配置を適切に制御する能力をもたらす。
【0080】
図4Bは、2つの主スパンを有することを企図するものである。例えば、固定制御点(例えば、ガードバー16a又はガード16)と第1のかみそり刃12aとの間に位置する第1の段の主スパンSP0と、第2の段、つまりカートリッジユニット10bのスパンSP3とが存在してもよく、スパンSP3は、第1の段の主スパンSP0が固定制御点(例えば、ガードバー16a又はガード16)と第1のかみそり刃との間に位置するのと同様に、固定制御点(例えば、非刃要素14)とかみそり刃12dとの間に位置するので、第2の段の主スパンと考えられてもよい。
【0081】
一般に、カートリッジ全体にわたってスパンが狭くなるにつれて(例えば、主スパン及びかみそり刃の先端部同士のスパン)、皮膚はカートリッジの中へあまり突き出さなくなり、切り傷と不快感もあまり実感されなくなる。本発明において、第1の段の主スパンSP0は約0.01mm〜約1mmの範囲に及んでもよく、かみそり刃先端部スパンSP1は約0.5mm〜約1.5mmの範囲に及んでもよく、副スパンSP2は約0.5mm〜約2.0mmの範囲に及んでもよく、第2の段の主スパンSP3は約0.01mm〜約1mmの範囲に及んでもよく、かみそり刃先端部スパンSP4は約0.5mm〜約2mmの範囲に及んでもよく、かみそり刃先端部スパンSP5は約1.5mm〜約2.5mm、望ましくは約2.10mmの範囲に及んでもよい。
【0082】
また、留意されたいこととして、図4Bの非刃要素の前及び後のリンス通り抜けギャップの寸法は、図示されていないが、図2の第1及び第2のリンス通り抜けギャップ23a及び23bの寸法と同等であってもよい。
【0083】
例えば、中立又は負の露出量を有するかみそり刃は、実質的に皮膚と接触しなくてもよく、あるいは図4A又は図4Bに示されるように皮膚をかすめるだけでもよいことが既知であるので、本発明の第2の段、つまりカートリッジユニット10bはまた、従来のかみそり刃アレイと比べて、更に鋭利なかみそり刃及び/又はより高い「かみそり刃接触角度(BTA)」を有するかみそり刃を有するように改良されてもよく、この後者の場合は図4Dに示されている。
【0084】
特に、このBTAに関して言えば、かみそり刃と皮膚線との間の角度を示すことが一般に公知である。また、この角度を増加させることにより、より一般的な第1の段、つまりカートリッジユニット10aが見逃した可能性のある毛を第2の段で捕捉することが可能となる。しかしながら、BTAを大きくすると接近性が改善され得るが(例えば、より多くの毛が切断される)、通常は快適性が失われ(例えば、かみそり刃が皮膚の上で引きずられ、皮膚に損傷を与えることがある)、対照的に、BTAを小さくすると快適性が改善されるが、通常は接近性が失われるので、BTAの調節は、設計において事前の計画を必要とする。
【0085】
BTAに関連して、図4C及び4Dは、本発明の2つの構成を示している。図4Cにおいて、かみそり刃接触角度47は、皮膚線44bに対して約20度〜24度の範囲に及んでよく、望ましくは約22.5度であってもよい。図4Cは、図4Aの構成で見出され得るBTAを表現し得るものである。
【0086】
図4Dにおいて、BTA 48は、皮膚線44bから約25度〜30度の範囲に及んでもよく、望ましくは約28度であってもよい。加えて、図4Dは、図4Bのスパンと類似した狭いスパンを有して示されている。図4Cと比較して、図4Dに示すスパンは狭く、BTAは増大されていることにより、少なくともかみそり刃12dの負の露出量43と相まって、望ましくは、皮膚にかかるかみそり刃先端部の荷重が改善され、皮膚の損傷を伴わずに切断される毛の本数が増加し得る。
【0087】
そのような多段カートリッジは有利には、本発明の非刃要素の新規な応用をもたらし得る。例えば、多段カートリッジは、中心に配置される非刃要素の前後で異なる機能を有し、そのため種々のタイプの毛及び/又は種々の毛領域(例えば、首、顎、顔、体)を対象とするように多様な選択によって設計されてもよい。例えば、切断困難で低く横たわる毛の切断は、図4Dの構成で改善され得る。
【0088】
したがって、本発明の非刃要素を用いて多段カートリッジを構成して、概ね中心の制御点を設ける上で、非刃要素、ガード及びキャップなどの制御点に対して、かみそり刃のタイプ、角度、スパン、露出量、及びかみそり刃の枚数など、相互に関連する複数の変数の釣り合いをとることは一般に、毛を効果的に切断する一方で皮膚に損傷を与えることのない最適な設計をもたらすために重要となり得る。
【0089】
本発明の非刃要素又は制御点が存在することにより、従来のかみそりカートリッジで可能となる範囲と比べて、より広範な範囲で、これらの相互に関連する変数を微調整することが可能となり、それによって更に多くの利点がもたらされ得る。
【0090】
上述のように、望ましくは、かみそり刃の鋭利さ及び角度を増すことができ、スパンを縮小することができ、露出量を中立又は負にして、皮膚に損傷がないように、また(長さと本数の両方で)更に多くの毛を切断するようにすることができる。更に、非刃要素は、望ましくは、高い摩擦力を発生させることなく皮膚と毛を通過させることになり、したがって、非刃要素は、かみそり刃アレイ内の実質的に低摩擦の要素として維持される。
【0091】
しかしながら、留意されたいこととして、多段カートリッジ(例えば、カートリッジユニット10a及び10b)におけるかみそり刃のタイプ、角度、露出量、及び枚数の任意の構成、並びに任意のタイプの非刃要素が、本発明において企図される。
【0092】
非刃要素自体の設計に関して言えば、「2段」カートリッジにおいて、非刃要素14は、第1の段のキャップと第2の段のガードの双方として働き得るので、そのような多段カートリッジの非刃要素14は、(例えば、刈り取りから刈り取りへと向かう方向に移動して)長さ方向の各部分に二分化されてもよい。非刃要素は、図5Eに関連して以下でより詳細に説明するように、カートリッジユニット10aの側の長さ方向に沿った潤滑ストリップ、及び/又は、カートリッジユニット10b側の隣接する長さ方向の突起若しくは他のガード様の要素を有してもよい。潤滑ストリップ部分は、キャップの機能、例えば、潤滑性、滑らかな滑り、又は他の皮膚制御をユニット10aに与えるのを支援し得るが、突起部は、一般には切断又は剃毛プロセスの間に毛を整列させ支持するように働くガードの機能をユニット10bに与えるのを支援し得るものである。
【0093】
ここで図5A〜5Qを参照すると、本発明の範囲に含まれる非刃要素50の様々な設計が示されている。説明するこれらのタイプの非刃要素は一般に、高分子材料、エラストマー材料、発泡体、金属、又は他の材料からなっていてもよく、また、潤滑、剃毛補助、又は剥脱の能力を備え、したがって一般には射出成形又は機械加工プロセスによって形成された材料を含んでもよい。
