説明

非対称性ビス(チオセミカルバゾン)の調製方法

本発明は、非対称性ビス(チオセミカルバゾン)の製造方法、該方法における合成中間体として有用な化合物、該方法の使用により容易に入手することができる新規なビス(チオセミカルバゾン)ならびにいくつかの該新規なビス(チオセミカルバゾン)を利用する処置及びイメージング方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、非対称性ビス(チオセミカルバゾン)の製造方法、その方法における合成中間体として有用な化合物、その方法の使用により容易に入手することができる新規なビス(チオセミカルバゾン)ならびにいくつかの新規なビス(チオセミカルバゾン)を利用する処置及びイメージング方法に関する。
【0002】
背景
ビス(チオセミカルバゾン)及びそれらの遷移金属錯体は、広範な薬理学的活性を有することが知られている。例えば、抗癌特性を有し、スーパーオキシドジスムターゼ様活性酸素種スカベンジャーとして作用し、抗細菌活性を有する異なる誘導体は、より最近では、神経変性疾患用の治療薬として認められている。加えて、これらのビス(チオセミカルバゾン)リガンドは、放射性銅医薬(copper radiopharmaceuticals)開発における放射性銅同位体の送達のためのビヒクルとして相当な可能性を示している。
【0003】
放射性銅医薬の分野において、診断用造影剤又は放射線療法において使用される可能性を有する銅のいくつかの放射性核種が存在する。銅−60、銅−61、銅−62及び銅−64は全て、陽電子放射断層撮影法(PET)において潜在的な用途を有する陽電子放射体である。全ての場合において、放射性核種が投与される形態は極めて重要で、放射性核種が選択的に標的部位に送達されることが不可欠である。これは、生体内分布が、電荷、形状、親油性および酸化還元化学などのいくつかの因子により決定される銅配位錯体の形成により達成することができる。
【0004】
位置特異的なイメージング及び/又は処置は、生物学的に活性な分子(これは、インビボの一定の受容体部位に選択的に結合する)を、錯体に連結することにより達成することができる。カルボキシラート官能基などのペンダントアームを使用し、生物学的に活性な分子上の末端アミンへの確立されたペプチドカップリング方法を介して、生体分子とのアミド結合を形成することができる。そのような場合、金属錯体に関連する形式電荷、大きさ及び他の因子がその生体内分布を変化させることがあり、二官能性キレートがインビボにおいて十分に安定していることが不可欠である。
【0005】
1,2−ジオンより誘導されるビス(チオセミカルバゾン)リガンドは、安定な、中性、低分子量の平面錯体を銅(II)と形成し、放射性銅(radiocopper)のキレート剤として首尾よく使用されている。例えば、[Cu(PTSM)]は、灌流造影剤(perfusion imaging agent)として調査されているのに対し、[Cu(ATSM)]は、低酸素組織中におけるその選択的保持により、上首尾の低酸素トレーサーであることが示されている。
【0006】
【化1】

【0007】
ビス(チオセミカルバゾン)リガンドは、銅についてのNキレート系を与える。硬窒素供与体と軟硫黄供与体原子の混合物は、安定なCu(II)及びCu(I)錯体を形成することが可能なハイブリッド系を与える。この作用、ならびにそれらが形式的に電荷中性錯体を形成するという事実は、ビス(チオセミカルバゾン)が、TETA(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−N,N,’N”,N'''−テトラ酢酸)に基づくテトラ−アザ大環系に対して放射性銅キレート剤として潜在的な利点を有することを意味する。
【0008】
したがって、このコア構造骨格に基づくビス(チオセミカルバゾン)リガンドの開発には、それらが上述のように比較的安定であることが期待されるため、非常に大きな関心が存在する。この型のリガンドに伴う困難は、標的とする用途に使用するためには、リガンドが、分子認識部分に結合する(又は結合することができる)部分を含有する必要性があるということである。一般に、これを達成するためには、非対称性ビス(チオセミカルバゾン)リガンドを合成する必要がある。
【0009】
このことは困難を生じさせる。なぜなら、非対称性ビス(チオセミカルバゾン)リガンド合成の現在の方法論は、典型的には、適切なジオンを、好適に官能化されたチオセミカルバジドと反応させてモノ付加物を形成し、続いてそのようにして形成された物質を別の好適に官能化されたチオセミカルバジドと反応させる段階反応を含むからである。
【0010】
このアプローチには多くの困難が存在する。第一に、方法の第一工程において、モノ付加物はそれだけが形成されることはめったにないので、反応混合物(典型的には、出発物質、モノ付加物及びビス付加物を含有する)から所望の生成物を分離することが必要となる。このことはこの方法における全体的な収率を減少させ、望ましくない不純物が最終生成物に組み込まれる可能性を増大させるが、それは医薬用途に用いることを予定している生成物においては明らかに望ましくないことである。
【0011】
したがって、この方法は、商業的製造という観点からは、やや面倒で望ましくないものである。加えて、多くの例において、最終生成物に所望の機能を与えるのに必要なチオセミカルバジドは、容易に入手することも、市販の出発物質から簡単に合成することもできない。したがって、このことは、これら公知の技術を使用して容易に生成することができる最終リガンドの柔軟さの程度を制限する。そのため、非対称性ビス(チオセミカルバゾン)リガンドの改良された合成方法を提供する明白な必要性が存在する。
【0012】
本出願人らは、多種多様な非対称性ビス(チオセミカルバゾン)リガンドの汎用的かつ効率的な合成方法は、この型のリガンドが各末端における第二級及び第三級窒素原子で生成される場合、第三級窒素が選択的トランスアミノ化反応に加わって、リガンド上のこの位置において多種多様な置換基を導入することができるという知見を利用することにより達成することができることを確認した。
【0013】
概要
一つの態様において、本発明は、式(I):
【0014】
【化2】


[式中、
及びRは、それぞれ独立して、非水素置換基(ここで、R及びRは同一ではない)であり;
及びRは、それぞれ独立して、H、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12シクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択されるか、
あるいは、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているC−C12シクロアルキル基を形成する]で示される化合物の製造方法であって、式(II):
【0015】
【化3】


[式中、R、R、及びRは上記で定義するとおりであり、R及びRは非水素置換基である]で示される化合物を、式(III):NH
[式中、Rは上記で定義するとおりである]の第一級アミンと反応させることを含む方法を提供する。
【0016】
本発明の方法において、Rは、本明細書で後述する任意の広範で可能な非水素置換基であってよい。本発明の方法のいくつかの実施態様において、Rは、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12シクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択される。いくつかの実施態様において、Rはメチルである。
【0017】
本発明の方法のいくつかの実施態様において、R及びRは、それぞれ独立して、H及び場合により置換されているC−C12アルキルからなる群より選択される。本発明の方法のいくつかの実施態様において、R及びRはメチルである。
【0018】
本発明の方法のいくつかの実施態様において、R及びRは、それぞれ独立して、場合により置換されているC−C12アルキルである。いくつかの実施態様において、R及びRは、それぞれ独立して、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、2−メチル−プロピル、1−エチル−プロピル、3,3−ジメチル−プロピル、ブチル、イソブチル、3,3−ジメチル−ブチル、2−エチル−ブチル、ペンチル、及びヘキシルからなる群より選択される。いくつかの実施態様において、R及びRはメチルである。
【0019】
したがって、本発明の方法のいくつかの実施態様において、式(Ia):
【0020】
【化4】


[式中、Rは非水素置換基である]で示される化合物の合成方法であって、式(IIa):
【0021】
【化5】


[式中、R及びRは非水素置換基である]で示される化合物を、式:NHの第一級アミンと反応させることを含む方法が提供される。
【0022】
原則として任意の第一級アミンは本発明の方法に使用しうるので、本発明の方法を使用して、広範なR基を組み込みうる。唯一の要件は、出発物質上の第二級アミンを置換するために、アミンが好適な反応性を有することである。
【0023】
いくつかの実施態様において、Rは、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−Cシクロアルキル、場合により置換されているC−Cシクロアルケニル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルケニル、場合により置換されているC−C18アリール、場合により置換されているC−C18ヘテロアリール、場合により置換されているC−CシクロアルキルC−C12アルキル、C−C12ヘテロシクロアルキルC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18ヘテロアリールC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−CシクロアルキルC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキルC−C12ヘテロアルキル、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールC−C12ヘテロアルキルからなる群より選択される。
【0024】
いくつかの実施態様において、Rは、式:
−X−Y
(ここで、Xは結合又は結合部分であり、
Yは、H、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−Cシクロアルキル、場合により置換されているC−Cシクロアルケニル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルケニル、場合により置換されているC−C18アリール、場合により置換されているC−C18ヘテロアリール、場合により置換されているC−CシクロアルキルC−C12アルキル、C−C12ヘテロシクロアルキルC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18ヘテロアリールC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−CシクロアルキルC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキルC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C18ヘテロアリールC−C12ヘテロアルキル、ペプチド、タンパク質及び分子認識部分からなる群より選択される)の基である。
【0025】
本発明の方法において、X部分は、金属(これは放射性核種であってよい)に結合することができるリガンドと分子認識部分の結合点もしくは分子認識部分それ自体のいずれかとの間のスペーサーとして最終的に作用するように働く結合部分として役立つ。そのため、この2つの実体が互いの活性を妨げないようにするためにこの2者間をある程度分離することが望ましいが、放射性核種がその作用部位に効果的に送達されないように2者をそれほど遠くに移さないことも重要である。
【0026】
いくつかの実施態様において、Xは直鎖中1〜20個の原子を有する結合部分である。いくつかの実施態様において、Xは直鎖中1〜15個の原子を有する結合部分である。いくつかの実施態様において、Xは直鎖中1〜12個の原子を有する結合部分である。いくつかの実施態様において、Xは直鎖中1〜10個の原子を有する結合部分である。いくつかの実施態様において、Xは直鎖中1〜8個の原子を有する結合部分である。いくつかの実施態様において、Xは直鎖中8個の原子を有する。いくつかの実施態様において、Xは直鎖中7個の原子を有する。いくつかの実施態様において、Xは直鎖中6個の原子を有する。いくつかの実施態様において、Xは直鎖中5個の原子を有する。いくつかの実施態様において、Xは直鎖中4個の原子を有する。いくつかの実施態様において、Xは直鎖中3個の原子を有する。いくつかの実施態様において、Xは直鎖中2個の原子を有する。いくつかの実施態様において、Xは直鎖中1個の原子を有する。
【0027】
広範な可能な部分を使用して、この型の結合部分を生成してもよい。Xの生成に使用しうる好適な部分の例には、場合により置換されているC−C12アルキル、置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12シクロアルキル、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールが含まれる。
【0028】
いくつかの実施態様において、Xは、以下:
(a) 結合;
(b) −(CHCO−;
(c) −(CHCO−;
(d) −(CHSO−;
(e) −(CHSO−;
(f) −(CH−;
(g) −(CHCHR10
(h) −(CHNHCO−;
(i) −(CHNH−;
(j) −(CHNR−;
(k) −(CHNHSO−;
(l) −(CHSO−;
(m) −(CHSO−;
(n) −(CH−;
(o) −(CHCHR10
(p) −((CHO)−;及び
(q) −((CHNR11−;
(ここで、mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群より選択される整数であり;
各xは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群より選択される整数であり;
yは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群より選択される整数であり;
は、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択され、
各R及びR10は、独立して、COH、場合により置換されているC−C12アルキル、及び場合により置換されているC−C12ヘテロアルキルからなる群より選択され;
11は、独立して、H、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル及び窒素保護基からなる群より選択される)からなる群より選択される。
【0029】
いくつかの実施態様において、Xは、以下:
(a) −(CHCO−;
(b) −(CHCO−;
(c) −(CHSO−;
(d) −(CHSO−;
(e) −(CH−;及び
(f) −(CHCHR10
(ここで、m、R、R及びR10は上記で定義されたとおりである)からなる群より選択される。
【0030】
いくつかの実施態様において、mは0である。いくつかの実施態様において、mは1である。いくつかの実施態様において、mは2である。いくつかの実施態様において、mは3である。いくつかの実施態様において、mは4である。いくつかの実施態様において、mは5である。いくつかの実施態様において、mは6である。いくつかの実施態様において、mは7である。いくつかの実施態様において、mは8である。いくつかの実施態様において、mは9である。いくつかの実施態様において、mは10である。
【0031】
いくつかの実施態様において、xは0である。いくつかの実施態様において、xは1である。いくつかの実施態様において、xは2である。いくつかの実施態様において、xは3である。いくつかの実施態様において、xは4である。いくつかの実施態様において、xは5である。いくつかの実施態様において、xは6である。いくつかの実施態様において、mは7である。いくつかの実施態様において、xは8である。いくつかの実施態様において、xは9である。いくつかの実施態様において、xは10である。
【0032】
いくつかの実施態様において、yは0である。いくつかの実施態様において、yは1である。いくつかの実施態様において、yは2である。いくつかの実施態様において、yは3である。いくつかの実施態様において、yは4である。いくつかの実施態様において、yは5である。いくつかの実施態様において、yは6である。いくつかの実施態様において、yは7である。いくつかの実施態様において、yは8である。いくつかの実施態様において、yは9である。いくつかの実施態様において、yは10である。
【0033】
いくつかの実施態様において、Rはフェニルである。
【0034】
いくつかの実施態様において、R及びR10は、独立して、COH及びメチルからなる群より選択される。
【0035】
いくつかの実施態様において、R11は、H及び窒素保護基からなる群より選択される。
【0036】
本方法のいくつかの実施態様において、Yは分子認識部分である。本方法のいくつかの実施態様において、YはHである。
【0037】
いくつかの実施態様において、X及びYは、第一級アミン:NHがアミノ酸基であるように選択され、ここで、NH基はアミノ酸基のN−末端部分であり、Rは残りのアミノ酸基(又はその保護形態)である。実質的に、これにより、アミノ酸、又はペプチドは分子のこちら側に配置される。
【0038】
本発明はまた、上述の本発明の合成方法により製造しうる非対称性錯体を提供する。
【0039】
したがって、更なる態様において、式(III):
【0040】
【化6】


[式中、
は、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12シクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択され;
及びRは、それぞれ独立して、H、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12シクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択されるか、あるいは
及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているC−C12シクロアルキル基を形成し;
は、式:
−X−Y
(式中、Xは結合又は結合部分であり;
Yは、H、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−Cシクロアルキル、場合により置換されているC−Cシクロアルケニル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルケニル、場合により置換されているC−C18アリール、場合により置換されているC−C18ヘテロアリール、場合により置換されているC−CシクロアルキルC−C12アルキル、C−C12ヘテロシクロアルキルC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18ヘテロアリールC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−CシクロアルキルC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキルC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C18ヘテロアリールC−C12ヘテロアルキル、ペプチド、タンパク質及び分子認識部分からなる群より選択される)の基である]で示される化合物、又はその金属錯体が提供される。
【0041】
本発明の化合物のいくつかの実施態様において、Rはメチルである。
【0042】
本発明の化合物のいくつかの実施態様において、R及びRは、それぞれ独立して、H及び場合により置換されているC−C12アルキルからなる群より選択される。本発明の化合物のいくつかの実施態様において、R及びRはメチルである。
【0043】
本発明の化合物のいくつかの実施態様において、R及びRは、それぞれ独立して、H及び場合により置換されているC−C12アルキルからなる群より選択される。本発明の化合物のいくつかの実施態様において、R及びRはメチルである。
【0044】
いくつかの実施態様において、化合物は、式(IIIa):
【0045】
【化7】


