説明

非接触式計測器を水中計測器とする補助装置

【課題】船舶プロペラの水中での粗度測定を、小さな測定面及び曲面でも簡単に計測可能な方法を提供する。
【解決手段】保護箱1に入れられた非接触式計測部をダイバーが測定面4に押し付け、気体供給ホース6より送られてきた気体を送気排水バルブ7から囲い部9に気体を送り、囲い部9にある水を、余水溜まり部10を経由して排水口20若しくは排水弁16より排水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そのままでは水中で使用することができない非接触式計測器を、水中に持ち込み水中で測定できるようにするための補助装置で、特に船舶プロペラの表面粗度を計測する非接触式水中粗度計に関する。
【背景技術】
【0002】
就航中の船舶のプロペラの保守管理を水中で行うには、水中のプロペラの性能を判断する水中粗度測定方法と、水中でプロペラの整備ができる水中プロペラ研磨を行う必要がある。水中で研磨を行う技術は確立したが、性能を判断する粗度測定を簡単に行う方法は確立されていない。
【0003】
係留中に船舶のプロペラを水中で0.5μm以下にまで研磨が行える技術を確立した。その粗度を水中で計測する装置と方法を考案したが、測定場所と測定時間に制約を受ける粗度計と粗度計測方法であり、水中で測定場所をあまり選ばず又短時間で簡単に研磨粗度を数値で確認する粗度計測方法が確立されていなかった。
【0004】
船舶プロペラの表面粗度を水中で測定する方法に、ダイバーが粗度見本板と測定対象物とを比較して、目視又は触手で確認して判断する方法がある。
【0005】
又、粗度見本板と粗度測定対象物とを並べて撮影し、その映像を見て確認する方法も行われている。
【0006】
しかしプロペラの性能を判断するには、プロペラの粗度を数値であらわし判断する必要がある。前記の測定方法は、視覚・触手・映像による測定方法なので、粗度を1μm単位で確認することは難しい。又粗度の比較に使用されている標準粗度板のルパートゲージでもA〜Fまでの表示で6個の粗度見本板しかなくその粗度見本板と比較して、どの見本板に近いかで粗度を判断している。
【0007】
粗度計測を行える機器には接触式と、非接触式がある。接触式粗度計は安価で持ち運びが簡単で取り扱いも容易であるが測定面に直接計測部押し当てて動かす必要がある。非接触式粗度計は接触式粗度計と比べると、高価で大型で持ち運びが不便で取り扱いにも注意がいるが、測定面に直接触れることなく超音波・光波・レーザー波及び電磁波などを照射して反射波受け、そのデーターを解析して精密に計測できるものが多い。
【0008】
水中で、プロペラの表面粗度を0.1μm単位で測定する方法に粗度測定補助箱を使いその中に粗度計を持ち込んで計測する方法がある。
【0009】
この方法は安価な接触式粗度計を使うことができる計測方法で、水中の粗度測定面に粗度測定補助箱を設置し、保護箱に入れた粗度計を粗度測定補助箱の気中部で取り出して、計測対象面に粗度計を当て粗度計測を行う方法である。又非接触式粗度計も保護箱に入れて持ち込み粗度計測を行うことができる。しかしこの測定方法では粗度測定補助箱を設置して中を気中とすることが必要となる。
【0010】
通常船舶プロペラの性能判断を行う粗度測定ではプロペラ1枚を検査するのに10ヶ所以上の測定が行われており、4枚プロペラであれば40ヶ所以上の測定が必要となる。
【0011】
又、粗度測定補助箱の大きさは、粗度測定補助箱中に粗度計を持ち込んで計測しなければいけないので、人が粗度計を手に持って持ち込み操作する空間が必要となり、計測面は少なくとも30cm×30cm×30cm以上の大きさが必要であり、粗度測定補助箱の設置に時間と手間がかかる。
【0012】
粗度測定面は多様である。特に船舶プロペラの場合は勾配のきつい曲り部があり、又プロペラダイヤが2m以下の小さなプロペラなどもある。小さなプロペラでは粗度測定用補助箱を設置する面積が取れないこともあり、測定面の形状及び測定面積の大小により粗度測定補助箱を設置するのに制限を受けるので粗度測定ができない場合もある。
