説明

非接触型ICカード発行通信検査手段及びICカード発行検査システム

【課題】検査システム環境における磁場の干渉の少ないコンパクトな検査環境を実現して発行前のカード検査の信頼性に優れ効率的な検査を可能とすることにある。
【解決手段】発行前の非接触型ICカード20を載置する通信検査台A と、ICカード20の上方に対向して配置され、該ICカード20に対して交信を行う交信アンテナ11と、該交信アンテナ11に接続してICカードの検査読み出し・検査書き込みを行う検査用リーダーライタ部とを設けた複数台の通信検査部Aをそれぞれ互いに隣接して配置したカード通信検査手段と、各通信検査部A の間に電磁波の干渉を防止する電磁波吸収板B を介在させて、前記複数台の通信検査部A の各検査用リーダーライタ部により交信アンテナ11を介して各通信検査台C 上に載置された発行前の非接触型ICカードのICメモリに対して交信して通信検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICカードの生産及び発行時における発行検査システムに関し、カードの検査磁場における磁場干渉の少ない検査環境を実現し、コンパクトかつ、信頼性に優れた非接触型ICカードの量産検査を実現するための非接触型ICカード発行検査システム及び通信検査手段に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、非接触型ICカードの量産検査を実施する場合、その検査対象の非接触型ICカードに搭載するICチップ22(アンテナ付き)のメモリに対して、検査用の書き込み読み取りを行うための書き込み読み取り機器(リーダーライタ)が使用される。
【0003】
例えば、図6(a)の非接触型ICカード発行通信検査手段の概要側面図、図6(b)の概要平面図に示すように、複数台の書き込み読み取り機器Aを、互いに近接した場所に配置して、各機器Aに装備するアンテナ11を介して、各機器Aにそれぞれ備える検査台C上に載置した検査対象の非接触型ICカード20のICチップ22と交信を行い、書き込みや読み取り動作を行い、ICカードの品質機能検査を行う。
【0004】
その場合、近接する複数台のそれぞれ書き込み読み取り機器A(リーダーライタ)のアンテナ11から発信される電波及びそれにより発生する磁場の干渉を受けて、その干渉磁場の影響により、書き込みや読み取りの誤動作が発生し易く、正確な検査の実施を妨げる場合がある。
【0005】
そのため、複数台の書き込み読み取り機器Aを使用してカード検査を行う場合には、各リーダーライタは、近接した場所に設置することができず、書き込み読み取り機器A(リーダーライタ)を近接した場所に設置したときは、磁場干渉を防止するために適度な空間距離を採用する必要がある。
【0006】
非接触型ICカード用の複数の書き込み読み取り機器Aの書き込み読み取り時に発生する磁場の干渉を防止する技術としては、例えば、高透磁性(率)材料からなる板材を配設することにより、複数のリーダーライタ間の電波干渉を防止する技術が特許文献1に開示され、また、複数台のリーダーライタを配設する非接触型ICカードを用いた通信システムにおいて、近接して並べられた複数台のリーダーライタのうち、奇数位置と偶数位置にあるそれぞれリーダーライタを、交互に制御することにより、通信中の有効なリーダーライタ間の空間距離が、実質の空間距離の2倍の空間距離になるようにした技術が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−70779号公報
【特許文献2】特開2009−134415号公報
【0008】
しかしながら特許文献1に記載する高透磁性材料からなる板材を配設するだけの方法では、複数のリーダーライタ機器の互いの距離を十分に短縮することができず、そのため機器を設置する設備が大きくなってしまうという課題があった。また特許文献2に記載する奇数位置、偶数位置のリーダーライタ装置を交互に制御するという方法では、搬送時間等
の短縮は図れるものの、リーダーライタを交互に制御するために、通信検査の所要時間を2倍以上必要として、検査効率の面で十分ではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、非接触型ICカードの発行時におけるカード検査システムにおいて、検査環境における磁場の干渉の少ない検査環境を実現し、カード量産体制における検査をコンパクトに実現し、且つ検査の信頼性に優れ、効率的に検査を可能とする非接触型ICカード発行通信検査手段、及び非接触型ICカード発行検査システムでを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る発明は、
