非接触ICカードの製造方法及びその製造装置
【課題】IC搭載用樹脂基板の板厚がインレット基材の厚みより薄くても、インレット基材の金属ワイヤを精度良くIC搭載用樹脂基板へ配設し、且つICチップも樹脂基板に安定してフリップチップ搭載できる手段を提供すること。
【解決手段】一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、インレット基材の周縁にアンテナとして敷設された金属ワイヤの両端部を前記樹脂基板の一対の接続用電極にそれぞれ接合するにあたり、接続用電極面とインレット基材面とが面一になるように高さを調整した上、金属ワイヤの端部を接続用電極上を開口部を横断するように配置し、次いで上部から接触部を加熱圧着し金属ワイヤと接続用電極とを接続することを特徴とする非接触ICカードの製造方法。
【解決手段】一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、インレット基材の周縁にアンテナとして敷設された金属ワイヤの両端部を前記樹脂基板の一対の接続用電極にそれぞれ接合するにあたり、接続用電極面とインレット基材面とが面一になるように高さを調整した上、金属ワイヤの端部を接続用電極上を開口部を横断するように配置し、次いで上部から接触部を加熱圧着し金属ワイヤと接続用電極とを接続することを特徴とする非接触ICカードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICカードに係り、特にはエナメル線等の金属ワイヤがコイル状アンテナ若しくはダイポールアンテナとして敷設されたインレット基材に、IC搭載用樹脂基板を嵌め込み、金属ワイヤとICチップとをIC搭載用樹脂基板上の電極に接続する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触ICカードは、基本的には送受信用のアンテナと情報記録用のICチップとを電気的接続を採って紙基材やプラスチック基材中に挟み込んだもので、一般には、図3(a)に示すように金属ワイヤ4がコイル状に敷設されたインレット基材2に所定の大きさの開口部13を設け、IC搭載用樹脂基板3を該開口部に嵌め込んで製造する。
【0003】
インレット基材2は、金属ワイヤ4をコイル状に敷設したアンテナとIC搭載用樹脂基板3を収容する開口部13を備えている(図3(c))が、金属ワイヤ4をコイル状に敷設するには、基材面の所定位置に塗布された熱可塑性樹脂9(粘着層)上に金属ワイヤ4を金属ワイヤ敷設ヘッドから送り出し、敷設ヘッドにより熱可塑性樹脂を溶融させることで、開口部13を除く金属ワイヤ本体をインレット基材2に固定している。
【0004】
IC搭載用樹脂基板3は、ICチップ8が、対を成す接続用電極6を跨ぐように基板上に実装され、さらにモールド樹脂によりICチップが被覆され成型されたものである。完成したIC搭載用樹脂基板3をインレット開口部13に収容してから金属ワイヤ端部5と電気的接続がとられることもあれば、基板だけをインレット基材2の開口部13に収容してからICチップ8の搭載と金属ワイヤ4の接続を行い、その後モールド樹脂で被覆する場合がある。後者の場合、インレット基材からモールド層が大きく突出しないように、ICモジュール用の基板の厚みはインレット基材の厚みよりも薄く設定されるのが普通である。図3(c)でa<bに相当する。
【0005】
樹脂基板の電極6とインレット基材上の金属ワイヤ末端5との接続は、図3(a)(b)に示すように、金属ワイヤ末端5を樹脂基板の電極6上に開口部13を横断する形で載置した後、熱圧着ヘッドによって、金属ワイヤ4をIC搭載用樹脂基板(以下、樹脂基板とも記す。)の電極6に向けて押し付け、当該金属ワイヤを電極に熱圧着して固定している。
【0006】
その際、上述したようにIC搭載用樹脂基板3の厚みaがインレット基材の厚みbよりも薄いと、通常の平坦なステージ上での加工では、樹脂基板が開口部内に沈み込むので金属ワイヤを弛ませて電極面6Aに接触させる必要がある。弛ませると電極上を跨ぐ部分の金属ワイヤが蛇行するという問題がある。
【0007】
また、一般に開口部13はIC搭載用樹脂基板3より大きいので、樹脂基板は固定されず動く余裕がある。この場合、例えば熱圧着ヘッドの大きさが適切でないと電極面6Aと金属ワイヤ4のアライメントに誤差が生じ、金属ワイヤ4が歪んだり湾曲して熱圧着がうまく行えず、金属ワイヤ4に吊り下がる樹脂基板3の開口部13での占有位置が安定しないという問題がある。樹脂基板3の位置が安定しないと、その後のICチップ8取り付け工程でチップの取り付けがうまくいかないという問題が生じる。
【0008】
また、IC搭載用樹脂基板3の各電極6にワイヤ端部5を熱圧着した後に、ICチップ8を前記電極6をブリッジするようにフリップチップ実装する。樹脂基板3が金属ワイヤ
4に固定された状態でこの処理を行うことになるが、インレット基材2の厚みが樹脂基板3の厚みよりも厚いと、樹脂基板3と該基板が載置されるステージの間に隙間ができて、吸着によりステージに固定することが困難となり、超音波接合が不完全になるなどICチップ8の実装を確実に行えないという問題がある。
【0009】
