説明

非接触で光変換体の特性を決定するための方法

本発明は、開回路電圧(Vco)の最大値、及び測定光強度I0を条件として光変換体材料によって出力されることができるパワーを決定する方法に関し、本方法は、以下の、材料のフォトルミネセンス強度を測定する段階、光変換体材料のフォトルミネセンス波長とほぼ等しい第二の波長(λ2)において、光変換体材料の吸収率を測定する段階、及び、ほぼ等しい波長において測定された吸収率及びフォトルミネセンス強度によって測定光強度I0で光変換体材料の開回路電圧(Vco)の最大値を決定する段階、を含む。本発明は、材料の照射表面に入射される光線、材料の照射表面から放出される光線、及び検出器によって集められる光線の角度分布がほぼ同一になるように、光源及び光変換体材料が配置されることによって特徴づけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変換体材料の最大開回路電圧を決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池、例えばアモルファスシリコン、CdTe、GaAsまたはその他のIII−V族化合物のような薄膜太陽電池、または銅、ガリウム、2セレン化インジウムのような半導体化合物系太陽電池は、光変換体材料および集電材料の積層に基づいている。
【0003】
完全なデバイスを開発することの難しさを考えると、光変換体材料を選択する際に注意を払うことが好ましい。
【0004】
最良な光変換体材料の選択をするためには、完全なデバイスを得ることが可能となるような効率を推論できるように、材料の光電気的特性を決定する。
【0005】
この目的のため、特に薄膜技術に関しては、接点の影響を排除するための具体的な技術的段階を開発することが、しばしば必要であり、接点はそうでなければ接点/光変換体材料システムの特性に影響を与え、あるいは特性を決定づけることさえありうる。接点をレイアウトすることはもちろん必要であるが、他の技術的制約があるような場合に、これらの接触の提供を最適化することは、それゆえ、最終的な光発電デバイスに真の付加価値をなんら与えずに、時間を浪費することになる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、材料を形状加工したり処理したりする必要なく、または接点を設ける必要なく、光変換体材料について直接光電気的特性を測定するための方法の必要性が存在し、それによってこの光変換体材料を用いる太陽電池の効率の評価を得ることができる。本発明は、非接触で、光変換体材料の開回路電圧の最大値を決定する方法を提供することにより、この必要性に合致することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、測定光強度I0に露光される光変換体材料の開回路電圧(Vco)の最大値を決定するための方法を提案し、その方法は、光変換体材料のフォトルミネセンス強度が、測定光強度I0にほぼ等しい第一の光強度I1及び光変換体材料の吸収エネルギー(Eg)よりも大きな第一の励起エネルギーに対応する第一の波長(λ1)である第一の光源を用いて光変換体材料を照射することにより測定される段階、光変換体材料の吸収率が、光変換体材料のフォトルミネセンス波長にほぼ等しい第二の波長(λ2)において、第二の波長(λ2)及び第二の光強度I2で第二の光源を用いて光変換体材料を照射することにより測定される段階、並びに、測定光強度I0における光変換体材料の開回路電圧(Vco)の最大値が、共にほぼ同じ波長で測定された吸収率及びフォトルミネセンス強度を用いて決定される段階、を備え、光源および光変換体材料が、材料の照射表面に入射する光線の角度分布、材料の照射表面から発せられる光線の角度分布、及び検出器によって集められる光線の角度分布が、ほぼ同一であるように配置される。
【0008】
好適には、本発明の方法によって、材料を形状加工したり処理したりする必要なく、あるいは接点を設ける必要なく、所定の光変換体材料によって達成できる開回路電圧を直接決定することができるようになる。
【0009】
本発明に従う方法は、追加的には、以下の光学的特徴の一つまたは複数を、個々に、またはどのありうる組み合わせでも備えうる。開回路電圧(Vco)は、以下の数式を用いて決定される。
【0010】
【数1】

