説明

非可視化情報埋込装置、非可視化情報認識装置、非可視化情報埋込方法、非可視化情報認識方法、非可視化情報埋込プログラム、及び非可視化情報認識プログラム

【課題】付加価値性に優れた高精度な画像又はサービスを提供する。
【解決手段】取得した画像の所定の位置に非可視化情報を埋め込む非可視化情報埋込装置において、前記画像に含まれる物体情報及び位置情報を取得する画像解析手段と、前記画像解析手段により得られた物体情報から前記画像が埋め込み対象の画像であるかを判定する埋込対象画像判定手段と、前記埋込対象画像判定手段により得られる判定結果に基づいて、前記画像に前記非可視化情報を合成する画像合成手段とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非可視化情報埋込装置、非可視化情報認識装置、非可視化情報埋込方法、非可視化情報認識方法、非可視化情報埋込プログラム、及び非可視化情報認識プログラムに係り、特に効率的な情報の取得により付加価値性に優れた高精度な画像を提供するための非可視化情報埋込装置、非可視化情報認識装置、非可視化情報埋込方法、非可視化情報認識方法、非可視化情報埋込プログラム、及び非可視化情報認識プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、例えば模様等が描かれたカードを撮影し、撮影したカメラ映像から検出されるカードの種類や3次元位置情報に基づいて、楽器を制御するMIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号を出力したり、映像を出力する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、カメラで紙媒体の図形を認識してパソコンのディスプレイ上に仮想図形を表示させるシステムツール等が存在する(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
更に、所定の画像パターンに対応する識別情報を有する対象画像を取得し、取得された対象画像の中から、識別情報を認識し、予め登録された複数の処理の中から認識された識別情報に対応する所定の処理を実行し、対象画像を所定の表示領域内に表示し、表示された対象画像内の所定の2個以上の位置の位置情報を取得し、取得された2個以上の位置の位置情報に基づく向き及び位置に、認識された識別情報に対応する画像を描画する画像処理技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、従来では、動画像に人間の知覚(視覚、聴覚)特性を利用し、静止画、動画、オーディオ等のディジタルコンテンツに対して、コンテンツとは別の情報を人間に知覚できないように埋め込む電子透かし技術が知られている(例えば、特許文献3,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−32076号公報
【特許文献2】特開2000−82107号公報
【特許文献3】国際公開第2005/074248号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2007/015452号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】"http://www.hitl.washington.edu/artoolkit/"、「ARToolKit」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来技術では、カード等を所定方向(平行や回転)に移動させることによって、合成される画像に動きを持たせて表示を行うことができるが、カード等を停止させたまま合成させる画像を変化させることができなかった。
【0009】
そのため、例えば予め制作された動画を合成する等の対応しかできず、カード種別毎にある特定の動作しかできなかったため、付加価値性に優れた高精度な画像や映像は提供されていなかった。
【0010】
また、上述した非特許文献1に示されている仮想図形表示システムでは、一旦、仮想図形が表示されると図形を変化させることは難しかった。すなわち、外部の環境変化に応じて図形を変化させることはできなかった。更に、従来技術では、表示させる画像は、識別情報を含むカード等の位置を基準に表示させるものであるため、表示の仕方に制限があり、例えば3次元映像等を表示させることはできなった。
【0011】
また、電子透かし技術を用いて情報を画像に埋め込む場合、画面の一部に埋め込んでしまうと、画像中のどの部分に電子透かしの情報が入っているかを判別することができなかったため、画像全体にデータを埋め込まなければならなかった。そのような場合、例えばテレビに表示された映像に含まれる部分的な物体(例えば、花や人等)に対してのみに情報を埋め込むことができず、結果として画面上に表示されている物体の全てについての情報を取得しなければならない。そのため、ユーザが求めていない余計な情報をも取得せざるを得なかった。また、テレビ画面全体に電子透かしが埋め込まれている場合には、それを携帯電話等に設けられたレンズで撮影して認識する際、かなり離れて位置で撮影する必要が生じていた。
【0012】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、効率的な情報の取得により付加価値性に優れた高精度な画像を提供するための非可視化情報埋込装置、非可視化情報認識装置、非可視化情報埋込方法、非可視化情報認識方法、非可視化情報埋込プログラム、及び非可視化情報認識プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0014】
請求項1に記載された発明は、取得した画像の所定の位置に非可視化情報を埋め込む非可視化情報埋込装置において、前記画像に含まれる物体情報及び位置情報を取得する画像解析手段と、前記画像解析手段により得られた物体情報から前記画像が埋め込み対象の画像であるかを判定する埋込対象画像判定手段と、前記埋込対象画像判定手段により得られる判定結果に基づいて、前記画像に前記非可視化情報を合成する画像合成手段とを有することを特徴とする。
【0015】
請求項1記載の発明によれば、効率的な情報の取得により付加価値性に優れた高精度な画像を提供することができる。
【0016】
請求項2に記載された発明は、前記画像合成手段により合成される前記非可視化情報の形態を設定する非可視化情報設定手段と、前記非可視化情報設定手段により設定された非可視化情報から合成用の画像を生成する非可視化情報生成手段とを有することを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載された発明は、前記非可視化情報設定手段は、前記非可視化情報の形態を2次元コードとし、前記2次元コードのコード部を原画像の明度に対する低周波部及び/又は高周波部で構成することを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載された発明は、前記画像合成手段は、前記画像解析手段により取得される物体の位置情報に基づいて、前記物体に対応する非可視化情報を合成することを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載された発明は、取得した画像に含まれる非可視化情報を認識する非可視化情報認識装置において、前記画像から非可視化情報を抽出する非可視化情報抽出手段と、前記非可視化情報抽出手段により前記非可視化情報が抽出された場合、前記非可視化情報から得られる前記画像に含まれる物体の付加情報を解析する非可視化情報解析手段と、前記非可視化情報解析手段により得られる付加情報から画面に表示する表示情報を生成する表示情報生成手段とを有することを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載された発明は、前記非可視化情報抽出手段は、前記画像を所定の周波数を用いてフィルタリング処理を行い、取得した周波数に対応する領域から非可視化情報を抽出することを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載された発明は、取得した画像の所定の位置に非可視化情報を埋め込む非可視化情報埋込方法において、前記画像に含まれる物体情報及び位置情報を取得する画像解析ステップと、前記画像解析ステップにより得られた物体情報から前記画像が埋め込み対象の画像であるかを判定する埋込対象画像判定ステップと、前記埋込対象画像判定ステップにより得られる判定結果に基づいて、前記画像に前記非可視化情報を合成する画像合成ステップとを有することを特徴とする。
【0022】
