説明

非帯電性着色樹脂粒子の製造方法、それにより得られた非帯電性着色樹脂粒子およびその用途

【課題】隠蔽性が高く、着色泳動粒子の電気泳動を阻害しない非泳動の非帯電性着色樹脂粒子を容易に得るための製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】非極性溶媒に親和性を有するシリコーン鎖からなるセグメントと非水系極性溶媒に親和性を有するアクリル重合体からなるセグメントとを備え、かつ、カルボキシル基を有し酸価が1〜200mgKOH/gであり、非極性溶媒に不溶であるポリオールと、顔料と、多官能イソシアネートと、前記非水系極性溶媒とを含む混合液Aを得る工程と、前記混合液Aと前記非極性溶媒とを混合して混合液Bを得る工程と、前記混合液Bから前記非水系極性溶媒を除去して混合液Cを得る工程と、前記混合液Cにおいて、前記ポリオールを前記多官能イソシアネートで架橋させてなる架橋樹脂により前記顔料の表面を被覆させて樹脂被覆顔料を含む混合液Dを得る工程と、前記混合液Dにアミノ基含有化合物を添加し、前記樹脂被覆顔料の架橋樹脂と前記アミノ基含有化合物とを反応させて非帯電性着色樹脂粒子を得る工程とを有することを特徴とする非帯電性着色樹脂粒子の製造方法により、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非帯電性着色樹脂粒子の製造方法、それにより得られる非帯電性着色樹脂粒子およびその用途に関する。さらに詳しくは、本発明は、安定して非帯電性を示す非帯電性着色樹脂粒子の製造方法、それにより得られる非帯電性着色樹脂粒子ならびにそれを用いて得られる非帯電性着色樹脂粒子分散液および電気泳動表示装置(画像表示装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
帯電性を示す着色粒子の電気泳動を利用した画像表示装置は、視野角が広いこと、消費電力が少ないこと、電源オフ状態でも表示情報が消えないメモリー性を有すること、安価であることなどから近年注目され、その普及が期待されている。
この画像表示装置としては、例えば、染料などを溶解させて着色した分散媒に、電気泳動性を示す帯電性の着色粒子(以下「着色泳動粒子」ともいう)を分散させたマイクロカプセルを用いて、多色表示化する技術が提案されている(例えば、特許第2551783号公報:特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1では、着色泳動粒子として一般的な顔料粒子が用いられており、粒子の隙間に色調の異なる分散媒が入り込んで混色が発生し、所望の色表示ができないという問題があった。
【0003】
このような問題に対し、スペーサーを介して対向配置された、少なくとも一方が透明である2枚の電極基板間に、帯電性を示す着色樹脂粒子を分散媒に分散させた表示液を封入した表示パネルが画像表示装置として提案されており、例えば、着色泳動粒子と、実質的に帯電しておらず電界に対応して分散媒中を移動しない非帯電性着色粒子(「着色非泳動粒子」ともいう)とを組み合わせて用いる、すなわち紙に相当するベース色を着色非泳動粒子に表示させ、紙の上に描かれた文字や絵に相当する画像の色を着色泳動粒子に表示させる技術が提案されている(例えば、特開2010−210856号公報:特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献2の実施例に記載の方法で得られた高屈折樹脂粒子を着色非泳動粒子として用いた技術では、着色泳動粒子を表示面とは反対の電極基板上に移動させて着色非泳動粒子による発色(ベース色)を表示させようとすると、着色非泳動粒子の隠蔽性が低く着色泳動粒子の色が表示面から透けて見え、所望の色表示ができないという問題があった。また、このような問題に対し、所望の色表示を行うべく、溶媒中の着色非泳動粒子を増量させると、その分散液(表示液)全体の粘度が上昇し、着色泳動粒子の電気泳動が阻害される、つまり着色泳動粒子の移動速度が低下するという問題があった。
【0005】
一方で、隠蔽性の高い着色粒子として、着色剤としての酸化チタンの表面を分散媒との屈折率の差が大きい樹脂で均一に被覆した白色粒子を用いる方法が知られている(例えば、特開2008−122468号公報:特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献3には、具体的な着色粒子の製造方法について記載されておらず、また、着色剤として酸化チタンを用いているため、帯電量が高くなってしまい、このような粒子を着色非泳動粒子として用いると、着色泳動粒子の電気泳動が阻害されるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2551783号公報
【特許文献2】特開2010−210856号公報
【特許文献3】特開2008−122468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、隠蔽性が高く、着色泳動粒子の電気泳動を阻害しない非泳動の非帯電性着色樹脂粒子を得るための製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者らは、鋭意検討の結果、液中乾燥法により一旦シリコーン鎖およびカルボキシル基を有する樹脂被覆顔料(正帯電着色樹脂粒子)を作製した後に、樹脂被覆顔料のカルボキシル基とアミノ基含有化合物のアミノ基とを反応させることにより、帯電量が低く、安定した非帯電性および分散性を有する非帯電性着色樹脂粒子が容易に得られることを意外にも見出すことで、本発明に至った。
【0009】
かくして、本発明によれば、非極性溶媒に親和性を有するシリコーン鎖からなるセグメントと非水系極性溶媒に親和性を有するアクリル重合体からなるセグメントとを備え、かつ、カルボキシル基を有し酸価が1〜200mgKOH/gであり、非極性溶媒に不溶であるポリオールと、顔料と、多官能イソシアネートと、上記非水系極性溶媒とを含む混合液Aを得る工程と、上記混合液Aと上記非極性溶媒とを混合して混合液Bを得る工程と、上記混合液Bから上記非水系極性溶媒を除去して混合液Cを得る工程と、上記混合液Cにおいて、上記ポリオールを上記多官能イソシアネートで架橋させてなる架橋樹脂により上記顔料の表面を被覆させて樹脂被覆顔料を含む混合液Dを得る工程と、上記混合液Dにアミノ基含有化合物を添加し、上記樹脂被覆顔料の架橋樹脂と前記アミノ基含有化合物とを反応させて非帯電性着色樹脂粒子を得る工程とを有することを特徴とする非帯電性着色樹脂粒子の製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、上記の製造方法により得られる非帯電性着色樹脂粒子であって、上記非極性溶媒中に固形分濃度10重量%で分散した状態で、電極間距離を50μmとした並行平板となるITO電極間に封入し、10Vの電圧を60秒間印加した際に10nC/cm2以下の帯電量を示すことを特徴とする非帯電性着色樹脂粒子が提供される。
【0011】
さらに、本発明によれば、上記非帯電性着色樹脂粒子を非極性溶媒に分散させてなる非帯電性着色樹脂粒子分散液が提供される。
また、本発明によれば、上記非帯電性着色樹脂粒子分散液を用いてなる電気泳動表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、隠蔽性が高く、着色泳動粒子の電気泳動を阻害しない非泳動の非帯電性着色樹脂粒子の製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法により得られる非帯電性着色樹脂粒子は、安定した非帯電性および分散性を有するので、本発明による非帯電性着色樹脂粒子を着色非泳動粒子とし、着色泳動粒子と組み合わせて電気泳動表示装置に用いた場合、着色泳動粒子の移動を妨げず、所望の色表示を実現することができる。
【0013】
また、アミノ基含有化合物が、脂肪族アミンまたはアミノ基含有シリコーン化合物であることにより、ポリオールに由来するカルボキシル基1モルに対して、アミノ基含有化合物中のアミノ基を0.2〜1.5モル反応させることにより、さらに安定した非帯電性および分散性を有する非帯電性着色樹脂粒子を容易に得ることができる。
【0014】
さらに、非水系極性溶媒の沸点が、非極性溶媒の沸点未満かつ50〜200℃であることにより、非極性溶媒がシリコーンオイルまたはパラフィン系炭化水素であることにより、非水系極性溶媒がエステル類またはケトン類であることにより、さらに安定した非帯電性および分散性を有する非帯電性着色樹脂粒子を容易に得ることができる。
また、ポリオールが、A−B型ブロック共重合体またはグラフト共重合体であることにより、さらに安定した非帯電性および分散性を有する非帯電性着色樹脂粒子を容易に得ることができる。
【0015】
本発明の非帯電性着色樹脂粒子を非極性溶媒に分散させてなる非帯電性着色樹脂粒子分散液を用いた電気泳動表示装置は、所望しない色が表示されることを防ぐことができる。
例えば、本発明の非帯電性着色樹脂粒子を用いてなる非帯電性着色樹脂粒子分散液は、非極性溶媒中に、少なくとも着色非泳動粒子としての本発明の非帯電性着色樹脂粒子と着色泳動粒子としての公知の帯電性着色樹脂粒子とが分散されてなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例および比較例において得られた着色樹脂粒子の帯電量を評価するための冶具の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の非帯電性着色樹脂粒子(以下「非帯電粒子」ともいう)の製造方法は、
非極性溶媒に親和性を有するシリコーン鎖からなるセグメントと非水系極性溶媒に親和性を有するアクリル重合体からなるセグメントとを備え、かつ、カルボキシル基を有し酸価が1〜200mgKOH/gであり、非極性溶媒に不溶であるポリオールと、顔料と、多官能イソシアネートと、非水系極性溶媒とを含む混合液Aを得る工程と、混合液Aと非極性溶媒とを混合して混合液Bを得る工程(以下「分散工程」ともいう)と、
