説明

非晶質球状珪酸アルミニウム、その製造方法および該珪酸アルミニウムを用いた製剤。

【課題】非晶質で形状が球状で、日本薬局法の合成珪酸アルミニウムの純度試験、乾燥減量、制酸力に適合する珪酸アルミニウムを、造粒工程を要せず製造できる製造方法を提供すること、および該非晶質珪酸アルミニウム粒子を核とした製剤を提供する。
【解決手段】珪酸アルミニウムの製造過程で反応時に、特定の組成比(Si:Al)、特定の温度、特定の反応液濃度(SiO+Al)、更に特定の反応方式により合成される平均粒子径が20〜50μmで粒度分布巾の狭い特性を有する珪酸アルミニウムを核剤として用いることで、目的とする合成珪酸アルミニウム製剤が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質で形状が球状である珪酸アルミニウム、および該珪酸アルミニウム粒子を有効成分とする核剤に関する。更に詳しくは、徐放剤や腸溶剤を製剤表面にコートした医療用薬剤または農薬等の農業用副資材等のための核剤及び該核剤を核とした製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
非晶質珪酸アルミニウムについては、樹脂の透明性を維持しながら難燃性を付与するのに適した珪酸アルミニウムが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、無定形球状珪酸アルミニウムとしては球状無定形アルミノ珪酸塩の連続製造法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、特許文献1に記載の珪酸アルミニウムはSiOとAlのモル比が0.5〜4であること、およびNaO含有量が1%以下であることより、本発明の珪酸アルミニウムとは異なるものである。
【0004】
また、特許文献2に記載の無定形球状珪酸アルミニウムはSiOとAlのモル比が2〜4であること、およびアルミニウム源がアルミン酸アルカリであることより、物質、製造方法共に、本発明の珪酸アルミニウムとは異なるものである。
【0005】
更に、従来、日本薬局法適合品として市販されている合成珪酸アルミニウムとしては、協和化学工業株式会社製合成珪酸アルミニウム(商品名:ケシフ)、同合成珪酸アルミニウム(商品名:シフ)が知られている。しかしながら、前記ケシフは粒子形状が不定形であり、平均粒径が12〜17μmであり、また、前記シフの粒子は球状に近いが、平均粒子径が12〜15μmであるのでこれらを核剤として造粒することは効率が悪く、コストが上昇する。
【0006】
従来、医薬用に使用されている球状粒子の核剤は、主に徐放性製剤や腸溶性製剤等の多層コート製剤に利用されている。従来の核剤には生成白糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、乳糖、糖アルコール、ビタミンC等を主な原料とした有機物系の球状粒子が主流である(特許文献3および特許文献4)。しかしながら、これらの前記有機物系核剤は原料が微粉末であるために、各種造粒機を用いて造粒後必要とする粒度に篩い分けする必要があり、収率及び有機物であるために高価なものとなっている。
【特許文献1】特開2000−272917号公報
【特許文献2】特開昭57−92515号公報
【特許文献3】特開昭61−213201号公報
【特許文献4】特開平5−229961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は非晶質で形状が球状で、第15改正日本薬局法の合成珪酸アルミニウム規格に適合する珪酸アルミニウムを、造粒工程を要せず製造できる製造方法を提供すること、および該非晶質珪酸アルミニウム粒子を核とした製剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、形状が球状で、第15改正日本薬局法に適合し、平均粒径が約35μmで更に粒度分布巾の狭い特性を有する珪酸アルミニウムを提供するために鋭意検討した。その結果、珪酸アルミニウムの製造過程で反応時に、特定の組成比(Si:Al)、特定の温度、特定の反応液濃度(SiO+Al)、更に特定の反応方式を用いることで、目的とする合成珪酸アルミニウム粒子が得られることを見出し本発明を完成した。
【0009】
また、かかる珪酸アルミニウム粒子を核として、遠心流動造粒装置あるいは流動層装置を用い徐放剤または腸溶剤等を均一にコートした球状の医薬用製剤および農業用副資材が得られることを見出し本発明を完成した。
【0010】
即ち本発明によれば、下記珪酸アルミニウム粒子およびその製造方法が提供される。
1.(1)下記式(化2)で表され、
【化2】

