説明

非接触ICカード機能を内蔵した折畳み型携帯無線電話機

【課題】非接触ICカード機能を内蔵した折畳み型携帯電話機が開いた状態および閉じた状態のいずれであっても、携帯電話機を持ち変える動作を行わなくても十分な通信品質が確保できる手段を提供する。
【解決手段】折畳み型携帯電話機は、操作部20およびマイクロフォン14が実装されている第1の筐体と表示部19およびスピーカ15が実装されている第2の筐体はヒンジ部23で回動可能に締結されており、第1及び第2の筐体内の背面側に非接触ICカード用の第1及び第2のアンテナ1,2を実装する。折畳み型携帯電話機が開状態のときには、第2のアンテナ2を用いて外部リーダ/ライタとの間で通信を行い、閉状態のときには、第1のアンテナ1を用いて外部リーダ/ライタとの間で通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICカード機能が組み込まれた折畳み型携帯無線電話機に関し、特に、該携帯無線電話機への非接触ICカード機能用アンテナの組込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年広範に普及している携帯電話機を、非接触ICカードと外部のリーダ/ライタ(R/W)とのデータ通信を仲介させる手段として用いる方法(特許文献1〜2)、あるいは携帯電話機内に、非接触ICカード用のICおよびアンテナモジュールを内装し、非接触ICカードを要する場面でこの内装カード機能を用いて、外部のリーダ/ライタとの間で必要な処理を実行可能にすることにより、別途カード類を所持する煩わしさを解消する方法等(特許文献3〜4)が提案されている。
【0003】
図8は、従来の非接触ICカード用のICおよびアンテナモジュール内蔵型携帯電話機の一構成例を示すブロック図である。
【0004】
この携帯電話機は、当該携帯電話機が備えている機能を統括的に制御する制御部(CPU)18を備えており、この制御部18は、表示部19、キー釦等を備える操作部20、各種制御プログラムおよびデータを記憶するメモリ21、基地局との間でアンテナ10を介して送受信される無線通信信号の変復調を行う変復調部12および、外部のR/Wとの間でアンテナ16を介してデータの送受信を行う送受信部17と接続されており、アンテナ10、RF部11、変復調部12、音声信号入出力部13、マイクロフォン14、スピーカ15、表示部19、および操作部20等による通常の携帯電話機能と、ICカード用アンテナ16および送受信部17を用いた非接触ICカード機能を実行可能に構成されている。
【0005】
図9は、上記構成の携帯電話機における非接触ICカード機能の回路例を示しており、共振点調整回路22は例えば可変容量素子で構成され、アンテナ16のインダクタンスとにより周波数13.56MHzで共振するように調整する回路である。制御部18は、アンテナ16がR/Wから13.56MHzの搬送波を受信しているかどうかの検出をおこない、搬送波があれば、R/Wとの間でアンテナ16を介して通信を行う。特許文献1〜2等に記載されているように、非接触ICカード機能回路の通信方法としては、通常、R/Wから送出された質問信号としての周波数13.56MHzの電磁波を、アンテナ16を介して受信し、その磁束の相互誘導により電力を得て内部回路を駆動し、質問信号に応じて振幅偏移変調(ASK)した変調波を、アンテナ16を介してR/Wに送出する方法が採用されている。
【0006】
図10は、上記構成の携帯電話機をヒンジ部23の回動機構により折り畳み可能な2つの筐体で構成した場合のアンテナ16及び共振点調整回路22の筐体内における配置位置を示す断面図である。
【0007】
通常折り畳み可能に構成された携帯電話機では、キー釦等によって構成される操作部20、マイクロフォン14などが実装されている第1の筐体と、表示部19、スピーカ15などが実装されている第2の筐体とを、ヒンジ部23により折り畳めるように構成されており、その場合、内蔵されている非接触ICカード機能の回路素子である共振点調整回路22とアンテナ16は、操作部20およびマイクロフォン14が実装されている第1の筐体側に実装されている(例えば、特許文献2に記載されている非接触ICカード回路用アンテナ22、61)。
【0008】
【特許文献1】特開2001−005920号公報
【特許文献2】特開2004−280193号公報
