説明

非接触式ゲート装置

【課題】 定期使用の非接触式券媒体及び短期使用の非接触式券媒体の使用を可能とすると共に短期使用の非接触式券媒体の回収効率を向上する。
【解決手段】 無線通信機能を備えたICカードやICトークンとの間で通信してデータの授受を行い、そのデータに基づいてドアを開閉制御する非接触式ゲート装置であって、定期利用及び一時利用のICカードやICトークンのデータを読み取り可能な第1のデータ読取手段1と、投入口から投入された一時利用のICトークンのデータを読み取る第2のデータ読取手段2と、前記第1及び第2のデータ読取手段1,2の読取りデータに基づいてドアを開閉制御するドア制御手段及び、前記第2のデータ読取手段2の読取データに基づいて回収すべきと判定した前記一時利用のICトークンの回収動作を制御する回収制御手段の機能を備えた制御手段6と、を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信機能を備えた非接触式券媒体との間で通信してデータの授受を行い、そのデータに基づいてドアを開閉制御する非接触式ゲート装置に関し、特に、定期利用及び一時利用の非接触式券媒体のいずれも使用でき、一時利用の非接触式券媒体の回収効率を向上した非接触式ゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の非接触式ゲート装置は、例えば鉄道交通等において非接触で自動改札が行われるようにした非接触式自動改札システムに利用されており、無線通信機能を備えた非接触式券媒体であるICカードとの間で通信してデータの授受を行い、そのデータに基づいてドアを開閉するようになっている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このようなICカードは、接触式の磁気式券媒体に比べて製造コストが高いため、一回だけ使用可能な普通乗車券や回数券等の比較的短期間で使用される一時利用券には、運用コストがかさんで実現できておらず、一般に定期券等の長期使用券に使用されているのみである。
【0003】
一方、非接触式の一時利用券の使用を可能とした非接触式ゲート装置としては、上記一時利用券をコイン状に形成したICトークンとし、このICトークンを装置本体内に回収して繰り返し使用できるようすることも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−038453号公報
【特許文献2】特開2004−310323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の非接触式ゲート装置においては、非接触式の定期利用券と一時利用券の両方を使用できるようにしたものは提案されていない。ここで、上記特許文献1に記載の非接触式ゲート装置に上記特許文献2に記載の非接触式ゲート装置の機能を組み入れることも考えられるが、ICカードのデータを読み取るデータ読取手段及びICトークンのデータを読み取るデータ読取手段の機能は同じであるため、ICトークンのデータをICカードのデータ読取手段で読み取らせてゲートを開かせ、入場又は退場することも可能であり、この場合、ICトークンの回収が困難となる。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に着目してなされたもので、定期利用の非接触式券媒体及び一時利用の非接触式券媒体の使用を可能とすると共に一時利用の非接触式券媒体の回収効率を向上した非接触式ゲート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、請求項1の発明は、無線通信機能を備えた非接触式券媒体との間で通信してデータの授受を行い、そのデータに基づいてドアを開閉制御する非接触式ゲート装置であって、定期利用及び一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取り可能なデータ読取手段と、前記データ読取手段が回収すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったときには、当該回収すべき一時利用の非接触式券媒体の回収条件に前記ドアを開状態に制御するドア制御手段と、前記データ読取手段の読取データに基づいて回収すべきと判定した前記一時利用の非接触式券媒体の回収動作を制御する回収制御手段と、を備える構成とした。
【0007】
