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非晶質板状シリカ
説明

非晶質板状シリカ

【課題】 カオリンに特有の板状形状を有しており、且つ吸湿性が著しく抑制されており、樹脂やエラストマーなどの重合体用配合剤或いは塗料用配合剤として好適な非晶質板状シリカを提供する。
【解決手段】 カオリンを600乃至900℃で焼成し、得られた焼成カオリンを酸処理して脱アルミニウムを行い、さらに600乃至1200℃で焼成を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質板状シリカに関するものであり、より詳細には、カオリンを出発原料として得られ、カオリンに特有の板状形状を有する非晶質板状シリカに関する。
【背景技術】
【0002】
非晶質シリカは、塩化ビニル樹脂やオレフィン樹脂などの各種樹脂に配合され、例えば樹脂フィルムにアンチブロッキング性などを付与するための配合剤として広く使用されている。また、エラストマーなどの重合体には補強材として配合されている。
【0003】
一方、カオリンは、板状結晶のケイ酸アルミニウム質の鉱物であり、カオリンを酸処理して脱アルミニウムすることにより、多孔質粉体とすることが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
上記の多孔質粉体は、カオリンに特有の板状形状を有する粒子であり、大きな細孔量を有するものであるが、細孔量が大きいために、吸湿性が高く、樹脂やエラストマーなどに配合した場合に、吸湿水分による発泡を生じるという問題がある。また、カオリンの結晶構造が強固であるため、酸処理によって取り除かれるアルミニウム量が少なく、ケイ酸分に加えて多量のアルミニウム分を含有しており、このため、白色度が小さいという問題もある。
【0005】
一方、カオリンを焼成した後に、酸処理をすることにより非晶質の板状シリカを得ることも知られている(特許文献2参照)。
【0006】
かかる特許文献2の方法によれば、焼成によりカオリンの結晶構造が破壊されているため、その後の酸処理によってアルミニウムを除去することができるため、得られる非晶質シリカのアルミニウム含量はかなり少ない。
【特許文献1】特開平7−10531号公報
【特許文献2】特公昭59−13548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の方法で得られた非晶質シリカにおいても、極めて高い吸湿性を有しており、このため、樹脂やエラストマーなどの重合体に配合した場合に発泡を生じるという問題がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、カオリンに特有の板状形状を有しており、且つ吸湿性が著しく抑制されており、樹脂やエラストマーなどの重合体用配合剤或いは塗料用配合剤として好適な非晶質板状シリカ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、カオリンに特有のX線回折像を有するアルミノケイ酸塩を使用し、該アルミノケイ酸塩を600乃至900℃で焼成し、得られた焼成物を酸処理して脱アルミニウムを行い、さらに600乃至1200℃で焼成を行うことを特徴とする非晶質板状シリカの製造方法が提供される。
本発明によれば、また、SiO2含量が90重量%以上で、Al2O3含量が3重量%以下であり、且つBET比表面積が50m/g以下、相対湿度75%での平衡水分吸着量が3%以下であり、体積換算でのメジアン径(D50)が0.2乃至10μmである非晶質板状シリカが提供される。
【0010】
本発明の製造方法においては、前記アルミノケイ酸塩として、2乃至10mmの粒径の造粒物を用いることが好ましい。
【0011】
本発明の非晶質板状シリカにおいては、
(1)白色度が80以上であること、
(2)シリコーンオイルで表面処理されていること、
が好適である。
【0012】
本発明によれば、さらに、上記の非晶質板状シリカからなる重合体用配合剤或いは塗料配合剤が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、カオリンに特有のX線回折像を有するアルミノケイ酸塩を原料として使用するが、これを焼成した後に酸処理するため、殆どのアルミニウムを除去することができ、最終的に得られる非晶質シリカのアルミニウム含量は、著しく少ない。