【特許文献3】特開2002−218031号公報
【特許文献4】特開2004−310257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図8〜図10に示す携帯電話機に内蔵されている非接触ICカード機能を使う場合、非接触ICカード用アンテナ16の面を外部のR/Wに設けられたアンテナに対向接近させる必要があるが、この折畳み型携帯電話機を開いた状態で非接触ICカード機能を使用する場合、通常、操作部20およびマイクロフォン14が実装されている第1の筐体を手で握っていることが多く、非接触ICカード回路用アンテナ16の面とR/W側のアンテナ間の距離を接近させることが困難であり、更にアンテナ部分を握っているためアンテナ特性が劣化し十分な通信品質が確保できないという問題がある。そのため、携帯電話機を持ち替えて非接触ICカード回路用アンテナ16の面をR/W側に向ける等の余計な動作が必要となり、操作が面倒であった。
【0010】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、非接触ICカード機能を内蔵した折畳み型携帯電話機において、該折畳み型携帯電話機の非接触ICカード機能を使う場合に、該折畳み型携帯電話機が開いた状態および閉じた状態のいずれの状態であっても、携帯電話機を持ち変える等の動作を行わなくても十分な通信品質が確保できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、キー釦を有する操作部およびマイクロフォンが実装されている第1の筐体と、表示部およびスピーカが実装されている第2の筐体とが、ヒンジ部により折り畳み可能に構成され、かつ非接触ICカード機能を内蔵した折り畳み型携帯電話機において、前記第1及び第2の筐体の背面側に、外部のリーダ/ライタとの間で無線通信を行う前記非接触ICカード機能用の第1及び第2のアンテナをそれぞれ配置したことを特徴とする。
【0012】
本発明では、操作部およびマイクロフォンが実装されている第1の筐体と、表示部およびスピーカが実装されている第2の筐体の各背面内側にそれぞれ非接触ICカード用アンテナが実装されているので、この折り畳み型携帯電話機が開状態であって第1の筐体を握ったまま外部のリーダ/ライタに近づけた場合であっても、第2の筐体の背面側に実装されている第2のアンテナをリーダ/ライタに接近させて対面させることができ、また、この折り畳み型携帯電話機が閉状態のときには、折り畳み型携帯電話機を上から握って外部のリーダ/ライタに近づければ、第1及び第2のアンテナのいずれかが外部のリーダ/ライタと対面するので、いずれの場合においても十分な通信品質が確保される。
【0013】
また本発明の他の実施形態では、前記ヒンジ部に、前記第2の筐体を、前記ヒンジ部のヒンジ軸と直交する軸の回りに180度回動可能にする機構を備え、前記第2の筐体の前記表示部及びスピーカが実装されている面側に、外部のリーダ/ライタとの間で無線通信を行う前記非接触ICカード機能用の第3のアンテナを配置したことを特徴とする。
【0014】
この場合、前記第2の筐体が180度回動された状態で開状態のときであっても、第3のアンテナをリーダ/ライタに接近させて対面させることができ、また、第2の筐体が180度回動された状態で閉状態のときには、折り畳み型携帯電話機を上から握って外部のリーダ/ライタに近づければ、第1及び第3のアンテナのいずれかが外部のリーダ/ライタと対面するので、いずれの場合においても十分な通信品質が確保される。
【0015】
従って、非接触ICカード機能を利用する場合に、非接触ICカード用アンテナが実装されている位置を確認して携帯電話機を持ち変える等の煩わしさを解消することができ、折り畳み型携帯電話機に内蔵された非接触ICカード機能の操作が容易となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、操作部およびマイクロフォンが実装されている第1の筐体と、表示部およびスピーカが実装されている第2の筐体の各背面内側にそれぞれ非接触ICカード用アンテナが実装されており、折り畳み型携帯電話機の状態如何に関わらず何れかのアンテナが外部リーダ/ライタと接近して対面可能となるので、非接触ICカード機能を利用する場合に、携帯電話機を持ち変えて通信を行う等の煩わしさがなくなり、折り畳み型携帯電話機に内蔵された非接触ICカード機能の使い勝手を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の折り畳み型携帯電話機における非接触ICカード機能部分の第1の実施形態を示すブロック図であり、図2は、本実施形態における非接触ICカードアンテナの実装位置を示す断面図である。なお、図1に示す本発明の折り畳み型携帯電話機における非接触ICカード機能部分以外の構成については図8に示す従来の構成と同様であるのでその詳細説明は省略する。
