説明

非晶質ポリウレタンポリマー及びホットメルト接着剤におけるその使用

【課題】本発明の目的は、反応によって架橋可能であり、適用した接着剤が低い流れ性を実質的に示し、且つ透明基材を接着するために特に適している熱可塑性ポリマーを提供することである。
【解決手段】本発明は式(I)の新規な非晶質ポリウレタンポリマーと、それに基づくホットメルト接着剤組成物とにも関する。この組成物は、適用後の非常に改善された寸法安定性が顕著であり、透明基材の接着結合に理想的に適している。このポリマーは迅速な気泡なしの硬化に関して顕著である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンポリマーの分野及びホットメルト接着剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
非晶質熱可塑性プラスチックは、ある程度かなりの時間、ホットメルト接着剤に用いられてきた。しかし、この種のホットメルト接着剤は、その三次元形状について非常に劣る保持力しか示さない。言い換えれば、適用時に与えられた形状は、非常に短時間内に、接着剤の流動の結果として、接着剤の形状が多くの用途に対してもはや許容されないほど顕著な変化を受ける。
【0003】
アルジミン基を末端に有するポリウレタンポリマーを、液状ポリウレタンポリマーと組み合わせて、オープンタイムと初期強度に影響を及ぼす目的のためにホットメルト接着剤に用いることが、国際公開第2008/052999A1パンフレットによって提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/052999A1パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[本発明のまとめ]
したがって、本発明の目的は、反応によって架橋可能であり、適用した接着剤が低い流れ性を実質的に示し、且つ透明基材を接着するために特に適している熱可塑性ポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、この目的は請求項1に記載した非晶質ポリウレタンポリマー(アモルファスポリウレタンポリマー)によって、かつ請求項11に記載のホットメルト接着剤組成物によって達成できることを発見した。
【0007】
さらに、これらのポリウレタンポリマーを添加する結果として、接着剤の機械特性がマイナスではなく、むしろ本当にプラスの影響を受けうることが判明している。さらに特に、荷重下でのクリープが非常に低減されることを発見した。
【0008】
硬化後のこのポリウレタンポリマーの透明性のおかげで、透明な接着を非常に良好に得ることができる。式(I)のポリウレタンポリマーは簡単に調製され、且つ急速な、気泡なしの硬化を特徴とする。式(I)のポリウレタンポリマーは、容易にマトリクス中に化学的に組み込まれて、良好な浸出挙動及び長期耐久性をもたらすことができる。水との反応で形成されるアルデヒドは、低揮発性であり、より特には無臭であり、したがって、特に室内用途に理想的に適している。
【0009】
本発明の非晶質ポリウレタンポリマーの一つの特有の鍵となる品質は、適用後の接着剤の非常に改善された寸法安定性、すなわち、顕著に低減された流れ性である。
【0010】
本発明のさらなる側面は、さらなる独立請求項の主題である。本発明の特に好ましい態様は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[好ましい態様の説明]
第一の態様では、本発明は下記式(I)の、室温で固体の非晶質ポリウレタンポリマー(アモルファスポリウレタンポリマー)を提供する。
【0012】
【化1】

【0013】
この式中、Rは、少なくとも1つのヘテロ原子、より特に、エーテル酸素又は三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を任意選択で含んでいてもよい、2〜12の炭素原子を有する二価の脂肪族又は脂環式又は芳香脂肪族(araliphatic)の炭化水素基である。
さらに、R及びRは互いに独立に、それぞれ1〜12の炭素原子を有する一価炭化水素基であるか、あるいはRとRが一緒になって、5〜8の、好ましくは6の炭素原子を有する非置換又は置換炭素環式環の一部である、4〜20の炭素原子を有する二価の炭化水素基を形成する。
は、1〜35の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、これは任意選択でヘテロ原子を含んでいてもよい。
Xは、O又はS又はN-Rであり、Rは1〜20の炭素原子を有する一価の炭化水素基であって、これは任意選択で少なくとも1つのカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、リン酸エステル、スルホン、もしくはスルホン酸エステル基を有していてもよく、あるいはRは下記式(II)の置換基である。
【0014】
【化2】

【0015】
さらに、mは1又は2又は3であり、nは0又は1又は2である。但しこれには、mとnの合計が2又は3であるという条件がつく。
【0016】
さらに、Aは、イソシアネート基を含み且つ室温で固体であるポリウレタンポリマーDから(m+n)個のイソシアネート基を取り除いた後の基である。イソシアネート基を含み且つ室温で固体であるポリウレタンポリマーDは、ポリオール混合物と少なくとも1種のイソシアネートPIとの反応によって調製される。このポリオール混合物は、室温で「液体」である少なくとも1種のポリエステルポリオールPE1と、室温で「非晶質且つ固体」である少なくとも1種のポリエステルポリオールPE2とを含む。
【0017】
但し、上記ポリオール混合物中、室温で固体の全ての非晶質固体ポリエステルポリオールPE2に対する、室温で液状の全てのポリエステルポリオールPE1の質量比が1.25未満であることを条件とする。
【0018】
本明細書中、置換基、基(ラジカル)、又は基(グループ)との関連での「互いに独立に」の用語の使用は、同じ分子中で、同じ記号で表した置換基、基(ラジカル)、又は基(グループ)が同時に、異なる定義のものになりうることが可能であることを意味すると解釈される。
【0019】
「ポリマー」の用語は、本明細書中、一方では、重合度、分子量、及び鎖長に関しては異なり、且つ重合反応(付加重合、重付加、又は重縮合)によって調製される、化学的には均一な高分子の集合体を含む。他方では、この用語は、重合反応による高分子のそのような集合体の誘導体、言い換えれば、存在する高分子上での官能基の付加又は置換などの反応によって得られ、且つ化学的に均一もしくは化学的に不均一であってもよい化合物をも含む。この用語は、プレポリマーとよばれるものも、言い換えれば、その官能基が高分子の構築に関与する反応性オリゴマー予備付加体(プレアダクト)もさらに包含する。
【0020】
「ポリウレタンポリマー」の用語は、ジイソシアネート重付加法として知られる方法によって調製される全てのポリマーを包含する。これはまた、実質的に又は完全にウレタン基を含まないポリマーをも含む。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレア、ポリウレア、ポリエステルポリウレア、ポリイソシアヌレート、及びポリカルボジイミドである。
【0021】
「室温」は、25℃の温度をいう。
【0022】
本明細書中の全ての軟化点は、DIN ISO 4625に準拠してリング・アンド・ボール法によって測定される。
【0023】
「ポリ」で始まる物質名称、例えば、ポリイソシアネート又はポリオールは、本明細書において、形式上、1分子当たり、その名称にある官能基を2つ以上を含む物質を特定する。
【0024】
本明細書中の「一級アミノ基」の用語は、有機基に結合したNH基を特定する一方、「二級アミノ基」は2つの有機基に結合したNH基を特定し、この2つの有機基は一緒になって環の一部であってもよい。
【0025】
「脂肪族アミノ基」は、脂肪族、脂環式、又は芳香脂肪族(araliphatic)基に結合したアミノ基である。したがって、それは「芳香族アミノ基」とは異なっており、芳香族アミノ基は、例えば、アニリン又は2-アミノピリジンにおけるように芳香族基又はヘテロ芳香族基に直接結合している。
【0026】
「脂肪族HX基」は、脂肪族、脂環式、又は芳香脂肪族(araliphatic)基に結合した−HX基である。したがって、それは「芳香族HX基」とは異なっており、芳香族HX基は、例えば、フェノール又はN-メチルアニリンに存在するように、芳香族又はヘテロ芳香族基に直接結合している。
【0027】
オリゴマー又はポリマーの場合、本明細書において、「分子量」は常に平均分子量Mである。
【0028】
本明細書中の式中の破線は、それぞれの場合に、置換基とそれに結びつけられる分子の基との間の結合を表す。
【0029】
ポリウレタンポリマーDは2つのイソシアネート基を有することが好ましく、すなわち、mとnの合計が2であることが好ましい。
【0030】
さらに好ましくは、式(I)のポリウレタンポリマーは、少なくとも1つのイソシアネート基を含むことが好ましく、すなわち、nの値は1又は2であり、好ましくは1である。
【0031】
特に好ましい態様は、mが1であり且つnが1である態様である。
【0032】
式(I)のポリウレタンポリマーは、室温で非晶質である。それは、25℃より高い、より特に40℃より高い、好ましくは60℃より高い軟化点を有する。
【0033】
特に好ましくは、R及びRはそれぞれメチル基である。
【0034】
式(I)の、室温で固体の非晶質ポリウレタンポリマーは、式(XI)の、より特に式(XI’)のアルジミンを、式(XII)のイソシアネート基含有ポリウレタンポリマーDと反応させることによって調製することができる。
【0035】
【化3】

