説明

非接触受電装置

【課題】受動側コイルから負荷装置に供給される電圧あるいは電流が上昇した場合でも負荷装置が破損・焼損することのない安全性の高い非接触受電装置を提供することを目的とする。
【解決手段】受電コイル28で受電して冷却ファン30やペルチェ素子31に供給する電圧あるいは電流を検知する過負荷検知手段37を設け、過負荷検知手段37で検知した電圧あるいは電流が、第1所定値異常になったときに、受電量制御手段39で受電コイル28の受電量を低下させることで、冷却ファン30やペルチェ素子31が異常加熱等による損傷あるいは異常な動作等による不安全になるのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として一般家庭で使用されている誘導加熱調理器を利用して発生する電力により動作する非接触受電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、火を使わず、燃焼ガスの出ない安全でクリーンな加熱装置として、誘導加熱調理器が普及してきている。この誘導加熱調理器は、誘導加熱のための加熱コイルと、加熱コイルに高周波電流を制御可能に供給する制御回路とを備えている。
【0003】
そして、誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して発生する電力により動作する非接触受電装置が種々提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
非接触受電装置の一例として、ペルチェ素子を用いた冷却装置が提案されており、図4は冷却装置の断面図である。
【0005】
誘導加熱調理器は、キッチンの天板やダイニングテーブル板である天板1の裏側に高周波誘導磁界発生コイル2を備えている。
【0006】
冷却装置3は、前記天板1の上に着脱自在に載置される構成であり、下部に作動部4を備え、前記作動部4には、上面開口の収容部が形成され、前記収容部に前記容器部5の底部を挿脱自在に挿入するよう構成されている。前記容器部5は、飲料等を収容する片手で持ち運び可能なコップ状をなしている。前記作動部4は、前記誘導加熱調理器の高周波誘導磁界発生コイル2の磁界によって誘起電力を発生する受動側コイル6、この受動側コイル6によって発生する直流電流によって作動するペルチェ素子7、回路基板8および放熱用送風機9、更に前記ペルチェ素子7の放熱用ヒートシンク10を備えている。
【0007】
前記ペルチェ素子7の吸熱側の上面には、薄い電気絶縁材を介して熱良導板11が接合されており、前記熱良導板11が前記収容部の底面を形成し、前記作動部4の収容部に前記容器部5の底部を挿入した状態で、前記容器部5の底面壁が前記熱良導板11に当接するよう構成されている。
【0008】
そして、天板1上に冷却装置3を載置すると、高周波誘導磁界発生コイル2の磁界中に位置する冷却装置3の受動側コイル6に誘起電力が発生し、受動側コイル6に発生した誘起電力によって、ペルチェ素子7が作動し、容器部5の飲料物等の被冷却物を冷却する。この冷却装置3は、電源コードを必要としないため、冷却装置3の持ち運びが便利であると共に、キッチンやダイニングなどの設備として普及している誘導加熱調理器の利用範囲を拡大できる。
【0009】
また、天板1上に載置される冷却装置3は、下部に作動部4を備えることによって、冷却装置3の重心が低下し、安定して設置することができる。また、冷却装置3は、作動部4が容器部5の底部を着脱自在に収容する上面開口の収容部を備えるため、容器部5の着脱操作がし易く、使い勝手がよい。
【0010】
このため、飲料等を容器部5に入れる作業や、冷却された飲料等を他の容器に移す作業等を、容器部5を取り外して行うことができ、作業性を向上することができる。
【0011】
また、容器部5を取り外して洗うことができるため、洗う際に下部の作動部4へ水が掛
