非常覚知設備
【課題】簡単な設備によりトンネル内での異常発生を走行中の運転者に知らせてトンネル進入口の手前で緊急停止させることを可能とする非常覚知設備を提供する。
【解決手段】道路14を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成する非常覚知ヘッド16をトンネル進入口12側の道路に対し片側又は両側に配置する。制御装置は、トンネル内での非常設備作動時に弁装置を開制御して非常覚知ヘッド16から放水させる。非常覚知ヘッド16は、例えばトンネル進入口近傍とその手前の少なくとも2箇所に設置する。トンネル侵入口12近傍の非常覚知ヘッド16とその手前の非常覚知ヘッド16を、車両制動停止距離Lだけ離して設置する。非常覚知ヘッド16はトンネル内に一定間隔で配置しても良い。
【解決手段】道路14を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成する非常覚知ヘッド16をトンネル進入口12側の道路に対し片側又は両側に配置する。制御装置は、トンネル内での非常設備作動時に弁装置を開制御して非常覚知ヘッド16から放水させる。非常覚知ヘッド16は、例えばトンネル進入口近傍とその手前の少なくとも2箇所に設置する。トンネル侵入口12近傍の非常覚知ヘッド16とその手前の非常覚知ヘッド16を、車両制動停止距離Lだけ離して設置する。非常覚知ヘッド16はトンネル内に一定間隔で配置しても良い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内の非常用設備の作動を進入車両に知らせて緊急停止させる非常覚知設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路等のトンネルには、トンネル内で発生する火災事故から人身及び車両を守るため、非常用設備が設置されている。このような非常用設備としては、火災の監視と通報のため火災検知器や非常電話が設けられ、また交通量が多く距離の長いトンネルにあっては、火災の消火や延焼防止のために消火栓装置やトンネル防護のための水噴霧ヘッドから水を散布させる水噴霧設備が設けられている。
【0003】
またトンネル内で事故などの異常が発生した場合、トンネル進入口に設置した信号機を赤にして進入禁止を表示したり、情報表示盤などで異常発生を知らせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−211279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような信号機や情報表示盤を使用したトンネル進入を禁止する設備にあっては、高速道路や自動車専用道路では一般に信号機による交通規制は行われていないことから、信号機が赤に切り替わっても、それに気付くことなくトンネル内に進入したり、赤信号に気付いても状況が把握できないため、そのまま進入してしまうことが想定され、重大な事故に繋がる恐れがある。またトンネルが長いと既に進入した車両には信号機は役立たない。
【0006】
また交通量の多いトンネルや距離の長いトンネルにあっては、信号機や情報表示盤が設置されるが、例えば2Km以下といった短いトンネルにあっては、全てに信号機や情報表示盤を設置することは困難であり、このようなトンネル内で事故や車両火災などの異常が発生した場合、異常に気付くことなくトンネルに進入し、事故などの異常発生現場に近づいてから緊急停止することとなり、重大な事故に繋がる恐れがある。
【0007】
本発明は、簡単な設備によりトンネル内での異常発生を走行中の運転者に視覚的に知らせてトンネル進入口の手前で緊急停止させることを可能とする非常覚知設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、非常覚知設備に於いて、
トンネル進入側の道路に配置され、道路を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成する非常覚知ヘッドと、
遠隔操作により駆動して非常覚知ヘッドに覚知用水を供給する弁装置と、
トンネル内での非常用設備作動時に弁装置を開制御して非常覚知ヘッドから放水させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする。
【0009】
ここで、非常覚知ヘッドを、トンネル進入口近傍とその手前の少なくとも2箇所に設置する。
【0010】
トンネル進入口近傍の非常覚知ヘッドとその手前の非常覚知ヘッドを、少なくとも所定の車両制動停止距離だけ離して設置する。
【0011】
非常覚知ヘッドによる夜間の放水時に、非常覚知パターンを照明する照明装置を設ける。
【0012】
非常覚知ヘッドの設置区間を走行する車両を検出する車両検出器を設け、制御装置は弁装置の開制御による非常覚知ヘッドからの放水中に、車両検出器により停止車両を検出した時に弁装置を閉制御して非常覚知ヘッドからの放水を停止する。
【0013】
非常覚知ヘッドの設置区間を走行する車両を検出する車両検出器を設け、制御装置は弁装置の開制御による非常覚知ヘッドからの放水中に、車両検出器により停止車両を検出した時、トンネル進入口付近以外に設置した非常覚知ヘッドからの放水を停止させる。
【0014】
非常覚知ヘッドに対応して発煙装置を設け、制御装置は外気温が路面凍結温度以下の場合、弁装置を開制御せずに、発煙装置の作動により煙を噴出して異常を警告する。発煙装置はエアロゾルを噴出させる。
【0015】
本発明の別の形態にあっては、非常覚知設備に於いて、
トンネル内に設置され、トンネル内の道路を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成する非常覚知ヘッドと、
遠隔操作により開動作して非常覚知ヘッドに加圧覚知用水を供給する弁装置と、
トンネル内での非常設備作動時に弁装置を開制御して前記非常覚知ヘッドから放水させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする。
【0016】
ここで、非常覚知ヘッドは、トンネル内の片側、両側、又はアーチ状に配置したことを特徴とする。
【0017】
更に、非常覚知ヘッドをトンネル進入側の道路に対し片側又は両側に配置して、道路を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成する。
【0018】
制御装置は、火災検出時に、火災発生区画の手前となる1又は複数の区画に設置した非常覚知ヘッドから放水させる。
【0019】
制御装置は、火災発生区画の手前となる1又は複数の区画に設置した非常覚知ヘッドから放水させる。
【0020】
非常覚知ヘッドから棒状パターンを放水する。
【0021】
非常覚知ヘッドから棒状パターンを、走行方向を横切る方向及び又は走行方向に対し斜めに放水する。
【0022】
2つの非常覚知ヘッドから棒状パターンを走行方向に対しクロスさせて放水する。
【0023】
非常覚知ヘッドから棒状パターンを、走行方向を横切る方向に放水する。
【0024】
非常覚知ヘッドを車線毎に設けて上から棒状パターンを車線上に放水する。
【0025】
非常覚知ヘッドから棒状パターンをトンネル上方に生成される煙層を乱さないように放水する。
【0026】
非常覚知ヘッドから棒状パターンを断続的又は周期的に放水する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の非常覚知設備によれば、トンネル内で事故や車両火災などの異常が発生した場合、トンネル進入側の道路に配置されている非常覚知ヘッドから道路を横切る方向に放水が行われて非常覚知パターンが形成され、トンネルに進入しようとする運転者は非常覚知パターンを見て緊急停止することとなり、また非常覚知パターンに気付かずに突っ切ったとしても、車両に水がかることで異常を知って緊急停止することになる。
【0028】
またトンネル進入口の近傍とその前方の例えば車両制動距離だけ離れた2箇所に非常覚知ヘッドを設置して放水することで、最初の非常覚知パターン気付いて緊急停止を行えば、トンネルに進入する手前で確実に停止することができる。
【0029】
また夜間にあっては、非常覚知ヘッドからの放水による非常覚知パターンが見えづらいいことから、照明装置を点灯して非常覚知パターンを照明することにより、夜間であっても非常覚知パターンに確実に気付いて緊急停止することができる。
【0030】
また、非常覚知ヘッドの設置区間に車両検出器を設置し、放水中に停止車両を判別した場合は、異常が発生しているトンネルへの車両の進入はないことから、放水を停止しても良い。
【0031】
しかし、放水を停止すると、異常がなくなったと判断される恐れがあることから、トンネル進入口に近い非常覚知ヘッドからの放水は継続することでトンネル進入を阻止する。
【0032】
更に、冬場のように外気温が路面凍結温度以下に低下している場合には、放水を行うと路面が凍結する問題が起きることから、このような場合には、非常覚知ヘッドに対応して発煙装置を設け、発煙装置を点火して煙を噴出させることで、トンネル内での異常発生を知らせて緊急停止させる。この発煙装置としてエアロゾルを煙として噴出させることで、安全に煙を出すことができる。
【0033】
またトンネル内に非常覚知ヘッドを設置しているため、トンネル内で事故や車両火災などの異常が発生した場合、異常発生区画の進入側に所定間隔で配置されている非常覚知ヘッドからトンネル内の道路を横切る方向に放水が行われて非常覚知パターンが形成され、運転者は非常覚知パターンを見て緊急停止し、また非常覚知パターンに気付かずに突っ切ったとしても、車両に水がかることで異常を知って緊急停止し、異常発生場所に侵入する前に確実に停止し、二次災害の発生を未然に防止できる。
【0034】
また、非常覚知ヘッドからの放水パターンを棒状パターンとし、斜め放水、クロス放水、横放水などを行うことで、必要最小限の放水量によって異常発生を運転者に確実に覚知させることができる。また、棒状パターンによる放水でトンネル上部に形成される煙層を乱すことなく放水できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による非常覚知設備の実施形態を示した説明図
【図2】図1の実施形態についてトンネル進入車両から見た状態を示した説明図
【図3】図1に設けた弁装置の実施形態を示した説明図
【図4】本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図
【図5】車両検出器を設けた本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図
【図6】図5の実施形態についてトンネル進入車両から見た状態を示した説明図
【図7】発煙装置を設けた本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図
【図8】道路に対しヘッドをアーチ上に配置して噴霧パターンを放水する実施形態を示した説明図
【図9】道路に対しヘッドをアーチ上に配置してシャワーパターンを放水する実施形態を示した説明図
【図10】道路に対しヘッドをアーチ上に配置してソリッドパターンを放水する実施形態を示した説明図
【図11】道路に対しヘッドをアーチ上に配置してドリップパターンを放水する実施形態を示した説明図
【図12】トンネル内にヘッドを配置した本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図
【図13】非常覚知ヘッドの棒状パターンによる斜め放水を示した説明図