【0011】
ここで、IPLは、第一の光強度I1で光変換体材料を照射することによって測定された光変換体材料のフォトルミネセンス強度であり、具体的には周波数間隔ごとの放射エネルギー密度に関わる。a(ν2)は、光変換体材料のフォトルミネセンス波長にほぼ等しい第二の波長(λ2=c*ν2)、かつ第二の光強度I2で測定された、光変換体の吸収率である。nν2は、光変換体材料のフォトルミネセンス波長における光変換体材料に関する光学指数である。cは、真空中の電磁放射の速度である。νは、光変換体材料のフォトルミネセンス波長に対応する周波数である。hは、プランク定数である。kは、ボルツマン定数である。Tは、光変換体の表面温度である。qは、素電荷の値である。Vcoは、光変換体材料の開回路電圧である。
【0012】
光変換体材料、第一及び第二の光源、並びに光学測定デバイスは、光変換体材料の照射の立体角が、光学測定デバイスの集光の立体角とほぼ等しくなるように配置される。光変換体は、第一および第二の光源によって間接的に照射されるような統合した球状構造内に配置される。フォトルミネセンス強度及び/または吸収率の測定は、ダイオードまたはスペクトロメータを用いて、あるいは感度を増大するためにサンプル信号を変調してなされる。
【0013】
本発明はまた、光変換体材料のエネルギー効率を決定する方法に関し、その方法は、光変換体材料の開回路電圧(Vco)の最大値が、本発明の方法によって測定光強度I0において決定される段階、光変換体材料の光電流が、測定光強度I0とほぼ等しい第三の光強度I3で、かつ異なる波長で、材料の吸収率の測定によって決定される段階、及び、光変換体材料のエネルギー効率が、数式2に従って光強度I0で決定される段階、を備える。
【0014】
【数2】

【0015】
ここで、Iccは、光変換体材料の光電流であり、Vcoは、光変換体材料の開回路電圧の最大値であり、FFは、光変換体材料の形状因子であり、Pincは、入射パワーである。
【0016】
形状因子FFは、既知の数式の一つ、例えば以下の数式から計算することができる。
【0017】
【数3】

【0018】
本発明はまた、強度I0の光源によって照射される光変換体材料から引き出すことのできるパワーを決定するための方法に関し、その方法は、光変換体材料の開回路電圧Vcoの最大値が、本発明の方法により、I0/20とI0の間の複数の光強度Ijにおいて決定される段階、光変換体材料の光電流Iccが、本発明の方法によって決定される段階、及び光変換体材料から引き出すことのできるパワーがVco(Ij)の関数としてIcc*Ij/I0をプロットすることにより決定される段階、を備える。
【0019】
引き出すことのできるパワーは、Vco(I0)の関数としてIcc*Ij/I0をプロットし、V=0を通過する垂直軸、I=I0の縦座標の水平線、Vco(Ij)の関数としての上述の曲線Icc*Ij/I0の間に描くことのできる最大の長方形の表面積を考慮に入れることにより、得られる。求めるパワー値は、長方形の表面積に等しい。
【0020】
本発明の一実施形態において、光変換体材料の光電流は、以下の数式を用いて決定される。
【0021】
【数4】