[式中、Rは上述のとおりである]で示される化合物、
又はその金属錯体である。
【0046】
上述のとおり、広範なR置換基は、上述の合成手順を使用して、本発明の化合物に組み込んでもよい。
【0047】
本発明の化合物のいくつかの実施態様において、Xは、以下:
(a) 結合;
(b) −(CHCO−;
(c) −(CHCO−;
(d) −(CHSO−;
(e) −(CHSO−;
(f) −(CH−;
(g) −(CHCHR10
(h) −(CHNHCO−;
(i) −(CHNH−;
(j) −(CHNR−;
(k) −(CHNHSO−;
(l) −(CHSO−;
(m) −(CHSO−;
(n) −(CH−;
(o) −(CHCHR10
(p) −((CHO)−;及び
(q) −((CHNR11−;
(ここで、mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群より選択される整数であり;
各xは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群より選択される整数であり;
yは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群より選択される整数であり;
は、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択され、
各R及びR10は、独立して、COH、場合により置換されているC−C12アルキル、及び場合により置換されているC−C12ヘテロアルキルからなる群より選択され;
11は、独立して、H、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル及び窒素保護基からなる群より選択される)からなる群より選択される。
【0048】
いくつかの実施態様において、Xは、以下:
(a) −(CHCO−;
(b) −(CHCO−;
(c) −(CHSO−;
(d) −(CHSO−;
(e) −(CH−;及び
(f) −(CHCHR10
(ここで、m、R、R及びR10は上記で定義されたとおりである)からなる群より選択される。
【0049】
いくつかの実施態様において、mは0である。いくつかの実施態様において、mは1である。いくつかの実施態様において、mは2である。いくつかの実施態様において、mは3である。いくつかの実施態様において、mは4である。いくつかの実施態様において、mは5である。いくつかの実施態様において、mは6である。いくつかの実施態様において、mは7である。いくつかの実施態様において、mは8である。いくつかの実施態様において、mは9である。いくつかの実施態様において、mは10である。いくつかの実施態様において、mは、1、2、3、4、5、及び6からなる群より選択される整数である。
【0050】
いくつかの実施態様において、xは0である。いくつかの実施態様において、xは1である。いくつかの実施態様において、xは2である。いくつかの実施態様において、xは3である。いくつかの実施態様において、xは4である。いくつかの実施態様において、xは5である。いくつかの実施態様において、xは6である。いくつかの実施態様において、xは7である。いくつかの実施態様において、xは8である。いくつかの実施態様において、xは9である。いくつかの実施態様において、xは10である。いくつかの実施態様において、xは、0、1、2、及び3からなる群より選択される整数である。
【0051】
いくつかの実施態様において、yは0である。いくつかの実施態様において、yは1である。いくつかの実施態様において、yは2である。いくつかの実施態様において、yは3である。いくつかの実施態様において、yは4である。いくつかの実施態様において、yは5である。いくつかの実施態様において、yは6である。いくつかの実施態様において、yは7である。いくつかの実施態様において、yは8である。いくつかの実施態様において、yは9である。いくつかの実施態様において、yは10である。いくつかの実施態様において、yは、0、1、2、及び3からなる群より選択される整数である。
【0052】
いくつかの実施態様において、Rはフェニルである。
【0053】
いくつかの実施態様において、R及びR10は、独立して、COH及びメチルからなる群より選択される。
【0054】
いくつかの実施態様において、R11は、H及び窒素保護基からなる群より選択される。
【0055】
いくつかの実施態様において、Xは、−(CHCO−及び−(CHSO−からなる群より選択される。いくつかの実施態様において、Xは、−(CHCO−及び−(CHSO−からなる群より選択される。
【0056】
いくつかの実施態様において、YはHである。いくつかの実施態様において、Yは分子認識部分である。
【0057】
Yが分子認識部分であるこれらの実施態様において、それは、生理学的環境において標的部分を認識する能力を有する任意の部分であってよい。いくつかの実施態様において、分子認識部分は、抗体、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖及びリポソーム又はそのフラグメントもしくは誘導体からなる群より選択される。
【0058】
いくつかの実施態様において、分子認識部分は、抗体又はそのフラグメントもしくは誘導体である。いくつかの実施態様において、分子認識部分は、タンパク質又はそのフラグメントもしくは誘導体である。いくつかの実施態様において、分子認識部分は、ペプチド又はそのフラグメントもしくは誘導体である。いくつかの実施態様において、分子認識部分は、炭水化物又はそのフラグメントもしくは誘導体である。いくつかの実施態様において、分子認識部分は、核酸又はそのフラグメントもしくは誘導体である。いくつかの実施態様において、分子認識部分は、オリゴヌクレオチド又はそのフラグメントもしくは誘導体である。いくつかの実施態様において、分子認識部分は、オリゴ糖又はそのフラグメントもしくは誘導体である。いくつかの実施態様において、分子認識部分は、葉酸又はそのフラグメントもしくは誘導体である。いくつかの実施態様において、分子認識部分は、ビタミンB12又はそのフラグメントもしくは誘導体である。いくつかの実施態様において、分子認識部分は、リポソーム又はそのフラグメントもしくは誘導体である。
【0059】
いくつかの実施態様において、分子認識部分は、[Tyr]−オクトレオタート及びボンベシンからなる群より選択される。いくつかの実施態様において、分子認識部分は[Tyr]−オクトレオタートである。いくつかの実施態様において、分子認識部分はボンベシンである。
【0060】
本発明の化合物のいくつかの実施態様において、化合物は金属イオンに錯化されている。いくつかの実施態様において、金属イオンは、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Cu及び67Cuからなる群より選択される放射性核種である。
【0061】
上でも述べたとおり、本発明の方法は、リガンドの一端上の第三級窒素部分を第一級アミンにより選択的に置き換えるトランスアミノ化反応を含む。この反応についての選択が生じるのは、第三級窒素が、リガンドの他方の末端の第二級窒素よりも良好な脱離基であるためで、それゆえ優先的に置き換えられる。この選択性があったとしても、本出願人らは、一定の化合物が、その脱離基の性質のために、上述の合成方法において、出発物質として使用するのに特に好適であることを見出した。例えば、出願人らは、置換反応により生成された第二級アミンが適切に揮発性である場合、それを気体として反応媒体から除去することができ、それが反応を完了させ、反応物の処理をはるかに簡単にすることを見出した。このことは、製造面において明らかに望ましく、また医薬製造環境において製法のスケールアップを考慮する場合、商業的な観点から非常に魅力的である。置換する場合に特に好適であることが分かっているアミンは、ジメチルアミン(沸点7℃)、メチルエチルアミン(沸点36℃)及びジエチルアミン(沸点55℃)である。なぜなら、これらは、反応混合物をこれらの温度より高い温度で加熱するという簡単な手段により、反応混合物から気体として容易に除去することができるからである。したがって、これらの部分を可能性のある脱離基として与える化合物は、本発明の方法に付する上で特によく適合する。
【0062】
一層更なる態様においては、式(IV):
【0063】
【化8】


[式中、R、R、及びRは上記で定義されたとおりであり、R及びRは、それぞれ独立して、メチル及びエチルからなる群より選択される]で示される化合物が提供される。
【0064】
式(IV)の化合物のいくつかの実施態様において、Rはメチルである。式(IV)の化合物のいくつかの実施態様において、Rはエチルである。式(IV)の化合物のいくつかの実施態様において、Rはメチルである。式(IV)の化合物のいくつかの実施態様において、Rはエチルである。式(IV)の化合物のいくつかの実施態様において、R及びRは共にメチルである。
【0065】
式(IV)の化合物のいくつかの実施態様において、Rは、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12シクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択される。
【0066】
式(IV)の化合物のいくつかの実施態様において、Rはメチルである。
【0067】
式(IV)の化合物のいくつかの実施態様において、R及びRは、それぞれ独立して、H及び場合により置換されているC−C12アルキルからなる群より選択される。式(IV)の化合物のいくつかの実施態様において、R及びRはメチルである。
【0068】
一層更なる態様において、本発明は、被検者の病態を治療又は予防する方法であって、治療有効量の本発明の化合物の金属錯体を被検者に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施態様において、病態は癌である。
【0069】
一層更なる態様において、本発明は、被検者に放射性イメージングを行う方法であって、有効量の本発明の化合物の金属錯体を被検者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0070】
これら及び他の本出願の教示の特徴を本明細書に記載する。
【0071】
詳細な説明
本明細書では多くの用語が使用されており、それらは当業者に周知である。しかしながら、明確さを目的として、多くの用語が定義される。
【0072】
本明細書で使用するように、用語「非置換の」とは、置換基が存在しないか、あるいは唯一の置換基が水素であることを意味する。
【0073】
用語「非水素置換基」とは、水素でない任意の置換基を意味する。代表的な非水素置換基には、ハロゲン、−CN、−NO、−CF、−OCF、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクロアルキルアルケニル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシシクロアルキル、アルキルオキシヘテロシクロアルキル、アルキルオキシアリール、アルキルオキシヘテロアリール、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アミノスルフィニルアミノアルキル、−C(=O)OH、−C(=O)R、−C(=O)OR、C(=O)NR、C(=NOH)R、C(=NR)NR、NR、NRC(=O)R、NRC(=O)OR、NRC(=O)NR、NRC(=NR)NR、NRSO、−SR、SONR、−OR、OC(=O)NR、OC(=O)R及びアシル
(ここで、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、C−C12アルキル、C−C12ハロアルキル、C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、C−C10ヘテロアルキル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、C−C12ヘテロシクロアルキル、C−C12ヘテロシクロアルケニル、C−C18アリール、C−C18ヘテロアリール、及びアシルからなる群より選択されるか、あるいは任意の2個又はそれ以上のR、R、R及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、3〜12個の環原子を有する複素環系を形成する)が含まれる。
【0074】
別の好適な非水素置換基は、式:
−X−Y
(式中、Xは結合又は結合部分であり;
Yは、H、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−Cシクロアルキル、場合により置換されているC−Cシクロアルケニル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルケニル、場合により置換されているC−C18アリール、場合により置換されているC−C18ヘテロアリール、場合により置換されているC−CシクロアルキルC−C12アルキル、C−C12ヘテロシクロアルキルC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18ヘテロアリールC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−CシクロアルキルC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキルC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C18ヘテロアリールC−C12ヘテロアルキル、ペプチド、タンパク質及び分子認識部分からなる群より選択される)の基である。
【0075】
明細書全体にわたって使用されている用語「場合により置換されている」は、基が、上記で定義された1個以上の非水素置換基で更に置換、又はそれらと縮合して(縮合多環系を形成して)いてもいなくてもよいことを示す。
【0076】
いくつかの実施態様において、各場合による置換基は、独立して、ハロゲン、=O、=S、−CN、−NO、−CF、−OCF、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアリール、アルキルオキシヘテロアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、アミノアルキル、−COOH、−SH、及びアシルからなる群より選択される。
【0077】
特に好適な場合による置換基の例には、F、Cl、Br、I、CH、CHCH、OH、OCH、CF、OCF、NO、NH、及びCNが含まれる。
【0078】
基又は基の一部分としての「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含み、直鎖又は分岐鎖であってよく、直鎖において、好ましくは2〜12個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、最も好ましくは2〜6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を示す。この基は直鎖において複数の二重結合を含んでもよく、それぞれについての配向は、独立して、E又はZである。代表的なアルケニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル及びノネニルが含まれるが、これらに限定されない。この基は末端基でも架橋基でもよい。
【0079】
基又は基の一部分としての「アルキル」は、他に示さない限り、直鎖又は分岐鎖状脂肪族炭化水素基、好ましくはC−C12アルキル、より好ましくはC−C10アルキル、最も好ましくはC−Cを表す。好適な直鎖及び分岐鎖状C−Cアルキル置換基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシルなどが含まれる。この基は末端基でも架橋基でもよい。
【0080】
基又は基の一部分としての「アルキニル」は、炭素−炭素三重結合を含み、直鎖又は分岐鎖で、直鎖において、好ましくは2〜12個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、最も好ましくは2〜6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を意味する。代表的な構造には、エチニル及びプロピニルが含まれるが、これらに限定されない。この基は末端基でも架橋基でもよい。
【0081】
基又は基の一部分としての「アリール」は、(i)1個の環につき、好ましくは5〜12個の原子を有し、場合により置換されている単環式、又は縮合多環式、芳香族炭素環(全て炭素である環原子を有する環構造)を示す。アリール基の例には、フェニル、ナフチルなど;(ii)フェニル及びC5−7シクロアルキルもしくはC5−7シクロアルケニル基が互いに縮合して環状構造を形成し、場合により置換されている部分飽和二環式芳香族炭素環式部分、例えば、テトラヒドロナフチル、インデニル又はインダニルが含まれる。この基は末端基でも架橋基でもよい。典型的には、アリール基はC−C18アリール基である。
【0082】
「アリールアルキル」とは、アリール及びアルキル部分が本明細書で定義されたとおりのアリール−アルキル基を意味する。好ましいアリールアルキル基は、C1−5アルキル部分を含有する。代表的なアリールアルキル基には、ベンジル、フェネチル、1−ナフタレンメチル及び2−ナフタレンメチルが含まれる。この基は末端基でも架橋基でもよい。基が末端基である場合、これはアルキル基により残りの分子に結合している。
【0083】
「アリールヘテロアルキル」とは、アリール及びヘテロアルキル部分が本明細書で定義されたとおりのアリール−ヘテロアルキル基を意味する。この基は末端基でも架橋基でもよい。基が末端基である場合、これはヘテロアルキル基により残りの分子に結合している。
【0084】
「シクロアルキル」とは、他に示さない限り、1個の環につき、好ましくは3〜9個の炭素を含む、飽和単環式又は縮合もしくはスピロ多環式炭素環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを表す。これには、シクロプロピル及びシクロヘキシルなどの単環系、デカリンなどの二環系、及びアダマンタンなどの多環系が含まれる。シクロアルキル基は、典型的には、C−Cシクロアルキル基である。この基は末端基でも架橋基でもよい。
【0085】
「シクロアルキルアルキル」とは、シクロアルキル及びアルキル部分が本明細書で定義されたとおりのシクロアルキル−アルキル基を意味する。代表的なモノシクロアルキルアルキル基には、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル及びシクロヘプチルメチルが含まれる。この基は末端基でも架橋基でもよい。基が末端基である場合、これはアルキル基により残りの分子に結合している。
【0086】
「シクロアルケニル」とは、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含み、1個の環につき、好ましくは5〜10個の炭素原子を有する非芳香族単環式又は多環式環系を意味する。代表的な単環式シクロアルケニル環には、シクロペンテニル、シクロヘキセニル又はシクロヘプテニルが含まれる。シクロアルケニル基は、1個以上の置換基により置換されていてもよい。シクロアルケニル基は、典型的には、C−C12アルケニル基である。この基は末端基でも架橋基でもよい。
【0087】
「シクロアルキルヘテロアルキル」とは、シクロアルキル及びヘテロアルキル部分が本明細書で定義されたとおりのシクロアルキル−ヘテロアルキル基を意味する。この基は末端基でも架橋基でもよい。基が末端基である場合、これはヘテロアルキル基により残りの分子に結合している。
【0088】
「ヘテロアルキル」とは、鎖において、好ましくは2〜12個の炭素、より好ましくは2〜6個の炭素を有し、1個以上の炭素原子(及び任意の関連する水素原子)が、それぞれ独立して、S、O、P及びNR’(ここで、R’は、H、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12シクロアルキル、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択される)より選択されるヘテロ原子基により置き換えられている直鎖又は分岐鎖状アルキル基を表す。代表的なヘテロアルキルには、アルキルエーテル、第二級及び第三級アルキルアミン、アミド、アルキルスルフィドなどが含まれる。ヘテロアルキルの例にはまた、ヒドロキシC−Cアルキル、C−CアルキルオキシC−Cアルキル、アミノC−Cアルキル、C−CアルキルアミノC−Cアルキル、及びジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキルが含まれる。この基は、末端基でも架橋基でもよい。
【0089】
「ヘテロアリール」とは、単独で又は基の一部分として、芳香族環中に環原子として1個以上のヘテロ原子を有し、残りの環原子が炭素原子である芳香族環(好ましくは5又は6員芳香族環)を含有する基を表す。好適なヘテロ原子には、窒素、酸素及び硫黄が含まれる。ヘテロアリールの例には、チオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ナフト[2,3−b]チオフェン、フラン、イソインドリジン、キサントレン、フェノキサチン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、テトラゾール、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、シンノリン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、チアゾール、イソチアゾール、フェノチアジン、オキサゾール、イソオキサゾール、フラザン、フェノキサジン、2−、3−又は4−ピリジル、2−、3−、4−、5−、又は8−キノリル、1−、3−、4−、又は5−イソキノリニル、1−、2−、又は3−インドリル、及び2−、又は3−チエニルが含まれる。ヘテロアリール基は、典型的には、C−C18ヘテロアリール基である。この基は、末端基でも架橋基でもよい。
【0090】
「ヘテロアリールアルキル」とは、ヘテロアリール及びアルキル部分が本明細書で定義されたとおりのヘテロアリール−アルキル基を意味する。好ましいヘテロアリールアルキル基は、低級アルキル部分を含有する。代表的なヘテロアリールアルキル基には、ピリジルメチルが含まれる。この基は、末端基でも架橋基でもよい。基が末端基である場合、これはアルキル基により残りの分子に結合している。
【0091】
「ヘテロアリールヘテロアルキル」とは、ヘテロアリール及びヘテロアルキル部分が本明細書で定義されたとおりのヘテロアリール−ヘテロアルキル基を意味する。この基は、末端基でも架橋基でもよい。基が末端基である場合、これはヘテロアルキル基により残りの分子に結合している。
【0092】
「ヘテロシクロアルキル」とは、少なくとも1個の環中に、窒素、硫黄、酸素より選択される少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1〜3個のヘテロ原子を含有する飽和単環式、二環式、又は多環式環を表す。各環は、好ましくは、3〜10員、より好ましくは4〜7員である。好適なヘテロシクロアルキル置換基の例には、ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフラニル、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、モルホリノ、1,3−ジアザパン、1,4−ジアザパン、1,4−オキサゼパン、及び1,4−オキサチアパンが含まれる。ヘテロシクロアルキル基は、典型的には、C−C12ヘテロシクロアルキル基である。この基は、末端基でも架橋基でもよい。
【0093】
「ヘテロシクロアルキルアルキル」とは、ヘテロシクロアルキル及びアルキル部分が本明細書で定義されたとおりのヘテロシクロアルキル−アルキル基を表す。代表的なヘテロシクロアルキルアルキル基には、(2−テトラヒドロフリル)メチル、(2−テトラヒドロチオフラニル)メチルが含まれる。この基は、末端基でも架橋基でもよい。基が末端基である場合、これはアルキル基により残りの分子に結合している。
【0094】
「ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル」とは、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアルキル部分が本明細書で定義されたとおりのヘテロシクロアルキル−ヘテロアルキル基を意味する。この基は、末端基でも架橋基でもよい。基が末端基である場合、これはヘテロアルキル基により残りの分子に結合している。
【0095】
「ヘテロシクロアルケニル」とは、少なくとも1個の二重結合を含むこと以外は本明細書で定義されたとおりのヘテロシクロアルキル基を表す。ヘテロシクロアルケニル基は、典型的には、C−C12ヘテロシクロアルケニル基である。この基は、末端基でも架橋基でもよい。
【0096】
用語「治療有効量」又は「有効量」とは、有益な又は所望の臨床結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、一回以上の投与で投与することができる。有効量とは、典型的には、病状の進行を緩和し、改善し、安定させ、逆行させ、遅らせ又は遅延させるのに十分な量である。放射性イメージングについての有効量は、典型的には、被検者の放射性核種を同定するのに十分な量である。
【0097】
用語「分子認識部分」は、特定の分子実体に結合することが可能な実体、典型的には、生理学的環境における受容体位置を表す。この用語には、抗体、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖及びリポソームが含まれる。
【0098】
本発明の合成方法は、リガンドの一端にある第三級窒素原子が、本明細書で記載のとおり、第一級アミンとの反応により選択的に置換されるトランスアミノ化反応を含む。この反応は、2つの反応物に対して不活性である任意の好適な溶媒(この溶媒の同定は、出発物質リガンドと第一級アミンの相対的溶解度により決定される)中で実施しうる。使用しうる溶媒の例には、ベンゼン、トルエン、キシレン;クロロベンゼン、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレンなどの脂肪族、芳香族、又はハロゲン化炭化水素;ジアルキルエーテル、エチレングリコールモノもしくは−ジアルキルエーテル、THF、ジオキサンなどのエーテル及びエーテル性化合物;アセトニトリル又は2−メトキシプロピオニトリルなどのニトリル;ジメチルホルムアミドなどのN,N−ジアルキル化アミド;そしてジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素;ならびにこれらの溶媒どうしの混合物が含まれる。
【0099】
反応は、任意の多くの好適な温度で実施してもよく、反応温度は、状況に応じて、またいくつかの場合においては脱離基の性質により、容易に決定することができる。特に、脱離アミンが、ジエチルアミン(55℃)、メチルエチルアミン(36℃)又はジメチルアミン(7℃)などのように低沸点を有する場合、アミンを反応混合物から除去して反応を促進するように、反応を、沸点を上回る温度で実施することが非常に望ましい。しかしながら、反応温度は、還流溶媒中、典型的には0〜100℃、より典型的には50〜80℃で実施する。いくつかの実施態様において、反応は、脱離基(NHR)が、反応混合物からの脱離基の除去を促進する気体であるような温度及び圧力で実施する。反応混合物は周知の方法により監視してもよく、反応時間の長さは、反応温度及び反応種の同一性などの多くの因子に基づく。しかしながら、反応は、典型的には、1〜24時間行う。
【0100】
一旦反応が終了したら、生成物を、典型的には当技術分野で公知の技術を使用して単離する。単離した物質は既に分子認識部分を含有していてもよく、あるいはこれを好適な分子認識部分と容易に反応させることができるようであってもよい。分子認識部分と容易に反応させることができる基の例には、カルボキシラート基(COH)又はスルホナート基(SOH)が含まれる。これらの基は、分子認識部分が標準的なペプチドカップリング技術を使用して結合されるように、容易に生成することができる。
【0101】
原則として、任意の広範な生物学的に活性な分子認識単位を本発明に用いうるが、唯一の制限は、使用する分子認識部分は、上述のとおり、本発明の化合物の末端残基の端部に結合するための好適な末端部分を含有せねばならないということである。例えば、末端残基がカルボキシラート又はスルホナート残基である場合、分子認識部分は、最も好適には、反応に利用しうる末端アミンを有する。この型の部分のカップリング反応は当技術分野で周知の方法で実施してもよく、典型的には、使用する固相又は液相ペプチド合成技術のいずれかを含んでもよい当技術分野で周知のペプチド合成技術を用いる。
【0102】
上述の方法を使用して生成しうる本発明の化合物の例には、以下:
【0103】
【化9】