【0013】
水中で粗度測定補助箱を設置せず、測定面の形状及び面積の制限をあまり受けずに粗度測定ができる方法があれば、粗度測定に一番時間を要する粗度測定補助箱を設置する必要がなくなり、粗度計測が短時間で簡単に行えるようになる。
【0014】
接触式粗度計で計測する場合は、粗度計と粗度計を操作する空間が必要となる、しかし非接触式粗度計であれば粗度計の計測波受発信部だけを空間とすると計測が可能となり、計測面に小さな空間を作るだけで良くなる方法が取れる。
【0015】
非接触式粗度計は概して高価で大きく取扱いも大変な装置である。非接触式粗度計を水中に持ち込むのであれば、人が手で持てる程度の大きさにする必要があり、非接触式粗度計を海水及び水の影響を受けないようにして保護箱の中に入った状態で粗度計測が行えることが必要となる。
【0016】
非接触式計測機には超音波を使うもの、光波・レーザー波および電磁波を使うものなどがある。光波・レーザー波及び電磁波を使うものでは、測定面と計測器の間に水があると水が障害となり測定誤差が発生する。又水滴などでも誤作動するので水の除去及び水滴の除去が必要である。
【0017】
粗度測定補助箱を使わずに小さな測定面及び曲がり部など曲面の測定に非接触式粗度計を使い水中で粗度測定が簡単に計測できる装置又は方法が求められている。
【0018】
特開平10−192802非接触式計測器代表される超音波を使う計測器は、直接振動体を振動させ超音波を水に伝えて計測を行う方式なので補助箱を必要としていない方式である。当発明は測定部と測定波受発信部にある影響となる気体及び水の影響を排除する働きをする補助装置であり今まで水中で使用できなかった非接触式計測器を水中計測器としてしよう出来るようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平10−192802
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
非接触式粗度計を粗度測定補助箱を使わずに保護箱に入れて水中に持ち込み安定して計測面に設置でき、操作が簡単で又設置・撤去・移動も簡単に行え、計測できる方法。
【0021】
非接触式粗度計を入れる保護箱は、小さな測定面及び多少の勾配のある曲面部分でも測定ができ、非接触式計測機と計測面との間の水及び水滴を排除できる構造若しくは水の影響を受けても支障なく計測できる計測機を収納できる保護箱であること。
【0022】
非接触式粗度計を入れる保護箱は、水中でダイバーが手に持って簡単に操作できる大きさであること。
【課題を解決するための手段】
【0023】
防水機能と耐圧機能を備えた保護箱で、保護箱内で計測に必要な動作ができる空間と外部より操作できる機能を備えた保護箱を作る。
【0024】
非接触式粗度計を小型化するか分割して人が手で持てる大きさで外部から粗度計測の操作ができる機能を備えた耐圧機能と防水機能を有した保護箱に入れる。又分割する場合は計測部及びその他演算部に分け、お互いをケーブルで繋ぎ、計測部は保護箱に入れ水中へ、その他演算部は計測部保護箱とケーブルで繋ぎ別の保護箱に入れて水中へ、又はそのままケーブルを伸ばして水上に設置する。保護箱に入った計測部は測定部前面に空間が作れる構造若しくは計測面と計測波受発信部にある水の影響を受けても補正できる非接触式粗度計を収納できる構造とするので、粗度測定が簡単に行えるようになる。
【0025】
以下に非接触式粗度計を入れ保護箱の前面の水を排除する構造について、主に接触式粗度計を入れて粗度計測を行う粗度測定補助箱との違いも含めて述べる。
【0026】
非接触式粗度計が収納できる保護箱の測定波受発信部前面に囲い部を作り、囲い部分に気体を送り、水および水滴を排除して計測できる空間を設けた。又非接触式粗度計が収納できる保護箱の受発信部の計測波通過部は計測に影響のない材質のものとした。
【0027】
