説明

非接触式情報記録媒体収納容器

【課題】 電子マネーカードの使用にあって、その使用状況の変化に応じて何らかのメッセージを得るようにでき、これにより、遊び心の興味を増大できる電子マネーカードケースを提供する。
【解決手段】 非接触式情報記録媒体処理機に近接させることにより信号の送受信が行われる電子マネーカードを収納する電子マネーカードケースである。電子マネーカードケースは、発光素子及び/または発音素子と、非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する信号受信部と、信号受信部における信号の受信時間を計測する時間計測手段と、この時間計測手段によって計測された受信時間に対応させて発光素子の発光状態及び/または発音素子の発音状態を変化せしめる素子駆動部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式情報記録媒体収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば無線通信機能を備えた非接触型ICカードからなる定期券のような電子マネーカードは、自動改札機本体(非接触情報記録媒体処理機)との間において非接触でデータ授受を行って入出場を行うことができるようになっている。この場合、データ授受は、電子マネーカードを自動改札機本体のアンテナにかざすこと(タッチ)によって、該アンテナを介してなされるようになっている。
【0003】
また、このような電子マネーカードをケースに収納し、ケースごと電子マネーカードを使用するようにし、たとえば電子マネーカードが自動改札機のアンテナの通信エリアの範囲内にかざされた際に、ケースに形成された検知素子を駆動させ、電子マネーカードの使用者にその旨を知らしめる技術が知られるに至っている。これにより、たとえば視角障害者は自動改札機との間でデータ授受が正常に行われることを認識できるようになっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−109875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような電子マネーカードケースは、単に改札機にかざされたか否かを使用者に報知するだけであり、単調で面白みに欠けるものであった。そこで、本発明では、より興趣性の増した非接触型記憶媒体収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の非接触式情報記録媒体処理機に近接させることにより、非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する非接触式情報記録媒体を収納する非接触式情報記録媒体収納容器であって、発光素子及び/又は発音素子と、非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する信号受信部と、信号受信部における前記信号の受信時間を計測する時間計測部と、時間計測手段によって非接触式情報記録媒体収納容器は、計測された受信時間に対応させて発光素子の発光状態及び/又は発音素子の発音状態を変化せしめる素子駆動部と、を備える。
【0007】
また、本発明の非接触式情報記録媒体収納容器は、非接触式情報記録媒体処理機に近接させることにより、非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する非接触式情報記録媒体を収納する非接触式情報記録媒体収納容器であって、スイッチと、発光素子及び/又は発音素子と、非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する信号受信部と、スイッチをオンにした時点から、信号受信部が前記信号の受信を開始する時点、または信号受信部が前記信号の受信を終了する時点までの時間を計測する時間計測部と、時間計測手段によって計測された時間に対応させて発光素子の発光状態及び/又は発音素子の発音状態を変化せしめる素子駆動部と、を備える。
【0008】
また、本発明の非接触式情報記録媒体収納容器は、非接触式情報記録媒体処理機に近接させることにより、非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する非接触式情報記録媒体を収納する非接触式情報記録媒体収納容器であって、非接触式情報記録媒体収納容器の傾斜状態を検出する振り子センサと、発光素子及び/又は発音素子と、非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する信号受信部と、信号受信部において信号が受信される際に、振り子センサの出力に対応させて発光素子の発光状態及び/又は発音素子の発音状態を変化せしめる素子駆動部と、を備える。