かることもなく安全である。更に、放熱用送風機9への電力は、ペルチェ素子7への電力と同じ直流を利用することができ、受動側コイル6に発生する誘起電力を利用して、ペルチェ素子7とともに放熱用送風機9に給電できる。従って、放熱用送風機9への電力供給の電源コードも不要であり、また、スイッチによるオン、オフ制御も必要なく、使い勝手も便利なものとなる。更に、容器部5が片手で持ち運び可能なコップ状であるため、持ち運びが便利であり、利用し易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第4744242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来の構成では、高周波誘導磁界発生コイル2の高周波磁界によって受動側コイル6に発生する電圧は、高周波誘導磁界発生コイル2の高周波磁界の変化によって大きく変動する。具体的には、使用者の操作による高周波誘導磁界発生コイル2の出力の強弱設定操作に加え、冷却装置3を誘導加熱調理器に載置する際の誘導加熱調理器に対する冷却装置3の位置ずれによって生じる高周波誘導磁界発生コイル2と受動側コイル6の位置関係の変動によって、受動側コイル6が受ける高周波誘導磁界発生コイル2の高周波磁界が変化し、受動側コイル6より供給される電圧は大きく変動する。
【0014】
そのため、受動側コイル6より供給される電圧の変動によって、ペルチェ素子7及び放熱用送風機9は、例えば、過電圧となって、性能が損なわれ、著しい場合には、ペルチェ素子7や放熱用送風機9が破損するなど不安全となる虞があった。
【0015】
特に、ペルチェ素子7は、2種類の金属の接合部に電流を流すと、片方の金属からもう片方へ熱が移動するというペルチェ効果を利用した板状の半導体素子で、冷却側で吸収する総熱量が総供給電力(W)に相当する熱量と合算され、放熱側に放出されるよう構成されている。従って、ペルチェ素子7に供給される電力、すなわち消費する電力が大きくなりすぎると、冷却側と放熱側との間に温度差がとれた状態でも、放熱側の温度が高くなる。放熱側の温度が高くなった状態で、放熱側の冷却が不十分なまま負荷をかけ続けると、吸熱側の冷却効率が落ちるばかりでなく、ペルチェ素子自体が破損・焼損する虞がある。
【0016】
具体的には、受動側コイル6から供給される電圧が低い状態に変動する場合は、放熱用送風機9による放熱用ヒートシンク10の冷却量が減少すると、ペルチェ素子7の発熱も減少するため、ペルチェ素子7の吸熱部の冷却効率が減少するだけである。これに対し、受動側コイル6より供給される電圧が高い状態に変動する場合には、ペルチェ素子7の発熱が増えるのに対して、放熱用送風機9による放熱用ヒートシンク10の冷却量が追随して増えないため、ペルチェ素子7の吸熱部の冷却効率が落ちるばかりでなく、ペルチェ素子自体が破損・焼損してしまう危険性がある。
【0017】
さらに、受動側コイル6より供給される電圧が過電圧となって、放熱用送風機9の性能が損なわれ、万一、放熱用送風機9が破損してしまうと、ペルチェ素子7も破損・焼損してしまう問題があった。
【0018】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、受動側コイルから負荷装置に供給される電圧あるいは電流が増大した場合でも、負荷装置が破損・焼損することのない安全性の高い非接触受電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記従来の課題を解決するために、本発明の非接触受電装置は、誘導加熱調理器に着脱自在に載置され前記誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を受電する受電コイルと、前記受電コイルによって受電された電力によって作動する負荷装置と、前記負荷装置に電力を供給し制御する制御部とを備え、前記制御部は、受電コイルで受電して前記負荷装置に供給する電圧あるいは電流を検知する過負荷検知手段と、前記過負荷検知手段で検知した電圧あるいは電流が、第1所定値以上となったときに、前記受電コイルの受電量を低下させる受電量制御手段を設けた構成としている。
【0020】
上記した構成により、過負荷検知手段と、過負荷検知手段で検知した電圧あるいは電流が、第1所定値以上となったときに、受電量制御手段で受電コイルの受電量を低下させることで、負荷装置が異常加熱等による損傷あるいは異常な動作等によって不安全になるのを防止することができるようになる。
【0021】