【0036】
この反応は、式(XII)のポリウレタンポリマーDが液状である温度において、適切な場合には好適な触媒を併用して、式(XI)の、より特には式(XI’)のアルジミンをポリウレタンポリマーDのイソシアネート基に対して化学量論量で、わずかに化学量論的過剰量で、又は化学量論的に少ない量で添加して行われる。
【0037】
一つの態様では、式(XI)のアルジミンは、ポリウレタンポリマーDのイソシアネート基に対して化学量論的に少ない。言い換えれば、アルジミンは、1モル当量のイソシアネート基に対して、1モル当量より少ない「HX」基で添加される。このようにして、イソシアネート基とアルジミン基とを含む式(I)のポリウレタンポリマーが形成され、従ってこの場合は、指数nは0以外である。
【0038】
さらなる態様では、式(XI)のアルジミンは、ポリウレタンポリマーDのイソシアネート基に対して、化学量論量又はわずかに化学量論的過剰量である。言い換えれば、アルジミンは、1モル当量のイソシアネート基に対してちょうど1モル当量の、又は1モル当量よりいくらか多い「HX」基で添加される。このようにして、式(I)のポリウレタンポリマーが形成され、これは室温で固体であり、かつアルジミン基を含み、イソシアネート基を含まず、ここではしたがって、指数nはゼロ(0)であり、これを以下でポリウレタンポリマーA1という。
【0039】
式(I)の好ましいポリウレタンポリマーはポリウレタンポリマーA1であり、なぜなら、イソシアネート基がないことによって、それらは高い温度でさえ特に貯蔵安定性であるからである。より特には、ポリウレタンポリマーA1は液状である、言い換えれば、その融点より高い温度で、かなり長期の間、典型的には数週間又は数ヶ月の間、その粘度の顕著な上昇なしに貯蔵することができる。これは、従来技術によって公知の種類のイソシアネート基含有溶融性成分の挙動とは対照的である。イソシアネート基の高い反応性の結果として、その場合のそのような溶融成分の粘度は、貯蔵の間に、特に高温で、典型的には急速に上昇し、これはゲル化へと導きうる。式(I)のポリウレタンポリマーの高い貯蔵安定性は、対照的に、かなり実用上重要であり、なぜなら結果として、高温でさえ、その適用特性及び硬化特性に関して、そのNCO含有組成物は貯蔵中にほとんど又は全く変化を示さず、特に、概して一定のオープンタイム及び初期強度を有し、製造日及び貯蔵条件にほとんど左右されないことを示している。
【0040】
同様に、XがOであるか又はN-Rである式(I)のポリウレタンポリマーが好ましい。最も好ましくは、XはOである。
【0041】
特に好ましいのは、XがO又はN-R(式中、Rは1〜4の炭素原子を有する炭化水素基、より特には、メチル、エチル、プロピル、又はブチル、好ましくはメチルである)である式(I)のポリウレタンポリマーである。これらの溶融性成分を含む組成物は、初期強度の急速な発現を示す。
【0042】
好ましいポリウレタンポリマーは式(I)のものであり、式中、Yは下記式(III)の基である。
【0043】
【化4】

【0044】
この式中、Zは水素原子であるか、又は1〜8の炭素原子を有するアルキルもしくはアリールアルキル基であり、好ましくは水素原子である。
【0045】
さらに、Rは、任意選択で少なくとも1つのヘテロ原子、より特にはエーテル酸素の形態のヘテロ原子を含んでいてもよい、1〜30の炭素原子を有する一価炭化水素基であるか、あるいはRは、
【化5】

(式中、Rは、任意選択で少なくとも1つのヘテロ原子、より特にはエーテル酸素の形態のヘテロ原子を含んでいてもよい、1〜30の炭素原子を有する一価炭化水素基である。)の基である。
【0046】
一つの好ましい態様では、Yは式(III)の基であり、Rは、
【化6】

