説明

非接触式超音波測定装置

【課題】 被検体の第1の特性を精度良く測定すると共に、被検体の観察又は第2の特性の測定を良好に行う。
【解決手段】 気体中を介して被検体に対して超音波ビームを送受信する超音波探触子を備え,前記探触子からの出力信号を処理して前記被検体の第1の特性を測定する第1のユニットを有する非接触式超音波測定装置であって、非接触で前記被検体を正面方向から観察するための観察ユニットと、非接触で前記被検体の第2の特性を正面方向から測定するための測定ユニットと、の少なくとも何れかを備える第2のユニットを有し、前記探触子は、その中心部に設けられた,前記第2ユニットによる前記被検体の観察又は測定のために十分な大きさを持つ開口部と、該開口部を囲むように配置された前記超音波ビームの送受信部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いて非接触で被検体の特性を測定する非接触式超音波測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触式超音波測定装置の一つとして、近年、被検者眼の角膜に向けて超音波を出射する振動子と角膜で反射された超音波を検出するセンサとを有する探触子を備えて非接触で被検者眼の眼圧を測定する非接触式超音波眼圧計が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/072527号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような超音波測定装置において、被検体と装置とが離れた状態で被検体を良好に観察できることが好ましい。また、被検体に関する種々の情報を良好に測定できることが好ましい。
【0005】
例えば、特許文献1の構成の場合、模型眼に対する測定を想定したものにすぎず、実際の人眼を測定するにはまだ不十分であり、実用化に向けた課題は多い。例えば、被検者の恐怖心を緩和するには、角膜と装置との作動距離をある程度確保する必要がある(例えば、10mm程度)。また、角膜と装置とが離れた状態で被検者眼の状態を良好に観察できることが好ましい。また、眼圧とは異なる第2の眼特性を測定することはできない。
【0006】
本発明は、上記従来技術を鑑み、被検体の第1の特性を精度良く測定すると共に、被検体の観察又は第2の特性の測定を良好に行うことができる非接触式超音波測定装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0008】
(1) 気体中を介して被検体に対して超音波ビームを送受信する超音波探触子を備え,前記探触子からの出力信号を処理して前記被検体の第1の特性を測定する第1のユニットを有する非接触式超音波測定装置であって、
非接触で前記被検体を正面方向から観察するための観察ユニットと、非接触で前記被検体の第2の特性を正面方向から測定するための測定ユニットと、の少なくとも何れかを備える第2のユニットを有し、
前記探触子は、その中心部に設けられた,前記第2ユニットによる前記被検体の観察又は測定のために十分な大きさを持つ開口部と、該開口部を囲むように配置された前記超音波ビームの送受信部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
(2) (1)の前記観察ユニット又は前記測定ユニットは、光学ユニットと、X線ユニットと、超音波ユニットと、音響ユニットと、の少なくとも何れかを含む、
ことを特徴とする。
【0010】
(3) (2)の非接触式超音波測定装置において、 前記第1特性は、前記被検体の内圧である、ことを特徴とする。
【0011】
(4) (3)の非接触式超音波測定装置において、
前記被検体は、被検者眼であり、
前記第1特性は、前記被検者眼の第1の眼特性である眼圧であり、
前記観察ユニットは、前記被検者眼の前眼部を正面方向から観察するための観察光学系である、ことを特徴とする。
【0012】
(5) (4)の非接触式超音波測定装置において、
被検眼に対する作動距離方向のアライメント状態を検出するための作動距離検出ユニットを備え、該作動距離検出ユニットは、作動距離方向のアライメント状態検出用の指標を前記被検者眼に向けて斜め方向から投影する投影光学系と,位置検出素子を有し前記投影光学系による角膜反射光を斜め方向から受光する受光光学系と,を有し、位置検出素子からの出力に基づいてアライメント状態を検出する作動距離検出ユニットと、
前記超音波探触子からの出力信号を処理してアライメント状態を検出する作動距離検出ユニットと、の何れかであることを特徴とする。
【0013】
