非接触電力伝送装置及び非接触電力伝送方法
【課題】送電コイルに対して受電コイルが適切に配置されていない場合であっても、受電装置内に調整回路を設けることなく効率的な電力伝送を可能とする。
【解決手段】送電コイル4a及び共振容量により構成された送電共振器を有する送電装置1と、受電コイル4b及び共振容量により構成された受電共振器を有する受電装置2とを備えた非接触電力伝送装置。補助コイル11及び共振容量11により構成された補助共振器を有する送電補助装置9を更に備え、送電補助装置と送電装置を互いに対向させて配置した状態で、送電コイルと補助コイルの間に、受電コイルを配置するための受電空間15が形成される。
【解決手段】送電コイル4a及び共振容量により構成された送電共振器を有する送電装置1と、受電コイル4b及び共振容量により構成された受電共振器を有する受電装置2とを備えた非接触電力伝送装置。補助コイル11及び共振容量11により構成された補助共振器を有する送電補助装置9を更に備え、送電補助装置と送電装置を互いに対向させて配置した状態で、送電コイルと補助コイルの間に、受電コイルを配置するための受電空間15が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電装置に具備された送電コイルと受電装置に具備された受電コイルを介して、非接触(ワイヤレス)で電力の伝送を行う非接触電力伝送装置及び非接触電力伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触で電力を伝送する方法として、電磁誘導(数100kHz)による電磁誘導型、電界または磁界共鳴を介したLC共振間伝送による電界・磁界共鳴型、電波(数GHz)によるマイクロ波送電型、あるいは可視光領域の電磁波(光)によるレーザ送電型が知られている。この中で既に実用化されているのは、電磁誘導型である。これは簡易な回路(トランス方式)で実現可能であるなどの優位性はあるが、送電距離が短いという課題もある。
【0003】
そこで、最近になって近距離伝送(〜2m)が可能な電界・磁界共鳴型の電力伝送が注目を浴びてきた。このうち、電界共鳴型の場合、伝送経路中に手などを入れると、人体が誘電体であるため、エネルギーを熱として吸収して誘電体損失を生じる。これに対して磁界共鳴型の場合、人体がエネルギーをほとんど吸収せず、誘電体損失を避けられる。この点から磁界共鳴型に対する注目度が上昇してきている。
【0004】
図17は、従来の磁界共鳴を利用した電力伝送装置の構成例の概略を示した正面図である。送電装置1は、ループコイル3aと送電コイル4a(送電用共鳴コイルとして動作)を組み合わせた送電コイルユニットを備えている。受電装置2は、ループコイル3bと受電コイル4b(受電用共鳴コイルとして動作)を組み合わせた受電コイルユニットを備えている。送電装置1のループコイル3aには高周波電力ドライバー5が接続され、交流電源(AC100V)6の電力を送電可能な高周波電力に変換して供給する。受電装置2のループコイル3bには、整流器7を介して負荷として例えば充電池8が接続されている。
【0005】
ループコイル3aは、高周波電力ドライバー5から供給される電気信号により励起され、電磁誘導により送電コイル4aに電気信号を伝送する誘電素子である。送電コイル4aはループコイル3aから出力された電気信号に基づいて磁界を発生させる。この送電コイル4aは、共振周波数f0=1/{2π(LC)1/2}(Lは送電側の送電コイル4aのインダクタンスで、Cは浮遊容量を示す)において磁界強度が最大となる。送電コイル4aに供給された電力は、磁界共鳴により受電コイル4bに非接触で伝送される。伝送された電力は、受電コイル4bから電磁誘導によりループコイル3bへ伝送され、整流器7により整流されて充電池8に供給される。この場合、送電コイル4aと受電コイル4bの共振周波数は同一に設定される。
【0006】
また、このような電磁誘導型や磁界共鳴型により非接触で電力を送受電する場合、送電コイルユニットに対して受電コイルユニットが適切に配置されていないと、効率良く電力を伝送することができない場合が多い。特に、携帯機器に受電装置2により充電される2次電池が搭載される場合には、受電コイルユニットと2次電池パックとの間に、電磁波の影響を少なくする為のシールド材(電波吸収体含む)が挿入されていることが多い。このようなケースでは、携帯型の受電コイルユニットの裏表を間違って置いた時には、送電コイルユニットと受電コイルユニットとの間にシールド材が介在することになり、伝送効率が大幅に低下し電力伝送が困難になる。
【0007】
そこで、特許文献1には、電力を供給する送電コイルユニットに対して、受電コイルユニットの受電に適する面が正しく対向しているか否かを検出する表裏検出部(磁気センサ使用)を設け、対向していない場合には使用者に通知するようにした充電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−207017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の技術においては、電力を供給する送電装置に対して受電装置の受電に適する面が正しく対向していない場合には、音などで使用者に通知するだけで、最終的には使用者が正しい位置に直す必要があり、操作が煩雑となっていた。しかも、特許文献1の技術では、受電装置側に磁気センサーを設けて表裏の判断をするため、受電装置の形状が小さい場合(耳入れタイプの補聴器など)には、受電装置内には充電機能以外の機能を付加することは困難である。
【0010】
また、送電コイルユニットに対して受電コイルユニットが小さい場合には、電力伝送効率低下、電力伝送可能距離の低下などが生じる。更に、送電コイルユニットと受電コイルユニット間の距離などの状態変化により結合係数などが変化した場合にも、共振周波数を合わせるために受電装置内に調整回路を設けることが望ましいが、上述のとおり、受電装置内に充電機能以外の機能を付加することは困難である。
【0011】
本発明は、このような従来技術における問題点を解決するものであり、送電装置に対して受電装置の受電に適する面が適正に対向していない等、送電コイルユニットに対して受電コイルユニットが適切に配置されていない場合であっても、受電装置内に調整回路を設けることなく効率的な電力伝送を可能とする非接触電力伝送装置及び非接触電力伝送方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、送電コイルユニットに対して受電コイルユニットの大きさが小さい場合においても、電力伝送効率の低下、電力伝送可能距離の低下などを抑制することが可能な非接触電力伝送装置及び非接触電力伝送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の非接触電力伝送装置は、送電コイル及び共振容量により構成された送電共振器を有する送電装置と、受電コイル及び共振容量により構成された受電共振器を有する受電装置とを備え、前記送電コイルと前記受電コイルの間の作用を介して前記送電装置から前記受電装置へ電力を伝送するように構成される。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の非接触電力伝送装置は、補助コイル及び共振容量により構成された補助共振器を有する送電補助装置を更に備え、前記送電補助装置と前記送電装置を互いに対向させて配置した状態で、前記送電コイルと前記補助コイルの間に、前記受電コイルを配置するための受電空間が形成されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の非接触電力伝送方法は、送電コイル及び共振容量により構成された送電共振器を有する送電装置と、受電コイル及び共振容量により構成された受電共振器を有する受電装置とを用い、前記送電コイルと前記受電コイルの間の作用を介して前記送電装置から前記受電装置へ電力を伝送する方法であって、補助コイル及び共振容量により構成された補助共振器を有する送電補助装置を更に用い、前記送電補助装置を前記送電装置と対向させて配置して、前記送電コイルと前記補助コイルの間に受電空間を形成し、前記受電空間内に前記受電コイルを配置して電力伝送を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、送電コイルと補助コイルの間に形成された受電空間に受電コイルを配置する構成により、受電装置に共振周波数を調整する手段を要することなく、送電装置と受電装置間の電力伝送効率の距離に対する依存性が、長い距離範囲に亘って平坦となり、電力伝送可能距離を拡大することができる。
【0017】
従って、送電装置に対して受電装置の受電に適する面が適正に対向していない等、送電コイルに対して受電コイルが適切に配置されていない場合であっても、効率的な電力伝送が可能である。また、送電コイルに対して受電コイルの大きさが小さい場合においても、電力伝送効率の低下、電力伝送可能距離の低下などを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1における非接触電力伝送装置の構成を示す模式断面図
【図2】同非接触電力伝送装置における受電装置の構成を示す模式断面図
【図3A】同非接触電力伝送装置の送電側共振系のVNA測定時における各要素の配置を示す模式断面図
【図3B】図3Aの配置で測定した送電側共振系の共振周波数の、補助共振器の共振周波数f3に対する依存性を示すグラフ
【図3C】図3Aの配置で行った、補助共振器の共振周波数f3の3つの値に対するVNA測定の出力波形図
【図4A】同非接触電力伝送装置のVNA測定時における各要素の配置を示す模式断面図
【図4B】図4Aの配置で測定した電力伝送効率の共振周波数f3に対する依存性を示すグラフ
【図5】同非接触電力伝送装置における送電共振器、受電共振器、及び補助共振器の共振周波数f1、f2、f3の関係の設定例に対する、送電側共振系の共振周波数ftL、ftHの関係を示す図
【図6】共振周波数f1、f2、f3の関係の他の設定例に対する、送電側共振系の共振周波数ftL、ftHの関係を示す図
【図7A】送電コイルと受電コイル間の距離に対する電力伝送効率の依存性の、受電装置の姿勢の相違に応じた変化を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図7B】図7Aの配置に補助コイルを加えた配置を示す模式断面図
【図7C】図7A及び図7Bの配置での、電力伝送効率の送受電コイル間の距離に対する依存性を示すグラフ
【図8A】受電装置の図7Aとは異なる姿勢での電力伝送効率の、送受電コイル間の距離に対する依存性を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図8B】図8Aの配置に補助コイルを加えた配置を示す模式断面図
【図8C】図8A及び図8Bの配置での電力伝送効率の、送受電コイル間の距離Xに対する依存性を示すグラフ
【図9A】送受電コイル間の電力伝送効率の、送電コイルと受電コイルの径方向のずれの距離に対する依存性を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図9B】図9Aの配置での電力伝送効率の、送受電コイルの径方向距離Rに対する依存性を示すグラフ
【図10A】共振周波数f3に対する電力伝送効率の依存性の、送受電コイル間の距離に応じた変化を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図10B】図10Aの配置での、送受電コイル間の距離Xに応じた共振周波数f3に対する電力伝送効率の依存性の変化を示すグラフ
【図11A】実際の受電装置での受電電力の、共振周波数f3に対する依存性を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図11B】図11Aの配置での受電電力の、送受電コイル間の距離Xに応じた共振周波数f3に対する依存性の変化を示すグラフ
【図12A】送受電コイル間の距離に対する受電電力の依存性を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図12B】図12Aの配置で共振周波数f3=14MHzとしたときの、受電電力の送受電コイル間の距離に対する依存性を示すグラフ