非接触式粗度計が収納できる保護箱受発信部前面に設置する囲い部は、計測波受発信部の面積が小さく、測定距離も数センチメートル以下と短くできるので体積が少ない。又粗度測定補助箱と比較すると排除する水の量が非常に少なくなるので短時間で排水でき、又設置・撤去・移動も容易である。
【0028】
排水方法は、非接触式粗度計が収納できる保護箱に設置された囲い部内に外部より気体を送り、気体を囲い部内に溜め計測波受発信部より下にある排水口から水を排水する。又、囲い部下部に水溜り部を設け、多少のたまり水が発生しても支障なく計測できるようにした。又計測時に侵入水が発生しても水溜まり部があるので計測に支障をきたさない構造とした。
【0029】
計測面及び計測するダイバーは水中では不安定である。非接触式粗度計が収納できる保護箱の止水方式はダイバーが手で押さえて固定できる保護箱前面にある距離保持治具部分で止水する1次防水シール部と、止水シール部が内圧で止水面に張り付く2次防水シール部の2重防水止水方式とした。
【0030】
1次防水シール部は非接触式粗度計が収納できる保護箱の囲い部となる距離保持治具先端部に防水性とクッション性のあるシール材を取り付けて止水する構造とした。この1次防水シール部分を計測対象物の止水面にダイバーが押し付け水の浸入を防ぐようになる。
【0031】
2次防水シール部は非接触式粗度計が収納できる保護箱の囲い部となる内側から測定面に非透水性で多少の伸びでも破れない強度と伸縮性を持った材質の幅広のシール材を囲い部内側に取り付け防水シール材が止水面に当たる構造とした。又囲い部の内部圧を外部圧より高い圧力で幅広の防水シール材を止水面に押し付ける構造としたので、保護箱が計測中に多少動いても幅広である防水シール部から漏水することはほとんどなくなる。又、この防水シール材は伸縮性があるので多少の曲面でも止水面に密着して止水出来る機能を備えさせた。
【0032】
2次防水シールの止水性を高めるため、囲い部内の圧力を一定にする送気排水加圧バルブを設置している。2次防水シール部分のシール方法はシール部内側の圧力を周囲より高め、その高い圧力によりシール部分が測定に支障のない計測対象面の止水面に張り付き止水するようになる。この構造では内圧が高いため隙間が発生しても水が浸入してくるのではなく、気体が圧力の低い外部に漏れるようになる。気体が漏れると内圧が下がり2次防水シールが効かなくなる、エアーが漏れた場合でも止水効果が発揮できるように送気排水加圧バルブからエアーを常時送れるようにしている。
【0033】
非接触式粗度計が収納できる保護箱の囲い部内部の圧力を外圧より高くする加圧力は、2次防水シール材の素材の伸縮性と強度及び内圧で発生する反力とのバランスにより決定する。
【0034】
囲い部の内圧を高める方法は、排水口を囲い部より下に設置する方法と排水口に排水弁を設け排水弁をバネで押さえて排水圧を高める方法がある。排水口を囲い部下部に設ける方法では、排水口を囲い部より下に設けることにより囲い部より排水位置が低いため排水するには排水口にかかる圧力以上の加圧をしないと排水しない、そのため囲い部に高い圧がかかることになり、囲い部の内圧が高まるようになる。例えば排水口に通路を設けて20cm下の位置に設置すると排水口は囲い部より20cm下となるので囲い部内には1cm2当たり0.02kg/cmの圧力がかかるようになる。この圧力は2次防水シール材の内側に加わり、2次防水シール材をシール部に押し付け止水するようになる。又、排水口に排水弁を設け排水弁をバネで押さえることによりバネの力で同様の加圧効果を得ることができる。
【0035】