(6) (4)の非接触式超音波測定装置において、前記測定ユニットは、前記被検者眼の第2の眼特性を測定するための測定光学系である、ことを特徴とする。
【0014】
(7) (6)の非接触式超音波装置において、前記測定光学系は、被検者眼眼底に測定光を投光してその反射光を受光することによって眼屈折力を測定する眼屈折力測定光学系と、被検者眼の角膜に測定光を投光してその反射光を受光することによって角膜形状を測定する角膜形状測定光学系と、の少なくとも何れかを含む、ことを特徴とする。
【0015】
(8) (7)の非接触式超音波測定装置において、前記観察光学系は、前記被検者眼の前に配置される対物レンズを有し、該対物レンズは、前記開口部に配置されている、ことを特徴とする。
【0016】
(9) (3)の非接触式超音波測定装置において、前記送受信部は、広帯域の周波数成分を持つ超音波ビームを送受信する空気結合型送受信部である、ことを特徴とする。
【0017】
(10) (9)の非接触式超音波測定装置において、前記送受信部は、前記開口部より外側に略円環状に配置されている、ことを特徴とする。
【0018】
(11) (10)の非接触式超音波測定装置において、前記送受信部は、その中心軸が前記第2ユニットの中心軸と略同軸になるように配置されている、ことを特徴とする。
【0019】
(12) (11)の非接触式超音波測定装置において、前記送受信部の送信部と受信部とは、それぞれ異なる位置に同心円状に配置されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、被検体の第1の特性を精度良く測定すると共に、被検体の観察又は第2の特性の測定を良好に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本実施形態に係る非接触式超音波測定装置である非接触式超音波眼圧計の測定系及び光学系の概略構成図である。なお、以下の測定系及び光学系は、図示無き筐体に内蔵されている。また、その筐体は、周知のアライメント用移動機構により、被検者眼Eに対して三次元的に移動されてもよい。また、手持ちタイプ(ハンディタイプ)であってもよい。
【0022】
超音波探触子10は、空気を媒体として被検者眼Eの角膜Ecに向けて超音波ビーム(パルス波又は連続波)を出射し、また、角膜Ecで反射された超音波ビームを検出する。探触子10は、超音波の送受信部11として、角膜Ecに入射させる超音波(入射波)を出射する送信部12と、角膜Ecで反射された超音波(反射波)を検出する受信部13と、を有し、被検者眼Eの眼圧を非接触で測定するために用いられる。なお、本実施形態の探触子10は、送信部12と受信部13とが別構成となっており、それぞれ異なる位置に配置されている。もちろん、これに限るものではなく、送信部12と受信部13とが兼用されていてもよい。
【0023】
本装置の光学系としては、被検者眼Eの前眼部を正面方向から観察するための観察光学系20と、被検者眼Eを固視させるための固視標投影(呈示)光学系30と、上下左右方向のアライメント状態検出用の第1指標を角膜Ecに投影するための第1指標投影光学系40と、前後方向である作動距離方向のアライメント状態検出用の第2指標を角膜Ecに投影するための第2指標投影光学系50と、角膜Ecに投影された第2指標を検出するための指標検出光学系55と、が設けられている。
【0024】
観察光学系20は、対物レンズ22と、結像レンズ24と、二次元撮像素子26と、を有し、その光軸(観察光軸)L1が送受信部11の中心軸と略同軸となるように配置されている。このため、被検者眼Eの所定部位(例えば、角膜中心、瞳孔中心)に対して観察光軸L1がアライメントされると、被検者眼Eに対する探触子10の上下左右方向のアライメントがなされる。
【0025】
赤外光源38によって照明された被検者眼Eの前眼部像は、開口部15を通過し、対物レンズ22を透過し、ハーフミラー46を透過し、ダイクロイックミラー36を透過し、結像レンズ24によって撮像素子26に結像する。撮像素子26によって撮像された前眼部像は、後述するモニタ72に表示される。
【0026】
固視標投影光学系30は、可視光源32を有し、被検者眼Eを固視させるための固視標を被検者眼Eに投影する。光源32からの可視光は、赤外光を透過して可視光を反射するするダイクロイックミラー36で反射され、ハーフミラー46を透過し、対物レンズ22を透過して被検者眼Eの眼底に投影される。固視標投影光学系30の光軸L2は、観察光学系20の光路(観察光路)中に配置されたダイクロイックミラー36によって観察光軸L1と同軸にされている。
【0027】
