説明

非接触携帯可搬形記録媒体発行装置、非接触携帯可搬形記録媒体発行方法および非接触携帯可搬形記録媒体

【課題】非接触携帯可搬形記録媒体を梱包された状態で発行でき、製品の共通化と発行の効率化を図ることができる非接触携帯可搬形記録媒体発行装置、非接触携帯可搬形記録媒体発行方法および非接触携帯可搬形記録媒体を提供する。
【解決手段】梱包材により梱包された未発行状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し梱包材の外部から非接触通信を行なうことにより、当該梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報および当該非接触携帯可搬形記録媒体を固有化する固有化情報を書込む書込手段と、前記梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体の表面に対し梱包材の外部から当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報を印刷する印刷手段とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、非接触携帯可搬形記録媒体発行装置、非接触携帯可搬形記録媒体発行方法および非接触携帯可搬形記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカードやSD(Secur Digital)メモリカード等の携帯可搬形記録媒体を発行する場合、携帯可搬形記録媒体が目視できる形で発行(情報の書込みや印刷)を実施し、固有化処理を行なう。その後、携帯可搬形記録媒体を固定する台紙などにも固有化情報を印刷し、同梱包に入れて、輸送業者へ引き渡し、利用者へ輸送する方式が取られている。
【0003】
このように、従来は、固有化の発行を実施してからでないと、携帯可搬形記録媒体の梱包作業ができず、発行の効率も悪いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−222688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、非接触携帯可搬形記録媒体を梱包された状態で発行でき、製品の共通化と発行の効率化を図ることができる非接触携帯可搬形記録媒体発行装置、非接触携帯可搬形記録媒体発行方法および非接触携帯可搬形記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る非接触携帯可搬形記録媒体発行装置は、梱包材により梱包された未発行状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し梱包材の外部から非接触通信を行なうことにより、当該梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報および当該非接触携帯可搬形記録媒体を固有化する固有化情報を書込む書込手段と、前記梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体の表面に対し梱包材の外部から当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報を印刷する印刷手段とを具備している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態に係る非接触携帯可搬形記録媒体発行方法を説明する流れ図。
【図2】実施形態に係る非接触携帯可搬形記録媒体発行方法を説明するフローチャート。
【図3】実施形態に係る非接触携帯可搬形記録媒体発行方法の他の例を説明する流れ図。
【図4】実施形態に係る非接触携帯可搬形記録媒体発行方法の他の例を説明するフローチャート。
【図5】実施形態に係る梱包された非接触携帯可搬形記録媒体を1つずつ発行処理する非接触携帯可搬形記録媒体発行装置の構成を説明する模式図。
【図6】図5の非接触携帯可搬形記録媒体発行装置の動作を説明するフローチャート。
【図7】実施形態に係る印刷情報の具体的な印刷例を説明する模式図。
【図8】実施形態に係る印刷情報の具体的な他の印刷例を説明する模式図。
【図9】実施形態に係る梱包された非接触携帯可搬形記録媒体を複数同時に発行処理する非接触携帯可搬形記録媒体発行装置の構成を説明する模式図。
【図10】図9の非接触携帯可搬形記録媒体発行装置の動作を説明するフローチャート。
【図11】実施形態に係るライフサイクル情報を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る非接触携帯可搬形記録媒体発行方法について図1および図2を参照して説明する。
【0009】
まず、たとえば、作業コストが安い国を梱包作業国Aとし、この梱包作業国Aにおいて、梱包された非接触携帯可搬形記録媒体を大量に製造する。すなわち、梱包装置により、未発行状態の非接触携帯可搬形記録媒体1を台紙2に固定した状態で封筒(梱包材)3に入れ、封をする(ステップS1)。この時点では、その製品を悪用されても情報が書込まれていないため、不正を実施することができない。
【0010】
