説明

非接触スイッチ

【課題】スイッチングのための閾値の設定が容易な非接触スイッチを提供すること。
【解決手段】バイアス磁界を発生するバイアス磁石4と、該バイアス磁石4が発生するバイアス磁界内に配置されて磁性体製の被検出物の接近に伴うバイアス磁界の変化を検出するホール素子(半導体磁気素子)3と、前記バイアス磁石4を保持する保持部材6を備えて前記被検出物の位置を検出する非接触スイッチ1において、前記保持部材6に、前記ホール素子3を前記バイアス磁石4と離間するように保持する素子取付部を形成する。又、前記バイアス磁石4の前記ホール素子3と対向する前面に凹部4Aを形成し、該凹部4Aの内壁面をテーパ面とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性体から成る被検出物の位置をバイアス磁界の変化によって検出する非接触スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のトランスミッションのニュートラル位置とバック位置を検出するための位置検出スイッチとして有接点の機械式スイッチが知られているが、この機械式スイッチでは操作感が重くなり、耐久回数に制限がある等の問題がある。
【0003】
そこで、磁性体から成る被検出物の位置をバイアス磁界の変化によって検出する無接点の非接触スイッチを用いることが考えられる。尚、特許文献1には、ホール効果を応用して回転体の回転を非接触で検出する回転検出装置が開示されている。
【0004】
非接触スイッチによる被検出物の検出方法として、固定したバイアス磁石が発生するバイアス磁界内に、ホール電圧を検出するホール素子や抵抗変化を検出する磁気抵抗素子等の半導体磁気素子を配置し、磁性体である被検出物の接近によってバイアス磁界に生じた変化を半導体磁気素子によって検出する方法がある。その一例として背面バイアス磁石方式による検出方法を図12に示す。
【0005】
即ち、図12は非接触スイッチの背面バイアス磁石方式による検出方法を説明する図であり、半導体磁気素子であるホール素子103には、その背面に取り付けられたバイアス磁石104によって磁気バイアスが印加されている。そして、磁性体である被検出物112が実線位置から矢印方向に鎖線位置まで移動してホール素子103に接近することによる磁束密度の変化がホール素子103によって検出され、検出された磁束密度が設定された閾値を超える(又は下回る)と非接触スイッチがOFFからON(又はONからOFF)に切り替わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−082465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、検出方法として図12に示すような背面バイアス磁石方式を採用する場合、ホール素子103の背面にバイアス磁石104を設定するため、被検出物112が図12に実線にて示すようにホール素子103の近くに無い場合でも該ホール素子103に掛かる磁束密度が比較的高くなってしまう。
【0008】
又、被検出物112が図12に鎖線にて示すようにホール素子103に接近した場合でも,ホール素子103の厚さ距離分bだけバイアス磁石104と被検出物112が離れた位置を保つ必要があるため、被検出物112に掛かる磁束密度が小さくなり、この結果、ホール素子103に掛かる磁束密度も比較的小さくなってしまう。
【0009】
以上のことから、被検出物112がホール素子103に近づいたときと離れたときにホール素子103に掛かる磁束密度の変化が小さく、ホール素子103とバイアス磁石104の位置のバラツキ、温度ドリフト、ホール素子103とバイアス磁石104及び被検出物112相互の距離のバラツキを考えると、当該非接触スイッチのスイッチングのための磁束密度の閾値を設定することが難しくなる。
【0010】
上記問題を解決するためには、図13に示すようにバイアス磁石104の端面に凹部104aを形成し、この凹部104aにホール素子103を収納する構成が考えられるが、ホール素子103を固定する部位にスペースが無くなってしまい、ホール素子103のレイアウトが難しくなるという問題が発生する。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、スイッチングのための閾値の設定が容易な非接触スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、バイアス磁界を発生するバイアス磁石と、該バイアス磁石が発生するバイアス磁界内に配置されて磁性体製の被検出物の接近に伴うバイアス磁界の変化を検出する半導体磁気素子と、前記バイアス磁石を保持する保持部材を備えて前記被検出物の位置を検出する非接触スイッチにおいて、前記保持部材に、前記半導体磁気素子を前記バイアス磁石と離間するように保持する素子取付部を形