非制御環境で流体を分注するためのシステム
本発明は、充填すべき1以上の製品分注バイアル(122)を供給するディスペンサカセット(110)を提供する。カセットは、分注バイアルとフィルタユニット(116)との間に延在する濾液導管(128)を提供し、濾液導管の流路(120)と分注バイアルとが、環境制御された、又はGMP準拠の容積として提供され維持される。したがって、結果として生じる、分注バイアルに分注される製品は、GMP準拠環境で分注される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性医薬品調製の分野に関する。詳細には、本発明は、非制御環境で製造管理及び品質管理規則(GMP)に準拠した分注をするための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
滅菌キットや関連するハードウェアの分注についての方針が見直され、英国医薬品庁(MHRA)により使用が承認されている。これにより、無菌分注技術を使用して、注射可能な放射性医薬品を遮蔽筐体から直接送出することが可能になっている。図1は、すべての接続が制御環境、望ましくはGMP準拠環境で確実に行われるようにする層流キャビネットの領域内で操作される、先行技術の分注システム10の概略を示す。分注システム10は、「製品注入口」を通して、バルク採集バイアル12内に供給流体を受け入れる。供給流体は、一般に、別個の製造ユニットにより、製品注入口を通して、直接又は交互貯蔵輸送装置を介して供給される。供給流体流路は、流体をバイアル12から第1の弁14を通してシリンジポンプ16へ導く。弁14は、ポンプ16からの分注が第2の弁18へ向けられるように作動する。弁18は、完全性試験を行うためにガス流をフィルタ完全性試験ユニット20からデッドエンドフィルタ22へ向けるか、又は供給流体をフィルタ22に通す。濾液流路はフィルタ22から一連の弁24、26に至り、濾液を複数の製品分注バイアル28、30、32のうちの1つに選択可能に向ける。
【0003】
しかし、分注キットがGMP遮蔽筐体内に組み込まれた特別なハードウェア設計により動作するように設計されているため、他の放射性医薬品製造所内におけるこの分注システムの適用は限られている。関連するハードウェアを既存の遮蔽筐体に後付けするのは困難である。さらに、他の放射性医薬品製造設備は、GMP準拠していない可能性があり、分注についての方針を揺るがすためMHRAの承認を得られないおそれがある。
【0004】
したがって、GMP分注システムを、非制御のGMP準拠していない製造所でも使用可能にする必要がある。また、非制御のGMP準拠していない環境、すなわち、既存のGMP準拠分注領域外でGMP準拠分注を可能にするための、既存のシステムに後付け可能な装置及び方法も必要である。
【0005】
本発明のシステムにより分注可能な有害液体に操作者がさらに触れにくくするために、充填ハードウェアを分注バイアルから遠くに分離する装置も必要である。操作者をさらに補助するため、充填ハードウェアを分注バイアル内に適切に挿入及び保持するのを助ける装置が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/230521号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、環境制御されていない製造所に、GMP準拠分注システムを導入するための方法を提供する。
【0008】
本発明は、充填すべき1以上の製品分注バイアルを供給するディスペンサカセットを提供する。カセットは、分注バイアルとフィルタユニットとの間に延在する濾液導管を提供し、濾液導管の流路と分注バイアルとが、環境制御された、又はGMP準拠の容積として提供され維持される。したがって、結果として生じる、分注バイアルに分注される製品は、GMP準拠環境で分注される。
【0009】
好ましい一実施形態では、本発明は、流体源により供給される流体を分注するためのディスペンサカセットを提供する。カセットは、ハウジングキャビティを画成するハウジングを備える。ハウジングは、キャビティ内で、流体を流体源から1以上の製品分注バイアルへ向けるための流体移送部品を支持する。ハウジングは、細長の供給流路と、細長の濾液流路と、供給流路及び濾液流路の送出通路に流体連通して配置されたフィルタ要素を提供する滅菌フィルタとを備える。ポンプ手段が、流体をフィルタ要素に通すために供給流路に動作可能に接続される。第1の弁が、ポンプと流体源又はフィルタとの間を選択可能に流体連通させる。製品分注バイアルは、濾液流路の送出通路と流体連通して設けられたバイアルキャビティを有する。さらに、バイアルキャビティと濾液流路の送出通路とは、環境制御された容積として設けられる。カセットは、シリンジポンプと弁とを選択可能に操作して流体を流体源から製品分注バイアルに向けるためのコントローラをさらに備えることができる。
【0010】
本発明はまた、アダプタキャビティを画成する層流フードアダプタを提供する。層流フードアダプタは、それ自体が一次フードキャビティを有する層流フードを接続し、アダプタキャビティが一次フードキャビティと流体連通して配置されることにより、GMP準拠の空気流を前記一次フードキャビティから前記アダプタキャビティに通すようにする。したがって、アダプタにより、層流フードのGMP準拠の容積が拡大される。アダプタキャビティは、必要な導管、弁、及び製品流体を製品バイアル内にGMP分注するためのポンプ機構を内部に備えたディスペンサカセットを支持する。
【0011】
本発明はまた、バイアルに挿入された流体送出針及び/又はベント針から、充填された分注バイアルを分離させて流体移送を行うための針プレート持上機構を提供する。
【0012】
さらに、本発明は、分注バイアルの穿刺可能な隔壁を通した分注動作に使用する1以上の針を方向付けし維持するためのバイアルクリップを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】先行技術の分注システムの概略を示す図である。
【図2】本発明のディスペンサカセットを示す図である。
【図3】本発明の分注カセットの代替実施形態を示す図である。
【図4】針プレートハードウェアを備える本発明のディスペンサカセットの代替実施形態を示す図である。
【図5】本発明の分注カセットの流体移送機構を示す図である。
【図6】非制御環境に分注するための、本発明の環境制御された分注キットを有するフローフードアダプタを示す図である。
【図7】流体導管を備えたガス検出器を使用する、本発明の別の分注キットを示す図である。
【図8】環境制御された状態で維持される濾液流路を提供しつつ、先行技術の分注システムに接続されるように構成された、さらに別の分注キットを示す図である。
【図9】本発明の針プレート持上機構を示す図である。
【図10】バイアルを取外し可能な後退位置にある、図9の針プレート持上機構を示す図である。
【図11】本発明のバイアルクリップを示す図である。
【図12】図11のバイアルクリップの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、非滅菌分注システムから医薬品を滅菌分注するための方法である。或いは、本発明は、GMP準拠の分注システムを、非制御、非滅菌、又は非GMP準拠環境で使用できるようにする。GMPは、製造管理及び品質管理規則を示す略語であり、滅菌、又は制御された医薬品製造のための医薬品産業により規定された規則である。或いは、本発明は、「清潔な」環境で分注しなければならない流体を分注するように構成される。一実施形態では、本発明は、既存のディスペンサに取り付けるためのキットを提供する。このキットは、採集バイアルから種々の製品バイアルへ分注流体を方向付けする必要のある分注ハードウェアを備える。或いは、本発明は、組み立て済みの完全な滅菌キットとして、完全な分注ハードウェアを提供する。キットは、採集バイアル(製品分注バイアルとも呼ばれる)からの供給流体流路、フィルタ、及び各分注バイアルを接続する関連する管を備え、フィルタと分注バイアル内部との間の環境が、環境制御された、望ましくは滅菌の、さらに望ましくはGMP準拠の分注システムとして提供され維持されるようになっている。また、キットは、例えば、複数の分注バイアルを設けるときに、フィルタと採集バイアルとの間に必要な弁を備える。望ましくは、キットは、フィルタ通過後にフィルタの完全性を試験するためのフィルタ完全性試験源からフィルタへつながる関連する管を備える。キットは、製品流体源と完全性試験源とを適切に接続した、自己完結型のカセットとして提供されることが望ましい。キットは、分注が完了したときに、必要な流体導管をすべて同時に採集バイアルから持ち上げるための針プレートを備えることもできる。
【0015】
一実施形態では、本発明は、提供された製品バイアルに単回使用の分注を行うためのキットを提供する。或いは、本発明はさらに、層流フード用のアダプタを提供し、層流フード下の容積がキットを含むことができ、層流フードに接続されたままアダプタ内で分注バイアルを連続交換でき、制御環境内で連続分注できるようになっている。
【0016】
図2は、本発明のGMP準拠の分注カセット110の概略を示す。分注システム110は、点線で示すようにカセットハウジング112内に遮蔽されている。ハウジング112は、分注カセット110の流体移送機構を支持するハウジングキャビティ114を画成する。ハウジングキャビティ114は、製品分注バイアルを取り外すためにユーザが接触できるようになっている。分注カセット110は滅菌フィルタ116を備える。フィルタ116は、流体源流体を濾過してより清潔な濾液にするデッドエンド設計のフィルタであることが望ましい。デッドエンドフィルタは、分注カセット110を単回使用のシステムとして使用する際に、また万一再使用する場合には大部分の分注を行うのにも十分なものである。フィルタ116は、望ましくは0.22ミクロンのフィルタであるが、フィルタの仕様は特定の動作に合わせて所望どおりに選択することができる。分注カセット110は供給流路118を提供し、この供給流路118を通って流体源流体が外部流体源からフィルタ116へ流れる。また、分注カセット110は、フィルタ116から1以上の製品分注バイアル122へつながる濾液流路120を提供する。供給流路118は供給通路124を画成し、フィルタ116はフィルタ通路126を画成し、濾液流路128は濾液通路128を画成する。したがって、供給通路124は、フィルタ通路126を通して、濾液通路128と濾過流体連通する。
【0017】
製品分注バイアル122は、弾性隔壁132により密閉された開放容器本体130を含み、バイアルキャビティ134を画成する。バイアルキャビティ134は、針180を通して濾液流路120の濾液通路126と流体連通する。フィルタ116、濾液流路120、及び分注バイアル122は、環境制御された環境、望ましくは滅菌又はGMP準拠環境で共に接続され、フィルタ116以降のすべての流体流空間が連続して、制御環境の標準を満たすようになっている。望ましくは、本発明によりクラスA環境が提供され維持される。また、隔壁132を通って延在する細長ベントカニューレ又はベント針136を設けて、バイアル122内の製品濾液を維持しつつ、キャビティ134内に閉じ込められた空気を逃がすことができるようにしてもよい。ベントカニューレ136は、一般に濾過媒体140を内部に支持する細長中空ベント導管本体138を備え、制御環境を維持しつつ空気をバイアルキャビティ134から排出することができるようになっている。
【0018】
分注カセット110は、流体をフィルタ116に通すように供給流路118に動作可能に接続されたポンプ142を備える。ポンプ142は、望ましくは、電気又は空気圧で制御されて、流体源流体を引き込んだり排出したりするシリンジポンプである。供給流路118に動作可能に接続された第1の弁144は、ポンプ142とバルク採集バイアル146との間、又はポンプ114とフィルタ116との間を選択可能に流体連通させる。弁144はストップコック弁とすることができるが、同じ機能を果たすのに有用な弁であれば、どのようなものを使用してもよい。
【0019】
分注カセット110は、流体を流体源146から製品分注バイアル122に向けるように、シリンジポンプ142及び弁144を選択可能に動作させるためのPLCコントローラ148をさらに備える。便宜上、コントローラ148からの関連する電気接続は、図2に示されていない。或いは、分注カセット110は、ハウジング112内の要素を適切に作動させる外部コントローラ又はハードウェアプラットフォームに結合するコネクタを備えることができる。
【0020】
図2に示すように、分注カセット110は、フィルタの完全性試験のための完全性試験ユニット150に接続される。このために、フィルタ116と完全性試験ユニット150との間、又はポンプ142とフィルタ116との間を選択可能に連通するように、第2の弁152が供給流路118に動作可能に接続される。完全性流体導管155が第2の弁152に接続され、ハウジング112の外側に延在して完全性試験ユニット150に接続される。適切な完全性試験ユニット150は、ニューヨーク、イーストヒルズのPall Corporationにより販売されているPalltronic(登録商標)Flowstar XCフィルタ完全性試験装置から選択することができる。放射性流体を本発明のカセットを使用して分注する際に、完全性試験ユニットは、導管155を介して第2の弁152に接続可能でありつつ、ホットセルの外側に配置される。
【0021】
本発明は、フィルタ116を通って流れる濾液を分注するための複数の製品分注バイアルを設けることが望ましいと考える。図2に示すように、第2の製品分注バイアル154及び第3の製品分注バイアル164が、このために設けられる。第2の製品分注バイアル154は、弾性隔壁158により密閉された開放容器本体156を備え、バイアルキャビティ160を画成する。バイアルキャビティ160は、針182を通して濾液流路120の濾液通路126と流体連通する。第3の製品分注バイアル164は、弾性隔壁168により密閉された開放容器本体166を備え、バイアルキャビティ170を画成する。バイアルキャビティ160、170は、針184を通して濾液流路120の濾液通路126と流体連通する。同様に、第2及び第3のバイアル154、164は、環境制御された環境、望ましくはGMP準拠環境で、フィルタ116及び濾液流路120に接続され、フィルタ116以降のすべての流体流空間が連続して、制御環境の標準を満たすようになっている。ベントカニューレ136と同様の構成のベントカニューレ162、172が隔壁158、168をそれぞれ通って延在するように設けられ、バイアル154、164内それぞれの製品濾液、及びバイアル内の環境制御された状態を維持しつつ、キャビティ160、170内それぞれに閉じ込められた空気を逃がすことができるようにしてもよい。
【0022】
これらの追加の製品分注バイアルのそれぞれに選択可能に流れを向けるために、分注カセット110は、第3の弁174及び第4の弁176を濾液流路120に組み込む。第3の弁174は濾液流路120に動作可能に接続されて、フィルタ116と第1の製品分注バイアル122との間、又はフィルタ116と第4の弁176との間を選択可能に流体連通させる。第4の弁176は濾液流路120に動作可能に接続されて、第3の弁174と第2の製品分注バイアル154との間、又は第3の弁174と第3の製品分注バイアル164との間を選択可能に流体連通させる。
【0023】
濾液流路の完全性を確実にするために、バイアル122、154、164にそれぞれ接続する濾液流路120の部分120a、120b、120cが、隔壁132、158、168をそれぞれ通って延在する細長分注針180、182、184をそれぞれ備える。各分注針は、対向する第1及び第2の開放端部と、開放端部の間に開放流体連通して延在する細長針流路とを画成する。各針180、182、184の横断面の直径は、針を挿入する隔壁が、針の回りを完全に密閉して、各バイアルキャビティの環境完全性を維持すると共に針が引き抜かれたときに再密閉することが確実にできるようになっている。各ベントカニューレは、隔壁とバイアルの完全性とを維持するように同様の特徴を持つ。
【0024】
動作時に、バルク採集バイアル146はハウジング112の外側位置で供給流路118に接続される。弁144は、ポンプ142が流体を流体源146からポンプ内に引き込むことができるように作動される。その後、弁144は、ポンプ142が流体をポンプ142から第2の弁152に排出することができるように作動される。弁152は、流体流をフィルタ116に通して濾液流路120に向ける。次に、第3の弁174及び第4の弁176の作動に応じて、浄化された流体を製品分注バイアル122、154、及び/又は164に向ける。製品分注バイアルが適切な量の流体を受けると、弁152が作動されて流体流を完全性試験ユニット150からフィルタ116へ向け、フィルタの完全性試験を行う。完了すると、各バイアルを各針180、182、又は184から取り外して、最終使用に向けて送る。ベントカニューレも、このときに取り外すことが望ましい。
