説明

非接触印刷のための平面状試験基体

非接触印刷のための本質的に平面状の試験基体を提供する。この基体は、第1の表面エネルギーを有し平面状測定部分を有する第1の層を有する。第1の層の少なくとも測定部分上に液体閉じ込めパターンが存在する。液体閉じ込めパターンは、第1の表面エネルギーとは異なる第2の表面エネルギーを有する。第1の層の測定部分と液体閉じ込めパターンとは合わせて実質的に平面状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に非接触印刷のための試験基体に関する。この基体は、プロセスおよび配合の変量を最適化するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス、光学デバイス、および生物医学デバイス−有機発光ダイオード(「OLED」)ディスプレイ、回路、トランジスタアレイ、高周波識別(「RFID」)タグ、センサー、カラーフィルター、薬物送達システムなどのパターン化のために非接触印刷方法が開発されている。典型的には、これらは、均一な乾燥厚さを有するパターン化された印刷層を正確に堆積する必要がある。非常に高解像度であり、多くの表面上に適用できると言う理由で、印刷パターンを画定する興味深い手段の1つでは、反応性界面活性材料が使用される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】CRC化学物理ハンドブック第81版(CRC Handbook of Chemistry and Physics,81st Edition)(2000−2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷された材料のパターンの許容範囲、厚さ、および均一性は、プロセス変量(たとえば、印刷ヘッド速度、インク流速、温度、ノズル設計)、液体インクの配合(たとえば、溶媒および溶質の濃度、粘度、表面張力)、基体設計(たとえば、界面化学および表面粗さ、ぬれが望ましい部分と防止される部分とのパターン)、およびインクの乾燥に依存し、これらは複雑に関連している。これらの変量を同時に最適化し、それによって印刷品質を最適化するための効率的な手段が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本質的に平面状の試験基体であって:
第1の表面エネルギーを有し平面状測定部分を有する第1の層と、
第1の層の少なくとも測定部分上の、第2の表面エネルギーを有する液体閉じ込めパターンとを含み、
第1の層の測定部分と液体閉じ込めパターンとは合わせて実質的に平面状であり、第2の表面エネルギーが第1の表面エネルギーとは顕著に異なる試験基体を提供する。
【0006】
以上の概要および以下の詳細な説明は、単に例示的および説明的なものであり、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明を限定するものではない。
【0007】
本明細書において提示される概念の理解をすすめるために、添付の図面において実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】接触角の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
当業者であれば理解しているように、図面中の物体は、平易かつ明快にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。たとえば、実施形態を理解しやすくするよう視覚的な明解さのために、図面中の一部の物体の寸法が他の物体よりも誇張されている場合がある。
【0010】
多数の態様および実施形態を以上に説明してきたが、これらは単に例示的で非限定的なものである。本明細書を読めば、本発明の範囲から逸脱しない他の態様および実施形態が実現可能であることが、当業者には分かるであろう。
【0011】
いずれか1つまたは複数の本発明の実施形態のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。この詳細な説明は、最初に、用語の定義および説明を扱い、続いて、第1の層、閉じ込めパターン、基準マーク、印刷、および最後に実施例を扱う。
【0012】
(1.用語の定義および説明)
以下に説明する実施形態の詳細を扱う前に、一部の用語について定義または説明を行う。
【0013】
有機化合物に言及する場合の用語「フッ素化」は、その化合物中の1つまたは複数の水素原子がフッ素で置き換えられていることを意味することを意図している。この用語は、部分フッ素化材料および完全フッ素化材料を含んでいる。
【0014】
用語「放射する/放射」は、このような放射が放射線、波、または粒子のいずれの形態であるかとは無関係に、あらゆる形態の熱、電磁スペクトル全体の範囲内、たとえば亜原子粒子などのあらゆる形態のエネルギーを与えることを意味する。
【0015】
用語「反応性界面活性組成物」は、放射線感受性である少なくとも1つの材料を含む組成物であって、層に適用すると、その層の表面エネルギーが低下する組成物を意味することを意図している。反応性界面活性組成物を放射線に露光すると、その組成物の少なくとも1つの物理的性質が変化する。この用語は「RSA」と略記され、放射線への露光前および露光後の両方の組成物を意味する。