このような構成により、無線通信機能を備えた非接触式券媒体との間で通信してデータ読取手段で定期利用及び一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取り、ドア制御手段で上記データ読取手段が回収すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったときには、当該回収すべき一時利用の非接触式券媒体の回収を条件にドアを開状態に制御し、回収制御手段で上記データ読取手段の読取データに基づいて回収すべきと判定した上記一時利用の非接触式券媒体の回収動作を制御する。
【0008】
本発明は具体的には、請求項2のように、前記データ読取手段は、定期利用及び一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取り可能な第1のデータ読取手段と、投入口から投入された一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取る第2のデータ読取手段とを備える構成であり、前記ドア開閉制御手段は、前記第2のデータ読取手段が前記回収すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったときに前記ドアを閉状態に制御する構成である。この場合、請求項3のように、前記回収制御手段は、前記第2のデータ読取手段の読取データに基づいて回収すべきと判定した前記一時利用の非接触式券媒体以外の投入物を返却制御するものとしてもよい。
【0009】
また、ドア制御手段は、請求項4のように前記第1のデータ読取手段で少なくとも回収すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったときにドアを閉状態に制御するとよい。この場合、前記回収すべき一時利用の非接触式券媒体は、請求項5のように一回の使用に限定された利用券、又は有効利用回数が最後の一回となった回数券とするとよい。
【0010】
また、前記ドア制御手段は、請求項6のように前記ドア制御手段は、前記第2のデータ読取手段で返却すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったときにドアを閉状態に制御してもよい。この場合、前記返却すべき一時利用の非接触式券媒体は、請求項7のように二回以上の有効利用回数が残っている回数券とするとよい。
【0011】
また、請求項8のように、前記ドア制御手段は、前記第1のデータ読取手段が前記定期利用の非接触式券媒体のデータと前記一時利用の非接触式券媒体のデータとを同時に読み取ったときには、いずれか一方のデータに基づいてドアを開閉制御するものとしてもよい。
【0012】
請求項9の構成の場合においては、前記第1のデータ読取手段が回収すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったとき、又は前記第2のデータ読取手段が返却すべき一時利用の非接触式券媒体のデータ読み取ったときに警告する警告手段を備えた。この場合、前記警告手段は、請求項10にように前記投入口に回収すべき一時利用の非接触式券媒体以外の投入物が投入されたときに警告するものとするとよい。
【0013】
また、請求項11のように、前記投入口、第2のデータ読取手段及び回収すべき一時利用券を回収する回収手段とを備えた一時利用の非接触式券媒体の処理ユニットは、装置本体に対して着脱可能な構成としてもよい。そして、請求項12のように、前記定期利用の非接触式券媒体はICカードであり、前記一時利用の非接触式券媒体はICトークンであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の非接触式ゲート装置によれば、定期利用及び一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取り可能なデータ読取手段が回収すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったときには、当該回収すべき一時利用の非接触式券媒体の回収を条件にドアを開状態に制御するものとしたことにより、一台で定期利用及び一時利用の非接触式券媒体のいずれも使用することができる。
【0015】
また、第1のデータ読取手段で定期利用及び一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取り、第2のデータ読取手段で投入口から投入された一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取り、第2のデータ読取手段の読取データに基づいて回収すべきと判定された一時利用の非接触式券媒体の回収動作を制御するものとしたことにより、一時利用の非接触式券媒体を容易に回収することができる。したがって、一時利用の非接触式券媒体をリサイクル利用することができ、この非接触式券媒体のコストを低減することができる。