【0025】
ポンプ142の内容積を、バイアル122、154、164のいずれよりも小さくすることが考えられる。これにより、ポンプ142は、複数回の取入れ及び排出サイクルを受けて、供給流体を適切な送出先に向ける。或いは、ポンプ142は、1回の排出ストロークにおいてすべての流体源流体を保持し排出するのに十分な大きさの内容積を有することができる。いずれの場合にも、ポンプ142及び第1の弁144を適切に作動制御することを当業者は理解するであろう。上述したように、ポンプ142及び弁144、152、174、176の作動を、実装されたPLCコントローラ又は分注カセット110を保持し操作するユニット外部のハードウェアプラットフォームにより指示することができる。
【0026】
さらに、分注カセット110を滅菌ポリマーバッグにいれて運び、濾液流路及び分注バイアル内の制御環境をさらに保護することができる。
【0027】
図3は、流体源入力と第1の弁144との間にバルク採集バイアル145を組み込んだ、分注カセット110の代替実施形態を示す。本実施形態では、バルク採集バイアル145が、ハウジング112のキャビティ114内に配置される。バルク採集バイアル145は、最初に製品注入口導管115を通して充填される。その他の分注動作は前述したものと同様である。バルク採集バイアル145内の流体は、まず弁144を通ってポンプ142に引き込まれる。次に弁142が作動して、ポンプ142により供給流路118、適切に作動された弁152、及びフィルタ116の媒体126を通して分注する。フィルタ116から出た濾液が濾液流路120を流れて、弁174を介して流路120aを通り製品分注バイアル122へ、或いは弁176を介して流路120bを通り製品分注バイアル154へ、又は流路120cを通り製品分注バイアル164へ向けられる。弁及びポンプの動作をコントローラ148により指示する。さらに、完全性試験ユニット150は、フィルタ116の完全性試験を行うため、導管155を介してカセット110に接続可能である。
【0028】
図4は、本発明のディスペンサカセット210を示す。カセット210はカセット110と同様であり、同一の構成要素は同一の符号で示す。カセット210は、バイアルを流体及びベント針から分離させて、操作者がある種の放射性医薬品流体の放射能に晒されにくくする針持上ハードウェアをさらに組み込む。カセット210は、鉛で遮蔽された層流キャビネット内に装着され、流体分注中に環境制御された空気がカセットキャビティに入るようにする。さらに、キャビネットを鉛で遮蔽することにより、カセットの操作者を、製品分注バイアルを処理する際にさらに保護する。
【0029】
分注システム210は、カセットハウジング212内に遮蔽されている。ハウジング212は、分注カセット210の流体移送機構を支持するハウジングキャビティ214を画成する。ハウジング212により、操作者がキャビティ214に接触して、製品分注バイアルを取り外したり挿入したりすることができる。分注カセット210は滅菌フィルタ216を備える。フィルタ216は、流体源流体を濾過してより清潔な濾液にするデッドエンド設計のフィルタであることが望ましい。分注カセット210は、流体源流体が外部流体源からカセット210を通って流れる供給流路218を提供する。また、分注カセット210は、フィルタ216から1以上の製品分注バイアル222へつながる濾液流路220を提供する。供給流路218は供給通路224を画成し、フィルタ216はフィルタ通路226を画成し、濾液流路は濾液通路228を画成する。したがって、供給通路224は、フィルタ通路226を通して濾液通路228と濾過流体連通する。
【0030】
製品分注バイアル222は、弾性隔壁232により密閉された開放容器本体230を含み、バイアルキャビティ234を画成する。バイアルキャビティ234は濾液流路220の濾液通路226と流体連通する。フィルタ216、濾液流路220、及び分注バイアル222は、環境制御された環境、望ましくはGMP準拠環境で共に接続され、フィルタ216以降のすべての流体流空間が連続して、制御環境の標準を満たすようになっている。また、隔壁232を通って延在する細長ベントカニューレ236を設けて、バイアル222内の製品濾液を維持しつつ、キャビティ234内に閉じ込められた空気を逃がすことができるようにしてもよい。ベントカニューレ236は、一般に濾過媒体240を内部に支持する細長中空ベント導管本体238を備え、バイアルキャビティ内の制御環境を維持しつつ、空気をバイアルキャビティ234から排出することができるようになっている。
【0031】
分注カセット210は、流体をフィルタ216に通すように供給流路218に動作可能に接続されたポンプ242を備える。ポンプ242は、望ましくは、電気又は空気圧で制御されて、流体源流体を引き込んだり排出したりするシリンジポンプである。供給流路218に動作可能に接続された第1の弁244は、ポンプ242とバルク採集バイアル245との間、又はポンプ242とフィルタ216との間を選択可能に流体連通させる。ハウジング214は、供給流体源(図示しないが、符号246で示す)から供給流体を通して供給する開口215を画成する。
【0032】
分注カセット210は、流体を流体源246から製品分注バイアル222に向けるように、シリンジポンプ242及び弁244を選択可能に動作させるためのPLCコントローラ248をさらに備える。便宜上、コントローラ248からの関連する電気接続は、図5に示されていない。或いは、分注カセット210は、ハウジング212内の要素を適切に作動させる外部コントローラ又はハードウェアプラットフォームに結合するコネクタを備えることができる。
【0033】
図4に示すように、分注カセット210は、フィルタの完全性試験のための完全性試験ユニット250に接続される。このために、ポンプ242とフィルタ216との間、又は完全性試験ユニット250とフィルタ216との間を選択可能に流体連通するように、第2の弁252が供給流路218に動作可能に接続される。完全性流体導管255が第2の弁252に接続され、ハウジング212の外側に延在して完全性試験ユニット250に接続される。流体がフィルタ216を通って流れた後にフィルタ上で完全性試験を行うことが望ましい。
【0034】
本発明は、フィルタ216を通って流れる濾液を分注するための複数の製品分注バイアルを設けることが望ましいと考える。図5に示すように、第2の製品分注バイアル254及び第3の製品分注バイアル264が、このために設けられる。第2の製品分注バイアル254は、弾性隔壁258により密閉された開放容器本体256を備え、バイアルキャビティ260を画成する。バイアルキャビティ260は、濾液流路220の濾液通路226と流体連通する。第3の製品分注バイアル264は、弾性隔壁268により密閉された開放容器本体266を備え、バイアルキャビティ270を画成する。バイアルキャビティ260、270は、濾液流路220の濾液通路226と流体連通する。同様に、第2及び第3のバイアル254、264は、環境制御された環境、望ましくはGMP準拠環境で、フィルタ216及び濾液流路220に接続され、フィルタ216以降のすべての流体流空間が連続して、制御環境の標準を満たすようになっている。ベントカニューレ236と同様の構成のベントカニューレ262、272が隔壁258、268をそれぞれ通って延在するように設けられ、バイアル222内の製品濾液、及びバイアル内の環境制御された状態を維持しつつ、キャビティ234内に閉じ込められた空気を逃がすことができるようにしてもよい。
【0035】
これらの追加の製品分注バイアルのそれぞれに選択可能に流れを向けるために、分注カセット210は、第3の弁274及び第4の弁276を濾液流路220に組み込む。第3の弁274は濾液流路220に動作可能に接続されて、フィルタ216と第1の製品分注バイアル222との間、又はフィルタ216と第4の弁276との間を選択可能に流体連通させる。第4の弁276は濾液流路220に動作可能に接続されて、第3の弁274と第2の製品分注バイアル254との間、又は第3の弁274と第3の製品分注バイアル264との間を選択可能に流体連通させる。
【0036】
供給流路の完全性を確実にするために、バイアル222、254、264にそれぞれ接続する濾液流路220の部分220a、220b、220cが、隔壁232、258、268をそれぞれ通って延在する細長分注針280、282、284をそれぞれ備える。各分注針は、対向する第1及び第2の開放端部と、開放端部の間に開放流体連通して延在する細長針流路とを画成する。各針280、282、284の横断面の直径は、針を挿入する隔壁が、針の回りを完全に密閉して、各バイアルキャビティの環境完全性を維持すると共に、針が引き抜かれたときに再密閉することが確実にできるようになっている。各ベントカニューレは、隔壁、バイアル、及び濾液流路の完全性を維持するように同様の特徴を持つ。
【0037】
分注カセット210は、分注バイアル222、254、264をその上に保持するバイアル支持部290、292、294をさらに備える。細長平面バイアル保持板308が、バイアル230、254、264のそれぞれにわたって取り付けられ、隔壁232、258、268に当接係合するようになっている。バイアル保持板308は、バイアルキャビティ302、304、306に覆い被さるよう位置合わせされた、バイアル保持板308を貫通する開口を画成し、濾液流路220の針280、282、284及び関連するベントカニューレがこの開口を通って延在するようになっている。
【0038】
カセットキャビティ214は、細長平面針プレート310と、針280、282、284及びベントカニューレ236、262、272を各バイアル隔壁から持ち上げてバイアル保持板308から離すための針プレート持上機構312とをさらに内部に備える。針プレート持上機構312は、ピストンシリンダ等の、自動の空気圧又は電気機械装置であることが望ましい。針プレート310は、バイアルキャビティ302、304、306上に離間して位置合わせされた、針プレート310を貫通する開口を画成する。各針280、282、284及びベントカニューレ236、262、272は、持上機構312によりバイアル保持板308から持ち上げられるときに、針プレート310により保持され移動される。したがって、針プレート310は、針280、282、284及びベントカニューレ236、262、272がバイアル222、254、264の各隔壁を通って延在する第1の位置と、各針及びベントカニューレが隔壁から離れて製品バイアルをカセット210から取り外すことのできる第2の位置との間を移動する。
【0039】
さらに、カセット210は、柱316a〜dを提供し、この柱316a〜dにバイアル保持板308を取り付けて、針プレート310をバイアル保持板308から持ち上げる際にバイアル保持板308が固定されたままになるようにする。針280、282、284及びベントカニューレ236、262、272が隔壁232、258、268から離れれば、製品バイアル222、254、264に接触してカセット210から取り外すことができる。
【0040】
動作時に、流体源246はハウジング212の外側位置で供給流路218に接続される。流体源246からの供給流体は、カセットハウジング212の開口215を通過してバルク採集バイアル245に入る。液体の移送は、弁244を適切に作動しながらポンプ242により行われて、流体を流体源246からバルク採集バイアル245に引き込み、次にポンプ242自体に引き込む。次に弁244を作動させて、ポンプ242が流体をポンプ242から第2の弁252へ排出できるようにする。弁252を作動させて、流体流を完全性試験ユニット250に向けることができ、ここで流体の品質評価が行われる。弁252は次に、又は代わりに、流体流をフィルタ216に通して濾液流路220に向ける。次に、第3の弁274及び第4の弁276の作動に応じて、浄化された流体を製品分注バイアル222、254、及び/又は264内に向ける。製品分注バイアルが適切な量の流体を受けると、針プレート持上機構312が作動されて針プレート310を持ち上げ、針280、282、284及びベントカニューレ236、262、272がバイアル保持板308から持ち上げられて離される。製品分注バイアルを個々の遮蔽ブロックと共に取り外して、最終使用に向けて送る。針280、282、284及びベントカニューレ236、262、272が制御環境内に維持されると、新しい組の製品分注バイアルを針プレート310の下に供給して、針280、282、284及びベントカニューレ236、262、272を、針プレート持上機構312により各隔壁を通して駆動し、新たな分注を行うことができる。いつでも、供給流路及び濾液流路は、鉛で遮蔽された層流キャビネット内にあり、操作者が、内部にある放射性流体製品に晒されるのを最小限にする。
【0041】
再び、ポンプ242の内容積を、バイアル222、254、264のいずれよりも小さくすることが考えられる。これにより、ポンプ242は、複数回の取入れ及び排出サイクルを受けて、供給流体を適切な送出先に向ける。或いは、ポンプ242は、1回の排出ストロークにおいてすべての流体源流体を保持し排出するのに十分な大きさの内容積を有することができる。いずれの場合にも、ポンプ242及び第1の弁244を適切に作動制御することを当業者は理解するであろう。上述したように、ポンプ242及び弁244、252、274、276の作動を、実装されたPLCコントローラ又は分注カセット210を保持し操作するユニット外部のハードウェアプラットフォームにより指示することができる。
【0042】
図5は、本発明の別の分注カセット310を示す。カセット310は、カセット110、210と同様の設計及び機能であるが、バルクバイアル及び製品分注バイアルが、カセットハウジング312の外側位置に設けられる。カセット310は、バルク採集バイアル及び製品分注バイアルを取り外した後の状態で図示される。カセット310は、鉛で遮蔽された層流キャビネット内に装着され、流体分注中に環境制御された空気がカセットキャビティに入るようにする。或いは、カセット310を層流キャビネットから離して配置し、バルク採集バイアルを層流キャビネット内に配置してカセット310のための流体源に接続してもよい。
【0043】
ハウジング312は、分注カセット310の流体移送機構を支持するハウジングキャビティ314を画成する。ハウジング312により、キャビティ314が開いて操作者が接触できるようになるか、又は流体流路の終端導管を除いてキャビティ314が閉じて、操作者はバルクバイアルを終端導管に対して接続、切断することのみができるようになる。分注カセット310は滅菌フィルタ316を備える。フィルタ316は、流体源流体を濾過してより清潔な濾液にするデッドエンド設計のフィルタであることが望ましい。分注カセット310は供給流路318を提供し、この供給流路318を通って流体源流体が外部流体源からカセット310を通って流れる。分注カセット310は、フィルタ316から1以上の製品分注バイアルへつながる濾液流路320を提供する。供給流路318は供給通路324を画成し、フィルタ316はフィルタ通路を画成し、濾液流路320は濾液通路328を画成する。したがって、供給通路324は、フィルタ316を通して濾液通路328と濾過流体連通する。
【0044】
前述した針280、282、284に接続された製品分注バイアルにより、環境制御された環境で、製品バイアルキャビティは同一のGMP準拠環境を提供し、フィルタ316以降のすべての流体流空間が連続して、針が製品バイアルに挿入される制御環境の標準を満たすようになっている。同様に、バイアルの隔壁を通って延在するようにベントカニューレを設けて、バイアル内の製品濾液を維持しつつ、バイアルキャビティに閉じ込められた空気を逃がすことができるようにしてもよい。ベントカニューレは、濾過媒体を内部に支持する細長中空ベント導管本体を備え、バイアルキャビティ内に制御環境を維持しつつ空気をバイアルキャビティから排出することができるようになっている。
【0045】
分注カセット310は、流体をフィルタ316に通すように供給流路318に動作可能に接続されたポンプ342を備える。ポンプ342は、望ましくは、電気又は空気圧で制御されて、流体源流体を引き込んだり排出したりするシリンジポンプである。供給流路318に動作可能に接続された第1の弁344は、ポンプ342とバルク採集バイアル345との間、又はポンプ342とフィルタ316との間を選択可能に流体連通させる。
