非接触電力送電装置、非接触電力受電装置、及び非接触給電システム
【課題】接触に電力授受を行う非接触電力送電装置、非接触電力受電装置、及び非接触給電システムの装置を提供する。
【解決手段】非接触電力送電装置10は、受電コイル220と、該受電コイルに電気的に並列に接続された固定容量コンデンサ230と、を備える受電装置20に対して、電磁誘導により非接触で電力を送電する非接触電力送電装置である。当該非接触電力送電装置は、交流電力を発生させる交流電源110と、該交流電源に電気的に接続された送電コイル120と、該送電コイルに電気的に直列に接続された可変容量コンデンサ130と、交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように可変容量コンデンサの容量値を制御する容量制御手段140と、を備える。
【解決手段】非接触電力送電装置10は、受電コイル220と、該受電コイルに電気的に並列に接続された固定容量コンデンサ230と、を備える受電装置20に対して、電磁誘導により非接触で電力を送電する非接触電力送電装置である。当該非接触電力送電装置は、交流電力を発生させる交流電源110と、該交流電源に電気的に接続された送電コイル120と、該送電コイルに電気的に直列に接続された可変容量コンデンサ130と、交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように可変容量コンデンサの容量値を制御する容量制御手段140と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触に電力授受を行う非接触電力送電装置、非接触電力受電装置、及び非接触給電システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば交流電源で駆動される一次コイル(送電コイル)に電気的に直列に接続された直列コンデンサと、二次コイル(受電コイル)に電気的に並列に接続された並列コンデンサと、を備える非接触給電装置が提案されている。この方式は、一次直列・二次並列共振コンデンサ方式と呼ばれる。この方式では、二次側の並列コンデンサの容量値Cpは、電源の駆動周波数(ω0とする)において励磁リアクタンスx0と二次側の漏洩リアクタンスx2との和と共振する値に設定され(式1)、一次側の直列コンデンサの容量値Csは、駆動周波数において一次側の力率が1となるように設定される(式2)(特許文献1参照)。
【0003】
【数1】
(式1)
【0004】
【数2】
(式2)
或いは、受電回路のインダクタンスが変化した場合にその補正を行うために、受電回路に、固定容量の共振コンデンサと、スイッチングの時間率で容量が変化する可変容量コンデンサと、が設けられた装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/029438号
【特許文献2】特開2004−72832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1及び2に記載の技術が、例えば電気自動車に搭載されるバッテリの充電に適用された場合、典型的には、給電側回路(一次コイル)は地面に埋め込まれ、受電側回路(二次コイル)は電気自動車の下部に搭載される。このため、給電側回路と受電側回路との間の距離は、電気自動車の車高によって変化することとなる。また、運転者が電気自動車を停車させた位置により、給電側回路と受電側回路との間に水平方向の位置ずれが発生する可能性がある。
【0007】
上記特許文献1に記載の技術において、並列コンデンサの容量値Cp、及び直列コンデンサの容量値Csを設定する上記二つの式(式1)及び(式2)を、一次コイル及び二次コイル各々の自己インダクタンスL1及びL2、一次コイル及び二次コイル間の相互インダクタンスLmを用いて変形すると、下記(式3)及び(式4)のように表わされる。尚、この変形では、一次コイル及び二次コイル間の磁気的な結合の度合いを表わす係数(即ち、結合係数)をkとして、Lm=k√(L1×L2)の関係を用いている。
【0008】
【数3】
(式3)
【0009】
【数4】
(式4)
(式3)より、並列コンデンサの要領値Cpは二次コイルの自己インダクタンスL2と電源の駆動周波数とで決定されることが分かる。他方、(式4)より、直列コンデンサの容量値Csは一次コイルの自己インダクタンスL1と駆動周波数に加えて、一次コイル及び二次コイル間の結合係数kに依存していることが分かる。従って、直列コンデンサの容量値Csをある設計値に固定してしまうと、電気自動車のバッテリの充電に適用された場合で述べたように、給電側回路と受電側回路との間の距離が設計値からずれた場合や、給電側回路と受電側回路との間に水平方向の位置ずれが発生した場合では、一次コイル及び二次コイル間の結合係数が変化してしまうため、給電効率が著しく低下する可能性があるという技術的問題点がある。他方、上記特許文献2に記載の技術のように、受電側回路に、コイルと電気的に並列に接続された可変容量コンデンサを設けると、給電側回路の電源の利用効率が低下する可能性があるという技術的問題点がある。
【0010】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、給電側回路と受電側回路との間の距離に依らずに、また、給電側回路と受電側回路との間に水平方向の位置ずれが発生しても、効率良く電力伝送を行うことができる非接触電力送電装置、非接触電力受電装置、及び非接触給電システムを提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の非接触電力送電装置は、上記課題を解決するために、受電コイルと、前記受電コイルに電気的に並列に接続された固定容量コンデンサと、を備える受電装置に対して、電磁誘導により非接触で電力を送電する非接触電力送電装置であって、交流電力を発生させる交流電源と、前記交流電源に電気的に接続された送電コイルと、前記送電コイルに電気的に直列に接続された可変容量コンデンサと、前記交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように前記可変容量コンデンサの容量値を制御する容量制御手段と、を備えて構成される。つまり、当該非接触電力送電装置は、所謂一次直列・二次並列共振コンデンサ方式の非接触給電システムを構成する非接触電力送電装置である。
【0012】
ここで、受電装置における固定容量コンデンサの容量値は、駆動周波数において受電コイルに係る自己インダクタンスと共振するように決定される。他方、送電装置において送電コイルと電気的に直列に接続された直列コンデンサの容量値は、上記駆動周波数において送電装置側(即ち、一次側)の力率が1となるように決定される(式1参照)。
【0013】
この直列コンデンサの容量値は、送電コイル及び受電コイル間の磁気的な結合の度合い(結合係数)に応じて最適値が変化する(式4参照)。すると、送電コイル及び受電コイル間の距離を一の値に設定して、上記駆動周波数において送電装置側の力率が1となるように直列コンデンサの容量値が決定されたとしても、実際の送電コイル及び受電コイル間の距離が上記一の値からずれたり、送電コイルと受電コイルとの間に水平方向の位置ずれが発生したりすると力率が1より小さくなってしまう(つまり、電源の利用効率が低下してしまう)。
【0014】
そこで本発明では、可変容量コンデンサが、送電コイルに電気的に直列に接続されると共に、例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる容量制御手段により、交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように(即ち、力率が1に近づくように)可変容量コンデンサの容量値が制御される。
【0015】
この結果、本発明の非接触電力送電装置によれば、送電コイル及び受電コイル間の距離が変化したり、水平方向の位置ずれが発生したりしても、つまり送電コイル及び受電コイル間の結合の度合い(結合係数)が変化しても、効率良く電力伝送を行うことができる。
【0016】
本発明の非接触電力送電装置の一態様では、前記送電コイルと前記受電コイルとの磁気的な結合の度合いを推定する結合推定手段を更に備え、前記容量制御手段は、前記推定された磁気的な結合の度合いに基づいて、前記可変容量コンデンサの容量値を制御する。
【0017】
この態様によれば、例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる結合推定手段は、送電コイルと受電コイルとの磁気的な結合の度合い(結合係数)を推定する。直列コンデンサの最適な容量値は(式4)に示すように結合係数に依存しているので、この態様によれば、交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように可変容量コンデンサの容量値を制御することができる。
【0018】
結合推定手段を備える態様では、前記結合推定手段は、前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離を測定する距離測定手段と、前記距離と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記測定された距離を前記結合係数に変換する変換手段と、を有してよい。
【0019】
このように構成すれば、比較的容易にして磁気的な結合の度合いを推定することができ、実用上非常に有利である。
【0020】
或いは、結合推定手段を備える態様では、前記結合推定手段は、前記受電装置における受電側電圧値及び受電側電流値の少なくとも一方を取得する取得手段と、前記交流電力の電圧値である送電側電圧値、及び前記交流電力の電流値である送電側電流値の少なくとも一方を検出する検出手段と、前記取得された受電側電圧値及び受電側電流値の少なくとも一方と、前記検出された送電側電圧値及び送電側電流値の少なくとも一方と、に基づいて電力伝送効率を算出する算出手段と、前記電力伝送効率と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記算出された電力伝送効率を前記結合係数に変換する変換手段と、を有してよい。
【0021】
このように構成すれば、比較的容易にして磁気的な結合の度合いを推定することができ、実用上非常に有利である。
【0022】
或いは、結合推定手段を備える態様では、前記受電装置は移動体に搭載されており、前記結合推定手段は、前記移動体の種別を取得する種別取得手段と、前記種別と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記取得された種別を前記結合係数に変換する変換手段と、を有してよい。
【0023】
このように構成すれば、当該非接触電力送電装置を、例えば電気自動車等の移動体に適用した場合に、比較的容易にして磁気的な結合の度合いを推定することができる。
【0024】
或いは、結合推定手段を備える態様では、前記結合推定手段は、前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離を測定する距離測定手段と、前記送電コイルの前記受電コイルに対向する面に沿う方向における前記送電コイルの前記受電コイルに対する位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出手段と、前記距離及び前記位置ずれ量と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記測定された距離及び前記検出された位置ずれ量を、前記結合係数に変換する変換手段と、を有してよい。
【0025】
このように構成すれば、比較的容易にして磁気的な結合の度合いを推定することができ、実用上非常に有利である。
【0026】
