説明

非接触ICカード機能を有する携帯電話機及びその制御方法

【課題】ユーザが意図しない状態でのデータ通信を防止することができる非接触ICカード機能を有する携帯電話機及びその制御方法の提供。
【解決手段】非接触ICカード機能を有する携帯電話機に周囲の明/暗状態を判別する光センサ部や人体との接触の有無を判別するタッチセンサ部を設け、周囲の明暗状態や接触の有無に基づいて非接触ICカード機能の起動/停止を制御する。これにより携帯電話機が鞄の中などの周囲が暗い場所に収納されている状態や携帯電話機に触れていない状態であればデータ通信処理は行われないため、ユーザが意図しない状態でのデータ通信行為(誤課金及び不正なアクセスなど)を防止することができる。また携帯電話機を鞄の中から取り出した場合のように周囲が明るい状態や携帯電話機に触れている状態であればデータ通信処理が行われるため、操作性を格段に向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機及びその制御方法に関し、特に、非接触ICカード機能を有する携帯電話機及び該携帯電話機における非接触ICカード機能の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子決済が可能な携帯電話機が普及している。この携帯電話機には電磁誘導又は電磁結合を利用してリーダやリーダ/ライタなどの外部端末と非接触でデータ通信を行う機能(以下、非接触型ICカード機能と呼ぶ。)が搭載されており、店舗や改札などに設けられた外部端末に対してICに記憶されたユーザ情報などを送信することにより商品の代金や電車の運賃などの支払いや各種手続きなどを行うことができる。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、移動通信端末の機能を備えた移動通信部と、ICカード機能を備えたICカード通信部とを有し、ICカード通信部はICカード用リーダライタとの間にて無線通信によって交信するための受信部及び送信部を有するように構成された携帯電話機が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−244014号公報(第4−8頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記携帯電話機では、性能向上を目的として非接触ICカード機能のデータ通信距離を長くするなどが改良が加えられているが、データ通信距離が長くなると、携帯電話機を鞄やポケットの中にしまった状態のように、ユーザが非接触ICカード機能の使用を意図しない状態であっても自動的にデータ通信が行われてしまい、例えば、過剰な通貨の支払いなどの不正なアクセスを受けてしまう危険性が生じる。
【0006】
このような問題を解決する方法として、例えば、携帯電話機を電波が遮断されるケースなどに収納する方法が考えられる。しかしながら、この方法では特殊なケースが必要になると共に、携帯電話機をケースから取り出さないと通話や電子メールの送受信などの他の機能を使用することができないために、携帯電話機の使い勝手が著しく悪化してしまうという問題がある。
【0007】
また、非接触ICカード機能によるデータ通信を行うときのみ該機能を起動し、終了する度に該機能を停止するなど、ユーザ操作により非接触ICカード機能の起動/停止を設定できるようにする方法も考えられる。しかしながら、この方法では操作が煩雑になってしまうと共に、ユーザが現在の設定を憶えておかなければならず、例えば、非接触ICカード機能を停止していることを忘れて駅の改札を通過しようとした場合に改札のゲートが開かないなどの不具合が発生しやすいという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、ユーザ自身が非接触ICカード機能の起動/停止を操作しなくても、ユーザが意図しない状態でのデータ通信を防止することができる非接触ICカード機能を有する携帯電話機及び該携帯電話機における非接触ICカード機能の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、電磁誘導又は電磁結合を利用して非接触状態で外部のリーダ又はリーダ/ライタとデータの送受信を行う非接触ICカード機能を有する携帯電話機において、周囲の照度を検出し、検出した照度と予め定められた基準値とを比較することによって前記携帯電話機の周囲の明/暗状態を判別する手段と、前記携帯電話機の周囲が明るい状態では前記非接触ICカード機能を動作させ、前記携帯電話機の周囲が暗い状態では前記非接触ICカード機能を停止させる制御を行う制御手段と、を少なくとも備えるものである。
