非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板上に成長させられる素子
非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上の(Ga、Al、In、B)N薄膜の成長形態を改良する方法であって、(Ga、Al、In、B)N薄膜は、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板あるいはテンプレート上に直接成長させられ、成長の際に使用されるキャリアガスの一部は、不活性ガスから構成される。非極性または半極性の窒化物LEDおよびダイオードレーザは、本発明によって成長させられる平滑(Ga、Al、In、B)N薄膜上に成長させられてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、同時係属で共通譲受人の下記の出願;
Robert M.Farrell、Michael Iza、James S.Speck、Steven P.DenBaars、およびShuji Nakamuraによる米国仮特許出願第61/156,710号(名称「METHOD OF IMPROVING SURFACE MORPHOLOGY OF (Ga,Al,In,B)N THIN FILMS AND DEVICES GROWN ON NONPOLAR OR SEMIPOLAR (Ga,Al,In,B)N SUBSTRATES」、2009年3月2日出願、代理人整理番号第30794.306−US−P1(2009−429−1)号);および
Robert M.Farrell、Michael Iza、James S.Speck、Steven P.DenBaars、およびShuji Nakamuraによる米国仮特許出願第61/184,535号(名称「METHOD OF IMPROVING SURFACE MORPHOLOGY OF (Ga,Al,In,B)N THIN FILMS AND DEVICES GROWN ON NONPOLAR OR SEMIPOLAR (Ga,Al,In,B)N SUBSTRATES」、2009年6月5日出願、代理人整理番号第0794.306−US−P2 (2009−429−2)号);
の米国特許法第119条第(e)項の利益を主張し、これらの出願は、本明細書に参考として援用される。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、半導体材料、方法、および素子に関し、より具体的には、非極性または半極性の窒化物発光ダイオード(LED)およびダイオードレーザの成長に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の説明)
(注:本願は、明細書の全体を通して示されるように、角括弧内の1つ以上の参照番号、例えば[Ref(s).x]によって多数の異なる刊行物を参照する。これらの参照番号による順序で示されるこれらの異なる刊行物の一覧は、以下の「参考文献」という表題の項に見出すことができる。これらの刊行物のそれぞれは、参照することによって本明細書に組み込まれる。)
窒化ガリウム(GaN)および(Ga、Al、In、B)N合金の有用性は、可視光および紫外線光電子素子ならびに高出力電子素子の加工に対して確立されている。最先端の窒化物薄膜、ヘテロ構造、および素子は、[0001]軸に沿って成長させられる。そのような膜の全分極は、自発および圧電分極寄与から構成され、その両方とも、図1(a)に例示されるように、ウルツ鉱窒化物結晶構造102の単極性[0001]軸100から生じる。窒化物ヘテロ構造が、疑似形態的に成長させられる場合、分極断絶が、表面(例えば、図1(a)に示される、c−面表面104)および結晶102内の界面に形成される。これらの断絶は、表面および界面におけるキャリアの蓄積または枯渇につながり、順に、電場を引き起こす。これらの分極誘導電場の方位は、窒化物薄膜およびヘテロ構造の典型的[0001]成長方向と一致するため、これらの場は、窒化物素子のエネルギーバンドを「傾動」させる効果を有する。
【0004】
c−面ウルツ鉱窒化物量子井戸では、「傾動された」エネルギーバンドは、図1(b)に例示されるように、電子波動関数106および正孔波動関数108を空間的に分離する。本空間電荷分離は、放射遷移の振動子強度を低減させ、放出波長を赤方偏移させる。これらの効果は、量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)の現れであって、窒化物量子井戸に関して、徹底的に分析されている[参考文献5−8(非特許文献1−4)]。加えて、大規模分極誘導電場は、ドーパントおよび注入されたキャリアによって、部分的に遮蔽される可能性があり[参考文献9、10(非特許文献5、6)]、放出特性を正確に設計することを困難にする。
【0005】
さらに、疑似形態的の二軸性歪みは、c−面ウルツ鉱窒化物量子井戸内における有効正孔質量の減少にほとんど影響を及ぼさないことが理論的に予測されている[参考文献11(非特許文献7)]。これは、典型的III−V閃亜鉛鉱型InP−系およびGaAs−系量子井戸と全く対照的であって、重正孔および軽正孔バンドの異方性歪み誘導分裂が、有効正孔質量の大幅な減少につながる。有効正孔質量の減少は、典型的III−V閃亜鉛鉱型InP−およびGaAs−系量子井戸内の任意の所与のキャリア密度に対する擬フェルミ準位分離の大幅な増加につながる。擬フェルミ準位分離の本増加の直接的結果として、遥かに小さいキャリア密度が、光学利得を発生させるために必要とされる[参考文献12(非特許文献8)]。しかしながら、ウルツ鉱窒化物結晶構造の場合、二軸性歪みc−面窒化物量子井戸における窒素原子の六方対称かつ小スピン軌道結合は、重正孔および軽正孔バンドのごくわずかな分裂をもたらす[参考文献11(特許文献7)]。したがって、有効正孔質量は、二軸性歪みc−面窒化物量子井戸内の有効電子質量より遥かに大きいまま、非常に高電流の密度が、c−面窒化物ダイオードレーザにおいて光学利得を発生させるために必要とされる。
【0006】
窒化物素子内の分極効果を低下させるアプローチの1つは、結晶の非極性面上の素子を成長させることである。これらは、集合的にa−面として知られる{11−20}面と、集合的にm−面として知られる{10−10}面とを含む。そのような面は、面当たり等しい数のガリウムおよび窒素原子を含有し、電荷中性である。後続非極性層は、相互に同等であって、したがって、バルク結晶は、成長方向に沿って分極されないであろう。
【0007】
窒化物素子内の分極効果および有効正孔質量を減少させる別のアプローチは、結晶の半極性面上の素子を成長させることである。「半極性面」という用語は、c−面、a−面、またはm−面として分類することができない、あらゆる面を指すために使用可能である。結晶学用語において、半極性面とは、少なくとも2つの非ゼロのh、i、kミラー指数、および非ゼロのlミラー係数である。後続非極性層は、相互に同等であって、したがって、バルク結晶は、成長方向に沿って、分極低下を有するであろう。
【0008】
歪みc−面InxGa1−xN量子井戸と異なり、歪み非極性または半極性InxGa1−xN量子井戸は、重正孔および軽正孔バンドの異方性分裂を呈し、そのような構造に対する有効正孔質量の減少につながることが予測されている[参考文献13(非特許文献9)]。圧縮歪みInxGa1−xN量子井戸に対する多体光学利得の自己無撞着計算は、ピーク利得が、有効正孔質量および正味量子井戸分極に非常に敏感であって、ピーク利得は、一般的成長方位とc−軸との間の角度の増加に伴って、劇的に上昇し、c−軸に垂直な成長方位(すなわち、非極性面上)に対して、最大値に達することを示唆する[参考文献14、15(非特許文献10、11)]。
【0009】
最後に、市販のc−面窒化物LEDは、その電界発光において、いかなる程度の光分極も呈さない。一方、非極性または半極性窒化物LEDは、その電界発光において、強力な光分極を実証している[参考文献16−18(非特許文献12−14)]。本光分極は、圧縮歪み非極性または半極性InxGa1−xN量子井戸内の重正孔および軽正孔バンドの異方性歪み誘導分裂に起因し、異なる光学マトリクス要素の規模において、大幅な相違につながり得る。
【0010】
しかしながら、最先端の非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板は、独特な表面形態を呈する[参考文献2−4(非特許文献15−17)]。
【0011】
図2(a)−(c)は、[参考文献2(非特許文献15)]から抜粋されたものであって、図2(a)および図2(b)は、m−面n型GaN膜およびm−面LED構造の上面を示す、Nomarski光学顕微鏡写真であって、それぞれ、ピラミッド形小丘200を示しており、図2(c)は、高さh、幅w、および長さlを有するピラミッド形小丘200の断面を示す、概略図であって、m−面GaN膜は、公称上の軸上m−面GaN基板上に成長させられる。
【0012】
図3(a)−(g)もまた、[参考文献2(非特許文献15)]から抜粋されたものであって、図3(a)は、4つのピラミッド面(2つのa−傾斜面a1およびa2と、2つのc−傾斜面c+およびc−)を示す、10×10μm2面積にわたるn型GaN膜の振幅像を示し、ピラミッドの勾配角度は、a−傾斜ピラミッド面に対して0.1°であって、c−傾斜面に対して0.5°−0.6°であって、図3(b)は、m−面LED構造の振幅像であって、図3(c)−(f)は、それぞれ、図3(b)におけるLED構造のc−、a1、a2、およびc+傾斜面に対する高さ像であって、図3(g)は、微視的ピラミッドによって装飾されたa−およびc+傾斜小丘面を示す概略図である(図3(d)、(e)、および(f)における小丘の平面図ならびに断面図)。
【0013】
図4(a)−(b)もまた、[参考文献2(特許文献15)]から抜粋されたものであって、異なるミスカット方向およびミスカット角度を伴って、軸外基板上に成長させられたm−面GaN膜の一連のNomarksi光学顕微鏡写真を示し、図4(a)では、a−ミスカット角度は、0.1°ずつ0°乃至0.35°と0.52°に及び(左から右に)、図4(b)では、c−ミスカット角度は、それぞれ、左から右に0.01°、0.45°、5.4°、および9.7°である。
【0014】
図5は、[参考文献3(非特許文献16)]から抜粋されたものであって、光学微分干渉顕微鏡によって観察された、レーザ構造のエピタキシャル成長後のm−面GaN基板の表面形態を示す。
【0015】
図6(a)−(b)は、[参考文献4(非特許文献17)]から抜粋されたものであって、図6(a)および図6(b)は、それぞれ、<0001>方向に向かって、方位0.2°および2.2°を伴う、オフ角基板上に成長させられたm−面GaNのNomarski光学顕微鏡写真である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】T.Takeuchi,S.Sota,M.Katsuragawa,M.Komori,H.Takeuchi,H.Amano,and I.Akasaki,Jpn.J.Appl.Phys.,36,L382(1997).
【非特許文献2】P.Lefebvre,A.Morel,M.Gallart,T.Taliercio,J.Allegre,B.Gil,H.Mathieu,B.Damilano,N.Grandjean,and J.Massies,Appl.Phys.Lett.,78,1252(2001).
【非特許文献3】N.Grandjean,B.Damilano,S.Dalmasso,M.Leroux,M.Laugt,and J.Massies,J.Appl.Phys.,86,3714(1999).
【非特許文献4】J.S.Im,H.Kollmer,J.Off,A.Sohmer,F.Scholz,and A.Hangleiter,Phys.Rev.B,57,R9435(1998).
【非特許文献5】A.Di Carlo,F.Della Sala,P.Lugli,V.Fiorentini,and F.Bernardini,Appl.Phys.Lett.,76,3950(2000).
【非特許文献6】F.Della Sala,A.Di Carlo,P.Lugli,F.Bernardini,V.Fiorentini,R.Scholz,and J.M.Jancu,Appl.Phys.Lett.,74,2002(1999).
【非特許文献7】M.Suzuki and T.Uenoyama,Jpn.J.Appl.Phys.,35,1420(1996).
【非特許文献8】E.Yablonovitch and E.O.Kane,J.Lightwave Tech.,4,504(1986).
【非特許文献9】S.H.Park,J.Appl.Phys.,91,9904(2002).
【非特許文献10】S.H.Park,Jpn.J.Appl.Phys,42,L170(2003).
【非特許文献11】S.H.Park,J.Appl.Phys.,93,9665(2003).
【非特許文献12】N.F.Gardner,J.C.Kim,J.J.Wierer,Y.C.Shen,and M.R.Krames,Appl.Phys. Lett.,86,111101(2005).
【非特許文献13】H.Masui,A.Chakraborty,B.A.Haskell,U.K.Mishra,J.S.Speck,S.Nakamura,S.P.Denbaars,Jpn.J.Appl.Phys,44,L1329(2005).
【非特許文献14】T.Koyama,T.Onuma,H.Masui,A.Chakraborty,B.A.Haskell,S.Keller,U.K.Mishra,J.S.Speck,S.Nakamura,S.P.Denbaars,T.Sota,S.F.Chichibu,Appl.Phys.Lett.,89,091906(2006).
【非特許文献15】A.Hirai,Z.Jia,M.C.Schmidt,R.M.Farrell,S.P.DenBaars,S.Nakamura,J.S.Speck,K.Fujito,Appl.Phys.Lett.,91,191906(2007).