【0046】
分注カセット310は、流体を流体源346から製品分注バイアル322に向けるように、シリンジポンプ342及び弁344を選択可能に動作させるためのPLCコントローラ348をさらに備える。コントローラ348からの関連する電気接続は、図5に示されているが、符号は付されていない。或いは、分注カセット310は、ハウジング312内の要素を適切に作動させる外部コントローラ又はハードウェアプラットフォームに結合するコネクタを備えることができる。
【0047】
図5に示すように、分注カセット310は、フィルタの完全性試験のための完全性試験ユニット350に接続される。このために、ポンプ342とフィルタ316との間、又は完全性試験ユニット350とフィルタ316との間を選択可能に連通するように、第2の弁352が供給流路318に動作可能に接続される。完全性流体導管355が第2の弁352に接続され、ハウジング312の外側に延在して完全性試験ユニット350に接続される。
【0048】
分注カセット310は、濾液流路320に組み込まれた第3の弁374及び第4の弁376を備える。第3の弁374は濾液流路320に動作可能に接続されて、フィルタ316と針380で穿刺された第1の製品分注バイアルとの間、又はフィルタ316と第4の弁376との間を選択可能に流体連通する。第4の弁376は濾液流路320に動作可能に接続されて、第3の弁374と針382で穿刺された第2の製品分注バイアルとの間、又は第3の弁374と針384で穿刺された第3の製品分注バイアルとの間を選択可能に流体連通する。
【0049】
各分注針は、対向する第1及び第2の開放端部と、開放端部の間に開放流体連通して延在する細長針流路とを画成する。各針380、382、384の横断面の直径は、針を挿入する隔壁が、針の回りを完全に密閉して、各バイアルキャビティの環境完全性を維持すると共に、針が引き抜かれたときに再密閉することが確実にできるようになっている。
【0050】
動作時に、バルク流体源346が供給流路318に接続される。カセット310を通した流体の移送は、弁344を適切に作動しながらポンプ342により行われて、バルク流体源からの流体をポンプ342自体に引き込む。次に弁344を作動させて、ポンプ342が流体をポンプ342から第2の弁352へ排出できるようにする。弁352を作動させて、完全性試験ユニット350により方向付けされた流体をフィルタ316のフィルタ媒体に当て、フィルタの品質評価を行うことができる。弁352は次に、又は代わりに、流体流をポンプ342からフィルタ316を通して濾液流路320に向けるように作動される。次に、第3の弁374及び第4の弁376の作動に応じて、浄化された流体を針382、384、386を通して製品分注バイアルに向ける。
【0051】
製品分注バイアルが適切な量の流体を受けると、製品分注バイアルは針から取り外されて最終使用に向けて送られる。針380、382、384及び関連するベントカニューレが制御環境内に維持されると、新しい組の製品分注バイアルが供給され、接続し新たな分注を行うことができる。いつでも、供給流路及び濾液流路は、鉛で遮蔽された層流キャビネット内に維持され、操作者が、内部にある放射性流体製品に晒されるのを最小限にし、引き続いて新しい製品分注バイアルに接続できるようになっている。
【0052】
再び、ポンプ342の内容積を、バイアル322、354、364のいずれよりも小さくすることが考えられる。したがって、ポンプ342は、複数回の取入れ及び排出サイクルを受けて、供給流体を適切な送出先に向ける。或いは、ポンプ342は、1回の排出ストロークにおいてすべての流体源流体を保持し排出するのに十分な大きさの内容積を有することができる。いずれの場合にも、ポンプ342及び第1の弁344を適切に作動制御することを当業者は理解するであろう。上述したように、ポンプ342及び弁344、352、374、376の作動を、PLCコントローラ348又は分注カセット310の動作を制御するユニット外部のハードウェアプラットフォームにより指示することができる。
【0053】
図6は、本発明の別の分注カセット410を示す。カセット410は、ディスペンサカセット210とすべて同一の内部部品を効果的に組み込んでいるため、符号付きの用語を本記述でも保持する。しかし、カセット410は、カセット410の一部が層流キャビネット416の表面の開口を通って延在し、カセット410の残りの部分が物理的に層流キャビネットの外側にとどまるように形成されたカセットハウジング412を備える。カセットハウジング412は、このように周囲環境から密閉されて、カセットキャビティ414が、層流キャビネットの内部キャビティと密閉流体連通するようになっている。したがって、カセット410は、流体移送装置の大部分が層流キャビネットの遮蔽筐体内にとどまり、操作者が、遮蔽ブロック又は製品分注バイアルを処理する際にさらに被爆しないようになっている。
【0054】
さらに、ハウジング412を内部部品と機械的に分離可能に設けて、すべての内部部品のスイッチを分注後に切ることができるようにすることが考えられる。供給流体源及び完全性試験ユニットへの接続を、層流キャビネットが鉛で覆われた状態で行うことができる。したがって、ハウジング414は、層流キャビネット416の環境を拡げるアダプタを提供する。一般に、層流キャビネット外側のハウジング414の容積は、約15625cm3(25cm×25cm×25cm)とすることができる。層流キャビネットは、ハウジング412を収容する直径30〜40mmの貫通孔417を画成するフードを備える。層流キャビネットからの空気流がキャビティ414も通過するように2つの筐体を設計することが想定される。外部層流キャビネット412は、遮蔽された製品バイアル輸送容器及び針プレート持上機構を収容し、内部筐体はカセット及びシリンジ作動ハードウェアを収容する。
【0055】
使用時には、組み立てられた針プレートと関連するバイアルクリップ及び製品バイアルが遮蔽された容器内に配置された外部層流キャビネット内で、滅菌バッグに入ったキットを開ける。このプロセスでは、製品バイアルを貫通する針を動かしたり位置を変えたりすることはできない。針プレートは、プレート持上機構に接続される。バイアル保持板は定位置に差し込まれる(バイアル保持板の目的は、針プレートが針を製品バイアルから引き抜くときに、バイアルが遮蔽された容器から持ち上げられるのを防ぐことであり、このプレートを層流キャビネットから離すことはできるが取り外すことはできないことが想定される点に注目されたい)。
【0056】
製品バイアルが定位置に配置されると、弁/フィルタカセット、シリンジ及び採集バイアルを内部筐体にまで通過させて作動ハードウェア上に配置することができる。健康及び安全上の観点から、キャビネット内の遮蔽されていない移送ラインから操作者を保護するために、さらに層流キャビネットの外側に二次遮蔽が必要である。或いは、資源や基礎構造が十分に得られる場合、鉛で遮蔽された層流キャビネットをGMP準拠していないホットセルに取り付けて分注システム全体を収容することができる。
【0057】
図7は、流体導管内のガスボーラスを検出するためのガス検出器502、504を組み込んだ分注システム510を示す。分注システム510は、第1のマニホルド支持弁544、545、552が支持されるキャビティ542を画成するハウジング512を備える。弁544は、流体をバルク採集バイアル546から弁545へ向ける。また、弁544は、流体が完全性テスタ550から弁545へ向けられるように入力する。完全性試験流体はフィルタ516のフィルタ膜に対して向けられて、フィルタの欠陥を検出する。弁545は、流体流を弁544と弁552の間、又はガス抜きバイアル559へ向ける。20mlシリンジポンプ542が弁552に接続され、流体を供給バイアル546からシリンジポンプ542内に引き込んで、流体をマニホルドからフィルタ516へ向けて分注する。フィルタ516以降は、流体を直列に接続された第1及び第2の分注マニホルド517、519に向ける。分注マニホルド517、519は、弁574a〜f及び流体導管520a〜gを提供して、分注された流体を製品分注バイアル522a〜gにそれぞれ向ける。製品バイアル522a〜g及びガス抜きバイアル558のそれぞれが開放容器本体を備え、開放容器本体は、封入されたバイアルキャビティを画成するように弾性隔壁により密閉されている。流体送出針580a〜hが、マニホルドから自由に延在する各導管部分の端部で支持される。これらの流体送出針は、それぞれバイアル522a〜g、559の1つの隔壁に挿入される。製品バイアル522a〜g及びガス抜きバイアル559のそれぞれはさらに、隔壁に挿入されたベント針540a〜gを支持して、閉じ込められたガスが流体により移動するときにバイアルから逃がすことができるようにする。
【0058】
本発明は、20mlシリンジポンプ、及び長さ約50cm、直径約1mm以下の濾液通路について、製品バイアルの充填前にまずシリンジの通気をすることなく、複数回の充填をすることができると考える。管の長さ及び寸法によりシリンジにガスが溜まった場合、シリンジポンプ内で製品の上部にガスクッションがある。分注の精度とロバスト性を高めるために、分注前にこのガスを抜くべきである。ガスを抜かなければ、プランジャを引くことにより減圧が発生し、プランジャを押すことにより過圧が発生するため、ガスが圧縮してシリンジモータ制御が不正確なものになる。最初の実験は、1.5m管が引張り時に2〜3mlのガスを供給し、押圧時に1〜2mlのガスを供給することを示し、ガスがすべて押し出されると、フィルタが親水性になってガスが膜を通過できなくなるため、フィルタを使用することができない。ガスを通過させると、フィルタ完全性が得られず、臨床上の使用からバッチ全体を除去することが必要になるおそれがある。
【0059】
排出動作の精度を向上させるため、ガス/流体検出器502を設置すると、システム510が正確にボーラスを検出できるようになるため製品損失が減るか又はなくなる。検出器502の位置は、プロセス応答遅れに応じて、弁544、545の間、又は弁545、552の間とすることができる。このような解決法によりロバスト性が向上し、フィルタ動作を確実にする分注前に大部分のガスを抜くと、プロセスの有効化がより容易になることが期待される。さらに、フィルタ完全性バブルポイント試験を行うときに気泡を自動的に検出するために、さらなるガス/流体検出器504をフィルタ516と弁574aとの間に設置することができる。システム510の動作と制御は、実装された電気コントローラ548により、又はハウジング512の外側から提供されることが考えられる。
【0060】
図8は、本発明のキット600を示す。キット600は、分注システムの出力口に取り付けられる流体通路610を提供する。流体通路610は濾液流路612を備え、この濾液流路612は、流体通路610の一端にわたって配置された滅菌フィルタ614と、キットを備えた種々の製品バイアルの製品キャビティとの間に延在する。
【0061】
濾液流路612はさらに、第1及び第2の三方弁616、618を備え、各三方弁は流体流を入力口620、630から2つの出力口622、624及び632、634のそれぞれに至るまで制御する。濾液流路612はさらに、入力口620に接続された流体導管の第1の部分640、第1の出力口622に接続された流体導管の第2の部分642、及び弁620の第2の出力口624に接続された流体導管の第3の部分644を備える。導管部分644は、弁618の出力口624と入力口630との間に延在する。導管部分646は弁618の第1の出力口632から延在し、導管部分648は弁618の第2の出力口634から延在する。導管部分642は細長中空針650をその自由端で支持して、第1の製品バイアル601のキャビティ602に挿入する。同様に、導管部分646、648はそれぞれ細長針652、654を支持して、第2及び第3の製品バイアル603、605のキャビティ604、606にそれぞれ挿入する。製品バイアル601、603、605のそれぞれは、弾性隔壁により密閉された開口型容器本体を備え、滅菌バイアルキャビティ602、604、606をそれぞれ画成する。キットの針が隔壁を貫通することができる。
【0062】
フィルタ614は、前記流体通路610に架け渡され、濾液流路612の第1の部分640の流体通路に流体連通して、流体通路610を通して濾液通路660を画成する。キット600に設けられるように、濾液流路612は、医薬流体製品を通して分注するのに適した制御環境内に設けられ、この制御環境を維持するように密閉される。したがって、キット600は、ディスペンサシステムに接続されて、流体をディスペンサシステムから製品バイアルに向けるように構成可能である。キット600は、制御環境を提供する密閉された弾性バッグに保管され、輸送されることが望ましい。濾液流路612と弾性バッグの両方について、説明した制御環境は、GMP準拠の、滅菌流体移送動作に向けたものである。本発明では、製品バイアルを針から離した状態、又は針を製品バイアルに挿入した状態で、キット600を滅菌バッグ内に設けることが考えられる。製品バイアルを針から離して設けた場合、環境制御された環境で、バッグを開けて針をバイアルに挿入する必要がある。製品バイアルへの分注後、各製品バイアルを各針から取り外して保管し、エンドユーザに向けて輸送する。層流フード下等の制御環境内で製品バイアルを取り外すことにより、製品バイアルを引続き接続して、引続き分注を行うことができる。
【0063】
図9、10は、本発明の別の針プレート持上機構又はリフト850を示す。リフト850は、第1及び第2の分注バイアル822、824を収容する。リフト850の動作原理を様々な大きさや容積の分注バイアルに適用できることを示すように、バイアル822、824は異なる大きさで示されている。前述したように、各バイアル822、824は、容器本体822a、824aをそれぞれ提供する。また、バイアル822、824は、穿刺可能な弾性隔壁でバイアルを密閉するバイアルキャップ822b及び824bを提供する。キャップが開いて各隔壁に接触できるようになっており、各隔壁は前述した流体針及びベント針により穿刺される。さらに、バイアル822、824は、容器本体とキャップとの間に、比較的幅狭の首部822c、824cを備える。首部822c、824cを設けることにより、各バイアルをリフト850によりそこで保持できるようになっており、これについてはさらに十分に後述する。本発明は、リフトを、本発明の分注カセットを備えたキットの一部として、或いは、従来の分注システムと共に使用する別個の装置として設けるものと考える。
【0064】
リフト850は細長平面針プレート852と細長平面バイアルプレート854とを備え、これらのプレートを、1以上の分注バイアル又は1以上の分注針及びベント針をそれぞれが保持しながら、互いに近づけたり離したりすることができる。分注針及びベント針は、(前述したように)針プレートにより直接保持されるか、本発明の針クリップにより保持されるかのどちらかであると考えられる。これについては、図11、12の説明と共により十分に説明する。リフト850は、直立した柱858a〜dと、第1及び第2のピストン860a、860bとを支持する細長平面ベース856を備える。ベースプレート856及び針プレート852は、柱858a〜dの対向する端部にそれぞれ取り付けられる。ピストン860a、860bは、ベース856に取り付けられたピストンロッド862と、上に重なって摺動可能に延在するピストンシリンダ864a、864bとを備える。バイアルプレート854は、針プレート852に近づいたり離れたりできるようにピストンシリンダ864a、864bに取り付けられる。各バイアルがリフト850に収容されるように、針プレート852及びバイアルプレート854は、バイアルの針クリップ又は首部を受けるための細長開放切欠き870、872をそれぞれ画成する。針及びバイアルプレートは、バイアルクリップ及びバイアルネックにそれぞれ係合するよう、切欠き870、872の周りに周縁部852a、854aを提供する。
【0065】
簡単にするために、リフト850の動作をバイアル822について説明するが、バイアル824又は同様に構成されたバイアルについても同様の手順を踏むことが当業者には明らかであろう。リフト850の動作は、本発明の分注カセットのコントローラにより制御されると考えられるが、作動を別に制御してもよいことがさらに考えられる。リフト850は、針及びバイアルプレートを互いに近接させ、ピストンシリンダ864a及び864bを延ばした状態で、図9に示す位置から始まるように設計される。この構成において、操作者が、バイアルクリップ950を取り付けた状態でバイアル822をリフト850上に装填し、首部822cが切欠き872内に受けられてバイアル822が縁部854aにより首部822cの周りで保持されるようにする。同様に、この同じ動作で、バイアルクリップ950は、溝962(図11及び12について、より十分に説明する)にて切欠き870に受けられて、縁部852aにより溝962の周りで保持される。(前述した)流体針180及びベント針162を、バイアル及びクリップをリフト850上に装填する前又は後に、操作者の判断でバイアルクリップ950及びバイアルキャップ822aに挿入することができる。同様に、本発明に適切なように、針180を分注システムに接続することができる。