【0010】
また、本発明は、電磁誘導又は電磁結合を利用して非接触状態で外部のリーダ又はリーダ/ライタとデータの送受信を行う非接触ICカード機能を有する携帯電話機において、押圧力又は静電容量の変化を検出することによって前記携帯電話機と人体との接触の有無を判別する手段と、人体が前記携帯電話機に接触している状態では前記非接触ICカード機能を動作させ、人体が前記携帯電話機に接触していない状態では前記非接触ICカード機能を停止させる制御を行う制御手段と、を少なくとも備えるものである。
【0011】
本発明においては、前記携帯電話機の周囲が暗い状態、又は、人体が前記携帯電話機に接触していない状態において、前記リーダ又はリーダ/ライタからのアクセスがあった場合に、前記制御手段は、スピーカにアラーム音又は音声を鳴動、又は、表示手段にメッセージを表示させることにより、前記アクセスがあったことをユーザに報知する制御を行う構成とすることができる。
【0012】
また、本発明においては、前記報知後、所定時間内に所定のキー操作又は所定の音声入力が行われた場合に、前記制御手段は、前記非接触ICカード機能を動作させる制御を行う構成、又は、前記報知後、所定時間内に所定のキー操作又は所定の音声入力が行われなかった場合に、前記制御手段は、前記非接触ICカード機能を停止状態でロックする制御を行う構成とすることができる。
【0013】
また、本発明は、電磁誘導又は電磁結合を利用して非接触状態で外部のリーダ又はリーダ/ライタとデータの送受信を行う非接触ICカード機能を有する携帯電話機の制御方法であって、周囲の照度を検出し、検出した照度と予め定められた基準値とを比較することによって前記携帯電話機の周囲の明/暗状態を判別する判別ステップと、前記携帯電話機の周囲が明るい状態では前記非接触ICカード機能を動作させ、前記携帯電話機の周囲が暗い状態では前記非接触ICカード機能を停止させる制御ステップと、を少なくとも備えるものである。
【0014】
また、本発明は、電磁誘導又は電磁結合を利用して非接触状態で外部のリーダ又はリーダ/ライタとデータの送受信を行う非接触ICカード機能を有する携帯電話機の制御方法であって、押圧力又は静電容量の変化を検出することによって前記携帯電話機と人体との接触の有無を判別する判別ステップと、人体が前記携帯電話機に接触している状態では前記非接触ICカード機能を動作させ、人体が前記携帯電話機に接触していない状態では前記非接触ICカード機能を停止させる制御ステップと、を少なくとも備えるものである。
【0015】
本発明においては、前記携帯電話機の周囲が暗い状態、又は、人体が前記携帯電話機に接触していない状態において、前記リーダ又はリーダ/ライタからのアクセスがあった場合に、前記制御ステップでは、スピーカにアラーム音又は音声を鳴動、又は、表示手段にメッセージを表示させることにより、前記アクセスがあったことをユーザに報知する構成とすることができる。
【0016】
また、本発明においては、前記報知後、所定時間内に所定のキー操作又は所定の音声入力が行われた場合に、前記制御ステップでは、前記非接触ICカード機能を動作させる構成、又は、前記報知後、所定時間内に所定のキー操作又は所定の音声入力が行われなかった場合に、前記制御ステップでは、前記非接触ICカード機能を停止状態でロックする構成とすることができる。
【0017】
このように、本発明では、非接触ICカード機能を有する携帯電話機に、更に、周囲の明/暗状態を判別する手段や人体との接触の有無を判別する手段を設け、携帯電話機本体が鞄やポケットの中などの周囲が暗い場所に収納されている状態であれば、非接触ICカード機能によるデータ通信は自動的に停止するため、ユーザが意図しない状態でのデータ通信を未然に防止することが可能となる。一方、鞄やポケットの中から携帯電話機を取り出すのみで、非接触ICカード機能によるデータ通信が自動的に開始するため、操作性を格段に向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の非接触ICカード機能を有する携帯電話機及び非接触ICカード機能の制御方法によれば、ユーザが意図しない状態でのデータ通信を未然に防止することができ、また、携帯電話機の操作性を格段に向上させることができる。
【0019】
その理由は、非接触ICカード機能を有する携帯電話機に、更に、周囲の明/暗状態を判別する光センサ部を設け、制御部では、周囲の明/暗状態に基づいて、携帯電話機本体が鞄やポケットの中などの周囲が暗い場所に収納されている場合には非接触ICカード機能によるデータ通信を自動的に停止し、携帯電話機が鞄やポケットの中から取り出された場合には、非接触ICカード機能によるデータ通信を自動的に起動する制御を行うからである。
