説明

非接触IC通信媒体ホルダ及び非接触通信システム

【課題】非接触IC通信媒体そのものの製造コストを抑えつつ、ユーザの利便性に寄与する。
【解決手段】トークンホルダ10は、ICトークン12を受け入れて保持する保持部14と、ICトークン12とは別個にリーダライタ端末と無線通信を行う機能を有したインレット18と、ICトークン12の内部データをリーダライタ端末から受信して、その内容を可視情報として表示する表示器16とを備える。ICトークン12に高価な表示機能を持たせなくても、ユーザがオプションでトークンホルダ10の使用を選択すれば、表示機能を利用することができるので、ICトークン12の製造コストを抑えつつ、ユーザの利便性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機能を有した非接触IC通信媒体を保持する非接触IC通信媒体ホルダ、及びこれらを用いた非接触通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICトークン(コイン型データキャリア)のような非接触IC通信媒体の表面又は裏面にリライト記録層を形成することで、可視情報の印字及び消去を可能にした先行技術1が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この先行技術1によれば、内部のメモリに記憶された情報を外面のリライト層に印字した状態で可視表示することができるため、それだけユーザの利便性を高めることができる。またリライト層は、ICトークンの片面に形成された凹所内に設けられており、その上から防水性透明フィルムでICトークンが密封されているため、リライト層に傷が付いたり、ICトークンの内部に浸水したりするのを防止することができる。
【0003】
上記の先行技術1はリライト層を用いているため、内部データを可視表示するためには、一度専用のリライト印字機を通す手間が必要となる。これに対する別の先行技術2として、リライト印字機のような専用機材を必要としない表示機能付きICカードがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
この先行技術2は、ICカードの内部データを電子ペーパーのような表示器によって可視表示するものであり、ICカードには、非接触IC(接触兼用型)とアンテナコイル、そして、電子ペーパーの表示制御用CPUと専用のアンテナコイルがそれぞれ内蔵されている。ICカードを非接触リーダライタの磁界と結合させる際は、先に非接触ICが交信を行って内部データの書き換えを行い、その後、磁界結合を表示制御用CPUのアンテナコイルにスイッチして駆動電圧を発生させ、表示制御用CPUが内部データ(表示データ)を受信して電子ペーパーを駆動する。これにより、特に専用の機材を通すことなく、磁界結合の終了後も電子ペーパーに内部データを可視表示し続けることができ、それだけユーザの利便性をより向上することができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−236488号公報
【特許文献2】特開2009−122877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した先行技術1は、専用のリライト印字機を通す手間さえクリアすれば、依然として「可視情報の表示」という利便性を有している。しかし、個々の非接触IC通信媒体にリライト層を形成したり、防水性透明フィルムで密封したりする必要があることから、その分、非接触IC通信媒体の製造コストが上昇してしまうという問題がある。
【0007】
一方で先行技術2は、専用のリライト印字機を通す手間が必要なく、また、電子ペーパー等を用いた「表示機能付きICカード」という利便性に着目すれば、そこに一定の付加価値は認められる。しかし、「非接触IC通信媒体」という製品そのものに表示制御CPUや専用のアンテナコイル、さらには電子ペーパーまでを付加しているため、やはり製品個々の製造コストは大きく上昇してしまうという問題がある。
【0008】
そこで本発明は、非接触IC通信媒体そのものの製造コストを抑えつつ、ユーザの利便性に寄与できる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を採用する。
本発明の発明者は、「非接触IC通信媒体」を保持した状態で使用することができる非接触IC通信媒体ホルダを提供する。非接触IC通信媒体ホルダは保持部を備えており、この保持部は、リーダライタ通信機との間で独自に無線通信を行う非接触IC通信媒体を保持する。また非接触IC通信媒体ホルダは、通信回路及び表示器をも備える。このうち通信回路は、非接触IC通信媒体とは別個にリーダライタ通信機との間で無線通信を行い、非接触IC通信媒体に記録された内部データをリーダライタ通信機から受信する機能を有している。また表示器は、通信回路にて受信した内部データに基づいて可視情報を表示する機能を有する。
【0010】
本発明によれば、「非接触IC通信媒体」そのものに対してではなく、これを保持した状態で同時に使用可能な「非接触IC通信媒体ホルダ」に対して付加価値を持たせることで、各製品の製造コストを抑えつつ、ユーザの利便性を向上することができる。すなわち「非接触IC通信媒体」には特段の表示機能を付加する必要がなく、本来の通信機能や内部データの記憶・書き換え機能を持たせるだけでよい。そして、「非接触IC通信媒体」の内部データを表示する機能は「非接触IC通信媒体ホルダ」が有するため、これらを同時に使用することで、ユーザに対して利便性を提供しつつ、それぞれの製品コストを最小限に抑えることができる。
