説明

非常用貯水タンク

【課題】水道の水圧に耐えられると共に新鮮な水をより多く貯水することができる非常用貯水タンクを提供する。
【解決手段】非常用貯水タンク1を、底板15の外周に沿って水密に溶接され上方へ立上る外周板で囲まれた空間内に、連続した一つの流路Bが形成されるように交互に配置されると共に底板15及び外周板に溶接固定される複数の板状の仕切板19、及び仕切板19の配置と対応する複数の開口部を有し、開口部から臨む仕切板19と外周板とに水密に溶接される天板を備えた箱体10と、流路Bの一方の端部と連通し水道管と接続される流入接続部11と、流路Bの他方の端部と連通し、供給される水道水を適宜処理して販売する自動販売機Aの水道水供給側と接続される流出接続部12と、流出接続部12の近傍から流路B内の水を外部へ取出し可能な取出部13と、自動販売機Aの上に載置固定するための取付固定部14とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給される水道水を適宜処理して販売する自動販売機の上に載置され、流入側が水道管に接続されると共に流出側が自動販売機に接続されて、非常時に新鮮な水を提供することができる非常用貯水タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すような、水道の水圧に耐えられるタンク内を仕切板で交互に仕切ることで、水がタンク内を蛇行するようにして滞留箇所を無くし、一方を水道の蛇口に直結させると共に他方を洗濯機等に接続させて常時水が流れるようにして、常に新鮮な水を蓄えられるようにした非常用飲料水タンクが提案されている。
【0003】
また、特許文献2に示すような、散水栓へ繋がる水道管に、蛇行させた送水管を収容する箱体を家屋の外に隣接して配置すると共に、その送水管を水道管と接続した上で散水栓へと繋げるようにした飲料水貯蔵装置が提案されている。このものは、蛇行状の送水管を箱体内に収容することで、地震等により家屋が倒壊しても水を蓄えた送水管が破損するのを防止することができるようにしたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、水道の水圧に耐えられるタンクの具体的な構成が開示されておらず、実際に製造しようとすると、引用文献2のもののように、水道管に用いられる直管や曲管を組合せたり、蛇腹管等のフレキシブル管を用いたりして蛇行状の流路を形成することとなり、流路の断面形状が円形状となり管同士の間に隙間が形成されるので、タンク全体の外形寸法に対して実際に貯水できる容量が少なくなる問題がある。
【0005】
また、特許文献1や特許文献2のものは、水を蓄えたタンクを床や地面に載置するようにしており、貯水した水を使用するにはタンクを持上げないと取出せないので、非常時に使用し難い問題がある。また、従来のものではタンクを家屋内や家屋に隣接して設置するようにしているので、地震等により家屋が倒壊した場合、タンク自体は無事でもタンクが倒壊した家屋の下敷となって直には使用することができない問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記の実情に鑑み、水道の水圧に耐えられると共に新鮮な水をより多く貯水することができる非常用貯水タンクの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る非常用貯水タンクは、「平面視矩形状で板状の底板、該底板の外周に沿って水密に溶接され上方へ立上る板状の外周板、該外周板と同じ又は若干高い高さとされ、前記底板と前記外周板とで囲まれた空間内に連続した一つの流路が形成されるように交互に配置されると共に前記底板及び前記外周板に溶接固定される複数の板状の仕切板、及び該仕切板の配置と対応する複数の開口部を有し、該開口部が水密に閉鎖されるように該開口部から臨む位置で前記仕切板と溶接されると共に外周が前記外周板と水密に溶接され、前記底板と略同形状で板状の天板、を備えた箱体と、該箱体内の前記流路における一方の端部と連通し、上水道が流通する水道管と接続される流入接続部と、該流入接続部とは反対側で前記箱体内の前記流路における他方の端部と連通し、供給される水道水を適宜処理して販売する自動販売機の水道水供給側と接続される流出接続部と、該流出接続部の近傍から前記箱体内の前記流路内の水を外部へ取出し可能な取出部と、前記箱体の外側下部に備えられ、前記自動販売機の上に載置固定するための取付固定部とを具備する」ことを特徴とするものである。
【0008】
ここで、「外周板」としては、「底板の各辺に夫々沿った四つの板体からなるもの」、「帯状の板体を底板の外周に沿うように折り曲げたもの」、「切削加工や押出成形等により枠状に一体成形されたもの」、等を例示することができる。
【0009】
