説明

非接触多機能センサシステム

一体型多機能センサは、変形可能な材質のチューブを受承するスロットと、スロット内のチューブと対面するようにヘッドスロットの壁面に配置される複数のセンサ素子とを備え、各センサは、チューブ内の液体に関する状態を検出するように作用する。マイクロプロセッサを含む集積電気回路は、センサ素子により検出されたチューブ内の液体流の様々な状態を判定するように動作し、状態は、超音波検出素子よる気泡と粒子の両方又は一方の検出、力覚センサがチューブ壁面の変形を検出することによる液体流の閉塞の検出、赤外線温度検出素子による液体温度の判定、光学素子による液体色の判定を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ内を流れる液体の温度測定等の複数の機能が非接触で実行可能なセンサ素子を有する多機能センサヘッドを利用し、液体の型と流動の閉塞を検出するだけでなく、液体に含まれる気泡及び粒子の少なくとも一方を検出し、特定するセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腎臓透析装置、輸血分析器、輸血システム、心臓と肺のバイパス装置等のような医療装置が用いられる用途では、患者の安全を確実に守らなければならない。このような用途では、可撓性樹脂チューブは、麻酔剤の供給、薬液の供給、患者の体から血液等の液体を抜き出して、浄化又は精製した血液等の液体を患者の体に戻す際等に用いられていた。例えば、腎臓透析の行う場合、チューブが患者の静脈と動脈の両方に結合される。これにより、患者の体内から血液を抜き出し、浄化した血液を患者の体内に戻す。また、チューブは患者への投薬にも用いられる。
【0003】
チューブは、患者の体に結合されるため、チューブ内を流れる液体の状態やチューブ自身の状態をモニターすることが好ましく、より適切には、その必要がある。例えば、チューブ内を流れる液体の温度を測定することや、液体に含まれる気泡及び粒子を測定して気泡及び粒子の大きさと量を特定することは必要であるか又は好ましい。その他、チューブ内を流れる血液や食塩水のような液体の型や、流動の閉塞だけでなくチューブ内の液体の流れを測定する。このため、患者と結合される所要のチューブを測定することが、より一層望まれる。
【0004】
従来では、別個のセンサと、各センサと連携する電気回路は、各測定機能をそれぞれ実行するようになっていた。このことは、各センサを1以上のチューブに設ける必要があるという点で医療装置の使用が複雑となる。例えば、複数の異なるセンサは、単一のチューブに配置され、チューブ内に流れる液体に関してモニターされる状態を測定する。これは、医療従事者による選択された処置が必要となる。この医療装置を利用することは、操作、大きさ、コストの点で扱いにくい。また、各センサと各センサに連携した電気回路は、異なる状態をそれぞれモニターする必要がある。このため、専用の電気回路をそれぞれ有した複数の別個のセンサを使用するために、失敗する可能性が増大し、医療装置及びセンサのシステム全体の信頼性が低下する。さらに、装置の作業者は、異なる機能の異なる電気回路と異なるセンサとを購入するため、複数のベンダーと頻繁に調整する必要がある。
【0005】
従って、このような多くの問題と不利益を克服することができる装置が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の検出機能を実行でき、一体型多機能検出モジュールを含み、上記した問題を解決するシステムに向けられる。本発明では、モジュールは、内部にチューブが配置されたスロットを備えたヘッドを有している。ヘッドは、気泡の検出、温度の測定、圧力の測定に必要な複数のセンサ素子を備え、チューブ内の液体流の閉塞を検出し、また、ヘッドと確実に接続されるチューブの指示値を与える。また、ヘッドは、スロットのチューブに光を照射するLEDのような発光装置と、その光を受信する光検出器とを含む。これにより、チューブ内の液体が、血液か、あるいは食塩水や薬液のようなより透明な液体であるかどうかを判別できるようになる。ヘッドモジュールは、透明なポリカーボネート樹脂等の材質のブロックで形成され、対向する側壁に様々なセンサ素子が配置されたスロットを有している。チューブは、スロットに配置され、機能を実行するために物質的な接触が必要なセンサ素子と接触する。リード線は、ヘッドに搭載された様々なセンサ素子から、ヘッドに搭載されたセンサ素子に対応する様々な機能を実行するようにプログラムされたマイクロプロセッサを含む電気回路に接続される。好ましくは、電気回路は、単一のマイクロプロセッサが全ての検出機能を制御するように使用することができるマルチプレクサを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の統合された多機能センサの透視図である。