ここに、非接触携帯可搬形記録媒体1は、たとえば、クレジットカードなどとして使用される非接触ICカード(無線カード)や、各種コンテンツ(映画、音楽など)が書込まれる非接触SDカードなどが考えられるが、以下の説明では、クレジットカードなどとして使用される非接触ICカードに適用した場合について説明する。
【0011】
なお、非接触携帯可搬形記録媒体1に各フェーズで利用するライフサイクル情報をあらかじめ記録しておくことにより、各フェーズでの利便性とトレーサビリティを確保することができる。
【0012】
次に、大量に製造された梱包済みの非接触携帯可搬形記録媒体1を例えば発行国B,Cへ輸送し納入する(ステップS2)。
【0013】
発行国B,Cでは、発行申請情報を基に発行を実施し、利用者へ発送する。すなわち、非接触携帯可搬形記録媒体発行装置4により、梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体1に対し封筒3の外部から非接触通信を行なうことにより、当該梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体1に対し各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報および当該非接触携帯可搬形記録媒体を固有化する固有化情報を書込むとともに、当該梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体1の表面に対し封筒3の外部から当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報を印刷する(ステップS3)。
【0014】
ここに、各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報とは、たとえば、当該非接触携帯可搬形記録媒体のアプリケーションのバージョン情報、発行情報(発行日、発行場所等)などであり、非接触携帯可搬形記録媒体を固有化する固有化情報とは、たとえば、当該非接触携帯可搬形記録媒体の所有者(利用者)の個人情報(名前、住所等)、認証情報などであり、非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報とは、たとえば、当該非接触携帯可搬形記録媒体の所有者(利用者)の個人情報(名前、住所等)などである。
【0015】
次に、封筒3の表面に当該非接触携帯可搬形記録媒体1を利用する利用者への郵送情報を印刷した宛先ラベルを貼り付け、利用者へ送付する(ステップS4)。
【0016】
なお、上記説明では、国を例として記述しているが、同国内での仕組みとしても考えられる。
【0017】
また、上記説明では、各国で発行業務を実施する方法だが、発行国B,Cからの発行情報を基に梱包作業国Aにて一次的発行業務を実施し、発行国B,Cで固有化情報を書込んでもよく、以下、図3および図4を参照して説明する。
【0018】
まず、たとえば、梱包作業国Aにおいて、梱包され共通情報が書込まれた非接触携帯可搬形記録媒体を大量に製造する。すなわち、梱包装置により、未発行状態の非接触携帯可搬形記録媒体1を台紙2に固定した状態で封筒3に入れ、封をする。その後、たとえば、1次発行を行なうための非接触携帯可搬形記録媒体発行装置5により、梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体1に対し封筒3の外部から非接触通信を行なうことにより、当該梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体1に対し各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報を書込む(ステップS11)。
【0019】
次に、大量に製造された梱包済みの非接触携帯可搬形記録媒体1を例えば発行国B,Cへ輸送し納入する(ステップS12)。
【0020】
発行国B,Cでは、発行申請情報を基に発行を実施し、利用者へ発送する。すなわち、非接触携帯可搬形記録媒体発行装置4により、梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体1に対し封筒3の外部から非接触通信を行なうことにより、当該非接触携帯可搬形記録媒体を固有化する固有化情報を書込むとともに、当該梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体1の表面に対し封筒3の外部から当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報を印刷する(ステップS13)。
【0021】
次に、封筒3の表面に当該非接触携帯可搬形記録媒体1を利用する利用者への郵送先情報を印刷した宛先ラベルを貼り付け、利用者へ送付する(ステップS14)。
【0022】
このように、製品の梱包まで共通化することにより、作成コストを低減できる。また、共通化をすることで、同時に大量の輸送が可能になりコスト低減ができる。また、共通化をすることで、固有化を後工程にもっていくことができ、発行を効率的にできる。さらに、梱包後でも、条件が合致すれば、情報の追加および修正が可能となる。
【0023】
次に、封筒3で梱包された非接触携帯可搬形記録媒体1を1つずつ発行処理する非接触携帯可搬形記録媒体発行装置4について説明する。