【0020】
また、非接触ICカード機能を有する携帯電話機に、更に、人体との接触の有無を判別するタッチセンサ部を設け、人体との接触の有無に基づいて、携帯電話機が鞄やポケットの中などに収納されている場合には非接触ICカード機能によるデータ通信を自動的に停止し、人体が携帯電話機に接触している場合には、非接触ICカード機能によるデータ通信を自動的に起動する制御を行うからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
従来の非接触ICカード機能によるデータ通信では、リーダ/ライタ装置側からのアクセスを受信した非接触IC部は自動的にデータの送受信を行い、通貨の支払い・各種手続き等を行ってしまう。これは、携帯電話機を鞄やポケットの中にしまっている状態であっても非接触IC部とリーダ/ライタ装置が通信可能な距離内であれば同様であり、犯罪を目的とした第3者からの不正なアクセス等を受けた場合など、ユーザが意図しない状態であっても、通貨の支払い・各種手続き等が行われてしまうこととなる。
【0022】
そこで、本発明では、非接触ICカード機能を有する携帯電話機に、周囲の明/暗状態を判別する光センサ部や人体との接触の有無を判別するタッチセンサ部を設け、これらの手段で判別した周囲の明/暗状態や人体との接触の有無に基づいて非接触ICカード機能の起動/停止を制御する。これにより、携帯電話機本体が鞄やポケットの中などの周囲が暗い場所に収納されている状態や携帯電話機に触れていない状態であれば、非接触ICによるデータ通信処理は行われないため、ユーザが意図しない状態でのデータ通信行為(誤課金及び不正なアクセスなど)を未然に防止することができる。また、携帯電話機を鞄やポケットの中から取り出した場合のように周囲が明るい状態や携帯電話機に触れている状態であれば、ユーザが操作しなくてもデータ通信処理が行われるため、操作性を格段に向上させることができる。
【実施例1】
【0023】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る非接触ICカード機能を有する携帯電話機及び該携帯電話機における非接触ICカード機能の制御方法について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施例に係る非接触ICカード機能を有する携帯電話機の主要な構成を示すブロック図であり、図2は、本実施例の非接触ICカード機能を有する携帯電話機の動作を示すフローチャート図である。
【0024】
図1に示すように、本実施例の携帯電話機は、制御部1、光センサ部2、非接触IC部3、電波送受信用アンテナ部4などにより構成される。制御部1は、携帯電話機を動作させるための各種制御を行っている。また、光センサ部2は周囲光を電気信号に変換する光電変換素子を用いて周囲の照度を検出し、検出した照度と予め定められた基準値とを比較することにより周囲の明/暗状況を判別する機能を備えている。また、非接触IC部3は、電波送受信用アンテナ4を介して外部のリーダ装置又はリーダ/ライタ装置(以下、リーダ/ライタ装置とする。)とデータの送受信を行う機能を備えている。
【0025】
なお、図1は本実施例の非接触ICカード機能を有する携帯電話機の基本構成例であり、上記手段以外に図示しない表示部や操作部、無線通信部を備えており、更に、TV通話を行う手段や写真や動画を撮影する手段、音楽を再生する手段、TV放送を受信する手段などを備える構成としてもよい。また、非接触ICカード機能とは、一般に、電磁誘導や電磁結合を利用して非接触でデータの交信を行う方法であるが、使用する周波数帯、データの交信方式、非接触IC部3やリーダ/ライタ装置の構造などは特に限定されない。
【0026】
次に、本実施例の非接触ICカード機能を有する携帯電話機の動作について、図2のフローチャート図を用いて説明する。
【0027】
まず、ステップS1で携帯電話機に内蔵された非接触IC部3を用いて、電波送受信用アンテナ4を介して外部のリーダ/ライタ装置からのアクセスを受信する。次に、本アクセスを受信すると、ステップS2で光センサ部2は周囲光を電気信号に変換して携帯電話機本体の周囲の照度を検出し、その照度と予め定められた基準値との比較結果に基づいて、“明”、“暗”状態の判別を行う。なお、上記基準値は携帯電話機を通常の形態で鞄やポケットに収納した場合の照度として代表値であり、その具体的数値は特に限定されず、また、使用状況(例えば、昼間の使用であるか夜間の使用であるかなど)に応じて適宜設定することもできる。
【0028】