【0022】
ここで、Iccは、光変換体材料の決定された光電流であり、a(ν)は、測定光強度I0における光変換体材料の吸収率であり、Φ(ν)は、入射光束である。
【0023】
本発明は、単に例示として提供される以下の説明を、添付された図面を参照しながら読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に従って光変換体材料の吸収率を測定するデバイスの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に従って光変換体材料のフォトルミネセンス強度を測定するデバイスの概略図である。
【図3】本発明の方法を実施するデバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
明確さのために、図に示された様々な要素は、必ずしもスケールどおりではない。本発明における、「等価フォトルミネセンス発光及び吸収プロセス」は、幾何学的に時間を反転することに対応する吸収及び発光プロセスを意味すると理解される。一実施形態において、光変換体材料は、入射光線及び放出光線の平均角度及び角度の広がりが同じであるように照射される。
【0026】
本発明の一実施形態において、光源及び光変換体材料が、材料の照射表面に入射する光線の角度分布、材料の照射表面から発せられる光線の角度分布、及び検出器によって集められる光線の角度分布が、ほぼ同じであるように配置されて、光変換体材料は照射される。
【0027】
発明者は、開回路条件下で、光変換体材料によるルミネセンスによって放出されるエネルギーが、電子再結合に起因する損失を避けるために材料の容量の測定に関連付けられる、ということを発見した。
【0028】
電子再結合損失に起因するこれらの損失は、集めることのできる電気的パワーと競合し、このことは、光変換体材料によって放出される絶対ルミネセンス光束を、同一の照射条件下における完全なデバイスで達成可能な開回路電圧(Vco)の最大値を決定するのに用いることができる、ということを意味する。
【0029】
光変換体材料の開回路電圧Vcoの値は、スペクトル放射とキャリアqVの擬フェルミ準位の分離の間の関係に現れることができる。発明者は、特定の条件下で光変換体材料に関して、スペクトル放射とキャリアqVの擬フェルミ準位の分離の間の関連性が、一般化されたプランク方程式によって与えられることを発見した。
【0030】
【数5】

