説明

非接触型電子装置のためのセキュリティ化のための方法と装置

本発明は、非接触型外部通信局(LEC)の誘導性素子(L3)と磁気的に結合するように構成されたスクランブリング電子装置に関する。このスクランブリング電子装置は、前記外部通信局(LEC)により形成される磁場に応答し、非接触型電子装置(CSC)が前記妨害電波送信電子装置に対して所定の関係で配置されるときに、前記非接触型電子装置(CSC)により生成された電荷の変調との衝突(この衝突により非接触型外部通信局(LEC)と非接触型電子装置(CSC)との間の情報交換が不能にされる)を引き起こす電荷の変調を生成するように構成されたスクランブリング手段(DB)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非接触型電子装置の機能のセキュリティ化に関する。特にISO規則 14443に記載されている非接触型通信技術に関する。
【0002】
本発明は、例えば、パスポート、運転免許証、更に一般的には、所持者が身分証明時に提出する身分証明書等のような、基板に組み込まれる非接触型電子装置を有する電子装置に関する。
【0003】
本発明は又、2つの部分から構成される書類(document)に関する。各々のカードはISO規則7816に適合し、折畳み可能な仕方で相互に結び付けられているものである。
【0004】
本発明は少なくとも非接触型カードを含む書類カバンの応用に関する。
【0005】
更に、非接触型外部通信局と非接触型電子装置との間の不正通信(読出し及び/又は書込み)を防止する方法に関する。
【0006】
本発明は又、非接触型通信技術における応用と同様に、非接触型電子装置が更に接点通信のインターフェースを有するデュアル又はハイブリッド技術における応用に関する。
【背景技術】
【0007】
識別管理を可能にする印刷データを有するセキュリティ書類(document de securite)に、例えば、前記書類と非接触型外部通信局との間で非接触的に情報を交換するためにアンテナ手段を使って外部と通信するマイクロプロセッサを持つ集積回路等の非接触型電子装置を組み込むことは既に提案されている。特に、データ交換は通信局のイニシャティブで実行される(同局はコマンドを送り、これに対し電子装置は非接触的に応答する。)
【0008】
このセキュリティ書類は印刷文字、又はバイオメトリックデータ等の写真よりも多くの情報を持つデータを交換し、もしもの場合には、印刷されたデータとストックされているデータとの一致性を確め、印刷データの破損の企てを検出することを可能にしている。
【0009】
しかしながら、集積回路に含まれるデータの非接触型読取りは寡黙(reticence)に遭遇し、これらデータが許可されないシステムにより所持者の知らない間に読取られてしまう。
【0010】
一般的に、磁気結合により動作する非接触型カード(ISO規則14443又は他)はスキミングと呼ばれる不正侵入行為に対し安全とはいえない。
【0011】
従って、カードの活性化及び局との自由な通信を物理的に阻止することが好ましい。実際、外部局との通信は所持者の認知と所持者の自発行為で一義的に行われねばならないからである。よって、カードの内容を不正に読み出すことを防止するアンチスキミングと呼ばれる対抗手段を実施することが望ましい。
【0012】
このような対抗手段は、非接触型磁気プロセスによる読取り可能な識別データとバイオメトリックデータを持つパスポートの分野では有用である。
【0013】
距離ある侵入に対するこのような対抗手段は、例えば財布の中にあり、離れている場合は読見取られず、所持者により読み取りのために取り出されるときしか通信しない非接触型カードの場合に好ましい。
【0014】
受動手段による物理的保護を行う複数の技術は既に公知である。
【0015】
第1の技術はFarady cageのような全遮蔽タイプを提供することである。この技術によれば、Farady cageを形成する導電性容器内に非接触型の書類又はカードを所持する。これはカードと局の間の通信を阻止する。通信を許可するためには所持者はその容器から書類を取り出し、局にそれを提示しなければない。手続は効率的であるが、比較的に厄介で、磨耗を受け、使用する際に束縛的である。
【0016】