(式中、Rは、1〜30の炭素原子を有する一価炭化水素基、より特には11〜30の炭素原子を有するアルキル基である。)の基である。
【0047】
より特に、R又はRのいずれかが一価炭化水素基、より特に、11〜30の炭素原子を有する直鎖又は分岐状のアルキル基であることが好ましい。式(I)のこれらの好ましいポリウレタンポリマーとさらには加水分解の過程で形成されるアルデヒドは無臭である。
【0048】
式(XII)のポリウレタンポリマーDは、ポリオール混合物とさらには少なくとも1種のポリイソシアネートPIとから調製される。このポリオール混合物は、室温で「液状」の少なくとも1種のポリエステルポリオールPE1と、室温で「固体」の少なくとも1種の「非晶質」(アモルファス)ポリエステルポリオールPE2とを含む。
【0049】
ポリウレタンポリマーDを調製するための特に好適なポリエステルポリオールは、オリゴエステロールともいわれるポリエステルポリオールであり、例えば、2価〜3価のアルコール(例えば、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、又は前記アルコールの混合物)と、有機ジカルボン酸又はそれらの無水物もしくはエステル(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びヘキサヒドロフタル酸、又は前記酸の混合物)とから調製されるもの、及びまた、ラクトン(例えば、ε-カプロラクトンなど)からのポリエステルポリオールである。
【0050】
ポリエステルポリオールPE1及びポリエステルポリオールPE2は、それぞれ、2000〜10000g/モルの分子量を有することが有利である。
【0051】
ポリエステルポリオールPE1は室温で液状である。室温で液状の特に好ましいポリエステルポリオールは、ポリエステルジオールである。特に好適なポリエステルジオールは、0℃未満で、特に−50℃〜0℃でもなお液状のものである。室温で液状のポリエステルポリオールPE1は、好ましくは、2000〜8000g/モル、さらに好ましくは4000〜7000g/モルの分子量を有する。
【0052】
ポリエステルポリオールPE2は、室温で固体かつ非晶質である。特に好ましいポリエステルポリオールPE2は、アジピン酸/ヘキサンジオールポリエステル、アゼライン酸/ヘキサンジオールポリエステル、及びドデカンジカルボン酸/ヘキサンジオールポリエステルからなる群から選択され、かつ60℃〜130℃、より特に80℃〜110℃の範囲に融点又は軟化点を有するポリエステルジオールである。室温で固体の非晶質ポリエステルポリオールPE2は、好ましくは、1000〜8000g/モル、より好ましくは2000〜5000g/モル、最も好ましくは2000〜3000g/モルの分子量を有する。
【0053】
室温で固体の全ての非晶質ポリエステルポリオールPE2に対する、室温で液状の全てのポリエステルポリオールPE1の質量比は、1.25未満である。この比は、より特には、1.10〜0.05、好ましくは0.50〜0.10である。この比がより大きい場合には、流れがより大きくなる傾向がある。室温で固体のポリエステルポリオールPE2のみを用いた場合、すなわち、この比が0の場合には、対応する組成物は、高温でさえ高い粘度を有し、適用温度において適用することが通常は非常に困難である。
【0054】
イソシアネート基を含むポリウレタンポリマーDを調製するために用いることができるポリイソシアネートPIには、市販の脂肪族、脂環式、又は芳香族のポリイソシアネート、特にジイソシアネートが含まれ、例は以下のとおりである。
1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート及びリシンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-及び1,4-ジイソシアネート並びにそれらの異性体の任意の所望の混合物、1-メチル-2,4-及び-2,6-ジイソシアナトシクロヘキサン及びそれら異性体の任意の所望の混合物(HTDI又はHTDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートあるいはIPDI)、パーヒドロ-2,4’-及び-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDIあるいはH12MDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-XDI)、m-及びp-テトラメチル1,3-及び-1,4-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-TMXDI)、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン、2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート及びそれらの異性体の任意の混合物(TDI)、4,4’-, 2,4’-, 及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれら異性体の任意の所望の混合物(MDI)、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、前記のイソシアネート類のオリゴマー及びポリマー、並びに前記ジイソシアネート類の任意の所望の混合物。MDI、TDI、HDI、及びIPDIが好ましい。
【0055】
特に好ましくは、ポリイソシアネートPIは、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートあるいはIPDI)、2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート及びそれらの異性体の任意の混合物(TDI)、4,4’-, 2,4’-, 及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれら異性体の任意の所望の混合物(MDI)からなる群から選択されるジイソシアネートである。
【0056】
イソシアネート基を有する式(XII)のポリウレタンポリマーDへのこの反応は、慣用の方法で、より特には例えば50℃〜100℃の温度でポリオールとポリイソシアネートとを、適切な場合には好適な触媒を併用して行われ、投入されるポリイソシアネートの量は、そのイソシアネート基がポリオールのヒドロキシル基に対して化学量論的過剰となる量である。ヒドロキシル基に対するイソシアネート基の比が1.2〜5、より特に1.5〜3であることが有利である。ポリオールの全てのヒドロキシル基の反応後、全ポリウレタンポリマーDに基づいて、0.5〜5質量%の残存フリーイソシアネート基含有量があることが好ましい。
【0057】
適切な場合には、ポリウレタンポリマーDは可塑剤を併用して調製することができ、この場合、用いる可塑剤はいかなるイソシアネート反応性基も含まない。
【0058】
式(XI)、より特に式(XI’)のアルジミンは、式(V)のアミンと式(VI)のアルデヒド、より特に式(VIa)のアルデヒドとの間の、水の脱離を伴っての縮合反応によって得ることができる。式(V)のアミンは、脂肪族一級アミノ基と脂肪族HX基とを有する。式(V)のアミンがいかなる芳香族アミノ基も、いかなる芳香族HX基も有しないことが必要である。このアルデヒドは、式(V)のアミンの一級脂肪族アミノ基に対して化学量論で、又は化学量論的過剰量で用いられる。
【0059】
【化7】