【0009】
また、本発明の非接触式情報記録媒体収納容器は、非接触式情報記録媒体処理機に近接させることにより、非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する非接触式情報記録媒体を収納する非接触式情報記録媒体収納容器であって、
発光素子及び/又は発音素子と、非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する信号受信部と、信号受信部において信号を受信する回数をカウントする回数計測部と、回数計測手段によって計測された回数に対応させて発光素子の発光状態及び/又は発音素子の発音状態を変化せしめる素子駆動手段と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、より興趣性の増した非接触型記憶媒体収納容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の電子マネーカードケースの一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す電子マネーカードケースの平面図である。
【図3】本発明の電子マネーカードケースに組み込まれる電子回路の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の電子マネーカードケースの所持態様の例を示した説明図である。
【図5】(a)、(b)は、それぞれ、本発明電子マネーカードケースの他の実施形態を示す平面図である。
【図6】(a)、(b)は、本発明電子マネーカードケースの他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る非接触型記憶媒体収納容器の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態において、非接触型記憶媒体として、非接触式の定期券型電子マネーカードを用いて説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。非接触型記憶媒体として、例えば、交通機関の乗車券やプリペイドカード、電子マネーカード、身分証等に用いられる各種の非接触型ICカードを用いることができる。また、以下の実施の形態において、非接触情報記録媒体処理機として、自動改札機を用いて説明するが、これに限られるものではない。非接触情報記録媒体処理機として、例えば、自動販売機、レジカウンター、個人認識装置等の各種の非接触型記憶媒体を処理するための装置を用いることができる。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、電子マネーカードケースの一実施形態を示す分解斜視図である。ここで、電子マネーカードケース1は、電子マネーカードを収納させた状態で、たとえば、図4(a)に示すように、ベルト50に装着させて身につけるようにできるようになっている。ベルト50には、図4(b)に示すように、ホルダー51が取り付けられるようになっており、このホルダー50に電子マネーカードケース1が着脱自在に装着できるようになっている。また、電子マネーカードケース1は、たとえば、図4(c)に示すように、バック52の肩ベルト53にも装着させて用いることもできるようになっている。電子マネーカードケース1をこのように所持できるようにすることによって、電子マネーカードケース1が体積的に大きくなっていても不都合を生じないようにすることができる。
【0014】
そして、後の説明でも明らかになるように、電子マネーカードは電子マネーカードケース1の裏面側に収納できるようになっている。また、電子マネーカードケース1の表面側にはたとえば円形状の窓(図1にて符号34で示す)を備え、この窓を通して電子マネーカードケース1の内部に配置させた複数の発光ダイオード(図1にて符号27で示す)の発光、あるいは回転する羽パーツ(図1にて符号23で示す)を通した前記発光ダイオードの発光を目視できるようになっている。
【0015】
図1に戻り、電子マネーカードケース1は、その裏面側から、カードホルダー10、下部本体20、上部本体30が順次積層されて組み立てられることによって、電子マネーカードケース1の筐体部を構成するようになっている。これら、カードホルダー10、下部本体20、上部本体30は、たとえば樹脂等の成形によって形成されている。なお、電子マネーカードケース1は、平面的に観て矩形状に形成され、その大きさはたとえば62mm×93mmとなっている。この大きさは電子マネーカードの大きさに対応させたもので、該電子マネーカードよりも若干大きめとなっている。