【図13A】通常とは異なる受電装置の姿勢での受電電力の、送受電コイル間の距離に対する依存性を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図13B】図13Aの配置で共振周波数f3=14MHzとしたときの受電電力の、送受電コイル間の距離に対する依存性を示すグラフ
【図14A】実際の受電装置での受電電力に対する、送電コイルと受電コイルの径方向のずれ量の影響を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図14B】図13Aの配置での、送受電コイル4a、4b間の距離Xに応じた受電電力の径方向距離Rに対する依存性の変化を示すグラフ
【図15】実施の形態2における非接触電力伝送装置の構成を示す模式断面図
【図16】実施の形態3における非接触電力伝送装置の構成を示す模式断面図
【図17】従来技術における非接触電力伝送装置の構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、上記構成を基本として、以下のような態様を採ることができる。
【0020】
すなわち、上記構成の非接触電力伝送装置において、前記送電コイルと前記受電コイルの間の磁界共鳴を介して前記送電装置から前記受電装置へ電力を伝送するように構成することができる。
【0021】
また、前記送電共振器と前記補助共振器が構成する送電側共振系の共振周波数ftが、前記受電共振器の共振周波数f2と一致するように、前記補助共振器の共振周波数f3が設定されていることが好ましい。
【0022】
また前記送電補助装置の前記共振容量として調整用可変コンデンサを設け、前記調整用可変コンデンサを調整することにより前記補助共振器の共振周波数f3が設定される構成とすることができる。
【0023】
また、前記送電コイルの直径d1と、受電コイルの直径d2と、補助コイルの直径d3が、d1>d2、かつd2<d3の関係を満足することが好ましい。この関係を保っていれば電力伝送可能距離の増大等の効果が得られる。特に、d1=d3、かつd1>d2の関係を満足することが好ましい。それにより、伝送効率特性(受電可能範囲の拡大など)の向上について大きな効果が得られる。もちろん、円形のコイルに限らず、四角形のコイル等をそれぞれ配置した形態でも、同様の効果は得られる。
【0024】
また、前記送電コイルの中心軸と、前記補助コイルの中心軸と、前記受電コイルの中心軸が、同一軸上にあることが好ましい。
【0025】
また、前記送電共振器の共振周波数f1と、前記受電共振器の共振周波数f2と、前記補助共振器の共振周波数f3が、f1=f2<f3、またはf3<f1=f2の関係になるように設定された構成とすることができる。
【0026】
また、前記送電共振器の共振周波数f1と、前記受電共振器の共振周波数f2と、前記補助共振器の共振周波数f3が、f2<f1=f3、またはf1=f3<f2の関係になるように設定された構成とすることができる。
【0027】
また、前記送電装置及び前記送電補助装置を保持し、前記送電装置と前記送電補助装置の相互の位置関係を、前記受電空間が形成されるように設定することが可能な筐体を備え、前記受電装置を前記受電空間に対して着脱可能に装着することが可能であり、前記筐体に前記送電装置から前記受電装置への電力伝送状態を維持するためのインターロック機能を備え、電力伝送時には、前記送電コイルと前記受電コイルの周囲が電磁シールドされた状態になるように前記インターロック機能により維持されている構成とすることができる。
【0028】
この構成において、前記筐体に開閉自在の蓋を備え、前記筐体の蓋が閉まった状態で、前記送電コイルから前記受電コイルへ電力伝送を行うように構成することができる。
【0029】
上記構成の非接触電力伝送方法において、前記補助共振器を構成する共振容量として可変容量を用い、前記受電空間内に前記受電コイルを配置して前記可変容量を調整することにより、電力伝送の効率を調整することができる。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0031】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1における磁界共鳴型の非接触電力伝送装置の構成を示す模式断面図である。なお、図17に示した従来例の非接触電力伝送装置と同様の要素については、同一の参照番号を付して、説明の繰り返しを簡略化する。
【0032】
この非接触電力伝送装置は、従来例の送電装置1と受電装置2に送電補助装置9を加えて構成され、送電装置1と送電補助装置9の間の空間に受電装置2が配置された状態で非接触電力伝送を行うように構成されている。送電装置1は、交流電源(AC100V)の電力を送電可能な高周波電力に変換して電力を伝送し、受電装置2は電力を受け取る。送電補助装置9は、電力伝送時における、送電装置1に関わる共振系の共振周波数を、受電装置2の共振系の共振周波数に対して、適切な関係に設定する機能を有する。
【0033】
送電装置1は、送電用のループコイル3aと送電コイル4aが組合わされた送電コイルユニット、及び交流電源(AC100V)6の電力を送電可能な高周波電力に変換する高周波電力ドライバー5を備えている。場合によっては、送電用のループコイル3aは無くても良い。なお、本発明は、磁界共鳴に限らず、電磁誘導等による電力伝送装置にも適用可能であり、送電コイル4a及び後述の受電コイル4bは、電力伝送の方式に適合させたものが用いられる。
【0034】
送電コイル4aには共振容量10が接続されて、送電共振器を構成している。共振容量10としては、回路素子として可変コンデンサあるいは固定コンデンサを接続してもよいし、浮遊容量を利用した構成としてもよい。従って、以下の図では、共振容量10の図示を省略する。なお、以下の記載においては、送電共振器の単独での共振周波数f1を、図示との関係が判り易いように「送電装置1の共振周波数f1」と記述する。
【0035】
送電補助装置9は、補助コイル11と共振容量としての調整用コンデンサ12を有し、両要素により補助共振器が構成されている。なお、以下の記載においては、補助共振器の単独での共振周波数f3を、図示との関係が判り易いように「送電補助装置9の共振周波数f3」と記述する。調整用コンデンサ12は、容量値が後述のように設定された固定コンデンサを用いても、あるいは可変コンデンサを用いて常に再調整可能としてもよい。
【0036】
また図示は省略されているが、必要に応じて送電コイル4aの反射電力、共振周波数、流れる電流、あるいは電圧などをモニターする手段や、送電装置1、受電装置2及び送電補助装置9の相互間で情報のやり取りをするための回路等を含むことができる。そのような構成を採用する場合は、調整用コンデンサ12を可変コンデンサとし、容量値を自動的に制御可能とすることもできる。
【0037】
受電装置2には、図2に示すように、受電コイル4bとループコイル3bが組合わされた受電コイルユニットが配置されている。ループコイル3bで得られた電力は、少なくとも整流回路7を経由して充電池8に蓄えられる。受電コイル4bには共振容量13が接続されて、受電共振器を構成している。共振容量13としては、回路素子として可変コンデンサあるいは固定コンデンサを接続してもよいし、浮遊容量を利用した構成としてもよい。従って、以下の図では、共振容量13の図示を省略する。なお、以下の記載においては、受電共振器の単独での共振周波数f2を、図示との関係が判り易いように「受電装置2の共振周波数f2」と記述する。
【0038】
充電池8として小型電池(コイン電池など)を用いた場合には、ループコイル3bと充電池8を重ね合わせて設置面積を小さくするのが好ましい(例えば、コイルオン電池など)。この場合、ループコイル3bから充電池8に磁束が漏れて渦電流が発生し損失(渦電流損)となるので、このループコイル3bと充電池8の間に、伝送時の共振周波数において高透磁率を有する電波吸収体14を配置することが望ましい。この場合、トータルの厚さを薄くするために、電波吸収体14を挟んでループコイル3bと充電池8とを密着させても良い。
【0039】
図1に示したように、送電補助装置9と送電装置1を対向させて配置することにより、送電コイル4aと補助コイル11の間に受電空間15が形成され、その受電空間15に受電コイル4bを含む受電装置2が配置される。
【0040】
本実施の形態では、送電装置1におけるループコイル3aと送電コイル4aは、図17に示したものと機能は同じであるが、薄型化のために、直径1mm程度のCuコイル(被覆あり)を同一平面上にスパイラル状に巻いた平面コイルを用いる。更に、受電装置2におけるループコイル3bと受電コイル4bは、図17に示したものと機能は同じであるが、小型化のために、厚さ0.4mmの薄型プリント基板に、厚さ70μm程度のCu箔を同一平面上にスパイラル状に形成した薄膜コイルにより構成する。更に、基板の厚さを薄くするために、基板の両面に受電用のループコイル3bと受電コイル4bをそれぞれ別に形成しても良い。
【0041】
本実施の形態の非接触電力伝送装置の特徴である送電補助装置9の機能について、より詳細に説明する。上記構成によれば、送電コイル4aと補助コイル11の結合により、送電コイル4aを含む送電共振器と補助コイル11を含む補助共振器による共振系が構成され、以下の記載では、これを送電側共振系と称する。また、送電側共振系の共振周波数をftと記述する。
【0042】
本実施の形態における非接触電力伝送装置の図1に示した構成によれば、送電補助装置9が無い場合に比べて、後述するように、電力伝送可能距離を拡大させるなどの効果が得られる。これは、送電コイル4aに対して補助コイル11を対向配置することにより、送電コイル4aからの磁束の到達距離が長くなるためと思われる。これにより、送電装置1に対して受電装置2の受電に適する面が適正に対向していない等、送電コイル4aに対して受電コイル4bが適切に配置されていない場合であっても、受電装置2内に調整回路を設けることなく効率的な電力伝送が可能となる。
【0043】
一方、図1に示したような構成においては、送電装置1の共振周波数は、補助コイル11の磁気的な影響を受けて、初期に設定した単独の共振周波数f1とは異なっている。しかし、補助コイル11に接続される調整用コンデンサ12の容量値Cを調整して送電補助装置9の共振周波数f3を適切に設定することにより、送電側共振系の共振周波数ftを受電装置2の共振周波数f2と一致させることができる。これにより、送電コイル4aからの電力伝送効率を実用上十分な程度に維持して、電力伝送可能距離を拡大させるなどの効果が得られる。
【0044】
調整用コンデンサ12の容量値Cの設定は、共振周波数ftが共振周波数f2と一致するように行うことが望ましいが、完全に一致させなくとも相応の効果が得られる。すなわち、送電側共振系の共振周波数ftのピークが、送電装置1の共振周波数f1と比べて、受電装置2の共振周波数f2に近づくように、送電補助装置9の共振周波数f3を設定すればよい。このような調整による効果を十分に得るためには、送電補助装置9を構成する補助コイル11は、送電コイル4aの直径とほぼ同じとし、両者のコイルの中心軸もほぼ同軸に配置することが望ましい。
【0045】
但し、電力伝送可能距離の増大等の効果は、送電コイル4aの直径をd1、受電コイル4bの直径をd2、補助コイル11の直径をd3としたとき、d1>d2、かつd2<d3の関係を満足すれば、相応に得られる。これは、送電コイル4aの直径d1が受電コイル4bの直径d2よりも大きければ、補助コイル11との間の磁束を利用することができ、また、補助コイル11の直径d3が受電コイル4bの直径d2よりも大きければ、送電コイル4aとの間の磁束を利用することができるためである。
【0046】
ここで、補助コイル11の影響を調べる為に、微小電力によるVNA(ベクトルネットワークアナライザ)測定を行った結果について説明する。送電装置1の共振周波数f1、受電装置2の共振周波数f2は、共振容量として設けられた固定コンデンサの容量値により設定した。具体的には、f1=f2=12.1MHzとした。
【0047】
先ず、送電補助装置9の共振周波数f3を変化させたときの、送電側共振系の共振周波数の変化を調べた結果を示す。図3Aに、各コイルの配置の一例を示す。すなわち、送電コイル4aと補助コイル11を対向させて30mm長さの受電空間を形成するように配置し、ループコイル3aにVNA16を接続した。また、補助コイル11には調整用コンデンサ12として調整用可変コンデンサ12aを接続し、共振周波数f3を可変とした。
