説明

非接触搬送装置

【課題】大型のFPD等であっても、その浮上高さを高精度に維持することが可能で、プロセス工程に使用して好適な非接触搬送装置を提供する。
【解決手段】流体噴出口を備え、該流体噴出口から流体を噴出することにより、表面側に表面から離れる方向へ向かう上昇旋回流を生じさせる複数の旋回流形成体2、3を基体4の搬送面に備えた非接触搬送装置12aであって、流体吸い込み用の複数の吸引孔5を基体4の搬送面に備えるとともに、吸引孔5と旋回流形成体2、3を基体4の幅方向X及び長手方向Yに沿って交互に配置し、基体4に、複数の旋回流形成体2、3と連通する平面視菱形格子状の供給溝8bと、複数の吸引孔5と連通する平面視菱形格子状の吸引溝8fとを設け、供給溝8b及び吸引溝8fを異なる高さに配置するとともに、平面視で互い違いとなるように配置した非接触搬送装置12a。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回流形成体及びこの旋回流形成体を用いた非接触搬送装置に関し、特に大型の液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)等のFPD(フラットパネルディスプレイ)や太陽電池パネル(ソーラーパネル)等の生産に用いられるレール状の非接触搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FPDや太陽電池パネル等の生産に際し、1枚のパネルを大型化することで生産効率を上げる方法が採用されている。例えば、液晶ガラスの場合には、第10世代で2850×3050×0.7mmの大きさとなる。そのため、従来のように、複数個並べられたローラの上に液晶ガラスを載せて転がり搬送すると、ローラを支持するシャフトの撓みやローラ高さのばらつきにより液晶ガラスに局部的に強い力が働き、液晶ガラスを傷つける虞がある。
【0003】
上記ローラによる転がり搬送装置は、該装置とパネルとが非接触であることが要求される、例えばFPDのプロセス工程では採用することができず、近年においては、空気浮上の搬送装置が採用され始めている。非接触搬送装置として、板状のレールの一部に多孔質材料を用い、給気経路と連通させて給気することで、噴出空気によりFPDを浮上搬送する装置が存在する。しかし、この装置を用いると、FPDが上下方向に動きながら浮遊するような状態となるため、搬送工程に用いることは可能であるが、例えば30〜50μmの高精度の浮上高さが要求されるプロセス工程には採用することができない。
【0004】
また、上記多孔質材料を用いた板状のレールに真空引き用の孔を設けると、装置の構成が複雑になり、装置自体が高額になるとともに、浮上高さを高精度に維持するために給気圧を高くすると、高剛性空気の圧縮性に係わる自励振動が発生し、浮上高さを高精度に保つことができないという問題があった。
【0005】
さらに、多孔質材料の代わりにオリフィス(小径の孔)を真空引き用の孔と交互に穿設した装置も存在するが、オリフィスからの強い噴出空気で静電気が発生したり、クリーンルームの環境を乱したり、消費流量が大きくなって運転コストが高騰するという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献1には、流体流量及びエネルギー消費量が少なく、浮上高さを高精度に維持できる非接触搬送装置として、流体噴出口から流体を噴出させることにより、リング状部材の表面側から離れる方向へ向かう旋回流を生じさせるとともに、リング状部材の表面側の開口部近傍に裏面方向への流体流れを生じさせる旋回流形成体を、基体の搬送面に2個以上備える非接触搬送装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2009/119377号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1に記載の非接触搬送装置を用いた場合でも、プロセス工程において大型のFPD等の浮上高さを高精度に維持することは容易ではなく、改善の余地があった。
【0009】
また、上記特許文献1に記載の非接触搬送装置では、基体の搬送面に形成した凹部に旋回流形成体を収容し、この旋回流形成体の外周面を凹部の周囲に突設した盛上部によってかしめ接合するため、基体への旋回流形成体の装着に長時間を要して非接触搬送装置の製造コストの上昇に繋がるとともに、旋回流形成体を基体にかしめ接合する際に、旋回流形成体の取付角度にばらつきを生じたり、旋回流形成体や基体(レール)に反りが発生したりして被搬送物の浮上高さの精度が低下する虞があった。
【0010】
