説明

非接触三次元計測装置及び非接触三次元計測方法

【課題】表面に何ら特徴のない物体についても高速に非接触で三次元形状計測を可能にする非接触三次元計測装置及び非接触三次元計測方法を提供する。
【解決手段】非接触三次元計測装置は、互いに距離をおいて配置され、被計測物を撮影する第1及び第2のカメラと、被計測物にラインレーザを照射するラインレーザとを備え、第1及び第2の画像20、30で、ラインレーザが撮影された部分を含む矩形領域を第1対象領域26及び第2対象領域36として選択し、ラインレーザが撮影された部分を第1線分データ22及び第2線分データ32として抽出し、第1線分データ22の中の一つの点を特徴点24として選択し、選択した特徴点24に対応するエピポーラ線を第2対象領域36内に計算して、第2線分データ32とエピポーラ線との交点を、特徴点24と対応する対応点34として決定し、被計測物上の該当点の三次元座標を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計測物の形状を非接触で計測する非接触三次元計測装置及び非接触三次元計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被計測物を計測する三次元計測の方法には、パッシブ法(受動型計測法)とアクティブ法(能動型計測法)とがある。パッシブ法とは、対象となる物体に対して、計測の補助となる特定の光や電波等を照射することなく計測を行う方法である。パッシブ法には、例えば写真計測法がある。アクティブ法は、三次元計測を行うために光、電波、音波などを対象となる物体に照射して、得られる情報を利用して計測を行う方法である。アクティブ法には、例えば光切断法がある。
【0003】
パッシブ法の一つである写真計測は、撮影された2枚以上の画像より外部標定(2台のカメラの位置関係を求めること)を行い、画像間の特徴点に対し、同一場所を対応付けることで三次元点を求めていた(例えば、特許文献1参照。)。このため、写真に写るサイズであれば、被計測物の大きさは自由であり、大きな物から、小さな物まで計測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3924576号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】徐剛著,「写真から作る3次元CG」,近代科学社,2001年1月 P.31〜P.86
【非特許文献2】吉澤徹編,「光三次元計測」,新技術コミュニケーションズ,1993年3月 P.28〜P.37
【非特許文献3】金谷健一著、「画像理解」、森北出版、1991年11月、P.48−P.53
【非特許文献4】佐藤 淳著,「コンピュータビジョン −視覚の幾何学−」,コロナ社,1999年5月 P.80〜P.103
【非特許文献5】Z.Zhang:Flexible Camera Calibration by Viewing a Plane from Unknown Orientation. Proc of 7th Int. Conference on Computer Vision, Kerkyra, Greece. pp.666-673, Sept.1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
写真測量において、2台のカメラでそれぞれ撮影された2枚の写真内の対応付けは、2枚の写真内に共通して写っており、同一箇所と認定できる特徴点を利用して行われる。そのため、被計測物の表面上に同一箇所と認定できる何らかの特徴点がなければ、2枚の写真内の対応付けは困難であった。たとえば、プラスチック成型品の表面は滑らかで特徴がないため、写真測量による特徴点の対応付けを利用する三次元計測はできなかった。
【0007】
上述のように、パッシブ法である写真計測では、滑らかな表面等の何ら特徴のない形状は計測することは困難であった。また、アクティブ法である光切断法は、被計測物のサイズが計測装置によって限定されてしまうという欠点を持っている
【0008】
本発明の目的は、表面に何ら特徴のない物体についても高速に非接触で三次元形状計測を可能にする非接触三次元計測装置及び非接触三次元計測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る非接触三次元計測装置は、互いに距離をおいて配置され、被計測物を撮影する第1のカメラ及び第2のカメラと、
前記被計測物にラインレーザを照射するラインレーザと、
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラについて、互いの位置関係を計算するための外部標定を行う標定部と、
前記ラインレーザが照射された被計測物を前記第1のカメラで撮影した第1の画像と、前記第2のカメラで撮影した第2の画像とを画像処理する画像処理部と、
を備え、
前記画像処理部は、
前記第1の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を含む矩形領域を第1対象領域として選択し、
前記第2の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を含む矩形領域を第2対象領域として選択し、
前記第1対象領域において、前記ラインレーザが撮影された部分を第1線分データとして抽出し、
前記第2対象領域において、前記ラインレーザが撮影された部分を第2線分データとして抽出し、
前記第1対象領域内の前記第1線分データの中の一つの点を特徴点として選択し、
前記第1の画像上の前記第1対象領域内で選択した前記特徴点に対応するエピポーラ線を前記第2の画像上における前記第2対象領域内に計算し、
前記第2の画像上の前記第2対象領域内において、撮影された前記ラインレーザに対応する第2線分データと前記エピポーラ線との交点を、前記第1の画像上の前記第1対象領域内で選択した前記特徴点と対応する対応点として決定し、
前記第1の画像上の前記第1対象領域内における前記特徴点と、前記第2の画像上の前記第2対象領域内における前記対応点とを用いて、前記特徴点及び前記対応点に該当する前記被計測物上の該当点の三次元座標を算出する。
【0010】
また、前記第1のカメラ及び前記第2のカメラは、撮影した画像データを、前記第1のカメラと前記第2のカメラとを結ぶ直線と交差する方向の走査線に沿って記録する画像メモリを備え、それぞれ前記第1の画像及び前記第2の画像として出力してもよい。
【0011】
さらに、前記画像処理部は、前記矩形領域の長辺が前記第1の画像及び前記第2の画像を記録した際の走査線の方向と平行となるように、前記第1対象領域及び前記第2対象領域を選択してもよい。
【0012】
さらに、前記画像処理部は、前記第1対象領域内でのみ前記特徴点を選択し、前記第2対象領域内でのみ前記対応点を決定することができる。
【0013】
またさらに、前記ラインレーザは、前記第1のカメラと前記第2のカメラとを結ぶ直線と交差するように前記被計測物にラインレーザを照射してもよい。
【0014】
また、前記ラインレーザは、前記被計測物の全体にわたってラインレーザを走査できるものであってもよい。
【0015】
さらに、前記ラインレーザは、照射方向の所定の軸について回転してラインレーザを前記被計測物に照射できるものであってもよい。
【0016】
本発明に係る非接触三次元計測方法は、
(a)互いに距離をおいて配置され、被計測物を撮影する第1のカメラ及び第2のカメラについて、互いの位置関係を計算するための外部標定を行う外部標定ステップと、
(b)前記被計測物にラインレーザを照射するラインレーザ照射ステップと、
(c)前記ラインレーザが照射された被計測物を前記第1のカメラ及び前記第2のカメラでそれぞれ撮影して、前記第1のカメラによる第1の画像と、前記第2のカメラによる第2の画像とを得る画像撮影ステップと、
(d)前記第1の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を含む矩形領域を第1対象領域として選択する第1対象領域選択ステップと、
(e)前記第2の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を含む矩形領域を第2対象領域として選択する第2対象領域選択ステップと、
(f)前記第1対象領域において、前記ラインレーザが撮影された部分を第1線分データとして抽出する第1線分データ抽出ステップと、
(g)前記第2対象領域において、前記ラインレーザが撮影された部分を第2線分データとして抽出する第2線分データ抽出ステップと、
(h)前記第1対象領域内の前記第1線分データの中の一つの点を特徴点として選択する特徴点選択ステップと、
(i)前記第1の画像上の前記第1対象領域内で選択した前記特徴点に対応するエピポーラ線を前記第2の画像上の前記第2対象領域内に計算するエピポーラ線計算ステップと、
(j)前記第2の画像上の前記第2対象領域内において、撮影された前記ラインレーザに対応する前記第2線分データと前記エピポーラ線との交点を、前記第1の画像上の前記第1対象領域内で選択した前記特徴点と対応する対応点として決定する対応点決定ステップと、
(k)前記第1の画像上の前記第1対象領域内における前記特徴点と、前記第2の画像上の前記第2対象領域内における前記対応点とを用いて、前記特徴点及び前記対応点に該当する前記被計測物上の該当点の三次元座標を算出する三次元座標算出ステップと、
を含む。
【0017】
また、前記画像撮影ステップにおいて、前記第1のカメラ及び前記第2のカメラによって撮影した画像データを、前記第1のカメラと前記第2のカメラとを結ぶ直線と交差する方向の走査線に沿って記録し、それぞれ前記第1の画像及び前記第2の画像として出力してもよい。
【0018】
さらに、前記第1対象領域選択ステップにおいて、前記矩形領域の長辺が前記第1の画像を記録した際の走査線の方向と平行となるように、前記第1対象領域を選択し、
前記第2対象領域選択ステップにおいて、前記矩形領域の長辺が前記第2の画像を記録した際の走査線の方向と平行となるように、前記第2対象領域を選択してもよい。
【0019】
またさらに、前記特徴点選択ステップにおいて、前記第1対象領域内でのみ前記特徴点を選択し、前記対応点決定ステップにおいて、前記第2対象領域内でのみ前記対応点を決定することができる。
【0020】
また、前記ラインレーザ照射ステップにおいて、前記第1のカメラと前記第2のカメラとを結ぶ直線と交差するように前記被計測物にラインレーザを照射してもよい。
【0021】
さらに、(l)前記第1画像から抽出された前記第1線分上の点すべてに対して、前記ステップ(h)〜前記ステップ(k)を繰り返して、撮影されたラインレーザに対応するライン部分に対して三次元座標を算出する三次元座標算出ステップを含んでもよい。
【0022】
また、前記ラインレーザ照射ステップ(b)において、前記ラインレーザを前記被計測物にわたって走査するラインレーザ走査ステップをさらに含み、前記ラインレーザを照射するごとに、前記ステップ(c)〜前記ステップ(l)を繰り返して、前記被計測物の全体を走査してもよい。
【0023】
さらに、前記ラインレーザ照射ステップ(b)において、前記ラインレーザを照射方向の所定の軸について回転させて前記被計測物に照射するラインレーザ走査ステップをさらに含み、前記ラインレーザを回転させて前記被計測物に照射するごとに、前記ステップ(c)〜前記ステップ(l)を繰り返してもよい。
【0024】
またさらに、前記対応点決定ステップ(j)において、前記エピポーラ線と前記第2線分データとの交点が2つ以上存在する場合、前記ラインレーザを前記第1の画像上の前記特徴点に該当する前記被計測物上の該当点への照射方向の軸について回転させて照射して、前記第2の画像上で前記エピポーラ線と前記第2線分データとの単一の交点を前記特徴点と対応する対応点として決定してもよい。