混合液Bから非水系極性溶媒を除去して混合液Cを得る工程(以下「除去工程」ともいう)と、
混合液Cにおいて、ポリオールを多官能イソシアネートで架橋させてなる架橋樹脂により顔料の表面を被覆させて樹脂被覆顔料を含む混合液Dを得る工程(以下「架橋工程」ともいう)と、
混合液Dにアミノ基含有化合物を添加し、樹脂被覆顔料の架橋樹脂とアミノ基含有化合物とを反応させて非帯電性着色樹脂粒子を得る工程(以下「反応工程」ともいう)
とを有する。
【0018】
なお、本発明において「非帯電性」とは、極性(帯電性)の評価において正、負のいずれの反応も示さず、かつ上記の帯電量を有することを意味する。極性(帯電性)の評価方法および帯電量の測定方法については、実施例において説明する。
以下、(A)非帯電性着色樹脂粒子の製造方法、(B)非帯電性着色樹脂粒子、(C)非帯電性着色樹脂粒子分散液および(D)電気泳動表示装置について具体的に説明する。
【0019】
(A)非帯電性着色樹脂粒子の製造方法
本発明においては、液中乾燥法により一旦シリコーン鎖およびカルボキシル基を有する樹脂被覆顔料(正帯電着色樹脂粒子)を作製した後に、樹脂被覆顔料のカルボキシル基とアミノ基含有化合物のアミノ基と反応させることにより非帯電性着色樹脂粒子を得ることができる。
以下、この製造方法を工程毎に具体的に説明するが、これらは一実施形態であり、これらにより本発明が限定されるものではない。
【0020】
(A−1)分散工程
まず、非極性溶媒に親和性を有するシリコーン鎖からなるセグメントと非水系極性溶媒に親和性を有するアクリル重合体からなるセグメントとを備え、かつ、カルボキシル基を有し酸価が1〜200mgKOH/gであり、非極性溶媒に不溶であるポリオールと、顔料と、多官能イソシアネートと、前記非水系極性溶媒とを含む混合液Aと、非極性溶媒とを混合して混合液Bを得る。
上記混合液Aは、ポリオールなどが非水系極性溶媒に溶解し、顔料などが非水系極性溶媒中に分散した状態になっている。
また、上記混合液Bは、ポリオールなどが溶解した非水系極性溶媒と、非水系極性溶媒に対する顔料などの非溶解成分とが分散した状態になっている。
【0021】
(ポリオール)
上記ポリオールは、カルボキシル基を有し酸価が1〜200mgKOH/gである。
ポリオールが有するカルボキシル基は、例えば、後述するビニル系モノマーに由来するものであってもよい。
上記ポリオール中のカルボキシル基の量は、その酸価を指標とすることができ、測定方法については、実施例において説明する。
上記ポリオールの酸価が1mgKOH/g未満であると、後述するアミノ基含有化合物のアミノ基との反応が不充分となり、帯電量が低く、安定した非帯電性および分散性を有する非帯電性着色樹脂粒子を得ることができない。上記ポリオールの酸価が200mgKOH/gを超えると、粒子表面に存在するカルボキシル基量が多くなるため、非極性溶媒中への分散性が悪化する。上記ポリオールの酸価の好ましい下限は5mgKOH/gであり、好ましい上限は180mgKOH/gであり、より好ましい下限は10mgKOH/gであり、より好ましい上限は150mgKOH/gである。
【0022】
また、上記ポリオールは、非極性溶媒に不溶である。ここで、上記ポリオールが非極性溶媒に可溶であるか不溶であるかについては、例えば、シリコーンにポリオールを加え、室温(25℃)下においてホモミキサーなどの撹拌機で撹拌し、透明になるかどうかで簡易に判断できる。
【0023】
さらに、上記ポリオールは、非極性溶媒に親和性を有するシリコーン鎖からなるセグメントと、非水系極性溶媒に親和性を有するアクリル重合体からなるセグメントとを備える。これらの2つのセグメントは、顔料を非極性溶媒中で安定に分散させる機能を有している。具体的には、この機能は、ポリオールが顔料と非極性溶媒との界面に存在し、非水系極性溶媒に親和性を有するセグメントが顔料側に、非極性溶媒に親和性を有するセグメントが非極性溶媒側に位置することで発現すると推測される。
【0024】
上記非極性溶媒に親和性を有するセグメントとしては、例えば、ポリオルガノシロキサン基を含有するシリコーン鎖からなるセグメント等が挙げられる。上記非極性溶媒に不溶であり、非水系極性溶媒に親和性を有するセグメントとしては、例えば、ポリオルガノシロキサン基を含有しないアクリル鎖からなるセグメント等が挙げられる。
【0025】
上記シリコーン鎖からなるセグメントとしては、下記一般式(1)で表わされるジメチルシリコーンおよび有機基を導入した変性シリコーンセグメントを例示できる。
【化1】

【0026】
上記一般式(1)中、Rは水素原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、またはフェニル基、アミノ基、アラルキル基、アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基、アルキルポリエーテル基などを表わす。また、m、nは0以上の整数である。
【0027】
また、上記ポリオルガノシロキサン基を含有しないアクリル鎖からなるセグメントとしては特に限定さないが、例えば、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなど)などのモノマーを主成分とした共重合体からなるセグメントが好適に用いられる。
【0028】
さらに上記モノマーと併用可能なビニルモノマーとしては、例えば、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレンなど)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなど)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸など)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミドなど)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0029】
本発明においては、上記ポリオールとしては、例えば特開平1−254719号公報および特開昭63−291925号公報に記載された、アクリル系重合体にポリシロキサン基が結合したポリシロキサン基含有グラフト共重合体部分(以下重合体部分Aとする)とアクリル系重合体部分(以下重合体部分Bとする)とからなるA−B型ブロック共重合体を好適に使用できる。また、アクリル系重合体にポリシロキサン基が結合したポリシロキサン基含有グラフト共重合体も好適に使用できる。
特に、重合体部分Aと重合体部分Bとの重量比率A/Bが25/75〜90/10であり、テトラヒドロフランを溶離液に用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が4000〜100000の範囲の共重合体が、本発明の非帯電性着色樹脂粒子を得るためには適している。このような共重合体としては、例えば、日本油脂社製、商品名モディパーFS700(分子量Mw=27000、水酸基価60mgKOH/g)等が挙げられる。
【0030】
また、上記ポリオールとしては、特開昭60−123518号公報、特開昭63−227670号公報に記載された、ポリジメチルシロキサンのようなシリコーン系重合体の片末端にラジカル重合性の基を有するシリコーン系マクロモノマーを、他の重合性単量体と共重合させて得られるシリコーン系グラフト共重合体も好適に用いることができる。
このようなグラフト共重合体型のポリオールとしては、例えば、東亜合成社製、商品名レゼタGS1015(分子量Mw=23000、水酸基価120mgKOH/g、酸価14mgKOH/g、固形分45重量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液)等が挙げられる。
【0031】
さらには、ポリオルガノシロキサン基を含有しないアクリル鎖を備え、非水系極性溶媒に親和性を有するセグメントと、ポリオルガノシロキサン基を含有するシリコーン鎖を備え前記非極性溶媒に親和性を有するセグメントとを備えた共重合体としては、例えば、特開平6−93100号公報、特開平11−189621号公報、特開平11−228631号公報および特開2000−313709号公報に記載のごとく、シリコーンマクロアゾ開始剤およびラウリルメルカプタンのような分子量調整剤を用いてビニル系モノマーを重合することにより、ポリシロキサンブロック共重合成分を導入して得られた重合体を好適に使用できる。
【0032】
上記シリコーンマクロアゾ開始剤としては、例えば、下記式(2)で示されるポリジメチルシロキサンセグメントがアゾ基を介して複数連結した構造を有する開始剤が挙げられる。
【化2】

【0033】
この開始剤は、上記式(2)中、R1、R2、R3およびR4がそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基またはシアノ基であり、R5、R6、R7およびR8がそれぞれ独立して水素原子または低級アルキル基であり、R9およびR10がそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、ハロアルキル基またはフェニル基であり、pおよびqがそれぞれ独立して1〜6の整数であり、mおよびnがそれぞれ独立して0〜6の整数であり、rが0〜200の整数である。
上記ブロック型共重合体は、例えば、溶剤としてトルエンを用い、高分子アゾ開始剤およびビニル系モノマーを重合温度70℃、5時間反応させることにより、目的のポリジメチルシロキサンとビニル系ポリマーが線状に結合したブロック共重合体を得ることができる。
市販品としては、例えば、和光純薬社製、高分子アゾ開始剤(商品名VPS−0501およびVPS−1001)が挙げられる。
【0034】