【0024】
図5は、封筒3で梱包された非接触携帯可搬形記録媒体1を1つずつ発行処理する非接触携帯可搬形記録媒体発行装置4の構成を概略的に示すものである。図5において、図示しない供給部から供給される非接触携帯可搬形記録媒体1を収納した封筒3は、プラテンローラ11と印刷ヘッド12との間の印刷位置(発行位置)にセットされ、位置決めされる。
【0025】
ここで、印刷ヘッド12による印刷処理の一例について説明する。たとえば、非接触携帯可搬形記録媒体1を収納した封筒3の内面の非接触携帯可搬形記録媒体1の上部には、あらかじめインクリボン13が貼着されている。印刷ヘッド12は、たとえば、サーマルヘッドであり、封筒3の外部から圧接してインクリボン13を加熱することにより、非接触携帯可搬形記録媒体1および台紙2の表面に対し印刷情報を印刷するようになっている。
【0026】
印刷方法としては、印刷ヘッド12は固定しておいて封筒3を移動させながら印刷する方法と、封筒3は固定しておいて印刷ヘッド12を移動させながら印刷する方法とがあるが、いずれの印刷方法であってもよい。
【0027】
なお、インクリボン13は、封筒3の内面に貼着する方法以外に、台紙2が非接触携帯可搬形記録媒体1の上部に折り曲げたタイプの場合は、その折り曲げた上部に貼着する方法も考えられる。
【0028】
印刷ヘッド12の近傍には、封筒3内の非接触携帯可搬形記録媒体1に対し封筒3の外部から非接触通信(無線通信)を行なうための送受信用のアンテナ装置14が設置されている。
【0029】
印刷ヘッド12およびアンテナ装置14は主制御部15に接続されている。主制御部15は、CPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)などを主体に構成されていて、印刷ヘッド12およびアンテナ装置14を制御することにより、非接触携帯可搬形記録媒体1に対する情報の書込処理や印刷情報の印刷処理を実行するようになっている。
【0030】
主制御部15には、各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報、非接触携帯可搬形記録媒体を固有化する固有化情報、および、非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報が格納される記憶部16が接続されている。
なお、各非接触携帯可搬形記録媒体固有の固有化情報および印刷情報は、各非接触携帯可搬形記録媒体にあらかじめ書込まれている固有のシリアル番号に対応させて記憶されているものとする。
【0031】
次に、上記のような構成において、図5の非接触携帯可搬形記録媒体発行装置4の動作を図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0032】
まず、非接触携帯可搬形記録媒体1を収納した封筒3を図示しない供給部に多数セットする(ステップS21)。
次に、供給部から封筒3を1つずつ供給して、プラテンローラ11と印刷ヘッド12との間の印刷位置(発行位置)へ送り、位置決めを行なう(ステップS22)。
【0033】
次に、アンテナ装置14により、封筒3内の非接触携帯可搬形記録媒体1に対し封筒3の外部から非接触通信を行なうことにより認証情報を用いた相互認証を行ない、その後、非接触携帯可搬形記録媒体1に対し各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報および当該非接触携帯可搬形記録媒体1を固有化する固有化情報を書込む(ステップS23)。
【0034】
この場合、固有化情報の書込処理は、たとえば、非接触携帯可搬形記録媒体1にあらかじめ書込まれている固有のシリアル番号を読取り、読取ったシリアル番号をキーとして対応する固有化情報を記憶部16から検索することにより行なわれる。
【0035】
次に、印刷ヘッド12で封筒3内のインクリボン13を加熱することにより、非接触携帯可搬形記録媒体1の表面に対し当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報を印刷するとともに、必要に応じて台紙2の表面に対し郵送先情報(個人情報)等を印刷し(ステップS24)、1つの非接触携帯可搬形記録媒体1に対する発行処理を終了する。
【0036】
この場合、印刷情報(郵送先情報)の印刷処理は、たとえば、非接触携帯可搬形記録媒体1にあらかじめ書込まれている固有のシリアル番号を読取り、読取ったシリアル番号をキーとして対応する印刷情報を記憶部16から検索することにより行なわれる。
【0037】
図7、図8に印刷情報の具体的な印刷例を示す。図7は、封筒3内の非接触携帯可搬形記録媒体1の表面に当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報21を印刷するとともに、台紙2の表面に当該非接触携帯可搬形記録媒体1を利用する利用者の郵送先情報(個人情報)22を印刷した場合を示している。
【0038】