第2の技術は可動金属要素を結合させ磁気結合の部分を変更するものである。同要素は、磁気スクリーンにより又、発振回路の不一致により局の磁場を強力に乱す。この第2の技術は特にWO 2005/045754, US 6,111,506及びUS 6,108,636に記載されている。実際に、通信するためには、所持者は例えばパスポートを開きながら非接触型カードをスクリーン又は渦巻き(enroulement)から遠ざける。
【0017】
しかし、仮に局がより強力で或る場合又は書類を閉じることが完全でない場合は対抗手段は不十分である。何故なら、非接触型カードと局との間の通信を不可能にする遮蔽(ecrantage)を確実にすることが不可能であるからである。
【0018】
第3の技術は非接触型カードの発振回路により制御される不一致を実現するものである。この第3の技術は特にUSP 6,586,660に記載されている。カードのアンテナの発振回路が局の周波数より高い周波数にずれている非接触型カードを使用し、例えば、非接触型カードのアンテナを局に提示し、特定の場所に親指を自発的に置くことにより発振回路を一致させ、局との通信を可能にする。
【0019】
この方法はカードのISOフォーマットの変更が必要である。又、その効率は指の位置と大きさにより決まる。
【0020】
更に、特定の位置に複数指でカードを保持しなければならないので、面倒で不便である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明はこれら問題を解決するものである。
【0022】
本発明は非接触型外部通信局の誘導性(inductif)素子と磁気結合されるように構成される妨害電波送信電子装置を対象にする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明によれば、前記妨害電波送信電子装置は外部通信局により形成される磁場に応答して電荷の変調を生成する妨害通信手段を有している。この変調は非接触型電子装置が妨害電波送信電子装置に対して所定の関係に配置されるときに、非接触型電子装置により生成される電荷変調(la modulation de charge)との衝突を引き起こす。この衝突により非接触型外部通信局と非接触型電子装置との間の情報の交換が不能にされる。
【0024】
一般的に、ISO 14443規則に適合する非接触型外部通信局は、外部局の有効範囲内で複数非接触型電子装置が同時に存在することにより受信時に影響を受ける。
【0025】
知られていることではあるが、前記規則は反衝突のプロセスを規定しており、非接触型外部通信装置に提示される2つ又は複数の非接触型電子装置の同時発信による干渉を防ぐ。非接触型電子装置からの距離と相対位置が各非接触型電子装置の電力供給を可能になるならば、それらの各々は共通の非接触型外部通信局に向けて送信することが出来る。
【0026】
反衝突プロトコールの介入が無い場合、複数の非接触型電子装置は同時に電波を発信し、受信の際に受入れ不可能な干渉を引き起こす。
【0027】
局により受信された2つの(又は複数の)信号が比較的近いレベルを持つならば、これらの干渉は通信を全体的に妨害することができる。何故なら、エラー率が大きいからである。より近くの非接触型電子装置を選択し、誤差無く機能させるためにはレベル差を十分大きくしなければならない。
【0028】
反衝突プロトコールは、このように電力供給を受ける各非接触型電子装置に対し順番に<話しかける>。実際にプロトコールはISO規則14443に準拠して各非接触型電子装置に送られる(実際に実施される)。
【0029】
本発明は有利に、非接触型外部通信局に向けての発信の衝突効果をもたらす。
【0030】
実際には、妨害電波送信電子装置と非接触型電子装置との間の関係は、妨害電波送信電子装置が非接触型電子装置の直近にある時、前記妨害電波送信電子装置は非接触型外部通信装置と非接触型電子装置との間通信を不能にし、妨害電波送信電子装置が非接触型電子装置から離れている時、非接触型外部通信装置と非接触型電子装置との間の通信が可能にするように選ばれる。
【0031】
所定波長によれば、妨害電波送信電子装置により生成される電荷の変調率(le taux de la modulation de charge)は非接触型電子装置により生成される電荷の変調率よりも高い。
【0032】
例えば、妨害電波送信電子装置により生成される電荷の変調率は少なくとも70%のオーダである。
【0033】
実施例によれば、妨害電波送信電子装置により生成される電荷の変調は非接触型外部通信局により形成される磁場に応答して永続的(permanente)である。