2次防水シールを押さえる圧力を高くすると圧力に比例して非接触式粗度計が収納できる保護箱にかかる反発力は大きくなる。囲い部が小さいと反発力は小さい。例えば計測波受発信部開放部が5cm×5cmの面積で、囲い部が10cm×10cm程度の大きさで防水シール部の幅が5cmで、防水シール部への加圧力が20cm水圧とすると、2kgの反力が発生する。非接触式粗度計が収納できる保護箱に固定して取り付けられている2次防水シール部に加圧される力は1.5kgとなるので反力はその差の0.5kgとなる。又その時、計測距離が5cmの場合、非接触式粗度計が収納できる保護箱には500gの浮力が発生するので、非接触式粗度計が収納できる保護箱を押さえて固定する力は1kgとなる。この程度の力で押さえるのであればダイバーは手で簡単に押さえて止水と保持が行え、非接触式粗度計が収納できる保護箱を使って粗度の測定をすることができる。また非接触式粗度計が収納できる保護箱に500gのおもりを設置することで浮力を消すこともできる。
【0036】
非接触式粗度計が収納できる保護箱の囲い部内に送り込む気体は乾燥した気体を使用するとより効果がでる。乾燥している気体を単に囲い部に送るのでなく、囲い部内の測定面及び受発信部面に吹き付けるように送ることにより、測定面及び受発信部面の残水及び水滴などの除去が容易に行えるようになる。
【0037】
非接触式粗度計の入った非接触式粗度計が収納できる保護箱は人間が手で押しつけて押さえることができる大きさであるが、水中にある粗度測定部は不安定であり施工するダイバーも中性浮力状態で体が安定しにくい。非接触式粗度計が収納できる保護箱前面にダイバーが水中で測定距離を固定して維持できる距離保持治具を設置した。
【0038】
更に高価な水中で使える非接触式粗度計測の機械となるが、非接触式粗度計が収納できる保護箱前面に囲い部を設けることなく距離保持治具を使い計測する方法がある。計測部の液体および気体を分析し、計測波が起こす誤差を補正できる補正機能を備えた装置を非接触式粗度計が収納できる保護箱内の非接触式計測器に組み込んだ非接触式粗度計を、前記の囲い部排水装置を除いた非接触式粗度計が収納できる保護箱に入れ計測する方法である。

【発明の効果】
【0039】
大きな粗度測定補助箱を設置せずに、非接触式粗度計を使い水中で簡単に、又短時間で粗度測定ができるようになる。
【0040】
測定面が底部でも水が流れる傾斜があれば殆どの場所での測定が可能となる。又移動してもほとんど漏水が出ないので測定面が同一面であれば保護箱を測定面に当てながら移動させ測定できるようになる。
【0041】
非接触式粗度計が収納できる保護箱の受発信部前面にある囲い部の面積があれば、粗度を計測することができるようになった。粗度測定補助箱と比べ極端に小さな面、例えば10cm×10cm程度の面積でも粗度測定ができるようになり、小さなプロペラでも水中で簡単に粗度が測れるようになる。
【0042】
粗度測定補助箱を使って計測する工法と比べ、測定用空間部が小さいので、空間部を作る時間も計測する時間も極めて短時間となり、作業時間が大幅に短縮できるようになる。
【0043】
船舶プロペラの粗度測定場所は殆どが海水中である。接触式粗度計は非接触式粗度計と比較すると桁違いで安価であるが、粗度測定補助箱の中で取り出す使い方しかできないので、塩害及び水濡れによる影響を受けやすい。それによりトラブルが発生し易く、業務に支障が出やすい欠点がある。それに比して非接触式粗度計は高価ではあるが、計測部を保護箱に密封して入れたまま使用できるので、塩害及び水濡れによる故障及びトラブルの発生率が極端に低く、機材のトラブルによる障害が少ない。
【0044】
非接触式粗度計を収納する保護箱は、粗度測定補助箱に比べ極めて小さい。保護箱を計測面に当てるだけで簡単に水を排除して計測ができる。又計測対象面が平らであれば保護箱先端部の測定波照射部の空間を保持し、浸入する水を排除しながら移動させることができ、ほとんど侵入水の影響を受けずに測定できる。
【0045】
非接触式粗度計に限らず、非接触式計測器を収納できる保護箱に入れることにより、非接触式粗度計を含め他のいろいろな形式の非接触式計測器が水中で簡単に使用できることになり、プロペラの粗度計測に限らず、今までできなかった水中での計測、例えば計測時に計測面を移動しながら計測する電磁波レーダーを使う鉄筋探査機などでもこの方法が応用でき計測が簡単に、又短時間で行えるようになる。