【0025】
本発明に係る非接触三次元計測装置は、
互いに距離をおいて配置され、被計測物を撮影する第1のカメラ及び第2のカメラを含む第1組のカメラ系と、
前記第1組のカメラ系とは違う位置で、互いに距離をおいて配置され、前記被計測物を撮影する第3のカメラ及び第4のカメラを含む第2組のカメラ系と、
前記被計測物にラインレーザを照射するラインレーザと、
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラについて、互いの位置関係に関する外部標定を行う第1標定部と、
前記第3のカメラ及び前記第4のカメラについて、互いの位置関係に関する外部標定を行う第2標定部と、
前記ラインレーザが照射された被計測物を前記第1のカメラで撮影した第1の画像と、前記第2のカメラで撮影した第2の画像とを画像処理すると共に、前記ラインレーザが照射された被計測物を前記第3のカメラで撮影した第3の画像と、前記第4のカメラで撮影した第4の画像とを画像処理する、画像処理部と、
を備え、
前記画像処理部は、
前記第1の画像上の撮影された前記ラインレーザに対応する第1線分データの中の一つの点を特徴点として選択し、
前記第1の画像上で選択した前記特徴点に対応するエピポーラ線を前記第2の画像上に計算して、
前記第2の画像上において、撮影された前記ラインレーザに対応する第2線分データと前記エピポーラ線との交点を、前記第1の画像上で選択した前記特徴点と対応する対応点として決定し、
前記第1の画像上における前記特徴点と、前記第2の画像上における前記対応点とを用いて、前記特徴点及び前記対応点に該当する前記被計測物上の該当点の三次元座標を算出し、前記第1組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標系を得ると共に、
前記第3の画像上の撮影された前記ラインレーザに対応する第3線分データの中の一つの点を特徴点として選択し、
前記第3の画像上で選択した前記特徴点に対応するエピポーラ線を前記第4の画像上に計算して、
前記第4の画像上において、撮影された前記ラインレーザに対応する第4線分データと前記エピポーラ線との交点を、前記第3の画像上で選択した前記特徴点と対応する対応点として決定し、
前記第3の画像上における前記特徴点と、前記第4の画像上における前記対応点とを用いて、前記特徴点及び前記対応点に該当する前記被計測物上の該当点の三次元座標を算出し、前記第2組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標系を得ると共に、
前記第2組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標のうち、前記第1組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標と対応する少なくとも3つの三次元座標を選択し、前記選択した少なくとも3つの三次元座標について、前記第2組のカメラ系の三次元座標系から前記第1組のカメラ系の三次元座標系への座標変換関係を求め、得られた座標変換関係を用いて、前記第2組のカメラ系の三次元座標系を前記第1組のカメラ系の三次元座標系に座標変換して、前記第1組のカメラ系の三次元座標系に基づく前記被計測物の三次元座標を得る。
【0026】
また、前記画像処理部は、前記選択した少なくとも3つの三次元座標について、前記第2組のカメラ系の三次元座標系から前記第1組のカメラ系の三次元座標系への相似変換の関係に基づいて、座標変換関係を求めることができる。
【0027】
さらに、前記第2組のカメラ系の三次元座標系N(x,y,z)から前記第1組のカメラ系の三次元座標系M(x,y,z)への前記相似変換は、例えば、下記式で表すことができる。
=sR(N−t)
Mi:第1組のカメラ系の三次元座標(座標ベクトル)
Ni:第2組のカメラ系の三次元座標(座標ベクトル)
s:スケール(スカラー値)
R:回転行列
t:並進ベクトル
【0028】
またさらに、前記ラインレーザは、前記第1のカメラと前記第2のカメラとを結ぶ直線と交差するように前記被計測物にラインレーザを照射してもよい。
【0029】
また、前記ラインレーザは、前記被計測物の全体にわたってラインレーザを走査してもよい。
【0030】
さらに、前記ラインレーザは、照射方向の所定の軸について回転してラインレーザを前記被計測物に照射してもよい。
【0031】
本発明に係る非接触三次元計測方法は、第1組のカメラ系による被計測物の三次元座標系の算出と、第2組のカメラ系による被計測物の三次元座標系の算出とを行った後、得られた前記第2組のカメラ系の三次元座標系を前記第1組のカメラ系の三次元座標系に座標変換して、前記第1組のカメラ系の三次元座標系に基づく前記被計測物の三次元座標を得る、非接触三次元計測方法であって、
(a)互いに距離をおいて配置され、被計測物を撮影する第1組のカメラ系を構成する第1のカメラ及び第2のカメラについて、互いの位置関係に関する外部標定を行う第1外部標定ステップと、
(b)前記被計測物にラインレーザを照射するラインレーザ照射ステップと、
(c)前記ラインレーザが照射された被計測物を前記第1のカメラ及び前記第2のカメラでそれぞれ撮影して、前記第1のカメラによる第1の画像と、前記第2のカメラによる第2の画像とを得る第1のカメラ系による画像撮影ステップと、
(d)前記第1の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を第1線分データとして抽出する第1線分データ抽出ステップと、
(e)前記第2の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を第2線分データとして抽出する第2線分データ抽出ステップと、
(f)前記第1の画像から抽出された前記第1線分データの中の一つの点を特徴点として選択する特徴点選択ステップと、
(g)前記第1の画像上で選択した前記特徴点に対応するエピポーラ線を前記第2の画像上に計算するエピポーラ線計算ステップと、
(h)前記第2の画像から抽出された前記第2線分データと前記エピポーラ線との交点を、前記第1の画像上で選択した前記特徴点と対応する対応点として決定する対応点決定ステップと、
(i)前記第1の画像における前記特徴点と、前記第2の画像における前記対応点とを用いて、前記特徴点及び前記対応点に該当する前記被計測物上の該当点の三次元座標を算出し、前記第1組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標系を得る第1組のカメラ系による三次元座標算出ステップと、
(j)前記第1組のカメラ系とは違う位置で、互いに距離をおいて配置され、被計測物を撮影する第2組のカメラ系を構成する第3のカメラ及び第4のカメラについて、互いの位置関係に関する外部標定を行う第2外部標定ステップと、
(k)前記被計測物にラインレーザを照射するラインレーザ照射ステップと、
(l)前記ラインレーザが照射された被計測物を前記第3のカメラ及び前記第4のカメラでそれぞれ撮影して、前記第3のカメラによる第3の画像と、前記第4のカメラによる第4の画像とを得る第2組のカメラ系による画像撮影ステップと、
(m)前記第3の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を第3線分データとして抽出する第3線分データ抽出ステップと、
(n)前記第4の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を第4線分データとして抽出する第4線分データ抽出ステップと、
(o)前記第3の画像から抽出された前記第3線分データの中の一つの点を特徴点として選択する特徴点選択ステップと、
(p)前記第3の画像上で選択した前記特徴点に対応するエピポーラ線を前記第4の画像上に計算するエピポーラ線計算ステップと、
(q)前記第4の画像から抽出された前記第4線分データと前記エピポーラ線との交点を、前記第3の画像上で選択した前記特徴点と対応する対応点として決定する対応点決定ステップと、
(r)前記第3の画像における前記特徴点と、前記第4の画像における前記対応点とを用いて、前記特徴点及び前記対応点に該当する前記被計測物上の該当点の三次元座標を算出し、前記第2組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標系を得る第2組のカメラ系による三次元座標算出ステップと、
(s)前記第2組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標のうち、前記第1組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標と対応する少なくとも3つの三次元座標を選択し、前記選択した少なくとも3つの三次元座標について、前記第2組のカメラ系の三次元座標系から前記第1組のカメラ系の三次元座標系への座標変換関係を求める座標変換関係算出ステップと、
(t)得られた前記座標変換関係を用いて、前記第2組のカメラ系の三次元座標系を前記第1組のカメラ系の三次元座標系に座標変換して、前記第1組のカメラ系の三次元座標系に基づく前記被計測物の三次元座標を得る、座標変換ステップと、
を含む。
【0032】
また、前記座標変換関係算出ステップにおいて、前記選択した少なくとも3つの三次元座標について、前記第2組のカメラ系の三次元座標系から前記第1組のカメラ系の三次元座標系への相似変換の関係に基づいて、座標変換関係を求めることができる。
【0033】
さらに、前記第2組のカメラ系の三次元座標系N(x,y,z)から前記第1組のカメラ系の三次元座標系M(x,y,z)への前記相似変換は、例えば、下記式で表すことができる。
=sR(N−t)
Mi:第1組のカメラ系の三次元座標(座標ベクトル)
Ni:第2組のカメラ系の三次元座標(座標ベクトル)
s:スケール(スカラー値)
R:回転行列
t:並進ベクトル
【0034】
またさらに、第1組のカメラ系による前記ラインレーザ照射ステップにおいて、前記第1のカメラと前記第2のカメラとを結ぶ直線と交差するように前記被計測物にラインレーザを照射してもよい。
【0035】
また、第2組のカメラ系による前記ラインレーザ照射ステップにおいて、前記第3のカメラと前記第4のカメラとを結ぶ直線と交差するように前記被計測物にラインレーザを照射してもよい。
【0036】
さらに、第1組のカメラ系による三次元座標算出ステップ(i)に続いて、
(i−2)前記第1画像から抽出された前記第1線分上の点すべてに対して、前記ステップ(f)〜前記ステップ(i)を繰り返して、前記被計測物のラインレーザが照射されたライン部分の全体に対して三次元座標を算出する三次元座標算出ステップ
をさらに含んでもよい。
【0037】
またさらに、第1組のカメラ系による前記ラインレーザ照射ステップ(b)において、前記ラインレーザを前記被計測物にわたって走査するラインレーザ走査ステップをさらに含み、前記ラインレーザを照射するごとに、前記ステップ(c)〜前記ステップ(i−2)を繰り返して、前記被計測物の全体を走査してもよい。
【0038】
また、第1組のカメラ系による前記ラインレーザ照射ステップ(b)において、前記ラインレーザを照射方向の所定の軸について回転させて前記被計測物に照射するラインレーザ走査ステップをさらに含み、前記ラインレーザを回転させて前記被計測物に照射するごとに、前記ステップ(c)〜前記ステップ(i−2)を繰り返してもよい。
【0039】
さらに、第2組のカメラ系による三次元座標算出ステップ(s)に続いて、
(s−2)前記第3画像から抽出された前記第3線分上の点すべてに対して、前記ステップ(o)〜前記ステップ(s)を繰り返して、前記被計測物のラインレーザが照射されたライン部分の全体に対して三次元座標を算出する三次元座標算出ステップ