【0014】
また、上記酸処理後に再び焼成を行うため、かかる再度の焼成により細孔が消失しており、前記アルミノケイ酸塩の板状形状を有しているとともに、その吸湿性も著しく小さい。
【0015】
即ち、上記のような方法で得られる本発明の非晶質板状シリカは、SiO2含量が90重量%以上で、Al2O3含量が3重量%以下ときわめて少なく、細孔が消失している結果、且つBET比表面積が50m/g以下であり、相対湿度75%での平衡水分吸着量が3%以下となり、吸湿性が著しく低く、樹脂やエラストマーなどに配合したときの発泡が有効に抑制することができる。
【0016】
また、アルミニウム含量がかなり少量であるため、ハンター白色度が80以上と白色性に優れ、着色等の問題を生じることがない。さらに、板状形状を有していることから、樹脂や塗料に配合したときに、層状に分散させることにより、酸素等に対する透過性を著しく小さくすることができるという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<製造方法>
本発明においては、原料として、所定のアルミノケイ酸塩を使用し、これを焼成(第1段の焼成)し、次いで酸処理し、酸処理物を再び焼成(第2段の焼成)することにより、非晶質の板状シリカを得ることができる。
【0018】
本発明において、原料として使用されるアルミノケイ酸塩は、カオリンに特有のX線回折像を有するものであり、具体的には、そのX線回折像は、下記の面間隔(dx)にピーク強度を有する。
面間隔(dx)Å 相対強度(%)
7.17 100
4.366 60
3.579 80
【0019】
即ち、このアルミノケイ酸塩は、2八面型1:1層状ケイ酸塩であり、理想的には四面体陽イオンとしてSiのみ、八面体陽イオンとしてAlのみを有しており、1:1層の組成はAlSi・(OH)で表されるものである。このようなアルミノケイ酸塩としては、例えばカオリナイト、デッカイト、ハロイサイト等のカオリン族粘土鉱物を挙げることができる。
【0020】
例えば、原料として用いるカオリナイトの酸化物基準での組成の代表例は、以下の通りである。
SiO:44乃至48重量%
Al:34乃至39重量%
O:13乃至16重量%
TiO等のその他の酸化物:4重量%以下
【0021】
本発明においては、上記のアルミノケイ酸塩を第1段の焼成に付し、これにより、カオリンに特有の結晶構造を破壊し、非晶質化するものであるが、かかる第1段の焼成に先立って、予め、ナウターミキサーなどを用いて造粒し、分級して粒径が2〜10mm程度の造粒物としておくことが好ましい。この粒径があまり小さいと、後述する酸処理等の工程でろ過等の処理が困難となり、処理性が低下するおそれがある。また、粒径が過度に大きいと、焼成による非晶質化が有効に行われず、結晶構造が部分的に残存し、このため、後述する酸処理によってアルミニウムを十分に除去できなくなるおそれがある。
【0022】
また、上記の造粒物について行う第1段の焼成は、600乃至900℃、好ましくは600乃至800℃で行われる。この温度が上記範囲よりも低いと、非晶質化が有効に行われず、このため、後述する酸処理によって、アルミニウム分を有効に除去することが困難となる。また、上記よりも高温で第1段の焼成を行うと、結晶変態によりムライトなどが生成してしまい、この結果、やはり、アルミニウム分を有効に除去することが困難となったり、或いは吸湿性の低い非晶質シリカを得ることができなくなったりしてしまう。
【0023】
上述した第1段の焼成は、十分に非晶質化が行われるまで行われ、通常、1時間以上、特に2乃至4時間行われる。これにより、得られる焼成物、例えば焼成カオリン(メタカオリン)の組成は、以下の通りである。
SiO:51乃至56重量%
Al:39乃至45重量%
TiO等のその他の酸化物:5重量%以下
【0024】
第1段の焼成後に行われる酸処理は、硫酸、塩酸、硝酸などの無機酸を用いて行われるが、一般には、硫酸を用いて行われ、例えば、濃度が10重量%以上、特に20乃至40重量%の硫酸に、上記焼成物を添加して混合することにより行われる。かかり処理液中の焼成物濃度は、通常、10乃至20重量%程度でよく、一般には、60乃至100℃程度の温度で、10乃至50時間程度行われる。かかる酸処理により、焼成物中のアルミニウム分は、例えば硫酸アルミニウムとして溶出する。