【非特許文献16】Y.Tsuda,M.Ohta,P.O.Vaccaro,S.Ito,S.Hirukawa,Y.Kawaguchi,Y.Fujishiro,Y.Takahira,Y.Ueta,T.Takakura,and T.Yuasa,Appl.Phys.Express,1,011104(2008).
【非特許文献17】K.Okamoto,H.Ohta,D.Nakagawa,M.Sonobe,J.Ichihara,and H.Takasu,Jpn.J.Appl.Phys.,45,L1197(2006).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
より平滑な非極性および半極性膜を提供する必要性が存在する。本発明は、この必要性を充足する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板上における(Ga、Al、In、B)N薄膜の表面形態を改良するための方法について説明する。得られた平滑(Ga、Al、In、B)N薄膜は、高性能の非極性または半極性の窒化物LEDおよびダイオードレーザの成長のためのテンプレートとしての役割を果たすことが可能である。有機金属化学気相成長法(MOCVD)および水素化物気相エピタキシ法(HVPE)等の一般的気相エピタキシ法を使用して、(Ga、Al、In、B)N薄膜を成長させることが可能である。しかしながら、本発明は、任意の他の好適な気相成長法による(Ga、Al、In、B)N薄膜成長にも、同等に適用可能である。
【0019】
非極性または半極性の窒化物薄膜およびヘテロ構造の成長は、分極効果を低下させ、ウルツ鉱窒化物素子構造内の有効正孔質量を減少させる手段をもたらす。用語「窒化物」、「(Ga、Al、In、B)N」、または「III−窒化物」とは、式GawAlxInyBzN(式中、0≦w≦1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびw+x+y+z=1)を有する(Ga、Al、In、B)N半導体の任意の合金組成を指す。現在市販のLEDおよびダイオードレーザは、極性[0001]c−方向に沿って成長させられる。付随する分極誘導電場および本質的に大きい有効正孔質量は、最先端の窒化物LEDおよびダイオードレーザの性能に悪影響をもたらす。非極性または半極性面上におけるこれらの素子の成長は、分極誘導電場を低減させ、有効正孔質量を減少させることによって、素子性能を大幅に改良可能である。
【0020】
サファイア上におけるc−面(Ga、Al、In、B)Nの高温成長の場合、大部分のグループが、キャリアガスとして100%H2の使用を報告している。典型的成長条件下では、キャリアガスとしての100%H2の使用は、c−面(Ga、Al、In、B)Nエピタキシャル層に最小転位密度および最平滑エピタキシャル表面をもたらす[参考文献1]。しかしながら、典型的c−面(Ga、Al、In、B)N成長条件が、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板上における(Ga、Al、In、B)Nの再成長のために使用される場合、独特な表面形態が、生じ得る[参考文献2−4]。
【0021】
本発明は、N2等の不活性キャリアガスを使用することによって、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板上の(Ga、Al、In、B)N薄膜の成長形態を改良するための方法について説明する。例えば、本発明は、[参考文献2−4]で成長させられた膜と比較して、非極性および半極性膜の表面平滑度を改良可能である。
【0022】
改良された表面形態は、非極性または半極性窒化物素子製造業者に対して、所与の素子内の個々の層の厚さ、組成、ドーピング、電気特性、および発光特性における、より優れた均一性を含むが、それらに限定されない、いくつかの利点をもたらし得る。さらに、平滑表面は、特に、非極性または半極性窒化物レーザダイオードに有益であって、光散乱損失の大幅な減少につながり得る。
【0023】
したがって、上述の先行技術における制限を克服するために、かつ本明細書の熟読および理解に応じて明白となるであろう他の制限を克服するために、本発明は、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板あるいはテンプレート上に(Ga、Al、In、B)N薄膜を直接成長させるステップと、成長ステップの際、キャリアガスを使用するステップと、を備え、キャリアガスの少なくとも一部は、不活性ガスから成る、(Ga、Al、In、B)N薄膜を加工するための方法を開示する。
【0024】
さらに、本方法は、基板またはテンプレートに、低指数の結晶方位から外れたミスカットを提供するステップを備えてもよい。例えば、基板またはテンプレートは、m−面基板あるいはテンプレートであってもよく、ミスカットは、[000−1]方向に向かって、0.75°乃至1.50°のミスカット角度を有してもよく、(Ga、Al、In、B)N膜は、ミスカットの表面上に成長させられてもよい。
【0025】
不活性ガスは、窒素(N2)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、またはキセノン(Xe)のうちの1つ以上から成ってもよい。例えば、キャリアガスの一部または100%が、不活性ガスであってもよい。
【0026】
1つ以上の素子層が、膜の上面に析出されてもよく、素子層は、H2および/またはN2から成る、キャリアガスの少なくとも一部(または、100%)によって、成長させられてもよい。1つ以上の素子層は、素子の1つ以上のp型ドープ層を備えてもよく、p型ドープ層は、H2から成る、キャリアガスの少なくとも一部(または、100%)によって、成長させられてもよい。
【0027】
さらに、本発明は、非極性または半極性の面であって、平面かつ光学的平滑領域を有することによって、領域が、光学顕微鏡を使用して、400ナノメートル乃至600ナノメートルの光波長を用いて測定される場合、識別可能な非平面表面起伏または特徴が無い、上面を備え、領域が、上面の領域上に1つ以上の素子層のエピタキシャル析出のための基板として使用するために十分に大きく、素子層が、20ミリアンペア(mA)駆動電流時、少なくとも2ミリワットの出力パワーを有する光を発する、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N膜を開示する。
【0028】
領域は、ストライエーションが無くてもよい。
【0029】
領域は、例えば、少なくとも100平方マイクロメートルであってもよい。上面は、100平方マイクロメートルの面積にわたって、上面におけるGa、Al、In、B、およびN原子の直径程度の表面粗度を伴って、原子的に平滑であってもよい。上面は、100平方マイクロメートルの面積にわたって、0.5または0.25ナノメートル(nm)未満の二乗平均平方根(RMS)を伴う、表面粗度を有してもよい。
【0030】
上面は、図2(a)、2(b)、3(a)−3(f)、4(a)−4(b)、5、6(a)、6(b)、7(a)−7(c)、8(a)−8(c)、または9(d)−9(f)に示される上面より平滑かつより平面であってもよい。上面は、密度8.4×102cm−2または1.1×106cm−2、サイズ10マイクロメートル、および/または勾配角度0.1°を有する、ピラミッド形小丘で特徴付けられた表面よりも平滑であってもよい。上面は、図7(d)−7(f)、8(d)−8(f)、または9(a)−9(c)に示される表面と少なくとも同程度平滑の平滑度あるいは表面粗度を有してもよい。
【0031】
膜は、m−面基板の表面上に析出されてもよく、m−面基板の表面は、[000−1]方向に向かって、0.75°乃至1.50°のミスカット角度を伴う、ミスカットであってもよい。
【0032】
膜は、m−面GaN膜であってもよく、上面は、m−面GaN膜のm−面であってもよい。上面の表面平滑度または粗度は、典型的には、そのまま成長させられる。素子層の上面は、膜の上面と少なくとも同程度平滑であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下、同じ参照符号が対応する要素を示す、複数の図面を参照する。
【図1】図1(a)は、ウルツ鉱窒化物結晶構造の概略図であって、図1(b)は、分極誘導電場による圧縮歪みInxGa1−xN量子井戸内のバンド屈曲の概略図であって、Ecは、伝導バンドであって、Evは、価電子バンドである。
【図2】図2(a)−2(c)、3(a)−3(g)、4(a)−4(b)、5および6(a)−6(b)は、[参考文献2−4]において加工されたGaN膜およびLED構造の表面形態の画像である。
【図3】図2(a)−2(c)、3(a)−3(g)、4(a)−4(b)、5および6(a)−6(b)は、[参考文献2−4]において加工されたGaN膜およびLED構造の表面形態の画像である。
【図4】図2(a)−2(c)、3(a)−3(g)、4(a)−4(b)、5および6(a)−6(b)は、[参考文献2−4]において加工されたGaN膜およびLED構造の表面形態の画像である。
【図5】図2(a)−2(c)、3(a)−3(g)、4(a)−4(b)、5および6(a)−6(b)は、[参考文献2−4]において加工されたGaN膜およびLED構造の表面形態の画像である。
【図6】図2(a)−2(c)、3(a)−3(g)、4(a)−4(b)、5および6(a)−6(b)は、[参考文献2−4]において加工されたGaN膜およびLED構造の表面形態の画像である。
【図7】図7(a)−7(f)および8(a)−8(f)は、キャリアガスの効果と、自立型m−面GaN基板上に成長させられたGaN薄膜の表面形態上のミスカット角度を例示する、光学顕微鏡写真(縮尺:125マイクロメートル(μm))を備え、図7(a)−7(c)および図8(a)−8(c)は、H2キャリアガスによって加工され、図7(d)−7(f)および図8(d)−8(f)は、N2キャリアガスによって加工され、図7(a)および7(d)は、−0.05°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図7(b)および7(e)は、0.45°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図7(c)および7(f)は、0.61°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図8(a)および8(d)は、1.03°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図8(b)および8(e)は、1.88°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図8(c)および8(f)は、2.30°ミスカットを伴う、基板上に加工され、すべてのミスカットは、[000−1]方向に向かう。
【図8】図7(a)−7(f)および8(a)−8(f)は、キャリアガスの効果と、自立型m−面GaN基板上に成長させられたGaN薄膜の表面形態上のミスカット角度を例示する、光学顕微鏡写真(縮尺:125マイクロメートル(μm))を備え、図7(a)−7(c)および図8(a)−8(c)は、H2キャリアガスによって加工され、図7(d)−7(f)および図8(d)−8(f)は、N2キャリアガスによって加工され、図7(a)および7(d)は、−0.05°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図7(b)および7(e)は、0.45°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図7(c)および7(f)は、0.61°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図8(a)および8(d)は、1.03°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図8(b)および8(e)は、1.88°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図8(c)および8(f)は、2.30°ミスカットを伴う、基板上に加工され、すべてのミスカットは、[000−1]方向に向かう。
【図9】図9(a)−9(f)は、原子準位表面形態上の[000−1]ミスカットの効果を例示する、10μm×10μm原子間力顕微鏡(AFM)スキャンを備え、矢印は、<0001>方向を示し、図9(a)−9(f)におけるミスカット角度は、それぞれ、[000−1]に向かって、−0.06°、0.45°、0.89°1.88°、2.30°、および3.24°であって、図9(a)−9(f)におけるRMS粗度は、それぞれ、0.134nm、0.176nm、0.221nm、0.620nm、0.625nm、および1.665nmである。
【図10】図10は、[000−1]ミスカット角度(度)(すなわち、[000−1]方向に向かうミスカット)の関数として、RMS粗度(nm)を示し、10マイクロメートル(μm)スキャン面積に対して、ピラミッド形小丘(四角形)、原子的平坦表面(円形)、および側方ストライエーション(菱形)をもたす、ミスカット角度を示し、各データ点は、3回のスキャンの平均である。
【図11】図11は、本発明によるLED素子構造の断面概略図である。
【図12】図12は、300μm×300μmサイズLEDに対して、[000−1]ミスカット角度(度)(すなわち、[000−1]方向に向かうミスカット)の関数として、出力パワー(ミリワット、mW)を示す、グラフであって、データは、20mA駆動電流で収集され、各データ点は、3つのデータ点の平均である。
【図13】図13は、300μm×300μmサイズLEDに対して、[000−1]ミスカット(すなわち、[000−1]方向に向かうミスカット)の関数として、電界発光(EL)ピーク波長(nm)を示す、グラフであって、データは、20mA駆動電流で収集され、各データ点は、3つのデータ点の平均である。
【図14】図14は、300μm×300μmサイズLEDに対して、[000−1]ミスカット(すなわち、[000−1]方向に向かうミスカット)の関数として、EL半値全幅(FWHM)(nm)を示す、グラフであって、データは、20mA駆動電流で収集され、各データ点は、3つのデータ点の平均である。