【0066】
流体をバイアル822に分注する間、リフト850はバイアル822及びバイアルクリップ850を定位置に保持する。分注が完了すると、ピストンシリンダ860a及び860bを針プレート852から後退させて、バイアル822をベント針及び流体針の両方から引き離す。次に操作者は、バイアル822をリフト850から取り外すことができる。
【0067】
針プレート852がシリンダ860a、860bに取り付けられるようにリフト850のリンク機構を再装備して、ピストンシリンダを延ばして針プレートをバイアルプレートから持ち上げることによりバイアル822をクリップ950から離し、バイアルプレートは、この場合、ベース85からの柱858a〜dの対向端に取り付けられることを当業者は理解するであろう。例えば図6において実施形態について説明したこのような構成は、リフト850にも同様に当てはまる。
【0068】
図11、12は、本発明のバイアルクリップ950を示す。バイアルクリップ950は、医薬品分注動作に使用するのに適したプラスチック材料から一般に形成された細長クリップ本体952を備える。クリップ本体952は、対向する第1及び第2の端部954、956をそれぞれ備える。第1の端部954がバイアルのキャップの周りに取外し可能に取り付けられるように構成され、このために、本体952は、端部954まで自由に延在する複数の可撓性ペタル958を画成する。クリップ本体952は、各ペタル958の周りに開口溝960を画成して、バイアルキャップの取付け及び取外し中にペタルが撓みやすくなるようにする。また、クリップ本体952は対向する側壁964、966間に環状溝962を画成する。溝962は、プレートの対向する切欠き縁部を内部に受けることにより、クリップ950と本発明のバイアル持上機構の1つのプレートとを係合する。
【0069】
図12に示すように、第1の端部954は、挿入されたバイアルのキャップを内部に受けるバイアルキャップキャビティ968を画成する。さらに、各ペタル958は、キャビティ968に完全に挿入されたときにバイアルキャップに対して干渉保持力を提供しつつ、挿入及び取外し動作中にバイアルキャップから逸れる、内側に面した戻り止め970を支持する。
【0070】
第2の端部954は、直立した頭壁976により長手方向に分離された第1の横断面972及び第2の横断面974を備える。面972は第1の開口980を画成し、面974は第2の開口982を画成する。キャップ本体954は、開口980とキャビティ968とを流体連通して延在する第1の細長通路984を画成する。また、キャップ本体954は、開口982とキャビティ968とを流体連通して延在する第2の細長通路986を画成する。通路984、986のそれぞれは針を挿入するように配置され、挿入されたバイアルキャップの隔壁に針を通すことにより針通路をバイアルキャビティに流体連通して配置する。図12に示すように、クリップ本体952は、長手方向テーパ状に通路984、986を画成し、2つの通路が、接合部988でキャビティ968に位置合わせされて連結する。接合部988は、バイアルキャップの穿刺可能な隔壁が、接合部988に下側で位置合わせされて配置される。望ましくは、通路984、986の一方が流体送出針を通過させ、通路984、986の他方がベント針を収容して、それぞれが下側のバイアルキャップ隔壁を穿刺するようにする。
【0071】
クリップ950は、バイアルの隔壁に各針を通して保持し方向付けするための、便利で信頼性のあるアセンブリを提供し、分注動作完了後にバイアル及びクリップ950を分離する際に、各針をクリップ950内に保持しつつ、適切な流体分注を行うことができるようになっている。通路984、986がテーパ状に位置合わせされることにより、クリップ950は、分注動作の前に、流体送出針又はベント針を挿入する前にバイアルに取り付けることが企図されている。しかし、本発明では、通路984、986の一方又は両方がクリップ本体952を通って長手方向に延在して、クリップをバイアルキャップに取り付けるときに、本発明のバイアルクリップが、2本の針本体をより容易に保持できるようになっている。
【0072】
本発明の特定の実施形態について図示し、説明したが、本発明の教示から逸脱することなく変更及び修正を加え得ることは当業者には自明であろう。前述の説明で述べた事項及び添付図面は、例示の目的のみで挙げられたものであり、これに限定するものではない。本発明の実際の範囲は、先行技術に基づく適切な観点で見た、特許請求の範囲に定義されたものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性医薬品調製の分野に関する。詳細には、本発明は、非制御環境で製造管理及び品質管理規則(GMP)に準拠した分注をするための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
滅菌キットや関連するハードウェアの分注についての方針が見直され、英国医薬品庁(MHRA)により使用が承認されている。これにより、無菌分注技術を使用して、注射可能な放射性医薬品を遮蔽筐体から直接送出することが可能になっている。図1は、すべての接続が制御環境、望ましくはGMP準拠環境で確実に行われるようにする層流キャビネットの領域内で操作される、先行技術の分注システム10の概略を示す。分注システム10は、「製品注入口」を通して、バルク採集バイアル12内に供給流体を受け入れる。供給流体は、一般に、別個の製造ユニットにより、製品注入口を通して、直接又は交互貯蔵輸送装置を介して供給される。供給流体流路は、流体をバイアル12から第1の弁14を通してシリンジポンプ16へ導く。弁14は、ポンプ16からの分注が第2の弁18へ向けられるように作動する。弁18は、完全性試験を行うためにガス流をフィルタ完全性試験ユニット20からデッドエンドフィルタ22へ向けるか、又は供給流体をフィルタ22に通す。濾液流路はフィルタ22から一連の弁24、26に至り、濾液を複数の製品分注バイアル28、30、32のうちの1つに選択可能に向ける。
【0003】
しかし、分注キットがGMP遮蔽筐体内に組み込まれた特別なハードウェア設計により動作するように設計されているため、他の放射性医薬品製造所内におけるこの分注システムの適用は限られている。関連するハードウェアを既存の遮蔽筐体に後付けするのは困難である。さらに、他の放射性医薬品製造設備は、GMP準拠していない可能性があり、分注についての方針を揺るがすためMHRAの承認を得られないおそれがある。
【0004】
したがって、GMP分注システムを、非制御のGMP準拠していない製造所でも使用可能にする必要がある。また、非制御のGMP準拠していない環境、すなわち、既存のGMP準拠分注領域外でGMP準拠分注を可能にするための、既存のシステムに後付け可能な装置及び方法も必要である。
【0005】
本発明のシステムにより分注可能な有害液体に操作者がさらに触れにくくするために、充填ハードウェアを分注バイアルから遠くに分離する装置も必要である。操作者をさらに補助するため、充填ハードウェアを分注バイアル内に適切に挿入及び保持するのを助ける装置が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/230521号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、環境制御されていない製造所に、GMP準拠分注システムを導入するための方法を提供する。
【0008】
本発明は、充填すべき1以上の製品分注バイアルを供給するディスペンサカセットを提供する。カセットは、分注バイアルとフィルタユニットとの間に延在する濾液導管を提供し、濾液導管の流路と分注バイアルとが、環境制御された、又はGMP準拠の容積として提供され維持される。したがって、結果として生じる、分注バイアルに分注される製品は、GMP準拠環境で分注される。
【0009】
好ましい一実施形態では、本発明は、流体源により供給される流体を分注するためのディスペンサカセットを提供する。カセットは、ハウジングキャビティを画成するハウジングを備える。ハウジングは、キャビティ内で、流体を流体源から1以上の製品分注バイアルへ向けるための流体移送部品を支持する。ハウジングは、細長の供給流路と、細長の濾液流路と、供給流路及び濾液流路の送出通路に流体連通して配置されたフィルタ要素を提供する滅菌フィルタとを備える。ポンプ手段が、流体をフィルタ要素に通すために供給流路に動作可能に接続される。第1の弁が、ポンプと流体源又はフィルタとの間を選択可能に流体連通させる。製品分注バイアルは、濾液流路の送出通路と流体連通して設けられたバイアルキャビティを有する。さらに、バイアルキャビティと濾液流路の送出通路とは、環境制御された容積として設けられる。カセットは、シリンジポンプと弁とを選択可能に操作して流体を流体源から製品分注バイアルに向けるためのコントローラをさらに備えることができる。
【0010】
本発明はまた、アダプタキャビティを画成する層流フードアダプタを提供する。層流フードアダプタは、それ自体が一次フードキャビティを有する層流フードを接続し、アダプタキャビティが一次フードキャビティと流体連通して配置されることにより、GMP準拠の空気流を前記一次フードキャビティから前記アダプタキャビティに通すようにする。したがって、アダプタにより、層流フードのGMP準拠の容積が拡大される。アダプタキャビティは、必要な導管、弁、及び製品流体を製品バイアル内にGMP分注するためのポンプ機構を内部に備えたディスペンサカセットを支持する。
【0011】
本発明はまた、バイアルに挿入された流体送出針及び/又はベント針から、充填された分注バイアルを分離させて流体移送を行うための針プレート持上機構を提供する。
【0012】
さらに、本発明は、分注バイアルの穿刺可能な隔壁を通した分注動作に使用する1以上の針を方向付けし維持するためのバイアルクリップを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】先行技術の分注システムの概略を示す図である。
【図2】本発明のディスペンサカセットを示す図である。
【図3】本発明の分注カセットの代替実施形態を示す図である。
【図4】針プレートハードウェアを備える本発明のディスペンサカセットの代替実施形態を示す図である。
【図5】本発明の分注カセットの流体移送機構を示す図である。
【図6】非制御環境に分注するための、本発明の環境制御された分注キットを有するフローフードアダプタを示す図である。
【図7】流体導管を備えたガス検出器を使用する、本発明の別の分注キットを示す図である。
【図8】環境制御された状態で維持される濾液流路を提供しつつ、先行技術の分注システムに接続されるように構成された、さらに別の分注キットを示す図である。
【図9】本発明の針プレート持上機構を示す図である。
【図10】バイアルを取外し可能な後退位置にある、図9の針プレート持上機構を示す図である。
【図11】本発明のバイアルクリップを示す図である。
【図12】図11のバイアルクリップの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、非滅菌分注システムから医薬品を滅菌分注するための方法である。或いは、本発明は、GMP準拠の分注システムを、非制御、非滅菌、又は非GMP準拠環境で使用できるようにする。GMPは、製造管理及び品質管理規則を示す略語であり、滅菌、又は制御された医薬品製造のための医薬品産業により規定された規則である。或いは、本発明は、「清潔な」環境で分注しなければならない流体を分注するように構成される。一実施形態では、本発明は、既存のディスペンサに取り付けるためのキットを提供する。このキットは、採集バイアルから種々の製品バイアルへ分注流体を方向付けする必要のある分注ハードウェアを備える。或いは、本発明は、組み立て済みの完全な滅菌キットとして、完全な分注ハードウェアを提供する。キットは、採集バイアル(製品分注バイアルとも呼ばれる)からの供給流体流路、フィルタ、及び各分注バイアルを接続する関連する管を備え、フィルタと分注バイアル内部との間の環境が、環境制御された、望ましくは滅菌の、さらに望ましくはGMP準拠の分注システムとして提供され維持されるようになっている。また、キットは、例えば、複数の分注バイアルを設けるときに、フィルタと採集バイアルとの間に必要な弁を備える。望ましくは、キットは、フィルタ通過後にフィルタの完全性を試験するためのフィルタ完全性試験源からフィルタへつながる関連する管を備える。キットは、製品流体源と完全性試験源とを適切に接続した、自己完結型のカセットとして提供されることが望ましい。キットは、分注が完了したときに、必要な流体導管をすべて同時に採集バイアルから持ち上げるための針プレートを備えることもできる。
【0015】
一実施形態では、本発明は、提供された製品バイアルに単回使用の分注を行うためのキットを提供する。或いは、本発明はさらに、層流フード用のアダプタを提供し、層流フード下の容積がキットを含むことができ、層流フードに接続されたままアダプタ内で分注バイアルを連続交換でき、制御環境内で連続分注できるようになっている。
【0016】
図2は、本発明のGMP準拠の分注カセット110の概略を示す。分注システム110は、点線で示すようにカセットハウジング112内に遮蔽されている。ハウジング112は、分注カセット110の流体移送機構を支持するハウジングキャビティ114を画成する。ハウジングキャビティ114は、製品分注バイアルを取り外すためにユーザが接触できるようになっている。分注カセット110は滅菌フィルタ116を備える。フィルタ116は、流体源流体を濾過してより清潔な濾液にするデッドエンド設計のフィルタであることが望ましい。デッドエンドフィルタは、分注カセット110を単回使用のシステムとして使用する際に、また万一再使用する場合には大部分の分注を行うのにも十分なものである。フィルタ116は、望ましくは0.22ミクロンのフィルタであるが、フィルタの仕様は特定の動作に合わせて所望どおりに選択することができる。分注カセット110は供給流路118を提供し、この供給流路118を通って流体源流体が外部流体源からフィルタ116へ流れる。また、分注カセット110は、フィルタ116から1以上の製品分注バイアル122へつながる濾液流路120を提供する。供給流路118は供給通路124を画成し、フィルタ116はフィルタ通路126を画成し、濾液流路128は濾液通路128を画成する。したがって、供給通路124は、フィルタ通路126を通して、濾液通路128と濾過流体連通する。
【0017】
製品分注バイアル122は、弾性隔壁132により密閉された開放容器本体130を含み、バイアルキャビティ134を画成する。バイアルキャビティ134は、針180を通して濾液流路120の濾液通路126と流体連通する。フィルタ116、濾液流路120、及び分注バイアル122は、環境制御された環境、望ましくは滅菌又はGMP準拠環境で共に接続され、フィルタ116以降のすべての流体流空間が連続して、制御環境の標準を満たすようになっている。望ましくは、本発明によりクラスA環境が提供され維持される。また、隔壁132を通って延在する細長ベントカニューレ又はベント針136を設けて、バイアル122内の製品濾液を維持しつつ、キャビティ134内に閉じ込められた空気を逃がすことができるようにしてもよい。ベントカニューレ136は、一般に濾過媒体140を内部に支持する細長中空ベント導管本体138を備え、制御環境を維持しつつ空気をバイアルキャビティ134から排出することができるようになっている。
【0018】
分注カセット110は、流体をフィルタ116に通すように供給流路118に動作可能に接続されたポンプ142を備える。ポンプ142は、望ましくは、電気又は空気圧で制御されて、流体源流体を引き込んだり排出したりするシリンジポンプである。供給流路118に動作可能に接続された第1の弁144は、ポンプ142とバルク採集バイアル146との間、又はポンプ114とフィルタ116との間を選択可能に流体連通させる。弁144はストップコック弁とすることができるが、同じ機能を果たすのに有用な弁であれば、どのようなものを使用してもよい。
【0019】