【図14】非常覚知ヘッドの棒状パターンによるクロス放水を示した説明図
【図15】非常覚知ヘッドの棒状パターンによる横放水を示した説明図
【図16】非常覚知ヘッドの棒状パターンによる路面直上放水を示した説明図
【図17】非常覚知ヘッドの棒状パターンによるマルチ放水を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は本発明による非常覚知設備の実施形態をトンネル及び道路の平面断面で示した説明図である。図1において、トンネル10はトンネル進入口12側を示しており、トンネル10には2車線の道路14が通っている。トンネル進入口12の出口側には道路14を挟んで非常覚知ヘッド16が配置されている。
【0037】
またトンネル進入口12の非常覚知ヘッド16から手前側に所定距離Lだけ離れた位置に、同じく道路14を挟んで非常覚知ヘッド16を配置している。トンネル進入口12の非常覚知ヘッドとその手前の非常覚知ヘッド16の間隔Lは、道路14の最高速度で決まる車両制動停止距離に相当する距離を設定している。
【0038】
非常覚知ヘッド16に対しては弁装置18からのヘッド配管24が接続されている。弁装置18の1次側にはポンプ設備20が設けられている。弁装置18及びポンプ設備20は制御装置22により制御される。
【0039】
制御装置22はトンネル10内での事故や車両火災などの異常発生を検知して動作し、ポンプ設備20に設けている消火ポンプを起動すると同時に弁装置18を開動作し、ポンプ設備20からの加圧覚知用水をヘッド配管24から非常覚知ヘッド16に供給し、非常覚知ヘッド16より道路14を横切る方向に非常覚知パターンを放水させる。
【0040】
この非常覚知ヘッド16からの非常覚知パターンにより、トンネル10に進入しようとする道路14を走行してくる車両の運転者に異常発生を知らせ、トンネル10に進入する手前での緊急停止を可能とする。
【0041】
制御装置22による作動案内放水の開始は、トンネル10内に設置している非常通報装置の押釦操作、消火栓装置などの扉開、トンネル内に設置された火災検知器による火災検出、更には図示しない監視センタからの遠隔制御指示などで行うことになる。また制御装置22に対する指示は信号線によってもできるが、それ以外に無線による指示で行うようにしてもよい。
【0042】
更に非常覚知ヘッド16の車両進入側には照明装置26が設置されている。照明装置26は夜間に非常覚知ヘッド16から放水を行う際に制御装置22からの指示で点灯され、非常覚知ヘッド16から放水された非常覚知パターンに照明装置26から光を当てることで、道路14からトンネル10に進入しようとする車両の運転者が確実に非常覚知パターンを認識できるようにしている。
【0043】
図2は図1の実施形態について、作動案内の放水状態でトンネルに進入しようとする車両側から見た説明図である。図2において、トンネル進入口12の手前には道路14を挟んで非常覚知ヘッド16がポール15に設置されて配置されており、ポール15の先端には旋回警告灯28が設けられている。
【0044】
トンネル進入口12から、例えば図1に示したように車両制動停止距離Lだけ離れた位置にも、ポール15によって非常覚知ヘッド16が道路14を挟んで配置されており、ポール15の先端には同じく旋回警告灯28が設けられている。
【0045】
トンネル内で異常が発生した場合には、非常覚知ヘッド16から加圧覚知用水を放水することで、道路14を横切って遮るようにスリット状の非常覚知パターン25が、トンネル進入口12の手前と、そこから車両制動停止距離だけ離れた2箇所に形成される。
【0046】
このため異常が発生しているトンネルに進入しようとする車両の運転者は、手前の非常覚知パターン25に気付き、状況は不明であるが先のトンネルで何か異常が起きていることを認識し、緊急停止を行うことになる。手前の非常覚知パターン25に気付いて緊急停止を行えば、トンネル進入口12までは車両制動停止距離があるため、トンネルに進入することなく、その手前で車両を緊急停止させることができる。
【0047】
また運転者が非常覚知パターン25に気付くことなく、そのまま通過したような場合にあっては、非常覚知パターン25を車両が突っ切ることで、車両に非常覚知ヘッド16からの水が強く当たり、しかもフロントガラスに水が被ることから、運転者は非常覚知パターン25を突っ切ったことを確実に認識し、更にその先に非常覚知パターン25が形成されることでトンネル内での異常発生を知って、手前の非常覚知パターン25を通過しても、直ちにブレーキを掛けて緊急停止を行うことが可能である。
【0048】
更に非常覚知ヘッド16を設けたポール15の先端には旋回警告灯28が設けられて、放水時には旋回点灯しており、車両の運転者は非常覚知パターン25のかなり前方からトンネル入口で何か異常が起きていることを認識し、これによって非常覚知パターン25を確実に認識して緊急停止を行うことができる。ポール15に、火災時に放水する設備であること、あるいは放水時にはトンネル内に進入禁止であることを記載されていれば、より運転者がトンネル内の火災を認識することができる。
【0049】
図3は図1の弁装置18の実施形態を示した説明図である。図3において、本弁30に対しては、制御系機器として止め弁35、遠隔起動弁(電動弁)34、手動起動弁36、圧力調整弁38、自動排水弁40及びテスト放水弁42を設けている。
【0050】
本弁30の1次側には給水配管25が接続され、給水配管25には所定圧力の加圧された覚知用水が充填されている。本弁30の2次側にはテスト制水弁32が設けられ、その2次側にヘッド配管24を介して非常覚知ヘッド16を接続している。覚知用水はトンネル内の消火設備に使用する消火用水を利用しても良いし、道路等の消雪設備用の水を利用しても良い。
【0051】
テスト制水弁32は、通常時は開放としており、点検時に非常覚知ヘッド16から実際に覚知用水を放水することなく、テスト作動させる際に閉鎖する。テスト制水弁32は手動弁でも電動弁でも良いが、点検を遠隔的に行う場合は電動弁とした方がテストを行いやすい。
【0052】
本弁30はシリンダ室44にピストン46を摺動自在に入れたアクチュエータが設けられており、ピストン46の移動で弁体48を移動して弁を開放するようにしている。
【0053】
本弁30の開放動作は、通常監視時は遠隔起動弁34により行われる。遠隔起動弁34としては電動弁を使用しており、図1の制御装置22から出力されるトンネル内での車両火災などの異常に基づく起動信号を送って遠隔起動弁34を開動作する。
【0054】
遠隔起動弁34が開くと、1次側の加圧覚知用水が止め弁35、遠隔起動弁34及び圧力調整弁38を介してシリンダ室44に供給され、ピストン46を左側にストロークして、弁体48を弁座からリフトして開放し、非常覚知ヘッド16から放水を行う。
【0055】
非常覚知ヘッド16からの放水停止は、図1の制御装置22から遠隔起動弁34に停止信号を送って閉動作を行わせる。遠隔起動弁34が閉じると、圧力調整弁38を経由したシリンダ室44に対する1次側からの加圧覚知用水の供給が停止する。
【0056】
また図1の制御装置22からの遠隔制御により非常覚知ヘッド16から放水することなく動作試験を行う場合には、テスト制水弁32を閉鎖した状態で、制御装置22からテスト放水信号を送って遠隔テスト放水弁42を開き、更に起動信号を送って遠隔起動弁34を開くことで本弁30を開放させ、遠隔テスト放水弁42を経由してドレイン側に加圧覚知用水を流すことで、動作試験を行うことができる。
【0057】
動作試験のために開放した本弁30の閉鎖は、図1の制御装置22から停止信号を送って遠隔起動弁34を閉じる。このとき遠隔テスト放水弁42は開いているため、自動排水弁40の開放動作を待つことなく、本弁30を直ちに閉鎖させることができる。
【0058】
もちろん、センタ制御装置20からの制御信号で遠隔起動弁34と遠隔テスト放水弁42の両方を閉じ、これにより自動排水弁40による自動排水を伴って本弁30を通常の放水動作時と同様に閉じることで、テスト放水を終了させるようにしてもよい。
【0059】
図4は本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図である。図4の実施形態にあっては、トンネル進入口12の手前と、そこから車両制動停止距離に相当する距離Lだけ離れた手前に、非常覚知ヘッド16を道路14を挟んで設けている点は同じであるが、更にその間の2箇所に道路14を挟んで非常覚知ヘッド16を配置している。それ以外の構成は図1の実施形態と同じである。
【0060】
このようにトンネル進入口12に至る間に、例えば道路進行方向に4箇所に分けて非常覚知ヘッド16を配置し、トンネル内での異常発生時に4段階に非常覚知ヘッド16からの放水で非常覚知パターンを形成することで、運転者は確実に非常覚知パターンに気付いて、トンネル進入前に緊急停止を行うことができる。
【0061】
また図4の実施形態における道路14の進行方向の非常覚知ヘッド16の設置間隔は、等間隔でも良いし、トンネルから離れるほど間隔を広くするようにしてもよい。
【0062】
図5は本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図であり、この実施形態にあっては、図1の実施形態に加え、非常覚知ヘッド16を設置した道路14の区間のそれぞれに車両検出器50を設置するようにしたことを特徴とする。
【0063】
車両検出器50は道路14を走行する車両を検出し、車両検出信号を制御装置22に入力している。トンネル内で異常が発生して、制御装置22が弁装置18及びポンプ設備20を動作して、非常覚知ヘッド16から図2に示すように非常覚知パターン25を放水により形成した場合、車両検出器50による車両検出信号を制御装置22で判別しており、車両検出器50の検出信号から非常覚知ヘッド16を設置している区間内での車両の停止を検出した場合、放水を知って緊急停止した車両がトンネル手前に停車していることから、この場合には後続車両は先行車両に気付いて緊急停止することから、基本的に非常覚知ヘッド16からの放水を停止する。車両検出器50は超音波や光線を発射した際の変化を見たり、カメラからの映像を画像処理して車両検出する装置であっても良い。
【0064】
これによって、ポンプ設備20に設けている貯水槽の容量をそれほど大きくすることなく、放水を必要な時間だけ行うことが可能である。
【0065】
一方、トンネル進入口12の手前に非常覚知パターンにより車両が停止した場合に放水をすべて停止してしまうと、トンネル内での異常が解消したと思われて、一旦停止した車両がトンネル内に進入する可能性がある。これを未然に防止するため、制御装置18はトンネル進入口12に近い非常覚知ヘッド16からの放水は継続し、それ以外の手前側の非常覚知ヘッド16からの放水のみを停止することが望ましい。
【0066】
図6は図5の弁装置18の実施形態であり、車両検出器50により車両の停止を検出したとき、トンネル進入口12に近い非常覚知ヘッド16からの放水は継続し、それより手前の非常覚知ヘッド16からの放水は停止するようにした場合の装置構成を示している。
【0067】
図6において、本弁30、テスト制水弁32、遠隔起動弁34、止め弁35、手動起動弁36、圧力調整弁38、自動排水弁40、遠隔テスト放水弁42、シリンダ44、弁体48は図3の実施形態と同じであるが、テスト制水弁32の2次側から取り出したヘッド配管24をトンネル進入口側のヘッド配管24aとその手前側のヘッド配管24bに分岐して、それぞれ非常覚知ヘッド16を接続し、トンネル進入口側のヘッド配管24aについては直接、非常覚知ヘッド16に接続しているが、その手前側の非常覚知ヘッド16については遠隔開閉弁52を介してヘッド配管24bを接続している。