をさらに含んでもよい。
【0040】
またさらに、第2組のカメラ系による前記ラインレーザ照射ステップ(k)において、前記ラインレーザを前記被計測物にわたって走査するラインレーザ走査ステップをさらに含み、前記ラインレーザを照射するごとに、前記ステップ(l)〜前記ステップ(s−2)を繰り返して、前記被計測物の全体を走査してもよい。
【0041】
また、第2組のカメラ系による前記ラインレーザ照射ステップ(k)において、前記ラインレーザを照射方向の所定の軸について回転させて前記被計測物に照射するラインレーザ走査ステップをさらに含み、前記ラインレーザを回転させて前記被計測物に照射するごとに、前記ステップ(l)〜前記ステップ(s−2)を繰り返してもよい。
【0042】
さらに、第1組のカメラ系による前記対応点決定ステップ(h)において、前記エピポーラ線と前記第2線分データとの交点が2つ以上存在する場合、前記ラインレーザを前記第1の画像上の前記特徴点に該当する前記被計測物上の該当点への照射方向の軸について回転させて照射して、前記第2の画像上で前記エピポーラ線と前記第2線分データとの単一の交点を前記特徴点と対応する対応点として決定してもよい。
【0043】
またさらに、第2組のカメラ系による前記対応点決定ステップ(q)において、前記エピポーラ線と前記第4線分データとの交点が2つ以上存在する場合、前記ラインレーザを前記第3の画像上の前記特徴点に該当する前記被計測物上の該当点への照射方向の軸について回転させて照射して、前記第4の画像上で前記エピポーラ線と前記第4線分データとの単一の交点を前記特徴点と対応する対応点として決定してもよい。
【0044】
また、上記非接触三次元計測装置において、前記ラインレーザは、複数の色のラインレーザを併用してもよい。
【0045】
さらに、上記非接触三次元計測方法において、前記ラインレーザを照射するステップにおいて、前記ラインレーザとして複数の色のラインレーザを併用してもよい。
【発明の効果】
【0046】
本発明に係る非接触三次元計測装置及び非接触三次元計測方法によれば、被計測物にラインレーザを照射することで、被計測物に特徴がなくても写真計測の原理に基づき三次元座標を計測することできる。またレーザのコヒーレント性のため被計測物が凹凸を有する形状であってもラインがぼけることが少なく、特徴点を正確に抽出することができる。
【0047】
また、この非接触三次元計測装置及び非接触三次元計測方法では、ラインレーザが照射された被計測物を2つのカメラで撮影した2枚の画像のうち一方の画像上で撮影されたラインレーザに対応する部分である第1線分データを含む矩形領域を第1対象領域として選択し、第1対象領域内の第1線分データの一つの点を特徴点として選択している。この場合に、もう一つの画像上の撮影されたラインレーザに対応する部分である第2線分データを含む矩形領域を第2対象領域として選択し、第2対象領域内に上記第1対象領域内で選択した特徴点に対応するエピポーラ線を計算して、エピポーラ線と第2線分データとの交点を上記特徴点と対応する対応点として特定することができる。これによって、被計測物上に照射したパターンとの相関関係で対応点を特定していた場合に比べて曖昧さを含むことなく対応点を明確に決めることができ、三次元計測の精度を向上させることができる。さらに、本発明に係る非接触三次元計測装置及び非接触三次元計測方法では、特徴点及び対応点を計算するために必要十分な第1対象領域及び第2対象領域を画像全体の一部として選択している。これによって、第1対象領域及び第2対象領域のそれぞれについてだけ特徴点及び対応点の計算を行うことによって、2枚の画像全体にわたって計算する場合に比べてより速く三次元計測を行うことができる。
【0048】
また、2つのカメラで撮影された画像の歪を考慮する場合は、上記第1対象領域内の第1線分データの座標及び上記第2対象領域内の第2線分データの座標を歪補正した後、上記の三次元座標を計算することでより、高速かつ高い精度を得ることができる。
【0049】
さらに、ラインレーザは、赤外、赤色、グリーン、青色等、どの色のラインレーザを用いても良い。また複数の色のレーザを併用することで、一度の撮影で複数の線分を抽出することができ、高速に三次元座標を計算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態1に係る非接触三次元計測装置の構成を示すブロック図である。
【図2】被計測物と2つのカメラとの配置を示す概略図である。
【図3】第1のカメラによって撮影された第1の画像を示す概略図である。
【図4】第2のカメラによって撮影された第2の画像を示す概略図である。
【図5】図3の第1の画像について、第1線分データ中の一つの点を特徴点として選択する場合の概略図である。
【図6】図4の第2の画像において、第1の画像上の特徴点に該当するエピポーラ線が計算された第2の画像を示す概略図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る非接触三次元計測方法の特徴を説明するための概念図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る非接触三次元計測方法のフローチャートである。
【図9】矩形領域の長辺が画像の走査線の方向に平行となるように第1対象領域及び第2対象領域を選択する場合の一例を示す概略図である。
【図10】本発明の実施の形態1の変形例に係る非接触三次元計測方法のフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2に係る非接触三次元計測方法のフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態3に係る非接触三次元計測方法のフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態4に係る非接触三次元計測装置の構成を示す概略図である。
【図14】本発明の実施の形態4に係る非接触三次元計測方法のフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態4に係る非接触三次元計測方法のフローチャートである。
【図16】第1組のカメラ系の第1のカメラによって撮影された第1の画像を示す概略図である。
【図17】第1組のカメラ系の第2のカメラによって撮影された第2の画像を示す概略図である。
【図18】図16の第1の画像について、第1線分データ中の一つの点を特徴点として選択する場合の概略図である。
【図19】図17の第2の画像において、第1の画像上の特徴点に該当するエピポーラ線が計算された第2の画像を示す概略図である。
【図20】本発明の実施の形態4に係る非接触三次元計測装置の第1組のカメラ系による非接触三次元計測方法の特徴を説明するための概念図である。
【図21】第2組のカメラ系の第3のカメラによって撮影された第3の画像を示す概略図である。
【図22】第2組のカメラ系の第4のカメラによって撮影された第4の画像を示す概略図である。
【図23】図21の第3の画像について、第3線分データ中の一つの点を特徴点として選択する場合の概略図である。
【図24】図22の第4の画像において、第3の画像上の特徴点に該当するエピポーラ線が計算された第4の画像を示す概略図である。
【図25】本発明の実施の形態4に係る非接触三次元計測装置の第2組のカメラ系による非接触三次元計測方法の特徴を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明に係る非接触三次元計測装置及び計測方法について、添付図面を用いて以下に説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0052】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る非接触三次元計測装置10の構成を示す概略図である。
この非接触三次元計測装置10は、距離を置いて設置された2台のカメラ2a、2bと、被計測物1にラインレーザを照射するラインレーザ4と、2台のカメラ2a、2bの位置関係を計算する外部標定を行う標定部6と、ラインレーザが照射された被計測物1を第1のカメラ2aで撮影した第1の画像20と、第2のカメラ2bで撮影した第2の画像30とを画像処理する画像処理部8と、を含む。それぞれのカメラ2a、2bは、レンズ中心や焦点距離、歪補正係数などの内部標定(内部パラメータ)が予め算出されていることが望ましい。さらに、撮影された画像は、内部標定データを利用して歪補正された画像が望ましいが、必須ではない。また、ラインレーザ4は、被計測物1の表面全体にわたって走査できる。また、標定部6は、第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bについて、互いの位置関係に関する外部標定を行う。画像処理部8は、第1の画像20上の撮影されたラインレーザに対応する第1線分データ22を含む矩形領域を第1対象領域26として選択し、第1対象領域26内の前記第1線分データの中の一つの点を特徴点24として選択する。次いで、画像処理部8は、第2の画像30上の撮影されたラインレーザ4に対応する第2線分データ32を含む矩形領域を第2対象領域36として選択し、上記特徴点24に該当するエピポーラ線33を第2の画像30上の第2対象領域36内に計算して、第2の画像30上の第2対象領域36内において、撮影されたラインレーザに対応する第2線分データ32とエピポーラ線33との交点を、第1の画像20上の第1対象領域26内で選択した特徴点24と対応する対応点34として決定する。さらに、画像処理部8は、第1の画像20上の第1対象領域26内における特徴点24と、第2の画像30上の第2対象領域36内における対応点34とを用いて、特徴点及び対応点に該当する被計測物1上の該当点14の三次元座標を算出する。
【0053】
図7は、実施の形態1に係る非接触三次元計測装置10の特徴を説明する概念図である。なお、図7は、図2の非接触三次元計測装置10の構成のうち、写真測量に関係する位置関係を詳細に示したものである。
<2つのカメラ及び画像について>
2つのカメラ(第1のカメラ2a、第2のカメラ2b)のそれぞれのレンズ中心を点A及び点Bとして表している。
第1のカメラ2aによる第1の画像20では、被計測物1に照射されたラインレーザに対応する部分である第1線分データ22を含む第1対象領域26を選択する(図3)。この第1対象領域26は、関心領域(ROI:region of interest)とも呼ばれ、第1の画像20全体の中で、第1線分データを含むように選択するので、第1線分データに含まれる特徴点24を選択するにあたって必要十分な範囲である。この第1対象領域内の第1線分データ22の中から一つの特徴点24を選択する。第1のカメラ2aのレンズ中心、焦点距離、歪補正係数等は内部標定によって得られる。なお、カメラの内部標定は、例えば、非特許文献5に記載の方法に基づいて計算できる。
また、第2のカメラによる第2の画像30においても、被計測物1に照射されたラインレーザに対応する部分である第2線分データ32を含む第2対象領域36を選択する(図4)。この第2対象領域36は、第2の画像30全体の中で、第2線分データ32を含むように選択するので、エピポーラ線33と第2線分データ32との交点である対応点34を決定するにあたって必要十分な範囲である。第2対象領域36内において、第1線分データから選択された特徴点24に対応するエピポーラ線33と第2線分データ32との交点である対応点34が決定される。なお、第2のカメラ2bのレンズ中心、焦点距離、歪補正係数等は内部標定によって得られる。また、エピポーラ線は、非特許文献4に記載の方法に基づいて計算することができる。