請求項8に記載された発明は、前記画像合成ステップにより合成される前記非可視化情報の形態を設定する非可視化情報設定ステップと、前記非可視化情報設定ステップにより設定された非可視化情報から合成用の画像を生成する非可視化情報生成ステップとを有することを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載された発明は、前記非可視化情報設定ステップは、前記非可視化情報の形態を2次元コードとし、前記2次元コードのコード部を原画像の明度に対する低周波部及び/又は高周波部で構成することを特徴とする。
【0024】
請求項10に記載された発明は、前記画像合成ステップは、前記画像解析ステップにより取得される物体の位置情報に基づいて、前記物体に対応する非可視化情報を合成することを特徴とする。
【0025】
請求項11に記載された発明は、取得した画像に含まれる非可視化情報を認識する非可視化情報認識方法において、前記画像から非可視化情報を抽出する非可視化情報抽出ステップと、前記非可視化情報抽出ステップにより前記非可視化情報が抽出された場合、前記非可視化情報から得られる前記画像に含まれる物体の付加情報を解析する非可視化情報解析ステップと、前記非可視化情報解析ステップにより得られる付加情報から画面に表示する表示情報を生成する表示情報生成ステップとを有することを特徴とする。
【0026】
請求項12に記載された発明は、前記非可視化情報抽出ステップは、前記画像を所定の周波数を用いてフィルタリング処理を行い、取得した周波数に対応する領域から非可視化情報を抽出し、抽出した領域を所定の画素ですることを特徴とする。
【0027】
請求項13に記載された発明は、コンピュータを、請求項1乃至4の何れか1項に記載の非可視化情報埋込装置として機能させることを特徴とする非可視化情報埋込プログラムである。
【0028】
請求項14に記載された発明は、コンピュータを、請求項5又は6に記載の非可視化情報認識装置として機能させることを特徴とする非可視化情報認識プログラムである。
【0029】
請求項13,14記載の発明によれば、付加価値性に優れた高精度な画像又はサービスを提供することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における非可視化情報埋込処理を容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、効率的な情報の取得により付加価値性に優れた高精度な画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態における非可視化情報埋込装置の機能構成の一例を示す図である。
【図2】本実施形態における非可視化情報認識装置の機能構成の一例を示す図である。
【図3】本実施形態における非可視化情報埋込処理及び非可視化情報認識処理が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】本実施形態における非可視化情報埋込処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態における非可視化情報認識処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】画像の一例を示す図である。
【図7】非可視化情報の一例を示す図である。
【図8】付加情報の具体的な埋め込み例について説明するための図である。
【図9】低周波部又は高周波部の模様を説明するための図である。
【図10】コードの埋め込みの実施例を示す図である。
【図11】グリッドに対するコードの埋め込み例を示す図である。
【図12】低周波部のコードの埋め込みの一例を示す図である。
【図13】高周波部のコードの埋め込みの一例を示す図である。
【図14】非可視化情報を抽出するための一例を示す図である。
【図15】実際の非可視化情報を抽出する例を示す図である。
【図16】非可視化情報の認識結果の一例を示す図である。
【図17A】非可視化情報が付加された画像例を示す図(その1)である。
【図17B】非可視化情報が付加された画像例を示す図(その2)である。
【図17C】非可視化情報が付加された画像例を示す図(その3)である。
【図17D】非可視化情報が付加された画像例を示す図(その4)である。
【図17E】非可視化情報が付加された画像例を示す図(その5)である。
【図17F】非可視化情報が付加された画像例を示す図(その6)である。
【図17G】非可視化情報が付加された画像例を示す図(その7)である。
【図17H】非可視化情報が付加された画像例を示す図(その8)である。
【図18】非可視化情報の他の実施例を示す図である。
【図19】比較結果の一例を示す図である。
【図20】非可視化確認試験に用いた画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<本発明ついて>
本発明では、例えば画面に表示される画像や映像、又は紙やハガキ、ポスター、カード等の各種印刷媒体等に対して、肉眼では認識不可能な加工により非可視化情報(マーカー)を画像全体に対して部分的に埋め込み、デジタルカメラや携帯端末に設けられたカメラ等の撮影手段によって、その画像や映像、印刷媒体等の一部を撮影し、撮影された画像や映像等を、パソコンや携帯端末等に取り込みフィルタ等を用いて画像処理することで、埋め込まれたマーカーを認識する。また本発明は、例えば携帯端末等のような容量や性能が制限された機種でも埋め込まれたマーカーの認識が実施可能となるマーカーの埋込方法と、画像処理を組み合わせたマーカー認識を可能にする。更に、本発明では、認識されマーカーの情報から撮影された画像や映像等に対応する付加価値情報を取得する。
【0033】
以下に、本発明における非可視化情報埋込装置、非可視化情報認識装置、非可視化情報埋込方法、非可視化情報認識方法、非可視化情報埋込プログラム、及び非可視化情報認識プログラムを好適に実施した形態について、図面を用いて説明する。なお、本実施形態において説明する「画像」とは、写真等の1枚の画像も、映像における連続したフレーム単位の画像も含まれるものとする。
【0034】
<非可視化情報埋込装置:機能構成例>
ここで、本実施形態における非可視化情報埋込装置の機能構成例について図を用いて説明する。図1は、本実施形態における非可視化情報埋込装置の機能構成の一例を示す図である。
【0035】
図1に示す非可視化情報埋込装置10は、入力手段11と、出力手段12と、蓄積手段13と、画像取得手段14と、画像解析手段15と、埋込対象画像判定手段16と、非可視化情報設定手段17と、非可視化情報生成手段18と、画像合成手段19と、送受信手段20と、制御手段21とを有するよう構成されている。
【0036】
入力手段11は、ユーザ等からの画像取得指示や、画像解析指示、埋込対象画像判定指示、埋込情報設定指示、埋込情報生成指示、画像合成指示、送受信指示等の各種指示の開始/終了等の入力を受け付ける。なお、入力手段11は、例えばパソコン等の汎用のコンピュータであればキーボードやマウス等のポインティングデバイスからなり、携帯端末等であれば各操作ボタン群等からなる。また、入力手段11は、例えばデジタルカメラ等の撮像手段等により撮影された画像や映像等を入力する機能も有する。なお、上述の撮像手段は、非可視化情報認識装置30内に設けられていてもよく、外部の機能構成であってもよい。
【0037】
出力手段12は、入力手段11により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容等の出力を行う。具体的には、出力手段12は、取得した画像や、画像解析結果、埋込対象画像判定結果、設定された非可視化情報、生成された非可視化情報、非可視化情報が合成された合成画像、各構成における処理の結果等の画面表示や音声出力等を行う。なお、出力手段12は、ディスプレイやスピーカ等からなる。
【0038】
更に、出力手段12は、プリンタ等の印刷機能を有していてもよく、上述の各出力内容を、例えば紙やハガキ、ポスター等の各種印刷媒体等に印刷してユーザ等に提供することもできる。
【0039】
蓄積手段13は、本実施形態において必要となる各種情報や埋込処理の実行時、又は実行後の各種データを蓄積する。具体的には、蓄積手段13は、入力又は予め蓄積されている画像取得手段14で取得される撮影等により得られた1又は複数の画像或いは映像を取得する。また、蓄積手段13は、画像解析手段15にて解析された結果や埋込対象画像判定手段16における判定結果、非可視化情報設定手段17による設定内容、非可視化情報生成手段18により生成された埋込情報、画像合成手段19により合成された画像等を蓄積する。また、蓄積手段13は、必要に応じて蓄積されている各種データを読み出すことができる。
【0040】
画像取得手段14は、情報を埋め込む対象となる画像や映像等を取得する。なお、画像や映像等は、例えばカメラ等の撮像手段により得られる画像や映像等でもよく、ポスターや写真、カード、シール等に適用される対象画像等であってもよい。また、画像取得手段14は、送受信手段20を介して通信ネットワーク上に接続される外部の装置で撮影された情報やデータベース等に蓄積された画像や映像等を取得することもでき、また、入力手段11を介して実際にユーザ等がカメラ等で撮影した画像を用いてもよい。