【図15】図15は、[000−1]ミスカット(すなわち、[000−1]方向に向かうミスカット)の関数として、順電圧(V)を示すグラフである。
【図16】図16は、本発明の方法を例示する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の発明を実施するための形態において、本明細書の一部を形成し、かつ本発明が実施され得る特定の実施形態を例示目的で示す添付図面を参照する。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が用いられてもよく、また、構造的な変更が行われてもよいことを理解されたい。
【0035】
(概要)
非極性または半極性の窒化物LEDおよびダイオードレーザの実現は、窒化物LEDおよびダイオードレーザの製造可能性における多数の進歩を可能にする。非極性または半極性面上での窒化物LEDおよびダイオードレーザの成長は、重正孔および軽正孔バンドの異方性歪み誘導分裂を介して分極誘導電場を低減させ、有効正孔質量を減少させることによって、素子性能を大幅に改良することが可能である。分極誘導電場を低減させることによって、窒化物LEDにおける放射効率を増加させることが可能である。同様に、分極誘導電場を低減させ、有効正孔質量を減少させることによって、窒化物ダイオードレーザ内で光学利得を発生させるために必要な電流密度を低下させることが可能である。これは、窒化物LEDおよびダイオードレーザ内の加熱の大幅な低減につながり、素子製造業者にとって、より長い素子寿命およびより高い生産収率をもたらすことが可能となる。
【0036】
しかしながら、典型的には、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上に成長させられる(Ga、Al、In、B)N薄膜に対して観察される独特な表面形態によって[参考文献2−4]、素子製造業者が、非極性または半極性の窒化物素子の期待される利点を実現することは困難であろう。本発明は、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上の(Ga、Al、In、B)N薄膜の表面形態を改良するための方法について説明する。改良された表面形態は、非極性または半極性の窒化物素子製造業者にとって、所与の素子内の個々の層の厚さ、組成、ドーピング、電気特性、および発光特性のより優れた均一性を含むが、それらに限定されないいくつかの利点につながり得る。したがって、本発明は、非極性または半極性の窒化物LEDおよびダイオードレーザの上述の効果の実現を可能にする。
【0037】
本発明の目的は、改良された製造可能性および高性能を有する窒化物LEDおよびダイオードレーザを生成することである。提案される素子は、種々の商業、産業、または科学用途のための光源として使用されるであろう。これらの非極性または半極性の窒化物LEDおよびダイオードレーザは、c−面窒化物LEDおよびダイオードレーザと同一用途における可用性を見出されることが期待され得る。これらの用途として、固体投写型ディスプレイ、高解像度プリンタ、高密度光学データ記憶システム、次世代DVDプレーヤ、高効率固体照明、光感知用途、および医療用途が挙げられる。
【0038】
(技術説明)
本発明は、不活性キャリアガスを使用することによって、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上の(Ga、Al、In、B)N薄膜および素子の成長形態を改良する方法について説明する。本発明は、Mitsubishi Chemical Co.,Ltd.製自立型m−面GaN基板上にMOCVDによって成長させられたGaN薄膜および素子について、これらの効果を実験的に実証したものである。これらの基板は、HVPEによってc−方向に成長させられ、次いで、m−面表面を曝露するようにスライスされた。m−面表面は、化学的および機械的な表面処理法によって調製された。基板は、貫通転位密度5×106cm−2未満、キャリア濃度約1×1017cm−3、およびRMS表面粗度1nm未満を有する(製造業者によって測定)。
【0039】
キャリアガスの変化以外、MOCVD成長条件は、一般的には、c−面(Ga、Al、In、B)N薄膜に対して使用されたものに非常に類似していた。すべてのMOCVD成長は、気圧(AP)、典型的なV/III比(>3000)、および典型的な成長温度(>1000°C)で行われた。トリメチルガリウム(TMGa)、アンモニア(NH3)、およびシラン(SiH4)が、それぞれGa、N、およびSi前駆体として使用された。表面形態上のキャリアガスの効果を判定するために、2つのGaNテンプレート成長が、異なるキャリアガスによって行われた。両成長に対して、[000−1]方向におけるある範囲の意図的ミスカットを有するいくつかの自立型m−面基板が、同時に、MOCVDリアクタ内に装填された。NH3およびキャリアガスから成る大気中において、試料を成長温度まで上昇させた後、約10μm厚のSiドープGaN薄膜が、自立型m−面GaN基板の上部に成長させられた。GaN薄膜は、低温GaN核生成層を使用せず、自立型m−面GaN基板の上部に直接高温で成長させられた。成長の過程において、すべてのキャリアガスおよび前駆体は、一定の流量に保持された。最後に、GaN薄膜の成長の終わりに、NH3およびN2から成る環境内において、試料を室温まで低下させた。
【0040】
図7(a)−7(f)および8(a)−8(f)は、それぞれ、自立型m−面GaN基板上に成長させられたGaN薄膜の表面形態700a、700b、700c、700d、700e、700f、800a、800b、800c、800d、800e、および800f上のキャリアガスの効果ならびにミスカット角度を例示する光学顕微鏡写真を備えている。列挙された角度は、[000−1]方向に向かう、基板のミスカットに対応する。それぞれ、図7(a)−7(c)および図8(a)−8(c)に示される試料700a−cおよび800a−c(合計6つの試料)を、同時に自立型m−面GaN基板をMOCVDリアクタ内に装填し、100%H2キャリアガスによって、GaN膜700a−700cおよび800a−800cを成長させることによって加工した一方、それぞれ、図7(d)−7(f)および図8(d)−(f)に示される試料700d−700fならびに800d−800f(同様に、合計6つの試料)は、同時に、自立型m−面GaN基板をMOCVDリアクタ内に装填し、100%N2キャリアガスによって、GaN膜700d−700fおよび800d−800fを成長させることによって加工された。顕微鏡写真から分かるように、キャリアガスの選択は、表面形態に相当な影響を及ぼした。0.61°未満の小さな[000−1]ミスカット角度を有する試料700a−700fに対して、H2キャリアガスの使用は、それぞれ、比較的に大きく、連続的ピラミッド形小丘704a、704b、704cを有する表面702a、702b、702cをもたらした[参考文献2]一方、N2キャリアガスの使用は、それぞれ、空間的に離間した中サイズのピラミッド形小丘706、708、710と、それぞれ、その間の領域を装飾する、非常に小さなピラミッド形小丘712、714、716とを有する表面702d、702e、および702fをもたらした。より大きな[000−1]ミスカット角度に対して、H2キャリアガスの使用は、それぞれ、非常に粗いスレート状形態804a、804b、804cを有する表面802a、802b、802cをもたらした一方、N2キャリアガスの使用は、識別可能表面特徴の無い、光学的平滑表面802d、802e、802fをもたらした(例えば、表面802d−802fの領域806にわたって)。
【0041】
図9(a)−(f)は、10μm×10μmAFMスキャンを含んでおり、それぞれ、GaN膜902a、902b、902c、902d、902e、および902fの原子準位表面形態900a、900b、900c、900d、900e、ならびに900f上の[000−1]ミスカットの効果を例示している。ピラミッド形小丘が存在する試料上では、AFMデータは、[000−1]方向に対向するピラミッド形ファセットから収集されたが、その理由は、これが研究されるミスカットの方向であったためである。約1.5°より小さい[000−1]ミスカット角度を有する基板上の膜902a−902cに対して、試料表面900a−cは、原子準位規模で非常に平滑であったことが分かった。しかしながら、約1.5°より大きい[000−1]ミスカット角度を有する基板上の膜902d−902fに対しては、表面形態900d−900fは、高密度の側方ストライエーション904、906、908によって支配された。
【0042】
図10は、[000−1]ミスカット角度の関数として、RMS粗度を示す。図10から分かるように、RMS粗度は、大部分が高密度の側方ストライエーション904、906、908に起因して、1.5°より大きい[000−1]ミスカット角度に対して劇的に増加した。しかしながら、図7(a)−7(c)に示されるように、角度0.61°未満の[000−1]ミスカットを有する試料700a−700fは、その原子準位平滑度にもかかわらず、高密度のピラミッド形小丘704a、704b、704c、706、708、710、712、714、716で被覆された。これらの理由から、本発明は、m−面成長に対する任意の[000−1]ミスカット角度は、0.75°乃至1.5°の間のいずれかであると結論付ける。
【0043】
平滑MOCVD成長GaN膜(例えば、800d−800f)の実証後、図11に示されるように、(Ga、Al、In、B)Nレーザ構造が、高品質(Ga、Al、In、B)N素子を成長させるためのベースとしての平滑テンプレートとして、膜の実行可能性を確立するために、GaN膜の上面に成長させられた。
【0044】
素子1100成長に対して、[000−1]方向に、角度1104(非極性面、例えば、m−面1106に対して)を有するある範囲の意図的ミスカットを有するいくつかのMOCVD成長GaNテンプレート1102が、同時に、MOCVDリアクタ内に装填された。NH3およびキャリアガスから成る大気中で、試料を成長温度まで上昇させた後、約2μm厚1110のSiドープGaN薄膜1108が、100%N2キャリアガス内において、GaNテンプレート1102の上面に成長させられた。SiドープGaN層1108の成長後、8nm厚1114のInGaN壁1116および8nm厚1118a、1118bのGaN障壁1120a、1120bを有する5周期多重量子井戸(MQW)1112が、100%N2キャリアガス内で成長させられた。次に、15nm厚1122のMgドープp−AlGaN電子遮断層1124が、100%N2キャリアガス内で成長させられた。最後に、750nm厚の1126Mgドープp−GaN層1128および20nm厚の1130Mgドープp++−GaN接触層1132が、100%H2キャリアガス内で成長させられた。p−GaN1128およびp++−GaN接触層1132は、100%H2キャリアガス内で成長させられたが、最終のエピタキシャル表面1134、1136は、100%N2キャリアガス内で成長させられた下層の(Ga、Al、In、B)N層1108、1116、1120a、1120b、1124の表面1138、1140a、1140b、1140c、および1142に対して平滑な形態を維持した。ミスカットは、表面1146を有している。
【0045】
MOCVD成長後、レーザ構造1100は、200/3000Å Pd/Au p接点を有する300μm×300μmLEDに加工された。すべての測定は、注入電流20mAにおいて、ウエハ上のプロービングによって行われた。直流(dc)条件下での相対的な光強度測定は、較正された広域領域のSi光ダイオード上へのGaN基板1102を通した背面1144放出から得られた。図12−15は、テンプレートミスカットの関数として、レーザ構造の電気および光学特性を要約している。
【0046】
図12に示されるように、相対的な光強度は、テンプレートミスカットの増加に伴って若干減少した。しかしながら、この測定された出力パワーの減少は、テンプレート方位の増加に伴って表面粗度が減少することによる抽出効率の低下によるものであり得る。図13および14は、テンプレートミスカット1104の関数として、ELスペクトルを要約している。図13および14に例示されるように、ELピーク波長およびEL FWHMは、両方とも、テンプレートミスカットが増加しても全く均一のままであった。最後に、図15に示されるように、20mAにおける順電圧は、ミスカット角度が増加しても、比較的に低く、一定のままであった。
【0047】
本発明の一実施形態は、自立型の非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上に(Ga、Al、In、B)N薄膜を成長させるステップを含む。しかしながら、本発明の範囲は、また、あらゆる可能性のある外来基板のあらゆる可能性のある結晶学的方位に成長させられた非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N薄膜も含む。
【0048】
(プロセスステップ)
図16は、本発明の一実施形態による素子(例えば(Ga、Al、In、B)膜)を加工する方法を例示する工程図である。方法は、以下のステップを含み得る。
【0049】
ブロック1600は、非極性または半極性の基板あるいはテンプレートに低指数の結晶方位から外れたミスカットを提供するステップを表す。例えば、基板あるいはテンプレート1102は、一般的には、[000−1]方向に向かう、0.75°乃至1.50°のミスカット角度1104を有するミスカットを有するm−面基板あるいはテンプレートである(ミスカットは、一般的には、ある規模、方向、および表面1146を有する)。基板は、(Ga、Al、In、B)N基板、例えば、自立型(Ga、Al、In、B)N基板であってもよい。(Ga、Al、In、B)N基板は、外来基板を厚い非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N層から除去することによって、またはバルク(Ga、Al、In、B)Nインゴットまたはブールを個々の非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nウエハに切成することによって、生成されてもよい。テンプレートは、(Ga、Al、In、B)Nテンプレート、例えば、外来基板上にあってもよい。(Ga、Al、In、B)Nテンプレートは、例えば、エピタキシャル側方成長法(ELO)によって成長させられてもよい。