【0068】
このため放水区間に対する車両の停止を検出した場合には、本弁30は開状態をそのまま継続し、遠隔開閉弁52を制御装置22により閉制御し、ヘッド配管24bによる手前側の非常覚知ヘッド16に対する加圧覚知用水の供給を停止し、トンネル進入口側の非常覚知ヘッド16に対するヘッド配管24aのみに加圧覚知用水の供給を継続して、トンネル進入口に非常覚知パターンを継続的に形成する。
【0069】
なお、図6の実施形態に限らず、車両を検出したときは、本弁30の弁開度を少なくして、放水量を抑えるようにしてもよい。
【0070】
図7は本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図であり、この実施形態は冬場などにおける路面凍結防止の対策を行ったことを特徴とする。図7において、道路14に沿って2箇所に設置した非常覚知ヘッド16に対応して、それぞれ発煙装置54を設けている。
【0071】
発煙装置54としては例え固形消火剤を収納しており、制御装置22からの制御信号により固形消火剤を点火して、消火作用を持つエアロゾル56を道路14を横切る方向に噴出させ、エアロゾルの煙によって、トンネル内に異常が発生したことを警告して車両の進入を防止するようにしている。
【0072】
即ち冬場にあっては、トンネル内異常で非常覚知ヘッド16から加圧覚知用水を放水すると、路面が凍結してスリップ事故に繋がる恐れがあることから、このように外気温が路面凍結温度以下の状態でトンネル異常を発生した場合、制御装置22は弁装置18及びポンプ設備20を動作する代わりに発煙装置54を点火して、エアロゾル56による煙を噴出させ、トンネル内の異常を進入する車両に知らせて緊急停止させることになる。
【0073】
発煙装置としては、車に搭載されて災害時に使用する発炎筒と同様の装置であってもよい。煙としては燃焼により発生する上記の発煙装置に限らず、燃焼によらずに煙を発生する装置であってもよい。運転者の視界を遮らない程度に発煙する必要があり、煙の放出量を制御できる装置であることが望ましい。
【0074】
図8はトンネル進入口側の道路に対しヘッドをアーチ状に配置して非常覚知パターンを放水する実施形態を示した説明図である。図8において、図1及び図2に示したように、トンネル進入口手前の道路を跨ぐようにフレームアーチ58を設置し、フレームアーチ58の路面に相対した位置に下向きに複数の非常覚知ヘッド16を配置している。フレームアーチ58はフレーム部材をアーチ状に構築し、そこにヘッド配管を配置して非常覚知ヘッド16を接続する。
【0075】
本実施形態にあっては、トンネル内で火災などの異常が発生した時に、トンネル進入口側の道路に対し複数の非常覚知ヘッド16からの覚知用水の放水により、スリット状の噴霧パターン25aを形成するようにしている。
【0076】
図9はフレームアーチ58に複数の非常覚知ヘッド16を配置した他の実施形態であり、この実施形態にあっては、トンネル内で火災などの異常が発生した時に、トンネル進入口側の道路に対し非常覚知ヘッド16からの覚知用水の放水によりシャワーパターン25bを形成するようにしている。
【0077】
図10はフレームアーチ58に複数の非常覚知ヘッド16を配置した他の実施形態であり、この実施形態にあっては、トンネル内で火災などの異常が発生した時に、トンネル進入口側の道路に対し非常覚知ヘッド16からの覚知用水の放水により棒状のソリッドパターン25cを形成するようにしている。
【0078】
図11はフレームアーチ58に複数の非常覚知ヘッド16を配置した他の実施形態であり、この実施形態にあっては、トンネル内で火災などの異常が発生した時に、トンネル進入口側の道路に対し非常覚知ヘッド16からの覚知用水の放水により水滴を垂らすドリップパターン25dを形成するようにしている。
【0079】
図8から図11に示すような放水パターンにより、運転者にトンネル内の火災を認識することができ、かつ覚知用の水の量を抑えることができる。非常覚知ヘッド16から放水タイミングは、継続して放水してもよいし、断続的に、周期的に放水して視界の確保と、放水量を抑えるようにしてもよい。
【0080】
図12は、トンネル内にヘッドを配置した本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図である。
【0081】
図12において、道路14が通るトンネル10内の一方の側壁には、例えば50メートル間隔で消火栓装置60が設置されている。消火栓装置60は扉内にノズル付ホースを収納しており、火災時に消火栓扉を開いてノズル付のホースを引き出し、消火栓弁開放レバーを操作することで放水を行う。消火栓装置60からのノズル付ホースは、トンネル走行方向の左右25mの範囲に放水できるように引き出すことができる。
【0082】
また消火栓装置60には、火災時に操作して火災検出信号を出力する発信機が設けられ、発信機の近くには発信機設置場所を示す火災表示灯と、発信機の押釦操作に対する応答表示を行う応答表示灯が設けられている。
【0083】
本実施形態にあっては、トンネル10内に設置している消火栓装置60の1つ置きとなる一定間隔、例えば100メートル間隔で弁装置18を設置し、弁装置18からトンネル内の道路14を横切るトンネル天井面に沿ってアーチ状にヘッド配管24を配置し、ヘッド配管24に複数の非常覚知ヘッド16を路面に向けて下向きに配置して接続している。
【0084】
ヘッド配管24に接続した非常覚知ヘッド16は図8乃至図11に示したパターンを覚知用水の放水によりトンネル内の道路を横切る方向に形成する。消火栓装置60に設けている発信機及び応答表示灯は制御装置22に信号線接続され、また弁装置18も制御装置22に信号線接続される。
【0085】
制御装置22は例えば消火栓装置60に設けた発信機の押しボタン操作による火災検出信号、或いは消火栓扉を開いてホースを引き出した後に消火栓弁開閉レバーを開操作した時のポンプ起動信号などを受信した時に、信号を送信した消火栓装置60を含む区間及びその前方の区間に対応した弁装置18に起動信号をして弁開とし、またポンプ設備2を起動して覚知用水を給水配管61に供給し、弁開とした弁装置18からのヘッド配管24に接続している非常覚知ヘッド16からトンネルを横切る方向に非常覚知パターンを放水し、トンネル内に入った車両の運転者に異常を知らせて緊急停止させる。
【0086】
例えば区間L2で車両火災が発生したとすると、運転者は近くの消火栓装置60の扉を開いてノズル付きホースを引き出し、消火栓弁開閉レバーを開操作する。消火栓弁開閉レバーを開操作するとポンプ起動信号が制御装置22を経由してポンプ設備20に送られ、消火ポンプを起動して給水配管62に加圧覚知用水を供給し、ノズルから放水させる。
【0087】
このとき制御装置22は消火栓装置60からのポンプ起動信号から異常発生を認識し、火災が発生した区間L1及びその前方の区間L2に設置している弁装置18に起動信号を送って弁開とし、このときポンプ設備20から供給されている加圧覚知用水を弁装置18からヘッド配管24に送り、非常覚知ヘッド16からの放水によりトンネル断面方向に非常覚知パターンを形成し、火災発生区間L2に進入してくる車両の運転者に前方トンネル内で異常が発生していることを警告し、火災発生場所の手前で確実に制動停止させることが可能となる。
【0088】
図13は図12のようにトンネル内にトンネル内に非常覚知ヘッドを配置した実施形態における棒状パターンによる斜め放水を示した説明図であり、図13(A)はトンネル断面、図13(B)はトンネル平面を示している。
【0089】
図13において、非常覚知ヘッド16は放水量を覚知に必要な最小限とするため棒状パターン62を放水しており、本実施形態にあっては、図13(A)のトンネル断面に示すように、トンネル10の上部に設置した非常覚知ヘッド16から斜め下向きに放水し、且つ図13(B)のトンネル平面に示すように、走行方向に対しても斜め方向に放水している。
【0090】
このような棒状パターン62の斜め放水により、トンネル内を走行してくる車両は進行方向の斜め上方から棒状パターン62による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも車体を斜めに横切るように放水を受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。
【0091】
また火災発生によりトンネル上部に煙層64が形成されるが、非常覚知ヘッド16は一本の棒状パターン62の放水であるため、この放水によって煙層64が乱されてトンネル全体に煙が広がってしまうことを防止できる。
【0092】
図14はトンネル内に非常覚知ヘッドを配置した実施形態における棒状パターンによるクロス放水を示した説明図である。
【0093】
図14において、トンネル10の上部に2台の非常覚知ヘッド16を配置しており、図14(A)のトンネル断面に示すように、左右に配置した非常覚知ヘッド16から斜め下向きに棒状パターン62を放水することでクロス放水とし、且つ図14(B)のトンネル平面に示すように、左右に配置した非常覚知ヘッド16から走行方向に対しても斜めに棒状パターン62を放水することでクロス放水としている。
【0094】
このような棒状パターン62のクロス放水により、トンネル内を走行してくる車両は進行方向の斜め上方から棒状パターン62による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも車体を斜めに横切るように放水を受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。
【0095】
またトンネル走行方向に所定間隔で配置されている複数の非常覚知ヘッドから同時にクロス放水を行うと、トンネル前方に複数のクロス放水パターンが浮かび上がり、異常事態の発生を確実に覚知できる。またクロス放水は煙層64を乱すようなことはなく、放水によって煙層64が乱されてトンネル全体に煙が広がってしまうことを防止できる。
【0096】
図15はトンネル内に非常覚知ヘッドを配置した実施形態における棒状パターンによる横放水を示した説明図である。
【0097】
図15において、トンネル10の側壁に非常覚知ヘッド16を配置しており、図15(A)のトンネル断面に示すように、非常覚知ヘッド16からトンネル内を横切る方向に棒状パターン62を放水し、且つ図15(B)のトンネル平面に示すように、走行方向に対しても非常覚知ヘッド16から真横に棒状パターン62を放水している。なお、図15(B)に点線で示すように、走行方向については斜め方向とする横放水としても良い。
【0098】
このような棒状パターン62の横放水により、トンネル内を走行してくる車両は棒状パターン62による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも車体の側面に放水を受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。また横放水は路面に近い位置であることから煙層64を乱すようなことはなく、放水によって煙層64が乱されてトンネル全体に煙が広がってしまうことを防止できる。
【0099】
また、放水された覚知用水は対向するトンネル壁面に着水するため、道路端に設けた排水口に排水させることにすれば、車道が濡れずに火災警報することができるから、車が水でスリップするなどの二次災害を防ぐことができる。