本発明の非接触電力送電装置の他の態様では、前記交流電力の電圧位相を検出する電圧位相検出手段と、前記交流電力の電流位相を検出する電流位相検出手段と、を更に備え、前記容量制御手段は、前記検出された電圧位相及び前記検出された電流位相間の位相差が小さくなるように、前記可変容量コンデンサの容量値を制御する。
【0027】
この態様によれば、比較的容易にして、交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように可変容量コンデンサの容量値を制御することができる。
【0028】
本発明の非接触電力送電装置の他の態様では、前記送電コイルと前記受電コイルとの結合係数を算出する結合係数算出手段を更に備え、前記容量制御手段は、前記算出された結合係数に基づいて、前記可変容量コンデンサの容量値を制御する。
【0029】
この態様によれば、比較的容易にして、交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように可変容量コンデンサの容量値を制御することができる。
【0030】
本発明の非接触電力受電装置は、上記課題を解決するために、交流電流を発生させる交流電源と、前記交流電源に電気的に接続された送電コイルと、前記送電コイルに電気的に並列に接続された固定容量コンデンサと、を備える送電装置から、電磁誘導により非接触で電力を受電する非接触電力受電装置であって、受電コイルと、前記受電コイルに電気的に直列に接続された可変容量コンデンサと、前記交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように前記可変容量コンデンサの容量値を制御する容量制御手段と、を備えて構成される。つまり、当該非接触電力受電装置は、所謂一次並列・二次直列共振コンデンサ方式の非接触給電システムを構成する非接触電力受電装置である。
【0031】
本発明の非接触電力受電装置では特に、容量制御手段により、送電装置における交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように(即ち、送電装置側の力率が1となるように)、可変容量コンデンサの容量値が制御される。この結果、本発明の非接触電力受電装置によれば、送電コイル及び受電コイル間の磁気的な結合の度合い(結合係数)が変化しても、効率良く電力伝送を行うことができる。
【0032】
尚、本発明の非接触電力受電装置においても、上述した本発明の非接触電力送電装置の各種態様と同様の各種態様を採ることができる。
【0033】
本発明の非接触給電システムは、上記課題を解決するために、交流電流を発生させる交流電源と、前記交流電源に電気的に接続された送電コイルと、前記送電コイルから電磁誘導により非接触で電力を受電する受電コイルと、を備える非接触給電システムであって、前記送電コイル及び前記受電コイルの一方に電気的に並列に接続された固定容量コンデンサと、前記送電コイル及び前記受電コイルの他方に電気的に直列に接続された可変容量コンデンサと、前記交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように前記可変容量コンデンサの容量値を制御する容量制御手段と、を備える。
【0034】
本発明の非接触電力送電システムによれば、上述した本発明の非接触電力送電装置及び非接触電力受電装置と同様に、送電コイル及び受電コイル間の磁気的な結合の度合い(結合係数)が変化しても、効率良く電力伝送を行うことができる。
【0035】
尚、本発明の非接触給電システムにおいても、上述した本発明の非接触電力送電装置の各種態様と同様の各種態様を採ることができる。
【0036】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る可変容量コンデンサの一例を示す概念図である。
【図3】比較例に係る非接触給電システムの構成を示す回路図である。
【図4】一次側電圧V1、二次側電圧V2、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の一例である。
【図5】一次側電圧V1、二次側電圧V2、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の他の一例である。
【図6】一次側電圧V1、二次側電圧V2、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の他の一例である。
【図7】結合係数と電源有効利用効率との関係の一例を示す特性図である。
【図8】一次側電圧V1、二次側電圧V2、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の他の一例である。
【図9】一次側電圧V1、二次側電圧V2、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の他の一例である。
【図10】第2実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【図11】第3実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【図12】第4実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【図13】第5実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【図14】第6実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【図15】第7実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の非接触給電システムに係る実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、以下の図では、本発明に直接関係する部材のみを示し、その他の部材については図示を省略している。
【0039】
<第1実施形態>
本発明の非接触給電システムの第1実施形態について、図1乃至図9を参照して説明する。
【0040】
(非接触給電システムの構成)
本実施形態に係る非接触給電システムの構成について、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【0041】
図1において、非接触給電システム1は、送電装置10及び受電装置20を備えて構成されている。
【0042】
送電装置10は、(i)交流電力を発生させる交流電源(図示せず)を含む送電回路110と、(ii)該送電回路110に電気的に接続された送電コイル120と、(iii)該送電コイル120に電気的に直列に接続された可変容量コンデンサ130と、(iv)該可変容量コンデンサ130の容量値を制御する容量制御部140と、(v)送電コイル120と、後述する受電コイル220との結合の度合いを示す結合係数を推定する結合係数推定部150と、を備えて構成されている。
【0043】
結合係数推定部150は、送電コイル120及び受電コイル220間の距離を測定する距離センサ151と、該距離センサ151により測定された距離を結合係数に変換する距離−結合係数変換部152と、を備えて構成されている。
【0044】
ここで、距離−結合係数変換部152には、予め、距離と結合係数との対応関係を示す情報が記憶されている。そして、距離−結合係数変換部152は、距離と結合係数との対応関係を示す情報に基づいて、距離センサ151により測定された距離を結合係数に変換する。尚、距離と結合係数との対応関係を示す情報は、実験又はシミュレーションにより、例えば、送電コイル120及び受電コイル220間の距離と、送電コイル120の自己インダクタンス及び漏れインダクタンスと、の関係を求め、該求められた関係に基づいて構築すればよい。
【0045】
可変容量コンデンサ130は、例えば図2に示すように、複数の固定容量コンデンサ各々をスイッチング素子により並列加算可能に構成されている。このように構成すれば、例えば0.01μF(マイクロファラド)から0.15μFまで、0.01μF刻みで可変することができる。図2は、第1実施形態に係る可変容量コンデンサの一例を示す概念図である。
【0046】
尚、可変容量コンデンサ130は、図2に示した構成に限らず、例えば、回転軸を回すことにより静電容量を変更可能なコンデンサ(所謂、バリコン)と、該コンデンサの回転軸を回転させるステッピングモータと、で構成されてもよい。
【0047】
再び図1に戻り、受電装置20は、例えばバッテリ等の負荷210と、該負荷210に電気的に接続された受電コイル220と、該受電コイル220に電気的に並列に接続された固定容量コンデンサ230と、を備えて構成されている。
【0048】
(発明の効果)
次に、可変容量コンデンサ130を、送電コイル120に電気的に直列に接続することによる効果について、図3乃至図9を参照して説明する。図3は、比較例に係る非接触給電システムの構成を示す回路図である。
【0049】
図3において、一次側(即ち、送電装置)は、交流電源ACと、該交流電源ACに電気的に接続された一次コイルL1と、該一次コイルL1に電気的に直列に接続された直列コンデンサCsと、を備えて構成されている。尚、一次側の損失抵抗はR1であるとする。
【0050】
他方、二次側(即ち、受電装置)は、負荷抵抗RLと、該負荷抵抗RLに電気的に接続された二次コイルL2と、該二次コイルL2に電気的に並列に接続された並列コイルCpと、を備えて構成されている。尚、二次側の損失抵抗はR2であるとする。
【0051】
直列コンデンサCs及び並列コンデンサCpが共に固定容量コンデンサである場合、先ず、並列コンデンサCpの容量値は、二次コイルの自己インダクタンスL2と電源の駆動周波数を基にして、上記(式3)に従って決定される。続いて、直列コンデンサCsの容量値は、一次コイルと二次コイルとの間の距離を所定の値にした上で、相互インダクタンス若しくは結合係数を測定して、上記(式4)に従って決定される。
【0052】
尚、(式3)及び(式4)に従って並列コンデンサCpの容量値、直列コンデンサCsの容量値が決定されることで、一次側の力率=1とすることができるが、送電回路にインバータを用いる場合は、スイッチングロスの低減を目的としてソフトスイッチング方式が採用される場合がある。この場合には、実用上故意に力率=1の状態から若干ずらせて動作させるようにすることがある。本発明の記載では「力率=1となるように」との表現を用いているが、その程度のずれを許容して実装することも本発明に含めるものとする。
【0053】
ここでは、一次コイルL1及び二次コイルL2間の結合係数を0.46(一次コイルL1及び二次コイルL2間の距離が10cm(センチメートル)である場合に相当)として、直列コンデンサCs及び並列コンデンサCp各々の容量値が決定されているとする。電源の駆動周波数を95kHz、一次コイル及び二次コイル各々の自己インダクタンスL1及びL2を共に36μHとした場合、Cs=0.1μF、Cp=0.078μFとなる。
【0054】
上述の如く構成された比較例に係る非接触給電システムにおいて、一次コイルL1及び二次コイルL2間の距離が10cm(即ち、結合係数が0.46)である場合、一次側電圧V1、一次側電流I1、二次側電圧V2及び二次側電流I2各々の時間変動は、例えば図4のようになる。図4上段は、一次側電圧V1及び二次側電圧V2各々の時間変動の一例であり、図4下段は、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の一例である。
【0055】
図4で注目すべき点は、一次側電圧V1の位相と、一次側電流I1の位相とが一致しており、一次側の力率が1となっていることである。このため、電源有効利用効率(即ち、二次側有効電力/一次皮相電力×100)は、95.1%となる。
【0056】