【0016】
また、第2のデータ読取手段の読取データに基づいて返却すべきと判定された一時利用の非接触式券媒体の返却動作を制御するものとすれば、例えば有効利用回数の残った回数券が投入されたとき利用者に返却することができる。
【0017】
さらに、第1のデータ読取手段で回収すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったときにドアを閉状態に制御するものとすれば、例えば一回の使用に限定された利用券、又は有効利用回数が最後の一回となった回数券の一時利用の非接触式券媒体が回収されぬまま利用者がそれを持ってゲートを通過するのを防止することができる。したがって、一時利用の非接触式券媒体の回収効率を向上することができる。
【0018】
または、第2のデータ読取手段で返却すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったときにドアを閉状態に制御するものとすれば、例えば二回以上の有効利用回数が残っている回数券の一時利用の非接触式券媒体の取り忘れを防止することができる。
【0019】
また、第1のデータ読取手段が定期利用の非接触式券媒体のデータと一時利用の非接触式券媒体のデータとを同時に読み取ったときには、いずれか一方のデータに基づいてドアを開閉制御するものとすれば、装置の誤動作を防止することができる。
【0020】
さらに、第1のデータ読取手段が回収すべき一時利用の非接触式券媒体のデータ読み取ったとき、又は前記第2のデータ読取手段が返却すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったときに警告する警告手段を備えれば、利用者に非接触式券媒体の誤った使用を知らせることができ、速やかな対処が可能となる。
【0021】
また、投入口に回収すべき一時利用の非接触式券媒体以外の投入物、例えばコイン等が投入されたときに警告手段が警告するものとすれば、一時利用の非接触式券媒体とコインとの取り違えを利用者に速やかに知らせることができる。
【0022】
さらに、投入口、第2のデータ読取手段及び回収すべき一時利用券を回収する回収手段を備えた一時利用の非接触式券媒体の処理ユニットは、装置本体に対して着脱可能な構成とすれば、一時利用の非接触式券媒体を回収する必要のないゲートに適用する場合は、上記処理ユニットを取り外せばよく、定期利用の非接触式券媒体だけを使用するシステムや回収を必要のない一時利用の非接触媒体を使用するシステムに容易に転用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明に係る非接触式ゲート装置の実施形態の平面図を示し、図2に図1のA−A線矢視図を示し、図3に図1の側面図を示す。
図1において、本実施形態の非接触式ゲート装置は、非接触式券媒体との間で通信してデータの授受を行い、そのデータに基づいてドアを開閉制御するものであり、第1のデータ読取手段1と、第2のデータ読取手段2と、回収手段3と、警告手段4と、ドア5と、制御手段6と、を備えて構成する。
【0024】
第1のデータ読取手段1は、図1に示すように、装置本体7Aの上面にて入場又は退場方向手前側に設けられている。この第1のデータ読取手段1は、無線通信機能を備えた非接触式券媒体である定期利用のICカード及び一時利用、例えば一回だけ使用可能な券や回数券等のICトークンのデータを読み取ることができるものであり、装置本体7Aの最表面側には、図4に示すように第1のデータ読取手段1に接続してアンテナ8が設けられている。このアンテナ8は、上方にかざされた又はタッチされたICカード及びICトークンとデータの授受を行う機能と、ICカード及びICトークンに電力を供給する機能を有するものである。
【0025】
上記第1のデータ読取手段1の入場又は退場方向手前側には、ICトークンの処理ユニットに組み込まれて上記第2のデータ読取手段2が設けられている。この第2のデータ読取手段2は、処理ユニットに設けられた投入口9から投入されたICトークンのデータを読み取るものであり、図5に示すように上記投入口9から処理ユニット内を下方に延びるガイド通路10に面して設けられており、そのガイド通路10側の最表面に上記ICトークンとデータの授受を行うと共にICトークンに電力を供給する機能を有するアンテナ11を接続して備えている(図4参照)。なお、上記第2のデータ読取手段2は、投入口9にICトークン等が投入されたことを検知する図示省略の投入検知センサーを含むものである。