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記バイアス磁石の前記半導体磁気素子と対向する前面に凹部を形成し、該凹部の内壁面をテーパ面としたことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記保持部材の素子取付部を前記バイアス磁石の前面よりも内側の凹部内に配設したことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記保持部材に、前記半導体磁気素子が電気的に接続される基板を保持する基板取付部と、前記基板が発する電気信号を外部機器に出力するターミナルを有するターミナルベースを係止するための係止部を形成したことを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記バイアス磁石を複数に分割してこれらの間に磁性体を挟み込んだことを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の発明において、前記半導体磁気素子をホール素子としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、保持部材の素子取付部によって半導体磁気素子がバイアス磁石と離間するよう保持して両者の間に一定の距離を確保するようにしたため、被検出物が接近していない状態で半導体磁気素子に印加されるバイアス磁界の磁束密度を低減させることができる。このため、被検出物が離れたときと接近したときに半導体磁気素子に印加される磁束密度の差が顕著となり、当該非接触スイッチのスイッチングのための磁束密度の閾値を容易に設定することができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、バイアス磁石の半導体磁気素子と対向する前面に形成された凹部の内壁面をテーパ面としたため、磁束密度が同強度のエリアがバイアス磁石の前面に対して平行に分布する。このため、バイアス磁石に対する半導体磁気素子の位置がラジアル方向(非接触スイッチの長手軸方向をZ軸とするとXY軸方向)に多少ばらついても磁界成分に大きな変化がなく、半導体磁気素子に高い取付精度が求められないために該半導体磁気素子の組付性が高められる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、保持部材の素子取付部をバイアス磁石の前面よりも内側の凹部内に配設したため、従来と比較して、半導体磁気素子の厚さ距離分だけ被検出物をバイアス磁石に近づけることができる。このため、被検出物が接近した際に半導体磁気素子に印加される磁束密度をより大きくすることができ、被検出物が半導体磁気素子から離れている状態と接近した状態において半導体磁気素子に印加される磁束密度の差が顕著となり、スイッチングのための磁束密度の閾値の設定が容易となる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、保持部材がバイアス磁石と半導体磁気素子及び基板の取付部を備えているため、バイアス磁石と半導体磁気素子及び基板を保持部材にサブ組みした状態で、保持部材の係止部にターミナルベースに係止させることによって当該非接触スイッチが組み立てられるため、非接触スイッチの組み立てが容易化するとともに、部品点集が削減される。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、磁性体の半導体磁気素子と対向する前面に凹部を形成すれば、バイアス磁石に凹部を形成する必要がなく、バイアス磁石として例えば平板状の通常のものを使用することができるため、コストダウンを図ることができる。
【0023】
請求項6記載の発明によれば、半導体磁気素子としてホール素子を使用するため、磁気抵抗素子(MR素子)を使用する場合と比較して、被検出物が正面から接近する場合であっても高い検出精度が維持され、又、磁気抵抗素子のように2つの素子を備える必要がないため、製造コストを低く抑えることができる。又、当該非接触スイッチを自動車の用途に適当した場合には途中で電源がOFFとなる状況が発生するが、電源が再びONされたときに被検出物が接近しているか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る非接触スイッチの分解斜視図である。
【図2】本発明に係る非接触スイッチの平面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】本発明に係る非接触スイッチの保持部材の平面図である。
【図6】図5のC−C線断面図である。
【図7】本発明に係る非接触スイッチの保持部材の底面図である。
【図8】本発明に係る非接触スイッチのバイアス磁石の平面図である。
【図9】(a)〜(e)は本発明に係る非接触スイッチに使用されるバイアス磁石の種々の形態を示す平面図である。
