説明

非接触記憶媒体回収ユニット、および、ゲート装置

【課題】非接触記憶媒体の回収を適正に行うことによって、処理効率の低下を抑えるとともに、利用者の操作性の低下を抑える。
【解決手段】自動改札機1はリーダライタ5と制御部7と回収セレクタ4とを備える。リーダライタ5は、無線トークン100が投入される投入口2Aと無線トークン100が通過する上部媒体路2Bの内部とに亘って連続する通信領域を形成し、この通信領域内に位置する無線トークン100と通信する。制御部7は、投入口2Aにて無線トークン100から識別情報を取得し、その後に、上部媒体路2Bの内部で再び無線トークン100から識別情報を取得する。そして、両識別情報が同一であるか否かを判定する。回収セレクタ4は、上部媒体路2Bの内部の無線トークン100が、投入口2Aにて取得した識別情報と同一の識別情報ではないと判定した場合に、その無線トークン100を不適正な媒体として処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信を行う非接触記憶媒体を回収する非接触記憶媒体回収ユニット、および、この非接触記憶媒体回収ユニットを備えるゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駅務システムでは、朝夕のラッシュアワーなどに多数の旅客が改札処理を受けるため、磁気券の搬送能力が高い自動改札機が必要である。そのような自動改札機は非常に高価で、保守業務に手間や労力が必要である。そこで、保守業務の省力化や搬送機構の簡略化を目的に、磁気券に代えてコイン状の無線トークンの利用が模索されている。
【0003】
無線トークンは高価であるため、使用後には回収して再利用することが望まれる。そのためには、自動改札機で、改札処理を行った無線トークンを回収すべきものなのか判定し、回収すべきと判定した無線トークンを筐体内に回収するように構成する必要がある。そのような自動改札機では、使用済みの無線トークンを確実に回収することが望まれるが、無線トークンの改札処理後にその無線トークンとは別のコインなどが自動改札機に投入される恐れがある。それを防ぐためには、筐体内に回収する無線トークンが、改札処理に利用されたものであるかどうかを確認する必要がある(例えば特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−220116号公報
【特許文献2】特開2004−151936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、筐体外で無線トークンと通信する第1のリーダライタと、回収のために筐体内で無線トークンと通信する第2のリーダライタとを設け、2つのリーダライタで同じ無線トークンの識別情報を検出した場合に無線トークンを回収し、同一の識別情報が検出できない場合(筐体内で通信できない場合を含む。)に無線トークンを返却する構成であった。2つのリーダライタの通信領域は、干渉を防ぐために、重ならないように形成している。このため、無線トークンの通信特性のバラツキや、第1のリーダライタが形成する通信領域の磁場と、第2のリーダライタが形成する通信領域の磁場との相違等によって、第1のリーダライタが筐体外で通信した無線トークンであっても、筐体内に取り込んだときに、第2のリーダライタで通信できずに、この無線トークンを回収せず、返却することがあった。利用者は、無線トークンが返却されると、返却された無線トークンを用いて再度改札処理を行うことになる。したがって、利用者の操作性を低下させるとともに、改札処理の効率を低下させるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2は、1つのリーダライタで筐体外部と筐体内部のそれぞれに通信領域を形成する構成であるが、特許文献1と同様に、筐体外で無線トークンと通信する通信領域と、筐体内で無線トークンと通信する通信領域と、が重ならないように形成する構成である。したがって、特許文献2も、筐体外で通信した無線トークンであっても、筐体内に取り込んだときに、通信できずに、この無線トークンを回収せず、返却することがあった。
【0007】
そこで本発明の目的は、非接触記憶媒体の回収を適正に行うことによって、処理効率の低下を抑えるとともに、利用者の操作性の低下を抑えた非接触記憶媒体回収ユニット、および、ゲート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この非接触記憶媒体回収ユニットは、投入口に投入された非接触記憶媒体を、回収部に回収する。投入口と回収部とは回収路によって結ばれている。投入口に投入された非接触記憶媒体は、この回収路を通って回収部に回収される。第1の開閉部は、投入口と回収部とを結ぶ回収路における非接触記憶媒体の通過を規制する第1の規制部材を開閉する。例えば、投入口から第1の規制部材までの長さは、投入口における非接触媒体の投入方向の長さの1/5〜1/2である、
