説明

非対称ユニバーサルシリアルバス通信

【解決手段】 一部の実施形態によると、ユニバーサルシリアルバスケーブルは、バス信号を送信する第1の差動対と、第1の差動対が送信するバス信号と同一方向にバス信号を送信する第2の差動対とを備え、ユニバーサルシリアルバスケーブルの帯域幅は、同一方向において倍増する。他の実施形態も記載および請求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、非対称ユニバーサルシリアルバス(USB)通信に関する。
【背景技術】
【0002】
ユニバーサルシリアルバス(USB)は、デバイス間をインターフェース接続する上で広く利用されているシリアルバス規格である。USBは元々、コンピュータとアドオンデバイスとの間で利用されるコンピュータ用のプラグアンドプレイインターフェースとして設計された。アドオンデバイスとしては、例えば、オーディオプレーヤ、ジョイスティック、キーボード、デジタルカメラ、スキャナ、およびプリンタ等が挙げられる。しかし今では、高い人気のために、例えば、ビデオゲームコンソール、携帯情報端末(PDA)、携帯可能なデジタルビデオディスク(DVD)およびメディアプレーヤ、携帯電話、テレビ(TV)、MP3プレーヤおよびiPod等のホームステレオ機器、カーステレオ、ならびに携帯可能なメモリデバイス等の他のデバイスでもUSBが普通に利用されるようになった。USBは、マウス機器、キーボード、ゲームパッド、ジョイスティック、スキャナ、デジタルカメラ、プリンタ、外部ストレージ、ネットワーク接続素子、およびその他の多くのデバイス等の周辺機器を接続する際に利用することができる。
【0003】
上記の通り、USBは、デバイス間をインターフェース接続するためのシリアルバス規格である。USBは、多くの周辺機器を1つの規格化されたインターフェースソケットを用いて接続することを可能とし、デバイスを着脱する際にコンピュータの再起動を不要にすることによってプラグアンドプレイ機能を改善するように設計されている。USBはさらに、低消費電力デバイスに電力を供給するので、外部電源が不要である。オペレーティングシステムに含まれている共通クラスドライバによって通常は、デバイスドライバのインストールが不要となる。
【0004】
USB1.0の仕様は、1995年11月に登場した。1996年以降、コンピュータメーカ数社が、USBをサポートするマシンを新たに製造し始めて、1998年5月に登場した最初のApple社のiMACで主要コネクタとして利用されて、1998年には多用されるようになった。USBコネクタは、多くのPS2ポート、シリアルポートおよびパラレルポートに代わって利用されるようになった。USB1.1は、1998年9月に登場した仕様で、12Mbps(メガビット毎秒)というデータ転送速度をサポートする外部バス規格である。USB2.0は、高速USBとしても知られ、最高480Mbpsのデータ速度をサポートする外部バスである。USB2.0は、USB1.1との間に完全な互換性を有しており、同じケーブルおよびコネクタを利用する。USB2.0の仕様書は、2000年4月に発行された。
【0005】
次のUSB3.0仕様では、約5Gbps(ギガビット毎秒)というSuperSpeedレベルのUSB速度の実現が目標とされている。このように、USB3.0では、USB2.0の10倍も高速なバス速度を実現しなければならない。このような高速度に加え、本発明者達は、さらに高速なバス速度の実現を目標としている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明は、以下に記載する詳細な説明および本発明の一部の実施形態を示す添付図面を参照することによって、より明らかとなるであろう。しかし、詳細な説明および本発明の一部の実施形態は、説明する具体的な実施形態に本発明を限定するものと解釈されるべきではなく、本発明の説明および理解のみを目的としたものである。
【図1】本発明の一部の実施形態に係るシステムを示す図である。
【図2】本発明の一部の実施形態に係るシステムを示す図である。
【図3】本発明の一部の実施形態に係るフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の一部の実施形態は、非対称ユニバーサルシリアルバス(USB)通信に関する。
【0008】
一部の実施形態に係るユニバーサルシリアルバスケーブルは、バス信号を送信する第1の差動対と、第1の差動対が送信するバス信号と同一方向にバス信号を送信する第2の差動対とを備える。このような構成とすることによって、ユニバーサルシリアルバスケーブルの帯域幅は、同一方向において倍増する。