【0011】
また本発明からは、以下のような利点が得られる。
(1)例えば、交通機関に用いられる切符(乗車券)のように、極めて大量に流通する対象物に「非接触IC通信媒体」を適用する場合、それら全てに付加価値(表示機能)を持たせようとすると、全体としてコストの上昇を招くため、あまり実用的でない。むしろ付加価値は、それを必要とするユーザが選択的に享受できる態様が好ましく、全てのユーザに対して付加価値相当の運用コスト負担を転嫁するべきでない。
【0012】
本発明の「非接触IC通信媒体ホルダ」は、それ自身を「非接触IC通信媒体」として使用するのではなく、「非接触IC通信媒体」と同時に使用することで、容易に表示機能のような付加価値をユーザに提供するものである。そして本発明の「非接触IC通信媒体ホルダ」は、これを必要とするユーザが選択的に購入して使用することができるため、全てのユーザに付加価値相当の運用コスト負担を転嫁する必要がない。
【0013】
(2)また本発明では、「非接触IC通信媒体」を単独で使用するのではなく、これを「非接触IC通信媒体ホルダ」に保持した状態で同時に使用することができるため、例えばICトークンのような小型の媒体を自動改札機に通す際の利便性を向上することができるし、その紛失を防止することにも寄与する。特に視覚障害者等にとっては、小型の媒体を取り落としてしまうと、これを探し出して拾うことが困難になるが、「非接触IC通信媒体ホルダ」に保持した状態であれば、取り落としの防止にもなるし、万が一取り落とした際にもその発見を容易化することができる。
【0014】
(3)またICトークンのような小型の媒体は、ユーザ個人によって持ち方がばらばらであるため、これを自動改札機の読取部にかざす際の使用形態(特にアンテナの角度、方向)が一様になりにくい。本発明の「非接触IC通信媒体ホルダ」を同時に使用すれば、ある程度はその使用形態が限られてくるため、ユーザによる使用形態のばらつきをなるべく小さく抑えることができる。
【0015】
なお通信回路は、非接触IC通信媒体とリーダライタ通信機との間で行われる無線通信と周波数帯又は通信方式の少なくとも一方が異なる態様によりリーダライタ通信機との間で無線通信を行うことが好ましい。すなわち通信回路とリーダライタ通信機との間で行われる無線通信は、非接触IC通信媒体とリーダライタ通信機との間で行われる無線通信と(1)周波数帯が異なる場合、(2)周波数帯が同じで通信方式が異なる場合、(3)周波数帯及び通信方式が異なる場合、の複数の態様を含む。また「通信方式」には、例えば変調方式や符号化方式が含まれる。
これにより、同じリーダライタ通信機との間で「非接触IC通信媒体」と「非接触IC通信媒体ホルダ」とが別個に無線通信を行ったとしても、互いの干渉を防止することができ、その通信品質を維持することができる。
【0016】
本発明の非接触IC通信媒体ホルダは、カード形状をなすホルダ本体をさらに備えてもよい。このとき保持部は、ホルダ本体の外面から厚み方向に窪み、その内部に非接触IC通信媒体を受け入れ可能な窪み形状をなしている。また通信回路は、ホルダ本体の内部に設置(又は埋設)されたICインレット上に形成されており、表示器は、表示面がホルダ本体の外面に表出した状態で配置されている。
【0017】
この場合、ホルダ本体の保持部にて非接触IC通信媒体を保持すると、これらが全体としてカード状の形態となり、その外面に表示面が形成されることとなる。このため、例えばコイン型の非接触IC通信媒体であっても、これを使い慣れたカード状のものとしてユーザに認識させ、取り扱いの容易さや使用の利便性を向上することができる。
【0018】
また本発明は、例えば産業設備としての非接触通信システムを提供する。非接触通信システムは主に、(1)リーダライタ通信機、(2)非接触IC通信媒体、及び(3)非接触IC通信媒体ホルダで構成される。
【0019】
非接触通信システムのリーダライタ通信機は、少なくとも非接触IC通信媒体に対して内部データの送信を要求する処理(S102)、要求に応じて非接触IC通信媒体から送信(S104)された内部データを受信して記録する処理(S105,S106)、及び記録した内部データを非接触IC通信媒体ホルダに対して送信する処理(S110)を実行する。また非接触IC通信媒体ホルダは、リーダライタ通信機から送信された内部データを通信回路にて受信すると、この内部データに基づいて表示器により可視情報を表示する処理(S111)を実行する。
【0020】
本発明の非接触通信システムによれば、リーダライタ通信機が非接触IC通信媒体と非接触IC通信媒体ホルダとの間を媒介することで、一度の通信機会(ユーザにとっての1アクション)を通じて内部データの可視表示を可能とする。これにより、非接触IC通信媒体の製造コストを抑えつつ、非接触IC通信媒体ホルダの表示機能を用いた利便性の向上を実現することができる。
【0021】