【0031】
ここで、IPLは、材料のフォトルミネセンス強度である。a(ν2)は、光変換体材料のフォトルミネセンス波長とほぼ同じ第二の波長(λ2=c*ν2)及び第二の光強度I2で測定された光変換体の吸収率である。nν2は、光変換体材料のフォトルミネセンス波長における光変換体材料の光学指数である。cは真空中の電磁放射の速度である。νは光変換体材料のフォトルミネセンス波長に対応する周波数である。hはプランク定数である。kはボルツマン定数である。Tは光変換体の表面温度である。qは素電荷の値である。Vcoは、光変換体材料の開回路電圧である。
【0032】
量q*Vcoは、光変換体材料から引き出すことのできる、最大自由エネルギーを表す。周波数νでの吸収率a(ν)を決定することのできる、吸収及び屈折率が既知であれば、量q*Vcoを決定することができる。
【0033】
量q*Vcoは、適切な光学デバイスを用いて測定することができ、そのような光学デバイスは、例えば、光学吸収率及び発光率が各周波数で等しいことによるキルヒホッフの法則を用いた、統合した球体のようなものである。
【0034】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、光変換体材料のフォトルミネセンス強度を測定する第一段階を備える。
【0035】
図1に示されているように、光変換体材料10は、統合した球体12の開口部の一つに配置することができる。光変換体材料10は、図示されない、第一の光源によって照射される。第一の光源は、統合した球体12の外部に配置され、統合した球体12の開口部14を通して光変換体材料10を照射する。
【0036】
第一の光源は、第一の強度I1、及び光変換体材料10の吸収エネルギー(Eg)よりも大きな第一の励起エネルギーに対応する第一の波長λ1で、光変換体材料10を照射する。
【0037】
一実施形態において、第一の波長λ1の選択を可能にするデバイス16は、第一の光源と光変換体材料との間に配置することができる。
【0038】
光変換体材料10は、第一の光源によって間接的に照射されるように、統合した球体12の内部に配置される。従って、入射放射の吸収及びフォトルミネセンスのプロセスは、等価であり、幾何学的に、時間を反転することに対応すること、または材料の照射表面に入射する光線の角度分布、材料の照射表面から発せられる光線の角度分布、及び検出器によって集められる光線の角度分布が、ほぼ同一であることを意味する。
【0039】
図1に示された実施形態において、光変換体材料は、平均入射角度、並びに入射光線及びフォトルミネセンス光線の角度の広がりが、同一であるように照射される。
【0040】
光変換体材料10のフォトルミネセンス強度は、統合した球体12の端部に配置された測定デバイス18によって測定することができる。当業者に周知のどのような測定デバイスを使用してもよい。具体的には、光強度測定を可能にするダイオード、及び光変換体材料10のフォトルミネセンス波長の周囲のみの強度を測定できるように波長をフィルタする、例えばノッチフィルタや回折格子のような選択フィルタを備えるデバイスが用いられてもよい。好適には、測定デバイスは、スペクトロメータとすることができる。
【0041】
本発明の方法はまた、光変換体材料10の検出可能なフォトルミネセンス発光波長の一つにおいて光変換体材料10の吸収率を測定する段階を備える。
【0042】
図2に示された本発明の一実施形態において、吸収率を測定できるように、光変換体材料は、統合した球体の内部に配置され、例えば、フォトルミネセンス強度を測定するのに用いられたのと同じものとすることができる。
【0043】
光変換体材料10は、第二の波長λ2及び第二の光強度I2で第二の光源によって照射され、第二の光強度I2は任意であるが、用いられる検出器の感度に適合しなければならない。
【0044】
好適には、第二の波長λ2は、光変換体材料のフォトルミネセンス波長とほぼ等しく、第二の光強度I2は、第一の強度I1とほぼ等しい。
【0045】
光変換体材料10は、フォトルミネセンス測定の場合と同じように、統合した球体12内に配置される。従って、入射放射の吸収及びルミネセンスのプロセスは等価であり、幾何学的に、時間を反転することに対応すること、または材料の照射表面に入射する光線の角度分布、材料の照射表面から発せられる光線の角度分布、及び検出器によって集められる光線の角度分布が、ほぼ同一であることを意味する。
【0046】
図2及び図3の実施形態において、照射される材料の表面に入射する光線、放出される光線、及び検出器によって集められる光線の立体角は、2πである。光変換体材料10の透過が実質上0であると仮定すると、光変換体材料10の吸収率は、反射率の測定によって得られる。本発明の一実施形態において、反射表面は、光変換体材料10の背後に、全ての入射光を返すように配置することができる。
【0047】
一般化されたプランク方程式は、図1及び図2に示された測定条件において適用可能である。それによって、吸収率測定及びフォトルミネセンス測定について光変換体材料10の開回路電圧Vcoの最大値を導くことができる。
【0048】
本発明の一実施形態において、光変換体材料10の照射の立体角が、光学測定デバイスの集光の立体角とほぼ等しくすることができるような光学アッセンブリーを用いて、光変換体材料10のフォトルミネセンス強度及び吸収率を測定することもまた可能である。
【0049】
そのような光学アッセンブリーの一例が、図3に示されている。
【0050】
光変換体材料10は、光源20によって照射される。光源20から発せられる放射は、例えば、収束レンズを備える、第一の光学デバイス22を用いて光変換体材料上に収束される。
【0051】
光学アッセンブリーは、入射光放射の軸が、光変換体材料10の面に対してほぼ垂直であるように構成される。
【0052】
入射放射は、好適には、第一の光学デバイス22と光変換体材料10の間に、入射光放射の軸に対して約45°の角度を成すように配置された部分的に反射性の平板によって分割される。
【0053】
光変換体材料10による反射されまたはフォトルミネセンスによって放出された放射は、半反射板25及び第二の収束デバイス26を介して測定デバイス24へ向けられる。第二の収束デバイスは、収束レンズを備えることができ、反射されまたはフォトルミネセンスによって放出された放射を、測定デバイス24上に収束する。
【0054】
本発明の一実施形態において、光変換体材料10は、参照太陽光スペクトルで照射されることができ、フォトルミネセンスが、吸収閾値Egの近傍で検出できるように、光変換体材料の吸収閾値Egの近傍及びそれより下のスペクトル位置はフィルタされる。この場合、吸収閾値Egに近接する発光バンドにおけるフォトルミネセンス強度によって、この同じ照射下で材料から引き出すことのできる自由エネルギーを概算することができる。
【0055】
所定の励起条件において、材料の吸収閾値より大きく、変換されるべきスペクトルを覆うスペクトル範囲における光変換体材料10の吸収率測定は、これらの同一な照射条件で行うことができる最大の光電流を提供することを可能にする。事実、吸収された光子が単一の電子/正孔対のみを作り出せるような通常の場合には、光電流は、吸収される光子の量によって制限される。
【0056】
スペクトル範囲において点の数及び選択は、開回路電圧について決定される値の精度を決定する。
【0057】
最適化された及び/または良好な材料である光発電構造において、光によって作られたキャリアの捕集は良好であり、内部量子収率は、実際は光変換体材料の吸収率に近く、例えば80から90%の間である。導電性の測定、または移動度でさえ、既知の方法に従って、効果的な捕集の仮説を支持できる。
【0058】
本発明はまた、測定光強度I0に露光される光変換体材料のエネルギー効率を決定する方法に関する。
【0059】
効率を決定する方法は、本発明の方法を用いて測定光強度I0において光変換体材料の開回路電圧(Vco)の最大値を決定する段階を、追加的に備えてもよい。
【0060】
本発明に従って効率を決定する方法は、光変換体材料の光電流を決定する段階を、追加的に備える。光電流は、変換されるべきスペクトルをカバーできるように様々な波長で材料の吸収率を測定することによって決定することができる。決定された値の数は、なされた決定の精度を支配する。
【0061】
本発明の一実施形態において、光変換体材料の光電流は、以下の数式によって決定される。
【0062】
【数6】