(式中、xは0.7≦x≦1.0、mは5.0≦m≦15.0、nは5.0≦n≦15.0)
(2)粉末X線回折法による結晶構造が非晶質であり、
(3)電子顕微鏡観察による形状が球状であり、
(4)第15改正日本薬局法合成ケイ酸アルミニウム規格に適合し、且つ、
(5)平均粒子径が20〜50μmであることを特徴とする、
珪酸アルミニウム粒子。
2.水溶性珪酸塩と水溶性アルミニウム塩とを、水溶性珪酸塩中の珪素原子と水溶性アルミニウム塩中のアルミニウム原子との比(Si/Al)が2.5〜6.5で、温度20〜90℃、pH3.8〜5.0、反応液濃度(SiO+Al)が70〜250g/L、さらに反応方式が連続反応である条件下で反応し、該反応液から珪酸アルミニウムを固液分離し、乾燥することからなる珪酸アルミニウムの製造方法。
3.水溶性珪酸塩が珪酸ナトリウムである上記(2)の珪酸アルミニウムの製造方法。
4.水溶性アルミニウム塩が硫酸アルミニウムである上記(2)の珪酸アルミニウムの製造方法。
5.前記(1)の珪酸アルミニウム粒子を核とした製剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明の珪酸アルミニウムは、形状が球状であり、第15改正日本薬局法合成ケイ酸アルミニウムの純度試験、乾燥減量、制酸力に適合品で、粒径が20〜50μmで、且つ分布巾が狭いので医薬用製剤の核剤として用いることができる。
また本発明によれば、上記珪酸アルミニウムを製造する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について具体的に説明する。
(珪酸アルミニウム)
本発明の珪酸アルミニウムは、前述したように下記式(化3)であらわされる。
【化3】