【図10】本発明に係る非接触スイッチの検出原理を説明する模式図である。
【図11】本発明に係る非接触スイッチの別形態を示す模式的断面図である。
【図12】従来の非接触スイッチの検出原理を説明する模式図である。
【図13】従来の非接触スイッチの改良例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基
づいて説明する。
【0026】
図1は本発明に係る非接触スイッチの分解斜視図、図2は同非接触スイッチの平面図、図3は図2のA−A線断面図、図4は図3のB−B線断面図、図5は保持部材の平面図、図6は図5のC−C線断面図、図7は同保持部材の底面図、図8はバイアス磁石の平面図である。
【0027】
本発明に係る非接触スイッチ1は、図3及び図4に示すように、スイッチボディ2内に、半導体磁気素子であるホール素子3とその背面側に配されたバイアス磁石4及び基板5を保持する保持部材6を収容するとともに、ターミナルベース7の一部をスイッチボディ2の後端開口部から嵌め込んで固定することによって構成されている。尚、非接触スイッチ1においては、図2〜図4の左方を前方、右方を後方とする。
【0028】
上記スイッチボディ2は、亜鉛ダイキャスト等によって六角ナット状に一体成形されており、その内部には有底筒状の樹脂製のキャップ8がインサート成形等によって一体に装着されている。そして、スイッチボディ2の前端開口部はキャップ8によって閉塞されている。
【0029】
前記保持部材6は、保持部6Aと該保持部6Aから後方に向かって二股状に延びる左右一対のアーム部6Bとで構成されており、保持部6Aの前端部には多角柱状のブロック部6aが形成されており、このブロック部6aの前端面には矩形凹状の素子取付部6bが形成されている。
【0030】
又、保持部材6の保持部6Aには、下方と両側部が開口する磁石収容部6cが形成されており、図1に示すように、保持部6Aとアーム部6Bとを連結する円形の縦壁6dの下部には横方向に長い矩形の貫通孔6eが形成されている。そして、図6及び図7に示すように、保持部材6のブロック部6aの下面には左右一対の圧入ピン6fと係合爪6gが下方に向かって一体に突設されている。
【0031】
更に、保持部材6の左右のアーム部6Bの内側面前端部には図5及び図7に示すように基板取付部6hが形成されており、両アーム部6Bの外側部には図7に示すように係止爪6iがそれぞれ形成されている。尚、後述のように左右の係止爪6iは、ターミナルベース7を係止するための係止部を構成している。
【0032】
図1に示すように、前記ホール素子3からは3本のターミナル9が導出しているが、これらのターミナル9は、ホール素子3から下方に延びた後に後方に向かって直角に折り曲げられている。
【0033】
又、前記バイアス磁石4はバイアス磁界を発生する磁石であって、その前面には保持部材6のブロック部6aの外形形状に沿った凹部4Aが形成されている。ここで、図8に示すように、バイアス磁石4に形成された凹部4Aの相対向する内壁面の底面に近い部分はテーパ面4aとされている。尚、バイアス磁石4に形成される凹部4Aの形状には図9(a)〜(e)に示すようなものを採用することができる。即ち、図9(a)に示す矩形状の溝のコーナー部に円弧状曲面を形成したもの、図9(b)に示す長円形のもの、図9(c)に示す半円状のもの、図9(d)に示す多角形状のもの、図9(e)に示す三角状のもの等を採用することができる。
【0034】
而して、ホール素子3は、図3及び図4に示すように保持部材6のブロック部6aの前面に形成された前記素子取付部6bに嵌め込まれ、このホール素子3から延びる3本のターミナル9は、保持部材6の縦壁6dに形成された前記貫通孔6eを通過してその後方へと延びている。
【0035】
又、バイアス磁石4は、その凹部4Aを保持部材6のブロック部6aに嵌合させた状態で保持部材6の磁石収容部6cに下方から嵌め込まれ、下面の凹部4A周縁に保持部材6のブロック部6aに形成された係合爪6gを係合させることによって保持部材6に仮保持される。そして、このバイアス磁石4は、ホール素子3と共に図1に示すリッド10によって保持部材6に保持される。ここで、図1に示すように、リッド10の幅方向中央にはホール素子3から延びる3本のターミナル9を通すための凹溝10aが形成されており、該リッド10の前端部の左右には圧入溝10bが形成され、後端部の左右には係合突起10cが後方に向かって一体に突設されている。
【0036】
而して、リッド10は、その後端部の左右に突設された係合突起10cを保持部材6の縦壁6dに形成された貫通孔6e(図1参照)に嵌め込み、前端部の左右に形成された圧入溝10bに保持部材6のブロック部6aに突設された左右2本の圧入ピン6fを圧入することによって図3に示すように保持部材6の保持部6Aの下部に磁石収容部6cを下方から覆うように取り付けられ、このリッド10によってホール素子3とバイアス磁石4が保持部材6に保持されて保持部材6からの脱落が防がれる。
