説明

非可逆回路素子及び通信装置

【課題】本発明によれば、電磁波漏洩を極小化するとともに、組み立てを容易化した薄型の非可逆回路素子及びこれを用いた通信装置を提供すること。
【解決手段】第1金属部材1は、連続する金属体でなり、第1導波路11と、第2導波路13と、第3導波路15と、部材挿入孔17とを含んでいる。第1導波路11乃至第3導波路15は、第1金属部材1の内部において、同一平面上に形成され互いに交差し第1金属部材1の異なる3側面101,102,103に開口している。強磁性体3は、第1導波路11乃至第3導波路15の交差領域に配置されている。部材挿入孔17は、側面101,102,103と交差する上面105から交差領域の方向に向かい、強磁性体3の上方で開口している。第2金属部材5は、永久磁石51を内蔵し、部材挿入孔17内に挿入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイソレータやサーキュレータ等の非可逆回路素子及びこれを用いた通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アイソレータやサーキュレータ等の非可逆回路素子は、一般的に、携帯電話等の移動体通信装置や、その基地局等に用いられ、これらの普及とともに、急激に需要が伸びている。この非可逆回路素子には、マイクロ波やミリ波などの電波を伝搬する第1金属部材型のものが存在し、主に携帯電話の中継局内に配設される電波伝送路に用いられている。
【0003】
導波管型の非可逆回路素子は、一般に、特許文献1に記載されているように、内部に3分岐の導波路が形成された導波管と、導波路の交差領域に設けられた強磁性体と、強磁性体に磁界を印加する永久磁石とを備えている。この非可逆回路素子は導波管が一体成形されているため、その成形後に、開口部を介して内側の導波路を加工することが難しく、精度の向上の障害となっていた。また、強磁性体を配置するための台座を導波管と一体成形する場合に型枠の隙間のためにバリが生ずることがあるが、これを除去することも容易ではなかった。ロストワックス法等の高精度鋳造法によれば成形は可能であるが、ロストワックス法では、量産性に欠け、コスト高になる。
【0004】
この問題に対して、発明者は、特許文献1に記載された導波管を上下に分割して成形することとし、導波路等を接合面に形成して露出させることによって、これを加工し易くする方法を考えた。しかし、この導波管は、板状導波管の対向する一組の板面に2つのポート(開口)を設け、側面に残り1つのポートを設けて構成され、上記の2つのポート間を結ぶ方向において薄型化されている。したがって、この導波管は、固定に必要となる十分な肉厚の確保が難しく、分割成形された個々の部分を、位置精度よく接合して、安定に固定し、さらには接合部からの電波の漏洩を低減するのは困難であった。
【0005】
しかも、導波管を上下に分割してあるから、分割線からの電磁波漏洩を皆無にすることはできない。特に、外部導波管の接続される接続面(側面)には、本来、高度の平面度が要求されるのであるが、この接続面に分割線が表れてしまうという問題を抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭51−121138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、電磁波漏洩を極小化するとともに、組み立てを容易化した薄型の非可逆回路素子及びこれを用いた通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明に係る非可逆回路素子は、第1金属部材と、強磁性体と、第2金属部材とを含む。前記第1金属部材は、連続する金属体でなり、第1導波路と、第2導波路と、第3導波路と、部材挿入孔とを含んでいる。前記第1導波路乃至第3導波路は、前記第1金属部材の内部において、同一平面上に形成され互いに交差し、前記第1金属部材の異なる3側面に開口する。前記強磁性体は、前記第1導波路乃至第3導波路の交差領域に配置されている。部材挿入孔は、前記側面と交差する上面から前記交差領域の方向に向かい、前記強磁性体の上方で開口している。前記第2金属部材は、永久磁石を内蔵し、部材挿入孔内に挿入されている。
【0009】
上述したように、本発明に係る非可逆回路素子は、第1金属部材を含み、第1金属部材は連続する金属体でなる。即ち、従来の分割構造ではなく、非分割構造である。このため、分割構造の場合に生じる問題点、例えば、固定に必要となる十分な肉厚の確保の困難性、分割成形された個々の部分を、位置精度よく接合して、安定に固定することの困難性、さらには接合部からの電波の漏洩を低減する困難性等を、基本的に回避することができる。特に、外部第1金属部材の接続される接続面(側面)は、分割の影響を受けずに、本来要求される高度の平面度に設定することができる。
