説明

非接触座標測定機の真直度評価方法および真直度評価装置

【課題】
非接触座標測定機の真直度の評価作業に時間が掛からないようにする。
【解決手段】
直方体形の基材11と基材11の長さ方向に間隔を介して固定された複数の球体16,17,18,19とからなる評価用標準器1を高精度の接触座標測定機で測定して評価用標準器1の球体16,17,18,19の中心の位置の真直度についての校正値Aを得る第1の手順と、評価する非接触座標測定機2で評価用標準器1を測定して評価用標準器1の球体16,17,18,19の中心の位置の真直度についての測定値Bを得る第2の手順と、測定値Bから校正値Aを引いた補正値Cから非接触座標測定機2の真直度を評価する第3の手順とを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触座標測定機の真直度の評価(精度検査)に係る技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
非接触座標測定機は、接触座標測定機に比して被測定物を高速に測定することができる利点があることから急速に普及してきている。このため、非接触座標測定機の測定精度を評価する手法の確立が求められている。
【0003】
従来、非接触座標測定機の測定精度の重要な要素である真直度については、直定規を評価用標準器として、センサヘッドに電気マイクロメータ等の接触式変位計を取付けて測定して、得られた測定値から評価することが行われている。この理由は、平面的形状の直定規を評価用標準器とた場合に、非接触プローブでそのまま測定するとノイズが大きくなって高精度の測定が不能になるためである。
【0004】
また、接触座標測定機の真直度を評価する技術としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
【0005】
特許文献1には、直方体形の基材と基材の長さ方向に間隔を介して固定された複数の球体とからなる部材を評価用標準器に組込む技術が記載されている。
【0006】
この評価用標準器に組込まれる部材は、「JIS B7441」においてボールバーと称せられ寸法測定用標準器とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3837503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の従来の非接触座標測定機の真直度の評価技術では、非接触プローブに接触式変位計を取付けて測定することから、直定規からなる評価用標準器の測定面を1つの軸方向とこれに直交する軸方向とに向けてセットし直して2回の測定を行わなければならないため、評価作業に時間が掛かってしまうという問題点がある。また、長尺の直定規の製作が困難であることから、真直度の測定範囲が制約されてしまうという問題点がある。
【0009】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、評価作業に時間が掛からない非接触座標測定機の真直度評価方法を提供することを第1の課題とし、第1の課題を解決することができるとともに真直度の測定範囲が制約されることのない非接触座標測定機の真直度評価方法とこれに使用される非接触座標測定機の真直度評価装置とを提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の第1の課題を解決するため、本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価方法は、特許請求の範囲の請求項1,2に記載の手段を採用する。
【0011】
即ち、請求項1では、直方体形の基材と基材の長さ方向に間隔を介して固定された複数の球体とからなる評価用標準器を高精度の接触座標測定機で測定して評価用標準器の球体の中心の位置の真直度についての校正値を得る第1の手順と、評価する非接触座標測定機で評価用標準器を測定して評価用標準器の球体の中心の位置の真直度についての測定値を得る第2の手順と、測定値から校正値を引いた補正値から非接触座標測定機の真直度を評価する第3の手順とを実行することを特徴とする。
【0012】
この手段では、ボールバーを評価用標準器として使用して、予め評価用標準器の球体の中心の位置の真直度の校正値を得ておき、評価する非接触座標測定機の測定による評価用標準器の球体の中心の位置の真直度の測定値から校正値を引いて補正値を得ることで評価する。
【0013】
また、請求項2では、請求項1の非接触座標測定機の真直度評価方法において、評価用標準器の球体の中心の位置の真直度は、球体の外周面の測定分布から最小自乗法によってそれぞれ求めた球体の中心の位置の全てから最小自乗法によって全ての球体の中心付近を通過する近似直線を求め、近似直線の方向をX軸としX軸に直交し基材の球体が取付けられている面を基準面とした場合に基準面に平行な方向をY軸としX軸,Y軸に直交する方向をZ軸として座標系を設定し、各球体の中心の位置から近似直線に延ばした垂線の長さによって表すものであることを特徴とする。
【0014】
この手段では、評価用標準器の球体の中心の位置を全ての球体の中心付近を通過する近似直線を基準にした座標系を設定し、各球体の中心の位置から近似直線に延ばした垂線の長さによって真直度を表すことにしている。