【0025】
上記の酸処理後は、ろ過、酸及び水による洗浄を行い、溶出したアルミニウム分及び酸を除去し、100℃程度の温度で乾燥する。このように乾燥された酸処理物の代表的な組成は、以下の通りである。
SiO:80重量%以上、特に85乃至95重量%
Al:3重量%以下、特に0.5乃至2重量%
TiO等のその他の酸化物:3重量%以下
熱減量(1000℃):5重量%
【0026】
ところで、非晶質化されている上記の酸処理物は、アルミニウム分がほとんど除去され、板状の粒子形状を有しており、上記の組成からも理解されるように、Al含量の著しく少ない非晶質シリカである。しかしながら、かかる非晶質シリカは、酸処理による脱アルミニウムにより、粒子中に多数の細孔が形成されているため、極めて吸湿性が高く(即ち、細孔が吸着サイトとなっている)、樹脂やエラストマーなどに混練したときに発泡を生じさせてしまい、これらの重合体用の配合剤としては適当でない。本発明では、以下に述べる第2段の焼成により、吸湿性を低減させる。
【0027】
上記酸処理物について行われる第2の焼成の温度は、600乃至1200℃、特に800乃至1000℃の範囲とする。かかる第2の焼成により、粒子中の細孔、特にミクロポアが消失し、これに伴って比表面積も大きく低下することとなり、このような細孔の消失及び比表面積の低下により、吸湿性を大きく低減させることが可能となるのである。
【0028】
本発明において、第2の焼成温度が、上記範囲よりも低温であるときには、細孔を有効に消失させることができず、吸湿性の低下を実現することができず、また、上記範囲よりも高温としたとしても、吸湿性低減効果を向上させることができるわけでもなく、むしろ、粒子の収縮等が大きくなり、板状の粒子形状を保持することが困難となったり、或いは熱経済的に不利となるなどの不都合が生じてしまう。また、上記の第2の焼成温度領域は、前述した第1の焼成温度領域よりも高温側にシフトしているが、これは、第2の焼成に際しては、アルミニウム分のほとんどが除去されているため、第1の焼成温度よりも高温の領域で焼成を行った場合にも、結晶変態などの不都合を生じないからである。
【0029】
尚、上述した第2の焼成は、吸湿性が大きく低減される程度に細孔が消失するまで行われるが、通常、焼成時間は、1時間以上、特に2乃至4時間程度である。
【0030】
本発明においては、第2の焼成終了後、ジェットミル等を用いて微粉砕し、これにより、種々の用途に使用される非晶質板状シリカが得られる。
【0031】
<非晶質板状シリカ>
上記のようにして得られる本発明の非晶質板状シリカは、原料カオリン等に含まれていたアルミニウム分がほとんど除去されており、その組成は、前述した酸処理乾燥物の組成と実質的に同じであり、例えば以下の通りである。
SiO:90重量%以上、特に93乃至98重量%
Al:3重量%以下、特に0.5乃至2重量%
TiO等のその他の酸化物:3重量%以下
【0032】
また、本発明の非晶質板状シリカは、上記のジェットミル等の微粉砕により、その体積換算でのメジアン径(D50)が0.2乃至10μmに調整され、また、そのアスペクト比(長径/厚み)が2乃至50の範囲となる板状形状を有している。また、このような微粒子に調整された本発明の非晶質板状シリカは、そのBET比表面積が50m/g以下、特に20乃至40m/gの範囲にあり、その比表面積は著しく小さく、このような小さな比表面積は、前述した第2の焼成により、粒子中の細孔が有効に消失していることが判る。
【0033】
さらに、本発明の非晶質板状シリカは、上記のようにBET比表面積が小さく、細孔が消失していることから、吸湿性が著しく小さく、後述する実施例からも明らかなように、相対湿度75%での平衡水分吸着量が3%以下、特には0.5乃至2%程度の範囲にあり、これは、本発明の非晶質板状シリカの極めて重要な特性である。即ち、これにより、各種の重合体に配合した場合にも、吸湿による発泡を生じることがない。
【0034】
さらには、本発明の非晶質板状シリカは、前述したようにアルミニウム含量が著しく少量に抑制されており、このため、白色度が80以上と白色性にも優れている。従って、各種の重合体に配合した場合に、着色等の問題を生じさせることがないという利点も有している。