また、通信部は、第1の規制部材を挟んで投入口側、および回収部側に渡って非接触記憶媒体との無線通信領域を形成する。したがって、通信部は、投入口から投入され、第1の規制部材が受けている非接触記憶媒体との通信、および第1の規制部材による規制位置を通過した非接触記憶媒体との通信が1つの通信領域内で行える。
【0009】
判定部は、通信部と非接触記憶媒体との通信により、この非接触媒体を回収部に回収するかどうかを判定する。第1の開閉部は、判定部が非接触媒体を回収部に回収すると判定したとき、第1の規制部材を開する。
【0010】
通信部は、第1の規制部材を開した後に、同じ無線通信領域で非接触記憶媒体と通信するので、この非接触記憶媒体との無線通信が途切れることがない。したがって、判定部が回収部に回収すると判定した非接触記憶媒体を、通信不良によって回収を中止し、返却するという事態が発生するのを防止でき、処理効率の低下が抑えられるとともに、利用者の操作性の低下が抑えられる。
【0011】
また、判定部は、回収部に回収すると判定した後に、非接触記憶媒体が交換される不正に対応するため、第1の開閉部が第1の規制部材を開した後に、通信部と非接触媒体との通信が途切れた場合、この非接触記憶媒体の回収部への回収を中止すると判定すればよい。この場合には、第1の規制部材を通過した媒体(交換された媒体)を、回収部ではなく、返却口に誘導すればよい。
【0012】
また、通過検出部が、回収路において、投入口に投入された非接触記憶媒体が、第1の規制部材による規制位置を通過したことを検出すると、第1の規制部材を閉するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、非接触記憶媒体の回収が適正に行えるので、回収にかかる処理効率の低下が抑えられるとともに、利用者の操作性の低下が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る非接触記憶媒体回収ユニットを備える自動改札機の、改札通路に沿った要部断面図である。
【図2】図1の非接触記憶媒体回収ユニットの改札通路に垂直な要部断面図である。
【図3】図1の自動改札機の備える制御部での制御による各部の状態移行について説明する図である。
【図4】図1の自動改札機の備える制御部での制御による各部の状態移行について説明する図である。
【図5】図1の自動改札機の備える制御部での制御による各部の状態移行について説明する図である。
【図6】図1の自動改札機の備える制御部での制御による各部の状態移行について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る非接触記憶媒体回収ユニットを備える自動改札機1の要部の模式構成を示す改札通路に沿った断面図である。また図2は、同模式構成の改札通路に垂直な断面図(改札通路の幅方向の断面図)である。これらの図では、自動改札機1における、無線トークン100を回収する機構の周辺を示している。
【0017】
なお、以下の説明では、無線トークン100をRFIDのICチップ101を内蔵し、直径約30mmで厚み約2mmのコイン状とする。ICチップ101は、メモリに識別情報を含む媒体情報を記憶する。媒体情報は改札処理における通行判定に利用されるものであり、識別情報は無線トークン100を回収すべきものか否かの判定に利用されるものである。無線トークン100がこの発明で言う非接触記憶媒体に相当する。
【0018】
自動改札機1は筐体2、シャッタ3、回収セレクタ4、リーダライタ5、光電センサ6A,6B,6C、および、制御部7を備える。
【0019】
筐体2は、投入口2A、上部媒体路2B、下部媒体路2C、および、側部媒体路2Dを備える。
【0020】
投入口2Aは無線トークン100が投入される筺体上面に設けた開口である。投入口2Aは、改札通路に沿った方向の長さが、無線トークン100の直径の1倍を超えて2倍未満であれば好適であり、ここでは50mmとする。また改札通路に対して垂直な方向の幅が、無線トークン100の厚みの1倍を超えて2倍未満であれば好適であり、ここでは3mmとする。投入口2Aをこのような寸法とすることにより、無線トークン100と同時に他の媒体が投入されることを防ぐことができる。
【0021】