a)発行前の非接触型ICカードを載置する通信検査台と、
b)該ICカードの上方に対向して配置され、載置された前記ICカードに対して交信を行う交信アンテナと、
c)該交信アンテナに接続して前記ICカードの検査読み出し・検査書き込みを行う検査用リーダーライタ部とを設けた複数台の通信検査部をそれぞれ互いに隣接して配置したカード通信検査手段と、
d)カード通信検査手段の各通信検査部の間に電磁波の干渉を防止する電磁波吸収板を介在させ、
e)前記電磁波吸収板により各通信検査部の間の電磁波の干渉を防止しながら、前記複数台の通信検査部の各検査用リーダーライタ部により交信アンテナを介して、前記各通信検査部に対応する各通信検査台上に載置された発行前の非接触型ICカードのICメモリに対して交信して通信検査を行い、ICカードの発行検査をすることを特徴とする非接触型ICカード発行通信検査手段である。
【0011】
本発明の請求項2に係る発明は、
a)複数枚の非接触型ICカードを複数の外観検査台上にそれぞれ1枚ずつ供給するカード供給手段と、
b)前記各々外観検査台上にて、各々非接触型ICカードの外観、寸法、電気系統の検査をするカード外観検査手段と、
c)各々外観検査台上の各非接触型ICカードを複数の通信検査台上に移載するカード移載手段と、
d)通信検査台上の各々非接触型ICカードに搭載する情報データを記録するメモリに対して、アンテナを介して、検査読み出し又は/及び検査書き込みを行うリーダーライタ部を備え、前記リーダーライタ部にて読み出され又は/及び書き込まれた情報データを記録した前記各々非接触型ICカードのメモリに対してアンテナを介して交信して、各カードの通信検査をする複数台の通信検査部をそれぞれ互いに隣接して配置し、前記各通信検査部の間に電磁波の干渉を防止する電磁波吸収板を介在させたカード通信検査手段と、
e)通信検査後のカード通信検査手段の前記各通信検査台上の各非接触型ICカードを、搬送経路を経由して収納部に収納するカード収納手段とを備え、
f)前記カード供給手段にて、複数枚の非接触型ICカードを複数の外観検査台上にそれぞれ1枚ずつ供給するカード供給工程と、
g)前記カード外観検査手段にて、外観検査台上の各非接触型ICカードの外観、寸法、電気系の検査をするカード外観検査工程と、
h)前記カード移載手段にて、各外観検査台上の各非接触型ICカードを、前記カード通信検査手段の複数のカード通信検査台上に移載するカード移載工程と、
i)前記各カード通信検査部に備えるそれぞれリーダーライタ部にて、各々通信検査台上の非接触型ICカードに搭載する情報データを記録するメモリに対して、アンテナを介し
て交信して検査読み出し又は/及び検査書き込みを行い、検査情報データを得るカード検査読み出し書き込み工程と、
j)前記各カード通信検査部の各リーダーライタ部にて各非接触型ICカードに対して読み出され又は/及び書き込まれて得られた検査情報データと、前記各リーダーライタ部に格納されている基準(規格)品質情報データとを比較し、各ICカードの良否を判定して通信検査をするカード通信検査工程と、
k)前記カード収納手段にて、通信検査後の通信検査台上の各々非接触型ICカードを、搬送経路を経由して収納部に収納するカード収納工程と、
を含むことを特徴とする非接触型ICカード発行検査システムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の非接触型ICカード発行通信検査手段及びその発行検査システムは、多量生産される非接触型ICカードを発行する際のカードの通信検査において、非接触型ICカードのアンテナ及びメモリに対して必要なデータの読み取りと書き込みを行う、アンテナ及びリーダーライタ機能を備えた複数台のカード通信検査部を互いに隣接して配置したカード通信検査手段を備え、該通信検査手段の各々通信検査部のカード通信検査台上に、非接触型ICカードを1枚ずつ装填して、多量生産される複数枚の各カードについて一括して通信検査をするものであり、通信検査部に備える基準(標準)リーダーライタに対する各非接触型ICカードの1枚毎のプロトコル機能及びカード固有通信機能を一括して通信検査することができる。
【0013】