【0026】
上記ガイド通路10の下方には、回収手段3が設けられている。この回収手段3は、投入口9から投入されたICトークンを回収するものであり、図5に示すように上記第2のデータ読取手段2の下側に上記ガイド通路10を横断して矢印B,C方向に開閉する第1のシャッター12と、回収されたICトークンを貯留する回収箱13とを備えている。この第1のシャッター12は、投入口9から投入されたICトークンを第2のデータ読取手段2のアンテナ11近傍に停止させて、ICトークンのデータを第2のデータ読取手段2で読み取り可能とするためのものである。
【0027】
また、回収箱13に回収されたICトークンは、図2に示すように、処理ユニットのゲート側の側面に設けた扉14を開けて取り出すことができるようになっている。なお、図5に示すように、上記第2のデータ読取手段2の近傍部にて上記ガイド通路10の側壁には、矢印D,Eで示す上下方向に開閉する第2のシャッター15が設けられており、まだ有効利用回数の残っている回数券のICトークンやコイン等が投入口9に投入されて、制御手段6により無効判定となったときに該第2のシャッター15を開いて返却口16に返却できるようにしている。
【0028】
そして、上記投入口9と第2のデータ読取手段2と回収手段3とを備えてICトークンの上記処理ユニットを構成しており、この処理ユニットは、装置本体7Aに着脱可能に取り付けられている。
【0029】
なお、第1のシャッター12を斜めに設ければコイン状のICトークンやコインは、上記第1のシャッター12上を転がって返却口16側に容易に返却される。また、上記第1のシャッター12及び第2のシャッター15は、図4に示す第1のシャッター駆動部17及び第2のシャッター駆動部18によってそれぞれ駆動されるようになっている。
【0030】
上記装置本体7Aには、警告手段4が設けられている。この警告手段4は、制御手段6が無効判定したときに利用者にICカードやICトークンの誤った使用を知らせるためのものであり、図1及び図2に示すように表示パネル19と、表示部20と、スピーカ部21とを備えている。
【0031】
図3に示すように、上記表示パネル19は、上端部を円弧状に形成した例えば透明アクリル板からなり、装置本体7Aの上面側端部にて入場又は退場方向の前後に分離して二つが立設されており、そのゲート側と反対側の面を乱反射加工し、その下端面部に交互に直線状に並べて配設された赤と青のLED22(図4参照)の光を乱反射させて発光色が容易に視認できるようにしている。また、上記表示部20は、図1に示すように、装置本体7Aの上面に設けられており、文字を表示して利用者に警告内容を知らせることができるようにしている。そして、図2に示すように、上記スピーカ部21は、装置本体7Aのゲート側側面に設けられており、利用者にチャイム又は音声で警告できるようにしている。
【0032】
上記装置本体7Aのゲート側側面の中央部には、該側面に対して垂直方向に延びてドア5が設けられている。このドア5は、上記装置本体7Aの側面の回転軸周りに90度回動してゲートを開閉するものであり、上記第1のデータ読取手段1又は第2のデータ読取手段2で読み取った上記ICカード又はICトークンのデータに基づいて制御手段6で制御されて、図4に示すドア駆動部23によって駆動されるようになっている。なお、ドア5は180度回動可能で、回転軸を中心に両側に開動作可能に構成されている。
【0033】
また、上記装置本体7Aのゲート側側面には、人検知センサー24が設けられており、ゲートを通過する人を監視して人がゲートを通過し終えるとそれを検知してドア5を閉じさせる信号を出力するようになっている。この人検知センサー24は、前述の処理ユニットのゲート側側面にも設けてある。これにより、処理ユニットを取り付けてゲート長が長くなっても、人の進入をすばやく検知して不正な入場及び退場を阻止することができる。
【0034】
さらに、図4に示すように、上記第1のデータ読取手段1、第2のデータ読取手段2、第1のシャッター駆動部17、第2のシャッター駆動部18、警告手段4、ドア駆動部23及び人検知センサー24に接続して制御手段6が設けられている。この制御手段6は、装置全体を適切に制御して駆動するものであり、第1のデータ読取手段1及び第2のデータ読取手段2の読取りデータに基づいてドアを開閉制御するドア制御手段と、第2のデータ読取手段2の読取データに基づいて回収すべきと判定したICトークンの回収動作を制御する回収制御手段との制御機能を有している。また、第2のデータ読取手段2の読取データに基づいて返却すべきと判定したICトークンの返却動作を制御する機能をも有している。
【0035】