【0009】
一部の実施形態に係るシステムは、第1のユニバーサルシリアルバスデバイスと、第2のユニバーサルシリアルバスデバイスと、第1のユニバーサルシリアルバスデバイスと第2のユニバーサルシリアルバスデバイスとを結合するユニバーサルシリアルバスケーブルとを備える。当該ユニバーサルシリアルバスケーブルは、バス信号を送信する第1の差動対と、第1の差動対が送信するバス信号と同一方向にバス信号を送信する第2の差動対とを備える。このような構成とすることによって、ユニバーサルシリアルバスケーブルの帯域幅は、同一方向において倍増する。
【0010】
一部の実施形態によると、ユニバーサルシリアルバスケーブルの第1の差動対は、ユニバーサルシリアルバスケーブルの第2の差動対と同じ方向とすることができる。このため、第1の差動対および第2の差動対で同じ方向にバス信号を送信することができるようになる。この結果、ユニバーサルシリアルバスケーブルの帯域幅が、この同じ方向で倍増する。
【0011】
図1は、一部の実施形態に係るシステム100を示す図である。一部の実施形態によると、システム100は、送信ブロック102と、受信ブロック104と、送信ライン106(例えば、差動対)と、送信ブロック112と、受信ブロック114と、送信ライン116(例えば、差動対)と、さらに2つの信号ライン(図1では、D+およびD−と示す)とを備える。
【0012】
USB実装(例えば、USB3.0実装)では、ロジックの差動駆動受信ブロックおよび差動駆動送信ブロックが、USBケーブル(例えば、USB3.0ケーブル)の両端となる。差動駆動送信ブロックおよび差動駆動受信ブロックに加えて、例えば、USB3.0インターコネクト等のUSBインターコネクトは、リンク管理およびその他の低帯域幅(例えば、最高480Mbpsまで)のデータ通信アプリケーションに利用される2つの信号ライン(D+およびD−)をさらに含む。
【0013】
USB2.0信号は、ツイストペアデータケーブル(図1では、D+およびD−と示す)で送信される。これらのケーブルD+およびD−は共に、半二重差動信号方式を利用する。ケーブルD+およびD−は、通常は共に動作するケーブルであり、別個の片方向通信用の接続を提供するものではない。送信信号レベルは、例えば、Full Speed(FS)モードおよびLow Speed(LS)モードではロー側が0.0−0.3ボルトでハイ側が2.8−3.6ボルトであり、High Speed(HS)モードでは±400mVである。USB2.0では、「チャーピング(chirping)」と呼ばれるHigh Speedモードをネゴシエートするための特別なプロトコルが利用される。簡単に説明すると、HS対応デバイスは、常に最初はFSデバイスとして接続されるが、USB RESET(ホストによってD+およびD−が共にローに制御される)を受信した後、D−ラインをハイにしようと試みる。ホスト(またはハブ)もHSに対応可能であれば、D−ラインおよびD+ラインで交互に反転する信号を返して、HSで動作することをHSデバイスに通知する。
【0014】
SuperSpeed仕様(例えば、USB3.0)は、入力トランザクションおよび出力トランザクションを同時に行う二重片方向通信接続(dual simplex)である。当該二重片方向通信は、信号伝達レベルおよびスペクトル拡散クロックが、別の二重片方向通信シリアルインターコネクトであるPCI Express(商標)との間で互換性を持つ。USB3.0では、差動振幅はUSB2.0と略同一であるが、USB2.0のHSクロックとは逆に拡散クロックが利用される。
【0015】
図1に示す実施形態によると、2つの差動対は互いに反対方向を指し示している。しかし、一部の実施形態によると、2つの差動対が同一方向を指し示すようにして、その方向における帯域幅を倍増させる機能が追加される。
【0016】
図2は、一部の実施形態に係るシステム200を示す図である。一部の実施形態に係るシステム200は、送信ブロック202と、受信ブロック204と、送信ライン206と、送信ブロック212と、受信ブロック214と、送信ライン216と、さらに2つの信号ライン(図2ではD+およびD−と示す)とを備える。
【0017】
USB実装(例えば、USB3.0実装)では、ロジックの差動駆動受信ブロックおよび差動駆動送信ブロックが、USBケーブル(例えば、USB3.0ケーブル)の両端となる。差動駆動送信ブロックおよび差動駆動受信ブロックに加えて、例えば、USB3.0インターコネクト等のUSBインターコネクトは、リンク管理およびその他の低帯域幅(例えば、最高480Mbpsまで)のデータ通信アプリケーションに利用される2つの信号ライン(D+およびD−)をさらに含む。一部の実施形態によると、システム200におけるUSB信号の送信は、図1を参照して説明した方法と同様の方法で実行される。