ここで用いることのできるビニル系モノマーとしては、主として、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルエキシルなど)などが挙げられる。これらビニル系モノマーは、他のモノマーと併用してもよい。他のモノマーとしては、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレンなど)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなど)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸など)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミドなど)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0035】
特に、本発明においては目的の非帯電性着色樹脂粒子の製造に適したA−B型ブロック共重合体を得るために、高分子アゾ開始剤とビニル系モノマーとの比率は1:1〜1:4であることが好ましく、1:2〜1:3であることがより好ましい。また、ブロック共重合体の重量平均分子量は、20000〜150000の範囲であることが好ましい。
また、本発明においてブロック共重合またはグラフト共重合体に水酸基を含有させポリオールとするには、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、ポリアルキレングリコールモノアクリレート、ポリアルキレングリコールモノメタクリレートなどの水酸基を有するビニル系モノマーを使用できる。これらの水酸基を有するビニル系モノマーの使用量は、ブロック共重合体またはグラフト共重合体を構成する全モノマーおよび高分子アゾ開始剤などの材料の合計を100重量部とした時、1〜50重量部であることが好ましく、2〜30重量部であることが好ましい。
【0036】
(顔料)
上記顔料としては特に限定されず、有機顔料または無機顔料を用いることができる。
具体的には、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー74などのモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー17などのジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180などの非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100などのアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95などの縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115などの酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18などの塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエローなどのアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT、C.I.ピグメントイエロー139などのイソインドリノン顔料、キノフタロンイエローなどのキノフタロン顔料、イソインドリンイエローなどのイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153などのニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117などの金属錯塩アゾメチン顔料、C.I.ピグメントレッド3などのモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38などのジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1などやC.I.ピグメントレッド57:1などのアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144などの縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174などの酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81などの塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177などのアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88などのチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194などのペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149などのペリレン顔料、C.I.ピグメントレッド122などのキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180などのイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83などのアリザリンレーキ顔料など、C.I.ピグメントブルー25などのジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15などのフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24などの酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1などの塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60などのアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18などのアルカリブルー顔料など、アニリンブラック系顔料などの有機顔料や銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、二酸化チタン、チタンブラックなどのチタン酸化物類、およびファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック顔料類などが挙げられる。
【0037】
さらには、非水溶性樹脂によって予め分散された顔料、いわゆる加工顔料と呼ばれるものも使用できる。具体的には、顔料と樹脂を2本ロールなどで加熱下に混練したカラーチップ(太平化学、大成化工製など)と呼ばれるものや、マイクロリス(BASF製)といった市販の加工顔料を使用できる。具体的には、マイクロリス−A、−K、−Tなどのマイクロリス顔料に代表される加工顔料を好適に使用できる。さらにその具体例としてはマイクロリスイエロー4G−A、マイクロリスレッドB−K、マイクロリスマゼンタ5B−K、マイクロリスブルー4G−K、マイクロリスホワイトR−K,マイクロリスブルー4G−T、マイクロリスブラックC−Tなどが挙げられる。
【0038】
なお、上記の加工顔料に用いられる顔料を分散するための非水溶性樹脂としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリ
エステル系樹脂などを使用できる。
例えば電子ペーパーに用いられる着色樹脂粒子は、20nm〜10μmの平均粒子径を有することが好ましいため、顔料は、10nm〜1μmの平均粒子径を有することが好ましい。また、顔料の形状は、特に限定されないが、分散媒への分散安定性を考慮すると、できるだけ球形に近いことが好ましい。
【0039】
顔料は、非水系極性溶媒への分散性を向上させるために、予めポリオールと接触させておいてもよい。また、ポリオール以外に、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、ブチラール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などと接触させておいてもよい。
顔料は、顔料分散剤で表面処理されていてもよい。この表面処理は、顔料を非極性溶媒に分散させる前の非水系極性溶媒中で行うことが好ましい。
顔料分散剤、例えば、高分子分散剤タイプの顔料分散剤としては、ソルスパースシリーズ(日本ルーブリゾール社製)、DisperbykシリーズおよびBYKシリーズ(ビッグケミー社製)、アジスパー(味の素ファインテクノ社製)、フローレンシリーズ(共栄社化学製)、ディスパロンシリーズ(楠本化成社製)などを市販品のまま特段の精製をすることなく使用できる。これらの高分子活性剤タイプの顔料分散剤は、分子内に、塩やエステル基、アミノ基などを有し、有機溶剤に溶解した際の溶液粘度が小さく、また、顔料を細分化できる能力を有している。
【0040】
上記ソルスパースシリーズとしては、ソルスパース10000、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32550、ソルスパース34750、ソルスパース54000などが挙げられる。なお、これらソルスパースシリーズは、非水系極性溶媒には可溶であるが、シリコーンオイルには溶解し難いため、シリコーンオイル中での着色樹脂粒子の分散安定性への寄与度は低いと推測される。
上記DisperbykシリーズおよびBYKシリーズとしては、Disperbyk−103、Disperbyk−161、Disperbyk−166、Disperbyk−167、BYK−P104、BYK−P105などが挙げられる。
上記アジスパースシリーズとしては、PB−881、PB−821などが挙げられ、下記一般式(3)を有している。
【0041】
【化3】

【0042】
上記一般式(3)中、R1は炭素原子数8〜22の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、mは0〜20の整数、YはOまたはCOO、jは0または1の整数、Xは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基または下記一般式(4)で表される置換基、Aはアミノ基部分を除いた中性または酸性アミノ酸残基を示す。
【0043】
【化4】

【0044】