また、仕切板と天板の開口部との溶接による接合としては、「仕切板の高さを外周板よりも高くすると共に、天板の開口部を長さが仕切板の全長と略同じで幅が仕切板の板厚よりも若干大きいスリット状に形成し、仕切板の上端を開口部に挿入した上で開口部が閉鎖されるように仕切板の上端と開口部とを水密に溶接したもの」、「外周板と同じ高さの仕切板の上端の複数箇所に上方へ突出する突出部を形成すると共に、天板の開口部を仕切板の突出部が嵌合可能な嵌合穴として形成し、突出部を嵌合穴に嵌合させた上で嵌合穴が閉鎖されるように突出部と嵌合穴とを水密に溶接したもの」、等を例示することができる。
【0010】
更に、供給される水道水を適宜処理して販売する「自動販売機」としては、「供給された水道水を加熱したり冷却したり或いは凍らせたりした上で、飲料用の粉末と混合して飲料水を生成しカップに注いだ形態で販売するもの」、「供給された水道水を凍らせて氷を販売するもの」、「供給された水道水を加熱して熱湯を販売するもの」、「供給された水道水を加熱した上で即席麺や即席スープの入った容器に注いで販売するもの」、等を例示することができる。
【0011】
本発明の非常用貯水タンクによると、貯水タンクとなる箱体内に配置された複数の仕切板の上下を夫々底板及び天板に溶接するようにしており、底板及び天板が外周板だけでなく仕切板によっても連結されることとなるので、箱体の耐圧強度が高くなり水道の水圧に充分耐えられるものとすることができる。また、底板、天板、外周板、及び複数の仕切板によって箱体内に形成される水道水の流路の断面形状を、矩形状としているので、箱体の外形寸法に対して貯水できる水の量を可及的に多くすることができる。
【0012】
また、水を貯水する箱体内の流路に対して、一方の端部を水道管と接続すると共に、他方の端部を供給される水道水を適宜処理して販売する自動販売機の水道水供給側と接続するようにしているので、自動販売機が使用され続けることで流路内の水が随時流通し、常に新鮮な水道水を貯水することができる。また、箱体を自動販売機の上に取付固定部を介して固定するようにしているので、箱体(非常用貯水タンク)が床や地面等よりも高い位置となり、箱体内に貯水された水を取出部から簡単に取出して使用することができる。
【0013】
更に、非常用貯水タンクを自動販売機の上に載置固定するようにしているので、地震等による家屋の倒壊に巻き込まれ難くい街角等屋外に設置された自動販売機の上に載置することができ、災害時等の非常時に貯水した水を直ちに使用することができる。また、取出部を流出接続部の近傍に備えるようにしているので、流路内に貯水された水を古い順に取出すことができ、古い水が最後まで流路内に残るのを防止することができる。なお、流出接続部の近傍とは、流路の長さに対して比較的近い位置であり、直線的に近くても流路として遠い場合は含まないものである。
【0014】
なお、近年、自動販売機において、災害時に内部の飲料水を無料で供給することができるようにしたものが種々提案されている。しかしながら、飲料水では入浴や洗濯等の生活用水に使用することが困難であるが、本発明の非常用貯水タンクによると、非常時に自動販売機からは飲料水を提供すると共に、自動販売機の上に載置された非常用貯水タンクからは生活用水を提供することができ、自動販売機と合わせて災害等の非常時に、被災者等に対して必要な水を提供することができる。
【0015】
また、非常用貯水タンク内に貯水した水を、断水時に下側の自動販売機へ供給することもできるので、非常用貯水タンクを載置した自動販売機に電気が供給されていれば、たとえ断水時でも自動販売機から飲料水を販売することができ、地震等の災害時以外でも役立つものとすることができる。
【0016】
なお、非常用貯水タンクの外周を公知の断熱材で覆うようにしても良く、これにより、貯水した水温と外気温との差によってタンク周りに結露が発生したり、夏場にタンク内の水温が高くなってしまったり、冬場にタンク内の水が凍結してしまったりするのを防止することができる。
【0017】
また、本発明に係る非常用貯水タンクは、上記の構成に加えて、「前記箱体は、前記外周板における前記仕切板の延びる方向と同じ方向へ延びた部分の内側に溶接固定され前記外周板を補強するリブ状の補強板を更に備えている」ことを特徴とするものである。
【0018】
ところで、非常用貯水タンクの箱体では、底板と天板には複数の仕切板が所定間隔で溶接されており、また、外周板における仕切板の長手方向両端側の部分にも複数の仕切板が所定間隔で溶接されているので、それらの強度・剛性が高められ水道の水圧がかかっても変形する虞がない。また、仕切板では、夫々両側が流路となっているので、両側から均等に水圧がかかり、水圧によって変形することはない。しかしながら、外周板における仕切板と平行に延びた部分には、上下が天板及び底板に溶接されているだけなので、水道水の水圧によって変形する虞がある。
【0019】
これに対して、本発明の非常用貯水タンクは、箱体の外周板における仕切板の延びる方向と同じ方向へ延びた部分に複数の補強板を溶接するようにしているので、その部分の強度・剛性を高めることができ、箱体が水道の水圧によって変形するのを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