特に、使用者の操作による誘導加熱調理器の出力の強弱設定操作や、誘導加熱調理器に対する非接触充電装置の載置位置のずれにより受電コイルから供給される電圧に大きな変動が生じ、過電圧になった場合でも、過負荷検知手段で電圧あるいは電流を検知して、受電量制御手段により受電コイルの受電量を低下させることで、負荷装置の損傷あるいは異常な動作等による不安全にならないようにすることができるとともに、非接触受電装置を継続して使用し続けることが出来るようになる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の非接触受電装置は、誘導加熱調理器の出力の強弱設定操作等によって、受電コイルから負荷装置に供給される電圧に大きな変動が生じ、過電圧になった場合でも、電圧あるいは電流を過負荷検知手段で検知し、受電量制御手段によって受電コイルの受電量を低下させることで、非接触受電装置を継続して安全に使用し続けることができ、使い勝手のよい機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態における誘導加熱調理器に載置した冷却装置の要部断面図
【図2】同誘導加熱調理器の制御ブロック図
【図3】同誘導加熱調理器と冷却装置の制御ブロック図
【図4】従来例における冷却装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
従来の課題を解決するために、第1の発明の非接触受電装置は、誘導加熱調理器に着脱自在に載置され前記誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を受電する受電コイルと、前記受電コイルによって受電された電力によって作動する負荷装置と、前記負荷装置に電力を供給し制御する制御部とを備え、前記制御部は受電コイルで受電して前記負荷装置に供給する電圧あるいは電流を検知する過負荷検知手段と、前記過負荷検知手段で検知した電圧あるいは電流が、第1所定値以上になったときに、前記受電コイルの受電量を低下させる受電量制御手段を設けた構成としている。
【0025】
そして、過負荷検知手段で検知した電圧あるいは電流が、第1所定値以上となったときに、受電量制御手段によって受電コイルの受電量を低下させることで、負荷装置が異常加熱等による損傷あるいは異常動作等による不安全になるのを防止することができるようになる。
【0026】
特に、使用者の操作による誘導加熱調理器の出力の強弱設定操作や、非接触受電装置の誘導加熱調理器に対する載置位置ずれ等によって受電コイルから供給される電圧に大きな
変動が生じ、過電圧になった場合でも、電圧あるいは電流を過負荷検知手段で検知して、受電量制御手段によって受電コイルの受電量を低下させることで、損傷あるいは異常動作等による不安全になるのを防止することができるとともに、非接触受電装置を継続して使用し続けることができるようになる。
【0027】
また、第2の発明の非接触受電装置は、特に第1の発明の過負荷検知手段で検知した電圧あるいは電流が、前記第1所定地より高い第2所定値以上となったときに、前記受電コイルの回路を開回路とする安全制御手段を配設した構成としている。
【0028】
そして、過負荷検知手段で検知した電圧あるいは電流が、第1所定値以上となったときに、受電量制御手段で受電コイルの受電量を低下させる。さらに、使用者の操作による誘導加熱調理器の出力の強弱設定操作など何らかの原因で過負荷検知手段の検知した電圧あるいは電流が上昇して、第2所定値以上となったときに、安全制御手段で受電コイルの回路を開回路として、負荷装置が異常加熱等による損傷あるいは異常動作等による不安全になるのを防止している。つまり、何らかの原因で過負荷検知手段の検知した電圧あるいは電流が上昇しても、負荷装置の使用可能な電圧あるいは電流に調整可能な範囲内は受電量を低下させ、継続して使用できるようにして(即ち、過負荷検知手段が第1所定値以下になるように)、そして不安全になる前に負荷装置を停止して(即ち、過負荷検知手段が第2所定値以上になったとき)、使用性の向上と安全性の確保をすることができる。
【0029】
また、第3の発明の非接触受電装置は、特に第1または第2の発明の負荷装置が、受電コイルによって受電された電流によって作動するペルチェ素子と、ペルチェ素子を冷却する冷却手段とから構成している。
【0030】