上記一般式(4)中、R2はR1と同一または異なる炭素原子数8〜22の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基、nは0〜20の整数、YはOまたはCOO、kは0または1を示す。
上記フローレンシリーズとしては、KDG−2400などが挙げられる。またディスパロンシリーズとしては、ディスパロン1210、ディスパロン1220などが挙げられる。
【0045】
また、顔料分散剤として、シランカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤などのカップリング剤を使用することもできる。
【0046】
シラン系カップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチルー3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、ジアミノシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、トリアミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノ−4,5−ジヒドロイミダソールプロピルトリエキシラン、3−メタクロリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリニトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、アミルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリ(メタクリロイルオキシエトキシ)シラン、メチルトリ(グリシジルオキシ)シラン、長鎖アルキルトリエトキシシラン、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
【0047】
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトオクタデシルオキシアルミニウムジイソプロピオネートなどが挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(n−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(
ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート、ビス(ジオクチルパオロホスフェート)エチレンチタネート、ビス(ジオクチルパオロホスフェート)ジイソプロピルチタネート、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テトラプロピルオルソチタネート、テトライソプロピルテトラエチルオルソチタネート、テトラブチルオルソチタネート、ブチルポリチタネート、テトライソブチルオルソチタネート、2−エチルヘキシルチタネート、ステアリルチタネート、クレシルチタネートモノマー、クレシルチタネートポリマー、ジイソプロポキシ−ビス−(2,4−ペンタジオネート)チタニウム(IV)、ジイソプロピル−ビス−トリエタノールアミノチタネート、オクチレングリコールチタネート、チタニウムラクテート、アセトアセティツクエスチルチタネート、ジイソプロポキシビス8アセチルアセトナト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアルミナト)チタン、ジヒドロキシビス(ラクタト)チタン、チタニウム−イソプロポキシオクチレングリコレート、チトラ−n−ブトキシチタンポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートポリマー、ブチルチタネートダイマー、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
【0048】
ジルコニウム系カップリング剤としては、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ジルコニウムラクテート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート、テトラ(トリエタノールアミン)ジルコネート、テトライソプロピルジルコネートなどが挙げられる。
【0049】
上記ポリオールの使用量としては特に限定されないが、顔料100重量部に対して好ましい下限は30重量部、好ましい上限は130重量部である。
また、上記顔料分散剤の使用量としては特に限定されないが、顔料100重量部に対して好ましい下限は3重量部、好ましい上限は30重量部である。
また、顔料は所望の粒子径に微分散させるために、必要に応じて溶剤および顔料分散剤、ポリオールの存在下に、ガラスビーズ、スチールビーズやジルコニアビーズなどの分散媒体を用いて、ダイノーミルやDSP−ミルの如きビーズミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、ニーダーやナノマイザーの如き高圧噴射ミルなどの分散機により分散させるのが好ましい。
【0050】
(多官能イソシアネート)
上記多官能イソシアネートは、上記ポリオールと反応することで、架橋樹脂を形成する化合物である。多官能とは、2官能以上を意味し、好ましい官能数は2〜6である。
【0051】
上記多官能イソシアネートとしては、例えば、脂肪族鎖状炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素などの基本構造に、イソシアネート基が複数結合した化合物を使用でき、具体的には、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ポリトリレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂環式ポリイソシアネート、その他、上記ポリイソシアネートのカルボジイミド変性ポリイソシアネート、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート、アダクト型ポリイソシアネートなどを挙げることができる。また、ポリオールに過剰のポリイソシアネートを反応させて得られる反応生成物であって、イソシアネート基を分子末端に有する所謂ウレタンプレポリマーも適用でき、さらにはこれらの混合物も使用できる。
これらの具体的な例示として、HDIとして旭化成ケミカルズ社製、商品名:デュラネート 50M、ジフェニルメタンジイソシアネートとしては日本ポリウレタン社製商品名ミリオネート MT−Fが挙げられる。
【0052】
さらには、HDIよりなるイソシアヌレート型ポリイソシアネートとして、旭化成ケミカルズ社製、商品名:デュラネートTPA−100(粘度:1400mPa・s/25℃、NCO%:23.1%)、TLA−100(粘度:500mPa・s/25℃、NCO%:23.5%)、ビュレット型ポリイソシアネートとして、旭化成ケミカルズ社製、商品名:デュラネート 24A−100(粘度:1800mPa・s/25℃、NCO%:23.5%)、アダクト型ポリイソシアネートとして、旭化成ケミカルズ社製、商品名:デュラネート P301−75E(酢酸エチル25%含有、粘度:350mPa・s/25℃、NCO%:12.5%)、ウレタンプレポリマーよりなるポリイソシアネートとして、旭化成ケミカルズ社製、商品名:デュラネート D101(粘度:500mPa・s/25℃、NCO%:19.7%)やD102(粘度:1800mPa・s/25℃、NCO%:15.8%)を挙げることができる。
【0053】
上記多官能イソシアネートは、使用するポリオール中の水酸基の含有量に応じ、水酸基1モルに対し0.3〜1.0モルのイソシアネート基となる範囲で多官能イソシアネートを使用することが好ましい。より具体的には、例えばポリオールと多官能イソシアネートの使用量は一般に下記式で計算することができる。
式:多官能イソシアネートの必要量[部]=
(ポリオールの水酸基価/561)×(42×100)/
(多官能イソシアネートのNCO%)×(ポリオール量/100)×(NCO/OH比)
この範囲内であれば、顔料から剥離し難く、非極性溶媒への分散性の良好な着色樹脂粒子を得ることができる。
【0054】
上記多官能イソシアネートと上記ポリオールの反応時に、架橋触媒を存在させてもよい。上記架橋触媒としては特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの3級アミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−エチルモルホリンなどのアミン系化合物、ジブチルスズジラウレートなどのスズ化合物、チタンアセチルアセトナートなどのチタン化合物、ジルコニウムアセチルアセトナートなどのジルコニウム化合物を好適に用いることができる。
上記架橋触媒の使用量としては特に限定されないが、多官能イソシアネート100重量部に対して、好ましい下限は0.01重量部、好ましい上限は5重量部であり、より好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は3重量部である。
【0055】
(非水系極性溶媒)
上記非水系極性溶媒は、実質的に水を含まない極性溶媒を意味し、より具体的には、上記ポリオールおよび多官能イソシアネートを溶解し得る溶媒であれば特に限定されず、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。
【0056】
上記非水系極性溶媒の沸点は、非極性溶媒の沸点未満であることが好ましい。また、上記非水系極性溶媒の沸点は、50〜200℃であることが好ましい。この範囲の沸点を有することで、分散工程での混合液の非極性溶媒への分散を容易に行うことができ、かつ除去工程での非水系極性溶媒の除去を短時間で行うことができる。非水系極性溶媒の沸点のより好ましい範囲は、50〜150℃である。
特に、分散液の製造容易性の観点から、非水系極性溶媒の沸点は、50〜120℃であることがより好ましい。