このように、本発明によれば、水道の水圧に耐えられると共に新鮮な水をより多く貯水することができる非常用貯水タンクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る非常用貯水タンクを示す斜視図である。
【図2】図1の非常用貯水タンクの内部を示す断面図である。
【図3】図1の非常用貯水タンクの溶接構造を概略で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態である非常用貯水タンクについて、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、本発明に係る非常用貯水タンクを示す斜視図である。図2は、図1の非常用貯水タンクの内部を示す断面図である。図3は、図1の非常用貯水タンクの溶接構造を概略で示す断面図である。本実施形態の非常用貯水タンク1は、上水道から供給される水道水を適宜処理して販売する自動販売機Aの上に載置固定されるものであって、直方体状の箱体10と、箱体10における四隅の内の一つに固定され上水道が流通する水道管と接続される流入接続部11と、流入接続部11とは左右方向の反対側の隅に固定され自動販売機Aの水道水供給側(図示は省略)と接続される流出接続部12と、流出接続部12の近傍で箱体10の前面下部に固定された取出部13と、箱体10の外側下部に備えられ箱体10を自動販売機Aの上に固定するための取付固定部14とを備えている。
【0023】
この非常用貯水タンク1における箱体10は、平面視横長の矩形状で板状の底板15と、底板15の前辺から立上るように底板15と水密に溶接される前板16と、前板16と同じ高さで底板15の後辺から立上るように底板15と水密に溶接される後板17と、前板16及び後板17と同じ高さで底板15の左右側辺から立上るように底板15、前板16及び後板17と夫々水密に溶接される二つの側板18と、前板16、後板17及び側板18と、底板15とで囲まれた空間内に連続した一つの流路Bが形成されるように交互に配置されると共に底板15、前板16、後板17及び側板18に溶接固定される複数の板状の仕切板19と、仕切板19で仕切られた流路Bの上側開口を閉鎖するように前板16、後板17、側板18、及び仕切板19の上端に夫々水密に溶接され底板15と略同形状で板状の天板20と、を備えている。
【0024】
更に詳述すると、この箱体10の複数(本例では11枚)の仕切板19は、その長さが左右の側板18よりも短い長さとされ、図2に示すように、左右方向へ略等間隔に配置されていると共に、長手方向(前後方向)の端部が一つ置きに前板16又は後板17と接するように配置されており、底板15と、前板16又は後板17と接した部分が溶接により固定されている。これにより、箱体10は、複数の仕切板19によって底板15、前板16、後板17、及び側板18で囲まれた空間内に、一つの連続した蛇行状の流路Bが形成されている。なお、本例では、前板16、後板17、及び左右の側板18によって、箱体10の外周板が構成されている。また、図3中の符号25は、溶接部を示している。
【0025】
また、複数の仕切板19は、前板16、後板17及び側板18よりも若干高い高さとされている。一方、天板20には、仕切板19の配置と対応する位置に、長さが仕切板19よりも長く、幅が仕切板19の板厚よりも若干大きいスリット状の開口部20(図3を参照)が複数形成されている。そして、天板20の開口部21内に仕切板19の上端が挿入されるように天板20を、前板16、後板17及び側板18の上端に載置した状態で、天板20の外周と、前板16、後板17及び側板18の上端とが夫々水密に溶接されていると共に、開口部21から天板20の上面へ臨んだ仕切板19の上端に対し、開口部21が閉鎖されるように天板20と仕切板19とが上側から水密に溶接されている。
【0026】
この非常用貯水タンク1の流入接続部11は、上述したように箱体10内で複数の仕切板19により形成された流路Bの一方の端部と連通するように天板20を貫通して箱体10に水密に固定されている。また、流出接続部12は、流路Bの他方の端部と連通するように天板20を貫通して箱体10に水密に固定されている。更に、取出部13は、流路Bの長さに対して流出接続部12の近傍となる位置で前板16を貫通して箱体10に水密に固定されている。なお、詳細な図示は省略するが、流入接続部11、流出接続部12、及び取出部13は、管状とされていると共に、箱体10に対して外側端部には、他の配管と接続するためのネジ部又はカプラを有しており、そのネジ部等を介して他の配管と接続されるようになっている。
【0027】
更に、本実施形態の非常用貯水タンク1は、箱体10に仕切板19の延びる方向と同じ方向へ延びた側板18に所定間隔で溶接固定され側板18を補強するリブ状の補強板22を備えており、側板19が複数の補強板22によって補強されることで、箱体10の耐圧強度が高められている。また、非常用貯水タンク1は、取出部13の開口を閉鎖する止水キャップ23を備えている。更に、取付固定部14には、自動販売機Aに固定するための取付穴24が形成されている。
【0028】