本発明は、多量生産される複数枚の非接触型ICカードを一括して通信検査できる複数台の通信検査部を互いに隣接して配置した通信検査手段を備えており、複数台の隣接する各通信検査部の間には、電磁波の干渉を防止するための電磁波吸収板を介在させてあるので、各通信検査部に装填されたICカードのICチップ及びアンテナと、その通信検査部に備えるアンテナとの間で交信されるICカードメモリに対する互いの読み出し又は/及び書き込みのための正常な動作・指示・制御信号により生じる、互いに隣接する通信検査部とICカードとの間、及び互いに隣接する通信検査部同士とICカード同士との磁場の干渉を防止することができ、磁場干渉による誤動作を防止することができる。
【0014】
そのため、複数枚の非接触型ICカードの発行前のカード検査環境における電磁波、特に磁場の干渉の少ない検査環境を実現できるとともに、カード量産体制における複数枚の非接触型ICカードの通信検査用装置をコンパクトに実現でき、磁場干渉による誤動作の無い信頼性に優れた通信検査を実現でき、発行する非接触型ICカードの品質及びカード機能の適合性を判定するための効率的な通信検査を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の非接触型ICカード発行通信検査手段の概要側面図。
【図2】(a)は非接触型ICカード発行通信検査手段の部分側面図、(b)はその平面図。
【図3】非接触型ICカード発行通信検査手段の拡大側面図。
【図4】電磁波吸収板Bの構造の一例を示す拡大側断面図。
【図5】本発明の非接触型ICカード発行検査システムを説明するシステムブロック図。
【図6】(a)は従来の非接触型ICカード発行通信検査手段の部分側面図、(b)はその平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の非接触型ICカード発行通信検査手段及び非接触型ICカード発行検査システムを、実施例に基づいて以下に詳細に説明すれば、図1は本発明の非接触型ICカード発行通信検査手段の概要側面図であり、図2(a)は本発明の非接触型ICカード発行通信検査手段の部分側面図、(b)はその平面図である。
【0017】
本発明の非接触型ICカード発行通信検査手段は、発行前の非接触型ICカードのリーダーライターに対する通信プロトコル機能、読み出し、書き込み機能等のカード機能適性を、複数枚のカードに対して一括して検査することができるものであり、複数台の通信検査部Aが互いに隣接して配置されている。なお各通信検査部Aの互いの隣接間隔は、本発明においては限定するものではないが、例えば100mm〜800mm程度、あるいは100mm程度が適当である。
【0018】
図1に示すように、非接触型ICカード発行通信検査手段の複数台の通信検査部Aは、発行前の非接触型ICカード20(ICチップ、カードアンテナを内蔵)を載置する通信検査台Cを備え、また載置された前記ICカード20に内蔵するカードアンテナ(図示せず)に対して交信を行う交信アンテナ11を、ICカード20の上方に平行に対向して備えている。
【0019】
前記交信アンテナ11は、前記ICカード20の検査読み出し・検査書き込みを行う検査用リーダーライタ部(図示せず)に接続している。
【0020】
互いに隣接して配置された複数台の通信検査部Aの間には、各通信検査部Aのそれぞれ交信アンテナ11や、カードアンテナから発する互いの信号電流や、信号電流により生ずる磁場が、他の隣接する交信アンテナ11やICカード20のカードアンテナに対して干渉するのを防止するための電磁波吸収板Bが、各通信検査部Aを覆うように配置され、電磁波吸収板Bは交信アンテナ11から発する信号電流を逃がすためにアース線部4、5を備えて接地されている。
【0021】
図2(a)は非接触型ICカード発行通信検査手段の部分側面図、図2(b)はその平面図、図3は非接触型ICカード発行通信検査手段の拡大側面図であり、隣接して配置された各々通信検査部Aのリーダーライター(図示せず)に接続する交信アンテナ11とICカード20内蔵のカードアンテナは、それぞれのアンテナ内を流れる信号電流にて交信を行い、リーダーライターと、ICカード20に内蔵のICチップ22(アンテナ、メモリ、例えば使用周波数帯域13.0〜18.0MHZ )との交信、読み出し、書き込みが行われる。ICカード20内蔵のICチップ22は、その表面がICカード20のプラスチック基材表面と同一面に内蔵されていてもよいし、プラスチック基材の内部に埋設されていてもよい。
【0022】