比較例に係る非接触給電システムにおいて、一次コイルL1及び二次コイルL2間の距離が10cmより大きくなり、結合係数が0.2となった場合、一次側電圧V1、一次側電流I1、二次側電圧V2及び二次側電流I2各々の時間変動は、例えば図5のようになる。図5上段は、図4上段と同趣旨の、一次側電圧V1及び二次側電圧V2各々の時間変動の他の一例であり、図5下段は、図4下段と同趣旨の、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の他の一例である。
【0057】
図5で注目すべき点は、一次側電流I1の位相が、一次側電圧V1の位相よりも、約65度遅れていることである。このため、一次側の力率は0.41まで低下し、電源有効利用効率も34.7%まで低下する。
【0058】
或いは、比較例に係る非接触給電システムにおいて、一次コイルL1及び二次コイルL2間の距離が10cmより小さく、結合係数が0.7となった場合、一次側電圧V1、一次側電流I1、二次側電圧V2及び二次側電流I2各々の時間変動は、例えば図6のようになる。図6上段は、図4上段と同趣旨の、一次側電圧V1及び二次側電圧V2各々の時間変動の他の一例であり、図6下段は、図4下段と同趣旨の、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の他の一例である。
【0059】
図6で注目すべき点は、一次側電流I1の位相が、一次側電圧V1の位相よりも、約17度進んでいることである。このため、一次側の力率は0.96まで低下し、電源有効利用効率も92.3%まで低下する。
【0060】
結合係数と電源有効利用効率との関係を図7に示す。図7は、結合係数と電源有効利用効率との関係の一例を示す特性図である。図7において、実線は、本実施形態に係る非接触給電システムの結合係数と電源有効利用効率との関係の一例を示しており、破線は、比較例に係る非接触給電システムの結合係数と電源有効利用効率との関係の一例を示している。
【0061】
非接触給電システムが、例えば電気自動車に搭載されるバッテリの充電システムに適用される場合、典型的には、一次側は地面に埋め込まれ、二次側は電気自動車の下部に搭載される。そして、非接触給電システムの設計段階では、設計者側が予め何らかの基準(例えば、当該非接触給電システムを搭載する予定の電気自動車の車高情報等)によって設定した、一次コイルL1及び二次コイルL2間の距離における結合係数を用いて、直列コンデンサCsの容量値が決定される。
【0062】
すると、一次コイルL1及び二次コイルL2間の距離が、設計値より大きくなった場合、即ち、結合係数が設計値より小さくなった場合、図7に破線で示すように、電源有効利用効率が著しく低下する可能性がある。
【0063】
しかるに本実施形態に係る非接触給電システム1では、容量制御部140により、結合係数推定部150で推定された結合係数に基づいて、交流電源(即ち、一次側)の電圧位相と電流位相との位相差が小さくなるように、言い換えれば、一次側の力率が1に近づくように、可変容量コンデンサ130の容量値が制御される。このため、図7に実線で示すように、送電コイル120及び受電コイル220間の距離(即ち、一次コイルL1及び二次コイルL2間の距離に相当)が、設計値からずれたとしても、電源有効利用効率の低下を抑制することができる。
【0064】
具体的には、図5を用いて説明した場合のように、一次コイル及び二次コイル間の距離が設計値の10cmより大きくなり、結合係数が0.2まで下がった場合、一次側の直列コンデンサの容量値を、上記(式4)に従ってCs=0.082に変更する。このときの一次側電圧V1、一次側電流I1、二次側電圧V2及び二次側電流I2各々の時間変動は、例えば図8のようになる。図8で注目すべきは一次側電圧V1の位相と、一次側電流I1の位相とが一致しており、一次側の力率が1となっている点である。このとき、電源有効利用効率は85.1%まで改善した。
【0065】
他方、図6を用いて説明した場合のように、一次コイル及び二次コイル間の距離が設計値の10cmより小さくなり、結合係数が0.7まで上がった場合、一次側の直列コンデンサの容量値を、上記(式4)に従ってCs=0.15に変更する。このときの一次側電圧V1、一次側電流I1、二次側電圧V2及び二次側電流I2各々の時間変動は、例えば図9のようになる。図9で注目すべきは一次側電圧V1の位相と、一次側電流I1の位相とが一致しており、一次側の力率が1となっている点である。このとき、電源有効利用効率は96.3%まで改善した。
【0066】
図8及び図9の上段は、図4上段と同趣旨の、一次側電圧V1及び二次側電圧V2各々の時間変動の他の一例であり、図8及び図9の下段は、図4下段と同趣旨の、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の他の一例である。
【0067】
本実施形態に係る「送電装置10」、「容量制御部140」、「結合係数推定部150」、「距離センサ151」及び「距離−結合係数変換部152」は、夫々、本発明に係る「非接触電力送電装置」、「容量制御手段」、「結合推定手段」、「距離測定手段」及び「変換手段」の一例である。
【0068】
<第2実施形態>
本発明の非接触給電システムに係る第2実施形態を、図10を参照して説明する。第2実施形態では、非接触給電システムの構成が一部異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第2実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図10を参照して説明する。図10は、図1と同趣旨の、第2実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【0069】
図10において、結合係数推定部150は、例えば、送電コイル120の受電コイル220と対向する面上、且つ該送電コイル120の中心近傍に配設された撮像デバイス154と、該撮像デバイス154により撮像された画像に基づいて、送電コイル120の中心と受電コイル220の中心との位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出部153と、距離センサ151により測定された距離、及び位置ずれ量検出部153により検出された位置ずれ量に基づいて、結合係数を求める距離・位置ずれ量−結合係数変換部155と、を更に備えて構成されている。
【0070】
受電装置20には、位置決め用のマーク220mが設けられている。例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ、光学センサ等である撮像デバイス154は、該マーク220mを撮像し、位置ずれ量検出部153は、撮像されたマーク220mに基づいて、位置ずれ量を検出する。
【0071】
距離・位置ずれ量−結合係数変換部155には、距離及び位置ずれ量の各々が変化した場合に、送電コイル120及び受電コイル220間の結合係数がどのような値をとるかを記録した情報(ルックアップテーブル)が記憶されている。距離・位置ずれ量−結合係数変換部155は、距離センサ151により測定された距離、及び位置ずれ量検出部153により検出された位置ずれ量に基づいて、該ルックアップテーブルから対応する結合係数を求める。
【0072】
容量制御部140は、距離・位置ずれ量−結合係数変換部155により求められた結合係数と、上記(式4)とに従って、可変容量コンデンサ130の容量値を設定する。
【0073】
本実施形態に係る「位置ずれ量検出部153」は、本発明に係る「位置ずれ量検出手段」の一例である。本実施形態に係る「距離・位置ずれ量−結合係数変換部155」は、本発明に係る「変換手段」の他の一例である。
【0074】
<第3実施形態>
本発明の非接触給電システムに係る第3実施形態を、図11を参照して説明する。第3実施形態では、非接触給電システムの構成が一部異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第3実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図11を参照して説明する。図11は、図1と同趣旨の、第3実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【0075】
図11において、受電装置20は、該受電装置20における電圧値を測定する電圧センサ241と、該受電装置20における電流値を測定する電流センサ242と、測定された電圧値及び電流値を、送電装置10に対して送信する無線インターフェイス(I/F)部243と、を更に備えて構成されている。
【0076】
他方、送電装置10は、交流電力の電圧値を検出する電圧センサ161と、該交流電力の電流値を検出する電流センサ162と、無線インターフェイス部163と、電力伝送効率を算出する効率算出部164と、該算出された電力伝送効率を結合係数に変換する効率−結合係数変換部165と、を更に備えて構成されている。
【0077】
効率算出部164は、電圧センサ161により検出された電圧値、及び電流センサ162により検出された電流値の少なくとも一方と、無線インターフェイス部163を介して取得された受電装置20における電圧値及び電流値の少なくとも一方と、に基づいて電力伝送効率を算出する。
【0078】
効率−結合係数変換部165は、予め、電力伝送効率と結合係数との対応関係を示す情報が記憶されている。そして、効率−結合係数変換部165は、電力伝送効率と結合係数との対応関係を示す情報に基づいて、算出された電力伝送効率を結合係数に変換する。尚、電力伝送効率と結合係数との対応関係を示す情報は、一次直列コンデンサの値を所定の値に固定した上で、実験又はシミュレーションにより、例えば、電力伝送効率と、送電コイル120の自己インダクタンス及び漏れインダクタンスと、の関係を一次コイル及び二次コイルの間の距離を変えながら求め、該求められた関係に基づいて構築すればよい。
【0079】
本実施形態に係る「電圧センサ161」及び「電流センサ162」は、本発明に係る「検出手段」の一例である。本実施形態に係る「無線インターフェイス部163」及び「効率算出部164」は、夫々、本発明に係る「取得手段」及び「算出手段」の一例である。本実施形態に係る「効率−結合係数変換部165」は、本発明に係る「変換手段」の他の一例である。
【0080】
<第4実施形態>
本発明の非接触給電システムに係る第4実施形態を、図12を参照して説明する。第4実施形態では、非接触給電システムの構成が一部異なる以外は、第3実施形態の構成と同様である。よって、第4実施形態について、第3実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図12を参照して説明する。図12は、図1と同趣旨の、第4実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【0081】
図12において、受電装置20は、受電コイル220の開放又は短絡を可能とする二次コイル開放・短絡部244を更に備えて構成されている。
【0082】
他方、送電装置10は、(i)インダクタンス測定部166と、(ii)無線インターフェイス部163を介して、二次コイル開放・短絡部244を制御すると共に、インダクタンス測定部166を制御する結合係数計測制御部167と、(iii)インダクタンス測定部166により測定されたインダクタンスに基づいて結合係数を算出する結合係数算出部168と、を更に備えて構成されている。
【0083】
本実施形態における結合係数を求める方法は、JIS−C5321に規定された結合係数の測定方法に基づく方法である。
【0084】
具体的には例えば、先ず、結合係数計測制御部167は、無線インターフェイス部163を介して、受電コイル220が開放となるように、二次コイル開放・短絡部244を制御する。この際、インダクタンス測定部166により送電コイル120のインダクタンス値(Lopen)が計測される。
【0085】