第1指標投影光学系40は、赤外光源42を有し、上下左右方向のアライメント状態検出用の第1指標である赤外光を正面方向から角膜Ecに投影する。光源42からの赤外光は、ハーフミラー46で反射され、対物レンズ22を透過して角膜Ecに投影される。第1指標投影光学系40の光軸L3は、観察光路(観察光束の光路)中に配置されたハーフミラー46によって観察光軸L1と同軸にされている。
【0028】
観察光学系20は、第1指標投影光学系40によって角膜Ecに形成された第1指標像を検出する(角膜Ecで反射された光源41からの赤外光を受光する)。すなわち、観察光学系20は、指標検出光学系を兼ねる。撮像素子26によって撮像された第1指標像は、モニタ72に表示される(図2の点像I参照)。
【0029】
第2指標投影光学系50は、赤外光源51を有し、作動距離方向のアライメント状態検出用の第2指標である赤外光を斜め方向から角膜Ecに投影する。
【0030】
指標検出光学系55は、位置検出素子(例えば、ラインCC)58を有し、第2指標投影光学系50によって角膜Ecに形成された第2指標像を検出する(角膜Ecで反射された光源51からの赤外光を受光する)。なお、作動距離方向のアライメント状態の検出は、探触子10によって行われてもよい(例えば、被検者眼に出射された超音波が探触子10に戻っているまでの時間が距離に換算される)。
【0031】
図2は、本実施形態に係る探触子10を正面から見たときの概略構成図である。探触子10は、その中心部に、観察光路として用いるのに十分な大きさを持つ開口部15を有し、送受信部11が開口部15を囲むように配置されている。
【0032】
より具体的には、送受信部11は、開口部15に対応する内径を持つ貫通孔が形成されたベース部10aの被検者眼E側に配置されており、貫通孔の外側に略円環状に配置されている。また、送信部12と受信部13とは、それぞれ異なる位置に同心円状に配置されている。
【0033】
なお、図2の場合、送信部12が内側に配置され、受信部13が外側に配置されているが、受信部13が内側に配置され、送信部12が外側に配置されていてもよい。
【0034】
また、対物レンズ22は、開口部15に配置されている。もちろん、開口部15には他の光学部材(例えば、ガラス板、フィルタ、等)が配置されていてもよいし、また、前述のような光学部材が配置されていなくてもよい。
【0035】
また、開口部15は、観察光学系20による観察範囲が許容できる範囲で確保されるように、観察光学系20による被検者眼の観察のために十分な大きさを持つ。例えば、開口部15の大きさ(ベース部10aの貫通孔の内径)は、被検者眼に対するアライメントがスムーズに行えるか、前眼部の状態が良好に確認できるか、等を考慮して適宜決定される。また、開口部15の形状は、正円形に限るものではなく、種々の形状(例えば、矩形、楕円形、等)であってもよい。
【0036】
また、送受信部11には、空気中での伝播効率を高めるために、広帯域の周波数成分を持つ超音波ビームを送受信する空気結合型の超音波送受信部(超音波探触子)が用いられることが好ましい。この場合、マイクロアコースティック(Microacoustic)社のBATTM探触子を用いることができる。このような探触子の詳細については、米国特許5287331号公報、特表2005−506783号公報、等を参照されたい。もちろん、これに限るものではなく、ピエゾ型の超音波送受信部(超音波探触子)が用いられてもよい。
【0037】
図3は、本実施形態に係る装置の制御系の概略ブロック図である。演算制御部70は、装置全体の制御等を行う。また、探触子10からの出力信号を処理して被検者眼Eの眼圧を求める。探触子10(送受信部11)は増幅器81に接続されており、探触子10から出力された電気信号は増幅器81によって増幅され、演算制御部70に入力される。また、演算制御部70には、撮像素子26、光源32、光源38、光源42、光源51、位置検出素子58、モニタ72、メモリ75、等が接続されている。なお、メモリ75には、探触子10を用いて眼圧を測定するための測定プログラム、装置全体の制御を行うための制御プログラム、等が記憶されている。
【0038】
以上のような構成を備える装置において、被検者眼Eの眼圧を測定する場合について説明する。まず、検者は、被検者に固視標を注視させる。また、モニタ72に表示された前眼部像を観察しながら、被検者眼Eに対する探触子10のアライメントを行う。このとき、演算制御部70は、図3に示すように、撮像素子26によって撮像された第1指標像Iを含む前眼部像と後述するレチクルLT及びインジケータGとをモニタ72に表示する。なお、演算制御部70は、位置検出素子58からの出力信号に基づいて作動距離方向のアライメント状態を検出し、その検出結果に基づいてインジケータGの表示を制御する。
【0039】