なお、図示は省略するが、流入接続部11には、箱体10内の水が水道管側へ逆流するのを防止する逆止弁と、取出部13から貯水した水を取出す際に箱体10内へ空気を供給する空気弁とが備えられていると共に、流出接続部12には、自動販売機A側への水の供給を遮断する止水栓が備えられている。
【0029】
因みに、本実施形態の非常用貯水タンク1は、底板15、前板16、後板17、側板18、仕切板19、及び天板20が、厚さ2mm〜5mmのステンレス板とされていると共に、長さが約900mm、奥行が700mm、高さが160mmとされ、約100リットルの水道水を貯水することができるようになっている。なお、箱体10の外形寸法、仕切板19の枚数及び配置パターンは、上記に限定するものではなく、適宜の寸法や、枚数及びパターンとすることができる。
【0030】
本実施形態の非常用貯水タンク1は、通常の状態では、流入接続部11から箱体10内へ流入した水道水が、一本の蛇行状の流路Bを流通して流出接続部12から自動販売機Aへと供給されるようになっている。この箱体10の流路B内では自動販売機Aが作動する毎に水道水が流れて滞留しないので、常に新鮮な水道水を貯水することができるようになっている。また、非常用貯水タンク1では、流路B内を水道水が流れることにより流路Bを形成する箱体10の内側に不純物等が付着し難く、箱体10内を洗浄する必要がなくメンテナンスフリーとすることができるようになっている。
【0031】
一方、災害発生等の非常時には、取出部13の止水キャップ23を外すことで、箱体10の流路B内に貯水された水を取出部13から取出すことができるようになっている。なお、取出部13から水を取出す際に、流入接続部11に備えられた空気弁から流路B内へ空気が供給されるので、取出部13から流出する水が脈打つことなく良好に取出すことができるようになっている。また、流入接続部11には、逆止弁が備えられているので、何らかの理由により箱体10内に貯水された水が水道管側へ逆流して貯水した水が無くなってしまうのを防止することができるようになっている。
【0032】
このように、本実施形態の非常用貯水タンク1によると、箱体10内に配置された複数の仕切板19の上下を夫々底板15及び天板20に溶接するようにしており、底板15及び天板20が外周の前板16、後板17、及び側板18だけでなく仕切板19によっても連結されることとなるので、箱体10の耐圧強度が高くなり水道の水圧に充分に耐えられるものとすることができる。また、側板18の内側を複数の補強板22によって補強するようにしているので、水圧によって側板18が変形するのを防止することができ、箱体10の耐圧強度を高くすることができる。更に、底板15、天板20、前板16、後板17、側板18、及び複数の仕切板19によって箱体10内に形成される水道水の流路Bの断面形状を、矩形状としているので、箱体10の外形寸法に対して貯水できる水の量を可及的に多くすることができる。
【0033】
また、水を貯水する箱体10内の流路Bに対して、一方の端部を水道管と接続すると共に、他方の端部を自動販売機Aの水道水供給側と接続するようにしているので、自動販売機Aが使用され続けることで流路B内の水が随時流通し、常に新鮮な水道水を貯水することができる。また、箱体10を自動販売機Aの上に取付固定部14を介して固定するようにしているので、非常用貯水タンク1が床や地面等よりも高い位置となり、箱体10内に貯水された水を取出部13から簡単に取出して使用することができる。
【0034】
更に、非常用貯水タンク1を自動販売機Aの上に載置固定するようにしているので、地震等による家屋の倒壊に巻き込まれ難くい街角等屋外に設置された自動販売機Aの上に載置することができ、災害時等の非常時に貯水した水を直ちに使用することができる。また、災害等の非常時に内部の飲料水を無料で供給することができるようにした自動販売機Aの上に本例の非常用貯水タンク1を載置固定すると、非常時に自動販売機Aからは飲料水を提供すると共に、非常用貯水タンク1からは生活用水を提供することができる。
【0035】
また、非常用貯水タンク1内に貯水した水を、断水時に下側の自動販売機Aへ供給することもできるので、非常用貯水タンク1を載置した自動販売機Aに電気が供給されていれば、たとえ断水時でも自動販売機Aから飲料水を販売することができ、地震等の災害時以外でも役立つものとすることができる。
【0036】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0037】
すなわち、上記の実施形態では、仕切板19と天板20の開口部との接合構造において、仕切板19を前板16等の外周板よりも高くすると共に、天板20の開口部21を長さが仕切板19の全長と略同じで幅が仕切板19の板厚よりも若干大きいスリット状として仕切板19の上端と開口部とを水密に溶接したものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、仕切板19の上端の複数箇所で前板16等の外周板よりも高い突出部を形成すると共に、天板20の開口部21を仕切板19の突出部が嵌合可能な嵌合穴とし、その嵌合穴を水密に閉鎖するように仕切板19の突出部と嵌合穴とを溶接するようにしても良く、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0038】