【0015】
さらに、前述の第2の課題を解決するため、本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価方法は、特許請求の範囲の請求項3,4に記載の手段を採用する。
【0016】
即ち、請求項3では、請求項1または2の非接触座標測定機の真直度評価方法において、第2の手順の実行に際して、測定値を得た後に評価用標準器をスライドさせスライドの前の最前方の球体の位置にスライドの後の最後方の球体を位置させて再度測定値を得て、第3の手順の実行に際して、評価用標準器のスライドの前後の測定値からの補正値をスライドの前の最前方の球体の位置とスライドの後の最後方の球体の位置とで2点連鎖法でつなぎ合わせることを特徴とする。
【0017】
この手段では、請求項1または2と同様の作用を奏することに加えて、評価用標準器をスライドさせてスライドの前後の各測定値からの補正値を2点連鎖法でつなぎ合わせることにしている。
【0018】
また、請求項4では、請求項3の非接触座標測定機の真直度評価方法において、第2の手順の評価用標準器のスライドの前後の姿勢を測定し、第3の手順の2点連鎖法による測定値のつなぎ合わせの際に、評価用標準器のスライドの前後の姿勢を一致させるように補正することを特徴とする。
【0019】
この手段では、補正値を2点連鎖法でつなぎ合わせる前に評価用標準器のスライドの前後の姿勢を一致させるように補正することにしている。
【0020】
さらに、前述の第2の課題を解決するため、本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価装置は、特許請求の範囲の請求項5,6に記載の手段を採用する。
【0021】
即ち、請求項5では、直方体形の基材と基材の長さ方向に間隔を介して固定された複数の球体とからなり非接触座標測定機で球体の中心の位置の真直度について測定される評価用標準器と、評価用標準器の基材に取付けられた反射鏡と、非接触座標測定機に設置され反射鏡に向けて照射した光の反射光から評価用標準器の姿勢を測定するオートコリメータとを備えたことを特徴とする。
【0022】
この手段では、請求項3または4の実施に際して、評価用標準器の基材に取付けられた反射鏡と汎用されているオートコリメータとによって装置を構成するようにしている。
【0023】
また、請求項6では、請求項5の非接触座標測定機の真直度評価装置において、反射鏡とオートコリメータとの間に設置され反射鏡とオートコリメータとの間の光路をV字形にする中継鏡を備えたことを特徴とする。
【0024】
この手段では、中継鏡を備えることによって反射鏡とオートコリメータとの間の光路をV字形にしている。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価方法は、請求項1として、ボールバーを評価用標準器として使用して、予め評価用標準器の球体の中心の位置の真直度の校正値を得ておき、評価する非接触座標測定機の測定による評価用標準器の球体の中心の位置の真直度の測定値から校正値を引いて補正値を得ることで評価するため、校正値を得るという準備的な作業が必要になるものの、非接触座標測定機の通常の測定の作業で実施することができるため、評価作業に時間が掛からなくなる効果がある。
【0026】
また、請求項2として、評価用標準器の球体の中心の位置を全ての球体の中心付近を通過する近似直線を基準にした座標系を設定し、各球体の中心の位置から近似直線に延ばした垂線の長さによって真直度を表すことにしているため、評価をコンピュータ処理する際のプログラムの作成が容易になる効果がある。
【0027】
さらに、本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価方法は、請求項3として、請求項1または2と同様の作用を奏することに加えて、評価用標準器をスライドさせてスライドの前後の各測定値からの補正値を2点連鎖法でつなぎ合わせることにしているため、評価作業に時間が掛からなくなる効果があるとともに、真直度の測定範囲が制約されることがなく長尺の範囲の真直度を評価することができる効果がある。
【0028】
また、請求項4として、補正値を2点連鎖法でつなぎ合わせる前に評価用標準器のスライドの前後の姿勢を一致させるように補正することにしているため、評価用標準器のスライドの前後の姿勢の相違が補正値から排除される効果がある。
【0029】
さらに、本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価装置は、請求項5として、請求項3または4の実施に際して、評価用標準器の基材に取付けられた反射鏡と汎用されているオートコリメータとによって装置を構成するようにしているため、簡素な装置構成によって請求項3または4の非接触座標測定機の真直度評価方法を実施することができる効果がある。
【0030】
また、請求項6として、中継鏡を備えることによって反射鏡とオートコリメータとの間の光路をV字形にしているため、光路をI字形にすることが困難な非接触座標測定機に対してもオートコリメータを設置することが可能になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価方法を実施をするための形態の第1例の概略図である。