【図2】ヘッドの交差部分の概略図である。
【図3】システムの電気回路のブロック図である。
【図4】チューブの断面図である。
【図5】チューブ内の液体の温度測定に使用される赤外線センサの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び図2に示すように、本発明の多機能センサは、UDEL(登録商標)ポリスルホン樹脂(ソルベイ・アドバンスト・ポリマー(Solvay Advanced Polymers)社製)等の樹脂材質のブロックであるヘッド10を有する。本実施形態では、ヘッド10は、一般的に長方形として図示され、好適な技術によって成形することができる。ヘッド10は、対向する側壁14,16を含む縦長のスロット12を有する。可撓性を有し、かつ弾性的に外側に拡張し、その中を液体が流れるチューブ20は、スロット12に配置される。チューブ20は、一方の端部が患者の体と結合され、他方の端部が薬液、食塩水等の液体供給装置又は透析装置等の装置に結合される。ヘッド10の成形の際には、対向するスロットの側壁14,16に複数の凹部が形成される。以下に説明する各種のセンサ素子は、凹部にそれぞれ配置される。各凹部は、配置されるセンサ素子の特定の形式に適応した形状になっている。スロットの側壁の厚さは、樹脂材質と使用されるセンサ素子とに応じて、標準的に0.30〜0.50インチ(0.76〜1.27センチメートル)である。ヘッド10の外側壁面からスロットの壁面14,16に形成された各凹部まで、貫通孔がそれぞれ貫通形成され、これにより、各リードワイヤが各センサ素子とそれぞれ接続される。
【0009】
センサ素子を考慮すると、ヘッド10の一方の端部付近には、圧電素子26a,26bがスロットの対向する壁面14,16にそれぞれ配置される。ヘッド10の中央位置付近には、温度センサ20がスロットの一方の壁面14に配置され、力覚センサ30がスロットの他方の壁面16に配置される。ヘッド10の他方の端部付近には、LEDのような発光素子32がスロットの一方の壁面14に配置され、光検出器34がスロットの他方の壁面16に配置される。なお、様々なセンサ素子の形状の表現は、概略的であり、センサ素子の形状は、使用される特定のセンサ素子に依存する。また、上記のセンサ素子の配置は変更することができる。各センサ素子は、エポキシ樹脂のような接着剤によって各凹部にそれぞれ固着される。スロットを形成する壁面からヘッドの外壁面までリードワイヤを貫挿することにより、各センサ素子は、後述する電気回路と接続できるようになっている。
【0010】
本発明のシステムの動作では、樹脂チューブ12は、ヘッド10のスロット12に配置される。スロット12の幅は、樹脂チューブ20の外径よりわずかに小さく、チューブ20の接触を必要とする対向するスロットの壁面14,16に配置されたセンサ素子26,28,30の表面と接触するようになっている。スロット内のチューブの変形又は圧搾は、自身の外径の15%から20%である。発光素子32と光検出器34は、樹脂チューブの外壁面と接触する必要はないが、発光素子32と光検出器34の一方又は両方とが接触してもよい。次に、上記の各センサ素子とこれらの各機能について説明する。
【0011】
圧電素子26a,26bは、超音波技術分野で使用される好適な材質であって、例えば、ジルコニウム酸-チタン酸鉛(PZT)又は1,1−2フッ化エタン重合体(PVDF)等の材質からなる。本発明の一体型多機能センサシステムでは、圧電素子26a,26bは、気泡の検出及び特定装置の一部として動作する。このような装置では、一方の圧電素子26には、超音波エネルギーが供給され、その超音波エネルギーが他方の圧電素子にチューブ20を介して供給される。この種の回路は、2007年7月2日に出願した米国特許出願第11/703025号、“Ultrasonic System for Detecting and Quantifying of Air Bubbles/particles in a Flowing Liquid”に記述されている。この開示内容が参照として挿入される。次に、このシステムについて図3に従って説明する。なお、他の超音波型システムは、気泡を検出するように使用することができる。