式(化3)中、x、m、nはそれぞれ下記範囲を満足する。
0.7≦x≦1.0、mは5.0≦m≦15.0、nは5.0≦n≦15.0
さらに、式化3中、x、m、nはそれぞれ0.8≦x≦1.0、7.0≦m≦12.0、
6.0≦n≦16.0であることが好ましい。
式化3のxを0.7より小さくするには、洗浄工程で硫酸等の酸により洗浄しなければならなくなり、コストが高くなり、また工程が複雑になることにより経済的に不利である。
xが1.0以上となれば液性(pH)が中性でなくなり第15改正日本薬局法不適品となる。
また、mが前記範囲を外れる珪酸アルミニウムは、形状が球状で、平均粒子径20〜50μmの珪酸アルミニウムを得ることができない。
また、nを5.0より小さくするには乾燥工程での熱エネルギーを多く必要とし経済的でない。nが20.0以上となれば乾燥減量値が20.0%以上となり第15改正日本薬局法不適品となる。
【0013】
(粒子形状)
形状としては真球状が好ましいが、短直径/長直径の比が1/1.7程度の球状のものでも良い。
【0014】
(結晶構造)
本発明の珪酸アルミニウムは、粉末X線回折法による結晶構造が非晶質である。すなわち、X線回折図において特定の面指数を示すピ−クが存在しない。
【0015】
(日本薬局法)
本発明の珪酸アルミニウムは、第15改正日本薬局法合成ケイ酸アルミニウムの規格に適合する。第十五改正日本薬局法の合成珪酸アルミニウム規格は下記の通りである。
(1)性状
・色→白色、形状→粉末、におい→なし、味→なし
・溶解性→水にほとんど溶けない。エタノール(95)にほとんど溶けない。NaOH溶液にわずかに不要分を残して溶ける。
(2)確認試験
・アルミニウム塩、ケイ酸塩→共に適合
(3)純度試験:
・液性→中性、塩化物→0.021%以下、硫酸塩→0.480%以下、重金属→30ppm以下、ヒ素→2ppm以下
(4)乾燥減量→20.0%以下
(5)制酸力→50.0mL以上
【0016】
(平均粒子径)
本発明の珪酸アルミニウムの平均粒径は、20〜50μmであり、好ましくは30〜50μmである。平均粒子径が20μm以下であると、医薬製剤の製造において不経済なものとなる。また、本発明の珪酸アルミニウムの粒径は反応工程(反応条件)で制御するものであり、本方法では平均粒径50μm以上の珪酸アルミニウムを得ることができない。
【0017】
(製造方法)
本発明の珪酸アルミニウムは以下の方法により製造することができる。
水溶性珪酸塩と水溶性アルミニウム塩とを、水溶性珪酸塩中の珪素原子と水溶性アルミニウム塩中のアルミニウム原子との比(Si/Al)が2.5〜6.5好ましくは3.5〜6.0、液温20〜90℃好ましくは40〜70℃、pH3.8〜5.0好ましくは4.0〜4.7、反応液濃度(SiO+Al)が70〜250g/L好ましくは100〜180g/L、さらに反応方式が連続反応である条件下で反応し、該反応液から珪酸アルミニウムを固液分離し、乾燥することにより本発明の非晶質球状珪酸アルミニウムを得ることができる。
【0018】
(製造方法の詳細)
水溶性アルミニウム塩としては、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等が挙げられる。水溶性珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウムなどの珪酸アルカリ金属塩が挙げられる。また、珪酸ナトリウムとして、珪酸ソーダー1号、2号、3号、4号またはメタ珪酸ソーダーが挙げられる。
水溶性珪酸塩と水溶性アルミニウム塩との比率は、水溶性珪酸塩中の珪素原子と水溶性アルミニウム塩中のアルミニウム原子との比率(Si/Al)が2.5〜6.5、好ましくは3.5〜6.0となるようにする。
【0019】
反応は、オーバーフロー付反応槽に一定量(槽容量の約20%相当)の水を投入し攪拌下に、水溶性珪酸塩水溶液と水溶性アルミニウム塩水溶液を一定の割合で注加する連続反応方式で行う。反応槽に、一定量の水溶性珪酸塩水溶液を投入し攪拌下に、一定量の水溶性アルミニウム塩水溶液を注加する方法、あるいは反応槽に一定量の水溶性アルミニウム塩水溶液を投入し攪拌下に、水溶性珪酸塩水溶液を投入する方法等のバッチ反応では目的とする球状珪酸アルミニウムを得ることができない。
反応液濃度(SiO+Al)は70〜250g/L、好ましくは100〜180g/Lである。反応液濃度が70g/L以下になると、得られる珪酸アルミニウムの粒子径が小さくなり目標とするケイ酸アルミニウムを得ることができない。反応液濃度が250g/L以上になると、反応液の粘度が高くなり通常の撹拌機では撹拌できなくなり、反応できなくなる。
【0020】
反応温度は、20〜90℃、好ましくは40〜70℃である。反応温度が、20℃以下になると得られる珪酸アルミニウムの粒子径が小さくなり、また、粒度分布巾の大きい珪酸アルミニウムとなり、目的とする球状珪酸アルミニウムが得られない。また、90℃以上の温度は熱エネルギーを多く必要とし経済的でない。
反応液のpHは3.8〜5.0、好ましくは4.0〜4.7である。反応液のpHが5.0を超えると、得られた珪酸アルミニウムに吸着されたNaO含有量が多くなり、液性が日本薬局法不適となる。逆に、反応pHが3.8未満になると、反応母液中に逃げるアルミニウムイオンが多くなり収率が悪くなる。従って、反応液のpHは前述の範囲内とすることが必要である。
固液分離、洗浄および乾燥は、得られた反応液をろ過→洗浄→脱水→乾燥させる。
【0021】
(核剤としての利用)
該珪酸アルミニウムは、球状で平均粒子径が20〜50μmと比較的小さく、更に粒度分布巾が狭くシャープであるので、カプセル剤等として利用するとき重量あたりの主薬量を多くすることができるので、従来の核剤よりも有利となる。更に、無機物であり水に溶けにくくまた安価に提供できるメリットがある。