またシステムのリーダライタ通信機は、非接触IC通信媒体から送信(S104)された内部データを記録する際、その内容を変換する処理(S107)と、記録した内部データとして変換後の内容を非接触IC通信媒体ホルダに対して送信する処理(S110)とを実行する。そして非接触IC通信媒体ホルダは、リーダライタ通信機から送信された変換後の内部データを通信回路にて受信すると、この変換後の内部データに基づいて表示器により可視情報を表示する処理(S110)を実行することが好ましい。なおリーダライタ通信機による内部データの記録や変換(加工)は、演算装置で行うこととしてもよい。
【0022】
上記の態様であれば、リーダライタ通信機と非接触IC通信媒体との間で行われた無線通信の結果、その内部データの内容が変換された場合(演算装置により変換された場合も含む)、その変換後の内容がリーダライタ通信機から非接触IC通信媒体ホルダに送信されて可視表示されるので、ユーザに対して最新の可視情報を提供することができる。
【0023】
またシステムは、リーダライタ通信機からの要求に応じて内部データの記録又は変換を行う演算装置と、演算装置からの作動命令に応じて作動する外部装置とをさらに備える。システムの演算装置は、リーダライタ通信機と非接触IC通信媒体との間で行われた無線通信の結果に基づいて、外部装置に対して作動命令を出力(S113)することができる。
【0024】
この場合、例えば非接触IC通信媒体の内部データに有価情報を記録しておき、リーダライタ通信機にてその有価情報を受信すると、演算装置が有価情報から必要な料金相当の減算を行うことで、外部装置に対する適切な作動命令を出力するといった利用形態を実現することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明の非接触IC通信媒体ホルダ及び非接触通信システムによれば、個々の製品のコスト上昇を抑えてユーザの利便性を向上することができる。また、非接触IC通信媒体と合わせて非接触IC通信媒体ホルダを提供することにより、単に非接触IC通信媒体の製造コストを抑えるだけでなく、そこに別の付加価値を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】非接触IC通信媒体ホルダの一実施形態であるトークンホルダを示した斜視図である。
【図2】トークンホルダ及びICトークンをともに表した平面図(A)及び縦断面図(B)である。
【図3】トークンホルダの保持部にてICトークンが係止された状態を示す平面図である。
【図4】トークンホルダの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】リーダライタ端末とICトークン又はトークンホルダとの間で行われる無線通信を用いた処理の手順例を示すフローチャートである。
【図6】ホルダ表示処理の手順例を示したフローチャートである。
【図7】非接触通信システム全体として実行される処理の流れを示したシーケンス図である。
【図8】トークンホルダに付加要素を適用した形態例を示す平面図(A)及び縦断面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、ここでは非接触IC通信媒体ホルダとしての一実施形態の他に、非接触通信システムとしての一実施形態が含まれるものとする。
【0028】
図1は、非接触IC通信媒体ホルダの一実施形態であるトークンホルダ10を示した斜視図である。このトークンホルダ10は、例えばコイン型のICトークン12を保持する用途に適している。なおICトークン12は、非接触IC通信媒体の一例である。
【0029】
〔ICトークンホルダの構成〕
トークンホルダ10は、カード形状(矩形平板形状)をなすホルダ本体(参照符号なし)を有しており、このホルダ本体に保持部14及び表示器16が配置されている。またホルダ本体には、その厚み方向でみた内層部分にインレット18が配置(埋設)されている。
【0030】
〔保持部〕
上記の保持部14は、ホルダ本体の片面(例えば表面)から厚み方向に窪んで形成されている。この窪みは、内部にICトークン12を受け入れる(嵌め込む)ことが可能な大きさを有している。トークンホルダ10は、保持部14の窪み内部にICトークン12を受け入れた状態で保持することにより、ICトークン12と同時に使用することが可能である。なお、保持部14の窪みの深さはホルダ本体の厚みより小さく、その窪み内には平らな底面14aが存在する。
【0031】
〔表示器〕
表示器16は、ホルダ本体の長手方向で保持部14と隣り合う位置に設けられている。表示器16には、例えば公知の電子ペーパーや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)等を用いることができるが、本実施形態では例えばマイクロカプセル方式の電子ペーパーを用いるものとする。電子ペーパーは、作動時の駆動電力のみで可視情報の表示状態を維持することができるため、特に表示器16として好適する。
【0032】
〔インレット〕
インレット18は、上記のようにホルダ本体の内層部分に配置されている。インレット18は、例えば樹脂製フィルム基材(PET、PEN等のフィルム基材)にアンテナコイルやICチップが搭載された形態を有する。
【0033】
〔ICトークン〕
ICトークン12は、上記のようにコイン型の非接触IC通信媒体である。このようなICトークン12もまた、樹脂製のケーシング内にインレット(図示していない)が配置された構造を有する。ICトークン12のインレットも同様に、フィルム基材にアンテナパターンやICチップが搭載された形態を有している。なおICトークン12には、その外周縁全体に保持溝12aが形成されている。なお、この例ではICトークン12の厚みがホルダ本体の厚みより大きく設定されているものとする。