【0010】
第1導波路乃至第3導波路は、第1金属部材の内部において、同一平面上に形成され互いに交差し、第1金属部材の異なる3側面に開口する。第1導波路乃至第3導波路の交差領域には強磁性体が配置されている。即ち、3ポートのサーキュレータ、あるいはアイソレータの基本構成を備える。もっとも、アイソレータとして使用する場合、非可逆回路素子は、第3導波路に電波吸収体をさらに設ける必要がある。
【0011】
更に、特徴的な構成として、第1金属部材は部材挿入孔を有しており、部材挿入孔は、側面と交差する上面から交差領域の方向に向かい、強磁性体の上方で開口している。この構成に適合するため、本発明に係る非可逆回路素子は、更に、第2金属部材を含む。第2金属部材は、永久磁石を内蔵し、部材挿入孔内に挿入されている。したがって、第1乃至第3導波路の交差領域に配置された強磁性体の上方で開口している部材挿入孔が、第2金属部材によって埋められ、それによって、第1乃至第3導波路が完成するとともに、第2金属部材によって保持された永久磁石の磁界が強磁性体に印加されることになる。
【0012】
この構造によれば、第1乃至第3導波路を有する第1金属部材の部材挿入孔内に、永久磁石を有する第2金属部材を嵌めこむだけでよいので、組み立て作業が容易になる。しかも、分割位置が、側面、特に、外部導波管との接続面に現れることがないので、電磁波漏洩が極小化される。また、第1金属部材は、部材挿入孔の側壁が、必要な強度を確保できる程度に薄くし得るから、薄型化に寄与することができる。
【0013】
しかも、第1乃至第3導波路の交差領域には、型抜き困難部分が生じるのが普通であり、一体成形が困難である。本発明に係る非可逆回路素子では、この交差領域に部材挿入孔が開口していて、部材挿入孔に第2金属部材を挿入し、第1乃至第3導波路を完成させる。したがって、第1乃至第3導波路に型抜き困難部分があっても、第1金属部材と第2金属部材との組合せによって、そのような型抜き困難を回避することができる。
【0014】
具体的な形態として、第1導波路及び第2導波路は一直線上にあり、第1金属体の側面に開口し、それぞれの開口部が入出力ポートとなる。第3導波路は、電波吸収体を配置する導波路となる。第3導波路は、第1導波路及び第2導波路との交差部分に、幅拡大方向に傾斜する内壁面を有しており、この内壁面が、型抜き困難部となる。本発明では、部材挿入孔は、その孔内に内壁面を含む。したがって、第3導波路に型抜き困難部分に相当する内壁面があっても、第1金属部材と第2金属部材との組合せによって、型抜き困難性を回避することができる。
【0015】
具体的には、第2金属部材は、下端面が前記第1導波路乃至第3導波路の上面を構成する。これにより、上面を第2金属部材で閉じた導波路が形成される。第2金属部材は、好ましくは、孔を有しており、孔内に永久磁石が挿入されている。
【0016】
本発明に係る非可逆回路素子は、送信部または受信部と組み合わせて、通信装置を構成する。この通信装置は、上述した非可逆回路素子を含むため、これと同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように、本発明によれば、電磁波漏洩を極小化するとともに、組み立てを容易化した薄型の非可逆回路素子及びこれを用いた通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る非可逆回路素子の分解斜視図である。
【図2】本発明に係る非可逆回路素子の外観斜視図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図1〜図3に示した非可逆回路素子を構成する第1金属部材の平面図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図1〜図3に示した非可逆回路素子を構成する第1金属部材の側面図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】図1〜図3に示した非可逆回路素子を構成する第2金属部材の平面図である。
【図9】図8の9−9線断面図である。