シャッタ3は、投入口2Aの近傍に開閉自在に設けられ、通常は閉状態にされていて無線トークン100を回収する際のみ一時的に開状態にされる。シャッタ3がこの発明で言う第1の規制部材に相当する。このシャッタ3は、投入口2Aからの距離が無線トークン100の直径の1/5〜1/2の範囲であれば好適であり、ここでは15mmとする。シャッタ3をこのような位置とする。無線トークン100が改札処理を受ける際には、投入口2Aからシャッタ3までの領域に無線トークン100の一部が挿入され、その状態で無線通信による改札処理がなされる。その際、無線トークン100が回収すべきと判定されると、シャッタ3が一時的に開状態にされて、無線トークン100が筐体内に投入されることになる。
【0022】
上部媒体路2Bは、投入口2Aに連通し、投入口2Aから垂直に設けられる。また下部媒体路2Cは、上部媒体路2Bに連通し、上部媒体路2Bから垂直に設けられる。この下部媒体路2Cは、無線トークン100を回収するための回収箱(不図示)等に接続される。 側部媒体路2Dは本実施形態における分岐路であり、上部媒体路2Bの下端部の側方に連通し、そこから斜め下方に設けられる。この側部媒体路2Dは無線トークン100を返却するための返却口(不図示)等に接続される。投入口2Aから上部媒体路2B、および下部媒体路2Cを介して回収箱に至る経路が、この発明で言う回収路に相当する。また、回収箱が、この発明で言う回収部に相当する。
【0023】
これらの上部媒体路2B、下部媒体路2C、および、側部媒体路2Dは、改札通路に沿った面での幅が、無線トークン100の直径の1倍を超えて2倍未満であれば好適であり、ここでは40mmとする。これにより、各媒体路を通過する無線トークン100を後述する光電センサ6A〜6Cで確実に検出することができる。また、側部媒体路2Dは上部媒体路2Bから斜め下方に傾斜をつけると好適であり、ここでは垂直上方向を基準とした約120度の傾斜をつける。側部媒体路2Dをこのような構成にすることにより、側部媒体路2Dにて無線トークン100をスムーズに通過させることができる。
【0024】
回収セレクタ4は、この発明で言う第2の規制部材に相当する。回収セレクタ4は、上部媒体路2B、下部媒体路2C、および側部媒体路2Dの境界となる位置の近傍を支点に、下部媒体路2Cまたは側部媒体路2Dの一方を閉じ、他方を開くように揺動自在に設けられる。通常、回収セレクタ4は下部媒体路2Cを開き、側部媒体路2Dを閉じて無線トークン100を回収する状態(以下、回収状態と称する。)とされ、不適格な媒体が検出された場合のみ、下部媒体路2Cを閉じ、側部媒体路2Dを開いて無線トークン100を返却する状態(以下、返却状態)とされる。
【0025】
なお、回収セレクタ4は、シャッタ3からの支点の距離が無線トークン100の直径の1倍を超えるように構成するとともに、垂直上方向を基準として90度未満の角度まで揺動するように構成すると好適である。回収セレクタ4をこのような構成とすることにより、無線トークン100の側部媒体路2Dへの誘導をスムーズにすることができる。ここではシャッタ3から45mmの位置に回収セレクタ4の支点を設け、回収セレクタ4が垂直上方向を基準に約60度の角度まで揺動するように構成する。
【0026】
リーダライタ5は、この発明で言う通信部に相当する。リーダライタ5は、無線トークン100と無線通信するものであり、無線トークン100のICチップ101から識別情報を含む媒体情報を読み取り、ICチップ101に媒体情報を更新するための情報を書き込む。このリーダライタ5は、上部媒体路2Bに対面する位置に配置し、投入口2Aの近傍外側から上部媒体路2Bの全体に亘り連続する通信領域を形成する。したがって、自動改札機1は、投入口2Aの近傍に位置する無線トークン100や、上部媒体路2Bを通過する無線トークン100と通信することができる。
【0027】
光電センサ6A〜6Cは、対向する位置を通過する媒体を検出する。したがって光電センサ6A〜6Cの出力信号から媒体位置を把握することができ、光電センサ6A〜6Cの出力信号に基づいて適切なタイミングで各部を動作させることができる。光電センサ6Aは、上部媒体路2Bにおけるシャッタ3の下方、ここでは約15mm下方の位置に設ける。光電センサ6Aが、この発明で言う通過検出部に相当する。光電センサ6Bは、下部媒体路2Cにおける回収セレクタ4の下方、ここでは回収セレクタ4の支点から約15mm下方の位置に設ける。光電センサ6Cは、側部媒体路2Dにおける回収セレクタ4の側方、ここでは上部媒体路2Bとの境界から約15mm側方の位置に設ける。
【0028】
制御部7は、リーダライタ5の出力と光電センサ6A〜6Cの出力とに基づいて各部を制御する。具体的には、リーダライタ5で無線トークン100から取得する媒体情報を用いて検札処理および回収判定を実施するとともに、リーダライタ5や光電センサ6A〜6Cの出力に基づく動作タイミングでシャッタ3および回収セレクタ4を動作させる。この制御部7が、この発明で言う判定部、第1の開閉部、および第2の開閉部に相当する。