【0018】
一部の実施形態によると、図2に示すシステム200は、図1に示すシステム100における一方向で実現される帯域幅に比べて、USBケーブルの一方向における帯域幅の2倍の帯域幅を実現するUSBソリューション(例えば、USB3.0ソリューション)を可能とする。尚、一部の実施形態(例えば、図2に示す一部の実施形態)によると、一方向における帯域幅が倍増するが、他方の方向における帯域幅は480Mbps以下にまで低減してしまう。一部の実施形態によると、リンク管理を行うことを目的として、低帯域幅方向における通信は、フロー管理機能およびリンク管理機能(例えば、一部の実施形態では、USB2.0配線で)を実現するべく実行される。一部の実施形態によると、このような低帯域幅通信経路は、帯域幅倍増方向とは反対の方向に(例えば、一部の実施形態では、USB2.0配線および/またはD+およびD−配線を介して)利用可能である。一部の実施形態によると、低帯域幅通信経路は、双方向性である。つまり、一方向に帯域幅倍増経路が選択されると、一部の実施形態では、低帯域幅通信経路は反対方向になるように選択される。
【0019】
図1に示す一部の実施形態によると、例えばロジックの差動駆動受信ブロック(104および/または106)およびロジックの差動駆動送信ブロック(102および/または202)がUSBケーブルの両端となる。しかし、図2に示す一部の実施形態によると、システム200は、両方の差動対を同一方向とする機能を持つので、その方向においては帯域幅が倍増する。図2に示す追加信号ラインD+およびD−は、帯域幅倍増経路とは反対の方向にデータ経路を提供しつつ、フロー制御プロトコル、電力管理プロトコル、帯域幅倍増経路の方向のランタイム反転、およびプロトコルハンドシェイク等のリンク管理機能の実行を継続する。この結果、帯域幅が非対称となり、非対称太パイプ(fat pipe)動作用に構成されたインターコネクトが実現される。
【0020】
一部の実施形態によると、非対称太パイプ(Asymmetrical Fat Pipe:AFP)動作は、通常のUSBケーブルの帯域幅を倍増させることができる。例えば、一部のUSB3.0の実施形態によると、通常のUSB3.0型銅ケーブルを用いた場合の標準的な対称帯域幅が5Gbpsであることに比べて、10Gbpsの非対称帯域幅が可能である。一部の実施形態によると、機能が改善されたスタンドアローンなUSBケーブル(例えば、スタンドアローンなUSB3.0ケーブル)が利用され得る(例えば、倍増非対称帯域幅)。一部の実施形態によると、USBケーブル(例えば、USB3.0ケーブル)を介したホスト同士の通信は、改善された機能を用いて(例えば、倍増非対称帯域幅を利用して)実行され得る。
【0021】
上述したように、SuperSpeed仕様(例えば、USB3.0)は、入力トランザクションおよび出力トランザクションを同時に行う二重片方向通信接続(dual simplex)である。一部の実施形態によると、このような二重片方向通信接続は、向きを変えて両方のパイプが同一方向に向くように構成することが可能である。
【0022】
このように、図2に示す一部の実施形態によると、SuperSpeed実装および/またはUSB3.0実装において、両パイプが向きを変えて同一方向を向いている。図2に示す一部の実施形態によると、二重片方向通信接続を利用した実装において、両パイプが向きを変えて同一方向を向いている。
【0023】
図3は、一部の実施形態に係るフロー300を示す図である。一部の実施形態によると、フロー300は、AFP(非対称太パイプ)発見、列挙、および/または、設定等の機能を含む。これらの機能は、例えば、ベンダ毎に用意されているものを利用するとしてよい。
【0024】
フロー300では、302においてリンクトレーニングが開始される。304において、USBケーブルの両端において(例えば、USB3.0ケーブルの両端において)非対称太パイプ(AFP)機能がサポートされているか否かを判断する。USBケーブルの両端においてAFP機能がサポートされていれば、306において、ユーザがAFP機能のイネーブルを所望しているか否かを判断する。304においてUSBケーブルの両端でAFP機能がサポートされていないと判断された場合、または、306においてユーザがAFP機能のイネーブルを所望していないと判断された場合、フロー300の308においては、標準的なUSBリンクトレーニング(例えば、業界標準のUSBリンクトレーニングおよび/または標準的なUSB3.0リンクトレーニング)を実行し、フロー300は310において終了する。