そこで、本発明は、大型のFPD等であっても、その浮上高さを高精度に維持することが可能で、プロセス工程に使用して好適な非接触搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、流体噴出口を備え、該流体噴出口から流体を噴出することにより、表面側に該表面から離れる方向へ向かう上昇旋回流を生じさせる複数の旋回流形成体を基体の搬送面に備えた非接触搬送装置であって、流体吸い込み用の複数の吸引孔を前記基体の搬送面に備えるとともに、該吸引孔と前記旋回流形成体を該基体の幅方向及び長手方向に沿って交互に配置し、前記基体に、前記複数の旋回流形成体と連通する平面視菱形格子状の流体供給通路と、前記複数の吸引孔と連通する平面視菱形格子状の流体吸引通路とを設け、該流体供給通路及び流体吸引通路を異なる高さに配置するとともに、平面視で互い違いとなるように配置したことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、流体吸い込み用の吸引孔を備えるとともに、該吸引孔と旋回流形成体を基体の幅方向及び長手方向に沿って交互に配置するため、旋回流形成体が生じる上昇旋回流によって被搬送物を浮上させつつ、吸引孔によって周囲の微量の流体を真空吸引することができる。そして、上昇旋回流により被搬送物の浮上量を大きくする作用と、真空吸引により被搬送物の浮上量を小さくする作用との両作用を制御することで、被搬送物の浮上高さを高精度に維持するとともに、被搬送物の浮上状態を高剛性に維持することができ、プロセス工程等に好適に適用することができる。
【0013】
また、流体供給通路及び流体吸引通路を平面視菱形格子状に形成し、これらを異なる高さに配置するとともに、平面視で互い違いとなるように配置するため、流体供給通路と流体吸引通路の干渉を回避しつつ、夫々の通路を単一の連続路で構成することができる。これにより、流体通路の設計が容易となるのに加え、基体の製造コストを低減することが可能になる。
【0014】
上記非接触搬送装置において、前記流体供給通路及び流体吸引通路を、平面視において、一方の通路の交差部が他方の通路の格子内に位置するように配置することができる。
【0015】
上記非接触搬送装置において、前記基体が、前記複数の旋回流形成体を収容する複数の収容部と前記複数の吸引孔とが形成された上板と、前記流体供給通路及び流体吸引通路が形成された中板と、前記流体供給通路及び流体吸引通路に夫々連通する流体供給口及び真空吸引口が形成された下板とを備え、前記中板が、該中板の上面に前記流体供給通路として設けられ、前記上板の前記収容部と連通する供給溝と、該供給溝を前記下板の前記流体供給口と連結する第1の連通孔と、該中板の下面に前記流体吸引通路として設けられ、前記下板の前記真空吸引口と連通する吸引溝と、該吸引溝を前記上板の前記吸引孔に連結する第2の連通孔とを備えることができる。
【0016】
上記構成によれば、基体を多層化した上で、供給溝及び吸引溝を中板の上下面に設けるため、流体供給通路及び流体吸引通路の作製が容易となり、製造コストをより低減することが可能になる。
【0017】
上記非接触搬送装置において、前記基体が、前記複数の旋回流形成体を収容する複数の収容部と前記複数の吸引孔とが形成された上板と、前記流体供給通路及び流体吸引通路が形成された中板と、前記流体供給通路及び流体吸引通路に夫々連通する流体供給口及び真空吸引口が形成された下板とを備え、前記中板が、該中板の下面に前記流体供給通路として設けられ、前記下板の前記流体供給口と連通する供給溝と、該供給溝を前記上板の前記収容部と連結する第1の連通孔と、該中板の上面に前記流体吸引通路として設けられ、前記上板の前記吸引孔と連通する吸引溝と、該吸引溝を前記下板の前記真空吸引口に連結する第2の連通孔とを備えることができる。
【0018】
上記構成によれば、基体を多層化した上で、供給溝及び吸引溝を中板の上下面に設けるため、流体供給通路及び流体吸引通路の作製が容易となり、製造コストをより低減することが可能になる。
【0019】
上記非接触搬送装置において、前記第1の連通孔を、平面視において、前記吸引溝と重畳しない位置に配置し、前記第2の連通孔を、平面視において、前記供給溝と重畳しない位置に配置することができる。この構成によれば、第1及び第2の連通孔を中板の厚さ方向に直線的に形成することができるため、圧力分布を均一化することができ、また、第1及び第2の連通孔の穿設加工を容易化することが可能になる。
【0020】
上記非接触搬送装置において、一方の向きの旋回流を発生させる第1の旋回流形成体と前記吸引孔とを前記基体の幅方向に沿って交互に配置した第1の列と、他方の向きの旋回流を発生させる第2の旋回流形成体と前記吸引孔とを該基体の幅方向に沿って交互に配置した第2の列とを、該基体の長手方向に沿って交互に配置されるとともに、相隣り合う前記第1の旋回流形成体同士の間、及び、相隣り合う前記第2の旋回流形成体同士の間に前記吸引孔が位置するように配列することができる。
【0021】
上記非接触搬送装置において、一方の向きの旋回流を発生させる第1の旋回流形成体と他方の向きの旋回流を発生させる第2の旋回流形成体とを、前記基体の幅方向及び長手方向に沿って交互に配置するとともに、相隣り合う前記第1の旋回流形成体と前記第2の旋回流形成体との間に前記吸引孔を配置することができる。
【0022】