IC搭載用樹脂基板の板厚を厚くすれば前記の問題は改善されるが、板厚の調整は容易ではなく、また厚くすると基板のコストが上昇し、コストダウンの要望に背反するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3721520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、IC搭載用樹脂基板の板厚がインレット基材の厚みより薄くても、インレット基材に敷設した金属ワイヤを精度良くIC搭載用樹脂基板へ配設し、且つICチップも前記樹脂基板に安定してフリップチップ搭載できる手段を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するための請求項1に記載の発明は、一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、インレット基材の周縁にアンテナとして敷設された金属ワイヤの両端部を前記樹脂基板の一対の接続用電極にそれぞれ接合するにあたり、接続用電極面とインレット基材面とが面一になるように高さを調整した上、金属ワイヤの端部を、接続用電極上を開口部を横断するように配置し、次いで上部から接触部を加熱圧着し金属ワイヤと接続用電極とを接続することを特徴とする非接触ICカードの製造方法としたものである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、ICチップを前記接続電極に接続するにあたり、接続用電極面とインレット基材面とが面一になるように高さを調整した上、ICチップを接続用電極のスリットを跨ぐように配置し、超音波を利用してフリップチップ接続することを特徴とする非接触ICカードの製造方法としたものである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、インレット基材の周縁にアンテナとして敷設された金属ワイヤの両端部を一対の接続用電極にそれぞれ接合する際に用いる製造装置であって、少なくとも、インレット基材が載置される平坦部と、インレット基材に設けた開口部に収容されるIC搭載用樹脂基板を下面から開口部に一部貫入して支持する台状突出部とを備えるステージ及びTCBとを備え、台状突出部の平坦部からの高さが、インレット基材面と接続用電極面が面一になるようにインレット基材の厚みと樹脂基板の厚みの差を補償する高さであることを特徴とするICカードの製造装置としたものである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、ICチップをフリップチップ接続により一対の接続電極に接続する際に用いる製造装置であって、少なくとも、インレット基材が載置される平坦部と、インレット基材に設けた開口部に収容されるIC搭載用樹脂基板を下面から開口部に一部貫入して支持する台状突出部とを備えるステージ及び超音波
実装ヘッドとを備え、台状突出部の平坦部からの高さが、インレット基材面と接続用電極面が面一になるようにインレット基材の厚みと樹脂基板の厚みの差を補償する高さであることを特徴とするICカードの製造装置としたものである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記ステージの平坦部にインレット基材吸着用の引き穴、台状突出部にはIC搭載用樹脂基板吸着用の引き穴を有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のICカードの製造装置としたものである。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記IC搭載用樹脂基板吸着用の引き穴は、IC搭載位置の直下近傍と金属ワイヤと接続用電極が接続する位置の直下近傍とを除く台状突出部に掘られていることを特徴とする請求項5に記載のICカードの製造装置としたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る請求項1と請求項3の発明によれば、IC搭載用樹脂基板とインレット基板が面一の状態で金属ワイヤと電極が熱圧着されるので、金属ワイヤに張力が加わらず且つ金属ワイヤが弛まないことから、金属ワイヤと電極の接続安定性が向上し、同時に圧着後の樹脂基板のインレット基板開口部への嵌め込み位置が安定し、その停留形態も曲がったり傾くことがない。したがって、樹脂基板のインレット基材への乗り上げ潜り込みという固定位置不良が低減する。
【0019】
次に、請求項2と請求項4の発明によれば、前記の発明で樹脂基板の開口部での位置が安定した上に、さらにステージから突出する硬い台座に隙間無く接触して支えられていることから、ICチップと電極のアライメントが容易となり、且つ超音波が効果的に作用しICチップを電極に確実にフリップチップ接続することができる。
【0020】
次に請求項5と請求項6の発明によれば、樹脂基板が歪むことなしにしっかりとステージに固定できるので金属ワイヤの熱圧着とICチップの電極への接続を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明になる(a)ICカード製造装置(ワイヤ圧着)及び(b)ICカードのコア部分の断面視の図である。
【図2】本発明になる(a)ICカード製造装置(ICチップ搭載)の断面視図及び(b)IC搭載用樹脂基板の上面視図である。
【図3】従来技術における(a)非接触ICカードのコア部分の上面視の図(b)、ICチップ搭載用樹脂基板の上面視図、(c)は(a)の断面視の図である。