また、非水系極性溶媒の沸点は、非極性溶媒の沸点よりも10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましく、30℃以上低いことがさらに好ましい。沸点の差が10℃未満である場合は、非水系極性溶媒を除去する際、非極性溶媒も同時に除去されることがあり、このことにより、分散安定性が低下することがある。
【0057】
(非極性溶媒)
上記非極性溶媒(無極性溶媒)としては、上記ポリオールに対して不溶性の溶媒であれば特に限定されないが、揮発性が低く、化学物質としての安全性の高い材料が好ましく、例えば、石油由来高沸点成分であるパラフィン系炭化水素、シリコーンオイル、フッ素系液体などが挙げられる。
上記パラフィン系炭化水素としては、例えば、炭素数20以上(沸点80℃以上)のノルマルパラフィン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素が挙げられるが、安全性、揮発性などの理由から、イソパラフィンを用いることが好ましい。具体的には、エクソン社製、商品名:アイソパーH(100%留出温度188℃)、アイソパーL(100%留出温度199℃)、アイソパーG(100%留出温度176℃)、アイソパーM(100%留出温度199℃)や、出光石油化学社製、商品名:アイピーソルベント1620(100%留出温度202℃)、アイピーソルベント2028(100%留出温度262℃)、アイピーソルベント2835(100%流出温度353℃)などが挙げられる。ここで100%留出温度とは、常圧下の蒸留試験によって得られる蒸留終点の温度を意味する。
【0058】
上記シリコーンオイルとしては、具体的には、シロキサン結合に炭化水素基が結合したシリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、ジエチルシリコーンオイル、メチルエチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイルなど)、変性シリコーンオイル(例えば、フッ素変性シリコーンオイル、アミン変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイルなど)が挙げられる。なかでも、安全性が高く、化学的に安定で長期の信頼性がよく、かつ抵抗率が高いという観点から、ジメチルシリコーンが特に好ましい。
【0059】
(ポリオール、多官能イソシアネート、顔料および非水系極性溶媒の使用量)
上記非水系極性溶媒の使用量は、上記ポリオールおよび多官能イソシアネートを溶解し、顔料を分散し得る量であるが、後の除去における時間を短縮するために、できるだけ少ないことが好ましい。このような観点から、上記非水系極性溶媒の使用量は、ポリオールと多官能イソシアネートと顔料の合計100重量部に対して、好ましい下限は200重量部、好ましい上限は3000重量部、より好ましい下限は300重量部、より好ましい上限は1500重量部である。
【0060】
本発明の非帯電性着色樹脂粒子を用いてなる非帯電性着色樹脂粒子分散液を例えば表示装置に使用する場合、顔料量ができるだけ多いほうが良好な表示を得ることができる。しかし、架橋樹脂量が少なくなると分散液中での顔料の分散安定性が低下することがある。このような観点から、顔料の使用量は、上記架橋樹脂100重量部に対して、好ましい下限が5重量部、好ましい上限が100重量部、より好ましい下限が20重量部、より好ましい上限は80重量部である。なお、ポリオール由来の成分と多官能イソシアネート由来の成分からなる架橋樹脂量は、ポリオールと多官能イソシアネートの合計量とほぼ等価である。
【0061】
(非水系極性溶媒への混合・分散:混合液Aの調製)
上記混合液Aの製法としては特に限定されず、例えば、ボールミル、アトライター、サンドミルなどのメディア型分散装置、ホモミキサー、ホモジナイザー、バイオミキサーなどの剪断型分散装置、超音波分散装置などを用いた方法が挙げられる。なかでも、分散効率が高い超音波分散装置を用いた方法が好ましい。
超音波の照射による分散は、一般に用いられる超音波洗浄装置に温水などの媒体を適量満たし、これにポリオールと多官能イソシアネートと顔料と非水系極性溶媒との混合液を入れた容器を浸して超音波を照射する方法、または内部照射型超音波発生装置などを用い、混合液を入れた容器に超音波振動子を挿入して超音波を照射する方法などにより行うことができる。
【0062】
超音波の発信周波数は16kHz以上であることが好ましく、20〜500kHzの範囲であることがより好ましい。また、出力は、超音波を照射する媒体1Lあたり、10〜1000Wが好適である。
また、超音波照射下における分散には、マグネチックスターラーなどの機械的撹拌装置の併用も可能である。さらに、外部温調装置により温度をコントロールした溶媒を超音波洗浄装置内に循環させることによって温度を調整してもよい。なお、分散温度としては特に限定されず、室温(約25℃)で行うことができ、必要に応じて、冷却または加温できる。
なお、非水系極性溶媒へのポリオールと多官能イソシアネートと顔料の添加の順は特に限定されない。従って、ポリオールと多官能イソシアネートを添加した後、顔料を添加してもよく、その逆順で三者を添加してもよく、三者を同時に添加してもよい。
すなわち、実施例のように、予め非水系極性溶媒に顔料を分散させた顔料分散液および非水系極性溶媒にポリオールを溶解させた溶液を調製しておき、これらを他の成分と共に非水系極性溶媒に混合してもよい。
【0063】
(混合液Bの調製)
次いで、上記混合液Aと非極性溶媒とを混合して混合液Bを得る工程を有する。
上記混合液Bは、ポリオールなどが溶解した非水系極性溶媒と、非水系極性溶媒に対する顔料などの非溶解成分とが分散した状態になっており、ここでの分散方法は、上記の非水系極性媒体への顔料の分散方法をいずれも使用できる。
また、上記混合液Aと上記非極性溶媒との混合においては、上記混合液Aに対して上記非極性溶媒を添加してもよいし、その逆でもよく、また、両者を別容器等に同時に添加してもよい。
【0064】
(A−2)除去工程
本発明の製造方法は、次いで、上記混合液Bから上記非水系極性溶媒を除去して混合液Cを得る工程を有する。
この除去工程では、例えば、上記混合液Bを加熱および/または減圧することで、非水系極性溶媒を除去することができる。この除去工程は、ポリオールを、多官能イソシアネートで架橋させて架橋樹脂層を形成する架橋工程を兼ねてもよい。また、除去工程を、架橋工程と兼ねない場合は、非水系極性溶媒が除去して顔料表面にポリオールと多官能イソシアネートとを含む層を形成し、次いで架橋工程に付すことで、架橋樹脂層を得ることができる。
【0065】
加熱温度は、非水系極性溶媒を除去できさえすれば、特に限定されない。例えば、非水系極性溶媒の沸点の50〜200℃高い温度で加熱すれば、非水系極性溶媒を容易に除去できる。また、沸点の差を利用して、常温以下の温度で減圧により非極性溶媒を除去してもよい。さらに、加熱と同時に減圧することで、除去時間を短縮することも可能である。
【0066】
除去工程は分散液を攪拌しつつ行ってもよい。攪拌方法は、分散工程における非水系極性媒体への顔料の分散方法をいずれも使用できる。
なお、非水系極性溶媒の除去の終点は、ガスクロマトグラフィーなどで測定することにより判断できる。
さらに、除去工程が架橋工程を兼ねる場合、加熱温度は、例えば、非水系極性溶媒の沸点の10℃以上高い温度であることが好ましく、20℃以上高い温度であることがより好ましく、30℃以上高い温度であることがさらに好ましい。
【0067】
(A−3)架橋工程
本発明の製造方法は、次いで、混合液Cにおいて、ポリオールを多官能イソシアネートで架橋させてなる架橋樹脂により、上記顔料の表面を被覆して樹脂被覆顔料を含む混合液Dを得る工程を有する。
本発明において、多官能イソシアネートとポリオールの反応時に用いる、トリエチルアミンのような架橋触媒は、非水極性溶媒のポリオールと多官能イソシアネートと顔料の分散液作成時に添加してもよく、分散液の非極性溶媒への分散時に非極性溶媒中に添加してもよく、非極性溶媒と分散液とを含む系を加熱および/または減圧し非水系極性溶媒を除去した後に非極性溶媒に添加してもよい。架橋触媒の添加時期は、用いる架橋触媒の種類や製造プロセスを考慮して適宜選択することができる。非極性溶媒と混合液とを含む系を加熱および/または減圧し非水系極性溶媒を除去した後に非極性溶媒に、架橋触媒を添加することが好ましい。
【0068】
(A−4)反応工程
本発明の製造方法は、次いで、混合液Dにアミノ基含有化合物を添加し、上記樹脂被覆顔料の架橋樹脂とアミノ基含有化合物とを反応させて非帯電性着色樹脂粒子を得る工程を有する。より詳細には、架橋樹脂におけるポリオールに由来するカルボキシル基と、アミノ基含有化合物のアミノ基とを反応させて非帯電性着色樹脂粒子を得る。
アミノ基含有化合物としては特に限定されず、例えば、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ステアリルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪族アミン;ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサンなどのアミノ基含有シリコーン化合物などが挙げられる。
【0069】
ポリオールに由来するカルボキシル基1モルに対して上記アミノ基含有化合物中のアミノ基を0.2〜1.5モルを反応させることが好ましい。
アミノ基が0.2モル未満では、得られる非帯電性着色樹脂粒子の帯電量が10nC/cm2より高くなることがある。一方、1.5モルを超えると、添加に見合った効果が得られず、また余剰のアミノ基含有化合物を除去するための洗浄に多くの時間を要することとなり、生産効率が低下することがある。アミノ基の好ましい下限は0.3モルであり、好ましい上限は1.0モルである。
【0070】
アミド基量は、帯電性着色樹脂粒子中のカルボキシル基量に対して0.2〜1.5モル当量、好ましくは0.5〜1.0モル当量である。
反応物がアミド基を有することは、例えば、赤外分光法により確認することができ、その詳細については実施例において説明する。