次に、結合係数計測制御部167は、無線インターフェイス部163を介して、受電コイル220が短絡となるように、二次コイル開放・短絡部244を制御する。この際、インダクタンス測定部166により送電コイル120のインダクタンス値(Lshort)が計測される。
【0086】
次に、結合係数算出部168は、計測された二つのインダクタンス値(“Lopen”及び“Lshort”)に基づいて、下記(式5)に従って、結合係数を算出する。
【0087】
【数5】
(式5)
容量制御部140は、結合係数算出部168により算出された結合係数を用いて、上記(式4)に従って、可変容量コンデンサ130の容量値を設定する。
【0088】
<第5実施形態>
本発明の非接触給電システムに係る第5実施形態を、図13を参照して説明する。第5実施形態では、非接触給電システムの構成が一部異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第5実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図13を参照して説明する。図13は、図1と同趣旨の、第5実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。第5実施形態では特に、受電装置20は、本発明に係る「移動体」の一例としての、電気自動車に搭載されているものとする。
【0089】
図13において、受電装置20は、(i)該受電装置20が搭載される電気自動車に係る情報を格納するデータベース250と、(ii)該データベース250に格納された情報のうち、少なくとも電気自動車の車種を示す情報を、送電装置10に対して送信する無線インターフェイス部243と、を更に備えて構成されている。
【0090】
他方、送電装置10は、無線インターフェイス部163と、複数の車種各々に係る情報を予め格納するデータベース172と、車種に係る情報に基づいて結合係数を求める車種−結合係数変換部171と、を更に備えて構成されている。
【0091】
車種−結合係数変換部171は、無線インターフェイス部163を介して取得された受電装置20が搭載される電気自動車の車種を示す情報に基づいて、データベース172に格納された複数の車種各々に係る情報から、該当する車種に係る情報(例えば、車高値)を取得して、該取得された情報に基づいて結合係数を求める。
【0092】
データベース172は、例えば無線LAN(Local Area Network)等により、例えばインターネット等の外部ネットワーク173上に設けられたサーバ装置(図示せず)にアクセスして、格納されている複数の車種各々に係る情報の少なくとも一部を更新可能に構成されている。
【0093】
本実施形態に係る「無線インターフェイス部163」は、本発明に係る「種別取得手段」の一例であり、本実施形態に係る「車種−結合係数変換部171」は、本発明に係る「変換手段」の他の一例である。
【0094】
<第6実施形態>
本発明の非接触給電システムに係る第6実施形態を、図14を参照して説明する。第6実施形態では、非接触給電システムの構成が一部異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第4実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図14を参照して説明する。図14は、図1と同趣旨の、第6実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【0095】
図14において、送電装置10は、交流電力の電圧値を検出する電圧センサ161と、該交流電力の電流値を検出する電流センサ162と、電圧値の位相と電流値の位相との間の位相差を算出する位相差算出部180と、を更に備えて構成されている。
【0096】
容量制御部140は、位相差算出部180により算出された位相差が小さくなるように、可変容量コンデンサ130の容量値を制御する。
【0097】
本実施形態に係る「位相差算出部180」は、本発明に係る「電圧位相検出手段」及び「電流位相検出手段」の一例である。
【0098】
<第7実施形態>
本発明の非接触給電システムに係る第7実施形態を、図15を参照して説明する。第7実施形態では、非接触給電システムの構成が一部異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第7実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図15を参照して説明する。図15は、図1と同趣旨の、第7実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【0099】
図15において、非接触給電システム2は、送電装置11及び受電装置21を備えて構成されている。
【0100】
送電装置11は、送電回路110と、該送電回路110に電気的に接続された送電コイル120と、該送電コイル120に電気的に並列に接続された固定容量コンデンサ190と、を備えて構成されている。
【0101】
受電装置21は、(i)負荷210と、(ii)該負荷210と電気的に接続された受電コイル220と、(iii)該受電コイル220に電気的に直列に接続された可変容量コンデンサ261と、(iv)該受電装置21が搭載される電気自動車に係る情報を格納するデータベース250と、(v)該データベース250に格納された情報のうち、該電気自動車の車種を示す情報に基づいて結合係数を求める車種−結合係数変換部263と、(vi)該求められた変換係数に基づいて可変容量コンデンサ261の容量値を制御する容量制御部262と、を備えて構成されている。
【0102】
本実施形態に係る「受電装置21」は、本発明に係る「非接触電力受電装置」の一例である。
【0103】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う非接触電力送電装置、非接触電力受電装置、及び非接触電力送電システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0104】
1、2…非接触給電システム、10、11…送電装置、20、21…受電装置、110…送電回路、120…送電コイル、130、261…可変容量コンデンサ、140、262…容量制御部、190、230…固定容量コンデンサ、210…負荷、220…受電コイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触に電力授受を行う非接触電力送電装置、非接触電力受電装置、及び非接触給電システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば交流電源で駆動される一次コイル(送電コイル)に電気的に直列に接続された直列コンデンサと、二次コイル(受電コイル)に電気的に並列に接続された並列コンデンサと、を備える非接触給電装置が提案されている。この方式は、一次直列・二次並列共振コンデンサ方式と呼ばれる。この方式では、二次側の並列コンデンサの容量値Cpは、電源の駆動周波数(ω0とする)において励磁リアクタンスx0と二次側の漏洩リアクタンスx2との和と共振する値に設定され(式1)、一次側の直列コンデンサの容量値Csは、駆動周波数において一次側の力率が1となるように設定される(式2)(特許文献1参照)。
【0003】
【数1】
(式1)
【0004】
【数2】
(式2)
或いは、受電回路のインダクタンスが変化した場合にその補正を行うために、受電回路に、固定容量の共振コンデンサと、スイッチングの時間率で容量が変化する可変容量コンデンサと、が設けられた装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/029438号
【特許文献2】特開2004−72832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1及び2に記載の技術が、例えば電気自動車に搭載されるバッテリの充電に適用された場合、典型的には、給電側回路(一次コイル)は地面に埋め込まれ、受電側回路(二次コイル)は電気自動車の下部に搭載される。このため、給電側回路と受電側回路との間の距離は、電気自動車の車高によって変化することとなる。また、運転者が電気自動車を停車させた位置により、給電側回路と受電側回路との間に水平方向の位置ずれが発生する可能性がある。
【0007】
上記特許文献1に記載の技術において、並列コンデンサの容量値Cp、及び直列コンデンサの容量値Csを設定する上記二つの式(式1)及び(式2)を、一次コイル及び二次コイル各々の自己インダクタンスL1及びL2、一次コイル及び二次コイル間の相互インダクタンスLmを用いて変形すると、下記(式3)及び(式4)のように表わされる。尚、この変形では、一次コイル及び二次コイル間の磁気的な結合の度合いを表わす係数(即ち、結合係数)をkとして、Lm=k√(L1×L2)の関係を用いている。
【0008】
【数3】
(式3)
【0009】
【数4】
(式4)
(式3)より、並列コンデンサの要領値Cpは二次コイルの自己インダクタンスL2と電源の駆動周波数とで決定されることが分かる。他方、(式4)より、直列コンデンサの容量値Csは一次コイルの自己インダクタンスL1と駆動周波数に加えて、一次コイル及び二次コイル間の結合係数kに依存していることが分かる。従って、直列コンデンサの容量値Csをある設計値に固定してしまうと、電気自動車のバッテリの充電に適用された場合で述べたように、給電側回路と受電側回路との間の距離が設計値からずれた場合や、給電側回路と受電側回路との間に水平方向の位置ずれが発生した場合では、一次コイル及び二次コイル間の結合係数が変化してしまうため、給電効率が著しく低下する可能性があるという技術的問題点がある。他方、上記特許文献2に記載の技術のように、受電側回路に、コイルと電気的に並列に接続された可変容量コンデンサを設けると、給電側回路の電源の利用効率が低下する可能性があるという技術的問題点がある。
【0010】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、給電側回路と受電側回路との間の距離に依らずに、また、給電側回路と受電側回路との間に水平方向の位置ずれが発生しても、効率良く電力伝送を行うことができる非接触電力送電装置、非接触電力受電装置、及び非接触給電システムを提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の非接触電力送電装置は、上記課題を解決するために、受電コイルと、前記受電コイルに電気的に並列に接続された固定容量コンデンサと、を備える受電装置に対して、電磁誘導により非接触で電力を送電する非接触電力送電装置であって、交流電力を発生させる交流電源と、前記交流電源に電気的に接続された送電コイルと、前記送電コイルに電気的に直列に接続された可変容量コンデンサと、前記交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように前記可変容量コンデンサの容量値を制御する容量制御手段と、を備えて構成される。つまり、当該非接触電力送電装置は、所謂一次直列・二次並列共振コンデンサ方式の非接触給電システムを構成する非接触電力送電装置である。
【0012】
ここで、受電装置における固定容量コンデンサの容量値は、駆動周波数において受電コイルに係る自己インダクタンスと共振するように決定される。他方、送電装置において送電コイルと電気的に直列に接続された直列コンデンサの容量値は、上記駆動周波数において送電装置側(即ち、一次側)の力率が1となるように決定される(式1参照)。
【0013】