【0060】
式(V)、(VI)、及び(VIa)中、X、R、R、R、R、Y、及びZは、既に述べた定義を有する。
【0061】
第一の態様において式(V)の好適なアミンは、1つ又は2つの一級脂肪族アミノ基と1つの二級アミノ基を有する化合物であり、例えば、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-ブチル-1,2-エタンジアミン、N-ヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、N-アミノエチルピペラジン、ジエチレントリアミン(DETA)、ビスヘキサメチレントリアミン(BHMT);一級のモノアミン類及びジアミン類のシアノエチル化又はシアノブチル化によるジアミン及びトリアミン類(例は、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-ヘキシル-1,3-プロパンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,3-プロパンジアミン、N-ドデシル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、3-メチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-エチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ブチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-(2-エチルヘキシル)アミノ-1-ペンチルアミン、3-ドデシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-シクロヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、ジプロピレントリアミン(DPTA)、N3-(3-アミノペンチル)-1,3-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、及び脂肪ジアミン、例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミン、又はN-(C16-22アルキル)-1,3-プロパンジアミン、例えば、Akzo Nobel社から商品名Duomeen(登録商標)として入手可能なものである);脂肪族一級ジアミン又はトリアミンと、アクリロニトリル、マレイン酸又はフマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル及びメタクリル酸エステル、アクリルアミド類もしくはメタクリルアミド類、又はイタコン酸ジエステルとを、1:1のモル比で反応させた、マイケル付加による生成物、である。
【0062】
第二の態様における式(V)の好適なアミンは、脂肪族ヒドロキシルアミン類であり、例えば、2-アミノエタノール、2-メチルアミノエタノール、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、4-アミノ-2-ブタノール、2-アミノ-2-メチルプロパノール、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、7-アミノ-1-ヘプタノール、8-アミノ-1-オクタノール、10-アミノ-1-デカノール、12-アミノ-1-ドデカノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール;1つの一級アミノ基をもつ、グリコール(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、及びこれらのグリコールのより高級なオリゴマー及びポリマー)の誘導体、例えば、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、α-(2-ヒドロキシメチルエチル)-ω-(2-アミノメチルエトキシ)ポリ(オキシ(メチル-1,2-エタン-ジイル))である;1つのヒドロキシル基と1つの一級アミノ基をもつ、ポリアルコキシル化された三価もしくはより多価のアルコール類の誘導体;グリコール類のモノシアノエチル化と続く水素化による生成物、例は、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミンである。
【0063】
第三の態様における式(V)の好適なアミンは、脂肪族メルカプトアミン類であり、例えば、2-アミノエタンチオール(システアミン)、3-アミノプロパンチオール、4-アミノ-1-ブタンチオール、6-アミノ-1-ヘキサンチオール、8-アミノ-1-オクタンチオール、10-アミノ-1-デカンチオール、12-アミノ-1-ドデカンチオール、及びアミノチオ糖類、例えば、2-アミノ-2-デオキシ-6-チオグルコースなどである。
【0064】
式(V)の好ましいアミンは、以下からなる群から選択されるアミン類である。
N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、DETA、DPTA、BHMT、及び脂肪アミン類(例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、及びN-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミン);脂肪族一級アミンと、マレイン酸及びフマル酸のジエステル類、アクリル酸及びメタクリル酸のエステル類、アクリルアミド及びメタクリルアミド類との、好ましくは、マレイン酸ジエステル、より特には、ジメチル、ジエチル、ジプロピル、及びジブチルマレートとの、さらにアクリル酸エステル、より特に、メチルアクリレートとの、1:1モル比で反応させたマイケル型付加による生成物;脂肪族のヒドロキシアミン類又はメルカプトアミン類であって、一級アミノ基がヒドロキシル又はメルカプト基から、少なくとも5原子の鎖、又は環によって隔てられたもの、より特に、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、及びそれらのより高次の類縁体、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン及びそのより高級オリゴマー及びポリマー、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミン。
【0065】
式(V)の特に好ましいアミンは、XがOであるか又はN-R(Rは、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、より特に、メチル、エチル、プロピル、又はブチル、好ましくはメチルである)であるものである。それらを用いて調製される式(I)のポリウレタンポリマーについては、本発明のそのようなポリウレタンポリマーを含むポリウレタン組成物は初期強度の迅速な発現が顕著であるという特性を有する。
【0066】
式(V)のアミン、より特に、式(V)のアミンに基づくR基は、28〜100g/モルの分子量又は式量を有することが好ましい。
【0067】
式(XI)又は(XI’)のアルジミンを調製するために適したアルデヒドは、式(VI)又は(VIa)のアルデヒドである。これらのアルデヒドの特徴は、それらの基Y、R、及びRが、水の不存在下でイソシアネート基と反応性であるいかなる基も含まないことであり、より特には、Y、R、及びRは、いかなるヒドロキシル基も、いかなる一級もしくは二級アミノ基も、いかなる尿素基も、あるいは活性水素をもついかなるその他の基も有しない。
【0068】
式(VI)のアルデヒドは、三級脂肪族又は三級脂環式アルデヒド、例えば、ピバルアルデヒド(2,2-ジメチルプロパナール)、2,2-ジメチルブタナール、2,2-ジエチルブタナール、1-メチルシクロペンタンカルボキサルデヒド、1-メチルシクロヘキサンカルボキサルデヒド;2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールと、アルコール、例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び2-エチルヘキサノールとのエーテル類;2-ホルミル-2-メチルプロピオン酸又は3-ホルミル-3-メチル酪酸と、アルコール、例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び2-エチルヘキサノールとのエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールと、カルボン酸、例えば、酪酸、イソ酪酸、及び2-エチルヘキサン酸とのエステル類;及びまた、特に好適であるとして以下で説明する、2,2-ジ置換-3-ヒドロキシプロパナール、-ブタナール、又は類縁のより高級アルデヒド、より特に、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナールのエーテル及びエステル、である。
【0069】
式(VI)の特に好適なアルデヒドは、式(VIa)のアルデヒドである。第一の態様では、Rは1〜30の炭素原子を有する炭化水素基であり、これは適切な場合には少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいる。
【0070】
この種のアルデヒドは、脂肪族、芳香脂肪族(araliphatic)、又は脂環式の2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒドと、式HO-Rのアルコール、より特に脂肪アルコールとのエーテル類を表す。好適な2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒドは、また、アルドール反応、特に、一級又は二級脂肪族アルデヒド類、特にホルムアルデヒドと二級の脂肪族、二級の芳香脂肪族、又は二級の脂環式アルデヒド(例えば、2-メチルブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、2-エチルカプロアルデヒド、シクロペンタンカルボキサルデヒド、シクロヘキサンカルボキサルデヒド、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、2-メチル-3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド(ハイドラトロープアルデヒド)、又はジフェニルアセトアルデヒド)との間の交差アルドール反応によって得ることができる。
【0071】
そのようなアルデヒドの例には、2,2-ジメチル-3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-ラウロキシプロパナール、及び2,2-ジメチル-3-ステアロキシプロパナールが含まれる。
【0072】
第二の態様では、Rは、
【化8】