具体的には、上記ICトークンが一回だけ使用可能な券であるときには、上記第1のデータ読取手段1で読み取った上記ICトークンのデータに基づいて、ICトークンを無効と判定してドアを閉じるように制御する。
【0036】
また、上記ICトークンが回数券であるときには、上記第1のデータ読取手段1で読み取った上記ICトークンのデータに基づいて、有効利用回数が二回以上残っているときにはICトークンを有効と判定してドア5を開くように制御し、有効利用回数が最後の一回となったときには無効と判定してドア5を閉じるように制御する。
【0037】
さらに、ICトークンが回数券であるとき、上記第2のデータ読取手段2で読み取った上記ICトークンのデータに基づいて、有効利用回数が二回以上残っているときにはICトークンを無効と判定すると共に、ICトークンを返却制御するようになっている。なお、上記第1のデータ読取手段1が上記ICカードのデータと上記ICトークンのデータとを同時に読み取ったときには、いずれか一方のデータに基づいて有効無効を判定するようにしてもよい。
【0038】
なお、この実施形態においては、上記装置本体7A及びICトークンの処理ユニットと図1においてA−A線に対して対称形状に形成され、上記第1のデータ読取手段1、第2のデータ読取手段2、回収手段3や警告手段4を備えていない別の装置本体7Bとで一つのゲートを形成している。
【0039】
次に、本発明の非接触式ゲート装置の動作を、図6及び図7を参照して説明する。
例えば、鉄道の改札口ゲートに適用した場合において、先ず、ICトークンが例えば回数券であり、まだ有効利用回数が二回以上残っているような回収の必要がない場合について、図6を参照して説明する。
先ずステップ1(図6においてS1で示し、以下同様とする)において、第1のデータ読取手段1でICカード又はICトークンを検知したか否かを第1のデータ読取手段1の出力に基づいて判定する。ここで、第1のデータ読取手段1にICカード又はICトークンがかざされ又はタッチされたときには、上記第1のデータ読取手段1でICカード又はICトークンから送信されるデータを読み取ることができるので、“YES”判定となってステップ2に進む。
【0040】
ステップ2においては、ICカード又はICトークンが有効か否かを上記第1のデータ読取手段1で読み取ったデータに基づいて判定する。この場合、例えば定期利用のICカードの有効期限が経過しているときや、一時利用のICトークンの有効利用回数Nが最後のN回目であるものや一回の使用に限定された利用券であって回収が必要なときや、ICカードやICトークンが当該装置で使用できないものであるときには、無効と判定し“NO”判定となってステップ3に進む。
【0041】
ステップ3においては、ICカード又はICトークンの無効処理を実行する。具体的には、赤色のLED22を点灯して表示パネル19を赤色表示とし、表示部20にはカード等が無効である旨のメッセージを文字表示し、スピーカ部21から例えば警告チャイムを鳴動して利用者に知らせる。このとき、ドア5は閉じられたままである。そして、ステップ1に戻って次の動作まで待機する。
【0042】
一方、ステップ2において、ICカードが有効期間内であり、またICトークンの有効利用回数Nが(N−1)回以内であるときには、ICカードやICトークンは有効であると判定し“YES”判定となってステップ4に進む。
【0043】
ステップ4においては、ICカード又はICトークンの有効処理を実行する。具体的には、青色のLED22を点灯して表示パネル19を青色表示とする。また、ICトークンの利用回数を積算する。そして、ステップ5に進む。
ステップ5においては、ドア駆動部23を駆動してドア5を開く。
【0044】
ステップ6においては、人検知センサー24で利用者のゲート通過状態を観察し、該人検知センサー24の出力に基づいて利用者がゲートを通過したか否かを判定する。ここで、人がゲートを通過し終えた場合には、“YES”判定となってステップ7に進む。
ステップ7においては、ドア駆動部23をステップ5の場合と反対方向に駆動してドア5を閉じる。そして、ステップ1に戻って次の動作まで待機する。
一方、ステップ1において、第1のデータ読取手段1にICカード又はICトークンがかざされ又はタッチされていないときには、“NO”判定となってステップ8に進む。
【0045】
ステップ8においては、第2のデータ読取手段2の投入検知センサーの出力及び読取りデータの有無に基づいて、第2のデータ読取手段2でICトークンを検知したか否かを判定する。投入物を検知してから所定時間内に読取りデータがあればICトークンと判断して、“YES”判定となってステップ9に進む。
【0046】