が含まれる。
【0104】
分子認識部分を含有する化合物の例には、以下:
【0105】
【化10】


が含まれる。
【0106】
上述のとおり、本発明の化合物は、分子認識部分を有するか、あるいはそれを含有するように変更することができるため、有用である。
【0107】
本発明の化合物は、金属を被検者に送達するために、化合物が分子認識部分を含有する場合、金属を体内の所望の位置に送達するために使用しうるので、特に有用である。上記本発明の態様で使用される錯体のいくつかの実施態様において、金属は、鉄、ニッケル、パラジウム、カドミウム、マンガン、コバルト、銅及び亜鉛からなる群より選択される。いくつかの実施態様において、金属は、銅又は亜鉛である。いくつかの特定の実施態様において、金属は銅である。いくつかの特定の実施態様において、金属は亜鉛である。
【0108】
リガンドと錯体を形成した放射性核種を含有する本発明の、特に式(III)の化合物を、放射線療法又は画像診断用途のいずれかに使用しうる。それぞれの場合において、療法及び画像診断の両方とも、処置/イメージングが行われる被検者の所望の組織又は臓器において放射性核種を含有する錯体の局在化の促進に関与する分子認識部分に依存する。
【0109】
加えて、本化合物は、被検者への金属送達が重要となる処置方法に使用しうる。これらの金属処置は、金属が放射性核種である放射線療法の分野にあってもよく、あるいはそれらは、非放射性金属送達が有益である他の分野にあってもよい。
【0110】
したがって、本発明の錯体は、金属送達が病態を予防、軽減又は改善することができる多くの病態の治療又は予防に使用しうる。
【0111】
この型の多くの病態が存在する。この型の病態の例は、酸化ストレスに関連するか、又はこれにより引き起こされる病態である。多くの防御的生物学的抗酸化機構は金属触媒酵素を含むため、金属送達が生物学的抗酸化機構の活性を刺激又は再開させることができるのに役立ち、全般的な抗酸化効果が達成されるに至ることは知られている。一つの実施態様において、酸化ストレスに関連するか、又はこれにより引き起こされる病態は、心血管の病態、癌、白内障、神経障害、例えば、アルツハイマー病、プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)を含む)、及び心臓病、アミロイド生成性筋萎縮性側索硬化症(ALS)、プリオン伝播性海綿状脳症(TSE)、白内障、ミトコンドリア障害、メンケス病、パーキンソン病ならびにハンチントン病からなる群より選択される。
【0112】
別の実施態様において、障害は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ミトコンドリア/代謝性疾患及びフリードライヒ運動失調症からなる群より選択される神経筋障害である。
【0113】
本発明の一つの実施態様において、病態は、神経学的病態又は神経変性障害である。
【0114】
用語「神経学的病態」は、本明細書においてその最も広い意味で使用され、神経系の種々の細胞型が、神経変性障害もしくは傷害又は曝露の結果、変性しており、及び/又は、損傷を受けた病態を表す。特に、式(I)の錯体は、神経系の細胞に対する損傷が、外科的介入、感染、毒物への曝露、腫瘍、栄養不良又は代謝障害のために生じた、結果としての病態の処置に使用することができる。加えて、式(I)の錯体は、神経変性障害の続発症、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、てんかん、薬物乱用もしくは薬物中毒(アルコール、コカイン、ヘロイン、アンフェタミンなど)、脊髄障害、神経網膜のジストロフィーもしくは変性ならびに末梢性ニューロパシー、例えば、糖尿病性ニューロパシー及び/又は毒素により誘導される末梢性ニューロパシーの処置に使用することができる。神経学的病態に関して、本発明の化合物が、ニューロンならびに神経系の他の細胞、例えば星状膠細胞、希突起神経膠細胞、シュワン細胞などに対して効果を有することが期待されている。
【0115】
本明細書で使用される用語「神経変性障害」は、ニューロン完全性が脅かされている異常性を表す。ニューロン完全性は、ニューロン細胞の生存が減少しているとき、又はニューロンがもはや信号を伝えないときに、脅かされることがある。
【0116】
本発明の錯体を用いて処置できることが期待されている神経学的病態には、急性間欠性ポルフィリン症;アドリアマイシン誘発性心筋症;AIDS認知症及びHIV−1誘発性神経毒症;AD;ALS;アテローム性動脈硬化症;白内障;脳虚血;脳性麻痺;脳腫瘍;化学療法誘発性臓器損傷;シスプラチン誘発性腎臓毒症;冠動脈バイパス手術;CJD及び「狂牛」病に関連するその新規な変種;糖尿病性ニューロパシー;ダウン症候群;溺水;てんかん及び外傷後てんかん;フリードライヒ運動失調症;前頭側頭型認知症;緑内障;糸球体症;血色素沈着症;血液透析;溶血;溶血性尿毒症症候群(ワイル病);メンケス病;出血性脳卒中;ハレルフォルデン・スパッツ病;心臓発作及び再潅流傷害;HD;レヴィー小体病;間欠性跛行;虚血性脳卒中;炎症性腸疾患;黄斑変性症;マラリア;メタノール誘発性毒症、髄膜炎(無菌性及び結核性);運動ニューロン疾患;多発性硬化症;多系統萎縮症;心筋虚血;新生組織形成;パーキンソン病;周産期仮死;ピック病;進行性核上麻痺;放射線療法誘発性臓器損傷;血管形成術後の再狭窄;網膜症;老人性認知症;統合失調症;敗血症;敗血性ショック;海綿状脳症;くも膜下出血/脳血管けいれん;硬膜下血腫;神経外科などの外科手術による外傷;地中海貧血症;一過性脳虚血発作(TIA);移植;血管性認知症;ウイルス性髄膜炎;ならびにウイルス性脳炎が含まれる。
【0117】
更に、本発明の錯体はまた、他の処置の効果を増強させるために、例えば、脳由来神経成長因子のニューロン保護効果を増強させるために使用しうる。
【0118】
本発明の錯体はまた、貧血、好中球減少症、銅欠乏脊髄症(Copper deficiency Myelopathy)、銅欠乏症症候群(Copper deficiency Syndrome)及び高亜鉛血症を処置するために使用しうる。
【0119】
本発明の錯体はまた、中枢神経系の酸化的損傷を誘発する病態、例えば、急性及び慢性神経障害、例としては、脳虚血、脳卒中(虚血性および出血性)、くも膜下出血/脳血管けいれん、脳腫瘍、AD、CJD及び「狂牛」病に関連するその新規な変種、HD、PD、フリードライヒ運動失調症、白内障、レヴィー小体の形成を伴う認知症、多系統萎縮症、ハレルフォルデン・スパッツ病、びまん性レヴィー小体病、筋萎縮性側索硬化症、運動ニューロン疾患、多発性硬化症、致死性家族性不眠症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病及びアミロイド症を伴う遺伝性大脳出血(オランダ型)を処置するために使用しうる。
【0120】
より詳細には、本発明の錯体はまた、神経変性アミロイド症を処置するために使用しうる。神経変性アミロイド症は、神経学的損傷がアミロイドの沈着より生じる任意の病態でありうる。アミロイドは、種々のタンパク質又はポリペプチド前駆体(Aβ、シヌクレイン、ハンチンチン、又はプリオンタンパク質が含まれるがこれらに限定されない)より形成されうる。
【0121】
したがって、一つの実施態様における病態は、散発性もしくは家族性AD、ALS、運動ニューロン疾患、白内障、PD、クロイツフェルト・ヤコブ病及び「狂牛」病と関連するその新規な変種、HD、レヴィー小体の形成を伴う認知症、多系統萎縮症、ハレルフォルデン・スパッツ病、ならびにびまん性レヴィー小体病からなる群より選択される。
【0122】
一つの特定の実施態様において、神経変性アミロイド症は、Aβ関連病態、例えば、AD又はダウン症候群もしくは家族性ADの常染色体優性のいくつかの形態の一つに関連する認知症である(St George-Hyslop, 2000で概説されている)。最も好ましくは、Aβ関連病態はADである。
【0123】
本発明の特定の態様において、処置の前に、被検者は、AD評価スケール(ADAS)‐cog試験により、例えばADAS‐cog値が25以上と評価される、中程度にもしくは重度に損なわれた認知機能を有する。
【0124】
被検者の認知低下の鈍化又は抑止に加えて、本発明の錯体及び方法はまた、神経変性病態の治療又は予防に使用するのに適しているか、あるいは神経変性病態の症状の軽減に使用するのに適しうる。神経変性病態に対する素因のリスクが増大したと認定されている被検者、又は軽度認知障害もしくは最小の進行性認知障害などの認知低下という臨床前兆候を示す患者に投与する場合、これらの方法及び化合物は、認知低下の進行度を鈍化又は減少させる効果に加えて、臨床症状の発現を予防又は遅延させることができるかもしれない。
【0125】
現在、AD及び他の認知症は通常、一つ以上の警告症状が現れるまでは診断されない。これらの症状は、軽度認知障害(MCI)として知られる症候群を構成する。この障害は最近米国神経学会により定義されており、記憶障害を有するが、それ以外は良好に機能し、認知症の臨床基準を満たさない個体の臨床状態を表す(Petersen et al., 2001)。MCIの症状には、以下が含まれる:
(1) 職業技能に影響を及ぼす記憶喪失
(2) 慣れ親しんでいる仕事を行うのが困難
(3) 言語についての問題
(4) 時間及び場所に関する見当識障害(迷子)
(5) 判断力の乏しさ又は低下
(6) 抽象的思考についての問題
(7) 物の置き忘れ
(8) 気分又は挙動の変化
(9) 人格の変化
(10) 自主性の喪失
【0126】
MCIは、ミニメンタルステート試験、及び記憶障害検査などの従来の認知スクリーニング検査、ならびに神経心理学的スクリーニングバッテリーを使用して検出することができる。
【0127】
金属送達により処置することができる別の病態は癌である。用語「癌」は、癌遺伝子の活性化及び/又は腫瘍抑制遺伝子の不活性化を生じさせる累積的な多重遺伝子突然変異と関連する、ならびに/あるいは抑制されない細胞増殖と関連する任意の多数の異なる疾患のことを述べている。これらの突然変異の原因及び根源は、人体の臓器の異なる癌の間で異なる。
【0128】
本発明は特に、脳腫瘍を含む脳癌を対象にしている。脳癌もしくは腫瘍は、神経膠腫であっても非神経膠腫脳腫瘍であってもよい。用語「癌」及び「腫瘍」は、本明細書において互換的に使用されうる。「癌」には、以下の状態の任意の一つが含まれうる:神経膠腫、腺腫、芽細胞腫、癌腫、肉腫(ならびに髄芽細胞腫、上衣細胞腫、星状膠細胞腫、視神経膠腫、脳幹神経膠腫、希突起膠腫、神経節膠腫、頭蓋咽頭腫又は松果体部腫瘍の任意の一つを含む)。「神経膠腫」の意味には、GMB、星状膠細胞腫及び退形成性星状膠細胞腫又は関連脳癌が含まれる。
【0129】
本発明の錯体はまた、タウ関連障害を処置するのに使用することができる。タウタンパク質は、中枢神経系で発現され、細胞内微小管ネットワークを安定させることにより、ニューロン構成において決定的な役割を果たすタンパク質であるので、重要なタンパク質である。したがって、トランケーション、過剰リン酸化によっての、あるいは6個の自然に生じるタウアイソフォーム間の均衡を乱すことによってのタウタンパク質の生理学的役割のいかなる障害も被検者にとって有害であり、神経原繊維変化(NFT)、ジストロフィー神経突起及び神経絨毛糸の形成をもたらす。これらの構造の主要なタンパク質サブユニットは微小管関連タンパク質タウである。AD患者の検視において見出されるNFTの量は、知性低下を含む臨床症状と相関関係がある。したがって、タウタンパク質はAD病理において決定的な役割を果たす。第17染色体と連鎖したパーキンソン病を伴う疾患である前頭側頭型認知症(FTDP−17)についてのタウ遺伝子における特定の突然変異の同時分離の最近の発見により、タウタンパク質における一定の異常性が、罹患した個体の神経変性及び認知症の主因となりうることが確認された。
【0130】
理論により拘束されることを望まず、本発明の錯体のタウリン酸化の程度を減少させる活性は、金属を細胞に送達するそれらの能力と、それ故のそれらの抗酸化活性の結果であると感じられる。錯体の抗酸化剤として作用する能力とは、それらが、OSがタウの過剰リン酸化と細胞機能障害をもたらしうるので、所望のOSからの保護を与えることを意味すると感じられる。その結果、これらの錯体の生物学的に重要な金属を細胞に送達する能力は、それらが抗酸化剤として機能する(特に、酸化ストレスが金属欠乏により引き起こされる場合)ことを可能にするが、それは同様に、金属錯体が、タウオパシーを予防(又は治療)する能力を有しうることを意味する。
【0131】
タウ障害、又はより口語的にはタウオパシーと認識される多くの障害又は病態が存在する。この型の障害には、リチャードソン症候群、進行性核上性麻痺、嗜銀顆粒性疾患、大脳皮質基底核変性症、ピック病、第17染色体と連鎖したパーキンソン病と関連する前頭側頭型認知症 9FTDP−17)、脳炎後パーキンソン病(PEP)、ボクサー認知症、ダウン症候群、アルツハイマー病、家族性イギリス型認知症、家族性デンマーク型認知症、パーキンソン病、グアム・パーキンソン病複合(Parkinson's Disease complex of Guam)(PDC)、筋緊張性ジストロフィー、ハレルフォルデン・スパッツ病、及びニーマン・ピック病C型が含まれる。
【0132】
本錯体はまた、Aβ関連障害の処置に使用しうる。パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、ニューロパシー、ハンチントン病、プリオン病、運動ニューロン疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、メンケス病、及びアミロイド症からなる群より選択される障害を含む多くのAβ障害が知られている。
【0133】
本発明の錯体はまた、金属を細胞に送達できることが示されているので、それらは、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)に影響を及ぼす能力を有する。マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、亜鉛−及びカルシウム−依存性分泌又は膜固定エンドペプチダーゼのファミリーであり、多くの重要な生物学的機能を果たす。MMPは、多くの生理学的過程に関与するだけでなく、広範な疾患の原因となる病態生理学的機構にも関わっている。MMPの病理学的発現及び活性は、癌、アテローム性動脈硬化、脳卒中、関節炎、歯周病、多発性硬化症及び肝線維症に関連する。したがって、本発明の錯体はこれらの病態に影響を及ぼす潜在性を有する。
【0134】
一般に、処置すべき病態に応じて、有効量の金属錯体(最適な所望の金属を含む)を患者又は被検者に投与する。選択される金属は、患者の病態及び状態に依存する。
【0135】