【0094】
例えば、図5Aにおいて、実質的に平面的又は平坦である上部表面51と長さ51aとを有する非刃要素50aが示されている。非刃要素の長さ51aは一般に、従来のかみそり刃とおおよそ同じ長さであってもよく、約35mm〜40mm、又は望ましくは約36mmであってもよい。非刃要素50aの上部表面51は、任意の形状を取るように形成又は成形されてもよい。図5Aに示されるように、要素50aは上部表面51を有してもよく、上部表面51は、ガード16からキャップ17に向かってカートリッジ10の幅方向に移動して見ると、望ましくは最大で約0.2mmの幅を有する前方部分51dにおいてわずかに丸みをおびるか湾曲しており、望ましくは最大で約0.3mmの幅を有する中央部分51eにわたって実質的に平坦であり、次いで、望ましくは最大で約0.4mmの幅を有する傾斜したあるいは下向きの後方部分51fを有している。非刃要素50aの全幅は、約0.1mm〜約1.2mmの範囲をなし、望ましくは約0.3mm〜約0.5mmである。非刃要素50aの高さ51cは一般に、約1.5mmであってもよい。非刃要素50aの取り得る他の形状は、かみそり刃の外形又は輪郭(図示せず)と類似した形状であってもよい。
【0095】
非刃要素50aの寸法は一般に、通常のかみそり刃アレイ又はかみそりカートリッジ内への配置を容易にするために、望ましくは通常のかみそり刃と同じ範囲内にあってもよい。
【0096】
図5Bにおいて、微小な突出部、突起部又はナブ52が、図示のように非刃要素50の上部表面又はベース51上に配設されている。本発明は、任意の個数のナブ52を企図するものであり、これらのナブ52はそれぞれ、望ましくは構造において類似していてもよい。
【0097】
ナブ52は、非刃要素50の長さ全体にわたって、間隔に応じて約50個〜150個、望ましくは50個であってもよく、本発明の非刃要素は一般に、かみそり刃とおおよそ同じ長さに延在してもよい。各ナブ52は、非刃要素50のベース又は表面51からナブ52の上部表面52’にかけて測定して約0.25mm〜約1mm、望ましくは約0.50mmの高さと、前面52c又は背面52c’にわたって測定して約0.15mm〜約1mm、望ましくは約0.2mm〜約0.3mmの幅と、ナブ52cの前面からナブ52c’の背面にかけて、あるいは前縁部52bから後縁部52b’にかけて測定して約0.3mm〜約1.5mm、望ましくは約0.8mmの長さを有し得る。ナブ又は突出部52は、通常のガード構造に見出されるものと類似したものであってもよく、あるいは、この非刃要素50bに関しては、以下で説明するナブ52及び開放スロット52aが望ましくはより小さな寸法を有することを除き、例えば、2009年8月17日に出願され本願の譲受人に譲渡された係属中の米国特許出願第12/542,141号、名称「剃毛かみそり及びカートリッジ」に記載されているように、別の形で形成又は構成されてもよい。
【0098】
図5Bの拡大図を参照すると、隣接する2個の突出部52の詳細な斜視図が示されている。開放スロット52aが、互いに隣接して配設された1対の突出部52の間に画定され得る。人間の毛の太さは約0.10mmであり得るので、開放スロット52aの幅が約0.1mm未満である場合、その毛はスロット52a内に捕捉され、他の毛が適切にスロットを通過して非刃要素の後方又は前方のかみそり刃に達するのを妨げることがある。スロット52aの幅が小さすぎる場合、スロット52a及び非刃要素に隣接するかみそり刃の適切な水洗が妨害され得る。剃毛補助剤、毛、埃及び細片が、スロット52a内に、また隣接するかみそり刃の周りに閉じ込められ、したがって、かみそり刃が毛を切断する効率が低下することもある。長い毛ほど閉じ込められやすく、水洗して落とすことが困難となり得るので、頻繁に剃毛しないユーザーにとって、このことは更に重大となり得る。また、長い毛自体が更に毛、剃毛補助剤、埃、及び細片を閉じ込めやすくなり得る。
【0099】
前述の隣接する1対の突出部52はスロット52aを画定しており、スロット52aは、毛との相互作用をほとんどあるいは全く伴わずに毛を追跡するように寸法を定められており、そのため、毛が突出部52によって捕捉されたり、閉じ込められたり、引っ張られたりすることがなく、それによって不快感を生じることもない。スロット52aと突出部52は、毛の邪魔にならないように、可能な限り小さく離間されている。スロット52aと突出部52はまた、スロット52a内への皮膚の突き出し及びスロット52aの端部の各点における圧力を減じるように寸法を定められており、これらは突出部52a又はスロット52が過度に離間している場合に結果として生じ得るものである。皮膚の突き出しは、かみそり刃縁部(例えば、特に不図示のかみそり刃12d)が不必要に皮膚を切断することにつながり、結果として不快感を生じることになり得る。非刃要素50bの長さ方向の全体にわたる比較的多数の突出部52は、カートリッジ10によって皮膚に加えられる力を分散するように働き得るが、一方で、スロット52aの個数を増加することによっても、非刃要素のスロット52aを通過する毛の本数を増加させることができ、これにより、本発明に関しては図1のように構成された場合、例えば,かみそり刃12d(図示せず)のかみそり刃縁部13dによって適切に切断される毛の本数を増加させることができる。
【0100】
したがって、ナブ52を非刃要素50b上に配設することの主な利点は、望ましくは、スロット52aを介して非刃要素50bの後方の1枚及び/又は複数枚のかみそり刃(例えば、図1におけるかみそり刃12d及び12e)へ向けて、毛が配置又は供給及び整列されることであり、これによって望ましくは効率が改善され得る。加えて、突出部52は、皮膚領域においてマッサージするかあるいは血流を増加するように働き得る。
【0101】
スロット52aは、前端部分52bから後端部分52b’にかけて同じ幅を有してもよく、あるいはスロットの幅は先細となっていてもよい。スロット52a’の前端部分52bは毛を受容し、スロットの後端部分52b’は、切断のためにカートリッジ(図示せず)の後部のかみそり刃にその毛を送給する。前端部分52bは、約0.1mm〜約0.5mm、望ましくは約0.20mmの幅w1を有し得る。後端部分52b’は、先細のスロット52aを設けるために、w1よりも狭い幅w2を有してもよく、この先細のスロット52aは、毛を漏斗状にして非刃要素の後方のかみそり刃に送るためのものである。スロット52aの前端部分52bは、面取り部又は導入部(図示せず)を有してもよく、その導入部は、毛の移動及び通過をより効率的にするために、前端部分52bから後端部分52b’にかけて先細となったものである。