【0050】
ブロック1602は、(Ga、Al、In、B)N(例えば、薄)膜を(例えば、直接)非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板あるいはテンプレート上に成長させるステップを表す。(Ga、Al、In、B)N膜1108は、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板あるいはテンプレート1102の表面(例えば、表面1146を有するミスカット)上にあってもよい。
【0051】
ブロック1604は、ブロック1102の成長ステップの際に、キャリアガスを使用するステップを表し、成長の際に使用されるキャリアガスの少なくとも一部は、不活性ガスから成る。不活性ガスは、N2、He、Ne、Ar、Kr、および/またはXeから成ってもよい。キャリアガスの100%が、例えば、不活性ガスであってもよい。
【0052】
キャリアガスの組成ならびに/あるいはミスカットの方向および/または規模は、(Ga、Al、In、B)N薄膜および/または任意の後続層の以下の特性のうちの少なくとも1つに影響を及ぼすように選択される。すなわち、表面形態、成長率、合金組成、発光特性、および電気特性である。
【0053】
(Ga、Al、In、B)N薄膜は、可変または段階的な組成を有する複数の層を備えてもよい。(Ga、Al、In、B)N薄膜は、例えば、Ga−極性面またはN−極性面上に成長させられてもよい。(Ga、Al、In、B)N薄膜は、Fe、Si、Zn、および/またはMg等の要素によって、ドープされてもよい。しかしながら、また、(Ga、Al、In、B)N薄膜は、意図的に、ドープされなくてもよい。(Ga、Al、In、B)N薄膜は、核生成または緩衝層を含有してもよい。
【0054】
ブロック1606は、先行ステップによって、加工された膜を表す。(Ga、Al、In、B)N薄膜は、例えば、ハイブリッド気相エピタキシ法(HVPE)、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、および/または分子線エピタキシャル成長法(MBE)によって等、後続成長のための基板として使用されてもよい。
【0055】
例えば、ブロック1606の膜1108は、平面かつ光学的平滑領域を有する非極性または半極性の面である上面1138を備える、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N膜であってもよく、領域が、400nm乃至600nmの光波長を有する光学顕微鏡によって測定される場合、識別可能な非平面表面の起伏または特徴200、704a−c、706、708、710、712、714、716が無く、領域は、上面1138の領域上の1つ以上の素子層のエピタキシャル析出1112、1116、1124、1128、1132のための基板として使用するために十分に大きく、素子層1116は、20ミリアンペア駆動電流において、少なくとも2ミリワットの出力強度を有する光を発する。領域は、図8(d)−(f)に示される表面802d−fの領域806、または図9(a)−(c)に示される表面形態900a−cの領域であって、例えば、少なくとも100平方マイクロメートルであってもよい。
【0056】
上面1138は、100平方マイクロメートルの面積にわたって、上面1138におけるGa、Al、In、B、およびN原子の直径程度の表面粗度を伴って、原子的に平滑であってもよい。領域は、ストライエーション、例えば、側方ストライエーション904、906、908が無くてもよい。上面1138は、例えば、100平方マイクロメートルの面積にわたって、RMS0.5nmまたは0.25nm未満を有する表面粗度を有してもよい。
【0057】
膜1108は、m−面基板1102の表面1146上に析出されてもよく、表面1146は、[000−1]方向に向かう、0.75°乃至1.50°のミスカット角度1104を有するm−面基板のミスカットであってもよい。
【0058】
上面1138は、図2(a)−2(b)、3(a)−3(f)、4(a)−4(b)、5、6(a)−6(b)、7(a)−7(c)、8(a)−8(c)、および/または9(d)−9(f)に示される上面より平滑かつ平面であってもよい。例えば、上面1138は、図2(a)−2(b)、3(a)−3(f)、4(a)−4(b)、5、6(a)−6(b)、7(a)−7(c)、8(a)−8(c)、および/または9(d)−9(f)に示される表面と比較して、平面表面204、1138、800d−800fに対して傾斜した表面202を有するより少ない(または、より小さい密度の)識別可能構造200を有してもよい(例えば、識別可能構造は、ピラミッド形構造200、小丘、特徴、表面起伏、または表面ストライエーションであり得る)。平面表面204、1138は、一般的には、基板表面1146と実質的に平行である。
【0059】
上面1138は、図2(a)−2(b)、3(a)−3(f)、4(a)−4(b)、5、6(a)−6(b)、7(a)−7(c)、8(a)−8(c)、および/または9(d)−9(f)に示される表面起伏あるいはピラミッド形小丘と比較して、より小さい大きさの表面起伏、特徴、もしくはピラミッド形小丘を有してもよい。例えば、上面1138は、膜の上面より平滑であるか、または小さい表面粗度を有してもよく、その場合、ミスカット角度1104は、[000−1]方向に0.75より小さく、または[000−1]方向に1.50°を上回って離れる。
【0060】
上面1138は、密度8.4×102cm−2または1.1×106cm−2、サイズ10マイクロメートル、および/または勾配角度0.1°を有する、ピラミッド形小丘で特徴付けられた表面よりも平滑および平坦な平面であってもよい。例えば、上面1138は、図7(d)−7(f)、8(d)−8(f)、および/または9(a)−9(c)に示される表面702d−702f、802d−802f、900a−900cと少なくとも同程度に平滑であるか、平滑度あるいは表面粗度を有してもよい。
【0061】
膜は、m−面GaN膜であってもよく、上面1138は、GaNのm−面であってもよい。上述の上面の表面平滑度または粗度は、成長した状態のままである(as−grown)(すなわち、成長から直接生じる)が、表面処理(例えば、研磨/洗浄)は、成長後に行われてもよい。
【0062】
ブロック1608は、ブロック1606の膜の上面1138上に、1つ以上の素子層1112、1124、1128、1132を析出(例えば、成長)させるステップを表す。素子層1112、1124、1128、1132は、H2から成るキャリアガスの少なくとも一部(または、100%)によって、成長させられてもよい。1つ以上の素子層1112、1124、1128、1132は、H2から成るキャリアガスの少なくとも一部(または、100%)によって成長させられ得る、1つ以上のp型ドープ層1124、1128、1132を備えてもよい。素子層1112、1124、1128、1132は、膜1108の上面1138と少なくとも同程度に平滑である、上面1134、1136、1140cを有してもよい。
【0063】
ブロック1610は、先行ステップの最終結果、例えば、非極性または半極性のLED、レーザ、またはトランジスタ等の素子(例えば、光電子素子)を表す。
【0064】
(可能性のある修正例)
また、成長温度、成長圧力、V/III比、前駆体流量、および原材料等のMOCVD成長条件の変形例も、本発明の範囲から逸脱することなく、可能である。界面の質の制御は、プロセスの重要な側面であって、特定のリアクタ設計の流量切替え能力に直接関連する。成長条件の継続的な最適化によって、上述の非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N薄膜のより正確な組成および厚さの制御をもたらすことが可能である。
【0065】
上述の非極性のGaN薄膜の表面形態は、100%N2のキャリアガス内で膜を成長させることによって改良された。しかしながら、また、本発明の範囲は、キャリアガスの一部が不活性ガスから成る、任意のキャリアガス内における非極性または半極性の窒化物(Ga、Al、In、B)N薄膜の成長も網羅している。この不活性ガスは、N2、He、Ne、Ar、Kr、および/またはXeを含んでもよい。そのようなキャリアガスおよび本明細書に列挙されないその他の使用も本発明の範囲内である。
【0066】
上述の薄膜は、自立型の非極性のGaN基板上に直接成長させられた単一の均質および連続な層のGaNから成る。しかしながら、また、本発明の範囲は、可変または段階的組成を有する複数の層から成る(Ga、Al、In、B)N薄膜も網羅している。
【0067】
また、付加的な不純物またはドーパントも、本発明に説明される非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N薄膜に組み込むことが可能である。例えば、Fe、Mg、Si、およびZnは、多くの場合、窒化物ヘテロ構造内の種々の層に追加され、それらおよび隣接する層の伝導特性を改変する。そのようなドーパントおよび本明細書に列挙されないその他の使用も、本発明の範囲内である。
【0068】
また、本発明の範囲は、技術説明において引用される1つの非極性方位(m−面)よりも多くを網羅する。この概念はまた、窒化物系半導体素子を成長させるために使用可能なあらゆる非極性および半極性面に関する。用語「非極性面」は、集合的にa−面として知られる{11−20}面と、集合的にm−面として知られる{10−10}面とを含む。用語「半極性面」は、c−面、a−面、またはm−面として分類不可能な任意の面を指すために使用することが可能である。結晶学的用語では、半極性面は、少なくとも2つの非ゼロのh、i、またはkミラー指数、および非ゼロのlミラー係数を有する任意の面となるであろう。
【0069】
また、本発明は、特定の結晶極性の選択も網羅する。波括弧{}の使用は、本書を通して、対称性同等面群を指す。したがって、{10−12}群は、(10−12)、(−1012)、(1−102)、(−1102)、(01−12)、および(0−112)面を含む。これらの面はすべて、Ga−極性であって、結晶のc−軸が、基板からずれて指向することを意味する。同様に、{10−1−2}群は、(10−1−2)、(−101−2)、(1−10−2)、(−110−2)、(01−1−2)、および(0−11−2)面を含む。これらの平面はすべて、N−極性であって、結晶のc−軸が、基板に向かって指向することを意味する。単一結晶群内の平面はすべて、本発明の目的に該当するが、極性の選択は、成長プロセスの挙動に影響を及ぼし得る。いくつかの用途では、N−極性半極性面上に成長させることが望ましい一方、他の場合では、Ga−極性面上の成長が、好ましいであろう。両方の極性が、本発明の実践のために容認可能である。
【0070】
さらに、自立型の非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板以外の基板が、(Ga、Al、In、B)N薄膜成長のために使用可能である。本発明の範囲は、あらゆる可能性のある外来基板のあらゆる可能性のある結晶学的方位上における非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N薄膜の成長を含む。これらの外来基板として、炭化ケイ素、窒化ガリウム、シリコン、酸化亜鉛、窒化ホウ素、アルミン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ゲルマニウム、窒化アルミニウム、没食子酸リチウム、部分的置換スピネル、およびγ−LiAlO2構造を共有する四成分正方晶酸化物を含むが、それらに限定されない。
【0071】
さらに、非極性または半極性の窒化物核生成(または、緩衝)層および核生成層成長法における変形例も、本発明の実践のために容認可能である。核生成層の成長温度、成長圧力、方位、および組成は、後続非極性または半極性薄膜およびヘテロ構造の成長温度、成長圧力、方位、ならびに組成に整合する必要はない。本発明の範囲は、あらゆる可能性のある核生成層および核生成層成長法を使用して、あらゆる可能性のある基板上に非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N薄膜を成長させることを含む。
【0072】
上述の非極性のGaN薄膜は、自立型の非極性のGaN基板上に成長させられた。しかしながら、また、本発明の範囲は、エピタキシャル側方成長法(ELO)(Ga、Al、In、B)Nテンプレート上に成長させられた非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N薄膜も網羅している。ELO法は、後続エピタキシャル層内の貫通転位(TD)密度を減少させる方法である。TD密度の減少は、素子性能の改良につながり得る。c−面窒化物LEDおよびダイオードレーザの場合、これらの改良として、出力パワーの増加、内部量子効率の上昇、素子寿命の延長、および閾値電流密度の減少が挙げられ得る[参考文献19]。これらの利点は、ELOテンプレート上に成長させられたすべての非極性または半極性の窒化物LEDおよびダイオードレーザに関連するであろう。
【0073】
上述の技術説明は、HVPEによって、c−方向に成長させられ、次いで、m−面表面を曝露するようにスライスされた、自立型の非極性のGaN基板上の非極性のGaN薄膜の成長について論じた。また、自立型の非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板は、外来基板を厚い非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N層から除去することによって、バルク(Ga、Al、In、B)Nインゴットまたはブールを個々の非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)Nウエハに切生することによって、あるいは任意の他の可能性のある結晶成長またはウエハ製造法によって、生成されてもよい。本発明の範囲は、あらゆる可能性のある結晶成長法およびウエハ製造法によって生成される、あらゆる可能性のある自立型非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nウエハ上の非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N薄膜の成長を含む。