【0041】
画像解析手段15は、画像取得手段14にて取得した画像を解析して画像中に含まれる内容を解析する。具体的には、画像中のどの部分(位置、領域)にどのような物体が映し出されているか、又は、映像中において物体がどのように移動しているか等、物体情報及び座標等からなる物体の位置情報を取得する。例えば、物体が人物の場合、画像解析手段15は、顔の特徴部分から顔検出を行ってもよく、また顔の特徴量を数値化し、その結果により人物特定をおこなってもよい。
【0042】
埋込対象画像判定手段16は、画像解析手段15によって解析された結果に基づいて、その画像に映し出された物体が予め設定された非可視化情報の埋め込み対象であるか否かを判定する。なお、埋込対象画像判定手段16において、物体が非可視化情報を埋め込む情報であるか否かは、ユーザ等により予め埋込判定情報が設定され、蓄積手段13等に蓄積しておき、その埋込判定情報により判定してもよく、又は、その物体に対する付加情報が蓄積手段13に蓄積されているかを検索し、もし付加情報が蓄積されている場合には、埋込対象物体であると判定してもよい。
【0043】
したがって、例えば、画像解析手段15によって画像を解析した結果、画像の一部にパソコンの画像が含まれていると解析された場合、埋込対象画像判定手段16は、パソコンに関する付加情報が蓄積手段13に蓄積されているか否かを判断し、パソコンに関する付加情報が存在する場合には、そのパソコンを埋込対象画像と判定することができる。なお、埋め込む内容(付加情報)は、例えば非可視化情報設定手段17等において設定することができる。また、設定された内容は、蓄積手段13に蓄積される。
【0044】
また、埋込対象画像判定手段16は、画像中に複数の物体が存在する場合、それぞれの物体が埋め込み対象であるとして出力する。なお、画像中に複数の物体が存在する場合には、全ての物体を埋め込み対象に設定してもよく、また少なくとも1つの物体を埋め込み対象に設定してもよい。この場合には、物体に対して、予め設定される優先度や、その物体の画面全体に対する表示領域の位置、映像であれば、その物体が表示されていた時間等により任意に設定することができ、それらの埋込詳細情報も蓄積手段13に蓄積される。
【0045】
非可視化情報設定手段17は、物体情報に基づいて、どのような情報を付加情報として埋め込むのか、その具体的な情報の中身を設定する。例えば、物体情報が財布や洋服等の場合には、そのブランド名や商品名、値段、ホームページのアドレス等を設定し、物体情報が人物である場合には、その人物の氏名、年齢、性別、身長、趣味、経歴等を設定し、物体情報が本である場合には、その本のタイトル、著者、発行日、値段、著者に関する情報等を設定する。なお、非可視化情報設定手段17にて設定される付加情報としては、映像、画像等が含まれる。
【0046】
また、非可視化情報設定手段17は、どのような形態で情報を付加するのかを設定する。例えば、付加情報は、特定の暗号化された文字であるのか、或いは模様や記号、コード情報等であるのか、又は表示サイズ等を設定する。なお、コード情報等の場合には、非可視化情報認識装置側で、そのコードに対する情報が取得できるように対応データベースが設けられていることが好ましい。上述したように、複数の形態から設定することができるため、埋め込み対象の画像の内容に応じて適切な埋め込み情報を選択して設定することができる。
【0047】
非可視化情報生成手段18は、埋込対象画像に埋め込む画像を生成する。非可視化情報生成手段18は、直接文字情報として生成してもよく、コード情報として生成してもよい。なお、コード情報としては、例えばQRコード等の2次元バーコード等を使用することができる。また、本実施形態において、コード情報はQRコードに限定されず、例えばJANコードや、ITFコード、NW−7、CODE39、CODE128、UPC、PDF417、CODE49、Data Matrix、Maxi Code等のバーコードを用いることもできる。
【0048】
更に、非可視化情報生成手段18は、埋め込んだ情報が実際にユーザに提供される画像に対して見えにくくするために埋込対象となる情報を原画像の色情報を基準にして低周波部と高周波部とを用いた画像、又は、低周波部のみ或いは高周波部のみを用いた画像を生成する。なお、低周波部とは、非可視化情報を埋め込む部分の原画像の明度を基準としてそれより明度を低くした部分又は領域を示し、高周波部とは、上述した原画像の明度を基準として、それより明度を高くした部分又は領域を示す。非可視化情報生成手段18における非可視化情報の詳細については後述する。また、非可視化情報生成手段18は、画像中のどの位置に非可視化情報を埋め込むかを座標情報として取得する。
【0049】
なお、本実施形態において、埋込情報を埋め込む際、例えば画像中に表示されている物体の位置上又はその周辺に、その物体に対応する埋込情報が埋め込まれているのが好ましく、この場合には、画像解析手段15により得られた物体位置情報を基準として対象画像に埋込画像の合成を行う。つまり、本実施形態によれば、画像全体に対して1つの埋め込み情報を付与するのではなく、複数の非可視化情報を適切な場所に埋め込むことができる。
【0050】
画像合成手段19は、画像解析手段15により得られる画像と、その画像の物体情報、及び座標情報等からなる物体位置情報とに基づいて、非可視化情報生成手段18にて生成された非可視化情報を所定の位置に埋め込んで画像を合成する。
【0051】
なお、画像合成手段19は、合成対象の画像が映像の場合、再生中の映像における物体の移動に対して追随して移動し、その物体上に非可視化情報が埋め込まれるようにすることができる。つまり、画像合成手段19は、合成対象画像が入力される毎に撮影画像に対して合成処理を行い、その合成画像を順次表示させることができる。
【0052】
送受信手段20は、通信ネットワーク等を用いて接続可能な外部装置から所望する外部画像(撮影画像や合成画像等)や、本発明における非可視化情報埋込処理を実現するための実行プログラム等を取得するためのインタフェースである。また、送受信手段20は、非可視化情報埋込装置10内で生成された各種情報を外部装置に送信することができる。
【0053】
制御手段21は、非可視化情報埋込装置10の各構成部全体の制御を行う。具体的には、制御手段21は、例えばユーザ等による入力手段11からの指示等に基づいて、画像の取得や画像解析、埋込対象画像であるか否かの判断、非可視化情報の設定並びに設定、画像合成等の各処理の各制御等を行う。なお、非可視化情報設定手段17における非可視化情報や非可視化情報生成手段18における非可視化情報は、予め設定や生成をしておき蓄積手段13に蓄積させていてもよい。
【0054】
<非可視化情報認識装置:機能構成例>
ここで、本実施形態における非可視化情報認識装置の機能構成例について図を用いて説明する。図2は、本実施形態における非可視化情報認識装置の機能構成の一例を示す図である。
【0055】
図2に示す非可視化情報認識装置30は、入力手段31と、出力手段32と、蓄積手段33と、埋込画像取得手段34と、非可視化情報抽出手段35と、非可視化情報解析手段36と、表示情報生成手段37と、送受信手段38と、制御手段39とを有するよう構成されている。
【0056】
入力手段31は、ユーザ等からの埋込画像取得指示や、非可視化情報抽出指示、非可視化情報解析指示、表示情報生成指示、送受信指示等の各種指示の開始/終了等の入力を受け付ける。なお、入力手段31は、例えばパソコン等の汎用コンピュータであればキーボードやマウス等のポインティングデバイスからなり、携帯端末等であれば各操作ボタン群等からなる。また、入力手段31は、例えばデジタルカメラ等の撮像手段等により撮影された画像や映像を入力する機能も有する。なお、上述の撮像手段は、非可視化情報認識装置30内に設けられていてもよく、外部の機能構成であってもよい。
【0057】
また、入力手段31は、紙やハガキ、ポスター、写真、カード等の印刷媒体から埋込画像を取得することができる。この場合、カメラ等の撮像手段や、スキャナ機能等を用いてデータを読み取る機能を備える。
【0058】
また、出力手段32は、入力手段31により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容等の出力を行う。具体的には、出力手段32は、表示情報生成手段37により得られる画像や映像に表示される物体に対する付加情報等を出力する。なお、出力手段32は、ディスプレイやスピーカ等からなる。
【0059】
更に、出力手段32は、プリンタ等の印刷機能を有していてもよく、上述の物体に対する付加情報等の各出力内容を、例えば紙等の各種印刷媒体に印刷してユーザ等に提供することもできる。
【0060】
蓄積手段33は、本実施形態において必要となる各種情報や非可視化情報認識処理の実行時、又は実行後の各種データを蓄積する。具体的には、蓄積手段33は、埋込画像取得手段34で取得した埋込画像や、非可視化情報抽出手段35で取得した非可視化情報(マーカー)、非可視化情報解析手段36により解析した非可視化情報、表示情報生成手段37で生成された表示内容等を蓄積する。