【0016】
まず、下部本体20は、矩形状の箱体からなり、その開口側は上部本体30に対向するように配置されている。下部本体20には、電子回路基板21、中パーツ22、羽パーツ23等が配置されるようになっている。また、下部本体20には電池ボックス25が形成されており、この電池ボックス25には、下部本体20の裏面に開閉自在に設けられた電池蓋26を通してたとえばボタン電池をセットできるようになっている。このボタン電池は、電子回路基板21および羽パーツ23を回転させるための動力源となっている。
【0017】
下部本体20の裏面には、平面的に観て下部本体20とほぼ同形をなすカードホルダー10が配置されている。このカードホルダー10は、その一辺側に設けられた一対のヒンジ11A、11Bを介して下部本体20に取り付けられ、これら一対のヒンジ11A、11Bを中心として図中点線αの回りに揺動(矢印A方向に)できるようになっている。これにより、カードホルダー10は下部本体20に対して開閉ができ、電子マネーカード(図示せず)を下部本体20とカードホルダー10との間に挟持することによって、電子マネーカードケース1に収納することができるようになっている。カードホルダー10はたとえば透光性のある樹脂材によって形成され、電子マネーカードは、電子マネーカードケース1の裏面からカードホルダー10を通して目視できるようになっている。また、電子マネーカードケース1の裏面、すなわちカードホルダー10が形成された面は、たとえば自動改札機等の非接触情報記録媒体処理機(非接触情報記録媒体を処理する処理機)に近接(タッチ)される面となっている。なお、カードホルダー10には、図示していないが、電子マネーカードを収納した後は下部本体20との係止ができる係止部が備えられている。
【0018】
下部本体20に配置される電子回路基板21には、たとえば円形を形成するようにして複数の発光ダイオード27が搭載されている。これら各発光ダイオード27は、たとえば、発光色の異なる発光ダイオードが用いられ、色ごとに繰り返されて並設されている。これら発光ダイオードは、平面的に観て下部本体20のほぼ中央に位置づけられるようにして電子回路基板21に搭載されている。
【0019】
なお、図中では、これら発光ダイオード27は、一つの円形の輪郭に沿って並設させたものとなっているが、たとえば同心的に配置された複数の各円形のそれぞれの輪郭に沿って並設させるようにしてもよい。このようにした場合、発光ダイオード27の配列パターンを複雑にでき、発光ダイオード27の発光状態の変化を多様化させることができるようになる。
【0020】
また、これら発光ダイオード27の周辺における電子回路基板21上には、たとえば、半導体装置28A、28Bが設けられている。本実施の形態において、半導体装置28Aは、電子マネーカードケースが自動改札機のアンテナの通信エリアの範囲に入ったことを検知する回路部であり、自動改札機との間で信号の送受信等が行われたかどうかを判別する。また、半導体装置28Bは、自動改札機からの信号の送受信の状態、本実施の形態では、電子マネーカードケースを自動改札機に近接させた際に、電子マネーカードケースが自動改札機のアンテナの通信エリアの範囲に入ってから通信範囲を出るまでの時間を検出し、この時間に対応させて各発光ダイオード27を駆動させて該発光ダイオード27の発光状態を変化(制御)する回路部である。
【0021】
また、電子回路基板21の上面には、各発光ダイオード27の形成領域を充分に被うようにして中パーツ22が配置され、この中パーツ22の上面には羽パーツ23が配置されている。羽パーツ23は、その中心が円形に配置された複数の発光ダイオードの中心にほぼ一致づけられて配置され、径方向に放射状に延在する複数の羽23Aを備えて構成されている。中パーツ22および羽パーツ23はたとえば合成樹脂で構成されている。中パーツ22は、たとえば各発光ダイオード27からの光を羽パーツ23の側に導くように形成されているとともに、前記羽パーツ23を回転させるためのモータ(図示せず)を搭載するようになっている。ここで、羽パーツ23は、中パーツ22を通して出射される発光ダイオード27からの光を透過できるように構成され、たとえば、領域によって光の屈折率あるいは光の透過量を異ならしめるように構成されている。回転する羽パーツを透過する各発光ダイオード27からの光にダイナミックな変化を与えるためである。
【0022】