【図10】本発明に係る通信装置の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図3に図示された非可逆回路素子は、第1金属部材1と、強磁性体3と、第2金属部材5とを含む。まず、第1金属部材1は、連続する金属体、即ち、分割型ではなく、非分割型でなる。第1金属部材1は、典型的には、アルミニウムで構成され、全体として、六面体状である。もっとも、必ずしも六面体状である必要はなく、他の多面体状、または、部分的に曲面を含むような外観を有していてもよい。
【0020】
図示の第1金属部材1は、第1側面101、第2側面102、第3側面103及び第4側面104の4つの側面と、第1側面101乃至第4側面104と直交する関係にある上面105及び底面106とを有する。第1側面101乃至第4側面104の内、平面積の大きな第1側面101及び第2側面102は、外部導波管の接続される接続面であって、高度の平面度を持つ研磨面となっている。第1側面101及び第2側面102の間には、外部導波管を接続するためのネジなどを通す貫通孔107が形成されている。
【0021】
第1金属部材1は、第1導波路11と、第2導波路13と、第3導波路15と、部材挿入孔17とを含んでいる。第1導波路11乃至第3導波路15は、第1金属部材1の内部において、同一平面上に形成され、互いに交差し、第1金属部材1の異なる3側面101,102及び103に開口する。図示の第1導波路11乃至第3導波路15は、4角形状の口形を持っている。第1導波路11乃至第3導波路15の幅と高さは、伝搬する電波の波長などに従って決定されている。
【0022】
図4〜図7を参照すると、第1導波路11及び第2導波路13は、一直線上にあり、第1金属部材1の第1側面101及び第2側面102にそれぞれ開口し、それぞれの開口部が入出力ポートとなる。第3導波路15は、第1導波路11及び第2導波路13に対して、その路程の中間部で交差している。即ち、第1導波路11乃至第3導波路15は、略T状の導波路を形成している。第3導波路15は、第1導波路11及び第2導波路13との交差部分に、幅拡大方向に傾斜する傾斜内壁面151,152を有している。
【0023】
図4及び図5を参照すると、傾斜内壁面151,152の上方には、傾斜内壁面151,152から若干後退させた第2傾斜内壁面153,154があり、第2傾斜内壁面153,154は、上面105まで伸びている。第3導波路15の一端は、第3側面103に開口している。この第3導波路15は、アイソレータとして用いる場合は、電波吸収体を配置する導波路となる。
【0024】
強磁性体3は、第1導波路11乃至第3導波路15の交差領域に配置されている。強磁性体3は、イットリウム/鉄/ガーネット(YIG)等などの材料からなり、例えば三角柱形状に成形されている。一般には、強磁性体3は台座31の上に取り付けられる。強磁性体3を台座31に固定するにあたって、必要に応じ、接着剤などの接着手段を用いる。
【0025】
部材挿入孔17は、側面101〜104と交差する上面105から交差領域の方向に向かい、強磁性体3の上方で開口している。このような関係を満たし、次に述べる第2金属部材5の外形形状に適合するものであれば、その口形は、図示の形状に限らない。
【0026】
第2金属部材5は、永久磁石51を内蔵し、部材挿入孔17内に挿入されている。第2金属部材5は、第1金属部材1と同様の非磁性金属材料、典型的にはアルミニウムによって構成される。第2金属部材5は、下端面が第1導波路11乃至第3導波路15の上面を構成するようにして、部材挿入孔17の内部に、できるだけ隙間なく嵌めこまれる。第2金属部材5と、部材挿入孔17との間は、導電性接着剤等で接合してもよい。これにより、第1導波路11〜第3導波路13の交差領域を、第2金属部材5で閉じた導波路が形成される。
【0027】
図8及び図9を参照すると明らかなように、第2金属部材5は、孔52を有している。図3に図示されているように、孔52の内部には、永久磁石51が挿入される。孔52は、孔形及び深さが、挿入される永久磁石51の外形に応じて変化するもので、図示に限定されない。孔52は、図示の実施例では、底部53を有する有底孔であり、その底部53の内面で永久磁石51を支持する共に、底部53の外面である下端面で、部材挿入孔17によって開口された第1導波路11乃至第3導波路15の上面を閉じるようになっている。第2金属部材5には、第1金属部材1に取り付けたときの固定用孔54が開けられており、また、永久磁石51には、押え板55が配置されている。
【0028】