【0034】
〔ICトークンの係止〕
保持部14は、その平面視でICトークン12よりも大きい領域(表面上でみた開口面積)を有しており、保持部14全体は、ホルダ本体の表面に沿って短辺方向に延びた長円形状をなしている。ホルダ本体の表面上でみた保持部14の外形(開口の輪郭)は、長円の一端側に位置する円弧部分がICトークン12と略同じ(又は僅かに大きい)半径を有しており、他端側に位置する円弧部分は、その半径がICトークン12よりも小さい。
【0035】
一方、保持部14の底面14aでは、長円の両端に位置する円弧部分がいずれもICトークン12と略同じ半径を有している。すなわち長円の他端側では、ホルダ本体の表面位置と底面14aの位置との間に段差があり、このため保持部14は、長円の他端側で一部が段付き穴の形状をなしている。保持部14には、このような段差を設けるために張出部分14bが形成されている。なお張出部分14bは、長円の他端縁の位置には存在せず、他端縁から周方向に離れた位置に対をなすようにして設けられている。また張出部分14bの大きさ(張り出し長さ)は長円の一端側に向かうにつれて減少し、一端側の円弧に接する位置で消失している。
【0036】
図1に示されているように、ICトークン12は、長円の一端側で保持部14の窪み内に嵌め込むことができる。そして、窪み内で一端側から他端側へICトークン12をスライドさせると、その周溝12aが張出部分14bに引っ掛かり(張出部分14bが周溝12a内に入り込み)、ICトークン12が係止されるものとなっている。これにより、保持部14によるICトークン12の保持力を向上し、ICトークン12の脱落を確実に防止することができる。
【0037】
図2は、トークンホルダ10及びICトークン12をともに表した平面図(A)及び縦断面図(B)である。なお図2中(B)では、ICトークン12をトークンホルダ10から取り外した状態で示している。
【0038】
図2中(A)に示されているように、表示器16は例えば矩形状の表示面(表示領域)を有しており、その面積はホルダ本体の表面のおおよそ半分程度である。表示器16には、例えばICトークン12の発行年月日、発行者、乗車区間等の券面情報を表示することができる。この例では、発行年月日として「20XX.XX.XX」、発行者として「東京地下鉄」、乗車区間として「茗荷谷→160円」といった可視情報が表示されている。なお、表示器16によるICトークン12の内部データの表示プロセスについてはさらに後述する。
【0039】
また図2中(B)に示されているように、ICトークン12は上記のようにインレット12bを有しており、ICトークン12の径方向でみて、インレット12bと周溝12aとは互いに干渉しない位置関係にある。なお、ここでは便宜上、インレット12b以外のICトークン12の断面を一様なものとして図示しているが、ICトークン12は少なくとも上蓋層、インレット12b層及び下蓋層の三層構造を有する。
【0040】
上記のようにトークンホルダ10の表示器16は、ホルダ本体の表面にその表示面が表出する状態で配置されている。一方のインレット18は、ホルダ本体の内層部分に埋設されている。トークンホルダ10についても同様に、ここでは便宜上、ホルダ本体の断面を一様なものとして図示しているが、ホルダ本体は例えばインレット18の他にコアシートや印刷シート、オーバーシート等を積層した多層構造を有する。
【0041】
また図2中(B)には、上記のように保持部14が段差を有する部分の断面が示されている。図2中(A)に示されるように、長円の一端側では保持部14の窪み内にICトークン12がすっぽりと嵌り込み、そこから他端側へスライドさせることで、上記のように周溝12aが張出部分14bに引っ掛けられ、それによってICトークン12が係止された状態となる。
【0042】
〔ICトークンの係止状態〕
図3は、トークンホルダ10の保持部14にてICトークン12が係止された状態を示す平面図である。なお図3中(A)には、ICトークン12を例えば鉄道の指定席特急券として使用した場合に表示器16に表示される可視情報が表示されている。また図3中(B)には、ICトークン12を例えば電子マネー(有価媒体)として使用した場合に表示器16に表示される可視情報が示されている。
【0043】
〔使用初期〕
図3中(A):トークンホルダ10やICトークン12の使用初期(新品時)においては、保持部14の窪み内で長円の他端側へ僅かにICトークン12をスライドさせるだけで張出部分14bが周溝12aに引っ掛かる。
【0044】
〔長期使用後〕
図3中(B):この後、トークンホルダ10やICトークン12を繰り返し使用していくと、張出部分14bや周溝12aの接触部分が摩耗していく。ただし、上記のように保持部14は、ホルダ本体の表面上でみた長円の他端側が小径の円弧部分を有するため、摩耗が進んだ状態であっても、窪み内でのICトークン12のスライド量を増やすことで、引き続き張出部分14bが周溝12aに引っ掛かる状態を維持することができる。
【0045】
〔ICトークンホルダの内部構成〕
次に図4は、トークンホルダ10の内部構成を概略的に示すブロック図である。ここではトークンホルダ10の内部構成として、主に表示器16及びインレット18に対応するものが示されている。