そして周囲の明るさが“暗”状態であれば、ステップS3で携帯電話機は制御部1の制御により非接触IC部3によるリーダ/ライタ装置とのデータ通信を強制的に終了する。具体的には、非接触IC部3と電波送受信用アンテナ部4との間の接続状態をスイッチで切断したり、非接触IC部3への電源の供給を切断したり、非接触IC部3の共振周波数の値を変化させるなどによってリーダ/ライタ装置とのデータ通信ができないようにする。一方、周囲が“明”状態であれば、ステップS4で制御部1は非接触IC部3に対してデータ通信を継続させ、非接触IC機能によるデータ通信処理を実行させる。
【0029】
このように、本実施例の非接触ICカード機能を有する携帯電話機には、周囲の明るさを判別する光センサ部2が設けられており、制御部1では、光センサ部2で検出した照度に基づいて非接触ICカード部3の起動/停止を制御するため、ユーザが意図しない状態でのデータ通信行為(誤課金及び不正なアクセスなど)を未然に防止することができると共に、明るい場所に取り出すだけでデータ通信を実行することができるため操作性を格段に向上させることができる。
【実施例2】
【0030】
次に、本発明の第2の実施例に係る非接触ICカード機能を有する携帯電話機及び該携帯電話機における非接触ICカード機能の制御方法について、図3を参照して説明する。図3は、本実施例に係る非接触ICカード機能を有する携帯電話機の主要な構成を示すブロック図である。
【0031】
前記した第1の実施例では光センサ部2を用いて照度を検出して周囲の明るさを判別し、その判別結果に基づいて非接触IC部3の動作を制御したが、周囲が暗い状態であっても非接触IC部3を動作させた方が好ましい場合もある。そこで本実施例では光センサ部2に代えてタッチセンサ部5を設け、タッチセンサ部5で人体による接触の有無を検出し、その検出結果に基づいて非接触IC部3の動作を制御する。なお、タッチセンサ部5による人体による接触の有無の検出方法は限定されず、例えば、人体との接触による押圧力の変化を検出する感圧式としてもよいし、人体との接触による静電容量の変化を検出する静電式としてもよい。
【0032】
以下、本実施例の非接触ICカード機能を有する携帯電話機の動作について説明する。
【0033】
前記した第1の実施例と同様に、携帯電話機に内蔵されている電波送受信用アンテナ部4が外部のリーダ/ライタ装置からのアクセスを受信すると、携帯電話機はタッチセンサ部5により人体接触の有無について検出を行う。そして人体による接触が無い場合、携帯電話機は非接触IC部3によるデータ通信を強制的に終了する。一方、人体接触が有る場合、携帯電話機は非接触IC部3によるデータ通信処理を実行する。
【0034】
このように、本実施例の非接触ICカード機能を有する携帯電話機には、人体の接触の有無を判別するタッチセンサ部5が設けられており、ユーザが非接触IC機能によるデータ通信機能を行う際に必ず行うと考えられる、“手に持つ”(人体に接触する)ことを検出し、人体の接触がある状態でのみデータ通信が行われるため、ユーザが意図しない状態でのデータ通信行為(誤課金及び不正なアクセスなど)を未然に防止することができると共に、手に持つだけでデータ通信を実行することができるため操作性を格段に向上させることができる。
【0035】
なお、上記実施例では、光センサ部2に代えてタッチセンサ部5を設けたが、光センサ部2とタッチセンサ部5の双方を設けて、周囲が明るく、かつ、ユーザが触れている場合にのみ非接触IC部3を機能させたり、周囲が明るいか、又は、ユーザが触れている場合に非接触IC部3を機能させる構成とすることもできる。
【実施例3】
【0036】
次に、本発明の第3の実施例に係る非接触ICカード機能を有する携帯電話機及び該携帯電話機における非接触ICカード機能の制御方法について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、本実施例に係る非接触ICカード機能を有する携帯電話機の主要な構成を示すブロック図であり、図5は、本実施例の非接触ICカード機能を有する携帯電話機の動作を示すフローチャート図である。
【0037】
前記した第1及び第2の実施例では、光センサ部2又はタッチセンサ部5の検出結果に基づいて非接触IC部3の動作を制御したが、リーダ/ライタ装置からのアクセスがあることを報知したり、その場合の非接触ICカード機能の起動/停止を制御することができれば、不正なアクセスを確実に防止することができる。一方、スピーカ部6は着信音やアラーム音などを鳴動することが可能であり、表示部7は様々な情報を表示することが可能であり、キー操作部8は各種情報を入力することが可能である。そこで、本実施例ではスピーカ部6や表示部7、キー操作部8を光センサ部2の判別結果に関連付けて制御することにより不正なアクセスを確実に防止する。