【0018】
本実施形態において、携帯電話CPU18は、携帯電話機全体の制御及び本実施形態の非接触ICカードアンテナ1または2で受信されて送受信部17を介して入力された13.56MHzの搬送波の検出等をおこなう制御部であり、これらの携帯電話CPU18、送受信部17は、操作部20およびマイクロフォン14が実装されている第1の筐体内に配置されている。
【0019】
第1のアンテナ1と該アンテナ1のインダクタンスと13.56MHzにて共振するよう調整された共振点調整回路4は、操作部20およびマイクロフォン14が実装されている第1の筐体内部の背面側に実装されており、第2のアンテナ2と該アンテナ2のインダクタンスと13.56MHzにて共振するよう調整された共振点調整回路5は、表示部19およびスピーカ15が実装されている第2の筐体内部の背面側に実装されている。
【0020】
第1のアンテナ1および第2のアンテナ2で受信された13.56MHzの搬送波は合成されて送受信部17に入力される。通信方法としては、携帯電話機側では外部のリーダ/ライタから発生する磁束の相互誘導により電力を得て、振幅偏移変調(ASK)の変調波をアンテナ1またはアンテナ2により受信し、受信した変調波をCPU18にて復調してデータを受信する。また、受信したデータに対する応答データで13.56MHzの搬送波を負荷変調した送信データを、アンテナ1またはアンテナ2を介してリーダ/ライタ側へ送信する。
【0021】
本実施形態においては、図2aに示すように、折り畳み型携帯電話機を開いた状態で非接触ICカード機能が利用される場合には、操作部20およびマイクロフォン14が実装されている第1の筐体を握った状態で操作されるため、第1のアンテナ1を外部のリーダ/ライタに接近させることは困難であるのでその受信レベルは低下するが、表示部19およびスピーカ15が実装されている第2の筐体側に実装されている第2のアンテナ2は、外部のリーダ/ライタに接近して対面させることができるので十分な受信レベルが得られ、良好な通信品質を確保することができる。
【0022】
また、図2bに示すように、折り畳み型携帯電話機を閉じた状態で非接触ICカード機能が利用される場合には、第1または第2の筐体のいずれの側が握られた状態で操作されても、他方の筐体の背面側に実装されているICカード用アンテナ2または1を外部のリーダ/ライタに接近して対面させることができるので、同様に良好な通信品質を確保することができる。
【0023】
図3は、本発明の折り畳み型携帯電話機における非接触ICカード機能部分の第2の実施形態を示すブロック図である。
【0024】
本実施形態では、本発明の折り畳み型携帯電話機の開閉状態を検出する開閉検出部7と、開閉検出部7の検出信号により送受信部17と接続するICカード用アンテナを選択するアンテナ切り替え回路8を備えている点で、第1の実施形態と異なるが、それ以外の構成は第1の実施形態と同様である。
【0025】
アンテナ切り替え回路8は、携帯電話機が閉じられた状態のときには、操作部20およびマイクロフォン14が実装されている第1の筐体側に実装された第1のアンテナ1および該アンテナ1のインダクタンスと13.56MHzにて共振するよう調整された共振点調整回路4を選択し、携帯電話機が開かれた状態のときには、表示部19およびスピーカ15が実装されている第2の筐体側に実装された第2のアンテナ2および該アンテナ2のインダクタンスと13.56MHzにて共振するよう調整された共振点調整回路5を選択するように、開閉検出部7により制御される。
【0026】
例えば、アンテナ切り替え回路8には開閉検出部7から、携帯電話機が開状態の時にはHレベル、閉状態の時にはLレベルのアンテナ切り替え信号が入力される。アンテナ切り替え回路8は、Lレベルのアンテナ切り替え信号が入力されたときには第1の筐体側に実装されたアンテナ1を選択し、Hレベルのアンテナ切り替え信号が入力されたときには第2の筐体側に実装されたアンテナ2を選択する。