この直列コンデンサの容量値は、送電コイル及び受電コイル間の磁気的な結合の度合い(結合係数)に応じて最適値が変化する(式4参照)。すると、送電コイル及び受電コイル間の距離を一の値に設定して、上記駆動周波数において送電装置側の力率が1となるように直列コンデンサの容量値が決定されたとしても、実際の送電コイル及び受電コイル間の距離が上記一の値からずれたり、送電コイルと受電コイルとの間に水平方向の位置ずれが発生したりすると力率が1より小さくなってしまう(つまり、電源の利用効率が低下してしまう)。
【0014】
そこで本発明では、可変容量コンデンサが、送電コイルに電気的に直列に接続されると共に、例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる容量制御手段により、交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように(即ち、力率が1に近づくように)可変容量コンデンサの容量値が制御される。
【0015】
この結果、本発明の非接触電力送電装置によれば、送電コイル及び受電コイル間の距離が変化したり、水平方向の位置ずれが発生したりしても、つまり送電コイル及び受電コイル間の結合の度合い(結合係数)が変化しても、効率良く電力伝送を行うことができる。
【0016】
本発明の非接触電力送電装置の一態様では、前記送電コイルと前記受電コイルとの磁気的な結合の度合いを推定する結合推定手段を更に備え、前記容量制御手段は、前記推定された磁気的な結合の度合いに基づいて、前記可変容量コンデンサの容量値を制御する。
【0017】
この態様によれば、例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる結合推定手段は、送電コイルと受電コイルとの磁気的な結合の度合い(結合係数)を推定する。直列コンデンサの最適な容量値は(式4)に示すように結合係数に依存しているので、この態様によれば、交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように可変容量コンデンサの容量値を制御することができる。
【0018】
結合推定手段を備える態様では、前記結合推定手段は、前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離を測定する距離測定手段と、前記距離と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記測定された距離を前記結合係数に変換する変換手段と、を有してよい。
【0019】
このように構成すれば、比較的容易にして磁気的な結合の度合いを推定することができ、実用上非常に有利である。
【0020】
或いは、結合推定手段を備える態様では、前記結合推定手段は、前記受電装置における受電側電圧値及び受電側電流値の少なくとも一方を取得する取得手段と、前記交流電力の電圧値である送電側電圧値、及び前記交流電力の電流値である送電側電流値の少なくとも一方を検出する検出手段と、前記取得された受電側電圧値及び受電側電流値の少なくとも一方と、前記検出された送電側電圧値及び送電側電流値の少なくとも一方と、に基づいて電力伝送効率を算出する算出手段と、前記電力伝送効率と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記算出された電力伝送効率を前記結合係数に変換する変換手段と、を有してよい。
【0021】
このように構成すれば、比較的容易にして磁気的な結合の度合いを推定することができ、実用上非常に有利である。
【0022】
或いは、結合推定手段を備える態様では、前記受電装置は移動体に搭載されており、前記結合推定手段は、前記移動体の種別を取得する種別取得手段と、前記種別と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記取得された種別を前記結合係数に変換する変換手段と、を有してよい。
【0023】
このように構成すれば、当該非接触電力送電装置を、例えば電気自動車等の移動体に適用した場合に、比較的容易にして磁気的な結合の度合いを推定することができる。
【0024】
或いは、結合推定手段を備える態様では、前記結合推定手段は、前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離を測定する距離測定手段と、前記送電コイルの前記受電コイルに対向する面に沿う方向における前記送電コイルの前記受電コイルに対する位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出手段と、前記距離及び前記位置ずれ量と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記測定された距離及び前記検出された位置ずれ量を、前記結合係数に変換する変換手段と、を有してよい。
【0025】
このように構成すれば、比較的容易にして磁気的な結合の度合いを推定することができ、実用上非常に有利である。
【0026】
本発明の非接触電力送電装置の他の態様では、前記交流電力の電圧位相を検出する電圧位相検出手段と、前記交流電力の電流位相を検出する電流位相検出手段と、を更に備え、前記容量制御手段は、前記検出された電圧位相及び前記検出された電流位相間の位相差が小さくなるように、前記可変容量コンデンサの容量値を制御する。
【0027】
この態様によれば、比較的容易にして、交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように可変容量コンデンサの容量値を制御することができる。
【0028】
本発明の非接触電力送電装置の他の態様では、前記送電コイルと前記受電コイルとの結合係数を算出する結合係数算出手段を更に備え、前記容量制御手段は、前記算出された結合係数に基づいて、前記可変容量コンデンサの容量値を制御する。
【0029】
この態様によれば、比較的容易にして、交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように可変容量コンデンサの容量値を制御することができる。
【0030】
本発明の非接触電力受電装置は、上記課題を解決するために、交流電流を発生させる交流電源と、前記交流電源に電気的に接続された送電コイルと、前記送電コイルに電気的に並列に接続された固定容量コンデンサと、を備える送電装置から、電磁誘導により非接触で電力を受電する非接触電力受電装置であって、受電コイルと、前記受電コイルに電気的に直列に接続された可変容量コンデンサと、前記交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように前記可変容量コンデンサの容量値を制御する容量制御手段と、を備えて構成される。つまり、当該非接触電力受電装置は、所謂一次並列・二次直列共振コンデンサ方式の非接触給電システムを構成する非接触電力受電装置である。
【0031】
本発明の非接触電力受電装置では特に、容量制御手段により、送電装置における交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように(即ち、送電装置側の力率が1となるように)、可変容量コンデンサの容量値が制御される。この結果、本発明の非接触電力受電装置によれば、送電コイル及び受電コイル間の磁気的な結合の度合い(結合係数)が変化しても、効率良く電力伝送を行うことができる。
【0032】
尚、本発明の非接触電力受電装置においても、上述した本発明の非接触電力送電装置の各種態様と同様の各種態様を採ることができる。
【0033】
本発明の非接触給電システムは、上記課題を解決するために、交流電流を発生させる交流電源と、前記交流電源に電気的に接続された送電コイルと、前記送電コイルから電磁誘導により非接触で電力を受電する受電コイルと、を備える非接触給電システムであって、前記送電コイル及び前記受電コイルの一方に電気的に並列に接続された固定容量コンデンサと、前記送電コイル及び前記受電コイルの他方に電気的に直列に接続された可変容量コンデンサと、前記交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように前記可変容量コンデンサの容量値を制御する容量制御手段と、を備える。
【0034】
本発明の非接触電力送電システムによれば、上述した本発明の非接触電力送電装置及び非接触電力受電装置と同様に、送電コイル及び受電コイル間の磁気的な結合の度合い(結合係数)が変化しても、効率良く電力伝送を行うことができる。
【0035】
尚、本発明の非接触給電システムにおいても、上述した本発明の非接触電力送電装置の各種態様と同様の各種態様を採ることができる。
【0036】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る可変容量コンデンサの一例を示す概念図である。
【図3】比較例に係る非接触給電システムの構成を示す回路図である。
【図4】一次側電圧V1、二次側電圧V2、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の一例である。
【図5】一次側電圧V1、二次側電圧V2、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の他の一例である。
【図6】一次側電圧V1、二次側電圧V2、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の他の一例である。
【図7】結合係数と電源有効利用効率との関係の一例を示す特性図である。
【図8】一次側電圧V1、二次側電圧V2、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の他の一例である。
【図9】一次側電圧V1、二次側電圧V2、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の他の一例である。
【図10】第2実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【図11】第3実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【図12】第4実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【図13】第5実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【図14】第6実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【図15】第7実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の非接触給電システムに係る実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、以下の図では、本発明に直接関係する部材のみを示し、その他の部材については図示を省略している。
【0039】
<第1実施形態>
本発明の非接触給電システムの第1実施形態について、図1乃至図9を参照して説明する。
【0040】
(非接触給電システムの構成)
本実施形態に係る非接触給電システムの構成について、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【0041】
図1において、非接触給電システム1は、送電装置10及び受電装置20を備えて構成されている。
【0042】
送電装置10は、(i)交流電力を発生させる交流電源(図示せず)を含む送電回路110と、(ii)該送電回路110に電気的に接続された送電コイル120と、(iii)該送電コイル120に電気的に直列に接続された可変容量コンデンサ130と、(iv)該可変容量コンデンサ130の容量値を制御する容量制御部140と、(v)送電コイル120と、後述する受電コイル220との結合の度合いを示す結合係数を推定する結合係数推定部150と、を備えて構成されている。
【0043】