検者は、第1指標像IがレチクルLT内に入るように、上下左右方向のアライメントを行う。また、インジケータGが適正な表示状態(例えば、インジゲータが一本の状態)となるように、作動距離方向のアライメントを行う。
【0040】
上下左右前後方向のアライメントが完了され、所定のトリガ信号が手動で又は自動的に入力されると、演算制御部70は、送信部12から超音波ビームを角膜Ecに向けて出射し、角膜Ecで反射された超音波ビームを受信部13で検出する。そして、演算制御部70は、送受信部11による検出結果に基づいて被検者眼Eの眼圧を求め、その結果をモニタ8に表示する。すなわち、演算制御部70は、送受信部11によって検出された超音波の振幅,位相,等と眼圧との関係から眼圧値を得る。
【0041】
以上のように、送受信部11が観察光路の外側に配置されていることにより、送信部12及び受信部13の面積が確保でき、かつ、観察光路が遮光されるのを回避できる。そして、送受信部11が開口部15を囲むように配置されていることにより、被検者眼Eに対する作動距離を長くしても、探触子10によって検出される角膜Ecからの反射波の検出信号のS/N比を高くできる。
【0042】
すなわち、前眼部を観察するための領域が中心部分に好適に配置され、角膜に対して超音波を送受信するための領域が周辺部分に好適に配置されることにより、探触子10及び観察光学系20が最適化され、超音波の送受信による眼圧測定と前眼部観察とを好適に行うことができる。
【0043】
なお、送受信部11(送信部12及び受信部13)が略円環状にされることにより、角膜Ecへの入射波が略均一となるため、角膜Ecからの反射波を精度良く検出できる。
【0044】
また、送受信部11の被検者眼E側の断面形状は、図1のような平面状ではなく、図4(a)のような円錐状(テーパ状)でもよいし、図4(b)のような球面状でもよい。
【0045】
また、送信部12及び受信部13は、図2のような二重リング構成ではなく、3つ以上のリング構成であってもよい。すなわち、送信部12及び受信部13の少なくとも一方が2つ以上のリング構成であってもよい。
【0046】
また、送受信部11は、図2のような開口部15の略全体を囲む構成ではなく、開口部15の外周の一部を囲む構成であってもよい。したがって、送受信部11が略円環状に配置される場合、連続的な円でなく、間欠的な円であってもよい。
【0047】
また、送受信部11の形状は、略円環状であることが好ましいが、種々の変容が可能である。例えば、多角形(辺の数が多い方が好ましい)状であってもよい。
【0048】
なお、探触子10(送受信部11)を用いて超音波によって眼圧を測定する構成に加え、眼圧とは異なる被検者眼Eの第2の眼特性を測定するための測定光学系が設けられてもよい。この場合、測定光路(測定光束の光路)として開口部15が用いられる。また、開口部15は、許容できる測定精度を確保されるよう、測定光学系による被検者眼の測定のために十分な大きさを持つ。測定光学系としては、例えば、被検者眼Eの眼底に測定光を投光してその反射光を受光することによって眼屈折力を測定する眼屈折力測定光学系、角膜Ecに測定光を投光してその反射光を受光することによって角膜形状を測定する角膜形状測定光学系、測定光と参照光とによる干渉光を受光して眼軸長を測定する眼軸長測定光学系、等が考えられる。
【0049】
図5は、眼圧測定系に加えて測定光学系が設けられた場合の具体例の測定系及び光学系の概略構成図である。なお、図1と同様の番号を付したものについては、特段の説明がない限り、同様の機能及び構成を有するものとする。また、眼圧測定に関しては、前述の構成と同様の構成によって行われるため、その説明は省略する。
【0050】
測定光学系60は、被検者眼Eに測定光を投光してその反射光を受光する構成を備える測定光学ユニット61と、全反射ミラー62と、前眼部観察光を透過し測定光を反射するビームスプリッタ63(例えば、ハーフミラー、ダイクロイックミラー)と、対物レンズ22と、を有する。なお、測定光学ユニット61として眼屈折力測定ユニットが設けられる場合、固視標投影光学系30は、雲霧をかけることが可能な周知の構成であることが好ましい。
【0051】
測定光学ユニット61の測定用光源から出射された測定光は、ミラー62及びビームスプリッタ63で反射され、対物レンズ22を透過して被検者眼Eに入射される。被検者眼Eの眼底,角膜,等の所定部位で反射された測定光は、対物レンズ22を透過し、ビームスプリッタ63及びミラー62で反射され、測定光学ユニット61の受光素子,撮像素子,等で受光される。そして、演算制御部70は、受光結果(撮像結果)に基づいて被検者眼Eの検査(例えば、眼特性の測定、被検者眼像の取得、等)を行う。
【0052】