【0025】
306においてユーザがUSBケーブルの両端においてAFP機能のサポートのイネーブルを所望していると判断された場合、312において、AFP動作の方向(つまり、例えば、帯域幅倍増の方向)を設定可能か否かを判断する。312でこの方向が設定可能でないと判断された場合、314において、AFP動作をイネーブルする。この場合、この方向は、例えば、設計内容により設定されている。そして、フローは316で終了する。
【0026】
312において当該方向が設定可能であると判断された場合、318において、ユーザが所望する速度倍増方向を問い合わせるクエリをユーザに送る。そして、320において、ユーザ入力によって、速度倍増方向が設定される。そして、322においてAFP動作がイネーブルされて、フロー300は324において終了する。このように、一部の実施形態によると、フロー300は、例えば、AFP発見、列挙、および、設定の処理を実行する。
【0027】
一部の実施形態によると、フロー300は、ソフトウェア、ファームウェア、および/または、ハードウェアで実装されるとしてよい。一部の実施形態によると、フロー300は、一部または全体を、BIOS(Basic Input/Output System)ファームウェアで実装するとしてよい。一部の実施形態によると、フロー300は、一部または全体を、マザーボードファームウェアで実装するとしてよい。一部の実施形態によると、フロー300は、一部または全体を、BIOS(Basic Input/Output System)ファームウェアで実装するとしてよく、および/または、一部または全体を、マザーボードファームウェアで実装するとしてよい。
【0028】
一部の実施形態によると、業界標準の2倍の帯域幅を実現可能である。一部の実施形態によると、2つのチャネルを同一方向とすることによって、その方向の帯域幅を倍増させることができる(例えば、USB3.0実装では5Gbpsチャネルを2つ利用する)。一部の実施形態によると、現行のUSBケーブル(例えば、USB3.0ケーブル)を用いて帯域幅を倍増させるとしてよい。一部の実施形態によると、5Gbpsを実現するように設計されているUSB3.0ケーブルを用いて10Gbpsの帯域幅を実現するとしてよい。一部の実施形態によると、USB3.0SuperSpeed技術が実現される。
【0029】
一部の実施形態によると、低帯域幅(BW)パイプを利用するとしてよい。一部の実施形態によると、低BWパイプとは、USB3.0実装で利用されるUSB2.0配線を意味する。尚、USB3.0実装では、バックホールにUSB2.0配線を利用する。USBトランザクションは通常、要求およびその後に続く応答である。例えば、ホストおよび表示デバイスを備えるシステムにおいて、「太パイプ」(例えば、図2に示す送信ライン206および216)は、表示デバイスに向けて方向付けられる。列挙とは、デバイスが自身についてホストに通知するためのクエリである。一部の実施形態によると、この情報は、USB2.0配線を利用して、デバイス(この例では、表示デバイス)からホストへと供給される。動作について説明すると、ホストからデバイスに対してバルク転送が実行されると仮定すると、ホストは、例えば、ビデオデータをデバイス(表示デバイス)へと太パイプ(例えば、一部の実施形態ではライン206および216)を介して送信して、デバイスは低帯域幅パイプ(例えば、USB2.0配線)を介してこのデータの承認を返す。これは、承認は対称接続を介して(例えば、Tx−Rx対のデバイスから)ホストへと送られる(つまり、低帯域幅接続ではなく太パイプを介して送られる)ように構成されている、現在検討されているSuperSpeed動作および/またはUSB3.0動作とは異なる。
【0030】
一部の実施形態によると、例えば、モバイル・ホーム・プラットフォーム筐体のフットプリントを、外部オーディオビジュアル(A/V)接続についてのサポートを統合することによって、USBコネクタのフットプリント(例えば、タイプAのUSBコネクタのフットプリント)まで縮小させ得る。
【0031】