ステップ9においては、ICトークンの無効処理を実行する。この場合、投入口9に投入された回数券のICトークンは、まだ有効利用回数を残しており、本来第1のデータ読取手段1にかざすかタッチして処理すべきところを利用者が誤って投入口9に投入してしまったものであり、この場合は無効処理を実行して表示パネル19を赤色表示とし、スピーカ部21で警告チャイムを鳴動し、表示部20に例えば第1のデータ読取手段1にタッチすべき旨等のメッセージを表示する。このとき、ゲートのドア5は閉じたままとする。また、投入されたものが例えばコイン等であり、ICトークンでない場合にも上述と同様の無効処理を実行する。そして、ステップ10に進む。
【0047】
ステップ10においては、制御手段6は、第2のシャッター駆動部18を駆動して第2のシャッター15を図5において矢印D方向に開き、有効利用回数の残ったICトークンやコイン等を返却口16に返却する。そして、ステップ1に戻って、利用者の次の動作まで待機する。
【0048】
次に、ICトークンが、例えば有効利用回数Nが最後の一回(N回目)となった回数券や、一回の使用に限定された利用券であり回収が必要である場合について、図7を参照して説明する。
先ず、ステップ11においては、第1のデータ読取手段1でICカード又はICトークンを検知したか否かを第1のデータ読取手段1の出力に基づいて判定する。ここで、第1のデータ読取手段1にICカード又はICトークンがかざされ又はタッチされたときには、“YES”判定となってステップ12に進む。
【0049】
ステップ12においては、ICカード又はICトークンが有効か否かを上記第1のデータ読取手段1の読み取りデータに基づいて制御手段6で判定する。この場合、例えば定期利用のICカードが有効期間を過ぎていたとき、回数券のICトークンの有効利用回数Nが最後のN回目であるとき、ICトークンが一回の使用に限定された利用券であるとき、又はICカードやICトークンが当該装置で使用できないものであるときには、無効と判定して“NO”判定となってステップ13に進む。
【0050】
ステップ13においては、前述と同様にしてICカード又はICトークンの無効処理を実行する。このとき、ドア5は閉じられたままである。そして、ステップ11に戻って次の動作まで待機する。
【0051】
一方、ステップ12において、ICカードが有効期間内であるときには、ICカードは有効であると判定し“YES”判定となってステップ14に進む。
ステップ14においては、ICカードの有効処理を実行して、表示パネル19の青色のLED22を点灯しパネルを青色表示とする。
【0052】
ステップ15においては、ドア駆動部23を駆動してドア5を開く。
ステップ16においては、人検知センサー24で利用者のゲート通過状態を観察し、該人検知センサー24の出力に基づいて利用者がゲートを通過したか否かを判定する。ここで、人がゲートを通過し終えた場合には、“YES”判定となってステップ17に進む。
ステップ17においては、ドア駆動部23をステップ5の場合と反対方向に駆動してドア5を閉じる。そして、ステップ11に戻って次の動作まで待機する。
【0053】
一方、ステップ11において、第1のデータ読取手段1にICカード又はICトークンがかざされ又はタッチされていないときには、“NO”判定となってステップ18に進む。
ステップ18においては、第2のデータ読取手段2の投入検知センサーの出力及び読取りデータの有無に基づいて、第2のデータ読取手段2でICトークンを検知したか否かを判定する。投入物を検知してから所定時間内に読取りデータがあればICトークンと判断して、“YES”判定となってステップ19に進む。
【0054】
ステップ19においては、上記第2のデータ読取手段2の読み取りデータに基づいてICトークンが有効か否かを判定する。ここで、投入されたICトークンが、例えば有効利用回数Nが最後の一回(N回目)となった回数券や、一回の使用に限定された利用券であるときには、“YES”判定となってステップ20に進む。
【0055】
ステップ20においては、前述と同様にしてICトークンの有効処理を実行して、青色のLED22を点灯し表示パネル19を青色表示とする。
ステップ21においては、制御手段6は、第1のシャッター駆動部17を駆動して第1のシャッター12を図5に示す矢印B方向に開き、第2のデータ読取手段2近傍のガイド通路10途中に停止したICトークンを回収箱13内に落下させる。そして、ステップ15に進んで、ドア5を開いて入場又は退場を許可し、以下ステップ16〜17を実行する。
【0056】