【図2】図1の実施のために使用される非接触座標測定機の側面図である。
【図3】図1で実施される手順のフローチャートである。
【図4】図1の実施による評価を示すグラフである。
【図5】図1の実施による評価を示すグラフである。
【図6】本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価方法を実施をするための形態の第2例および本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価装置を実施をするための形態の斜視図であり、(A)に評価用標準器のスライドの前の状態が示され、(B)に評価用標準器のスライドの後の状態が示されている。
【図7】図6で実施される校正値,測定値,補正値の扱いのブロック図である。
【図8】図6の装置構成の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価方法および真直度評価装置を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
図1〜図5は、本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価方法を実施するための形態の第1例を示すものである。
【0034】
第1例は、第1の課題を解決するもので、評価用標準器1としてボールバーを採用している。
【0035】
評価用標準器1は、精密仕上げされた基材11,脚12,13,14,15,球体16,17,18,19からなる。基材11は、直方体形に形成され、基準面となる上面11aに脚12,13,14,15が固定される。脚12,13,14,15は、円柱体形に形成され、基材1の長さ方向に4個が同一の間隔を介して固定され直線状に整列されている。球体16,17,18,19は、真球体形に形成され、脚12,13,14,15の上端部に4個がそれぞれ固定されている。
【0036】
第1の手順としては、評価用標準器1を高精度の接触座標測定機で測定して評価用標準器1の球体16,17,18,19の中心16a,17a,18a,19aの位置の真直度についての校正値Aを得る。
【0037】
校正値Aを得るためには、まず、基準面とする評価用標準器1の基材11の上面11aを高精度の接触座標測定機による複数箇所の測定から特定する。続いて、高精度の接触座標測定機で測定した評価用標準器1の球体16,17,18,19の外周面の測定分布から最小自乗法によって球体16,17,18,19の中心16a,17a,18a,19aの位置を求める。続いて、求めた評価用標準器1の球体16,17,18,19の4個の中心16a,17a,18a,19aの位置から最小自乗法によって、全ての球体16,17,18,19の中心16a,17a,18a,19a付近を通過する近似直線Lを求める。そして、近似直線Lの方向をX軸とし、X軸に直交し基準面である評価用標準器1の基材11の上面11aに平行な方向をY軸とし、X軸,Y軸に直交する方向をZ軸として座標系を設定する。さらに、評価用標準器1の各球体16,17,18,19の中心16a,17a,18a,19aの位置から近似直線Lに延ばした垂線の長さによって真直度の校正値Aを表すことにする。図1には、評価用標準器1の各球体16,17,18,19の中心16a,17a,18a,19aからの垂線の長さがそれぞれa1,a2,a3,a4として示されている。
【0038】
第2の手順としては、校正値Aを得た後に、評価用標準器1を評価しようとする非接触座標測定機2で測定して評価用標準器1の球体16,17,18,19の中心16a,17a,18a,19aの位置の真直度についての測定値Bを得る。
【0039】
非接触座標測定機2としては、図2に示すように、3軸門形に構成され測定用テーブル21にセットされた被測定物の上方を非接触プローブ22が走査移動されるものが想定されている。評価用標準器1は、被測定物として測定用テーブル21にセットされる。
【0040】
測定値Bを得るためには、評価しようとする非接触座標測定機2において前述の校正値Aを得るためのプロセスと同様のプロセスが行われる。図1には、評価用標準器1の各球体16,17,18,19の中心16a,17a,18a,19aからの垂線の長さがそれぞれb1,b2,b3,b4として示されている。
【0041】
第3の手順としては、測定値Bを得た後に、測定値Bのb1,b2,b3,b4から校正値Aのa1,a2,a3,a4を引いて、補正値Cを得る。
【0042】
図1には、評価用標準器1の各球体16,17,18,19の中心16a,17a,18a,19aからの垂線の長さがそれぞれc1(b1−a1),c2(b2−a2),c3(b3−a3),c4(b4−a4)として示されている。
【0043】
この補正値Cにおける評価用標準器1の各球体16,17,18,19の中心16a,17a,18a,19aからの垂線の長さc1,c2,c3,c4によって、非接触座標測定機2の真直度を評価することになる。
【0044】
この評価の信頼性については、図4,図5に示すグラフによって明らかにされている。
【0045】