【0048】
この配置におけるVNA測定結果を図3Bに示す。図3Bは、横軸に送電補助装置9の共振周波数f3をとり、縦軸にVNA測定時における送電側共振系の共振周波数ftの値をプロットしたものである。また、共振周波数f3が、9MHz、12.1MHz及び16MHzの場合におけるVNA測定の出力波形図を図3Cに示す。
【0049】
例えば、f3をf1と同じ共振周波数(12.1MHz)に調整した場合には、図3C(b)の波形図に示すように、12.1MHzを中心にして二つの共振周波数が現れる(密結合)。左の低周波側の共振周波数をftL、右の高周波側の共振周波数をftHと記述する。図3Bには、低周波側の共振周波数ftLに対応する特性線と、高周波側の共振周波数ftHに対応する特性線が記載されている。
【0050】
送電補助装置9の共振周波数f3を9MHzから20MHzまで変化させていくと、低周波側の共振周波数ftLは徐々に高周波側へシフトして、最終的にはf1やf2と同じ12.1MHzに近づいていき、図3C(c)に示すように、信号も大きくなってくる。高周波側の共振周波数ftHも段々と高周波側へシフトしていくものの、低周波側の共振周波数ftLとの差が大きくなっていき、信号も小さくなりゼロに近づいていく。
【0051】
一方、共振周波数f3を低周波側へ変化させていくと、高周波側の共振周波数ftHが徐々に低周波側へシフトして、最終的にはf1と同じ12.1MHzに近づいてゆく。但し、信号は低周波側の共振周波数ftLの場合に比べると、図3C(a)に示すように、あまり大きくはならない。低周波側の共振周波数ftLも段々と低周波側へシフトしてゆき、高周波側の共振周波数ftHとの差が大きくなっていき、信号も小さくなりゼロに近づいていく。
【0052】
次に、各コイルを図4Aに示すように配置して、送電補助装置9の共振周波数f3を変化させたときの電力伝送効率の変化を調べた結果を示す。図4Aの配置は、図3Aの配置における送電コイル4aと補助コイル11の間の受電空間中に、受電コイル4bとループコイル3bを配置したものである。ループコイル3a、3bにVNA16を接続した。なお、ここで言う電力伝送効率とは、送電コイル4aと受電コイル4b間での数値であり、回路などの効率は含まない。
【0053】
この配置におけるVNA測定結果を図4Bに示す。図4Bにも、低周波側の共振周波数ftLに対応する特性線と、高周波側の共振周波数ftHに対応する特性線が記載されている。図4Bから判るように、例えば、f1=f2=f3=12.1MHzの場合(矢印で示す)には、電力伝送効率は約44%と小さい。f3をこれよりも大きくしていくと、低周波側の共振周波数ftLに対応する電力伝送効率が大きくなっていく。f3=16MHzの場合には約64%の電力伝送効率が得られる。
【0054】
以上のように、送電補助装置9の共振周波数f3をf1及びf2よりも大きくすることにより、電力伝送時の共振周波数ftを共振周波数f2に近づけることができ、それにより、その時の電力伝送効率も大きくできる。
【0055】
一方、共振周波数f3を低周波側へ変化させていくと、高周波側の共振周波数ftHに対応する電力伝送効率が大きくなっていく。f3=5MHzの場合には約46%の電力伝送効率が得られる。但し、低周波側の共振周波数ftLに対応する電力伝送効率の最大領域に比べると、高周波側の共振周波数ftHに対応する電力伝送効率の最大領域における値は小さい。
【0056】
図5及び図6は、共振周波数f1、f2、f3の関係の設定例に対する、送電側共振系の共振周波数ftの関係を示す図である。
【0057】
図5は、f1=f2に設定する場合を示す。この場合は、(a)に示すようにf1>f3の範囲でf3を適切に設定することにより、ftHをf2に一致させ、あるいは十分に近接させることができる。ftHをf2に十分に近接させるとは、図4Bに示したように、共振周波数ftがf2に一致している場合と実用上同等の電力伝送効率が得られる程度まで、共振周波数ftがf2に近接している状態にすることを意味する。なお、以下の記載において、共振周波数ftがf2に一致しているとは、共振周波数ftがf2に十分に近接している場合も含むものとする。図5(b)は、上述のように、f1=f2=f3に設定することにより、ftがf2に一致しない場合を示す。また、(c)に示すようにf1<f3の範囲でf3を適切に設定することにより、ftLをf2に一致させることができる(上述の例)。
【0058】
図6は、f1=f3に設定する場合を示す。ここで、f1=f3>f2の範囲においては、送電用共振コイル4aと補助コイル11との距離を適切に設定することにより、ftLをf2に一致させることができる。あるいは、図示しないが、f1=f3<f2の範囲においても、送電用共振コイル4aと補助コイル11との距離を適切に設定することにより、ftHをf2に一致させることができる。
【0059】
以上のように、送電補助装置9の共振周波数f3が受電装置2の共振周波数f2と異なっていれば(f3≠f2)、送電側共振系の共振周波数ftをf2に一致させる相応の効果が得られる。但し、f3>f2の関係を満足することが好ましい。
【0060】
次に、送電装置1に対して、受電装置2である例えば携帯型受電装置の裏表を間違って配置した場合の、本実施の形態による効果について調べた結果について説明する。携帯型受電装置の裏表を間違って置いた場合の特性を調べるために、図7A、図7Bに示すように、送電コイル4aに近い側に受電コイル4bを配置した場合と、図8A、図8Bに示すように、送電コイル4aに近い側に充電池8を配置した場合とについてVNA測定を行った。比較の為に、補助コイル11が無い従来と同じ構成(図7A、図8A)の場合と、補助コイル11を設けた実施例の構成(図7B、図8B)について測定を行った。
【0061】
VNA測定では、対向配置した送電コイル4aと補助コイル11の中心軸における相互間の距離を30mmで固定とし、両者のコイル間に受電装置2を配置して、送電コイル4aと受電コイル4bの間の距離Xを変化させて、コイル間の電力伝送効率を調べた。送電コイル4aと補助コイル11の直径は約70mm、受電コイル4bの直径は約20mmとした(両コイル4a、11の直径は、以降の他の実験でも同様である)。電力伝送時の送電側共振系の共振周波数ftL及び受電側の共振周波数f2が12.1MHzになるように、補助コイル11に取り付けた調整用可変コンデンサ12aを調整した。
【0062】
図7Cは、受電コイル4bが送電コイル4a側に配置された場合における、送電コイル4aと受電コイル4bの中心軸における相互間の距離に対する電力伝送効率の依存性を示す。補助コイル11が無い従来配置の場合(A)では、受電コイル4bの位置が送電コイル4aから遠くなるほど電力伝送効率が低下し、中心での共鳴コイル間距離(X)がX=25mmでは、X=5mmに対して伝送効率が約10%も低下している。それに比べて、補助コイル11を設けた本実施の形態の構成(B)ではX=25mmでも2〜3%の低下に留まっている。
【0063】
図8Cは、充電池8が送電コイル4a側に配置された場合における、送電コイル4aと充電池8の中心軸における相互間の距離Xに対する電力伝送効率の依存性を示す。補助コイル11が無い従来配置の場合(A)では、距離が近いX=5mmにおいても充電池8の影響を受け電力伝送効率が約数%と低い。更に充電池8の位置が送電コイル4aから遠ざかると電力伝送効率が大幅に低下し、X=25mmではX=5mmの値に比べて約30%も低下している。それに比べて補助コイル11を設けた本実施の形態の構成(B)では、X=25mmでも5%以内の低下である。これは受電コイル4bが送電コイル4a及び補助コイル11の直径よりも小さい為、対向配置した送電コイル4aと補助コイル11との間で磁束が流れやすく、結果的に電力伝送効率や電力伝送可能距離などの特性が従来配置構成に比べて向上したものと思われる。
【0064】
ここで図7Cと図8Cに示す結果について注目すべき点は、補助コイル11を設けて共振周波数を適合させることにより、送電コイル4aに対する受電装置2の受電に適する面の配置に関わらず、ほぼ平坦な距離依存性を示すということである。すなわち、図7C(B)のように、受電コイル4bが送電コイル4a側に配置された場合、または図8C(B)のように、受電装置2の充電池8が送電コイル4a側に配置された場合のどちらにおいても、対向配置した送電コイル4aと補助コイル11との間の空間に受電装置2がある限り、ほぼ平坦な距離依存性を示す。
【0065】
これによれば、従来の課題であった携帯型受電装置の裏表を間違って置いた場合においても、従来のように裏表を逆転させる操作を行うことなく、置いたそのままの状態で確実な電力伝送が可能である(片側伝送可能)。更に、受電装置2の後ろ側に送電補助装置9を配置し、電力伝送時における受電共振器の共振周波数f2と送電側共振系の共振周波数ftを合わせることにより、送電補助装置9が無い従来構成の場合に比べて、大幅に電力伝送可能距離を長くすることができる。
【0066】
また、従来、磁界共鳴型を利用した非接触電力伝送装置においては、送電共振器の共振周波数を例えば12.1MHzにした場合、受電共振器の共振周波数も12.1MHzにする必要があった。しかし、受電装置2が小さい場合には、受電コイル4bの形状も小さくなり(Lが小さくなる)、結果として受電装置2側で電力伝送時の共振周波数に合わせること難しい場合がある。これに対して、本実施の形態では、送電補助装置9の調整用コンデンサを制御することにより、送電側共振系と受電共振器の共振周波数を合わせることが可能となる。従って、受電共振器の共振周波数と送電共振器の共振周波数を合わせる手段を、受電装置2に設けることが不要になるなど、本実施の形態は、受電装置2が小さい場合に特に有効となる。
【0067】
次に、送電コイル4aの中心軸と受電コイル4bの中心軸が径方向にずれた場合の、電力伝送効率の変化を測定した実験の結果について、図9A、図9Bを参照して説明する。図9Aは、実験に用いた各コイルの配置を示す。軸方向における配置は、図7Bの場合と同様であり、受電コイル4bが送電コイル4aに近い側に配置されている。
【0068】
送電コイル4aと補助コイル11の中心軸における相互間の距離を30mm、送電コイル4aと受電コイル4bの相互間の距離を15mmで固定とした。送電コイル4aの中心軸と受電コイル4bの中心軸の間の径方向における距離Rを変化させて、送受電コイル4a、4b間の電力伝送効率をNVA16により測定した。
【0069】
図9Bに、送受電コイル4a、4b間の電力伝送効率の、送電コイル4aと受電コイル4bの中心軸間の径方向距離Rに対する依存性を示す。この実験結果から、径方向距離Rが20mm以下であれば、電力伝送効率が一定で高効率であることが判る。
【0070】
次に、送受電コイル4a、4b間の電力伝送効率の、送電補助装置9の共振周波数f3に対する依存性を、送受電コイル4a、4b間の距離を変化させて測定した結果について、図10A、図10Bを参照して説明する。図10Aは、実験に用いた各コイルの配置を示す。基本的には図9Aと同様の配置であるが、送電コイル4aと補助コイル11の距離を50mmと広くし、送電コイル4aから受電コイル4bまでの距離Xを変化させて、電力伝送効率の共振周波数f3に対する依存性を測定した。
【0071】
図10Bに、実験結果を示す。この結果から、距離Xの変化に伴う、電力伝送効率の共振周波数f3に対する依存性の変化が、低周波側の共振周波数ftLと高周波側の共振周波数ftHの間では大きく異なることが判る。特に、共振周波数ftLの方が、距離Xの変化に伴う電力伝送効率の差が少なく、実用上好ましいことが判る。
【0072】
次に、実際の受電装置における受電電力の、共振周波数f3に対する依存性を測定した結果について、図11A、図11Bを参照して説明する。図11Aは、実験に用いた電力伝送の各要素の配置を示す。各コイルの配置は、図10Aの場合と同様であるが、送電コイル4aに高周波電力ドライバー5を接続し、ループコイル3bに整流回路7を接続した。また、送電コイル4aと補助コイル11の距離を50mmと広くし、送電コイル4aから受電コイル4bまでの距離Xを変化させて、電力伝送を行い、整流回路7の出力電力を測定した。