【0061】
更に、蓄積手段33は、非可視化情報解析手段36によって解析されたデータに対する関連情報を蓄積することができる。例えば、非可視化情報があるコード情報(文字コード、2次元コード等も含む)等であった場合には、そのコード情報に対応する各種データ(例えば、コード情報に対応する物体に対する詳細情報(文字、映像、画像、音声等)、データを画面に表示するときのサイズ、色、時間、位置、動作内容等)を蓄積手段33に蓄積しておく。また、蓄積手段33は、コード等を取得したときや、その他の必要に応じて蓄積されている各種データを読み出すことができる。
【0062】
埋込画像取得手段34は、蓄積手段33や送受信手段38を介して通信ネットワークに接続される外部装置から埋込画像を取得する。なお、埋込画像には、映像も含まれる。
【0063】
非可視化情報抽出手段35は、抽出された埋込画像に含まれる非可視化情報を抽出する。具体的には、非可視化情報抽出手段35は、入力される埋込画像に対して、ある所定の周波数によるフィルタリングを行い、画像中に埋め込まれていた非可視化情報を取得する。なお、画像中に複数の非可視化情報がある場合には、全ての非可視化情報を抽出する。
【0064】
また、非可視化情報抽出手段35は、どの位置から非可視化情報を抽出したかの非可視化情報抽出位置情報も取得する。なお、非可視化情報抽出手段35は、取得した各種情報を蓄積手段33に蓄積させる。
【0065】
非可視化情報解析手段36は、非可視化情報抽出手段35により得られた非可視化情報が実際には、どのような付加価値データが含まれているのかを解析する。なお、本実施形態における非可視化情報解析手段36は、バーコードを読み取るバーコードリーダ等の読み取り機能を有しており、例えば、非可視化情報が2次元バーコードである場合には、その2次元バーコードから読み取り機能等を用いて情報を取得し、その取得した内容(例えば、コードID等)をキーにして、蓄積手段33や送受信手段38を介して通信ネットワークに接続される予め設定されたサーバやデータベース等の外部装置等を検索し、検索した結果、キーに対応する付加情報があれば、その情報を取得する。
【0066】
表示情報生成手段37は、非可視化情報解析手段36により得られた結果を画面に表示する表示情報を生成する。なお、表示方法としては、画面上に別枠(別ウィンドウ)を設けて説明してもよく、対応する物体が表示されている位置上に表示してもよく、音声により出力してもよい。
【0067】
また、表示情報生成手段37は、取得した非可視化情報をそのまま可視化して表示してもよく、非可視化情報に対応する付加情報を蓄積手段33や外部装置等から取得して、その取得した付加情報を表示してもよい。
【0068】
更に、表示情報生成手段37は、非可視化情報解析手段36により得られた結果を表示する場合、上述したコードID等に基づいて蓄積手段33等から取得した付加情報毎に設定されている画面に表示するときのサイズ、色、時間、位置、動作内容等に基づいて表示させるための表示情報を生成する。なお、映像として対象物体が移動している場合には、その物体の位置に追随して表示させてもよく、また、最初に画面に表示した位置に固定して表示させてもよい。
【0069】
送受信手段38は、通信ネットワーク等を用いて接続可能な外部装置から所望する外部画像(撮影画像等)や、本発明における非可視化情報認識処理を実現するための実行プログラム等を取得するためのインタフェースである。また、送受信手段38は、非可視化情報認識装置30内で生成された各種情報を外部装置に送信することができる。
【0070】
制御手段39は、非可視化情報認識装置30の各構成部全体の制御を行う。具体的には、制御手段39は、例えばユーザ等による入力手段31からの指示等に基づいて、埋込画像の取得や非可視化情報の抽出、非可視化情報の解析、表示情報の生成等の各処理の各制御等を行う。
【0071】
上述した装置構成により、効率的な情報の取得により付加価値性に優れた高精度な画像を提供することができる。
【0072】
<非可視化情報解析手段36における付加情報の取得例>
ここで、上述した非可視化情報解析手段36における付加情報の取得例について説明する。上述したように、非可視化情報解析手段36は、非可視化情報から得られる情報がコードID等であった場合には、そのコードID等をキーにして蓄積手段33や送受信手段38を介して通信ネットワークに接続される予め設定されたサーバやデータベース等の外部装置を検索し、対応する付加情報を取得する。
【0073】
具体的に説明すると、例えば非可視化情報認識装置30が「スタンドアロン型」である場合には、非可視化情報から取得したコードIDをキーにして蓄積手段33を検索し、検索で得られた結果を取得する。また、非可視化情報認識装置30が通信ネットワークにより外部装置と接続された「ネットワーク型」である場合には、非可視化情報から取得したコードIDをキーにして外部装置にアクセスし、外部装置内にあるデータ群からコードIDに対応する情報を検索し、対応する付加情報を外部装置から取得する。
【0074】
<非可視化情報埋込装置10、非可視化情報認識装置30:ハードウェア構成>
ここで、上述した非可視化情報埋込装置10及び非可視化情報認識装置30においては、各機能をコンピュータに実行させることができる実行プログラム(非可視化情報埋込プログラム、非可視化情報認識プログラム)を生成し、例えば汎用のパーソナルコンピュータ、サーバ等にその実行プログラムをインストールすることにより、本発明における非可視化情報埋込処理及び非可視化情報認識処理等を実現することができる。
【0075】
ここで、本実施形態における非可視化情報埋込処理及び非可視化情報認識処理が実現可能なコンピュータのハードウェア構成例について図を用いて説明する。図3は、本実施形態における非可視化情報埋込処理及び非可視化情報認識処理が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。
【0076】
図3におけるコンピュータ本体には、入力装置41と、出力装置42と、ドライブ装置43と、補助記憶装置44と、メモリ装置45と、各種制御を行うCPU(Central Processing Unit)46と、ネットワーク接続装置47とを有するよう構成されており、これらはシステムバスBで相互に接続されている。
【0077】
入力装置41は、ユーザ等が操作するキーボード及びマウス等のポインティングデバイスを有しており、ユーザ等からのプログラムの実行等、各種操作信号を入力する。また、入力装置41は、カメラ等の撮像手段から撮影された画像を入力する画像入力ユニットを有している。
【0078】
出力装置42は、本発明における処理を行うためのコンピュータ本体を操作するのに必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するディスプレイを有し、CPU46が有する制御プログラムによりプログラムの実行経過や結果等を表示することができる。
【0079】
ここで、本発明においてコンピュータ本体にインストールされる実行プログラムは、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリやCD−ROM等の可搬型の記録媒体68等により提供される。プログラムを記録した記録媒体48は、ドライブ装置43にセット可能であり、記録媒体48に含まれる実行プログラムが、記録媒体48からドライブ装置43を介して補助記憶装置44にインストールされる。
【0080】
補助記憶装置44は、ハードディスク等のストレージ手段であり、本発明における実行プログラムやコンピュータに設けられた制御プログラム等を蓄積し、必要に応じて入出力を行うことができる。
【0081】
メモリ装置45は、CPU46により補助記憶装置44から読み出された実行プログラム等を格納する。なお、メモリ装置45は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなる。
【0082】
CPU46は、OS(Operating System)等の制御プログラム、及びメモリ装置45に格納されている実行プログラムに基づいて、各種演算や各ハードウェア構成部とのデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御して、合成画像表示における各処理を実現することができる。なお、プログラムの実行中に必要な各種情報等は、補助記憶装置44から取得することができ、また実行結果等を格納することもできる。
【0083】
ネットワーク接続装置47は、通信ネットワーク等と接続することにより、実行プログラムを通信ネットワークに接続されている他の端末等から取得したり、プログラムを実行することで得られた実行結果又は本発明における実行プログラム自体を他の端末等に提供することができる。