【0100】
図16はトンネル内に非常覚知ヘッドを配置した実施形態における棒状パターンによる路面直上放水を示した説明図である。
【0101】
図16において、トンネル10内には2車線が設けられており、各車線の直上となるトンネル上部の2箇所に非常覚知ヘッド16を配置しており、図16(A)のトンネル断面に示すように、非常覚知ヘッド16から相対する直下の路面に向けて棒状パターン62を放水し、且つ図16(B)のトンネル平面に示すように、走行方向に対しては非常覚知ヘッド16から斜め前方となる核路面に向けて棒状パターン62を放水している。なお、図16(B)の平面については、その直下の車線上に放水しても良い。
【0102】
このような棒状パターン62の路面直上放水により、トンネル内を走行してくる車両は棒状パターン62による放水をによる放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも略正面上方から放水を車体に受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。また路面直上放水は煙層64を乱すようなことはなく、放水によって煙層64が乱されてトンネル全体に煙が広がってしまうことを防止できる。
【0103】
図17はトンネル内に非常覚知ヘッドを配置した実施形態における棒状パターンによるマルチ放水を示した説明図である。
【0104】
図17(A)は、トンネル10の左側上部にマルチ放水型非常覚知ヘッド160を配置しており、マルチ放水型非常覚知ヘッド160は例えば4台の非常覚知ヘッドを備えている。
【0105】
マルチ放水型非常覚知ヘッド160は、斜め下向きとなる異なる方向に4本の棒状パターン62をマルチ放水している。このマルチ放水の方向は、走行方向を真横に横切る方向であっても良いし、図13(B)に示したように、走行方向に対しても斜めとなる放水方向としても良い。
【0106】
図17(B)はマルチ放水の他の実施形態であり、例えば4ヘッド構成のマルチ放水型非常覚知ヘッド160をトンネル10の側壁に配置し、4本の放物線を描く棒状パターン66を放水している。
【0107】
図17(C)は図17(A)(B)のマルチ放水型非常覚知ヘッド160を組み合わせたもので、斜め放射の4本の棒状パターン62と横放射の4本の棒状パターン66によって走行する車両から見て格子上の放水パターンを形成するようにしている。
【0108】
このような棒状パターンを用いたマルチ放水により、トンネル内を走行してくる車両は棒状パターン62による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも放水を車体に受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。またマルチ放水は煙層64を棒状に通過することから、煙層64を乱すようなことはほとんどなく、放水によって煙層64が乱されてトンネル全体に煙が広がってしまうことを防止できる。
【0109】
このような図13乃至図17に示した非常覚知ヘッド16の棒状パターンによる放水は、トンネル内での非常告知に限定されず、図1に示したトンネル外部に設置する場合についても同様に適用できる。
【0110】
なお、上記の実施形態は非常覚知ヘッド16を道路を挟んで両側に設置した場合を例にとっているが、十分な放水距離を確保するヘッドを使用すれば、道路の片側に非常覚知ヘッド16を設置するだけでも良い。また非常覚知ヘッド16による放水パターンとしては、スリット状や旋回状など適宜の目立ち易いパターンをとることが望ましい。
【0111】
また、上記実施形態は、主に水噴霧設備などを設置していない例えば2km以下の短いトンネルに対する非常覚知設備を例に取るものであったが、通行量が多く距離の長いトンネルにあっては、トンネル内に消火栓設備や水噴霧設備を設けているが、このようなトンネルについても上記の実施形態と同様に、トンネル進入口側に非常覚知設備を設ければ良い。この場合の非常覚知設備については、加圧覚知用水はトンネル内に設置している水噴霧設備のポンプ設備を動作して、消火用水の供給を受けるようにしても良い。
【0112】
また、図13から図17の放水パターンによる放水を図1から図11のトンネル外での非常覚知設備に適用しても良い。
【0113】
また、図1の実施形態と図12の実施形態を組み合わせることで、トンネル進入口の道路及びトンネル内の道路に沿って所定間隔に、道路を横切る方向に非常覚知パターンを放水により形成する非常覚知ヘッドを設けるようにしても良い。
【0114】
また、上記実施形態において、放水パターンの放水タイミングは、連続放水以外に断続的に放水してもよい。
【0115】
また、非常覚知ヘッド16としては、道路上の雪を洗い流して除去する消雪設備のヘッドと兼用してもよい。消雪設備のヘッドとしては、所定方向に放水する放水穴を1つ又は複数備えたものであり、加圧水により雪を流すものである。ヘッドの放出穴は放水方向を変更できるものでもよい。
【0116】
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0117】
10:トンネル
12:トンネル進入口
16:非常覚知ヘッド
22:制御装置
24,24a,24b:ヘッド配管
26:照明装置
28:旋回警告灯
50:車両検出器
54:発煙装置
56:エアロゾル
58:アーチフレーム
60:消火栓装置
61:給水配管
62,66:棒状パターン
160:マルチ放水型非常覚知ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内の非常用設備の作動を進入車両に知らせて緊急停止させる非常覚知設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路等のトンネルには、トンネル内で発生する火災事故から人身及び車両を守るため、非常用設備が設置されている。このような非常用設備としては、火災の監視と通報のため火災検知器や非常電話が設けられ、また交通量が多く距離の長いトンネルにあっては、火災の消火や延焼防止のために消火栓装置やトンネル防護のための水噴霧ヘッドから水を散布させる水噴霧設備が設けられている。
【0003】
またトンネル内で事故などの異常が発生した場合、トンネル進入口に設置した信号機を赤にして進入禁止を表示したり、情報表示盤などで異常発生を知らせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−211279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような信号機や情報表示盤を使用したトンネル進入を禁止する設備にあっては、高速道路や自動車専用道路では一般に信号機による交通規制は行われていないことから、信号機が赤に切り替わっても、それに気付くことなくトンネル内に進入したり、赤信号に気付いても状況が把握できないため、そのまま進入してしまうことが想定され、重大な事故に繋がる恐れがある。またトンネルが長いと既に進入した車両には信号機は役立たない。
【0006】
また交通量の多いトンネルや距離の長いトンネルにあっては、信号機や情報表示盤が設置されるが、例えば2Km以下といった短いトンネルにあっては、全てに信号機や情報表示盤を設置することは困難であり、このようなトンネル内で事故や車両火災などの異常が発生した場合、異常に気付くことなくトンネルに進入し、事故などの異常発生現場に近づいてから緊急停止することとなり、重大な事故に繋がる恐れがある。
【0007】
本発明は、簡単な設備によりトンネル内での異常発生を走行中の運転者に視覚的に知らせてトンネル進入口の手前で緊急停止させることを可能とする非常覚知設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、非常覚知設備に於いて、
トンネル進入側の道路に配置され、道路を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成する非常覚知ヘッドと、
遠隔操作により駆動して非常覚知ヘッドに覚知用水を供給する弁装置と、
トンネル内での非常用設備作動時に弁装置を開制御して非常覚知ヘッドから放水させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする。
【0009】
ここで、非常覚知ヘッドを、トンネル進入口近傍とその手前の少なくとも2箇所に設置する。
【0010】
トンネル進入口近傍の非常覚知ヘッドとその手前の非常覚知ヘッドを、少なくとも所定の車両制動停止距離だけ離して設置する。
【0011】
非常覚知ヘッドによる夜間の放水時に、非常覚知パターンを照明する照明装置を設ける。
【0012】
非常覚知ヘッドの設置区間を走行する車両を検出する車両検出器を設け、制御装置は弁装置の開制御による非常覚知ヘッドからの放水中に、車両検出器により停止車両を検出した時に弁装置を閉制御して非常覚知ヘッドからの放水を停止する。
【0013】
非常覚知ヘッドの設置区間を走行する車両を検出する車両検出器を設け、制御装置は弁装置の開制御による非常覚知ヘッドからの放水中に、車両検出器により停止車両を検出した時、トンネル進入口付近以外に設置した非常覚知ヘッドからの放水を停止させる。
【0014】
非常覚知ヘッドに対応して発煙装置を設け、制御装置は外気温が路面凍結温度以下の場合、弁装置を開制御せずに、発煙装置の作動により煙を噴出して異常を警告する。発煙装置はエアロゾルを噴出させる。
【0015】
本発明の別の形態にあっては、非常覚知設備に於いて、
トンネル内に設置され、トンネル内の道路を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成する非常覚知ヘッドと、
遠隔操作により開動作して非常覚知ヘッドに加圧覚知用水を供給する弁装置と、
トンネル内での非常設備作動時に弁装置を開制御して前記非常覚知ヘッドから放水させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする。
【0016】
ここで、非常覚知ヘッドは、トンネル内の片側、両側、又はアーチ状に配置したことを特徴とする。
【0017】
更に、非常覚知ヘッドをトンネル進入側の道路に対し片側又は両側に配置して、道路を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成する。
【0018】
制御装置は、火災検出時に、火災発生区画の手前となる1又は複数の区画に設置した非常覚知ヘッドから放水させる。
【0019】
制御装置は、火災発生区画の手前となる1又は複数の区画に設置した非常覚知ヘッドから放水させる。
【0020】
非常覚知ヘッドから棒状パターンを放水する。
【0021】
非常覚知ヘッドから棒状パターンを、走行方向を横切る方向及び又は走行方向に対し斜めに放水する。
【0022】
2つの非常覚知ヘッドから棒状パターンを走行方向に対しクロスさせて放水する。
【0023】
非常覚知ヘッドから棒状パターンを、走行方向を横切る方向に放水する。
【0024】
非常覚知ヘッドを車線毎に設けて上から棒状パターンを車線上に放水する。
【0025】
非常覚知ヘッドから棒状パターンをトンネル上方に生成される煙層を乱さないように放水する。
【0026】