【0029】
以下に、制御部7の制御について説明する。
まず、無線トークン100を回収しない場合の制御について説明する。
【0030】
図3は、この場合の、制御部7の制御による各部の動作状態の移行を説明する図である。
通常時、制御部7は投入口2Aの近傍に設けたシャッタ3を閉状態とし、回収セレクタ4を回収状態とし、リーダライタ5に定期的にポーリングの電波を送信させる。
【0031】
その状態で、利用者が把持する無線トークン100が投入口2Aの近傍に接近すると、ポーリングの電波によって無線トークン100がパッシブ方式で給電されて起動し、識別情報を無線送信する。リーダライタ5がその識別情報を受信することで、制御部7は無線トークン100が投入口2Aの近傍に位置することを把握し、リーダライタ5に無線トークン100から媒体情報を読み取らせ、その識別情報の無線トークン100が回収すべきものであるか否かの判定を行う。ここでは無線トークン100は回収すべきものでは無いため、制御部7はその判定に基づいてシャッタ3に閉状態を維持させる。
【0032】
制御部7は、無線トークン100を回収しない場合の所定の改札情報をリーダライタ5から無線トークン100に書き込む。そして、無線トークン100から読み取った媒体情報に基づいて通行判定などの改札処理を実施する。
【0033】
その後、利用者は無線トークン100を投入口2Aの近傍から持ち去り、その利用者の改札処理が終了する。
【0034】
なお、ここでは投入口2Aにて通常時にはシャッタ3を閉状態にしておき、無線トークン100を回収するときに一時的にシャッタ3を開するが、逆に、通常時はシャッタ3を開状態にしておき、無線トークン100を回収すべきでないと判定したときに、一時的にシャッタ3を閉するようにしてもよい。その場合には、リーダライタ5の通信領域に位置する無線トークン100が利用者に持ち去られることで、リーダライタ5と無線トークン100との通信が途切れるので、そのことを条件にしてシャッタ3を再び開するとよい。
【0035】
次に、無線トークン100を回収する場合の制御部7の制御について説明する。
【0036】
図4は、この場合の、制御部7の制御による各部の動作状態の移行を説明する図である。
【0037】
通常時、制御部7は投入口2Aの近傍に設けたシャッタ3を閉状態とし、回収セレクタ4を、下部媒体路2Cを開く回収状態とし、リーダライタ5に定期的にポーリングの電波を送信させる。
【0038】
その状態で、利用者が把持する無線トークン100が投入口2Aの近傍に接近すると、ポーリングの電波によって無線トークン100がパッシブ方式で給電されて起動し、識別情報を無線送信する。リーダライタ5がその識別情報を受信すると、リーダライタ5に無線トークン100から媒体情報を読み取らせ、その識別情報の無線トークン100が回収すべきものであるか否かの判定を行う。ここでは無線トークン100は回収すべきものであるため、制御部7はその判定に基づいてシャッタ3を閉状態から開状態に移行させる。
【0039】
制御部7は、無線トークン100を回収する場合の所定の改札情報をリーダライタ5から無線トークン100に書き込む。そして、無線トークン100から読み取った媒体情報に基づいて通行判定などの改札処理を実施する。
【0040】
これにより、無線トークン100は、投入口2Aから投入されシャッタ3を通過して上部媒体路2Bに到達する。制御部7は光電センサ6Aの出力から無線トークン100がシャッタ3を通過して上部媒体路2Bに到達したことを検出し、シャッタ3を閉状態にする。そして、それと同時にリーダライタ5を定期的にポーリングの電波を送信する状態に移行させる。
【0041】
すると、上部媒体路2Bに位置する無線トークン100が識別情報を無線送信し、その識別情報をリーダライタ5で受信する。制御部7は、リーダライタ5が受信した識別情報に対して、1度目の無線通信で受信した識別情報と同一であるか否かの判定を行い、識別情報が同一であることを検出する。このようにして、無線トークン100が移動しても、その存在を捕捉することができる。その後、制御部7は回収セレクタ4をそのまま下部媒体路2Cが開く回収状態で維持し、これにより、無線トークン100を下部媒体路2Cに誘導して回収することができる。
【0042】
このように、シャッタ3を開する前後において、リーダライタ5は、同じ無線通信領域で無線トークン100と通信するので、この無線トークン100との無線通信が途切れることがない。したがって、無線トークン100との通信不良によって、この無線トークン100の回収を中止し、返却するという事態が発生するのを防止できる。これにより、無線トークン100の回収にかかる処理効率の低下が抑えられるとともに、利用者の操作性の低下が抑えられる。