【0037】
又、図3及び図4に示すように、保持部材6に形成された基板取付部6hには前記基板5が垂直に取り付けられるが、この基板5の下部に横方向に形成された3つの貫通孔5a(図1参照)にはホール素子3から延びる3本のターミナル9が貫通して基板5と電気的に接続されている。尚、図1に示すように、基板5の上部には横方向に3つの貫通孔5bが形成されている。
【0038】
前記ターミナルベース7は、矩形筒状のカプラ部7Aが一体に形成されており、このカプラ部7Aの前端部には、スイッチボディ2の内周部に嵌合するフランジ部7Bが一体に形成されている。又、図1に示すように、ターミナルベース7の先端部の左右両側部には周方向に長い係止孔7aが形成されている。そして、このターミナルベース7内には、基板5が発する電気信号を外部機器に出力するための左右3本のターミナル11が設けられている。ここで、各ターミナル11はクランク状に屈曲した状態でターミナルベース7に収容されており、各ターミナル11の一端は、基板5の上部に横方向に形成された3つの前記貫通孔5b(図1参照)に差し込まれて基板5と電気的に接続されている。又、ターミナル11の他端は、ターミナルベース7のカプラ部7A内へと突出している。
【0039】
而して、ターミナルベース7は、図3及び図4に示すように、そのフランジ部7Bがスイッチボディ2内に後端開口部から嵌め込まれ、スイッチボディ2の後端周縁部がかしめられることによってスイッチボディ2に固定される。
【0040】
ところで、実際の組み付けにおいては、以上のように保持部材6にホール素子3とバイアス磁石4及び基板5が取り付けられてこれらかサブ組された状態で、図3及び図4に示すように保持部材6の保持部6Aがスイッチボディ2の内部に装着されたキャップ8の内部に嵌め込まれて固定される。
【0041】
而して、本実施の形態では、バイアス磁石4のホール素子3と対向する前面に凹部4Aを形成したため、保持部材6の素子取付部6bはバイアス磁石4の前面よりも内側の凹部4A内に配設されることとなり、この素子取付部6bに取り付けられたホール素子3は、バイアス磁石4と離間するように保持されている。
【0042】
次に、以上のように構成された非接触スイッチ1による被検出物12の検出原理を図10に示す模式図に基づいて以下に説明する。
【0043】
本発明に係る非接触スイッチ1においては、バイアス磁石4のホール素子3と対向する前面に凹部4Aを形成し、この凹部4A内にホール素子3をバイアス磁石4の前面から突出しないよう配置したため、バイアス磁石4の前面はホール素子3の背面から該ホール素子3の厚さ距離分bだけ前方に突出するとともに、ホール素子3の後方には図示の距離分aのスペースが形成される。
【0044】
ところで、ホール素子3にはバイアス磁石4によってバイアス磁界が印加されており、バイアス磁石4が発生するバイアス磁界内に配置されたホール素子3は、磁性体から成る被検出物12が図10に実線にて示すように離れているときと鎖線にて示すように接近したときのバイアス磁界の変化を検出し、検出された磁束密度と予め設定された磁束密度の閾値とを比較してON/OFFのスイッチング動作を行う。
【0045】
而して、本実施の形態では、保持部材6の素子取付部6bによってホール素子3がバイアス磁石4と離間するよう保持され、両者の間に図10に示すように一定の距離aが確保されるようにしたため、被検出物12が接近していない図10に示す状態でホール素子3に印加されるバイアス磁界の磁束密度を低減させることができる。このため、被検出物12が図10に実線にて示すように離れたときと鎖線にて示すように接近したときにホール素子3に印加される磁束密度の差が顕著となり、当該非接触スイッチ1のスイッチングのための磁束密度の閾値を容易に設定することができる。
【0046】
そして、本発明に係る非接触スイッチ1においては、保持部材6の素子取付部6bをバイアス磁石4の前面よりも内側の凹部4A内に配設したため、従来と比較して、ホール素子3の厚さ距離分bだけ被検出物12をバイアス磁石4に近づけることができる。このため、被検出物12が図10に鎖線にて示すように接近した際にホール素子3に印加される磁束密度をより大きくすることができ、被検出物12が図10に実線にて示すようにホール素子3から離れている状態と鎖線にて示すように接近した状態においてホール素子3に印加される磁束密度の差が顕著となり、このことによっても当該非接触スイッチ1のスイッチングのための磁束密度の閾値の設定が容易となる。
【0047】
又、本実施の形態では、図8に示すようにバイアス磁石4のホール素子3と対向する前面に形成された凹部4Aの内壁面をテーパ面4aとしたため、磁束密度が同強度のエリアがバイアス磁石4の前面に対して平行に分布する。このため、バイアス磁石4に対するホール素子3の位置がラジアル方向(非接触スイッチの長手軸方向をZ軸とするとXY軸方向)に多少ばらついても磁界成分に大きな変化がなく、ホール素子3に高い取付精度が求められないために該ホール素子3の組付性が高められる。