上記非接触搬送装置において、前記旋回流形成体が、椀状の本体と、該本体の内部に形成され、前記表面側に開口する平面視円形の穴部と、該穴部の開口部側の外周縁に形成された環状鍔部と、該環状鍔部の外周面から下方に向かって突出し、先端に係止突起を有する複数の突出部と、該穴部の円筒状内壁面に形成され、該穴部の中心を挟んで相対向する位置に設けられた凹部と、該凹部に形成され、該穴部を形成する内表面に開口する流体噴出口と、該流体噴出口に連通し、前記本体の外周面に開口する流体取入口とを備えることができる。
【0023】
上記構成によれば、旋回流形成体を基体の収容部に収容し、流体取入口から流体を取り入れることで、簡単に非接触搬送装置を構成することができ、製造コストを低く抑えることができる。
【0024】
上記非接触搬送装置において、前記基体が、前記表面側に開口する平面視円形の収容部を備えるとともに、該収容部が、該収容部の上部に形成され、前記旋回流形成体の環状鍔部の外径に対応する内径を有する小径孔と、該収容部の下部に形成され、該小径孔よりも大径の円筒係止凹部とを備え、前記旋回流形成体が、前記環状鍔部が前記基体の収容部の小径孔に圧入嵌合されるとともに、前記突出部の係止突起が該基体の円筒係止凹部に係止されることにより、該基体の収容部に装着されるように構成することができる。
【0025】
上記構成によれば、旋回流形成体を基体にワンタッチで装着することができ、旋回流形成体の取り付けが容易となるため、製造コストを低減することができる。また、旋回流形成体を基体に装着するに際し、従来のようなかしめ接合を用いないため、旋回流形成体の取付角度にばらつきを生じたり、旋回流形成体及び基体に反りが生じることがなく、被搬送物の浮上高さの精度を高く維持することができる。さらに、旋回流形成体の環状鍔部を基体の収容部の小径孔に圧入嵌合するため、環状鍔部と小径孔の間の流体漏れを生じさせることなく、旋回流形成体を基体に装着することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、旋回流形成体の浮上位置と吸引孔の真空吸着位置とを規則正しく交互に配列することで、旋回流形成体による浮上(押)と吸引孔による吸着(引)が均一化され、大型のFPD等であっても、浮上高さを高精度で維持するとともに、浮上状態を高剛性に維持することが可能で、プロセス工程に好ましく適用することができる非接触搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明にかかる非接触搬送装置の一実施の形態を示す図であって、搬送工程及びプロセス工程からなる全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のプロセス工程用の非接触搬送装置を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図3】本発明の非接触搬送装置に使用される平面視右回り方向(時計回り方向)の旋回流を発生させる旋回流形成体を示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は(b)のB−B線断面図、(e)は(c)のD部の拡大断面図、(f)は(d)のE部の拡大断面図である。
【図4】本発明の非接触搬送装置に使用される平面視左回り方向(反時計回り方向)の旋回流を発生させる旋回流形成体を示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は(c)のG−G線断面図、(e)は(c)のH部の拡大断面図、(f)は(d)のJ部の拡大断面図である。
【図5】図2(b)の上板を示す図であって、(a)は旋回流形成体を装着していない状態の上板の断面図、(b)は旋回流形成体を装着した状態の上板の断面図である。
【図6】図2(b)の中板を示す図であって、(a)は図7のK−K線断面図、(b)は図8のL−L線断面図である。
【図7】図2(b)の中板の上面図である。
【図8】図2(b)の中板の下面図である。
【図9】図1の搬送工程用の非接触搬送装置を示す平面図である。
【図10】図9の搬送工程用の非接触搬送装置を示す図であって、(a)は旋回流形成体を装着していない状態の拡大平面図、(b)は(a)のN−N線断面図(図9のM−M線断面図)である。
【図11】搬送工程用の非接触搬送装置の他の構成例を示す図であって、(a)は旋回流形成体を装着していない状態の拡大平面図、(b)は(a)のP−P線断面図である。
【図12】ガラスの浮上搬送を示す図であって、(a)は搬送工程でのガラスの浮上搬送、(b)はプロセス工程でのガラスの浮上搬送を示す図である。
【図13】プロセス工程用の非接触搬送装置の他の実施の形態を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のQ−Q線断面図である。
【図14】図13(b)の中板の上面図である。
【図15】図13(b)の中板の下面図である。
【図16】図14のR−R線断面図である。
【図17】本発明にかかる搬送工程を含めた非接触搬送装置全体の他の実施の形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明においては、搬送用流体として空気を用い、被搬送物として液晶ガラス(以下、「ガラス」という)を搬送する場合を例にとって説明する。