式(III)の放射性標識化合物の使用に関して、これらが有効量の放射性標識化合物の被検者への投与に使用され、その後、放射性標識化合物が体内の特定の位置で局在化しているかどうか、あるいは化合物が大まかに言って体中に均一に分布しているかどうかを決定する適切な時間の後に、被検者を監視することが期待されている。概して、放射性標識化合物が体の組織又は臓器に局在化している場合、このことは、使用する特定の分子認識部分により認識されている部分の組織又は臓器における存在を示している。
【0136】
したがって、分子認識部分の慎重な選択は、画像診断用途における本発明の任意の放射性標識化合物の効力を決定する上で重要である。この点について、十分に特性決定され、体内の一定の受容体を選択的に標的とすることが知られている広範な分子認識部分は、当技術分野で公知である。特に、多くの分子認識部分は、患者が一定の医学的病態を患っている場合、組織又は臓器を標的とすることが知られている。公知であり、本発明に使用しうる分子認識部分の例には、オクトレオタート、オクトレオチド、[Tyr]−オクトレオタート、[Tyr]−オクトレオタート、ボンベシン、ボンベシン(7−14)、ガストリン放出ペプチド、単一アミノ酸、ぺネトラチン、アネキシンV、TAT、環状RGD、グルコース、グルコサミン(及び延伸した炭水化物)、葉酸、ニューロテンシン、神経ペプチドY、コレシストキニン(CCK)類似体、血管作動性腸ペプチド(VIP)、サブスタンスP、α−メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)が含まれる。例えば、一定の癌はソマトスタチン受容体を過剰発現することが知られているので、分子認識部分はこれらの受容体を標的とするものであってよい。この型の分子認識分の例は、[Tyr]−オクトレオタートである。他の実施例において、分子認識部分は、乳癌及び膵臓癌を標的とすることが知られているボンベシンである。
【0137】
放射性標識物質の局在化についての被検者の監視により、典型的には、分析者に、放射性標識物質の位置、それ故分子認識部分が標的とする任意の物質(例えば癌組織)の位置に関する情報が与えられる。有効量の本発明の化合物は多くの因子に依存しており、必要に応じて、所望の放射線イメージング効果を達成するのに要する放射能の量と被検者(又は彼らの組織又は臓器)を有害となりうるいかなる不必要な放射レベルにも曝露させないことについての一般的な関心との間のバランスを伴う。
【0138】
放射線療法に関する本発明の治療方法は、放射性核種と錯体を形成している式(III)の化合物の投与を含む。式(III)の化合物は、典型的には、放射性核種をその作用形式が必要とされる体内の所望の位置に送達するための分子認識部分を含有する。上述のとおり、そのような分子認識分の例は当技術分野で公知であり、当業者は処置すべき体内の所望の組織を標的とするための適切な分子認識部分を選択することができる。
【0139】
治療有効量は、臨床担当医が、従来の技術を使用し、同様の環境下で得られた結果を観察することにより容易に決定することができる。治療有効量を決定する際には、動物種、その大きさ、年齢及び全般的な健康、含まれる特定の病態、病態の重篤度、処置に対する患者の応答、投与される特定の放射性標識化合物、投与形式、投与される製剤の生物学的利用能、選択される投薬計画、他の薬物療法の使用及び他の関連状況(これらに限定されない)を含む多くの因子が考慮されるべきである。
【0140】
加えて、処置計画は、典型的には、病態が改善されるときまでサイクルを継続する放射線処置の多くのサイクルを含む。サイクルの最適な数及び各処置サイクル間の間隔も同様にまた、処置される病態の重篤度、処置される被検者の健康(又はその欠如)及び彼らの放射線療法に対する反応などの多くの因子に依存する。一般に、最適な投薬量及び最適な処置計画は、周知の技術を使用して当技術分野の当業者が容易に決定することができる。
【0141】
本化合物を所望の用途(イメージング又は放射線療法)に利用可能とする任意の形態又は形式で、本発明の化合物を投与することができる。この型の処方物の調製という技術分野の当業者は、選択される化合物の具体的な特性、処置すべき病態、処置すべき病態の段階及び他の関連状況に応じて、適切な投与形態及び形式を容易に選択することができる。我々は、更なる情報については、読者に、Remingtons Pharmaceutical Sciences, 19th edition, Mack Publishing Co. (1995)を紹介する。
【0142】
本発明の化合物は、単独で、あるいは薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は賦形剤と組み合わせた医薬組成物の形態で投与することができる。本発明の化合物は、それ自体で効果的であるが、典型的には、それらの薬学的に許容しうる塩の形態で処方及び投与されるが、それはこれらの形態が、典型的には、より安定で、より容易に結晶化し、増大した溶解性を有するからである。
【0143】
しかし、本化合物は、典型的には、所望の投与形式に応じて処方される医薬組成物の形態で使用する。本組成物は、当技術分野で周知の方法で調製する。
【0144】
他の実施態様において、本発明は、本発明の医薬組成物の一つ以上の成分を充填した一つ以上の容器を含む薬学的パック又はキットを提供する。そのようなパック又はキットには、薬剤の単位投与量を有する少なくとも一つの容器を見出すことができる。好都合には、キットでは、単一の投与量が無菌バイアルに与えられ、臨床医がバイアルを直接利用することができる(ここで、バイアルは、使用前に混合しうる化合物及び放射性ヌクレオチドの所望の量及び濃度を有する)。そのような容器には、種々の記載物、例えば、使用説明書、あるいは医薬品、造影剤又は生物学的製剤の製造、使用又は販売を規制する政府機関により規定された通告(この通告は、ヒトへの投与のための製造、使用又は販売についての政府機関による許可を示している)を付随することができる。
【0145】
本発明の化合物は、抗癌剤である一つ以上の追加的な薬物と、ならびに/あるいは、記載した障害/疾患の処置のための手順(例えば、手術、放射線療法)と組み合わせて、使用又は投与しうる。本成分は、同じ処方又は別々の処方で投与することができる。別々の処方で投与する場合、本発明の化合物は、順次に、又は他の薬物と同時に投与しうる。
【0146】
抗癌剤を含む一つ以上の追加的な薬物と組み合わせて投与することができることに加えて、本発明の化合物は併用療法で使用してもよい。これを行う場合、本化合物は、典型的には、互いに組み合わせて投与する。したがって、一つ以上の本発明の化合物は、所望の効果を達成するために、同時に投与しても(併用製剤として)、順次に投与してもよい。これは、各化合物の治療プロフィールが異なっているために2つの薬物の併用効果が改善された薬学的結果を与える場合にとりわけ望ましい。
【0147】
非経口注入用の本発明の医薬組成物は、薬学的に許容しうる無菌水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液又は乳液、ならびに使用直前に無菌注入可能溶液又は分散液に復元するための無菌粉末剤を含む。適切な水性及び非水性担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びその好適な混合物、植物油(オリーブ油など)、ならびにオレイン酸エチルなどの注入可能有機エステルが含まれる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用により、分散液の場合の所要の粒径の維持により、ならびに界面活性剤の使用により維持することができる。
【0148】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などの補助剤を含有しうる。微生物の作用の保護は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール ソルビン酸などを含むことにより確保してよい。糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことも望ましいかもしれない。注入可能な剤形の長時間の吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含むことによりもたらされうる。
【0149】
所望であれば、またより効果的な分布のために、本化合物を、ポリマーマトリックス、リポソーム、及びミクロスフェアなどの徐放又は標的送達系に組み込むことができる。
【0150】
注入可能製剤は、例えば、細菌保持フィルタを通した濾過により、あるいは使用直前に無菌水又は他の無菌注入可能媒体に溶解又は分散することができる無菌固体組成物の形態の殺菌剤を組み込むことにより殺菌することができる。
【0151】
経口投与用の固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末剤、及び顆粒剤が含まれる。そのような固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウム又は第二リン酸カルシウムなどの少なくとも一つの不活性な薬学的に許容しうる賦形剤又は担体、ならびに/あるいはa)デンプン、乳糖、ショ糖、グルコース、マンニトール、及びケイ酸などの充填剤又は増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、及びアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、一定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイト粘土などの吸収剤、そしてi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びその混合物などの滑沢剤と混合する。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、剤形は緩衝剤を含んでもよい。
【0152】
同型の固体組成物はまた、ラクトースすなわち乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用い、軟及び硬充填ゼラチンカプセル中で、充填剤としても利用しうる。
【0153】
錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤の固体剤形は、医薬処方技術分野において周知の腸溶性コーティング及び他のコーティングなどのコーティング及びシェルと共に調製することができる。これらは、場合により、乳白剤を含有してもよく、活性成分のみを、又は活性成分を優先的に、腸管の一定の部分において、場合により遅延して放出する組成物であってよい。使用することができる埋め込み組成物(embedding compositions)の例には、ポリマー物質及びロウが含まれる。
【0154】
所望であれば、またより効果的な分布のために、本化合物を、ポリマーマトリックス、リポソーム、及びミクロスフェアなどの徐放又は標的送達系に組み込むことができる。
【0155】
本活性化合物はまた、適切な場合、一つ以上の上記賦形剤を有するマイクロカプセル化形態とすることができる。
【0156】
経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容しうる乳剤、液剤、懸濁液、シロップ剤及びエリキシル剤が含まれる。活性化合物に加えて、液体剤形は、当技術分野で通常使用される不活性希釈剤、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油状物(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物を含有してもよい。
【0157】
不活性希釈剤のほかに、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、着香剤、ならびに芳香剤を含むことができる。
【0158】
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁剤、例えば、エトキシ化イソステアリールアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微晶質セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、及びトラガカンタ、ならびにその混合物を含有してもよい。
【0159】
上述のとおり、本実施態様の化合物は、増殖性疾患を処置及び/又は検出する上で有用でありうる。そのような細胞増殖性疾患又は病態の例には、癌(任意の転移を含む)、乾癬、及び再狭窄などの平滑筋細胞増殖性障害が含まれる。本発明の化合物は、乳癌、結腸癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、頭部癌及び/又は頸部癌、あるいは腎臓癌、胃癌、膵臓がん及び脳癌ならびに血液学的悪性腫瘍、例えばリンパ腫及び白血病などの腫瘍を処置及び/又は検出する上で特に有用でありうる。加えて、本発明の化合物は、他の抗癌剤を用いた処置及び/又は検出では効果がない増殖性疾患を処置及び/又は検出する上で;ならびに白血病、乾癬及び再狭窄などの過剰増殖性病態を処置及び/又は検出する上で有用でありうる。他の実施態様において、本発明の化合物は、前癌病態又は過形成、例えば、家族性大腸腺腫症、大腸腺腫症ポリープ、骨髄異形成症、子宮内膜異形成症、異型性子宮内膜過形成(endometrial hyperplasia with atypia)、子宮頸部異形成症、膣上皮内腫瘍、良性前立腺過形成、喉頭の乳頭腫、紫外線及び日光角化症、脂漏性角化症ならびに角化棘細胞腫を処置及び/又は検出するのに使用することができる。
【0160】
本発明の化合物の合成
容易に入手しうるか、又は入手しうる出発物質から合成することができる出発物質を使用する当技術分野で利用可能な技術を用い、下記の反応経路及び合成スキームを使用して、種々の実施態様の薬剤を調製しうる。本実施態様の特定の化合物の調製は以下の実施例に詳細に記載されるが、当業者は、記載された化学反応が種々の実施態様の多くの他の薬剤を調製するように容易に適合しうることを認めるであろう。例えば、非例示化合物の合成は、当業者にとって明らかな変更により、例えば、妨害基を適切に保護することにより、当技術分野で公知の他の好適な試薬に変更することにより、又は反応条件を日常的に変更することにより首尾よく実施しうる。有機合成における好適な保護基の一覧は、T.W. Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, John Wiley & Sons, 1991に見出すことができる。代替的には、本明細書で開示の、又は当技術分野で公知の他の反応は、種々の実施態様の他の化合物を調製するための適用性を有することが認められるであろう。
【0161】
化合物を合成するのに有用な試薬は、入手しうるか、又は当技術分野で公知の技術に従って調製しうる。一般的な反応スキームをスキーム1に示す。
【0162】
【化11】