電子回路基板21には、前記電池ボックス25内のたとえばボタン電池から電源が供給されるようになっており、この電源によって、前記半導体装置28A、28B、発光ダイオード27、および前記モータの駆動がなされるようになっている。また、電子回路基板21には、電子回路の駆動をオン・オフするたとえばスライドスイッチからなるスイッチ29が設けられ、このスイッチ29は、下部本体20の側壁面に設けた切り欠き20Aから露出させるようにして配置され、電子マネーカードケース1の外側から該スイッチ29の操作ができるようになっている。なお、本実施の形態では、カードケース本体に設けられた電池から電子回路等を駆動するための電源が供給されているが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、カードケース本体に電池を搭載せず、自動改札機からの電波を受けて生じた起電力により電子回路等を駆動するようにしてもよい。
【0023】
上部本体30は、下部本体20と平面的に観てほぼ同形をなし、下部本体20に対して固定されるようになっている。上部本体30と下部本体20の固定は、たとえば、下部本体の20の四隅において裏面から螺入される螺子30Aによってなされるようになっている。これにより、前記電子回路基板21、中パーツ22、羽パーツ23等は下部本体20と上部本体30の間に収納されるようになっている。上部本体30の周辺を除く中央部は上面側に凸となる盛り上がり部31を有して形成され、さらに、この盛り上がり部31の中央には開口32が形成されている。この開口32は、その中心が電子回路基板21に円形に配列されて搭載された複数の発光ダイオード27の中心(あるいは羽パーツ23の中心)にほぼ一致するよう形成されている。この開口32は、上部本体30の裏側から凸状のたとえば樹脂性の透明なクリアパーツ33が係合されて、発光ダイオード27、羽パーツ23を目視できる窓34を構成するようになっている。
【0024】
図2は、電子マネーカードケース1の平面図を示し、上部本体30の表面の盛り上がり部31の中央に形成された窓34からは、発光ダイオード27からの光が導かれる中パーツ22とこの中パーツ22の上面に配置された羽パーツ23が目視されるようになっている。
【0025】
図3は、電子回路基板21に搭載される電子回路の一例を示した概略図である。図2において、電子回路は、たとえば半導体装置28Aおよび半導体装置28Bを備えている。半導体装置28Aは、自動改札機(非接触記録媒体処理機)の本体との間で信号を送受信するための受信部40を備える半導体装置からなっている。なお、本実施の形態では、電子マネーカードケース側には、自動改札機本体からの信号を受信する受信回路のみを設けた受信部40が搭載されているが、必ずしもこれに限定されることはなく、例えば、電子マネーケース側から自動改札機本体に信号を送信する送信回路を設けてもよい。
【0026】
本実施の形態において、半導体装置28A、28Bにおいて、電子マネーカードケースと自動改札機(非接触式情報記録媒体処理機)との信号の送受信における信号の受信時間を計測し、信号の受信時間に基づいて複数の発光ダイオード27の発光状態を制御することができる。
【0027】
たとえば、電子マネーカードケースに設けられた受信部40において、自動改札機からの信号の受信開始から受信終了までの受信時間が任意の受信時間より長い場合、半導体装置28Bによって、たとえば、全ての発光ダイオードを点灯あるいは点滅させるように駆動させるようになっている。一方、自動改札機から信号を受信する受信時間が任意の受信時間より短い場合、たとえば、全ての発光ダイオード27のうちの幾つかの発光ダイオード27のみを点灯あるいは点滅させるように駆動させるようになっている。つまり、電子マネーカードケースを自動改札機に対してタッチする時間の長短によって、電子マネーカードケースに設けられた発光ダイオードの点灯、点滅状態が変化するようになっている。
【0028】
なお、自動改札機からの信号の受信時間を段階的に区分けしておき、受信時間の区分に応じて、点灯あるいは点滅させる発光ダイオード27の数を増減させるようにしてもよい。また、発光ダイオード27の発光個数ではなく、発光ダイオード27の点灯のデューティを変化させるようにしてもよい。また、発光ダイオードに加え、スピーカ等の発音素子を備えるようにし、発音素子を発光ダイオード27の発光状態に対応(あるいは同期)させて、たとえば発音の大きさや発音内容を変化させるようにしてもよい。この場合、目視で発光ダイオード27の発光状態の変化を感知できるともに、聴覚によって該変化を増強させることができるようになる。なお、必ずしも発光ダイオードと発音素子とを対応(同期)させる必要はないし、発光ダイオード27を設けることなく、発音素子のみを設け、信号の受信時間に応じて発音素子からの発音の大きさや発音内容を変化させるようにしてもよいことはもちろんである。