一部の実施形態によると、システム100、システム200、および/または、高機能化されたUSBケーブルは、2つのUSBホストデバイス(例えば、2つのUSB3.0ホストデバイス)の間に結合される。一部の実施形態によると、システム100、システム200、および/または、高機能化されたUSBケーブルは、USBホストデバイスとUSBクライアントデバイス(例えば、USB3.0ホストデバイスとUSB3.0クライアントデバイス)との間に結合される。一部の実施形態によると、システム100、システム200、および/または、高機能化されたUSBケーブルは、USBホストデバイスとUSBハブデバイス(例えば、USB3.0ホストデバイスとUSB3.0ハブデバイス)との間に結合される。一部の実施形態によると、システム100、システム200、および/または、高機能化されたUSBケーブルは、USBハブデバイスとUSBクライアントデバイス(例えば、USB3.0ハブデバイスとUSB3.0クライアントデバイス)との間に結合される。一部の実施形態によると、システム100、システム200、および/または、高機能化されたUSBケーブルは、任意の複数のUSBデバイス(例えば、任意の複数のUSB3.0デバイス)の間に結合される。
【0032】
本明細書においてUSB3.0の実施形態またはUSBの実施形態として一部の実施形態を記載したが、一部の実施形態では上記の具体的な実装は必要とされない場合もある。
【0033】
一部の実施形態は特定の実装を参照しつつ説明したが、一部の実施形態ではその他の実装も可能である。また、図面に図示したおよび/または本明細書に記載した回路素子またはその他のフィーチャーの配置および/または順序は、図示または記載したような配置および/または順序に従う必要は必ずしもない。一部の実施形態では、上記以外のさまざまな配置が可能である。
【0034】
図面に図示した各システムにおいて、場合によっては構成要素がそれぞれ、同じまたは異なる参照番号で指定されているが、これは当該構成要素が異なるか、および/または、同様であることを示唆している。しかし、構成要素は、複数の異なる実装例が十分考えられる程度の自由度を有しており、本明細書に図示または記載したシステムの一部または全てと共に利用され得る。図面に図示したさまざまな構成要素は、同一であってもよいし、異なるとしてもよい。どの構成要素を第1の構成要素と呼び、どの構成要素を第2と呼ぶかは任意である。
【0035】
明細書および特許請求の範囲で、「結合」および「接続」という用語が使用される場合がある。これらの用語は互いに同義語として意図されているものではないと理解されたい。特定の実施形態では、「接続」は、2つ以上の素子が物理的または電気的に互いに直接接触している様子を意味するものとしてよい。「結合」は、2つ以上の素子が、物理的または電気的に直接接触していることを意味するとしてよい。しかし、「結合」はさらに、2つ以上の素子が、互いに直接接触していないが、互いに協働または相互作用することを意味するとしてよい。
【0036】
アルゴリズムは、本明細書において、そして、一般的に、所望の結果を得るための、自己矛盾のない一連の動作または処理と見なされる。これには、物理的な量を物理的に操作することが含まれる。必須ではないが、このような量は通常、格納、転送、結合、比較、およびその他の操作が可能な電気信号または磁気信号として表現される。このような信号のことを、ビット、値、要素、シンボル、文字、項、数等と呼ぶことは、主に一般的に利用されているという理由により、時として利便性が高いことが分かっている。しかし、上述の用語および同様の用語は全て、適切な物理量に対応付けられるものであり、利便性を考慮して物理量に与えられた名称に過ぎないことを理解されたい。
【0037】
一部の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェアのうちいずれか、または、これらの組み合わせによって実装されるとしてよい。一部の実施形態はさらに、本明細書に記載した処理を実行するべくコンピュータプラットフォームによって読み出されて実行される、機械可読媒体に格納される命令として実装されるとしてよい。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)による読出しが可能な形式で情報を格納または送信する任意の機構を含むとしてよい。例えば、機械可読媒体は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク格納媒体、光学格納媒体、フラッシュメモリデバイス、伝搬される電気信号、光信号、音響信号、またはその他の形式の信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号、信号を送受信するインターフェース等)等を含むとしてよい。