【0102】
図5Bにおけるナブ52のうちの1つの第1の側面52dと、隣接する突出部の第1の側面52d’との間にわたる開放スロット52aのピッチ又は間隔は、約0.2mm〜約1mm、望ましくは約0.2mm〜約0.4mmであってもよい。
【0103】
図示しないが、スロット52aは、隣接する突出部52の前面52cを越えて延びていてもよく、結果として、スロットの長さは、隣接する突出部52の長さよりもわずかに長くなる。
【0104】
突出部52の高さは、先細となるかあるいは上又は下に段付きになっていてもよく、そのため、スロット52aの前端部分52bの付近での突出部52の高さが、スロット52aの後端部分52b’の近くでの突出部52の高さよりも高く、あるいは低くなっていてもよい。段付きの又は上向きに角度をなす設計は、非刃要素50bの強度を向上することができ、スロット52aの中に入る毛の追跡を改善することができる。一般に、かみそりカートリッジに設けられた図5Bの構成は、短い毛と長い毛の両方を対象とし得る。
【0105】
図示のように、ナブ52は、毛がかみそり刃に対して横方向に(例えば、ガード16からキャップ17に向かってカートリッジ10の幅方向に)スロット52aの中に流れ込むように配設されている。本発明による上述した横方向の構成に加えて、ナブ52はまた、実行可能として望まれる場合、かみそり刃の刃縁部に対して平行に、角度をなして、ジグザグ、山形、ヘリンボーン又は市松模様のパターンをなして、あるいはそれらの任意の組合わせで延びていてもよい。
【0106】
ここで図5Cを参照すると、非刃要素50cが示されており、この非刃要素50cは、上部表面51上に配設された波形53若しくは小さな波しわの反復パターン、磯波の起伏部又は他の類似のパターンを有している。波53は、図5Cの拡大図に示されるように、角度53aで示されるような、望ましくは15度、最大で約60度の斜角開口部、及び、約0.30mm〜約0.80mm、望ましくは約0.50mm〜約0.60mmのピッチ又は間隔53bを有する波を示している。この波の高さ又は深さ53cは、約0.20mm〜約1mmの範囲をなし、望ましくは約0.50mmとなり得る。波53の個数は、非刃要素50cの長さ方向にわたって約50個〜約100個の範囲をなし、望ましくは約75個となり得る。
【0107】
斜角開口部及び波53の他の寸法に応じて、かみそりカートリッジに設けられた図5Cの構成は、カートリッジの前部の通常のガードでは見逃され得る、低く横たわる短い毛を適切に対象とし得る。
【0108】
図5Dにおいて、本発明の非刃要素50d上にある1つ以上の突出部54が示されているこれらの突出部は、ナブであってもフィン様の要素であってもよい。突出部54は望ましくは、金属、プラスチック、又はエラストマー材料で作製され得る。突出部54は、かみそり刃の刃縁部に対して平行であるか、垂直であるか、互い違いであるか、パターン形成されているか、角度をなす(あるいはそれらの任意の組合わせをなす)1以上の行又はアレイをなして配列されてもよい。図5Dに示すように、突出部54は、非刃要素50dの長さ方向に沿って延びる2つの列54a及び54a’をなして配列され、また、突出部の間にある複数の開放スロット54b’を備えて配列されており、これらの開放スロット54b’は、剃毛の間に毛を自在に通過させるためのものである。
【0109】
各ナブ様の要素54は、約0.10mm〜約1mm、又は望ましくは約0.4mm〜約0.5mmの幅54b、及び、約0.30mm〜約1mm、又は望ましくは約0.5mm若しくは0.60mmの高さ54dを有し得る。突出部は開放スロット54cを有することができ、開放スロット54cは、約0.15mm〜約0.8mm、望ましくは0.20mmの幅と、約0.25mm〜約2.0mm、より望ましくは約0.60mmのピッチ又は間隔54c’を有する。
【0110】
図示のように、突出部54は、わずかに丸みの付いた先端部又は湾曲した上部表面54’を有してもよいが、上部表面54’の任意の形状が本発明において企図される。
【0111】
突出部54の各行において、約50個〜80個の突出部54、又は望ましくは約65個〜70個の突出部54が、非刃要素50dの上部表面51の長さ51aの方向に沿って配設されていてもよい。図5Bのナブ52に関連して上述したように、突出部54はまた、非刃要素50dの長さ51aの全体にわたって等しい寸法を備えて、あるいは、異なる寸法(例えば、先細となるか若しくは減少する幅又は突出部の寸法)を備えて、あるいは、それらの任意の組合わせで配列されてもよい(図示せず)。
【0112】
丸みの付いた又は湾曲した上部の形状構成を有することにより、図5Dの突出部54は、好ましい皮膚荷重を与えることができ、また、2行の突出部54を有することにより、非刃要素の後方のかみそり刃が毛を切断できるように、毛は理論的に、より良好に持ち上げられるか、あるいは整列され得る。
【0113】
図5Eにおいて、フィン様の要素55と潤滑ストリップ56との組合わせが示されており、各々が非刃要素50eの長さ全体にわたって延びている。この二分構成は、図4Bに関連して上述したように、多段カートリッジに有益となり得るものであり、例えば、この非刃要素は、第1のカートリッジユニット10a又は第1の段においてはキャップ又は潤滑ストリップとして機能し、第2のカートリッジユニット10b又は第2の段においてはガードとして機能する。非刃要素50eのフィン様の要素55は、図5Dに関連して上述したタイプのもの又はそれに類似したものであっても、寸法がより微細でかつより柔軟なものであってもよい。潤滑ストリップ56は、任意の既知のタイプの潤滑ストリップの材料を含んでもよく、例えば、アロエ、ビタミンE、無機質又は油を含んでもよい。非刃要素50eの2つの部分55及び56は、限定するものではないが、シール、接着剤又は他の既知の機械的手段など、任意の既知の望ましい取付け方法で互いに取り付けられてもよい。可能な場合、3つ以上の部分が互いに取り付けられて、本発明の1つの非刃要素50eを形成してもよい。
【0114】
図5Fに示されるように非刃要素50fの長さ51aの全体にわたって延びる領域又は谷57が形成されており、望ましくは、谷57の中に配設される任意のタイプの組成物又は剃毛補助剤などの材料57aを含んでもよい。この組成物又は剃毛補助材料は、望ましくは、皮膚、毛、水又は他の液体が非刃要素50と接触したときに滲み出されるかあるいは染み出されて、剃毛の間の皮膚の流動制御を改善し得るものである。
【0115】