非常覚知ヘッドから棒状パターンを断続的又は周期的に放水する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の非常覚知設備によれば、トンネル内で事故や車両火災などの異常が発生した場合、トンネル進入側の道路に配置されている非常覚知ヘッドから道路を横切る方向に放水が行われて非常覚知パターンが形成され、トンネルに進入しようとする運転者は非常覚知パターンを見て緊急停止することとなり、また非常覚知パターンに気付かずに突っ切ったとしても、車両に水がかることで異常を知って緊急停止することになる。
【0028】
またトンネル進入口の近傍とその前方の例えば車両制動距離だけ離れた2箇所に非常覚知ヘッドを設置して放水することで、最初の非常覚知パターン気付いて緊急停止を行えば、トンネルに進入する手前で確実に停止することができる。
【0029】
また夜間にあっては、非常覚知ヘッドからの放水による非常覚知パターンが見えづらいいことから、照明装置を点灯して非常覚知パターンを照明することにより、夜間であっても非常覚知パターンに確実に気付いて緊急停止することができる。
【0030】
また、非常覚知ヘッドの設置区間に車両検出器を設置し、放水中に停止車両を判別した場合は、異常が発生しているトンネルへの車両の進入はないことから、放水を停止しても良い。
【0031】
しかし、放水を停止すると、異常がなくなったと判断される恐れがあることから、トンネル進入口に近い非常覚知ヘッドからの放水は継続することでトンネル進入を阻止する。
【0032】
更に、冬場のように外気温が路面凍結温度以下に低下している場合には、放水を行うと路面が凍結する問題が起きることから、このような場合には、非常覚知ヘッドに対応して発煙装置を設け、発煙装置を点火して煙を噴出させることで、トンネル内での異常発生を知らせて緊急停止させる。この発煙装置としてエアロゾルを煙として噴出させることで、安全に煙を出すことができる。
【0033】
またトンネル内に非常覚知ヘッドを設置しているため、トンネル内で事故や車両火災などの異常が発生した場合、異常発生区画の進入側に所定間隔で配置されている非常覚知ヘッドからトンネル内の道路を横切る方向に放水が行われて非常覚知パターンが形成され、運転者は非常覚知パターンを見て緊急停止し、また非常覚知パターンに気付かずに突っ切ったとしても、車両に水がかることで異常を知って緊急停止し、異常発生場所に侵入する前に確実に停止し、二次災害の発生を未然に防止できる。
【0034】
また、非常覚知ヘッドからの放水パターンを棒状パターンとし、斜め放水、クロス放水、横放水などを行うことで、必要最小限の放水量によって異常発生を運転者に確実に覚知させることができる。また、棒状パターンによる放水でトンネル上部に形成される煙層を乱すことなく放水できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による非常覚知設備の実施形態を示した説明図
【図2】図1の実施形態についてトンネル進入車両から見た状態を示した説明図
【図3】図1に設けた弁装置の実施形態を示した説明図
【図4】本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図
【図5】車両検出器を設けた本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図
【図6】図5の実施形態についてトンネル進入車両から見た状態を示した説明図
【図7】発煙装置を設けた本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図
【図8】道路に対しヘッドをアーチ上に配置して噴霧パターンを放水する実施形態を示した説明図
【図9】道路に対しヘッドをアーチ上に配置してシャワーパターンを放水する実施形態を示した説明図
【図10】道路に対しヘッドをアーチ上に配置してソリッドパターンを放水する実施形態を示した説明図
【図11】道路に対しヘッドをアーチ上に配置してドリップパターンを放水する実施形態を示した説明図
【図12】トンネル内にヘッドを配置した本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図
【図13】非常覚知ヘッドの棒状パターンによる斜め放水を示した説明図
【図14】非常覚知ヘッドの棒状パターンによるクロス放水を示した説明図
【図15】非常覚知ヘッドの棒状パターンによる横放水を示した説明図
【図16】非常覚知ヘッドの棒状パターンによる路面直上放水を示した説明図
【図17】非常覚知ヘッドの棒状パターンによるマルチ放水を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は本発明による非常覚知設備の実施形態をトンネル及び道路の平面断面で示した説明図である。図1において、トンネル10はトンネル進入口12側を示しており、トンネル10には2車線の道路14が通っている。トンネル進入口12の出口側には道路14を挟んで非常覚知ヘッド16が配置されている。
【0037】
またトンネル進入口12の非常覚知ヘッド16から手前側に所定距離Lだけ離れた位置に、同じく道路14を挟んで非常覚知ヘッド16を配置している。トンネル進入口12の非常覚知ヘッドとその手前の非常覚知ヘッド16の間隔Lは、道路14の最高速度で決まる車両制動停止距離に相当する距離を設定している。
【0038】
非常覚知ヘッド16に対しては弁装置18からのヘッド配管24が接続されている。弁装置18の1次側にはポンプ設備20が設けられている。弁装置18及びポンプ設備20は制御装置22により制御される。
【0039】
制御装置22はトンネル10内での事故や車両火災などの異常発生を検知して動作し、ポンプ設備20に設けている消火ポンプを起動すると同時に弁装置18を開動作し、ポンプ設備20からの加圧覚知用水をヘッド配管24から非常覚知ヘッド16に供給し、非常覚知ヘッド16より道路14を横切る方向に非常覚知パターンを放水させる。
【0040】
この非常覚知ヘッド16からの非常覚知パターンにより、トンネル10に進入しようとする道路14を走行してくる車両の運転者に異常発生を知らせ、トンネル10に進入する手前での緊急停止を可能とする。
【0041】
制御装置22による作動案内放水の開始は、トンネル10内に設置している非常通報装置の押釦操作、消火栓装置などの扉開、トンネル内に設置された火災検知器による火災検出、更には図示しない監視センタからの遠隔制御指示などで行うことになる。また制御装置22に対する指示は信号線によってもできるが、それ以外に無線による指示で行うようにしてもよい。
【0042】
更に非常覚知ヘッド16の車両進入側には照明装置26が設置されている。照明装置26は夜間に非常覚知ヘッド16から放水を行う際に制御装置22からの指示で点灯され、非常覚知ヘッド16から放水された非常覚知パターンに照明装置26から光を当てることで、道路14からトンネル10に進入しようとする車両の運転者が確実に非常覚知パターンを認識できるようにしている。
【0043】
図2は図1の実施形態について、作動案内の放水状態でトンネルに進入しようとする車両側から見た説明図である。図2において、トンネル進入口12の手前には道路14を挟んで非常覚知ヘッド16がポール15に設置されて配置されており、ポール15の先端には旋回警告灯28が設けられている。
【0044】
トンネル進入口12から、例えば図1に示したように車両制動停止距離Lだけ離れた位置にも、ポール15によって非常覚知ヘッド16が道路14を挟んで配置されており、ポール15の先端には同じく旋回警告灯28が設けられている。
【0045】
トンネル内で異常が発生した場合には、非常覚知ヘッド16から加圧覚知用水を放水することで、道路14を横切って遮るようにスリット状の非常覚知パターン25が、トンネル進入口12の手前と、そこから車両制動停止距離だけ離れた2箇所に形成される。
【0046】
このため異常が発生しているトンネルに進入しようとする車両の運転者は、手前の非常覚知パターン25に気付き、状況は不明であるが先のトンネルで何か異常が起きていることを認識し、緊急停止を行うことになる。手前の非常覚知パターン25に気付いて緊急停止を行えば、トンネル進入口12までは車両制動停止距離があるため、トンネルに進入することなく、その手前で車両を緊急停止させることができる。
【0047】
また運転者が非常覚知パターン25に気付くことなく、そのまま通過したような場合にあっては、非常覚知パターン25を車両が突っ切ることで、車両に非常覚知ヘッド16からの水が強く当たり、しかもフロントガラスに水が被ることから、運転者は非常覚知パターン25を突っ切ったことを確実に認識し、更にその先に非常覚知パターン25が形成されることでトンネル内での異常発生を知って、手前の非常覚知パターン25を通過しても、直ちにブレーキを掛けて緊急停止を行うことが可能である。
【0048】
更に非常覚知ヘッド16を設けたポール15の先端には旋回警告灯28が設けられて、放水時には旋回点灯しており、車両の運転者は非常覚知パターン25のかなり前方からトンネル入口で何か異常が起きていることを認識し、これによって非常覚知パターン25を確実に認識して緊急停止を行うことができる。ポール15に、火災時に放水する設備であること、あるいは放水時にはトンネル内に進入禁止であることを記載されていれば、より運転者がトンネル内の火災を認識することができる。
【0049】
図3は図1の弁装置18の実施形態を示した説明図である。図3において、本弁30に対しては、制御系機器として止め弁35、遠隔起動弁(電動弁)34、手動起動弁36、圧力調整弁38、自動排水弁40及びテスト放水弁42を設けている。
【0050】
本弁30の1次側には給水配管25が接続され、給水配管25には所定圧力の加圧された覚知用水が充填されている。本弁30の2次側にはテスト制水弁32が設けられ、その2次側にヘッド配管24を介して非常覚知ヘッド16を接続している。覚知用水はトンネル内の消火設備に使用する消火用水を利用しても良いし、道路等の消雪設備用の水を利用しても良い。
【0051】
テスト制水弁32は、通常時は開放としており、点検時に非常覚知ヘッド16から実際に覚知用水を放水することなく、テスト作動させる際に閉鎖する。テスト制水弁32は手動弁でも電動弁でも良いが、点検を遠隔的に行う場合は電動弁とした方がテストを行いやすい。
【0052】
本弁30はシリンダ室44にピストン46を摺動自在に入れたアクチュエータが設けられており、ピストン46の移動で弁体48を移動して弁を開放するようにしている。
【0053】
本弁30の開放動作は、通常監視時は遠隔起動弁34により行われる。遠隔起動弁34としては電動弁を使用しており、図1の制御装置22から出力されるトンネル内での車両火災などの異常に基づく起動信号を送って遠隔起動弁34を開動作する。
【0054】
遠隔起動弁34が開くと、1次側の加圧覚知用水が止め弁35、遠隔起動弁34及び圧力調整弁38を介してシリンダ室44に供給され、ピストン46を左側にストロークして、弁体48を弁座からリフトして開放し、非常覚知ヘッド16から放水を行う。
【0055】
非常覚知ヘッド16からの放水停止は、図1の制御装置22から遠隔起動弁34に停止信号を送って閉動作を行わせる。遠隔起動弁34が閉じると、圧力調整弁38を経由したシリンダ室44に対する1次側からの加圧覚知用水の供給が停止する。
【0056】
また図1の制御装置22からの遠隔制御により非常覚知ヘッド16から放水することなく動作試験を行う場合には、テスト制水弁32を閉鎖した状態で、制御装置22からテスト放水信号を送って遠隔テスト放水弁42を開き、更に起動信号を送って遠隔起動弁34を開くことで本弁30を開放させ、遠隔テスト放水弁42を経由してドレイン側に加圧覚知用水を流すことで、動作試験を行うことができる。
【0057】