【0038】
実施形態は、本発明の実装または例である。明細書で「実施形態」、「一実施形態」、「一部の実施形態」、または、「ほかの実施形態」と記載する場合、これらは、当該実施形態に関連付けて記載された特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも一部の実施形態に含まれることを意味しているが、必ずしも本発明の全ての実施形態に含まれることを意味しているわけではない。「実施形態」、「一実施形態」、または「一部の実施形態」という記載は繰り返し見られるが、全てが必ずしも同じ実施形態を指し示しているとは限らない。
【0039】
本明細書に記載および図示された構成要素、特徴、構造、特性等の全てが、1以上の特定の実施形態に含まれる必要はない。明細書において、ある構成要素、特徴、構造、または特性が「含まれ得る」、「含まれるとしてよい」、「含まれる場合がある」、または「含まれる可能性がある」と記載されている場合、例えば、この特定の構成要素、特徴、構造、または、特性は、含まれる必要はない。明細書または特許請求の範囲において具体的な数に言及することなく単に「構成要素」と記載されている場合、この構成要素が1つのみ存在することを意味しているわけではない。明細書または特許請求の範囲において具体的な数に言及することなく単に「追加」構成要素と記載されている場合、この追加構成要素が2以上ある場合を排除しているものではない。
【0040】
実施形態を説明するに当たって本明細書ではフローチャートおよび/または状態図を使用したが、本発明は、参照した図または対応して本明細書に記載した内容に限定されるものではない。例えば、フローは、図示したボックスまたは状態毎に実行する必要はなく、または、本明細書で図示および記載したのと全く同じ順序で実行する必要はない。
【0041】
本発明は、本明細書で挙げた具体的且つ詳細な内容に限定されるものではない。当業者であれば、本開示内容を参照することによって、上記の説明および図面に基づき、本発明の範囲を超えることなく、他の多くの変形例が成されることに想到するであろう。したがって、本発明の範囲を定義するのは、補正を含む特許請求の範囲である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
ユニバーサルシリアルバスケーブルを介して前記デバイスを他のデバイスと結合するためのコネクタを備え、
前記ユニバーサルシリアルバスケーブルは、
バス信号を送信する第1の差動対と、
前記第1の差動対が送信する前記バス信号と同一方向にバス信号を送信する第2の差動対と、
前記同一方向とは反対の方向にバス信号を送信する第3の差動対と
を有し、
前記ユニバーサルシリアルバスケーブルの帯域幅が、非対称であり、前記同一方向において倍増している、デバイス。
【請求項2】
前記ユニバーサルシリアルバスケーブルは、USB3.0ケーブルである請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記同一方向における前記ユニバーサルシリアルバスケーブルの前記帯域幅は、少なくとも10Gbpsであり、および/または、2つのチャネルによって得られる請求項1または請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の差動対は、第1の送信ブロックを第1の受信ブロックに結合し、前記第2の差動対は、第2の送信ブロックを第2の受信ブロックに結合する請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第3の差動対は、帯域幅が前記第1の差動対及び前記第2の差動対より小さい低帯域幅通信経路である請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記低帯域幅通信経路は、双方向性であり、選択的に双方向性であり、USB2.0通信経路であり、および/または、帯域幅倍増経路の方向である前記同一方向とは反対の方向のデータ経路を提供しつつ、リンク管理機能を実行する請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記リンク管理機能は、フロー制御プロトコル、電力管理プロトコル、前記帯域幅倍増経路の方向のランタイム反転、および/またはプロトコルハンドシェイクのうち1以上を含む請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の第1のデバイスと、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の第2のデバイスと、