【0046】
トークンホルダ10のインレット18上には、上述したICチップ20及びアンテナコイル22が搭載されている。アンテナコイル22は、例えばフィルム基材にアルミニウム箔や銅箔等の導電パターンをプリントすることで形成されている。またICチップ20は、例えばフィルム基材に接着して実装されており、両端のランド部分にてアンテナコイル22と接続されているものとする。
【0047】
アンテナコイル22は、図示しないリーダライタ端末(リーダライタ通信機)から発せされる磁界内で発電し、ICチップ20や表示器16に対して駆動電力(電圧)を供給することができる。なお図4には、アンテナコイル22からICチップ20及び表示器16への給電経路がそれぞれ太い実線で示されている。
【0048】
インレット18上のICチップ20は、例えば制御用CPU24及びメモリ26を有している。制御用CPU24は演算処理を行う機能を有しており、またメモリ26は不揮発性の記憶領域を有している。
【0049】
図4中に実線の矢印で示されているように、制御用CPU24はメモリ26に対して制御命令(例えば読み出し、書き込み、消去等の命令)を出力する。一方、図4中に破線の矢印で示されているように、メモリ26は制御用CPU24からの制御命令を受けて表示器16に表示用データを転送する。また制御用CPU24は、表示器16に対して表示命令を出力し、これを受けて表示器16が表示用データに基づく可視情報の表示を行う。
【0050】
〔通信回路〕
また特に図示していないが、ICチップ20には通信回路(整合回路)が含まれており、この通信回路は、アンテナコイル22を通じてリーダライタ端末との間で磁界結合による無線通信を実行することができる。
【0051】
なお本実施形態では、ICトークン12の通信回路とトークンホルダ10の通信回路とは、互いに異なる周波数帯(例えば、LF:125kHz帯、HF:13.56kHz帯、UHF帯、SHF帯等)を用いてリーダライタ端末との無線通信を行うものとする。あるいは、ICトークン12に内蔵のICチップ(図示していない)とトークンホルダ10に内蔵のICチップ20とは、互いに異なる通信規格(Type)を有するものであってもよい(例えばType−A,Type−B,Type−C等)。これらTypeの違いにより、ICトークン12とトークンホルダ10とが互いに異なる通信方式(変調方式・符号化方式)を用いてリーダライタ端末との無線通信を行うことができる。いずれにしても、周波数帯又は通信方式の少なくとも一方(両方でもよい)が異なっていれば、共通のリーダライタ端末との間でICトークン12とトークンホルダ10とがそれぞれ無線通信を行ったとしても、互いの干渉や誤動作を引き起こすことがない。
【0052】
〔通信規格〕
本実施形態で使用できる近距離用の通信規格として、例えば国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)で定められた以下のもの(帯域別)を挙げることができる。
(1)LF帯:ISO11784,ISO11785
(2)HF帯:ISO14443,ISO14443A,ISO14443B,ISO18092
(3)UHF帯:ISO15693,ISO18000,ISO18000−6,ISO18000−6A,ISO18000−6B,ISO18000−6C
【0053】
上記のように、ICトークン12とトークンホルダ10とで互いに異なるTypeを用いる場合、例えば同じHF帯でもISO14443AとISO14443BとでTypeを異ならせることができる。あるいはUHF帯については、ISO18000−6A,ISO18000−6B,ISO18000−6CのようにTypeを異ならせることもできる。したがって、ICトークン12に内蔵のICチップとトークンホルダ10に内蔵のICチップ20とが同じ帯域を使用する場合であっても、Typeを異ならせていれば、互いの通信干渉を良好に抑えることができる。
【0054】
〔処理フロー〕
図5は、リーダライタ端末とICトークン12、又はトークンホルダ10との間で行われる無線通信を用いた処理の手順例を示すフローチャートである。また以下の説明により、これらリーダライタ端末、ICトークン12及びトークンホルダ10を備えた非接触通信システムの一実施形態についても明らかとなる。なお以下の例では、ICトークン12とトークンホルダ10とが互いに異なる周波数帯を用いてリーダライタ端末30と無線通信を行う場合を想定している。
【0055】
ステップS10:処理の開始に伴い、図示しないリーダライタ端末からの磁界出力命令が出される。なお処理の開始は、例えばリーダライタ端末の内部で生成される開始トリガ信号に基づいて行ってもよい。
【0056】
ステップS12:先の磁界出力命令を受け、リーダライタ端末がICトークン12用の周波数帯で磁界を出力する。
ステップS14:リーダライタ端末において、磁界の有効範囲内にICトークン12が存在するか否か(有無)を判断する。例えば、ICトークン12に内蔵(インレット上)の通信回路からのトークバックの有無を確認する。
【0057】
リーダライタ端末においてICトークン12が存在しない(無し)と判断すると、最初のステップS10に戻って磁界出力命令を出し直し、磁界の出力(ステップS12)とICトークン12の有無の判断(ステップS14)を繰り返す。
【0058】