【0029】
また、図3において、その図中左側において、羽パーツ23を回転させる回路を示している。この羽パーツ23は任意の際にスイッチ41をオンすることによって回転できるようになっている。上述したように、羽パーツ23をその領域によってたとえば光の屈折率あるいは光の透過量を異ならしめるように構成することによって、羽パーツ23を介して利用者の目に照射される各発光ダイオード27からの光は変化に富み、興味あるものとすることができる。しかし、この羽パーツ23は、発光ダイオード27の発光状態に関連づけて自動的に回転させるようにしてもよいことはいうまでもない。この場合において、発光ダイオード27の発光状態と羽パーツ23の発光状態との場合分けに応じた変化を多数設定することができ、電子マネーカードの利用者に多大な興味を惹き起こすことができるようになる。
【0030】
このように構成した電子マネーカードケース1は、たとえば自動改札機(非接触記録媒体処理機)にタッチした際に、そのタッチの状況によって発光ダイオードの発光状態(発光パターン)を変化させることができるようになる。このため、電子マネーカードの利用者に毎日の通勤や買い物を楽しくさせることができ、興を惹き起こす効果を奏することができるようになる。なお、本実施の形態の電子マネーカードケースは、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。他の実施の形態と組み合わせることにより、より興趣性の高いカードケースを提供することができる。
【0031】
(実施の形態2)
図5(a)および図5(b)は、それぞれ、本発明の電子マネーカードケース1の他の実施形態を示す平面図である。図5(a)は、電子マネーカードケース1の上部本体30を示し、該上部本体30を上面から観た図となっている。図5(a)に示す上部本体30の表面は、たとえば平坦になっており、その面には、キャラクタ60が描画され、そのキャラクタ60の胸部に相当する個所に比較的大きなエリアで発光ダイオード73が配置されている。なお、図5(a)に示す電子マネーカードケース1の裏面は、たとえば、図1に示したと同様に、カードホルダー10が取り付けられており、このカードホルダー10と下部本体20との間に電子マネーカードを収納できるようになっている。
【0032】
電子マネーカードケース1の下部本体20と上部本体30には電子回路が内包されている。この電子回路は、たとえば、電子マネーカードケースが自動改札機のアンテナの通信エリアの範囲に入ったことを検知できる第1回路(半導体装置)、電子マネーカードと自動改札機との間でデータ授受していることを検知できる第2回路(半導体装置)、第1回路による検知の後、第2回路による検知が無かった場合に、発光ダイオード27を比較的大きなデューティで点滅させる第3回路(半導体装置)から構成されている。なお、この際に、スピーカ等の発音素子を備えるようにし、この発音素子を発光ダイオード27の発光状態に対応(同期)させて、たとえば「ピーピー」と発音させるようにしてもよいことはもちろんである。
【0033】
また、図5(b)は、図5(a)とほぼ同様の構成からなる電子マネーカードケース1であり、上部本体30の上面に描かれた人気キャラクタ61の胸部に札63が貼付されており、この札63には数桁からなる番号が表示されている。各番号は、いわゆる「日の字」の各セグメントを構成する発光ダイオードによって構成され、電子回路を用いて任意の数字を表示できるようになっている。電子マネーカードケース1の下部本体20と上部本体30には電子回路が内包されている。この電子回路は、たとえば、電子マネーカードケースが自動改札機のアンテナの通信エリアの範囲に入ったことを検知できる第1回路(半導体装置)、電子マネーカードと自動改札機との間でデータ授受していることを検知できる第2回路(半導体回路)、第1回路による検知の時点から札に表示されたカウント値をカウントダウンし該カウント値が「0」になった際に、いまだ第2回路からの検知がない場合を検出する第3回路(半導体装置)と、この第3回路の検出によって、人気キャラクタ61がたとえば死んでしまう際の叫び声を出力する発音素子を駆動する第4回路(半導体装置)が備えられている。
【0034】
このように構成された電子マネーカードケース1は、たとえば、電子マネーカードが自動改札機のアンテナの通信エリアの範囲に入ったことの検知から、札に表記されたカウント値がカウントダウンされ該カウント値が「0」になっても電子マネーカードと自動改札機との間でデータ授受(タッチ)されていない場合に、キャラクタ61の死んでしまう際の叫び声が発音素子から発せられるようになっている。なお、本実施の形態の電子マネーカードケースは、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。他の実施の形態と組み合わせることにより、より興趣性の高いカードケースを提供することができる。
