説明

非接触認証タグ装置

【課題】認証タグの内蔵電池の残量が少なくなった後に、内蔵電池が不必要に消耗されてしまうことを未然に防止するとともに、利用者に対して速やかな内蔵電池の交換を促すことができる非接触認証タグ装置を提供する。
【解決手段】非接触認証タグ装置において、予め設定された認証情報を無線信号により発信するためのタグ回路を有する非接触認証タグと、触認証タグに設けられ、タグ回路を駆動するのに必要な電力を供給する電池と、非接触認証タグのタグ回路と電池との間に介挿され、電池の電圧が所定の電圧以下となった場合に、電池からタグ回路への電力の供給を停止する電源供給切換部と、備え、電源供給切換部は、利用者が操作可能な電源スイッチを有し、電池の電圧が所定の電圧以下であっても、電源スイッチがON操作された場合には、電池からタグ回路へと電力を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非接触認証タグ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における非接触認証タグ装置においては、非接触式の認証タグ(応答器)と、認証タグに記憶された識別情報を読み取るリーダー(質問器)と、を有し、認証タグの所持者がリーダーに接近すると、リーダーからの起動信号を受信した認証タグが、自身に記憶された固有の識別情報(ID情報)を含む応答信号を返信することにより、認証を行うものが知られている。この認証タグには電池が内蔵されており、応答信号の返信に用いられる電力はこの電池から供給される。すなわち、認証タグは自身に内蔵された電池の電力によって内蔵回路を駆動している。この際、いつでもリーダーからの起動信号を受信できるようにするため、常時、内蔵回路には電池からの電力が供給されている。
【0003】
そして、認証タグに内蔵された電池の電圧の低下を検出する電圧検知部を備え、内蔵電池の電圧が所定値を下回った場合に応答信号に電池電圧低下情報を含ませるようにし、この電池電圧低下情報が含まれた応答信号を受信したリーダーは、認証タグに内蔵された電池の残量が少ない旨を表示や音によって利用者に報知するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−211303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示された従来における非接触認証タグ装置においては、電圧検知部によって認証タグの内蔵電池の残量が少なくなったことが検出された後も、この内蔵電池から認証タグの回路への電力供給が継続される。このため、認証を行わない時においても不必要に内蔵電池が消耗されてしまうという課題がある。
【0006】
また、上記課題に関連して、電圧検知部によって認証タグの内蔵電池の残量が少なくなったことが検出された後も、内蔵電池の残量が認証タグの回路を駆動することが不可能なほど減少しない限り、利用者は内蔵電池の残量が十分であった時と同様の認証動作、すなわち、認証タグを携行してリーダーに接近する、によって認証を行うことができる。このため、たとえ認証時にリーダーから内蔵電池の残量が少ない旨を報知されたとしても、利用者は内蔵電池の交換を怠ってしまい、最終的には認証タグの回路を駆動することが不可能となり認証ができなくなってしまう事態に陥ってしまうおそれがあるという課題がある。
【0007】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、認証タグの内蔵電池の残量が少なくなった後に、内蔵電池が不必要に消耗されてしまうことを未然に防止して、内蔵電池の長寿命化及び省エネルギー化を図ることができる非接触認証タグ装置を得るものである。
【0008】
また、第2の目的は、認証タグの内蔵電池の残量が少なくなった場合に、利用者に対して速やかな内蔵電池の交換を促すことができる非接触認証タグ装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る非接触認証タグ装置においては、予め設定された認証情報を無線信号により発信するためのタグ回路を有する非接触認証タグと、前記非接触認証タグに設けられ、前記タグ回路を駆動するのに必要な電力を供給する電池と、前記非接触認証タグの前記タグ回路と前記電池との間に介挿され、前記電池の電圧が所定の電圧以下となった場合に、前記電池から前記タグ回路への電力の供給を停止する電源供給切換部と、備え、前記電源供給切換部は、利用者が操作可能な電源スイッチを有し、前記電池の電圧が所定の電圧以下であっても、前記電源スイッチがON操作された場合には、前記電池から前記タグ回路へと電力を供給する構成とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る非接触認証タグ装置においては、認証タグの内蔵電池の残量が少なくなった後に、内蔵電池が不必要に消耗されてしまうことを未然に防止して、内蔵電池の長寿命化及び省エネルギー化を図ることができる。