そして、受電コイルによって誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を受電した電流で、ペルチェ素子が作動し、ペルチェ素子の放熱面を冷却手段で冷却する。
【0031】
また、ペルチェ素子および冷却手段は、誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を受電する受電コイルの電流によって作動するので、電源部が不要となり、構成を簡素化でき、コンパクトで、安価に構成でき、さらに、コードレスにすることができ、使い勝手のよい機器を提供することができる。
【0032】
また、第4の発明の非接触受電装置は、特に第1〜3のいずれか1つの発明の受電量制御手段が受電コイルのターン数を切り替える切り替え手段を有し、切り替え手段によって受電コイルの受電量を低下させる構成としている。
【0033】
そして、受電量制御手段は受電コイルのターン数を切り替える切り替え手段を配設し、切り替え手段で受電コイルのターン数を切り替えるので、簡単な構成で電コイルの受電量を調整することができる。
【0034】
つまり、受電コイルのターン数に対応して受電量は変化し、受電コイルのターン数が多くなれば受電量は増し、ターン数が少なくなれば受電量は減少するので、過負荷検知手段で検知した電圧あるいは電流が、第1所定値以上になったときに、受電量制御手段が、切り替え手段で受電コイルのターン数を少なくなるように切り替えることにより、負荷装置を継続して使用できるようになる。
【0035】
また、第5の発明の非接触受電装置は、特に第1〜3のいずれか1つの発明の受電コイルの受電量を低下させる受電量制御手段が受電コイルのターン数を切り替える切り替え手段を有し、切り替え手段は手動切り替え可能な構成としている。
【0036】
さらに、第6の発明の被接触受電装置は、特に第1〜5のいずれか1つの発明の受電コイルのターン数を切り替えて受電コイルの受電量を調整する切り替え手段を設けるとともに、受電コイルの受電状態を表示する表示手段を配設した構成としている。
【0037】
そして、切り替え手段で受電コイルのターン数を切り替えて受電コイルの受電量を調整するとともに、受電コイルの受電状態を表示する表示手段を配設してあるので、使用者が受電量を調整することができ、使い勝手が向上するとともに、受電状態を確認しながら操作できるので、安全性を向上することができる。
【0038】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0039】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態を図1〜図3に基づいて以下に詳述する。本実施の形態の非接触受電装置は、誘導加熱調理器21上に載置して使用する冷却装置20を一例として詳述するが、冷却装置20に限定されるものではない。
【0040】
図1は本発明の実施の形態における誘導加熱調理器および冷却装置の要部断面図、図2は同誘導加熱調理器の制御ブロック図、図3は誘導加熱調理器および冷却装置の制御ブロック図である。
【0041】
まず、誘導加熱調理器21について説明する。
【0042】
誘導加熱調理器21は、図1〜図3に示すように、鍋などの被加熱調理容器22を載置する天板23を有しており、天板23の一部に操作部24が設けられている。天板23の下方には、被加熱調理容器22を加熱する略円形状の加熱コイル25が配置されるとともに、加熱コイル25の運転や加熱コイル25に電源供給するインバータ部26を制御する制御部27が内蔵されている。制御部27は、インバータ部26のスイッチング半導体をオン、オフしてインバータ部26の高周波発振を制御するとともに発振動作の起動、停止を制御している。
【0043】
インバータ部26は、電源整流器、フィルタコンデンサ、共振コンデンサ、スイッチング半導体などを含む周波数変換装置の一つであって、商用電源を高周波電流に変換して加熱コイル25に供給し、加熱コイル25は高周波磁界を発生し、被加熱調理容器22を加熱する。
【0044】
次に、誘導加熱調理器21の天板23上に載置して使用する本発明の非接触受電装置について説明する。本実施の形態では、非接触受電装置として、図1および図3に示す冷却装置20を例示している。
【0045】