【0029】
非接触搬送装置10は、図1に示すように、ガラスGを非接触で搬送するために使用され、2つの搬送工程11、13用の非接触搬送装置11a、13aと、これら搬送工程11、13に挟まれたプロセス工程12用の非接触搬送装置12aとから構成される。
【0030】
プロセス工程12の非接触搬送装置12aは、図2(a)に示すように、平面視右回り方向の上昇旋回流を発生させる旋回流形成体2と、微量の空気を吸い込む真空吸引用の直径1〜2mm程度の吸引孔5とを基体4の幅方向Xに沿って交互に配置した第1の列4aと、平面視左回り方向の上昇旋回流を発生させる旋回流形成体3と、微量の空気を吸い込む真空吸引用の直径1〜2mm程度の吸引孔5とを基体4の幅方向Xに沿って交互に配置した第2の列4bとを備える。尚、図を見易くするため、平面視左回り方向の旋回流を発生させる旋回流形成体3を黒塗りで示している。
【0031】
これら第1及び第2の列4a、4bは、右回り方向の上昇旋回流を発生させる旋回流形成体2と、左回り方向の上昇旋回流を発生させる旋回流形成体3とが互い違いに位置するように、基体4の長手方向Yに沿って交互に配置される。この際、吸引孔5は、基体4の幅方向X及び長手方向Yに隣り合う旋回流形成体2、2同士(同一方向の上昇旋回流を発生させる旋回流形成体同士)の間、及び、旋回流形成体3、3同士の間に位置する。
【0032】
右回り方向の上昇旋回流を発生させる旋回流形成体2は、図3(a)乃至図3(f)に示すように、例えばポリアセタール樹脂等の熱可塑性合成樹脂で一体に形成された椀状の本体2aと、本体2aの内部に位置するとともに一方に開口する平面視円形の穴部2bと、本体2aに形成され、該穴部2bの開口部の外周縁に一体に形成された環状鍔部2cと、該環状鍔部2cの外周面2dから下方に向かって突出し、先端に係止突起2eを有して径方向に相対向して形成された4本の突出部2fと、本体2aの穴部2bの円筒状内壁面2gに該円筒状内壁面2gの接線方向であって該穴部2bの中心Oを挟んで対角線上の相対向する位置に形成された凹部2h、2hと、夫々の凹部2hに形成され、穴部2bの円筒状内壁面2g側に向かって夫々反対方向に開口する空気の噴出口2i、2iと、噴出口2i、2iに連通し、本体2aの外周面に開口する空気取入口2j、2jとを備える。
【0033】
上記旋回流形成体2は、空気取入口2j、2jを介して夫々噴出口2i、2iから噴出した空気が本体2aの穴部2bの円筒状内壁面2gに当接することにより、平面視右回り方向(図3(b)中の矢印C方向)の上昇旋回流を発生する。
【0034】
また、平面視左回り方向の上昇旋回流を発生させる旋回流形成体3は、図4(a)乃至図4(f)に示すように、前記旋回流形成体2と同様、例えばポリアセタール樹脂等の熱可塑性合成樹脂から一体に形成された椀状の本体3aと、該本体3aの内部に位置するとともに一方に開口する平面視円形の穴部3bと、本体3aに形成され、該穴部3bの開口部の外周縁に一体に形成された環状鍔部3cと、該環状鍔部3cの外周面3dから下方に向かって突出し、先端に係止突起3eを有して径方向に相対向して形成された4本の突出部3fと、本体3aの穴部3bの円筒状内壁面3gに該円筒状内壁面3gの接線方向であって該穴部3bの中心Oを挟んで対角線上の相対向する位置に形成された凹部3h、3hと、夫々の凹部3hに形成され、該穴部3bの円筒状内壁面3g側に向かって夫々反対方向に開口する空気の噴出口3i、3iと、噴出口3i、3iに連通し、本体3aの外周面に開口する空気取入口3j、3jとを備える。
【0035】
上記旋回流形成体3は、空気取入口3j、3jを介して夫々噴出口3i、3iから噴出した空気が本体3aの穴部3bの円筒状内壁面3gに当接することにより、平面視左回り方向(図4(b)中の矢印F方向)の上昇旋回流を発生する。
【0036】
図2に戻り、非接触搬送装置12aの基体4は、図2(b)に示すように、上板7、中板8及び下板9からなる三層構造を有する。
【0037】
上板7には、図5(a)に示すように、上板7を貫通し、旋回流形成体2、3が収容される平面視円形の複数の収容部(孔部)7bと、上板7を貫通する複数の吸引孔5とが形成される。収容部7bは、収容部7bの上部に形成され、旋回流形成体2、3の環状鍔部2c、3c(図3(b)及び図4(b)参照)の外径と同径、又は環状鍔部2c、3cの外径よりも僅かに小さい内径を有する小径孔7cと、収容部7bの下部に形成され、小径孔7cよりも大径の円柱状係止孔7dとから構成される。
【0038】
尚、旋回流形成体2の装着は、図5(b)に示すように、上板7の搬送面7a側から旋回流形成体2を収容部7bに挿入し、旋回流形成体2の係止突起2eを上板7の円柱状係止孔7dに係止することで行う。このとき、旋回流形成体2の本体2aの環状鍔部2cが、上板7の収容部7bの小径孔7cに圧入嵌合されているので、旋回流形成体2と収容部7bの間から空気が漏れることはない。尚、旋回流形成体3の装着も、上記と同様の方法で行う。