【0012】
温度センサ素子28は、赤外線の熱電対であって、例えば、マサチューセッツ州、ウォータータウン(Watertown)、エクサジェン(Exergen)社によって製造された製造番号:150042,Model No C UIRT−K−98.6f/37Cである。この機器は、チューブ表面温度と大気温度の両方を測定することにより、チューブ20内の液体の温度を液体に接触せずに測定することができる。センサ素子28は、流体の温度を正確に測定するため、チューブ20の中央部の焦点位置にセンサの赤外線ビームが収束するようにヘッド10が配置されることが好ましい。
【0013】
次に、温度センサ素子28の動作を図5に従って説明する。図5の状態では、チューブ20のようなチューブ内を流れている流体Lは、自身の温度Tが熱の抵抗Rによって示され、チューブの内部表面TIWへ熱を伝導し、そして、熱がチューブの内部表面TIWから外部表面TOWに伝導する。この熱の移動は、熱の抵抗Rによって示される。チューブ外壁の熱は、熱の抵抗Rによって示されるように、放射と対流により大気に移動する。このようなアナログ電気回路を用いた熱解析の方法を以下に説明する。なお、電流と熱の流れは等しく、電圧と温度は等しい。熱移動の方程式は、
Q=(T−T)/(R+R+R
である。
【0014】
ここで、Q=熱移動、R+R=Rである。
そして、熱平衡について、
Q=(TOW−T)/R
となる。
【0015】
従って、
=(R+R+R)(TOW−T)/R+T
となる。
【0016】
赤外線センサ28は、TOWとTの両方を測定する。センサ28の出力線は、適切な回路に接続され、その回路はセンサ28が測定した温度の変化をデジタル値に変換するためのアナログ・デジタル・コンバータとその他に必要な回路と、液体の温度Tを求める方程式を自動的に解くための好適にプログラムされたマイクロプロセッサ又は同様な機能を有する装置を含む。この技術は、液体の温度を±0.2℃の誤差にて測定することができる。この測定は、対象に接触せずに行われ、高精度に対象の温度を表示する方法を提供する。測定された液体の温度は、加熱と冷却を行う装置のオン・オフ等の制御を行ったり、温度調整を行うシステムオペレータに情報を提供するようなことに使用することができる。
【0017】
センサ素子30は、可撓性チューブ20の内部圧力を非接触で測定可能な力覚センサ又は圧力センサである。透析又は薬液の注入を行っている間に、チューブ20内の液体の内部圧力は、チューブの内壁面に加える。そして、そのチューブの内壁面に加えられた圧力が、チューブの外壁面に伝達される。チューブの外壁面に加えられた圧力は、チューブの内部圧力と比例関係を有している。図4は、スロット12に配置された楕円形状の、液体が流れていないチューブ20を示している。そして、チューブ内を液体が流れることにより、チューブが破線で示された円形状に拡張する。チューブの外壁の拡張は、量産品である力覚センサ30又はひずみ圧力センサ30によって測定される。好適な力覚センサ素子は、コメチカット州、メリデン(Meriden)、ストレイン・メジャメント・デバイス(Strain Measurement Device)社によって製造された製造番号:DEL2239と同等のものである。センサ素子30の表面は、スロット12に配置されたチューブの外壁と接触する。このような力覚又はひずみ圧力装置は、測定した力の測定値に応じた抵抗値の変化を生成する。
【0018】
力覚センサ30は、複数の機能を実行するように使用される。力覚センサ30は、チューブ20内の液体の圧力の急激な変化を測定することにより、チューブの閉塞を検出する。また、吸入を失敗した場合、圧力が下がっていく。また、センサ30は、測定スロット12内のチューブの存在を検出する。これは、スロット12内に挿入されたチューブ20がセンサ素子30に対して力が加わることで行われる。センサ30は、チューブ内が乾燥していることと、チューブ内に液体が存在することを区別する。これは、チューブ20内に液体が流れる場合のチューブの外壁に加わる力が、チューブ20内に液体が流れない場合より大きくなるためである。