一方、ステップ19において、ICトークンが、利用回数が(N―1)回以内でありまだ有効利用回数を残した回数券であるときや、当該装置では使用できないICトークンであるときや、又はコイン等であってICトークンでないときには、“NO”判定となってステップ22に進む。
【0057】
ステップ22においては、前述と同様にして無効処理を実行する。このとき、ゲートのドア5は閉じたままとする。
ステップ23においては、制御手段6は、第2のシャッター駆動部18を駆動して第2のシャッター15を図5に示す矢印D方向に開き、有効利用回数の残ったICトークンやコイン等を返却口16に返却する。そして、ステップ11に戻って、利用者の次の動作まで待機する。
【0058】
本発明の非接触式ゲート装置によれば、第1のデータ読取手段1でかざされ又はタッチされたICカード又はICトークンのデータを読み取り、第2のデータ読取手段2で投入口9から投入されたICトークンのデータを読み取り、それぞれ読み取ったデータに基づいて有効無効を判定するものとしたことにより、一台でICカード及びICトークンのいずれも使用することができる。また、投入口9から投入されたICトークンを回収する回収手段3を設けたことにより、高価なICトークンを容易に回収することができる。
【0059】
なお、上記実施形態においては、ドア5は、常時閉じられている場合について説明したが、これに限られず、ドア5が常時開いている場合であってもよい。この場合、制御手段6がICカード及びICトークンを無効と判断したときや、利用者がICカード又はICトークンによる入場処理をしないままゲートに侵入したときにドア5を閉じるようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態においては、データ読取手段を第1のデータ読取手段1と第2のデータ読取手段2の二つを備えた場合について説明したが、これに限られず、データ読取手段は、一つであってもよい。この場合、データ読取手段の読取データに基づいて回収すべきICトークンを検出したときには、ドアを閉状態とすると共に当該ICトークンを投入口に投入するように表示部20に表示させるとよい。
【0061】
また、本発明の非接触式ゲート装置においては、ゲートが一つの場合について説明したが、複数のゲートが横に並べて設けられたものであってもよい。この場合、各ゲート間の装置本体7Aには、ゲート側の両側面にドア5を設けたものを適用するとよい。また、この場合、各ゲートが入退場ゲートであるときは、表示パネル19は、二枚を装置本体7Aの上面の両側端部に互い違いに配設するとよい。
【0062】
さらに、本発明の非接触式ゲート装置は、入場をチェックして退場を自由とする場所、例えば遊園地等に設置する場合には、入場門側に設置し、入場及び退場の両方をチェックする場所、例えば鉄道の改札口等に設置する場合には、出札口側に設置してICトークンを回収するとよい。また、一台で入退場ゲートを構成する場合に、ICトークンを入場時に回収して退場を自由とするときには、投入口9と第2のデータ読取手段2と回収手段3とを備えたICトークンの処理ユニットをゲートの外側に取り付け、入場時に入場チェックし退場時に回収するときには、ゲートの内側に取り付けるとよい。
そして、定期利用の非接触式券媒体は、ICカードに限られずICトークンであってもよし、一時利用の非接触式券媒体は、ICトークンに限られずICカードであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明による非接触式ゲート装置の実施の形態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線矢視図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】本発明による非接触式ゲート装置の電気回路の概略構成を示すブロック図である。
【図5】第2のデータ読取手段及び回収手段を示す断面図である。
【図6】ICトークンを回収しない場合の本発明による非接触式ゲート装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】ICトークンを回収する場合の本発明による非接触式ゲート装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1…第1のデータ処理手段
2…第2のデータ処理手段
3…回収手段
4…警告手段
5…ドア
6…制御手段
7A…装置本体
9…投入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信機能を備えた非接触式券媒体との間で通信してデータの授受を行い、そのデータに基づいてドアを開閉制御する非接触式ゲート装置であって、