図5Gにおいて、ナブ52とフィン様の要素55との組合わせが、非刃要素50gの長さ方向に沿った様々な部分において示されている。例えば、図5Eのものと類似したフィン様の要素55が外側部分50g”上に配列されている一方で、図5Bのナブ52が、図5Gに示すように要素50gの中央領域50g’に配列されていてもよい。この配列は、フィン様の要素が配設されている外側部分50g”におけるかみそり刃の端部の付近では、更なる快適性又は皮膚の保護をもたらし、ナブが配設されているかみそり刃の中央領域50g’の付近では、毛の流動又は制御を改善することができる。任意のタイプの非刃要素のそのような任意の組合わせが本発明において企図されることに留意されたい。
【0116】
図5Hは、上部表面51上に配設された剥脱層58を備える非刃要素50hを示している。そのような剥脱層は望ましくは、皮膚層の少なくとも一部分を、例えば、薄片又は鱗屑として除去できる細粒研磨コーティング又は表面組織を備えてもよい。また、本発明の剥脱層58は、皮膚領域への血流を増加させてもよく、あるいは、(例えば、死滅細胞を除去するために)皮膚の上部層のごく一部分をはぎ取るかあるいは剥がし落とすことができる成分を含んでもよい。
【0117】
図5Iは、スポンジ又は発泡体59とした非刃要素50iを示しており、このスポンジ又は発泡体59は、潤滑剤などの剃毛補助材料を埋封されていても埋封されていなくてもよい。潤滑剤を埋封された場合、要素50iは、滑りを改善し、皮膚の流動及び/又は他の皮膚の改善若しくは保護を高めることができ、皮膚は非刃要素50iの上を滑らかに移動する。そのような皮膚の制御又は管理は、例えば図1に示すように非刃要素50iがカートリッジの中間に配置される場合、望ましいものとなり得る。
【0118】
図5Jは、望ましくは改良型又は機能拡張型のかみそり刃支持体として形成された非刃要素50jを示しており、このかみそり刃支持体は、任意の材料で作製されるが、有利には、従来よりかみそり刃支持体に用いられてきた金属と同じ種類の金属からなるものである。図5Jにおける下向きの矢印は、非刃要素50jとかみそり刃12a、12b、12d、及び12eをカートリッジ10へとトップダウン式で搭載することを示している。
【0119】
図5Kに示される図5Jの横断側面図において、本発明の非刃要素50jは、L字形状、かみそり刃の輪郭など、任意の形状を有してもよく、あるいは、図5Kに示すような望ましくは湾曲した若しくは丸み付きの前縁部又はフック様の構造59を有してもよい。湾曲又はフック様の構造59は、皮膚が非刃要素50jを通り過ぎるときに皮膚が接触するための、より滑らかな表面をなし、それによってユーザーの快適性を改善している。
【0120】
本発明は、改善されたかみそり刃支持体型の非刃要素50jに関し、実現可能な任意の構造を企図するものである。例えば、図5Jに示すように、要素50jは、一体型又は単一の要素(例えば、1つの部品)であってもよい。したがって、非刃要素50jを製造する一方法は、かみそり刃支持体を改善し、かみそり刃支持体の頂部にかけてかみそり刃に刃縁部を溶接するのではなくかみそり刃支持体の輪郭を延長することであってもよい。要素50jはまた、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は他の望ましい被覆剤で被覆されてもよい。標準的なかみそり刃支持体と類似した構造を有することにより、要素50jは、装置の改良を必要とすることもその費用を要することもなく、従来のかみそりカートリッジ装置でうまく取り扱われることが可能となる。
【0121】
そのような非刃要素(図示せず)を製造する別の方法は、かみそり刃支持体の部分に非刃要素を溶接するか、装着するか、あるいは他の形で(例えば、接着剤又は機械的若しくは熱的手段によって)取り付けることによって、改良型かみそり刃支持体の頂部領域又は上部に非刃要素(図5A〜5Iに関連して説明したものなど)を結合するかあるいは取り付けることであってもよい。これは、二体式の改良型かみそり刃支持体構造と見なされてもよい。例えば、かみそり刃支持体は、1つ以上のフィン様の要素又は突出部を上部表面上に含むかあるいは配設して、別のタイプの改良型かみそり刃支持体、又は非刃要素の後方のかみそり刃に向かって毛を送出するかあるいは持ち上げることが可能な本発明の範囲に含まれる非刃要素を形成するように拡張されてもよい。したがって、本発明の非刃要素は、実用的となる場合、一体式又は二体式以上の改良型かみそり刃支持体を含んでもよい。いずれの場合においても、非刃要素は、刃要素とはならない。
【0122】
一体式及び二体式の非刃要素が図5Lに示されているが、図5Lはまた、本発明の別の実施形態を示しており、この実施形態において、非刃要素154a又は非刃要素154bは、一種の櫛、又は複数の歯を有する櫛様の機構として形成されるか、あるいはそれらを追加された上部表面を有してもよく、それら複数の歯は望ましくは硬質であってもよいが、軟質であっても半硬質であっても、あるいはそれらの任意の組合わせであってもよい。非刃要素1540aの上部表面は、角形の縁部154a’を有するものとして示されているが、非刃要素154bの上部表面は、先細の縁部154b’を有するものとして示されている。
【0123】
非刃要素は、二体式の組立体155aであっても一体式の組立体155bであってもよい。図5Lのかみそり刃アレイ152に示されるように、二体式の組立体のタイプ155aは望ましくは、非刃要素154bの前部の2枚のかみそり刃152a、152bと、後部の2枚のかみそり刃152d及び152eとを有するかみそり刃アレイ152の中央に配置されてもよく、二体式の組立体155aとして示されている。櫛形の非刃要素154bは望ましくは標準的なかみそり刃と類似した幾何学的形状を有しており、したがって、レーザー溶接又はかみそりの当業者に知られている他の技術で、通常のかみそり刃支持体要素151に接合され得るので、非刃要素154bのこの二体式の組立体は、標準的なかみそり刃組立体と類似した方式で生産され得る。
【0124】
同様にかみそり刃アレイ152の中央に配設されて示された一体式の組立体155bは、ユーザーの皮膚表面に接触する非刃要素154aの、角形の縁部をなす上部表面154a’を有しており、単一の曲線部要素として、あるいは、図5J〜5Kに関連した上述したような改良型かみそり刃支持体として形成されている。
【0125】
非刃要素154aと154bはいずれも、標準的なかみそり刃及びかみそり刃支持体組立体に対する「落とし込み式」の交換品と見なされてもよい。
【0126】