の基である。
【0073】
この種のアルデヒドの好適な例は、上述した2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒド(例えば、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルペンタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルヘキサナール、1-ヒドロキシメチルシクロペンタンカルボキサルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボキサルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサ-3-エンカルボキサルデヒド、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-3-フェニルプロパナール、3-ヒドロキシ-2-メチル-2-フェニルプロパナール、及び3-ヒドロキシ-2,2-ジフェニルプロパナール)と、好適なカルボン酸とのエステルである。
【0074】
この目的に適したカルボン酸の例は、第一に、脂肪族カルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、2-エチルカプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、天然油脂(例えば、なたね油、ヒマワリ油、亜麻仁油、オリーブ油、ココナツ油、アブラヤシ核油、及びアブラヤシ油)の工業的鹸化による脂肪酸、及びまたそのような酸を含む脂肪酸の工業的混合物である。好適なカルボン酸は、第二に、芳香族カルボン酸であり、例は、安息香酸、又はトルイル酸類の位置異性体類、エチル-又はイソプロピル-又はtert-ブチル-又はメトキシ-又はニトロ-安息香酸類の位置異性体類である。好ましいカルボン酸は脂肪酸である。
【0075】
この種の好ましいアルデヒドは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ミリストイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-パルミトイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ステアロイルオキシプロパナール、及び2,2-ジメチル-3-ベンゾイルオキシプロパナール、及びまたその他の2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒドの類似のエステル類である。
【0076】
特に好ましい態様では、Rは、フェニル、及びC11、C13、C15、及びC17アルキル基からなる群から選択される。
【0077】
特に好ましいアルデヒドは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールである。
【0078】
上述のアルデヒドの一つの好ましい調製法では、2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒド(例えばホルムアルデヒド(又はパラホルムアルデヒド)とイソブチルアルデヒドとから好適な場合はその場で調製できる、例えば2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール)を、カルボン酸と反応させて対応するエステルを得る。このエステル化は、溶媒を用いることなく公知の方法によって行うことができ、例えば、Houben-Weyl, “Methoden der organischen Chemie”, vol. VIII, 第516-528頁に記載されている。
【0079】
一つの特に好ましい態様では、これらのアルデヒドは無臭である。無臭の物質とは、その臭気が、ほとんどの人に臭うことがない、すなわち、鼻で知覚できないほど低い物質を意味する。
【0080】
無臭のアルデヒドは、第一に、特に、R基が、任意選択によりヘテロ原子を含んでいてもよい12〜30の炭素原子を有する炭化水素基であるアルデヒドである。
【0081】
無臭のアルデヒドは、第二に、R基が、任意選択で少なくとも1つのヘテロ原子、より特に少なくとも1つのエーテル酸素を有していてもよい、11〜30の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル鎖であるか、あるいは、11〜30の炭素原子を有する1つ又は複数の不飽和の、直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖である。
【0082】
式(VI)の無臭のアルデヒドの例は、上述した2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒド類と、カルボン酸〔例えば、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、天然油脂(例えば、なたね油、ヒマワリ油、亜麻仁油、オリーブ油、ココナツ油、アブラヤシ核油、及びアブラヤシ油)の工業的鹸化による脂肪酸、及びまたこれらの酸を含む脂肪酸の工業的混合物〕とのエステル化生成物である。式(VI)の好ましいアルデヒドは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ミリストイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-パルミトイルオキシプロパナール、及び2,2-ジメチル-3-ステアロイルオキシプロパナールである。2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールが特に好ましい。
【0083】
無臭アルデヒドの式(XI’)のアルジミン、及びそれらから調製される式(I)のポリウレタンポリマーは、同様に無臭である。
【0084】
脂肪族アルジミン基をもつ式(I)のポリウレタンポリマーの特徴は、それらのアルジミン基が互変異性をしてエナミン基を生じることができないことであり、なぜならそれらはアルジミン基の炭素原子に対しα位に置換基として水素をもたないからである。この特徴により、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーと一緒になって、それらは特に良好な貯蔵安定性を有する混合物、言い換えればそれらの粘度が、高い反応性の芳香族イソシアネート基、例えば、TDI及びMDIのイソシアネート基の存在下でさえ特に良好な貯蔵安定性を有する混合物を形成する。
【0085】
さらなる側面では、本発明は、式(I)のポリウレタンポリマーとの関連で既に詳細に議論したように、室温で固体である本発明の式(I)の非晶質ポリウレタンポリマーを調製する方法を提供する。この方法は、このポリウレタンポリマーが、式(XI)のアルジミン、より特には式(XI’)のアルジミンと、式(XII)のイソシアネート基含有ポリウレタンポリマーDとの反応によって調製されることを特徴とする。
【0086】
【化9】

