説明

非接触ICカード、通信方法、プログラム及び通信システム

【課題】外部からの電力供給に応じて非接触ICカードの通信性能を向上すること。
【解決手段】非接触ICカード1は、アンテナ10と、ICチップ100と、アンテナ10に生じる起電力を用いて第1の電力を生成する電力生成部20と、携帯型電源装置3に接続される接触端子Vccと、外部装置2からアンテナ10を介して信号を受信したか否かを検出する信号検出部40と、第1の電力より高電圧の第2の電力が接触端子Vccを介して供給されるか否かを検出する外部電源検出部60と、ICチップ100を動作させるための電力を切り替える電源切替部SWとを備える。信号検出部40による信号の検出に応じて、外部電源検出部60により第2の電力の供給の有無を検出し、第2の電力の供給が有る場合に、電源切替部SWにより第2の電力をICチップ100に供給してICチップ100を動作させて、外部装置2と非接触通信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICカード、通信方法、プログラム及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コイルアンテナとICチップとを内蔵した非接触ICカードを用いたサービスが、日常社会において急速に普及している。この非接触ICカードは、財布やICカードホルダー等に入れたままの状態であっても、ホスト装置のリーダライタにかざすだけで、データ通信可能であるので、利便性が高い。このため、かかる非接触ICカードを用いたICカードシステムは、例えば、電子マネーシステム、交通機関の改札システム、入退室又はログイン用のセキュリティシステムなど、種々のサービスに適用されている。
【0003】
ところで、ICカードには、上記非接触ICカードの他、接触端子を有する接触ICカードがある。また、ユーザが携帯するICカードの枚数を減らすため、接触ICカードと非接触ICカードの双方の機能を併せ持つ複合ICカードが開発されている。例えば、特許文献1〜3に記載された複合ICカードは、1チップ上に接触インターフェースと非接触インターフェースとを具備し、各インターフェースからの信号及び電源を切り替えるスイッチ回路を有している。
【0004】
このうち、特許文献1の複合ICカードは、通常時は非接触通信を行っており、接触端子に電源電圧が供給されたことを検知すると、スイッチ回路を切り替えて接触式の通信動作のみを許可するものである。また、これとは逆に、特許文献2の複合ICカードは、非接触インターフェースにより十分なRF(Radio Frequency)電力が生成されることを検出すると、接触式通信機能を瞬時に非接触式通信機能に切り替えるものである。また、特許文献3の複合ICカードは、接触端子からの電力供給があるときには、当該電力を用いて動作する一方、接触端子からの電源供給がないときには、非接触インターフェースにより生成されるRF電力で動作する。なお、特許文献4には、ICカード機能を有する携帯電話において、携帯電話の内蔵電源を用いて、ロジック回路のCPUを動作させることが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−322544号公報
【特許文献2】特許第3838901号公報
【特許文献3】特許第3528899号公報
【特許文献4】特開2006−12002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の複合ICカードは、接触通信機能と非接触通信機能を二者択一的に切り替えるものであり、接触式リーダライタとの間でデータを接触式で通信することが前提となっている。これに対し、接触通信機能を有さない従来の非接触ICカード(非接触通信専用のICカード)では、接触式リーダライタから接触端子を介して外部電力を得ることができないので、カード内の電力が低く、不安定になる。
【0007】
即ち、複合ICカードではない従来の非接触ICカードは、カード内にバッテリを搭載しておらず、非接触式リーダライタからアンテナを通じて供給されるRF電力のみを用いて動作する。しかし、かかる非接触ICカードに供給されるRF電力は不安定であり、リーダライタからの距離が遠いと十分なRF電力を得ることができない。
【0008】
かかるRF電力の制約により、非接触ICカード内のプロセッサの処理速度と、非接触ICカードの通信可能距離とは、トレードオフの関係にあった。つまり、プロセッサの処理速度を早くすると、その分だけ消費電力が増えるため、非接触ICカードの通信可能距離が短くなってしまう。このため、プロセッサの処理速度は、通信可能距離との関係で決定されていた。よって、カードに供給されるRF電力が不安定であると、通信距離を確保するためには、プロセッサの処理速度を抑制しなければならなかった。そのため、当該プロセッサが複雑な処理を行うと、多くの処理時間がかかってしまっていた。以上のように、非接触ICカードの特性上、非接触ICカード内に高性能のプロセッサを搭載しても、その能力を抑制せざるをえず、十分な通信性能を発揮できなかった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、外部からの電力供給に応じて通信性能を向上することが可能な、新規かつ改良された非接触ICカード、通信方法、プログラム及び通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、アンテナと、外部装置と前記アンテナを介して非接触通信するICチップと、前記外部装置から発せられる磁界により前記アンテナに発生した起電力を用いて、前記ICチップを動作させるための第1の電力を生成する電力生成部と、非接触ICカードに着脱可能な携帯型電源装置に接続される接触端子と、前記外部装置から前記アンテナを介して信号を受信したか否かを検出する信号検出部と、前記第1の電力より高電圧の第2の電力が、前記携帯型電源装置から前記接触端子を介して供給されるか否かを検出する外部電源検出部と、前記ICチップを動作させるための電力を、前記第1の電力又は前記第2の電力に選択的に切り替える電源切替部と、を備え、前記信号検出部による前記信号の検出に応じて、前記外部電源検出部により前記第2の電力の供給の有無を検出し、前記第2の電力の供給が有る場合に、前記電源切替部により前記第2の電力を前記ICチップに供給して、前記第2の電力により前記ICチップを動作させて、前記外部装置と非接触通信する、非接触ICカードが提供される。
【0011】
前記ICチップは、前記外部電源装置からの前記第2の電力の供給の有無に応じて、非接触通信能力を切り替えるようにしてもよい。
【0012】
前記外部装置から前記アンテナを介して受信された信号から、第1のクロック信号又は前記第1のクロック信号より高周波数の第2のクロック信号の少なくともいずれかを生成するクロック生成部をさらに備え、前記ICチップが備えるプロセッサは、前記第1の電力が供給されるときには、前記第1のクロック信号の周波数に対応する処理速度で動作し、前記第2の電力が供給されるときには、前記第2のクロック信号の周波数に対応する処理速度で動作するようにしてもよい。
【0013】