を備え、
前記ユニバーサルシリアルバスケーブルは、前記第1のデバイスと前記第2のデバイスとを結合するシステム。
【請求項9】
ユニバーサルシリアルバスケーブルの第1の差動対および前記ユニバーサルシリアルバスケーブルの第2の差動対で同一方向にバス信号を送信するべく、前記第1の差動対および前記第2の差動対に前記同一方向を指し示させる段階と、
前記ユニバーサルシリアルバスケーブルの第3の差動対で前記同一方向とは反対の方向にバス信号を送信させる段階と
を備え、
前記ユニバーサルシリアルバスケーブルの帯域幅は、非対称であり前記同一方向に倍増する方法。
【請求項10】
前記ユニバーサルシリアルバスケーブルは、USB3.0ケーブルである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記同一方向における前記ユニバーサルシリアルバスケーブルの前記帯域幅は、少なくとも10ギガビット毎秒であり、および/または、少なくとも5ギガビット毎秒のチャネルを2つ用いることによって得られる請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ユニバーサルシリアルバスケーブルの両端において非対称機能がサポートされているか否かを判断する段階をさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ユニバーサルシリアルバスケーブルの両端において前記非対称機能がサポートされていない場合、ユニバーサルシリアルバスリンクトレーニングを可能とする段階をさらに備える請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ユニバーサルシリアルバスケーブルの非対称機能の方向が設定可能か否かを判断する段階をさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記非対称機能の方向が設定可能でない場合、指定された方向における非対称機能を可能とする段階をさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ユーザからの入力に応じて倍増速度方向を設定する段階をさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記第3の差動対は、前記第1の差動対及び前記第2の差動対よりも帯域幅がより小さい前記ユニバーサルシリアルバスケーブルの低帯域幅通信経路である請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記低帯域幅通信経路は、双方向性であり、選択的に双方向性であり、帯域幅倍増経路の方向である前記同一方向とは反対の方向のデータ経路を提供しつつ、リンク管理機能を実行し、および/または、USB2.0通信経路である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記リンク管理機能は、フロー制御プロトコル、電力管理プロトコル、前記帯域幅倍増経路の方向のランタイム反転、および/またはプロトコルハンドシェイクのうち1以上を含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
コンピュータに、請求項9から請求項19のうちいずれか一項に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【請求項21】
電子デバイス用のコネクタであって、
シリアル信号を送信する第1の差動対と、
前記第1の差動対が送信する前記シリアル信号と同一方向にシリアル信号を送信する第2の差動対と、
前記同一方向とは反対の方向にシリアル信号を送信する第3の差動対と
を備え、
前記コネクタの帯域幅が、非対称であり、前記同一方向において倍増しているコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−234582(P2012−234582A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−196510(P2012−196510)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【分割の表示】特願2010−550931(P2010−550931)の分割
【原出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】