動作試験のために開放した本弁30の閉鎖は、図1の制御装置22から停止信号を送って遠隔起動弁34を閉じる。このとき遠隔テスト放水弁42は開いているため、自動排水弁40の開放動作を待つことなく、本弁30を直ちに閉鎖させることができる。
【0058】
もちろん、センタ制御装置20からの制御信号で遠隔起動弁34と遠隔テスト放水弁42の両方を閉じ、これにより自動排水弁40による自動排水を伴って本弁30を通常の放水動作時と同様に閉じることで、テスト放水を終了させるようにしてもよい。
【0059】
図4は本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図である。図4の実施形態にあっては、トンネル進入口12の手前と、そこから車両制動停止距離に相当する距離Lだけ離れた手前に、非常覚知ヘッド16を道路14を挟んで設けている点は同じであるが、更にその間の2箇所に道路14を挟んで非常覚知ヘッド16を配置している。それ以外の構成は図1の実施形態と同じである。
【0060】
このようにトンネル進入口12に至る間に、例えば道路進行方向に4箇所に分けて非常覚知ヘッド16を配置し、トンネル内での異常発生時に4段階に非常覚知ヘッド16からの放水で非常覚知パターンを形成することで、運転者は確実に非常覚知パターンに気付いて、トンネル進入前に緊急停止を行うことができる。
【0061】
また図4の実施形態における道路14の進行方向の非常覚知ヘッド16の設置間隔は、等間隔でも良いし、トンネルから離れるほど間隔を広くするようにしてもよい。
【0062】
図5は本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図であり、この実施形態にあっては、図1の実施形態に加え、非常覚知ヘッド16を設置した道路14の区間のそれぞれに車両検出器50を設置するようにしたことを特徴とする。
【0063】
車両検出器50は道路14を走行する車両を検出し、車両検出信号を制御装置22に入力している。トンネル内で異常が発生して、制御装置22が弁装置18及びポンプ設備20を動作して、非常覚知ヘッド16から図2に示すように非常覚知パターン25を放水により形成した場合、車両検出器50による車両検出信号を制御装置22で判別しており、車両検出器50の検出信号から非常覚知ヘッド16を設置している区間内での車両の停止を検出した場合、放水を知って緊急停止した車両がトンネル手前に停車していることから、この場合には後続車両は先行車両に気付いて緊急停止することから、基本的に非常覚知ヘッド16からの放水を停止する。車両検出器50は超音波や光線を発射した際の変化を見たり、カメラからの映像を画像処理して車両検出する装置であっても良い。
【0064】
これによって、ポンプ設備20に設けている貯水槽の容量をそれほど大きくすることなく、放水を必要な時間だけ行うことが可能である。
【0065】
一方、トンネル進入口12の手前に非常覚知パターンにより車両が停止した場合に放水をすべて停止してしまうと、トンネル内での異常が解消したと思われて、一旦停止した車両がトンネル内に進入する可能性がある。これを未然に防止するため、制御装置18はトンネル進入口12に近い非常覚知ヘッド16からの放水は継続し、それ以外の手前側の非常覚知ヘッド16からの放水のみを停止することが望ましい。
【0066】
図6は図5の弁装置18の実施形態であり、車両検出器50により車両の停止を検出したとき、トンネル進入口12に近い非常覚知ヘッド16からの放水は継続し、それより手前の非常覚知ヘッド16からの放水は停止するようにした場合の装置構成を示している。
【0067】
図6において、本弁30、テスト制水弁32、遠隔起動弁34、止め弁35、手動起動弁36、圧力調整弁38、自動排水弁40、遠隔テスト放水弁42、シリンダ44、弁体48は図3の実施形態と同じであるが、テスト制水弁32の2次側から取り出したヘッド配管24をトンネル進入口側のヘッド配管24aとその手前側のヘッド配管24bに分岐して、それぞれ非常覚知ヘッド16を接続し、トンネル進入口側のヘッド配管24aについては直接、非常覚知ヘッド16に接続しているが、その手前側の非常覚知ヘッド16については遠隔開閉弁52を介してヘッド配管24bを接続している。
【0068】
このため放水区間に対する車両の停止を検出した場合には、本弁30は開状態をそのまま継続し、遠隔開閉弁52を制御装置22により閉制御し、ヘッド配管24bによる手前側の非常覚知ヘッド16に対する加圧覚知用水の供給を停止し、トンネル進入口側の非常覚知ヘッド16に対するヘッド配管24aのみに加圧覚知用水の供給を継続して、トンネル進入口に非常覚知パターンを継続的に形成する。
【0069】
なお、図6の実施形態に限らず、車両を検出したときは、本弁30の弁開度を少なくして、放水量を抑えるようにしてもよい。
【0070】
図7は本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図であり、この実施形態は冬場などにおける路面凍結防止の対策を行ったことを特徴とする。図7において、道路14に沿って2箇所に設置した非常覚知ヘッド16に対応して、それぞれ発煙装置54を設けている。
【0071】
発煙装置54としては例え固形消火剤を収納しており、制御装置22からの制御信号により固形消火剤を点火して、消火作用を持つエアロゾル56を道路14を横切る方向に噴出させ、エアロゾルの煙によって、トンネル内に異常が発生したことを警告して車両の進入を防止するようにしている。
【0072】
即ち冬場にあっては、トンネル内異常で非常覚知ヘッド16から加圧覚知用水を放水すると、路面が凍結してスリップ事故に繋がる恐れがあることから、このように外気温が路面凍結温度以下の状態でトンネル異常を発生した場合、制御装置22は弁装置18及びポンプ設備20を動作する代わりに発煙装置54を点火して、エアロゾル56による煙を噴出させ、トンネル内の異常を進入する車両に知らせて緊急停止させることになる。
【0073】
発煙装置としては、車に搭載されて災害時に使用する発炎筒と同様の装置であってもよい。煙としては燃焼により発生する上記の発煙装置に限らず、燃焼によらずに煙を発生する装置であってもよい。運転者の視界を遮らない程度に発煙する必要があり、煙の放出量を制御できる装置であることが望ましい。
【0074】
図8はトンネル進入口側の道路に対しヘッドをアーチ状に配置して非常覚知パターンを放水する実施形態を示した説明図である。図8において、図1及び図2に示したように、トンネル進入口手前の道路を跨ぐようにフレームアーチ58を設置し、フレームアーチ58の路面に相対した位置に下向きに複数の非常覚知ヘッド16を配置している。フレームアーチ58はフレーム部材をアーチ状に構築し、そこにヘッド配管を配置して非常覚知ヘッド16を接続する。
【0075】
本実施形態にあっては、トンネル内で火災などの異常が発生した時に、トンネル進入口側の道路に対し複数の非常覚知ヘッド16からの覚知用水の放水により、スリット状の噴霧パターン25aを形成するようにしている。
【0076】
図9はフレームアーチ58に複数の非常覚知ヘッド16を配置した他の実施形態であり、この実施形態にあっては、トンネル内で火災などの異常が発生した時に、トンネル進入口側の道路に対し非常覚知ヘッド16からの覚知用水の放水によりシャワーパターン25bを形成するようにしている。
【0077】
図10はフレームアーチ58に複数の非常覚知ヘッド16を配置した他の実施形態であり、この実施形態にあっては、トンネル内で火災などの異常が発生した時に、トンネル進入口側の道路に対し非常覚知ヘッド16からの覚知用水の放水により棒状のソリッドパターン25cを形成するようにしている。
【0078】
図11はフレームアーチ58に複数の非常覚知ヘッド16を配置した他の実施形態であり、この実施形態にあっては、トンネル内で火災などの異常が発生した時に、トンネル進入口側の道路に対し非常覚知ヘッド16からの覚知用水の放水により水滴を垂らすドリップパターン25dを形成するようにしている。
【0079】
図8から図11に示すような放水パターンにより、運転者にトンネル内の火災を認識することができ、かつ覚知用の水の量を抑えることができる。非常覚知ヘッド16から放水タイミングは、継続して放水してもよいし、断続的に、周期的に放水して視界の確保と、放水量を抑えるようにしてもよい。
【0080】
図12は、トンネル内にヘッドを配置した本発明による非常覚知設備の他の実施形態を示した説明図である。
【0081】
図12において、道路14が通るトンネル10内の一方の側壁には、例えば50メートル間隔で消火栓装置60が設置されている。消火栓装置60は扉内にノズル付ホースを収納しており、火災時に消火栓扉を開いてノズル付のホースを引き出し、消火栓弁開放レバーを操作することで放水を行う。消火栓装置60からのノズル付ホースは、トンネル走行方向の左右25mの範囲に放水できるように引き出すことができる。
【0082】
また消火栓装置60には、火災時に操作して火災検出信号を出力する発信機が設けられ、発信機の近くには発信機設置場所を示す火災表示灯と、発信機の押釦操作に対する応答表示を行う応答表示灯が設けられている。
【0083】
本実施形態にあっては、トンネル10内に設置している消火栓装置60の1つ置きとなる一定間隔、例えば100メートル間隔で弁装置18を設置し、弁装置18からトンネル内の道路14を横切るトンネル天井面に沿ってアーチ状にヘッド配管24を配置し、ヘッド配管24に複数の非常覚知ヘッド16を路面に向けて下向きに配置して接続している。
【0084】
ヘッド配管24に接続した非常覚知ヘッド16は図8乃至図11に示したパターンを覚知用水の放水によりトンネル内の道路を横切る方向に形成する。消火栓装置60に設けている発信機及び応答表示灯は制御装置22に信号線接続され、また弁装置18も制御装置22に信号線接続される。
【0085】
制御装置22は例えば消火栓装置60に設けた発信機の押しボタン操作による火災検出信号、或いは消火栓扉を開いてホースを引き出した後に消火栓弁開閉レバーを開操作した時のポンプ起動信号などを受信した時に、信号を送信した消火栓装置60を含む区間及びその前方の区間に対応した弁装置18に起動信号をして弁開とし、またポンプ設備2を起動して覚知用水を給水配管61に供給し、弁開とした弁装置18からのヘッド配管24に接続している非常覚知ヘッド16からトンネルを横切る方向に非常覚知パターンを放水し、トンネル内に入った車両の運転者に異常を知らせて緊急停止させる。
【0086】
例えば区間L2で車両火災が発生したとすると、運転者は近くの消火栓装置60の扉を開いてノズル付きホースを引き出し、消火栓弁開閉レバーを開操作する。消火栓弁開閉レバーを開操作するとポンプ起動信号が制御装置22を経由してポンプ設備20に送られ、消火ポンプを起動して給水配管62に加圧覚知用水を供給し、ノズルから放水させる。
【0087】
このとき制御装置22は消火栓装置60からのポンプ起動信号から異常発生を認識し、火災が発生した区間L1及びその前方の区間L2に設置している弁装置18に起動信号を送って弁開とし、このときポンプ設備20から供給されている加圧覚知用水を弁装置18からヘッド配管24に送り、非常覚知ヘッド16からの放水によりトンネル断面方向に非常覚知パターンを形成し、火災発生区間L2に進入してくる車両の運転者に前方トンネル内で異常が発生していることを警告し、火災発生場所の手前で確実に制動停止させることが可能となる。
【0088】
図13は図12のようにトンネル内にトンネル内に非常覚知ヘッドを配置した実施形態における棒状パターンによる斜め放水を示した説明図であり、図13(A)はトンネル断面、図13(B)はトンネル平面を示している。