【0016】
材料に言及する場合の用語「放射線感受性」は、放射線に露光すると、材料の少なくとも1つの化学的性質、物理的性質、または電気的性質が変化することを意味することを意図している。
【0017】
用語「表面エネルギー」は、材料から単位面積の表面を形成するために必要なエネルギーである。表面エネルギーの特徴の1つは、ある表面エネルギーを有する液体材料が、それより低い表面エネルギーを有する表面をぬらさないということである。液体の表面張力も本明細書においては表面エネルギーと呼ぶ。
【0018】
表面エネルギーに言及する場合の用語「顕著に異なる」は、第1の表面エネルギーを有する第1のフィルム上のフェニルヘキサンの接触角が、第2の表面エネルギーを有する第2のフィルム上のフェニルヘキサンの接触角と少なくとも10°異なることを意味することを意図している。
【0019】
用語「層」は、用語「フィルム」と交換可能に使用され、希望する領域を覆うコーティングを意味する。この用語は大きさによって限定されない。この領域は、デバイス全体の大きさであってもよいし、実際の視覚的表示などの特殊な機能領域の小ささ、または1つのサブピクセルの小ささであってもよい。層およびフィルムは、気相堆積、液相堆積(連続的技術および不連続技術)、および熱転写などの従来のあらゆる堆積技術によって形成することができる。
【0020】
用語「液体組成物」は、材料が溶解して溶液を形成する液体媒体、材料が分散して分散液を形成する液体媒体、あるいは材料が懸濁して懸濁液またはエマルジョンを形成する液体媒体を意味することを意図している。「液体媒体」は、溶媒または担体流体を加えなくても液体である材料、すなわち、その凝固温度よりも高温における材料を意味することを意図している。
【0021】
用語「測定部分」は、印刷試験が行われる試験基体の部分を意味する。測定部分は、試験基体全体の大きな部分を表す場合も小さい部分を表す場合もある。
【0022】
用語「液体閉じ込めパターン」は、工作物内または工作物上のパターンであって、そのような1つまたは複数のパターンが、単独で、または集合的に、工作物上を液体が流れるときに、ある領域内または範囲内に液体を束縛または案内する主機能を果たすパターンを意味することを意図している。
【0023】
第1の層および閉じ込めパターンに言及する場合の用語「実質的に平面状」は、第1の層および閉じ込めパターンの高さのばらつきが、追加層の臨界寸法の測定を妨害しないことを意味することを意図している。一実施形態においては、実質的に平面状の閉じ込めパターンの厚さは100Å以下である。一実施形態においては、この厚さは10Å以下である。
【0024】
用語「液体媒体」は、純液体、複数の液体の組み合わせ、溶液、分散液、懸濁液、およびエマルジョンなどの液体材料を意味することを意図している。液体媒体は、1つまたは複数のいずれの溶媒が存在するかとは無関係に使用される。
【0025】
本明細書において使用される場合、用語「含んでなる」、「含んでなること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」、またはそれらの他のあらゆる変形は、非排他的な包含を扱うことを意図している。たとえば、ある一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素にのみに必ずしも限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に関して明示されず固有のものでもない他の要素を含むことができる。さらに、反対の意味で明記されない限り、「または」は、包含的なまたはを意味するのであって、排他的なまたはを意味するのではない。たとえば、条件AまたはBが満たされるのは、Aが真であり(または存在し)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)Bが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによってである。
【0026】
また、本発明の要素および成分を説明するために「a」または「an」も使用されている。これは単に便宜的なものであり、本発明の一般的な意味を提供するために行われている。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものと読むべきであり、明らかに他の意味となる場合を除けば、単数形は複数形も含んでいる。
【0027】
元素周期表中の縦列に対応する族の番号は、(非特許文献1)に見ることができる「新表記法」(New Notation)の規則を使用している。
【0028】
特に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を使用して、本発明の実施形態の実施または試験を行うことができるが、好適な方法および材料については以下に説明する。本明細書において言及されるあらゆる刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、特に明記しない限り、それらの記載内容全体が援用される。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。さらに、材料、方法、および実施例は、単に説明的なものであって、限定を意図したものではない。