【図4】ステージの基材吸引用の穴配置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の対象となる非接触型ICカードの形態は、図3(a)に記載の従来型の構成のものと同一であるが、インレット基材2の開口部13に所定の樹脂基板を嵌め込んでから当該基板に予め形成してある接続用電極6A、6Bにアンテナ線端部5とICチップ8をそれぞれ接続して製造するものに限られる。
この場合、樹脂基板3の厚みはインレット基材2の厚みより薄く設定されるのが普通であるが、その結果としてワイヤ端部5とICチップ8とを基板の接続電極6A,6Bにそれぞれ接続する場合種々の不都合が発生した。
【0023】
具体的には、インレット基材2に敷設したワイヤ端5を電極6Aに確実に接続し、接続することで樹脂基板3が開口部13の所定の位置に所定の高さと向きで留まるようにするには、インレット基材2の表面と樹脂基板3の表面が同一平面をなすようにする必要があ
る。面一になるようにするためには、薄いほうの樹脂基板2を下から厚みの差の分だけ持ち上げる必要がある。
【0024】
この様にしてワイヤ端部5が電極6Aに接続されると、樹脂基板3はワイヤ端部に吊り下がる状態になりステージから浮き上がるため、このままではICチップ8をフリップチップ接続できない。そこで吊り下がった樹脂基板3を下から平坦な台座で支えるということである。下から持ち上げて支持するという目的が同じだが異なる台座(作業用ステージ)を使用するのは、ワイヤ4を電極6Aに押し付ける装置(TCB)と、ICチップ8を電極6Bに接続する装置(超音波実装ヘッド)が異なるからである。基材側を固定してTCBと超音波実装ヘッドを入れ替えることができればステージの方は共通にできる。
【0025】
以下、実施例に基づいて本発明を簡単に説明する。
【0026】
本実施形態に係るICカードは、少なくともコア層1として図3に示すように、インレット基材2と金属ワイヤ4、及びIC搭載用樹脂基板3と該基板に搭載するICチップ8とを有している。最終的にはコア層1はオーバーコート材で表裏が被覆され、非接触ICカードとなるものである。
【0027】
(インレット基材)
インレット基材2(以下、単に基材とも記す。)は、平板形状となっていると共に、上質紙や樹脂など少なくとも表層が非導電性物質からなる。基材表面であってワイヤ4がアンテナとして敷設される位置には、塗布等によって粘着材層として熱可塑性樹脂層9が予め設けられている基材2を使用する。さらに基材2には、図3で示すような、IC搭載用樹脂基板3(以下、単に基板とも記す。)と略同形の開口部13が形成されていて、その開口部13に基板3が嵌め込まれる。
【0028】
(IC搭載用樹脂基板)
IC搭載用樹脂基板3は、FR−4、ポリイミド、PET、PENに代表される樹脂などの非導電性材料から板状に構成される。その基板3の表面(上面)と裏面(下面)のうち、少なくとも表面には、図3(b)に示すように一対の電極6が形成されている。電極6は、Cu、Al等の導電性材料で構成されている。図3(b)中、ICチップが実装されたように描いているが、現時点ではチップ搭載の予定位置を示すものである。
【0029】
各電極6はそれぞれ、図3(b)に示すように、接合パッド部6Aと実装部6Bとを備える。接合パッド部6Aは、金属ワイヤ5を接続するための部分である。実装部6Bは、ICチップ4をスリット7を跨ぐように搭載する部分である。本実施形態の対を成す電極6は、図3(b)に示すように、平面視において左右対称に形成され、所定のスリット7を挟んで各実装部6Bが対向配置し、その左右両側にそれぞれ長方形形状の接合パッド部6Aが形成されている。接合パッド部6Aは、上記スリット7と同方向に長辺を向けて配置している。但し、電極の形状自体は図示したものに限られず2つの電極があればよい。
【0030】
そして、本実施形態では、図3(c)に示すように、電極6を含む基板3の総厚みaを、インレット基材2の厚みb(熱可塑性樹脂層8の厚みは除く)よりも薄くなるように調整している。なお、ICカードの場合には、上記総厚みaと基材2の厚みbの差は0.2mm以下に収めるのが好ましい。
【0031】
「ICカードのコア部の製造方法」
基材2に形成した開口部13に一対の電極6が形成されたIC搭載用樹脂基板3を嵌め込む。嵌め込みの詳細は省略するが、インレット基材を、上部にTCBを備えるステージ10上にセットする。ステージ10は断面が図1(a)で示されるもので、中央にステージ10から突出する台座11を設けてある。台座11は、大きさがインレット基材の開口部13より小さく基材の下部から僅かに開口部13に貫入するようになっている。台座11の張り出し高さは、インレット基材2の厚みと開口部13に収容される基板3の厚みの差程度であって、丁度インレット基材の上表面と基板3の表面が面一になる高さである。インレット基材2に塗布された熱可塑性樹脂9の厚みは考慮に入れないが、基材3上の電極6は基材の厚みに入れる。
【0032】
次に、基材2表面に対し、図示しない敷設ヘッドから金属ワイヤ4を送り出しながら、敷設ヘッドによって基材2の上面に塗布された熱可塑性樹脂層8を溶融させることで、基材2表面に対して、目的とするアンテナ形状に金属ワイヤ4を敷設しつつ固定する。このとき、基材2の開口部13に配置した基板3上においても、敷設ヘッドから金属ワイヤ5を送り出して、各電極6の接合パッド部6A上を通過するようにワイヤ端部5を敷設する。その後、基板3位置では、熱圧着ヘッド12で金属ワイヤ5を電極6に押し付け熱圧着することで、金属ワイヤ5を電極6に固定する。ワイヤの配置については、図2(b)を参照されたいが、ここでは金属同士が接触する部分はワイヤの潰れが発生するため太く示してある。これによって基板3が金属ワイヤ端部5に吊り下がるようにして固定される。