【0038】
以下、本実施例の非接触ICカード機能を有する携帯電話機の動作について、図5のフローチャート図を用いて説明を行う。
【0039】
まず、ステップ21で、前記した第1及び第2の実施例と同様に、携帯電話機に内蔵されている電波送受信用アンテナ部4が外部のリーダ/ライタ装置からのアクセスを受信すると、ステップS22で光センサ部2は周囲光を電気信号に変換して携帯電話機本体の周囲の照度を検出し、その照度と予め定められた基準値との比較結果に基づいて、“明”、“暗”状態の判別を行う。そして周囲の状況が“明”状態であれば、ステップS23で制御部1は非接触IC部3に対してデータ通信を継続させ、非接触IC機能によるデータ通信処理を実行させる。
【0040】
一方、周囲が“暗”状態であれば、ステップ24で、携帯電話機は、スピーカ部6によりアラーム音・音声等の鳴動、または表示部7へのメッセージ表示等により、ユーザに対して非接触ICカード機能を用いたデータ通信ができないことのお知らせを行う。上記お知らせを行うと、携帯電話機はステップS25でユーザによるキー操作を監視し、一定時間内にユーザにより所定のキー操作が行われれば、非接触IC部3によるデータ通信を引き続き行い、データ通信処理を実行させる。一方、一定時間内にキー操作が行われなかった場合、携帯電話機は、ステップS26で、非接触IC部3によるリーダ/ライタ装置とのデータ通信を強制的に終了する。
【0041】
本発明により、携帯電話機を鞄の中にしまっている場合のようにユーザが意図しない状態で非接触IC部3へのアクセスが行われた場合、アラーム音・音声等の鳴動やメッセージ表示等により不正なアクセスがあったことを認識できる。また、所定の操作に基づいて非接触ICカード機能の起動/停止を制御することにより、不正なアクセスを確実に防止することができる。
【0042】
なお、本実施例において、非接触IC部3によるデータ通信を再開する手段として、キー操作を例にして説明したが、パスワード入力や音声入力等であってもよい。また、本実施例では、周囲の明/暗状態に基づいてスピーカ部6や表示部7、キー操作部8を制御したが、人体との接触の有無に基づいてスピーカ部6や表示部7、キー操作部8を制御する構成としてもよい。また、ユーザによるキー操作やパスワード入力が行われなかった場合に、非接触IC部3による通信機能を強制的に終了すると同時に、非接触IC部3によるデータ通信機能をロックすることもでき、このような制御を行うことによってユーザが意図しない状態でのデータ通信行為(誤課金及び不正なアクセスなど)を確実に防止することができる。
【0043】
また、上記各実施例では、非接触ICカード機能を使用する意図の有り無しを周囲の明暗、人体との接触の有無に基づいて判断したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば、時刻や場所など、任意の条件に基づいて使用する意図の有り無し判断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、携帯電話機に限らず、ノート型パソコンやPDA(Personal Digital Assistance)などの携帯端末機器全般に対して同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施例に係る非接触ICカード機能を備えた携帯電話機の基本構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る非接触ICカード機能を用いた携帯電話機の動作を示すフローチャート図である。
【図3】本発明の第2の実施例に係る非接触ICカード機能を備えた携帯電話機の基本構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施例に係る非接触ICカード機能を備えた携帯電話機の基本構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施例に係る非接触ICカード機能を用いた携帯電話機の動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0046】
1 制御部
2 光センサ部
3 非接触IC部
4 電波送受信用アンテナ部
5 タッチセンサ部
6 スピーカ部
7 表示部
8 キー操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導又は電磁結合を利用して非接触状態で外部のリーダ又はリーダ/ライタとデータの送受信を行う非接触ICカード機能を有する携帯電話機において、