【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】非接触式計測器を収納できる補助装置の保護箱断面の概念図。
【図2】補助装置前面の水を排除する構造の防水シール部の詳細概念図。
【図3】補助装置前面の囲い部内の排水及び気体の動きを現す概念図。
【図4】補助装置前面の水を分析し補正して計測している概念図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は非接触式計測器を収納できる補助装置の保護箱の断面で、水中で非接触式粗度計を保護箱に入れ、計測面の水を排除して粗度を計測している概念図である。保護箱1に入れられた非接触式粗度計をダイバーが測定面4に押し付け、気体供給ホース6より送られてきた気体を送気排水加圧バルブ7から囲い部9に気体を送り、囲い部にある水を、余水溜まり部10を経由して排水口20若しくは排水弁16より排水させている。
【0048】
又、図1の排水口20は保護箱1の前面にある囲い部9より下部に設置してあるので粗度計測面4に面した部分は排水口20の排水圧と同様の圧力となり、周囲より内圧の方が高い状態となり、その高い圧力で2次防水シール材13を押さえて止水している。通常では1次防水シール材12だけで止水するが、測定場所が水中で不安定なため水が浸入しやすい、水の浸入を防ぐため2重防水にし、更に加圧防水機構を加え、更に安定して距離が保持できる距離保持治具11を設置した断面の概念図でもある。
【0049】
図2は非接触式計測器を収納できる補助装置である保護箱1の前面の水を排除する構造の防水シール部の概念図である。保護箱1の囲い部に取り付けられた防水シール部である1次シール部と2次シール部の詳細を現している。
【0050】
図3は非接触式計測器を収納できる補助装置である保護箱1の前面の囲い部内の排水及び気体の動きの概念図である。保護箱前面の囲い部内の排水及び気体の動きを矢印で現しており、送気排水加圧バルブ7を操作することにより、囲い部9の中の水および計測面の水滴などの排除と、2次防水シール材13に加圧を行っている概念図である。
【0051】
符号1は非接触式計測器を収納できる補助装置の保護箱である。耐圧防水機能を備え、非接触式粗度計を収納し、水中に持ち込んで外部より操作できる箱である。
【0052】
符号2は非接触式粗度計である。非接触式計測器を収納できる保護箱1の内部に収納され、保護箱1の外部から操作して計測できる非接触式粗度計である。非接触式粗度計が小さい場合は非接触式粗度計をそのまま保護箱1に入れるが、非接触式粗度計が大きい場合は計測部分とその他の演算部分を分離してケーブルで繋ぎ計測部をだけをダイバーが持って操作できる大きさにした保護箱1に収納する。また分離した操作部、表示部、その他の演算部を水上に設置することもでき、操作及び測定数値の確認も水中及び水上でもできるようになる。
【0053】
符号3は非接触式粗度計の計測波受発信部である。この部分から計測波が出て計測を行う。又計測波受発信部は大きくても、通常であれば5cm程度以下のものがほとんどである。
【0054】
符号4は計測面である。粗度などを計測する場所で勾配及び曲面をともなっている部分もある。
【0055】
符号5はケーブルである。非接触式粗度計を分割した場合、計測部とその他の部分としてお互いをつなぐケーブルで耐圧防水機能を備えている。
【0056】
符号6は気体供給ホースである。囲い部内の水の排水用の気体を気体供給源から送気排水加圧バルブ7に供給する。又ダイバーが携行している呼吸用空気を気体供給源として供給することもできる。
【0057】
符号7は送気排水加圧バルブである。気体供給ホース6より気体を受けて、囲い部9に気体を送り、水を排除する装置である。又囲い部内の水を排除するだけでなく排水弁16及び排水口20による差圧で2次防水シール材13のシール部を加圧して止水する気体を送れる機能も備えている。
【0058】
符号8は気体の吹き出し口である。囲い部9に送り込まれた気体が、計測波受発信部及び計測面4に当たり水及び水滴などを排除するように配置されている。