結合係数推定部150は、送電コイル120及び受電コイル220間の距離を測定する距離センサ151と、該距離センサ151により測定された距離を結合係数に変換する距離−結合係数変換部152と、を備えて構成されている。
【0044】
ここで、距離−結合係数変換部152には、予め、距離と結合係数との対応関係を示す情報が記憶されている。そして、距離−結合係数変換部152は、距離と結合係数との対応関係を示す情報に基づいて、距離センサ151により測定された距離を結合係数に変換する。尚、距離と結合係数との対応関係を示す情報は、実験又はシミュレーションにより、例えば、送電コイル120及び受電コイル220間の距離と、送電コイル120の自己インダクタンス及び漏れインダクタンスと、の関係を求め、該求められた関係に基づいて構築すればよい。
【0045】
可変容量コンデンサ130は、例えば図2に示すように、複数の固定容量コンデンサ各々をスイッチング素子により並列加算可能に構成されている。このように構成すれば、例えば0.01μF(マイクロファラド)から0.15μFまで、0.01μF刻みで可変することができる。図2は、第1実施形態に係る可変容量コンデンサの一例を示す概念図である。
【0046】
尚、可変容量コンデンサ130は、図2に示した構成に限らず、例えば、回転軸を回すことにより静電容量を変更可能なコンデンサ(所謂、バリコン)と、該コンデンサの回転軸を回転させるステッピングモータと、で構成されてもよい。
【0047】
再び図1に戻り、受電装置20は、例えばバッテリ等の負荷210と、該負荷210に電気的に接続された受電コイル220と、該受電コイル220に電気的に並列に接続された固定容量コンデンサ230と、を備えて構成されている。
【0048】
(発明の効果)
次に、可変容量コンデンサ130を、送電コイル120に電気的に直列に接続することによる効果について、図3乃至図9を参照して説明する。図3は、比較例に係る非接触給電システムの構成を示す回路図である。
【0049】
図3において、一次側(即ち、送電装置)は、交流電源ACと、該交流電源ACに電気的に接続された一次コイルL1と、該一次コイルL1に電気的に直列に接続された直列コンデンサCsと、を備えて構成されている。尚、一次側の損失抵抗はR1であるとする。
【0050】
他方、二次側(即ち、受電装置)は、負荷抵抗RLと、該負荷抵抗RLに電気的に接続された二次コイルL2と、該二次コイルL2に電気的に並列に接続された並列コイルCpと、を備えて構成されている。尚、二次側の損失抵抗はR2であるとする。
【0051】
直列コンデンサCs及び並列コンデンサCpが共に固定容量コンデンサである場合、先ず、並列コンデンサCpの容量値は、二次コイルの自己インダクタンスL2と電源の駆動周波数を基にして、上記(式3)に従って決定される。続いて、直列コンデンサCsの容量値は、一次コイルと二次コイルとの間の距離を所定の値にした上で、相互インダクタンス若しくは結合係数を測定して、上記(式4)に従って決定される。
【0052】
尚、(式3)及び(式4)に従って並列コンデンサCpの容量値、直列コンデンサCsの容量値が決定されることで、一次側の力率=1とすることができるが、送電回路にインバータを用いる場合は、スイッチングロスの低減を目的としてソフトスイッチング方式が採用される場合がある。この場合には、実用上故意に力率=1の状態から若干ずらせて動作させるようにすることがある。本発明の記載では「力率=1となるように」との表現を用いているが、その程度のずれを許容して実装することも本発明に含めるものとする。
【0053】
ここでは、一次コイルL1及び二次コイルL2間の結合係数を0.46(一次コイルL1及び二次コイルL2間の距離が10cm(センチメートル)である場合に相当)として、直列コンデンサCs及び並列コンデンサCp各々の容量値が決定されているとする。電源の駆動周波数を95kHz、一次コイル及び二次コイル各々の自己インダクタンスL1及びL2を共に36μHとした場合、Cs=0.1μF、Cp=0.078μFとなる。
【0054】
上述の如く構成された比較例に係る非接触給電システムにおいて、一次コイルL1及び二次コイルL2間の距離が10cm(即ち、結合係数が0.46)である場合、一次側電圧V1、一次側電流I1、二次側電圧V2及び二次側電流I2各々の時間変動は、例えば図4のようになる。図4上段は、一次側電圧V1及び二次側電圧V2各々の時間変動の一例であり、図4下段は、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の一例である。
【0055】
図4で注目すべき点は、一次側電圧V1の位相と、一次側電流I1の位相とが一致しており、一次側の力率が1となっていることである。このため、電源有効利用効率(即ち、二次側有効電力/一次皮相電力×100)は、95.1%となる。
【0056】
比較例に係る非接触給電システムにおいて、一次コイルL1及び二次コイルL2間の距離が10cmより大きくなり、結合係数が0.2となった場合、一次側電圧V1、一次側電流I1、二次側電圧V2及び二次側電流I2各々の時間変動は、例えば図5のようになる。図5上段は、図4上段と同趣旨の、一次側電圧V1及び二次側電圧V2各々の時間変動の他の一例であり、図5下段は、図4下段と同趣旨の、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の他の一例である。
【0057】
図5で注目すべき点は、一次側電流I1の位相が、一次側電圧V1の位相よりも、約65度遅れていることである。このため、一次側の力率は0.41まで低下し、電源有効利用効率も34.7%まで低下する。
【0058】
或いは、比較例に係る非接触給電システムにおいて、一次コイルL1及び二次コイルL2間の距離が10cmより小さく、結合係数が0.7となった場合、一次側電圧V1、一次側電流I1、二次側電圧V2及び二次側電流I2各々の時間変動は、例えば図6のようになる。図6上段は、図4上段と同趣旨の、一次側電圧V1及び二次側電圧V2各々の時間変動の他の一例であり、図6下段は、図4下段と同趣旨の、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の他の一例である。
【0059】
図6で注目すべき点は、一次側電流I1の位相が、一次側電圧V1の位相よりも、約17度進んでいることである。このため、一次側の力率は0.96まで低下し、電源有効利用効率も92.3%まで低下する。
【0060】
結合係数と電源有効利用効率との関係を図7に示す。図7は、結合係数と電源有効利用効率との関係の一例を示す特性図である。図7において、実線は、本実施形態に係る非接触給電システムの結合係数と電源有効利用効率との関係の一例を示しており、破線は、比較例に係る非接触給電システムの結合係数と電源有効利用効率との関係の一例を示している。
【0061】
非接触給電システムが、例えば電気自動車に搭載されるバッテリの充電システムに適用される場合、典型的には、一次側は地面に埋め込まれ、二次側は電気自動車の下部に搭載される。そして、非接触給電システムの設計段階では、設計者側が予め何らかの基準(例えば、当該非接触給電システムを搭載する予定の電気自動車の車高情報等)によって設定した、一次コイルL1及び二次コイルL2間の距離における結合係数を用いて、直列コンデンサCsの容量値が決定される。
【0062】
すると、一次コイルL1及び二次コイルL2間の距離が、設計値より大きくなった場合、即ち、結合係数が設計値より小さくなった場合、図7に破線で示すように、電源有効利用効率が著しく低下する可能性がある。
【0063】
しかるに本実施形態に係る非接触給電システム1では、容量制御部140により、結合係数推定部150で推定された結合係数に基づいて、交流電源(即ち、一次側)の電圧位相と電流位相との位相差が小さくなるように、言い換えれば、一次側の力率が1に近づくように、可変容量コンデンサ130の容量値が制御される。このため、図7に実線で示すように、送電コイル120及び受電コイル220間の距離(即ち、一次コイルL1及び二次コイルL2間の距離に相当)が、設計値からずれたとしても、電源有効利用効率の低下を抑制することができる。
【0064】
具体的には、図5を用いて説明した場合のように、一次コイル及び二次コイル間の距離が設計値の10cmより大きくなり、結合係数が0.2まで下がった場合、一次側の直列コンデンサの容量値を、上記(式4)に従ってCs=0.082に変更する。このときの一次側電圧V1、一次側電流I1、二次側電圧V2及び二次側電流I2各々の時間変動は、例えば図8のようになる。図8で注目すべきは一次側電圧V1の位相と、一次側電流I1の位相とが一致しており、一次側の力率が1となっている点である。このとき、電源有効利用効率は85.1%まで改善した。
【0065】
他方、図6を用いて説明した場合のように、一次コイル及び二次コイル間の距離が設計値の10cmより小さくなり、結合係数が0.7まで上がった場合、一次側の直列コンデンサの容量値を、上記(式4)に従ってCs=0.15に変更する。このときの一次側電圧V1、一次側電流I1、二次側電圧V2及び二次側電流I2各々の時間変動は、例えば図9のようになる。図9で注目すべきは一次側電圧V1の位相と、一次側電流I1の位相とが一致しており、一次側の力率が1となっている点である。このとき、電源有効利用効率は96.3%まで改善した。
【0066】
図8及び図9の上段は、図4上段と同趣旨の、一次側電圧V1及び二次側電圧V2各々の時間変動の他の一例であり、図8及び図9の下段は、図4下段と同趣旨の、一次側電流I1及び二次側電流I2各々の時間変動の他の一例である。
【0067】
本実施形態に係る「送電装置10」、「容量制御部140」、「結合係数推定部150」、「距離センサ151」及び「距離−結合係数変換部152」は、夫々、本発明に係る「非接触電力送電装置」、「容量制御手段」、「結合推定手段」、「距離測定手段」及び「変換手段」の一例である。
【0068】
<第2実施形態>
本発明の非接触給電システムに係る第2実施形態を、図10を参照して説明する。第2実施形態では、非接触給電システムの構成が一部異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第2実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図10を参照して説明する。図10は、図1と同趣旨の、第2実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【0069】
図10において、結合係数推定部150は、例えば、送電コイル120の受電コイル220と対向する面上、且つ該送電コイル120の中心近傍に配設された撮像デバイス154と、該撮像デバイス154により撮像された画像に基づいて、送電コイル120の中心と受電コイル220の中心との位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出部153と、距離センサ151により測定された距離、及び位置ずれ量検出部153により検出された位置ずれ量に基づいて、結合係数を求める距離・位置ずれ量−結合係数変換部155と、を更に備えて構成されている。
【0070】
受電装置20には、位置決め用のマーク220mが設けられている。例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ、光学センサ等である撮像デバイス154は、該マーク220mを撮像し、位置ずれ量検出部153は、撮像されたマーク220mに基づいて、位置ずれ量を検出する。
【0071】
距離・位置ずれ量−結合係数変換部155には、距離及び位置ずれ量の各々が変化した場合に、送電コイル120及び受電コイル220間の結合係数がどのような値をとるかを記録した情報(ルックアップテーブル)が記憶されている。距離・位置ずれ量−結合係数変換部155は、距離センサ151により測定された距離、及び位置ずれ量検出部153により検出された位置ずれ量に基づいて、該ルックアップテーブルから対応する結合係数を求める。