前記非接触ICカードから前記外部装置への送信データを負荷変調する変調部をさらに備え、前記変調部は、前記第1の電力が供給されるときには、前記送信データを第1の変調率で負荷変調し、前記第2の電力が供給されるときには、前記送信データを前記第1の変調率より大きい第2の変調率で負荷変調する、ようにしてもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、外部装置とアンテナを介して非接触通信するICチップを備えた非接触ICカードが、前記外部装置から前記アンテナを介して信号を受信したか否かを検出するステップと、前記信号の検出に応じて、前記外部装置から発せられる磁界により前記アンテナに発生した起電力を用いて生成される第1の電力より高電圧の第2の電力が、前記非接触ICカードに着脱可能な携帯型電源装置から接触端子を介して供給されるか否かを検出するステップと、前記第2の電力が前記接触端子を介して供給される場合に、前記携帯型電源装置からの前記第2の電力を前記ICチップに供給するステップと、前記第2の電力により前記ICチップを動作させて、前記外部装置と非接触通信するステップと、を含む、通信方法が提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、外部装置とアンテナを介して非接触通信するICチップを備えた非接触ICカードのプロセッサに、前記外部装置から前記アンテナを介して信号を受信したか否かを検出するステップと、前記信号の検出に応じて、前記外部装置から発せられる磁界により前記アンテナに発生した起電力を用いて生成される第1の電力より高電圧の第2の電力が、前記非接触ICカードに着脱可能な携帯型電源装置から接触端子を介して供給されるか否かを検出するステップと、前記第2の電力が前記接触端子を介して供給される場合に、前記携帯型電源装置からの前記第2の電力を前記ICチップに供給するステップと、前記第2の電力により前記ICチップを動作させて、前記外部装置と非接触通信するステップと、を実行させるためのプログラムが提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、非接触ICカードと、前記非接触ICカードと非接触通信する外部装置と、前記非接触ICカードに着脱可能な携帯型電源装置と、からなり、前記携帯型電源装置は、前記非接触ICカードを装着するための装着部と、前記装着部に装着された前記非接触ICカードに第2の電力を供給する電源と、を備え、前記非接触ICカードは、アンテナと、前記外部装置と前記アンテナを介して非接触通信するICチップと、前記外部装置から発せられる磁界により前記アンテナに発生した起電力を用いて、前記ICチップを動作させるための第1の電力を生成する電力生成部と、前記非接触ICカードに装着された前記携帯型電源装置に接続される接触端子と、前記外部装置から前記アンテナを介して信号を受信したか否かを検出する信号検出部と、前記第1の電力より高電圧の前記第2の電力が、前記携帯型電源装置から前記接触端子を介して供給されるか否かを検出する外部電源検出部と、前記ICチップを動作させるための電力を、前記第1の電力又は前記第2の電力に選択的に切り替える電源切替部と、を備え、前記非接触ICカードは、前記信号検出部による前記信号の検出に応じて、前記外部電源検出部により前記第2の電力の供給の有無を検出し、前記第2の電力の供給が有る場合に、前記電源切替部により前記第2の電力を前記ICチップに供給して、前記第2の電力により前記ICチップを動作させて、前記外部装置と非接触通信する、通信システムが提供される。
【0017】
上記構成により、外部装置からアンテナを介して供給される第1の電力を用いて動作可能な非接触ICカードは、外部装置からアンテナを介して信号を受信したときには、外部電源装置から接触端子を介して第2の電力が供給されるか否かを検出し、第2の電力の供給が有る場合に、第2の電力をICチップに供給して、第2の電力によりICチップを動作させて外部装置と非接触通信する。これにより、第1の電力で動作する場合よりも、非接触ICカードの通信性能を向上できる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、外部からの電力供給に応じて通信性能を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態にかかる非接触ICカード、通信方法、プログラム及び通信システムについて説明する。なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.通信システムの全体構成 :図1
2.非接触ICカードの構成 :図2、3
3.非接触通信方法 :図4、5
4.効果
【0021】
<1.通信システムの全体構成:図1>
まず、図1を参照して、本実施形態にかかる通信システムの全体構成について説明する。図1は、本実施形態にかかる通信システムの全体構成を示す模式図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態にかかる通信システムは、非接触ICカード1(本発明の非接触ICカードに相当する。)と、非接触式のリーダライタ2(本発明の外部装置に相当する。)と、携帯型バッテリアダプタ3(本発明の携帯型電源装置に相当する。)とからなる。
【0023】
非接触ICカード1は、ユーザ携帯可能なカードタイプのICカードである。非接触ICカード1は、薄型のカード外装内に、リーダライタ2と非接触通信するためのアンテナと、通信データを処理するICチップとを備えており、リーダライタ2と非接触方式でデータを通信する機能を有する。また、非接触ICカード1は、後述する携帯型バッテリアダプタ3の給電端子と物理的に接続するための接触端子7を備えている。
【0024】
リーダライタ2は、非接触ICカード1と非接触方式でデータを通信する非接触式のデータ読み書き装置である。このリーダライタ2は、各種サービスを提供するICカードシステムのホスト装置(図示せず。)に内蔵若しくは外付けされる。ホスト装置は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯端末等のユーザ端末や、自動改札機、自動販売機、店舗のレジスター装置などである。
【0025】
かかる非接触ICカード1とリーダライタ2との間の非接触通信は、例えば、13.56MHzの搬送波を利用し、212kbpsの通信速度で行われ、副搬送波を使用しない「対称通信」である。また、例えば、変調方式としてはASK(Amplitude Shift Keying)変調方式、符号化方式としてはマンチェスター符号化方式を使用できる。
【0026】
かかる非接触通信により、非接触ICカード1をリーダライタ2にかざして、リーダライタ2が発する電磁波の有効範囲内(リーダライタ2の通信範囲内)に非接触ICカード1を位置づけるだけで、非接触ICカード1内のデータを読み書きすることができる。よって、非接触ICカード1は、リーダライタ2に対して抜き差しする必要がないため使い易く、迅速にデータを送受信できるという利便性を有する。さらに、非接触ICカード1は、改造・変造しにくいため安全性が高く、データを書き換えることでカード自体を何度も再利用可能であるといった利便性も有する。
【0027】
かかる利便性により、非接触ICカード1は、各種のサービスを提供するICカードシステムに適用されている。例えば、非接触ICカード1は、電子マネーシステム、交通機関の改札システム、高速道路の料金徴収システム、電子決済システム、建造物への入館・入室用やPCへのログイン用のセキュリティシステムなどに適用される。また、1枚の非接触ICカード1でこれら複数の機能を併せ持ったマルチアプリケーションタイプのカードも開発されており、非接触ICカード1の種類は多様化している。
【0028】
非接触ICカード1は、一般的には、バッテリ等の電源を内蔵しておらず、リーダライタ2からアンテナを介して供給される第1の電力(RF電力)を用いて動作する。RF電力は、リーダライタ2から発信される電磁波により、非接触ICカード1のコイルアンテナに発生した誘導起電力により生成される電力である。RF電力を利用すれば、非接触ICカード1内にバッテリを設ける必要が無く、非接触ICカード1を小型化及び廉価にできるという利点がある。
【0029】
しかし、上述したように、非接触ICカード1で得られるRF電力は、非接触ICカード1とリーダライタ2との距離に応じて変動するため、供給が不安定である。例えば、ユーザが、非接触ICカード1をリーダライタ2から遠い位置にかざした場合には、非接触ICカード1は、十分なRF電力が得られないので、好適にデータ通信することができない。また、非接触ICカード1のICチップに設けられたプロセッサの処理速度は、非接触ICカード1の通信可能距離とトレードオフの関係にあるので、得られるRF電力の電圧が低いと、当該プロセッサを高速動作させることができない。
【0030】