【0163】
したがって、式(II)の好適に置換されたビスチオセミカルバゾンを、置換反応において、式:NHのアミンと反応させて、式(I)の化合物を形成する。そのようにして生成された化合物を、好適な溶媒中で酢酸銅と反応させることによりそれらの銅塩に簡単に変換しうる。
【0164】
実施例
下記の実施例において、他に示さない限り、以下の記載中の全ての温度は摂氏であり、全ての部及び%は、他に示さない限り、重量部及び重量%である。
【0165】
種々の出発物質及び他の試薬は、Aldrich Chemical Company又はLancaster Synthesis Ltd.などの商業供給者より購入し、他に示さない限り、更に精製しないで使用する。テトラヒドロフラン(THF)及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)をAldrichからSureSeal bottlesで購入し、受領したまま使用した。全ての溶媒は、他に示さない限り、当技術分野における標準的な方法を使用して精製した。
【0166】
以下に記載の反応は、窒素、アルゴンの陽圧下、又は乾燥管を用い、周囲温度(他に述べない限り)で、無水溶媒中で実施し、反応フラスコにゴム隔膜を装着して、シリンジを介し基質及び試薬を導入する。ガラス器はオーブン乾燥及び/又は熱乾燥させた。
【0167】
処理は、典型的には、反応溶媒又は抽出溶媒で反応容量を倍にし、次に(他に示さない限り)25容量%の抽出容量を使用する指示された水溶液で洗浄することにより行う。生成物溶液を濾過の前に無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒の蒸発を減圧下ロータリーエバポレーターで行うと、溶媒が真空下で除去されたことを認めた。
【0168】
質量分析は、Agilent 1100 LCシステム(Agilent, Palo Alto, CA)に接続したAgilent 6510 Q-TOF LC/MS質量分析計により、陽イオンモードで記録した。データを得て、参照質量を、工場設定較正手順を使用し、デュアルスプレーエレクトロスプレーイオン化源により訂正した。全イオンクロマトグラム上の各スキャン又はデータ点は、平均9652トランジェントであり、1.02スキャンs−1を生じる。各ピークにわたるスキャンを平均化することにより、スペクトルを生成した。質量分析計条件:フラグメンター(fragmentor):200〜300V;乾燥ガス流:7L/分;ネブライザー:30psi;乾燥ガス温度:325℃;Vcap:4000V;スキマー:65V;OCTRV:750V;得られたスキャン範囲:150〜3000m/z。
【0169】
HPLC−MSトレースを、上記Agilent 6510 Q-TOF LC/MS質量分析計に接続したAgilent Eclipse Plus C18カラム(5μm、2.1×150mm)を使用して記録した。各試料のアリコート1μLを、Agilent 1100 LCシステムを使用し、流量0.5ml/分でカラムに注入した。データ取得パラメーターは、フラグメンター(フラグメンター電圧:100V)を除いて、質量スペクトルについて上述のものと同じである。
【0170】
NMRスペクトルを、H NMRについては500MHzで、13C−NMRについては125.7MHzで作動するFT-NMR 500分光計で記録した。NMRスペクトルを、参照基準(各々2.50ppm)として残留溶媒を使用し、d−DMSO溶液(ppmで報告)として得た。他のNMR溶媒を必要に応じて使用した。ピーク多重性が報告される場合、以下の略語が使用される:s=一重項、d=二重項、t=三重項、m=多重項、br=広帯域(broadened)、dd=二重項の二重項、dt=三重項の二重項。カップリング定数が示される場合、ヘルツで報告される。
【0171】
Agilent 1200 Series HPLCシステムを流量5ml/分で使用して、セミ分取HPLC精製を実施した。溶媒勾配及びカラムの仕様は実施例に記載される。自動化Agilent 1200画分回収器が画分1〜3mlを回収し、画分の回収は、214又は220nmでの紫外可視検出(下限閾値100〜400mAU)に基づく。各画分は、MS及び分析HPLCを使用して分析した。
【0172】
Agilent 1200 Series HPLCシステム及びAgilent Zorbax Eclipse XDB-C18カラム(4.6×150mm、5μm)を、流量1ml/分かつ214nm、220nm及び270nmでのUV分光検出で使用して、分析HPLCトレースを得た。
【0173】
Cary 300 Bio紫外可視分光光度計により、800〜200nm、データ間隔0.500nm、走査速度300.00nm/分で紫外可視スペクトルを得た。
【0174】
電解電量計の実験を、Autolab(Eco Chemie, Utrecht, Netherlands)コンピュータ制御電気化学ワークステーションを用いて実施した。ガラス状炭素ディスク(d、3mm)を作用電極として、白金線(Pt wire)を補助電極として、Ag/AgClを参照電極(HO(KCl(0.1M)AgNO(0.01M))中の銀線)とした、標準的な3電極配置を使用した。走査速度:100mV/秒、試料間隔:1.06mV、感度:1×10−4A。
【0175】
ヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器及び紫外可視検出器を備えるShimadzu LC-20ATに接続したWaters Comosil C18カラム(4.6×150mm)を使用して、放射性標識ペプチドのHPLCトレースを得た。各放射性標識試料のアリコート100μLを、流量1ml/分で、カラムに注入した。
【0176】
以下の実施例は、開示された実施態様を説明することを意図するものであって、その実施態様に制限されているものと解釈すべきではない。下記以外の更なる化合物を、上記反応スキーム又はその適切な改変もしくは変更を用いて調製しうる。
【0177】
実施例1
モノケト−チオセミカルバゾン、
【0178】
【化12】

【0179】
蒸留水(50mL)中の2,3−ブタンジオン(2.39g、27.7mmol)の溶液を、数滴の濃HCl(36%)で酸性化し、5℃に冷却した。4−メチル−3−チオセミカルバジド(2.65g、25.2mmol)を、1.5時間かけて撹拌冷溶液に少量ずつ加えて、白色の沈殿物を生成し、それを更に40分間撹拌した。沈殿物をクロロホルム(50+50+40mL)に抽出し、抽出物を合わせ、MgSO・3HOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。わずかに濁りが出るまでn−ペンタンを溶液に加え、次にそれを−20℃に冷却して、白色の針状物質を得た。生成物を濾過により回収し、n−ペンタンで洗浄し、乾燥させて、1(3.26g、18.82mmol、75%)を得た。H NMR(d−DMSO、500MHz):δ1.96,3H、s、CH;δ2.42、3H、s、CH;δ3.05,3H、d、HH=4.5Hz、NH−CH;δ8.61,1H、m、NH;δ10.61,1H、s、NH。
【0180】
実施例2
ジアセチル−ビス−(N’−ジメチル、N”−メチルチオセミカルバゾン)(L
【0181】
【化13】

【0182】
DMF(3mL)中の実施例1の化合物(0.92g、5.3mmol)の溶液に、4,4−ジメチル−3−チオセミカルバジド(0.76g、6.4mmol、1.2当量)及び酢酸(5滴、氷状)を加えた。得られた溶液を室温で48時間撹拌した。水(50mL)を加えると、黄色の固体が溶液より沈殿した。懸濁液を氷浴中で冷却し、その後鮮黄色の固体を濾過により回収し、水(×1)、エタノール(×2)及びジエチルエーテル(×3)で洗浄し、乾燥させて、標記化合物(1.30g、4.7mmol、89%)を得た。H NMR(d−DMSO、500MHz):δ2.15,3H、s、CH;δ2.19,3H、s、CH;δ3.03、3H、d、HH=4.5Hz、NH−CH;δ3.27,、6H、(CH;δ8.36、bq、1H、HH=4.5Hz、NH−CH;δ9.49、bs、1H、NH;δ10.16、bs、1H、NH。13C NMR(125MHz):δ11.1、CH;δ11.4、CH;δ31.2、NH−CH;δ42.3,(CH;δ148.0、C=N;δ149.4、C=N;δ178.5、C=S;δ181.7、C=S。MS:(+ve イオン)m/z[(L)+H275.3(実験値)、275.1(計算値)、(−ve イオン)m/z[(L)−H273.3(実験値)、273.1(計算値)。単一結晶X線結晶学に好適な結晶は、DMSO中の濃縮溶液より生長させた。
【0183】
実施例3
ジアセチル−ビス−(N’−酪酸、N”−メチルチオセミカルバゾン),(L2)
【0184】
【化14】

【0185】
アセトニトリル(30mL)中の実施例2の化合物(0.28g、1.0mmol)の撹拌懸濁液に、g−アミノ酪酸(0.21g、2.0mmol、2当量)を加えた。得られた黄色の懸濁液を、N雰囲気下で34時間加熱還流した。得られた明クリーム色の懸濁液を室温に冷まし、白色の固体を濾過により回収し、HCl(3%、3×3.5mL)、アセトニトリル(×1)及びジエチルエーテル(×3)で洗浄し、乾燥させて、所望の化合物(L)(0.28g、0.8mmol、81%)を得た。H NMR(d−DMSO、500MHz):δ1.81,2H、m、CH−CH−CH;δ2.21、6H、s、CH;δ2.25,2H、t、HH=7.5Hz、CH−COOH;δ3.02、3H、d、HH=4.5Hz、NH−CH;δ3.58,2H、m、NH−CH−CH2;δ8.38,1H、q、HH=4.5Hz、NH−CH;δ8.44,1H、t、HH=6Hz、NH−CH;δ10.18,1H、s、NH;δ10.23,1H、s、NH。13C NMR(125MHz):δ11.6、CH;δ11.7、CH;δ24.2、CH−CH−CH;δ31.2、NH−CH、CH−COOH;δ43.2、NH−CH;δ147.9、C=N;δ148.1、C=N;δ174.2、C=O;δ177.8、C=S;δ178.5、C=S。MS:(+ve イオン)m/z[(L)+H333.4(実験値)、333.1(計算値)、(−ve イオン)m/z[(L)−H331.3(実験値)、331.1(計算値)。
【0186】
実施例4
Cu−ジアセチル−ビス−(N’−酪酸、N”−メチルチオセミカルバゾン),Cu(L
【0187】
【化15】

【0188】
室温で攪拌したDMF(2mL)中の実施例3の化合物(0.11g、0.3mmol)の溶液に、Cu(OAc)・HO(0.07g、0.4mmol)を加えた。赤/褐色の溶液を室温で17時間撹拌した。水(40mL)を溶液に加えると、褐色の固体が沈殿した。固体を濾過により回収し、水、エタノール及びジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、Cu(L)(0.09g、0.2mmol、70%)を得た。MS:(+ve イオン)[Cu(L)+H m/z 100% 394.02994(実験値)、394.03069(計算値)。RP HPLC:R=9.879分。
【0189】
実施例5
ジアセチル−ビス−(N’−ヘキサン酸、N”−メチルチオセミカルバゾン),L
【0190】
【化16】

【0191】
実施例3で用いた同様の手順に従って、実施例2の生成物(0.31g、1.1mmol)及び6−アミノカプロン酸(0.30g、2.3mmol)を使用して、標記化合物L(0.33g、81%)を調製した。H NMR(dDMSO、500MHz):δ1.29,2H、m、NH−CH−CH−CH;δ1.55,4H、m、NH−CH−CH、CH−CH−COOH;δ2.20、6H、s、CH;δ2.21、2H、t、HH=7.5Hz、CH−COOH;δ3.02、3H、d、HH=5Hz、NH−CH;δ3.55、2H、m、NH−CH;δ8.37、2H、m、NH−CH、NH−CH;δ10.14,1H、s、NH;δ10.21、1H、s、NH;δ11.97、1H、bs、OH。13C NMR(125MHz):δ11.7、CH;δ24.2、NH−CH−CH;δ25.9、NH−CH−CH−CH;δ28.4、CH−CH−COOH;δ31.2、NH−CH;δ33.6、CH−COOH;δ43.6、NH−CH;δ147.9、C=N;δ148.0、C=N;δ174.4、C=O;δ177.6、C=S;δ178.5、C=S。MS:(+ve イオン) m/z [(L)+H361.4(実験値)、361.1(計算値)、(−ve イオン) m/z [(L)−H359.4(実験値)、359.1(計算値)。
【0192】
実施例6
Cu−ジアセチル−ビス−(N’−ヘキサン酸、N”−メチルチオセミカルバゾン),Cu(L
【0193】
【化17】

【0194】
室温で攪拌したDMF(2mL)中の実施例5の化合物(0.15g、0.4mmol)の溶液に、Cu(OAc)・HO(0.08g、0.4mmol)を加えた。赤/褐色の溶液を室温で17時間撹拌した。水(40mL)を溶液に加えると、褐色の固体が沈殿した。固体を濾過により回収し、水、エタノール及びジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、Cu(L)(0.16g、0.4mmol、88%)を得た。MS:(+ve イオン)[Cu(L)+H m/z 100%422.06471(実験値)、422.06199(計算値)。RP HPLC:R=11.023分。
【0195】
実施例7 L
【0196】
【化18】

【0197】
実施例3で用いた同様の手順に従って、アセトニトリル(8mL)中の実施例2の生成物(0.51g、1.9mmol)に、tert−ブチル2−アミノエチルカルバマート(0.48g、3.0mmol、1.6当量)を加えた。得られた黄色の懸濁液を、N雰囲気下で3時間加熱還流し、続いてTLC分析を行った(7.5%MeOH/CHCl v/v)。一旦反応が完了したら、得られた白色の懸濁液を室温に冷まし、白色の固体を濾過により回収し、アセトニトリル(×1)及びジエチルエーテル(×3)で洗浄し、乾燥させて、H(0.59g、1.5mmol、81%)を得た。Rf(7.5%MeOH/CHCl v/v)0.5.(実測値:C、43.08;H、6.88;N、25.02;C1427の計算値:C、43.17;H、6.99;N、25.17)。H NMR(d−DMSO、500MHz):δ=1.37、9H、s、(CH;2.21、3H、s、CH;2.23、3H、s、CH;3.02、3H、d、HH=4.5Hz、CH−NH;3.18、2H、q、HH=5.5Hz、CHNHC=O;3.60、2H、q、HH=5.5Hz、NHCH;6.99、1H、t、HH=5Hz、NHC=O;8.37、1H、q、HH=4.5Hz、NH−CH;8.44、1H、t、HH=5Hz、NH−CH;10.24、2H、brs、NH。13C{H}NMR(125.7MHz):δ=11.7、CH;11.8、CH;28.2,(CH;31.2、NH−CH;39.1、CHNHC=O;δ44.5、NHCH;77.9、C(CH;147.8、C=N;148.3、C=N;156.2、C=O;178.1、C=S;178.5、C=S。ESI−MS:(+ve イオン) m/z 100%[M+H]390.17(実験値)、390.17(計算値)。
【0198】
実施例8 CuII(L
【0199】
【化19】

【0200】
エタノール(5mL)中の実施例7の化合物(0.08g、0.2mmol)の懸濁液に、Cu(OAc)・HO(0.04g、0.2mmol)を加えた。赤/褐色の溶液を4時間還流下で撹拌した。溶媒を真空下で除去し、褐色の残留物をジクロロメタン(3mL)に溶解し、ヘキサン(30mL)で沈殿させた。固体を濾過により回収し、ヘキサンで洗浄し、乾燥させて、CuII(L)(0.08g、0.18mmol、0.88%)を得た。(実測値:C、37.30;H、5.60;N、21.65;CuC1425の計算値:C、37.28;H、5.59;N、21.74)。ESI−MS:(+ve イオン)[M+H] m/z 100%451.09(実験値)、451.08(計算値)。RP HPLC(E系):R=8.002分。単一結晶X線結晶学に好適な結晶は、アセトン中の濃縮溶液より生長させた。
【0201】
実施例9 [H][CFCO
【0202】
【化20】

【0203】
氷浴中で冷却したトリフルオロ酢酸(5mL、0℃)の溶液に、H(0.12g、0.3mmol)を、窒素雰囲気下で0.5時間かけて少量ずつ加えた。清澄な溶液混合物を室温に温め、2時間撹拌した。溶媒を除去して、黄色の油状物を得た。ジエチルエーテルを加え、白色の固体を沈殿させて、それを濾過により回収し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、[H][CFCO]・HO(0.096g、76%)を得た。(実測値:C、31.65;H、4.86;N、22.80;C1120・HOの計算値:C、31.35;H、5.26;N、23.26)。H NMR(d−DMSO、500MHz):δ=2.22、6H、s、CH;3.02、3H、d、HH=5.5Hz、CH−NH;3.05、2H、t、HH=7.5Hz、CH;3.83、2H、q、HH=7.5Hz、CH;7.83、3H、brs、NH;8.40、1H、m、NH−CH;8.48、1H、t、HH=7.5Hz、NH−CH;10.25、1H、brs、NH;10.51、1H、brs、NH。13C{H}NMR(125.7MHz):δ=11.8、CH;11.9、CH;31.2、NH−CH;38.1、CH;δ41.3、CH;147.7、C=N;148.9、C=N;178.5、C=S。ESI−MS:(+ve イオン) m/z 100%[M]290.12(実験値)、290.12(計算値)。RP HPLC(A系):R=7.497分。
【0204】
実施例10 [CuII(H)][CFCO
【0205】
【化21】