【0039】
中板8は、図6(a)に示すように、中板8の上面8aに形成された横断面半円形の供給溝8bと、中板8の下面8cに形成された横断面半円形の吸引溝8fとを備える。
【0040】
供給溝8bは、図7に示すように、旋回流形成体2、3の配置(図2(a)参照)に合わせ、平面視菱形格子状に形成される。供給溝8bの底部には、図6(b)に示すように、中板8の下面8cに開口する第1の連通孔8dが連結され、この第1の連通孔8dは、図8に示すように、中板8の全体を通して1つのみが設けられる。供給溝8bは、図2(b)に示すように、上板7、中板8及び下板9を積層させた際に、上板7の収容部7bの夫々と連通する。
【0041】
一方、吸引溝8fは、図8に示すように、吸引孔5の配置(図2(a)参照)に合わせ、平面視菱形格子状に形成される。尚、図8においては、吸引溝8fと供給溝8bの位置関係を分かり易くするため、実線で吸引溝8fを図示し、破線で供給溝8bを図示している。
【0042】
吸引溝8fの上部には、図6(a)に示すように、上板7の吸引孔5(図5(a)参照)と同径を有し、中板8の上面8aに開口する複数の第2の連通孔8eが連結される。これら第2の連通孔8eは、図2(b)に示すように、上板7、中板8及び下板9を積層させた際に、上板7の吸引孔5の夫々と連通する。尚、図8においては、吸引溝8fの第2の連通孔8eと、供給溝8bの第1の連通孔8dとの位置関係を分かり易くするため、前者を黒塗りで図示している。
【0043】
これら供給溝8b及び吸引溝8fは、図8に示すように、平面視で互い違いとなるように配置され、一方の溝の交差部が他方の溝の格子内に位置するように形成される(供給溝8bの交差部8gと吸引溝8fの格子8iとの関係、及び、吸引溝8fの交差部8hと供給溝8bの格子8jとの関係を参照)。そして、吸引溝8fに繋がる複数の第2の連通孔8eは、吸引溝8fの交差部8h及び角部8kに連結され、供給溝8bと重畳しない位置に配置される。また、供給溝8bに繋がる第1の連通孔8dも、供給溝8bの交差部8gに連結され、吸引溝8fと重畳しない位置に配置される。
【0044】
下板9には、図2(b)に示すように、下板9の上面に開口し、中板8の第1の連通孔8d(供給溝8bと連通する連通孔)と連通する空気給気口9aと、下板9の上面に開口し、中板8の吸引溝8fと連通する真空吸引口9bとが形成される。
【0045】
そして、図2(b)に示すように、上板7に形成された収容部7bを中板8の上面8aの供給溝8bに連通させ、吸引孔5を中板8の上面8aに開口する第2の連通孔8eに連通させて、上板7を中板8の上面8aに位置せしめ、中板8の下面8cに開口する第1の連通孔8dに下板9の空気給気口9aを結合させるとともに、中板8の下面8cの吸引溝8fに真空吸引口9bを結合させて、中板8を下板9の上面に位置させることにより、基体4が形成される。基体4は、上板7、中板8及び下板9をボルト等の固定手段により締結することにより形成される。
【0046】
このように、基体4において、供給溝8b及び吸引溝8fを平面視菱形格子状に形成し、これら供給溝8b及び吸引溝8fを異なる高さに配置するとともに、平面視で互い違いとなるように配置するため、供給溝8b及び吸引溝8fを複雑に引き回さずとも、供給溝8bと吸引溝8fの干渉を回避しつつ、夫々の溝8b、8fを単一の連続路で構成することができ、流体通路の設計が容易となる。また、供給溝8b及び吸引溝8fを連続路で構成し得ることから、供給溝8bと空気給気口9aの連結、及び吸引溝8fと真空吸引口9bの連結が、夫々一箇所で足りるようになり、基体4の製造コストを低減することが可能になる。
【0047】
また、基体4を三層構造とし、供給溝8b及び吸引溝8fを中板8の上下面8a、8cに設けるため、供給溝8b及び吸引溝8fの作製が容易となり、製造コストをより低減することが可能になる。
【0048】
さらに、供給溝8bを空気給気口9aに連結する第1の連通孔8dを、吸引溝8fと重畳しない位置に配置するとともに、吸引溝8fを吸引孔5に連結する第2の連通孔8eを、供給溝8bと重畳しない位置に配置するため、第1及び第2の連通孔8d、8eを中板8の厚さ方向に直線的に形成することができる。これにより、圧力分布を均一化し得るとともに、第1及び第2の連通孔8d、8eの穿設加工を容易化することが可能になる。
【0049】
図1に戻り、2つの搬送工程11、13における非接触搬送装置11a、13aは、平面視右回り方向の上昇旋回流を発生させる旋回流形成体2と、平面視左回り方向の上昇旋回流を発生させる旋回流形成体3とを、基体15に2列にわたって図1の紙面上で上下方向に交互に配置して構成される。図1の搬送工程11、13では、非接触搬送装置11a、13aを並列に3基配置している。
【0050】
非接触搬送装置11a、13aの基体15には、図10(a)及び(b)に示すように、搬送面15aに穿設され、上面に開口する平面視円形の収容部(孔部)15bと、基体15の長手方向に沿って形成され、供給ポンプ(不図示)から空気が供給される空気通路15fと、該空気通路15fからの空気を収容部15bに供給する貫通孔15gとが設けられる。この基体15は、プロセス工程12の非接触搬送装置12aの基体4と異なり、単層構造を有する。