【0029】
本明細書に記載されていない程度の、具体的な材料、処理行為、および回路に関する多くの詳細は従来通りであり、それらについては、有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光電池、および半導体要素の技術分野の教科書およびその他の情報源中に見ることができる。
【0030】
(2.第1の層)
試験基体中の第1の層は、印刷層が上に堆積される層である。第1の層は、印刷がその内部に用いられる実際のデバイスと同じ材料または非常に類似した材料でできている。
【0031】
ある実施形態においては、第1の層は支持体を含む。用語「支持体」は、剛性または可撓性のいずれであってもよく、1つまたは複数の材料の1つまたは複数の層を含むことができる母材を意味することを意図しており、このような材料としては、ガラス、ポリマー、金属、またはセラミック材料、あるいはそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
ある実施形態においては、第1の層は、支持体上の有機層を含む。この有機層は、デバイスの活性層であってよい。用語「活性材料」は、デバイスの動作を電子的に促進する材料を意味する。活性材料の例としては、電子または正孔のいずれであってもよい電荷を伝導、注入、輸送、または遮断する材料、あるいは、放射線を受けた場合に、放射線を放出したり電子−正孔対の濃度変化を示したりする材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。有機層は、デバイスの不活性層であってもよい。不活性材料の例としては、平坦化材料、絶縁材料、および環境障壁材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
ある実施形態においては、第1の層は、支持体上の無機層を含む。この無機層はデバイスの電極であってよい。
【0034】
第1の層の少なくとも測定部分は、ほぼ平坦で平面状である。これが、閉じ込めパターンが上に適用され印刷が試験される領域である。平面部分の外側の領域は、希望に応じて他の構造を有することができる。
【0035】
第1の層は、気相堆積技術、液相堆積技術、および熱転写技術などのあらゆる堆積技術によって形成することができる。一実施形態においては、第1の層は液相堆積技術によって堆積され、続いて乾燥される。この場合、第1の材料が、液体媒体中に溶解または分散される。液相堆積方法は、連続的であっても不連続であってもよい。連続液相堆積技術としては、スピンコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが挙げられるが、これらに限定されるものではない。不連続液相堆積技術としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、およびスクリーン印刷が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態においては、第1の層は連続液相堆積技術によって体積される。
【0036】
(3.閉じ込めパターン)
閉じ込めパターンは、第1の層の測定部分に適用される。閉じ込めパターンは、第1の層の表面エネルギーとは実質的に異なる表面エネルギーを有する。閉じ込めパターンの表面エネルギーは、第1の層の表面エネルギーよりも高い場合も低い場合もある。ある実施形態においては、閉じ込めパターンの表面エネルギーは第1の層の表面エネルギーよりも低い。
【0037】
第1の層と閉じ込めパターンとの間の表面エネルギーの差を使用することで、印刷される領域が画定される。ある実施形態においては、液体印刷組成物は、第1の層の表面エネルギーよりも低いが、閉じ込めパターンの表面エネルギーとほぼ同じまたはそれよりも高い表面エネルギーを有する。したがって、液体組成物は第1の層をぬらすが、閉じ込めパターン領域からはじかれる。印刷中、この液体は閉じ込めパターン上に押し付けられるが、ぬらすことはない。
【0038】
一実施形態においては、閉じ込めパターンは、あるパターンで低表面エネルギー材料(「LSE」)を第1の層上に適用することによって形成される。用語「低表面エネルギー材料」は、低表面エネルギーを有する層を形成する材料を意味することを意図している。LSEは、第1の層よりも低い表面エネルギーを有する閉じ込めパターンを形成する。一実施形態においては、LSEはフッ素化材料である。LSEは気相堆積または熱転写によって適用することができる。LSEは、液体組成物から不連続液相堆積技術によって適用することができる。
【0039】
一実施形態においては、液体閉じ込めパターンは、LSEのブランケット層を堆積することによって形成される。続いて、あるパターンでLSEが除去される。これは、たとえばフォトレジスト技術の使用、またはレーザーアブレーションによって行うことができる。一実施形態においては、LSEは熱に対して不安定であり、IRレーザーで処理することで除去される。
【0040】