【0019】
センサ素子32,34は、チューブ20内を流れる液体の型を検出することができる。通常の使用では、血液、血液と同様の濁った液体、透明な液体、比較的透明な食塩水を検出する。他の使用では、チューブ内に液体があるか否か、又は、チューブ内が乾燥しているか否かを検出する。発光素子32は、赤外線発光ダイオードのような好適なデバイスである。また、発光素子34は、シリコン・フォト・トランジスタのような好適なデバイスである。発光素子32は、赤外線エネルギー出力ダイオードとすることができ、チューブ20の中央位置に出力ビームが収束するように配置される。定電流源は、赤外線出力ダイオードを駆動するように使用される。フォトトランジスタ34は、チューブ20を介して伝達された光エネルギーを受ける。チューブとチューブ内を流れる液体を介して出力された光は、増幅される。増幅されたアナログ信号は、デジタル信号に変換され、後述するマイクロプロセッサにより分析される。
【0020】
光学素子32,34は、多くの機能を有し、液体を通過する異なる振幅の光の量に基づいて血液と食塩水を検出する機能を含む。検出器34は、異なる条件において、例えばスロット内にチューブがない場合、内部に透明な液体が流れるチューブがある場合、内部に血液が流れるチューブがある場合に、異なる振幅の光を検出する。光学素子32,34は、これら異なる条件の全てを検知することができ、異なる指示値を装置の操作者に与えることができる。
【0021】
ある用途では、液体が注入される前にスロットに配置されるチューブの存在を検出することが重要である。上記の力と光を検出する技術を組み合わせることにより、本発明のシステムは、チューブの存在又は不存在の状態を検出することに信頼性を与えることができる。
【0022】
図3は、本発明の多機能センサとともに使用することができる電気回路のブロック図である。図3の電気回路は、ヘッドに搭載された全てのセンサの測定機能の全てを制御するようにマイクロプロセッサが使用されるという点で集積化されている。これは好ましいが一方、他の電気回路は、例えば、異なる種類の各センサに対してそれぞれマイクロプロセッサ及びディスプレイを有する個別のセンサ回路を設けてもよい。また、ヘッド10のセンサ素子の全てを利用する必要はない。例えば、ある用途では、一つのセンサ素子によって測定される一つの状態を測定する必要はないかもしれない。
【0023】
図3に示すように、後述する機能の全てを実行するために好適にプログラムされたマイクロプロセッサ50が設けられる。マイクロプロセッサ50は、意図する機能を実行して測定結果を生成する複数のセンサ素子の動作をそれぞれ制御するために必要な信号を出力する。また、マイクロプロセッサ50は、双方向のマルチプレクサ52に出力信号を信号線51を介して出力し、マイクロプロセッサによりゲーティングされるマルチプレクサ52の動作を制御し、続いて、マイクロプロセッサ50から出力信号を印加して、圧電センサ素子26a,26bと連携する気泡を検出して特定する回路60、センサ素子28と連携する温度検出回路70、力覚センサ30と連携する圧力検出回路80、光学素子32,34と連携する液体検出回路90の動作を制御する。アナログ・デジタル・コンバータ54は、回路60,70,80,90のいずれかからのアナログ出力信号をデジタル化し、そのデジタル化したアナログ出力信号をマイクロプロセッサ50に印加し、マイクロプロセッサ50は、動作しているセンサ素子に応じて適当な出力信号を生成する。マイクロプロセッサ50は、画像表示デバイス56を駆動し、測定結果、警告メッセージ、その他の情報を表示する。また、マイクロプロセッサは、プリンタ、音声警告装置、RS232規格の装置のような他の装置に出力する出力信号を生成することもできる。図に示すこれら全ては当該技術において一般的なものである。
【0024】