【0051】
収容部15bは、収容部15bの上部に形成され、旋回流形成体2、3の環状鍔部2c、3cの外径と同径の小径孔15hと、収容部15bの下部に形成され、小径孔15hよりも大径の円柱状係止凹部15iとから構成される。尚、旋回流形成体2、3の装着方法は、プロセス工程12の非接触搬送装置12aの場合と同様である。
【0052】
図11(a)及び(b)は、基体15の他の構成例を示すもので、この基体16は、搬送面16aに穿設され、上面に開口する平面視円形の収容部16bと、基体16の長手方向に沿って形成され、一部が収容部16bに開口する空気通路16fとを備えている。この基体16では、前記図10(a)及び(b)に示した基体15における空気通路15fから収容部15bに空気を供給する貫通孔15gが不要となる。
【0053】
次に、上記構成を有する非接触搬送装置10の動作について、図1乃至図12を参照しながら説明する。
【0054】
ガラスGを搬送するにあたっては、図1に示す搬送工程11、13の非接触搬送装置11a、13aにおいて、供給ポンプから空気通路15f(図10参照)に空気を供給し、また、プロセス工程12の非接触搬送装置12aにおいて、供給ポンプから空気給気口9a(図2(b)参照)に空気を供給しつつ、真空ポンプによって真空吸引口9b(図2(b)参照)から空気を吸引する。
【0055】
搬送工程11の非接触搬送装置11aでは、図12(a)に示すように、供給ポンプから基体15の空気通路15fに供給された空気が、該空気通路15fに連通する貫通孔15gを介して収容部15bに供給される。そして、収容部15bに供給された空気は、旋回流形成体2、3の空気取入口2j、3j(図3(e)、図4(e)参照)に進入し、噴出口2i、3iを通じて穴部2b、3b内に噴出する。噴出した空気は、穴部2b、3bの円筒状内壁面2g、3gに当接し、平面視右回り方向、平面視左回り方向の上昇旋回流を穴部2b、3bの上方に発生させる。
【0056】
搬送工程11に持ち込まれたガラスGは、旋回流形成体2、3が発生する上昇旋回流によって浮上するとともに、別途設けた空気噴出装置(不図示)等により推進力が付与され、プロセス工程12に向けて搬送される。
【0057】
プロセス工程12の非接触搬送装置12aでは、図12(b)に示すように、供給ポンプから基体4の空気給気口9aに供給された空気が、空気給気口9aに連通する第1の連通孔8dを介して、基体4の中板8に形成された供給溝8bに進入する。供給溝8bを流れる空気は、基体4の上板7に形成された収容部7bに進入し、旋回流形成体2、3の空気取入口2j、3j(図3(e)、図4(e)参照)を介して噴出口2i、3iから噴出する。
【0058】
これにより、搬送工程11の場合と同様、旋回流形成体2、3の穴部2b、3bの上方に平面視右回り方向、平面視左回り方向の上昇旋回流が発生する。この際、旋回流形成体2、3に供給する供給溝8bは、図8に示すように、単一の連続路によって構成されているので、噴出口2i、3iからの空気の噴出量が旋回流形成体2、3毎にばらつくのを抑制することができ、ガラスGの浮上高さを均一に制御することができる。
【0059】
これと併行して、真空ポンプによって基体4の真空吸引口9bから空気を吸引し、基体4の中板8に形成された吸引溝8f及び第2の連通孔8eを通じて、吸引孔5の上方空間の空気を吸引する。この際、吸引孔5から空気を吸引する吸引溝8fは、図8に示すように、単一の連続路によって構成されているので、吸引孔5からの空気の吸引量が吸引孔5毎にばらつくのを抑制することができ、ガラスGの引き付け圧を均一に制御することができる。
【0060】
そして、プロセス工程12に進入したガラスGは、旋回流形成体2、3に発生する上昇旋回流によって浮上するとともに、各旋回流形成体間に位置せしめられた吸引孔5で周囲の微量の空気を真空吸引することで、30〜50μmの浮上高さに高精度に制御される。プロセス工程12では、ガラスGに対する各種検査や加工が行われる。
【0061】
ここで、プロセス工程12において、旋回流形成体の穴部の直径φ16mm、噴出口径0.35mm、給気圧50kPa、真空吸引圧10kPaとした状態で、被搬送物として0.7mmの厚さのガラスGを用いた場合に、ガラスGのうねりの振幅を30μm以下に抑えることができたという実験結果を得ている。
【0062】
このように、プロセス工程12の非接触搬送装置12aにおいては、旋回流形成体2、3の噴出口2i、3i(図3(e)、図4(e)参照)への給気圧により浮上量を大きくする作用と、吸引孔5からの真空吸引圧により浮上量を小さくする作用との両作用を制御することで、ガラスGの浮上高さを高精度に維持するとともに、ガラスGの浮上状態を高剛性に維持することができる。
【0063】
検査や加工が終了したガラスGは、搬送工程13に搬送され、その後、搬送工程11の場合と同様、浮上した状態で次工程へと移送される。