分注カセット110は、流体を流体源146から製品分注バイアル122に向けるように、シリンジポンプ142及び弁144を選択可能に動作させるためのPLCコントローラ148をさらに備える。便宜上、コントローラ148からの関連する電気接続は、図2に示されていない。或いは、分注カセット110は、ハウジング112内の要素を適切に作動させる外部コントローラ又はハードウェアプラットフォームに結合するコネクタを備えることができる。
【0020】
図2に示すように、分注カセット110は、フィルタの完全性試験のための完全性試験ユニット150に接続される。このために、フィルタ116と完全性試験ユニット150との間、又はポンプ142とフィルタ116との間を選択可能に連通するように、第2の弁152が供給流路118に動作可能に接続される。完全性流体導管155が第2の弁152に接続され、ハウジング112の外側に延在して完全性試験ユニット150に接続される。適切な完全性試験ユニット150は、ニューヨーク、イーストヒルズのPall Corporationにより販売されているPalltronic(登録商標)Flowstar XCフィルタ完全性試験装置から選択することができる。放射性流体を本発明のカセットを使用して分注する際に、完全性試験ユニットは、導管155を介して第2の弁152に接続可能でありつつ、ホットセルの外側に配置される。
【0021】
本発明は、フィルタ116を通って流れる濾液を分注するための複数の製品分注バイアルを設けることが望ましいと考える。図2に示すように、第2の製品分注バイアル154及び第3の製品分注バイアル164が、このために設けられる。第2の製品分注バイアル154は、弾性隔壁158により密閉された開放容器本体156を備え、バイアルキャビティ160を画成する。バイアルキャビティ160は、針182を通して濾液流路120の濾液通路126と流体連通する。第3の製品分注バイアル164は、弾性隔壁168により密閉された開放容器本体166を備え、バイアルキャビティ170を画成する。バイアルキャビティ160、170は、針184を通して濾液流路120の濾液通路126と流体連通する。同様に、第2及び第3のバイアル154、164は、環境制御された環境、望ましくはGMP準拠環境で、フィルタ116及び濾液流路120に接続され、フィルタ116以降のすべての流体流空間が連続して、制御環境の標準を満たすようになっている。ベントカニューレ136と同様の構成のベントカニューレ162、172が隔壁158、168をそれぞれ通って延在するように設けられ、バイアル154、164内それぞれの製品濾液、及びバイアル内の環境制御された状態を維持しつつ、キャビティ160、170内それぞれに閉じ込められた空気を逃がすことができるようにしてもよい。
【0022】
これらの追加の製品分注バイアルのそれぞれに選択可能に流れを向けるために、分注カセット110は、第3の弁174及び第4の弁176を濾液流路120に組み込む。第3の弁174は濾液流路120に動作可能に接続されて、フィルタ116と第1の製品分注バイアル122との間、又はフィルタ116と第4の弁176との間を選択可能に流体連通させる。第4の弁176は濾液流路120に動作可能に接続されて、第3の弁174と第2の製品分注バイアル154との間、又は第3の弁174と第3の製品分注バイアル164との間を選択可能に流体連通させる。
【0023】
濾液流路の完全性を確実にするために、バイアル122、154、164にそれぞれ接続する濾液流路120の部分120a、120b、120cが、隔壁132、158、168をそれぞれ通って延在する細長分注針180、182、184をそれぞれ備える。各分注針は、対向する第1及び第2の開放端部と、開放端部の間に開放流体連通して延在する細長針流路とを画成する。各針180、182、184の横断面の直径は、針を挿入する隔壁が、針の回りを完全に密閉して、各バイアルキャビティの環境完全性を維持すると共に針が引き抜かれたときに再密閉することが確実にできるようになっている。各ベントカニューレは、隔壁とバイアルの完全性とを維持するように同様の特徴を持つ。
【0024】
動作時に、バルク採集バイアル146はハウジング112の外側位置で供給流路118に接続される。弁144は、ポンプ142が流体を流体源146からポンプ内に引き込むことができるように作動される。その後、弁144は、ポンプ142が流体をポンプ142から第2の弁152に排出することができるように作動される。弁152は、流体流をフィルタ116に通して濾液流路120に向ける。次に、第3の弁174及び第4の弁176の作動に応じて、浄化された流体を製品分注バイアル122、154、及び/又は164に向ける。製品分注バイアルが適切な量の流体を受けると、弁152が作動されて流体流を完全性試験ユニット150からフィルタ116へ向け、フィルタの完全性試験を行う。完了すると、各バイアルを各針180、182、又は184から取り外して、最終使用に向けて送る。ベントカニューレも、このときに取り外すことが望ましい。
【0025】
ポンプ142の内容積を、バイアル122、154、164のいずれよりも小さくすることが考えられる。これにより、ポンプ142は、複数回の取入れ及び排出サイクルを受けて、供給流体を適切な送出先に向ける。或いは、ポンプ142は、1回の排出ストロークにおいてすべての流体源流体を保持し排出するのに十分な大きさの内容積を有することができる。いずれの場合にも、ポンプ142及び第1の弁144を適切に作動制御することを当業者は理解するであろう。上述したように、ポンプ142及び弁144、152、174、176の作動を、実装されたPLCコントローラ又は分注カセット110を保持し操作するユニット外部のハードウェアプラットフォームにより指示することができる。
【0026】
さらに、分注カセット110を滅菌ポリマーバッグにいれて運び、濾液流路及び分注バイアル内の制御環境をさらに保護することができる。
【0027】
図3は、流体源入力と第1の弁144との間にバルク採集バイアル145を組み込んだ、分注カセット110の代替実施形態を示す。本実施形態では、バルク採集バイアル145が、ハウジング112のキャビティ114内に配置される。バルク採集バイアル145は、最初に製品注入口導管115を通して充填される。その他の分注動作は前述したものと同様である。バルク採集バイアル145内の流体は、まず弁144を通ってポンプ142に引き込まれる。次に弁142が作動して、ポンプ142により供給流路118、適切に作動された弁152、及びフィルタ116の媒体126を通して分注する。フィルタ116から出た濾液が濾液流路120を流れて、弁174を介して流路120aを通り製品分注バイアル122へ、或いは弁176を介して流路120bを通り製品分注バイアル154へ、又は流路120cを通り製品分注バイアル164へ向けられる。弁及びポンプの動作をコントローラ148により指示する。さらに、完全性試験ユニット150は、フィルタ116の完全性試験を行うため、導管155を介してカセット110に接続可能である。
【0028】
図4は、本発明のディスペンサカセット210を示す。カセット210はカセット110と同様であり、同一の構成要素は同一の符号で示す。カセット210は、バイアルを流体及びベント針から分離させて、操作者がある種の放射性医薬品流体の放射能に晒されにくくする針持上ハードウェアをさらに組み込む。カセット210は、鉛で遮蔽された層流キャビネット内に装着され、流体分注中に環境制御された空気がカセットキャビティに入るようにする。さらに、キャビネットを鉛で遮蔽することにより、カセットの操作者を、製品分注バイアルを処理する際にさらに保護する。
【0029】
分注システム210は、カセットハウジング212内に遮蔽されている。ハウジング212は、分注カセット210の流体移送機構を支持するハウジングキャビティ214を画成する。ハウジング212により、操作者がキャビティ214に接触して、製品分注バイアルを取り外したり挿入したりすることができる。分注カセット210は滅菌フィルタ216を備える。フィルタ216は、流体源流体を濾過してより清潔な濾液にするデッドエンド設計のフィルタであることが望ましい。分注カセット210は、流体源流体が外部流体源からカセット210を通って流れる供給流路218を提供する。また、分注カセット210は、フィルタ216から1以上の製品分注バイアル222へつながる濾液流路220を提供する。供給流路218は供給通路224を画成し、フィルタ216はフィルタ通路226を画成し、濾液流路は濾液通路228を画成する。したがって、供給通路224は、フィルタ通路226を通して濾液通路228と濾過流体連通する。
【0030】
製品分注バイアル222は、弾性隔壁232により密閉された開放容器本体230を含み、バイアルキャビティ234を画成する。バイアルキャビティ234は濾液流路220の濾液通路226と流体連通する。フィルタ216、濾液流路220、及び分注バイアル222は、環境制御された環境、望ましくはGMP準拠環境で共に接続され、フィルタ216以降のすべての流体流空間が連続して、制御環境の標準を満たすようになっている。また、隔壁232を通って延在する細長ベントカニューレ236を設けて、バイアル222内の製品濾液を維持しつつ、キャビティ234内に閉じ込められた空気を逃がすことができるようにしてもよい。ベントカニューレ236は、一般に濾過媒体240を内部に支持する細長中空ベント導管本体238を備え、バイアルキャビティ内の制御環境を維持しつつ、空気をバイアルキャビティ234から排出することができるようになっている。
【0031】
分注カセット210は、流体をフィルタ216に通すように供給流路218に動作可能に接続されたポンプ242を備える。ポンプ242は、望ましくは、電気又は空気圧で制御されて、流体源流体を引き込んだり排出したりするシリンジポンプである。供給流路218に動作可能に接続された第1の弁244は、ポンプ242とバルク採集バイアル245との間、又はポンプ242とフィルタ216との間を選択可能に流体連通させる。ハウジング214は、供給流体源(図示しないが、符号246で示す)から供給流体を通して供給する開口215を画成する。
【0032】
分注カセット210は、流体を流体源246から製品分注バイアル222に向けるように、シリンジポンプ242及び弁244を選択可能に動作させるためのPLCコントローラ248をさらに備える。便宜上、コントローラ248からの関連する電気接続は、図5に示されていない。或いは、分注カセット210は、ハウジング212内の要素を適切に作動させる外部コントローラ又はハードウェアプラットフォームに結合するコネクタを備えることができる。
【0033】
図4に示すように、分注カセット210は、フィルタの完全性試験のための完全性試験ユニット250に接続される。このために、ポンプ242とフィルタ216との間、又は完全性試験ユニット250とフィルタ216との間を選択可能に流体連通するように、第2の弁252が供給流路218に動作可能に接続される。完全性流体導管255が第2の弁252に接続され、ハウジング212の外側に延在して完全性試験ユニット250に接続される。流体がフィルタ216を通って流れた後にフィルタ上で完全性試験を行うことが望ましい。
【0034】
本発明は、フィルタ216を通って流れる濾液を分注するための複数の製品分注バイアルを設けることが望ましいと考える。図5に示すように、第2の製品分注バイアル254及び第3の製品分注バイアル264が、このために設けられる。第2の製品分注バイアル254は、弾性隔壁258により密閉された開放容器本体256を備え、バイアルキャビティ260を画成する。バイアルキャビティ260は、濾液流路220の濾液通路226と流体連通する。第3の製品分注バイアル264は、弾性隔壁268により密閉された開放容器本体266を備え、バイアルキャビティ270を画成する。バイアルキャビティ260、270は、濾液流路220の濾液通路226と流体連通する。同様に、第2及び第3のバイアル254、264は、環境制御された環境、望ましくはGMP準拠環境で、フィルタ216及び濾液流路220に接続され、フィルタ216以降のすべての流体流空間が連続して、制御環境の標準を満たすようになっている。ベントカニューレ236と同様の構成のベントカニューレ262、272が隔壁258、268をそれぞれ通って延在するように設けられ、バイアル222内の製品濾液、及びバイアル内の環境制御された状態を維持しつつ、キャビティ234内に閉じ込められた空気を逃がすことができるようにしてもよい。
【0035】
これらの追加の製品分注バイアルのそれぞれに選択可能に流れを向けるために、分注カセット210は、第3の弁274及び第4の弁276を濾液流路220に組み込む。第3の弁274は濾液流路220に動作可能に接続されて、フィルタ216と第1の製品分注バイアル222との間、又はフィルタ216と第4の弁276との間を選択可能に流体連通させる。第4の弁276は濾液流路220に動作可能に接続されて、第3の弁274と第2の製品分注バイアル254との間、又は第3の弁274と第3の製品分注バイアル264との間を選択可能に流体連通させる。
【0036】
供給流路の完全性を確実にするために、バイアル222、254、264にそれぞれ接続する濾液流路220の部分220a、220b、220cが、隔壁232、258、268をそれぞれ通って延在する細長分注針280、282、284をそれぞれ備える。各分注針は、対向する第1及び第2の開放端部と、開放端部の間に開放流体連通して延在する細長針流路とを画成する。各針280、282、284の横断面の直径は、針を挿入する隔壁が、針の回りを完全に密閉して、各バイアルキャビティの環境完全性を維持すると共に、針が引き抜かれたときに再密閉することが確実にできるようになっている。各ベントカニューレは、隔壁、バイアル、及び濾液流路の完全性を維持するように同様の特徴を持つ。
【0037】
分注カセット210は、分注バイアル222、254、264をその上に保持するバイアル支持部290、292、294をさらに備える。細長平面バイアル保持板308が、バイアル230、254、264のそれぞれにわたって取り付けられ、隔壁232、258、268に当接係合するようになっている。バイアル保持板308は、バイアルキャビティ302、304、306に覆い被さるよう位置合わせされた、バイアル保持板308を貫通する開口を画成し、濾液流路220の針280、282、284及び関連するベントカニューレがこの開口を通って延在するようになっている。
【0038】
カセットキャビティ214は、細長平面針プレート310と、針280、282、284及びベントカニューレ236、262、272を各バイアル隔壁から持ち上げてバイアル保持板308から離すための針プレート持上機構312とをさらに内部に備える。針プレート持上機構312は、ピストンシリンダ等の、自動の空気圧又は電気機械装置であることが望ましい。針プレート310は、バイアルキャビティ302、304、306上に離間して位置合わせされた、針プレート310を貫通する開口を画成する。各針280、282、284及びベントカニューレ236、262、272は、持上機構312によりバイアル保持板308から持ち上げられるときに、針プレート310により保持され移動される。したがって、針プレート310は、針280、282、284及びベントカニューレ236、262、272がバイアル222、254、264の各隔壁を通って延在する第1の位置と、各針及びベントカニューレが隔壁から離れて製品バイアルをカセット210から取り外すことのできる第2の位置との間を移動する。
【0039】
さらに、カセット210は、柱316a〜dを提供し、この柱316a〜dにバイアル保持板308を取り付けて、針プレート310をバイアル保持板308から持ち上げる際にバイアル保持板308が固定されたままになるようにする。針280、282、284及びベントカニューレ236、262、272が隔壁232、258、268から離れれば、製品バイアル222、254、264に接触してカセット210から取り外すことができる。
【0040】