図8は、封筒3の表面にあらかじめ印刷用窓3aを設けておき、その印刷用窓3aから印刷ヘッド12で封筒3内の非接触携帯可搬形記録媒体1の表面に当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報21を印刷し、その後、当該印刷用窓3a塞ぐための保護シール23を封筒3に貼り付けた場合を示している。この例を想定する場合は、保護シール23に当該非接触携帯可搬形記録媒体1を利用する利用者への郵送先情報24を印刷したシートを兼ねている。この例の場合、封筒3内にインクリボン13を設けておく必要はなく、封筒3と印刷ヘッド12との間にインクリボン13を介在すればよい。
【0039】
なお、上記説明は、非接触携帯可搬形記録媒体1に対し各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報および当該非接触携帯可搬形記録媒体1を固有化する固有化情報を書込む場合であるが、あらかじめ非接触携帯可搬形記録媒体1に対し各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報が書込まれている場合は、その共通情報の書込処理は行なわなくてもよい。
【0040】
次に、封筒3で梱包された非接触携帯可搬形記録媒体1を複数同時に発行処理する非接触携帯可搬形記録媒体発行装置4について説明する。
【0041】
図9は、封筒3で梱包された非接触携帯可搬形記録媒体1を複数同時に発行処理する非接触携帯可搬形記録媒体発行装置4の構成を概略的に示すものである。なお、図5と同一部分には同一符号を付して説明する。
【0042】
図9において、図示しない供給部から同時に供給される非接触携帯可搬形記録媒体1を収納した複数(この例では3つ)の封筒3は、上下方向に順次並設された複数(この例では3つ)のプラテンローラ11−1,11−2,11−3と印刷ヘッド12−1,12−2,12−3との間の各印刷位置(発行位置)にそれぞれセットされ、位置決めされる。
【0043】
一番上部の印刷ヘッド12−1の近傍には、複数の封筒3内の非接触携帯可搬形記録媒体1に対し封筒3の外部から非接触通信(無線通信)を行なうための送受信用のアンテナ装置14が設置されている。
【0044】
印刷ヘッド12−1,12−2,12−3およびアンテナ装置14は主制御部15に接続されている。主制御部15は、CPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)などを主体に構成されていて、印刷ヘッド12−1,12−2,12−3およびアンテナ装置14を制御することにより、複数の非接触携帯可搬形記録媒体1に対する情報の書込処理や印刷情報の印刷処理を実行するようになっている。
【0045】
なお、非接触携帯可搬形記録媒体1を収納した3つの封筒3の各内面の非接触携帯可搬形記録媒体1の上部には、あらかじめインクリボン13−1,13−2,13−3がそれぞれ貼着されているものとする。
【0046】
次に、上記のような構成において、図9の非接触携帯可搬形記録媒体発行装置4の動作を図10に示すフローチャートを参照して説明する。
【0047】
まず、非接触携帯可搬形記録媒体1を収納した封筒3を図示しない供給部に多数セットする(ステップS31)。
次に、供給部から複数、この例では3つの封筒3を供給して、プラテンローラ11−1,11−2,11−3と印刷ヘッド12−1,12−2,12−3との間の各印刷位置(発行位置)にそれぞれ送り、位置決めを行なう(ステップS32)。
【0048】
次に、アンテナ装置14により、3つの封筒3内の各非接触携帯可搬形記録媒体1に対し封筒3の外部から非接触通信を行なうことにより認証情報を用いた相互認証を行ない、その後、各非接触携帯可搬形記録媒体1に対し各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報および当該非接触携帯可搬形記録媒体1を固有化する固有化情報を書込む(ステップS33)。
【0049】
この場合、各非接触携帯可搬形記録媒体1にはあらかじめ固有のシリアル番号が書込まれていて、アンチコリジョンでそのシリアル番号を識別しながら書込み先の制御を行なうことにより、各非接触携帯可搬形記録媒体1に対し情報の書込み処理を行なうようになっている。
【0050】
次に、印刷ヘッド12−1,12−2,12−3で各封筒3内のインクリボン13−1,13−2,13−3を加熱することにより、各非接触携帯可搬形記録媒体1の表面に対し当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報を同時に印刷するとともに、必要に応じて台紙2の表面に対し郵送先情報(個人情報)等を同時に印刷し(ステップS34)、1つの非接触携帯可搬形記録媒体1に対する発行処理を終了する。
【0051】
このように、梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対して、複数の発行がほぼ同時に行なうことが可能となり、発行の効率化を図ることができる。
【0052】
なお、上記説明は、非接触携帯可搬形記録媒体1に当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報が書込まれていない場合であるが、あらかじめ非接触携帯可搬形記録媒体1に当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報が書込まれている場合、梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体1に対し封筒3の外部から非接触通信により印刷情報を読取り、この読取った印刷情報を当該梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体1の表面に対し封筒3の外部から印刷する。