【0033】
このとき、平坦なステージに基材2を載置すると、電極6を含むIC搭載用樹脂基板3の総厚みaが基材2の厚みbよりも薄いことから、基材2の上面(熱可塑性樹脂層8の厚みは除く。)よりも、IC搭載用樹脂基板3の電極7が下方に凹んだ状態となる。この状態で金属ワイヤ5を開口部13を横断するように送り出して敷設すると、金属ワイヤ5は、弛んだ状態で敷設されることがあり、圧着後の基板3の開口部13内の位置や停留形態が安定しない。突出する台座11を設けることでこうした不安定さが解消される。
【0034】
次に、超音波実装ヘッド14を備える別のステージ10にインレット基材2を移動する(図2参照)。そして対をなす電極6の各実装部6Bに跨るようにICチップ8を配置する。また、台座11に形成した吸引穴(図示せず)から真空引きすることで、基材2及びIC搭載用樹脂基板3を台座11に吸着固定した状態とする。この状態で、ICチップ8に上側から超音波実装ヘッド14を当接して超音波を付与することで、ICチップ8を一対の実装部6Bに接合して固定する。この場合の台座11の高さはワイヤ4を熱圧着する場合と同様である。
【0035】
このようにインレット基材を持ち上げて支えれば、IC搭載用樹脂基板3の吸着・固定を十分に行うことが可能となり、ICチップ8を超音波実装する際にも、超音波エネルギーを有効に活用できる。すなわち、IC搭載用樹脂基板3の裏面(下面)を台座14に密着するように吸着した状態で、ICチップ8の実装を確実に行うことができる。
【0036】
最後に、インレット基材とIC搭載用樹脂基板をステージに密着固定するための吸引穴の配置について説明する。図4は、ステージから突出した台座近傍における吸引穴の一例を上面視で図示したものである。少なくとも、インレット基材を吸引するための吸引穴20を台座11の周囲に配置する必要がある。これについては、インレット基材単体の大きさに合わせて配置する。
【0037】
この他、IC搭載用樹脂基板を吸引する吸引穴21を台座11にも配置する。この位置については、ICチップ8が搭載される位置(図の黒四角)直下から離れたところで、且つワイヤ端部5が走る位置直下からも離れた部位が好ましい。吸引穴直上は、搭載される基板のそこの温度が下がったり加圧時の基板の歪みにより、熱圧着及び超音波実装が確実に行えなくなるおそれがあるからである。
【符号の説明】
【0038】
1、ICカードのコア部分
2、インレット基材
3、IC搭載用樹脂基板
4、金属ワイヤ(アンテナ)
5、金属ワイヤ端部
6、電極
6A,接合パッド部
6B、ICチップ実装部
7、スリット
8、ICチップ
9、熱可塑性樹脂
10、ステージ
11、ステージ突出部
13、開口部(インレット基材の)
14、超音波実装ヘッド
20、吸引穴(インレット基材対応)
21、吸引穴(基板対応)
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICカードに係り、特にはエナメル線等の金属ワイヤがコイル状アンテナ若しくはダイポールアンテナとして敷設されたインレット基材に、IC搭載用樹脂基板を嵌め込み、金属ワイヤとICチップとをIC搭載用樹脂基板上の電極に接続する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触ICカードは、基本的には送受信用のアンテナと情報記録用のICチップとを電気的接続を採って紙基材やプラスチック基材中に挟み込んだもので、一般には、図3(a)に示すように金属ワイヤ4がコイル状に敷設されたインレット基材2に所定の大きさの開口部13を設け、IC搭載用樹脂基板3を該開口部に嵌め込んで製造する。
【0003】
インレット基材2は、金属ワイヤ4をコイル状に敷設したアンテナとIC搭載用樹脂基板3を収容する開口部13を備えている(図3(c))が、金属ワイヤ4をコイル状に敷設するには、基材面の所定位置に塗布された熱可塑性樹脂9(粘着層)上に金属ワイヤ4を金属ワイヤ敷設ヘッドから送り出し、敷設ヘッドにより熱可塑性樹脂を溶融させることで、開口部13を除く金属ワイヤ本体をインレット基材2に固定している。
【0004】
IC搭載用樹脂基板3は、ICチップ8が、対を成す接続用電極6を跨ぐように基板上に実装され、さらにモールド樹脂によりICチップが被覆され成型されたものである。完成したIC搭載用樹脂基板3をインレット開口部13に収容してから金属ワイヤ端部5と電気的接続がとられることもあれば、基板だけをインレット基材2の開口部13に収容してからICチップ8の搭載と金属ワイヤ4の接続を行い、その後モールド樹脂で被覆する場合がある。後者の場合、インレット基材からモールド層が大きく突出しないように、ICモジュール用の基板の厚みはインレット基材の厚みよりも薄く設定されるのが普通である。図3(c)でa<bに相当する。
【0005】
樹脂基板の電極6とインレット基材上の金属ワイヤ末端5との接続は、図3(a)(b)に示すように、金属ワイヤ末端5を樹脂基板の電極6上に開口部13を横断する形で載置した後、熱圧着ヘッドによって、金属ワイヤ4をIC搭載用樹脂基板(以下、樹脂基板とも記す。)の電極6に向けて押し付け、当該金属ワイヤを電極に熱圧着して固定している。
【0006】