【0074】
(利点および改良点)
既存の実践は、極性[0001]c−方向に沿って、窒化物LEDおよびダイオードレーザを成長させることである。付随分極誘導電場および本質的に大きい有効正孔質量は、最先端のc−面窒化物LEDおよびダイオードレーザの性能に悪影響を及ぼす。非極性または半極性面上の窒化物LEDおよびダイオードレーザの成長は、分極効果を低減させ、有効正孔質量を減少させることによって、素子性能を大幅に改良可能である。
【0075】
本発明は、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上の(Ga、Al、In、B)N薄膜の表面形態を改良するための方法について説明する。これらの平滑(Ga、Al、In、B)N薄膜は、高性能の非極性または半極性の窒化物LEDおよびダイオードレーザの成長のためのテンプレートとしての役割を果たすことが可能である。サファイア上のc−面(Ga、Al、In、B)Nの高温成長に対して、ほとんどのグループが、キャリアガスとして、100%H2の使用を報告している。一般的な成長条件下では、キャリアガスとしての100%H2の使用は、最小転位密度および最平滑エピタキシャル表面を有するc−面(Ga、Al、In、B)Nエピタキシャル層をもたらす[参考文献1]。しかしながら、一般的なc−面(Ga、Al、In、B)N成長条件が、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上での(Ga、Al、In、B)Nの再成長のために使用される場合、独特の表面形態が生じ得る[参考文献2−4]。本発明は、N2等の不活性キャリアガスを使用することによって、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上の(Ga、Al、In、B)N薄膜の成長形態を改良するための方法について説明する。
【0076】
改良された表面形態は、非極性または半極性の窒化物素子製造業者に対して、所与の素子内の個々の層の厚さ、組成、ドーピング、電気特性、および発光特性におけるより優れた均一性を含むがそれらに限定されない、いくつかの利点をもたらすことが可能である。さらに、平滑表面は、特に、非極性または半極性の窒化物レーザダイオードにとって有益であって、光学散乱損失の大幅な低減をもたらすことが可能である。
【0077】
本発明の用途として、固体投写型ディスプレイ、高解像度プリンタ、高密度光学データ記憶システム、次世代DVDプレーヤ、高効率固体照明、光感知用途、および医療用途が挙げられる。
【0078】
(参考文献)
以下の参考文献は、参照することにより本明細書にその全体が組み込まれる。
【0079】
【表1−1】
【0080】
【表1−2】
(結論)
これは、本発明の好適な実施形態の説明を締めくくるものである。本発明の1つ以上の実施形態の上述の説明は、図解および説明のために示したものである。この記述は、網羅的であること、または本発明を開示された形態に限定することを意図したものではない。上述の教示に照らして、多数の修正および変形が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、むしろ本明細書に添付された請求項によって限定されることを意図する。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、同時係属で共通譲受人の下記の出願;
Robert M.Farrell、Michael Iza、James S.Speck、Steven P.DenBaars、およびShuji Nakamuraによる米国仮特許出願第61/156,710号(名称「METHOD OF IMPROVING SURFACE MORPHOLOGY OF (Ga,Al,In,B)N THIN FILMS AND DEVICES GROWN ON NONPOLAR OR SEMIPOLAR (Ga,Al,In,B)N SUBSTRATES」、2009年3月2日出願、代理人整理番号第30794.306−US−P1(2009−429−1)号);および
Robert M.Farrell、Michael Iza、James S.Speck、Steven P.DenBaars、およびShuji Nakamuraによる米国仮特許出願第61/184,535号(名称「METHOD OF IMPROVING SURFACE MORPHOLOGY OF (Ga,Al,In,B)N THIN FILMS AND DEVICES GROWN ON NONPOLAR OR SEMIPOLAR (Ga,Al,In,B)N SUBSTRATES」、2009年6月5日出願、代理人整理番号第0794.306−US−P2 (2009−429−2)号);
の米国特許法第119条第(e)項の利益を主張し、これらの出願は、本明細書に参考として援用される。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、半導体材料、方法、および素子に関し、より具体的には、非極性または半極性の窒化物発光ダイオード(LED)およびダイオードレーザの成長に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の説明)
(注:本願は、明細書の全体を通して示されるように、角括弧内の1つ以上の参照番号、例えば[Ref(s).x]によって多数の異なる刊行物を参照する。これらの参照番号による順序で示されるこれらの異なる刊行物の一覧は、以下の「参考文献」という表題の項に見出すことができる。これらの刊行物のそれぞれは、参照することによって本明細書に組み込まれる。)
窒化ガリウム(GaN)および(Ga、Al、In、B)N合金の有用性は、可視光および紫外線光電子素子ならびに高出力電子素子の加工に対して確立されている。最先端の窒化物薄膜、ヘテロ構造、および素子は、[0001]軸に沿って成長させられる。そのような膜の全分極は、自発および圧電分極寄与から構成され、その両方とも、図1(a)に例示されるように、ウルツ鉱窒化物結晶構造102の単極性[0001]軸100から生じる。窒化物ヘテロ構造が、疑似形態的に成長させられる場合、分極断絶が、表面(例えば、図1(a)に示される、c−面表面104)および結晶102内の界面に形成される。これらの断絶は、表面および界面におけるキャリアの蓄積または枯渇につながり、順に、電場を引き起こす。これらの分極誘導電場の方位は、窒化物薄膜およびヘテロ構造の典型的[0001]成長方向と一致するため、これらの場は、窒化物素子のエネルギーバンドを「傾動」させる効果を有する。
【0004】
c−面ウルツ鉱窒化物量子井戸では、「傾動された」エネルギーバンドは、図1(b)に例示されるように、電子波動関数106および正孔波動関数108を空間的に分離する。本空間電荷分離は、放射遷移の振動子強度を低減させ、放出波長を赤方偏移させる。これらの効果は、量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)の現れであって、窒化物量子井戸に関して、徹底的に分析されている[参考文献5−8(非特許文献1−4)]。加えて、大規模分極誘導電場は、ドーパントおよび注入されたキャリアによって、部分的に遮蔽される可能性があり[参考文献9、10(非特許文献5、6)]、放出特性を正確に設計することを困難にする。
【0005】
さらに、疑似形態的の二軸性歪みは、c−面ウルツ鉱窒化物量子井戸内における有効正孔質量の減少にほとんど影響を及ぼさないことが理論的に予測されている[参考文献11(非特許文献7)]。これは、典型的III−V閃亜鉛鉱型InP−系およびGaAs−系量子井戸と全く対照的であって、重正孔および軽正孔バンドの異方性歪み誘導分裂が、有効正孔質量の大幅な減少につながる。有効正孔質量の減少は、典型的III−V閃亜鉛鉱型InP−およびGaAs−系量子井戸内の任意の所与のキャリア密度に対する擬フェルミ準位分離の大幅な増加につながる。擬フェルミ準位分離の本増加の直接的結果として、遥かに小さいキャリア密度が、光学利得を発生させるために必要とされる[参考文献12(非特許文献8)]。しかしながら、ウルツ鉱窒化物結晶構造の場合、二軸性歪みc−面窒化物量子井戸における窒素原子の六方対称かつ小スピン軌道結合は、重正孔および軽正孔バンドのごくわずかな分裂をもたらす[参考文献11(特許文献7)]。したがって、有効正孔質量は、二軸性歪みc−面窒化物量子井戸内の有効電子質量より遥かに大きいまま、非常に高電流の密度が、c−面窒化物ダイオードレーザにおいて光学利得を発生させるために必要とされる。
【0006】
窒化物素子内の分極効果を低下させるアプローチの1つは、結晶の非極性面上の素子を成長させることである。これらは、集合的にa−面として知られる{11−20}面と、集合的にm−面として知られる{10−10}面とを含む。そのような面は、面当たり等しい数のガリウムおよび窒素原子を含有し、電荷中性である。後続非極性層は、相互に同等であって、したがって、バルク結晶は、成長方向に沿って分極されないであろう。
【0007】
窒化物素子内の分極効果および有効正孔質量を減少させる別のアプローチは、結晶の半極性面上の素子を成長させることである。「半極性面」という用語は、c−面、a−面、またはm−面として分類することができない、あらゆる面を指すために使用可能である。結晶学用語において、半極性面とは、少なくとも2つの非ゼロのh、i、kミラー指数、および非ゼロのlミラー係数である。後続非極性層は、相互に同等であって、したがって、バルク結晶は、成長方向に沿って、分極低下を有するであろう。
【0008】
歪みc−面InxGa1−xN量子井戸と異なり、歪み非極性または半極性InxGa1−xN量子井戸は、重正孔および軽正孔バンドの異方性分裂を呈し、そのような構造に対する有効正孔質量の減少につながることが予測されている[参考文献13(非特許文献9)]。圧縮歪みInxGa1−xN量子井戸に対する多体光学利得の自己無撞着計算は、ピーク利得が、有効正孔質量および正味量子井戸分極に非常に敏感であって、ピーク利得は、一般的成長方位とc−軸との間の角度の増加に伴って、劇的に上昇し、c−軸に垂直な成長方位(すなわち、非極性面上)に対して、最大値に達することを示唆する[参考文献14、15(非特許文献10、11)]。
【0009】
最後に、市販のc−面窒化物LEDは、その電界発光において、いかなる程度の光分極も呈さない。一方、非極性または半極性窒化物LEDは、その電界発光において、強力な光分極を実証している[参考文献16−18(非特許文献12−14)]。本光分極は、圧縮歪み非極性または半極性InxGa1−xN量子井戸内の重正孔および軽正孔バンドの異方性歪み誘導分裂に起因し、異なる光学マトリクス要素の規模において、大幅な相違につながり得る。
【0010】
しかしながら、最先端の非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板は、独特な表面形態を呈する[参考文献2−4(非特許文献15−17)]。
【0011】
図2(a)−(c)は、[参考文献2(非特許文献15)]から抜粋されたものであって、図2(a)および図2(b)は、m−面n型GaN膜およびm−面LED構造の上面を示す、Nomarski光学顕微鏡写真であって、それぞれ、ピラミッド形小丘200を示しており、図2(c)は、高さh、幅w、および長さlを有するピラミッド形小丘200の断面を示す、概略図であって、m−面GaN膜は、公称上の軸上m−面GaN基板上に成長させられる。
【0012】
図3(a)−(g)もまた、[参考文献2(非特許文献15)]から抜粋されたものであって、図3(a)は、4つのピラミッド面(2つのa−傾斜面a1およびa2と、2つのc−傾斜面c+およびc−)を示す、10×10μm2面積にわたるn型GaN膜の振幅像を示し、ピラミッドの勾配角度は、a−傾斜ピラミッド面に対して0.1°であって、c−傾斜面に対して0.5°−0.6°であって、図3(b)は、m−面LED構造の振幅像であって、図3(c)−(f)は、それぞれ、図3(b)におけるLED構造のc−、a1、a2、およびc+傾斜面に対する高さ像であって、図3(g)は、微視的ピラミッドによって装飾されたa−およびc+傾斜小丘面を示す概略図である(図3(d)、(e)、および(f)における小丘の平面図ならびに断面図)。
【0013】
図4(a)−(b)もまた、[参考文献2(特許文献15)]から抜粋されたものであって、異なるミスカット方向およびミスカット角度を伴って、軸外基板上に成長させられたm−面GaN膜の一連のNomarksi光学顕微鏡写真を示し、図4(a)では、a−ミスカット角度は、0.1°ずつ0°乃至0.35°と0.52°に及び(左から右に)、図4(b)では、c−ミスカット角度は、それぞれ、左から右に0.01°、0.45°、5.4°、および9.7°である。
【0014】
図5は、[参考文献3(非特許文献16)]から抜粋されたものであって、光学微分干渉顕微鏡によって観察された、レーザ構造のエピタキシャル成長後のm−面GaN基板の表面形態を示す。
【0015】
図6(a)−(b)は、[参考文献4(非特許文献17)]から抜粋されたものであって、図6(a)および図6(b)は、それぞれ、<0001>方向に向かって、方位0.2°および2.2°を伴う、オフ角基板上に成長させられたm−面GaNのNomarski光学顕微鏡写真である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】T.Takeuchi,S.Sota,M.Katsuragawa,M.Komori,H.Takeuchi,H.Amano,and I.Akasaki,Jpn.J.Appl.Phys.,36,L382(1997).
【非特許文献2】P.Lefebvre,A.Morel,M.Gallart,T.Taliercio,J.Allegre,B.Gil,H.Mathieu,B.Damilano,N.Grandjean,and J.Massies,Appl.Phys.Lett.,78,1252(2001).
【非特許文献3】N.Grandjean,B.Damilano,S.Dalmasso,M.Leroux,M.Laugt,and J.Massies,J.Appl.Phys.,86,3714(1999).
【非特許文献4】J.S.Im,H.Kollmer,J.Off,A.Sohmer,F.Scholz,and A.Hangleiter,Phys.Rev.B,57,R9435(1998).