そこで本実施形態では、図1に示すように非接触ICカード1に着脱可能な携帯型バッテリアダプタ3を用いる。この携帯型バッテリアダプタ3を非接触ICカード1に装着して、携帯型バッテリアダプタ3から非接触ICカード1に接触方式で電力を供給する。これにより、携帯型バッテリアダプタ3から非接触ICカード1に、RF電力(第1の電力)より高電圧の外部電力(第2の電力)を安定供給して、非接触ICカード1の性能を向上させることができる。
【0031】
携帯型バッテリアダプタ3は、非接触ICカード1に着脱可能に装着される外部電源装置の一例であり、ユーザが携帯可能な大きさの携帯型バッテリボックスである。携帯の容易性を考慮すると、携帯型バッテリアダプタ3は、非接触ICカード1を装着可能でありつつ、極力薄くて小型である方が好ましい。
【0032】
携帯型バッテリアダプタ3は、例えば、箱形の筐体4と、非接触ICカード1を装着するためのスロット5と、筐体4内に設置されるバッテリ6と、スロット5内に設置されてバッテリ6に接続された給電端子(図示せず。)を備える。スロット5は、非接触ICカード1を装着するための装着部に相当し、バッテリ6は、非接触ICカード1に第2の電力を供給するための電源に相当する。
【0033】
携帯型バッテリアダプタ3のスロット5には、非接触ICカード1が装着される。このとき、非接触ICカード1の接触端子7が、上記スロット5内の給電端子と接続するに足る状態まで、非接触ICカード1を挿入できればよい。例えば、非接触ICカード1の全体を携帯型バッテリアダプタ3内に挿入するのではなく、図1に示すように、非接触ICカード1の接触端子7側の一部のみを、携帯型バッテリアダプタ3のスロット5に部分的に挿入するようにしてもよい。これにより、非接触ICカード1を携帯型バッテリアダプタ3に装着した状態で、非接触ICカード1の他側は、携帯型バッテリアダプタ3の外部に露出する。これにより、非接触式のリーダライタ2が発した電磁波が、携帯型バッテリアダプタ3により遮られることなく、露出した非接触ICカード1内のアンテナに十分に交錯するようになるので、安定した通信を維持できる。
【0034】
なお、携帯型バッテリアダプタ3内に非接触ICカード1全体を収容するような装着構造でもよい。しかし、この場合には、携帯型バッテリアダプタ3の筐体4等に使用される金属等により、リーダライタ2からの電磁波が遮蔽されないように構成することが好ましい。
【0035】
かかる構成の携帯型バッテリアダプタ3に非接触ICカード1を装着することで、スロット5内の給電端子と、非接触ICカード1の接触端子7とが物理的に接続される。これにより、携帯型バッテリアダプタ3のバッテリ6の電力を、当該給電端子及び接触端子7を通じて、非接触ICカード1に供給できるようになる。バッテリ6は、例えば、任意の乾電池、充電池などで構成され、バッテリ6の供給する電力は、非接触ICカード1がリーダライタ2からアンテナを介して取得できるRF電力よりも高電圧である。
【0036】
このようにして、携帯型バッテリアダプタ3から非接触ICカード1に外部電力を供給することで、非接触ICカード1のICチップに高電圧の電力を安定供給できる。従って、携帯型バッテリアダプタ3を非接触ICカード1に装着することで、非接触ICカード1の性能を向上させて、リーダライタ2と高性能で非接触通信することができる。例えば、非接触ICカード1の具備するプロセッサの処理速度を上げて、非接触通信時間を短縮したり、非接触ICカード1の通信性能を上げて、通信可能範囲を広げたりすることができる。一方、非接触ICカード1に携帯型バッテリアダプタ3を装着していないときであっても、非接触ICカード1は、通常通り、リーダライタ2からのRF電力を用いて、非接触通信可能である。
【0037】
<2.非接触ICカードの構成:図2、3>
次に、図2を参照して、本実施形態にかかる非接触ICカード1の構成について説明する。図2は、本実施形態にかかる非接触ICカード1の構成を示すブロック図である。
【0038】
図2に示すように、非接触ICカード1は、リーダライタ2と非接触通信するためのアンテナ10と、アンテナ10を用いてリーダライタ2と非接触通信するICチップ100とを備える。ICチップ100は、整流平滑回路20と、RF処理部30と、RF検出回路40と、ICカードロジック部50と、外部電源検出回路60と、スイッチ回路SW1、SW2と、接触端子(Vcc端子、GND端子)とを備える。このうち、アンテナ10、整流平滑回路20、RF処理部30及びRF検出回路40は、非接触式リーダライタ2と非接触通信するための非接触インターフェースを構成する。
【0039】
なお、整流平滑回路20は、本発明の電力生成部に相当する。RF処理部30及びICカードロジック部50は、非接触通信機能を司る非接触ICカード機能部に相当する。RF検出回路40は、本発明の信号検出部に相当する。外部電源検出回路60は、本発明の外部電源検出部に相当する。スイッチ回路SW1、SW2は、本発明の電源切替部に相当する。Vcc端子は、本発明の接触端子に相当する。
【0040】
上記のように非接触ICカード1は、接触端子付きの非接触ICカードであり、上記携帯型バッテリアダプタ3と物理的に接続するための接触端子(Vcc端子:図1の接触端子7に対応する。)を備えている。以下に、非接触ICカード1の各部について説明する。
【0041】
アンテナ10は、例えば、非接触ICカード1の外縁に沿って設けられるコイルアンテナで構成される。アンテナ10は、整流平滑回路20、RF処理部30、RF検出回路40に接続されている。
【0042】
整流平滑回路20は、アンテナ10で受信した信号を整流する整流回路と、整流回路の出力電力を平滑して、カード1内で用いるRF電力を生成する平滑回路とを備える。整流平滑回路20は、リーダライタ2が発信した搬送波のRF動作磁界によりアンテナ10に発生した誘導起電力から、ICチップ100を動作させるための電力(RF電力)を生成する。
【0043】
アンテナ10の一端は、RF処理部30とRF検出回路40に接続されている。RF処理部30は、非接触ICカード1とリーダライタ2間で非接触通信する通信部として機能する。RF処理部30は、リーダライタ2からアンテナ10を介して受信された信号や、アンテナ10からリーダライタ2に送信する信号を処理する。かかるRF処理部30は、変復調回路31と、データクロック分離回路32と、クロック生成回路33とを備える。
【0044】
変復調回路31は、リーダライタ2からアンテナ10を介して受信した信号を所定の変調方式(例えばASK)で負荷復調する復調回路と、アンテナ10を介してリーダライタ2に送信するデータを所定の変調方式で変調する変調回路とを備える。復調回路は、アンテナ10で受信した信号を復調して得られた受信データをICカードロジック部50のデータ入出力端子55(D I/O)に出力する。変調回路は、データ入出力端子55から入力された送信データを負荷変調して、アンテナ10を介してリーダライタ2に送信する。なお、負荷変調は、非接触ICカード1側で負荷となる抵抗または容量をオン/オフして反磁界を発生させることで、送信データを変調することをいう。
【0045】
なお、当該変復調回路31は、リーダライタ2への送信データを負荷変調するときの変調率(「変調度:Modulation Index」ともいう。)を、低変調率(第1の変調率)と高変調率(第2の変調率)に可変であるが、詳細は後述する。アンテナ10での受信信号から得られるRF電力の大きさは、負荷変調の変調率に依存しており、変調率が低いほど、得られるRF電力が大きくなる。なお、変復調回路31で使用する変調率は、低変調率(第1の変調率)にデフォルト設定されている。
【0046】
データクロック分離回路32は、リーダライタ2からアンテナ10を介して受信した信号から、データクロックを分離する。当該信号は、例えば、マンチェスター符号化された信号であり、リーダライタ2から送信されたデータと、そのデータを抽出するためのデータクロックとが含まれている。データクロック分離回路32は、分離したデータクロックをICカードロジック部50のデータクロック端子56(D CLK)に出力する。
【0047】