【0034】
実施例に拠れば、妨害電波送信手段は以下のものを含む。
−前記非接触型外部通信局の誘導性素子により形成される磁場の存在における交流電圧を磁気結合により検出するのに適切なLCタイプの振動回路;
【0035】
−前記検出された交流電圧を直流電源電圧に変換するため整流手段;及び
−前記生成された直流電源電圧が所定の閾値を超える間、発振回路の端子における前記交流信号の振幅を変調するのに適した振幅変調手段の端子に交流信号を加えるのに適した発振回路。
【0036】
実際には、局の誘導性素子により形成される磁場の存在において誘導される交流電源電圧をアンテナの端子に生成するために、前記振動回路は同調コンデンサを持つ環を形成し、非接触型外部通信局の誘導性素子と結合しているアネテナを有している。
【0037】
他の実施例によれば発振器は、RCタイプであり、所定の周波数の交流信号を送信する。
【0038】
一方、変調手段は前記発振周波数のリズムに合わせた通信手段を有している。
【0039】
例えば、スイッチ手段はCMOS技術を使ったトランジスタを含んでいる。
【0040】
同様に、本発明は、書類タイプ又はこれに類似した、相対的に移動するようにした、少なくとも第1及び第2部分を備えた基板、及び、基板の第1部分に設けられ、電子マイクロ回路を持ち、非接触型外部通信極と磁気的に結合するように構成された非接触型電子装置を持つ非接触型電子装置を対象にしている。
【0041】
本発明の別の形態によれば、前記装置の第2部分は外部通信局により形成される磁場に応答して、非接触型電子装置が前記妨害電波送信電子装置に対して所定の関係に配置されるときに、非接触型電子装置により生成される電荷の変調と衝突(この衝突は非接触型外部通信局と非接触型電子装置との間の情報交換を不能にする)を引き起こす電荷の変調を生成するのに適した妨害電波送信手段を有する妨害電波送信電子装置を備えている。
【0042】
実施例に拠れば、第1と第2部分は所定の移動軸に従って移動するように構成されている。
【0043】
例えば、書類は折畳み可能である。
【0044】
実際には、書類はセキュリティ書類、身分証明書、パスポート、運転免許証より形成されるグループに属している。
【0045】
本発明は、又、非接触型電子装置のセキュリティ化方法を対象にしている。
【0046】
本発明の別の形態によれば、前記方法は外部通信局により形成される磁場に応答して、非接触型電子装置が前記妨害電波送信電子装置に対して所定の関係に配置されるときに、非接触型電子装置により生成される電荷の変調と衝突(この衝突は非接触型外部通信局と非接触型電子装置との間の情報交換を不能にする)を引き起こす電荷の変調を生成するのに適した妨害電波送信電子装置を利用する。
【0047】
最後に、本発明は非接触型外部通信局と非接触型電子装置との間の情報交換のセキュリティ化方法を対象とする。前記非接触型電子装置はIC回路とこのIC回路に電気的に接続されたアンテナを有しており、非接触型外部通信局と磁気的に結合されるように構成されている。
【0048】
本発明の別の形態では、外部通信局により形成される磁場に応答して、非接触型電子装置が前記妨害電波送信電子装置に対して所定の関係に配置されるときに、非接触型電子装置により生成される電荷の変調と衝突(この衝突は非接触型外部通信局と非接触型電子装置との間の情報交換を不能にする)を引き起こす電荷変調を生成するのに適した妨害電波送信手段を有する妨害電波送信電子装置を利用する。
【0049】
本発明の他の特徴と長所は以下の詳細な説明と図面の下で明らかになる。
図1は本発明によってCMOS技術で実現された妨害電波送信電子装置と等価な概略図である。
図2は、外部通信局との結合に関して、ISO規則14443に準拠した非接触型電子装置で実現した妨害電波送信電子装置の環(boucle)を流れる電流のグラフである。
図3は、図2と同一の、外部通信局との結合に関して、ISO規則14443に準拠した非接触型電子装置で実現した妨害電波送信電子装置の環を流れる電流のグラフである。
図4は、本発明による妨害電波送信電子装置及び非接触型電子装置を設けたセキュリティ書類を概略的に示したものである。なお、前記書類は開かれており、非接触型外部通信局の誘導性素子と近接し結合した状態にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
図1を参照すると、外部アンテナL1とIC回路DBを有する、本発明による妨害電波送信装置の構成が示されている。