このような構成とすれば、眼圧測定系と測定光学系とを備える複合型眼科装置を従来装置に対して非常に小型化できる。
【0053】
また、上記構成に限るものではなく、角膜Ecに角膜曲率測定用指標(例えば、リング指標、プラチド指標)を投影する投影光学系が設けられ、角膜Ecに投影された指標像を観察光学系20(撮像素子26)で撮像することによって角膜曲率が測定されるてもよい。この場合、角膜曲率測定用指標投影光学系は、送受信部11と干渉しないように配置される。
【0054】
また、開口部15を介して被検者眼Eの前眼部にスリット光を投光する投光光学系と、観察光軸(測定光軸)L1と所定角度で交わる撮像光軸を持ち前眼部からの反射光を受光して前眼部断面像を撮像する撮像光学系と、が設けられ、撮像された前眼部断面像に基づいて角膜厚,前房深度,等が測定されてもよい。この場合、撮像光学系は、送受信部11と干渉しないように配置される。
【0055】
また、観察光軸L1と所定角度で交わる照射光軸を持ち照明光を角膜Ecに向けて斜めから照射する照射光学系と、観察光軸L1と所定角度で交わる撮像光軸を持ち角膜Ecからの反射光を受光して角膜内皮細胞像を撮像する撮像光学系と、が設けられ、角膜内皮細胞像が撮像されてもよい。この場合、照射光学系及び撮像光学系は、送受信部11と干渉しないように配置される。
【0056】
なお、本発明は、探触子10を用いて眼圧を測定する構成に限るものではなく、探触子10を用いて被検体(生体に限定されない。)の内圧を測定する構成であれば適用可能である。さらに、探触子10を用いて被検体の特性(例えば、応力分布、形状)を測定する構成であれば適用可能である。
【0057】
上記の場合、装置には、非接触で被検体を正面方向から観察するための観察ユニット(例えば、光学観察ユニット、X線観察ユニット、超音波観察ユニット、音響観察ユニット)と、観察ユニットによる被検体の観察のための十分な大きさを持つ開口部を有する探触子(第1のユニット)と、が配置される(図1参照)。この場合、探触子10の開口部15を介して観察ユニットによって被検体が観察される。なお、観察ユニットの中心軸と、送受信部11の中心軸と、が略同軸に配置されるのが好ましい。
【0058】
また、以上の説明では、探触子10の開口部15を被検者眼Eの第2の特性の測定に用いる構成としたが、これに限るものではなく、探触子10の開口部15を被検体の第2の特性の測定に用いる構成であれば適用可能である。
【0059】
上記の場合、装置には、非接触で被検体Sの第2の特性を正面方向から測定するための第2の測定ユニット100(例えば、光学測定ユニット、X線測定ユニット、超音波測定ユニット、音響測定ユニット)と、測定ユニット100による被検体Sの測定のための十分な大きさを持つ開口部15を有する探触子10(第1のユニット)と、が配置される(図6参照)。この場合、探触子10の開口部15を介して測定ユニット100によって被検体Sの第2の特性が測定される。なお、測定ユニット100の中心軸と、送受信部11の中心軸と、が略同軸に配置されるのが好ましい。
【0060】
すなわち、測定ユニット100は、被検体Sの第2の特性を測定するための測定波を出射及び/又は検出する。測定波としては、測定目的に応じて、電磁波(電波、光、X線、ガンマ線、等)、音波(超音波、音響エネルギー)、等が用いられる。
【0061】
以上のような構成とすれば、開口部を有する探触子を持つ第1の超音波測定システムと第2の測定システムとがお互いに分離され、各測定がそれぞれ最適化される。
【0062】
なお、本発明は、空気中において使用される構成に限るものではなく、気体中において使用される構成であれば、適用可能である。例えば、大気圧下での空気を含んだ気体中、若しくは任意の圧力下における任意の気体中(不活性な気体を含む)での使用が想定される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態に係る非接触式超音波測定装置である非接触式超音波眼圧計の測定系及び光学系の概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る探触子を正面から見たときの概略構成図である。
【図3】本実施形態に係る装置の制御系の概略ブロック図である。
【図4】本実施形態に係る送受信部の断面形状の変容例を示す図である。
【図5】眼圧測定系に加えて測定光学系が設けられた場合の具体例の測定系及び光学系の概略構成図である。
【図6】探触子の開口部を被検体の第2の特性の測定に用いる構成の例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
10 超音波探触子
11 送受信部
12 送信部
13 受信部
15 開口部
20 観察光学系