クロック生成回路33は、リーダライタ2からアンテナ10を介して受信した信号から、ICカードロジック部50を動作させるためのクロックを生成する。クロック生成回路33は、当該信号を伝送する搬送波(例えば13.56MHz)を分周して、周波数が異なる2つの周波数のクロック信号(即ち、第1のクロック信号CLK1及び第2のクロック信号CLK2)を生成する。第1のクロック信号CLK1(以下「クロック信号CLK1」という。)は、アンテナ10からのRF電力の供給時に、CPU51を低速動作させるための低周波数のクロック信号である。一方、第2のクロック信号CLK2(以下「クロック信号CLK2」という。)は、携帯型バッテリアダプタ3からの外部電力の供給時に、CPU51を高速動作させるための高周波数のクロック信号である。
【0048】
RF検出回路40は、リーダライタ2からアンテナ10を介して、所定の電圧レベル以上の信号を受信しているか否かを検出する。例えば、RF検出回路40は、アンテナ10より受信された信号の搬送波のレベルを検出し、所定レベル以上の信号電圧を検出すると、スイッチ回路SW1をオンにする。一方、アンテナ10で受信した信号電圧が所定レベル未満であれば、RF検出回路40は、SW1をオフのままにする。
【0049】
ICカードロジック部50は、プロセッサとメモリ等から構成され、ICカード1を用いて提供されるサービスのデータを管理する機能を有する。ICカードロジック部50は、CPU(Central Processing Unit)51と、ROM(Read Only Memory)52と、RAM(Random Access Memory)53と、不揮発性メモリ54と、各種の端子55〜58とを備える。
【0050】
CPU51は、所定のプログラムに従って動作するプロセッサであり、ICチップ100内の各部を制御する制御部や演算処理部として機能する。このCPU51は、ROM51又は不揮発性メモリ54等に記憶されたプログラムに従って、RAM53を使用しながら、各種の処理を実行する。RAM53は、CPU51が使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメーター、リーダライタ2と送受信されるデータ等を一時記憶する。なお、CPU51が実行するプログラムは、任意の記憶媒体又は通信媒体を介して非接触ICカードに提供される。
【0051】
また、CPU51は、外部電源検出回路60による検出結果に応じて、上記クロック生成回路33で生成されたクロック信号CLK1又はCLK2に基づいて、所定のクロック周波数で動作する。なお、CPU51の動作するクロック周波数は、第1のクロック信号CLK1に基づく低クロック周波数にデフォルト設定されている。また、CPU51は、外部電源検出回路60の検出結果に応じて、変復調回路31における送信データの負荷変調の変調率を制御することもできる。これらの詳細については後述する。
【0052】
不揮発性メモリ54は、各種のデータを記憶する記憶部として機能し、例えばフラッシュメモリで構成される。不揮発性メモリ54は、非接触通信を利用した各種のサービスで用いられるサービスデータや、その管理情報など、各種のデータを保持する。
【0053】
データ入出力端子55(D I/O)には、変復調回路31から受信データが入力される。また、当該データ入出力端子55は、CPU51からの送信データを変復調回路31に出力する。データクロック端子56(DCLK)には、データクロック分離回路32からデータクロックが入力される。データ入力端子57(DI)には、外部電源検出回路60からの検出信号SELが入力される。リセット端子58(RST)には、RF検出回路40による信号検出時(非接触通信開始時)に、当該RF検出回路40からリセット信号が入力される。
【0054】
外部電源検出回路60は、上記携帯型バッテリアダプタ3からVcc端子を介して、外部電力が供給されるか否かを検出する機能を有する。外部電源検出回路60は、Vcc端子に印可される電圧をチェックして、Vcc端子に印可される電圧が所定電圧以上である場合、外部電力の供給が有ると判定する。この場合、外部電源検出回路60は、スイッチ回路SW2の電力供給パスを、整流平滑回路20側からVcc端子側に切り替えるとともに、外部電力の供給が有ることを表す検出信号SELをICカードロジック部50及びRF処理部30に出力する。一方、Vcc端子に印可される電圧が所定電圧未満である場合、外部電源検出回路60は、外部電力の供給が無いと判定し、スイッチ回路SW2の電力供給パスを、予め設定されている整流平滑回路20側に維持するとともに、上記検出信号SELを出力しない。なお、上記所定電圧は、CPU51で要求される電圧値であり、例えば3Vである。
【0055】
スイッチ回路SW1は、Vcc端子と外部電源検出回路60とを接続するライン上に設けられている。スイッチ回路SW1は、RF検出回路40からの指示に基づいてオン/オフして、Vcc端子から外部電源検出回路60への外部電力の供給をオン/オフする。RF検出回路40による信号検出時には、スイッチ回路SW1はオンとなり、Vcc端子からの外部電力を外部電源検出回路60に供給する。
【0056】
スイッチ回路SW2は、ICカードロジック部50及びRF処理部30(非接触ICカード機能部)に供給する電力を、上記RF電力(第1の電力)又は外部電力(第2の電力)に選択的に切り替える機能を有する。スイッチ回路SW2は、一側がVcc端子及び整流平滑回路20に接続され、他側がICカードロジック部50及びRF処理部30に接続されている。このスイッチ回路SW2は、初期状態で、整流平滑回路20をICカードロジック部50及びRF処理部30と接続するように設定されている。
【0057】
かかるスイッチ回路SW2は、外部電源検出回路60からの指示に基づいて、電力供給パスを切り替える。外部電源検出回路60により外部電力が検出された時には、スイッチ回路SW2は、電力供給パスを、デフォルト設定された整流平滑回路20側から、Vcc端子側に切り替える。これにより、Vcc端子からの外部電力が、スイッチ回路SW2を介して、ICカードロジック部50及びRF処理部30のVp端子に供給されるようになる。一方、外部電源検出回路60により外部電力が検出されない時には、スイッチ回路SW2は、電力供給パスの切り替え動作を行わず、電力供給パスを、デフォルト設定された整流平滑回路20側に維持する。これにより、整流平滑回路20で生成されたRF電力が、ICカードロジック部50及びRF処理部30のVp端子に供給される。
【0058】
次に、上記図2に示した構成の非接触ICカード1の動作について説明する。
【0059】
非接触ICカード1をリーダライタ2にかざすと、非接触ICカード1のアンテナ10は、リーダライタ2から送信された信号(電磁波)を受信する。この結果、リーダライタ2からの磁界によりアンテナ10に誘導起電力が発生し、その起電力に応じた交流信号が、整流平滑回路20、変復調回路31、データクロック分離回路32、クロック生成回路33及びRF検出回路40に出力される。
【0060】
整流平滑回路20は、上記アンテナ10の起電力を受け、それにより生じた交流信号を整流して平滑することで、直流電圧のRF電力を生成し、このRF電力をICチップ100の動作電力としてスイッチ回路SW2に送る。
【0061】
また、RF検出回路40は、上記アンテナ10よる信号受信に応じて、所定レベル以上の信号電圧を検出すると、スイッチ回路SW1をオンにし、Vcc端子と外部電源検出回路60とを接続する。また、RF検出回路40は、上記信号電圧を検出すると、ICカードロジック部50のリセット端子58にリセット指示を入力し、CPU51を初期状態にリセット(初期化)する。
【0062】
スイッチ回路SW1がオンされると、外部電源検出回路60は、Vcc端子からスイッチ回路SW1を介して入力された外部電力の電圧レベルが所定電圧以上であるか否かを検出する。この結果、所定電圧以上である場合には、外部電源検出回路60は、ICカードロジック部50のデータ入力端子57と、RF処理部30の変復調回路31に検出信号SELを送る。さらに、外部電源検出回路60は、スイッチ回路SW2を動作させて電力供給パスをVcc端子側に切り替えて、Vcc端子からの外部電力を、ICカードロジック部50とRF処理部30のVp端子に供給する。この結果、ICチップ100のICカードロジック部50とRF処理部30は、高電圧の外部電力を用いて動作するようになる。