【0073】
図11Bは、整流回路7の出力電力の、送受電コイル4a、4b間の距離Xに応じた共振周波数f3に対する依存性の変化を示す。この測定結果は、図10Bに示したVNA16による電力伝送効率の測定結果と同様の傾向を示している。図11Bの特性線は、図10Bに示した各々の距離Xでの共振周波数f3に対する依存性の特性線において、電力伝送効率が最も高い箇所に対応している。この図から、すべての距離Xにおいて、受電電力が同等でかつ高い共振周波数f3(=14MHz)が存在することが判る。
【0074】
共振周波数f3をこのような特定の値に設定することにより、距離Xの変化に関わらず、常に高い受電電力を得ることが可能である。但し、この場合でも、高周波電力ドライバー5の共振周波数f0が重要になってくる。すなわち、図5に示した設定の場合であれば、f0=f1=f2≠f3とすることが好ましく、より好ましくは、f0=f1=f2<f3とする。また、図6に示した設定の場合であれば、f0=f2=ft≠f1=f3とすることが好ましく、より好ましくは、f0=f2=ftL<f1=f3とする。
【0075】
次に、図11Aと同様の図12Aに示す配置での電力伝送について、共振周波数f3=14MHzで一定としたときの、受電電力の送受電コイル4a、4b間の距離Xに対する依存性を測定した結果について説明する。測定結果を示す図12Bから判るように、この場合は、距離Xに関わらず、受電電力は略一定である(変化幅が1割以内)。すなわち、共振周波数f3を、図11Bの実験結果に示されるような特定の周波数に設定することにより、距離Xが変化しても常に一定の受電電力が得られる。
【0076】
同様に、共振周波数f3=14MHzで一定としたときの、受電電力の距離Xに対する依存性を、受電装置の姿勢を図12Aの場合とは異ならせて行った結果について、図13A、図13Bを参照して説明する。すなわち、図13Aに示すように、充電池8を送電コイル4a側に配置し、送電コイル4aと充電池8の中心軸における相互間の距離Xを変化させた。共振周波数f3=14MHzで一定とし、受電電力の距離Xに対する依存性を測定した。測定結果を示す図13Bから判るように、この場合も、距離Xに関わらず、受電電力は略一定である(変化幅が1割以内)。
【0077】
次に、実際の受電装置における受電電力に対する、送電コイル4aの中心軸と受電コイル4bの中心軸の間の径方向のずれ量の影響を測定した結果について、図14A、図14Bを参照して説明する。測定に用いた図14Aに示す各要素の配置は、図11Aの配置と同様とである。送電コイル4aと受電コイル4bの径方向における距離R、及び送受電コイル4a、4b間の距離Xを変化させて測定を行った。
【0078】
図14Bに、送受電コイル4a、4b間の距離Xに応じた、受電電力の径方向距離Rに対する依存性の変化を示す。この図から判るように、距離X=50mm以下、径方向距離R=15mm以下(直径30mmの範囲内)の領域では、一様な受電電力が得られる(変化幅が1割程度)。
【0079】
<実施の形態2>
図15は、実施の形態2における非接触電力伝送装置を示す断面図である。この非接触電力伝送装置は、化粧箱タイプ(オルゴール型とも言う)をした筐体17と、開閉自在の蓋18を備え、筐体17の下側の内部に送電装置1が保持され、蓋18に送電補助装置9が保持されている。送電装置1の上部に受電装置2を置く為の台座19が設けられ、その台座19上に受電装置2(例えば、携帯電話や補聴器など)を装着することができる。そして蓋18を閉じることにより、送電装置1と送電補助装置9の間に受電装置2が配置される。この形態で非接触電力伝送が行われる。
【0080】
筐体17には、交流電源(AC100V)から受けた電力を電力伝送可能な電力に変換する高周波電力ドライバー5、インピーダンス整合を取るための制御回路20等が設けられている。また、送電装置1と送電補助装置9が配置された領域を包囲して、電磁シールド材21が配置されている。蓋18を閉じた状態では、送電装置1と送電補助装置9及び受電装置2の周囲は完全に電磁シールドされることになり、電力伝送時における電磁波が人体に影響することが防止され、安全である。
【0081】
磁界共鳴により電力を伝送する場合、実用に際して伝送周波数としては数MHz〜数100MHz帯を活用することが考えられる。電界共鳴型に比べて人体への影響が少ないとはいえ、送電パワーの値によっては人体への影響も考慮しなければならない。そこで本実施の形態のように、非接触電力伝送中に電磁波を外部に漏らさないために、送受電空間を囲むようにコイル全体を電磁波シールドすることが望ましい。即ち、化粧箱タイプの筐体においては、電磁気的に閉じられた空間内に、送電装置1及び受電装置2の共鳴コイルや、送電補助装置9の補助コイルを配置し、外部への電磁波の漏洩を防ぐ構成とする。
【0082】
筐体17の表面にはディスプレイやLEDなどの表示器22が必要に応じて設けられている。主に、携帯電話などの充電状態やメールなどの着信情報を表示するためである。また、筐体17にはインターロック用突起23が設けられており、受電装置2が受電空間に配置されたのち、蓋18を完全に閉めた状態でないと送電が始まらないように構成されている。
【0083】
共鳴型電力伝送においては、共振周波数において磁界強度が最大となる。また制御回路20は、受電装置2の位置や共振周波数が変わった時に、結合係数やQ値などを制御して高い伝送効率を得るための回路、受電装置2や送電補助装置9との情報のやり取りをするための回路、あるいは受電装置2の位置情報を得るための回路等を含んでもよい。
【0084】
本実施の形態の非接触電力伝送装置は、送電補助装置9に設けられている調整用コンデンサの設定により、電力伝送時における送電側共振系と受電共振器の共振周波数が合わされていることが特徴である。蓋18を閉じた状態で、補助コイル11が所定の位置に配置され、その状態で送電側共振系の共振周波数と受電共振器の共振周波数が同じになるように調整用コンデンサが調整されている。従って、蓋18をした時に直ちに充電を開始することが可能である。あるいは、蓋18を閉じた後に、調整用コンデンサが自動、あるいは手動で調整される構成とすることもできる。
【0085】
本実施の形態では、化粧箱タイプの筐体17を用いたが、他に、机の引き出し型などでも同様な効果が得られる。
【0086】
<実施の形態3>
図16は、実施の形態3における非接触電力伝送装置を示す断面図である。図15の構成と同様の要素については、同一の参照番号を付して説明の繰り返しを省略する。
【0087】
この非接触電力伝送装置は、筐体24が縦挿入型に構成された例である。すなわち、受電装置2を備えた装置の一例である携帯電話26を挿入する収容部は、筐体24の空洞部24aと蓋25の凹部25aにより形成されるが、空洞部24aは、携帯電話26を縦に挿入できる形態を有する。実施の形態2の場合と同様、インターロック機構27が設けられ、蓋25を完全に閉めた状態でないと送電が始まらないように構成されている。
【0088】
このような構成によれば、装置をハンディタイプにして携帯電話26等の受電装置を出し入れし易ようにすることができる。
【0089】
また、以上の実施の形態では、受電装置2として携帯電話などの小型の装置を例として説明したが、電気自動車などの大型の受電装置にも本発明を適用可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の非接触電力伝送装置は、受電装置が小さい場合においても、非接触電力伝送を、良好な状態で長い距離まで安定に行うことができるので、携帯電話や補聴器等の小型機器、TVや電気自動車などに対する非接触電力伝送に好適である。
【符号の説明】
【0091】
1 送電装置
2 受電装置
3a、3b ループコイル
4a 送電コイル
4b 受電コイル
5 高周波電力ドライバー
6 交流電源
7 整流回路
8 充電池
9 送電補助装置
10、13 共振容量
11 補助コイル
12 調整用コンデンサ
12a 調整用可変コンデンサ
14 電波吸収体
15 受電空間
16 VNA
17、24 筐体
18、25 蓋
19 台座
20 制御回路
21 電磁シールド材
22 表示器
23 インターロック用突起
24a 空洞部
25 凹部
26 携帯電話
27 インターロック機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電装置に具備された送電コイルと受電装置に具備された受電コイルを介して、非接触(ワイヤレス)で電力の伝送を行う非接触電力伝送装置及び非接触電力伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触で電力を伝送する方法として、電磁誘導(数100kHz)による電磁誘導型、電界または磁界共鳴を介したLC共振間伝送による電界・磁界共鳴型、電波(数GHz)によるマイクロ波送電型、あるいは可視光領域の電磁波(光)によるレーザ送電型が知られている。この中で既に実用化されているのは、電磁誘導型である。これは簡易な回路(トランス方式)で実現可能であるなどの優位性はあるが、送電距離が短いという課題もある。
【0003】
そこで、最近になって近距離伝送(〜2m)が可能な電界・磁界共鳴型の電力伝送が注目を浴びてきた。このうち、電界共鳴型の場合、伝送経路中に手などを入れると、人体が誘電体であるため、エネルギーを熱として吸収して誘電体損失を生じる。これに対して磁界共鳴型の場合、人体がエネルギーをほとんど吸収せず、誘電体損失を避けられる。この点から磁界共鳴型に対する注目度が上昇してきている。
【0004】
図17は、従来の磁界共鳴を利用した電力伝送装置の構成例の概略を示した正面図である。送電装置1は、ループコイル3aと送電コイル4a(送電用共鳴コイルとして動作)を組み合わせた送電コイルユニットを備えている。受電装置2は、ループコイル3bと受電コイル4b(受電用共鳴コイルとして動作)を組み合わせた受電コイルユニットを備えている。送電装置1のループコイル3aには高周波電力ドライバー5が接続され、交流電源(AC100V)6の電力を送電可能な高周波電力に変換して供給する。受電装置2のループコイル3bには、整流器7を介して負荷として例えば充電池8が接続されている。
【0005】
ループコイル3aは、高周波電力ドライバー5から供給される電気信号により励起され、電磁誘導により送電コイル4aに電気信号を伝送する誘電素子である。送電コイル4aはループコイル3aから出力された電気信号に基づいて磁界を発生させる。この送電コイル4aは、共振周波数f0=1/{2π(LC)1/2}(Lは送電側の送電コイル4aのインダクタンスで、Cは浮遊容量を示す)において磁界強度が最大となる。送電コイル4aに供給された電力は、磁界共鳴により受電コイル4bに非接触で伝送される。伝送された電力は、受電コイル4bから電磁誘導によりループコイル3bへ伝送され、整流器7により整流されて充電池8に供給される。この場合、送電コイル4aと受電コイル4bの共振周波数は同一に設定される。
【0006】
また、このような電磁誘導型や磁界共鳴型により非接触で電力を送受電する場合、送電コイルユニットに対して受電コイルユニットが適切に配置されていないと、効率良く電力を伝送することができない場合が多い。特に、携帯機器に受電装置2により充電される2次電池が搭載される場合には、受電コイルユニットと2次電池パックとの間に、電磁波の影響を少なくする為のシールド材(電波吸収体含む)が挿入されていることが多い。このようなケースでは、携帯型の受電コイルユニットの裏表を間違って置いた時には、送電コイルユニットと受電コイルユニットとの間にシールド材が介在することになり、伝送効率が大幅に低下し電力伝送が困難になる。
【0007】
そこで、特許文献1には、電力を供給する送電コイルユニットに対して、受電コイルユニットの受電に適する面が正しく対向しているか否かを検出する表裏検出部(磁気センサ使用)を設け、対向していない場合には使用者に通知するようにした充電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−207017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の技術においては、電力を供給する送電装置に対して受電装置の受電に適する面が正しく対向していない場合には、音などで使用者に通知するだけで、最終的には使用者が正しい位置に直す必要があり、操作が煩雑となっていた。しかも、特許文献1の技術では、受電装置側に磁気センサーを設けて表裏の判断をするため、受電装置の形状が小さい場合(耳入れタイプの補聴器など)には、受電装置内には充電機能以外の機能を付加することは困難である。