【0054】
<ラインレーザ>
ラインレーザ4は、ライン状のレーザを被計測物1に照射できるものであればよい。また、ラインレーザ4は、被計測物1の全体にわたって走査することができることが好ましい。あるいは、ラインレーザ4は、ライン状のレーザを回転させることができるものであってもよい。さらに、ラインレーザ4は、赤外、赤色、グリーン、青色等、どの色のラインレーザを用いても良い。また、ラインレーザ4として、複数の色のレーザを併用してもよい。複数の色のレーザを併用することで、各色のレーザ毎に特徴点と対応点を計算できるため、一度の撮影で同時に複数の線分を抽出することができ、さらに高速に三次元座標を計算することができる。
【0055】
<被計測物について>
また、被計測物1に照射されたラインレーザの部分12と、特徴点24及び対応点34とに該当する被計測物1上の該当点14を示している。この該当点14は点Cとしても示している。
【0056】
なお、図9の概略図に示すように、第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bは、撮影した画像データを、第1のカメラ2aと第2のカメラとを結ぶ直線と交差する方向の走査線に沿って記録する画像メモリを備え、それぞれ第1の画像20及び第2の画像30として出力してもよい。図9では、図7の場合と比較して、第1の画像20と第2の画像30とを縦位置で表している点で相違すると共に、第1の画像20及び第2の画像30の長手方向が2つのカメラを結ぶ直線と交差している点で相違する。
また、画像処理部8は、矩形領域の長辺が第1の画像20及び第2の画像30を記録した際の走査線の方向と平行となるように、第1対象領域26及び第2対象領域36を選択してもよい。さらに、画像処理部8は、第1対象領域26内でのみ特徴点24を選択し、第2対象領域36内でのみ対応点を決定することができる。
またさらに、ラインレーザ4は、第1のカメラ2aと第2のカメラ2bとを結ぶ直線と交差するように被計測物1にラインレーザを照射してもよい。図9に示すように、エピポーラ線は、第1のカメラ2aと第2のカメラ2bとを結ぶ直線とほぼ同様の方向に延びる。そのため、上記のようにラインレーザを第1のカメラ2aと第2のカメラ2bとを結ぶ直線と交差するように照射することで、エピポーラ線と第2線分データ32とを交差させることができる。
【0057】
<写真測量について>
a)第1のカメラ2aのレンズ中心Aと、第2のカメラ2bのレンズ中心Bとの間の位置関係及び、各カメラの方向は外部標定によって求められる。二つのカメラ2a、2b間の外部標定は、例えば非特許文献1に記載の方法により計算できる。
b)また、第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bのレンズ中心、焦点距離、歪補正係数等は内部標定を利用することによって求められる。
c)次に、被計測物1上の該当点14の点Cは、第1のカメラ2aのレンズ中心Aから第1の画像20上の第1対象領域26内の特徴点24に向かって延長したライン上に存在すると共に、第2のカメラ2bのレンズ中心Bから第2の画像30上の第2対象領域36内の対応点34に向かって延長したライン上に存在する。そのため、写真測量の原理によって、これらの交点として点Cが得られる。なお、該当点の三次元座標は、例えば非特許文献1に記載の方法によって計算できる。
以上によって、被計測物1上の該当点14(C)を三次元計測することができる。
【0058】
本発明の実施の形態1に係る非接触三次元計測装置10によれば、被計測物1にラインレーザを照射することで、被計測物1に特徴がなくても写真計測の原理に基づき三次元座標を計測することできる。またレーザのコヒーレント性のため被計測物が凹凸を有する形状であってもラインがぼけることが少なく、特徴点を正確に抽出することができる。このため、対応点の抽出精度が高くなり、必然的に三次元計測点の精度も高まる。
【0059】
また、この非接触三次元計測装置10では、ラインレーザが照射された被計測物を2つのカメラ2a、2bで撮影した2枚の画像のうち一方の画像20上で撮影されたラインレーザに対応する部分である第1線分データ22を含む矩形領域を第1対象領域26として選択し(図3)、第1対象領域26内の前記第1線分データの一つの点を特徴点24として選択している(図5)。この場合に、もう一つの画像30上の撮影されたラインレーザに対応する部分である第2線分データ32を含む矩形領域を第2対象領域として選択し(図4)、第2対象領域36内に上記第1対象領域26内で選択した特徴点24に対応するエピポーラ線33を計算して、エピポーラ線33と第2線分データ32との交点を上記特徴点24と対応する対応点34として特定することができる(図6)。なお、エピポーラ線は、例えば非特許文献4に記載の方法によって計算できる。これによって、被計測物1上に照射したパターンとの相関関係で対応点を特定していた場合に比べて曖昧さを含むことなく対応点を明確に決めることができ、三次元計測の精度を向上させることができる。さらに、本発明に係る非接触三次元計測装置10では、特徴点及び対応点を計算するために必要十分な第1対象領域26及び第2対象領域36を第1の画像20及び第2の画像30からそれぞれ選択している。これによって、第1対象領域26及び第2対象領域36のそれぞれについてだけ特徴点24及び対応点34の計算を行うことによって、2枚の画像全体にわたって計算する場合に比べてより速く三次元計測を行うことができる。
【0060】
図8は、本発明の非接触三次元計測方法のフローチャートである。この非接触三次元計測方法は、以下のようにして実行される。
(a)被計測物1が写る範囲に、被計測物1を撮影する2台のカメラ(第1のカメラ2a及び第2のカメラ2b)を、互いに距離をおいて配置する(図1、図2)。それぞれのカメラ2a、2bは、レンズ中心、焦点距離、歪補正係数などの内部標定(内部パラメータ)が予め算出されていることが望ましい。なお、カメラの内部標定が行われていない場合には、例えば、非特許文献5に挙げられる算出方法によって内部標定を求めることができる。
(b)第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bについて、互いの位置関係に関する外部標定を行う(S01)。
この外部標定によって、複数のカメラの位置関係を知ることができる。例えば、非特許文献1に挙げられる方法として、被計測物1の周りのあらかじめ知られた対応点を8点以上抽出することによって外部標定を実施することができる。
【0061】
(c)被計測物1にラインレーザ4からラインレーザを照射する(S02)(図1)。ラインレーザを用いることによって、非計測物1に特徴がなくても写真計測の原理に基づき三次元座標を計測することできる。またレーザのコヒーレント性のため被計測物が凹凸を有する形状であってもラインがぼけることが少なく、特徴点を正確に抽出することができる。
(d)ラインレーザが照射された被計測物1を第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bでそれぞれ撮影して、第1のカメラ2aによる第1の画像(図3)と、第2のカメラ2bによる第2の画像(図4)とを得る(S03)。
(e)第1の画像20において、ラインレーザが撮影された部分を含む矩形領域を第1対象領域26として選択する(S04)(図3)。
(f)第2の画像30において、ラインレーザが撮影された部分を含む矩形領域を第2対象領域36として選択する(S05)(図4)。
(g)第1対象領域26において、撮影されたラインレーザに対応する部分を第1線分データ22として抽出する(S06)(図3)。
(h)第2対象領域36において、撮影されたラインレーザに対応する部分を第2線分データ32として抽出する(S07)(図4)。
【0062】
(i)第1対象領域26内の第1線分データ22の中の一つの点を特徴点24として選択する(S08)(図5)。なお、特徴点24を、第1線分データ22の全体にわたって順に選択して、特徴点24を選択するごとに、後の(j)から(l)を繰り返すことによって、第1線分22の全体について三次元計測を行うことができる。
(j)特徴点24に対応するエピポーラ線33を第2の画像上の第2対象領域36内で計算する(S09)(図6)。なお、エピポーラ線とは、第1のカメラ2aのレンズ中心と、第1の画像20上の特徴点24に該当する被計測物1上の点とを結ぶ仮想的な線が第2のカメラに投影された線分である。第2の画像30上の第2対象領域36内でエピポーラ線33がどのように計算されるかは、第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bの内部標定と、第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bの位置関係を計算する外部標定とによって決定できる。エピポーラ線は、例えば非特許文献4に記載の方法によって計算できる。第2の画像30上の第2対象領域36内で計算されるエピポーラ線33上のどこかに特徴点24と対応する対応点が存在する。
(k)第2対象領域36内の第2線分データ32とエピポーラ線33との交点を第1対象領域26内で選択した特徴点24と対応する対応点34として決定する(S10)(図6)。
(l)第1対象領域26内における特徴点24と、第2対象領域36内における対応点34とを用いて、特徴点及び対応点に該当する被計測物1上の該当点14の三次元座標を算出する(S11)。上記該当点14の三次元座標は、例えば非特許文献1に記載の方法によって計算できる。
(m)第1の画像20上の第1対象領域26内の第1線分上の点すべてに対して、上記ステップ(i)〜ステップ(l)を繰り返して、被計測物のラインレーザが照射されたライン部分に対して三次元座標を算出する(S12)。
以上の各ステップによって、特徴点24及び対応点34に該当する被計測物1の該当点14の三次元座標を得ることができる。
【0063】
本発明の実施の形態1に係る非接触三次元計測方法によれば、被計測物1にラインレーザを照射することで、被計測物1に特徴がなくても写真計測の原理に基づき三次元座標を計測することできる。またレーザのコヒーレント性のため被計測物が凹凸を有する形状であってもラインがぼけることが少なく、特徴点を正確に抽出することができる。このため、対応点の抽出精度が高くなり、必然的に三次元計測点の精度も高まる。
【0064】
また、この被接触三次元計測方法では、ラインレーザが照射された被計測物を2つのカメラ2a、2bで撮影した2枚の画像のうち一方の画像20上で撮影されたラインレーザに対応する部分である第1線分データ22を含む矩形領域を第1対象領域26として選択し、第1対象領域26内の第1線分データ22の一つの点を特徴点24として選択している。この場合に、もう一つの画像30上の撮影されたラインレーザに対応する部分である第2線分データ32を含む矩形領域を第2対象領域36として選択し、第2対象領域36内に上記第1対象領域26内で選択した特徴点24に対応するエピポーラ線33を計算して、エピポーラ線33と第2線分データ32との交点を上記特徴点24と対応する対応点34として特定することができる。これによって、被計測物1上に照射したパターンとの相関関係で対応点を特定していた場合に比べて曖昧さを含むことなく対応点を明確に決めることができ、三次元計測の精度を向上させることができる。さらに、本発明に係る非接触三次元計測方法では、特徴点及び対応点を計算するために必要十分な第1対象領域及び第2対象領域を第1の画像及び第2の画像のそれぞれから選択している。これによって、第1対象領域及び第2対象領域のそれぞれについてだけ特徴点及び対応点の計算を行うことによって、2枚の画像全体にわたって計算する場合に比べてより速く三次元計測を行うことができる。