【0035】
上述した本発明の非晶質板状シリカは、必要により、シリコーンオイルやシランカップリング剤などによる表面処理によって、その疎水性をさらに高めることができる。この場合、この板状非晶質シリカ自体の吸湿性が大きく低減されているため、このような表面処理剤の使用量を極めて少なくして高い疎水性を付与することができる。例えば、後述する実施例からも明らかな通り、板状非晶質シリカ100重量部当り、1乃至5重量部程度のシリコーンオイルの使用により、その疎水化度を60%以上に高めることができる。
【0036】
このように、本発明の非晶質板状シリカは、吸湿による発泡を生じさせないことから、各種の重合体用の配合剤として極めて有用であり、例えば補強材として各種の重合体に配合して使用される。このような重合体としては、各種の熱可塑性樹脂、エラストマー、熱硬化性樹脂等を挙げることができる。
【0037】
熱可塑性樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムまたはブロック共重合体などのオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂;その他、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド等;及びこれらのブレンド樹脂を例示することができる。
【0038】
エラストマーとしては、例えばニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム、天然ゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
【0039】
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などを挙げることができる。
【0040】
また、本発明の非晶質板状シリカは、例えば、樹脂に配合してフィルムとした場合には、スリップ性やアンチブロッキング性を付与することができる。即ち、本発明の非晶質板状シリカが配合されている樹脂フィルムでは、例えばロールで巻き取った場合において、フィルム同士の密着を有効に防止することができ、また、板状形状を有していることから、フィルム同士が摩擦接触した場合においても、フィルムの傷つきを有効に防止することもできる。
【0041】
また、上述した本発明の非晶質板状シリカは、吸湿性が低く(即ち、高い疎水性を有している)ことから、樹脂やエラストマー等の重合体用配合剤として極めて有用であるが、例えば、塗料用配合剤として、水性塗料、油性塗料等の各種塗料に配合し、塗膜強度を高めることもできる。
【0042】
さらに、本発明の非晶質板状シリカは、板状形状を有していることから、例えば樹脂フィルムや塗料などに配合した場合において、これを層状に分布させることにより、酸素等のガスの透過を有効に遮断することもできる。
【0043】
このように、本発明の非晶質板状シリカは、樹脂やエラストマー等の重合体用配合剤或いは塗料用配合剤として極めて有用であり、その配合量は、用途に応じて、適宜設定することができる。例えば、樹脂フィルムのアンチブロッキング剤として使用する場合には、フィルム形成等の用途に使用される熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.05乃至10重量部、特に0.05乃至5重量部、更に好ましくは0.05乃至2重量部の配合比で用いるのがよい。
【0044】
尚、本発明の非晶質板状シリカを各種重合体に配合するとき、特にフィルムのアンチブロッキング剤として使用するときには、分散剤、特に滑剤としての作用をも有する分散剤と組み合わせで用いることが推奨される。このような分散剤としては、カルボキシル基、その無水物基、そのアミド基またはその塩の基を有する有機物が挙げられる。
【0045】