その際、上述したようにIC搭載用樹脂基板3の厚みaがインレット基材の厚みbよりも薄いと、通常の平坦なステージ上での加工では、樹脂基板が開口部内に沈み込むので金属ワイヤを弛ませて電極面6Aに接触させる必要がある。弛ませると電極上を跨ぐ部分の金属ワイヤが蛇行するという問題がある。
【0007】
また、一般に開口部13はIC搭載用樹脂基板3より大きいので、樹脂基板は固定されず動く余裕がある。この場合、例えば熱圧着ヘッドの大きさが適切でないと電極面6Aと金属ワイヤ4のアライメントに誤差が生じ、金属ワイヤ4が歪んだり湾曲して熱圧着がうまく行えず、金属ワイヤ4に吊り下がる樹脂基板3の開口部13での占有位置が安定しないという問題がある。樹脂基板3の位置が安定しないと、その後のICチップ8取り付け工程でチップの取り付けがうまくいかないという問題が生じる。
【0008】
また、IC搭載用樹脂基板3の各電極6にワイヤ端部5を熱圧着した後に、ICチップ8を前記電極6をブリッジするようにフリップチップ実装する。樹脂基板3が金属ワイヤ
4に固定された状態でこの処理を行うことになるが、インレット基材2の厚みが樹脂基板3の厚みよりも厚いと、樹脂基板3と該基板が載置されるステージの間に隙間ができて、吸着によりステージに固定することが困難となり、超音波接合が不完全になるなどICチップ8の実装を確実に行えないという問題がある。
【0009】
IC搭載用樹脂基板の板厚を厚くすれば前記の問題は改善されるが、板厚の調整は容易ではなく、また厚くすると基板のコストが上昇し、コストダウンの要望に背反するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3721520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、IC搭載用樹脂基板の板厚がインレット基材の厚みより薄くても、インレット基材に敷設した金属ワイヤを精度良くIC搭載用樹脂基板へ配設し、且つICチップも前記樹脂基板に安定してフリップチップ搭載できる手段を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するための請求項1に記載の発明は、一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、インレット基材の周縁にアンテナとして敷設された金属ワイヤの両端部を前記樹脂基板の一対の接続用電極にそれぞれ接合するにあたり、接続用電極面とインレット基材面とが面一になるように高さを調整した上、金属ワイヤの端部を、接続用電極上を開口部を横断するように配置し、次いで上部から接触部を加熱圧着し金属ワイヤと接続用電極とを接続することを特徴とする非接触ICカードの製造方法としたものである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、ICチップを前記接続電極に接続するにあたり、接続用電極面とインレット基材面とが面一になるように高さを調整した上、ICチップを接続用電極のスリットを跨ぐように配置し、超音波を利用してフリップチップ接続することを特徴とする非接触ICカードの製造方法としたものである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、インレット基材の周縁にアンテナとして敷設された金属ワイヤの両端部を一対の接続用電極にそれぞれ接合する際に用いる製造装置であって、少なくとも、インレット基材が載置される平坦部と、インレット基材に設けた開口部に収容されるIC搭載用樹脂基板を下面から開口部に一部貫入して支持する台状突出部とを備えるステージ及びTCBとを備え、台状突出部の平坦部からの高さが、インレット基材面と接続用電極面が面一になるようにインレット基材の厚みと樹脂基板の厚みの差を補償する高さであることを特徴とするICカードの製造装置としたものである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、ICチップをフリップチップ接続により一対の接続電極に接続する際に用いる製造装置であって、少なくとも、インレット基材が載置される平坦部と、インレット基材に設けた開口部に収容されるIC搭載用樹脂基板を下面から開口部に一部貫入して支持する台状突出部とを備えるステージ及び超音波
実装ヘッドとを備え、台状突出部の平坦部からの高さが、インレット基材面と接続用電極面が面一になるようにインレット基材の厚みと樹脂基板の厚みの差を補償する高さであることを特徴とするICカードの製造装置としたものである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記ステージの平坦部にインレット基材吸着用の引き穴、台状突出部にはIC搭載用樹脂基板吸着用の引き穴を有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のICカードの製造装置としたものである。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記IC搭載用樹脂基板吸着用の引き穴は、IC搭載位置の直下近傍と金属ワイヤと接続用電極が接続する位置の直下近傍とを除く台状突出部に掘られていることを特徴とする請求項5に記載のICカードの製造装置としたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る請求項1と請求項3の発明によれば、IC搭載用樹脂基板とインレット基板が面一の状態で金属ワイヤと電極が熱圧着されるので、金属ワイヤに張力が加わらず且つ金属ワイヤが弛まないことから、金属ワイヤと電極の接続安定性が向上し、同時に圧着後の樹脂基板のインレット基板開口部への嵌め込み位置が安定し、その停留形態も曲がったり傾くことがない。したがって、樹脂基板のインレット基材への乗り上げ潜り込みという固定位置不良が低減する。