【0206】
[H][CFCO]の合成に用いた同様の手順に従って、CuII(L)(0.04g、0.09mmol)を使用して、[CuII(H)][CFCO(0.04g、77%)を調製した。(実測値:C、26.80;H、3.38;N、16.65;C1319CuFの計算値:C、26.97;H、3.31;N、16.93)。ESI−MS:(+ve イオン)[M+H] m/z 100%351.04(実験値)、351.04(計算値)、[M+2H] m/z 100%176.02(実験値)、176.02(計算値)。RP HPLC(A系):R=7.227分。
【0207】
実施例11
固相ペプチド合成
一般手順:側鎖保護BBN(7−14)−NH(H−Gln(Trt)−Trp(Boc)−Ala−Val−Gly−His(Trt)−Leu−Met−NH−樹脂)を、標準的なFmoc固相ペプチド合成手順を使用して、PAL−PEG樹脂(装填:0.2mmol/g)上でアセンブルした。ビス(チオセミカルバゾン)又はビス(チオセミカルバゾナト)−銅(II)錯体(2〜3当量)の溶液を、DMF(1mL)中のHATU(2〜3当量)及びDIPEA(4〜6当量)で事前に活性化し、焼結ガラス漏斗中の樹脂に加えた。混合物を、時折攪拌しながら、1時間反応させた。反応溶液を排出し、樹脂をDMF(3×5mL)及びDCM(3×5mL)で洗浄した。
【0208】
開裂
樹脂1g当たり10mLで、TIPS/HO/TFA(2.5/2.5/95%)の溶液を使用して、樹脂及び保護基の開裂を実施し、それを3時間振とうした。次に、溶液を濾過し、連続したN流を散布して、容量を20%に減少させた。次に、冷エーテル(40mL)を加えて、ペプチドを沈殿させ、次に、それを4000rpmで4分間遠心分離した。エーテル層をデカントし、ペプチドを自然乾燥させて、50%アセトニトリル/HOに可溶化した。粗ペプチドを濾過し、液体Nで凍らせ、凍結乾燥させた。
【0209】
ペプチド−ビス(チオセミカルバゾン)精製
粗ペプチド物質を、セミ分取逆相HPLCにより精製した。
【0210】
実施例12
ジアセチル−ビス−(N’−酪酸、N”−メチルチオセミカルバゾン)−BBN(7−14),
−BBN(7−14)
【0211】
【化22】

【0212】
PAL−PEG樹脂(0.3g、0.06mmol)上のボンベシン(7−14)のFmoc保護N末端を開裂した。DMF(1mL)中の実施例3の化合物(35mg、0.13mmol)、HATU(50.7mg、0.13mmol)及びDIPEA(66μL、0.39mmol)の溶液を樹脂に加えた。混合物を撹拌し、1時間反応させた。反応溶液を除去し、樹脂をDMF(3×5mL)及びCHCl(3×5mL)で洗浄した。樹脂及び保護基の開裂を、上記で概説したとおり実施した。粗ペプチド物質を、流量5mL/分で、HO/CHCN(0〜100%CHCN)直線勾配を用いるセミ分取逆相HPLCにより精製した。純粋なL−BBN(7−14)を含有する回収した画分を液体Nで凍らせ、凍結乾燥させた。MS:(+ve イオン)[L+H m/z 1254.58109(実験値)、1254.58107(計算値)、[L+2H2+ m/z 627.79415(実験値)、627.79445(計算値)。RP HPLC:R=12.518分。
【0213】
実施例13
ジアセチル−ビス−(N’−ヘキサン酸、N”−メチルチオセミカルバゾン)−BBN(7−14),
L−BBN(7−14)
【0214】
【化23】

【0215】
PAL−PEG樹脂(0.24g、0.05mmol)上のボンベシン(7−14)のFmoc保護N末端を開裂した。DMF(1mL)中の実施例5の化合物(36mg、0.1mmol)、HATU(39mg、0.1mmol)及びDIPEA(34μL、0.2mmol)の溶液を樹脂に加えた。混合物を撹拌し、2時間反応させた。反応溶液を除去し、樹脂を、DMF(3×5mL)及びCHCl(3×5mL)で洗浄した。樹脂及び保護基の開裂を上記で概説したとおり実施した。粗ペプチド物質を、流量5mL/分で、HO/CHCN(0〜80%CHCN)直線勾配を用いるセミ分取逆相HPLCにより精製した。純粋なL−BBN(7−14)を含有する回収した画分を液体Nで凍らせ、凍結乾燥させた(0.6mg、0.9%)。MS:(+ve イオン)[L+H m/z 1282.61355(実験値)、1282.61237(計算値)、[L+2H2+ m/z 641.81019(実験値)、641.81001(計算値)。RP HPLC(HO/CHCN0〜80%CHCN):R=19.097分。
【0216】
実施例14
Cu−ジアセチル−ビス−(N’−ブタン酸、N”−メチルチオセミカルバゾン)−BBN(7−14),
CuL−BBN(7−14)
【0217】
【化24】

【0218】
PAL−PEG樹脂(0.24g)上のBBN(7−14)−NHに、DMF(1mL)中のCuII(L)(28mg、0.07mmol)、HATU(28mg、0.07mmol)及びDIPEA(25μL、0.14mmol)の溶液を加えた。ESI−MS:(+ve イオン)[M+H] m/z 1315.50(実験値)、1315.50(計算値)、[M+2H] m/z 658.25(実験値)、658.25(計算値)。RP HPLC(D系):R=9.359分。
【0219】
実施例15
Cu−ジアセチル−ビス−(N’−ヘキサン酸、N”−メチルチオセミカルバゾン)−BBN(7−14),
CuL−BBN(7−14)
【0220】
【化25】

【0221】
PAL−PEG樹脂(0.24g、0.2mmol/g)上のBBN(7−14)−NHに、DMF(1mL)中のCuII(L)(31.5mg、0.08mmol)、HATU(30mg、0.08mmol)及びDIPEA(35μL、0.2mmol)の溶液を加えた。ESI−MS:(+ve イオン)[M+H] m/z 1343.53(実験値)、1343.53(計算値)、[M+2H] m/z 672.27(実験値)、672.27(計算値)。RP HPLC(C系):R=13.858分。
【0222】
実施例16
ジアセチル−ビス−(N’−3−ヒドロキシチラミン、N”−メチルチオセミカルバゾン),L
【0223】
【化26】

【0224】
。アセトニトリル(30mL)中のH(0.16g、0.6mmol)の撹拌懸濁液に、3−ヒドロキシチラミン塩酸塩(0.22g、1.2mmol、2当量)及びDIPEA(0.20mL、1.2mmol)を加えた。得られた黄色の懸濁液を、N雰囲気下で22時間加熱還流した。得られた白色の懸濁液を室温に冷まし、白色の固体を濾過により回収し、HCl(3%、3×3.5mL)、アセトニトリル(×1)及びジエチルエーテル(×3)で洗浄し、乾燥させて、H(0.17g、0.45mmol、77%)を得た。H NMR(d−DMSO、500MHz):δ2.15、3H、s、CH;δ2.20、3H、s、CH;δ2.70、2H、t、HH=7.5Hz、NH−CH−CH;δ3.02、3H、d、HH=4Hz、NH−CH;δ3.7、2H、m、NH−CH;δ6.49、1H、br、ArH;δ6.64、2H、br、ArH;δ8.32、1H、br、NH−CH;δ8.37、1H、br、NH−CH;δ8.66、1H、br、OH;δ8.77、1H、br、OH;δ10.21、1H、br、NH;δ10.24、1H、br、NH。13C NMR(125MHz):δ11.6、CH;δ11.7、CH;δ31.2、NH−CH;δ34.0、NH−CH−CH;δ45.6、NH−CH;δ115.6、C5;δ115.9、C2;δ119.2、C6;δ129.8、C1;δ143.6、C4;δ145.2、C3;δ147.8、C=N;δ148.0、C=N;δ177.6、C=S;δ178.5、C=S。MS:(+ve イオン) m/z [M+H383.4(実験値)、383.1(計算値)、(−ve イオン) m/z [M−H381.4(実験値)、381.1(計算値)。
【0225】
実施例17 Cu−ジアセチル−ビス−(N’−3−ヒドロキシチラミン、N”−メチルチオセミカルバゾン),Cu(L
【0226】
【化27】

【0227】
室温で攪拌したDMF(2mL)中の実施例16の化合物(0.07g、0.2mmol)の溶液に、Cu(OAc)・HO(0.04g、0.2mmol)を加えた。赤/褐色の溶液を室温で22時間撹拌した。水(40mL)を溶液に加えると、褐色の固体が沈殿した。固体を濾過により回収し、水、エタノール及びジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、Cu(L)(0.04g、44%)を得た。MS:(+ve イオン)[Cu(L)+H m/z 444.3(実験値)、444.0(計算値)、(−ve イオン)[Cu(L)−H m/z 442.3(実験値)、442.0(計算値)。RP HPLC:R=11.230分。
【0228】
実施例18
ジアセチル−ビス−(N’−ヘキサンアミド3−ヒドロキシチラミン、N”−メチルチオセミカルバゾン),L
【0229】
【化28】

【0230】
DMF(1mL)中の実施例5の化合物(0.07g、0.2mmol)及び3−ヒドロキシチラミン塩酸塩(0.07g、0.4mmol)の溶液に、HATU(0.15g、0.4mmol)及びDIPEA(0.13mL、0.8mmol)を加えた。逆相HPLCにより監視しながら、反応混合物を室温で43時間撹拌した。水(30mL)を反応混合物に加えると、白色の固体が沈殿した。固体を濾過により回収し、水、アセトニトリル(×3)及びジエチルエーテル(×3)で洗浄して、L(0.7g、72%)を得た。H NMR(d−DMSO、500MHz):δ[(L)+H m/z 496.5(実験値)、496.1(計算値)、(−ve イオン)[(L)−H m/z 494.5(実験値)、494.2(計算値)。
【0231】
実施例19
ジメチルアンモニウムジアセチル−ビス−(N’−スルファニラート,N”−メチルチオセミカルバゾン),HN(CH
【0232】
【化29】

【0233】
アセトニトリル(40mL)中のL(0.32g、1.2mmol)の撹拌懸濁液に、スルファニル酸(0.18g、1.1mmol、0.9当量)を加えた。得られた黄色の懸濁液を、N雰囲気下で4時間加熱還流した。得られた白色の懸濁液を室温に冷まし、白色の固体を濾過により回収し、アセトニトリル(×1)及びジエチルエーテル(×3)で洗浄し、乾燥させて、L(0.41g、77%)を得た。H NMR(d−DMSO、500MHz):δ2.25、3H、s、CH;δ2.29、3H、s、CH;δ2.55、6H、t、HH=5.5Hz、H(CH);δ3.04、3H、d、HH=4.5Hz、NH−CH;δ7.51−7.58,4H、m、Ar−H;δ8.17、2H、br、H(CH;δ8.41、1H、d、HH=4.5Hz、NH−CH;δ9.96、1H、s、NH;δ10.30、1H、s、NH;δ10.60、1H、s、NH。13C NMR(125MHz):δ12.3、CH;δ12.5、CH;δ31.9、NH−CH;δ34.8,H(CH;δ125.0、ArC;δ125.9、ArC;δ139.4、ArC;δ145.9、ArC;δ148.2、C=N;δ149.8、C=N;δ177.2、C=S;δ178.9、C=S。MS:(−ve イオン) m/z [(L)−H401(実験値)。
【0234】
実施例20
ナトリウムジアセチル−ビス−(N’−スルファニラート,N”−メチルチオセミカルバゾン),NaL
【0235】
【化30】

【0236】
温水(200mL)中のHN(CH(0.41g)の溶液を、1滴/2秒の流量のNa Sephadex陽イオン交換カラムにより溶離し、回収した。カラムを更に水50mLで溶離した。淡黄色の溶離剤を回収し、溶媒を減圧下で除去した。得られた粉末を、アセトニトリル(300mL)及びジエチルエーテル(300mL)で洗浄して、金色の粉末(0.35g、87%)を得た。H NMR(d−DMSO、500MHz):δ2.25、3H、s、CH;δ2.29、3H、s、CH;δ3.03、3H、d、HH=4.5Hz、NH−CH;δ7.52−7.58,4H、m、Ar−H;δ8.41、1H、d、HH=4.5Hz、NH−CH;δ9.96、1H、s、NH;δ10.30、1H、s、NH;δ10.60、1H、s、NH。13C NMR(125MHz):δ12.5、CH;δ12.7、CH;δ31.9、NH−CH;δ125.2、ArC;δ126.1、ArC;δ139.6、ArC;δ146.2、ArC;δ148.5、C=N;δ150.0、C=N;δ177.5、C=S;δ179.2、C=S。MS:(−ve イオン) m/z [NaL−H401(実験値)。
【0237】
実施例21
ジメチルアンモニウムCu−ジアセチル−ビス−(N’−スルファニラート,N”
メチルチオセミカルバゾン),HN(CHCu(L
【0238】
【化31】

【0239】
室温で攪拌したDMF(2mL)中のHN(CH(0.06g、0.1mmol)の溶液に、Cu(OAc)・HO(0.03g、0.1mmol)を加えた。赤/褐色の溶液を室温で22時間撹拌した。ジエチルエーテル(30mL)を溶液に加えると、褐色の固体が沈殿した。固体を濾過により回収し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、HN(CHCu(L)(0.03g、49%)を得た。MS:(+ve イオン)[HN(CHCu(L)+H m/z 463(実験値)。
【0240】
実施例22
ナトリウムCu−ジアセチル−ビス−(N’−スルファニラート,N”−メチルチオセミカルバゾン),NaCu(L
【0241】
【化32】

【0242】
室温で攪拌したDMF(4mL)中のNaL(0.07g、0.2mmol)の溶液に、Cu(OAc)・HO(0.03g、0.2mmol)を加えた。赤/褐色の溶液を室温で22時間撹拌した。ジエチルエーテル(150mL)を溶液に加えると、褐色の固体が沈殿した。固体を濾過により回収し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、NaCu(L)(0.06g、80%)を得た。MS:(−ve イオン)[NaCu(L)−H m/z 462(実験値)。
【0243】
実施例23
カリウムジアセチル−ビス−(N’−3−アミノプロパン−スルホナート、N”
メチルチオセミカルバゾン),KL
【0244】
【化33】

【0245】
アセトニトリル(7mL)中のL(0.07g、0.3mmol)の撹拌懸濁液に、3−アミノプロパン−スルホン酸(0.04g、0.3mmol)及びKCO(0.04g、0.3mmol)を加えた。得られた黄色の懸濁液を、N雰囲気下で20時間加熱還流した。得られた白色の懸濁液を室温に冷まし、白色の固体を濾過により回収し、アセトニトリル(×1)及びジエチルエーテル(×3)で洗浄し、乾燥させて、不純な白色の粉末(0.09g)を得た。H NMR(d−DMSO、500MHz):δ1.84、2H、m、CH−CH−CH;δ2.18、6H、s、CH;δ2.45、2H、t、CH−SOK;δ3.01、3H、d、NH−CH;δ3.64、2H、m、NH−CH;δ8.21、1H、br、NH;δ8.51、1H、br、NH。
【0246】
実施例24 (H10
【0247】
【化34】

【0248】
アセトニトリル(30mL)中のH(0.29g、1.1mmol)の撹拌懸濁液に、メチル−4−アミノブタノアート塩酸塩(0.18g、1.2mmol)及びトリエチルアミン(0.12g、1.2mmol)を加えた。得られた黄色の懸濁液を、N雰囲気下で3時間加熱還流した。得られた明クリーム色の懸濁液を室温に冷まし、白色の固体を濾過により回収し、HCl(3%、3×3.5mL)、アセトニトリル(×1)及びジエチルエーテル(×3)で洗浄し、乾燥させて、H10(0.25g、0.7mmol、67%)を得た。H NMR(dDMSO、500MHz):δ=1.89、2H、m、NH−CH−CH−CH;2.21、6H、s、CH;2.34、2H、t、NH−CH−CH−CHHH=7.5Hz;3.02、3H、HH=4.5Hz;3.58,5H、m、NH−CH、OCH;8.38、1H、m、NHCH;8.43、1H、t、NH−CHHH=5.0Hz;10.20、2H、s、NH。ESI−MS:(+ve イオン) m/z 100%[M+H]347.4(実験値)、347.1(計算値)、(−ve イオン) m/z [M−H]345.4(実験値)、345.1(計算値)。
【0249】
実施例25 (H11
【0250】
【化35】

【0251】
アセトニトリル(30mL)中のH(0.21g、0.85mmol)の撹拌懸濁液に、N−ジメチルエチレンジアミン(0.01g、1.12mmol)を加えた。得られた黄色の懸濁液を、N雰囲気下で6.5時間加熱還流した。得られた橙色の溶液を室温に冷ますと、無色の結晶が沈殿し、それを濾過により回収し、アセトニトリル(×1)及びジエチルエーテル(×3)で洗浄し、乾燥させて、H11(0.18g、0.55mmol、74%)を得た。(実測値:C、41.69;H、7.36;N、30.74;C1123の計算値:C、41.61;H、7.30;N、30.88)。H NMR(dDMSO、500MHz):δ=2.15、3H、s、CH;2.18、6H、s、CH;2.20、3H、s、CH;2.44、2H、t、HH=6.5Hz、CH;3.01、3H、d、HH=5Hz、NH−CH;3.60、2H、q、NH−CHHH=5.5Hz;8.38−8.33、2H、br、NH−CH、NH−CH;10.25、2H、br、NH。ESI−MS:(+ve イオン) m/z 100%[M+H]318.4(実験値)、318.2(計算値)、(−ve イオン) m/z [M−H]316.4(実験値)、316.1(計算値)。
【0252】
実施例26 (H12
【0253】
【化36】