【0065】
なお、画像撮影ステップにおいて、第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bによって撮影した画像データを、第1のカメラ2aと第2のカメラ2bとを結ぶ直線と交差する方向の走査線に沿って記録し、それぞれ第1の画像20及び第2の画像30として出力してもよい。
【0066】
また、第1対象領域選択ステップにおいて、矩形領域の長辺が第1の画像20を記録した際の走査線の方向と平行となるように、第1対象領域26を選択してもよい。さらに、第2対象領域選択ステップにおいて、矩形領域の長辺が第2の画像30を記録した際の走査線の方向と平行となるように、第2対象領域36を選択してもよい。
【0067】
さらに、特徴点選択ステップにおいて、第1対象領域26内でのみ特徴点24を選択し、対応点決定ステップにおいて、第2対象領域36内でのみ対応点34を決定することができる。
【0068】
また、ラインレーザ照射ステップにおいて、第1のカメラ2aと第2のカメラ2bとを結ぶ直線と交差するように被計測物1にラインレーザを照射してもよい。
【0069】
(変形例)
図10は、実施の形態1の変形例に係る非接触三次元計測方法のフローチャートである。この変形例の非接触三次元計測方法では、図8の実施の形態1に係る非接触三次元計測方法と対比すると、ラインレーザを被計測物の全体にわたって走査する点で相違する。
(a)及び(b)は、実施の形態1に係る非接触三次元計測方法と同じであるので説明を省略する。
(c)被計測物1にわたってラインレーザを走査する(S13)。ここでは、ラインレーザ4を任意の方向に照射し、被計測物1の全体にわたって順に走査していくことを表している。
(d)から(k)は、実施の形態1に係る非接触三次元計測方法と同じであるので説明を省略する。
(l)被計測物1の全体について走査したか確認する(S14)。被計測物1の全体について走査していない場合には、(c)から(k)を繰り返して、被計測物1の全体について三次元計測を行う。
以上の各ステップによって、被計測物1の全体にわたって三次元計測を行うことができる。
【0070】
(実施の形態2)
図11は、実施の形態2に係る非接触三次元計測方法のフローチャートである。この変形例の非接触三次元計測方法では、図8の実施の形態1に係る非接触三次元計測方法と対比すると、ラインレーザ4を照射方向の所定の軸について回転させて被計測物1に照射する点で相違する。
(a)及び(b)は、実施の形態1に係る非接触三次元計測方法と同じであるので説明を省略する。実施の形態2では、ステップ(c)のラインレーザの照射について、以下のように行う。
(c)ラインレーザを所定の軸について回転させて被計測物1に照射する(S15)。実施の形態1の変形例では、ラインレーザを任意の方向に走査して被計測物1の全体にわたって走査していたが、ラインレーザ4を所定の軸について回転させることによっても被計測物1の全体について走査することができる。
(d)から(m)は、実施の形態1に係る非接触三次元計測方法と同じであるので説明を省略する。
(n)ラインレーザを全角度に回転させて照射したか確認する(S16)。被計測物1の全体について走査していない場合には、(c)から(k)を繰り返して、被計測物1の全体について三次元計測を行う。
以上の各ステップによって、被計測物1の全体にわたって三次元計測を行うことができる。
【0071】
(実施の形態3)
図12は、実施の形態3に係る非接触三次元計測方法のフローチャートである。この変形例の非接触三次元計測方法では、図8の実施の形態1に係る非接触三次元計測方法と対比すると、(i)で第2線分データ32とエピポーラ線33との交点が単一ではなく2つ以上の交点が存在する場合に、ラインレーザを特徴点24に該当する被計測物1上の該当点14を中心に回転させて照射する点で相違する。
(a)から(j)は、実施の形態1に係る非接触三次元計測方法と同じであるので説明を省略する。
ステップ(k)の前に、第2の画像30上において、エピポーラ線33と第2線分32との交点は単一か、確認する(S17)。交点が一つの場合には、実施の形態1に係る非接触三次元計測方法の(k)から(m)を行って、特徴点及び対応点に該当する被計測物1の該当点14の三次元座標を得ることができる。
【0072】
一方、交点が複数の場合、例えば、撮影されたラインレーザに対応する部分である第2線分データ32とエピポーラ線33とが同一方向に沿って延在するような場合に交点が複数存在する場合が生じる。この場合には、ラインレーザ4を特徴点24に該当する被計測物1上の該当点14を中心に回転させて照射する(S18)。この場合に、エピポーラ線33とラインレーザのライン方向とが角度をなすようにラインレーザ4を回転させることが好ましい。より好ましくは、エピポーラ線33とラインレーザのライン方向とが互いに直交するようにラインレーザ4を回転させることである。また、特徴点24を保持するように、特徴点24に該当する被計測物1の該当点14について回転させる。その後、(d)から(j)を繰り返して、エピポーラ線33と第2線分32との交点が単一となるようにすることができる。
【0073】
これによって、エピポーラ線33と第2線分データ32とがほぼ平行になる等の原因で対応点34が一つに特定できない場合でも、ラインレーザ4を回転させて、エピポーラ線33と第2線分データ32とが交差する交点として単一の対応点34が得られ、明確に対応点を特定でき、三次元計測の精度を向上させることができる。
【0074】
なお、エピポーラ線33と第2線分データ32との交点が一つも得られない場合には、第1の画像20上で選択した特徴点24に対応する被計測物1上の該当点14が第2の画像30上の第2対象領域36内には現れていないことを意味している。この場合には、第1のカメラ2aからの第1の画像20上の第1対象領域26内に含まれる被計測物1の範囲と、第2のカメラ2bからの第2の画像30上の第2対象領域36内に含まれる被計測物1の範囲とで共通する被計測物1の範囲が少ないか又は存在しないと考えられる。そこで、第1のカメラ2aと第2のカメラ2bとの距離を縮めて、第1の画像20上の第1対象領域26と第2の画像30上の第2対象領域36とで共通する被計測物1の範囲が得られるようにすることが好ましい。
【0075】
(実施の形態4)
図13は、実施の形態4に係る非接触三次元計測装置100の構成を示す概略図である。この非接触三次元計測装置100は、実施の形態1に係る非接触三次元計測装置と比較すると、2台のカメラ2a、2bからなる第1組のカメラ系に加えて、第1組のカメラ系とは異なる箇所から被計測物1を撮影する2台のカメラ(第3のカメラ2c及び第4のカメラ2d)からなる第2組のカメラ系をさらに備えることを特徴とする。なお、第2組のカメラ系は、物理的に第1組のカメラ系と別個に用意してもよいが、第1組のカメラ系による最初の位置での撮影及び画像処理の後、第1組のカメラ系を最初の位置とは異なる箇所にそのまま移動させて第2組のカメラ系として撮影及び画像処理を行ってもよい。また、この非接触三次元計測装置では、ラインレーザ4を少なくとも一つ備えていればよい。あるいは、第1組のカメラ系と、第2組のカメラ系とでそれぞれ別々に2組のラインレーザを用意してもよい。
【0076】
図20は、実施の形態4に係る非接触三次元計測装置100の第1組のカメラ系による非接触三次元計測方法の特徴を説明する概念図である。なお、図20は、図13の非接触三次元計測装置100の構成のうち、第1組のカメラ系による写真測量に関係する位置関係を詳細に示したものである。図25は、実施の形態4に係る非接触三次元計測装置100の第2組のカメラ系による非接触三次元計測方法の特徴を説明する概念図である。なお、図25は、図13の非接触三次元計測装置100の構成のうち、第2組のカメラ系による写真測量に関係する位置関係を詳細に示したものである。
【0077】
また、この非接触三次元計測装置100では、実施の形態1に係る非接触三次元計測装置と対比すると、画像処理部における画像処理方法において相違する。具体的には、この画像処理部では、実施の形態1とは異なり、それぞれの画像中から対象領域(ROI)の選択を行わない点で相違する。なお、実施の形態1と同様にそれぞれの画像から対象領域(ROI)の選択を行ってもよい。また、この画像処理部においては、以下の処理を行うことを特徴とする。
(1)まず、実施の形態1と同様に、第1組のカメラ系における被計測物上の三次元座標系を得る。例えば、第1組のカメラ系による三次元座標をM(x、y,z)とする。
(2)次いで、第2組のカメラ系における被計測物上の三次元座標系を得る。例えば、第2組のカメラ系による三次元座標をN(x、y,z)とする。
(3)その後、第2組のカメラ系における被計測物上の三次元座標のうち、第1組のカメラ系における被計測物上の三次元座標と対応する少なくとも3つの点、つまり少なくとも三つのマーカの三次元座標を選択する。例えば、第1組のカメラ系によるi番目のマーカの三次元座標をA(x、y、z)とし、第2組のカメラ系によるi番目のマーカの三次元座標をB(x、y、z)とする。
(4)選択した少なくとも3つの三次元座標について、第2組のカメラ系の三次元座標系から第1組のカメラ系の三次元座標系への座標変換関係を求める。これは、第2組のカメラ系によるi番目のマーカの三次元座標B(x、y、z)を第1組のカメラ系によるi番目のマーカの三次元座標A(x、y、z)に対応させる座標変換関係を得るものである。これは、選択した少なくとも3つの三次元座標について、第2組のカメラ系の三次元座標系N(x,y,z)から第1組のカメラ系の三次元座標系M(x,y,z)への相似変換の関係に基づいて、座標変換関係を求めることができる。さらに具体的には、上記相似変換は、例えば、下記式で表される。
=sR(N−t)
Mi:第1組のカメラ系の三次元座標(座標ベクトル)
Ni:第2組のカメラ系の三次元座標(座標ベクトル)
s:スケール(スカラー値)
R:回転行列
t:並進ベクトル
(5)そして、得られた座標変換関係、上記例の場合、スケールs、回転行列R、並進ベクトルt等を用いて、第2組のカメラ系の三次元座標系N(x、y、z)を第1組のカメラ系の三次元座標系M(x、y、z)に座標変換して、第1組のカメラ系の三次元座標系に基づく被計測物の三次元座標を得る。
【0078】
なお、被計測物1上に、例えば、マーカ60を3点以上置いておくことによって、第1組のカメラ系における三次元座標と第2組のカメラ系における三次元座標とで共通する三次元座標として、マーカ60の三次元座標を対応させることができる(図13)。なお、第1組のカメラ系の三次元座標と第2組のカメラ系の三次元座標とで両方で対応関係が明確な点が少なくとも3点以上利用できる場合にはマーカを置く必要はない。また、少なくとも3つのマーカは同一直線上に並んでいないものを用いることが好ましい。
【0079】
実施の形態4に係る非接触三次元計測装置100では、第1組のカメラ系だけでなく、第2組のカメラ系を用いている。例えば、山などのように大きな被計測物の場合、第1組のカメラ系だけでは、山の一面しか観測できないが、実施の形態4に係る非接触三次元計測装置によれば、第2組のカメラ系によって、第1組のカメラ系では影になって観測できない部分も観測できる。その後、第2組のカメラ系による三次元座標系を第1組の三次元座標系に座標変換することによって、全体の三次元座標系を統合することができる。
【0080】
なお、実施の形態4に係る非接触三次元計測装置では、実施の形態1から3に係る非接触三次元計測装置の構成のうち、いずれか一つの構成、又は、これらの複数の構成を備えてもよい。
【0081】