ステップS16:ICトークン12が存在する(有り)と判断した場合、リーダライタ端末とICトークン12との間でのセッションを開始する。このセッション中においてリーダライタ端末とICトークン12とは、例えば予め定められた通信プロトコルに基づく無線通信を実行することができる。
【0059】
ステップS18:セッションが開始されると、リーダライタ端末からの要求を受けてICトークン12が内部データを出力(送信)する。このとき内部データには、例えばICトークン12の内部メモリ(図示していない)に記憶されている券面情報や有価情報等が含まれる。
【0060】
ステップS20:リーダライタ端末は、ICトークン12から受信した内部データを保存する。
ステップS22:そしてリーダライタ端末は、ICトークン12との間で確立されていたセッションを終了する。これにより、ICトークン12との無線通信は非アクティブとなる。
【0061】
ステップS24:セッションの終了後、非接触通信システム内においてホルダ表示処理が実行される。この定義済み処理は、トークンホルダ10の表示器16に可視情報を表示するためのものである。なお、ホルダ表示処理の内容については、別のフローチャートを用いてさらに後述する。
【0062】
ステップS26:またセッションの終了後、例えばホルダ表示処理と並行してリーダライタ端末の外部へ処理命令が出される。この処理命令は、例えばリーダライタ端末が自動改札機に搭載されている実施形態であれば、ゲートの開動作又は閉動作を指示する命令に相当する。
【0063】
〔ホルダ表示処理〕
図6は、ホルダ表示処理の手順例を示したフローチャートである。このホルダ表示処理を実行することにより、トークンホルダ10の表示器16による可視情報の表示が行われる。
【0064】
ステップS30:ホルダ表示処理のコール(呼び出し)に伴い、リーダライタ端末からの磁界出力命令が出される。
ステップS32:磁界出力命令を受け、今度はリーダライタ端末がトークンホルダ10用の周波数帯で磁界を出力する。
【0065】
ステップS34:リーダライタ端末において、磁界の有効範囲内にトークンホルダ10が存在するか否か(有無)を判断する。例えば、トークンホルダ10に内蔵の通信回路からのトークバックの有無を確認する。
【0066】
リーダライタ端末においてトークンホルダ10が存在しない(無し)と判断すると、最初のステップS30に戻って磁界出力命令を出し直し、磁界の出力(ステップS32)とトークンホルダ10の有無の判断(ステップS34)を繰り返す。
【0067】
ステップS36:トークンホルダ10が存在する(有り)と判断した場合、今度はリーダライタ端末とトークンホルダ10との間でのセッションを開始する。このセッション中においてリーダライタ端末とトークンホルダ10とは、先とは別の通信プロトコルに基づく無線通信を実行することができる。
【0068】
ステップS38:セッションが開始されると、リーダライタ端末からの要求を受けてトークンホルダ10が表示器16による内部データの可視表示を実行する。具体的には、上述した制御用CPU24から表示器16に対して表示制御命令が出力されるとともに、メモリ26から表示用データ(例えば画素ごとのON/OFFデータ)が表示器16に対して転送される。これにより、表示器16において可視情報の表示(図2,図3等参照)が行われる。
【0069】
ステップS40:そしてリーダライタ端末は、トークンホルダ10との間で確立されていたセッションを終了する。これにより、トークンホルダ10との無線通信は非アクティブとなる。
【0070】
上述したホルダ表示処理が完了すると、その後の手順は図5の処理フローに復帰(リターン)して終了となる。上記のように電子ペーパーを表示器16に用いていれば、この後も可視情報が表示され続けるので、トークンホルダ10のユーザは容易に可視情報を視認することができる。
【0071】
以上はICトークン12とトークンホルダ10とが互いに異なる周波数帯を用いる場合についてである。これとは別に、両者が互いに異なるTypeを用いる場合、リーダライタ端末はICトークン12、トークンホルダ10それぞれの通信規格に準拠した周波数帯で磁界を出力し、また、それぞれの通信規格で定める通信方式に基づいて内部データの復調・復号化や変調・符号化を行う。
【0072】
〔システム全体の処理シーケンス〕
図7は、非接触通信システム全体として実行される処理の流れを示したシーケンス図である。ここで例に挙げている非接触通信システムは、例えばトークンホルダ10、ICトークン12、リーダライタ(RW)端末30の他に、演算装置40及び外部装置50を含む形態である。このときICトークン12は、トークンホルダ10に保持された状態で使用されるものとする。また演算装置40はデータベース(DB)を内蔵するものとし、外部装置50は例えば自動改札機であるものとする。
【0073】
ステップS100:システム内において、最初にリーダライタ端末30がICトークン12用の磁界を出力する。これにより、上記のようにリーダライタ端末30とICトークン12との間でセッション(無線通信)が開始される。
【0074】
〔RW→ICトークン〕
ステップS102:セッションの開始に伴い、リーダライタ端末30からICトークン12に対して内部データの送信要求が発行される。
ステップS103:送信要求を受けとると、ICトークン12内(インレットICチップ)でイベントが発生し、内部データの送信準備(変調処理)が行われる。