【0084】
上述したようなハードウェア構成により、本発明における非可視化情報埋込処理及び非可視化情報認識処理を実行することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における非可視化情報埋込処理及び非可視化情報認識処理を容易に実現することができる。
【0085】
次に、非可視化情報埋込処理及び非可視化情報認識処理について具体的に説明する。
【0086】
<非可視化情報埋込処理手順>
まず、本実施形態における非可視化情報埋込処理手順について説明する。図4は、本実施形態における非可視化情報埋込処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0087】
図4に示す非可視化情報埋込処理は、まずカメラ等の撮像手段により撮影された画像を取得し(S01)、画像の解析を行い(S02)、画像中に含まれる物体情報、物体位置情報等を取得する。
【0088】
次に、S02の処理にて得られた情報に基づいて埋込対象画像の判定を行い(S03)、その物体に対して非可視化情報(マーカー)を埋め込むか否かを判断する(S04)。ここで、非可視化情報を埋め込む場合(S04において、YES)、非可視化情報を設定し(S05)、S05の処理により設定された非可視化情報に基づいて、画像に合成する非可視化情報を生成する(S06)。
【0089】
また、S06の処理にて生成された非可視化情報を画像の所定位置に合成して(S07)、合成画像をディスプレイ等の出力手段により表示又はデータとして出力する(S08)。
【0090】
S08の処理終了後又はS04の処理において、非可視化情報を埋め込まない場合(S04において、NO)、他の画像に非可視化情報を埋め込むか否かを判断する(S09)。他の画像に非可視化情報を埋め込む場合(S09において、YES)、S01に戻り以降の処理を繰り返し実行する。また、S09の処理において、他の画像に非可視化情報を埋め込まない場合(S09において、NO)、非可視化情報埋込処理を終了する。
【0091】
<非可視化情報認識処理手順>
次に、本実施形態における非可視化情報認識処理手順について説明する。図5は、本実施形態における非可視化情報認識処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0092】
図5に示す非可視化情報認識処理は、埋込画像を取得し(S11)、取得した画像から非可視化情報を抽出する(S12)。
【0093】
次に、S12の処理において、画像から非可視化情報が抽出されたか否かを判断し(S13)、非可視化情報が抽出された場合(S13において、YES)、非可視化情報の解析を行う(S14)。また、非可視化情報の解析結果により得られた情報から画面等に表示する表示情報を生成し(S15)、生成した内容を表示する(S16)。
【0094】
ここで、他の画像から非可視化情報を認識するか否かを判断し(S17)、他の画像から非可視化情報を認識する場合(S17において、YES)、S11に戻り以降の処理を繰り返し実行する。また、S17の処理において、他の画像から非可視化情報を認識しない場合(S17において、NO)、非可視化情報認識処理を終了する。
【0095】
上述した処理により、効率的な情報の取得により付加価値性に優れた高精度な画像を提供することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における非可視化情報埋込処理を容易に実現することができる。
【0096】
<非可視化情報について>
ここで、本実施形態における非可視化情報について具体的に説明する。なお、非可視化情報としては、文字や数字、記号、マーク、模様、色彩、1次元コード、2次元コード等を用いることができる。ここでは、一例として2次元コードを用いて説明する。
【0097】
図6は、画像の一例を示す図である。図6に示す画像50では、机51の上に、本52、財布53、ノート型パソコン54、腕時計55が置かれている。本実施形態では、画像解析手段15にて画像に含まれるこれらの物体情報とそれらの位置情報を取得する。ここで、埋込対象画像判定手段16において、財布53、ノート型パソコン54、及び腕時計55に関連情報があり、非可視化情報を生成するとする。なお、非可視化情報を生成するか否かの判断やどんな物体情報を生成するかは、ユーザ等が任意に行ってもよい。
【0098】
したがって、図6の例では、財布53、ノート型パソコン54、及び腕時計55がそれぞれ表示されている位置上又はその周辺の所定の領域に2次元コードからなる非可視化情報56−1〜56−3が重畳により合成され合成画像が生成される。
【0099】
ここで、図7は、非可視化情報の一例を示す図である。なお、図7には、2次元コードを用いた2種類の非可視化情報60−1,60−2が示されている。図7に示す非可視化情報60−1は、最外枠には低周波層61−1を有し、その内側には高周波層62−1を有し、更にその内側にコード部63−1が構成されている。
【0100】
通常、画像の一部に情報を埋め込むと、画像中のどの部分にコード部が埋め込まれているのかが判別できないため画像全体にコードを埋め込んでいたが、本実施形態では、コード部63−1を、低周波層61−1と高周波層62−1とで囲むため、周波数をある所定の周波数(例えば、HPF(High Pass Filter)やLPF(Low Pass Filter)等)でフィルタリングして、何れかを黒色等の単色又は画像の色とは異なる複数色で表記することにより2次元コードが浮かびあがることになる。したがって、フィルタリングを行うことで、コード領域を抽出することができ、画像の一部にコードが埋め込まれていても効率的に2次元コードを読み取ることができる。
【0101】
また、本実施形態では、図7の非可視化情報60−2に示すように、最外枠には高周波層62−2を有し、その内側には低周波層61−2を有し、更にその内側にコード部63−2が構成されていても、上述した非可視化情報60−1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0102】
なお、コードが埋め込まれる領域は、正方形が好ましいが、本発明においてはこれに限定される、長方形、菱形、円形等の予め設定された領域であれば、どの領域にも適用することができる。
【0103】
なお、2次元コードには、向き情報が必要であるが、本実施形態では、コードの向きを画像の上下左右に合わせて合成する。したがって、例えばテレビ画面上の映像を携帯端末が具備するカメラで撮影する場合、通常、携帯端末の向きはテレビ画面に正対させるため、方向情報は、ある特定の向きに限られる。そのため、方向を示す情報を2次元コードに付する必要がなくなる。このように、2次元コードの認識の際には、向き情報を取得せずに入力された画像が固定した向きを示しているため、コード自体に向き情報を入れる必要がない。そのため、他の多くの情報を入れることができ、更に、コード認識時にも向き情報を解析する必要がないため効率的にコードの認識を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、非可視化情報を高精度に取得することができる。
【0104】
<付加情報の具体的な埋め込み例>
次に、本実施形態の画像合成手段19における付加情報の具体的な埋め込み例について図を用いて説明する。図8は、付加情報の具体的な埋め込み例について説明するための図である。なお、以下の説明では、付加情報として2次元コードの埋め込み例について説明する。図8に示す原画像は、上述の図6に示す画像50と同様であるため、画像50に対するここでの詳細な説明は省略する。図8に示す画像50において、上述したノード型パソコン用の非可視化領域56−2では、拡大すると低周波部64と高周波部65とが所定の領域(例えば正方形)内で所定の条件に基づいて配列されている。ここで、低周波部64を「0」とし、高周波部65を「1」としてコードを埋め込む。また、高周波部65は、濃色と淡色を所定ピクセル単位で交互に並べ、更に遠くから見た時には平均すると元の画像そのものの色になるよう調整する。
【0105】
<低周波及び高周波について>
ここで、本実施形態における低周波及び高周波について説明する。通常、周波数には時間についての周波数(時間周波数)と空間の位置についての周波数(空間周波数)があるが、本実施形態においては、特に断らない限りは空間周波数を指す。空間周波数とは、「単位長さに対する画素値の周期の逆数」と定義される。
【0106】
本実施形態における周波数は、特に限定されるものではないが、例えば高周波部では0.2〜2[cycle/画素]、低周波部では0〜1[cycle/画素]の範囲で設定すればよく、具体的には低周波部より高周波部の方が、周波数が高くなっていればよい。
【0107】
また、高周波部にて形成される所定の画素領域(例えば、4×4px(ピクセル)等)からなるグリッドは、明部と暗部が周期的に繰り返していればよく、例えば、縦縞、横縞、格子状等があげられる。