50 第2指標投影光学系
55 指標検出光学系
60 測定光学系
100 第2の測定ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体中を介して被検体に対して超音波ビームを送受信する超音波探触子を備え,前記探触子からの出力信号を処理して前記被検体の第1の特性を測定する第1のユニットを有する非接触式超音波測定装置であって、
非接触で前記被検体を正面方向から観察するための観察ユニットと、非接触で前記被検体の第2の特性を正面方向から測定するための測定ユニットと、の少なくとも何れかを備える第2のユニットを有し、
前記探触子は、その中心部に設けられた,前記第2ユニットによる前記被検体の観察又は測定のために十分な大きさを持つ開口部と、該開口部を囲むように配置された前記超音波ビームの送受信部と、を備えることを特徴とする非接触式超音波測定装置。
【請求項2】
請求項1の前記観察ユニット又は前記測定ユニットは、光学ユニットと、X線ユニットと、超音波ユニットと、音響ユニットと、の少なくとも何れかを含む、
ことを特徴とする非接触式超音波測定装置。
【請求項3】
請求項2の非接触式超音波測定装置において、
前記第1特性は、前記被検体の内圧である、
ことを特徴とする非接触式超音波測定装置。
【請求項4】
請求項3の非接触式超音波装置において、
前記被検体は、被検者眼であり、
前記第1特性は、前記被検者眼の第1の眼特性である眼圧であり、
前記観察ユニットは、前記被検者眼の前眼部を正面方向から観察するための観察光学系である、
ことを特徴とする非接触式超音波測定装置。
【請求項5】
請求項4の非接触式超音波測定装置において、
被検眼に対する作動距離方向のアライメント状態を検出するための作動距離検出ユニットを備え、
該作動距離検出ユニットは、作動距離方向のアライメント状態検出用の指標を前記被検者眼に向けて斜め方向から投影する投影光学系と,位置検出素子を有し前記投影光学系による角膜反射光を斜め方向から受光する受光光学系と,を有し、位置検出素子からの出力に基づいてアライメント状態を検出する作動距離検出ユニットと、
前記超音波探触子からの出力信号を処理してアライメント状態を検出する作動距離検出ユニットと、の何れかであることを特徴とする非接触式超音波測定装置。
【請求項6】
請求項4の非接触式超音波測定装置において、
前記測定ユニットは、前記被検者眼の第2の眼特性を測定するための測定光学系である、
ことを特徴とする非接触式超音波測定装置。
【請求項7】
請求項6の非接触式超音波測定装置において、
前記測定光学系は、被検者眼眼底に測定光を投光してその反射光を受光することによって眼屈折力を測定する眼屈折力測定光学系と、被検者眼の角膜に測定光を投光してその反射光を受光することによって角膜形状を測定する角膜形状測定光学系と、の少なくとも何れかを含む、
ことを特徴とする非接触式超音波測定装置。
【請求項8】
請求項7の非接触式超音波測定装置において、
前記観察光学系は、前記被検者眼の前に配置される対物レンズを有し、
該対物レンズは、前記開口部に配置されている、
ことを特徴とする非接触式超音波測定装置。
【請求項9】
請求項3の非接触式超音波測定装置において、
前記送受信部は、広帯域の周波数成分を持つ超音波ビームを送受信する空気結合型送受信部である、
ことを特徴とする非接触式超音波測定装置。
【請求項10】
請求項9の非接触式超音波測定装置において、
前記送受信部は、前記開口部より外側に略円環状に配置されている、
ことを特徴とする非接触式超音波測定装置。
【請求項11】
請求項10の非接触式超音波測定装置において、
前記送受信部は、その中心軸が前記第2ユニットの中心軸と略同軸になるように配置されている、
ことを特徴とする非接触式超音波測定装置。
【請求項12】
請求項11の非接触式超音波測定装置において、
前記送受信部の送信部と受信部とは、それぞれ異なる位置に同心円状に配置されている、
ことを特徴とする非接触式超音波測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−284223(P2010−284223A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138620(P2009−138620)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
【出願人】(509162481)マイクロアコースティック インスツルメンツ インク (1)
【上記1名の代理人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
【Fターム(参考)】