【0022】
(実施例)
以下に実施例に基づき本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、珪酸アルミニウムの特性は以下の方法により測定した。
(1)NaO含有量:東京光電気株式会社製 炎光光度計ANA−135を用いてNa含有量を求め、NaO含有量に換算した。
(2)Al含有量:日本薬局方乾燥水酸化アルミニウム定量法に準じたが、試料を塩酸で溶解後、ろ過し、そのろ液について測定した。
(3)SiO含有量:日本薬局方無水珪酸の定量法に準じて測定した。
(4)HO含有量:試料を900℃で3時間焼成し、その灼熱減量から求めた。
(5)第15改正日本薬局法合成珪酸アルミニウムの規格:日本薬局法合成珪酸アルミニウムに準じて測定した。
(6)平均粒径:HORIBA社製 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910で測定した。
(7)粒子形状:走査型電子顕微鏡観察
(8)BET表面積:QUANTA CHROME社製NOVA2000を用いてBET法により測定した。
(9)粉末X線回折:理学電気(株)製RINT2200Vを用いてCu−Kαにて測定した。
【実施例1】
【0023】
オーバーフロー付容量500Lのステンレス製反応槽に、予め水道水を200L入れ攪拌下に、Si濃度2.57モル/Lの3号水珪酸ソーダー水溶液を10.55L/分およびAl濃度0.73モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液を6.11L/分の流速で、それぞれの定量ポンプを用いて同時に供給し5時間反応した。なお、珪酸ソーダー中の珪素原子と硫酸アルミニウム中のアルミニウム原子との比率は6.07、反応液濃度(SiO+Al)は111.3g/L、反応温度50℃±1℃で実施し、反応pHは4.2〜4.4、であった。後、得られた反応液をプレス機により固液分離し、ケーキを上水で十分に洗浄した。脱水後、トンネル式バンド乾燥機で乾燥し、ハンマーミルで粉砕することによって非晶質球状珪酸アルミニウム粒子を得た。得られた珪酸アルミニウムの特性を表1に示す。
【実施例2】
【0024】
オーバーフロー付容量500Lのステンレス製反応槽に、予め水道水を200L入れ攪拌下に、Si濃度2.5モル/Lの2号水珪酸ソーダー水溶液を12.43L/分およびAl濃度1.56モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液を4.16L/分の流速で、それぞれの定量ポンプを用いて同時に供給し5時間反応した。なお、珪酸ソーダー中の珪素原子と硫酸アルミニウム中のアルミニウム原子との比率は4.79、反応液濃度(SiO+Al)は132g/L、反応温度70℃±2℃で実施し、反応pHは4.3〜4.5であった。
この後の操作は、実施例1と同じとした。得られた珪酸アルミニウムの特性を表1に示す。
【実施例3】
【0025】
オーバーフロー付容量500Lのステンレス製反応槽に、予め水道水を200L入れ攪拌下に、Si濃度3.39モル/Lの1号水珪酸ソーダー水溶液を11.89L/分およびAl濃度2.17モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液を4.66L/分の流速で、それぞれの定量ポンプを用いて同時に供給し5時間反応した。なお、珪酸ソーダー中の珪素原子と硫酸アルミニウム中のアルミニウム原子との比率は3.98、反応液濃度(SiO+Al)は177g/L、反応温度40℃±1℃で実施し、反応pHは4.5〜4.7であった。
この後の操作は、実施例1と同じとした。得られた珪酸アルミニウムの特性を表1に、また走査型電子顕微鏡写真を図1示す。
【実施例4】
【0026】
オーバーフロー付容量500Lのステンレス製反応槽に、予め水道水を200L入れ攪拌下に、Si濃度3.0モル/Lの4号水珪酸ソーダー水溶液を10.36L/分の流速、Al濃度1.0モル/Lの硫酸アルミニウム水溶液を6.23L/分の流速、さらに反応pH制御のために3.33モル/L水酸化ナトリウム水溶液を2.27L/分の流速で、それぞれの定量ポンプを用いて同時に供給し5時間反応した。なお、珪酸ソーダー中の珪素原子と硫酸アルミニウム中のアルミニウム原子との比率は4.98、反応液濃度(SiO+Al)は115.7g/L、反応温度は50℃±1℃で実施し、反応pHを4.0〜4.2で反応した。
この後の操作は、実施例1と同じとした。得られた珪酸アルミニウムの特性を表1に示す。
【実施例5】
【0027】
(比較例1)
実施例3において、反応温度を15℃とした以外は実施例3と同様とした。得られた珪酸アルミニウムの特性を表1に示す。
【実施例6】
【0028】
(比較例2)
実施例3において、濃度1モル/Lの水酸化ナトリム水溶液で反応pHを6.5とした以外は実施例3と同様とした。得られた珪酸アルミニウムの特性を表1に示す。
【実施例7】
【0029】
(参考例1)
本発明の非晶質球状珪酸アルミニウム粒子との比較のために、従来の非晶質珪酸アルミニウム粒子(協和化学工業株式会社製、商品名:ケシフ)の物性値を表1に示す。
【実施例8】
【0030】
(参考例2)
本発明の非晶質球状珪酸アルミニウム粒子との比較のために、従来の非晶質珪酸アルミニウム粒子(協和化学工業株式会社製、商品名:シフ)の物性値を表1、走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。




