【0072】
容量制御部140は、距離・位置ずれ量−結合係数変換部155により求められた結合係数と、上記(式4)とに従って、可変容量コンデンサ130の容量値を設定する。
【0073】
本実施形態に係る「位置ずれ量検出部153」は、本発明に係る「位置ずれ量検出手段」の一例である。本実施形態に係る「距離・位置ずれ量−結合係数変換部155」は、本発明に係る「変換手段」の他の一例である。
【0074】
<第3実施形態>
本発明の非接触給電システムに係る第3実施形態を、図11を参照して説明する。第3実施形態では、非接触給電システムの構成が一部異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第3実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図11を参照して説明する。図11は、図1と同趣旨の、第3実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【0075】
図11において、受電装置20は、該受電装置20における電圧値を測定する電圧センサ241と、該受電装置20における電流値を測定する電流センサ242と、測定された電圧値及び電流値を、送電装置10に対して送信する無線インターフェイス(I/F)部243と、を更に備えて構成されている。
【0076】
他方、送電装置10は、交流電力の電圧値を検出する電圧センサ161と、該交流電力の電流値を検出する電流センサ162と、無線インターフェイス部163と、電力伝送効率を算出する効率算出部164と、該算出された電力伝送効率を結合係数に変換する効率−結合係数変換部165と、を更に備えて構成されている。
【0077】
効率算出部164は、電圧センサ161により検出された電圧値、及び電流センサ162により検出された電流値の少なくとも一方と、無線インターフェイス部163を介して取得された受電装置20における電圧値及び電流値の少なくとも一方と、に基づいて電力伝送効率を算出する。
【0078】
効率−結合係数変換部165は、予め、電力伝送効率と結合係数との対応関係を示す情報が記憶されている。そして、効率−結合係数変換部165は、電力伝送効率と結合係数との対応関係を示す情報に基づいて、算出された電力伝送効率を結合係数に変換する。尚、電力伝送効率と結合係数との対応関係を示す情報は、一次直列コンデンサの値を所定の値に固定した上で、実験又はシミュレーションにより、例えば、電力伝送効率と、送電コイル120の自己インダクタンス及び漏れインダクタンスと、の関係を一次コイル及び二次コイルの間の距離を変えながら求め、該求められた関係に基づいて構築すればよい。
【0079】
本実施形態に係る「電圧センサ161」及び「電流センサ162」は、本発明に係る「検出手段」の一例である。本実施形態に係る「無線インターフェイス部163」及び「効率算出部164」は、夫々、本発明に係る「取得手段」及び「算出手段」の一例である。本実施形態に係る「効率−結合係数変換部165」は、本発明に係る「変換手段」の他の一例である。
【0080】
<第4実施形態>
本発明の非接触給電システムに係る第4実施形態を、図12を参照して説明する。第4実施形態では、非接触給電システムの構成が一部異なる以外は、第3実施形態の構成と同様である。よって、第4実施形態について、第3実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図12を参照して説明する。図12は、図1と同趣旨の、第4実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【0081】
図12において、受電装置20は、受電コイル220の開放又は短絡を可能とする二次コイル開放・短絡部244を更に備えて構成されている。
【0082】
他方、送電装置10は、(i)インダクタンス測定部166と、(ii)無線インターフェイス部163を介して、二次コイル開放・短絡部244を制御すると共に、インダクタンス測定部166を制御する結合係数計測制御部167と、(iii)インダクタンス測定部166により測定されたインダクタンスに基づいて結合係数を算出する結合係数算出部168と、を更に備えて構成されている。
【0083】
本実施形態における結合係数を求める方法は、JIS−C5321に規定された結合係数の測定方法に基づく方法である。
【0084】
具体的には例えば、先ず、結合係数計測制御部167は、無線インターフェイス部163を介して、受電コイル220が開放となるように、二次コイル開放・短絡部244を制御する。この際、インダクタンス測定部166により送電コイル120のインダクタンス値(Lopen)が計測される。
【0085】
次に、結合係数計測制御部167は、無線インターフェイス部163を介して、受電コイル220が短絡となるように、二次コイル開放・短絡部244を制御する。この際、インダクタンス測定部166により送電コイル120のインダクタンス値(Lshort)が計測される。
【0086】
次に、結合係数算出部168は、計測された二つのインダクタンス値(“Lopen”及び“Lshort”)に基づいて、下記(式5)に従って、結合係数を算出する。
【0087】
【数5】
(式5)
容量制御部140は、結合係数算出部168により算出された結合係数を用いて、上記(式4)に従って、可変容量コンデンサ130の容量値を設定する。
【0088】
<第5実施形態>
本発明の非接触給電システムに係る第5実施形態を、図13を参照して説明する。第5実施形態では、非接触給電システムの構成が一部異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第5実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図13を参照して説明する。図13は、図1と同趣旨の、第5実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。第5実施形態では特に、受電装置20は、本発明に係る「移動体」の一例としての、電気自動車に搭載されているものとする。
【0089】
図13において、受電装置20は、(i)該受電装置20が搭載される電気自動車に係る情報を格納するデータベース250と、(ii)該データベース250に格納された情報のうち、少なくとも電気自動車の車種を示す情報を、送電装置10に対して送信する無線インターフェイス部243と、を更に備えて構成されている。
【0090】
他方、送電装置10は、無線インターフェイス部163と、複数の車種各々に係る情報を予め格納するデータベース172と、車種に係る情報に基づいて結合係数を求める車種−結合係数変換部171と、を更に備えて構成されている。
【0091】
車種−結合係数変換部171は、無線インターフェイス部163を介して取得された受電装置20が搭載される電気自動車の車種を示す情報に基づいて、データベース172に格納された複数の車種各々に係る情報から、該当する車種に係る情報(例えば、車高値)を取得して、該取得された情報に基づいて結合係数を求める。
【0092】
データベース172は、例えば無線LAN(Local Area Network)等により、例えばインターネット等の外部ネットワーク173上に設けられたサーバ装置(図示せず)にアクセスして、格納されている複数の車種各々に係る情報の少なくとも一部を更新可能に構成されている。
【0093】
本実施形態に係る「無線インターフェイス部163」は、本発明に係る「種別取得手段」の一例であり、本実施形態に係る「車種−結合係数変換部171」は、本発明に係る「変換手段」の他の一例である。
【0094】
<第6実施形態>
本発明の非接触給電システムに係る第6実施形態を、図14を参照して説明する。第6実施形態では、非接触給電システムの構成が一部異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第4実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図14を参照して説明する。図14は、図1と同趣旨の、第6実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【0095】
図14において、送電装置10は、交流電力の電圧値を検出する電圧センサ161と、該交流電力の電流値を検出する電流センサ162と、電圧値の位相と電流値の位相との間の位相差を算出する位相差算出部180と、を更に備えて構成されている。
【0096】
容量制御部140は、位相差算出部180により算出された位相差が小さくなるように、可変容量コンデンサ130の容量値を制御する。
【0097】
本実施形態に係る「位相差算出部180」は、本発明に係る「電圧位相検出手段」及び「電流位相検出手段」の一例である。
【0098】
<第7実施形態>
本発明の非接触給電システムに係る第7実施形態を、図15を参照して説明する。第7実施形態では、非接触給電システムの構成が一部異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第7実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図15を参照して説明する。図15は、図1と同趣旨の、第7実施形態に係る非接触給電システムの構成を示すブロック図である。
【0099】
図15において、非接触給電システム2は、送電装置11及び受電装置21を備えて構成されている。
【0100】
送電装置11は、送電回路110と、該送電回路110に電気的に接続された送電コイル120と、該送電コイル120に電気的に並列に接続された固定容量コンデンサ190と、を備えて構成されている。
【0101】
受電装置21は、(i)負荷210と、(ii)該負荷210と電気的に接続された受電コイル220と、(iii)該受電コイル220に電気的に直列に接続された可変容量コンデンサ261と、(iv)該受電装置21が搭載される電気自動車に係る情報を格納するデータベース250と、(v)該データベース250に格納された情報のうち、該電気自動車の車種を示す情報に基づいて結合係数を求める車種−結合係数変換部263と、(vi)該求められた変換係数に基づいて可変容量コンデンサ261の容量値を制御する容量制御部262と、を備えて構成されている。
【0102】
本実施形態に係る「受電装置21」は、本発明に係る「非接触電力受電装置」の一例である。
【0103】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う非接触電力送電装置、非接触電力受電装置、及び非接触電力送電システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0104】
1、2…非接触給電システム、10、11…送電装置、20、21…受電装置、110…送電回路、120…送電コイル、130、261…可変容量コンデンサ、140、262…容量制御部、190、230…固定容量コンデンサ、210…負荷、220…受電コイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電コイルと、前記受電コイルに電気的に並列に接続された固定容量コンデンサと、を備える受電装置に対して、電磁誘導により非接触で電力を送電する非接触電力送電装置であって、
交流電力を発生させる交流電源と、
前記交流電源に電気的に接続された送電コイルと、
前記送電コイルに電気的に直列に接続された可変容量コンデンサと、
前記交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように前記可変容量コンデンサの容量値を制御する容量制御手段と、