また、認証タグの内蔵電池の残量が少なくなった場合に、利用者に対して速やかな内蔵電池の交換を促すことができるという効果も併せ奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る非接触認証タグ装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る非接触認証タグ装置が備える電源供給切換部の回路構成を示す回路図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る非接触認証タグ装置の動作を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1から図3は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は非接触認証タグ装置の全体構成を示すブロック図、図2は非接触認証タグ装置が備える電源供給切換部の回路構成を示す回路図、図3は非接触認証タグ装置の動作を説明するフロー図である。
図1において、1は、認証の対象となる利用者が携行する非接触認証タグである。この非接触認証タグ1には、複数の利用者の各々を一意に識別する識別情報(ID情報)が予め記憶されている。
【0013】
この非接触認証タグ1による認証には、RFID(無線通信による個体識別:Radio Frequency Identification)が用いられる。2は、RFIDによる認証を行うため、無線通信によって非接触認証タグ1の識別情報を読み取るリーダーである。このリーダー2は、主に、リーダー2の動作を制御するリーダー制御部2a、非接触認証タグ1へと起動信号を送信するための起動信号送信部2b及び起動信号送信アンテナ2c、並びに、非接触認証タグ1からの応答信号を受信するための応答信号受信アンテナ2d及び応答信号受信部2eから構成されている。
【0014】
非接触認証タグ1は、いわゆるアクティブ型又はセミアクティブ型のRFIDタグからなる。非接触認証タグ1は、リーダー2間で無線通信を行うためのタグ回路10及びこのタグ回路10へと電力を供給するための電池11を内蔵している。タグ回路10は、主に、非接触認証タグ1の動作を制御するタグ制御部10a、リーダー2からの起動信号を受信するための起動信号受信アンテナ10b及び起動信号受信部10c、並びに、リーダー2へと応答信号を送信するための応答信号送信部10d及び応答信号送信アンテナ10eから構成されている。
【0015】
リーダー2は、リーダー制御部2aによる制御の下、起動信号送信部2bを駆動して起動信号送信アンテナ2cから起動信号を一定の周期で発信している。このリーダー2からの起動信号が到達する範囲内に利用者が携行する非接触認証タグ1が入ると、起動信号受信アンテナ10bによりこのリーダー2からの起動信号が受信される。そして、この起動信号受信アンテナ10bにより受信された起動信号は起動信号受信部10cを介してタグ制御部10aへと送られる。
【0016】
起動信号を受けたタグ制御部10aは、自身に予め設定されている識別情報(ID情報)を含む応答信号を生成し、応答信号送信部10dを駆動する。応答信号送信部10dは、このタグ制御部10aにより生成された識別情報を含む応答信号を、応答信号送信アンテナ10eから送信する。
【0017】
この非接触認証タグ1からの応答信号は、リーダー2の応答信号受信アンテナ2dにより受信される。応答信号受信アンテナ2dにより受信された応答信号は、応答信号受信部2eを介してリーダー制御部2aへと送られる。この応答信号を受けたリーダー制御部2aは、この応答信号に含まれる識別情報(ID情報)を取得する。そして、リーダー2において、この識別情報(ID情報)を用いた認証処理が行われる。この認証処理においては、例えば、識別情報(ID情報)を予めリーダー2に登録されたものと照合し、識別情報(ID情報)が登録されている場合には認証OKとされ、登録されていない場合には認証NGと判断される。
【0018】
非接触認証タグ1における電池11からタグ回路10への給電は、直接行われるのではなく、非接触認証タグ1が備える電源供給切換部12を介して行われる。この電源供給切換部12は、自動給電回路12a及び手動給電回路12bを有している。電池11の残量が所定の基準値より大きい場合(すなわち、電池11の電圧が所定の電圧より大きい場合)には、電池11の電力は電源供給切換部12の自動給電回路12aを介してタグ回路10へと供給される。これに対し、電池11の残量が所定の基準値以下の場合(すなわち、電池11の電圧が所定の電圧以下の場合)には、電池11の電力が手動給電回路12bを介してタグ回路10へと供給されるように、電源供給切換部12において切り換えられる。
【0019】
この非接触認証タグ1の電源供給切換部12の回路構成を図2に示す。