図4,図5のグラフは、縦軸にc1,c2,c3,c4に相当する真直度(mm)をとり、横軸にX軸の位置(mm)をとったもので、本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価方法を実施するための形態の第1例で得られたc1,c2,c3,c4が実線で示されている。図4は、X軸のZ軸(垂直)方向の真直度を表している。また、図5は、X軸のY軸(平面)方向の真直度を表している。なお、図4,図5のグラフには、この非接触座標測定機2の非接触プローブ22に接触式変位計を取付けて測定した測定値が破線で比較表示されている。
【0046】
図4,図5のグラフから理解されるように、真直度の評価の対象となる補正値C(c1,c2,c3,c4)が非接触座標測定機2の非接触プローブ22に接触式変位計を取付けて測定した測定値に対して0.001mmまでの差が生じていない。従って、非接触座標測定機2の真直度の評価に充分に対応することができるといえる。
【0047】
第1例によると、ボールバーを評価用標準器1として使用して、予め評価用標準器1の球体16,17,18,19の中心16a,17a,18a,19aの位置の真直度の校正値Aを得ておき、評価する非接触座標測定機2の測定による評価用標準器1の球体16,17,18,19の中心16a,17a,18a,19aの位置の真直度の測定値Bから校正値Aを引いて補正値Cを得ることで評価することになる。従って、校正値Aを得るという準備的な作業が必要になるものの、評価用標準器1のセットのし直しが不要な非接触座標測定機2の通常の測定の作業で実施することができるため、評価作業に時間が掛からなくなる。
【0048】
また、評価用標準器1の球体16,17,18,19の中心16a,17a,18a,19aの位置を全ての球体16,17,18,19の中心16a,17a,18a,19a付近を通過する近似直線Lを基準にした座標系を設定して測定し、各球体16,17,18,19の中心16a,17a,18a,19aの位置から近似直線に延ばした垂線の長さ(a1,a2,a3,a4,b1,b2,b3,b4,c1,c2,c3,c4)によって真直度を表すことにしている。従って、評価をコンピュータ処理する際のプログラムの作成が容易になる。
【0049】
図6〜図8は、本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価方法を実施するための形態の第2例と、本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価装置を実施するための形態とを示すものである。
【0050】
第1例は、第2の課題を解決するもので、第1例と同一の評価用標準器1をスライドさせて使用する。
【0051】
本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価装置を実施するための形態では、評価用標準器1をスライダ3に載せて非接触座標測定機2の測定用テーブル21にセットされたレール4の上をスライドすることができるように構成している。
【0052】
さらに、評価用標準器1の基材11の側面11bに反射鏡5が取付けられ、反射鏡5に向けて照射した光の反射光から評価用標準器1の姿勢を測定するオートコリメータ6が非接触座標測定機2の測定用テーブル21等に設置されている。
【0053】
この本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価装置を実施するための形態を使用した本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価方法を実施するための形態の第2例では、第1例の第2の手順の実行に際して、最初に測定値B−1(b1,b2,b3,b4)を得た後に評価用標準器1をスライドさせスライドの前の最前方の球体19の位置にスライドの後の最後方の球体16を位置させて再度の測定値B−2(b5,b6,b7,b8)を得る。
【0054】
そして、第1例の第3の手順の実行に際して、測定値B−1(b1,b2,b3,b4),B−2(b5,b6,b7,b8)からそれぞれ補正値C−1(c1,c2,c3,c4),C−2(c5,c6,c7,c8)を得た後に、オートコリメータ6で測定した評価用標準器1のスライドの前後の姿勢(近似直線Lの角度)を一致させるように補正し、補正値C−1(c1,c2,c3,c4),C−2(c5,c6,c7,c8)を評価用標準器1のスライドの前後で重複した球体19,16の中心19a,16aの位置で2点連鎖法でつなぎ合わせることで、最終的な補正値C−3を得る。
【0055】
本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価方法を実施するための形態の第2例によると、評価用標準器1をスライドさせてスライドの前後の測定値B−1(b1,b2,b3,b4),B−2(b5,b6,b7,b8)からの補正値C−1(c1,c2,c3,c4),C−2(c5,c6,c7,c8)を2点連鎖法でつなぎ合わせることにしているため、真直度の測定範囲が制約されることがなく長尺の範囲の真直度を評価することができる。
【0056】
また、補正値C−1(c1,c2,c3,c4),C−2(c5,c6,c7,c8)を2点連鎖法でつなぎ合わせる前に、評価用標準器1のスライドの前後の姿勢を一致させるように補正することにしているため、評価用標準器1のスライドの前後の姿勢の相違が補正値C−1(c1,c2,c3,c4),C−2(c5,c6,c7,c8)から排除される。