定期利用及び一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取り可能なデータ読取手段と、
前記データ読取手段が回収すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったときには、当該回収すべき一時利用の非接触式券媒体の回収を条件に前記ドアを開状態に制御するドア制御手段と、
前記データ読取手段の読取データに基づいて回収すべきと判定した前記一時利用の非接触式券媒体の回収動作を制御する回収制御手段と、
を備える構成としたことを特徴とする非接触式ゲート装置。
【請求項2】
前記データ読取手段は、定期利用及び一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取り可能な第1のデータ読取手段と、投入口から投入された一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取る第2のデータ読取手段とを備える構成であり、
前記ドア開閉制御手段は、前記第2のデータ読取手段が前記回収すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったときに前記ドアを閉状態に制御する構成であることを特徴とする請求項1に記載の非接触式ゲート装置。
【請求項3】
前記回収制御手段は、前記第2のデータ読取手段の読取データに基づいて回収すべきと判定した前記一時利用の非接触式券媒体以外の投入物を返却制御することを特徴とする請求項2に掲載の非接触式ゲート装置。
【請求項4】
前記ドア制御手段は、前記第1のデータ読取手段で少なくとも回収すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったときにドアを閉状態に制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の非接触式ゲート装置。
【請求項5】
前記回収すべき一時利用の非接触式券媒体は、一回の使用に限定された利用券、又は有効利用回数が最後の一回となった回数券であることを特徴とする請求項4に記載の非接触式ゲート装置。
【請求項6】
前記ドア制御手段は、前記第2のデータ読取手段で返却すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったときにドアを閉状態に制御することを特徴とする請求項4に記載の非接触式ゲート装置。
【請求項7】
前記返却すべき一時利用の非接触式券媒体は、二回以上の有効利用回数が残っている回数券であることを特徴とする請求項6に記載の非接触式ゲート装置。
【請求項8】
前記ドア制御手段は、前記第1のデータ読取手段が前記定期利用の非接触式券媒体のデータと前記一時利用の非接触式券媒体のデータとを同時に読み取ったときには、いずれか一方のデータに基づいてドアを開閉制御することを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の非接触式ゲート装置。
【請求項9】
前記第1のデータ読取手段が回収すべき一時利用の非接触式券媒体のデータ読み取ったとき、又は前記第2のデータ読取手段が返却すべき一時利用の非接触式券媒体のデータを読み取ったときに警告する警告手段を備えたことを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の非接触式ゲート装置。
【請求項10】
前記警告手段は、前記投入口に回収すべき一時利用の非接触式券媒体以外の投入物が投入されたときに警告することを特徴とする請求項9に記載の非接触式ゲート装置。
【請求項11】
前記投入口、第2のデータ読取手段及び回収すべき一時利用券を回収する回収手段を備えた一時利用の非接触式券媒体の処理ユニットは、装置本体に対して着脱可能な構成としたことを特徴とする請求項2〜10のいずれか1項に記載の非接触式ゲート装置。
【請求項12】
前記定期利用の非接触式券媒体はICカードであり、前記一時利用の非接触式券媒体はICトークンであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の非接触式ゲート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−243836(P2006−243836A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−55007(P2005−55007)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】