その適当な例としては、ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のもの、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系のもの、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸およびそれらの混合系が一般に用いられるが、特に脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系が好ましい。更に、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレンワックスや無水マレイン酸グラフト変性オレフィン系樹脂も、この目的に好適に使用される。
【0046】
上記の分散剤及び/または滑剤は、重合体(特にフィルム形成用樹脂)100重量部当たり0.05乃至5重量部、特に0.1乃至1重量部の量で配合することが好ましい。
【実施例】
【0047】
以下に、本発明の優れた効果を、実施例で説明する。なお、実施例で行った、試験方法は以下の通りである。
【0048】
(1)化学組成
Ig−Lossは、試料を1000℃で一時間焼成後放冷し減量から定量した。
試料の分解をアルカリ溶融で行った後、塩酸で溶解し高分子凝集剤でシリカ(SiO)を凝集させて定量した。得られた濾洗液を原子吸光で測定し、各金属分を定量した。また、NaO、KOは塩酸抽出した後濾過し、得られた濾洗液を原子吸光で測定し、金属分を定量した。
なお、試料は110℃で3時間乾燥した物を基準とする。
【0049】
(2)BET比表面積
自動比表面積/細孔分布測定装置、micromeritics 社製TriStar 3000を用いて測定を行った。
【0050】
(3)平衡水分吸着量
試料約1gを予め重量を測定した40×40mmの秤量ビンに入れ150℃の電気恒温乾燥器で3時間乾燥後、デシケーター中で放冷する。次いで試料の重さを精秤し、予め硫酸水溶液で関係湿度75%に調節したデシケーター中に入れ48時間後の重量増を測定し、平衡水分吸着量とした。
【0051】
(4)メジアン径
レーザー回折法粒度測定機、BECKMAN COULTER社製LS13 320を用いて測定を行い、体積換算でのメジアン径(D50)を求めた。
【0052】
(5)白色度
日本電色工業(株)測色色差計カラーメーターZE-2000を用いて測定を行った。
【0053】
(6)疎水化度
イオン交換水50mlに試料0.2gを投入した後、マグネティックスターラーで撹拌下ビュレットを用いてメタノールを滴下する。試料全量が沈降した点を終点とし、その時の全溶液容量に対するメタノールの滴下容量の百分率で疎水化度を算出した。
【0054】
(実施例1)
カオリン原料(AMAZON PLUS)をナウターミキサーに仕込み、カオリンに対して22%の水にて造粒を行い、フルイ分けを行ってφ2〜7mmのカオリン造粒物を得た。この造粒物を700℃に調整した電気炉にて2時間焼成(1段焼成)しカオリンの焼成クリンカーを得た。
次に、耐酸容器に濃度20%の硫酸6Lを張り込み、上記焼成品1kgをポリエチレン製網袋に入れた状態にて漬けた。硫酸反応液を循環しながら加温し80℃、40時間、脱アルミニウム処理を行った。
反応処理品を取り出して、pH1の硫酸液20L中に浸漬し2時間酸洗浄を行った後、イオン交換水2L/hrの流量で押し出し洗浄を15時間行った。
洗浄済み処理品を110℃にて一昼夜乾燥を行った後、1000℃に調整した電気炉にて2時間焼成(2段焼成)した。
上記焼成物をサンプルミルにて予備粉砕を行った後、日本ニューマチック製100旋廻型ジェットミル、空気圧0.6MPaにて粉砕を行い、板状シリカを得た。
得られた板状シリカ粉末について分析を行った結果、化学組成はSiO 含量が96重量%、Al含量が1重量%、その他金属酸化物3重量%であり、平均粒径0.4μm、比表面積30m/g、白色度85%、75%RHにおける平衡水分吸着量は1%であり、極めて低い吸湿性を示した(表1参照)。
また、原料のカオリン、カオリンの焼成クリンカー及び板状シリカのX線回折図を図1に、板状シリカのSEM写真(倍率:10000倍)を図2にそれぞれ示す。
【0055】
(実施例2)
上記実施例1で得られた低吸湿性の板状シリカ粉末を10Lスーパーミキサーに500g仕込み、攪拌下シリコーンオイル25gを加えて700rpm、30分間混合処理を行った。焼き付け処理は200℃で1時間行い、疎水性板状シリカを得た。
得られた疎水性板状シリカは測定の結果、比表面積18m/g、75%RHにおける平衡水分吸着量は0.1%、疎水化度70%以上であり、極めて疎水性の高い板状シリカであることを確認した(表1参照)。