【0059】
符号9は囲い部である。保護箱1の計測波受発信部3の前面に計測面部が開放された形状で作られており、開放部が距離保持治具に取り付けられた1次防水シール材12が計測面4に当たり囲い部9の内側にある水及び余剰の気体は囲い部下端部にある排水口20又は排水弁16より排出され気中部を作れる構造となっている。
【0060】
又、水中は不安定なので防水は2重防水構造としている。又囲い部9の内部の圧力を周囲の水中部より高い圧力となる構造として幅広の防水シール材を加圧して押さえているので2次防水シール材13から気体が漏れることがあっても、水が浸入することはほとんどない構造となっている。
【0061】
符号10は余水溜まり部である。囲い部内は2重防水シール機構としているのでほとんど水の侵入はないが、排水部を常に最下端に配置できるとは限らない、測定面及び排水口が傾いている場合でもこの部分に水が溜ることにより、測定に支障がでないようにしている。
【0062】
符号11は距離保持治具である。計測面4に押し当てて一定の距離を保って保護箱1を計測面に固定することができる治具である。又、保護箱1の先端部前面に距離保持治具11を使って囲い部9と1次防水シール材12及び2次防水シール材13が取り付けられる構造となっている。
【0063】
符号12は1次防水シール材である。弾力性と止水機能持ったシール材で作られており、囲い部となる距離保持治具先端に装備されている。この部分を計測面4に押し付けることにより囲い部内を防水することができる。
【0064】
符号13は2次防水シール材である。1次防水シール材12だけでも止水することができるが、計測面4は水中にあり又曲面を持っている場合もある、不安定な状態のダイバーが1次防水シール材12だけで計測面4の排水を完全行い、防水状態を維持することは難しい。防水をより完全にするため2重防水機構となる2次防水シール部を設けた。2次防水シール材13は幅広の非透水性で柔軟性があり、多少の伸びでも破れない強度と伸縮性を持ち、計測面が同じであれば計測時及び計測点へ計測器を移動させるのに支障ない程度の滑りやすい材質の防水シール材で作られており、内側に気体の圧力を受け計測面に押し付けられて止水できるシール材である。又保護箱1と一体となった距離保持治具11に取り付けられているので、2次防水シール材13が計測面4に押しつけられる時、保護箱1を計測面4に引き寄せる機能も発揮する。
【0065】
符号14は2次防水シール材内側固定枠である。2次防水シール材13の保護箱側の固定は距離保持治具11に固定するが内側部分は固定する場所がない。内圧が高いため計測面4に張り付いた2次防水シール材13が外部に飛び出す恐れがある。それを防ぐ固定枠で、保護箱1が測定面4に張り付いた状態で移動しても防水機能を維持させる作用も2次防水シール内側固定枠はする。しかし2次防水シール材13の材質により必要ない場合もでる。
【0066】
符号15は計測波通過部である。計測波を計測に支障なく通過させられる材質でできており防水耐圧機能も備えている。
【0067】
符号16は排水弁である。囲い部の下部に設置され、中にある水及び送りこまれた気体の排出口となる弁である。逆止弁17と逆止弁押さえ板18と逆止弁押さえバネ19を装備している。
【0068】
符号17は逆止弁である。排水弁16から水が入らないように逆止弁構造としている。
【0069】
符号18は逆止弁押え板である。排水弁16である逆止弁17をバネなどで押さえるときに均一の力で押さえられるようにする板である。
【0070】
符号19は逆止弁押さえバネである。囲い部9に送り込まれた気体による水及び気体の排出を逆止弁押さえ板通じて逆止弁をこの逆止弁押さえバネで押さえることにより、囲い部9の内圧を高めることができる。その高めた圧力で2次防水シール材13を押さえることができるようになる。囲い部9の内部の圧力はこのバネの強さにより決定する。
【0071】