図14及び図15は、実施の形態4に係る非接触三次元計測方法のフローチャートである。この非接触三次元計測方法は、第1組のカメラ系による被計測物の三次元座標系の算出と、第2組のカメラ系による被計測物の三次元座標系の算出とを行った後、得られた第2組のカメラ系の三次元座標系を第1組のカメラ系の三次元座標系に座標変換して、第1組のカメラ系の三次元座標系に基づく被計測物の三次元座標を得ることを特徴とする。
なお、図16は、第1組のカメラ系の第1のカメラ2aによって撮影された第1の画像20を示す概略図である。図17は、第1組のカメラ系の第2のカメラ2bによって撮影された第2の画像30を示す概略図である。図18は、図16の第1の画像20について、第1線分データ22中の一つの点を特徴点24として選択する場合の概略図である。図19は、図17の第2の画像30において、第1の画像20上の特徴点24に該当するエピポーラ線33が計算された第2の画像30を示す概略図である。
(a)互いに距離をおいて配置され、被計測物1を撮影する第1組のカメラ系を構成する第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bについて、互いの位置関係に関する外部標定を行う(S21)。
(b)第1組のカメラ系において被計測物1にラインレーザを照射する(S22)(図20)。
(c)ラインレーザが照射された被計測物1を第1のカメラ2a及び第2のカメラ2bでそれぞれ撮影して、第1のカメラ2aによる第1の画像20(図16)と、第2のカメラ2bによる第2の画像30(図17)とを得る(S23)。
(d)第1の画像20において、撮影されたラインレーザに対応する部分を第1線分データ22として抽出する(S24)(図16)。
(e)第2の画像30において、撮影されたラインレーザに対応する部分を第2線分データ32として抽出する(S25)(図17)。
(f)第1の画像20から抽出された第1線分データ22の中の一つの点を特徴点24として選択する(S26)(図18)。
(g)第1の画像20上で選択した特徴点24に対応するエピポーラ線33を第2の画像30上で計算する(S27)(図19)。
(h)第2の画像30から抽出された第2線分データ32とエピポーラ線33との交点を、第1の画像20上で選択した特徴点24と対応する対応点34として決定する(S28)(図19)。
(i)第1の画像20における特徴点24と、第2の画像30における対応点34とを用いて、特徴点24及び対応点34に該当する被計測物1上の該当点14の三次元座標を算出し、第1組のカメラ系における被計測物1上の三次元座標系を得る(S29)(図20)。
【0082】
図21は、第2組のカメラ系の第3のカメラ2cによって撮影された第3の画像40を示す概略図である。図22は、第2組のカメラ系の第4のカメラ2dによって撮影された第4の画像50を示す概略図である。図23は、図21の第3の画像40について、第3線分データ42中の一つの点を特徴点44として選択する場合の概略図である。図24は、図22の第4の画像50において、第3の画像40上の特徴点44に該当するエピポーラ線53が計算された第4の画像50を示す概略図である。
(j)第1組のカメラ系とは違う位置で、互いに距離をおいて配置され、被計測物1を撮影する第2組のカメラ系を構成する第3のカメラ2c及び第4のカメラ2dについて、互いの位置関係に関する外部標定を行う(S30)。
(k)被計測物1にラインレーザを照射する(S31)
(l)ラインレーザが照射された被計測物1を第3のカメラ2c及び第4のカメラ2dでそれぞれ撮影して、第3のカメラ2cによる第3の画像40(図21)と、第4のカメラ2dによる第4の画像50(図22)とを得る(S32)。
(m)第3の画像40において、撮影されたラインレーザに対応する部分を第3線分データ42として抽出する(S33)(図21)。
(n)第4の画像50において、撮影されたラインレーザに対応する部分を第4線分データ52として抽出する(S34)(図22)。
(o)第3の画像40から抽出された第3線分データ42の中の一つの点を特徴点44として選択する(S35)(図23)。
(p)第3の画像40上で選択した特徴点44に対応するエピポーラ線53を第4の画像50上で計算する(S36)(図24)。
(q)第4の画像50から抽出された第4線分データ52とエピポーラ線53との交点を、第3の画像40上で選択した特徴点44と対応する対応点54として決定する(S37)(図24)。
(r)第3の画像40における特徴点44と、第4の画像50における対応点54とを用いて、特徴点44及び対応点54に該当する被計測物1上の該当点の三次元座標を算出し、第2組のカメラ系における被計測物上の三次元座標系を得る(S38)(図25)。
【0083】
(s)第2組のカメラ系における被計測物1上の三次元座標のうち、第1組のカメラ系における被計測物上の三次元座標と対応する少なくとも3つの三次元座標を選択し、選択した少なくとも3つの三次元座標について、第2組のカメラ系の三次元座標系から第1組のカメラ系の三次元座標系への座標変換関係を求める(S39)。これは、第2組のカメラ系によるi番目のマーカの三次元座標B(x、y、z)を第1組のカメラ系によるi番目のマーカの三次元座標A(x、y、z)に対応させる座標変換関係を得るものである。これは、選択した少なくとも3つの三次元座標について、第2組のカメラ系の三次元座標系N(x,y,z)から第1組のカメラ系の三次元座標系M(x,y,z)への相似変換の関係に基づいて、座標変換関係を求めることができる。さらに具体的には、上記相似変換は、例えば、下記式で表される。
=sR(N−t)
Mi:第1組のカメラ系の三次元座標(座標ベクトル)
Ni:第2組のカメラ系の三次元座標(座標ベクトル)
s:スケール(スカラー値)
R:回転行列
t:並進ベクトル
(t)得られた座標変換関係、例えば上記例では、スケールs、回転行列R、並進ベクトルt等を用いて、第2組のカメラ系の三次元座標系を第1組のカメラ系の三次元座標系に座標変換して、第1組のカメラ系の三次元座標系に基づく被計測物の三次元座標を得る(S40)。
以上によって、第1組のカメラ系の三次元座標系に基づく被計測物の三次元座標を得ることができる。
【0084】
なお、上記ステップ(s)について、さらに説明する。
以下に、相似変換の関係式を再度掲載する。
=sR(N−t)
Mi:第1組のカメラ系の三次元座標(座標ベクトル)
Ni:第2組のカメラ系の三次元座標(座標ベクトル)
s:スケール(スカラー値)
R:回転行列
t:並進ベクトル
上記座標変換関係のスケールs、回転行列R、並進ベクトルtのそれぞれの求め方の一例を挙げる。
【0085】
(a)スケールの求め方
第1組のカメラ系によるマーカのi番目とi+1番目の三次元座標A(x,y,z)の間での座標ベクトルの引き算をそれぞれ行って、第2組のカメラ系による対応するマーカのi番目とi+1番の三次元座標B(x,y,z)の間での座標ベクトルの引き算を行って、両辺のベクトルの大きさの2乗を得ると、上記の相似変換の関係式から、下記式が得られる。
(A−Ai+1=s(B−Bi+1
上記式では、並進ベクトルtを削除でき、全体としてスカラーのみとすることができる。これによって、スケールsを算出できる。なお、マーカの数が3以上あるので、3以上の異なるスケールsの値が得られ、その平均値をスケールsとして得ることができる。
【0086】
(b)回転行列Rの求め方
まず、上記相似変換の式を以下のように変形しておく。
=sR(N−t)=R(sN−st)=R(sN)−R(st)
次に、マーカのi+1番目からi番目への引き算を行う。
i+1−M=(R(sNi+1)−R(st))−(R(sNi)−R(st))
i+1−M=R(sNi+1)−R(sN
=R((sNi+1)−(sN))
ここで、
=Mi+1−M
=sNi+1−sN
と置き換えると、下記式が得られる。
=Rn
【0087】
マーカが3つしかない場合には上記式から回転行列Rが一意に決まるが、マーカが複数存在する場合には、それぞれのマーカの三次元座標に測定誤差が含まれていることを考慮する必要がある。そこで、上記式から、引き算ベクトル(m−Rn)の大きさの二乗和が最小となるような回転行列Rを得ることによって、座標変換における誤差を最小とすることができる。具体的には、

の条件を満たす回転行列Rを求めることである。なお、上記最小二乗法による回転行列Rは、通常の方法によって得られる。その求め方の詳細については、例えば、非特許文献3等に詳しい。
【0088】
(c)並進ベクトルtの求め方
上記相似変換の関係式を変形すると、

となる。なお、Rは、回転行列Rの転置行列である。複数のマーカのそれぞれについて並進ベクトルtが得られるので、その平均値を全体の並進ベクトルtとする。
以上によって、座標変換関係のスケールs、回転行列R、並進ベクトルtのそれぞれが得られる。なお、上記の座標変換関係のスケールs、回転行列R、並進ベクトルtの求め方は一例であってこれらに限られない。
【0089】
実施の形態4に係る非接触三次元計測装置及び非接触三次元計測方法では、第1組のカメラ系だけでなく、第2組のカメラ系を用いている。例えば、山などのように大きな被計測物の場合、第1組のカメラ系だけでは、山の一面しか観測できないが、実施の形態4に係る非接触三次元計測装置及び方法によれば、第2組のカメラ系によって、第1組のカメラ系では影になって観測できない部分も観測できる。その後、第2組のカメラ系による三次元座標系を第1組の三次元座標系に座標変換することによって、被計測物全体の三次元座標系を統合することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係る非接触三次元計測装置及び非接触三次元計測方法によれば、表面に特徴がない物体を被計測物とする場合であっても、2つの画像上で、一方の画像で選択した特徴点について、もう一方の画像上における対応点を明確に特定できる。そこで、本発明に係る非接触三次元計測装置及び非接触三次元計測方法は、表面に特徴がない物体を被計測物とする非接触三次元計測に有用である。さらに本方法では、カメラの配置やレーザなどは任意に配置できるため、被計測物の大きさが変動した場合に、容易に対応することができる。さらにカメラやレーザ等は比較的省電力であるため、電池で駆動でき、可搬性に優れている。
【符号の説明】
【0091】
1 被計測物
2a 第1のカメラ
2b 第2のカメラ
2c 第3のカメラ
2d 第4のカメラ
4 ラインレーザ
6 標定部
6a 第1標定部
6b 第2標定部
8 画像処理部
10 非接触三次元計測装置
12 照射されたラインレーザ
14 該当点
20 第1の画像
22 第1線分データ
24 特徴点
26 第1対象領域
30 第2の画像
32 第2線分データ
33 エピポーラ線
34 対応点
36 第2対象領域
40 第3の画像
42 第3線分データ
44 特徴点
50 第4の画像
52 第4線分データ
54 対応点
60 マーカ
100 非接触三次元計測装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに距離をおいて配置され、被計測物を撮影する第1のカメラ及び第2のカメラと、
前記被計測物にラインレーザを照射するラインレーザと、
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラについて、互いの位置関係を計算する外部標定を行う標定部と、
前記ラインレーザが照射された被計測物を前記第1のカメラで撮影した第1の画像と、前記第2のカメラで撮影した第2の画像とを画像処理する画像処理部と、
を備え、
前記画像処理部は、
前記第1の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を含む矩形領域を第1対象領域として選択し、
前記第2の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を含む矩形領域を第2対象領域として選択し、