【0063】
一方、非接触ICカード1に携帯型バッテリアダプタ3が装着されていない場合には、Vcc端子の電圧はゼロとなる。この場合、RF検出回路40によりSW1がオンされて、外部電源検出回路60とVcc端子が接続されたとしても、Vcc端子の電圧がゼロであるので、外部電源検出回路60は、SW2を動作させず、電力供給パスは、整流平滑回路20側のままとなる。この結果、整流平滑回路20からのRF電力が、ICカードロジック部50とRF処理部30に供給されるので、これらは低電圧のRF電力を用いて動作するようになる。
【0064】
上記のようにして、外部電力又はRF電力がICチップ100に供給されると、当該電力を用いてICカードロジック部50とRF処理部30が動作して、アンテナ10を介してリーダライタ2と非接触通信する。
【0065】
具体的には、非接触ICカード1がリーダライタ2からデータを受信する場合、RF処理部30の変復調回路31は、アンテナ10により受信した信号を復調してデータを抽出し、データ入出力端子55に出力する。また、データクロック分離回路32は、アンテナ10による受信信号に含まれるデータクロックを分離して、データクロック端子56に出力する。さらに、クロック生成回路33は、アンテナ10による受信信号の搬送波を分周することで、低周波数のクロック信号CLK1と、高周波数のクロック信号CLK2を生成して、CPU51に出力する。
【0066】
さらに、ICカードロジック部50においては、CPU51は、クロック生成回路33から入力されたクロック信号(クロック信号CLK1又はクロック信号CLK2)に基づいて動作して、各種の処理を行う。例えば、CPU51は、データクロック端子56に入力されたデータクロックのタイミングで、データ入出力端子55から入力されたデータを抽出して、リーダライタ2から送信されたオリジナルのデータ又はコマンドを得る。そして、CPU51は、当該データを不揮発性メモリ54に保存したり、当該コマンドに基づいて所定の処理を行ったりする。
【0067】
このとき、CPU51は、上記外部電源検出回路60から検出信号SELを受けていないとき(即ち、RF電力の供給時)には、低周波数のクロック信号CLK1を用いて、低い処理速度で動作する。一方、上記外部電源検出回路60から検出信号SELを受けているとき(即ち、外部電力の供給時)には、CPU51は、高周波数のクロック信号CLK2を用いて、高処理速度で動作する。
【0068】
また、非接触ICカード1からリーダライタ2にデータを送信する場合、CPU51は、例えばマンチェスター符号化方式により、データクロックのタイミングで送信対象のデジタルデータを符号化して、データ入出力端子55から変復調回路31に出力する。変復調回路31は、CPU51のデータ入出力端子55からデータが入力されたときは、アンテナ10による受信信号からのデータ抽出に優先して、当該入力されたデータを負荷変調し、その変調した信号を、アンテナ10を介してリーダライタ2に送信する。
【0069】
このとき、変復調回路31は、上記外部電源検出回路60から検出信号SELを受けていないとき(即ち、RF電力の供給時)には、通常の非接触通信で用いる第1の変調率でデータを負荷変調する。一方、上記外部電源検出回路60から検出信号SELを受けているとき(即ち、外部電力の供給時)には、変復調回路31は、第1の変調率よりも大きい第2の変調率でデータを負荷変調する。
【0070】
以上のように、本実施形態にかかる非接触ICカード1のICチップ100は、アンテナ10から供給されるRF電力、又は、Vcc端子から供給される外部電力を用いて動作して、非接触通信を行う。このとき、ICチップ100は、ICチップ100を動作させるための電力が、RF電力であるか外部電力であるかによって、CPU51の処理速度及び変復調回路31の負荷変調の変調率を切り替える。
【0071】
即ち、非接触ICカード1にVcc端子から外部電力の供給が無い場合は、ICチップ100は、アンテナ10で受ける磁界の再生電力であるRF電力を電力供給元とする。このとき、CPU51は、クロック生成回路33から入力された低周波数のクロック信号CLK1に基づき、低いクロック速度で動作する。また、変復調回路31は、リーダライタ2への送信データを低い変調率(第1の変調率:例えば10〜13%程度)で負荷変調する。このように、携帯型バッテリアダプタ3が装着されておらず、外部電力が供給されないときは、非接触ICカード1のICチップ100は、通常の能力で動作して非接触通信を行う。
【0072】
一方、アンテナ10により所定レベル以上の電圧の信号を受信したことが検出され、かつ、Vcc端子から外部電力の供給が有る場合は、ICチップ100は、Vcc端子からの外部電力を電力供給元とする。このとき、CPU51は、クロック生成回路33から入力された高周波数のクロック信号CLK2に基づき、高いクロック速度で動作する。さらに、変復調回路31は、リーダライタ2への送信データを高い変調率(第2の変調率:例えば50%〜100%)で負荷変調する。
【0073】
このように、携帯型バッテリアダプタ3から非接触ICカード1に外部電力が供給されるときは、CPU51の処理速度を高速化することで、非接触通信時のカード内での処理時間を短縮できる。このとき、高速処理するCPU51の消費電力は増加するが、不安定な低電圧のRF電力ではなく、安定した高電圧の外部電力を用いるので、リーダライタ2との通信距離を確保しつつ、処理速度の高速化できる。また、変復調回路31にて高い変調率で送信データを負荷変調することで、非接触ICカード1からリーダライタ2に返信する信号の強度を高めることができる。従って、非接触ICカード1の送信能力を高めて、リーダライタ2と通信可能な距離を延ばすことができる。
【0074】
以上のように、非接触ICカード1は、リーダライタ2と非接触通信を行うときに、携帯型バッテリアダプタ3からの電力サポートがある場合には、その外部電力を十分に利用して、ICチップ100の性能(CPU51の処理速度と、負荷変調の変調率)をアップさせる。これによって、非接触ICカード1は、非接触通信のための高速処理を実現でき、かつ、リーダライタ2に対する返信信号の送信能力を向上させることができる。
【0075】
ここで、図3を参照して、外部電力サポートによる非接触ICカード1の通信可能範囲について説明する。なお、図3は、本実施形態にかかる非接触ICカードの通信可能範囲A〜Cを示す説明図である。
【0076】
図3に示すように、非接触ICカード1は、リーダライタ2に接近させることで、リーダライタ2と非接触通信可能となる。このときの非接触ICカード1の通信可能範囲A〜Cはリーダライタ2のアンテナ位置を中心とした略半楕円球状の範囲となる。
【0077】
非接触ICカード1に携帯型バッテリアダプタ3を装着しない場合(即ち、バッテリサポートがない場合)には、非接触ICカード1は、リーダライタ2からアンテナ10を介して取得したRF電力で動作する。このRF電力は、非接触ICカード1とリーダライタ2との距離により変動するため不安定であり、しかも低電圧である。よって、非接触ICカード1が動作可能な範囲Aは狭い範囲となる。また、RF電力のみで動作する場合は、十分な電力が得られるか不確実であるので、非接触ICカード1のCPU51の処理速度も低速度に抑制する必要がある。
【0078】
これに対し、非接触ICカード1に携帯型バッテリアダプタ3を装着した場合(即ち、バッテリサポートがある場合)には、非接触ICカード1は、携帯型バッテリアダプタ3から安定供給される高電位の外部電力で動作できる。このため、非接触ICカード1をリーダライタ2に近づけたきに、リーダライタ2からの電磁波を受けて非接触ICカード1が起動できる範囲Bは、上記範囲Aよりも広くなる。即ち、非接触ICカード1は、リーダライタ2に近づけられて通信範囲Bまで至ったときに、リーダライタ2から発せられる信号が所定電圧以上になったことを検出する。すると、非接触ICカード1は、携帯型バッテリアダプタ3からの高電圧の外部電力をICチップ100に給電して、CPU51を起動させる。起動後は、CPU51を高い処理速度で動作させつつ非接触通信を行うことができる。このように、携帯型バッテリアダプタ3によるバッテリサポートにより、非接触ICカード1の動作範囲を、範囲Aから範囲Bに拡張できる。