例えば、
明明明明
暗暗暗暗
明明明明
暗暗暗暗
又は、
明暗明暗
暗明暗明
明暗明暗
暗明暗明
等である。
【0108】
また、そのときの明部と暗部の明度差は10以上であればよく、好適なのは50以上であり、更に好適なのは100以上である。なお、本実施形態における明度差は、上述したように、まず通常表示される画像の明度を基準として明部と暗部とを生成し、生成された明部と暗部とにおける明度差を用いていたが、本発明においてはこれに限定されるものではない。例えば、通常の画像の明度と、その明度に対して低周波部又は高周波部における明度とにおける明度差を用いていてもよい。
【0109】
この場合、例えば、高周波部と見なされる明暗差は、グレースケールで隣り合うエレメントを基準として約15以上であれば高周波部とみなすことができる。具体的には、約15〜35程度の明度差が高周波部として主に使うことができる領域である。なお、エレメントとは、縦横1px以上のピクセルで構成されたものであり、本実施形態では、例えば1エレメントを2×2pxとすることができる。
【0110】
ここで、例えばカメラ等の撮像装置で読み取れる明度差の最小値が15である場合、明度差が35を超えると人間の目にも容易に認識できてしまう。また逆に、埋め込む画像の部分が極端に暗い場合や明るい場合には、カメラ等による読み取り精度を上げるために例えば35以上の明度差を付けることも必要となる。したがって、本実施形態では、埋め込む位置の画像(背景)の明度や輝度等や撮影されるカメラの性能等に応じて任意に明度差に変化を付けて非可視化情報のコードを生成する。
【0111】
また、上述した付加情報における使用可能なピクセルサイズは、例えばその画像と、画像を見る人との距離により変化するため、特に限定されるものではないが、例えば約1mの距離であれば、約0.05〜2mm程度が好ましく、約10mの距離であれば、約0.5mm〜20mm程度が好ましい。更に離れた距離から使用する場合でも、同様のピクセルサイズと距離の比率を保っていることが好ましい。
【0112】
<低周波部又は高周波部の模様について>
上述した本実施形態においては、低周波部又は高周波部の何れかを画像に付与する場合、所定の画像の所定の埋め込み場所に対して特定の模様を有しているのが好ましい。ここで、上述の内容について、図を用いて説明する。図9は、低周波部又は高周波部の模様を説明するための図である。なお、図9(a)〜(e)の1マスは、エレメントを示している。
【0113】
本実施形態において、低周波部又は高周波部により埋め込み情報を生成する場合には、例えば図9に示すように、市松模様(図9(a))や横縞模様(図9(b))、縦縞模様(図9(c))、右斜め線(図9(d))、左斜め線(図9(e))等の予め設定された模様を生成する。なお、本実施形態においては、上記模様に限定されるものではなく、例えば図9(a)〜(e)のうち複数の模様を部分的に組み合わせてもよい。
【0114】
なお、上述した図9(a)〜(e)に示す模様において、例えば紙に埋め込む場合には、図9(a)に示すような市松模様が一番見えにくく、また目立ちにくさでも、背景によらず市松模様が一番目立ちにくい。また逆に、図9(d),図9(e)に示す斜め線は一番目立つ。
【0115】
しかしながら、モニタ上で見る画像や動画に模様を埋め込む場合には、図9(a)に示すような市松模様だとパターンが細かすぎてカメラが高周波部と認識できない。そのため、横線か斜め線で高周波部を構成する必要がある。また、モニタ上でも紙と同じく斜め線で構成した高周波部が一番目立つ。
【0116】
これにより、低周波部又は高周波部をカメラ等で撮影して埋め込み情報を取得する際、上述した図9(a)〜(e)に示す得られた情報を基準として原画像(背景画像)に対して適切な非可視化情報を埋め込むことで、容易且つ確実に埋め込み情報を読み取ることができる。なお、上述した模様は、低周波のみや高周波のみを使用した場合や、低周波と高周波を両方用いた場合にも適用できる。
【0117】
<コードの埋め込み実施例>
ここで、本実施形態の画像合成手段19におけるコードの埋め込み実施例について具体的に説明する。図10は、コードの埋め込みの実施例を示す図である。図10に示す画像50は、上述した図6及び図8と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0118】
図10に示す例では腕時計55に対する非可視化情報56−3に対しての埋め込み手法を説明するものである。まず、画像50からコードを埋め込む部分を抽出する。抽出する部分は、1つのグリッドの大きさに基づいて設定され、例えば一辺が所定ピクセル(図10では、一例として8px)の正方形とすることができる。また、図10における1エレメントは2×2pxとしている。
【0119】
なお、この範囲は一例であり、グリッドの大きさはこの他でもよいが、あまりにも小さすぎたり、大きすぎる場合には、「0」と「1」のコードが読み取りづらくなるため、例えば一辺が3〜9pxの正方形が好ましい。また、形状は、正方形に限定されずに上記範囲内における長方形であってもよい。更に、コード部63におけるグリッドの数も特に制限はないが、正方形であるのが好ましい。図10の例では、グリッドサイズは10×10となっている。
【0120】
ここで、図11は、グリッドに対するコードの埋め込み例を示す図である。非可視化情報生成手段18は、図11に示すように、非可視化情報56−3であるコード部63内のグリッド71に含まれるピクセルを明度の値で数値化する。ここで、各ピクセルは、赤緑青の各素子から構成されており、各色の輝度(0〜255)を平均したものをピクセルの明度とする。
【0121】
なお、明度の定義は「明度=(R+G+B)/3」の関係が成り立つ状態をいい、例えば、図11に示すように、R:200、G:100、B:0のとき、このピクセルの明度は「(200+100+0)/3=100」となる。
【0122】
<低周波部のコードの埋め込み>
次に、上述した低周波部のコードの埋め込み例について図を用いて説明する。図12は、低周波部のコードの埋め込みの一例を示す図である。図12に示すようなグリッドが形成されている場合、例えば図12に示すようにガウシアンフィルター(Gaussian Filter)によるフィルタリング処理により、グリッド全体に所謂ぼかしフィルタをかけ、グリッド内の明度値を平滑化する。つまり、図12の例では、グリッド71の明度が130前後で平滑化される。
【0123】
<高周波部のコードの埋め込み>
次に、上述した高周波部のコードの埋め込み例について図を用いて説明する。図13は、高周波部のコードの埋め込みの一例を示す図である。図13(a)に示すようなグリッドでは、高周波部を埋め込むために縞模様を生成する。そのため、グリッド71の偶数行は明度を上げ、奇数行は明度を落とす処理を行う。なお、明度の増減値は、図13(b)に示すように背景の明度から判断して決定される。このように、明度の値に対応して増減値を設定することで、埋め込み情報を効率的に生成することができ、また埋め込み情報をより目立たなくさせることができる。なお、図13(b)のような値は、例えば上述した蓄積手段13等に蓄積されている。
【0124】
ここで、図13(b)を参照すると図13(a)において、奇数行の場合には、明度減となる処理を行い増減値は図13(b)により「−35」を用いて「152」から「127」となる。また、偶数行の場合には、明度増となる処理を行い増減値は図13(b)により「+30」を用いて「120」から「150」となる。上述した図12、図13に示すような低周波部、高周波部のコードの埋め込み処理を非可視化領域に対して行うことで、2次元コードを生成することができる。
【0125】
<非可視化情報抽出手段35における非可視化情報の抽出例>
次に、上述した非可視化情報抽出手段35における非可視化情報の抽出例について、フローチャートを用いて説明する。図14は、非可視化情報を抽出するための一例を示す図である。なお、以下の処理では、高周波部のみを用いて生成された非可視化情報を撮影画像から抽出する例について説明するが、本発明における抽出手法についてはこれに限定されるものではない。
【0126】
図14に示す非可視化情報の抽出例としては、まず、非可視化情報が埋め込まれている映像や画像を撮影した撮影画像を取得する(S21)。次に、取得した画像に対してSobelラプラシアンフィルタを行い、画像中からエッジ(明度変化の激しい部分)を抽出し、エッジ部分は白色に、それ以外は黒色に変換する(S22)。つまり、撮影画像にSobelラプラシアンフィルタをかけることで、コード部分(高周波画像の場合はエッジの集まり)と背景のエッジの両方(Image edges)を抽出することができる。
【0127】
なお、上述した「高周波画像の場合はエッジの集まり」というのは、基本的に明暗が急激に変化する部分をエッジとしているが、高周波画像の場合、横方向又は縦方向に明度をみていくとエレメント毎に明暗が反転する。そのため、高周波画像の場合は、エレメント境界が全てエッジになる。