【0087】
式(I)のポリウレタンポリマーは、室温で硬化する前と後の両方で固体且つ非晶質(アモルファス)であり、室温で透明な固体を形成する。
【0088】
さらなる側面では、本発明は、室温で固体の式(I)の少なくとも1種の上述した非晶質ポリウレタンポリマーを含むホットメルト接着剤組成物を提供する。
【0089】
式(I)のポリウレタンポリマーの量は、全ホットメルト接着剤組成物に基づいて、通常、40質量%〜100質量%、より特に75質量%〜100質量%、好ましくは80質量%〜100質量%である。
【0090】
本ホットメルト接着剤組成物は、反応性ポリマー、特にイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーをさらに含んでいてもよい。これは、式(I)のポリウレタンポリマーそれ自体がNCO基をもはや含まない場合、即ち、nが0(ゼロ)の場合に特に有利である。一方では、既に上述した室温で固体のイソシアネート基含有ポリウレタンポリマーDが存在することが好ましい。他方では、室温で、液状、結晶性、又は固体のイソシアネート基含有ポリウレタンポリマーを用いることができる。これらのポリマーは、より特に、ポリエーテルポリオール又はオリゴエーテロールともよばれるポリオキシアルキレンポリオール(これは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-又は2,3-ブチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、又はそれらの混合物の重合生成物である)とポリイソシアネートから、従来の方法で調製される。
【0091】
本ホットメルト接着剤組成物は、適切な場合には、ポリウレタン化学で一般に用いられる助剤及び添加剤の形態のさらなる物質を含んでいてもよい。
【0092】
例えば、以下のような助剤及び接着剤が可能である。
- 可塑剤。例は、カルボン酸エステル、例えば、フタレート類(例えば、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、又はジイソデシルフタレート)、アジペート類(例えば、ジオクチルアジペート)、アゼレート類、及びセバケート類;有機リン酸及びスルホン酸のエステル、及びポリブテン類である;
- 非反応性の熱可塑性ポリマー類。例は、不飽和モノマー、より特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニルまたはその高級エステル類、及び(メタ)アクリレートのホモポリマー又はコポリマーであり、特に適したものはエチレン-酢酸ビニルコポリマー類(EVA)、アタクティックポリ-α-オレフィン類(APAO)、ポリプロピレン類(PP)、及びポリエチレン類(PE)である;
- 溶媒;
- 有機又は無機フィラー類。例は、ステアレートで被覆されているか又はされていない粉砕又は沈降性炭酸カルシウム、あるいはカーボンブラック、特に工業的に製造されたカーボンブラック(以下で「カーボンブラック」という)、バライト(BaSO、重晶石ともよばれる)、カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、より特に熱分解法による高分散シリカ、PVC粉末又は中空ビーズである;
- ファイバー類、例えば、ポリエチレンのファイバー;
- 顔料、例は、酸化チタン又は酸化鉄である;
- ブロックされたアミノ基の加水分解を促進する触媒。例えば、有機カルボン酸(例えば、安息香酸、サリチル酸、又は2-ニトロ安息香酸)、有機カルボン酸無水物(例えば、無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、及びヘキサヒドロメチルフタル酸無水物)、有機カルボン酸のシリルエステル類、有機スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、又は4-ドデシルベンゼンスルホン酸)、スルホン酸エステル、その他の有機又は無機酸類、あるいは前記の酸類及びエステル類の混合物;
- イソシアネート基の反応を促進する触媒。例は、有機スズ化合物(例えば、ジブチルスズアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズジアセチルアセトナート、及びジオクチルスズジラウレート)、ビスマス化合物(例えば、ビスマストリオクトエート、及びビスマストリス(ネオデカノエート))、及び三級アミノ基を有する化合物(例えば、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、及び1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)である;
- レオロジー調整剤、例は、増粘剤又はチキソ性付与剤、例は、尿素化合物、ポリアミドワックス、ベントナイト、又はヒュームドシリカである;
- 反応性希釈剤又は架橋剤、例は、ジイソシアネート(例えば、MDI、TDI、及びIPDI)のオリゴマー又はポリマー、より特に、イソシアヌレート、カルボジイミド、ウレトンイミン、ビウレット、アロファネート、及びイミノオキサジアジンジオンの形態のもの、ジイソシアネート(例えば、MDI、TDI、及びIPDI)と短鎖ポリオールとの付加体、さらには、アジピン酸ジヒドラジド及びその他のジヒドラジド類である;
- ブロックアミノ基をもつ潜在性硬化剤。例えば、ケチミン類、オキサゾリジン類、エナミン類、又はアルジミン類;
- 乾燥剤、例えば、モレキュラーシーブス、酸化カルシウム、高反応性イソシアネート類
(例えば、p-トシルイソシアネート)、オルトギ酸エステル、アルコキシシラン(例えば、テトラエトキシシラン、オルガノアルコキシシラン、例えば、ビニルトリメトキシシラン)、及びシラン基のα位に官能基を有するオルガノアルコキシシラン;
- 接着促進剤、特に、オルガノアルコキシシラン(「シラン(類)」)、例えば、エポキシシラン類、ビニルシラン類、(メタ)アクリロシラン類、イソシアナトシラン類、カルバメートシラン類、アルキルシラン類、S-(アルキルカルボニル)メルカプトシラン類、及びアルジミノシラン類、及び、これらのシラン類のオリゴマー形態;
- 熱、光、及びUV照射に対する安定剤;
- 難燃剤;
- 界面活性剤、例えば、湿潤剤、流動性調節剤、脱気剤、又は脱泡剤;
- 殺生物剤、例えば、殺藻剤、防カビ剤すなわちカビ成長阻害剤。
【0093】
そのような添加剤がホットメルト接着剤組成物の貯蔵安定性に悪影響を及ぼさないことを確実にすることが有利である。言い換えれば、貯蔵中に、これらの添加剤は架橋をもたらす反応(例えばブロックアミノ基の加水分解又はイソシアネート基の架橋)を有意に開始してはならない。特に、このことは、これら添加剤の全てが水を含まないか又は多くても微量の水しか含まないことを意味する。特定の添加剤を、それらを組み込む前に化学的又は物理的乾燥を行うことは理にかなったことでありうる。
【0094】
列挙したこれらの任意成分のいくつかは、目的が透明なホットメルト接着剤を配合することである場合には用いることができないことは、当業者にはもちろん明らかである。
【0095】
式(I)のポリウレタンポリマー、及びそれから配合されたホットメルト接着剤は、それらがかなり長期にわたって良好な寸法安定性を有し、あるいは低レベルのコールドフロー(cold flow)しか示さないという事実によって、特に特徴づけられる。
【0096】
その非晶質性に基づいて、式(I)のポリウレタンポリマー、あるいはそれから配合されたホットメルト接着剤組成物は、透明基材、より特にガラスの接着結合に理想的に適している。
【0097】
イソシアネート基を有するポリマーは、水と接触して反応又は重合する。この目的に必要な水は、空気(大気湿度)から来てもよく、あるいは組成物は、例えば噴霧することによって水含有成分と接触されてもよく、あるいは水含有成分は適用時に組成物に添加されてもよい。
【0098】
イソシアネート基のみならずアルジミノ基をも含む式(I)のポリウレタンポリマー(即ち、式中、n>0)は、水との接触により、それら自身で化学的に架橋しうる。アルジミノ基のみをもつ式(I)のポリウレタンポリマー(すなわち、式中、n=0)の場合、イソシアネート基を有するさらなるポリマーが、化学架橋のために必要である。そのようなポリマーが存在しない場合は、式(I)のポリウレタンポリマー又はそれから配合された組成物はまた、熱可塑性成分に相当し、ホットメルト接着剤として原理上使用できるが、式(I)のポリウレタンポリマー又はそれから生じる加水分解生成物は、化学的に組み込まれず、可逆的に溶融可能であり、すなわち、このポリマー又は組成物は反応性ホットメルト接着剤ではない。
【0099】
本ホットメルト接着剤組成物の適用温度は、存在する熱可塑性成分の軟化温度、より特に、室温で固体の式(I)の非晶質ポリウレタンポリマーの軟化温度に大きく左右される。ホットメルト接着剤は、熱可塑性成分が溶融状態で存在する温度で一般に適用される。より特に、適用温度は、85℃〜200℃、特に100℃〜150℃である。
【0100】