まず、電池11に対して第1の抵抗(R1)14aが接続されている。これら電池11の正極側と第1の抵抗(R1)14aとの間には、電源スイッチ(SW)13が介挿されている。これら電源スイッチ(SW)13と第1の抵抗(R1)14aとの間には、第1のトランジスタ(Q1)15aのゲートが接続されている。この第1のトランジスタ(Q1)15aには、pチャネル型の電界効果トランジシタ(FET:Field Effect Transistor)が用いられる。
【0020】
電池11の正極側には、電源スイッチ(SW)13を介することなく、直接に第1のトランジスタ(Q1)15aのソースが接続されている。第1のトランジスタ(Q1)15aのドレインには第2の抵抗(R2)14b及び第3の抵抗(R3)14cが直列に接続されている。そして、第2の抵抗(R2)14bと第3の抵抗(R3)14cとの間には、第2のトランジスタ(Q2)15bのゲートが接続されている。この第2のトランジスタ(Q2)15bは、nチャネル型の電界効果トランジシタ(FET)である。
【0021】
第2のトランジスタ(Q2)15bのドレインは、電源スイッチ(SW)13を介することなく直接に電池11の正極側に接続されている。第2のトランジスタ(Q2)15bのソースには、第1のダイオード(D1)16aのアノードが接続されている。第1のダイオード(D1)16aのカソード側と電池11の負極側との間には、タグ回路10が接続されている。
【0022】
このタグ回路10は前述したように、リーダー2からの起動信号を受信する起動信号受信アンテナ10b及び起動信号受信部10c、識別情報を記憶し起動信号に応じてこの識別情報を含む応答信号を生成するリーダー制御部2a、並びに、この生成された応答信号をリーダー2へと送信する応答信号送信部10d及び応答信号送信アンテナ10eから構成され、非接触認証機能を実現するためのものである。
【0023】
また、電池11の正極側には、電源スイッチ(SW)13を介した上で第2のダイオード(D2)16bのアノードが接続されている。そして、この第2のダイオード(D2)16bのカソード側と電池11の負極側との間には、タグ回路10が接続される。
【0024】
第2の抵抗(R2)14b、第3の抵抗(R3)14c、第2のトランジスタ(Q2)15b及び第1のダイオード(D1)16aは、自動給電回路12aを構成している。
この自動給電回路12aは、電池11の電圧が所定の電圧以下となった場合に、電池11からタグ回路10への給電を自動的に停止する機能を実現するものである。
【0025】
また、電源スイッチ(SW)13及び第2のダイオード(D2)16bは手動給電回路12bを構成している。この手動給電回路12bは、非接触認証タグ1を携行する利用者により電源スイッチ(SW)13がON操作された場合のみ、電池11からタグ回路10へと給電する機能を実現する。
【0026】
このように構成された電源供給切換部12の回路において、第1のトランジスタ(Q1)15aは、電源スイッチ(SW)13のON/OFF状態に応じて、電池11からタグ回路10への給電に用いる回路を、自動給電回路12a及び手動給電回路12bの間で排他的に切り換えるためのものである。
【0027】
すなわち、電源スイッチ(SW)13がOFFの場合には、第1のトランジスタ(Q1)15aのゲート電圧が0となる。従って、第1のトランジスタ(Q1)15aのソースからドレインへと電流が流れ、自動給電回路12aに対して電池11の電圧がかかる。こうして、電池11から自動給電回路12aを介してタグ回路10に給電される。
【0028】
これに対し、電源スイッチ(SW)13がONの場合には、第1のトランジスタ(Q1)15aのゲートに電池11の電圧がかかる。従って、第1のトランジスタ(Q1)15aのソースからドレインには電流が流れなくなるため、自動給電回路12aに対して電池11の電圧がかからなくなる。従って、電池11からタグ回路10への給電には、自動給電回路12aは用いられなくなる(手動給電回路12bを経由して電池11からタグ回路10へと給電されるようになる)。
【0029】
第2のトランジスタ(Q2)15bは、自動給電回路12aにおける、電池11の電圧が所定の電圧以下となった場合に電池11からタグ回路10への給電を自動的に停止する機能を実現するためのものである。
自動給電回路12aにかかった電圧は、第2の抵抗(R2)14b及び第3の抵抗(R3)14cによって分圧された上で、第2のトランジスタ(Q2)15bのゲートにかかるようになっている。
【0030】
従って、自動給電回路12aにかかる電池11の電圧を第2の抵抗(R2)14b及び第3の抵抗(R3)14cで分圧した結果が、第2のトランジスタ(Q2)15bのドレイン−ソース間に電流を流すために必要な閾値以上である場合には、第2のトランジスタ(Q2)15bのドレインからソースへと電流が流れて、自動給電回路12aを経由してタグ回路10へと給電される。
【0031】
一方、電池11の電圧を第2の抵抗(R2)14b及び第3の抵抗(R3)14cで分圧した結果が前記閾値以下である場合には、第2のトランジスタ(Q2)15bのドレイン−ソース間には電流が流れない。このため、自動給電回路12aを経由したタグ回路10への給電は停止される。