一実施形態においては、閉じ込めパターンは、反応性界面活性組成物(「RSA」)を第1の層に適用することによって形成される。このRSAは、低表面エネルギーを有する放射線感受性組成物である。一実施形態においては、RSAはフッ素化材料である。放射線に露光すると、RSAの少なくとも1つの物理的性質および/または化学的性質が変化し、露光領域と未露光領域とで物理的な差が生じうる。RSAで処理すると、処理された材料の表面エネルギーが低下する。RSAをプライマー層に適用した後、あるパターンで放射線に露光して現像すると、露光領域または未露光領域が除去される。現像技術の例としては、加熱、液体媒体による処理、吸収材料による処理、粘着性材料による処理などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
一実施形態においては、放射線に露光すると、RSAが下にある第1の層と反応する。この反応の厳密な機構は、使用される材料に依存する。放射線に露光した後、前述のような好適な現像手段によって未露光領域のRSAが除去される。ある実施形態においては、RSAは未露光領域でのみ除去される。ある実施形態においては、RSAは、露光領域においても部分的に除去され、それらの領域内では、より薄い層が残留する。ある実施形態においては、露光領域において残存するRSAは50Å未満の厚さとなる。ある実施形態においては、露光領域中に残存するRSAは、実質的に単層の厚さである。
【0042】
(4.基準マーク)
臨界寸法の測定を妨害しない閉じ込めパターンは、印刷および測定装置を正確に位置合わせするときに配置が困難である場合が多い。したがって、ある実施形態においては、試験基体は、プリンタ、自動測定システムなどの位置合わせが可能な目に見える基準マークを含む。これらのマークは、信頼性があり試験基体の後の処理によって劣化しない方法で、印刷、エッチング、刻印、またはその他の適用を行うことができる。一実施形態においては、位置合わせマークは、フォトリソグラフィ法を使用してエッチングされる。閉じ込めパターンの形成にRSAが使用される場合、閉じ込めパターンと基準マークの解像度および精度はほぼ同じになる。
【0043】
(5.印刷)
非接触印刷の種類としては、インクジェット印刷、連続ノズル印刷、およびそれらの変形が挙げられる
【0044】
多くの場合、印刷は、平面ではない基体上で行う必要があり、すなわち基体は印刷される公称面とは異なる高さの構造を有する。構造は、回路によるものである場合もあるし、特定の領域にインクを閉じ込める必要がある場合もあるし、その他の要因がある場合もある。構造が存在する場合、印刷材料の限界寸法の測定が困難となることが多い。臨界寸法としては、乾燥層厚さ、線幅、線の位置対所望の位置等が挙げられる。乾燥させた印刷層の寸法が、構造の寸法よりもはるかに小さくなりうる場合に問題が生じ、印刷された材料の厚さ(および特に厚さの均一性)を測定する場合に特にこのことが言える。したがって、構造のばらつきによって、印刷された層にばらつきが生じ、そのようなばらつきにおって測定または定量が困難となりうる。
【0045】
本明細書に記載される新規平面状試験基体は、フィルム厚さおよび均一性の明確な測定が行われる。測定領域中の閉じ込めパターンおよび第1の層は実質的に平面である。位置合わせマークなどの他の高さがばらつく部分は、測定領域の外側に配置される。
【0046】
プロセス能力を特徴付ける測定基準の1つは、確実に印刷できる最小の特徴を測定することである。この測定を行うための閉じ込めパターンは、種々の大きさの特徴を有し、それらの特徴の間には種々の距離が存在する。まとめると、特徴の大きさおよび間隔によって印刷可能な解像度が特徴付けられる。
【0047】
別の測定基準の1つは、特徴(ディスプレイのピクセル、回路、薬用パッチなど)を印刷するために利用可能な空間と、望ましくないオーバープリント(色の混合、短絡、化学汚染、クロストークなど)を防止するために印刷される特徴間に必要なマージンとの比率である。これは、フィルファクター、または口径比と呼ばれることもある。試験基体上で、印刷に利用可能な空間は、インクがぬらす領域に相当し、マージンはインクがはじかれる領域に相当する。本発明の閉じ込めパターンは、種々のフィルファクターを有するパターンを含む。
【0048】
他の測定基準は、インクが拡散して、楕円、長方形、くびれ、発散する直線および曲線などの単純な直線以外の種々の幾何学パターンを満たす能力などの、印刷される形状に基づいて推測することができる。一例は、閉じ込めパターンによって画定される回路線内で曲がる直角の周囲をインクが流れる能力の試験である。
【0049】
これらの試験パターンのすべては、対象となる最小寸法の信頼性のある測定が可能となる十分な距離で分離され、典型的にはこれらの寸法は数ミクロンまたは数ミリメートル程度である。統計的に有意な数の試料の印刷に必要な費用および時間を削減するために、本発明は、比較的広い面積にわたって均一に評価できる方法で測定を繰り返すことができる多くの繰り返しパターンを含んでいる。「広い面積」の解釈は、印刷されるデバイスによって変動するが、典型的には数ミリメートル、数センチメートル、または数メートル程度である。
【実施例】
【0050】
本明細書に記載される概念を、以下の実施例においてさらに説明するが、この実施例によって、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲が限定されるものではない。