その際に、隣接する各々通信検査部Aの間に介在させた前記電磁波吸収板Bには、それぞれ通信検査部Aのアンテナ内を流れる信号電流、及びそのアンテナ内を流れる信号電流の影響により発生する(各通信検査部Aを覆う電磁波吸収板Bの方向に向かう)磁場(磁界)により、誘導電流を発生させるが、この誘導電流を、電磁波吸収板Bからアース線部4、5を通って地表に逃がすことにより、隣接する他の通信検査部Aに対する電磁場の影響を防止し、それによる誤作動を回避するようにしたものである。
【0023】
このように、交信アンテナ11を接続した検査用リーダーライタ部(図示せず)を設けた複数台の通信検査部Aをそれぞれ互いに隣接して配置し、各通信検査部Aの間に電磁波の干渉を防止する電磁波吸収板Bを介在させて、電磁波吸収板Bにより各通信検査部Aの
間の電磁波の干渉を防止しながら検査読み出し、検査書き込みを行い、発行前のICカード20本体の機能、動作の良否検査、そのICカードに内蔵するアンテナやICチップ等の機能、動作の良否検査を行うものである。
【0024】
隣接して配置した複数台の前記通信検査部Aを覆う電磁波吸収板Bは、各通信検査部Aの前後部、左右側部を1台毎、囲むように配置してもよいが、図2(b)の平面図に示すように、電磁波吸収板Bは、互いに隣接する各通信検査部Aの1台目及び奇数台目の通信検査部Aの前部と左右側部、2台目及び偶数台目の通信検査部Aの後部と左右側部に配置し、電磁波吸収板Bを各通信検査部Aの前後部で互い違いに配置する方が干渉抑制効果が大きい。
【0025】
電磁波吸収板Bは、高透磁率材からなる電磁波吸収板(又は帯状板)であり、ここでの高透磁率材とは、一般的にEMC対策にて使用される電波吸収材のことである。
【0026】
図4は、電磁波吸収板Bの構造の一例を示す拡大側断面図であり、板状の高透磁率材1の両面に該高透磁率材1よりも高抵抗の板状の金属材2[体積抵抗率10〜80(10−80μΩcm程度]を貼り合わせたものである。また必要に応じて、高透磁率材1と金属材2との間に絶縁材3(ガラスクロス、樹脂フィルムシート、両面感圧(感熱)接着シートなどの接合用シート)を介して貼り合わせたものでもよい。電磁波吸収板Bに接地するアース線4、5は、高透磁率材1のみ、又は金属材2に流れ込む誘導電流値を最小限にするため、高透磁率材1及び金属材2の両方に接続して接地することが適当である。
【0027】
高透磁率材1の磁気シールト効果は、透磁率材料固有の透磁率に比例するので、電磁気吸収の対象となる磁界が、その透磁率材料の磁気飽和が問題にならない範囲に小さく、しかも、透磁率が高い高透磁率材料ほど効果が大きく、電磁気吸収板Bの高透磁率材には、センダイスト(5Al、10Si+Fe、比透磁率100)、パーマロイ(78.5Ni+Fe、比透磁率100,000)などの鉄・ニッケル合金を使用するのが有効であり、電磁気吸収板Bとして、隣接する各通信検査部Aを覆うように高透磁率材を囲繞し、配置することで、電磁波の吸収効果を持たせ、各通信検査部A同士の電磁波の干渉を抑制することができる。
【0028】
高透磁率材1を使用した電磁気吸収板Bでは、各通信検査部Aのアンテナ11から発する信号電波照射による電磁波ノイズ(誘導電流ノイズ)と、該電磁波ノイズによる渦電流ノイズが発生し、渦電流ノイズは、その一部が輻射熱にエネルギー変換されるが、高透磁率材の磁気シールド効果により、電磁波吸収板Bは、発生した誘導電流ノイズ及び渦電流ノイズを、接地されているアース線部4、5を介して地表に逃がして吸収し、渦電流ノイズにより発生する輻射熱を抑制する。
【0029】
高透磁率材1は、板厚が厚くなるほど低周波側の電磁波の吸収特性が良くなるため、各通信検査部Aのアンテナ11、ICカード20に搭載するICチップ22動作用のアンテナから発する信号電波の周波数(使用周波数帯域13.0〜18.0MHZ )に整合するように、高透磁率材1の板厚の調整により周波数の調整を行うことができる。
【0030】
電磁波吸収板Bに使用する金属材2は、高透磁率材1との併用の際の金属としては、抵抗が大きいものほど金属帯に対して磁場反射の影響を受け難いため、電磁波吸収板Bの効果が大きくなる。金属材2としては 鋼材、ステンレス(SUS304、SUS430)などが適当である。
【0031】
本発明において使用する高透磁率材1及び金属板2の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば高透磁率材1は0.1mm〜1.0mm程度、金属板は1.0mm〜2.