【0035】
(実施の形態3)
図6(a)、(b)は、それぞれ、本発明の電子マネーカードケースの他の実施形態を示す平面図である。図6(a)は、野球ゲームができる電子マネーカードケース1を示し、図6(b)は、ゴルフゲームができる電子マネーカードケースを示している。
【0036】
図6(a)は、図1に示した電子マネーカードケース1の上部本体30を示し、該上部本体30を上面から観た図となっている。図6(a)に示す上部本体30の表面は、たとえば平坦になっており、その面には、野球場70が描画され、そのダイヤモンド内には、ヒット(HIT)、アウト(OUT)、ツーベースヒット(2H)、スリーベースヒット(3H)、ホームラン(HOMERUN)等の表記とともに、それぞれ、近接して発光ダイオード27が配置されている。また、上部本体30の図中右下にはたとえばボタンスイッチからなるスイッチ71が備えられている。
【0037】
この場合においても、図6(a)に示す電子マネーカードケース1の裏面は、たとえば、図1に示したと同様に、カードホルダー10が取り付けられており、このカードホルダー10と下部本体20との間に電子マネーカードを収納できるようになっている。
【0038】
電子マネーカードケース1の下部本体20と上部本体30には電子回路が内包されている。この電子回路は、たとえば、スイッチ71がオンされたことを検知する第1回路(半導体装置)、電子マネーカードと自動改札機との間で信号を送受信が行われたことを検知する第2回路(半導体回路)、スイッチがオンされてから第2回路による検知までの時間を計測する第3回路(半導体装置)、スイッチがオンされてから信号の送受信が行われるまでの計測時間に応じて発光ダイオード27の点灯あるいは点滅を制御する第4回路(半導体回路)が備えられている。なお、該計測時間と発光ダイオードの点灯、点滅制御状態との対応は、一意的に決められていてもよいし、スイッチ71を押すたびにたとえばランダム回路によって新たに設定するようにしてもよい。
【0039】
このように構成された電子マネーカードケース1は、自動改札機にたとえば入場しようとする際に、スイッチ71を押しておくことによって、電子マネーカードと自動改札機との間で信号の送受信(タッチ)が行われた場合、このタッチに要するまでの時間に応じて、たとえば、ヒットとなる発光ダイオード27が点灯あるいは点滅し、また、アウトとなる発光ダイオード27が点灯あるいは点滅するようになる。
【0040】
図6(b)は、図6(a)とほぼ同様の構成からなり、野球ゲームに代えて、ゴルフゲームに適用させたものとなっている。上部本体30に発光ダイオード27をたとえば「ホールインワン」、あるいは「バーディ」等に対応づけて配設させ、自動改札機にたとえば入場しようとする際に、スイッチ71を押しておくことによって、電子マネーカードと自動改札機との間で信号の送受信(タッチ)が行われた場合、このタッチに要するまでの時間に応じて、たとえば、ホールインワンとなる発光ダイオード27が点灯あるいは点滅し、また、バーディとなる発光ダイオード27が点灯あるいは点滅するようになっている。
【0041】
なお、本実施の形態において、スイッチをオンしてから、自動改札機からの信号の受信開始までの時間に応じて発光ダイオードの発光状態等を変化させる仕様としたが、これに限られるものではない。例えば、スイッチをオンしてから、自動改札機からの信号の受信終了までの時間に応じて発光ダイオードの発光状態等を変化させてもよい。また、本実施の形態の電子マネーカードケースは、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。他の実施の形態と組み合わせることにより、より興趣性の高いカードケースを提供することができる。
【0042】
(実施の形態4)
上述した実施形態では、電子マネーカードケース1に取り付けられた発光素子あるいは発音素子を、自動改札機からの信号の受信時間に対応させて発光素子の発光状態あるいは発音素子の発音状態を変化させていたが、電子マネーカードケース1に、振り子センサを取り付け、この振り子センサの出力に対応させて発光素子の発光状態あるいは発音素子の発音状態を変化させるようにしてもよい。
【0043】