【0075】
〔ICトークン→RW〕
ステップS104:送信準備が完了すると、ICトークン12からリーダライタ端末30に内部データが送信される。
ステップS105:そしてリーダライタ端末30は、内部データの受信処理(復調処理)を実行する。
【0076】
〔RW→演算装置〕
ステップS106:システム内の自動改札機において、リーダライタ端末30から演算装置40に対してデータ保存・加工要求が発行される。
ステップS107:演算装置40内でのイベントが発生し、内部データの保存や加工(変換)処理が行われる。この処理では、例えば必要な料金相当額の引き去りや、乗車区間、入出上記録の確認等を行い、その結果が内部データに対して反映される。
【0077】
〔演算装置→RW〕
ステップS108:データの保存・加工処理後、演算装置40からリーダライタ端末30に対して内容を変換後の内部データが送信される。
ステップS109:リーダライタ端末30では、変換後の内部データについて送信準備(変調処理)が行われる。また、このときリーダライタ端末30とトークンホルダ10との間でのセッションが開始される。
【0078】
〔RW→トークンホルダ〕
ステップS110:セッション中において、リーダライタ端末30からトークンホルダ10に対して変換後の内部データが送信される。
ステップS111:トークンホルダ10が変換後の内部データを受信すると、これに基づいて表示器16を駆動する処理(上記のホルダ表示処理)が実行される。これにより、トークンホルダ10の表示器16に変換後の内部データに基づく可視情報が表示されることになる。
【0079】
ステップS112:またシステム内では、演算装置40にて外部装置50への作動命令を生成する処理が行われる。ここで生成される作動命令は、例えば入場時に自動改札機のゲートを開動作させる命令である。
【0080】
〔演算装置→外部装置〕
ステップS113:演算装置40にて生成された作動命令(外部装置起動)が外部装置50に対して出力される。
ステップS114:作動命令に基づいて外部装置50が作動(起動)する。これにより、例えば自動改札機内でアクチュエータが稼働し、ゲートを開動作させる。
【0081】
以上のように本実施形態のトークンホルダ10によれば、個々のICトークン12にリライト層や電子ペーパーのような表示機能を付加することなく、ユーザの所望によりトークンホルダ10を同時に使用することで、必要な情報の可視表示が可能となる。これにより、交通機関への導入に際してICトークン12の製造コストを大きく上昇することなく、ユーザの利便性を向上することができる。
【0082】
またトークンホルダ10は、全てのユーザに対して使用を強制するものではなく、各人がオプションでこれを購入する形態とすることができる。このため、本実施形態の非接触通信システムを交通機関に導入した場合であっても、特にトークンホルダ10を必要としないユーザに対して一律に負担を強いることがない。
【0083】
一方で、ユーザがオプションでトークンホルダ10を購入した場合、その対価に見合う分の付加価値(表示機能)が容易に享受できる上、ICトークン12の持ち運びにも利便であるため、システムのユーザビリティを大きく向上することができる。
【0084】
また本実施形態で挙げたコイン型のICトークン12は、これをユーザが取り落とすと、意図せず遠くまで転がっていく可能性がある。特に視覚障害者等にとっては、ICトークン12を取り落としてしまうと、これを探し出して拾うことが困難になるが、本実施形態のトークンホルダ10にICトークン12を保持しておけば、たとえ取り落とすようなことがあったとしても、その後の探索が容易になる。
【0085】
〔付加要素〕
また本実施形態のトークンホルダ10には、例えば以下の要素を付加することができる。
図8は、トークンホルダ10に付加要素を適用した形態例を示す平面図(A)及び縦断面図(B)である。
【0086】
図8中(A)に示されているように、トークンホルダ10には、例えばホルダ本体の角部分に貫通孔10aを形成することで、これをストラップやキーホルダ用の取付孔として使用することができる。例えば、取付孔10aを利用してネックストラップ11等をトークンホルダ10に取り付ければ、これをユーザが首にかけたり、腕にかけたりして使用することができる。このため、トークンホルダ10の利便性をさらに向上することができるし、トークンホルダ10やICトークン12の紛失防止にも役立つ。
【0087】
また保持部14には、例えばその底面14a上に凸部14cを設けることができる。また、合わせてトークン12の外面に凹部12cを設けることができる。凸部14cを設ける位置は、保持部14内にICトークン12を嵌め込んだ後、長円の他端側へスライドさせたときに周溝12aと張出部分14bとでICトークン12が係止される位置が好ましい。これにより、保持部14内でトークン12をスライドさせて係止させる際、その適切な係止の位置で凸部14cが凹部12c内に嵌り込み、明確なクリック感触をユーザに与えることができる。さらに、このとき「カチッ」というように明瞭なクリック音を発生させることができるため、ユーザに対して「ICトークン12が確実に保持された」という実感を抱かせ、使用時の快適性や安心感を与えることができる。
【0088】