【0019】
次に、請求項2と請求項4の発明によれば、前記の発明で樹脂基板の開口部での位置が安定した上に、さらにステージから突出する硬い台座に隙間無く接触して支えられていることから、ICチップと電極のアライメントが容易となり、且つ超音波が効果的に作用しICチップを電極に確実にフリップチップ接続することができる。
【0020】
次に請求項5と請求項6の発明によれば、樹脂基板が歪むことなしにしっかりとステージに固定できるので金属ワイヤの熱圧着とICチップの電極への接続を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明になる(a)ICカード製造装置(ワイヤ圧着)及び(b)ICカードのコア部分の断面視の図である。
【図2】本発明になる(a)ICカード製造装置(ICチップ搭載)の断面視図及び(b)IC搭載用樹脂基板の上面視図である。
【図3】従来技術における(a)非接触ICカードのコア部分の上面視の図(b)、ICチップ搭載用樹脂基板の上面視図、(c)は(a)の断面視の図である。
【図4】ステージの基材吸引用の穴配置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の対象となる非接触型ICカードの形態は、図3(a)に記載の従来型の構成のものと同一であるが、インレット基材2の開口部13に所定の樹脂基板を嵌め込んでから当該基板に予め形成してある接続用電極6A、6Bにアンテナ線端部5とICチップ8をそれぞれ接続して製造するものに限られる。
この場合、樹脂基板3の厚みはインレット基材2の厚みより薄く設定されるのが普通であるが、その結果としてワイヤ端部5とICチップ8とを基板の接続電極6A,6Bにそれぞれ接続する場合種々の不都合が発生した。
【0023】
具体的には、インレット基材2に敷設したワイヤ端5を電極6Aに確実に接続し、接続することで樹脂基板3が開口部13の所定の位置に所定の高さと向きで留まるようにするには、インレット基材2の表面と樹脂基板3の表面が同一平面をなすようにする必要があ
る。面一になるようにするためには、薄いほうの樹脂基板2を下から厚みの差の分だけ持ち上げる必要がある。
【0024】
この様にしてワイヤ端部5が電極6Aに接続されると、樹脂基板3はワイヤ端部に吊り下がる状態になりステージから浮き上がるため、このままではICチップ8をフリップチップ接続できない。そこで吊り下がった樹脂基板3を下から平坦な台座で支えるということである。下から持ち上げて支持するという目的が同じだが異なる台座(作業用ステージ)を使用するのは、ワイヤ4を電極6Aに押し付ける装置(TCB)と、ICチップ8を電極6Bに接続する装置(超音波実装ヘッド)が異なるからである。基材側を固定してTCBと超音波実装ヘッドを入れ替えることができればステージの方は共通にできる。
【0025】
以下、実施例に基づいて本発明を簡単に説明する。
【0026】
本実施形態に係るICカードは、少なくともコア層1として図3に示すように、インレット基材2と金属ワイヤ4、及びIC搭載用樹脂基板3と該基板に搭載するICチップ8とを有している。最終的にはコア層1はオーバーコート材で表裏が被覆され、非接触ICカードとなるものである。
【0027】
(インレット基材)
インレット基材2(以下、単に基材とも記す。)は、平板形状となっていると共に、上質紙や樹脂など少なくとも表層が非導電性物質からなる。基材表面であってワイヤ4がアンテナとして敷設される位置には、塗布等によって粘着材層として熱可塑性樹脂層9が予め設けられている基材2を使用する。さらに基材2には、図3で示すような、IC搭載用樹脂基板3(以下、単に基板とも記す。)と略同形の開口部13が形成されていて、その開口部13に基板3が嵌め込まれる。
【0028】
(IC搭載用樹脂基板)
IC搭載用樹脂基板3は、FR−4、ポリイミド、PET、PENに代表される樹脂などの非導電性材料から板状に構成される。その基板3の表面(上面)と裏面(下面)のうち、少なくとも表面には、図3(b)に示すように一対の電極6が形成されている。電極6は、Cu、Al等の導電性材料で構成されている。図3(b)中、ICチップが実装されたように描いているが、現時点ではチップ搭載の予定位置を示すものである。
【0029】
各電極6はそれぞれ、図3(b)に示すように、接合パッド部6Aと実装部6Bとを備える。接合パッド部6Aは、金属ワイヤ5を接続するための部分である。実装部6Bは、ICチップ4をスリット7を跨ぐように搭載する部分である。本実施形態の対を成す電極6は、図3(b)に示すように、平面視において左右対称に形成され、所定のスリット7を挟んで各実装部6Bが対向配置し、その左右両側にそれぞれ長方形形状の接合パッド部6Aが形成されている。接合パッド部6Aは、上記スリット7と同方向に長辺を向けて配置している。但し、電極の形状自体は図示したものに限られず2つの電極があればよい。
【0030】
そして、本実施形態では、図3(c)に示すように、電極6を含む基板3の総厚みaを、インレット基材2の厚みb(熱可塑性樹脂層8の厚みは除く)よりも薄くなるように調整している。なお、ICカードの場合には、上記総厚みaと基材2の厚みbの差は0.2mm以下に収めるのが好ましい。