0mm程度とする。
【0032】
次に本発明の非接触型ICカードの発行検査システムの実施の形態を、図5に示す本発明システムのシステムブロック図に基づいて以下に詳細に説明する。
【0033】
本発明システムは、図5に示すように非接触型ICカードの発行検査の制御動作をする発行検査制御手段Dと、該発行検査制御手段Dの制御により動作するICカード供給手段Iと、ICカード外観検査手段IIと、ICカード通信検査手段IIIと、ICカード収納手段IVとを備える。
【0034】
製造ラインにて製造(多量生産又は小ロット生産)された検査対象の非接触型ICカード20は、図5に示すように、ICカード移載手段X(矢印方向に移動するカードコンベア装置)により、製造ラインのデリバリからICカード供給手段Iへ移載し、ICカード供給手段IからICカード外観検査手段IIへ移載し、ICカード外観検査手段IIからICカード通信検査手段IIIへ移載し、ICカード通信検査手段IIIからICカード収納手段IVへと順次に移載される。
【0035】
例えば、ICカード移載手段Xとしては、ICカード20を水平方向に直線状に搬送する1本乃至2本あるいは2本以上のエンドレス回転する搬送ベルトを設け、その搬送ベルトの左右両外側にはガイド板を設け、そのエンドレス回転する搬送ベルトの回転外周面には、ICカード20の後端部を1枚毎に押送する複数個の押送爪(突起部)を等間隔に設けたものである。
【0036】
ICカード20は、順次、ICカード移載手段Xのエンドレス回転する搬送ベルト上に先行する押送爪と後行する押送爪との間の搬送ベルト上に載置することにより、製造ラインのデリバリからICカード供給手段Iへ、ICカード供給手段IからICカード外観検査手段IIへ、ICカード外観検査手段IIからICカード通信検査手段IIIへ、ICカード通信検査手段IIIからICカード収納手段IVへと移載される。
前方に搬送されて移載される。
【0037】
まず、ICカード製造ラインにて製造された検査対象の複数枚の非接触型ICカード20が、当該製造ラインのデリバリから、図5に示すICカード移載手段X(コンベア装置)にてICカード供給手段Iに順次移載される。
【0038】
次にカード供給工程では、カード供給手段Iが、発行検査制御手段Dからの供給動作の指示信号により、複数枚の非接触型ICカード20を、カード外観検査手段IIに備える1乃至複数の外観検査台(図示せず)上に1枚ずつ供給して載置する。
【0039】
次にカード外観検査工程では、カード外観検査手段IIが、発行検査制御手段Dからの検査動作の指示信号により、その手段IIに備える外観検査台上に供給され載置された各非接触型ICカード20の外観検査、寸法検査、電気系検査を行う。
【0040】
次にカード移載工程では、カード移載手段Xが、発行検査制御手段Dからの移載動作の指示信号により、前記各外観検査台上の各非接触型ICカード20を、カード通信検査手段IIIの複数の通信検査部Aの通信検査台C上(図1、図2、図3参照)に1枚ずつ移載する。
【0041】
次にカード読み出し書き込み工程では、カード通信検査手段IIIが、発行検査制御手段Dからの動作指示信号により、各通信検査部A及それに備えるリーダーライタ部を動作させ、そのリーダーライタ部に搭載するアンテナ11を介して、各通信検査台C上の非接
触型ICカード20のICチップ(ICメモリ)に対し、搭載するカードアンテナを介して交信して、検査読み出し又は/及び検査書き込みを行い、リーダーライタ部は検査情報データを得る。
【0042】
次にカード通信検査工程では、前記カード通信検査手段IIIが、発行検査制御手段Dからの動作指示信号を受け、前記カード通信検査手段IIIの各通信検査部Aにある各リーダーライタ部を動作させて、該リーダーライタ部に格納されている基準(規格)品質情報データと、各非接触型ICカード20に対して読み出し又は/及び書き込みにより得られた前記検査情報データとを比較し、各ICカード20について、その品質(規格)の良品、不良品を判定して通信検査を実行し、各ICカード20の通信検査結果を発行検査制御手段Dに搭載するメモリに送信する。
【0043】
次にカード収納工程では、カード収納手段IVが、発行検査制御手段Dからの通信検査結果(ICカード20の品質(規格)良・否)データと、それに基づき形成される動作指示信号を受けて、通信検査後の各通信検査台C上にある良品と判定されたICカード20を良品収納部(スタッカー)に収納し、不良品と判定されたICカード20を不良品収納部(リジェクトスタッカー)に収納する。