上述したホットメルト接着剤組成物が熱い状態、言い換えれば、式(I)のポリウレタンポリマーの軟化点より高い温度で適用される場合、硬化は2つの手段で硬化される。一方では、この組成物は、ホットメルト接着剤中に存在する式(I)のポリウレタンポリマーとその他の熱可塑性成分が固化し、その結果として組成物の粘度が大きく増大して、冷却時に固化する。この物理的硬化は、ある時点後にオープンタイムを終わらせ、その組成物の初期強度を生みだす。これと並行して、この組成物は、最終強度の発現を伴いながら、水分によって化学的に硬化する。
【0101】
このホットメルト接着剤組成物の際だった特性は、それが迅速且つ気泡なしに硬化することである。
【0102】
したがって、本発明は、水分と、記載したホットメルト接着剤組成物との反応によって得られる、硬化したホットメルト接着剤をさらに提供する。
【0103】
式(I)のポリウレタンポリマーを用いた結果、硬化したホットメルト接着剤は、式(I)のポリウレタンポリマーを全く含まない対応する接着剤と比較して、低いクリープ性、すなわち、静荷重下での少ない自己変形しか示さない。
【0104】
本ホットメルト接着剤組成物は、より特に、ホットメルト接着剤又は鋳型用コンパウンド(casting compound)として用いられる。
【0105】
この使用は、主に、車両製造で、又は建築もしくは土木工学で、又はガラスもしくは包装もしくは電子工業で行われる。
【0106】
車両製造の用語は、取り付ける部品の製造に用いられる工程も含む。特に重要な使用分野は、ラミネーションの分野である。このホットメルト接着剤組成物は、より特に、車両、より特に自動車の内装装備品を生産するために用いられる。この種の内装装備品の例は、ドアサイド部品、スイッチパネル、手荷物棚、ルーフパネルライニング、スライドルーフパネルライニング、センターコンソール、グローブボックス、サンバイザー、ピラー、ドアハンドル、肘掛け、床部材(フロアアッセンブリ)、荷積床部材(ローディングフロアアッセンブリ)、及びトランク部材、さらにまた、寝台車の壁並びにバン及びトラックの後部壁(リアウォール)である。減圧形成法及び圧縮ラミネーション法が、これらの目的のために一般に用いられる。
【0107】
上記特性、特に透明性に基づいて、好ましいホットメルト接着剤組成物は、電気及び/又は電子工業において、例えば、チップ又はその他の電子部品のポッティング又はシーリングにおいて、耐垂れ性のキャスティングコンパウンドとして非常に有効に用いることができる。あるいは、このホットメルト接着剤組成物は、例えば、コンベアベルトの製造のためのカムのキャスティングのために用いることができる。
【0108】
包装工業においては、上記ホットメルト接着剤組成物は、好ましくは、目に見える接着結合に対して、特に美観が重要である場合に、用途がある。この例は、透明なフィルムの接着又は透明容器の製造におけるその使用である。
【0109】
さらなる側面では、最後に、本発明は、基材S1とS2とを接着結合する方法を提供し、その方法は以下のステップ:
i) 上述したホットメルト接着剤を、85℃〜200℃、より特に120℃〜160℃の温度に加熱するステップ;
ii) 加熱した上記組成物を基材S1に適用するステップ;
iii) 適用した上記組成物をオープンタイム内に第二の基材S2と接触させるステップ
を含み、上記第二の基材S2は、上記基材S1と同じ材料又は異なる材料からなる。
【0110】
85℃〜200℃、より特に120℃〜160℃にホットメルト接着剤を加熱するステップi)において、ホットメルト接着剤が溶融される。
【0111】
好適な基材S1又はS2は、例えば、無機基材〔例えば、ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、煉瓦、タイル、石膏、及び天然石(例えば、花崗岩又は大理石);金属又は合金(例えば、アルミニウム、スチール、非鉄金属、亜鉛メッキした金属)〕;有機基材〔例えば、皮革、布帛、紙、木材、樹脂で結合した木質系材料、樹脂-布帛複合材料、プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、SMC(シートモールディングコンポジット)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル類、ポリオキシメチレン(POM)、エポキシ樹脂、ポリウレタン(PUR)、ポリオレフィン(PO)、特に、プラズマ、コロナ、又は火炎によって表面処理をしたポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレンコポリマー(EPM)、及びエチレン/プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)〕;及びまた、塗装及び仕上げ面、特に自動車の仕上げ面、である。
【0112】
基材S1及び/又はS2は、必要な場合には、上述した組成物を適用する前に前処理されてもよい。そのような前処理には、より特に、物理的及び/又は化学的清浄化法が含まれ、例は、研磨、サンドブラスト、ブラシがけ等、又は洗浄剤又は溶媒での処理;あるいは、接着促進剤、カップリング剤溶液、又はプライマーの適用;又は、火炎処理もしくはプラズマ処理、より特に、大気圧での空気プラズマ前処理である。
【0113】
これらの説明した結合方法は、物品を生み出す。
この物品は、より特に、建築構造物、より特に建築又は土木工学の建造構造物、又は工業製品もしくは消費者製品、より特に、窓、家庭用機器、又は輸送手段、より特に、水用は陸用乗り物、好ましくは自動車、バス、ローリー、列車、又は船舶、あるいは輸送手段の上又はその中に取り付けるための部品、又は家具、布帛、又は包装工業の物品である。
【0114】
好適な用途は、例えば、建築又は土木工学における、及び工業製品もしくは消費者製品(より特に、窓、家庭用機器、輸送手段、例えば、水用又は陸用乗り物、好ましくは、自動車、バス、ローリー、列車、又は船舶)の製造もしくは修理における部材の接着結合;あるいは、工業的な生産又は修理における、又は建築もしくは土木工学における、接合部、継ぎ目、又は空洞のシーリング(封止)である。
【実施例】
【0115】
〔試験方法の説明〕
調製した化合物中のアルジミノ基及びフリーのアミノ基の合計量(「アミン含量」)は、滴定(氷酢酸中の0.1N HClO、クリスタルバイオレットに対して)によって測定し、常にmmol NH/gで表す(存在するアミノ基が一級アミノ基だけではない場合であっても)。
【0116】
〔流動挙動〕
流動挙動については、以下のテーラー(Taler)法を用いた。
高さが異なり(4と6mm)且つ約35mmの内径をもつ2つのテフロン(登録商標)の環を、一片のシリコーン処理ペーパーの上にそれぞれ置いた。表1に特定したホットメルト接着剤を150℃に加熱し、溶融した状態でこれらの環の中に注ぎ、スパチュラでならした。この接着剤を室温に冷却した後、成形に用いた環を取り除いて、高さが4mmと6mmの2つの自立した円柱状成形体が残った。直径を測定して、表1にDとして報告した。次に、その円柱状成形体の直径を、3日及び2ヶ月の貯蔵後、すなわち、23℃及び55%相対湿度での完全硬化後に測定し、表1にそれぞれD3d及びD2mとして報告した。流動挙動の大きさについては、報告した直径のパーセント割合での増大Δ(Δ=[D2m/D]−1)を用いた。流動性が大きいほど、Δの値は大きい。
【0117】
〔気泡及び外観〕
硬化させた試験体を検査して表1に示した。透明性の評価に関しては、試験体を、Arialフォントで12ポイントのテキストサイズで記載したシート上に置いた。試験体を通してテキストを容易に読み取ることができた場合は、透明性は「高い」として評価した。読み取ることができなければ、透明性は「低い」と評価した。
【0118】
〔アルジミンALD〕
丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、28.06g(0.099モル)の2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを仕込んだ。激しく撹拌しながら、10.00g(0.095モル)の2-(2-アミノエトキシ)エタノール(Diglycolamine(登録商標)agent、Huntsman社)を滴下ロートから3分間かけて添加し、反応混合物の温度が40℃まで上昇した。その後、揮発性成分を減圧下(10mbar、80℃)で除去した。これにより、36.3gの無色透明且つ無臭の液体が得られ、これは室温で高流動性であり且つ2.58mmolNH/gのアミン含量を有していた。
【0119】
表1は、例1〜6の組成と、また、本発明の例ではない比較例Ref.1〜Ref.5の組成を、質量部で示す。室温で液状である、用いたポリエステルポリオールは、Dynacoll(登録商標)7250(Degussa社)(「PE1−1」)だった。室温で非晶質且つ固体である、用いたポリエステルポリオールは、Dynacoll(登録商標)7150(Degussa社)(「PE2−1」)だった。用いたポリイソシアネートはDesmodur(登録商標)44 MC(フレーク状、Bayer社)(「MDI」)又はDesmodur(登録商標)T-100(Bayer)(「TDI」)だった。用いたMDIの量は、1当量のOH当たり、2当量のNCOを用いるように計算した。
【0120】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の、室温で固体の非晶質ポリウレタンポリマー:
【化1】