【0063】
ここで、Iccは、光変換体材料の決定された光電流であり、a(ν)は、測定光強度I0における光変換体材料の吸収率であり、Φ(ν)は、入射光の光束である。
【0064】
発明者は、入射光の光束が、光電流と共に開回路電圧Vcoの最大値にも影響を与えることを発見した。入射光束の範囲で開回路電圧Vcoの最大値の関数として光電流Iccをプロットすると、光変換体材料の電圧―電流特性を得る。
【0065】
光変換体材料の電圧―電流特性に基づいて、当業者であれば暗電流、つまり照射がないときの光変換体材料の残留電流を導き出すことができる。暗電流によって、放射効率を発見できるように、放射再結合の量を得ることができる。
【0066】
光強度I0における光変換体材料のエネルギー効率は、開回路電圧Vcoの最大値及び光電流の生成に比例する。
【0067】
本発明は、記載された実施形態に限定されるものではなく、限定するように解釈されるべきではない。本発明は、どのような等価な実施形態も含む。具体的には、一般化プランク方程式は、いくつかの吸収閾値、または複光子吸収、つまり複数の光子を伴うプロセスを有するどのようなシステムにも適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 光変換体材料
12 統合した球体
14 開口
16 デバイス
20 光源
22 第一の光学デバイス
24 測定デバイス
25 半反射板
26 第二の収束デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定光強度I0に露光された光変換体材料の開回路電圧(Vco)の最大値を決定する方法であって、前記方法は、
前記光変換体材料のフォトルミネセンス強度が、第一の光強度I1、及び第一の波長(λ1)である第一の光源を用いて前記光変換体材料を照射することによって測定される段階であって、前記第一の波長(λ1)が前記光変換体材料の吸収エネルギー(Eg)よりも大きな第一の励起エネルギーに対応し、前記第一の光強度I1が前記測定光強度I0にほぼ等しい段階、
前記光変換体材料のフォトルミネセンス波長のうちの一つとほぼ等しい第二の波長(λ2)及び第二の光強度I2である第二の光源を用いて前記光変換体材料を照射することによって、前記光変換体材料の吸収率が、前記第二の波長(λ2)で測定される段階、
並びに前記測定光強度I0における前記光変換体材料の前記開回路電圧(Vco)の最大値が、どちらもほぼ同じ波長で測定された前記吸収率及び前記フォトルミネセンス強度を用いて決定される段階、を備え、
前記光源及び前記光変換体材料が、前記材料の照射表面に入射する光線、前記材料の照射表面から放出される光線、及び前記検出器によって集められる光線の角度分布が、ほぼ同一であるように配置される、方法。
【請求項2】
前記開回路電圧(Vco)が、下記の数式を用いて決定される、請求項1に記載の方法。
【数1】