【0032】
具体的に例えば、電池11の初期電圧が3V、タグ回路10を駆動するための最低電圧が2.1Vで、電池の電圧が2.4Vまで下がった時に自動給電を停止する場合について説明する。なお、第2のトランジスタ(Q2)15bのドレインからソースに電流を流すために必要なゲート電圧の閾値は0.8Vとする。
【0033】
電池11の電圧が2.4V以下の時に自動給電回路12aによってタグ回路10への給電を停止するためには、電圧2.4Vを第2の抵抗(R2)14b及び第3の抵抗(R3)14cで分圧した結果が0.8V以下になるようにすればよい。従って、この場合の第2の抵抗(R2)14b及び第3の抵抗(R3)14cの抵抗値R2及びR3は、以下の(1)式の関係を満たすように決定すればよい。
【0034】
2.4(V)×R3(Ω)/(R2(Ω)+R3(Ω))=0.8V … (1)
【0035】
例えば、R3を100kΩとした場合、上記(1)式によりR2は200kΩとすればよい(2.4V×100kΩ/(100kΩ+200kΩ)=0.8V)。このようにすることにより、電池11の電圧が初期電圧3Vから2.4Vまでの間である時には、第2のトランジスタ(Q2)15bのゲート電圧が0.8V以上となる。従って、第2のトランジスタ(Q2)15bのドレインからソースへと電流が流れ、タグ回路10に2.4V以上の電圧が給電されることでタグ回路10が駆動される(非接触認証タグ1を用いた認証が可能となる)。
【0036】
一方、電池11の電圧が2.4Vを下回った場合、第2のトランジスタ(Q2)15bのゲート電圧は0.8Vを下回ることとなる。従って、第2のトランジスタ(Q2)15bのドレイン−ソース間の電流は遮断され、タグ回路10への給電は自動的に停止される。この状態ではタグ回路10は駆動されないため、非接触認証タグ1による認証はできなくなる。
【0037】
なお、電池11の電圧が2.4Vを下回り自動給電回路12aを経由したタグ回路10への給電が停止された状態であっても、電池11の電圧がタグ回路10を駆動可能な最低電圧2.1V以上であれば、利用者は電源スイッチ(SW)13をON操作することにより、電池11から手動給電回路12bを経由して給電し、タグ回路10を駆動させることができる。
【0038】
ここで、電源スイッチ(SW)13は、利用者により押下されている間だけONとなり、指を離すことで自動的にOFFに戻る押しボタンスイッチを用いることにより、電池11電圧低下時におけるOFFし忘れを防止することができる。
【0039】
なお、第1のダイオード(D1)16aは手動給電回路12bを経由してタグ回路10に電力を供給する際に、自動給電回路12aに電流が逆流するのを防ぐためのものである。また、第2のダイオード(D2)16bは自動給電回路12aを経由してタグ回路10に電力を供給する際に、手動給電回路12bに電流が逆流するのを防ぐために設けられている。
【0040】
そして、最終的に電池11の電圧が2.1Vを下回った場合には、電源スイッチ(SW)13をON操作して手動給電回路12b経由でタグ回路10に電力を供給しても、タグ回路10を駆動可能な最低電圧を下回っているため、タグ回路10を駆動することはできなくなる(非接触認証タグ1を用いた認証はできなくなる)。
【0041】
図3のフロー図によって、このように構成された非接触認証装置の特に電源供給切換部の動作をまとめる。
まず、ステップS1において、電源スイッチ(SW)13が押されてない(ON操作されていない)場合には、ステップS2に移る。このステップS2においては、第1のトランジスタ(Q1)15aのゲート電圧がOVとなるため、第1のトランジスタ(Q1)15aはONとなり自動給電回路12aに電池11の電圧がかかる。続くステップS3において、第2のトランジスタ(Q2)15bのゲート電圧が閾値(先ほどの例では0.8V)より大きい場合、ステップS4に移り第2のトランジスタ(Q2)15bはONとなる。従って、ステップS5へと移り、自動給電回路12aの第1のダイオード(D1)16aを介してタグ回路10へと電池11の電力が供給される。この場合、第2のダイオード(D2)16b(手動給電回路12b)からはタグ回路10へと給電されない。
【0042】
一方、ステップS3において、第2のトランジスタ(Q2)15bのゲート電圧が閾値以下である場合、ステップS6に移り第2のトランジスタ(Q2)15bはOFFとなる。従って、ステップS7へと移り、第1のダイオード(D1)16a(自動給電回路12a)及び第2のダイオード(D2)16b(手動給電回路12b)のいずれからもタグ回路10に電力供給されないこととなる。
【0043】