【0089】
図13において、非常覚知ヘッド16は放水量を覚知に必要な最小限とするため棒状パターン62を放水しており、本実施形態にあっては、図13(A)のトンネル断面に示すように、トンネル10の上部に設置した非常覚知ヘッド16から斜め下向きに放水し、且つ図13(B)のトンネル平面に示すように、走行方向に対しても斜め方向に放水している。
【0090】
このような棒状パターン62の斜め放水により、トンネル内を走行してくる車両は進行方向の斜め上方から棒状パターン62による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも車体を斜めに横切るように放水を受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。
【0091】
また火災発生によりトンネル上部に煙層64が形成されるが、非常覚知ヘッド16は一本の棒状パターン62の放水であるため、この放水によって煙層64が乱されてトンネル全体に煙が広がってしまうことを防止できる。
【0092】
図14はトンネル内に非常覚知ヘッドを配置した実施形態における棒状パターンによるクロス放水を示した説明図である。
【0093】
図14において、トンネル10の上部に2台の非常覚知ヘッド16を配置しており、図14(A)のトンネル断面に示すように、左右に配置した非常覚知ヘッド16から斜め下向きに棒状パターン62を放水することでクロス放水とし、且つ図14(B)のトンネル平面に示すように、左右に配置した非常覚知ヘッド16から走行方向に対しても斜めに棒状パターン62を放水することでクロス放水としている。
【0094】
このような棒状パターン62のクロス放水により、トンネル内を走行してくる車両は進行方向の斜め上方から棒状パターン62による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも車体を斜めに横切るように放水を受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。
【0095】
またトンネル走行方向に所定間隔で配置されている複数の非常覚知ヘッドから同時にクロス放水を行うと、トンネル前方に複数のクロス放水パターンが浮かび上がり、異常事態の発生を確実に覚知できる。またクロス放水は煙層64を乱すようなことはなく、放水によって煙層64が乱されてトンネル全体に煙が広がってしまうことを防止できる。
【0096】
図15はトンネル内に非常覚知ヘッドを配置した実施形態における棒状パターンによる横放水を示した説明図である。
【0097】
図15において、トンネル10の側壁に非常覚知ヘッド16を配置しており、図15(A)のトンネル断面に示すように、非常覚知ヘッド16からトンネル内を横切る方向に棒状パターン62を放水し、且つ図15(B)のトンネル平面に示すように、走行方向に対しても非常覚知ヘッド16から真横に棒状パターン62を放水している。なお、図15(B)に点線で示すように、走行方向については斜め方向とする横放水としても良い。
【0098】
このような棒状パターン62の横放水により、トンネル内を走行してくる車両は棒状パターン62による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも車体の側面に放水を受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。また横放水は路面に近い位置であることから煙層64を乱すようなことはなく、放水によって煙層64が乱されてトンネル全体に煙が広がってしまうことを防止できる。
【0099】
また、放水された覚知用水は対向するトンネル壁面に着水するため、道路端に設けた排水口に排水させることにすれば、車道が濡れずに火災警報することができるから、車が水でスリップするなどの二次災害を防ぐことができる。
【0100】
図16はトンネル内に非常覚知ヘッドを配置した実施形態における棒状パターンによる路面直上放水を示した説明図である。
【0101】
図16において、トンネル10内には2車線が設けられており、各車線の直上となるトンネル上部の2箇所に非常覚知ヘッド16を配置しており、図16(A)のトンネル断面に示すように、非常覚知ヘッド16から相対する直下の路面に向けて棒状パターン62を放水し、且つ図16(B)のトンネル平面に示すように、走行方向に対しては非常覚知ヘッド16から斜め前方となる核路面に向けて棒状パターン62を放水している。なお、図16(B)の平面については、その直下の車線上に放水しても良い。
【0102】
このような棒状パターン62の路面直上放水により、トンネル内を走行してくる車両は棒状パターン62による放水をによる放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも略正面上方から放水を車体に受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。また路面直上放水は煙層64を乱すようなことはなく、放水によって煙層64が乱されてトンネル全体に煙が広がってしまうことを防止できる。
【0103】
図17はトンネル内に非常覚知ヘッドを配置した実施形態における棒状パターンによるマルチ放水を示した説明図である。
【0104】
図17(A)は、トンネル10の左側上部にマルチ放水型非常覚知ヘッド160を配置しており、マルチ放水型非常覚知ヘッド160は例えば4台の非常覚知ヘッドを備えている。
【0105】
マルチ放水型非常覚知ヘッド160は、斜め下向きとなる異なる方向に4本の棒状パターン62をマルチ放水している。このマルチ放水の方向は、走行方向を真横に横切る方向であっても良いし、図13(B)に示したように、走行方向に対しても斜めとなる放水方向としても良い。
【0106】
図17(B)はマルチ放水の他の実施形態であり、例えば4ヘッド構成のマルチ放水型非常覚知ヘッド160をトンネル10の側壁に配置し、4本の放物線を描く棒状パターン66を放水している。
【0107】
図17(C)は図17(A)(B)のマルチ放水型非常覚知ヘッド160を組み合わせたもので、斜め放射の4本の棒状パターン62と横放射の4本の棒状パターン66によって走行する車両から見て格子上の放水パターンを形成するようにしている。
【0108】
このような棒状パターンを用いたマルチ放水により、トンネル内を走行してくる車両は棒状パターン62による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも放水を車体に受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。またマルチ放水は煙層64を棒状に通過することから、煙層64を乱すようなことはほとんどなく、放水によって煙層64が乱されてトンネル全体に煙が広がってしまうことを防止できる。
【0109】
このような図13乃至図17に示した非常覚知ヘッド16の棒状パターンによる放水は、トンネル内での非常告知に限定されず、図1に示したトンネル外部に設置する場合についても同様に適用できる。
【0110】
なお、上記の実施形態は非常覚知ヘッド16を道路を挟んで両側に設置した場合を例にとっているが、十分な放水距離を確保するヘッドを使用すれば、道路の片側に非常覚知ヘッド16を設置するだけでも良い。また非常覚知ヘッド16による放水パターンとしては、スリット状や旋回状など適宜の目立ち易いパターンをとることが望ましい。
【0111】
また、上記実施形態は、主に水噴霧設備などを設置していない例えば2km以下の短いトンネルに対する非常覚知設備を例に取るものであったが、通行量が多く距離の長いトンネルにあっては、トンネル内に消火栓設備や水噴霧設備を設けているが、このようなトンネルについても上記の実施形態と同様に、トンネル進入口側に非常覚知設備を設ければ良い。この場合の非常覚知設備については、加圧覚知用水はトンネル内に設置している水噴霧設備のポンプ設備を動作して、消火用水の供給を受けるようにしても良い。
【0112】
また、図13から図17の放水パターンによる放水を図1から図11のトンネル外での非常覚知設備に適用しても良い。
【0113】
また、図1の実施形態と図12の実施形態を組み合わせることで、トンネル進入口の道路及びトンネル内の道路に沿って所定間隔に、道路を横切る方向に非常覚知パターンを放水により形成する非常覚知ヘッドを設けるようにしても良い。
【0114】
また、上記実施形態において、放水パターンの放水タイミングは、連続放水以外に断続的に放水してもよい。
【0115】
また、非常覚知ヘッド16としては、道路上の雪を洗い流して除去する消雪設備のヘッドと兼用してもよい。消雪設備のヘッドとしては、所定方向に放水する放水穴を1つ又は複数備えたものであり、加圧水により雪を流すものである。ヘッドの放出穴は放水方向を変更できるものでもよい。
【0116】
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0117】
10:トンネル
12:トンネル進入口
16:非常覚知ヘッド
22:制御装置
24,24a,24b:ヘッド配管
26:照明装置
28:旋回警告灯
50:車両検出器
54:発煙装置
56:エアロゾル
58:アーチフレーム
60:消火栓装置
61:給水配管
62,66:棒状パターン
160:マルチ放水型非常覚知ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル進入側の道路に配置され、道路を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成する非常覚知ヘッドと、
遠隔操作により開動作して前記非常覚知ヘッドに覚知用水を供給する弁装置と、
トンネル内での非常設備作動時に前記弁装置を駆動して前記非常覚知ヘッドから放水させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする非常覚知設備。
【請求項2】
請求項1記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドを、少なくともトンネル進入口近傍とその手前に設置したことを特徴とする非常覚知設備。
【請求項3】
請求項2記載の非常覚知設備に於いて、前記トンネル侵入口近傍の非常覚知ヘッドとその手前の非常覚知ヘッドを、少なくとも所定の車両制動停止距離だけ離して設置したことを特徴とする非常覚知設備。
【請求項4】
請求項1記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドによる夜間の放水時に、前記非常覚知パターンを照明する照明装置を設けたことを特徴とする非常覚知設備。
【請求項5】
請求項1記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドの設置区間を走行する車両を検出する車両検出器を設け、前記制御装置は前記弁装置の開制御による前記非常覚知ヘッドからの放水中に、前記車両検出器により停止車両を検出した時に前記弁装置を閉制御して前記非常覚知ヘッドからの放水を停止することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項6】