【0048】
更に、本発明に係る非接触スイッチ1においては、保持部材6がホール素子3とバイアス磁石4及び基板5のそれぞれを取り付けるための素子取付部6b、磁石収容部6c及び基板取付部6hを備えているため、ホール素子3とバイアス磁石4及び基板5を保持部材6にサブ組みした状態で、保持部材6の係止爪6iをターミナルベース7の係止孔7aに係止することによって当該非接触スイッチ1が組み立てられるため、該非接触スイッチ1の組み立てが容易化するとともに、部品点数が削減されるという効果が得られる。
【0049】
そして、本実施の形態では、半導体磁気素子としてホール素子3を使用したため、磁気抵抗素子(MR素子)を使用する場合と比較して、被検出物12が正面から接近する場合であっても高い検出精度が維持され、又、磁気抵抗素子のように2つの素子を備える必要がないため、製造コストを低く抑えることができる。又、当該非接触スイッチ1を自動車の用途に適当した場合には途中で電源がOFFとなる状況が発生するが、電源が再びONされたときに被検出物12が接近しているか否かを判定することができる。
【0050】
尚、以上の実施の形態では、バイアス磁石4に凹部4Aを形成したが、図11に模式的に示すように、バイアス磁石4を上下に分割し、分割された2つのバイアス磁石4によって磁性体13を挟み込むとともに、磁性体13のホール素子3と対向する前面に凹部13Aを形成する構成を採用しても良い。このような構成を採用すれば、バイアス磁石4に凹部を形成する必要がなく、バイアス磁石4として平板状の通常のものを使用することができるため、コストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 非接触スイッチ
2 スイッチボディ
3 ホール素子(半導体磁気素子)
4 バイアス磁石
4A バイアス磁石の凹部
4a バイアス磁石の凹部のテーパ面
5 基板
5a,5b 基板の貫通孔
6 保持部材
6A 保持部材の保持部
6B 保持部材のアーム部
6a 保持部材のブロック部
6b 保持部材の素子取付部
6c 保持部材の磁石収容部
6d 保持部材の縦壁
6e 保持部材の貫通孔
6f 保持部材の圧入ピン
6g 保持部材の係合爪
6h 保持部材の基板取付部
6i 保持部材の係止爪(係止部)
7 ターミナルベース
7A ターミナルベースのカプラ部
7B ターミナルベースのフランジ部
7a ターミナルベースの係止孔
8 キャップ
9 ターミナル
10 リッド
10a リッドの凹溝
10b リッドの圧入溝
10c リッドの係合突起
11 ターミナル
12 被検出物
13 磁性体
13A 磁性体の凹部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアス磁界を発生するバイアス磁石と、該バイアス磁石が発生するバイアス磁界内に配置されて磁性体から成る被検出物の接近に伴うバイアス磁界の変化を検出する半導体磁気素子と、前記バイアス磁石を保持する保持部材を備えて前記被検出物の位置を検出する非接触スイッチにおいて、
前記保持部材に、前記半導体磁気素子を前記バイアス磁石と離間するように保持する素子取付部を形成したことを特徴とする非接触スイッチ。
【請求項2】
前記バイアス磁石の前記半導体磁気素子と対向する前面に凹部を形成し、該凹部の内壁面をテーパ面としたことを特徴とする請求項1記載の非接触スイッチ。
【請求項3】
前記保持部材の素子取付部を前記バイアス磁石の前面よりも内側の凹部内に配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の非接触スイッチ。
【請求項4】
前記保持部材に、前記半導体磁気素子が電気的に接続される基板を保持する基板取付部と、前記基板が発する電気信号を外部機器に出力するターミナルを有するターミナルベースを係止するための係止部を形成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の非接触スイッチ。
【請求項5】
前記バイアス磁石を複数に分割してこれらの間に磁性体を挟み込んだことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の非接触スイッチ。
【請求項6】
前記半導体磁気素子をホール素子としたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の非接触スイッチ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−114885(P2013−114885A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259766(P2011−259766)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】