説明

非常用テント

【課題】本発明は、非常用の避難場所となる非常用テントを提案するものである。
【解決手段】非常用テントシステムであって、当該システムは非常用テントと非常用テントを上昇させる非常用テント上昇装置からなり、非常用テントは天井部と壁面部をそれぞれ覆う天井部覆い部と壁面部覆い部とからなり、天井部若しくは底部には上昇用の上昇装置が設けられ、壁面部覆い部は可撓性で天井部縁部に折りたたみあるいは丸めて固定されて天井部空間内に収納され、前記非常用テントが非常用テント上昇装置により上昇した時、壁面部覆い部が垂れ下がり壁面を構成する非常用テントシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時の非常用テント技術に属する。
【背景技術】
【0002】
災害時に一時的に公園などにテントを張り地域住民の避難場所とすることが行われている。多くは公園などに設けたコンテナボックスにテントを収納しておき、災害時に使用する例が多い。
非常用トイレについては特開平10-295584に通常は便槽となる部分を地中に埋設し、便槽内には便所室となるべき部分を収納し、便所室内は収納庫として非常用の物資を収納しておき、その便所室の上部には蓋板を取り付け、その上部をベンチとし、災害時には便所室になるべき部分を地上に引き上げ固定する方法が開示されている。
また、特開平110047033にはマンホールの入り口部に着脱自在に設置される蓋部を設け、この蓋部を開閉することにより入り口部を排便口とし、入り口部周囲を覆う遮蔽部を設け、この遮蔽部内をトイレ空間とする方法が開示されている。しかしながら、避難場所用のテントについてはトイレ空間をその内部に設けておく方法がなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-295584
【特許文献2】特開平110047033
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、非常用の避難場所となる非常用テントを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本第1の発明は、非常用テントシステムであって、当該システムは非常用テントと非常用テントを上昇させる非常用テント上昇装置からなり、非常用テントは天井部と壁面部をそれぞれ覆う天井部覆い部と壁面部覆い部とからなり、非常用テント上昇装置は天井部若しくは底部に設けられ、壁面部覆い部は可撓性で天井部縁部に折りたたみあるいは丸めて固定されて天井部空間内に収納され、前記非常用テントが非常用テント上昇装置により上昇した時、壁面部覆い部が垂れ下がり壁面を構成する非常用テントシステムである。
簡単に上昇させるだけでテントが張れるよう事前に地上に天井部のみを設置し、壁面部を折りたたみあるいは丸めて天井部空間内に収納し、天井部を上昇させることで壁面部が垂れ下がるようにした。
本第2の発明は、上記の非常用テントシステムにおいて非常用テント内を複数に区画した非常用テントシステムである。
上記壁面部覆い部を外周壁面と同時に内部の区画壁用にも設けたためテント内部を複数の用途に使い分けることができる。
本第3の発明は、上記第1または第2の発明である非常用テントシステムにおいて、天井部の縁をコ形の部材とし、当該コ形部材の内部に柱部を内蔵させ、天井部が上昇した時内蔵された柱部が垂下する非常用テントシステムである。天井を上昇させると同時により強固なテントシステムにするため柱を用いられるようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、壁面部を折りたたみ可能なテントシートし、天井部縁部から垂れるようにしたため、天井部を上昇させるだけで非常用テントが完成する。
さらに、テント内部を複数の空間に区画したため、トイレ用空間、避難民の収容空間、倉庫などとして使用可能となる。天井部縁部をコ形の枠材とし、その内部に柱部を内蔵させ、天井を上昇させる時柱が垂下するようにしたためより、風などにより壁面が煽られることのない強固な非常用テントシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の非常用テントシステムの概念図であり、非使用時の状態を示す。
【図2】発明の非常用テントシステムの概念図であり、使用時の状態を示す。
【図3】本発明の非常用テントシステムの概念図であり、テント内を区画した場合の非使用時の状態を示す。
【図4】本発明の非常用テントシステムの概念図であり、テント内を区画した場合の使用時の状態を示す。
【図5】本発明の非常用テントシステムの概念図であり、テント内を区画し、トイレ空間とした場合の非使用時の状態を示す。
【図6】天井部縁部に柱部を内蔵した状態を示す概念図である。