動作時に、流体源246はハウジング212の外側位置で供給流路218に接続される。流体源246からの供給流体は、カセットハウジング212の開口215を通過してバルク採集バイアル245に入る。液体の移送は、弁244を適切に作動しながらポンプ242により行われて、流体を流体源246からバルク採集バイアル245に引き込み、次にポンプ242自体に引き込む。次に弁244を作動させて、ポンプ242が流体をポンプ242から第2の弁252へ排出できるようにする。弁252を作動させて、流体流を完全性試験ユニット250に向けることができ、ここで流体の品質評価が行われる。弁252は次に、又は代わりに、流体流をフィルタ216に通して濾液流路220に向ける。次に、第3の弁274及び第4の弁276の作動に応じて、浄化された流体を製品分注バイアル222、254、及び/又は264内に向ける。製品分注バイアルが適切な量の流体を受けると、針プレート持上機構312が作動されて針プレート310を持ち上げ、針280、282、284及びベントカニューレ236、262、272がバイアル保持板308から持ち上げられて離される。製品分注バイアルを個々の遮蔽ブロックと共に取り外して、最終使用に向けて送る。針280、282、284及びベントカニューレ236、262、272が制御環境内に維持されると、新しい組の製品分注バイアルを針プレート310の下に供給して、針280、282、284及びベントカニューレ236、262、272を、針プレート持上機構312により各隔壁を通して駆動し、新たな分注を行うことができる。いつでも、供給流路及び濾液流路は、鉛で遮蔽された層流キャビネット内にあり、操作者が、内部にある放射性流体製品に晒されるのを最小限にする。
【0041】
再び、ポンプ242の内容積を、バイアル222、254、264のいずれよりも小さくすることが考えられる。これにより、ポンプ242は、複数回の取入れ及び排出サイクルを受けて、供給流体を適切な送出先に向ける。或いは、ポンプ242は、1回の排出ストロークにおいてすべての流体源流体を保持し排出するのに十分な大きさの内容積を有することができる。いずれの場合にも、ポンプ242及び第1の弁244を適切に作動制御することを当業者は理解するであろう。上述したように、ポンプ242及び弁244、252、274、276の作動を、実装されたPLCコントローラ又は分注カセット210を保持し操作するユニット外部のハードウェアプラットフォームにより指示することができる。
【0042】
図5は、本発明の別の分注カセット310を示す。カセット310は、カセット110、210と同様の設計及び機能であるが、バルクバイアル及び製品分注バイアルが、カセットハウジング312の外側位置に設けられる。カセット310は、バルク採集バイアル及び製品分注バイアルを取り外した後の状態で図示される。カセット310は、鉛で遮蔽された層流キャビネット内に装着され、流体分注中に環境制御された空気がカセットキャビティに入るようにする。或いは、カセット310を層流キャビネットから離して配置し、バルク採集バイアルを層流キャビネット内に配置してカセット310のための流体源に接続してもよい。
【0043】
ハウジング312は、分注カセット310の流体移送機構を支持するハウジングキャビティ314を画成する。ハウジング312により、キャビティ314が開いて操作者が接触できるようになるか、又は流体流路の終端導管を除いてキャビティ314が閉じて、操作者はバルクバイアルを終端導管に対して接続、切断することのみができるようになる。分注カセット310は滅菌フィルタ316を備える。フィルタ316は、流体源流体を濾過してより清潔な濾液にするデッドエンド設計のフィルタであることが望ましい。分注カセット310は供給流路318を提供し、この供給流路318を通って流体源流体が外部流体源からカセット310を通って流れる。分注カセット310は、フィルタ316から1以上の製品分注バイアルへつながる濾液流路320を提供する。供給流路318は供給通路324を画成し、フィルタ316はフィルタ通路を画成し、濾液流路320は濾液通路328を画成する。したがって、供給通路324は、フィルタ316を通して濾液通路328と濾過流体連通する。
【0044】
前述した針280、282、284に接続された製品分注バイアルにより、環境制御された環境で、製品バイアルキャビティは同一のGMP準拠環境を提供し、フィルタ316以降のすべての流体流空間が連続して、針が製品バイアルに挿入される制御環境の標準を満たすようになっている。同様に、バイアルの隔壁を通って延在するようにベントカニューレを設けて、バイアル内の製品濾液を維持しつつ、バイアルキャビティに閉じ込められた空気を逃がすことができるようにしてもよい。ベントカニューレは、濾過媒体を内部に支持する細長中空ベント導管本体を備え、バイアルキャビティ内に制御環境を維持しつつ空気をバイアルキャビティから排出することができるようになっている。
【0045】
分注カセット310は、流体をフィルタ316に通すように供給流路318に動作可能に接続されたポンプ342を備える。ポンプ342は、望ましくは、電気又は空気圧で制御されて、流体源流体を引き込んだり排出したりするシリンジポンプである。供給流路318に動作可能に接続された第1の弁344は、ポンプ342とバルク採集バイアル345との間、又はポンプ342とフィルタ316との間を選択可能に流体連通させる。
【0046】
分注カセット310は、流体を流体源346から製品分注バイアル322に向けるように、シリンジポンプ342及び弁344を選択可能に動作させるためのPLCコントローラ348をさらに備える。コントローラ348からの関連する電気接続は、図5に示されているが、符号は付されていない。或いは、分注カセット310は、ハウジング312内の要素を適切に作動させる外部コントローラ又はハードウェアプラットフォームに結合するコネクタを備えることができる。
【0047】
図5に示すように、分注カセット310は、フィルタの完全性試験のための完全性試験ユニット350に接続される。このために、ポンプ342とフィルタ316との間、又は完全性試験ユニット350とフィルタ316との間を選択可能に連通するように、第2の弁352が供給流路318に動作可能に接続される。完全性流体導管355が第2の弁352に接続され、ハウジング312の外側に延在して完全性試験ユニット350に接続される。
【0048】
分注カセット310は、濾液流路320に組み込まれた第3の弁374及び第4の弁376を備える。第3の弁374は濾液流路320に動作可能に接続されて、フィルタ316と針380で穿刺された第1の製品分注バイアルとの間、又はフィルタ316と第4の弁376との間を選択可能に流体連通する。第4の弁376は濾液流路320に動作可能に接続されて、第3の弁374と針382で穿刺された第2の製品分注バイアルとの間、又は第3の弁374と針384で穿刺された第3の製品分注バイアルとの間を選択可能に流体連通する。
【0049】
各分注針は、対向する第1及び第2の開放端部と、開放端部の間に開放流体連通して延在する細長針流路とを画成する。各針380、382、384の横断面の直径は、針を挿入する隔壁が、針の回りを完全に密閉して、各バイアルキャビティの環境完全性を維持すると共に、針が引き抜かれたときに再密閉することが確実にできるようになっている。
【0050】
動作時に、バルク流体源346が供給流路318に接続される。カセット310を通した流体の移送は、弁344を適切に作動しながらポンプ342により行われて、バルク流体源からの流体をポンプ342自体に引き込む。次に弁344を作動させて、ポンプ342が流体をポンプ342から第2の弁352へ排出できるようにする。弁352を作動させて、完全性試験ユニット350により方向付けされた流体をフィルタ316のフィルタ媒体に当て、フィルタの品質評価を行うことができる。弁352は次に、又は代わりに、流体流をポンプ342からフィルタ316を通して濾液流路320に向けるように作動される。次に、第3の弁374及び第4の弁376の作動に応じて、浄化された流体を針382、384、386を通して製品分注バイアルに向ける。
【0051】
製品分注バイアルが適切な量の流体を受けると、製品分注バイアルは針から取り外されて最終使用に向けて送られる。針380、382、384及び関連するベントカニューレが制御環境内に維持されると、新しい組の製品分注バイアルが供給され、接続し新たな分注を行うことができる。いつでも、供給流路及び濾液流路は、鉛で遮蔽された層流キャビネット内に維持され、操作者が、内部にある放射性流体製品に晒されるのを最小限にし、引き続いて新しい製品分注バイアルに接続できるようになっている。
【0052】
再び、ポンプ342の内容積を、バイアル322、354、364のいずれよりも小さくすることが考えられる。したがって、ポンプ342は、複数回の取入れ及び排出サイクルを受けて、供給流体を適切な送出先に向ける。或いは、ポンプ342は、1回の排出ストロークにおいてすべての流体源流体を保持し排出するのに十分な大きさの内容積を有することができる。いずれの場合にも、ポンプ342及び第1の弁344を適切に作動制御することを当業者は理解するであろう。上述したように、ポンプ342及び弁344、352、374、376の作動を、PLCコントローラ348又は分注カセット310の動作を制御するユニット外部のハードウェアプラットフォームにより指示することができる。
【0053】
図6は、本発明の別の分注カセット410を示す。カセット410は、ディスペンサカセット210とすべて同一の内部部品を効果的に組み込んでいるため、符号付きの用語を本記述でも保持する。しかし、カセット410は、カセット410の一部が層流キャビネット416の表面の開口を通って延在し、カセット410の残りの部分が物理的に層流キャビネットの外側にとどまるように形成されたカセットハウジング412を備える。カセットハウジング412は、このように周囲環境から密閉されて、カセットキャビティ414が、層流キャビネットの内部キャビティと密閉流体連通するようになっている。したがって、カセット410は、流体移送装置の大部分が層流キャビネットの遮蔽筐体内にとどまり、操作者が、遮蔽ブロック又は製品分注バイアルを処理する際にさらに被爆しないようになっている。
【0054】
さらに、ハウジング412を内部部品と機械的に分離可能に設けて、すべての内部部品のスイッチを分注後に切ることができるようにすることが考えられる。供給流体源及び完全性試験ユニットへの接続を、層流キャビネットが鉛で覆われた状態で行うことができる。したがって、ハウジング414は、層流キャビネット416の環境を拡げるアダプタを提供する。一般に、層流キャビネット外側のハウジング414の容積は、約15625cm3(25cm×25cm×25cm)とすることができる。層流キャビネットは、ハウジング412を収容する直径30〜40mmの貫通孔417を画成するフードを備える。層流キャビネットからの空気流がキャビティ414も通過するように2つの筐体を設計することが想定される。外部層流キャビネット412は、遮蔽された製品バイアル輸送容器及び針プレート持上機構を収容し、内部筐体はカセット及びシリンジ作動ハードウェアを収容する。
【0055】
使用時には、組み立てられた針プレートと関連するバイアルクリップ及び製品バイアルが遮蔽された容器内に配置された外部層流キャビネット内で、滅菌バッグに入ったキットを開ける。このプロセスでは、製品バイアルを貫通する針を動かしたり位置を変えたりすることはできない。針プレートは、プレート持上機構に接続される。バイアル保持板は定位置に差し込まれる(バイアル保持板の目的は、針プレートが針を製品バイアルから引き抜くときに、バイアルが遮蔽された容器から持ち上げられるのを防ぐことであり、このプレートを層流キャビネットから離すことはできるが取り外すことはできないことが想定される点に注目されたい)。
【0056】
製品バイアルが定位置に配置されると、弁/フィルタカセット、シリンジ及び採集バイアルを内部筐体にまで通過させて作動ハードウェア上に配置することができる。健康及び安全上の観点から、キャビネット内の遮蔽されていない移送ラインから操作者を保護するために、さらに層流キャビネットの外側に二次遮蔽が必要である。或いは、資源や基礎構造が十分に得られる場合、鉛で遮蔽された層流キャビネットをGMP準拠していないホットセルに取り付けて分注システム全体を収容することができる。
【0057】
図7は、流体導管内のガスボーラスを検出するためのガス検出器502、504を組み込んだ分注システム510を示す。分注システム510は、第1のマニホルド支持弁544、545、552が支持されるキャビティ542を画成するハウジング512を備える。弁544は、流体をバルク採集バイアル546から弁545へ向ける。また、弁544は、流体が完全性テスタ550から弁545へ向けられるように入力する。完全性試験流体はフィルタ516のフィルタ膜に対して向けられて、フィルタの欠陥を検出する。弁545は、流体流を弁544と弁552の間、又はガス抜きバイアル559へ向ける。20mlシリンジポンプ542が弁552に接続され、流体を供給バイアル546からシリンジポンプ542内に引き込んで、流体をマニホルドからフィルタ516へ向けて分注する。フィルタ516以降は、流体を直列に接続された第1及び第2の分注マニホルド517、519に向ける。分注マニホルド517、519は、弁574a〜f及び流体導管520a〜gを提供して、分注された流体を製品分注バイアル522a〜gにそれぞれ向ける。製品バイアル522a〜g及びガス抜きバイアル558のそれぞれが開放容器本体を備え、開放容器本体は、封入されたバイアルキャビティを画成するように弾性隔壁により密閉されている。流体送出針580a〜hが、マニホルドから自由に延在する各導管部分の端部で支持される。これらの流体送出針は、それぞれバイアル522a〜g、559の1つの隔壁に挿入される。製品バイアル522a〜g及びガス抜きバイアル559のそれぞれはさらに、隔壁に挿入されたベント針540a〜gを支持して、閉じ込められたガスが流体により移動するときにバイアルから逃がすことができるようにする。
【0058】
本発明は、20mlシリンジポンプ、及び長さ約50cm、直径約1mm以下の濾液通路について、製品バイアルの充填前にまずシリンジの通気をすることなく、複数回の充填をすることができると考える。管の長さ及び寸法によりシリンジにガスが溜まった場合、シリンジポンプ内で製品の上部にガスクッションがある。分注の精度とロバスト性を高めるために、分注前にこのガスを抜くべきである。ガスを抜かなければ、プランジャを引くことにより減圧が発生し、プランジャを押すことにより過圧が発生するため、ガスが圧縮してシリンジモータ制御が不正確なものになる。最初の実験は、1.5m管が引張り時に2〜3mlのガスを供給し、押圧時に1〜2mlのガスを供給することを示し、ガスがすべて押し出されると、フィルタが親水性になってガスが膜を通過できなくなるため、フィルタを使用することができない。ガスを通過させると、フィルタ完全性が得られず、臨床上の使用からバッチ全体を除去することが必要になるおそれがある。
【0059】
排出動作の精度を向上させるため、ガス/流体検出器502を設置すると、システム510が正確にボーラスを検出できるようになるため製品損失が減るか又はなくなる。検出器502の位置は、プロセス応答遅れに応じて、弁544、545の間、又は弁545、552の間とすることができる。このような解決法によりロバスト性が向上し、フィルタ動作を確実にする分注前に大部分のガスを抜くと、プロセスの有効化がより容易になることが期待される。さらに、フィルタ完全性バブルポイント試験を行うときに気泡を自動的に検出するために、さらなるガス/流体検出器504をフィルタ516と弁574aとの間に設置することができる。システム510の動作と制御は、実装された電気コントローラ548により、又はハウジング512の外側から提供されることが考えられる。
【0060】
図8は、本発明のキット600を示す。キット600は、分注システムの出力口に取り付けられる流体通路610を提供する。流体通路610は濾液流路612を備え、この濾液流路612は、流体通路610の一端にわたって配置された滅菌フィルタ614と、キットを備えた種々の製品バイアルの製品キャビティとの間に延在する。
【0061】
濾液流路612はさらに、第1及び第2の三方弁616、618を備え、各三方弁は流体流を入力口620、630から2つの出力口622、624及び632、634のそれぞれに至るまで制御する。濾液流路612はさらに、入力口620に接続された流体導管の第1の部分640、第1の出力口622に接続された流体導管の第2の部分642、及び弁620の第2の出力口624に接続された流体導管の第3の部分644を備える。導管部分644は、弁618の出力口624と入力口630との間に延在する。導管部分646は弁618の第1の出力口632から延在し、導管部分648は弁618の第2の出力口634から延在する。導管部分642は細長中空針650をその自由端で支持して、第1の製品バイアル601のキャビティ602に挿入する。同様に、導管部分646、648はそれぞれ細長針652、654を支持して、第2及び第3の製品バイアル603、605のキャビティ604、606にそれぞれ挿入する。製品バイアル601、603、605のそれぞれは、弾性隔壁により密閉された開口型容器本体を備え、滅菌バイアルキャビティ602、604、606をそれぞれ画成する。キットの針が隔壁を貫通することができる。