第2金属部材5は、第1金属部材1に開けられた部材挿入孔17に挿入されるものであるので、その側面の外形形状が部材挿入孔17の内壁面の形状に一致する。部材挿入孔17は、その内壁面に、第3導波路15の傾斜内壁面151,152から若干後退させて形成した第2傾斜内側面153,154を有するので、第2金属部材5の外側面には、傾斜内壁面153,154によって案内される傾斜側面561,562が設けられている。傾斜内壁面153,154は、第3導波路15の傾斜内壁面151,152から若干後退させて形成してあり、両者間に三角形状の段差部が生じているので、第2金属部材5の下端面が、この三角形状の段差部によって支えられる。
【0029】
また、第2金属部材5を、部材挿入孔17の内部おける所定位置に位置決めするため、第2金属部材5の周辺の適当な位置に、第1金属部材1の部材挿入孔17の周り見設けられた凹部109に嵌めあわされる凸部563が設けられている。
【0030】
更に、実施例では、第1金属部材1の底面106にも、部材取付孔19が設けられ、この部材取付孔19の内部に、もう一つの永久磁石57が配置され、永久磁石57を押え板58によって支持する構造となっている(図3参照)。
【0031】
上述したように、本発明に係る非可逆回路素子は、第1金属部材1を含み、第1金属部材1は連続する金属体でなる。即ち、従来の分割構造ではなく、非分割構造である。このため、分割構造の場合に生じる問題点、例えば、固定に必要となる十分な肉厚の確保の困難性、分割成形された個々の部分を、位置精度よく接合して、安定に固定することの困難性、さらには接合部からの電波の漏洩を低減する困難性等を、基本的に回避することができる。特に、外部導波管の接続される第1側面101,102は、分割の影響を受けずに、本来要求される高度の平面度に設定することができる。
【0032】
第1導波路11乃至第3導波路15は、第1金属部材1の内部において、同一平面上に形成され互いに交差し、第1金属部材1の異なる3側面101,102,103に開口する。第1導波路11乃至第3導波路15の交差領域には強磁性体3が配置されている。即ち、3ポートのサーキュレータ、あるいはアイソレータの基本構成を備える。もっとも、アイソレータとして使用する場合、非可逆回路素子は、第3導波路15に電波吸収体をさらに設ける必要がある。
【0033】
更に、特徴的な構成として、第1金属部材1は部材挿入孔17を有しており、部材挿入孔17は、側面と交差する上面105から交差領域、即ち強磁性体3の配置領域の方向に向かい、強磁性体3の上方で開口している。
【0034】
この構成に適合するため、本発明に係る非可逆回路素子は、更に、第2金属部材5を含む。第2金属部材5は、永久磁石51を内蔵し、部材挿入孔17内に挿入されている。したがって、第1導波路11乃至第3導波路15の交差領域に配置された強磁性体3の上方で開口している部材挿入孔17が、第2金属部材5によって埋められ、それによって、第1導波路11乃至第3導波路15が完成するとともに、第2金属部材5によって保持された永久磁石51及び第1金属部材1に設けられた永久磁石57の磁界が強磁性体3に印加されることになる。
【0035】
この構造によれば、第1導波路11乃至第3導波路15を有する第1金属部材1の部材挿入孔17内に、永久磁石51を有する第2金属部材5を嵌めこむだけでよいので、組み立て作業が容易になる。しかも、分割位置が、側面、特に、外部導波管との接続面に現れることがないので、電磁波漏洩が極小化される。また、第1金属部材1は、部材挿入孔17の側壁が、必要な強度を確保できる程度に薄くし得るから、薄型化に寄与することができる。
【0036】
しかも、第1導波路11乃至第3導波路15の交差領域には、型抜き困難部分が生じるのが普通であり、一体成形が困難である。勿論、ロストワックス法等の高精度鋳造法によれば成形は可能であるが、前にも述べたように、ロストワックス法では、量産性に欠け、コスト高になる。
【0037】
本発明に係る非可逆回路素子では、型抜き困難な領域となる交差領域に部材挿入孔17が開口していて、部材挿入孔17に第2金属部材5を挿入し、第1導波路11乃至第3導波路15を完成させる。したがって、第1導波路11乃至第3導波路15に型抜き困難部分があっても、第1金属部材1と第2金属部材5との組合せによって、そのような型抜き困難性を回避することができる。
【0038】
具体的な形態として、第1導波路11及び第2導波路13は一直線上にあり、第1金属体の側面に開口し、それぞれの開口部が入出力ポートとなる。第3導波路15は、電波吸収体を配置する導波路となる。第3導波路15は、第1導波路11及び第2導波路13との交差部分に、幅拡大方向に傾斜する傾斜内壁面151,152を有しており、この傾斜内壁面151,152が、型抜き困難部となる。本発明では、部材挿入孔17は、その孔内に傾斜内壁面151,152を含む。したがって、第3導波路15に型抜き困難部分に相当する傾斜内壁面151,152があっても、第1金属部材1と第2金属部材5との組合せによって、そのような傾斜する傾斜内壁面151,152による型抜き困難性を回避することができる。