【0010】
また、送電コイルユニットに対して受電コイルユニットが小さい場合には、電力伝送効率低下、電力伝送可能距離の低下などが生じる。更に、送電コイルユニットと受電コイルユニット間の距離などの状態変化により結合係数などが変化した場合にも、共振周波数を合わせるために受電装置内に調整回路を設けることが望ましいが、上述のとおり、受電装置内に充電機能以外の機能を付加することは困難である。
【0011】
本発明は、このような従来技術における問題点を解決するものであり、送電装置に対して受電装置の受電に適する面が適正に対向していない等、送電コイルユニットに対して受電コイルユニットが適切に配置されていない場合であっても、受電装置内に調整回路を設けることなく効率的な電力伝送を可能とする非接触電力伝送装置及び非接触電力伝送方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、送電コイルユニットに対して受電コイルユニットの大きさが小さい場合においても、電力伝送効率の低下、電力伝送可能距離の低下などを抑制することが可能な非接触電力伝送装置及び非接触電力伝送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の非接触電力伝送装置は、送電コイル及び共振容量により構成された送電共振器を有する送電装置と、受電コイル及び共振容量により構成された受電共振器を有する受電装置とを備え、前記送電コイルと前記受電コイルの間の作用を介して前記送電装置から前記受電装置へ電力を伝送するように構成される。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の非接触電力伝送装置は、補助コイル及び共振容量により構成された補助共振器を有する送電補助装置を更に備え、前記送電補助装置と前記送電装置を互いに対向させて配置した状態で、前記送電コイルと前記補助コイルの間に、前記受電コイルを配置するための受電空間が形成されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の非接触電力伝送方法は、送電コイル及び共振容量により構成された送電共振器を有する送電装置と、受電コイル及び共振容量により構成された受電共振器を有する受電装置とを用い、前記送電コイルと前記受電コイルの間の作用を介して前記送電装置から前記受電装置へ電力を伝送する方法であって、補助コイル及び共振容量により構成された補助共振器を有する送電補助装置を更に用い、前記送電補助装置を前記送電装置と対向させて配置して、前記送電コイルと前記補助コイルの間に受電空間を形成し、前記受電空間内に前記受電コイルを配置して電力伝送を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、送電コイルと補助コイルの間に形成された受電空間に受電コイルを配置する構成により、受電装置に共振周波数を調整する手段を要することなく、送電装置と受電装置間の電力伝送効率の距離に対する依存性が、長い距離範囲に亘って平坦となり、電力伝送可能距離を拡大することができる。
【0017】
従って、送電装置に対して受電装置の受電に適する面が適正に対向していない等、送電コイルに対して受電コイルが適切に配置されていない場合であっても、効率的な電力伝送が可能である。また、送電コイルに対して受電コイルの大きさが小さい場合においても、電力伝送効率の低下、電力伝送可能距離の低下などを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1における非接触電力伝送装置の構成を示す模式断面図
【図2】同非接触電力伝送装置における受電装置の構成を示す模式断面図
【図3A】同非接触電力伝送装置の送電側共振系のVNA測定時における各要素の配置を示す模式断面図
【図3B】図3Aの配置で測定した送電側共振系の共振周波数の、補助共振器の共振周波数f3に対する依存性を示すグラフ
【図3C】図3Aの配置で行った、補助共振器の共振周波数f3の3つの値に対するVNA測定の出力波形図
【図4A】同非接触電力伝送装置のVNA測定時における各要素の配置を示す模式断面図
【図4B】図4Aの配置で測定した電力伝送効率の共振周波数f3に対する依存性を示すグラフ
【図5】同非接触電力伝送装置における送電共振器、受電共振器、及び補助共振器の共振周波数f1、f2、f3の関係の設定例に対する、送電側共振系の共振周波数ftL、ftHの関係を示す図
【図6】共振周波数f1、f2、f3の関係の他の設定例に対する、送電側共振系の共振周波数ftL、ftHの関係を示す図
【図7A】送電コイルと受電コイル間の距離に対する電力伝送効率の依存性の、受電装置の姿勢の相違に応じた変化を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図7B】図7Aの配置に補助コイルを加えた配置を示す模式断面図
【図7C】図7A及び図7Bの配置での、電力伝送効率の送受電コイル間の距離に対する依存性を示すグラフ
【図8A】受電装置の図7Aとは異なる姿勢での電力伝送効率の、送受電コイル間の距離に対する依存性を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図8B】図8Aの配置に補助コイルを加えた配置を示す模式断面図
【図8C】図8A及び図8Bの配置での電力伝送効率の、送受電コイル間の距離Xに対する依存性を示すグラフ
【図9A】送受電コイル間の電力伝送効率の、送電コイルと受電コイルの径方向のずれの距離に対する依存性を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図9B】図9Aの配置での電力伝送効率の、送受電コイルの径方向距離Rに対する依存性を示すグラフ
【図10A】共振周波数f3に対する電力伝送効率の依存性の、送受電コイル間の距離に応じた変化を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図10B】図10Aの配置での、送受電コイル間の距離Xに応じた共振周波数f3に対する電力伝送効率の依存性の変化を示すグラフ
【図11A】実際の受電装置での受電電力の、共振周波数f3に対する依存性を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図11B】図11Aの配置での受電電力の、送受電コイル間の距離Xに応じた共振周波数f3に対する依存性の変化を示すグラフ
【図12A】送受電コイル間の距離に対する受電電力の依存性を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図12B】図12Aの配置で共振周波数f3=14MHzとしたときの、受電電力の送受電コイル間の距離に対する依存性を示すグラフ
【図13A】通常とは異なる受電装置の姿勢での受電電力の、送受電コイル間の距離に対する依存性を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図13B】図13Aの配置で共振周波数f3=14MHzとしたときの受電電力の、送受電コイル間の距離に対する依存性を示すグラフ
【図14A】実際の受電装置での受電電力に対する、送電コイルと受電コイルの径方向のずれ量の影響を測定するための各要素の配置を示す模式断面図
【図14B】図13Aの配置での、送受電コイル4a、4b間の距離Xに応じた受電電力の径方向距離Rに対する依存性の変化を示すグラフ
【図15】実施の形態2における非接触電力伝送装置の構成を示す模式断面図
【図16】実施の形態3における非接触電力伝送装置の構成を示す模式断面図
【図17】従来技術における非接触電力伝送装置の構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、上記構成を基本として、以下のような態様を採ることができる。
【0020】
すなわち、上記構成の非接触電力伝送装置において、前記送電コイルと前記受電コイルの間の磁界共鳴を介して前記送電装置から前記受電装置へ電力を伝送するように構成することができる。
【0021】
また、前記送電共振器と前記補助共振器が構成する送電側共振系の共振周波数ftが、前記受電共振器の共振周波数f2と一致するように、前記補助共振器の共振周波数f3が設定されていることが好ましい。
【0022】
また前記送電補助装置の前記共振容量として調整用可変コンデンサを設け、前記調整用可変コンデンサを調整することにより前記補助共振器の共振周波数f3が設定される構成とすることができる。
【0023】
また、前記送電コイルの直径d1と、受電コイルの直径d2と、補助コイルの直径d3が、d1>d2、かつd2<d3の関係を満足することが好ましい。この関係を保っていれば電力伝送可能距離の増大等の効果が得られる。特に、d1=d3、かつd1>d2の関係を満足することが好ましい。それにより、伝送効率特性(受電可能範囲の拡大など)の向上について大きな効果が得られる。もちろん、円形のコイルに限らず、四角形のコイル等をそれぞれ配置した形態でも、同様の効果は得られる。
【0024】
また、前記送電コイルの中心軸と、前記補助コイルの中心軸と、前記受電コイルの中心軸が、同一軸上にあることが好ましい。
【0025】
また、前記送電共振器の共振周波数f1と、前記受電共振器の共振周波数f2と、前記補助共振器の共振周波数f3が、f1=f2<f3、またはf3<f1=f2の関係になるように設定された構成とすることができる。
【0026】
また、前記送電共振器の共振周波数f1と、前記受電共振器の共振周波数f2と、前記補助共振器の共振周波数f3が、f2<f1=f3、またはf1=f3<f2の関係になるように設定された構成とすることができる。
【0027】
また、前記送電装置及び前記送電補助装置を保持し、前記送電装置と前記送電補助装置の相互の位置関係を、前記受電空間が形成されるように設定することが可能な筐体を備え、前記受電装置を前記受電空間に対して着脱可能に装着することが可能であり、前記筐体に前記送電装置から前記受電装置への電力伝送状態を維持するためのインターロック機能を備え、電力伝送時には、前記送電コイルと前記受電コイルの周囲が電磁シールドされた状態になるように前記インターロック機能により維持されている構成とすることができる。
【0028】
この構成において、前記筐体に開閉自在の蓋を備え、前記筐体の蓋が閉まった状態で、前記送電コイルから前記受電コイルへ電力伝送を行うように構成することができる。
【0029】
上記構成の非接触電力伝送方法において、前記補助共振器を構成する共振容量として可変容量を用い、前記受電空間内に前記受電コイルを配置して前記可変容量を調整することにより、電力伝送の効率を調整することができる。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0031】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1における磁界共鳴型の非接触電力伝送装置の構成を示す模式断面図である。なお、図17に示した従来例の非接触電力伝送装置と同様の要素については、同一の参照番号を付して、説明の繰り返しを簡略化する。
【0032】
この非接触電力伝送装置は、従来例の送電装置1と受電装置2に送電補助装置9を加えて構成され、送電装置1と送電補助装置9の間の空間に受電装置2が配置された状態で非接触電力伝送を行うように構成されている。送電装置1は、交流電源(AC100V)の電力を送電可能な高周波電力に変換して電力を伝送し、受電装置2は電力を受け取る。送電補助装置9は、電力伝送時における、送電装置1に関わる共振系の共振周波数を、受電装置2の共振系の共振周波数に対して、適切な関係に設定する機能を有する。
【0033】
送電装置1は、送電用のループコイル3aと送電コイル4aが組合わされた送電コイルユニット、及び交流電源(AC100V)6の電力を送電可能な高周波電力に変換する高周波電力ドライバー5を備えている。場合によっては、送電用のループコイル3aは無くても良い。なお、本発明は、磁界共鳴に限らず、電磁誘導等による電力伝送装置にも適用可能であり、送電コイル4a及び後述の受電コイル4bは、電力伝送の方式に適合させたものが用いられる。