周囲の照度を検出し、検出した照度と予め定められた基準値とを比較することによって前記携帯電話機の周囲の明/暗状態を判別する手段と、
前記携帯電話機の周囲が明るい状態では前記非接触ICカード機能を動作させ、前記携帯電話機の周囲が暗い状態では前記非接触ICカード機能を停止させる制御を行う制御手段と、を少なくとも備えることを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
電磁誘導又は電磁結合を利用して非接触状態で外部のリーダ又はリーダ/ライタとデータの送受信を行う非接触ICカード機能を有する携帯電話機において、
押圧力又は静電容量の変化を検出することによって前記携帯電話機と人体との接触の有無を判別する手段と、
人体が前記携帯電話機に接触している状態では前記非接触ICカード機能を動作させ、人体が前記携帯電話機に接触していない状態では前記非接触ICカード機能を停止させる制御を行う制御手段と、を少なくとも備えることを特徴とする携帯電話機。
【請求項3】
前記携帯電話機の周囲が暗い状態、又は、人体が前記携帯電話機に接触していない状態において、前記リーダ又はリーダ/ライタからのアクセスがあった場合に、
前記制御手段は、スピーカにアラーム音又は音声を鳴動、又は、表示手段にメッセージを表示させることにより、前記アクセスがあったことをユーザに報知する制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記報知後、所定時間内に所定のキー操作又は所定の音声入力が行われた場合に、
前記制御手段は、前記非接触ICカード機能を動作させる制御を行うことを特徴とする請求項3記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記報知後、所定時間内に所定のキー操作又は所定の音声入力が行われなかった場合に、
前記制御手段は、前記非接触ICカード機能を停止状態でロックする制御を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の携帯電話機。
【請求項6】
電磁誘導又は電磁結合を利用して非接触状態で外部のリーダ又はリーダ/ライタとデータの送受信を行う非接触ICカード機能を有する携帯電話機の制御方法であって、
周囲の照度を検出し、検出した照度と予め定められた基準値とを比較することによって前記携帯電話機の周囲の明/暗状態を判別する判別ステップと、
前記携帯電話機の周囲が明るい状態では前記非接触ICカード機能を動作させ、前記携帯電話機の周囲が暗い状態では前記非接触ICカード機能を停止させる制御ステップと、を少なくとも備えることを特徴とする携帯電話機の制御方法。
【請求項7】
電磁誘導又は電磁結合を利用して非接触状態で外部のリーダ又はリーダ/ライタとデータの送受信を行う非接触ICカード機能を有する携帯電話機の制御方法であって、
押圧力又は静電容量の変化を検出することによって前記携帯電話機と人体との接触の有無を判別する判別ステップと、
人体が前記携帯電話機に接触している状態では前記非接触ICカード機能を動作させ、人体が前記携帯電話機に接触していない状態では前記非接触ICカード機能を停止させる制御ステップと、を少なくとも備えることを特徴とする携帯電話機の制御方法。
【請求項8】
前記携帯電話機の周囲が暗い状態、又は、人体が前記携帯電話機に接触していない状態において、前記リーダ又はリーダ/ライタからのアクセスがあった場合に、
前記制御ステップでは、スピーカにアラーム音又は音声を鳴動、又は、表示手段にメッセージを表示させることにより、前記アクセスがあったことをユーザに報知することを特徴とする請求項6又は7に記載の携帯電話機の制御方法。
【請求項9】
前記報知後、所定時間内に所定のキー操作又は所定の音声入力が行われた場合に、
前記制御ステップでは、前記非接触ICカード機能を動作させることを特徴とする請求項8記載の携帯電話機の制御方法。
【請求項10】
前記報知後、所定時間内に所定のキー操作又は所定の音声入力が行われなかった場合に、
前記制御ステップでは、前記非接触ICカード機能を停止状態でロックすることを特徴とする請求項8又は9に記載の携帯電話機の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−345016(P2006−345016A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166424(P2005−166424)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】