【0064】
図13乃至図16は、プロセス工程12の非接触搬送装置の他の実施の形態を示すものである。
【0065】
非接触搬送装置17では、図13(a)に示すように、基体4の幅方向X及び長手方向Yの双方において、平面視右回り方向の旋回流を発生させる旋回流形成体2と、平面視左回り方向の旋回流を発生させる旋回流形成体3とが交互に配置され、旋回流形成体2及び旋回流形成体3の間に吸引孔5が配置される(図13(a)のS部参照)。尚、図を見易くするため、平面視左回り方向の旋回流を発生させる旋回流形成体3を黒塗りで示している。
【0066】
上記非接触搬送装置17の基体18は、図13(b)に示すように、前記図5乃至図8で説明した基体4と同様、上板7、中板8及び下板9からなる三層構造を有する。図14乃至図16に示すように、中板8の上面8aには、旋回流形成体2、3の配置(図13(a)参照)に合わせ、平面視菱形格子状に供給溝8bが設けられ、また、中板8の下面8cには、吸引孔5の配置(図13(a)参照)に合わせ、平面視菱形格子状に形成された吸引溝8fが設けられる。
【0067】
この態様の非接触搬送装置17であっても、旋回流形成体2、3への空気給気圧によりガラスGの浮上量を大きくする作用と、吸引孔5からの真空吸引圧によりガラスGの浮上量を小さくする作用との両作用を制御することにより、ガラスGの浮上高さを30〜50μmの微小高さに高精度で制御することができる。
【0068】
また、基体18の中板8は、前記図6乃至図8で説明した基体4の中板8と同様の構成となるため、供給溝8bと吸引溝8fの干渉を回避しつつ、夫々の溝8b、8fを単一の連続路で構成することができ、流体通路の設計が容易となったり、製造コストの低減を図ることが可能になる。
【0069】
図17は、図1に示した非接触搬送装置10のプロセス工程12の他の実施の形態を示すもので、このプロセス工程12では、並列に3基配列した非接触搬送装置12aに該非接触搬送装置12aと隣接してもう3基の非接触搬送装置12aを配列したものである。この非接触搬送装置12aを2列配列したプロセス工程12においては、非接触搬送装置12aと12aの間で、例えばカメラ透過チェック等の作業が行われる。
【0070】
尚、上記実施の形態では、図6乃至図8に示すように、プロセス工程12の非接触搬送装置12aの基体4において、中板8の上面8aに供給溝8bを形成し、中板8の下面8cに吸引溝8fを形成するが、中板8の上面8aに吸引溝8fを形成し、中板8の下面8cに供給溝8bを形成するようにしてもよい。この場合、供給溝8bは、下板9の空気給気口9aに連通(当接)するため、第1の連通孔8dは、供給溝8bを上板7の収容部7bに連結するように形成される。一方、吸引溝8fは、上板7の吸引孔5に連通(当接)するため、第2の連通孔8eは、吸引溝8fを下板9の真空吸引口9bに連結するように形成される。
【0071】
また、図3及び図4に示すように、旋回流形成体2、3の本体2a、3aの環状鍔部2c、3cの外周面2d、3dに係止突起2e、3eを有する突出部2f、3fを径方向に相対向して4本延設したが、突出部2f、3fの本数は4本に限定されず、3本又は5本以上とすることができる。さらに、旋回流形成体2、3を基体4、15に装着するにあたって、係止突起2e、3eを有する突出部2f、3fを用いずに、他の係止構造を採用することもできる。
【0072】
また、上記各実施形態においては、流体として空気を用いる場合について説明したが、空気以外の窒素等のプロセスガスを使用することもできる。
【符号の説明】
【0073】
2、3 旋回流形成体
2a、3a 本体
2b、3b 穴部
2c、3c 環状鍔部
2d、3d 環状鍔部の外周面
2e、3e 係止突起
2f、3f 突出部
2g、3g 円筒状内壁面
2h、3h 凹部
2i、3i 噴出口
2j、3j 空気取入口
4 基体
4a 第1の列
4b 第2の列
5 吸引孔
7 上板
7a 搬送面(上面)
7b 収容部
7c 小径孔
7d 円柱状係止孔
8 中板
8a 上面
8b 供給溝
8c 下面
8d 第1の連通孔
8e 第2の連通孔
8f 吸引溝
8g、8h 交差部
8i、8j 格子
8k 角部
9 下板
9a 空気給気口
9b 真空吸引口
10 非接触搬送装置
11、13 搬送工程
12 プロセス工程
11a、12a、13a、17 非接触搬送装置
15、16 基体
15a、16a 搬送面(上面)
15b、16b 収容部
15f、16f 空気通路
15g 貫通孔
15h 小径孔
15i 円柱状係止凹部
18 基体
G ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体噴出口を備え、該流体噴出口から流体を噴出することにより、表面側に該表面から離れる方向へ向かう上昇旋回流を生じさせる複数の旋回流形成体を基体の搬送面に備えた非接触搬送装置であって、
流体吸い込み用の複数の吸引孔を前記基体の搬送面に備えるとともに、該吸引孔と前記旋回流形成体を該基体の幅方向及び長手方向に沿って交互に配置し、