【0056】
(比較例1)
実施例1において、酸処理後の焼成(2段焼成)を行わなかったこと以外は実施例1と同様の処理を行った。
得られた粉末品の物性は、比表面積400m/g、75%RHにおける平衡水分吸着量は16%であり、高い吸湿性を示した。また、粉体の色調が若干赤味を帯びていることから、白色度は73と低かった(表1参照)。
【0057】
(比較例2)
実施例1において1段焼成温度を500℃に変えて行った以外は実施例1と同様の処理を行った。得られた粉末品の組成を表1に示す。
【0058】
(比較例3)
実施例1において2段焼成温度を500℃に変えて行った以外は実施例1と同様の処理を行った。得られた粉末品の組成を表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
(6)酸素透過性試験
(軟質PVCフィルム作製条件)
PVC100重量部に対し、可塑剤50重量部、安定剤1重量部、ガスバリア性付与剤を10重量部配合し十分に混合した後、ロール温度160℃で5分間混練を行った。混練後ロールクリアランスを調整し、約100μmのフィルムを作成した。
(酸素透過性試験条件)
JIS K 7126のプラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法に準じて測定した。
【0061】
(実施例3)
ガスバリア性付与剤に実施例1で得た非晶質板状シリカを用い、軟質PVCフィルムに練りこみ、酸素透過性を測定した。結果を表2に示す。
【0062】
(実施例4)
ガスバリア性付与剤に実施例2で得た非晶質板状シリカを用い、軟質PVCフィルムに練りこみ、酸素透過性を測定した。結果を表2に示す。
【0063】
(比較例4)
ガスバリア性付与剤を添加せず同様の条件でフィルムを作製し、酸素透過性を測定した。結果を表2に示す。
【0064】
(比較例5)
ガスバリア性付与剤に市販非晶質シリカ(水澤化学製ミズカシルP−73)を用い、同様の条件で練りこみ、酸素透過性を測定した。結果を表2に示す。
【0065】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】原料のカオリン、カオリンの焼成クリンカー及び実施例1で得た板状シリカのX線回折図を示す図である。
【図2】実施例1で得た板状シリカのSEM写真(倍率:10000倍)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カオリンに特有のX線回折像を有するアルミノケイ酸塩を使用し、該アルミノケイ酸塩を600乃至900℃で焼成し、得られた焼成物を酸処理して脱アルミニウムを行い、さらに600乃至1200℃で焼成を行うことを特徴とする非晶質板状シリカの製造方法。
【請求項2】
前記アルミノケイ酸塩として、2乃至10mmの粒径の造粒物を用いる請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
SiO2含量が90重量%以上で、Al2O3含量が3重量%以下であり、且つBET比表面積が50m/g以下、相対湿度75%での平衡水分吸着量が3%以下であり、体積換算でのメジアン径(D50)が0.2乃至10μmである非晶質板状シリカ。
【請求項4】
白色度が80以上である請求項3に記載の非晶質板状シリカ。
【請求項5】
シリコーンオイルで表面処理されている請求項3または4に記載の非晶質板状シリカ。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れかに記載の非晶質板状シリカからなる重合体用配合剤。
【請求項7】
請求項3乃至5の何れかに記載の非晶質板状シリカからなる塗料配合剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−84383(P2007−84383A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275240(P2005−275240)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000193601)水澤化学工業株式会社 (50)
【Fターム(参考)】