気泡と粒子を検出する回路60は、マイクロプロセッサ50によって予め設定された時間に、マルチプレクサ52による動作のためにゲートオン制御される。米国特許出願第11/703025号に記載された気泡の検出と分析を行う回路60では、生成器62により超音波の周波数範囲(例えば、2〜5MHz)のエネルギーが、送信素子である素子26a又は素子26bに供給され、受信素子として働く素子にエネルギーを出力する。供給された超音波エネルギーは、増幅器64により増幅され、好適な回路により検出され、好ましくは、定常状態(DC)成分と、変動又は過渡状態(AC)成分とに分けられる。各成分は、液体中に気泡又は粒子が含まれていないことや、液体中の気泡又は粒子の存在を示す。この信号の2つの成分は、アナログ・デジタル・コンバータ56に印加され、アナログ・デジタル・コンバータ56の出力は、マイクロプロセッサ50に供給され、マイクロプロセッサ50は、変化する過渡成分の存在に対応するデジタルデータを用いて、気泡又は粒子の存在を示して、その特性を判定する。チューブ20内を液体が流れる場合、定常状態成分の存在は、システムが適切に動作して、継続的にシステムの異常に対する連続的なセルフチェックを提供していることを示す。
【0025】
温度検出回路70は、赤外線エネルギーに基づいて温度を測定することに使用される適切な従来の回路である。このような回路は、当該技術において公知である。マルチプレクサ52を介してマイクロプロセッサ50によってゲートオン制御される場合に、温度検出回路70内の電子機器72は、図5に示すようにチューブ20の壁面を加熱する赤外線ビームを生成し、増幅器74によって増幅されるアナログ出力電圧を生成する。アナログ出力信号がアナログ・デジタル・コンバータ54に印加されてデジタル出力信号に変換され、このデジタル出力信号は、処理及びディスプレイのためにマイクロプロセッサに印加される。
【0026】
センサ素子30を使用する力覚検出回路80は、ブリッジ回路のような回路を有し、力又は圧力に応答してセンサ素子の抵抗の変化を電圧に変換し、その電圧は、増幅器84に印加され、マルチプレクサ52を介してアナログ・デジタル・コンバータ54に供給される。アナログ電圧によって表される測定された力は、マイクロプロセッサ50にて処理され、デジタル形式に変換される。
【0027】
液体の色検出回路90は、発光素子92のための駆動回路92を有している。システムが動作しているとき、駆動回路92は、常に発光素子92を駆動することが好ましい。増幅器94は、マイクロプロセッサ50からの信号によってゲートオン制御され、チューブ20及び液体の少なくとも1つを介して通過する光をフォトトランジスタ34によって受信して、マルチプレクサ52を介してアナログ・デジタル・コンバータ54に供給できるようにする。上記したように、フォトトランジスタによって生成された信号の振幅は、チューブ内に液体が含まれないことと、液体の色とに対応する。マイクロプロセッサによるデジタル信号の処理後に、結果がディスプレイ56に表示される。
【0028】
本発明の特定の特徴を1つ以上の図面に、単に便宜的な理由から示してきたが、各特徴は、本発明による他の特徴と組み合わせることができる。別の実施形態があり得ることをこの技術分野の当業者であれば理解することができ、そしてこれらの別の実施形態は、請求項の範囲に含まれるべきものである。従って、上の記述は、例示として捉えられるべきであり、本発明の範囲を制限するものではない。全てのこのような明らかな変更及び変形は、添付の請求項の特許請求の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型多機能センサシステムであって、
変形可能な材質のチューブを受承するスロットを含むヘッドと、
前記スロット内のチューブに対面するように前記ヘッドに配置され、チューブ内の液体に関する状態を検出する複数のセンサ素子と、
前記複数のセンサ素子と接続され、前記各センサ素子によって検出された状態の測定値を供給する電気回路と
を備える、一体型多機能センサシステム。
【請求項2】
全ての前記センサ素子は、
前記スロット内のチューブの外側に位置している際に各検出機能を実行する、請求項1記載の一体型多機能センサシステム。
【請求項3】
前記複数のセンサ素子は、
前記スロットの側壁に互いに対向するように配置され、スロット内のチューブの外壁に接触する一対の圧電素子と、
前記スロットの一側壁に配置され、スロット内のチューブの外壁に接触する力覚センサと
を含み、
前記電気回路は、
マイクロプロセッサと、