前記第1対象領域において、前記ラインレーザが撮影された部分を第1線分データとして抽出し、
前記第2対象領域において、前記ラインレーザが撮影された部分を第2線分データとして抽出し、
前記第1対象領域内の前記第1線分データの中の一つの点を特徴点として選択し、
前記第1の画像上の前記第1対象領域内で選択した前記特徴点に対応するエピポーラ線を前記第2の画像上の前記第2対象領域内に計算して、
前記第2の画像上の前記第2対象領域内において、撮影された前記ラインレーザに対応する第2線分データと前記エピポーラ線との交点を、前記第1の画像上の前記第1対象領域内で選択した前記特徴点と対応する対応点として決定し、
前記第1の画像上の前記第1対象領域内における前記特徴点と、前記第2の画像上の前記第2対象領域内における前記対応点とを用いて、前記特徴点及び前記対応点に該当する前記被計測物上の該当点の三次元座標を算出する、
非接触三次元計測装置。
【請求項2】
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラは、撮影した画像データを、前記第1のカメラと前記第2のカメラとを結ぶ直線と交差する方向の走査線に沿って記録する画像メモリを備え、それぞれ前記第1の画像及び前記第2の画像として出力する、請求項1に記載の非接触三次元計測装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、前記矩形領域の長辺が前記第1の画像及び前記第2の画像を記録した際の走査線の方向と平行となるように、前記第1対象領域及び前記第2対象領域を選択する、請求項2に記載の非接触三次元計測装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記第1対象領域内でのみ前記特徴点を選択し、前記第2対象領域内でのみ前記対応点を決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の非接触三次元計測装置。
【請求項5】
前記ラインレーザは、前記第1のカメラと前記第2のカメラとを結ぶ直線と交差するように前記被計測物にラインレーザを照射する、請求項1から4のいずれか一項に記載の非接触三次元計測装置。
【請求項6】
前記ラインレーザは、前記被計測物の全体にわたってラインレーザを走査できる、請求項1から5のいずれか一項に記載の非接触三次元計測装置。
【請求項7】
前記ラインレーザは、照射方向の所定の軸について回転してラインレーザを前記被計測物に照射できる、請求項1から6のいずれか一項に記載の非接触三次元装置。
【請求項8】
(a)互いに距離をおいて配置され、被計測物を撮影する第1のカメラ及び第2のカメラについて、互いの位置関係に関する外部標定を行う外部標定ステップと、
(b)前記被計測物にラインレーザを照射するラインレーザ照射ステップと、
(c)前記ラインレーザが照射された被計測物を前記第1のカメラ及び前記第2のカメラでそれぞれ撮影して、前記第1のカメラによる第1の画像と、前記第2のカメラによる第2の画像とを得る画像撮影ステップと、
(d)前記第1の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を含む矩形領域を第1対象領域として選択する第1対象領域選択ステップと、
(e)前記第2の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を含む矩形領域を第2対象領域として選択する第2対象領域選択ステップと、
(f)前記第1対象領域において、前記ラインレーザが撮影された部分を第1線分データとして抽出する第1線分データ抽出ステップと、
(g)前記第2対象領域において、前記ラインレーザが撮影された部分を第2線分データとして抽出する第2線分データ抽出ステップと、
(h)前記第1対象領域内の前記第1線分データの中の一つの点を特徴点として選択する特徴点選択ステップと、
(i)前記第1の画像上の前記第1対象領域内で選択した前記特徴点に対応するエピポーラ線を前記第2の画像上の前記第2対象領域内に計算するエピポーラ線計算ステップと、
(j)前記第2の画像上の前記第2対象領域内において、撮影された前記ラインレーザに対応する前記第2線分データと前記エピポーラ線との交点を、前記第1の画像上の前記第1対象領域内で選択した前記特徴点と対応する対応点として決定する対応点決定ステップと、
(k)前記第1の画像上の前記第1対象領域内における前記特徴点と、前記第2の画像上の前記第2対象領域内における前記対応点とを用いて、前記特徴点及び前記対応点に該当する前記被計測物上の該当点の三次元座標を算出する三次元座標算出ステップと、
を含む、非接触三次元計測方法。
【請求項9】
前記画像撮影ステップにおいて、前記第1のカメラ及び前記第2のカメラによって撮影した画像データを、前記第1のカメラと前記第2のカメラとを結ぶ直線と交差する方向の走査線に沿って記録し、それぞれ前記第1の画像及び前記第2の画像として出力する、請求項8に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項10】
前記第1対象領域選択ステップにおいて、前記矩形領域の長辺が前記第1の画像を記録した際の走査線の方向と平行となるように、前記第1対象領域を選択し、
前記第2対象領域選択ステップにおいて、前記矩形領域の長辺が前記第2の画像を記録した際の走査線の方向と平行となるように、前記第2対象領域を選択する、請求項9に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項11】
前記特徴点選択ステップにおいて、前記第1対象領域内でのみ前記特徴点を選択し、前記対応点決定ステップにおいて、前記第2対象領域内でのみ前記対応点を決定する、請求項8から10のいずれか一項に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項12】
前記ラインレーザ照射ステップにおいて、前記第1のカメラと前記第2のカメラとを結ぶ直線と交差するように前記被計測物にラインレーザを照射する、請求項8から11のいずれか一項に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項13】
さらに、
(l)前記第1画像から抽出された前記第1線分上の点すべてに対して、前記ステップ(h)〜前記ステップ(k)を繰り返して、前記被計測物のラインレーザが照射されたライン部分に対して三次元座標を算出する三次元座標算出ステップ
を含む、請求項8から12のいずれか一項に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項14】
前記ラインレーザ照射ステップ(b)において、前記ラインレーザを前記被計測物にわたって走査するラインレーザ走査ステップをさらに含み、前記ラインレーザを照射するごとに、前記ステップ(c)〜前記ステップ(l)を繰り返して、前記被計測物の全体を走査する、請求項13に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項15】
前記ラインレーザ照射ステップ(b)において、前記ラインレーザを照射方向の所定の軸について回転させて前記被計測物に照射するラインレーザ走査ステップをさらに含み、前記ラインレーザを回転させて前記被計測物に照射するごとに、前記ステップ(c)〜前記ステップ(l)を繰り返す、請求項13に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項16】
前記対応点決定ステップ(j)において、前記エピポーラ線と前記第2線分データとの交点が2つ以上存在する場合、前記ラインレーザを前記第1の画像上の前記特徴点に該当する前記被計測物上の該当点への照射方向の軸について回転させて照射して、前記第2の画像上で前記エピポーラ線と前記第2線分データとの単一の交点を前記特徴点と対応する対応点として決定する、請求項8から15のいずれか一項に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項17】
互いに距離をおいて配置され、被計測物を撮影する第1のカメラ及び第2のカメラを含む第1組のカメラ系と、
前記第1組のカメラ系とは違う位置で、互いに距離をおいて配置され、前記被計測物を撮影する第3のカメラ及び第4のカメラを含む第2組のカメラ系と、
前記被計測物にラインレーザを照射するラインレーザと、
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラについて、互いの位置関係に関する外部標定を行う第1標定部と、
前記第3のカメラ及び前記第4のカメラについて、互いの位置関係に関する外部標定を行う第2標定部と、
前記ラインレーザが照射された被計測物を前記第1のカメラで撮影した第1の画像と、前記第2のカメラで撮影した第2の画像とを画像処理すると共に、前記ラインレーザが照射された被計測物を前記第3のカメラで撮影した第3の画像と、前記第4のカメラで撮影した第4の画像とを画像処理する、画像処理部と、
を備え、
前記画像処理部は、
前記第1の画像上の撮影された前記ラインレーザに対応する第1線分データの中の一つの点を特徴点として選択し、
前記第1の画像上で選択した前記特徴点に対応するエピポーラ線を前記第2の画像上に計算して、
前記第2の画像上において、撮影された前記ラインレーザに対応する第2線分データと前記エピポーラ線との交点を、前記第1の画像上で選択した前記特徴点と対応する対応点として決定し、
前記第1の画像上における前記特徴点と、前記第2の画像上における前記対応点とを用いて、前記特徴点及び前記対応点に該当する前記被計測物上の該当点の三次元座標を算出し、前記第1組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標系を得ると共に、
前記第3の画像上の撮影された前記ラインレーザに対応する第3線分データの中の一つの点を特徴点として選択し、
前記第3の画像上で選択した前記特徴点に対応するエピポーラ線を前記第4の画像上に計算して、
前記第4の画像上において、撮影された前記ラインレーザに対応する第4線分データと前記エピポーラ線との交点を、前記第3の画像上で選択した前記特徴点と対応する対応点として決定し、
前記第3の画像上における前記特徴点と、前記第4の画像上における前記対応点とを用いて、前記特徴点及び前記対応点に該当する前記被計測物上の該当点の三次元座標を算出し、前記第2組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標系を得ると共に、
前記第2組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標のうち、前記第1組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標と対応する少なくとも3つの三次元座標を選択し、前記選択した少なくとも3つの三次元座標について、前記第2組のカメラ系の三次元座標系から前記第1組のカメラ系の三次元座標系への座標変換関係を求め、得られた座標変換関係を用いて、前記第2組のカメラ系の三次元座標系を前記第1組のカメラ系の三次元座標系に座標変換して、前記第1組のカメラ系の三次元座標系に基づく前記被計測物の三次元座標を得る、
非接触三次元計測装置。
【請求項18】
前記画像処理部は、前記選択した少なくとも3つの三次元座標について、前記第2組のカメラ系の三次元座標系から前記第1組のカメラ系の三次元座標系への相似変換の関係に基づいて、座標変換関係を求める、請求項17に記載の非接触三次元計測装置。
【請求項19】