【0051】
例えば、アンテナL1は、複数の螺旋と所定の表面を持つ基板上に印刷された又は、刷り込みされた環である。
【0052】
例えば、妨害電波送信装置DBはチップ(chip)の形状で組み込まれる。このチップはCMOS、Siバイポーラ、又はアナログ技術で実現される。
【0053】
構造的には、本発明による妨害電波送信装置DBの妨害電波送信手段は3つの主要なモジュールを有している。
【0054】
第1モジュールOLCの1部分は、外部アンテナL1に対する同調コンデンサCAで、他の部分は非接触型外部通信局の誘導性素子(図示していない)により形成される磁場において直流電源電圧VDDを得るための要素で構成されている。
【0055】
第2モジュールは発振回路ORCを含む。この発振回路は、生成された前記電源電圧VDDが所定閾値を越える間、交流信号を変調手段MODの入力端子に与える。
【0056】
第3モジュールは、アンテナL1と第1モジュールOLCにより形成される発振回路OLCの端子において交流信号の振幅を変調する前記振幅変調MOD手段を含む。
【0057】
実施例によると、アンテナ回路L1は、プリント回路、刷込み回路で実現される。例えば、それはISO規則14443に適合する非接触型カードのアンテナに類似している。
【0058】
振動回路OLCは更に、誘導性素子L1と同調コンデンサCAを有し、前記局(図示しない)の誘導性素子により形成される磁場の存在で誘導される交流電源電圧を回路OLCの端子に生成する。整流手段(ダイオードDR)は誘導された交流電源電圧を直流電源電圧VDDに変換する。
【0059】
以下に詳述するロジック回路に電源電圧を供給するために、電源電圧VDDの直流成分はコンデンサCRによりフィルタされ、次にツェーナダイオードとバラスト抵抗RBにより整流される。
【0060】
妨害電波送信電子装置が非接触型外部通信局(図4)の誘電要素L3(図4)の近傍にある時、以下に詳細に説明するロジック部分に電源電圧が供給される。
【0061】
RCタイプの発振回路ORCは、抵抗RO1とRO2と連結しているインバータゲートの組B1,B2,B3とコンデンサCOとから形成されており、サイクリック比50%の矩形波信号を供給する。
【0062】
発振回路の発振周波数はコンデンサCOの値と抵抗RO1の積で決まる。例えば、発振周波数は300-900KHzの段階にある。この値は妨害電波送信の効率にとって臨界的なものではない。
【0063】
MOSタイプのトランジスタMCのスイッチング(on/off)を保証するために、前記発振器ORCにより送出される信号が3つのインバータゲートB4、B5、B6(並列に設けられている)から構成される電力セパレータ(buffer)に加えられる。
【0064】
この電力セパレータB4、B5、B6はトランジスタMCの自由なスイッチング(on/off)と駆動(attaque)を保証する。
【0065】
変調手段MODはトランジスタMCとダイオードDMを有し、発振器ORCにより送出される交流信号のタイミングに従う。
【0066】
トランジスタMCが電導状態に置かれるとき、振動回路OLCはトランジスタMCとダイオードDMの導電状態が形成する極めて小さい直列抵抗(20Ω以下)により、かなり減衰される。ダイオードDMは、振動回路により受信される交流信号RFの負の期間の間トランジスタMCの内部ダイオードの開を防止するのに有効である。
【0067】
図3を参照すると、本発明による妨害電波送信装置のロジック要素の電力供給に応答して生成される電荷の変調(modulation de charge)が得られる。
【0068】
例えば、妨害電波送信電子装置DBにより生成される電荷変調率(図3)は非接触型電子装置CSCにより生成される電荷の変調率(図2)に比して高い。
【0069】
通常、妨害電波送信電子装置DBにより生成される電荷変調率は少なくとも70%程度である。他の変調率は、例えば、非接触型カードの変調率は10%である。
【0070】
実際には、非接触型外部通信局LECにより形成される磁場に応答して妨害電波送信電子装置DBが生成する電荷の変調は永続的(permanente)である。それは又、規則的であることができる。
【0071】
発振器ORCのタイミングにおける搬送波の交流電流の極めて大きい変化により、高い変調率が現れる。
【0072】
非接触型外部通信局に対し、読取装置の受信部分は対応信号を復調する。
【0073】