【0034】
送電コイル4aには共振容量10が接続されて、送電共振器を構成している。共振容量10としては、回路素子として可変コンデンサあるいは固定コンデンサを接続してもよいし、浮遊容量を利用した構成としてもよい。従って、以下の図では、共振容量10の図示を省略する。なお、以下の記載においては、送電共振器の単独での共振周波数f1を、図示との関係が判り易いように「送電装置1の共振周波数f1」と記述する。
【0035】
送電補助装置9は、補助コイル11と共振容量としての調整用コンデンサ12を有し、両要素により補助共振器が構成されている。なお、以下の記載においては、補助共振器の単独での共振周波数f3を、図示との関係が判り易いように「送電補助装置9の共振周波数f3」と記述する。調整用コンデンサ12は、容量値が後述のように設定された固定コンデンサを用いても、あるいは可変コンデンサを用いて常に再調整可能としてもよい。
【0036】
また図示は省略されているが、必要に応じて送電コイル4aの反射電力、共振周波数、流れる電流、あるいは電圧などをモニターする手段や、送電装置1、受電装置2及び送電補助装置9の相互間で情報のやり取りをするための回路等を含むことができる。そのような構成を採用する場合は、調整用コンデンサ12を可変コンデンサとし、容量値を自動的に制御可能とすることもできる。
【0037】
受電装置2には、図2に示すように、受電コイル4bとループコイル3bが組合わされた受電コイルユニットが配置されている。ループコイル3bで得られた電力は、少なくとも整流回路7を経由して充電池8に蓄えられる。受電コイル4bには共振容量13が接続されて、受電共振器を構成している。共振容量13としては、回路素子として可変コンデンサあるいは固定コンデンサを接続してもよいし、浮遊容量を利用した構成としてもよい。従って、以下の図では、共振容量13の図示を省略する。なお、以下の記載においては、受電共振器の単独での共振周波数f2を、図示との関係が判り易いように「受電装置2の共振周波数f2」と記述する。
【0038】
充電池8として小型電池(コイン電池など)を用いた場合には、ループコイル3bと充電池8を重ね合わせて設置面積を小さくするのが好ましい(例えば、コイルオン電池など)。この場合、ループコイル3bから充電池8に磁束が漏れて渦電流が発生し損失(渦電流損)となるので、このループコイル3bと充電池8の間に、伝送時の共振周波数において高透磁率を有する電波吸収体14を配置することが望ましい。この場合、トータルの厚さを薄くするために、電波吸収体14を挟んでループコイル3bと充電池8とを密着させても良い。
【0039】
図1に示したように、送電補助装置9と送電装置1を対向させて配置することにより、送電コイル4aと補助コイル11の間に受電空間15が形成され、その受電空間15に受電コイル4bを含む受電装置2が配置される。
【0040】
本実施の形態では、送電装置1におけるループコイル3aと送電コイル4aは、図17に示したものと機能は同じであるが、薄型化のために、直径1mm程度のCuコイル(被覆あり)を同一平面上にスパイラル状に巻いた平面コイルを用いる。更に、受電装置2におけるループコイル3bと受電コイル4bは、図17に示したものと機能は同じであるが、小型化のために、厚さ0.4mmの薄型プリント基板に、厚さ70μm程度のCu箔を同一平面上にスパイラル状に形成した薄膜コイルにより構成する。更に、基板の厚さを薄くするために、基板の両面に受電用のループコイル3bと受電コイル4bをそれぞれ別に形成しても良い。
【0041】
本実施の形態の非接触電力伝送装置の特徴である送電補助装置9の機能について、より詳細に説明する。上記構成によれば、送電コイル4aと補助コイル11の結合により、送電コイル4aを含む送電共振器と補助コイル11を含む補助共振器による共振系が構成され、以下の記載では、これを送電側共振系と称する。また、送電側共振系の共振周波数をftと記述する。
【0042】
本実施の形態における非接触電力伝送装置の図1に示した構成によれば、送電補助装置9が無い場合に比べて、後述するように、電力伝送可能距離を拡大させるなどの効果が得られる。これは、送電コイル4aに対して補助コイル11を対向配置することにより、送電コイル4aからの磁束の到達距離が長くなるためと思われる。これにより、送電装置1に対して受電装置2の受電に適する面が適正に対向していない等、送電コイル4aに対して受電コイル4bが適切に配置されていない場合であっても、受電装置2内に調整回路を設けることなく効率的な電力伝送が可能となる。
【0043】
一方、図1に示したような構成においては、送電装置1の共振周波数は、補助コイル11の磁気的な影響を受けて、初期に設定した単独の共振周波数f1とは異なっている。しかし、補助コイル11に接続される調整用コンデンサ12の容量値Cを調整して送電補助装置9の共振周波数f3を適切に設定することにより、送電側共振系の共振周波数ftを受電装置2の共振周波数f2と一致させることができる。これにより、送電コイル4aからの電力伝送効率を実用上十分な程度に維持して、電力伝送可能距離を拡大させるなどの効果が得られる。
【0044】
調整用コンデンサ12の容量値Cの設定は、共振周波数ftが共振周波数f2と一致するように行うことが望ましいが、完全に一致させなくとも相応の効果が得られる。すなわち、送電側共振系の共振周波数ftのピークが、送電装置1の共振周波数f1と比べて、受電装置2の共振周波数f2に近づくように、送電補助装置9の共振周波数f3を設定すればよい。このような調整による効果を十分に得るためには、送電補助装置9を構成する補助コイル11は、送電コイル4aの直径とほぼ同じとし、両者のコイルの中心軸もほぼ同軸に配置することが望ましい。
【0045】
但し、電力伝送可能距離の増大等の効果は、送電コイル4aの直径をd1、受電コイル4bの直径をd2、補助コイル11の直径をd3としたとき、d1>d2、かつd2<d3の関係を満足すれば、相応に得られる。これは、送電コイル4aの直径d1が受電コイル4bの直径d2よりも大きければ、補助コイル11との間の磁束を利用することができ、また、補助コイル11の直径d3が受電コイル4bの直径d2よりも大きければ、送電コイル4aとの間の磁束を利用することができるためである。
【0046】
ここで、補助コイル11の影響を調べる為に、微小電力によるVNA(ベクトルネットワークアナライザ)測定を行った結果について説明する。送電装置1の共振周波数f1、受電装置2の共振周波数f2は、共振容量として設けられた固定コンデンサの容量値により設定した。具体的には、f1=f2=12.1MHzとした。
【0047】
先ず、送電補助装置9の共振周波数f3を変化させたときの、送電側共振系の共振周波数の変化を調べた結果を示す。図3Aに、各コイルの配置の一例を示す。すなわち、送電コイル4aと補助コイル11を対向させて30mm長さの受電空間を形成するように配置し、ループコイル3aにVNA16を接続した。また、補助コイル11には調整用コンデンサ12として調整用可変コンデンサ12aを接続し、共振周波数f3を可変とした。
【0048】
この配置におけるVNA測定結果を図3Bに示す。図3Bは、横軸に送電補助装置9の共振周波数f3をとり、縦軸にVNA測定時における送電側共振系の共振周波数ftの値をプロットしたものである。また、共振周波数f3が、9MHz、12.1MHz及び16MHzの場合におけるVNA測定の出力波形図を図3Cに示す。
【0049】
例えば、f3をf1と同じ共振周波数(12.1MHz)に調整した場合には、図3C(b)の波形図に示すように、12.1MHzを中心にして二つの共振周波数が現れる(密結合)。左の低周波側の共振周波数をftL、右の高周波側の共振周波数をftHと記述する。図3Bには、低周波側の共振周波数ftLに対応する特性線と、高周波側の共振周波数ftHに対応する特性線が記載されている。
【0050】
送電補助装置9の共振周波数f3を9MHzから20MHzまで変化させていくと、低周波側の共振周波数ftLは徐々に高周波側へシフトして、最終的にはf1やf2と同じ12.1MHzに近づいていき、図3C(c)に示すように、信号も大きくなってくる。高周波側の共振周波数ftHも段々と高周波側へシフトしていくものの、低周波側の共振周波数ftLとの差が大きくなっていき、信号も小さくなりゼロに近づいていく。
【0051】
一方、共振周波数f3を低周波側へ変化させていくと、高周波側の共振周波数ftHが徐々に低周波側へシフトして、最終的にはf1と同じ12.1MHzに近づいてゆく。但し、信号は低周波側の共振周波数ftLの場合に比べると、図3C(a)に示すように、あまり大きくはならない。低周波側の共振周波数ftLも段々と低周波側へシフトしてゆき、高周波側の共振周波数ftHとの差が大きくなっていき、信号も小さくなりゼロに近づいていく。
【0052】
次に、各コイルを図4Aに示すように配置して、送電補助装置9の共振周波数f3を変化させたときの電力伝送効率の変化を調べた結果を示す。図4Aの配置は、図3Aの配置における送電コイル4aと補助コイル11の間の受電空間中に、受電コイル4bとループコイル3bを配置したものである。ループコイル3a、3bにVNA16を接続した。なお、ここで言う電力伝送効率とは、送電コイル4aと受電コイル4b間での数値であり、回路などの効率は含まない。
【0053】
この配置におけるVNA測定結果を図4Bに示す。図4Bにも、低周波側の共振周波数ftLに対応する特性線と、高周波側の共振周波数ftHに対応する特性線が記載されている。図4Bから判るように、例えば、f1=f2=f3=12.1MHzの場合(矢印で示す)には、電力伝送効率は約44%と小さい。f3をこれよりも大きくしていくと、低周波側の共振周波数ftLに対応する電力伝送効率が大きくなっていく。f3=16MHzの場合には約64%の電力伝送効率が得られる。
【0054】
以上のように、送電補助装置9の共振周波数f3をf1及びf2よりも大きくすることにより、電力伝送時の共振周波数ftを共振周波数f2に近づけることができ、それにより、その時の電力伝送効率も大きくできる。
【0055】
一方、共振周波数f3を低周波側へ変化させていくと、高周波側の共振周波数ftHに対応する電力伝送効率が大きくなっていく。f3=5MHzの場合には約46%の電力伝送効率が得られる。但し、低周波側の共振周波数ftLに対応する電力伝送効率の最大領域に比べると、高周波側の共振周波数ftHに対応する電力伝送効率の最大領域における値は小さい。
【0056】
図5及び図6は、共振周波数f1、f2、f3の関係の設定例に対する、送電側共振系の共振周波数ftの関係を示す図である。
【0057】
図5は、f1=f2に設定する場合を示す。この場合は、(a)に示すようにf1>f3の範囲でf3を適切に設定することにより、ftHをf2に一致させ、あるいは十分に近接させることができる。ftHをf2に十分に近接させるとは、図4Bに示したように、共振周波数ftがf2に一致している場合と実用上同等の電力伝送効率が得られる程度まで、共振周波数ftがf2に近接している状態にすることを意味する。なお、以下の記載において、共振周波数ftがf2に一致しているとは、共振周波数ftがf2に十分に近接している場合も含むものとする。図5(b)は、上述のように、f1=f2=f3に設定することにより、ftがf2に一致しない場合を示す。また、(c)に示すようにf1<f3の範囲でf3を適切に設定することにより、ftLをf2に一致させることができる(上述の例)。
【0058】
図6は、f1=f3に設定する場合を示す。ここで、f1=f3>f2の範囲においては、送電用共振コイル4aと補助コイル11との距離を適切に設定することにより、ftLをf2に一致させることができる。あるいは、図示しないが、f1=f3<f2の範囲においても、送電用共振コイル4aと補助コイル11との距離を適切に設定することにより、ftHをf2に一致させることができる。
【0059】
以上のように、送電補助装置9の共振周波数f3が受電装置2の共振周波数f2と異なっていれば(f3≠f2)、送電側共振系の共振周波数ftをf2に一致させる相応の効果が得られる。但し、f3>f2の関係を満足することが好ましい。