前記第2組のカメラ系の三次元座標系N(x,y,z)から前記第1組のカメラ系の三次元座標系M(x,y,z)への前記相似変換は、下記式で表される、請求項18に記載の非接触三次元計測装置。
=sR(N−t)
Mi:第1組のカメラ系の三次元座標(座標ベクトル)
Ni:第2組のカメラ系の三次元座標(座標ベクトル)
s:スケール(スカラー値)
R:回転行列
t:並進ベクトル
【請求項20】
前記ラインレーザは、前記第1のカメラと前記第2のカメラとを結ぶ直線と交差するように前記被計測物にラインレーザを照射する、請求項17から19のいずれか一項に記載の非接触三次元計測装置。
【請求項21】
前記ラインレーザは、前記被計測物の全体にわたってラインレーザを走査できる、請求項17から20のいずれか一項に記載の非接触三次元計測装置。
【請求項22】
前記ラインレーザは、照射方向の所定の軸について回転してラインレーザを前記被計測物に照射できる、請求項17から21のいずれか一項に記載の非接触三次元装置。
【請求項23】
第1組のカメラ系による被計測物の三次元座標系の算出と、第2組のカメラ系による被計測物の三次元座標系の算出とを行った後、得られた前記第2組のカメラ系の三次元座標系を前記第1組のカメラ系の三次元座標系に座標変換して、前記第1組のカメラ系の三次元座標系に基づく前記被計測物の三次元座標を得る、非接触三次元計測方法であって、
(a)互いに距離をおいて配置され、被計測物を撮影する第1組のカメラ系を構成する第1のカメラ及び第2のカメラについて、互いの位置関係に関する外部標定を行う第1外部標定ステップと、
(b)前記被計測物にラインレーザを照射するラインレーザ照射ステップと、
(c)前記ラインレーザが照射された被計測物を前記第1のカメラ及び前記第2のカメラでそれぞれ撮影して、前記第1のカメラによる第1の画像と、前記第2のカメラによる第2の画像とを得る第1のカメラ系による画像撮影ステップと、
(d)前記第1の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を第1線分データとして抽出する第1線分データ抽出ステップと、
(e)前記第2の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を第2線分データとして抽出する第2線分データ抽出ステップと、
(f)前記第1の画像から抽出された前記第1線分データの中の一つの点を特徴点として選択する特徴点選択ステップと、
(g)前記第1の画像上で選択した前記特徴点に対応するエピポーラ線を前記第2の画像上に計算するエピポーラ線計算ステップと、
(h)前記第2の画像から抽出された前記第2線分データと前記エピポーラ線との交点を、前記第1の画像上で選択した前記特徴点と対応する対応点として決定する対応点決定ステップと、
(i)前記第1の画像における前記特徴点と、前記第2の画像における前記対応点とを用いて、前記特徴点及び前記対応点に該当する前記被計測物上の該当点の三次元座標を算出し、前記第1組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標系を得る第1組のカメラ系による三次元座標算出ステップと、
(j)前記第1組のカメラ系とは違う位置で、互いに距離をおいて配置され、被計測物を撮影する第2組のカメラ系を構成する第3のカメラ及び第4のカメラについて、互いの位置関係に関する外部標定を行う第2外部標定ステップと、
(k)前記被計測物にラインレーザを照射するラインレーザ照射ステップと、
(l)前記ラインレーザが照射された被計測物を前記第3のカメラ及び前記第4のカメラでそれぞれ撮影して、前記第3のカメラによる第3の画像と、前記第4のカメラによる第4の画像とを得る第2組のカメラ系による画像撮影ステップと、
(m)前記第3の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を第3線分データとして抽出する第3線分データ抽出ステップと、
(n)前記第4の画像において、前記ラインレーザが撮影された部分を第4線分データとして抽出する第4線分データ抽出ステップと、
(o)前記第3の画像から抽出された前記第3線分データの中の一つの点を特徴点として選択する特徴点選択ステップと、
(p)前記第3の画像上で選択した前記特徴点に対応するエピポーラ線を前記第4の画像上に計算するエピポーラ線計算ステップと、
(q)前記第4の画像から抽出された前記第4線分データと前記エピポーラ線との交点を、前記第3の画像上で選択した前記特徴点と対応する対応点として決定する対応点決定ステップと、
(r)前記第3の画像における前記特徴点と、前記第4の画像における前記対応点とを用いて、前記特徴点及び前記対応点に該当する前記被計測物上の該当点の三次元座標を算出し、前記第2組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標系を得る第2組のカメラ系による三次元座標算出ステップと、
(s)前記第2組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標のうち、前記第1組のカメラ系における前記被計測物上の三次元座標と対応する少なくとも3つの三次元座標を選択し、前記選択した少なくとも3つの三次元座標について、前記第2組のカメラ系の三次元座標系から前記第1組のカメラ系の三次元座標系への座標変換関係を求める座標変換関係算出ステップと、
(t)得られた前記座標変換関係を用いて、前記第2組のカメラ系の三次元座標系を前記第1組のカメラ系の三次元座標系に座標変換して、前記第1組のカメラ系の三次元座標系に基づく前記被計測物の三次元座標を得る、座標変換ステップと、
を含む、非接触三次元計測方法。
【請求項24】
前記座標変換関係算出ステップにおいて、前記選択した少なくとも3つの三次元座標について、前記第2組のカメラ系の三次元座標系から前記第1組のカメラ系の三次元座標系への相似変換の関係に基づいて、座標変換関係を求める、請求項23に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項25】
前記第2組のカメラ系の三次元座標系N(x,y,z)から前記第1組のカメラ系の三次元座標系M(x,y,z)への前記相似変換は、下記式で表される、請求項24に記載の非接触三次元計測方法。
=sR(N−t)
Mi:第1組のカメラ系の三次元座標(座標ベクトル)
Ni:第2組のカメラ系の三次元座標(座標ベクトル)
s:スケール(スカラー値)
R:回転行列
t:並進ベクトル
【請求項26】
第1組のカメラ系による前記ラインレーザ照射ステップにおいて、前記第1のカメラと前記第2のカメラとを結ぶ直線と交差するように前記被計測物にラインレーザを照射する、請求項23から25のいずれか一項に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項27】
第2組のカメラ系による前記ラインレーザ照射ステップにおいて、前記第3のカメラと前記第4のカメラとを結ぶ直線と交差するように前記被計測物にラインレーザを照射する、請求項23から26のいずれか一項に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項28】
第1組のカメラ系による三次元座標算出ステップ(i)に続いて、
(i−2)前記第1画像から抽出された前記第1線分上の点すべてに対して、前記ステップ(f)〜前記ステップ(i)を繰り返して、前記被計測物のラインレーザが照射されたライン部分の全体に対して三次元座標を算出する三次元座標算出ステップ
をさらに含む、請求項23から27のいずれか一項に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項29】
第1組のカメラ系による前記ラインレーザ照射ステップ(b)において、前記ラインレーザを前記被計測物にわたって走査するラインレーザ走査ステップをさらに含み、前記ラインレーザを照射するごとに、前記ステップ(c)〜前記ステップ(i−2)を繰り返して、前記被計測物の全体を走査する、請求項28に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項30】
第1組のカメラ系による前記ラインレーザ照射ステップ(b)において、前記ラインレーザを照射方向の所定の軸について回転させて前記被計測物に照射するラインレーザ走査ステップをさらに含み、前記ラインレーザを回転させて前記被計測物に照射するごとに、前記ステップ(c)〜前記ステップ(i−2)を繰り返す、請求項28に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項31】
第2組のカメラ系による三次元座標算出ステップ(s)に続いて、
(s−2)前記第3画像から抽出された前記第3線分上の点すべてに対して、前記ステップ(o)〜前記ステップ(s)を繰り返して、前記被計測物のラインレーザが照射されたライン部分の全体に対して三次元座標を算出する三次元座標算出ステップ
をさらに含む、請求項23から30のいずれか一項に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項32】
第2組のカメラ系による前記ラインレーザ照射ステップ(k)において、前記ラインレーザを前記被計測物にわたって走査するラインレーザ走査ステップをさらに含み、前記ラインレーザを照射するごとに、前記ステップ(l)〜前記ステップ(s−2)を繰り返して、前記被計測物の全体を走査する、請求項31に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項33】
第2組のカメラ系による前記ラインレーザ照射ステップ(k)において、前記ラインレーザを照射方向の所定の軸について回転させて前記被計測物に照射するラインレーザ走査ステップをさらに含み、前記ラインレーザを回転させて前記被計測物に照射するごとに、前記ステップ(l)〜前記ステップ(s−2)を繰り返す、請求項31に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項34】
第1組のカメラ系による前記対応点決定ステップ(h)において、前記エピポーラ線と前記第2線分データとの交点が2つ以上存在する場合、前記ラインレーザを前記第1の画像上の前記特徴点に該当する前記被計測物上の該当点への照射方向の軸について回転させて照射して、前記第2の画像上で前記エピポーラ線と前記第2線分データとの単一の交点を前記特徴点と対応する対応点として決定する、請求項23から33のいずれか一項に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項35】
第2組のカメラ系による前記対応点決定ステップ(q)において、前記エピポーラ線と前記第4線分データとの交点が2つ以上存在する場合、前記ラインレーザを前記第3の画像上の前記特徴点に該当する前記被計測物上の該当点への照射方向の軸について回転させて照射して、前記第4の画像上で前記エピポーラ線と前記第4線分データとの単一の交点を前記特徴点と対応する対応点として決定する、請求項23から34のいずれか一項に記載の非接触三次元計測方法。
【請求項36】
前記ラインレーザは、複数の色のラインレーザを併用することを特徴とする、請求項1から7、17から22のいずれか一項に記載の非接触三次元計測装置。
【請求項37】
前記ラインレーザを照射するステップにおいて、前記ラインレーザとして複数の色のラインレーザを併用することを特徴とする、請求項8から16、23から35のいずれか一項に記載の非接触三次元計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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