また、上記の実施形態では、箱体10の外周板を、前板16、後板17、及び左右の側板18によって構成したものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、帯状の板を折曲げた上で端部同士を水密に溶接して筒状に形成した外周板としても良いし、切削加工や押出成形により筒状に形成された外周板としても良い。
【0039】
更に、上記の実施形態では、箱体10が略水平に設置されているものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、取出部13が低い位置となるように箱体10を斜めに固定したり、取出部13が流路Bに対して低い位置取るように底板16を斜めに傾斜させるようにしたりしても良く、取出部13を低くすることで、貯水した水をより取出し易くすることができる。
【0040】
また、上記の実施形態では、流入接続部11及び流出接続部12を箱体10の天板20を貫通するように固定したものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、後板17や側板18等の外周板を貫通するように固定しても良い。
【0041】
更に、上記の実施形態では、自動販売機Aの上に非常用貯水タンク1を一つ載置固定したものを示したが、これに限定するものではなく、本実施形態の非常用貯水タンク1を上下方向に複数積み重ねて使用しても良く、これにより、より多くの新鮮な水道水を貯水することができる。
【0042】
また、上記の実施形態では、通常時に取出部13を止水キャップ23で閉鎖するものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、取出部13に水栓等のコックを設けるようにしても良く、これにより、箱体10内の貯水した水を取出し易くして、非常用貯水タンク1の使い勝手を良くすることができる。更に、上記の実施形態では、非常用貯水タンク1を剥き出しの状態で自動販売機Aの上に載置固定したものを示したが、これに限定するものではなく、非常用貯水タンク1(箱体10)の外側を公知の断熱材で覆うようにしても良く、これにより、貯水した水温と外気温との差によってタンク周りに結露が発生したり、夏場にタンク内の水温が高くなってしまったり、冬場にタンク内の水が凍結してしまったりして、非常用貯水タンク1や自動販売機Aに不具合が発生するを防止することができると共に、非常時に良好な状態の水を提供することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 非常用貯水タンク
10 箱体
11 流入接続部
12 流出接続部
13 取出部
14 取付固定部
15 底板
16 前板(外周板)
17 後板(外周板)
18 側板(外周板)
19 仕切板
20 天板
21 開口部
22 補強板
23 止水キャップ
24 取付穴
25 溶接部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】実用新案登録第3041371号公報
【特許文献2】特開2001−295326号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状で板状の底板、該底板の外周に沿って水密に溶接され上方へ立上る板状の外周板、該外周板と同じ又は若干高い高さとされ、前記底板と前記外周板とで囲まれた空間内に連続した一つの流路が形成されるように交互に配置されると共に前記底板及び前記外周板に溶接固定される複数の板状の仕切板、及び該仕切板の配置と対応する複数の開口部を有し、該開口部が水密に閉鎖されるように該開口部から臨む位置で前記仕切板と溶接されると共に外周が前記外周板と水密に溶接され、前記底板と略同形状で板状の天板、を備えた箱体と、
該箱体内の前記流路における一方の端部と連通し、上水道が流通する水道管と接続される流入接続部と、
該流入接続部とは反対側で前記箱体内の前記流路における他方の端部と連通し、供給される水道水を適宜処理して販売する自動販売機の水道水供給側と接続される流出接続部と、
該流出接続部の近傍から前記箱体内の前記流路内の水を外部へ取出し可能な取出部と、
前記箱体の外側下部に備えられ、前記自動販売機の上に載置固定するための取付固定部と
を具備することを特徴とする非常用貯水タンク。
【請求項2】
前記箱体は、
前記外周板における前記仕切板の延びる方向と同じ方向へ延びた部分の内側に溶接固定され前記外周板を補強するリブ状の補強板を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の非常用貯水タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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