【0060】
次に、送電装置1に対して、受電装置2である例えば携帯型受電装置の裏表を間違って配置した場合の、本実施の形態による効果について調べた結果について説明する。携帯型受電装置の裏表を間違って置いた場合の特性を調べるために、図7A、図7Bに示すように、送電コイル4aに近い側に受電コイル4bを配置した場合と、図8A、図8Bに示すように、送電コイル4aに近い側に充電池8を配置した場合とについてVNA測定を行った。比較の為に、補助コイル11が無い従来と同じ構成(図7A、図8A)の場合と、補助コイル11を設けた実施例の構成(図7B、図8B)について測定を行った。
【0061】
VNA測定では、対向配置した送電コイル4aと補助コイル11の中心軸における相互間の距離を30mmで固定とし、両者のコイル間に受電装置2を配置して、送電コイル4aと受電コイル4bの間の距離Xを変化させて、コイル間の電力伝送効率を調べた。送電コイル4aと補助コイル11の直径は約70mm、受電コイル4bの直径は約20mmとした(両コイル4a、11の直径は、以降の他の実験でも同様である)。電力伝送時の送電側共振系の共振周波数ftL及び受電側の共振周波数f2が12.1MHzになるように、補助コイル11に取り付けた調整用可変コンデンサ12aを調整した。
【0062】
図7Cは、受電コイル4bが送電コイル4a側に配置された場合における、送電コイル4aと受電コイル4bの中心軸における相互間の距離に対する電力伝送効率の依存性を示す。補助コイル11が無い従来配置の場合(A)では、受電コイル4bの位置が送電コイル4aから遠くなるほど電力伝送効率が低下し、中心での共鳴コイル間距離(X)がX=25mmでは、X=5mmに対して伝送効率が約10%も低下している。それに比べて、補助コイル11を設けた本実施の形態の構成(B)ではX=25mmでも2〜3%の低下に留まっている。
【0063】
図8Cは、充電池8が送電コイル4a側に配置された場合における、送電コイル4aと充電池8の中心軸における相互間の距離Xに対する電力伝送効率の依存性を示す。補助コイル11が無い従来配置の場合(A)では、距離が近いX=5mmにおいても充電池8の影響を受け電力伝送効率が約数%と低い。更に充電池8の位置が送電コイル4aから遠ざかると電力伝送効率が大幅に低下し、X=25mmではX=5mmの値に比べて約30%も低下している。それに比べて補助コイル11を設けた本実施の形態の構成(B)では、X=25mmでも5%以内の低下である。これは受電コイル4bが送電コイル4a及び補助コイル11の直径よりも小さい為、対向配置した送電コイル4aと補助コイル11との間で磁束が流れやすく、結果的に電力伝送効率や電力伝送可能距離などの特性が従来配置構成に比べて向上したものと思われる。
【0064】
ここで図7Cと図8Cに示す結果について注目すべき点は、補助コイル11を設けて共振周波数を適合させることにより、送電コイル4aに対する受電装置2の受電に適する面の配置に関わらず、ほぼ平坦な距離依存性を示すということである。すなわち、図7C(B)のように、受電コイル4bが送電コイル4a側に配置された場合、または図8C(B)のように、受電装置2の充電池8が送電コイル4a側に配置された場合のどちらにおいても、対向配置した送電コイル4aと補助コイル11との間の空間に受電装置2がある限り、ほぼ平坦な距離依存性を示す。
【0065】
これによれば、従来の課題であった携帯型受電装置の裏表を間違って置いた場合においても、従来のように裏表を逆転させる操作を行うことなく、置いたそのままの状態で確実な電力伝送が可能である(片側伝送可能)。更に、受電装置2の後ろ側に送電補助装置9を配置し、電力伝送時における受電共振器の共振周波数f2と送電側共振系の共振周波数ftを合わせることにより、送電補助装置9が無い従来構成の場合に比べて、大幅に電力伝送可能距離を長くすることができる。
【0066】
また、従来、磁界共鳴型を利用した非接触電力伝送装置においては、送電共振器の共振周波数を例えば12.1MHzにした場合、受電共振器の共振周波数も12.1MHzにする必要があった。しかし、受電装置2が小さい場合には、受電コイル4bの形状も小さくなり(Lが小さくなる)、結果として受電装置2側で電力伝送時の共振周波数に合わせること難しい場合がある。これに対して、本実施の形態では、送電補助装置9の調整用コンデンサを制御することにより、送電側共振系と受電共振器の共振周波数を合わせることが可能となる。従って、受電共振器の共振周波数と送電共振器の共振周波数を合わせる手段を、受電装置2に設けることが不要になるなど、本実施の形態は、受電装置2が小さい場合に特に有効となる。
【0067】
次に、送電コイル4aの中心軸と受電コイル4bの中心軸が径方向にずれた場合の、電力伝送効率の変化を測定した実験の結果について、図9A、図9Bを参照して説明する。図9Aは、実験に用いた各コイルの配置を示す。軸方向における配置は、図7Bの場合と同様であり、受電コイル4bが送電コイル4aに近い側に配置されている。
【0068】
送電コイル4aと補助コイル11の中心軸における相互間の距離を30mm、送電コイル4aと受電コイル4bの相互間の距離を15mmで固定とした。送電コイル4aの中心軸と受電コイル4bの中心軸の間の径方向における距離Rを変化させて、送受電コイル4a、4b間の電力伝送効率をNVA16により測定した。
【0069】
図9Bに、送受電コイル4a、4b間の電力伝送効率の、送電コイル4aと受電コイル4bの中心軸間の径方向距離Rに対する依存性を示す。この実験結果から、径方向距離Rが20mm以下であれば、電力伝送効率が一定で高効率であることが判る。
【0070】
次に、送受電コイル4a、4b間の電力伝送効率の、送電補助装置9の共振周波数f3に対する依存性を、送受電コイル4a、4b間の距離を変化させて測定した結果について、図10A、図10Bを参照して説明する。図10Aは、実験に用いた各コイルの配置を示す。基本的には図9Aと同様の配置であるが、送電コイル4aと補助コイル11の距離を50mmと広くし、送電コイル4aから受電コイル4bまでの距離Xを変化させて、電力伝送効率の共振周波数f3に対する依存性を測定した。
【0071】
図10Bに、実験結果を示す。この結果から、距離Xの変化に伴う、電力伝送効率の共振周波数f3に対する依存性の変化が、低周波側の共振周波数ftLと高周波側の共振周波数ftHの間では大きく異なることが判る。特に、共振周波数ftLの方が、距離Xの変化に伴う電力伝送効率の差が少なく、実用上好ましいことが判る。
【0072】
次に、実際の受電装置における受電電力の、共振周波数f3に対する依存性を測定した結果について、図11A、図11Bを参照して説明する。図11Aは、実験に用いた電力伝送の各要素の配置を示す。各コイルの配置は、図10Aの場合と同様であるが、送電コイル4aに高周波電力ドライバー5を接続し、ループコイル3bに整流回路7を接続した。また、送電コイル4aと補助コイル11の距離を50mmと広くし、送電コイル4aから受電コイル4bまでの距離Xを変化させて、電力伝送を行い、整流回路7の出力電力を測定した。
【0073】
図11Bは、整流回路7の出力電力の、送受電コイル4a、4b間の距離Xに応じた共振周波数f3に対する依存性の変化を示す。この測定結果は、図10Bに示したVNA16による電力伝送効率の測定結果と同様の傾向を示している。図11Bの特性線は、図10Bに示した各々の距離Xでの共振周波数f3に対する依存性の特性線において、電力伝送効率が最も高い箇所に対応している。この図から、すべての距離Xにおいて、受電電力が同等でかつ高い共振周波数f3(=14MHz)が存在することが判る。
【0074】
共振周波数f3をこのような特定の値に設定することにより、距離Xの変化に関わらず、常に高い受電電力を得ることが可能である。但し、この場合でも、高周波電力ドライバー5の共振周波数f0が重要になってくる。すなわち、図5に示した設定の場合であれば、f0=f1=f2≠f3とすることが好ましく、より好ましくは、f0=f1=f2<f3とする。また、図6に示した設定の場合であれば、f0=f2=ft≠f1=f3とすることが好ましく、より好ましくは、f0=f2=ftL<f1=f3とする。
【0075】
次に、図11Aと同様の図12Aに示す配置での電力伝送について、共振周波数f3=14MHzで一定としたときの、受電電力の送受電コイル4a、4b間の距離Xに対する依存性を測定した結果について説明する。測定結果を示す図12Bから判るように、この場合は、距離Xに関わらず、受電電力は略一定である(変化幅が1割以内)。すなわち、共振周波数f3を、図11Bの実験結果に示されるような特定の周波数に設定することにより、距離Xが変化しても常に一定の受電電力が得られる。
【0076】
同様に、共振周波数f3=14MHzで一定としたときの、受電電力の距離Xに対する依存性を、受電装置の姿勢を図12Aの場合とは異ならせて行った結果について、図13A、図13Bを参照して説明する。すなわち、図13Aに示すように、充電池8を送電コイル4a側に配置し、送電コイル4aと充電池8の中心軸における相互間の距離Xを変化させた。共振周波数f3=14MHzで一定とし、受電電力の距離Xに対する依存性を測定した。測定結果を示す図13Bから判るように、この場合も、距離Xに関わらず、受電電力は略一定である(変化幅が1割以内)。
【0077】
次に、実際の受電装置における受電電力に対する、送電コイル4aの中心軸と受電コイル4bの中心軸の間の径方向のずれ量の影響を測定した結果について、図14A、図14Bを参照して説明する。測定に用いた図14Aに示す各要素の配置は、図11Aの配置と同様とである。送電コイル4aと受電コイル4bの径方向における距離R、及び送受電コイル4a、4b間の距離Xを変化させて測定を行った。
【0078】
図14Bに、送受電コイル4a、4b間の距離Xに応じた、受電電力の径方向距離Rに対する依存性の変化を示す。この図から判るように、距離X=50mm以下、径方向距離R=15mm以下(直径30mmの範囲内)の領域では、一様な受電電力が得られる(変化幅が1割程度)。
【0079】
<実施の形態2>
図15は、実施の形態2における非接触電力伝送装置を示す断面図である。この非接触電力伝送装置は、化粧箱タイプ(オルゴール型とも言う)をした筐体17と、開閉自在の蓋18を備え、筐体17の下側の内部に送電装置1が保持され、蓋18に送電補助装置9が保持されている。送電装置1の上部に受電装置2を置く為の台座19が設けられ、その台座19上に受電装置2(例えば、携帯電話や補聴器など)を装着することができる。そして蓋18を閉じることにより、送電装置1と送電補助装置9の間に受電装置2が配置される。この形態で非接触電力伝送が行われる。
【0080】
筐体17には、交流電源(AC100V)から受けた電力を電力伝送可能な電力に変換する高周波電力ドライバー5、インピーダンス整合を取るための制御回路20等が設けられている。また、送電装置1と送電補助装置9が配置された領域を包囲して、電磁シールド材21が配置されている。蓋18を閉じた状態では、送電装置1と送電補助装置9及び受電装置2の周囲は完全に電磁シールドされることになり、電力伝送時における電磁波が人体に影響することが防止され、安全である。
【0081】
磁界共鳴により電力を伝送する場合、実用に際して伝送周波数としては数MHz〜数100MHz帯を活用することが考えられる。電界共鳴型に比べて人体への影響が少ないとはいえ、送電パワーの値によっては人体への影響も考慮しなければならない。そこで本実施の形態のように、非接触電力伝送中に電磁波を外部に漏らさないために、送受電空間を囲むようにコイル全体を電磁波シールドすることが望ましい。即ち、化粧箱タイプの筐体においては、電磁気的に閉じられた空間内に、送電装置1及び受電装置2の共鳴コイルや、送電補助装置9の補助コイルを配置し、外部への電磁波の漏洩を防ぐ構成とする。
【0082】
筐体17の表面にはディスプレイやLEDなどの表示器22が必要に応じて設けられている。主に、携帯電話などの充電状態やメールなどの着信情報を表示するためである。また、筐体17にはインターロック用突起23が設けられており、受電装置2が受電空間に配置されたのち、蓋18を完全に閉めた状態でないと送電が始まらないように構成されている。
【0083】