【0053】
次に、非接触携帯可搬形記録媒体1にあらかじめ記録しておくライフサイクル情報について説明する。
【0054】
ライフサイクル情報は、たとえば、図11に示すように、基本情報(当該非接触携帯可搬形記録媒体固有のシリアル番号、認証情報としての鍵情報等)31、券面印刷情報(当該非接触携帯可搬形記録媒体や台紙に印刷する固有の印刷情報等)32、郵送先情報(当該非接触携帯可搬形記録媒体の氏名や住所等)33、および、発行情報(共通発行情報や個人発行情報等)34から構成されていて、これらの情報31〜34はそれぞれ鍵情報K1,K2,K3,K4により保護されている。
【0055】
このようなライフサイクル情報を各フェーズで利用することにより、各フェーズでの利便性とトレーサビリティを確保することができる。たとえば、非接触携帯可搬形記録媒体1に対する情報書込みフェーズ(情報書込工程)と情報印刷フェーズ(情報印刷工程)が分かれるような場合、あらかじめ情報書込みフェーズにおいて、個人情報(氏名や住所等)を券面印刷情報32として非接触携帯可搬形記録媒体1に書込んでおき、情報印刷フェーズでは、鍵情報K2を解除することにより、非接触携帯可搬形記録媒体1から券面印刷情報32を読出して封筒3上に印刷するなどの対応が考えられる。
【0056】
なお、前記実施形態では、クレジットカード(非接触ICカード)として用いる非接触携帯可搬形記録媒体に適用した場合について説明したが、これに限らず、たとえば、非接触SDメモリカードとして用いる非接触携帯可搬形記録媒体に対しても適用可能である。
【0057】
すなわち、たとえば、非接触SDメモリカードにコンテンツ(映画、音楽など)を書込み販売することを考えた場合、客がコンテンツ(映画、音楽など)を購入するシステムなどにおいて、既にケースに入れられた非接触SDカードに対し、客が選択して購入したコンテンツ(映画、音楽など)を非接触通信によりダウンロードするとともに、当該非接触SDカードの表面にコンテンツ名を印刷して、客へ提供することが考えられる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
A…梱包作業国、B,C…発行国、1…非接触携帯可搬形記録媒体、2…台紙、3…封筒(梱包材)、4,5…非接触携帯可搬形記録媒体発行装置、11…プラテンローラ、12…印刷ヘッド、13…インクリボン、14…アンテナ装置、15…主制御部、16…記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包材により梱包された未発行状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し梱包材の外部から非接触通信を行なうことにより、当該梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報および当該非接触携帯可搬形記録媒体を固有化する固有化情報を書込む書込手段と、
前記梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体の表面に対し梱包材の外部から当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報を印刷する印刷手段と、
を具備したことを特徴とする非接触携帯可搬形記録媒体発行システム。
【請求項2】
梱包材により梱包され、あらかじめ各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報が書込まれた未発行状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し梱包材の外部から非接触通信を行なうことにより、当該梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し当該非接触携帯可搬形記録媒体を固有化する固有化情報を書込む書込手段と、
前記梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体の表面に対し梱包材の外部から当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報を印刷する印刷手段と、
を具備したことを特徴とする非接触携帯可搬形記録媒体発行装置。
【請求項3】
前記非接触携帯可搬形記録媒体は台紙に固定した状態で梱包材により梱包されており、
前記印刷手段は、前記台紙に対しても梱包材の外部から当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の個人情報を印刷することを特徴とする請求項1または請求項2記載の非接触携帯可搬形記録媒体発行装置。
【請求項4】
前記印刷情報はあらかじめ前記非接触携帯可搬形記録媒体に記録されていて、