【図7】柱部が垂下した非常用テントシステムの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図により詳細に説明する。
図1、図2は本発明の非常用テントの概念図である。図1aは平面図、図1bは断面図を示す。図2についても同じである。
図1は災害が発生するまでの待機の状態を示すものであり、図2は災害時非常用テントとして使用している状態を示している。
図1に示すように本非常用テントシステムは、非常用テントとして使用しない待機状態では、テントの天井部部分のみが地上に載置され、その時壁面部は折りたたみあるいは丸めて天井部空間内に収納されている。非常用テントとして使用するときは、図2に示すように、天井部を上昇させることで壁面部が天井部縁部より垂れ下がりテントとしての閉鎖空間が実現する。
【0009】
非常用テント上昇装置は、例えば図1bに示すように、架台と吊り上げ具からなり、非常用テント天井部の重量、広さに対応し、安全確実に吊り下げることができればよい。従い、非常用テント吊り上げ装置は、天井部を均衡して吊り上げるため天井部の大きさ重量を考慮して、架台の強度、吊り具の位置・強度など適宜決めることができる。上記例における上昇させる方法は上部から吊り下げることで上昇させたが、天井部を支える柱を例えば蛇腹に構成し、空気圧により膨張させ蛇腹を上に伸ばすことで下から押し上げる方法でもよい。
非常用テントは、待機時天井部が地上に載置されたままなので、その天井部は雨水の浸入を防げる防水性を有し、あるいはその上部を人あるいは車など通過する場合はそれに耐える強度を持たせる必要がある。必要に応じてその上部を緑化あるいは砂場、遊具施設としておいてもよい。
壁部は可撓性のシート等で形成され、天井部の内部に畳んで(図1参照)あるいは丸めて(図5参照)収納しておくことができる。
【0010】
図3は非常用テント内に区画を設けた例である。トイレの空間、あるいは倉庫空間などを確保するため複数に区画する必要がある場合に使用する。あるいは個室状に区画する場合でもよい。
【0011】
非常用テント内を区画してトイレ区間として使用する場合は、必要に応じて事前に便器を図5に示すように設置しておいてもよい。この場合便器の下に便槽を設けておくこともできる。
【0012】
天井部材の骨格はステンレススチール、プラスチックで被覆した鋼材など腐食に強い材質でかつ上部の使用状態を考慮して、必要な強度が得られるよう形成することが望ましい。その上部はステンレス製の板などで覆うことで天井部覆い部とすることができる。
【0013】
図6は、天井部の縁部をコ形の部材とし、その内部に柱部を内蔵させたものである。図7に示すように、本非常用テントを上昇させることによって、内蔵された柱部が垂下するので、天井部縁部と柱部との接触部をボルトなどで固定する。
【0014】
またチェインブロック等の吊り下げ具あるいは蛇腹に空気を注入して押し上げるために使用する空気ボンベなどは天井部の下部に便器などと同様に収納しておくことができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
災害などの非常時に臨時に避難民を一時収容するための簡易テントに使用可能である。
【符号の説明】
【0016】
1 非常用テントシステム
2 非常用テント
3 吊り上げ装置
31 架台
32 吊り上げ具
4 天井部
5 壁部
6 区画空間
7 トイレ空間
8 便槽
9 柱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常用テントシステムであって、当該システムは非常用テントと非常用テントを上昇させる非常用テント上昇装置からなり、非常用テントは天井部と壁面部をそれぞれ覆う天井部覆い部と壁面部覆い部とからなり、非常用テント上昇装置は天井部若しくは底部に設けられ、壁面部覆い部は可撓性で天井部縁部に折りたたみあるいは丸めて固定されて天井部空間内に収納され、前記非常用テントが非常用テント上昇装置により上昇した時、壁面部覆い部が垂れ下がり壁面を構成する非常用テントシステム。
【請求項2】
請求項1記載の非常用テントシステムにおいて、非常用テント内を複数に区画した非常用テントシステム。
【請求項3】
請求項1または2記載の非常用テントシステムにおいて、天井部の縁をコ形の部材とし、当該コ形部材の内部に柱部を内蔵させ、天井部を上昇させた時内蔵された柱部が垂下する非常用テントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−43518(P2010−43518A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67937(P2009−67937)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(306024805)株式会社 林物産発明研究所 (155)
【Fターム(参考)】