ここで図5Mを参照すると、本発明の別の代替的な実施形態が示されており、非刃要素155cが、単一の曲線部要素154cを有するものとして示されているが、非刃要素155cが望ましくは皮膚表面に接触する丸み付きの上部表面154c’を更に含み得ることを除き、この非刃要素155cは、図5Lの一体式の櫛形構造をなす非刃要素155bと類似したものである。上記のように、非刃要素155cは、かみそり刃アレイ152の中央の位置に示すように、標準的なかみそり刃及びかみそり刃支持体の組立体に対する「落とし込み式」の交換品と見なされてもよい。
【0127】
図5Nは、本発明の更に別の代替的な実施形態を示しており、非刃要素155dが、皮膚表面に接触する丸み付きの上部表面154d’を有する単一の曲線部要素154dとして示されている。しかしながら、図示の方向付けは、図5L及び5Mに示す櫛形の実施形態のものとは逆転されている。図示の非刃要素154d内に示された開口部156は、組立の間に非刃要素155dがカートリッジのバネ指を緩めるかあるいはそのバネ指の上に滑るように、寸法と形状を定められてもよい。
【0128】
図5Nにおける方向付けが逆転された櫛は望ましくは、図5L及び5Mの他の櫛形の非刃要素と類似した方式で皮膚と接触し得る。非刃要素155dが、図5Nに示されるように後方のかみそり刃152dへと後ろ向きに延びることにより、非刃要素155dは望ましくは、図5L及び5Mの実施形態と比べて、後方の刃縁部に至るまで毛をより良好に導き得るが、図5L及び5Mは、後方のかみそり刃152dのかなり前方にある櫛形機構を示しており、したがって、理論的には、後方のかみそり刃に至るまで毛を適切に導き得ないものである。
【0129】
この逆転した方向付けは更に、皮膚との接触半径を最大化し、後方のかみそり刃縁部に毛を案内するように働くことができる。接触半径については、以下で更に詳細に説明することにする。しかしながら、上記のように、非刃要素155dは、かみそり刃アレイ152の位置に示すように、標準的なかみそり刃及びかみそり刃支持体の組立体に対する「落とし込み式」の交換品と見なされてもよい。
【0130】
図5L〜5Nに関連して上述した櫛を備える非刃要素は、他のタイプの非刃要素と共に説明したように、前方にあるかみそり刃152b又は非刃要素に続くかみそり刃152dに近接して(例えば、約50μm以上)配置され得る。一般に、図5L及び5Nの実施形態のリンス通り抜けギャップは、図2に関連して上述したものと類似した寸法をなしてもよい。同様に、スパン、BTA、及び露出量は、例えば図4Dで上述したように、同様に改良されてよく(例えば、スパンを狭め、BTAを増加し、後方のかみそり刃の露出量を負にする)、望ましくは、皮膚にかかるかみそり刃先端部の荷重を改善し、皮膚の損傷を伴うことなく切断される毛の本数を改善することができる。
【0131】
非刃要素によって整列及び案内された毛を見逃すことがないように、後方のかみそり刃又は非刃要素のすぐ前のかみそり刃を非刃要素に非常に近接して置くと望ましいことが判明している。
【0132】
本発明に従って、非刃要素の櫛又は歯の構造面の望ましい寸法範囲が、図5Oにより詳細に示されている。例えば、図5L及び5Nにおいて上に示した非刃要素の歯162の幅は、望ましくは約100μm〜約2000μmの範囲に及び、より望ましくは約500μmであってもよく、歯164同士の間に画定されるギャップの幅又は開放スロットは、望ましくは約100μm〜約2000μmの範囲に及び、望ましくは約500μmであってもよい。一般に、ギャップの幅164により、剃毛の間に毛が自在に通過できるようになる。ギャップの深さ(又は歯の高さ)166は、望ましくは約100μm〜約2000μmの範囲に及び、望ましくは約650μmであってもよく、その一方で、ギャップのピッチ168は、一般にギャップの幅164と歯の幅162の寸法を互いに加算することによって推定され得るものであるが、望ましくは約200μm〜約4000μmの範囲に及び、望ましくは約1000μmであってもよい。全体的な深さ(又は全体的な高さ)は、非刃要素のギャップの深さ166と底部の深さ方向の区間166aとを含み得るが、一般には、標準的なかみそり刃組立体とおおよそ同じ、典型的には約0.09インチ、つまり約2.29mmであってもよい。各歯の長さ(又は厚さ)165は、図5Pに示されるように、約75μm〜約250μmの範囲に及んでもよく、より望ましくは約150μmであってもよい。
【0133】
また留意されたいこととして、本発明に従えば、本明細書に記載するこれらの寸法のいずれかが、非刃要素の長さ方向に沿って一定であっても可変であってもよい。
【0134】
ここで図5Qを参照すると、限定されるものではないが本発明によって企図される様々な「櫛形」の実施形態の頂面図が示されている。非刃要素172における歯の方向付けは、直線的であってもよく、あるいは一般に、剃毛の方向に対して平行であってもよい。歯の方向付けは、非刃要素174においては、ある角度を右になしていてもよく、非刃要素176においては、ある角度を左になしていてもよく、非刃要素178においては、ある角度を中央に向かってなしていてもよい。方向付けが異なることにより、剃毛されている皮膚の領域に利点がもたらされ得る。例えば、ある角度をなす方向付けは、首、顎、膝、又は脇の下など、剃毛困難な領域における剃毛(例えば、効率)を改善し得る。
【0135】
有利にも、図5L、5M、及び5Nに示すものなど、上部表面に櫛を配列又は追加された非刃要素は、望ましくは、上記の実施形態(例えば、図5B、5D)においてもそうであるように、皮膚表面の下方で閉じ込められた毛、又は他の低く横たわる毛を自由にする又は解放するために、皮膚を振り動かすように働くことができ、したがって、毛が回転して横にそれることが防止され、また、毛の飛び越しが防止又は低減されると共に水洗の利点がもたらされる。非刃要素上のそのような櫛又は櫛様の機構(例えば、歯)は、望ましくは、それに続く基端側のかみそり刃が長さと本数の両方においてより多くの毛を切断するように、毛を整列させ、次いでそれらの毛を時間内に離すのを支援することができる。したがって、これらの剃毛困難な領域が、非刃要素上の櫛又は他の毛整列機構によって、より容易に処理され得るので、効率が改善される。加えて、直接、切断用のかみそり刃に毛を案内する能力を付与し、切断される毛を増加させることにより、櫛様の機構(例えば、歯)を有する非刃要素は一般に、剃毛直後の滑らかな感覚を改善することができる。
【0136】