【0031】
「ICカードのコア部の製造方法」
基材2に形成した開口部13に一対の電極6が形成されたIC搭載用樹脂基板3を嵌め込む。嵌め込みの詳細は省略するが、インレット基材を、上部にTCBを備えるステージ10上にセットする。ステージ10は断面が図1(a)で示されるもので、中央にステージ10から突出する台座11を設けてある。台座11は、大きさがインレット基材の開口部13より小さく基材の下部から僅かに開口部13に貫入するようになっている。台座11の張り出し高さは、インレット基材2の厚みと開口部13に収容される基板3の厚みの差程度であって、丁度インレット基材の上表面と基板3の表面が面一になる高さである。インレット基材2に塗布された熱可塑性樹脂9の厚みは考慮に入れないが、基材3上の電極6は基材の厚みに入れる。
【0032】
次に、基材2表面に対し、図示しない敷設ヘッドから金属ワイヤ4を送り出しながら、敷設ヘッドによって基材2の上面に塗布された熱可塑性樹脂層8を溶融させることで、基材2表面に対して、目的とするアンテナ形状に金属ワイヤ4を敷設しつつ固定する。このとき、基材2の開口部13に配置した基板3上においても、敷設ヘッドから金属ワイヤ5を送り出して、各電極6の接合パッド部6A上を通過するようにワイヤ端部5を敷設する。その後、基板3位置では、熱圧着ヘッド12で金属ワイヤ5を電極6に押し付け熱圧着することで、金属ワイヤ5を電極6に固定する。ワイヤの配置については、図2(b)を参照されたいが、ここでは金属同士が接触する部分はワイヤの潰れが発生するため太く示してある。これによって基板3が金属ワイヤ端部5に吊り下がるようにして固定される。
【0033】
このとき、平坦なステージに基材2を載置すると、電極6を含むIC搭載用樹脂基板3の総厚みaが基材2の厚みbよりも薄いことから、基材2の上面(熱可塑性樹脂層8の厚みは除く。)よりも、IC搭載用樹脂基板3の電極7が下方に凹んだ状態となる。この状態で金属ワイヤ5を開口部13を横断するように送り出して敷設すると、金属ワイヤ5は、弛んだ状態で敷設されることがあり、圧着後の基板3の開口部13内の位置や停留形態が安定しない。突出する台座11を設けることでこうした不安定さが解消される。
【0034】
次に、超音波実装ヘッド14を備える別のステージ10にインレット基材2を移動する(図2参照)。そして対をなす電極6の各実装部6Bに跨るようにICチップ8を配置する。また、台座11に形成した吸引穴(図示せず)から真空引きすることで、基材2及びIC搭載用樹脂基板3を台座11に吸着固定した状態とする。この状態で、ICチップ8に上側から超音波実装ヘッド14を当接して超音波を付与することで、ICチップ8を一対の実装部6Bに接合して固定する。この場合の台座11の高さはワイヤ4を熱圧着する場合と同様である。
【0035】
このようにインレット基材を持ち上げて支えれば、IC搭載用樹脂基板3の吸着・固定を十分に行うことが可能となり、ICチップ8を超音波実装する際にも、超音波エネルギーを有効に活用できる。すなわち、IC搭載用樹脂基板3の裏面(下面)を台座14に密着するように吸着した状態で、ICチップ8の実装を確実に行うことができる。
【0036】
最後に、インレット基材とIC搭載用樹脂基板をステージに密着固定するための吸引穴の配置について説明する。図4は、ステージから突出した台座近傍における吸引穴の一例を上面視で図示したものである。少なくとも、インレット基材を吸引するための吸引穴20を台座11の周囲に配置する必要がある。これについては、インレット基材単体の大きさに合わせて配置する。
【0037】
この他、IC搭載用樹脂基板を吸引する吸引穴21を台座11にも配置する。この位置については、ICチップ8が搭載される位置(図の黒四角)直下から離れたところで、且つワイヤ端部5が走る位置直下からも離れた部位が好ましい。吸引穴直上は、搭載される基板のそこの温度が下がったり加圧時の基板の歪みにより、熱圧着及び超音波実装が確実に行えなくなるおそれがあるからである。
【符号の説明】
【0038】
1、ICカードのコア部分
2、インレット基材
3、IC搭載用樹脂基板
4、金属ワイヤ(アンテナ)
5、金属ワイヤ端部
6、電極
6A,接合パッド部
6B、ICチップ実装部
7、スリット
8、ICチップ
9、熱可塑性樹脂
10、ステージ
11、ステージ突出部
13、開口部(インレット基材の)
14、超音波実装ヘッド
20、吸引穴(インレット基材対応)
21、吸引穴(基板対応)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、インレット基材の周縁にアンテナとして敷設された金属ワイヤの両端部を前記樹脂基板の一対の接続用電極にそれぞれ接合するにあたり、
接続用電極面とインレット基材面とが面一になるように高さを調整した上、金属ワイヤの端部を、接続用電極上を開口部を横断するように配置し、次いで上部から接触部を加熱圧着し金属ワイヤと接続用電極とを接続することを特徴とする非接触ICカードの製造方法。
【請求項2】
一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、ICチップを前記接続電極に接続するにあたり、
接続用電極面とインレット基材面とが面一になるように高さを調整した上、ICチップを接続用電極のスリットを跨ぐように配置し、超音波を利用してフリップチップ接続することを特徴とする非接触ICカードの製造方法。