【非特許文献5】A.Di Carlo,F.Della Sala,P.Lugli,V.Fiorentini,and F.Bernardini,Appl.Phys.Lett.,76,3950(2000).
【非特許文献6】F.Della Sala,A.Di Carlo,P.Lugli,F.Bernardini,V.Fiorentini,R.Scholz,and J.M.Jancu,Appl.Phys.Lett.,74,2002(1999).
【非特許文献7】M.Suzuki and T.Uenoyama,Jpn.J.Appl.Phys.,35,1420(1996).
【非特許文献8】E.Yablonovitch and E.O.Kane,J.Lightwave Tech.,4,504(1986).
【非特許文献9】S.H.Park,J.Appl.Phys.,91,9904(2002).
【非特許文献10】S.H.Park,Jpn.J.Appl.Phys,42,L170(2003).
【非特許文献11】S.H.Park,J.Appl.Phys.,93,9665(2003).
【非特許文献12】N.F.Gardner,J.C.Kim,J.J.Wierer,Y.C.Shen,and M.R.Krames,Appl.Phys. Lett.,86,111101(2005).
【非特許文献13】H.Masui,A.Chakraborty,B.A.Haskell,U.K.Mishra,J.S.Speck,S.Nakamura,S.P.Denbaars,Jpn.J.Appl.Phys,44,L1329(2005).
【非特許文献14】T.Koyama,T.Onuma,H.Masui,A.Chakraborty,B.A.Haskell,S.Keller,U.K.Mishra,J.S.Speck,S.Nakamura,S.P.Denbaars,T.Sota,S.F.Chichibu,Appl.Phys.Lett.,89,091906(2006).
【非特許文献15】A.Hirai,Z.Jia,M.C.Schmidt,R.M.Farrell,S.P.DenBaars,S.Nakamura,J.S.Speck,K.Fujito,Appl.Phys.Lett.,91,191906(2007).
【非特許文献16】Y.Tsuda,M.Ohta,P.O.Vaccaro,S.Ito,S.Hirukawa,Y.Kawaguchi,Y.Fujishiro,Y.Takahira,Y.Ueta,T.Takakura,and T.Yuasa,Appl.Phys.Express,1,011104(2008).
【非特許文献17】K.Okamoto,H.Ohta,D.Nakagawa,M.Sonobe,J.Ichihara,and H.Takasu,Jpn.J.Appl.Phys.,45,L1197(2006).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
より平滑な非極性および半極性膜を提供する必要性が存在する。本発明は、この必要性を充足する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板上における(Ga、Al、In、B)N薄膜の表面形態を改良するための方法について説明する。得られた平滑(Ga、Al、In、B)N薄膜は、高性能の非極性または半極性の窒化物LEDおよびダイオードレーザの成長のためのテンプレートとしての役割を果たすことが可能である。有機金属化学気相成長法(MOCVD)および水素化物気相エピタキシ法(HVPE)等の一般的気相エピタキシ法を使用して、(Ga、Al、In、B)N薄膜を成長させることが可能である。しかしながら、本発明は、任意の他の好適な気相成長法による(Ga、Al、In、B)N薄膜成長にも、同等に適用可能である。
【0019】
非極性または半極性の窒化物薄膜およびヘテロ構造の成長は、分極効果を低下させ、ウルツ鉱窒化物素子構造内の有効正孔質量を減少させる手段をもたらす。用語「窒化物」、「(Ga、Al、In、B)N」、または「III−窒化物」とは、式GawAlxInyBzN(式中、0≦w≦1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびw+x+y+z=1)を有する(Ga、Al、In、B)N半導体の任意の合金組成を指す。現在市販のLEDおよびダイオードレーザは、極性[0001]c−方向に沿って成長させられる。付随する分極誘導電場および本質的に大きい有効正孔質量は、最先端の窒化物LEDおよびダイオードレーザの性能に悪影響をもたらす。非極性または半極性面上におけるこれらの素子の成長は、分極誘導電場を低減させ、有効正孔質量を減少させることによって、素子性能を大幅に改良可能である。
【0020】
サファイア上におけるc−面(Ga、Al、In、B)Nの高温成長の場合、大部分のグループが、キャリアガスとして100%H2の使用を報告している。典型的成長条件下では、キャリアガスとしての100%H2の使用は、c−面(Ga、Al、In、B)Nエピタキシャル層に最小転位密度および最平滑エピタキシャル表面をもたらす[参考文献1]。しかしながら、典型的c−面(Ga、Al、In、B)N成長条件が、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板上における(Ga、Al、In、B)Nの再成長のために使用される場合、独特な表面形態が、生じ得る[参考文献2−4]。
【0021】
本発明は、N2等の不活性キャリアガスを使用することによって、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板上の(Ga、Al、In、B)N薄膜の成長形態を改良するための方法について説明する。例えば、本発明は、[参考文献2−4]で成長させられた膜と比較して、非極性および半極性膜の表面平滑度を改良可能である。
【0022】
改良された表面形態は、非極性または半極性窒化物素子製造業者に対して、所与の素子内の個々の層の厚さ、組成、ドーピング、電気特性、および発光特性における、より優れた均一性を含むが、それらに限定されない、いくつかの利点をもたらし得る。さらに、平滑表面は、特に、非極性または半極性窒化物レーザダイオードに有益であって、光散乱損失の大幅な減少につながり得る。
【0023】
したがって、上述の先行技術における制限を克服するために、かつ本明細書の熟読および理解に応じて明白となるであろう他の制限を克服するために、本発明は、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板あるいはテンプレート上に(Ga、Al、In、B)N薄膜を直接成長させるステップと、成長ステップの際、キャリアガスを使用するステップと、を備え、キャリアガスの少なくとも一部は、不活性ガスから成る、(Ga、Al、In、B)N薄膜を加工するための方法を開示する。
【0024】
さらに、本方法は、基板またはテンプレートに、低指数の結晶方位から外れたミスカットを提供するステップを備えてもよい。例えば、基板またはテンプレートは、m−面基板あるいはテンプレートであってもよく、ミスカットは、[000−1]方向に向かって、0.75°乃至1.50°のミスカット角度を有してもよく、(Ga、Al、In、B)N膜は、ミスカットの表面上に成長させられてもよい。
【0025】
不活性ガスは、窒素(N2)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、またはキセノン(Xe)のうちの1つ以上から成ってもよい。例えば、キャリアガスの一部または100%が、不活性ガスであってもよい。
【0026】
1つ以上の素子層が、膜の上面に析出されてもよく、素子層は、H2および/またはN2から成る、キャリアガスの少なくとも一部(または、100%)によって、成長させられてもよい。1つ以上の素子層は、素子の1つ以上のp型ドープ層を備えてもよく、p型ドープ層は、H2から成る、キャリアガスの少なくとも一部(または、100%)によって、成長させられてもよい。
【0027】
さらに、本発明は、非極性または半極性の面であって、平面かつ光学的平滑領域を有することによって、領域が、光学顕微鏡を使用して、400ナノメートル乃至600ナノメートルの光波長を用いて測定される場合、識別可能な非平面表面起伏または特徴が無い、上面を備え、領域が、上面の領域上に1つ以上の素子層のエピタキシャル析出のための基板として使用するために十分に大きく、素子層が、20ミリアンペア(mA)駆動電流時、少なくとも2ミリワットの出力パワーを有する光を発する、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N膜を開示する。
【0028】
領域は、ストライエーションが無くてもよい。
【0029】
領域は、例えば、少なくとも100平方マイクロメートルであってもよい。上面は、100平方マイクロメートルの面積にわたって、上面におけるGa、Al、In、B、およびN原子の直径程度の表面粗度を伴って、原子的に平滑であってもよい。上面は、100平方マイクロメートルの面積にわたって、0.5または0.25ナノメートル(nm)未満の二乗平均平方根(RMS)を伴う、表面粗度を有してもよい。
【0030】
上面は、図2(a)、2(b)、3(a)−3(f)、4(a)−4(b)、5、6(a)、6(b)、7(a)−7(c)、8(a)−8(c)、または9(d)−9(f)に示される上面より平滑かつより平面であってもよい。上面は、密度8.4×102cm−2または1.1×106cm−2、サイズ10マイクロメートル、および/または勾配角度0.1°を有する、ピラミッド形小丘で特徴付けられた表面よりも平滑であってもよい。上面は、図7(d)−7(f)、8(d)−8(f)、または9(a)−9(c)に示される表面と少なくとも同程度平滑の平滑度あるいは表面粗度を有してもよい。
【0031】
膜は、m−面基板の表面上に析出されてもよく、m−面基板の表面は、[000−1]方向に向かって、0.75°乃至1.50°のミスカット角度を伴う、ミスカットであってもよい。
【0032】
膜は、m−面GaN膜であってもよく、上面は、m−面GaN膜のm−面であってもよい。上面の表面平滑度または粗度は、典型的には、そのまま成長させられる。素子層の上面は、膜の上面と少なくとも同程度平滑であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下、同じ参照符号が対応する要素を示す、複数の図面を参照する。
【図1】図1(a)は、ウルツ鉱窒化物結晶構造の概略図であって、図1(b)は、分極誘導電場による圧縮歪みInxGa1−xN量子井戸内のバンド屈曲の概略図であって、Ecは、伝導バンドであって、Evは、価電子バンドである。
【図2】図2(a)−2(c)、3(a)−3(g)、4(a)−4(b)、5および6(a)−6(b)は、[参考文献2−4]において加工されたGaN膜およびLED構造の表面形態の画像である。
【図3】図2(a)−2(c)、3(a)−3(g)、4(a)−4(b)、5および6(a)−6(b)は、[参考文献2−4]において加工されたGaN膜およびLED構造の表面形態の画像である。
【図4】図2(a)−2(c)、3(a)−3(g)、4(a)−4(b)、5および6(a)−6(b)は、[参考文献2−4]において加工されたGaN膜およびLED構造の表面形態の画像である。
【図5】図2(a)−2(c)、3(a)−3(g)、4(a)−4(b)、5および6(a)−6(b)は、[参考文献2−4]において加工されたGaN膜およびLED構造の表面形態の画像である。
【図6】図2(a)−2(c)、3(a)−3(g)、4(a)−4(b)、5および6(a)−6(b)は、[参考文献2−4]において加工されたGaN膜およびLED構造の表面形態の画像である。
【図7】図7(a)−7(f)および8(a)−8(f)は、キャリアガスの効果と、自立型m−面GaN基板上に成長させられたGaN薄膜の表面形態上のミスカット角度を例示する、光学顕微鏡写真(縮尺:125マイクロメートル(μm))を備え、図7(a)−7(c)および図8(a)−8(c)は、H2キャリアガスによって加工され、図7(d)−7(f)および図8(d)−8(f)は、N2キャリアガスによって加工され、図7(a)および7(d)は、−0.05°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図7(b)および7(e)は、0.45°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図7(c)および7(f)は、0.61°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図8(a)および8(d)は、1.03°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図8(b)および8(e)は、1.88°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図8(c)および8(f)は、2.30°ミスカットを伴う、基板上に加工され、すべてのミスカットは、[000−1]方向に向かう。
【図8】図7(a)−7(f)および8(a)−8(f)は、キャリアガスの効果と、自立型m−面GaN基板上に成長させられたGaN薄膜の表面形態上のミスカット角度を例示する、光学顕微鏡写真(縮尺:125マイクロメートル(μm))を備え、図7(a)−7(c)および図8(a)−8(c)は、H2キャリアガスによって加工され、図7(d)−7(f)および図8(d)−8(f)は、N2キャリアガスによって加工され、図7(a)および7(d)は、−0.05°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図7(b)および7(e)は、0.45°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図7(c)および7(f)は、0.61°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図8(a)および8(d)は、1.03°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図8(b)および8(e)は、1.88°ミスカットを伴う、基板上に加工され、図8(c)および8(f)は、2.30°ミスカットを伴う、基板上に加工され、すべてのミスカットは、[000−1]方向に向かう。