冷却装置20は、図1および図3に示すように、下部に誘導加熱調理器21からの高周波磁界を利用して電力を受電する略円形状の受電コイル28を配設するとともに、受電コイル28の上方位置にヒートシンク29を配設している。ヒートシンク29は、上部の天面を平坦面とし、上部から下方に向かって多数の翼片を略平行に垂下形成している。翼片は下方側を開放するとともに、翼片の下端に近接して受電コイル28が配設されている。ヒートシンク29の側部には、本体ケース35の一方の側面側に複数の冷却ファン30を配設しており、冷却ファン30からの冷却風は、本体ケース35の相対向する他方の側面側に形成した図示しない排気口に向かってヒートシンク29に沿って導かれ、翼片によってヒートシンク29を効率よく冷却するよう構成されている。ヒートシンク29の翼片の下端側を開放し、翼片下端に近接して受電コイル28を配置しているので、ヒートシンク
29の翼片と受電コイル28で囲まれる送風路が形成され、送風路を冷却ファン30からの冷却風が効率よく導かれるとともに、冷却ファン30からの冷却風によりヒートシンク29と受電コイル28を冷却することができる。
【0046】
ヒートシンク29の上部天面には、ペルチェ素子31と、ペルチェ素子31を囲むように発泡樹脂製の断熱材32を配設している。ペルチェ素子31は、放熱面を下面としてヒートシンク29の上部天面に密着させるとともに、冷却面を上面として、ペルチェ素子31の上方に配設したアルミ製の冷却体33に密着させている。ペルチェ素子31のヒートシンク29との密着面および冷却体33との密着面には、熱抵抗を下げるために、熱伝導グリスを薄く塗布するとともに、ヒートシンク29とペルチェ素子31と冷却体33は密着性を保持させるように固定している。ヒートシンク29と冷却ファン30によりペルチェ素子31を冷却する冷却手段を構成している。
【0047】
冷却体33は、冷却体33の周囲を囲む低熱伝導性樹脂製のケース蓋枠34により本体ケース35に固定され、冷却体33が本体ケース35の天面を構成しており、本体ケース35内に受電コイル28、ヒートシンク29、冷却ファン30およびペルチェ素子31などが収納されている。
【0048】
冷却体33は、ペルチェ素子31により冷却され、冷却体33上に載置された被冷却物を冷却することができるようになっている。
【0049】
本体ケース35内のヒートシンク29側部の空間には、冷却装置制御部36が配置されており、冷却装置制御部36は、受電コイル28によって誘導加熱調理器21からの高周波磁界を利用して受電した電流を変換し、冷却ファン30、ペルチェ素子31、受電コイル28の受電状態を表示する表示手段41などを制御する。
【0050】
また、冷却装置制御部36は、冷却ファン30、ペルチェ素子31からなる負荷に供給する電圧を検知する過負荷検知手段37と、過負荷検知手段37で検知した電圧が、第1所定値以上になったときに、切り替え手段38で受電コイル28のターン数を切り替えて受電コイル28の受電量を低下させる受電量制御手段39と、過負荷検知手段37で検知した電圧が、第2所定値以上になったときに、受電コイル28の回路を開回路とする安全制御手段40とを備えている。
【0051】
上記構成において、鍋などの被加熱調理容器22に換えて、誘導加熱調理器21の天板23上に冷却装置20を載置する。誘導加熱調理器21を作動させて高周波磁界を発生させると、冷却装置20の受電コイル28に誘起電力が発生し、発生した誘起電力を冷却装置制御部36で変換して、冷却ファン30、ペルチェ素子31などの負荷装置を駆動するとともに、受電コイル28の受電状態を表示手段41により表示する。
【0052】
ペルチェ素子31は、セラミック等からなる2枚の絶縁伝熱板の間に、不足電子P型・過剰電子N型の半導体素子がπ字形あるいは逆π字形に交互に配置され、電気的には直列に、熱的には並列に接続される既存の構成のものを用いている。ペルチェ素子31は直流電流を流すことにより、冷却側で吸熱、放熱側で発熱が生じ、冷却側で吸収する総熱量が総供給電力(W)に相当する熱量と合算され、放熱側に放出されるようになっている。
【0053】
冷却装置20は、冷却体33をペルチェ素子31により効率よく冷却するために、ペルチェ素子31の放熱面をヒートシンク29に密着させ、冷却ファン30からの冷却風によりヒートシンク29を介してペルチェ素子31の放熱面を冷却している。