【0079】
さらに、非接触ICカード1は、外部電力による動作時は、リーダライタ2に返信するデータの負荷変調の変調率を高めるので、送信能力が向上する。従って、非接触ICカード1がリーダライタ2に対して返信可能な範囲Cは、上記範囲Bよりもさらに広くなり、リーダライタ2は、広い範囲C内にある非接触ICカード1の信号を受信可能となる。よって、ユーザが非接触ICカード1をリーダライタ2にかざしたときの非接触ICカード1の動作可能時間を長くできる。
【0080】
<3.非接触通信方法:図4、5>
次に、図4を参照して、本実施形態にかかる通信システムにおける非接触通信方法について説明する。図4は、本実施形態にかかる通信システムにおける非接触通信方法を示すシーケンス図である。なお、以下のシーケンスでは、非接触ICカード1に携帯型バッテリアダプタ3が予め装着されているものとする。
【0081】
図4に示すように、まず、非接触式のリーダライタ2は、通信範囲内にある非接触ICカード1を捕捉するために、ポーリング信号を発信するポーリング動作を行っており、これにより、リーダライタ2の周辺には磁界が発生している(S10)。ユーザが非接触ICカード1をリーダライタ2にかざすと、非接触ICカード1は、リーダライタ2の通信範囲内に位置づけられる。すると、非接触ICカード1のアンテナ10には、リーダライタ2からのポーリング信号による磁界によって誘電起電力が発生するので、非接触ICカード1は、このアンテナ10に生じた所定レベル以上の信号電圧を検出する。この信号電圧の検出に応じて、非接触ICカード1は、スイッチング回路SW1、SW2を切り替えて、電力供給パスをRF電力用パスから外部電力用パスに切り替える(S12)。
【0082】
この結果、携帯型バッテリアダプタ3のバッテリ6の電力が、Vcc端子(接触端子7)を介して非接触ICカード1に供給される(S14)。これによって、非接触ICカード1のICチップ100は、携帯型バッテリアダプタ3からの外部電力で動作するようになる。
【0083】
次いで、非接触ICカード1は、CPU51を動作させるためのクロック周波数を、デフォルト設定された低周波数(クロック信号CLK1)から、高周波数(クロック信号CKL2)に切り替える(S16)。これにより、CPU51の処理速度が上昇するため、以降の非接触通信時(S20〜S22)においてデータを高速処理できるようになる。さらに、非接触ICカード1は、変復調回路31における負荷変調の変調率を、デフォルト設定された低変調(第1の変調率)から高変調率(第2の変調率)に切り替える(S18)。これにより、以降の非接触通信時(S20〜S22)において非接触ICカード1からリーダライタ2に送信するデータを高い変調率で負荷変調するようになるので、非接触ICカード1の通信可能距離が延びる。
【0084】
以上のようにして、非接触ICカード1において、電源供給パス、クロック周波数及び変調率を切り替えた後に、非接触ICカード1とリーダライタ2は非接触通信する。この非接触通信では、リーダライタ2は、非接触ICカード1に所定のコマンドを送信し(S20)、非接触ICカード1は、該コマンドに応じて所定の処理を行った後に、その処理結果をリーダライタ2に返信する(S22)。かかるコマンドや処理結果の送受信は、必要に応じて複数回繰り返される。
【0085】
その後、非接触通信が終了すれば、非接触ICカード1は、スイッチング回路SW1をオフし、SW2により電力供給パスを外部電力用パスからRF電力用パスに切り替える(S24)。これにより、携帯型バッテリアダプタ3から非接触ICカード1への電力供給を遮断して、バッテリ6の浪費を防止できる。なお、その後、もし携帯型バッテリアダプタ3が非接触ICカード1から取り外されたとしても、非接触ICカード1は、通常通り、アンテナ10から供給されるRF電力を用いてリーダライタ2と非接触通信することができる。
【0086】
次に、図5を参照して、上記の非接触通信時における非接触ICカード1の通信方法について詳細に説明する。図5は、本実施形態にかかる非接触ICカード1の非接触通信方法を示すフローチャートである。
【0087】
図5に示すように、まず、非接触ICカード1のRF検出回路40は、アンテナ10がリーダライタ2から発信される信号(RF信号)を受信したことを検出すると(S30)、当該受信した信号レベルが所定の電圧値以上であるか否かを判定する(S32)。該信号レベルが所定の電圧値以上であれば、S34に進む。一方、該信号レベルが所定の電圧値未満であれば、非接触ICカード1が更にリーダライタ2に接近することによって、該信号レベルが所定の電圧値以上になるまで、RF検出回路40は信号レベルの検出を続ける。
【0088】
次いで、上記所定レベル以上のRF信号が検出されると、RF検出回路40は、スイッチ回路SW1をオンにするとともに、CPU51にリセット信号を送出してCPU51を初期化(リセット)する(S34)。
【0089】
その後、外部電源検出回路60は、上記携帯型バッテリアダプタ3からVcc端子を介して、所定電圧(例えば3V)以上の外部電力が供給されるか否かを検出する(S36)。例えば、外部電源検出回路60は、携帯型バッテリアダプタ3に接続されたVcc端子に印可される外部電圧を検出し、この外部電圧が所定電圧以上であるか否かを判定する。
【0090】
この結果、非接触ICカード1に携帯型バッテリアダプタ3が装着されておらず、Vcc端子から所定電圧以上の外部電力が供給されない場合、S46に進む。S46では、非接触ICカード1は、アンテナ10による受信信号から生成されるRF電力を用いて、リーダライタ2と低性能の非接触通信を行う(S46)。即ち、予めデフォルト設定された低クロック周波数(クロック信号CLK1)でCPU51を動作させてデータを処理するともに、予めデフォルト設定された低変調率(第1の変調率)で送信データを負荷変調してリーダライタ2に送信する。
【0091】
一方、非接触ICカード1に携帯型バッテリアダプタ3が装着されており、Vcc端子から所定電圧以上の外部電力が供給される場合、S38に進む。S38では、スイッチ回路SW2が電力供給パスを切り替えることで、ICチップ100に供給される電力が、RF電力から外部電力に切り替えられる(S38)。これにより、ICチップ100は、安定供給される高電圧の外部電力を用いて動作できるようになる。
【0092】
次いで、非接触ICカード1のCPU51は、該CPU51を動作させるためのクロック周波数を、デフォルト設定された低周波数から、高周波数に切り替える(S40)。CPU51には、クロック生成回路33から、RF電力供給時に用いる低周波数のクロック信号CLK1と、外部電力供給時に用いる高周波数のクロック信号CLK2とが入力されている。外部電源検出回路60から検出信号SELが入力されると、CPU51は、デフォルト設定されたクロック信号CLK1に代えて、クロック信号CLK2を選択する。これにより、CPU51は、非接触通信時に、当該クロック信号CLK2に基づいて、高いクロック周波数で高速動作するようになる。
【0093】
さらに、非接触ICカード1の変復調回路31は、リーダライタ2に送信するデータを負荷変調するときの変調率を、デフォルト設定された低変調率(第1の変調率)から高変調率(第2の変調率)に切り替える(S42)。外部電源検出回路60から検出信号SELが入力されると、変復調回路31は、送信データの負荷変調の変調率を低変調率から高変調率に設定変更する。これにより、非接触通信時に、変復調回路31は、リーダライタ2への送信データを高変調率で負荷変調することで、非接触ICカード1の送信性能を向上できる。
【0094】
次いで、非接触ICカード1は、上記携帯型バッテリアダプタ3から供給される外部電力を用いて、リーダライタ2と高性能の非接触通信を行う(S44)。即ち、上記切り替えられた高クロック周波数(クロック信号CLK2)でCPU51を高速動作させて、データを高速処理するともに、上記切り替えられた高変調率(第2の変調率)で送信データを負荷変調してリーダライタ2に送信する。