【0057】
なお、第2例では、その他の点について第1例と同様の作用効果が奏される。
【0058】
本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価装置を実施するための形態によると、評価用標準器1の基材11に取付けられた反射鏡5と、汎用されているオートコリメータ6とによって装置を構成するようにしている。従って、簡素な装置構成によって本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価方法を実施するための形態の第2例を実施することができる。
【0059】
なお、図8には、反射鏡5,オートコリメータ6の間に中継鏡7を設置して、光路がV字形になるように構成している。
【0060】
図8に示した本発明に係る非接触座標測定機の真直度評価装置の変形例によると、光路をI字形にすることが困難な非接触座標測定機2に対してもオートコリメータ6を設置することが可能になる。
【0061】
以上、図示した各例の外に、評価用標準器1の球体16,17,18,19を2個,3個または5個以上とすることも可能である。
【0062】
さらに、評価用標準器1を非接触座標測定機2の測定用テーブル21へのセットについては、X軸,Y軸,Z軸のいずれか1つの方向や複数の方向に設定することが可能である。
【実施例】
【0063】
図4,図5のグラフで示した数値を得るための評価用標準器1については、基材11を断面形状が1辺40mmの正方形で長さが360mmの低熱膨張のセラミックスバー材とし、球体16,17,18,19を直径25.4mmの玉軸受用鋼球(JIS 1501)の表面をブラスト処理してTiNコーティングしたものを用い中心16a,17a,18a,19aの間隔を100mmに設定している。
【符号の説明】
【0064】
1 評価用標準器
11 基材
16,17,18,19 球体
2 非接触座標測定機
5 反射鏡
6 オートコリメータ
7 中継鏡
A 校正値
B 測定値
C 補正値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形の基材と基材の長さ方向に間隔を介して固定された複数の球体とからなる評価用標準器を高精度の接触座標測定機で測定して評価用標準器の球体の中心の位置の真直度についての校正値を得る第1の手順と、評価する非接触座標測定機で評価用標準器を測定して評価用標準器の球体の中心の位置の真直度についての測定値を得る第2の手順と、測定値から校正値を引いた補正値から非接触座標測定機の真直度を評価する第3の手順とを実行することを特徴とする非接触座標測定機の真直度評価方法。
【請求項2】
請求項1の非接触座標測定機の真直度評価方法において、評価用標準器の球体の中心の位置の真直度は、球体の外周面の測定分布から最小自乗法によってそれぞれ求めた球体の中心の位置の全てから最小自乗法によって全ての球体の中心付近を通過する近似直線を求め、近似直線の方向をX軸としX軸に直交し基材の球体が取付けられている面を基準面とした場合に基準面に平行な方向をY軸としX軸,Y軸の双方に直交する方向をZ軸として座標系を設定し、各球体の中心の位置から近似直線に延ばした垂線の長さによって表すものであることを特徴とする非接触座標測定機の真直度評価方法。
【請求項3】
請求項1または2の非接触座標測定機の真直度評価方法において、第2の手順の実行に際して、測定値を得た後に評価用標準器をスライドさせスライドの前の最前方の球体の位置にスライドの後の最後方の球体を位置させて再度測定値を得て、第3の手順の実行に際して、評価用標準器のスライドの前後の測定値からの補正値をスライドの前の最前方の球体の位置とスライドの後の最後方の球体の位置とで2点連鎖法でつなぎ合わせることを特徴とする非接触座標測定機の真直度評価方法。
【請求項4】
請求項3の非接触座標測定機の真直度評価方法において、第2の手順の評価用標準器のスライドの前後の姿勢を測定し、第3の手順の2点連鎖法による測定値のつなぎ合わせの際に、評価用標準器のスライドの前後の姿勢を一致させるように補正することを特徴とする非接触座標測定機の真直度評価方法。
【請求項5】
直方体形の基材と基材の長さ方向に間隔を介して固定された複数の球体とからなり非接触座標測定機で球体の中心の位置の真直度について測定される評価用標準器と、評価用標準器の基材に取付けられた反射鏡と、非接触座標測定機に設置され反射鏡に向けて照射した光の反射光から評価用標準器の姿勢を測定するオートコリメータとを備えたことを特徴とする非接触座標測定機の真直度評価装置。
【請求項6】
請求項5の非接触座標測定機の真直度評価装置において、反射鏡とオートコリメータとの間に設置され反射鏡とオートコリメータとの間の光路をV字形にする中継鏡を備えたことを特徴とする非接触座標測定機の真直度評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−104703(P2013−104703A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247081(P2011−247081)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(591100563)栃木県 (33)
【Fターム(参考)】