【請求項3】
一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、インレット基材の周縁にアンテナとして敷設された金属ワイヤの両端部を一対の接続用電極にそれぞれ接合する際に用いる製造装置であって、
少なくとも、インレット基材が載置される平坦部と、インレット基材に設けた開口部に収容されるIC搭載用樹脂基板を下面から開口部に一部貫入して支持する台状突出部とを備えるステージ及びTCBとを備え、台状突出部の平坦部からの高さが、インレット基材面と接続用電極面が面一になるようにインレット基材の厚みと樹脂基板の厚みの差を補償する高さであることを特徴とするICカードの製造装置。
【請求項4】
一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、ICチップをフリップチップ接続により一対の接続電極に接続する際に用いる製造装置であって、
少なくとも、インレット基材が載置される平坦部と、インレット基材に設けた開口部に収容されるIC搭載用樹脂基板を下面から開口部に一部貫入して支持する台状突出部とを備えるステージ及び超音波実装ヘッドとを備え、台状突出部の平坦部からの高さが、インレット基材面と接続用電極面が面一になるようにインレット基材の厚みと樹脂基板の厚みの差を補償する高さであることを特徴とするICカードの製造装置。
【請求項5】
前記ステージの平坦部にインレット基材吸着用の引き穴、台状突出部にはIC搭載用樹脂基板吸着用の引き穴を有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のICカードの製造装置。
【請求項6】
前記IC搭載用樹脂基板吸着用の引き穴は、IC搭載位置の直下近傍と金属ワイヤと接続用電極が接続する位置の直下近傍とを除く台状突出部に掘られていることを特徴とする請求項5に記載のICカードの製造装置。
【請求項1】
一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、インレット基材の周縁にアンテナとして敷設された金属ワイヤの両端部を前記樹脂基板の一対の接続用電極にそれぞれ接合するにあたり、
接続用電極面とインレット基材面とが面一になるように高さを調整した上、金属ワイヤの端部を、接続用電極上を開口部を横断するように配置し、次いで上部から接触部を加熱圧着し金属ワイヤと接続用電極とを接続することを特徴とする非接触ICカードの製造方法。
【請求項2】
一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、ICチップを前記接続電極に接続するにあたり、
接続用電極面とインレット基材面とが面一になるように高さを調整した上、ICチップを接続用電極のスリットを跨ぐように配置し、超音波を利用してフリップチップ接続することを特徴とする非接触ICカードの製造方法。
【請求項3】
一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、インレット基材の周縁にアンテナとして敷設された金属ワイヤの両端部を一対の接続用電極にそれぞれ接合する際に用いる製造装置であって、
少なくとも、インレット基材が載置される平坦部と、インレット基材に設けた開口部に収容されるIC搭載用樹脂基板を下面から開口部に一部貫入して支持する台状突出部とを備えるステージ及びTCBとを備え、台状突出部の平坦部からの高さが、インレット基材面と接続用電極面が面一になるようにインレット基材の厚みと樹脂基板の厚みの差を補償する高さであることを特徴とするICカードの製造装置。
【請求項4】
一対の接続用電極を有するIC搭載用樹脂基板を、前記樹脂基板より厚いインレット基材に設けた開口部に収容し、ICチップをフリップチップ接続により一対の接続電極に接続する際に用いる製造装置であって、
少なくとも、インレット基材が載置される平坦部と、インレット基材に設けた開口部に収容されるIC搭載用樹脂基板を下面から開口部に一部貫入して支持する台状突出部とを備えるステージ及び超音波実装ヘッドとを備え、台状突出部の平坦部からの高さが、インレット基材面と接続用電極面が面一になるようにインレット基材の厚みと樹脂基板の厚みの差を補償する高さであることを特徴とするICカードの製造装置。
【請求項5】
前記ステージの平坦部にインレット基材吸着用の引き穴、台状突出部にはIC搭載用樹脂基板吸着用の引き穴を有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のICカードの製造装置。
【請求項6】
前記IC搭載用樹脂基板吸着用の引き穴は、IC搭載位置の直下近傍と金属ワイヤと接続用電極が接続する位置の直下近傍とを除く台状突出部に掘られていることを特徴とする請求項5に記載のICカードの製造装置。
【図4】
【図1】
【図2】
【図3】
【図1】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2013−80415(P2013−80415A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220830(P2011−220830)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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