【0031】
【表1】

【実施例9】
【0032】
実施例1〜4で得られたそれぞれの非晶質球状珪酸アルミニウム粒子および実施例5(比較例1)で得られた非晶質球状珪酸アルミニウムを20〜50μmで篩い分けし、転動流動コーティング装置(マルチプレックス MP−25((株)パウレック製))のロータ上に該核剤を25kg仕込み、回転させながら該粒子を核として、日本薬局方適合のアスピリン500g、乳糖1.5Kg、コーンスターチ500gおよび精製水2.5Kgの混合物液を薬剤性分として散布して、製剤化を行った。続いて、表面コート剤として徐放性を付与させるためにヒドロキシエチルセルロースの10%精製水溶液10Kgを同一条件で噴霧して被覆処理を行った。(実験例1〜5)
表2に操作条件および結果を示す。ただし、表中の粒子サイズはJIS篩過網にて評価した。


























【0033】
【表2】













【0034】
表1、図1から明らかなように、本発明の非晶質球状珪酸アルミニウム粒子は目的とする粒度の収率が比較的高く、また走査型電子顕微鏡写真から明らかなように粒子形状が球状であるのに対して、従来の非晶質球状珪酸アルミニウム粒子は目的とする粒度の収率が非常に悪く、また、図2の走査型電子顕微鏡写真から明らかなように粒子形状が不定形であることより、製剤用核剤としての利用は不可能に近いものである。
表2から実施例5(比較例1)で得られた球状製剤品は、本発明の非晶質球状珪酸アルミニウム粒子を用いた製剤品に比較して目的とする粒度の収率が悪く、表1の核剤としての目的とする粒度の収率が悪いことを合わせれば、本発明の珪酸アルミニウムに比較して大きくコストアップとなり不利であることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例3に係る非晶質珪酸アルミニウム粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例8に係る非晶質珪酸アルミニウム粒子の走査型電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1) 下記式(化1)で表され、
【化1】

(式中、xは0.7≦x≦1.0、mは5.0≦m≦15.0、nは5.0≦n≦15.0)
(2)粉末X線回折法による結晶構造が非晶質であり、
(3)電子顕微鏡観察による形状が球状であり、
(4)第15改正日本薬局法合成ケイ酸アルミニウム規格に適合し、且つ、
(5)平均粒子径が20〜50μmであることを特徴とする、
珪酸アルミニウム粒子。
【請求項2】
水溶性珪酸塩と水溶性アルミニウム塩とを、水溶性珪酸塩中の珪素原子と水溶性アルミニウム塩中のアルミニウム原子との比(Si/Al)が2.5〜6.5で、液温20〜90℃、pH3.8〜5.0、反応液濃度(SiO+Al)が70〜250g/L、さらに反応方式が連続反応である条件下で反応し、該反応液から珪酸アルミニウムを固液分離し、乾燥することからなる非晶質球状珪酸アルミニウムの製造方法。
【請求項3】
水溶性珪酸塩が珪酸ナトリウムである請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
水溶性アルミニウム塩が硫酸アルミニウムである請求項2記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の珪酸アルミニウム粒子を核剤とした製剤。














【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−51715(P2009−51715A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222496(P2007−222496)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000162489)協和化学工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】