【0128】
また、S21の処理にて取得した撮影画像に対して、DCT(Discrete Cosine Transform;離散コサイン変換)を行い(S23)、撮影画像を空間領域から周波数領域に変換する。次に、S23の処理により得られた周波数画像に対して高周波領域に存在する値を0にすることで画像中から高周波成分を取り除くための周波数フィルタリングを行う(S24)。
【0129】
次に、S24の処理によりフィルタをかけた画像を周波数領域から空間領域に戻すIDCT(逆離散コサイン変換)を行う(S25)。なお、上述したS23〜S25の処理は、LPF(Low Pass Filter)処理を行うことを意味している。
【0130】
また、S25の処理により得られた画像に対して、Sobelラプラシアンフィルタを行い、画像中からエッジ(明度変化の激しい部分)を抽出し、エッジ部分は白色に、それ以外は黒色に変換する(S26)。
【0131】
次に、Sobelラプラシアンフィルタで得られたエッジを一回り太いものに膨張させる膨張処理を行う(S27)。具体的には、例えば、得られたエッジを上下左右に3ピクセル(px)ずつ外側に向けて広げる。
【0132】
その後、S22の処理にて得られた画像(エッジ+コード画像)から、S27の処理にて得られた背景画像(背景画像のエッジ)を引く差分処理を行う(S28)。これにより、非可視化情報の画像のみを抽出することができる。
【0133】
次に、S28の処理にて得られた画像から画像に含まれるノイズ成分を取り除くメディアンフィルタ処理を行う(S29)。具体的には、例えば注目画素の周りの3×3=9画素の中の中央値を注目画素の値と置き換える。
【0134】
そして、S29のメディアンフィルタ処理が終わった時点で画像から非可視化情報を抽出する(S30)。具体的には、S29のメディアンフィルタ処理が終わった時点では、非可視化情報のみが含まれているため、非可視化情報を抽出し、(1)形状(四角形)抽出、(2)射影変換、(3)コードの「1」、「0」判定の3つを行う。
【0135】
ここで、上記(1)形状抽出では、例えば画像中から四角形(コード)の四隅の座標を算出する処理を行う。なお、算出する座標の位置については四角形に限定されるものではなく、予め設定される形状に応じて適宜設定することができ、例えば三角形や星型等であれば各頂点の座標を算出するようにする。
【0136】
また、上記(2)射影変換では、得られた四点の座標を用いて、歪んだコードを正方形に戻す処理を行う。更に、上記(3)コードの「1」、「0」判定では、コードに含まれるデータビットが「1」であるか「0」であるかを判定する処理を行う。具体的には、1bitを構成するブロックに含まれるピクセルのうち、黒ピクセルの方が多ければ「0」と判定し、白ピクセルの方が多ければ「1」と判定する。上述したような処理を行うことにより、撮影画像に含まれる1又は複数の非可視化情報を高精度に取得することができる。
【0137】
ここで、図15は、実際の非可視化情報を抽出する例を示す図である。図15に示す例では、「R」の文字画像(Image)に対して非可視化情報(Code)が埋め込まれている撮影画像から非可視化情報を抽出する例を示している。
【0138】
図15(a)に示す撮影画像からエッジ検出を行い、図15(b)に示すコード(Code)+イメージエッジ(Image edges)の画像を取得する。また、図15(a)に示す撮影画像からコード除去(Code removal)を行い、図15(c)に示すように、イメージからコード部分を取り除いた画像(Image−Code)を取得する。
【0139】
また、図15(c)に示す画像(Image−Code)に対して、エッジ検出を行い、図15(d)に示すように、イメージエッジからコードを取り除いた画像(Image edges−Code)を取得する。
【0140】
次に、図15(b)に示す画像と図15(d)に示す画像との差分を取ることにより、図15(e)に示すようなコード(Code)を取得することができる。なお、上述した図14におけるS23〜S25の処理で得られた結果が図15(c)に対応し、S27の処理で得られた結果が図15(d)に対応し、図29の処理で得られた結果が図15(e)に対応している。
【0141】
上述した手法により本実施形態において撮影画像から非可視化情報を高精度に抽出することができる。なお、上述した非可視化情報の抽出処理は、撮影された画像全体に対して行ってもよく、予め非可視化情報が埋め込まれている画像の位置が特定されているのであれば、その特定領域のみに対して上述した抽出処理を行ってもよい。
【0142】
<非可視化情報認識結果>
ここで、図16は、非可視化情報の認識結果の一例を示す図である。図16に示すように、本実施形態では、例えば非可視化情報が合成された合成画像81にHPFによるフィルタリング処理を行うことにより、非可視化情報認識装置30における表示情報生成手段により、図16に示すように2次元コードを原画像に表示させることもでき、この情報を読み取って2次元コードの中身の情報を表示させることもできる。
【0143】
<非可視化情報の付加画像例>
ここで、図17A〜図17Hは、それぞれ非可視化情報が付加された画像例を示す図(その1〜その8)である。図17A〜図17Hに示される各領域91内には、非可視化情報が埋め込まれている。このように、本実施形態を適用することで、非可視化情報を画像中の適切な場所にのみ付加して、画像中の一部に映し出されている物体等に関する詳細情報等を的確に提供することができる。
【0144】
なお、図17A〜図17Cに示す画像に付加された領域91内に示される非可視化情報のコードには、例えば、その商品の名称、材料、味の評価、価格、販売しているお店に関する情報、又はその情報が蓄積されたサーバ等へのアドレス情報(例えば、URL等)を蓄積することができる。また、図17Dに示す画像に付加された領域91内に示される非可視化情報のコードには、例えば、その花の名称、撮影場所、咲く時期等の情報を蓄積することができる。また、図17Eに示す画像に付加された領域91内に示される非可視化情報のコードには、例えば、その彫刻の名前、撮影場所、設置した由来等の情報を蓄積することができる。更に、図17Fに示す画像に付加された領域91内に示される非可視化情報のコードには、例えば、その飛行機の名称や飛行速度、撮影場所等の情報を蓄積することができる。
【0145】
また、図17Gと図17Hは、それぞれ同一の画像を示しているが、それぞれの領域91内には、異なる手法で生成された非可視化情報のコードが埋め込まれている。具体的には、図17Gの領域91内には、上述した高周波部と低周波部とを用いて生成された非可視化情報のコードが埋め込まれており、図17Hの領域91内には、高周波部のみを用いて生成された非可視化情報が埋め込まれている。つまり、図17Gに示す低周波部と高周波部とを含む非可視化情報のコードの場合、原画像によっては低周波部に画像のボケが発生する場合がある。そのため、図17Hに示すように高周波部のみを用いた非可視化情報のコードを用いることで、より見え難い非可視化情報を原画像に埋め込むことができる。
【0146】
なお、本実施形態においては、1つの画像中に複数の非可視化情報を部分的に付加させることができる。また、本実施形態における非可視化情報が付加可能な対象は、テレビ画面やパソコン画面等に映し出される画像だけでなく、例えば画面に表示される映像や、紙、カード、ハガキ、ポスター等の各種印刷媒体等に対しても適用することができる。
【0147】
更に、コードの面積が大きい方が、埋め込めるデータ量も大きくなるため、本実施形態では、埋め込むデータ量に応じて、原画像に埋め込むコードのサイズや数を適宜調整することができる。
【0148】
<非可視化情報の他の実施例>
図18は、非可視化情報の他の実施例を示す図である。図18の例では、高周波部又は低周波部の何れか一方を黒色等の所定の色でカラー表示する。このように、他の文字情報を直接非可視化情報として埋め込んでおくことで、埋め込まれた文字(図18の例では、「RITS」)をそのまま表示情報として出力することができる。また、図18に示す手法を用いることで、例えば上述したコードID等をキーとして対応する付加情報を検索して取得するといった処理を行う必要がなく、迅速に付加情報を画面に表示することができる。
【0149】
<結果比較>
ここで、本実施形態である周波数法と、従来手法である埋め込み情報が埋め込まれた画像と原画像との差分情報から情報を取得する差分法とを比較した結果について説明する。図19は、比較結果の一例を示す図である。なお、図19の例では、上述した本実施形態における低周波部と高周波部とを用いてコード化された非可視化情報を生成する手法を図19に示す周波数法とした。
【0150】
また、図19において、読取時間とは、コード部を認識してからデコードが完了するまでの時間である。また、実行命令数とは、一例として「Intel core 2 duo」のMIPS(Million Instructions Per Second)を22,058Mとしたときの値である。