前記印刷手段は、前記梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体から梱包材の外部から非接触通信により印刷情報を読取り、この読取った印刷情報を当該梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体の表面に対し梱包材の外部から印刷することを特徴とする請求項1または請求項2記載の非接触携帯可搬形記録媒体発行装置。
【請求項5】
前記書込手段、前記印刷手段は、複数の梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し各非接触携帯可搬形記録媒体を識別しながら情報の書込処理、印刷情報の印刷処理を行なうことを特徴とする請求項1または請求項2記載の非接触携帯可搬形記録媒体発行装置。
【請求項6】
前記非接触携帯可搬形記録媒体は、各フェーズで利用するライフサイクル情報があらかじめ記録されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の非接触携帯可搬形記録媒体発行装置。
【請求項7】
梱包材により梱包された未発行状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し梱包材の外部から非接触通信を行なうことにより、当該梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報および当該非接触携帯可搬形記録媒体を固有化する固有化情報を書込む書込工程と、
前記梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体の表面に対し梱包材の外部から当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報を印刷する印刷工程と、
を具備したことを特徴とする非接触携帯可搬形記録媒体発行方法。
【請求項8】
梱包材により梱包され、あらかじめ各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報が書込まれた未発行状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し梱包材の外部から非接触通信を行なうことにより、当該梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し当該非接触携帯可搬形記録媒体を固有化する固有化情報を書込む書込工程と、
前記梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体の表面に対し梱包材の外部から当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報を印刷する印刷工程と、
を具備したことを特徴とする非接触携帯可搬形記録媒体発行方法。
【請求項9】
未発行状態の非接触携帯可搬形記録媒体を梱包材により梱包する梱包工程と、
この梱包工程により梱包された非接触携帯可搬形記録媒体に対し梱包材の外部から非接触通信を行なうことにより、当該梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報および当該非接触携帯可搬形記録媒体を固有化する固有化情報を書込む書込工程と、
前記梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体の表面に対し梱包材の外部から当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報を印刷する印刷工程と、
を具備したことを特徴とする非接触携帯可搬形記録媒体発行方法。
【請求項10】
未発行状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し非接触通信を行なうことにより各非接触携帯可搬形記録媒体共通の共通情報を書込み、この共通情報を書込んだ非接触携帯可搬形記録媒体を梱包材により梱包する梱包工程と、
この梱包工程により梱包された非接触携帯可搬形記録媒体に対し梱包材の外部から非接触通信を行なうことにより、当該梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体に対し当該非接触携帯可搬形記録媒体を固有化する固有化情報を書込む書込工程と、
前記梱包状態の非接触携帯可搬形記録媒体の表面に対し梱包材の外部から当該非接触携帯可搬形記録媒体固有の印刷情報を印刷する印刷工程と、
を具備したことを特徴とする非接触携帯可搬形記録媒体発行方法。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載された非接触携帯可搬形記録媒体発行装置あるいは請求項7から請求項10に記載された非接触携帯可搬形記録媒体発行方法により梱包材で梱包された状態で発行されたことを特徴とする非接触携帯可搬形記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−198679(P2012−198679A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61558(P2011−61558)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】