【0071】
非帯電性着色樹脂粒子を得るために、樹脂被覆顔料の架橋樹脂とアミノ基含有化合物とを反応させる方法としては特に限定されず、例えば、樹脂被覆顔料分散液にアミノ基含有化合物を添加し、加熱下アミノ基含有化合物を非極性溶媒に溶解させた状態で攪拌し、その後、非極性溶媒を用いて遠心沈降と洗浄を繰り返して得る方法などが挙げられる。
【0072】
(B)非帯電性着色樹脂粒子
本発明の非帯電性着色樹脂粒子は、上記製造方法により得られ、前記非極性溶媒中に固形分濃度10重量%で分散した状態で、電極間距離を50μmとした並行平板となるITO電極間に封入し、10Vの電圧を60秒間印加した際に10nC/cm2以下の帯電量を示す。
【0073】
本発明の非帯電性着色樹脂粒子は、顔料の表面を被覆する架橋樹脂層により、分散液中での分散安定性が向上している。
本発明でいう架橋樹脂層での被覆とは、樹脂内部に顔料が取り込まれていることをいい、透過型電子顕微鏡(TEM)写真にて確認できる。例えば、樹脂内部に少なくとも1つまたはそれ以上の顔料が含まれていればよい。また、樹脂内部であれば、顔料が偏在、均一に分散した状態でもよい。
本発明の非帯電性着色樹脂粒子の形状は特に限定されない。しかしながら、表示装置の用途では、できるだけ球状に近い形状を着色樹脂粒子が有していることが好ましい。
【0074】
本発明の非帯電性着色樹脂粒子の平均粒子径としては特に限定されないが、好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は1.0μmである。平均粒子径が0.1μm未満では、重合時に非極性溶剤の粘度が上昇し、その結果安定した平均粒子径を有する非帯電性着色樹脂粒子の製造が行えないことがある。一方、1.0μmを超えると、非極性溶媒中での分散安定性が悪くなることがある。平均粒子径のより好ましい下限は0.2μmであり、より好ましい上限は0.8μmである。
【0075】
本発明の非帯電性着色樹脂粒子の比重としては特に限定されないが、好ましい下限は1.0、好ましい上限は3.0である。比重が1.0未満では、顔料濃度が低くなるため、発色が悪くなることがある。一方、3.0を超えると、非極性溶媒への分散性が悪化することがある。比重のより好ましい下限は1.2であり、より好ましい上限は2.5である。
また、得られた非帯電性着色樹脂粒子は、非極性溶媒から取り出してもよく、また取り出さずにそのまま使用することもできる。取り出された樹脂粒子は、必要に応じて、非極性溶媒で洗浄できる。さらに、洗浄後の非極性着色樹脂粒子を再度非極性溶媒中に分散させてもよい。
【0076】
本発明の非帯電性着色樹脂粒子は、非極性溶媒、特にシリコーンオイルへの分散安定性に優れ、着色剤の含有量が高く、かつ安定した非帯電性を有している。したがって、このような性質を利用した非帯電性着色樹脂粒子分散液は、電子ペーパーのような電気泳動を利用した電気泳動表示装置の表示素子として好適に使用できる。
非極性溶媒としては、(A)非帯電性着色樹脂粒子の製造方法において例示のもの、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカンなどのパラフィン系炭化水素;イソヘキサン、イソオクタン、イソドデカンなどのイソパラフィン系炭化水素;流動パラフィンなどのアルキルナフテン系炭化水素;ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジアルキルシリコーンオイル、アルキルフェニルシリコーンオイル、環状ポリジアルキルシロキサンおよび環状ポリアルキルフェニルシロキサンなどのシリコーンオイルなどが挙げられる。
これらの中でも、作業環境のような環境への影響を考慮して、シリコーンオイルが特に好ましい。
【0077】
発明者らは、予備試験により、前記の特許文献2および3に記載されているような着色非泳動粒子を溶媒に分散させても、所望の色表示ができないことを確認している。
すなわち、特許文献2および3の着色非泳動粒子による発色を強めるべく、溶媒中の着色非泳動粒子を増量させたところ、その分散液(表示液)全体の粘度が上昇し、着色泳動粒子の電気泳動が阻害される、つまり着色泳動粒子の移動速度が低下する傾向にあることが分かった。そこで、着色非泳動粒子の着色剤の割合を増加させたところ、着色非泳動性粒子の帯電量が上昇し、この場合も着色泳動粒子の電気泳動が阻害される傾向にあることが分かった。
【0078】
(C)非帯電性着色樹脂粒子分散液
本発明の非帯電性着色樹脂粒子分散液は、本発明の非帯電性着色樹脂粒子をシリコーンオイルのような非極性溶媒に分散させることにより得られる。非帯電性着色樹脂粒子分散液100重量部中の本発明の非帯電性着色樹脂粒子の含有量は、通常、2〜40重量部程度、好ましくは5〜30重量部である。
非帯電性着色樹脂粒子分散液を電気泳動表示装置(画像表示装置)として用いる場合には、公知の帯電性着色樹脂粒子がさらに含まれ、その含有量は、通常、非帯電性着色樹脂粒子分散液100重量部に対して0.2〜30重量部程度、好ましくは0.5〜20重量部である。
非帯電性着色樹脂粒子分散液は、本発明の効果を阻害しない範囲で公知の添加剤が配合されていてもよい。
【0079】
(D)電気泳動表示装置
本発明の電気泳動表示装置は、非帯電性着色樹脂粒子分散液を用いて得られる。
すなわち、本発明の電気泳動表示装置では、本発明の非帯電性着色樹脂粒子がベース色を発色し、公知の帯電性着色樹脂粒子が電気泳動により所望の形状で発色することにより、画像を表示する。
【0080】
本発明の電気泳動表示装置は、例えば、電極を有する一対の基板間に、非帯電性着色樹脂粒子分散液からなる表示層を挟んだ構造が挙げられる。電極間に電圧を印加することで、印加された電圧の極性に応じて、組み合わせて用いられる帯電性着色樹脂粒子が、一対の基板内の片側に移動する。この装置では、帯電性着色樹脂粒子の移動を利用して情報が表示される。
【実施例】
【0081】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0082】
(ポリオールの製造例1)
50mLのガラス容器に入れたトルエン(和光純薬社製)6gに、高分子アゾ重合開始剤(和光純薬社製ポリジメチルシロキサンユニット含有高分子アゾ開始剤、商品名:VPS−1001)1gを溶解させた。そこにメタクリル酸メチル(MMA、三菱レイヨン社製、商品名:アクリエステルM)1.32gと、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA、共栄社化学社製、商品名:ライトエステルOH−250)0.28gと、メタクリル酸(MAA、和光純薬社製)0.4gと、ラウリルメルカプタン(和光純薬社製)0.02gとを添加・混合した。得られた混合液を80℃のオイルバス中で5時間加熱撹拌した。得られたポリマー溶液を100mm×100mmのテフロン(登録商標)シート上に流し、60℃の乾燥機中で2時間乾燥させ、フィルム状のポリオール(ブロック共重合体)を得た。
【0083】
[重量平均分子量(Mw)]
得られたポリオールの重量平均分子量(Mw)を測定した。
本発明における重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した、ポリスチレン(PS)換算重量平均分子量を意味する。
具体的には、試料4mgをテトラヒドロフラン(THF)4mLに溶解させ(浸透時間:6.0±0.5hr(完全溶解))、非水系0.45μmのクロマトディスクで濾過した上で、次の条件でクロマトグラフを用いて測定した。予め測定し、作成しておいた標準ポリスチレンの検量線から試料の平均分子量を求めた。
【0084】
液体クロマトグラフ:東ソー社製、商品名「ゲルパーミエーションクロマトグラフ HLC−8320」
ガードカラム:東ソー社製、商品名「TSKguard SuperMP(HZ)−HX」1本(4.6mmI.D.×2cm)
カラム:東ソー社製、商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H X」2本(4.6mmI.D.×15cm)
カラム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン(THF)
移動相流量:0.2mL/min
検出:RI
試料濃度:0.5g/mL THF
注入量:20マイクロリットル
測定時間:25min
検量線用標準ポリスチレン:昭和電工社製、商品名「shodex」
重量平均分子量:5620000、3120000、1250000、442000、131000、54000、20000、7590、3450、1320
検量線の作成方法において、上記検量線用標準ポリスチレンをA、Bにグループ分けし、約1重量%濃度(0.1g/L)になるように、THFで溶解し、20μL注入した。これらの保持時間から較正曲線(一次式)を作成し、分子量分布測定に用いた。
【0085】
[酸価]
得られたポリオールの酸価を以下に示す方法にて測定した。
試料10gを精密に量り採り、共栓三角フラスコに入れてアルコール・エーテル混液(1:2)100mLを加えて溶解する。これに、フェノールフタレン試液を指示薬として、30秒間持続する淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール製水酸化カリウム溶液で滴定する。
酸価は次式により求める。
酸価=(5.611×a×F)/S
(ただし、Sは試料の採取量(g)、aは0.1Nアルコール製水酸化カリウム溶液の消費量(mL)、Fは0.1Nアルコール製水酸化カリウム溶液の力価)
【0086】
(ポリオールの製造例2〜5)
表1に示す量で各種材料を使用すること以外はポリオールの製造例1と同様にしてポリオールを得た。
ポリオールの製造に使用した材料およびその量、得られたポリオールの重量平均分子量(Mw)およびその酸価を表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
(顔料分散液の製造例1)