共鳴型電力伝送においては、共振周波数において磁界強度が最大となる。また制御回路20は、受電装置2の位置や共振周波数が変わった時に、結合係数やQ値などを制御して高い伝送効率を得るための回路、受電装置2や送電補助装置9との情報のやり取りをするための回路、あるいは受電装置2の位置情報を得るための回路等を含んでもよい。
【0084】
本実施の形態の非接触電力伝送装置は、送電補助装置9に設けられている調整用コンデンサの設定により、電力伝送時における送電側共振系と受電共振器の共振周波数が合わされていることが特徴である。蓋18を閉じた状態で、補助コイル11が所定の位置に配置され、その状態で送電側共振系の共振周波数と受電共振器の共振周波数が同じになるように調整用コンデンサが調整されている。従って、蓋18をした時に直ちに充電を開始することが可能である。あるいは、蓋18を閉じた後に、調整用コンデンサが自動、あるいは手動で調整される構成とすることもできる。
【0085】
本実施の形態では、化粧箱タイプの筐体17を用いたが、他に、机の引き出し型などでも同様な効果が得られる。
【0086】
<実施の形態3>
図16は、実施の形態3における非接触電力伝送装置を示す断面図である。図15の構成と同様の要素については、同一の参照番号を付して説明の繰り返しを省略する。
【0087】
この非接触電力伝送装置は、筐体24が縦挿入型に構成された例である。すなわち、受電装置2を備えた装置の一例である携帯電話26を挿入する収容部は、筐体24の空洞部24aと蓋25の凹部25aにより形成されるが、空洞部24aは、携帯電話26を縦に挿入できる形態を有する。実施の形態2の場合と同様、インターロック機構27が設けられ、蓋25を完全に閉めた状態でないと送電が始まらないように構成されている。
【0088】
このような構成によれば、装置をハンディタイプにして携帯電話26等の受電装置を出し入れし易ようにすることができる。
【0089】
また、以上の実施の形態では、受電装置2として携帯電話などの小型の装置を例として説明したが、電気自動車などの大型の受電装置にも本発明を適用可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の非接触電力伝送装置は、受電装置が小さい場合においても、非接触電力伝送を、良好な状態で長い距離まで安定に行うことができるので、携帯電話や補聴器等の小型機器、TVや電気自動車などに対する非接触電力伝送に好適である。
【符号の説明】
【0091】
1 送電装置
2 受電装置
3a、3b ループコイル
4a 送電コイル
4b 受電コイル
5 高周波電力ドライバー
6 交流電源
7 整流回路
8 充電池
9 送電補助装置
10、13 共振容量
11 補助コイル
12 調整用コンデンサ
12a 調整用可変コンデンサ
14 電波吸収体
15 受電空間
16 VNA
17、24 筐体
18、25 蓋
19 台座
20 制御回路
21 電磁シールド材
22 表示器
23 インターロック用突起
24a 空洞部
25 凹部
26 携帯電話
27 インターロック機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電コイル及び共振容量により構成された送電共振器を有する送電装置と、
受電コイル及び共振容量により構成された受電共振器を有する受電装置とを備え、
前記送電コイルと前記受電コイルの間の作用を介して前記送電装置から前記受電装置へ電力を伝送する非接触電力伝送装置において、
補助コイル及び共振容量により構成された補助共振器を有する送電補助装置を更に備え、
前記送電補助装置と前記送電装置を互いに対向させて配置した状態で、前記送電コイルと前記補助コイルの間に、前記受電コイルを配置するための受電空間が形成されることを特徴とする非接触電力伝送装置。
【請求項2】
前記送電コイルと前記受電コイルの間の磁界共鳴を介して前記送電装置から前記受電装置へ電力を伝送するように構成された請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項3】
前記送電共振器と前記補助共振器が構成する送電側共振系の共振周波数ftが、前記受電共振器の共振周波数f2と一致するように、前記補助共振器の共振周波数f3が設定されている請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項4】
前記送電補助装置の前記共振容量として調整用可変コンデンサを設け、前記調整用可変コンデンサを調整することにより前記補助共振器の共振周波数f3が設定される請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項5】
前記送電コイルの直径d1と、受電コイルの直径d2と、補助コイルの直径d3が、d1>d2、かつd2<d3の関係を満足する請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項6】
d1=d3、かつd1>d2の関係を満足する請求項5記載の非接触電力伝送装置。
【請求項7】
前記送電コイルの中心軸と、前記補助コイルの中心軸と、前記受電コイルの中心軸が、同一軸上にある請求項5記載の非接触電力伝送装置。
【請求項8】
前記送電共振器の共振周波数f1と、前記受電共振器の共振周波数f2と、前記補助共振器の共振周波数f3が、f1=f2<f3、またはf3<f1=f2の関係になるように設定された請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項9】
前記送電共振器の共振周波数f1と、前記受電共振器の共振周波数f2と、前記補助共振器の共振周波数f3が、f2<f1=f3、またはf1=f3<f2の関係になるように設定された請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項10】
前記送電装置及び前記送電補助装置を保持し、前記送電装置と前記送電補助装置の相互の位置関係を、前記受電空間が形成されるように設定することが可能な筐体を備え、
前記受電装置を前記受電空間に対して着脱可能に装着することが可能であり、
前記筐体に前記送電装置から前記受電装置への電力伝送状態を維持するためのインターロック機能を備え、
電力伝送時には、前記送電コイルと前記受電コイルの周囲が電磁シールドされた状態になるように前記インターロック機能により維持されている請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項11】
前記筐体に開閉自在の蓋を備え、前記筐体の蓋が閉まった状態で、前記送電コイルから前記受電コイルへ電力伝送を行うように構成された請求項10記載の非接触電力伝送装置。
【請求項12】
送電コイル及び共振容量により構成された送電共振器を有する送電装置と、受電コイル及び共振容量により構成された受電共振器を有する受電装置とを用い、前記送電コイルと前記受電コイルの間の作用を介して前記送電装置から前記受電装置へ電力を伝送する非接触電力伝送方法において、
補助コイル及び共振容量により構成された補助共振器を有する送電補助装置を更に用い、
前記送電補助装置を前記送電装置と対向させて配置して、前記送電コイルと前記補助コイルの間に受電空間を形成し、前記受電空間内に前記受電コイルを配置して電力伝送を行うことを特徴とする非接触電力伝送方法。
【請求項13】
前記補助共振器を構成する共振容量として可変容量を用い、
前記受電空間内に前記受電コイルを配置して前記可変容量を調整することにより、電力伝送の効率を調整する請求項12に記載の非接触電力伝送方法。
【請求項1】
送電コイル及び共振容量により構成された送電共振器を有する送電装置と、
受電コイル及び共振容量により構成された受電共振器を有する受電装置とを備え、
前記送電コイルと前記受電コイルの間の作用を介して前記送電装置から前記受電装置へ電力を伝送する非接触電力伝送装置において、
補助コイル及び共振容量により構成された補助共振器を有する送電補助装置を更に備え、
前記送電補助装置と前記送電装置を互いに対向させて配置した状態で、前記送電コイルと前記補助コイルの間に、前記受電コイルを配置するための受電空間が形成されることを特徴とする非接触電力伝送装置。
【請求項2】
前記送電コイルと前記受電コイルの間の磁界共鳴を介して前記送電装置から前記受電装置へ電力を伝送するように構成された請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項3】
前記送電共振器と前記補助共振器が構成する送電側共振系の共振周波数ftが、前記受電共振器の共振周波数f2と一致するように、前記補助共振器の共振周波数f3が設定されている請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項4】
前記送電補助装置の前記共振容量として調整用可変コンデンサを設け、前記調整用可変コンデンサを調整することにより前記補助共振器の共振周波数f3が設定される請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項5】
前記送電コイルの直径d1と、受電コイルの直径d2と、補助コイルの直径d3が、d1>d2、かつd2<d3の関係を満足する請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項6】
d1=d3、かつd1>d2の関係を満足する請求項5記載の非接触電力伝送装置。
【請求項7】
前記送電コイルの中心軸と、前記補助コイルの中心軸と、前記受電コイルの中心軸が、同一軸上にある請求項5記載の非接触電力伝送装置。
【請求項8】
前記送電共振器の共振周波数f1と、前記受電共振器の共振周波数f2と、前記補助共振器の共振周波数f3が、f1=f2<f3、またはf3<f1=f2の関係になるように設定された請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項9】
前記送電共振器の共振周波数f1と、前記受電共振器の共振周波数f2と、前記補助共振器の共振周波数f3が、f2<f1=f3、またはf1=f3<f2の関係になるように設定された請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項10】
前記送電装置及び前記送電補助装置を保持し、前記送電装置と前記送電補助装置の相互の位置関係を、前記受電空間が形成されるように設定することが可能な筐体を備え、
前記受電装置を前記受電空間に対して着脱可能に装着することが可能であり、
前記筐体に前記送電装置から前記受電装置への電力伝送状態を維持するためのインターロック機能を備え、
電力伝送時には、前記送電コイルと前記受電コイルの周囲が電磁シールドされた状態になるように前記インターロック機能により維持されている請求項1記載の非接触電力伝送装置。
【請求項11】
前記筐体に開閉自在の蓋を備え、前記筐体の蓋が閉まった状態で、前記送電コイルから前記受電コイルへ電力伝送を行うように構成された請求項10記載の非接触電力伝送装置。
【請求項12】
送電コイル及び共振容量により構成された送電共振器を有する送電装置と、受電コイル及び共振容量により構成された受電共振器を有する受電装置とを用い、前記送電コイルと前記受電コイルの間の作用を介して前記送電装置から前記受電装置へ電力を伝送する非接触電力伝送方法において、
補助コイル及び共振容量により構成された補助共振器を有する送電補助装置を更に用い、
前記送電補助装置を前記送電装置と対向させて配置して、前記送電コイルと前記補助コイルの間に受電空間を形成し、前記受電空間内に前記受電コイルを配置して電力伝送を行うことを特徴とする非接触電力伝送方法。
【請求項13】
前記補助共振器を構成する共振容量として可変容量を用い、
前記受電空間内に前記受電コイルを配置して前記可変容量を調整することにより、電力伝送の効率を調整する請求項12に記載の非接触電力伝送方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−85436(P2013−85436A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−283803(P2011−283803)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
[ Back to top ]