【0043】
次に、不適正な無線トークン100を利用者等に返却する場合の制御部7の制御について説明する。
【0044】
図5は、制御部7の制御による各部の動作状態の移行を説明する図である。
通常時、制御部7は投入口2Aの近傍に設けたシャッタ3を閉状態とし、回収セレクタ4を、下部媒体路2Cを開く回収状態とし、リーダライタ5に定期的にポーリングの電波を送信させる。
【0045】
その状態で、利用者が把持する無線トークン100が投入口2Aの近傍に接近すると、ポーリングの電波によって無線トークン100がパッシブ方式で給電されて起動し、識別情報を無線送信する。リーダライタ5がその識別情報を受信すると、リーダライタ5に無線トークン100から媒体情報を読み取らせ、その識別情報の無線トークン100が回収すべきものであるか否かの判定を行う。ここでは無線トークン100は回収すべきものであるため、制御部7はその判定に基づいてシャッタ3を閉状態から開状態に移行させる。
【0046】
制御部7は、無線トークン100を回収する場合の所定の改札情報をリーダライタ5から無線トークン100に書き込む。そして、無線トークン100から読み取った媒体情報に基づいて通行判定などの改札処理を実施する。
【0047】
このとき、不正利用の悪意のある利用者によって、非常に素早い操作で、別の無線トークン100や、無線トークン100以外の媒体(硬貨等)を投入口2Aから投入されると、その不適正な無線トークン100等がシャッタ3を通過して上部媒体路2Bに到達する。制御部7は光電センサ6Aの出力からその不適正な無線トークン100がシャッタ3を通過して上部媒体路2Bに到達したことを検出し、シャッタ3を閉状態にする。そして、それと同時にリーダライタ5を定期的にポーリングの電波を送信する状態に移行させる。
【0048】
これにより、上部媒体路2Bに位置する不適切な無線トークン100が識別情報を無線送信し、その識別情報をリーダライタ5が受信する。また、投入された媒体が無線トークン100でなかった場合には、リーダライタ5と通信できない。制御部7は、リーダライタ5が受信した識別情報に対して、1度目の無線通信で受信した識別情報と同一であるか否かの判定を行い、識別情報が同一ではないことを検出する。リーダライタ5が通信できなかった場合も、識別情報が同一ではないと検出する。そのため、制御部7は回収セレクタ4を駆動して返却状態に移行させる。これにより無線トークン100等を側部媒体路2Dに誘導して利用者等に返却することができ、その利用者に対して無線トークン100を不正利用したときの改札処理を実施することができる。
【0049】
次に、通信不良の発生により無線トークン100を利用者等に返却する場合の制御部7の制御について説明する。
【0050】
図6は、制御部7の制御による各部の動作状態の移行を説明する図である。
通常時、制御部7は投入口2Aの近傍に設けたシャッタ3を閉状態とし、回収セレクタ4を回収状態とし、リーダライタ5に定期的にポーリングの電波を送信させる。
【0051】
その状態で、利用者が把持する無線トークン100が投入口2Aの近傍に接近すると、ポーリングの電波によって無線トークン100がパッシブ方式で給電されて起動し、識別情報を無線送信する。リーダライタ5がその識別情報を受信すると、リーダライタ5に無線トークン100から媒体情報を読み取らせ、その識別情報の無線トークン100が回収すべきものであるか否かの判定を行う。ここでは無線トークン100は回収すべきものであるため、制御部7はその判定に基づいてシャッタ3を閉状態から開状態に移行させる。
【0052】
制御部7は、無線トークン100を回収する場合の所定の改札情報をリーダライタ5から無線トークン100に書き込む。そして、無線トークン100から読み取った媒体情報に基づいて通行判定などの改札処理を実施する。
【0053】
これにより、無線トークン100は、投入口2Aから投入されシャッタ3を通過して上部媒体路2Bに到達する。制御部7は光電センサ6Aの出力から無線トークン100がシャッタ3を通過して上部媒体路2Bに到達したことを検出し、シャッタ3を閉状態にする。そして、それと同時にリーダライタ5を定期的にポーリングの電波を送信する状態に移行させる。
【0054】