以上に対し、ステップS1において、電源スイッチ(SW)13が押されている(ON操作されている)場合には、ステップS8に移る。このステップS8においては、第1のトランジスタ(Q1)15aのゲートに電池11の電圧がかかるため、第1のトランジスタ(Q1)15aはOFFとなる。そして、この場合、自動給電回路12aには電圧がかからないため、第2のトランジスタ(Q2)15bのゲート電圧は閾値以下になる。すなわち、ステップS9に移り第2のトランジスタ(Q2)15bはOFFとなる。結果として、ステップS10において、手動給電回路12bの第2のダイオード(D2)16bを介してタグ回路10へと電池11の電力が供給されることになり、第1のダイオード(D1)16a(自動給電回路12a)からはタグ回路10へと給電されない。
【0044】
以上のように構成された非接触認証タグ装置は、予め設定された認証情報を無線信号により発信するためのタグ回路とタグ回路を駆動するのに必要な電力を供給する電池とを有する非接触認証タグにおいて、タグ回路と電池との間に、電池の電圧が所定の電圧以下となった場合に、電池からタグ回路への電力の供給を停止する電源供給切換部を介挿し、この電源供給切換部は、利用者が操作可能な電源スイッチを有し、電池の電圧が所定の電圧以下であっても、電源スイッチがON操作された場合には、電池からタグ回路へと電力を供給するようにしたものである。
【0045】
このため、電池の電圧が初期の3Vから所定の電圧2.4Vに低下するまでは常にタグ回路に電力が供給されているために、非接触型IDタグをリーダーに接近させる(非接触型IDタグを携行する利用者がリーダーに近づく)だけで、起動信号の受信及び応答信号の送信をすることができる。すなわち、このように特別な操作なしで認証されるという利便性を維持しつつ、電池の電圧が所定の電圧2.4Vからさらにタグ回路を駆動可能な最低電圧2.1Vに低下するまでは、タグ回路への自動給電を停止させるため、常にタグ回路に給電している場合に比べて電池の消耗を小さくできる。
【0046】
また、電池の電圧が低下して非接触認証タグの電源がOFFとなりリーダーに近づいても認証されない場合には、利用者はタグの電源スイッチを押すことで認証できるようになる。また、加えて、電源スイッチを操作しなければ認証されなかったという事から、タグの電池切れが近いことを知ることができる。さらに、電源スイッチを押すという操作が増えることで、利用者に対して速やかな電池交換を促すことができ、電池交換を確実に行うようになることが期待される。
【符号の説明】
【0047】
1 非接触認証タグ
2 リーダー
2a リーダー制御部
2b 起動信号送信部
2c 起動信号送信アンテナ
2d 応答信号受信アンテナ
2e 応答信号受信部
10 タグ回路
10a タグ制御部
10b 起動信号受信アンテナ
10c 起動信号受信部
10d 応答信号送信部
10e 応答信号送信アンテナ
11 電池
12 電源供給切換部
12a 自動給電回路
12b 手動給電回路
13 電源スイッチ(SW)
14a 第1の抵抗(R1)
14b 第2の抵抗(R2)
14c 第3の抵抗(R3)
15a 第1のトランジスタ(Q1)
15b 第2のトランジスタ(Q2)
16a 第1のダイオード(D1)
16b 第2のダイオード(D2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された認証情報を無線信号により発信するためのタグ回路を有する非接触認証タグと、
前記非接触認証タグに設けられ、前記タグ回路を駆動するのに必要な電力を供給する電池と、
前記非接触認証タグの前記タグ回路と前記電池との間に介挿され、前記電池の電圧が所定の電圧以下となった場合に、前記電池から前記タグ回路への電力の供給を停止する電源供給切換部と、備え、
前記電源供給切換部は、利用者が操作可能な電源スイッチを有し、前記電池の電圧が所定の電圧以下であっても、前記電源スイッチがON操作された場合には、前記電池から前記タグ回路へと電力を供給することを特徴とする非接触認証タグ装置。
【請求項2】
前記電源供給切換部は、
前記電池の電圧が所定の電圧以下となった場合に前記電池から前記タグ回路への電力の供給を停止する自動給電回路と、
前記電源スイッチが設けられた手動給電回路と、
前記電池から前記タグ回路への電力供給に用いる回路を、前記電源スイッチがON操作されている場合には前記手動給電回路に切り換え、前記電源スイッチがON操作されていない場合には前記自動給電回路に切り換える切換手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の非接触認証タグ装置。
【請求項3】
前記電源スイッチは、利用者により押下されている間だけONとなり、指を離すことで自動的にOFFに戻る押しボタンスイッチにより構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の非接触認証タグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−168772(P2012−168772A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29679(P2011−29679)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】