【図9】図9(a)−9(f)は、原子準位表面形態上の[000−1]ミスカットの効果を例示する、10μm×10μm原子間力顕微鏡(AFM)スキャンを備え、矢印は、<0001>方向を示し、図9(a)−9(f)におけるミスカット角度は、それぞれ、[000−1]に向かって、−0.06°、0.45°、0.89°1.88°、2.30°、および3.24°であって、図9(a)−9(f)におけるRMS粗度は、それぞれ、0.134nm、0.176nm、0.221nm、0.620nm、0.625nm、および1.665nmである。
【図10】図10は、[000−1]ミスカット角度(度)(すなわち、[000−1]方向に向かうミスカット)の関数として、RMS粗度(nm)を示し、10マイクロメートル(μm)スキャン面積に対して、ピラミッド形小丘(四角形)、原子的平坦表面(円形)、および側方ストライエーション(菱形)をもたす、ミスカット角度を示し、各データ点は、3回のスキャンの平均である。
【図11】図11は、本発明によるLED素子構造の断面概略図である。
【図12】図12は、300μm×300μmサイズLEDに対して、[000−1]ミスカット角度(度)(すなわち、[000−1]方向に向かうミスカット)の関数として、出力パワー(ミリワット、mW)を示す、グラフであって、データは、20mA駆動電流で収集され、各データ点は、3つのデータ点の平均である。
【図13】図13は、300μm×300μmサイズLEDに対して、[000−1]ミスカット(すなわち、[000−1]方向に向かうミスカット)の関数として、電界発光(EL)ピーク波長(nm)を示す、グラフであって、データは、20mA駆動電流で収集され、各データ点は、3つのデータ点の平均である。
【図14】図14は、300μm×300μmサイズLEDに対して、[000−1]ミスカット(すなわち、[000−1]方向に向かうミスカット)の関数として、EL半値全幅(FWHM)(nm)を示す、グラフであって、データは、20mA駆動電流で収集され、各データ点は、3つのデータ点の平均である。
【図15】図15は、[000−1]ミスカット(すなわち、[000−1]方向に向かうミスカット)の関数として、順電圧(V)を示すグラフである。
【図16】図16は、本発明の方法を例示する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の発明を実施するための形態において、本明細書の一部を形成し、かつ本発明が実施され得る特定の実施形態を例示目的で示す添付図面を参照する。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が用いられてもよく、また、構造的な変更が行われてもよいことを理解されたい。
【0035】
(概要)
非極性または半極性の窒化物LEDおよびダイオードレーザの実現は、窒化物LEDおよびダイオードレーザの製造可能性における多数の進歩を可能にする。非極性または半極性面上での窒化物LEDおよびダイオードレーザの成長は、重正孔および軽正孔バンドの異方性歪み誘導分裂を介して分極誘導電場を低減させ、有効正孔質量を減少させることによって、素子性能を大幅に改良することが可能である。分極誘導電場を低減させることによって、窒化物LEDにおける放射効率を増加させることが可能である。同様に、分極誘導電場を低減させ、有効正孔質量を減少させることによって、窒化物ダイオードレーザ内で光学利得を発生させるために必要な電流密度を低下させることが可能である。これは、窒化物LEDおよびダイオードレーザ内の加熱の大幅な低減につながり、素子製造業者にとって、より長い素子寿命およびより高い生産収率をもたらすことが可能となる。
【0036】
しかしながら、典型的には、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上に成長させられる(Ga、Al、In、B)N薄膜に対して観察される独特な表面形態によって[参考文献2−4]、素子製造業者が、非極性または半極性の窒化物素子の期待される利点を実現することは困難であろう。本発明は、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上の(Ga、Al、In、B)N薄膜の表面形態を改良するための方法について説明する。改良された表面形態は、非極性または半極性の窒化物素子製造業者にとって、所与の素子内の個々の層の厚さ、組成、ドーピング、電気特性、および発光特性のより優れた均一性を含むが、それらに限定されないいくつかの利点につながり得る。したがって、本発明は、非極性または半極性の窒化物LEDおよびダイオードレーザの上述の効果の実現を可能にする。
【0037】
本発明の目的は、改良された製造可能性および高性能を有する窒化物LEDおよびダイオードレーザを生成することである。提案される素子は、種々の商業、産業、または科学用途のための光源として使用されるであろう。これらの非極性または半極性の窒化物LEDおよびダイオードレーザは、c−面窒化物LEDおよびダイオードレーザと同一用途における可用性を見出されることが期待され得る。これらの用途として、固体投写型ディスプレイ、高解像度プリンタ、高密度光学データ記憶システム、次世代DVDプレーヤ、高効率固体照明、光感知用途、および医療用途が挙げられる。
【0038】
(技術説明)
本発明は、不活性キャリアガスを使用することによって、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上の(Ga、Al、In、B)N薄膜および素子の成長形態を改良する方法について説明する。本発明は、Mitsubishi Chemical Co.,Ltd.製自立型m−面GaN基板上にMOCVDによって成長させられたGaN薄膜および素子について、これらの効果を実験的に実証したものである。これらの基板は、HVPEによってc−方向に成長させられ、次いで、m−面表面を曝露するようにスライスされた。m−面表面は、化学的および機械的な表面処理法によって調製された。基板は、貫通転位密度5×106cm−2未満、キャリア濃度約1×1017cm−3、およびRMS表面粗度1nm未満を有する(製造業者によって測定)。
【0039】
キャリアガスの変化以外、MOCVD成長条件は、一般的には、c−面(Ga、Al、In、B)N薄膜に対して使用されたものに非常に類似していた。すべてのMOCVD成長は、気圧(AP)、典型的なV/III比(>3000)、および典型的な成長温度(>1000°C)で行われた。トリメチルガリウム(TMGa)、アンモニア(NH3)、およびシラン(SiH4)が、それぞれGa、N、およびSi前駆体として使用された。表面形態上のキャリアガスの効果を判定するために、2つのGaNテンプレート成長が、異なるキャリアガスによって行われた。両成長に対して、[000−1]方向におけるある範囲の意図的ミスカットを有するいくつかの自立型m−面基板が、同時に、MOCVDリアクタ内に装填された。NH3およびキャリアガスから成る大気中において、試料を成長温度まで上昇させた後、約10μm厚のSiドープGaN薄膜が、自立型m−面GaN基板の上部に成長させられた。GaN薄膜は、低温GaN核生成層を使用せず、自立型m−面GaN基板の上部に直接高温で成長させられた。成長の過程において、すべてのキャリアガスおよび前駆体は、一定の流量に保持された。最後に、GaN薄膜の成長の終わりに、NH3およびN2から成る環境内において、試料を室温まで低下させた。
【0040】
図7(a)−7(f)および8(a)−8(f)は、それぞれ、自立型m−面GaN基板上に成長させられたGaN薄膜の表面形態700a、700b、700c、700d、700e、700f、800a、800b、800c、800d、800e、および800f上のキャリアガスの効果ならびにミスカット角度を例示する光学顕微鏡写真を備えている。列挙された角度は、[000−1]方向に向かう、基板のミスカットに対応する。それぞれ、図7(a)−7(c)および図8(a)−8(c)に示される試料700a−cおよび800a−c(合計6つの試料)を、同時に自立型m−面GaN基板をMOCVDリアクタ内に装填し、100%H2キャリアガスによって、GaN膜700a−700cおよび800a−800cを成長させることによって加工した一方、それぞれ、図7(d)−7(f)および図8(d)−(f)に示される試料700d−700fならびに800d−800f(同様に、合計6つの試料)は、同時に、自立型m−面GaN基板をMOCVDリアクタ内に装填し、100%N2キャリアガスによって、GaN膜700d−700fおよび800d−800fを成長させることによって加工された。顕微鏡写真から分かるように、キャリアガスの選択は、表面形態に相当な影響を及ぼした。0.61°未満の小さな[000−1]ミスカット角度を有する試料700a−700fに対して、H2キャリアガスの使用は、それぞれ、比較的に大きく、連続的ピラミッド形小丘704a、704b、704cを有する表面702a、702b、702cをもたらした[参考文献2]一方、N2キャリアガスの使用は、それぞれ、空間的に離間した中サイズのピラミッド形小丘706、708、710と、それぞれ、その間の領域を装飾する、非常に小さなピラミッド形小丘712、714、716とを有する表面702d、702e、および702fをもたらした。より大きな[000−1]ミスカット角度に対して、H2キャリアガスの使用は、それぞれ、非常に粗いスレート状形態804a、804b、804cを有する表面802a、802b、802cをもたらした一方、N2キャリアガスの使用は、識別可能表面特徴の無い、光学的平滑表面802d、802e、802fをもたらした(例えば、表面802d−802fの領域806にわたって)。
【0041】
図9(a)−(f)は、10μm×10μmAFMスキャンを含んでおり、それぞれ、GaN膜902a、902b、902c、902d、902e、および902fの原子準位表面形態900a、900b、900c、900d、900e、ならびに900f上の[000−1]ミスカットの効果を例示している。ピラミッド形小丘が存在する試料上では、AFMデータは、[000−1]方向に対向するピラミッド形ファセットから収集されたが、その理由は、これが研究されるミスカットの方向であったためである。約1.5°より小さい[000−1]ミスカット角度を有する基板上の膜902a−902cに対して、試料表面900a−cは、原子準位規模で非常に平滑であったことが分かった。しかしながら、約1.5°より大きい[000−1]ミスカット角度を有する基板上の膜902d−902fに対しては、表面形態900d−900fは、高密度の側方ストライエーション904、906、908によって支配された。
【0042】
図10は、[000−1]ミスカット角度の関数として、RMS粗度を示す。図10から分かるように、RMS粗度は、大部分が高密度の側方ストライエーション904、906、908に起因して、1.5°より大きい[000−1]ミスカット角度に対して劇的に増加した。しかしながら、図7(a)−7(c)に示されるように、角度0.61°未満の[000−1]ミスカットを有する試料700a−700fは、その原子準位平滑度にもかかわらず、高密度のピラミッド形小丘704a、704b、704c、706、708、710、712、714、716で被覆された。これらの理由から、本発明は、m−面成長に対する任意の[000−1]ミスカット角度は、0.75°乃至1.5°の間のいずれかであると結論付ける。
【0043】
平滑MOCVD成長GaN膜(例えば、800d−800f)の実証後、図11に示されるように、(Ga、Al、In、B)Nレーザ構造が、高品質(Ga、Al、In、B)N素子を成長させるためのベースとしての平滑テンプレートとして、膜の実行可能性を確立するために、GaN膜の上面に成長させられた。
【0044】
素子1100成長に対して、[000−1]方向に、角度1104(非極性面、例えば、m−面1106に対して)を有するある範囲の意図的ミスカットを有するいくつかのMOCVD成長GaNテンプレート1102が、同時に、MOCVDリアクタ内に装填された。NH3およびキャリアガスから成る大気中で、試料を成長温度まで上昇させた後、約2μm厚1110のSiドープGaN薄膜1108が、100%N2キャリアガス内において、GaNテンプレート1102の上面に成長させられた。SiドープGaN層1108の成長後、8nm厚1114のInGaN壁1116および8nm厚1118a、1118bのGaN障壁1120a、1120bを有する5周期多重量子井戸(MQW)1112が、100%N2キャリアガス内で成長させられた。次に、15nm厚1122のMgドープp−AlGaN電子遮断層1124が、100%N2キャリアガス内で成長させられた。最後に、750nm厚の1126Mgドープp−GaN層1128および20nm厚の1130Mgドープp++−GaN接触層1132が、100%H2キャリアガス内で成長させられた。p−GaN1128およびp++−GaN接触層1132は、100%H2キャリアガス内で成長させられたが、最終のエピタキシャル表面1134、1136は、100%N2キャリアガス内で成長させられた下層の(Ga、Al、In、B)N層1108、1116、1120a、1120b、1124の表面1138、1140a、1140b、1140c、および1142に対して平滑な形態を維持した。ミスカットは、表面1146を有している。
【0045】
MOCVD成長後、レーザ構造1100は、200/3000Å Pd/Au p接点を有する300μm×300μmLEDに加工された。すべての測定は、注入電流20mAにおいて、ウエハ上のプロービングによって行われた。直流(dc)条件下での相対的な光強度測定は、較正された広域領域のSi光ダイオード上へのGaN基板1102を通した背面1144放出から得られた。図12−15は、テンプレートミスカットの関数として、レーザ構造の電気および光学特性を要約している。
【0046】
図12に示されるように、相対的な光強度は、テンプレートミスカットの増加に伴って若干減少した。しかしながら、この測定された出力パワーの減少は、テンプレート方位の増加に伴って表面粗度が減少することによる抽出効率の低下によるものであり得る。図13および14は、テンプレートミスカット1104の関数として、ELスペクトルを要約している。図13および14に例示されるように、ELピーク波長およびEL FWHMは、両方とも、テンプレートミスカットが増加しても全く均一のままであった。最後に、図15に示されるように、20mAにおける順電圧は、ミスカット角度が増加しても、比較的に低く、一定のままであった。