電子マネーカードケース1に振り子センサを取り付けた場合、電子マネーカードが自動改札機等の非接触式情報記録媒体処理機とのデータ授受がなされる際において、該電子マネーカードの傾斜状態を検出することができるようになる。このため、振り子センサの出力、すなわち電子マネーカードの傾斜状態に対応させて発光素子の発光状態あるいは発音素子の発音状態を変化させることによって、電子マネーカードの利用者に注意を喚起させる効果とともに、発光素子の発光状態あるいは発音素子の発音状態の変化を認識することによって遊びに対する興味を向上させることができるようになる。
【0044】
すなわち、この実施形態の電子マネーカードケース1は、たとえば、電子マネーカードケース1の傾斜状態を検出する振り子センサと、発光素子及び/又は発音素子と、前記電子マネーカードが前記非接触式情報記録媒体処理機とのデータ授受がなされる際に、前記振り子センサの出力に対応させて前記発光素子の発光状態及び/又は前記発音素子の発音状態を変化せしめる素子駆動手段とを備えている。この場合、電子マネーカードケース1の上部本体30の表面に、描画されたキャラクタと所定のパターンで配列された複数の発光ダイオードを備え、振り子センサの出力に対応させて複数の発光ダイオードによるパターンを変化させることによって、さらに興味が増大できる構成とすることができる。
【0045】
なお、本実施の形態における電子マネーカードケースは、上記実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。例えば、振り子センサに加えて、自動改札機等からの信号の受信時間を計測する時間計測部を備えていてもよい。これにより、信号の受信時間と振り子センサにより計測された傾斜状態との組合せによって、電子マネーカードに設けられた発光素子や発音素子の状態を変化させることができ、より興趣性の高い電子マネーカードを提供することができる。
【0046】
(実施の形態5)
また、電子マネーカードケース1に取り付けられた発光素子の発光状態あるいは発音素子の発音状態の変化を、電子マネーカードが前記非接触式情報記録媒体処理機とのデータ授受を行った回数に対応させるよう行うようにしてもよい。このようにした場合、電子マネーカードの利用の度毎に発光素子の発光状態あるいは発音素子の発音状態が変化し、電子マネーカードの利用者はこれを認識することにより興味が増大できるようになる。
【0047】
すなわち、この実施形態の電子マネーカードケースは、たとえば、発光素子及び/又は発音素子と、前記電子マネーカードが前記非接触式情報記録媒体処理機とのデータ授受を行った回数をカウントする回数計測手段と、この回数計測手段によって計測された前記回数に対応させて前記発光素子の発光状態及び/又は前記発音素子の発音状態を変化せしめる素子駆動手段とを備えている。なお、発音素子からの発音内容として、カウント回数が増加するにつれて、段階的に変化する音声であることが好ましい。例えば、カウント回数が増加するにつれ、電子マネーカードの利用者を段階的に励ます言葉が選択されたり、段階的に癒す言葉が選択されたり、段階的に親しみをこめた言葉が選択されたり等、意味を有する言葉を段階的に選択するように構成することができる。また、カウント回数の増加につれて、段階的に発光素子の発光状態が変化するようにしてもよい。これにより、さらに電子マネーカードに対する利用者の興味を惹き起こし、繰り返し利用したいという意識を引き起こすことができる。
【0048】
また、上部本体30に液晶パネル等の画像を表示する表示部(この明細書では発光素子の一つとして把握する)を組み込み、この表示部に表示されるキャラクタが、自動改札機(非接触式情報記録媒体処理機)へのタッチの状況に応じて行動、変身したりするようにするようにしてもよい。また、この場合において、発音素子によって該キャラクタの叫び等を発音させることによって興味を増大させることができるようになる。なお、本実施の形態の電子マネーカードケースは、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。他の実施の形態と組み合わせることにより、より興趣性の高いカードケースを提供することができる。
【符号の説明】
【0049】
1……電子マネーカードケース、10……カードホルダー、11A、11B……ヒンジ、20……下部本体、21……電子回路基板、22……中パーツ、23……羽パーツ、23A……羽、25……電池ボックス、26……電池蓋、27……発光ダイオード、28A、28B……半導体装置、29……スイッチ、30……上部本体、30A……螺子、31……盛り上がり部、32……開口、33……クリアパーツ、34……窓、40……受信部、41……スイッチ、50……ベルト、51……ホルダー、52……バック、53……肩ベルト、60、61……人気キャラクタ、63……札、70……野球場、71……スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触式情報記録媒体処理機に近接させることにより、前記非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する非接触式情報記録媒体を収納する非接触式情報記録媒体収納容器であって、