直径5mmのジルコニアビーズ500gを入れた300mLのガラス製ビーズポットに、非水系極性溶媒としての酢酸エチル(和光純薬社製)50g、顔料としての酸化チタン(平均一次粒子径:180nm、石原産業社製、商品名:PT−501R)50gおよび顔料の表面処理剤としての高分子分散剤(高分子顔料分散剤、味の素ファインテクノ社製、商品名:アジスパーPB881)5.0gを添加し、室温(25℃)で24時間ビーズミルによる顔料の分散処理を行い、顔料分散液を得た。
【0089】
(顔料分散液の製造例2)
顔料の表面処理剤としての高分子分散剤PB881の代わりに、高分子分散剤(味の素ファインテクノ社製、アルミニウム系カップリング剤、商品名:プレンアクトAL−M)を用いたこと以外は、顔料分散液の製造例1と同様にして、顔料分散液を得た。
【0090】
(顔料分散液の製造例3)
顔料としての酸化チタンPT−501Rの代わりに、酸化チタン(平均一次粒子径:70nm、石原産業社製、商品名:PT401M)を用いたこと以外は、顔料分散液の製造例1と同様にして、顔料分散液を得た。
顔料分散液の製造に使用した材料およびその量を表2に示す。
【0091】
【表2】

【0092】
(実施例1)
(分散工程)
非極性溶媒(連続相)としてイソパラフィン(出光興産社製、商品名:IPソルベント2028)25gを使用した。
顔料分散液の製造例1により得られた顔料分散液0.63g(顔料0.3g含有)に、非水系極性溶媒としての酢酸エチル4.7gを加え、さらにポリオールの製造例1で得られたポリオール0.8gを酢酸エチル5gに溶解させた溶液と、多官能イソシアネート(架橋剤)としてのヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネート(旭化成ケミカル社製、商品名:デュラネートTPA−100)0.12gを加えて溶解させ、反応相11.25g(混合液A:非水溶性極性溶媒としての酢酸エチルの合計量10gを含む)を得た。ここで、ポリオールは、非極性溶媒のイソパラフィンに不溶であり、かつ非水系極性溶媒の酢酸エチルに親和性を有するブロック共重合体(アクリル重合体)からなるセグメントと、非極性溶媒のイソパラフィンに親和性を有するシリコーン鎖からなるセグメントとを備える。
50mLのガラス瓶に連続相としてイソパラフィン25gを入れて超音波ホモジナイザーを用いて攪拌しながら、約5分間掛けて反応相を添加した。添加後、得られた混合物を引き続いて10分間撹拌し、乳化分散処理に付して乳化液(混合液B)を得た。
(除去工程)
次いで、得られた乳化液を50mLのナスフラスコに入れ、攪拌下90℃で2時間加熱することにより酢酸エチルを除去して、混合液Cを得た。
【0093】
(架橋工程)
次いで、酢酸エチルを除去した乳化液に、架橋触媒としてトリエチルアミン(Et3N)0.002gを加え、95℃で1時間撹拌することにより、ポリオールを多官能イソシアネートで架橋させて、架橋樹脂で被覆された着色樹脂粒子を含む分散液を得た。
(反応工程)
次いで、得られた分散液に、アミノ基含有化合物としてのステアリルアミン(分子量:269.51)0.34gを加え、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、60℃で4時間反応させ、着色樹脂粒子の分散液26.59gを得た。
(後処理)
反応終了後、遠心分離機(Kubota社製、型式:9730)を用いて分散液から着色樹脂粒子を分離し、再びイソパラフィン(連続相)25gに分散させる洗浄処理を2回行い、着色樹脂粒子の分散液26.59gを得た。
【0094】
(評価)
[平均粒子径]
得られた分散液中の着色樹脂粒子の平均粒子径を測定した。本発明において「平均粒子径」は、動的光散乱法と呼ばれる方法を利用して測定したZ平均粒子径を意味する。
具体的には、粒度分布測定装置(スペクトリス社マルバーン事業部製(malvern Instruments Ltd)、商品名:ゼータサイザーナノZS)およびそのデータ解析ソフトを用いて、着色樹脂粒子の分散液にレーザー光を照射し、樹脂粒子から散乱される散乱光強度をマイクロ秒単位の時間変化で測定し、検出された樹脂粒子に起因する散乱強度分布を正規分布に当てはめて、キュムラント解析法により平均粒子径388nmを求めた。
【0095】
[分散性(分散安定性)]
遠心分離機(トミー精工社製、商品名:卓上遠心機LC−200)を用いて、50mLのコニカルチューブに入れた着色樹脂粒子の分散液40mLを、回転数5000rpmで30分間遠心分離を行い、その後、取り出したコニカルチューブ中の粒子の分散状態を目視観察して、次の基準で分散性を評価した。
○:沈降しない
△:沈降する粒子としない粒子とが共存する
×:沈降する
得られた着色樹脂粒子の分散液は、評価「○」で、分散性が良好であった。
【0096】
[極性(帯電性)]
測定用試料として、得られた着色樹脂粒子の分散液から固形分5重量%の着色樹脂粒子の分散液(約5mL)を調製した。
次いで、片面に酸化インジウムスズ(ITO)をコートしたガラス板(幅8mm、長さ100mm、厚み0.7mm:松浪硝子工業社製、商品名:ITOコートガラス EAGLE XG)2枚を、コート面を内側にし、銅テープを貼り付けたスペーサーをガラス板間に挟んでガラス板の間隔を1mmとした平行平板(冶具)を用意した。次に冶具を測定用試料に浸漬し、冶具の左側に+100Vの電圧を印加して10秒間静置し、10秒経過後、測定用試料から冶具を引き上げた。冶具の左側(一方)のガラス板に粒子が付着していればその粒子極性を負、右側(他方)のガラス板に粒子が付着していればその粒子極性を正と判断するところ、測定用試料は極性(帯電性)を明確に示さなかった。
【0097】
[帯電量]
測定用試料として、得られた着色樹脂粒子の分散液から固形分10重量%の着色樹脂粒子の分散液(約5mL)を調製した。
次いで、片面に酸化インジウムスズ(ITO)をコートしたガラス板(幅20mm、長さ100mm、厚み0.7mm、松浪硝子工業社製、商品名:ITOコートガラス EAGLE XG)2枚を用意した。図1に示すように、一方のガラス基板のコート面にスペーサーとして厚み50μmのテフロン(登録商標)フィルム(幅20mm、長さ25mm)を貼り付け、2枚のガラス板をコート面が内側になるようにした状態でスペーサーを介して挟み込んだ平行平板(冶具)とした。2枚のガラス板の酸化インジウムスズ(ITO)のコート面のすき間(幅25mm、長さ20mm、厚み50μm)に、シリンジを用いて、予め調製しておいた測定用試料を毛細管現象により浸透させた。次に、冶具の両面を測定装置(KEITHLEY社製、商品名:KEITHLEY6514)に接続し、+10Vの電圧を60秒間印加させて得られた測定値(総帯電量)を測定面積で除し、帯電量0.7nC/cm2を求めた。
【0098】
[反応物中のアミド基の確認]
着色樹脂粒子の樹脂成分における反応物のアミド基の有無を確認した。
具体的には、得られた分散液から分離した着色樹脂粒子(約0.2mg)と、KBr粉末(約160mg)とを乳鉢で混合粉砕し、錠剤プレス成型機で得られた混合粉末を直径約13mmの錠剤に成型し、フーリエ変換赤外分光光度計(Nicolet社製、商品名:MAGNA−560)を用いてIR測定を行った。得られた赤外線吸収スペクトルの差スペクトルから着色樹脂粒子特有の吸収波長を見つけ出し、官能基情報を得たところ、3300cm-1付近にアミド基由来のピークを確認した。
以下の実施例および比較例を含めて、使用した材料およびその量ならびに評価結果を表3に示す。
【0099】
(実施例2)
アミノ基含有化合物としてのステアリルアミンの代わりに、オクチルアミン(分子量:129.24、花王社製、商品名:ファーミン)0.16gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子を含む分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子は、447nmの平均粒子径を有し、IR測定により3300cm-1付近にアミド基由来のピークが確認された。また、得られた着色樹脂粒子は、非極性溶媒中における分散性が良好で、1.2nC/cm2の帯電量を有し、帯電性を明確に示さなかった。
【0100】
(実施例3)
アミノ基含有化合物としてのステアリルアミンの代わりに、シリコーン鎖アミン(分子量:350、モメンティブ社製、商品名:MCR−A11)0.44gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子を含む分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子は、390nmの平均粒子径を有し、IR測定により3300cm-1付近にアミド基由来のピークが確認された。また、得られた着色樹脂粒子は、非極性溶媒中における分散性が良好で、4.5nC/cm2の帯電量を有し、帯電性を明確に示さなかった。
【0101】
(実施例4)
アミノ基含有化合物としてのステアリルアミン(分子量:269.51)0.51gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子を含む分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子は、436nmの平均粒子径を有し、IR測定により3300cm-1付近にアミド基由来のピークが確認された。また、得られた着色樹脂粒子は、非極性溶媒中における分散性が良好で、0.6nC/cm2の帯電量を有し、帯電性を明確に示さなかった。
【0102】
(実施例5)
アミノ基含有化合物としてのステアリルアミン(分子量:269.51)0.17gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子を含む分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子は、380nmの平均粒子径を有し、IR測定により3300cm-1付近にアミド基由来のピークが確認された。また、得られた着色樹脂粒子は、非極性溶媒中における分散性が良好で、0.7nC/cm2の帯電量を有し、帯電性を明確に示さなかった。