【0095】
その後、上記非接触通信が終了した後に、非接触ICカード1がリーダライタ2から離れた場合、非接触ICカード1は、スイッチ回路SW1、SW2をオフにして、電力供給パスをRF電力側に戻す(S48)。これにより、携帯型バッテリアダプタ3から非接触ICカード1への外部電力の供給が遮断され、携帯型バッテリアダプタ3のバッテリ6の電力を消費しないようになる。
【0096】
さらに、非接触ICカード1は、上記S40、S42で高レベルに切り替えたCPU51のクロック周波数及び変復調回路31の変調率を、デフォルト設定された低いレベルに戻す(S50)。これにより、非接触ICカード1のIPチップの非接触通信性能が元に戻るため、その後に携帯型バッテリアダプタ3が取り外されたとしても、RF電力を用いて通常の性能で好適に非接触通信できるようになる。
【0097】
以上のように、本実施形態にかかる非接触ICカード1は、非接触通信の開始時にリーダライタ2からの信号を検知すると、携帯型バッテリアダプタ3から外部電力の供給が有るか無いかを確認する。外部電力の供給が有る場合には、ICチップ100の処理及び通信性能を高めても、通信距離を確保できるので、電源を携帯型バッテリアダプタ3に切り替えて、高性能で非接触通信する。一方、外部電力の供給が無い場合には、ICチップ100の処理及び通信性能を、通常通りの低い性能にしたままで、非接触通信する。
【0098】
<4.効果>
以上、本実施形態にかかる非接触ICカード1とリーダライタ2と携帯型バッテリアダプタ3とからなる通信システム、及び、それを用いた非接触通信方法について説明した。本実施形態によれば、非接触ICカード1に着脱可能な携帯型バッテリアダプタ3のバッテリ6の電力を、接触端子7(Vcc端子)を介して非接触ICカード1に供給する。これにより、非接触ICカード1のICチップに高電圧の外部電力を安定供給できる。従って、携帯型バッテリアダプタ3を非接触ICカード1に装着するだけで、非接触ICカード1の性能を向上させて、リーダライタ2と高性能で非接触通信できるようになる。
【0099】
即ち、非接触ICカード1に携帯型バッテリアダプタ3が装着されていない場合は、非接触ICカード1のICチップ100は、アンテナ10の受信信号から再生されたRF電力を電力供給元とする。このとき、CPU51は、低周波数のクロック信号CLK1に基づき低クロック周波数で動作し、また、変復調回路31は、リーダライタ2への送信データを低い変調率(例えば10〜13%程度)で負荷変調する。このように外部電力が供給されないときは、非接触ICカード1のICチップ100は、リーダライタ2との通信距離を確保するため、通常の能力で動作して非接触通信を行う。
【0100】
一方、非接触ICカード1に携帯型バッテリアダプタ3が装着されている場合は、非接触ICカード1は、アンテナ10がリーダライタ2から所定レベル以上の信号を受信したこと検出したときに、携帯型バッテリアダプタ3から外部電力の供給の有無を検出する。高電圧の外部電力の供給が有れば、非接触ICカード1のICチップ100は、高い性能で動作しても、通信距離が確保できるので問題ない。そこで、アンテナ10による所定レベル以上の信号の受信が検出され、かつ、携帯型バッテリアダプタ3からVcc端子を介してから外部電力の供給が有る場合は、ICチップ100は、Vcc端子からの外部電力を電力供給元とする。このとき、CPU51は、高周波数のクロック信号CLK2に基づき高クロック周波数で動作し、また、変復調回路31は、リーダライタ2への送信データを高い変調率(例えば50〜100%程度)で負荷変調する。
【0101】
従って、CPU51の処理速度を高速化することで、非接触通信時の処理時間を短縮できるとともに、安定した高電圧の外部電力を用いるので、リーダライタ2との通信距離も確保できる。例えば、ICチップ100のCPU51が、PKI(Public Key Infrastructure)等の公開鍵暗号処理を実行する場合には、通常の処理速度では数秒〜十数秒かかるが、外部電力のサポートが得られれば、処理時間を半分程度に低減できる。また、高い変調率で送信データを負荷変調することで、非接触ICカード1の送信能力を高めて、リーダライタ2に対する通信距離を拡大できる。
【0102】
上記のように、本実施形態にかかる非接触ICカード1は、電力変化の激しいRF電力の代わりに、Vcc端子から安定かる十分な電力を取得する。これにより、電力不足を心配することなく、CPU51の処理速度を高速化できる。また、アンテナ10からの受電電力を心配することなく、高い変調率で送信データを負荷変調可能となり、通信距離も長く取れるという利点がある。一方、Vcc端子から外部電力の供給がない場合は、低周波数のクロック信号CLK2を用いてCPU51を動作させる。これにより、電力消費を抑制し、かつ、変調率の低減により電力損失も最小として、最適な動作を確保できる。
【0103】
このように、本実施形態にかかる非接触ICカード1は、RF電力と外部電力を検知することにより、非接触通信時の非接触ICカード1の処理速度と送信能力を切り替えることができる。これに対し、上記特許文献1〜3に記載の複合ICカードは、接触通信機能と非接触通信機能とを切り替え可能であったが、本実施形態にかかる非接触ICカード1のように、非接触ICカード1の非接触通信性能を切り替えるものではない。
【0104】
また、上記のように携帯型バッテリアダプタ3は、非接触ICカード1に高電圧の電力を安定供給して、カード性能を向上させるためのものである。これにより、ユーザは、非接触ICカード1に携帯型バッテリアダプタ3を装着するだけで、非接触ICカード1の性能をアップさせて、非接触ICカード1をリーダライタ2にかざして軽快に使用できる。例えば、非接触ICカード1の送信能力が高まるので、ユーザは、非接触ICカード1をリーダライタ2に至近距離まで近づけなくても、ある程度離れた位置にかざすだけでよい。また、非接触ICカード1の処理能力が高まるので、非接触ICカード1をリーダライタ2にかざす時間を短縮できる。
【0105】
また、携帯型バッテリアダプタ3を非接触ICカード1に装着していても、非接触ICカード1の能力が上がらなくなった場合、ユーザは、携帯型バッテリアダプタ3のバッテリ6が切れたことを直感的に認識できる。このときは、ユーザは、携帯型バッテリアダプタ3のバッテリ6を交換又は充電すればよい。
【0106】
ただし、非接触ICカード1に携帯型バッテリアダプタ3を装着しているときには常に、バッテリ6の電源が消費されるわけではない。非接触ICカード1は、リーダライタ2から所定レベル以上の信号を受信したとき(非接触通信の開始時)にだけ、携帯型バッテリアダプタ3からの電力供給を受けて動作して、バッテリ6の電力を消費する。それ以外の時は、非接触ICカード1は、たとえ携帯型バッテリアダプタ3が装着されていたとしても、バッテリ6の電力を消費しない。これにより、バッテリ6の浪費を抑制でできる。このように、携帯型バッテリアダプタ3は、従来の携帯電話内蔵型の非接触ICチップのように、リーダライタ2からの電波を受信していなくても常に、携帯電話本体から電力を受けているわけではない。
【0107】
以上のように、携帯型バッテリアダプタ3は、非接触ICカード1を使用するユーザにとって、感覚的に使い勝手のよいものである。ユーザは、非接触ICカード1を通常の能力で使用したいときは、携帯型バッテリアダプタ3を装着せずに、従来通りのシンプルな形態で使用できる。一方、非接触ICカード1をより高い能力で使用したいときは、携帯型バッテリアダプタ3を装着して、高性能な状態で軽快に使用できる。
【0108】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0109】