を備えることを特徴とする非接触電力送電装置。
【請求項2】
前記送電コイルと前記受電コイルとの磁気的な結合の度合いを推定する結合推定手段を更に備え、
前記容量制御手段は、前記推定された磁気的な結合の度合いに基づいて、前記可変容量コンデンサの容量値を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の非接触電力送電装置。
【請求項3】
前記結合推定手段は、
前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離を測定する距離測定手段と、
前記距離と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記測定された距離を前記結合係数に変換する変換手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の非接触電力送電装置。
【請求項4】
前記結合推定手段は、
前記受電装置における受電側電圧値及び受電側電流値の少なくとも一方を取得する取得手段と、
前記交流電力の電圧値である送電側電圧値、及び前記交流電力の電流値である送電側電流値の少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記取得された受電側電圧値及び受電側電流値の少なくとも一方と、前記検出された送電側電圧値及び送電側電流値の少なくとも一方と、に基づいて電力伝送効率を算出する算出手段と、
前記電力伝送効率と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記算出された電力伝送効率を前記結合係数に変換する変換手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の非接触電力送電装置。
【請求項5】
前記受電装置は移動体に搭載されており、
前記結合推定手段は、
前記移動体の種別を取得する種別取得手段と、
前記種別と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記取得された種別を前記結合係数に変換する変換手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の非接触電力送電装置。
【請求項6】
前記結合推定手段は、
前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離を測定する距離測定手段と、
前記送電コイルの前記受電コイルに対向する面に沿う方向における前記送電コイルの前記受電コイルに対する位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出手段と、
前記距離及び前記位置ずれ量と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記測定された距離及び前記検出された位置ずれ量を、前記結合係数に変換する変換手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の非接触電力送電装置。
【請求項7】
前記交流電力の電圧位相を検出する電圧位相検出手段と、
前記交流電力の電流位相を検出する電流位相検出手段と、
を更に備え、
前記容量制御手段は、前記検出された電圧位相及び前記検出された電流位相間の位相差が小さくなるように、前記可変容量コンデンサの容量値を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の非接触電力送電装置。
【請求項8】
前記送電コイルと前記受電コイルとの結合係数を算出する結合係数算出手段を更に備え、
前記容量制御手段は、前記算出された結合係数に基づいて、前記可変容量コンデンサの容量値を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の非接触電力送電装置。
【請求項9】
交流電流を発生させる交流電源と、前記交流電源に電気的に接続された送電コイルと、前記送電コイルに電気的に並列に接続された固定容量コンデンサと、を備える送電装置から、電磁誘導により非接触で電力を受電する非接触電力受電装置であって、
受電コイルと、
前記受電コイルに電気的に直列に接続された可変容量コンデンサと、
前記交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように前記可変容量コンデンサの容量値を制御する容量制御手段と、
を備えることを特徴とする非接触電力受電装置。
【請求項10】
交流電流を発生させる交流電源と、前記交流電源に電気的に接続された送電コイルと、前記送電コイルから電磁誘導により非接触で電力を受電する受電コイルと、を備える非接触給電システムであって、
前記送電コイル及び前記受電コイルの一方に電気的に並列に接続された固定容量コンデンサと、
前記送電コイル及び前記受電コイルの他方に電気的に直列に接続された可変容量コンデンサと、
前記交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように前記可変容量コンデンサの容量値を制御する容量制御手段と、
を備えることを特徴とする非接触給電システム。
【請求項1】
受電コイルと、前記受電コイルに電気的に並列に接続された固定容量コンデンサと、を備える受電装置に対して、電磁誘導により非接触で電力を送電する非接触電力送電装置であって、
交流電力を発生させる交流電源と、
前記交流電源に電気的に接続された送電コイルと、
前記送電コイルに電気的に直列に接続された可変容量コンデンサと、
前記交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように前記可変容量コンデンサの容量値を制御する容量制御手段と、
を備えることを特徴とする非接触電力送電装置。
【請求項2】
前記送電コイルと前記受電コイルとの磁気的な結合の度合いを推定する結合推定手段を更に備え、
前記容量制御手段は、前記推定された磁気的な結合の度合いに基づいて、前記可変容量コンデンサの容量値を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の非接触電力送電装置。
【請求項3】
前記結合推定手段は、
前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離を測定する距離測定手段と、
前記距離と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記測定された距離を前記結合係数に変換する変換手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の非接触電力送電装置。
【請求項4】
前記結合推定手段は、
前記受電装置における受電側電圧値及び受電側電流値の少なくとも一方を取得する取得手段と、
前記交流電力の電圧値である送電側電圧値、及び前記交流電力の電流値である送電側電流値の少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記取得された受電側電圧値及び受電側電流値の少なくとも一方と、前記検出された送電側電圧値及び送電側電流値の少なくとも一方と、に基づいて電力伝送効率を算出する算出手段と、
前記電力伝送効率と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記算出された電力伝送効率を前記結合係数に変換する変換手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の非接触電力送電装置。
【請求項5】
前記受電装置は移動体に搭載されており、
前記結合推定手段は、
前記移動体の種別を取得する種別取得手段と、
前記種別と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記取得された種別を前記結合係数に変換する変換手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の非接触電力送電装置。
【請求項6】
前記結合推定手段は、
前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離を測定する距離測定手段と、
前記送電コイルの前記受電コイルに対向する面に沿う方向における前記送電コイルの前記受電コイルに対する位置ずれ量を検出する位置ずれ量検出手段と、
前記距離及び前記位置ずれ量と、前記磁気的な結合の度合いを示す結合係数との対応関係を予め記憶すると共に、前記記憶された対応関係に基づいて、前記測定された距離及び前記検出された位置ずれ量を、前記結合係数に変換する変換手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の非接触電力送電装置。
【請求項7】
前記交流電力の電圧位相を検出する電圧位相検出手段と、
前記交流電力の電流位相を検出する電流位相検出手段と、
を更に備え、
前記容量制御手段は、前記検出された電圧位相及び前記検出された電流位相間の位相差が小さくなるように、前記可変容量コンデンサの容量値を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の非接触電力送電装置。
【請求項8】
前記送電コイルと前記受電コイルとの結合係数を算出する結合係数算出手段を更に備え、
前記容量制御手段は、前記算出された結合係数に基づいて、前記可変容量コンデンサの容量値を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の非接触電力送電装置。
【請求項9】
交流電流を発生させる交流電源と、前記交流電源に電気的に接続された送電コイルと、前記送電コイルに電気的に並列に接続された固定容量コンデンサと、を備える送電装置から、電磁誘導により非接触で電力を受電する非接触電力受電装置であって、
受電コイルと、
前記受電コイルに電気的に直列に接続された可変容量コンデンサと、
前記交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように前記可変容量コンデンサの容量値を制御する容量制御手段と、
を備えることを特徴とする非接触電力受電装置。
【請求項10】
交流電流を発生させる交流電源と、前記交流電源に電気的に接続された送電コイルと、前記送電コイルから電磁誘導により非接触で電力を受電する受電コイルと、を備える非接触給電システムであって、
前記送電コイル及び前記受電コイルの一方に電気的に並列に接続された固定容量コンデンサと、
前記送電コイル及び前記受電コイルの他方に電気的に直列に接続された可変容量コンデンサと、
前記交流電力の電圧位相と電流位相との間の位相差が小さくなるように前記可変容量コンデンサの容量値を制御する容量制御手段と、
を備えることを特徴とする非接触給電システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−70590(P2013−70590A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−51760(P2012−51760)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【分割の表示】特願2012−513109(P2012−513109)の分割
【原出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【分割の表示】特願2012−513109(P2012−513109)の分割
【原出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
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