【0254】
実施例7の合成に用いた同様の手順に従って、H(0.55g、2.0mmol)及び(2−アミノエチル)メチル炭酸tert−ブチルエステル(0.42g、2.4mmol)を使用して、H12(0.70g、86%)を調製した。(実測値:C、45.30;H、7.17;N、25.00;C15290.5CHCNの計算値:C、45.31;H、7.25;N、24.77)。H NMR(dDMSO、500MHz):δ=1.35、9H、s、(CH;2.07、CHCN;2.20、6H、s、CH;2.80−2.86、3H、br、CH;3.02、3H、d、HH=5Hz、NH−CH;3.41、2H、br、CH;3.65−3.74、2H、br、CH;8.45−8.36、2H、br、NH;10.26、2H、s、NH。ESI−MS:(+ve イオン) m/z 100%[M+H]404.5(実験値)、404.2(計算値)、(−ve イオン) m/z [M−H]402.4(実験値)、402.2(計算値)。
【0255】
実施例27 (H13
【0256】
【化37】

【0257】
実施例7で用いた同様の手順に従って、H(0.15g、0.56mmol)及び(2−アミノエチル)ダンシルアミド(0.16g、0.56mmol)を使用して、H13(0.27g、92%)を調製した。H NMR(dアセトン、500MHz):δ=2.18、3H、s、CH;2.23、3H、s、CH;2.86、6H、s、(CH;3.15、3H、d、CHHH=5Hz、NH−CH;3.21、2H、t、HH=6Hz、CH;3.77、2H、q、HH=6Hz、CH;7.22、1H、dd、HH=7.5Hz、HH=0.5Hz、ArH;7.55、1H、dd、JHH=8.7、7.6Hz、ArH;7.60、1H、dd、JHH=8.5,7.3Hz;8.22、1H、dd、HH=7.25Hz、HH=1.3Hz、ArH;8.27−8.31、2H、br、NH;8.36、1H、dt、JHH=8.7,0.9Hz、ArH;8.54、1H、dt、JHH=8.5、1.0Hz。ESI−MS:(+ve イオン) m/z 100%[M+H]523.4(実験値)、523.2(計算値)、(−ve イオン) m/z [M−H]521.4(実験値)、521.2(計算値)。
【0258】
実施例28 (H14
【0259】
【化38】

【0260】
実施例24の合成に用いた同様の手順に従って、H(0.20g、0.75mmol)、N,N,N−トリメチルエタン−1,2−ジアミニウム塩酸塩(0.20g、1.13mmol)及びトリエチルアミン(0.11g、1.13mmol)を使用して、H14(0.19g、70%)を調製した。H NMR(dDMSO、500MHz):δ=1.35,9H、s、(CH;2.07、CHCN;2.20、6H、s、CH;2.80−2.86、3H、br、CH;3.02、3H、d、HH=5Hz、NH−CH;3.41、2H、br、CH;3.65−3.74、2H、br、CH;8.45−8.36、2H、br、NH;10.26、2H、s、NH。
【0261】
実施例29 (H15
【0262】
【化39】

【0263】
実施例7で用いた同様の手順に従って、H(0.20g、0.74mmol)及びtert−ブチル4−アミノブチルカルバマート(0.21g、1.1mmol)を使用して、H15(0.27g、87%)を調製した。H NMR(dDMSO、500MHz):δ=1.35−1.42,11H、m、(CH、CH;1.54、2H、m、CH;2.198、3H、s、CH;2.202、3H、s、CH;2.92、2H、q、HH=7Hz、CH;3.02、3H、d、HH=6Hz、NH−CH;3.55、2H、q、HH=8.5Hz、CH;6.80、1H、t、HH=7Hz、NHC=O;8.35−8.40、2H、m、NH;10.13、2H、br、NH。
【0264】
実施例30 (H16
【0265】
【化40】

【0266】
アセトニトリル(4mL)中のH(0.15g、0.55mmol)の懸濁液に、(E)−4−アミノ−4’−メトキシスチルベン(0.12g、0.55mmol)を加えた。混合物を、N雰囲気下で4時間加熱還流した。混合物を室温に冷却し、EtOを加えて、生成物を沈殿させた。黄色の生成物を濾過により回収し、EtOで洗浄した(0.10g、41%)。H NMR(d−DMSO)(500MHz):δ2.26、3H、s、CH;δ2.29、3H、s、CH;δ3.03、3H、d、HH=4.5Hz、NH−CH;δ3.78、3H、s、OCH;δ6.94、2H、d、HH=9.0Hz、ArH;δ7.08、H、d、HH=16.5Hz、C=CH;δ7.54,4H、m、ArH;δ7.60、2H、d、HH=9.0Hz、ArH;δ8.41、1H、d、HH=4.5Hz、CH−NH;δ9.96、1H、br、NH;δ10.30、1H、br、NH;δ10.60、1H、br、NH。MS:(+ve イオン) m/z 477.1=[M+Na
【0267】
実施例31 (CuII(L16
【0268】
【化41】

【0269】
DMF(1mL)中のH16(0.05g、0.10mmol)の懸濁液に、酢酸銅一水和物(0.02g、0.12mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。HO(3mL)を加えて、生成物を沈殿させ、過剰酢酸銅を溶解した。混合物を遠心分離し、ペレットをHO(×3回)で洗浄しながら、上澄みを除去した。褐色の生成物を真空下で乾燥させた(0.04g、81%)。MS:(+ve イオン) m/z 516.3=[M+H。HPLC:R=18.4分。(実測値:C、51.25;H、4.71;N、15.98;CuC2224Oの計算値:C、51.19;H、4.69;N、16.28)。
【0270】
実施例32 (H17
【0271】
【化42】

【0272】
アセトニトリル(15mL)中のH(0.20g、0.73mmol)の懸濁液に、(E)−4−アミノ−4’−ジメチルアミノスチルベン(0.17g、0.73mmol)を加えた。混合物を、N雰囲気下で16時間加熱還流した。黄色−橙色の生成物を濾過により回収し、アセトニトリル及びEtOで洗浄した(0.21g、62%)。H NMR(d−DMSO)(500MHz):δ2.25、3H、s、CH;δ2.29、3H、s、CH;δ2.93、6H、s、N(CH;δ3.04、3H、s、NH−CH;δ6.72、2H、d、HH=8Hz、ArH;δ6.96、H、d、HH=16.5Hz、C=CH;δ7.09、H、d、HH=16.5Hz、C=CH;δ7.42−7.58、6H、m、ArH;δ8.41、H、br、NH;δ9.95、H、br、NH;δ10.30、H、br、NH;δ10.57、H、br、NH。MS:(+ve イオン) m/z 468.20=[M+H
【0273】
実施例33 CuII(L17
【0274】
【化43】

【0275】
DMF(2mL)中のH17(0.10g、0.21mmol)の懸濁液に、酢酸銅一水和物(0.045g、0.23mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。HOを加えて、生成物を沈殿させ、過剰酢酸銅を溶解した。混合物を遠心分離し、ペレットをHO(×3回)で洗浄しながら、上澄みを除去した。赤色−褐色の生成物を真空下で乾燥させた(0.09g、79%)。MS:(+ve イオン) m/z 529.11=[M+H。HPLC:R=13.6分。
【0276】
実施例34 (H18
【0277】
【化44】

【0278】
アセトニトリル(10mL)中のH(0.10g、0.36mmol)の懸濁液に、N,N−ジメチル−4,4’−アゾジアニリン(0.09g、0.36mmol)を加えた。混合物を、N雰囲気下で16時間加熱還流した。赤色−褐色の生成物を濾過により回収し、アセトニトリル及びEtOで洗浄した(0.065g、38%)。H NMR(d−DMSO)(500MHz):δ2.23、3H、s、CH;δ2.27、3H、s、CH;δ3.04、3H、d、HH=4.5Hz、NH−CH;δ3.06、6H、s、N(CH;δ6.83、2H、d、HH=9.5Hz、ArH;δ7.77−7.83、6H、m、ArH;δ8.41、H、br、NH;δ10.08、H、br、NH。MS:(+ve イオン) m/z 470.19=[M+H。HPLC:R=15.4分。
【0279】
実施例35 CuII(L18
【0280】
【化45】

【0281】
DMF(1mL)中のH18(0.04g、0.085mmol)の懸濁液に、酢酸銅一水和物(0.018g、0.089mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。HOを加えて、生成物を沈殿させ、過剰酢酸銅を溶解した。混合物を遠心分離し、ペレットをHO(×3回)で洗浄しながら、上澄みを除去した。赤色−褐色の生成物を真空下で乾燥させた(0.02g、49%)。MS:(+ve イオン) m/z 531.11=[M+H。HPLC:R=13.6分。
【0282】
実施例36 (H19
【0283】
【化46】

【0284】
アセトニトリル(10mL)中のH(0.102g、0.37mmol)の懸濁液に、ジエチル−4−アミノベンジルホスホナート(0.09g、0.37mmol)を加えた。混合物を、N雰囲気下で16時間加熱還流した。黄色の生成物を濾過により回収し、アセトニトリル及びEtOで洗浄した(0.066g、37%)。H NMR(d−DMSO)(500MHz):δ1.19、6H、t、CH−CH;δ2.24、3H、s、CH;δ2.28、3H、s、CH;δ3.03、3H、d、HH=4.5Hz、NH−CH;δ3.20、2H、d、HH=25Hz、P−CH;δ3.93−3.99,4H、m、O−CH;δ7.25、2H、d、HH=5Hz、ArH;δ7.49、2H、d、HH=8.5Hz、ArH;δ8.40、1H、d、HH=4.5Hz、CH−NH;δ9.92、1H、br、NH;δ10.34、2H、br、NH。MS:(+ve イオン) m/z 473.15=[M+H
【0285】
実施例37 [MeNH][H20
【0286】
【化47】

【0287】
(0.36g、1.3mmol)及びスルファニル酸(0.20g、1.2mmol)をアセトニトリル(40mL)に懸濁し、混合物を、窒素下、98℃で4時間加熱還流した。高温混合物を濾過して、淡黄色の固体を得て、それをMeCN及びEtOで洗浄し、自然乾燥させた(0.44g、76%)。
【0288】
【表1】

【0289】
実施例38 [MeNH][ZnII(L20)]
【0290】
【化48】

【0291】
Dmf(1mL)中のZn(MeCO・2HO(0.05g、0.22mmol)の溶液を、Dmf(2mL)中の実施例37の化合物(0.10g、0.22mmol)に滴加した。溶液を、窒素下、室温で3時間撹拌した。EtO(60mL)を滴加して、黄色の固体を沈殿させ、それを濾過により回収し、EtOで洗浄し、高真空下で乾燥させた(0.1g、89%)。H NMR、(CDSO):δ2.25(s、3H);δ2.31(s、3H);δ2.55(s、6H);δ2.80−2.90(bs、3H);δ7.43−7.51(m、2H);δ7.69−7.78;δ8.05−8.40;δ9.39(s、1H)。分析.実測値C、35.31;H、4.59;N、18.82;C1523ZnNの計算値:C、35.26;H、4.54;N、19.19。
【0292】
実施例39 (H21
【0293】
【化49】

【0294】
2−アミノキノリン(200mg、1.40mmol)を、乾燥、脱気したアセトニトリル(20mL)に溶解し、それに、H(360mg、1.2mmol)の懸濁液を加えた。反応物を12時間加熱還流した。室温に冷まし、明ベージュ色の沈殿物を回収し、エーテル(3×10mL)で洗浄し、自然乾燥させた(110mg、25%)。H NMR(500MHz;DMSO−d):δ/ppm11.40(s、1H、N−NH−C=S)、10.33(s、1H、N−NH−C=S)、8.53−8.50(m、1H、CH−NH−C=S)、8.40−8.36(m、1H、ArH)、8.31−8.28(m、1H、Q−NH−C=S)、7.93−7.91(m、1H、ArH)、7.80−7.73(m、2H、ArH)、7.54−7.51(m、1H、ArH)、7.45−7.42(m、1H、ArH)、3.09−3.04(m、3H、CH−NH−C=S)、2.56(s、3H、CH)、2.28(s、3H、CH)。MS(ES): m/z (計算値)374.12(374.12)[M+H
【0295】
実施例40 (H22
【0296】
【化50】

【0297】
8−アミノキノリン(200mg、1.40mmol)を、乾燥、脱気したアセトニトリル(20mL)に溶解し、それに、H(360mg、1.2mmol)の懸濁液を加えた。反応物を12時間加熱還流した。室温に冷まし、結晶質のオフホワイトの沈殿物を回収し、エーテル(3×10mL)で洗浄し、自然乾燥させた(365mg、82%)。H NMR(500MHz;DMSO−d):δ/ppm12.38(s、1H、N−NH−C=S)、11.08(s、1H、Q−NH−C=S)、10.37(s、1H、N−NH−C=S)、9.55(dd、HH=7.7、HH=1.0、1H、ArH)、8.84(dd、HH=4.2、HH=1.7、1H、ArH)、8.48−45(m、2H、CH−NH−C=S&ArH)、7.74(dd、HH=8.3、HH=0.9、1H、ArH)、7.70(dd、HH=8.2、HH=4.2、1H、ArH)、7.64(t、HH=8.0、1H、ArH)、3.05(m、3H、CH−NH−C=S)、2.48(s、3H、CH)、2.36(s、3H、CH)。MS(ES): m/z (計算値)374.12(374.12)[M+H
【0298】
上述の手順に従って、以下の化合物を製造することもできるであろう。
【0299】
実施例41 (H23
【0300】
【化51】

【0301】
アセトニトリル中のH(0.28g、1.0mmol)の撹拌懸濁液に、(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)酢酸を加える。得られた混合物をN雰囲気下で加熱還流し、その後室温に冷まし、処理する。
【0302】
実施例42 (H24
【0303】
【化52】

【0304】
アセトニトリル中のHの撹拌懸濁液に、N,N−マレイミドイル−N’−リポイル−2,2’−(エチレン−1,2−ジオキシ)ビスエチルアミドを加える。得られた混合物をN雰囲気下で加熱還流し、その後室温に冷まし、処理する。
【0305】
実施例43 (H25
【0306】
【化53】

【0307】
アセトニトリル中のHの撹拌懸濁液に、トリ−tert−ブチルカルボニルスペルミンを加える。得られた混合物をN雰囲気下で加熱還流し、その後室温に冷まし、処理する。
【0308】
実施例44 (H26
【0309】
【化54】

【0310】
実施例9の合成に用いた同様の手順に従って、[H][CFCO]、H及びH25を使用して、H26を調製する。
【0311】
実施例45 (H27
【0312】
【化55】

【0313】
アセトニトリル中のHの撹拌懸濁液に、2−アミノエタンスルホン酸を加える。得られた混合物をN雰囲気下で加熱還流し、その後室温に冷まし、処理する。
【0314】
実施例46 (H28
【0315】
【化56】

【0316】
アセトニトリル中のHの撹拌懸濁液に、(2−アミノエチル)ボディピーを加える。得られた混合物をN雰囲気下で加熱還流し、その後室温に冷まし、処理する。
【0317】
実施例47 (H29
【0318】
【化57】

【0319】
アセトニトリル中のHの撹拌懸濁液に、ベンゼンスルホンアミドを加える。得られた混合物をN雰囲気下で加熱還流し、その後室温に冷まし、処理する。
【0320】
実施例48 (H30
【0321】
【化58】

【0322】
アセトニトリル中のHの撹拌懸濁液に、4−モルホリノベンゼンアミンを加える。得られた混合物をN雰囲気下で加熱還流し、その後室温に冷まし、処理する。
【0323】
実施例49 (H31
【0324】
【化59】

【0325】
アセトニトリル中のHの撹拌懸濁液に、5−アミノナフタレン−2−スルホン酸を加える。得られた混合物をN雰囲気下で加熱還流し、その後室温に冷まし、処理する。
【0326】
実施例50 (H32
【0327】
【化60】

【0328】
アセトニトリル中のHの撹拌懸濁液に、4−アミノ−3−ヒドロキシナフタレン−1−スルホン酸を加える。得られた混合物をN雰囲気下で加熱還流し、その後室温に冷まし、処理する。
【0329】
実施例51 (H33
【0330】
【化61】

【0331】
アセトニトリル中のHの撹拌懸濁液に、(E)4−アミノスチルベンを加える。得られた混合物をN雰囲気下で加熱還流し、その後室温に冷まし、処理する。
【0332】
実施例52 (H34
【0333】
【化62】