例えば、上記実施形態にかかる携帯型バッテリアダプタ3は、非接触ICカード1に対して接触端子7を介してバッテリ6の電力を供給する給電機能のみを有していたが、本発明の外部電源装置は、かかる例に限定されない。例えば、外部電源装置は、小型LCD等の表示部を備え、非接触ICカード1内に保持されたデータ(例えば、電子マネー残額、カード使用履歴等)を表示する機能など、上記給電機能以外の追加機能を有していてもよい。
【0110】
また、上記実施形態にかかる携帯型バッテリアダプタ3は、1枚の非接触ICカード1を挿入する装着構造であった。しかし、本発明はかかる例に限定されず、例えば、外部電源装置は、複数枚の非接触ICカード1を装着可能であってもよい。また、外部電源装置に対する非接触ICカード1の装着方向、装着位置、装着幅や、外部電源装置の形状などは、上記図1の例に限定されず、任意の形態に設計変更できる。
【0111】
また、上記実施形態では、クロック生成回路33が2種類のクロック信号CLK1、CLK2を生成し、CPU51は外部電源検出回路60からの検出信号SELに基づいてCLK1又はCLK2のいずれかを選択して使用していた。しかし、本発明はかかる例に限定されない。例えば、クロック生成回路33が外部電源検出回路60からの検出信号SELに基づいて、クロック信号CLK1又はCLK2のいずれか一方のみを生成し、CPU51は、クロック生成回路33から入力されたCLK1又はCLK2を使用してもよい。かかる構成によっても、外部電力の有無に応じて、CPU51の処理速度を切り替え可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる通信システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】同実施形態にかかる非接触ICカードの構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態にかかる非接触ICカードの通信可能範囲を示す説明図である。
【図4】同実施形態にかかる通信システムにおける非接触通信方法を示すシーケンス図である。
【図5】同実施形態にかかる非接触ICカードの非接触通信方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0113】
1 非接触ICカード
2 非接触式のリーダライタ
3 携帯型バッテリアダプタ
4 筐体
5 スロット
6 バッテリ
7、Vcc 接触端子
10 アンテナ
20 整流平滑回路
30 RF処理部
31 変復調回路
32 データクロック分離回路
33 クロック生成回路
40 RF検出回路
50 ICカードロジック部
51 CPU
54 不揮発性メモリ
60 外部電源検出回路
100 ICチップ
SW1 第1のスイッチ回路
SW2 第2のスイッチ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、
外部装置と前記アンテナを介して非接触通信するICチップと、
前記外部装置から発せられる磁界により前記アンテナに発生した起電力を用いて、前記ICチップを動作させるための第1の電力を生成する電力生成部と、
非接触ICカードに着脱可能な携帯型電源装置に接続される接触端子と、
前記外部装置から前記アンテナを介して信号を受信したか否かを検出する信号検出部と、
前記第1の電力より高電圧の第2の電力が、前記携帯型電源装置から前記接触端子を介して供給されるか否かを検出する外部電源検出部と、
前記ICチップを動作させるための電力を、前記第1の電力又は前記第2の電力に選択的に切り替える電源切替部と、
を備え、
前記信号検出部による前記信号の検出に応じて、前記外部電源検出部により前記第2の電力の供給の有無を検出し、前記第2の電力の供給が有る場合に、前記電源切替部により前記第2の電力を前記ICチップに供給して、前記第2の電力により前記ICチップを動作させて、前記外部装置と非接触通信する、非接触ICカード。
【請求項2】
前記ICチップは、前記外部電源装置からの前記第2の電力の供給の有無に応じて、非接触通信能力を切り替える、請求項1に記載の非接触ICカード。
【請求項3】
前記外部装置から前記アンテナを介して受信された信号から、第1のクロック信号又は前記第1のクロック信号より高周波数の第2のクロック信号の少なくともいずれかを生成するクロック生成部をさらに備え、
前記ICチップが備えるプロセッサは、前記第1の電力が供給されるときには、前記第1のクロック信号の周波数に対応する処理速度で動作し、前記第2の電力が供給されるときには、前記第2のクロック信号の周波数に対応する処理速度で動作する、請求項2に記載の非接触ICカード。
【請求項4】
前記非接触ICカードから前記外部装置への送信データを負荷変調する変調部をさらに備え、
前記変調部は、前記第1の電力が供給されるときには、前記送信データを第1の変調率で負荷変調し、前記第2の電力が供給されるときには、前記送信データを前記第1の変調率より大きい第2の変調率で負荷変調する、請求項2又は3に記載の非接触ICカード。
【請求項5】
外部装置とアンテナを介して非接触通信するICチップを備えた非接触ICカードが、前記外部装置から前記アンテナを介して信号を受信したか否かを検出するステップと、
前記信号の検出に応じて、前記外部装置から発せられる磁界により前記アンテナに発生した起電力を用いて生成される第1の電力より高電圧の第2の電力が、前記非接触ICカードに着脱可能な携帯型電源装置から接触端子を介して供給されるか否かを検出するステップと、
前記第2の電力が前記接触端子を介して供給される場合に、前記携帯型電源装置からの前記第2の電力を前記ICチップに供給するステップと、
前記第2の電力により前記ICチップを動作させて、前記外部装置と非接触通信するステップと、
を含む、通信方法。
【請求項6】
外部装置とアンテナを介して非接触通信するICチップを備えた非接触ICカードのプロセッサに、
前記外部装置から前記アンテナを介して信号を受信したか否かを検出するステップと、
前記信号の検出に応じて、前記外部装置から発せられる磁界により前記アンテナに発生した起電力を用いて生成される第1の電力より高電圧の第2の電力が、前記非接触ICカードに着脱可能な携帯型電源装置から接触端子を介して供給されるか否かを検出するステップと、
前記第2の電力が前記接触端子を介して供給される場合に、前記携帯型電源装置からの前記第2の電力を前記ICチップに供給するステップと、
前記第2の電力により前記ICチップを動作させて、前記外部装置と非接触通信するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項7】
非接触ICカードと、
前記非接触ICカードと非接触通信する外部装置と、
前記非接触ICカードに着脱可能な携帯型電源装置と、
からなり、
前記携帯型電源装置は、
前記非接触ICカードを装着するための装着部と、
前記装着部に装着された前記非接触ICカードに第2の電力を供給する電源と、
を備え、
前記非接触ICカードは、
アンテナと、
前記外部装置と前記アンテナを介して非接触通信するICチップと、
前記外部装置から発せられる磁界により前記アンテナに発生した起電力を用いて、前記ICチップを動作させるための第1の電力を生成する電力生成部と、
前記非接触ICカードに装着された前記携帯型電源装置に接続される接触端子と、
前記外部装置から前記アンテナを介して信号を受信したか否かを検出する信号検出部と、
前記第1の電力より高電圧の前記第2の電力が、前記携帯型電源装置から前記接触端子を介して供給されるか否かを検出する外部電源検出部と、
前記ICチップを動作させるための電力を、前記第1の電力又は前記第2の電力に選択的に切り替える電源切替部と、
を備え、
前記非接触ICカードは、前記信号検出部による前記信号の検出に応じて、前記外部電源検出部により前記第2の電力の供給の有無を検出し、前記第2の電力の供給が有る場合に、前記電源切替部により前記第2の電力を前記ICチップに供給して、前記第2の電力により前記ICチップを動作させて、前記外部装置と非接触通信する、通信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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