前記基体に、前記複数の旋回流形成体と連通する平面視菱形格子状の流体供給通路と、前記複数の吸引孔と連通する平面視菱形格子状の流体吸引通路とを設け、該流体供給通路及び流体吸引通路を異なる高さに配置するとともに、平面視で互い違いとなるように配置したことを特徴とする非接触搬送装置。
【請求項2】
前記流体供給通路及び流体吸引通路は、平面視において、一方の通路の交差部が他方の通路の格子内に位置するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の非接触搬送装置。
【請求項3】
前記基体は、前記複数の旋回流形成体を収容する複数の収容部と前記複数の吸引孔とが形成された上板と、前記流体供給通路及び流体吸引通路が形成された中板と、前記流体供給通路及び流体吸引通路に夫々連通する流体供給口及び真空吸引口が形成された下板とを備え、
前記中板は、該中板の上面に前記流体供給通路として設けられ、前記上板の前記収容部と連通する供給溝と、該供給溝を前記下板の前記流体供給口と連結する第1の連通孔と、該中板の下面に前記流体吸引通路として設けられ、前記下板の前記真空吸引口と連通する吸引溝と、該吸引溝を前記上板の前記吸引孔に連結する第2の連通孔とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の非接触搬送装置。
【請求項4】
前記基体は、前記複数の旋回流形成体を収容する複数の収容部と前記複数の吸引孔とが形成された上板と、前記流体供給通路及び流体吸引通路が形成された中板と、前記流体供給通路及び流体吸引通路に夫々連通する流体供給口及び真空吸引口が形成された下板とを備え、
前記中板は、該中板の下面に前記流体供給通路として設けられ、前記下板の前記流体供給口と連通する供給溝と、該供給溝を前記上板の前記収容部と連結する第1の連通孔と、該中板の上面に前記流体吸引通路として設けられ、前記上板の前記吸引孔と連通する吸引溝と、該吸引溝を前記下板の前記真空吸引口に連結する第2の連通孔とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の非接触搬送装置。
【請求項5】
前記第1の連通孔が、平面視において、前記吸引溝と重畳しない位置に配置され、前記第2の連通孔が、平面視において、前記供給溝と重畳しない位置に配置されることを特徴とする請求項3又は4に記載の非接触搬送装置。
【請求項6】
一方の向きの旋回流を発生させる第1の旋回流形成体と前記吸引孔とを前記基体の幅方向に沿って交互に配置した第1の列と、他方の向きの旋回流を発生させる第2の旋回流形成体と前記吸引孔とを該基体の幅方向に沿って交互に配置した第2の列とが、該基体の長手方向に沿って交互に配置されるとともに、相隣り合う前記第1の旋回流形成体同士の間、及び、相隣り合う前記第2の旋回流形成体同士の間に前記吸引孔が位置するように配列されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の非接触搬送装置。
【請求項7】
一方の向きの旋回流を発生させる第1の旋回流形成体と他方の向きの旋回流を発生させる第2の旋回流形成体とが、前記基体の幅方向及び長手方向に沿って交互に配置されるとともに、相隣り合う前記第1の旋回流形成体と前記第2の旋回流形成体との間に前記吸引孔が配置されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の非接触搬送装置。
【請求項8】
前記旋回流形成体は、椀状の本体と、該本体の内部に形成され、前記表面側に開口する平面視円形の穴部と、該穴部の開口部側の外周縁に形成された環状鍔部と、該環状鍔部の外周面から下方に向かって突出し、先端に係止突起を有する複数の突出部と、該穴部の円筒状内壁面に形成され、該穴部の中心を挟んで相対向する位置に設けられた凹部と、該凹部に形成され、該穴部を形成する内表面に開口する流体噴出口と、該流体噴出口に連通し、前記本体の外周面に開口する流体取入口とを備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の非接触搬送装置。
【請求項9】
前記基体は、前記表面側に開口する平面視円形の収容部を備えるとともに、該収容部が、該収容部の上部に形成され、前記旋回流形成体の環状鍔部の外径に対応する内径を有する小径孔と、該収容部の下部に形成され、該小径孔よりも大径の円筒係止凹部とを備え、
前記旋回流形成体は、前記環状鍔部が前記基体の収容部の小径孔に圧入嵌合されるとともに、前記突出部の係止突起が該基体の円筒係止凹部に係止されることにより、該基体の収容部に装着されることを特徴とする請求項8に記載の非接触搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−235999(P2011−235999A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108088(P2010−108088)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】