【0334】
アセトニトリル中のHの撹拌懸濁液に、(E)4−アミノ−4’−ヒドロキシスチルベンを加える。得られた混合物をN雰囲気下で加熱還流し、その後室温に冷まし、処理する。
【0335】
実施例53 (H35
【0336】
【化63】

【0337】
アセトニトリル中のHの撹拌懸濁液に、4−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミンを加える。得られた混合物をN雰囲気下で加熱還流し、その後室温に冷まし、処理する。
【0338】
実施例54 (H36
【0339】
【化64】

【0340】
アセトニトリル中のHの撹拌懸濁液に、2−(4−アミノフェニル)キノリン塩酸塩及びトリエチルアミンを加える。得られた混合物をN雰囲気下で加熱還流し、その後室温に冷まし、処理する。
【0341】
実施例55 X線結晶学的研究
(実施例2)及び[CuII(L).(CHCO(実施例8)それぞれの結晶を低温油に置き、次に、Oxford low temperature device(低温装置)を使用して、130Kにフラッシュ冷却した。Cu−Kα放射線(黒鉛結晶モノクロメーター λ=1.54184Å)を用いたサファイアCCD検出器を備えたOxford XCalibur X線回析計を用いて、強度データを130Kで収集した。吸収に関してデータを減少し、修正した。構造を、直接的な方法及びWINGXソフトウェア内で実行される一組のSHELXのプログラムを使用する差フーリエ合成により解明した。熱楕円プロットを、WINGXの一連のプログラム内に統合されたORTEP-3プログラムを用いて生成した。HのX線結晶構造のORTEP-3の表示を以下に示す(水素原子については、窒素に結合した水素原子以外は、明瞭さのために省略する)。この構造は、固体状態においては、リガンドHatsmと同様に、分子が、イミン二重結合について(E,E)配置を、C(5)−C(4)結合についてs−トランス(アンチペリプラナー)配座をとることを示す。チオセミカルバゾンのアーム(arms)間の結合長の差は小さい。ジメチル置換基を有するアームは、単一のメチル置換基(それぞれ1.693(2)及び1.323(3)Å)を有するアームよりも、わずかに短いC(3)−S(1)(1.6802(19)Å)結合長、及びより長いC(3)−N(1)(1.341(2)Å)結合長を有する。結合長は、分子全体にわたって広範な非局在性が存在するが、示された互変異性体形態が優勢であることを示す。
【0342】
【化65】

【0343】
X線結晶構造の決定に適したCuII(L)の結晶は、アセトン中の錯体の濃縮溶液より生長した。CuII(L)のX線結晶構造のORTEP-3の表示を以下に示す(水素原子については、窒素に結合した水素原子以外は、明瞭さのために省略する)。Cu原子は4配位であり、N正方形平面供与系(square planar donor system)の面の外側の0.052Åに位置している。Cu−N及びCu−S結合の距離は、CuII(atsm)と類似している(表1)。理想的な正方形平面幾何学的配置からのねじれは、S(1)−Cu(1)−S(2)の結合角度109.23(4)°により強調される。
【0344】
【化66】

【0345】
リガンドは、中性プロリガンドH(1.6802(19)及び1.693(2)Å)と比較したC−S結合の距離(1.763(4)及び1.759(3)Å)の増加により示されるように、2価陰イオンである。リガンドは、錯体形成の際、C(3)−C(4)結合について、s−シス(シンペリプラナー)配座をとる。側鎖の柔軟性は、60.02°の原子N(6)−C(6)−C(7)−N(7)により規定される二面角により示される。この角度は、充填(packing)ならびにアセトンの溶媒分子及びCuII(L)の第二分子と結合している水素により影響を受ける。NH基の一方は、Cu錯体の第二分子のカルバマートO原子に対し水素結合を形成する(N(1)ΛO(2)’2.876Å、N(1)−H(1)ΛO(2)’165.34°、対称演算子x+1、y、z−1)。他方のNH基は、溶媒アセトンの分子のO原子に対し水素結合を形成する。より強力な水素結合はカルバマートNH基を含む(N(7)ΛO(3)2.866Å、N(7)−H(7)ΛO(3)150.28°)一方、より弱い水素結合はチオアミドNH基を含む(N(6)ΛO(3)3.166Å、N(6)−H(6)ΛO(3)164.03°)。
【0346】
【表2】

【0347】
【表3】

【0348】
実施例56 電気化学
最近の研究は、銅の二官能性キレート剤のインビボ安定性が、錯体の熱力学的安定性及び動力学的不活性だけでなく、Cu(II)からCu(I)への還元の起こりやすさにも依存していることを示している。システインに富むメタロチオネインなどのチオールを有する細胞内還元剤は、Cu(II)の効果的な還元剤及び不安定なCu(I)イオンのスカベンジャーとして作用しうる。還元電位は、インビボ安定性(錯体は還元することが困難であるほどより安定である)を予測する良い方法であるという仮説が立てられている。還元の際に得られるCu(I)イオンの安定性は、ビス(チオセミカルバゾナト)−銅(II)錯体CuII(atsm)により示される低酸素症選択性において影響を及ぼすことが示されている。この中性錯体は細胞膜を通ることができ、低酸素症を経験する細胞内において選択的に保持されるが、通常の酸素状態下では細胞から「洗い流す」ことができることが提示されている。ジイミン骨格上のアルキル置換基は酸化還元電位に関して最も重要であるように見える一方、N−末端での置換は酸化還元電位に有意には影響を与えない。錯体CuII(atsm)は、無水DMF中、ガラス状炭素作用電極において、E1/2=−0.63V(SCEに対して、ここでE1/2=[Epc+Epa]/2及びFc/Fc=0.54V)での準可逆還元を経る。新規なCu(II)錯体のサイクリックボルタンメトリーは、N−末端での構造変化が親錯体CuII(atsm)の電気化学を有意には変化させないことを示した(表3)。
【0349】
【表4】

【0350】
DMF中、ガラス状炭素電極における、例えば、CuII(L)は、E1/2=−0.63Vで準可逆還元を有し、101mVの陽極対陰極ピーク分離を伴い、それはCu(II)/Cu(I)還元方法に起因していた(下記参照)。同じ条件下で、フェロセン/フェロセニウム対は、104mVのピーク分離を有する。更に、E1/2=0.74V(SCEに対して)においても準可逆方法が存在し、101mVの陽極対陰極ピーク分離を伴い、それは一時的にCu(II)/Cu(III)方法に起因する。
【0351】
【表5】

【0352】
CuII(L)のサイクリックボルタモグラム。走査速度0.1Vs−1。電位はSCEに対して示される。
【0353】
単離した二価陽イオン性錯体[CuII(H)]2+は、電気化学的不可逆還元を示すが、トリエチルアミンを分析物溶液に加えて、錯体を中和して、[CuII(L)]を得ることにより、期待される電気化学を回復する(下記参照)。プロトン化はCu(II)錯体の還元電位を有意に変化させ、それはまた、陽イオン性チオセミカルバゾン−ピリジルヒドラジンCu(II)錯体31についても観察された。本事例のように、塩基を用いたこの錯体の脱プロトン化により、Cu(II)/Cu(I)還元方法の準可逆性が回復される。
【0354】
【表6】

【0355】
トリエチルアミンを用いたCuII(L)のサイクリックボルタモグラム。走査速度0.1Vs−1。電位はSCEに対して示される
【0356】
実施例57 64Cu放射性標識研究
64CuCl(1.88GBq/mL、pH1)を、ANSTO radiopharmaceuticals and industrials (ARI), Lucas Heights, NSW, Australiaより購入した。較正放射性核種純度{(64Cu)/(67Cu)}は100%であり、Cu(II)としての放射化学的純度は100%であった。銅、亜鉛及び鉄の化学的純度は、それぞれ、1.1μg/mL、0.9μg/mL及び10μg/mLであった。
【0357】
一般手順
64CuClのアリコート(20μL、〜35MBq、pH1.0)を、リガンド(10μL、1mg/mL DMSO)、酢酸ナトリウム(90μL、0.1M)及びミリQ水(390μL)を含有する溶液に加えた。反応物を室温で30分間放置し、その後反応溶液100μLを逆相C18分析HPLCカラムに注入した。「冷」銅錯体のDMSO溶液(1mg/mL)を、同じ条件下(λ=275nm)で注入(8μL)して、放射性標識錯体の同一性を立証する。
【0358】
保持時間は以下のとおりである:64CuII(L−BBN(7−14)−NH)(実施例15):RP−HPLC(C系)R:13.625分及びCuII(L−BBN(7−14)−NH)(実施例15)、R:13.858分。64CuII(L−BBN(7−14)−NH)(実施例14):RP−HPLC(D系)R:9.377分及びCuII(L−BBN(7−14)−NH)(実施例14)、R:9.359分。64CuII(L):RP−HPLC(C系)R:13.278分及びCuII(L)、R:13.197分。64CuII(L):RP−HPLC(C系)R:11.446分及びCuII(L)、R:11.882分。64CuII(L):RP−HPLC(E系)R:7.251分及びCuII(L)、R:6.601分。64CuII(L):RP−HPLC(E系)R:8.340分及びCuII(L)、R:8.002分。
【0359】
最後に、本明細書に記載の発明の方法及び組成物の種々の変更及び改変は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者に明白であることが理解されるであろう。本発明は、特定の好ましい実施態様に関連して記載されているが、請求された本発明がそのような特定の実施態様に過度に制限されるべきでないことを理解されたい。実際には、当業者に明白な本発明を実施するための記載された態様の種々の変更は、本発明の範囲内にあることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化67】


[式中、
及びRは、それぞれ独立して、非水素置換基(ここで、R及びRは同一ではない)であり;
及びRは、それぞれ独立して、H、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12シクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択されるか、
あるいは、R及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているC−C12シクロアルキル基を形成する]で示される化合物の製造方法であって、式(II):
【化68】


[式中、R、R、及びRは上記で定義するとおりであり、R及びRは非水素置換基である]で示される化合物を、式(III):NHの第一級アミンと反応させることを含む方法。
【請求項2】
が、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12シクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がメチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
及びRが、それぞれ独立して、H及び場合により置換されているC−C12アルキルからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
及びRがメチルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
及びRが、それぞれ独立して、場合により置換されているC−C12アルキルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
及びRが、独立して、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、2−メチル−プロピル、1−エチル−プロピル、3,3−ジメチル−プロピル、ブチル、イソブチル、3,3−ジメチル−ブチル、2−エチル−ブチル、ペンチル、及びヘキシルからなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
及びRがメチルである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
が、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−Cシクロアルキル、場合により置換されているC−Cシクロアルケニル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルケニル、場合により置換されているC−C18アリール、場合により置換されているC−C18ヘテロアリール、場合により置換されているC−CシクロアルキルC−C12アルキル、C−C12ヘテロシクロアルキルC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18ヘテロアリールC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−CシクロアルキルC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキルC−C12ヘテロアルキル、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールC−C12ヘテロアルキルからなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
が、式:
−X−Y
(ここで、Xは結合又は結合部分であり、
Yは、H、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−Cシクロアルキル、場合により置換されているC−Cシクロアルケニル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルケニル、場合により置換されているC−C18アリール、場合により置換されているC−C18ヘテロアリール、場合により置換されているC−CシクロアルキルC−C12アルキル、C−C12ヘテロシクロアルキルC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18ヘテロアリールC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−CシクロアルキルC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキルC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C18ヘテロアリールC−C12ヘテロアルキル、ペプチド、タンパク質及び分子認識部分からなる群より選択される)の基である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
Xが、以下:
(a) 結合
(b) −(CHCO
(c) −(CHCO−
(d) −(CHSO
(e) −(CHSO
(f) −(CH
(g) −(CHCHR10
(h) −(CHNHCO
(i) −(CHNH−
(j) −(CHNR
(k) −(CHNHSO
(l) −(CHSO
(m) −(CHSO
(n) −(CH
(o) −(CHCHR10
(p) −((CHO)−;
(q) −((CHNR11−;
(ここで、mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群より選択される整数であり;
各xは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群より選択される整数であり;
yは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群より選択される整数であり;
は、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択され、
各R及びR10は、独立して、COH、場合により置換されているC−C12アルキル、及び場合により置換されているC−C12ヘテロアルキルからなる群より選択され;
11は、独立して、H、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル及び窒素保護基からなる群より選択される)からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Yが、H又は分子認識部分である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
YがHである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式(III):
【化69】


[式中、
は、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12シクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択され;
及びRは、それぞれ独立して、H、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12シクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択されるか、あるいは
及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているC−C12シクロアルキル基を形成し;
は、式:
−X−Y
(式中、Xは結合又は結合部分であり;
Yは、H、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−Cシクロアルキル、場合により置換されているC−Cシクロアルケニル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルケニル、場合により置換されているC−C18アリール、場合により置換されているC−C18ヘテロアリール、場合により置換されているC−CシクロアルキルC−C12アルキル、C−C12ヘテロシクロアルキルC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18ヘテロアリールC−C12アルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−CシクロアルキルC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C18アリールC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキルC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C18ヘテロアリールC−C12ヘテロアルキル、ペプチド、タンパク質及び分子認識部分からなる群より選択される)の基である]で示される化合物、又はその金属錯体。
【請求項15】
がメチルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
及びRが、それぞれ独立して、H及び場合により置換されているC−C12アルキルからなる群より選択される、請求項14又は15に記載の化合物。
【請求項17】
及びRがメチルである、請求項14〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
及びRが、それぞれ独立して、H及び場合により置換されているC−C12アルキルからなる群より選択される、請求項14〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
及びRがメチルである、請求項14〜18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
Xが、以下:
(a) 結合
(b) −(CHCO
(c) −(CHCO−
(d) −(CHSO
(e) −(CHSO
(f) −(CH
(g) −(CHCHR10
(h) −(CHNHCO
(i) −(CHNH−
(j) −(CHNR
(k) −(CHNHSO
(l) −(CHSO
(m) −(CHSO
(n) −(CH
(o) −(CHCHR10
(p) −((CHO)−;
(q) −((CHNR11−;
(ここで、mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群より選択される整数であり;
各xは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群より選択される整数であり;
yは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10からなる群より選択される整数であり;
は、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択され、
各R及びR10は、独立して、COH、場合により置換されているC−C12アルキル、及び場合により置換されているC−C12ヘテロアルキルからなる群より選択され;
11は、独立して、H、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル及び窒素保護基からなる群より選択される)からなる群より選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項21】
Xが、−(CHCO−及び−(CHSO−からなる群より選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
YがHである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
Xが、−(CHCO−及び−(CHSO−からなる群より選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項24】
Yが分子認識部分である、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
分子認識部分が、抗体、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖及びリポソーム又はそのフラグメントもしくは誘導体からなる群より選択される、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
分子認識部分が、ペプチド又はそのフラグメントもしくは誘導体である、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
分子認識部分がボンベシンである、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
mが、1、2、3、4、5、及び6からなる群より選択される整数である、請求項20〜27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
化合物が、以下:
【化70】
















からなる群より選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項30】
化合物が金属イオンに錯化されている、請求項22〜25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
金属イオンが、60Cu、62Cu、64Cu及び67Cuからなる群より選択される放射性核種である、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
式(IV):
【化71】


[式中、R、R、及びRは請求項1で定義されたとおりであり、R及びRは、それぞれ独立して、メチル及びエチルからなる群より選択される]で示される化合物。
【請求項33】
がメチルである、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
がメチルである、請求項32又は33に記載の化合物。
【請求項35】
が、場合により置換されているC−C12アルキル、場合により置換されているC−C12アルケニル、場合により置換されているC−C12アルキニル、場合により置換されているC−C12ヘテロアルキル、場合により置換されているC−C12シクロアルキル、場合により置換されているC−C12ヘテロシクロアルキル、場合により置換されているC−C18アリール、及び場合により置換されているC−C18ヘテロアリールからなる群より選択される、請求項32〜34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
がメチルである、請求項32〜35のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】
及びRが、それぞれ独立して、H及び場合により置換されているC−C12アルキルからなる群より選択される、請求項32〜36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
及びRがメチルである、請求項32〜37のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項39】
被検者の病態を治療又は予防する方法であって、治療有効量の請求項30又は31のいずれか一項に記載の化合物を被検者に投与する工程を含む方法。
【請求項40】
病態が癌である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
被検者に放射性イメージングを行う方法であって、有効量の請求項30又は31のいずれか一項に記載の化合物を被検者に投与する工程を含む方法。

【公表番号】特表2012−511513(P2012−511513A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539850(P2011−539850)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001612
【国際公開番号】WO2010/066010
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(510174130)ザ ユニバーシティ オブ メルボルン (2)
【Fターム(参考)】