【0151】
図19に示すように、本実施形態によれば、読取時間、実行命令数、CPU使用率、メモリ使用量の全てにおいて、差分法よりも良好な結果を得ることができた。
【0152】
また、図19には示していないが、例えば高周波部のみを用いて生成した非可視化情報のオードの場合、その読取時間は、0.272秒(実行時間)であった。なお、そのときの実行環境は、OSがMacOSX10.6、CPUが2GHz Core 2 Duo、メモリが2Gバイトである。これにより、高周波部又は低周波部の一方のみを用いた場合にも効率的且つ適切に撮影画像からコードを読み取ることができる。
【0153】
<非可視化確認試験の結果>
次に、上述した本実施形態を適用した非可視化情報を付加した画像に対する非可視化確認試験の結果について説明する。図20は、試験に用いた画像を示す図である。なお、図20(a)は、まだ非可視化情報が埋め込まれていない画像を示し、図20(b)は、本実施形態における非可視化情報である2次元コードが埋め込まれている画像を示している。なお、図20(b)の画像に付加された2次元コードは、上述した図6に示す画像50の非可視化情報56−1〜56−3と同様の位置に付加されている。
【0154】
なお、この試験では、被験者9名に対して、コードなし画像(図20(a))と、コード(25mm×25mm)入り画像(図20(b))(それぞれのサイズは、180mm×135mm)を並べてモニタ上に表示し、1m離れた所から15秒間見て、2枚の間に差を申告させた。
【0155】
その結果、9人中1人が「キーボードの上に横線が入っている」と答えた。また、その他8人は、「違いが分からない」と答えた。なお、同じ画像を上述した本実施形態における非可視化情報認識装置30を通して見た所、非可視化情報(マーカー)が見えることが確認された。
【0156】
上述したように本発明によれば、効率的な情報の取得により付加価値性に優れた高精度な画像を提供することができる。
【0157】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0158】
10 非可視化情報埋込装置
11,31 入力手段
12,32 出力手段
13,33 蓄積手段
14 画像取得手段
15 画像解析手段
16 埋込対象画像判定手段
17 非可視化情報設定手段
18 非可視化情報生成手段
19 画像合成手段
20,38 送受信手段
21,39 制御手段
30 非可視化情報認識装置
34 埋込画像取得手段
35 非可視化情報抽出手段
36 非可視化情報解析手段
37 表示情報生成手段
41 入力装置
42 出力装置
43 ドライブ装置
44 補助記憶装置
45 メモリ装置
46 CPU(Central Processing Unit)
47 ネットワーク接続装置
48 記録媒体
50 画像
51 机
52 本
53 財布
54 ノート型パソコン
55 腕時計
56,60 非可視化情報
61 低周波層
62 高周波層
63 コード部
64 低周波部
65 高周波部
71 グリッド
81 合成画像
91 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得した画像の所定の位置に非可視化情報を埋め込む非可視化情報埋込装置において、
前記画像に含まれる物体情報及び位置情報を取得する画像解析手段と、
前記画像解析手段により得られた物体情報から前記画像が埋め込み対象の画像であるかを判定する埋込対象画像判定手段と、
前記埋込対象画像判定手段により得られる判定結果に基づいて、前記画像に前記非可視化情報を合成する画像合成手段とを有することを特徴とする非可視化情報埋込装置。
【請求項2】
前記画像合成手段により合成される前記非可視化情報の形態を設定する非可視化情報設定手段と、
前記非可視化情報設定手段により設定された非可視化情報から合成用の画像を生成する非可視化情報生成手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の非可視化情報埋込装置。
【請求項3】
前記非可視化情報設定手段は、
前記非可視化情報の形態を2次元コードとし、前記2次元コードのコード部を原画像の明度に対する低周波部及び/又は高周波部で構成することを特徴とする請求項2に記載の非可視化情報埋込装置。
【請求項4】
前記画像合成手段は、
前記画像解析手段により取得される物体の位置情報に基づいて、前記物体に対応する非可視化情報を合成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の非可視化情報埋込装置。
【請求項5】
取得した画像に含まれる非可視化情報を認識する非可視化情報認識装置において、
前記画像から非可視化情報を抽出する非可視化情報抽出手段と、
前記非可視化情報抽出手段により前記非可視化情報が抽出された場合、前記非可視化情報から得られる前記画像に含まれる物体の付加情報を解析する非可視化情報解析手段と、
前記非可視化情報解析手段により得られる付加情報から画面に表示する表示情報を生成する表示情報生成手段とを有することを特徴とする非可視化情報認識装置。
【請求項6】
前記非可視化情報抽出手段は、
前記画像を所定の周波数を用いてフィルタリング処理を行い、取得した周波数に対応する領域から非可視化情報を抽出することを特徴とする請求項5に記載の非可視化情報認識装置。
【請求項7】
取得した画像の所定の位置に非可視化情報を埋め込む非可視化情報埋込方法において、
前記画像に含まれる物体情報及び位置情報を取得する画像解析ステップと、
前記画像解析ステップにより得られた物体情報から前記画像が埋め込み対象の画像であるかを判定する埋込対象画像判定ステップと、
前記埋込対象画像判定ステップにより得られる判定結果に基づいて、前記画像に前記非可視化情報を合成する画像合成ステップとを有することを特徴とする非可視化情報埋込方法。
【請求項8】
前記画像合成ステップにより合成される前記非可視化情報の形態を設定する非可視化情報設定ステップと、
前記非可視化情報設定ステップにより設定された非可視化情報から合成用の画像を生成する非可視化情報生成ステップとを有することを特徴とする請求項7に記載の非可視化情報埋込方法。
【請求項9】
前記非可視化情報設定ステップは、
前記非可視化情報の形態を2次元コードとし、前記2次元コードのコード部を原画像の明度に対する低周波部及び/又は高周波部で構成することを特徴とする請求項8に記載の非可視化情報埋込方法。
【請求項10】
前記画像合成ステップは、
前記画像解析ステップにより取得される物体の位置情報に基づいて、前記物体に対応する非可視化情報を合成することを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項に記載の非可視化情報埋込方法。
【請求項11】
取得した画像に含まれる非可視化情報を認識する非可視化情報認識方法において、
前記画像から非可視化情報を抽出する非可視化情報抽出ステップと、
前記非可視化情報抽出ステップにより前記非可視化情報が抽出された場合、前記非可視化情報から得られる前記画像に含まれる物体の付加情報を解析する非可視化情報解析ステップと、
前記非可視化情報解析ステップにより得られる付加情報から画面に表示する表示情報を生成する表示情報生成ステップとを有することを特徴とする非可視化情報認識方法。
【請求項12】
前記非可視化情報抽出ステップは、
前記画像を所定の周波数を用いてフィルタリング処理を行い、取得した周波数に対応する領域から非可視化情報を抽出し、抽出した領域を所定の画素ですることを特徴とする請求項11に記載の非可視化情報認識装置。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1乃至4の何れか1項に記載の非可視化情報埋込装置として機能させることを特徴とする非可視化情報埋込プログラム。
【請求項14】
コンピュータを、請求項5又は6に記載の非可視化情報認識装置として機能させることを特徴とする非可視化情報認識プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図17E】
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【図17F】
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【図17G】
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【図17H】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−142607(P2011−142607A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191267(P2010−191267)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】