請求項1記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドの設置区間を走行する車両を検出する車両検出器を設け、前記制御装置は前記弁装置の開制御による前記非常覚知ヘッドからの放水中に、前記車両検出器により停止車両を検出した時に前記自動弁装置を閉制御して前記トンネル進入口付近以外に設置した非常覚知ヘッドからの放水を停止させることを特徴とする非常覚知設備。
【請求項7】
請求項1記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドに対応して発煙装置を設け、前記制御装置は外気温が路面凍結温度以下の場合、前記弁装置を開制御せずに、前記発煙装置の作動により煙を噴出して異常を警告することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項8】
請求項7記載の非常覚知設備に於いて、前記発煙装置はエアロゾルを噴出させることを特徴とする非常覚知設備。
【請求項9】
トンネル内に設置され、トンネル内の道路を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成する非常覚知ヘッドと、
遠隔操作により開動作して前記非常覚知ヘッドに覚知用水を供給する弁装置と、
トンネル内での非常設備作動時に前記弁装置を開制御して前記非常覚知ヘッドから放水させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする非常覚知設備。
【請求項10】
請求項9記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドは、トンネル内の片側、両側、又はアーチ状に配置したことを特徴とする非常覚知設備。
【請求項11】
請求項9記載の非常覚知設備に於いて、更に、前記非常覚知ヘッドをトンネル進入側の道路に対し片側又は両側に配置して、道路を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項12】
請求項9記載の非常覚知設備に於いて、前記制御装置は、火災検出時に、火災発生区画の手前となる1又は複数の区画に設置した前記非常覚知ヘッドから放水させることを特徴とする非常覚知設備。
【請求項13】
請求項9記載の非常覚知設備に於いて、前記制御装置は、火災検出時に、火災発生区画の手前となる1又は複数の区画に設置した前記非常覚知ヘッドから放水させることを特徴とする非常覚知設備。
【請求項14】
請求項1又は9記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドから棒状パターンを放水することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項15】
請求項14記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドから棒状パターンを走行方向を横切る方向及び又は走行方向に対し斜めに放水することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項16】
請求項14記載の非常覚知設備に於いて、2つの非常覚知ヘッドから棒状パターンを走行方向に対しクロスさせて放水することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項17】
請求項14記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドから棒状パターンを走行方向を横切る方向に放水することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項18】
請求項14記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドを車線毎に設けて上から棒状パターンを車線上に放水することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項19】
請求項14乃至18のいずれかに記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドから棒状パターンをトンネル上方に生成される煙層を乱さないように放水することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項20】
請求項14乃至18のいずれかに記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドから棒状パターンを断続的又は周期的に放水することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項1】
トンネル進入側の道路に配置され、道路を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成する非常覚知ヘッドと、
遠隔操作により開動作して前記非常覚知ヘッドに覚知用水を供給する弁装置と、
トンネル内での非常設備作動時に前記弁装置を駆動して前記非常覚知ヘッドから放水させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする非常覚知設備。
【請求項2】
請求項1記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドを、少なくともトンネル進入口近傍とその手前に設置したことを特徴とする非常覚知設備。
【請求項3】
請求項2記載の非常覚知設備に於いて、前記トンネル侵入口近傍の非常覚知ヘッドとその手前の非常覚知ヘッドを、少なくとも所定の車両制動停止距離だけ離して設置したことを特徴とする非常覚知設備。
【請求項4】
請求項1記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドによる夜間の放水時に、前記非常覚知パターンを照明する照明装置を設けたことを特徴とする非常覚知設備。
【請求項5】
請求項1記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドの設置区間を走行する車両を検出する車両検出器を設け、前記制御装置は前記弁装置の開制御による前記非常覚知ヘッドからの放水中に、前記車両検出器により停止車両を検出した時に前記弁装置を閉制御して前記非常覚知ヘッドからの放水を停止することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項6】
請求項1記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドの設置区間を走行する車両を検出する車両検出器を設け、前記制御装置は前記弁装置の開制御による前記非常覚知ヘッドからの放水中に、前記車両検出器により停止車両を検出した時に前記自動弁装置を閉制御して前記トンネル進入口付近以外に設置した非常覚知ヘッドからの放水を停止させることを特徴とする非常覚知設備。
【請求項7】
請求項1記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドに対応して発煙装置を設け、前記制御装置は外気温が路面凍結温度以下の場合、前記弁装置を開制御せずに、前記発煙装置の作動により煙を噴出して異常を警告することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項8】
請求項7記載の非常覚知設備に於いて、前記発煙装置はエアロゾルを噴出させることを特徴とする非常覚知設備。
【請求項9】
トンネル内に設置され、トンネル内の道路を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成する非常覚知ヘッドと、
遠隔操作により開動作して前記非常覚知ヘッドに覚知用水を供給する弁装置と、
トンネル内での非常設備作動時に前記弁装置を開制御して前記非常覚知ヘッドから放水させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする非常覚知設備。
【請求項10】
請求項9記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドは、トンネル内の片側、両側、又はアーチ状に配置したことを特徴とする非常覚知設備。
【請求項11】
請求項9記載の非常覚知設備に於いて、更に、前記非常覚知ヘッドをトンネル進入側の道路に対し片側又は両側に配置して、道路を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項12】
請求項9記載の非常覚知設備に於いて、前記制御装置は、火災検出時に、火災発生区画の手前となる1又は複数の区画に設置した前記非常覚知ヘッドから放水させることを特徴とする非常覚知設備。
【請求項13】
請求項9記載の非常覚知設備に於いて、前記制御装置は、火災検出時に、火災発生区画の手前となる1又は複数の区画に設置した前記非常覚知ヘッドから放水させることを特徴とする非常覚知設備。
【請求項14】
請求項1又は9記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドから棒状パターンを放水することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項15】
請求項14記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドから棒状パターンを走行方向を横切る方向及び又は走行方向に対し斜めに放水することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項16】
請求項14記載の非常覚知設備に於いて、2つの非常覚知ヘッドから棒状パターンを走行方向に対しクロスさせて放水することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項17】
請求項14記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドから棒状パターンを走行方向を横切る方向に放水することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項18】
請求項14記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドを車線毎に設けて上から棒状パターンを車線上に放水することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項19】
請求項14乃至18のいずれかに記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドから棒状パターンをトンネル上方に生成される煙層を乱さないように放水することを特徴とする非常覚知設備。
【請求項20】
請求項14乃至18のいずれかに記載の非常覚知設備に於いて、前記非常覚知ヘッドから棒状パターンを断続的又は周期的に放水することを特徴とする非常覚知設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−227548(P2011−227548A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93910(P2010−93910)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
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