【0051】
(実施例)
この実施例では、試験基体の作製、および適切な処理ツールを選択するためのそれらの使用について説明する。
【0052】
厚さ0.7mmのガラスの15cm平方の2枚のシートの一方の面に約130nmのITOをスパッタコーティングした。印刷および厚さ測定の位置合わせ目標を形成するために、フォトリソグラフィによってITOにパターン化した。このITOは、印刷および厚さ測定が行われる測定部分にはパターン化しなかった。住友化学(Sumitomo Chemical Co.)(東京)のHT12のコーティングを、トルエン中約0.4%w/vからのスピンコーティングによって適用して、約20nmの乾燥厚さを得た。これらのコーティングを、窒素パージした200Cの対流式オーブン中で硬化させた。5mlの溶液を適用し600rpmで60秒間回転させることによって、パーフルオロオクタン中のヘンイコサフルオロアクリル酸ドデシル(HFDA)の約3%w/v溶液を、硬化させたプライマーコーティング上にスピンコーティングした。HFDAを適用するために2つの異なるスピンコーターのコーターHおよびコーターCを使用した(試験基体の領域上に印刷される線幅の均一性を測定するためにこれらのコーターの性能を比較することがこの試験の目的であった)。ITO層の位置合わせ位置に合わせた、0.106mmの間隔が開いた平衡性のパターンを形成するフォトマスクを通して、基体を、公称波長360nmの平行紫外線10J/cm2に露光した。フォトマスクを通過した放射線をHFDAが受ける領域内では、HFDAとプライマーコーティングの表面とのグラフト化が起こった。プライマーコーティングにグラフト化しなかったHFDAは、窒素パージした対流式オーブン中130Cで30分間蒸発させることによって除去した。これによって、以下に示す特徴(印刷レーン)のサイズを有する6つの印刷パターンを有する平面上試験基体を作製した。インクは印刷レーン内の表面をぬらし、印刷レーンの外側では非ぬれ性となる。この非ぬれ性表面の均一性から、印刷された線幅の均一性が求められる。
【0053】
出光興産(Idemitsu Kosan Ltd.)(日本国、千葉県(Chiba,Japan))のBH215およびBD119を含有する発光インクを、90%のトルエンおよび10%の3,4−ジメチルアニソールとの混合物から、DNSノズルプリンタを使用して、11ミクロンノズルから43マイクロリットル/分において、3m/秒ノズル速度で印刷した。印刷されたインクの線は、空気中周囲温度で乾燥させた。板の幅に沿った7つの位置で6つの印刷パターンのそれぞれから約40本の線を抽出して、ビーコ(Veeco)NT3300光学プロフィロメータを使用して乾燥したインクの線の幅を測定した。以下の表に結果を示す。
【0054】
【表1】

【0055】
すべての場合で、コーターCで得られた閉じ込め表面の均一性によって、より小さい標準偏差を有する印刷線が得られている。HFDA溶液の適用にはコーターCが好ましい。
【0056】
概要または実施例において前述したすべての行為が必要なわけではなく、特定の行為の一部は不要である場合があり、1つまたは複数のさらに別の行為が、前述の行為に加えて実施される場合があることに留意されたい。さらに、行為が列挙されている順序は、必ずしもそれらが実施される順序ではない。
【0057】
以上の明細書において、具体的な実施形態を参照しながら本発明の概念を説明してきた。しかし、当業者であれば、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の修正および変更を行えることが理解できよう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく説明的なものであると見なすべきであり、すべてのこのような修正は本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0058】
特定の実施形態に関して、利益、その他の利点、および問題に対する解決法を以上に記載してきた。しかし、これらの利益、利点、問題の解決法、ならびに、なんらかの利益、利点、または解決法を発生させたり、より顕著にしたりすることがある、あらゆる特徴が、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての重要、必要、または本質的な特徴であるとして解釈すべきではない。
【0059】
本明細書において明記される種々の範囲内の数値が使用される場合、記載の範囲内の最小値および最大値の両方の前に単語「約」が付けられているかのように近似値として記載されている。この方法では、記載の範囲よりもわずかに上およびわずかに下のばらつきを使用して、その範囲内の値の場合と実質的に同じ結果を得ることができる。また、これらの範囲の開示は、ある値の一部の成分を異なる値の一部の成分と混合した場合に生じうる分数値を含めて、最小平均値と最大平均値との間のすべての値を含む連続した範囲であることを意図している。さらに、より広い範囲およびより狭い範囲が開示される場合、ある範囲の最小値を別の範囲の最大値と一致させること、およびその逆のことが本発明の意図の範囲内となる。
【0060】