【0054】
ペルチェ素子31の放熱面を冷却することにより、ペルチェ素子31の冷却面を低温に
維持することができ、冷却体33を低温に維持して、冷却体33に載置する被冷却物を冷却することができるようになっている。
【0055】
ペルチェ素子31は、誘導加熱調理器21からの高周波磁界を利用して受電コイル28によって受電される電流によって作動するので、電源部を不要とすることができ、構成を簡素化でき、コンパクトで安価に構成できる。さらに、コードレスとすることができ、使い勝手のよい機器を提供することができる。
【0056】
ヒートシンク29の翼片は下端側が開放され、翼片下端に近接して受電コイル28を配置しているので、ヒートシンク29の翼片と受電コイル28で囲まれる送風路を冷却ファン30からの冷却風が効率よく導かれ、冷却ファン30からの冷却風によって受電コイル28とともにヒートシンク29を介してペルチェ素子31を効率よく冷却することができる。また、ヒートシンク29の下部に冷却ファン30が位置しないため、冷却装置20の高さを低く、コンパクトに構成することができる。
【0057】
さらに、ヒートシンク29の側部には、本体ケース35の一方の側面側に冷却ファン30を配設し、冷却ファン30からの冷却風は、本体ケース35の相対向する他方の側面側に形成した図示しない排気口に向かって、ヒートシンク29の翼片と受電コイル28で囲まれる送風路をヒートシンク29に沿って導かれるよう構成しているので、冷却ファン30の吸気と排気の空気の流れがショートサーキットすることがなく、ヒートシンク29の冷却能力が低下させることがない。
【0058】
冷却ファン30やペルチェ素子31に供給される電圧あるいは電流が上昇し、過負荷検知手段37で検知した電圧あるいは電流が、第1所定値以上になったときには、受電量制御手段39によって受電コイル28の受電量を下げるように制御する。
【0059】
受電量制御手段39によって受電コイル28の受電量を低下するよう制御したにもかかわらず、使用者の操作による誘導加熱調理器の出力の強弱設定操作など何らかの原因により、さらに冷却ファン30やペルチェ素子31に供給される電圧あるいは電流が上昇し、過負荷検知手段37の検知する電圧あるいは電流が第2所定値以上になったときは、安全制御手段40で受電コイル28の回路を開回路として、冷却ファン30やペルチェ素子31などの負荷装置が異常加熱等による損傷あるいは異常な動作等による不安全になるのを防止する。
【0060】
すなわち、何らかの原因により冷却ファン30やペルチェ素子31などの負荷装置に供給される電圧あるいは電流が上昇して、過負荷検知手段37の検知する電圧あるいは電流が上昇した場合でも、供給される電圧あるいは電流が、冷却ファン30、ペルチェ素子31などの負荷装置の使用できる電圧あるいは電流に低下させることが可能な範囲内であれば、受電量を低下させて、継続使用可能にする(即ち、過負荷検知手段37が第1所定値以下の時)。
【0061】
そして、冷却ファン30やペルチェ素子31などの負荷装置に供給される電圧あるいは電流が受電量制御手段39の制御範囲を超えて、負荷装置に異常加熱等の不安全になる虞のある第2所定値以上になった場合には、不安全になる前に負荷装置の通電を停止し(即ち、過負荷検知手段37が第2所定値以上になったとき)、使用性の向上と安全性の確保をすることができる。
【0062】
受電量制御手段39は、受電コイル28のターン数を切り替える切り替え手段38を配設し、切り替え手段38で受電コイル28のターン数を切り替えるようにしているので、簡単な構成で受電コイル28の受電量を調整することができる。
【0063】
すなわち、受電コイル28のターン数に対応して受電量は変化し、受電コイル28のターン数が多くなれば受電量は増し、ターン数が少なくなれば受電量は減少するので、過負荷検知手段37で検知した電圧が、第1所定値以上になったときに、受電量制御手段39は、切り替え手段38により受電コイル28のターン数を少なくなるように切り替え、冷却ファン30やペルチェ素子31などの負荷装置に供給される電圧あるいは電流を低下させることにより、冷却装置20を継続して使用できるようになる。
【0064】