妨害電波送信装置DBは非接触型外部通信局LECにより形成される磁場に応答して、非接触型電子装置CSCが前記妨害電波送信電子装置に対して所定の関係に配置されるときに、非接触型電子装置CSCにより生成される電荷の変調と衝突(この衝突は非接触型外部通信局(LEC)と非接触型電子装置CSCとの間の情報交換を不能にする)を引き起こす電荷変調を生成する。
【0074】
高い電荷変調率(例えば70%、図3)の非制限的な例では、本発明による妨害電波送信電子装置と類似した条件(距離と位置)に配置され、ISO規則14443に従う非接触型電子装置により通常受信される信号(図2)よりかなり大きい振幅の信号を復調していることが分かる。
【0075】
図2を参照すると、ISO規則14443に準拠する非接触型カードは、読取り用外部局の誘導性素子L3の副搬送波(例えば、847.5kHzの値を持つ)で10%の規格化値に等しい変調率を呈することが分かる。
【0076】
ここで、妨害電波送信電子装置の平均信号が規格化された非接触型カードのそれに比してより大きいことに留意すべきである。その直流成分の電力消費がISO14443非接触型カードのロジック電源に必要なものより小さいからである。
【0077】
出願人は満足すべき結果をもたらす、次のような数値を持つ妨害電波送信電子装置を実現させた。
― 13.56MHzの外部局の読み取り周波数;
― 1.7μH(ISO全表面をカバーする3巻線)の誘導性素子L1;
― 並列の2つの容量(各々27pF)に等しい同調コンデンサCA;
― 470Ωのバラスト抵抗RBの抵抗;
― 1.5nFのフィルタCRの容量;
― 300-900kHzの発振周波数;
― 参照番号BSS98/INFで市販されているMOSトランジスタ;
― 100pFのコンデンサCO;
― 1乃至20kΩの抵抗R01;
― 1乃至20kΩの抵抗R02;
― 4.7Vのツェナーダイオード。
【0078】
図4には、パスポート、運転免許証等の折畳み可能な書類のための、本発明による妨害電波送信電子装置の比制限的な応用例が示されている。
【0079】
本発明に従ってアンチスキミング機能を保証するために、ISO規則14443に適合する非接触型電子装置CSCを妨害電波送信装置DBと結合させて、外部通信局LECに対する2装置の2状態を生成する。
【0080】
例えば、書類10のカバー12の中に、非接触型電子装置CSCが組み込まれる。非接触型電子装置CSCはアンテナL2と、セキュリティ用データを含むIC回路ICを有している。
【0081】
書類10の別の部分14には本発明(図1を参照して記載した)に従う妨害電波送信装置DBが組み込まれている。書類は非接触型外部通信局LECの誘導性素子L3の読取りゾーンに置かれる又は提供される。
【0082】
書類10は2つの部分12、14を連結させ、折軸部16に沿って折畳み可能である。
【0083】
書類が部分的に閉開されるならば、妨害電波送信装置DBにより行われる妨害動作は通信を不能にする。
【0084】
反対に、もし書類が完全に開かれているならば、妨害電波送信装置DBは低い結合の状態にあり、妨害電波送信装置により生成される電荷変調は、妨害電波送信装置DBが機能しないかのように、かなり弱い又は存在しない。この状態では、通信は正常に行われる。
【0085】
本発明によるアンチスキミング法は同様に、非接触型カードを持つ書類カバン又は財布の中に入れられるISOフォーマット非接触型電素装置を使って実現される。書類カバンが局の電磁場に存在するならば、反衝突プロトコールを無視する、本発明による妨害電波送信装置により生成される電荷変調は、カードの動作を防止する。自発的に通信するために、局にデータを有している非接触型カードだけを提示しなければならない。
【0086】
本発明による対応方法(アンチスキミング)によれば、承認のない局との通信と非接触型カードの所持者の自発的行為を防止できる。実際に、比較類似した通信状態の局に提示するために、データを含む非接触型カードが本発明による妨害電波送信装置と関連付けられるならば、局は強く干渉するレベルを持つ応答を受信し、通信は不可能である。このように妨害電波送信装置(局により誘導的に電力供給を受けた時)により生成された電荷変調は局とデータを含む非接触型カードとの間の通信の確立を妨害する。
所持者の自発行為による場合には、妨害電波送信装置を局から遠ざける。そうすれば、本発明による妨害電波送信装置により保護されていた非接触型カードに対し大きな結合が生成される。結果、妨害行為(妨害送信)は無意味になり、通信は非接触型外部通信局と非接触型電子装置(例えば非接触型カード)との間の通信が正常に行われる。