【0027】
携帯電話CPU18には、送受信部17を介して、あらかじめ共振点調整回路3または共振周波数調整回路4により共振周波数が調整された第1のアンテナ1または第2のアンテナ2より受信された搬送波のうち、アンテナ切り替え回路8で選択されたいずれか一方の信号が受信される。
【0028】
図4は、本実施形態の動作例を示すフローチャートである。以下、本実施形態の動作についてこのフローチャートも参照して説明する。
【0029】
携帯電話CPU18は、携帯電話機全体の制御を行うとともに、13.56MHzの搬送波が検出されたときには、アンテナ切り替え回路8で選択されたアンテナを用いて外部のR/Wとの間で通信を行うことにより、非接触ICカード機能の制御を行う。
【0030】
まずアンテナ切り替え回路8は携帯電話機が開状態か閉状態かを判定し(S32)、携帯電話機が閉状態であれば第1の筐体側に実装されているアンテナ1に切り替え(S33)、また開状態であれば第2の筐体側に実装されているアンテナ2に切り替える(S34)。その後CPU18は、外部リーダライタから13.56MHzの搬送波を受信しているかどうかの検出をおこない(S35)、搬送波があれば、S32で切り替えられたアンテナにて通信を行う(S36)。
【0031】
アンテナ1、アンテナ2は、それぞれ共振点調整回路4、共振点調整回路5により13.56MHzにて共振するように調整されており、携帯電話機は切り替えられたアンテナ1または2により、R/Wから発生する磁束の相互誘導による電力を得て、振幅偏移変調(ASK)の変調波を受信する。受信した変調波はCPU18にて復調されR/Wからの送信データが検出される。その後CPU18は、切り替えられたアンテナ1またはアンテナ2を介して、負荷変調した応答信号をR/W側へ送信する。
【0032】
本実施形態では、折り畳み型携帯電話機を閉じた状態で非接触ICカード機能が利用される場合には、第1の筐体側のアンテナ1を外部のリーダ/ライタに接近して対面させる必要があるが、携帯電話機が閉じられている場合の持ち替えはそれ程困難ではないので、比較的簡単な操作で同様に良好な通信品質を確保することができる。なお、折り畳み型携帯電話機が閉じられた状態のときには、アンテナ切り替え回路8がアンテナ1とアンテナ2の合成受信信号を選択する切り替え制御を行うように構成すること、あるいは受信レベルの大きい方のアンテナを選択するように切り替え制御を行う構成とすることもできる。
【0033】
図5は、本発明の折り畳み型携帯電話機における非接触ICカード機能部分の第3の実施形態を示すブロック図であり、図6は、本実施形態における非接触ICカードアンテナの実装位置を示す断面図である。なお、図5に示す本発明の折り畳み型携帯電話機における非接触ICカード機能部分以外の構成については従来の携帯電話機構成と同様である。
【0034】
折り畳み型携帯電話機として、表示部及びスピーカが実装されている第2の筐体を、折り畳み用ヒンジ部のヒンジ軸と直交する軸の回りに180度回動可能にする機構を備えている携帯電話機も普及している。本実施形態では、このような構成の折り畳み型携帯電話機に対して、第2の筐体の前記表示部及びスピーカが実装されている面側にも、外部のリーダ/ライタとの間で無線通信を行う非接触ICカード用の第3のアンテナ3を配置することにより、第2の筐体がヒンジ軸と直交する軸の回りに180度回動された状態(裏返し状態)となっている場合に非接触ICカード機能を使用したときにも良好な通信品質を確保できるようにしている。
【0035】
アンテナ切り替え回路8は、携帯電話機が閉じられた状態(図6b)のときには、操作部20およびマイクロフォン14が実装されている第1の筐体側に実装された第1のアンテナ1および該アンテナ1のインダクタンスと13.56MHzにて共振するよう調整された共振点調整回路4を選択し、携帯電話機が開かれた状態(図6a)のときには、表示部19およびスピーカ15が実装されている第2の筐体側に実装された第2のアンテナ2および該アンテナ2のインダクタンスと13.56MHzにて共振するよう調整された共振点調整回路5を選択し、第2の筐体が裏返し(180度反転)状態(図6c)のときには、第2の筐体の表示部19及びスピーカ15が実装されている面側に配置された第3のアンテナ3および該アンテナ3のインダクタンスと13.56MHzにて共振するよう調整された共振点調整回路6を選択するように、開閉検出部7および表裏検出部8により制御される。