【0039】
例えば、本発明に係る非可逆回路素子を、鋳造法で形成する場合を考えると、第2金属部材5に相当する中央中子に対して、第1導波路11を形成する第1中子、第2導波路13を形成する第2中子及び第3導波路15を形成する第3中子を組み合わせる。第3導波路15に含まれる傾斜内壁面151,152は、中央中子の外面に形成し、第1中子乃至第3中子は、断面4角形状の直線状棒体とする。したがって、中央中子及び第1乃至第3中子の何れも、容易に型抜することができる。
【0040】
次に、本発明に係る通信装置について説明する。図10は本発明に係る非可逆回路素子を用いた通信装置の構成を表すブロック図である。
【0041】
この通信装置は、例えば、移動通信システムにおける中継局に備えられるものであって、送信部6と、上述した非可逆回路素子10と、アンテナ8とを含む。送信部6は、音声信号、映像信号などを生成する送信回路61と、電力増幅回路62とを含んでいる。
【0042】
また、非可逆回路素子10は、第3導波路15に電波吸収体9が設けられ、アイソレータとして機能する。すなわち、アイソレータ1は、送信部6からの電波Wtを、アンテナ8へと伝搬し、一方、アンテナ8からの反射波Wrを電波吸収体9により吸収して、これを電力増幅回路62に伝搬させない。これにより、アイソレータ1は、大きなパワーを有する反射波Wrから電力増幅回路62を保護している。
【0043】
本実施形態の構成には送信部6を例示しているが、これに代えて、あるいはこれに加えて受信部を備えてもよいことは言うまでもない。この場合、本発明に係る非可逆回路素子を、アイソレータとしてだけでなく、サーキュレータとしても機能させて用いる必要がある。
【0044】
本発明に係る通信装置によると、上述した非可逆回路素子を含むので、既に述べた内容と同様の作用効果が得られる。
【0045】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0046】
1 非可逆回路素子
1 第1金属部材
3 強磁性体
5 第2金属部材
11 第1導波路
13 第2導波路
15 第3導波路
51、57 永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属部材と、強磁性体と、第2金属部材とを含む非可逆回路素子であって、
第1金属部材は、連続する金属体でなり、第1導波路と、第2導波路と、第3導波路と、部材挿入孔とを含んでおり、
前記第1導波路乃至第3導波路は、前記第1金属部材の内部において、同一平面上に形成され互いに交差し、前記第1金属部材の異なる3側面に開口しており、
前記強磁性体は、前記第1導波路乃至第3導波路の交差領域に配置されており、
前記部材挿入孔は、前記側面と交差する上面から前記交差領域の方向に向かい、前記強磁性体の上方で開口しており、
前記第2金属部材は、永久磁石を内蔵し、前記部材挿入孔内に挿入されている、
非可逆回路素子。
【請求項2】
請求項1に記載された非可逆回路素子であって、
前記第1導波路及び前記第2導波路は、一直線上にあり、
前記第3導波路は、前記第1導波路及び前記第2導波路との交差部分において幅拡大方向に傾斜する内壁面を有しており、
前記部材挿入孔は、その孔内に前記内壁面を含む、
非可逆回路素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された非可逆回路素子であって、前記第2金属部材は、下端面が前記第1導波路乃至第3導波路の上面を構成する、非可逆回路素子。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載された非可逆回路素子であって、前記第2金属部材は、孔を有しており、前記孔内に永久磁石が挿入されている、非可逆回路素子。
【請求項5】
非可逆回路素子と、送信部または受信部とを含む通信装置であって、
前記非可逆回路素子は、請求項1乃至4の何れかに記載されたものであり、前記送信部または前記受信部と電気的に組み合わされている、
通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−78053(P2013−78053A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217763(P2011−217763)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】