【0087】
通信局の絶対的な電力はここでは重要ではないことに留意すべきである。干渉は、ここでは本発明による妨害送信電子装置と非接触型電子装置により受信される信号との比に従属的であるからである。
【0088】
更に、局の活性化ゾーンにおける妨害送信装置の存在は全システムにおいて有害な影響を与えない。何故なら局はこのような妨害送信電子装置と通信しないからである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明によってCMOS技術で実現された妨害電波送信電子装置の等価概略図である。
【図2】外部通信局との結合について、ISO規則14443に準拠した非接触型電子装置で実現した妨害電波送信電子装置の環を流れる電流のグラフである。
【図3】図2と同一の、外部通信局との結合について、ISO規則14443に準拠した非接触型電子装置で実現した妨害電波送信電子装置の環を流れる電流のグラフである。
【図4】本発明に従って妨害電波送信電子装置及び非接触型電子装置を設けたセキュリティ書類の概略構成図である。なお、この書類は開かれており、非接触型外部通信局の誘導性素子と近接している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型外部通信局(LEC)の誘導性素子(L3)と磁気的に結合するように構成された妨害電波送信電子装置であって、
前記外部通信局(LEC)により形成される磁場に応答し、非接触型電子装置(CSC)が前記妨害電波送信電子装置に対して所定の関係で配置されるときに、前記非接触型電子装置(CSC)により生成された電荷の変調との衝突(この衝突により非接触型外部通信局(LEC)と非接触型電子装置(CSC)との間の情報交換が不能にされる)を引き起こす電荷の変調を生成するように構成された妨害電波送信手段(DB)を有することを特徴とする妨害電波送信装置。
【請求項2】
前記妨害電波送信電子装置(DB)が前記非接触型電子装置(CSC)の直近に存在する時、前記妨害電波送信装置(DB)が前記非接触型外部通信局(LEC)と前記非接触型電子装置(CSC)との間の通信を不能にし、
前記妨害電波送信装置(DB)が前記非接触型電子装置(CSC)から遠くにある時、前記妨害電波送信装置(DB)が前記非接触型外部通信局(LEC)と前記非接触型電子装置(CSC)との間の通信が可能になるように前記妨害電波送信手段(DB)と前記非接触型電子装置(CSC)との間の関係が選ばれている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記妨害電波送信装置により生成される電荷変調率が無接点型電子装置(CSC)により生成される電荷変調率より高い請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記妨害電波送信装置(DB)により生成される電荷変調率が少なくとも70%のオーダーである請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記無接点型外部通信局(LEC)により形成される磁場に応答して、前記妨害電波送信装置(DB)により生成される電荷変調率が永続的である請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記妨害電波手段が次のものを有している請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
―前記非接触型外部通信局(LEC)の誘導性素子(L3)により形成される磁場の存在における交流電圧を磁気結合により検出するのに適切なLCタイプの振動回路(OLC);
―前記検出された交流電圧を電源電圧(VDD)に変換するため整流手段(DR);
―前記生成された直流電源電圧(VDD)が所定の閾値を超える間、発振回路(OLC)の端子における前記交流信号の振幅を変調するのに適した複数の振幅変調手段(MOD)の端子に交流信号を加えるのに適した発振回路(ORC)。
【請求項7】