【符号の説明】
【0044】
A…カード通信検査部(検査用リーダーライタ)
B…電磁波吸収板
C…カード通信検査台
D…カード発行検査制御手段
I…ICカード供給手段
II…ICカード外観検査手段
III…ICカード通信検査手段
IV…Cカード収納手段
X…ICカード移載手段(コンベア装置)
1…高透磁率材
2…金属材
3…絶縁材
4、5…アース線部
11…交信アンテナ
20…非接触型ICカード
22…ICチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)発行前の非接触型ICカードを載置する通信検査台と、
b)該ICカードの上方に対向して配置され、載置された前記ICカードに対して交信を行う交信アンテナと、
c)該交信アンテナに接続して前記ICカードの検査読み出し・検査書き込みを行う検査用リーダーライタ部とを設けた複数台の通信検査部をそれぞれ互いに隣接して配置したカード通信検査手段と、
d)カード通信検査手段の各通信検査部の間に電磁波の干渉を防止する電磁波吸収板を介在させ、
e)前記電磁波吸収板により各通信検査部の間の電磁波の干渉を防止しながら、前記複数台の通信検査部の各検査用リーダーライタ部により交信アンテナを介して、前記各通信検査部に対応する各通信検査台上に載置された発行前の非接触型ICカードのICメモリに対して交信して通信検査を行い、ICカードの発行検査をすることを特徴とする非接触型ICカード発行通信検査手段。
【請求項2】
a)複数枚の非接触型ICカードを複数の外観検査台上にそれぞれ1枚ずつ供給するカード供給手段と、
b)前記各々外観検査台上にて、各々非接触型ICカードの外観、寸法、電気系統の検査をするカード外観検査手段と、
c)各々外観検査台上の各非接触型ICカードを複数の通信検査台上に移載するカード移載手段と、
d)通信検査台上の各々非接触型ICカードに搭載する情報データを記録するメモリに対して、アンテナを介して、検査読み出し又は/及び検査書き込みを行うリーダーライタ部を備え、前記リーダーライタ部にて読み出され又は/及び書き込まれた情報データを記録した前記各々非接触型ICカードのメモリに対してアンテナを介して交信して、各カードの通信検査をする複数台の通信検査部をそれぞれ互いに隣接して配置し、前記各通信検査部の間に電磁波の干渉を防止する電磁波吸収板を介在させたカード通信検査手段と、
e)通信検査後のカード通信検査手段の前記各通信検査台上の各非接触型ICカードを、搬送経路を経由して収納部に収納するカード収納手段とを備え、
f)前記カード供給手段にて、複数枚の非接触型ICカードを複数の外観検査台上にそれぞれ1枚ずつ供給するカード供給工程と、
g)前記カード外観検査手段にて、外観検査台上の各非接触型ICカードの外観、寸法、電気系の検査をするカード外観検査工程と、
h)前記カード移載手段にて、各外観検査台上の各非接触型ICカードを、前記カード通信検査手段の複数のカード通信検査台上に移載するカード移載工程と、
i)前記各カード通信検査部に備えるそれぞれリーダーライタ部にて、各々通信検査台上の非接触型ICカードに搭載する情報データを記録するメモリに対して、アンテナを介して交信して検査読み出し又は/及び検査書き込みを行い、検査情報データを得るカード検査読み出し書き込み工程と、
j)前記各カード通信検査部の各リーダーライタ部にて各非接触型ICカードに対して読み出され又は/及び書き込まれて得られた検査情報データと、前記各リーダーライタ部に格納されている基準(規格)品質情報データとを比較し、各ICカードの良否を判定して通信検査をするカード通信検査工程と、
k)前記カード収納手段にて、通信検査後の通信検査台上の各々非接触型ICカードを、搬送経路を経由して収納部に収納するカード収納工程と、
を含むことを特徴とする非接触型ICカード発行検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−226576(P2012−226576A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93948(P2011−93948)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】