前記マイクロプロセッサにより制御され、前記一対の圧電センサ素子の一方に超音波エネルギーを供給し、チューブを介して伝達された超音波エネルギーを受け取り、受け取ったエネルギーからスロット内のチューブを流れる液体における気泡及び粒子の少なくとも1つの存在を判定する気泡及び粒子検出回路と、
前記マイクロプロセッサにより制御され、前記スロット内のチューブの変形による変化から、液体流の閉塞を示す、チューブを流れる液体の圧力の変化を判定する力覚検出回路と
を含む、請求項2記載の一体型多機能センサシステム。
【請求項4】
前記力覚検出回路は、
前記スロット内のチューブの存在又は不存在を判定する、請求項3記載の一体型多機能センサシステム。
【請求項5】
前記複数のセンサ素子は、
前記スロット内のチューブに赤外線エネルギーのビームを照射する赤外線温度検出素子と、
スロットの一壁面に配置され、スロット内のチューブの内側に光を伝達する発光素子と、
前記スロットの対向する壁面に配置され、チューブを介して光を受信する受光素子と
を含み、
前記電気回路は、
前記赤外線温度検出素子により検出された赤外線エネルギーに応答して、前記スロット内のチューブを流れる液体の温度を判定する温度検出回路と、
前記受光素子により受信した光に応答して、前記スロット内のチューブを流れる液体の色を判定する液体型検出回路と
を含む、請求項3記載の一体型多機能センサシステム。
【請求項6】
前記液体型検出回路は、
チューブが存在しないことと、チューブを流れる液体の存在との少なくとも1つを判定するように動作する、請求項5記載の一体型多機能センサシステム。
【請求項7】
前記電気回路は、
タイミング信号により制御され、気泡及び粒子の少なくとも1つを検出する回路と、力覚検出回路とを別々に動作させるマルチプレクサを含む、請求項3記載の一体型多機能センサシステム。
【請求項8】
前記電気回路は、
タイミング信号により制御され、気泡及び粒子の少なくとも1つを検出する回路と、力覚検出回路と、温度検出回路と、液体型検出回路とを別々に動作させるマルチプレクサを含む、請求項5記載の一体型多機能センサシステム。
【請求項9】
多機能センサシステムのセンサヘッドであって、
変形可能な材質のチューブを受承するスロットを含むヘッドと、
前記スロット内のチューブに対面するように前記ヘッドに配置され、チューブ内の液体に関する状態を検出するように作用する複数のセンサ素子と
を含む、センサヘッド。
【請求項10】
前記ヘッドは、
透過性の樹脂材質からなる、請求項9記載のセンサヘッド。
【請求項11】
前記複数のセンサは、
前記スロットの側壁に互いに対向するように配置され、スロット内のチューブの外壁に接触する一対の圧電素子と、
前記スロットの一側壁に配置され、スロット内のチューブの外壁に接触する力覚センサと
を含む、請求項9記載のセンサヘッド。
【請求項12】
前記複数のセンサは、
前記スロット内のチューブに赤外線エネルギーのビームを照射する赤外線温度検出素子と、
スロットの一側壁に配置され、スロット内のチューブの内側に光を伝達する発光素子と、
前記スロットの対向する壁面に配置され、チューブを介して光を受信する受光素子と
を含む、請求項9記載のセンサヘッド。
【請求項13】
前記複数のセンサは、
前記スロット内のチューブに赤外線エネルギーのビームを照射する赤外線温度検出素子と、
スロットの一側壁に配置され、スロット内のチューブの内側に光を伝達する発光素子と、
前記スロットの対向する壁面に配置され、チューブを介して光を受信する受光素子と
を含む、請求項12記載のセンサヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−501804(P2011−501804A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525826(P2010−525826)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/010857
【国際公開番号】WO2009/042061
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(505324858)フレゼニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】Fresenius Medical Care Holdings,Inc.
【Fターム(参考)】