【0036】
例えば、アンテナ切り替え回路8には開閉検出部7および表裏検出部8から、携帯電話機が開状態の時にはHレベル、閉状態の時にはLレベルとなる開閉検出信号と、表示面が上(180度反転状態)の時にはHレベル、表示面が下の時にはLレベルとなる表裏検出信号が入力される。アンテナ切り替え回路8は、開閉検出信号がLレベル、かつ表裏検出信号がLレベルのときには、第1の筐体側に実装されたアンテナ1を選択する。開閉検出信号がHレベル、かつ表裏検出信号がLレベルのときには、第2の筐体の背面側に実装されたアンテナ2を選択する。また、開閉検出信号がLまたはHレベル、表裏検出信号Hがレベルのときには、第1の筐体を握りながら表示面側を使用していることが考えられるので、第2の筐体の表示部19及びスピーカ15が実装されている面側に配置されたアンテナ3を選択する。
【0037】
共振点調整回路4、5、6は、それぞれ筐体に実装された第1、第2、第3の非接触ICカード用アンテナ1、2,3のインダクタンスにて13.56MHzで共振するように調整する回路である。携帯電話CPU18には、送受信部17を介して、あらかじめ共振点調整回路4、5または6により共振周波数が調整された第1、第2または第3のアンテナ1、2または3より受信された搬送波のうち、アンテナ切り替え回路8で選択されたいずれかの信号が受信される。従って、CPU18は、アンテナ切り替え信号により切り替えられた非接触ICカード用アンテナを介して外部リーダ/ライタから13.56MHzの搬送波を受信しているかどうかの検出をおこない、搬送波があれば、該アンテナにて外部リーダ/ライタとの間で通信を行う。
【0038】
図7は、本実施形態の動作例を示すフローチャートである。CPU18は、携帯電話機が開状態か閉状態か逆開状態(第2筐体が180度反転状態)を確認し(S72)、携帯電話機が開状態であればアンテナ1を使用し(S73)、閉状態であればアンテナ2を使用し(S74)、逆開状態であればアンテナ3を使用する(S75)ように切り替える。そのあとアンテナより搬送波の検出をおこない(S76)、搬送波があれば、切り替えられたアンテナを使用して通信を行う(S77)。
【0039】
本実施形態においても、折り畳み型携帯無線電話機の状態に合わせて最適と思われる非接触ICカード用アンテナを、アンテナ切り替え回路によって切り替えているので、非接触ICカード使用時に携帯電話機を持ち変える必要がなく、快適に非接触ICカード機能を使用することができる。
【0040】
なお、本実施形態において、携帯電話機が閉状態のときにはアンテナ1とアンテナ2を選択して受信信号を合成するように制御する、あるいはアンテナ1とアンテナ2から受信レベルの大きい方のアンテナを選択するように制御してもよい。同様に、携帯電話機が閉状態でかつ第2筐体が180度反転状態のときにはアンテナ1とアンテナ3を選択して受信信号を合成するように制御する、あるいはアンテナ1とアンテナ3から受信レベルの大きい方のアンテナを選択するように制御してもよい。
【0041】
また、上記各実施形態では、携帯電話機が備えている機能を統括的に制御する制御部(CPU)18が、非接触ICカード機能も制御する構成としているが、例えば特許文献3〜4に記載されているように、非接触ICカード機能は独立した機能として内蔵し、該独立した機能として内蔵された非接触ICカード用アンテナ素子を上記各実施形態と同様に複数実装配置した構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の折り畳み型携帯電話機における非接触ICカード機能部分の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における非接触ICカードアンテナの実装位置を示す断面図である。
【図3】本発明の折り畳み型携帯電話機における非接触ICカード機能部分の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図4】図3に示す実施形態の動作例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の折り畳み型携帯電話機における非接触ICカード機能部分の第3の実施形態を示すブロック図である。