受電コイル28の受電状態を表示手段41で表示するようにしているので、切り替え手段38で受電コイル28のターン数を手動で切り替えて受電コイル28の受電量を調整する構成とした場合には、使用者が表示手段41によって受電コイル28の受電状態を確認しながら切り替え手段38を操作して受電量を調整することができ、使用勝手を向上することができるとともに、安全性を向上することができる。
【0065】
尚、過負荷検知手段37で検知した電圧が、第1所定値以上になったときに、受電量制御手段39は、切り替え手段38で受電コイル28のターン数を少なくなるように切り替えるようにしたが、過負荷検知手段37で検知した電圧が、第1所定値以上になったときに、音あるいは表示等の警告手段により、使用者に切り替え手段38で受電コイル28のターン数を切り替えるように警告するよう構成してもよく、これによれば、使用者が冷却装置20の能力を切り替えることができ、使い勝手を向上することができる。また、その他、本発明の効果を果たすものであればどのような組み合わせにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、本発明の非接触受電装置は、受電コイルによって誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を得るものであり、構成も簡単となり、コンパクトで安価にでき、家庭あるいはホテル、旅館、医療機関などの業務用の非接触受電装置として用いることができる。
【符号の説明】
【0067】
20 冷却装置
21 誘導加熱調理器
28 受電コイル
29 ヒートシンク(冷却手段)
30 冷却ファン(冷却手段)
31 ペルチェ素子
33 冷却体
36 冷却装置制御部
37 過負荷検知手段
38 切り替え手段
39 受電量制御手段
40 安全制御手段
41 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導加熱調理器に着脱自在に載置され前記誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を受電する受電コイルと、前記受電コイルによって受電された電力によって作動する負荷装置と、前記負荷装置に電力を供給し制御する制御部とを備え、前記制御部は受電コイルで受電して前記負荷装置に供給する電圧あるいは電流を検知する過負荷検知手段と、前記過負荷検知手段で検知した電圧あるいは電流が、第1所定値以上になったときに、前記受電コイルの受電量を低下させる受電量制御手段を設けた非接触受電装置。
【請求項2】
前記過負荷検知手段で検知した電圧あるいは電流が、前記第1所定地より高い第2所定値以上になったときに、前記受電コイルの回路を開回路とする安全制御手段を配設した請求項1に記載の非接触受電装置。
【請求項3】
前記負荷装置は、前記受電コイルによって受電された電流によって作動するペルチェ素子と、前記ペルチェ素子を冷却する冷却手段とからなる請求項1または2に記載の非接触受電装置。
【請求項4】
前記受電コイルの受電量を低下させる前記受電量制御手段は前記受電コイルのターン数を切り替える切り替え手段を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の非接触受電装置。
【請求項5】
前記受電コイルの受電量を低下させる前記受電量制御手段は前記受電コイルのターン数を切り替える切り替え手段を有し、前記切り替え手段は手動切り替え可能な構成とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の非接触受電装置。
【請求項6】
前記受電コイルのターン数を切り替えて前記受電コイルの受電量を調整する切り替え手段を設けるとともに、前記受電コイルの受電状態を表示する表示手段を配設した請求項1〜5のいずれか1項に記載の非接触受電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−115893(P2013−115893A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258969(P2011−258969)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)