このとき、無線トークン100との無線通信において、非常に稀な場合であるがデータの書き込み異常やポーリングの検知異常などの通信不良が発生すると、上部媒体路2Bに位置する無線トークン100から識別情報を受信することができない。そこで制御部7は、一定時間で識別情報を受信することができなければ、回収セレクタ4を駆動して回収セレクタ4を返却状態に移行させる。これにより無線トークン100を側部媒体路2Dに誘導して利用者等に返却することができる。したがって、ごく稀に発生する無線トークン100の通信不良が生じたときでも、その利用者に対して適正な改札処理を実施することができる。
【0055】
以上のように各部を動作させることにより、自動改札機1にて、1度の通信で識別情報を時間差で複数回取得して無線トークン100の一致確認を行うことができる。このため、1つのリーダライタ5のみを用いた簡易な構成で無線トークンを回収または返却できる。その上、識別情報を2度取得する間に通信が途切れることが無いので、無線トークンの起動に要する時間を短縮でき、無線トークンの改札処理を効率的に行える。
さらには、通信領域の干渉や設定制約を抑制でき、通信領域を理想的なものにして利用者のトークン操作性を確保することが容易となる。
また、無線トークン100の返却が起こりにくくなるため利用者に対して無線トークンを返却するのではなく係員に対して無線トークンを返却するように自動改札機を構成することが可能になる。
【0056】
なお、以上の説明では、コイン状の無線トークンを例にして説明したが、その他にもカード状など様々な無線トークンであっても本発明は適用することができる。また駅務システムの他の入退場管理装置などのゲート装置に、本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0057】
1…自動改札機
2…筐体
2A…投入口
2B…上部媒体路
2C…下部媒体路
2D…側部媒体路
3…シャッタ
4…回収セレクタ
5…リーダライタ
6A,6B,6C…光電センサ
7…制御部
100…無線トークン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口に投入された非接触記憶媒体を、回収部に回収する非接触記憶媒体回収ユニットにおいて、
前記投入口と前記回収部とを結ぶ回収路における前記非接触記憶媒体の通過を規制する第1の規制部材を開閉する第1の開閉部と、
前記第1の規制部材を挟んで前記投入口側、および前記回収部側に渡る、前記非接触記憶媒体との無線通信領域を形成する通信部と、
前記通信部と前記非接触記憶媒体との通信により、この非接触記憶媒体を前記回収部に回収するかどうかを判定する判定部と、を備え、
前記第1の開閉部は、前記判定部が前記非接触記憶媒体を前記回収部に回収すると判定したとき、前記第1の規制部材を開する、非接触記憶媒体回収ユニット。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1の開閉部が第1の規制部材を開した後において、前記通信部と前記非接触記憶媒体との通信が途切れた場合、この非接触記憶媒体の前記回収部への回収を中止すると判定する、請求項1に記載の非接触記憶媒体回収ユニット。
【請求項3】
前記第1の規制部材よりも前記回収部側に配置し、前記回収路における前記回収部への前記非接触記憶媒体の通過を規制する第2の規制部材を開閉する第2の開閉部を備え、
前記第2の開閉部は、前記判定部が前記非接触記憶媒体の前記回収部への回収を中止すると判定したとき、前記第2の規制部材を閉する、請求項2に記載の非接触記憶媒体回収ユニット。
【請求項4】
前記第2の開閉部は、前記第2の規制部材の開閉により、前記非接触記憶媒体を前記回収部、または返却口に誘導する、請求項3に記載の非接触記憶媒体回収ユニット。
【請求項5】
前記回収路において、前記投入口に投入された前記非接触記憶媒体が、第1の規制部材による規制位置を通過したことを検出する通過検出部を備え、
前記第1の開閉部は、前記通過検出部で前記非接触記憶媒体が前記第1の規制部材による規制位置を通過したことが検出されると、前記第1の規制部材を閉する、請求項1〜4のいずれかに記載の非接触記憶媒体回収ユニット。
【請求項6】
前記投入口から前記第1の規制部材までの長さは、前記投入口における前記非接触記憶媒体の投入方向の長さの1/5〜1/2である、請求項1〜5のいずれかに記載の非接触記憶媒体回収ユニット。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の非接触記憶媒体回収ユニットを備え、
前記通信部が前記非接触記憶媒体との通信により取得した媒体情報に基づいて、通路における利用者の通行可否を判定するゲート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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