ここで、IPLは、前記第一の光強度I1において前記光変換体材料を照射することにより測定される前記光変換体材料の前記フォトルミネセンス強度であり、
a(ν)は、前記光変換体材料の前記フォトルミネセンス波長にほぼ等しい前記第二の波長(λ2=c*ν2)及び前記第二の光強度I2で測定された前記光変換体の前記吸収率であり、
ν2は、前記光変換体材料の前記フォトルミネセンス波長における前記光変換体材料の光学指数であり、
cは、真空中の電磁放射の速度であり、
νは、前記光変換体材料の前記フォトルミネセンス波長に対応する周波数であり、
hは、プランク定数であり、
kは、ボルツマン定数であり、
Tは、前記光変換体の表面温度であり、
qは、素電荷の値を表し、
Vcoは、前記光変換体材料の開回路電圧である。
【請求項3】
前記光変換体材料(10)の照射の立体角が光学測定デバイス(18)の集光の立体角にほぼ等しくなるように、前記光変換体材料(10)、前記第一および第二の光源、及び前記光学測定デバイス(18)が配置された、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記光変換体材料(10)が、前記第一および第二の光源によって間接的に照射されるように、前記光変換体材料(10)が統合した球状構造(12)内に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記フォトルミネセンス強度及び/または前記吸収率の測定が、ダイオードまたはスペクトロメータを用いて行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
光変換体材料のエネルギー効率を決定する方法であって、前記方法は、
前記光変換体材料(10)の開回路電圧(Vco)の最大値が、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法によって測定光強度I0において決定される段階、
前記光変換体材料の光電流が、前記測定光強度I0とほぼ等しい第三の光強度I3及び様々な波長において前記材料の吸収率を測定することにより決定される段階、
及び、前記光変換体材料の前記エネルギー効率が、前記光強度I0において下記の数式に従って決定される段階、を備える方法。
【数2】

ここで、Iccは、前記光変換体材料の前記光電流であり、
Vcoは、前記光変換体材料の前記開回路電圧の最大値であり、
FFは、前記光変換体材料の形状因子であり、
Pincは、入射パワーである。
【請求項7】
前記光変換体材料の前記光電流が、下記の数式を用いて決定される、請求項6に記載の方法。
【数3】

ここで、Iccは、前記光変換体材料の決定された前記光電流であり、
a(ν)は、前記測定光強度I0における前記光変換体材料の前記吸収率であり、
Φ(ν)は、入射光束である。
【請求項8】
強度I0の光源によって照射される光変換体材料から引き出すことのできるパワーを決定する方法であって、前記方法は、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法によって、前記光変換体材料の開回路電圧Vcoの最大値が、I0/20からI0の間の複数の光強度Ijにおいて決定される段階、
請求項6または7に記載の方法によって、前記光変換体材料の前記光電流Iccが決定される段階、
及びVco(Ij)の関数としてIcc*Ij/I0をプロットすることにより、前記光変換体材料から引き出すことのできるパワーが決定される段階、を備える、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−519079(P2013−519079A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551670(P2012−551670)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【国際出願番号】PCT/FR2011/050242
【国際公開番号】WO2011/095752
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(507033059)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・レシェルシュ・サイエンティフィーク・(セ・エン・エール・エス) (17)
【出願人】(504462489)エレクトリシテ・ドゥ・フランス (25)
【出願人】(505211271)ユニヴェルシテ・ドゥ・ヴェルサイユ・サン−クァンタン・アン・イヴェリーヌ (2)
【Fターム(参考)】