【0062】
フィルタ614は、前記流体通路610に架け渡され、濾液流路612の第1の部分640の流体通路に流体連通して、流体通路610を通して濾液通路660を画成する。キット600に設けられるように、濾液流路612は、医薬流体製品を通して分注するのに適した制御環境内に設けられ、この制御環境を維持するように密閉される。したがって、キット600は、ディスペンサシステムに接続されて、流体をディスペンサシステムから製品バイアルに向けるように構成可能である。キット600は、制御環境を提供する密閉された弾性バッグに保管され、輸送されることが望ましい。濾液流路612と弾性バッグの両方について、説明した制御環境は、GMP準拠の、滅菌流体移送動作に向けたものである。本発明では、製品バイアルを針から離した状態、又は針を製品バイアルに挿入した状態で、キット600を滅菌バッグ内に設けることが考えられる。製品バイアルを針から離して設けた場合、環境制御された環境で、バッグを開けて針をバイアルに挿入する必要がある。製品バイアルへの分注後、各製品バイアルを各針から取り外して保管し、エンドユーザに向けて輸送する。層流フード下等の制御環境内で製品バイアルを取り外すことにより、製品バイアルを引続き接続して、引続き分注を行うことができる。
【0063】
図9、10は、本発明の別の針プレート持上機構又はリフト850を示す。リフト850は、第1及び第2の分注バイアル822、824を収容する。リフト850の動作原理を様々な大きさや容積の分注バイアルに適用できることを示すように、バイアル822、824は異なる大きさで示されている。前述したように、各バイアル822、824は、容器本体822a、824aをそれぞれ提供する。また、バイアル822、824は、穿刺可能な弾性隔壁でバイアルを密閉するバイアルキャップ822b及び824bを提供する。キャップが開いて各隔壁に接触できるようになっており、各隔壁は前述した流体針及びベント針により穿刺される。さらに、バイアル822、824は、容器本体とキャップとの間に、比較的幅狭の首部822c、824cを備える。首部822c、824cを設けることにより、各バイアルをリフト850によりそこで保持できるようになっており、これについてはさらに十分に後述する。本発明は、リフトを、本発明の分注カセットを備えたキットの一部として、或いは、従来の分注システムと共に使用する別個の装置として設けるものと考える。
【0064】
リフト850は細長平面針プレート852と細長平面バイアルプレート854とを備え、これらのプレートを、1以上の分注バイアル又は1以上の分注針及びベント針をそれぞれが保持しながら、互いに近づけたり離したりすることができる。分注針及びベント針は、(前述したように)針プレートにより直接保持されるか、本発明の針クリップにより保持されるかのどちらかであると考えられる。これについては、図11、12の説明と共により十分に説明する。リフト850は、直立した柱858a〜dと、第1及び第2のピストン860a、860bとを支持する細長平面ベース856を備える。ベースプレート856及び針プレート852は、柱858a〜dの対向する端部にそれぞれ取り付けられる。ピストン860a、860bは、ベース856に取り付けられたピストンロッド862と、上に重なって摺動可能に延在するピストンシリンダ864a、864bとを備える。バイアルプレート854は、針プレート852に近づいたり離れたりできるようにピストンシリンダ864a、864bに取り付けられる。各バイアルがリフト850に収容されるように、針プレート852及びバイアルプレート854は、バイアルの針クリップ又は首部を受けるための細長開放切欠き870、872をそれぞれ画成する。針及びバイアルプレートは、バイアルクリップ及びバイアルネックにそれぞれ係合するよう、切欠き870、872の周りに周縁部852a、854aを提供する。
【0065】
簡単にするために、リフト850の動作をバイアル822について説明するが、バイアル824又は同様に構成されたバイアルについても同様の手順を踏むことが当業者には明らかであろう。リフト850の動作は、本発明の分注カセットのコントローラにより制御されると考えられるが、作動を別に制御してもよいことがさらに考えられる。リフト850は、針及びバイアルプレートを互いに近接させ、ピストンシリンダ864a及び864bを延ばした状態で、図9に示す位置から始まるように設計される。この構成において、操作者が、バイアルクリップ950を取り付けた状態でバイアル822をリフト850上に装填し、首部822cが切欠き872内に受けられてバイアル822が縁部854aにより首部822cの周りで保持されるようにする。同様に、この同じ動作で、バイアルクリップ950は、溝962(図11及び12について、より十分に説明する)にて切欠き870に受けられて、縁部852aにより溝962の周りで保持される。(前述した)流体針180及びベント針162を、バイアル及びクリップをリフト850上に装填する前又は後に、操作者の判断でバイアルクリップ950及びバイアルキャップ822aに挿入することができる。同様に、本発明に適切なように、針180を分注システムに接続することができる。
【0066】
流体をバイアル822に分注する間、リフト850はバイアル822及びバイアルクリップ850を定位置に保持する。分注が完了すると、ピストンシリンダ860a及び860bを針プレート852から後退させて、バイアル822をベント針及び流体針の両方から引き離す。次に操作者は、バイアル822をリフト850から取り外すことができる。
【0067】
針プレート852がシリンダ860a、860bに取り付けられるようにリフト850のリンク機構を再装備して、ピストンシリンダを延ばして針プレートをバイアルプレートから持ち上げることによりバイアル822をクリップ950から離し、バイアルプレートは、この場合、ベース85からの柱858a〜dの対向端に取り付けられることを当業者は理解するであろう。例えば図6において実施形態について説明したこのような構成は、リフト850にも同様に当てはまる。
【0068】
図11、12は、本発明のバイアルクリップ950を示す。バイアルクリップ950は、医薬品分注動作に使用するのに適したプラスチック材料から一般に形成された細長クリップ本体952を備える。クリップ本体952は、対向する第1及び第2の端部954、956をそれぞれ備える。第1の端部954がバイアルのキャップの周りに取外し可能に取り付けられるように構成され、このために、本体952は、端部954まで自由に延在する複数の可撓性ペタル958を画成する。クリップ本体952は、各ペタル958の周りに開口溝960を画成して、バイアルキャップの取付け及び取外し中にペタルが撓みやすくなるようにする。また、クリップ本体952は対向する側壁964、966間に環状溝962を画成する。溝962は、プレートの対向する切欠き縁部を内部に受けることにより、クリップ950と本発明のバイアル持上機構の1つのプレートとを係合する。
【0069】
図12に示すように、第1の端部954は、挿入されたバイアルのキャップを内部に受けるバイアルキャップキャビティ968を画成する。さらに、各ペタル958は、キャビティ968に完全に挿入されたときにバイアルキャップに対して干渉保持力を提供しつつ、挿入及び取外し動作中にバイアルキャップから逸れる、内側に面した戻り止め970を支持する。
【0070】
第2の端部954は、直立した頭壁976により長手方向に分離された第1の横断面972及び第2の横断面974を備える。面972は第1の開口980を画成し、面974は第2の開口982を画成する。キャップ本体954は、開口980とキャビティ968とを流体連通して延在する第1の細長通路984を画成する。また、キャップ本体954は、開口982とキャビティ968とを流体連通して延在する第2の細長通路986を画成する。通路984、986のそれぞれは針を挿入するように配置され、挿入されたバイアルキャップの隔壁に針を通すことにより針通路をバイアルキャビティに流体連通して配置する。図12に示すように、クリップ本体952は、長手方向テーパ状に通路984、986を画成し、2つの通路が、接合部988でキャビティ968に位置合わせされて連結する。接合部988は、バイアルキャップの穿刺可能な隔壁が、接合部988に下側で位置合わせされて配置される。望ましくは、通路984、986の一方が流体送出針を通過させ、通路984、986の他方がベント針を収容して、それぞれが下側のバイアルキャップ隔壁を穿刺するようにする。
【0071】
クリップ950は、バイアルの隔壁に各針を通して保持し方向付けするための、便利で信頼性のあるアセンブリを提供し、分注動作完了後にバイアル及びクリップ950を分離する際に、各針をクリップ950内に保持しつつ、適切な流体分注を行うことができるようになっている。通路984、986がテーパ状に位置合わせされることにより、クリップ950は、分注動作の前に、流体送出針又はベント針を挿入する前にバイアルに取り付けることが企図されている。しかし、本発明では、通路984、986の一方又は両方がクリップ本体952を通って長手方向に延在して、クリップをバイアルキャップに取り付けるときに、本発明のバイアルクリップが、2本の針本体をより容易に保持できるようになっている。
【0072】
本発明の特定の実施形態について図示し、説明したが、本発明の教示から逸脱することなく変更及び修正を加え得ることは当業者には自明であろう。前述の説明で述べた事項及び添付図面は、例示の目的のみで挙げられたものであり、これに限定するものではない。本発明の実際の範囲は、先行技術に基づく適切な観点で見た、特許請求の範囲に定義されたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体源により供給される流体を分注するためのディスペンサカセットであって、ハウジングキャビティを画成するハウジングを備え、前記ハウジングは、前記キャビティ内で、
送出通路を画成する細長の供給流路と、
送出通路を画成する細長の濾液流路と、
前記供給流路及び濾液流路の送出通路間に流体連通して配置された濾液通路を画成するフィルタ要素を提供する滅菌フィルタと、
流体を前記フィルタ要素に通すために前記供給流路に動作可能に接続されるポンプ手段と、
前記ポンプと流体源との間及び前記ポンプとフィルタとの間の一方を選択可能に流体連通させる第1の弁と、
バイアルキャビティを有する1以上の製品分注バイアルであって、前記バイアルキャビティが前記濾液流路の前記送出通路と流体連通して設けられ、前記バイアルキャビティと濾液流路の前記送出通路とが、環境制御された容積として設けられる製品分注バイアルと、
前記シリンジポンプと前記弁とを選択可能に操作して流体を流体源から前記1以上の製品分注バイアルに向けるためのコントローラとを支持する、ディスペンサカセット。
【請求項2】
完全性試験流路と、
前記供給流路の前記送出通路と、前記完全性試験流路及び前記フィルタの一方との間を選択可能に流体連通させる第2の弁とをさらに備える、請求項1記載のディスペンサカセット。
【請求項3】
第2の製品分注バイアルと、
前記フィルタと、前記1以上の製品分注バイアル及び前記第2の分注バイアルの一方との間を選択可能に流体連通させる第3の弁とをさらに備える、請求項1記載のディスペンサカセット。
【請求項4】
第3の製品分注バイアルと、
前記フィルタと、前記第2の製品分注バイアル及び前記第3の分注バイアルの一方との間を選択可能に流体連通させる第4の弁とをさらに備える、請求項3記載のディスペンサカセット。
【請求項5】
流体源と前記第1の弁との間に中間流体連通して配置されるバルク採集キャビティを有するバルク採集バイアルをさらに備える、請求項1記載のディスペンサカセット。
【請求項6】
前記ポンプ手段がシリンジポンプを備える、請求項1記載のディスペンサカセット。
【請求項7】
前記1以上の製品分注バイアルが、弾性隔壁により密閉された開口を有する容器本体をさらに備え、前記濾液流路が取外し可能に前記隔壁を通って延在する、請求項1記載のディスペンサカセット。
【請求項8】
前記濾液流路上に支持される第1の分注針をさらに備え、前記第1の分注針が、対向する第1及び第2の開放端部を有し、開放端部の間に延在する細長針流路を画成し、前記第1の分注針が、前記1以上の製品分注バイアルの前記隔壁を通って延在する、請求項7記載のディスペンサカセット。
【請求項9】
前記1以上の製品分注バイアルが、前記隔壁を通って延在するベント導管をさらに備え、前記ベント導管が、濾過媒体を内部に支持して、前記バイアルキャビティの制御環境を維持しつつ、空気を前記バイアルキャビティから排出することができる、請求項8記載のディスペンサカセット。
【請求項10】
前記第2の製品分注バイアルが、弾性隔壁により密閉された開口を有する容器本体をさらに備え、前記濾液流路が取外し可能に前記隔壁を通って延在する、請求項3記載のディスペンサカセット。
【請求項11】
前記濾液流路上に支持される第2の分注針をさらに備え、前記第2の分注針が、対向する第1及び第2の開放端部を有し、開放端部の間に延在する細長針流路を画成し、前記第2の分注針が、前記第2の製品分注バイアルの前記隔壁を通って延在する、請求項10記載のディスペンサカセット。
【請求項12】
前記第2の製品分注バイアルが、前記隔壁を通って延在する第2のベント導管をさらに備え、前記第2のベント導管が、濾過媒体を内部に支持して、前記第2の製品分注バイアルのバイアルキャビティの制御環境を維持しつつ、空気を前記第2の製品分注バイアルの前記バイアルキャビティから排出することができる、請求項11記載のディスペンサカセット。
【請求項13】
前記第3の製品分注バイアルが、弾性隔壁により密閉された開口を有する容器本体をさらに備え、前記濾液流路が取外し可能に前記隔壁を通って延在する、請求項4記載のディスペンサカセット。
【請求項14】
前記濾液流路上に支持される第3の分注針をさらに備え、前記第3の分注針が、対向する第1及び第2の開放端部を有し、開放端部の間に延在する細長針流路を画成し、前記第3の分注針が、前記第3の製品分注バイアルの前記隔壁を通って延在する、請求項13記載のディスペンサカセット。
【請求項15】
前記第3の製品分注バイアルが、前記隔壁を通って延在する第3のベント導管をさらに備え、前記第3のベント導管が、濾過媒体を内部に支持して、前記第3の製品分注バイアルのバイアルキャビティの制御環境を維持しつつ、空気を前記第3の製品分注バイアルの前記バイアルキャビティから排出することができる、請求項14記載のディスペンサカセット。
【請求項16】
前記第1の弁、第3の弁、及び第4の弁の1つ以上がストップコック弁である、請求項4記載のディスペンサカセット。
【請求項17】
前記第2の弁がストップコック弁である、請求項2記載のディスペンサカセット。
【請求項18】
前記ディスペンサカセットを封入する滅菌バッグをさらに備える、請求項1記載のディスペンサカセット。
【請求項19】
前記分注針が前記1以上の製品分注バイアルのキャビティ内に延在する第1の位置と、前記分注針が前記1以上の製品分注バイアルから後退して離れる第2の位置との間で駆動可能な針支持プレートをさらに備える、請求項8記載のディスペンサカセット。
【請求項20】
前記第1及び第2の位置の間で前記針支持プレートを移動させるためのアクチュエータをさらに備える、請求項19記載のディスペンサカセット。
【請求項21】
フローフードアダプタをさらに備え、前記フローフードアダプタが、前記ディスペンサカセットを内部に受けるアダプタキャビティを画成するフローフードアダプタハウジングを備え、前記フローフードアダプタハウジングが、空気流を通すための少なくとも第1の開口を前記フローフードアダプタハウジングを通して画成し、前記第1の開口が層流キャビネット内に配置可能である、請求項1記載のディスペンサカセット。
【請求項22】
第1のキャビティを有する第1の層流フードに接続可能なアダプタキャビティを有して、前記第1の層流フードの前記第1のキャビティ内に位置する充填導管が前記アダプタキャビティ内に延在するようにし、前記アダプタキャビティが請求項1記載のディスペンサカセットを含む、層流フードアダプタ。
【請求項23】
カセットハウジングと、
試料引抜導管と、
流体完全性導管と、
内部移送導管と、
針を支持する自由端部を有する1以上の製品送出導管と、
ディスペンサカセットの前記製品送出導管に接続されて、前記1以上の製品送出導管を通過する流体が滅菌フィルタを通って流れなければならないようにした滅菌フィルタと、
シリンジポンプと、
前記試料引抜導管、前記シリンジポンプ、及び前記内部移送導管の間に接続された第1の弁と、
前記内部移送導管、前記流体完全性導管、及び前記1以上の製品送出導管の間に接続された第2の弁と、
前記ポンプ及び前記弁を操作するためのコントローラと、