【図6】本実施形態における非接触ICカードアンテナの実装位置を示す断面図である。
【図7】図5に示す実施形態の動作例を示すフローチャートである。
【図8】従来の非接触ICカード用のICおよびアンテナモジュール内蔵型携帯電話機の一構成例を示すブロック図である。
【図9】上記構成の携帯電話機における非接触ICカード機能の回路例を示すブロック図である。
【図10】従来例における非接触ICカードアンテナの実装位置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1、2、3、16 非接触ICカード用アンテナ
4、5、6、22 共振点調整回路
7 開閉検出部
8 アンテナを切り替え回路
9 表裏検出部
10 アンテナ
11 RF部
12 変復調部
13 音声信号入出力部
14 マイクロフォン
15 スピーカ
17 送受信部
18 携帯電話用のCPU
19 表示部
20 操作部
21 メモリ
23 ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー釦を有する操作部およびマイクロフォンが実装されている第1の筐体と、表示部およびスピーカが実装されている第2の筐体とが、ヒンジ部により折り畳み可能に構成され、かつ非接触ICカード機能を内蔵した折り畳み型携帯電話機において、
前記第1及び第2の筐体の背面側に、外部のリーダ/ライタと対面して無線通信を行う前記非接触ICカード機能用の第1及び第2のアンテナをそれぞれ配置したことを特徴とする非接触ICカード機能を内蔵した折畳み型携帯無線電話機。
【請求項2】
前記折畳み型携帯無線電話機が前記ヒンジ部により開かれた状態となっているか閉じられている状態となっているかを検出する開閉検出手段を備えており、該開閉検出手段により該折畳み型携帯無線電話機が前記ヒンジ部により開かれた状態となっていることが検出されているとき、前記リーダ/ライタとの間の無線通信を行うアンテナとして前記第2のアンテナに切り替え接続する非接触ICカード用アンテナ切り替え手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の非接触ICカード機能を内蔵した折畳み型携帯無線電話機。
【請求項3】
前記ヒンジ部は、前記第2の筐体を、前記ヒンジ部のヒンジ軸と直交する軸の回りに180度回動可能にする機構を備えており、前記第2の筐体の前記表示部及びスピーカが実装されている面側に、外部のリーダ/ライタとの間で無線通信を行う前記非接触ICカード機能用の第3のアンテナを配置したことを特徴とする請求項1に記載の非接触ICカード機能を内蔵した折畳み型携帯無線電話機。
【請求項4】
前記折畳み型携帯無線電話機が前記ヒンジ部により開かれた状態となっているか閉じられている状態となっているかを検出する開閉検出手段と、前記第2の筐体が、前記ヒンジ部のヒンジ軸と直交する軸の回りに180度回動された状態となっているか否かを検出する表裏検出手段を備えており、前記開閉検出手段により該折畳み型携帯無線電話機が前記ヒンジ部により開かれた状態となっていることが検出され、かつ前記表裏検出手段により前記第2の筐体が前記ヒンジ部のヒンジ軸と直交する軸の回りに回動されていない状態となっていることが検出されているとき、前記リーダ/ライタとの間の無線通信を行うアンテナとして前記第2のアンテナに切り替え接続し、前記開閉検出手段により該折畳み型携帯無線電話機が前記ヒンジ部により閉じた状態となっていることが検出され、かつ前記表裏検出手段により前記第2の筐体が前記ヒンジ部のヒンジ軸と直交する軸の回りに180度回動された状態となっていることが検出されているとき、前記リーダ/ライタとの間の無線通信を行うアンテナとして前記第3のアンテナに切り替え接続する非接触ICカード用アンテナ切り替え手段を備えていることを特徴とする請求項3に記載の非接触ICカード機能を内蔵した折畳み型携帯無線電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−165805(P2006−165805A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351630(P2004−351630)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】