前記振動回路(OLC)は、前記局(LEC)の誘導性素子(L3)により生成される磁場の存在に誘導される交流電源電圧をアンテナ(L1)の端子に生成するために、同調コンデンサ(CA)との環を形成し、無接触型外部通信局(LEC)と結合されるアンテナ(L1)を含む請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記発振回路(ORC)がRCタイプであって、選択された発振周波数の交流信号を送信する請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の変調手段(MOD)が前記発振周波数のタイミングに合わせた複数のスイッチング手段(MC)を有する請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のスイッチイング手段(MC)がCMOS技術で実装されたトランジスタを含む請求項9に記載の装置。
【請求項11】
文書タイプ又はこれに類似した電子装置であって、相対的に移動するようにした、少なくとも第1及(12)及び第2部分(14)を備えた基板(10)、及び、前記基板(10)の第1部分(12)に設けられ、IC回路(IC)を有する非接触型電子装置(CSC)と、前記IC回路(IC)に電気的に接続され、非接触型外部通信局(LEC)と磁気的に結合されるように構成されているアンテナ(L2)とを有し、
前記第2部分(14)は、外部通信局(LEC)により形成される磁場に応答して、非接触型電子装置(CSC)が前記妨害電波送信電子装置に対して所定の関係に配置されるときに、非接触型電子装置(CSC)により生成される電荷の変調と衝突(この衝突により非接触型外部通信局(LEC)と非接触型電子装置(CSC)との間の情報交換が不能にされる)を引き起こす電荷の変調を生成するのに適した妨害電波送信手段を有する妨害電波送信電子装置を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項12】
第1部分と第2部分が所定の移動軸(16)に基づいて移動する構成である請求項11に記載の装置。
【請求項13】
文書が折畳み可能である請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記文書がセキュリティの文書、個人識別の文書、パスポート、運転免許証により形成されるグループに属する請求項11乃至13の何れか一項に記載の文書。
【請求項15】
外部通信局(LEC)により形成される磁場に応答して、非接触型電子装置(CSC)が前記妨害電波送信電子装置に対して所定の関係に配置されるときに、非接触型電子装置(CSC)により生成される電荷の変調と衝突(この衝突により非接触型外部通信局(LEC)と非接触型電子装置(CSC)との間の情報交換が不能にされる)を引き起こす電荷の変調を生成するのに適した妨害電波送信電子装置を使用することを特徴とする非接触型電子装置(CSC)のセキュリティ化方法。
【請求項16】
非接触型外部通信局(LEC)と非接触型電子装置(CSC)との間の情報交換のセキュリティ化方法であって、
前記非接触型電子装置(CSC)はIC回路(IC)と、このIC回路(IC)に電気的に接続され、前記IC回路に電気的に接続され、非接触型外部通信局(LEC)と磁気的に結合するように構成されているアンテナ(L2)とを有し、
外部通信局(LEC)により形成される磁場に応答して、非接触型電子装置(CSC)が前記妨害電波送信電子装置に対して所定の関係に配置されるときに、非接触型電子装置(CSC)により生成される電荷の変調と衝突(この衝突により非接触型外部通信局(LEC)と非接触型電子装置(CSC)との間の情報交換が不能にされる)を引き起こす電荷の変調を生成するのに適した妨害電波送信手段を含む妨害電波送信電子装置を使用することを特徴とする非接触型外部通信局(LEC)と非接触型電子装置(CSC)との間の情報交換のセキュリティ化方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−502074(P2009−502074A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522006(P2008−522006)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001700
【国際公開番号】WO2007/010117
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(501094410)オベルトゥル カード システムズ ソシエテ アノニム (9)
【Fターム(参考)】