本発明は上述した一実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。一実施形態では、コイン形状のICトークン12を例に挙げているが、トークンホルダ10にはその他の形状を有するICトークンを保持して使用することができる。
【0089】
また、トークンホルダ10はカード形状に限らず、その他の形状を有するものであってもよい。また、保持部14や表示器16の配置や形状、大きさ等は任意であり、これらを適宜に変形して実施することが可能である。
【0090】
またICトークン12の内部データは、その使用目的に応じて各種のパターンを採用することができる。交通機関に関して言えば、例えば事前にチャージされた金額相当が内部データとして記録されていてもよい。あるいは、定期券としてICトークン12を利用する場合、その乗車路線や乗車区間、有効期限、利用者の氏名・年齢・性別といった情報を内部データとして記録することができる。
【0091】
一実施形態では、非接触通信システムを交通機関に適用した例を挙げているが、本発明のシステムはその他の事業設備(例えば、商品の在庫管理設備、図書の貸出・返却を管理する設備等)にも広く適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
10 トークンホルダ
12 ICトークン
12a 周溝
14 保持部
14a 底面
14b 張出部分
16 表示器
18 インレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のリーダライタ通信機との間で独自に無線通信を行う非接触IC通信媒体を保持する保持部と、
前記非接触IC通信媒体とは別個に前記リーダライタ通信機との間で無線通信を行い、前記非接触IC通信媒体に記録された内部データを前記リーダライタ通信機から受信する通信回路と、
前記通信回路にて受信した内部データに基づいて可視情報を表示する表示器と
を備えた非接触IC通信媒体ホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触IC通信媒体ホルダにおいて、
前記通信回路は、
前記非接触IC通信媒体と前記リーダライタ通信機との間で行われる無線通信と周波数帯又は通信方式の少なくとも一方が異なる態様により前記リーダライタ通信機との間で無線通信を行うことを特徴とする非接触IC通信媒体ホルダ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の非接触IC通信媒体ホルダにおいて、
カード形状をなすホルダ本体をさらに備え、
前記保持部は、
前記ホルダ本体の外面から厚み方向に窪み、その内部に前記非接触IC通信媒体を受け入れ可能な窪み形状をなしており、
前記通信回路は、
前記ホルダ本体の内部に設置されたICインレット上に形成されており、
前記表示器は、
表示面が前記ホルダ本体の外面に表出した状態で配置されていることを特徴とする非接触IC通信媒体ホルダ。
【請求項4】
リーダライタ通信機と、
前記リーダライタ通信機との間で無線通信を行う非接触IC通信媒体と、
前記非接触IC通信媒体を保持した状態で前記非接触IC通信媒体とは別個に前記リーダライタ通信機との間で無線通信を行う非接触IC通信媒体ホルダとを備えた非接触通信システムであって、
前記リーダライタ通信機は、
前記非接触IC通信媒体に対して内部データの送信を要求する処理と、
前記要求に応じて前記非接触IC通信媒体から送信された内部データを受信して記録する処理と、
前記記録した内部データを前記非接触IC通信媒体ホルダに対して送信する処理とを実行し、
前記非接触IC通信媒体ホルダは、
前記リーダライタ通信機から送信された内部データを通信回路にて受信すると、この内部データに基づいて表示器により可視情報を表示する処理を実行することを特徴とする非接触通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載の非接触通信システムにおいて、
前記リーダライタ通信機は、
前記非接触IC通信媒体から送信された内部データを記録する際、その内容を変換する処理と、
前記記録した内部データとして変換後の内容を前記非接触IC通信媒体ホルダに対して送信する処理とを実行し、
前記非接触IC通信媒体ホルダは、
前記リーダライタ通信機から送信された変換後の内部データを通信回路にて受信すると、この変換後の内部データに基づいて表示器により可視情報を表示する処理を実行することを特徴とする非接触通信システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の非接触通信システムにおいて、
前記リーダライタ通信機からの要求に応じて内部データの記録又は変換を行う演算装置と、
前記演算装置からの作動命令に応じて作動する外部装置とをさらに備え、
前記演算装置は、
前記リーダライタ通信機と前記非接触IC通信媒体との間で行われた無線通信の結果に基づいて、前記外部装置に対して作動命令を出力することを特徴とする非接触通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−104072(P2012−104072A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254414(P2010−254414)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】