図5Rを参照すると、本発明の種々の非刃要素に関する様々な接触角度が示されている。接触半径182a、182b、及び182cは、非刃要素(それぞれ非刃要素155a、155c、及び155dと同様に示す)に関して示されたものであり、非刃要素の上部表面によって形成された接触「円」の、ユーザーの皮膚表面185までの半径長さを表している。非刃要素155aの接触半径182aが一般に最も小さく、望ましくは約25μm未満であり、一方で、非刃要素155cの接触半径182bはそれよりも少し大きく、望ましくは約250μmであり、非刃要素155dの接触半径182cは、図示の3つのうちで最大であり、望ましくは約550μmである。理論的に、他のすべての条件が同じであれば、一般に、接触半径が小さくなるにつれて、皮膚にかかる圧力も高くなり、その一方で、一般に、接触半径が大きくなるにつれて、皮膚にかかる圧力も低くなる。高い圧力は、過度にチクチクする、あるいはザラザラしているとユーザーが感じることがあるので、望ましくないことがあり、一方で、低い圧力は、それよりも高い圧力と同等に良好であると評価されないかあるいは感じられないことがある。したがって、有利には、最適な圧力を得るために、種々のタイプの非刃要素とそれらの接触半径とのバランスを取ることが必要となり得る。
【0137】
これまでに説明した非刃要素は一般に、(例えば、かみそり刃の装着と同様に)かみそり刃位置又はスロットにかみそり刃アレイ又はカートリッジの頂部から装填又は装着されるものであるが、本発明は、非刃要素を通常のかみそり刃位置又はかみそり刃スロットに置くことに限定されない。
【0138】
かみそり刃アレイ内に置くための非刃要素を製造する他の方法について、以下で説明することにする。
【0139】
本発明の非刃要素は、例えば、図6に示されるように、カートリッジフレーム65の少なくとも一方の側に配設された少なくとも1つのホール、開口部又はスロット65aを介して、かみそり刃アレイ62に装填され得るものであり、ここで、非刃要素64は、一般には丸形の形状のものであるが、本発明の範囲内で、任意の形状、構造、又は組成のものであってもよい。ホール65aは望ましくは、かみそり刃アレイ62内の、したがってかみそりカートリッジ60内の定位置に非刃要素64を難なく挿入し、概ね保持することができるように、寸法及び構造を定められ得る。
【0140】
これまでに、本発明の非刃要素は、かみそり刃自体と同様に、独立した、単独の、又は分離可能な要素として説明されてきた。この要素が、刃縁部を持たない非刃要素であることを考慮すれば、かみそりカートリッジ内にそのような非刃要素を設けるための別の方法もまた、本発明の範囲に含まれ得る。本発明のそのような別の実施形態について、以下で説明する。
【0141】
ここで図7を参照すると、本発明のそのような1つの例示的な別の実施形態が示されており、図7にフレーム75の拡大図で示されるように、フレーム75の一部分として形成された少なくとも1つの非刃要素74を有している。例えば、フレーム75は、図1〜3に関連しておおまかに説明したように、望ましくはカートリッジ内の任意の位置に長さ方向に配置された少なくとも1つの非刃要素74を有するように射出成形されてもよい。この非刃要素はまた、スナップ嵌め又は他の既知の連結によってフレームに結合されてもよい。非刃要素74は、当業者に知られている他の機械的、熱的、化学的方法を用いてフレーム75に結合されてもよい。非刃要素は、フレームと共に形成されているが、かみそり刃に取り付けられたものでも、かみそり刃と一体化されたものでもないことに留意する。非刃要素は、カートリッジフレームの一部であるが、任意のタイプのものであってもよく、また、例えば、エラストマー又は他の材料の突出部、ナブ又はフィン要素(図示せず)の上部表面を有してもよい。
【0142】
加えて、図8において、例示的な別の代替的な実施形態が非刃要素84を示しており、この非刃要素84は、一体構造84aとしたクリップ88aと88bの双方の一部分として形成されており、したがって、クリップが装着されるときに必然的にフレーム(又はカートリッジ)に装着される。図示されていないが、本発明によれば、複数の非刃要素がクリップの一部分として形成されてもよく、あるいは、非刃要素はそれぞれ、単一の又は他のクリップ88a若しくは88bの一部分として形成されてもよい。そのような構造84aは、通常のクリップと同じ方法を用いて当業者によって作製され得るものであり、また、任意の実行可能な方式で、機械加工、成形、又は形成されてもよい。
【0143】
非刃要素74は、フレーム75の一部分として形成されてもよく、また、非刃要素84は、クリップ88a、88bの一部分として形成されてもよく、これらは共に別のかみそり構成要素の一部として形成されているが、これらの非刃要素は一般に、かみそり刃のいずれに取り付けられるものでも、それらと一体化されるものでもない。少なくとも1つの非刃要素をかみそり刃アレイ内に有することに起因する剃毛の利点は、依然として不変であった。
【0144】
本明細書で開示した寸法及び値は、列挙した厳密な数値に厳格に限定されるものとして解釈されるべきではない。その代わりに、別段の指定がない限り、そのような各寸法は、列挙した値と、その値を包含する機能的に等価な範囲との双方を意味することを意図したものである。例えば、「40mm」として開示した寸法は、「約40mm」を意味することを意図したものである。
【0145】
「発明を実施するための形態」で引用したすべての文書は、関連部分において参照によって本明細書に組み込まれるが、いずれの文書の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照によって組み込まれる文書における用語のいずれかの意味又は定義と対立する限りにおいて、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義を優先するものとする。
【0146】
本発明の特定の実施形態について図示し説明したが、種々の他の変更及び修正が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされ得ることが、当業者には明らかとなろう。したがって、本発明の範囲に含まれるそのようなすべての変更及び修正は、添付の「特許請求の範囲」で網羅することとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が刃縁部を有する1枚以上のかみそり刃と、
少なくとも1つの非刃要素と、
複数のかみそり刃位置を有し、前記1枚以上のかみそり刃の各々と前記少なくとも1つの非刃要素の各々とが前記複数のかみそり刃位置のうちの異なる位置に配設されているフレームと、を備えたことを特徴とするかみそりカートリッジ。
【請求項2】