発光素子及び/又は発音素子と、
前記非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部における前記信号の受信時間を計測する時間計測部と、
前記時間計測手段によって計測された前記受信時間に対応させて前記発光素子の発光状態及び/又は前記発音素子の発音状態を変化せしめる素子駆動部と、を備える非接触式情報記録媒体収納容器。
【請求項2】
非接触式情報記録媒体処理機に近接させることにより、前記非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する非接触式情報記録媒体を収納する非接触式情報記録媒体収納容器であって、
スイッチと、
発光素子及び/又は発音素子と、
前記非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する信号受信部と、
前記スイッチをオンにした時点から、前記信号受信部が前記信号の受信を開始する時点、または前記信号受信部が前記信号の受信を終了する時点までの時間を計測する時間計測部と、
前記時間計測手段によって計測された前記時間に対応させて前記発光素子の発光状態及び/又は前記発音素子の発音状態を変化せしめる素子駆動部と、を備える非接触式情報記録媒体収納容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記非接触式情報記録媒体収納容器の傾斜状態を検知する振り子センサを有する非接触式情報記録媒体収納容器。
【請求項4】
非接触式情報記録媒体処理機に近接させることにより、前記非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する非接触式情報記録媒体を収納する非接触式情報記録媒体収納容器であって、
前記非接触式情報記録媒体収納容器の傾斜状態を検出する振り子センサと、
発光素子及び/又は発音素子と、
前記非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部において信号が受信される際に、前記振り子センサの出力に対応させて前記発光素子の発光状態及び/又は前記発音素子の発音状態を変化せしめる素子駆動部と、を備える非接触式情報記録媒体収納容器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する回数をカウントする回数計測部を有する非接触式情報記録媒体収納容器。
【請求項6】
非接触式情報記録媒体処理機に近接させることにより、前記非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する非接触式情報記録媒体を収納する非接触式情報記録媒体収納容器であって、
発光素子及び/又は発音素子と、
前記非接触式情報記録媒体処理機からの信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部において信号を受信する回数をカウントする回数計測部と、
前記回数計測手段によって計測された前記回数に対応させて前記発光素子の発光状態及び/又は前記発音素子の発音状態を変化せしめる素子駆動手段と、を備える非接触式情報記録媒体収納容器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記発光素子は、画像を表示する表示部である非接触式情報記録媒体収納容器。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、
前記非接触式情報記録媒体は、電子マネーカードである非接触式情報記録媒体収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−88973(P2012−88973A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235945(P2010−235945)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【特許番号】特許第4874446号(P4874446)
【特許公報発行日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】