別々の実施形態の状況において、明確にするために本明細書に記載されている特定の複数の特徴は、1つの実施形態の中でまたは他の実施形態の中で組み合わせても提供できることを理解されたい。逆に、簡潔にするため1つの実施形態の状況において説明した種々の特徴も、別々に提供したり、あらゆる副次的な組み合わせで提供したりすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に平面状の試験基体であって:
第1の表面エネルギーを有し平面状測定部分を有する第1の層と、
前記第1の層の少なくとも前記測定部分上の液体閉じ込めパターンであって、第2の表面エネルギーを有する液体閉じ込めパターンと
を含み、
前記第1の層の前記測定部分と前記液体閉じ込めパターンとは合わせて実質的に平面状であり、前記第2の表面エネルギーが前記第1の表面エネルギーとは顕著に異なることを特徴とする試験基体。
【請求項2】
前記第1の層が支持体を含むことを特徴とする請求項1に記載の試験基体。
【請求項3】
前記第1の層が支持体上の有機層を含むことを特徴とする請求項1に記載の試験基体。
【請求項4】
前記有機層が少なくとも1つの活性材料を含むことを特徴とする請求項3に記載の試験基体。
【請求項5】
前記有機層が少なくとも1つの不活性材料を含むことを特徴とする請求項3に記載の試験基体。
【請求項6】
前記第1の層が無機層を含むことを特徴とする請求項1に記載の試験基体。
【請求項7】
前記第1の層が、気相堆積、液相堆積、および熱転写からなる群から選択される技術によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の試験基体。
【請求項8】
前記閉じ込めパターンが、前記第1の層よりも高い表面エネルギーを有することを特徴とする請求項1に記載の試験基体。
【請求項9】
前記閉じ込めパターンが、前記第1の層よりも低い表面エネルギーを有することを特徴とする請求項1に記載の試験基体。
【請求項10】
前記閉じ込めパターンがLSE材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の試験基体。
【請求項11】
前記LSE材料がフッ素化されていることを特徴とする請求項10に記載の試験基体。
【請求項12】
液体印刷組成物をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の試験基体。
【請求項13】
前記液体印刷組成物が、前記第1の層の表面エネルギーよりも低いが、前記閉じ込めパターンの表面エネルギーとほぼ同じかそれよりも大きい表面エネルギーを有することを特徴とする請求項12に記載の試験基体。
【請求項14】
前記液体閉じ込めパターンがRSA組成物を含むことを特徴とする請求項1に記載の試験基体。
【請求項15】
前記RSA組成物がフッ素化されていることを特徴とする請求項14に記載の試験基体。
【請求項16】
本質的に平面状の試験基体上に閉じ込めパターンを形成する方法であって、前記試験基体が、第1の表面エネルギーを有し平面状測定部分を有する第1の層と、前記第1の層の少なくとも前記測定部分上の、第2の表面エネルギーを有する液体閉じ込めパターンとを含み、
前記第1の層の前記測定部分と前記液体閉じ込めパターンとは合わせて実質的に平面状であり、前記第2の表面エネルギーが前記第1の表面エネルギーとは顕著に異なり、
前記閉じ込めパターンを形成するために、RSA組成物を前記第1の層に適用するステップと、
前記RSA組成物を放射線にパターン露光するステップであって、それによって前記閉じ込めパターンの一部が露光し、一部が未露光となるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
放射線への露光後に前記RSA組成物を現像して、前記露光領域または前記未露光領域のいずれかを除去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記RSA組成物がフッ素化されていることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
現像が、加熱、液体組成物による処理、吸収材料による処理、および粘着性材料による処理からなる群から選択される技術を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
放射線に露光すると前記RSA組成物が前記第1の層と反応し、露光後に前記RSA組成物を現像して、前記未露光領域内の前記RSA組成物を除去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
露光後に前記RSA組成物を現像して、前記露光領域内のRSA組成物を部分的に除去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−540577(P2009−540577A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514411(P2009−514411)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/013583
【国際公開番号】WO2007/146170
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】