前記かみそり刃の各刃縁部は同じ方向を向いている、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの非刃要素は、前記1枚以上のかみそり刃のうちのいずれにも取り付けられていない、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項4】
リンス通り抜けギャップが、前記少なくとも1つの非刃要素の前後に設けられている、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項5】
前記かみそり刃の位置の各々は、スロット、開口部、又はそれらの任意の組合わせを含んでいる、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの非刃要素の一部分は、連続的、非連続的、平面的、非平面的、硬質、柔軟性、半硬質、又はそれらの任意の組合わせであり、
前記少なくとも1つの非刃要素は、少なくとも1種類の高分子材料、エラストマー材料、ウレタン材料、オレフィン材料、ゴム材料、織物、天然材料、金属材料、発泡体、スポンジ、潤滑剤、剃毛補助剤、若しくは剥脱材料、又はそれらの任意の組合わせからなる、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの非刃要素は改良型かみそり刃支持体である、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの非刃要素の上部表面は、少なくとも1つの開放スロットを画定する複数の突出部、突起部、細長い繊維、ナブ、フィン、起伏部、曲線部、くぼみ、毛髪様の要素、1つ以上のフック様の構造、1つ以上の潤滑ストリップ、1種類以上の発泡体、1種類以上の剥脱材料、1種類以上の剃毛補助材料、複数の歯を有する櫛様の機構、又はそれらの任意の組合わせからなる群から選択された少なくとも1つの機構を含み、それらの機構は、離間若しくは連結され、寸法が一定若しくは可変であり、直立し、湾曲し、右に向けられ、左に向けられ、或いは中央に向けられており、
複数の開放スロットを画定する複数の歯が、概ね前記刃縁部を横切る方向に延び、
前記開放スロットは、剃毛の間に毛を自由に通過させることができるように、約0.10mm〜約2.00mmの幅を有し、
前記歯は、約0.10mm〜約2.00mmの高さと、約0.10mm〜約2.00mmの幅と、約0.075mm〜約0.25mmの長さと、を有する、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの非刃要素の上部表面は、概ね前記刃縁部を横切る方向に延びる複数の開放スロットを画定する複数の突出部を含み、
前記開放スロットは、剃毛の間に毛を自由に通過させることができるように、約0.10mm〜約0.50mmの幅を有し、
前記突出部は、約0.25mm〜約1.00mmの高さと、約0.15mm〜約1.00mmの幅と、約0.3mm〜約1.50mmの長さと、を有する、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項10】
1枚以上のかみそり刃を含み、当該かみそり刃の各々は刃縁部を有するかみそり刃アレイと、
前記かみそり刃アレイ内に配設されており、前記1枚以上のかみそり刃のうちのいずれにも取り付けられていない少なくとも1つの非刃要素と、を備えているかみそりカートリッジ。
【請求項11】
ガード、少なくとも1枚のかみそり刃、及び非刃要素を含む第1の段と、
前記非刃要素、少なくとも1枚のかみそり刃、及びキャップを含んでおり、前記非刃要素は、前記ガードと前記キャップとの間の任意の位置に配設されている第2の段と、を備えるかみそりカートリッジ。
【請求項12】
前記非刃要素は、2つの非刃部材で形成され得る、請求項11に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項13】
前記非刃要素は、前記第1の段に隣接したガード手段と、前記第2の段に隣接したキャップ手段と、を含んでいる、請求項11に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項14】
前記第2の段における前記かみそり刃同士の間のスパンは、前記第1の段におけるかみそり刃よりも狭い、請求項11に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項15】
前記非刃要素と、前記非刃要素に後続する前記第2の段における前記少なくとも1枚のかみそり刃との間のスパンは、約50μmである、請求項11に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項16】
前記第2の段の前記かみそり刃のうちの少なくとも1枚のかみそり刃接触角度は、前記第1の段の前記かみそり刃よりも大きい、請求項11に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項17】
前記第2の段の前記かみそり刃のうちの少なくとも1枚は、前記非刃要素に対して負の露出量を有している、請求項11に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項18】
少なくとも1つの非刃要素を、当該カートリッジの位置にある少なくとも1つのかみそり構成要素に結合する工程と、
前記カートリッジの位置に複数のかみそり刃を挿入する工程と、を備え、
前記かみそり構成要素は、フレーム、少なくとも1つのクリップ、又はそれらの任意の組合わせであり、
前記結合する工程は、射出成形、機械加工、機械的取付け、化学的取付け、又はそれらの任意の組合わせを更に含んでいる、かみそりカートリッジを製造する方法。
【請求項1】
各々が刃縁部を有する1枚以上のかみそり刃と、
少なくとも1つの非刃要素と、
複数のかみそり刃位置を有し、前記1枚以上のかみそり刃の各々と前記少なくとも1つの非刃要素の各々とが前記複数のかみそり刃位置のうちの異なる位置に配設されているフレームと、を備えたことを特徴とするかみそりカートリッジ。
【請求項2】
前記かみそり刃の各刃縁部は同じ方向を向いている、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの非刃要素は、前記1枚以上のかみそり刃のうちのいずれにも取り付けられていない、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項4】
リンス通り抜けギャップが、前記少なくとも1つの非刃要素の前後に設けられている、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項5】