【0103】
(実施例6)
非極性溶媒としてのイソパラフィンの代わりに、シリコーンオイル(信越化学社製、商品名:KF−96L−2CS)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子を含む分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子は、365nmの平均粒子径を有し、IR測定により3300cm-1付近にアミド基由来のピークが確認された。また、得られた着色樹脂粒子は、非極性溶媒中における分散性が良好で、0.7nC/cm2の帯電量を有し、帯電性を明確に示さなかった。
【0104】
(実施例7)
ポリオールの製造例1で得られたポリオールの代わりに、ポリオールの製造例2で得られたポリオールを用い、アミノ基含有化合物としてのステアリルアミン(分子量:269.51)0.17gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子を含む分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子は、370nmの平均粒子径を有し、IR測定により3300cm-1付近にアミド基由来のピークが確認された。また、得られた着色樹脂粒子は、非極性溶媒中における分散性が良好で、1.5nC/cm2の帯電量を有し、帯電性を明確に示さなかった。
【0105】
(実施例8)
ポリオールの製造例1で得られたポリオールの代わりに、ポリオールの製造例3で得られたポリオールを用い、アミノ基含有化合物としてのステアリルアミン(分子量:269.51)0.09gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子を含む分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子は、365nmの平均粒子径を有し、IR測定により3300cm-1付近にアミド基由来のピークが確認された。また、得られた着色樹脂粒子は、非極性溶媒中における分散性が良好で、2.3nC/cm2の帯電量を有し、帯電性を明確に示さなかった。
【0106】
(実施例9)
ポリオールの製造例1で得られたポリオールの代わりに、ポリオールの製造例5で得られたポリオールを用い、アミノ基含有化合物としてのステアリルアミン(分子量:269.51)0.01gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子を含む分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子は、361nmの平均粒子径を有し、IR測定により3300cm-1付近にアミド基由来のピークが確認された。また、得られた着色樹脂粒子は、非極性溶媒中における分散性が良好で、9.3nC/cm2の帯電量を有し、帯電性を明確に示さなかった。
【0107】
(実施例10)
ポリオールの製造例1で得られたポリオールの代わりに、シリコーン−アクリル系グラフト共重合体(酸価14mgKOH/g、水酸基価120mgKOH/g、東亞合成社製、商品名:レゼタGS−1015)を用い、アミノ基含有化合物としてのステアリルアミン(分子量:269.51)0.10gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子を含む分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子は、582nmの平均粒子径を有し、IR測定により3300cm-1付近にアミド基由来のピークが確認された。また、得られた着色樹脂粒子は、非極性溶媒中における分散性が良好で、0.6nC/cm2の帯電量を有し、帯電性を明確に示さなかった。
【0108】
(実施例11)
顔料分散液の製造例1で得られた顔料分散液の代わりに、顔料分散液の製造例2で得られた顔料分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子を含む分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子は、428nmの平均粒子径を有し、IR測定により3300cm-1付近にアミド基由来のピークが確認された。また、得られた着色樹脂粒子は、非極性溶媒中における分散性が良好で、2.1nC/cm2の帯電量を有し、帯電性を明確に示さなかった。
【0109】
(実施例12)
顔料分散液の製造例1で得られた顔料分散液の代わりに、顔料分散液の製造例3で得られた顔料分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子を含む分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子は、248nmの平均粒子径を有し、IR測定により3300cm-1付近にアミド基由来のピークが確認された。また、得られた着色樹脂粒子は、非極性溶媒中における分散性が良好で、3.8nC/cm2の帯電量を有し、帯電性を明確に示さなかった。
【0110】
(比較例1)
アミノ基含有化合物としてのステアリルアミンを用いなかったこと以外は、実施例9と同様にして、着色樹脂粒子を含む分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子は、338nmの平均粒子径を有し、非極性溶媒中における分散性が良好であったが、70.0nC/cm2の帯電量を有し、帯電性を明確に示した。
【0111】
(比較例2)
ポリオールの製造例1で得られたポリオールの代わりに、ポリオールの製造例4で得られたポリオールを用い、アミノ基含有化合物としてのステアリルアミン(分子量:269.51)0.85gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、着色樹脂粒子を含む分散液を得た。
得られた着色樹脂粒子は、凝集が強く平均粒子径および帯電量を測定することができなかった。また、IR測定により3300cm-1付近にアミド基由来のピークが確認された。
【0112】
【表3】

【0113】
表3の結果より、液中乾燥法により顔料粒子を樹脂で被覆した樹脂被覆顔料粒子における樹脂中のカルボキシル基をアミノ基含有化合物のアミノ基と反応させることにより得られる着色樹脂粒子は、帯電量が低く、安定した非帯電性および分散性を有していることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非極性溶媒に親和性を有するシリコーン鎖からなるセグメントと非水系極性溶媒に親和性を有するアクリル重合体からなるセグメントとを備え、かつ、カルボキシル基を有し酸価が1〜200mgKOH/gであり、非極性溶媒に不溶であるポリオールと、顔料と、多官能イソシアネートと、前記非水系極性溶媒とを含む混合液Aを得る工程と、
前記混合液Aと前記非極性溶媒とを混合して混合液Bを得る工程と、
前記混合液Bから前記非水系極性溶媒を除去して混合液Cを得る工程と、
前記混合液Cにおいて、前記ポリオールを前記多官能イソシアネートで架橋させてなる架橋樹脂により前記顔料の表面を被覆させて樹脂被覆顔料を含む混合液Dを得る工程と、
前記混合液Dにアミノ基含有化合物を添加し、前記樹脂被覆顔料の架橋樹脂と前記アミノ基含有化合物とを反応させて非帯電性着色樹脂粒子を得る工程
とを有することを特徴とする非帯電性着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
前記アミノ基含有化合物は、脂肪族アミンまたはアミノ基含有シリコーン化合物である請求項1に記載の非帯電性着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項3】
前記ポリオールに由来するカルボキシル基1モルに対して、前記アミノ基含有化合物中のアミノ基を0.2〜1.5モル反応させる請求項1または2に記載の非帯電性着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項4】
前記非水系極性溶媒の沸点は、前記非極性溶媒の沸点未満、かつ、50〜200℃である請求項1〜3のいずれか1つに記載の非帯電性着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項5】
前記非極性溶媒は、シリコーンオイルまたはパラフィン系炭化水素である請求項1〜4のいずれか1つに記載の非帯電性着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項6】
前記非水系極性溶媒は、エステル類またはケトン類である請求項1〜5のいずれか1つに記載の非帯電性着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項7】
前記ポリオールは、A−B型ブロック共重合体またはグラフト共重合体である請求項1〜6のいずれか1つに記載の非帯電性着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の製造方法により得られる非帯電性着色樹脂粒子であって、前記非極性溶媒中に固形分濃度10重量%で分散した状態で、電極間距離を50μmとした並行平板となるITO電極間に封入し、10Vの電圧を60秒間印加した際に10nC/cm2以下の帯電量を示すことを特徴とする非帯電性着色樹脂粒子。
【請求項9】
請求項8に記載の非帯電性着色樹脂粒子を非極性溶媒に分散させてなる非帯電性着色樹脂粒子分散液。
【請求項10】
請求項9に記載の非帯電性着色樹脂粒子分散液を用いてなる電気泳動表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−73107(P2013−73107A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213253(P2011−213253)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】