バイアルキャビティを有する1以上の製品バイアルと、
前記1以上の製品送出導管の前記自由端部で支持された前記針が、前記1以上の製品バイアルのバイアルキャビティ内に延在する第1の位置と、前記針が前記1以上の製品バイアルから後退して離れる第2の位置との間で駆動可能な針支持プレートとを備える、ディスペンサカセット。
【請求項24】
容器キャビティを有するバルク採集バイアルをさらに備え、前記試料引抜導管が前記バルク採集バイアルに接続されて、前記容器キャビティ内の内容物を、前記シリンジポンプの作用により前記試料引抜導管を通して引き抜くことができる、請求項25記載のディスペンサカセット。
【請求項25】
前記ディスペンサカセットを含む滅菌送出パッケージをさらに備える、請求項24記載のディスペンサカセット。
【請求項26】
一次フードキャビティを有する層流フードに接続するアダプタキャビティを画成する層流フードアダプタをさらに備え、前記アダプタキャビティが前記一次フードキャビティと流体連通して、GMP準拠の空気流を前記一次フードキャビティから前記アダプタキャビティに通すようにし、前記アダプタキャビティが前記ディスペンサカセットを内部に支持する、請求項24記載のディスペンサカセット。
【請求項27】
ディスペンサシステムのためのキットであって、
流体流を入力口から2つの出力口に至るまで制御する1以上の三方弁を備え、前記1以上の弁の入力口に接続された流体導管の第1の部分と、前記1以上の弁の第1の出力口に接続された流体導管の第2の部分と、前記1以上の弁の第2の出力口に接続された流体導管の第3の部分とをさらに備えた細長流体通路と、
流体導管の前記第2の部分に接続された第1の細長中空分注針と、流体導管の前記第3の部分に接続された第2の細長中空分注針と、
流体導管の前記第1の部分の流体通路と流体連通して前記フィルタを通る濾液通路を画成するように、前記流体通路に架け渡された流体フィルタとを備え、
前記フィルタと前記1以上の弁との間の前記流体通路が、内部を通る医薬品流体製品を分注するのに適した制御環境を組み入れ、
前記キットは、ディスペンサシステムに接続され、流体を前記ディスペンサシステムから1以上の製品容器に向けるように構成可能である、キット。
【請求項28】
前記キットを封入する容器をさらに備え、前記容器が内部キャビティを画成し、前記キャビティが前記キットを保持するための制御環境を備える、請求項27記載のキット
【請求項29】
前記キャビティがGMP準拠環境を備える、請求項27記載のキット。
【請求項30】
滅菌バイアルキャビティを画成するように弾性隔壁により密閉された開口型容器本体を備えた第1の製品バイアルと、滅菌バイアルキャビティを画成するように弾性隔壁により密閉された開口型容器本体を備えた第2の製品バイアルとをさらに備え、前記キットの前記針の1本が前記隔壁を貫通することかできる、請求項27記載のキット。
【請求項31】
前記第1の針が前記第1の製品バイアルの隔壁を通って延在し、前記第2の針が前記第2の製品バイアルの隔壁を通って延在し、前記キットが、前記フィルタと前記バイアルキャビティのそれぞれとの間に延在する前記流体通路内に制御環境を提供する、請求項30記載のキット。
【請求項32】
マニホルドをさらに備え、前記マニホルドが、前記1以上の弁を内部に支持するマニホルド本体を備え、前記マニホルド本体が、前記第1、第2、及び第3の流体導管部分の支持部のための流路ネットワークをさらに画成する、請求項27記載のキット。
【請求項33】
1以上の細長カニューレと、1以上のカニューレにより穿刺される隔壁を支持するバイアルキャップとを接続するためのバイアルクリップであって、
対向する第1及び第2の端部を有するクリップ本体を備え、前記第1の端部が、バイアルキャップを受けるためのバイアルキャップキャビティを画成し、前記クリップ本体が、前記第2の端部と前記バイアルキャップキャビティとの間を流体連通して延在する1以上の細長開放通路をさらに画成し、前記通路が、バイアルキャップの隔壁を穿刺するための針を通路に通して受けるように構成される、バイアルクリップ。
【請求項1】
流体源により供給される流体を分注するためのディスペンサカセットであって、ハウジングキャビティを画成するハウジングを備え、前記ハウジングは、前記キャビティ内で、
送出通路を画成する細長の供給流路と、
送出通路を画成する細長の濾液流路と、
前記供給流路及び濾液流路の送出通路間に流体連通して配置された濾液通路を画成するフィルタ要素を提供する滅菌フィルタと、
流体を前記フィルタ要素に通すために前記供給流路に動作可能に接続されるポンプ手段と、
前記ポンプと流体源との間及び前記ポンプとフィルタとの間の一方を選択可能に流体連通させる第1の弁と、
バイアルキャビティを有する1以上の製品分注バイアルであって、前記バイアルキャビティが前記濾液流路の前記送出通路と流体連通して設けられ、前記バイアルキャビティと濾液流路の前記送出通路とが、環境制御された容積として設けられる製品分注バイアルと、
前記シリンジポンプと前記弁とを選択可能に操作して流体を流体源から前記1以上の製品分注バイアルに向けるためのコントローラとを支持する、ディスペンサカセット。
【請求項2】
完全性試験流路と、
前記供給流路の前記送出通路と、前記完全性試験流路及び前記フィルタの一方との間を選択可能に流体連通させる第2の弁とをさらに備える、請求項1記載のディスペンサカセット。
【請求項3】
第2の製品分注バイアルと、
前記フィルタと、前記1以上の製品分注バイアル及び前記第2の分注バイアルの一方との間を選択可能に流体連通させる第3の弁とをさらに備える、請求項1記載のディスペンサカセット。
【請求項4】
第3の製品分注バイアルと、
前記フィルタと、前記第2の製品分注バイアル及び前記第3の分注バイアルの一方との間を選択可能に流体連通させる第4の弁とをさらに備える、請求項3記載のディスペンサカセット。
【請求項5】
流体源と前記第1の弁との間に中間流体連通して配置されるバルク採集キャビティを有するバルク採集バイアルをさらに備える、請求項1記載のディスペンサカセット。
【請求項6】
前記ポンプ手段がシリンジポンプを備える、請求項1記載のディスペンサカセット。
【請求項7】
前記1以上の製品分注バイアルが、弾性隔壁により密閉された開口を有する容器本体をさらに備え、前記濾液流路が取外し可能に前記隔壁を通って延在する、請求項1記載のディスペンサカセット。
【請求項8】
前記濾液流路上に支持される第1の分注針をさらに備え、前記第1の分注針が、対向する第1及び第2の開放端部を有し、開放端部の間に延在する細長針流路を画成し、前記第1の分注針が、前記1以上の製品分注バイアルの前記隔壁を通って延在する、請求項7記載のディスペンサカセット。
【請求項9】
前記1以上の製品分注バイアルが、前記隔壁を通って延在するベント導管をさらに備え、前記ベント導管が、濾過媒体を内部に支持して、前記バイアルキャビティの制御環境を維持しつつ、空気を前記バイアルキャビティから排出することができる、請求項8記載のディスペンサカセット。
【請求項10】
前記第2の製品分注バイアルが、弾性隔壁により密閉された開口を有する容器本体をさらに備え、前記濾液流路が取外し可能に前記隔壁を通って延在する、請求項3記載のディスペンサカセット。
【請求項11】
前記濾液流路上に支持される第2の分注針をさらに備え、前記第2の分注針が、対向する第1及び第2の開放端部を有し、開放端部の間に延在する細長針流路を画成し、前記第2の分注針が、前記第2の製品分注バイアルの前記隔壁を通って延在する、請求項10記載のディスペンサカセット。
【請求項12】
前記第2の製品分注バイアルが、前記隔壁を通って延在する第2のベント導管をさらに備え、前記第2のベント導管が、濾過媒体を内部に支持して、前記第2の製品分注バイアルのバイアルキャビティの制御環境を維持しつつ、空気を前記第2の製品分注バイアルの前記バイアルキャビティから排出することができる、請求項11記載のディスペンサカセット。
【請求項13】
前記第3の製品分注バイアルが、弾性隔壁により密閉された開口を有する容器本体をさらに備え、前記濾液流路が取外し可能に前記隔壁を通って延在する、請求項4記載のディスペンサカセット。
【請求項14】
前記濾液流路上に支持される第3の分注針をさらに備え、前記第3の分注針が、対向する第1及び第2の開放端部を有し、開放端部の間に延在する細長針流路を画成し、前記第3の分注針が、前記第3の製品分注バイアルの前記隔壁を通って延在する、請求項13記載のディスペンサカセット。
【請求項15】
前記第3の製品分注バイアルが、前記隔壁を通って延在する第3のベント導管をさらに備え、前記第3のベント導管が、濾過媒体を内部に支持して、前記第3の製品分注バイアルのバイアルキャビティの制御環境を維持しつつ、空気を前記第3の製品分注バイアルの前記バイアルキャビティから排出することができる、請求項14記載のディスペンサカセット。
【請求項16】
前記第1の弁、第3の弁、及び第4の弁の1つ以上がストップコック弁である、請求項4記載のディスペンサカセット。
【請求項17】
前記第2の弁がストップコック弁である、請求項2記載のディスペンサカセット。
【請求項18】
前記ディスペンサカセットを封入する滅菌バッグをさらに備える、請求項1記載のディスペンサカセット。
【請求項19】
前記分注針が前記1以上の製品分注バイアルのキャビティ内に延在する第1の位置と、前記分注針が前記1以上の製品分注バイアルから後退して離れる第2の位置との間で駆動可能な針支持プレートをさらに備える、請求項8記載のディスペンサカセット。
【請求項20】
前記第1及び第2の位置の間で前記針支持プレートを移動させるためのアクチュエータをさらに備える、請求項19記載のディスペンサカセット。
【請求項21】
フローフードアダプタをさらに備え、前記フローフードアダプタが、前記ディスペンサカセットを内部に受けるアダプタキャビティを画成するフローフードアダプタハウジングを備え、前記フローフードアダプタハウジングが、空気流を通すための少なくとも第1の開口を前記フローフードアダプタハウジングを通して画成し、前記第1の開口が層流キャビネット内に配置可能である、請求項1記載のディスペンサカセット。
【請求項22】
第1のキャビティを有する第1の層流フードに接続可能なアダプタキャビティを有して、前記第1の層流フードの前記第1のキャビティ内に位置する充填導管が前記アダプタキャビティ内に延在するようにし、前記アダプタキャビティが請求項1記載のディスペンサカセットを含む、層流フードアダプタ。
【請求項23】
カセットハウジングと、
試料引抜導管と、
流体完全性導管と、
内部移送導管と、
針を支持する自由端部を有する1以上の製品送出導管と、
ディスペンサカセットの前記製品送出導管に接続されて、前記1以上の製品送出導管を通過する流体が滅菌フィルタを通って流れなければならないようにした滅菌フィルタと、
シリンジポンプと、
前記試料引抜導管、前記シリンジポンプ、及び前記内部移送導管の間に接続された第1の弁と、
前記内部移送導管、前記流体完全性導管、及び前記1以上の製品送出導管の間に接続された第2の弁と、
前記ポンプ及び前記弁を操作するためのコントローラと、
バイアルキャビティを有する1以上の製品バイアルと、
前記1以上の製品送出導管の前記自由端部で支持された前記針が、前記1以上の製品バイアルのバイアルキャビティ内に延在する第1の位置と、前記針が前記1以上の製品バイアルから後退して離れる第2の位置との間で駆動可能な針支持プレートとを備える、ディスペンサカセット。
【請求項24】
容器キャビティを有するバルク採集バイアルをさらに備え、前記試料引抜導管が前記バルク採集バイアルに接続されて、前記容器キャビティ内の内容物を、前記シリンジポンプの作用により前記試料引抜導管を通して引き抜くことができる、請求項25記載のディスペンサカセット。
【請求項25】
前記ディスペンサカセットを含む滅菌送出パッケージをさらに備える、請求項24記載のディスペンサカセット。
【請求項26】
一次フードキャビティを有する層流フードに接続するアダプタキャビティを画成する層流フードアダプタをさらに備え、前記アダプタキャビティが前記一次フードキャビティと流体連通して、GMP準拠の空気流を前記一次フードキャビティから前記アダプタキャビティに通すようにし、前記アダプタキャビティが前記ディスペンサカセットを内部に支持する、請求項24記載のディスペンサカセット。
【請求項27】
ディスペンサシステムのためのキットであって、
流体流を入力口から2つの出力口に至るまで制御する1以上の三方弁を備え、前記1以上の弁の入力口に接続された流体導管の第1の部分と、前記1以上の弁の第1の出力口に接続された流体導管の第2の部分と、前記1以上の弁の第2の出力口に接続された流体導管の第3の部分とをさらに備えた細長流体通路と、
流体導管の前記第2の部分に接続された第1の細長中空分注針と、流体導管の前記第3の部分に接続された第2の細長中空分注針と、
流体導管の前記第1の部分の流体通路と流体連通して前記フィルタを通る濾液通路を画成するように、前記流体通路に架け渡された流体フィルタとを備え、
前記フィルタと前記1以上の弁との間の前記流体通路が、内部を通る医薬品流体製品を分注するのに適した制御環境を組み入れ、
前記キットは、ディスペンサシステムに接続され、流体を前記ディスペンサシステムから1以上の製品容器に向けるように構成可能である、キット。
【請求項28】
前記キットを封入する容器をさらに備え、前記容器が内部キャビティを画成し、前記キャビティが前記キットを保持するための制御環境を備える、請求項27記載のキット
【請求項29】
前記キャビティがGMP準拠環境を備える、請求項27記載のキット。
【請求項30】
滅菌バイアルキャビティを画成するように弾性隔壁により密閉された開口型容器本体を備えた第1の製品バイアルと、滅菌バイアルキャビティを画成するように弾性隔壁により密閉された開口型容器本体を備えた第2の製品バイアルとをさらに備え、前記キットの前記針の1本が前記隔壁を貫通することかできる、請求項27記載のキット。
【請求項31】
前記第1の針が前記第1の製品バイアルの隔壁を通って延在し、前記第2の針が前記第2の製品バイアルの隔壁を通って延在し、前記キットが、前記フィルタと前記バイアルキャビティのそれぞれとの間に延在する前記流体通路内に制御環境を提供する、請求項30記載のキット。
【請求項32】
マニホルドをさらに備え、前記マニホルドが、前記1以上の弁を内部に支持するマニホルド本体を備え、前記マニホルド本体が、前記第1、第2、及び第3の流体導管部分の支持部のための流路ネットワークをさらに画成する、請求項27記載のキット。
【請求項33】
1以上の細長カニューレと、1以上のカニューレにより穿刺される隔壁を支持するバイアルキャップとを接続するためのバイアルクリップであって、
対向する第1及び第2の端部を有するクリップ本体を備え、前記第1の端部が、バイアルキャップを受けるためのバイアルキャップキャビティを画成し、前記クリップ本体が、前記第2の端部と前記バイアルキャップキャビティとの間を流体連通して延在する1以上の細長開放通路をさらに画成し、前記通路が、バイアルキャップの隔壁を穿刺するための針を通路に通して受けるように構成される、バイアルクリップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−525142(P2011−525142A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546088(P2010−546088)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/033551
【国際公開番号】WO2009/100428
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(305040710)ジーイー・ヘルスケア・リミテッド (99)
【出願人】(504000591)ハマースミス・イメイネット・リミテッド (26)
【氏名又は名称原語表記】Hammersmith Imanet Ltd
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/033551
【国際公開番号】WO2009/100428
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(305040710)ジーイー・ヘルスケア・リミテッド (99)
【出願人】(504000591)ハマースミス・イメイネット・リミテッド (26)
【氏名又は名称原語表記】Hammersmith Imanet Ltd
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]