前記かみそり刃の位置の各々は、スロット、開口部、又はそれらの任意の組合わせを含んでいる、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの非刃要素の一部分は、連続的、非連続的、平面的、非平面的、硬質、柔軟性、半硬質、又はそれらの任意の組合わせであり、
前記少なくとも1つの非刃要素は、少なくとも1種類の高分子材料、エラストマー材料、ウレタン材料、オレフィン材料、ゴム材料、織物、天然材料、金属材料、発泡体、スポンジ、潤滑剤、剃毛補助剤、若しくは剥脱材料、又はそれらの任意の組合わせからなる、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの非刃要素は改良型かみそり刃支持体である、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの非刃要素の上部表面は、少なくとも1つの開放スロットを画定する複数の突出部、突起部、細長い繊維、ナブ、フィン、起伏部、曲線部、くぼみ、毛髪様の要素、1つ以上のフック様の構造、1つ以上の潤滑ストリップ、1種類以上の発泡体、1種類以上の剥脱材料、1種類以上の剃毛補助材料、複数の歯を有する櫛様の機構、又はそれらの任意の組合わせからなる群から選択された少なくとも1つの機構を含み、それらの機構は、離間若しくは連結され、寸法が一定若しくは可変であり、直立し、湾曲し、右に向けられ、左に向けられ、或いは中央に向けられており、
複数の開放スロットを画定する複数の歯が、概ね前記刃縁部を横切る方向に延び、
前記開放スロットは、剃毛の間に毛を自由に通過させることができるように、約0.10mm〜約2.00mmの幅を有し、
前記歯は、約0.10mm〜約2.00mmの高さと、約0.10mm〜約2.00mmの幅と、約0.075mm〜約0.25mmの長さと、を有する、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの非刃要素の上部表面は、概ね前記刃縁部を横切る方向に延びる複数の開放スロットを画定する複数の突出部を含み、
前記開放スロットは、剃毛の間に毛を自由に通過させることができるように、約0.10mm〜約0.50mmの幅を有し、
前記突出部は、約0.25mm〜約1.00mmの高さと、約0.15mm〜約1.00mmの幅と、約0.3mm〜約1.50mmの長さと、を有する、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項10】
1枚以上のかみそり刃を含み、当該かみそり刃の各々は刃縁部を有するかみそり刃アレイと、
前記かみそり刃アレイ内に配設されており、前記1枚以上のかみそり刃のうちのいずれにも取り付けられていない少なくとも1つの非刃要素と、を備えているかみそりカートリッジ。
【請求項11】
ガード、少なくとも1枚のかみそり刃、及び非刃要素を含む第1の段と、
前記非刃要素、少なくとも1枚のかみそり刃、及びキャップを含んでおり、前記非刃要素は、前記ガードと前記キャップとの間の任意の位置に配設されている第2の段と、を備えるかみそりカートリッジ。
【請求項12】
前記非刃要素は、2つの非刃部材で形成され得る、請求項11に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項13】
前記非刃要素は、前記第1の段に隣接したガード手段と、前記第2の段に隣接したキャップ手段と、を含んでいる、請求項11に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項14】
前記第2の段における前記かみそり刃同士の間のスパンは、前記第1の段におけるかみそり刃よりも狭い、請求項11に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項15】
前記非刃要素と、前記非刃要素に後続する前記第2の段における前記少なくとも1枚のかみそり刃との間のスパンは、約50μmである、請求項11に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項16】
前記第2の段の前記かみそり刃のうちの少なくとも1枚のかみそり刃接触角度は、前記第1の段の前記かみそり刃よりも大きい、請求項11に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項17】
前記第2の段の前記かみそり刃のうちの少なくとも1枚は、前記非刃要素に対して負の露出量を有している、請求項11に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項18】
少なくとも1つの非刃要素を、当該カートリッジの位置にある少なくとも1つのかみそり構成要素に結合する工程と、
前記カートリッジの位置に複数のかみそり刃を挿入する工程と、を備え、
前記かみそり構成要素は、フレーム、少なくとも1つのクリップ、又はそれらの任意の組合わせであり、
前記結合する工程は、射出成形、機械加工、機械的取付け、化学的取付け、又はそれらの任意の組合わせを更に含んでいる、かみそりカートリッジを製造する方法。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図5J】
【図5K】
【図5L】
【図5M】
【図5N】
【図5O】
【図5P】
【図5Q】
【図5R】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1A】
【図2】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図5J】
【図5K】
【図5L】
【図5M】
【図5N】
【図5O】
【図5P】
【図5Q】
【図5R】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2013−514145(P2013−514145A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544734(P2012−544734)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/060420
【国際公開番号】WO2011/075505
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/060420
【国際公開番号】WO2011/075505
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
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