〔式中、Rは、少なくとも1つのヘテロ原子、より特に、エーテル酸素又は三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を任意選択で含んでいてもよい、2〜12の炭素原子を有する二価の脂肪族又は脂環式又は芳香脂肪族の炭化水素基であり;
及びRは互いに独立に、それぞれ1〜12の炭素原子を有する一価炭化水素基であるか、あるいは
とRが一緒になって、5〜8の、好ましくは6の炭素原子を有する非置換又は置換炭素環式環の一部である、4〜20の炭素原子を有する二価の炭化水素基を形成し;
は、1〜35の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、Yは任意選択でヘテロ原子を含んでいてもよく;
Xは、O又はS又はN-Rであり、Rは1〜20の炭素原子を有する一価の炭化水素基であって、Rは任意選択で少なくとも1つのカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、リン酸エステル、スルホン、もしくはスルホン酸エステル基を有していてもよく、あるいはRは下記式(II):
【化2】

(mは1又は2又は3であり、nは0又は1又は2であり、但しこれは、mとnの合計が2又は3であるという条件のもとである)
の置換基であり;
Aは、室温で固体であり且つイソシアネート基を含むポリウレタンポリマーDから(m+n)個のイソシアネート基を取り除いた後の基であって、ポリウレタンポリマーDは、室温で液体である少なくとも1種のポリエステルポリオールPE1と、室温で非晶質且つ固体である少なくとも1種のポリエステルポリオールPE2とを含むポリオール混合物と、少なくとも1種のポリイソシアネートPIとの反応によって調製され、但し、前記ポリオール混合物においては、室温で非晶質且つ固体の全ての非晶質ポリエステルポリオールPE2に対する、室温で液体の全てのポリエステルポリオールPE1の質量比が1.25未満であることを条件とする。〕
【請求項2】
mが1であり且つnが1であることを特徴とする、請求項1に記載の室温で固体の非晶質ポリウレタンポリマー。
【請求項3】
及びRがそれぞれメチル基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の室温で固体の非晶質ポリウレタンポリマー。
【請求項4】
が下記式(III):
【化3】

〔式中、Zは水素原子であるか、又は1〜8の炭素原子を有するアルキルもしくはアリールアルキル基であり、好ましくは水素原子であり、
は、任意選択で少なくとも1つのヘテロ原子、より特にはエーテル酸素の形態のヘテロ原子を含んでいてもよい、1〜30の炭素原子を有する一価炭化水素基であるか、あるいは、
は、
【化4】

(式中、Rは、任意選択で少なくとも1つのヘテロ原子、より特にはエーテル酸素の形態のヘテロ原子を含んでいてもよい、1〜30の炭素原子を有する一価炭化水素基である。)〕
の基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の室温で固体の非晶質ポリウレタンポリマー。
【請求項5】
が下記式:
【化5】

(式中、Rは、1〜30の炭素原子を有する一価炭化水素基、より特には11〜30の炭素原子を有するアルキル基である)
の基であることを特徴とする、請求項4に記載の室温で固体の非晶質ポリウレタンポリマー。
【請求項6】
が28〜100g/モルの式量を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の室温で固体の非晶質ポリウレタンポリマー。
【請求項7】
前記ポリイソシアネートPIが、ジイソシアネート、より特に、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートあるいはIPDI)、2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート及びそれらの異性体の任意の混合物(TDI)、4,4’-, 2,4’-, 及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれら異性体の任意の所望の混合物(MDI)からなる群から選択されるジイソシアネートである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の室温で固体の非晶質ポリウレタンポリマー。
【請求項8】
室温で液体であるポリエステルポリオールPE1及び室温で非晶質且つ固体であるポリエステルポリオールPE2が、それぞれ、2000〜10000g/モルの分子量を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の室温で固体の非晶質ポリウレタンポリマー。
【請求項9】
Xが、O又はN-R、好ましくはO、であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の室温で固体の非晶質ポリウレタンポリマー。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の式(I)の室温で固体の非晶質ポリウレタンポリマーを調製する方法であって、このポリウレタンポリマーが、下記式(XI)のアルジミン、より特には下記式(XI’)のアルジミンと、下記式(XII)のイソシアネート基含有ポリウレタンポリマーDとの反応によって調製されることを特徴とする方法。
【化6】

【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の式(I)の室温で固体の少なくとも1種の非晶質ポリウレタンポリマーを含むホットメルト接着剤組成物。
【請求項12】
式(I)のポリウレタンポリマーの量が、全ホットメルト接着剤組成物に基づいて、40質量%〜100質量%、より特に75質量%〜100質量%、好ましくは80質量%〜100質量%であることを特徴とする、請求項11に記載のホットメルト接着剤。
【請求項13】
水分と請求項11又は12に記載のホットメルト接着剤との反応によって得られる、硬化したホットメルト接着剤組成物。
【請求項14】
ホットメルト接着剤又はキャスティングコンパウンドとしての、請求項11又は12に記載のホットメルト接着剤組成物の使用。
【請求項15】
車両製造、又は土木工学もしくはビルディング建築、又はガラスもしくは包装もしくは電子工業で行われることを特徴とする、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
以下のステップ:
i) 請求項11又は12に記載のホットメルト接着剤を、85℃〜200℃、より特に120℃〜160℃の温度に加熱するステップ;
ii) 加熱した上記組成物を基材S1に適用するステップ;
iii) 適用した前記組成物をオープンタイム内に第二の基材S2と接触させるステップ
を含み、前記第二の基材S2は、前記基材S1と同じ材料又は異なる材料からなる、基材S1とS2とを接着結合する方法。

【公開番号】特開2010−18804(P2010−18804A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−164972(P2009−164972)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】