符号20は排水口である。排水弁16を設けない場合に設けられる。排水口を囲い部より圧力の高い下の部分に配置することにより排水弁16とおなじ機能を有するようになる。排水口20の位置により囲い部9の内部の圧力が決定する。
【0072】
符号21は気体の動きを現した矢印である。送気排水加圧弁7より送られてきた気体が、気体吹き出し口8より吹き出され、計測面4及び計測波受発信部3の表面の水を排除して排水部よりを排出される動きと、2次防水シール材13を押さえている、気体の流れを矢印であらわした。
【0073】
図4は保護箱前面の水を排除せず、水の成分などを測定して分析し、水の成分による影響の補正を行い粗度計測をしている概念図である。非接触式粗度計では粗度計測波が水により影響を受け水があることにより正しい測定ができない、そのため測定に影響のある要素の補正を行うため、水の分析とその補正を行える装置が配置された図である。
【0074】
符号22は保護箱1の前面にある囲い部内にある物質を測定して分析し、その物質による影響の補正が行える分析補正装置である。保護箱1の前面に設置された囲い箱に囲まれた測定面までの中にある物質の成分の分析又は測定に影響を与える要素の測定ができ、非接触測定器の測定に影響を与える要素を排除又は補正が行える機能を持っている装置である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
非接触式粗度計は取り扱いが難易で高価な機械ではあるが、接触式粗度計を使う計測方法と比較してプロペラの粗度計測が短時間で簡単にできるようになる。又小型の船舶のプロペラでも粗度計測ができるようになり、ほとんどの船舶のプロペラの水中の状態が把握できるようになるので船舶を良好な状態で運航することができるようになる。
【符号の説明】
【0076】
1 保護箱
2 非接触式粗度計収納部
3 計測波受発信部
4 計測面
5 ケーブル
6 気体供給ホース
7 送気排水加圧バルブ
8 気体の吹き出し口
9 囲い部
10 余水溜まり部
11 距離保持治具
12 1次防水シール材
13 2次防水シール材
14 2次防水シール内側固定枠
15 計測波通過部
16 排水弁
17 逆止弁
18 逆止弁押さえ板
19 逆止弁押さえバネ
20 排水口
21 気体の動きを現した矢印
22 分析補正装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触式計測器を水中計測器とする補助装置であって、耐圧機能と防水機能を備え非接触式計測機器を収納して水中に持ち込んで計測できる保護箱と、その保護箱の測定波受発信部から測定部までの距離を保持できる距離保持治具を備えることを特徴とする、非接触式計測器を水中計測器とする補助装置。
【請求項2】
請求項1記載の非接触式計測器を水中計測器とする補助装置であって、保護箱前面の、測定波受発信部と計測面の間の水を計測に支障のないように排除して気中部とする装置を備えることを特徴とする非接触式計測器を水中計測器とする補助装置。
【請求項3】
請求項1及び2記載の非接触式計測器を水中計測器とする補助装置であって、保護箱前面の、測定波受発信部と計測面の間の止水を周囲外部の圧力より高くして水の浸入を防止する機能を備え、非接触式計測機器類が計測できる気中部が作れることを特徴とする非接触式計測器を水中計測器とする補助装置。
補助装置
【請求項4】
請求項1及び、2及び3記載の非接触式計測器を水中計測器とする補助装置であって、測定波受発信部と計測面の間の気体又は液体を分析して、気体又は液体による誤差を補正できる機能を備える非接触式計測器を水中計測器とする補助装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−145184(P2011−145184A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6420(P2010−6420)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(708002012)
【Fターム(参考)】