【0047】
本発明の一実施形態は、自立型の非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上に(Ga、Al、In、B)N薄膜を成長させるステップを含む。しかしながら、本発明の範囲は、また、あらゆる可能性のある外来基板のあらゆる可能性のある結晶学的方位に成長させられた非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N薄膜も含む。
【0048】
(プロセスステップ)
図16は、本発明の一実施形態による素子(例えば(Ga、Al、In、B)膜)を加工する方法を例示する工程図である。方法は、以下のステップを含み得る。
【0049】
ブロック1600は、非極性または半極性の基板あるいはテンプレートに低指数の結晶方位から外れたミスカットを提供するステップを表す。例えば、基板あるいはテンプレート1102は、一般的には、[000−1]方向に向かう、0.75°乃至1.50°のミスカット角度1104を有するミスカットを有するm−面基板あるいはテンプレートである(ミスカットは、一般的には、ある規模、方向、および表面1146を有する)。基板は、(Ga、Al、In、B)N基板、例えば、自立型(Ga、Al、In、B)N基板であってもよい。(Ga、Al、In、B)N基板は、外来基板を厚い非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N層から除去することによって、またはバルク(Ga、Al、In、B)Nインゴットまたはブールを個々の非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nウエハに切成することによって、生成されてもよい。テンプレートは、(Ga、Al、In、B)Nテンプレート、例えば、外来基板上にあってもよい。(Ga、Al、In、B)Nテンプレートは、例えば、エピタキシャル側方成長法(ELO)によって成長させられてもよい。
【0050】
ブロック1602は、(Ga、Al、In、B)N(例えば、薄)膜を(例えば、直接)非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板あるいはテンプレート上に成長させるステップを表す。(Ga、Al、In、B)N膜1108は、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板あるいはテンプレート1102の表面(例えば、表面1146を有するミスカット)上にあってもよい。
【0051】
ブロック1604は、ブロック1102の成長ステップの際に、キャリアガスを使用するステップを表し、成長の際に使用されるキャリアガスの少なくとも一部は、不活性ガスから成る。不活性ガスは、N2、He、Ne、Ar、Kr、および/またはXeから成ってもよい。キャリアガスの100%が、例えば、不活性ガスであってもよい。
【0052】
キャリアガスの組成ならびに/あるいはミスカットの方向および/または規模は、(Ga、Al、In、B)N薄膜および/または任意の後続層の以下の特性のうちの少なくとも1つに影響を及ぼすように選択される。すなわち、表面形態、成長率、合金組成、発光特性、および電気特性である。
【0053】
(Ga、Al、In、B)N薄膜は、可変または段階的な組成を有する複数の層を備えてもよい。(Ga、Al、In、B)N薄膜は、例えば、Ga−極性面またはN−極性面上に成長させられてもよい。(Ga、Al、In、B)N薄膜は、Fe、Si、Zn、および/またはMg等の要素によって、ドープされてもよい。しかしながら、また、(Ga、Al、In、B)N薄膜は、意図的に、ドープされなくてもよい。(Ga、Al、In、B)N薄膜は、核生成または緩衝層を含有してもよい。
【0054】
ブロック1606は、先行ステップによって、加工された膜を表す。(Ga、Al、In、B)N薄膜は、例えば、ハイブリッド気相エピタキシ法(HVPE)、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、および/または分子線エピタキシャル成長法(MBE)によって等、後続成長のための基板として使用されてもよい。
【0055】
例えば、ブロック1606の膜1108は、平面かつ光学的平滑領域を有する非極性または半極性の面である上面1138を備える、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N膜であってもよく、領域が、400nm乃至600nmの光波長を有する光学顕微鏡によって測定される場合、識別可能な非平面表面の起伏または特徴200、704a−c、706、708、710、712、714、716が無く、領域は、上面1138の領域上の1つ以上の素子層のエピタキシャル析出1112、1116、1124、1128、1132のための基板として使用するために十分に大きく、素子層1116は、20ミリアンペア駆動電流において、少なくとも2ミリワットの出力強度を有する光を発する。領域は、図8(d)−(f)に示される表面802d−fの領域806、または図9(a)−(c)に示される表面形態900a−cの領域であって、例えば、少なくとも100平方マイクロメートルであってもよい。
【0056】
上面1138は、100平方マイクロメートルの面積にわたって、上面1138におけるGa、Al、In、B、およびN原子の直径程度の表面粗度を伴って、原子的に平滑であってもよい。領域は、ストライエーション、例えば、側方ストライエーション904、906、908が無くてもよい。上面1138は、例えば、100平方マイクロメートルの面積にわたって、RMS0.5nmまたは0.25nm未満を有する表面粗度を有してもよい。
【0057】
膜1108は、m−面基板1102の表面1146上に析出されてもよく、表面1146は、[000−1]方向に向かう、0.75°乃至1.50°のミスカット角度1104を有するm−面基板のミスカットであってもよい。
【0058】
上面1138は、図2(a)−2(b)、3(a)−3(f)、4(a)−4(b)、5、6(a)−6(b)、7(a)−7(c)、8(a)−8(c)、および/または9(d)−9(f)に示される上面より平滑かつ平面であってもよい。例えば、上面1138は、図2(a)−2(b)、3(a)−3(f)、4(a)−4(b)、5、6(a)−6(b)、7(a)−7(c)、8(a)−8(c)、および/または9(d)−9(f)に示される表面と比較して、平面表面204、1138、800d−800fに対して傾斜した表面202を有するより少ない(または、より小さい密度の)識別可能構造200を有してもよい(例えば、識別可能構造は、ピラミッド形構造200、小丘、特徴、表面起伏、または表面ストライエーションであり得る)。平面表面204、1138は、一般的には、基板表面1146と実質的に平行である。
【0059】
上面1138は、図2(a)−2(b)、3(a)−3(f)、4(a)−4(b)、5、6(a)−6(b)、7(a)−7(c)、8(a)−8(c)、および/または9(d)−9(f)に示される表面起伏あるいはピラミッド形小丘と比較して、より小さい大きさの表面起伏、特徴、もしくはピラミッド形小丘を有してもよい。例えば、上面1138は、膜の上面より平滑であるか、または小さい表面粗度を有してもよく、その場合、ミスカット角度1104は、[000−1]方向に0.75より小さく、または[000−1]方向に1.50°を上回って離れる。
【0060】
上面1138は、密度8.4×102cm−2または1.1×106cm−2、サイズ10マイクロメートル、および/または勾配角度0.1°を有する、ピラミッド形小丘で特徴付けられた表面よりも平滑および平坦な平面であってもよい。例えば、上面1138は、図7(d)−7(f)、8(d)−8(f)、および/または9(a)−9(c)に示される表面702d−702f、802d−802f、900a−900cと少なくとも同程度に平滑であるか、平滑度あるいは表面粗度を有してもよい。
【0061】
膜は、m−面GaN膜であってもよく、上面1138は、GaNのm−面であってもよい。上述の上面の表面平滑度または粗度は、成長した状態のままである(as−grown)(すなわち、成長から直接生じる)が、表面処理(例えば、研磨/洗浄)は、成長後に行われてもよい。
【0062】
ブロック1608は、ブロック1606の膜の上面1138上に、1つ以上の素子層1112、1124、1128、1132を析出(例えば、成長)させるステップを表す。素子層1112、1124、1128、1132は、H2から成るキャリアガスの少なくとも一部(または、100%)によって、成長させられてもよい。1つ以上の素子層1112、1124、1128、1132は、H2から成るキャリアガスの少なくとも一部(または、100%)によって成長させられ得る、1つ以上のp型ドープ層1124、1128、1132を備えてもよい。素子層1112、1124、1128、1132は、膜1108の上面1138と少なくとも同程度に平滑である、上面1134、1136、1140cを有してもよい。
【0063】
ブロック1610は、先行ステップの最終結果、例えば、非極性または半極性のLED、レーザ、またはトランジスタ等の素子(例えば、光電子素子)を表す。
【0064】
(可能性のある修正例)
また、成長温度、成長圧力、V/III比、前駆体流量、および原材料等のMOCVD成長条件の変形例も、本発明の範囲から逸脱することなく、可能である。界面の質の制御は、プロセスの重要な側面であって、特定のリアクタ設計の流量切替え能力に直接関連する。成長条件の継続的な最適化によって、上述の非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N薄膜のより正確な組成および厚さの制御をもたらすことが可能である。
【0065】
上述の非極性のGaN薄膜の表面形態は、100%N2のキャリアガス内で膜を成長させることによって改良された。しかしながら、また、本発明の範囲は、キャリアガスの一部が不活性ガスから成る、任意のキャリアガス内における非極性または半極性の窒化物(Ga、Al、In、B)N薄膜の成長も網羅している。この不活性ガスは、N2、He、Ne、Ar、Kr、および/またはXeを含んでもよい。そのようなキャリアガスおよび本明細書に列挙されないその他の使用も本発明の範囲内である。
【0066】
上述の薄膜は、自立型の非極性のGaN基板上に直接成長させられた単一の均質および連続な層のGaNから成る。しかしながら、また、本発明の範囲は、可変または段階的組成を有する複数の層から成る(Ga、Al、In、B)N薄膜も網羅している。
【0067】
また、付加的な不純物またはドーパントも、本発明に説明される非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N薄膜に組み込むことが可能である。例えば、Fe、Mg、Si、およびZnは、多くの場合、窒化物ヘテロ構造内の種々の層に追加され、それらおよび隣接する層の伝導特性を改変する。そのようなドーパントおよび本明細書に列挙されないその他の使用も、本発明の範囲内である。
【0068】
また、本発明の範囲は、技術説明において引用される1つの非極性方位(m−面)よりも多くを網羅する。この概念はまた、窒化物系半導体素子を成長させるために使用可能なあらゆる非極性および半極性面に関する。用語「非極性面」は、集合的にa−面として知られる{11−20}面と、集合的にm−面として知られる{10−10}面とを含む。用語「半極性面」は、c−面、a−面、またはm−面として分類不可能な任意の面を指すために使用することが可能である。結晶学的用語では、半極性面は、少なくとも2つの非ゼロのh、i、またはkミラー指数、および非ゼロのlミラー係数を有する任意の面となるであろう。
【0069】
また、本発明は、特定の結晶極性の選択も網羅する。波括弧{}の使用は、本書を通して、対称性同等面群を指す。したがって、{10−12}群は、(10−12)、(−1012)、(1−102)、(−1102)、(01−12)、および(0−112)面を含む。これらの面はすべて、Ga−極性であって、結晶のc−軸が、基板からずれて指向することを意味する。同様に、{10−1−2}群は、(10−1−2)、(−101−2)、(1−10−2)、(−110−2)、(01−1−2)、および(0−11−2)面を含む。これらの平面はすべて、N−極性であって、結晶のc−軸が、基板に向かって指向することを意味する。単一結晶群内の平面はすべて、本発明の目的に該当するが、極性の選択は、成長プロセスの挙動に影響を及ぼし得る。いくつかの用途では、N−極性半極性面上に成長させることが望ましい一方、他の場合では、Ga−極性面上の成長が、好ましいであろう。両方の極性が、本発明の実践のために容認可能である。
【0070】
さらに、自立型の非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板以外の基板が、(Ga、Al、In、B)N薄膜成長のために使用可能である。本発明の範囲は、あらゆる可能性のある外来基板のあらゆる可能性のある結晶学的方位上における非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N薄膜の成長を含む。これらの外来基板として、炭化ケイ素、窒化ガリウム、シリコン、酸化亜鉛、窒化ホウ素、アルミン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ゲルマニウム、窒化アルミニウム、没食子酸リチウム、部分的置換スピネル、およびγ−LiAlO2構造を共有する四成分正方晶酸化物を含むが、それらに限定されない。
【0071】
さらに、非極性または半極性の窒化物核生成(または、緩衝)層および核生成層成長法における変形例も、本発明の実践のために容認可能である。核生成層の成長温度、成長圧力、方位、および組成は、後続非極性または半極性薄膜およびヘテロ構造の成長温度、成長圧力、方位、ならびに組成に整合する必要はない。本発明の範囲は、あらゆる可能性のある核生成層および核生成層成長法を使用して、あらゆる可能性のある基板上に非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N薄膜を成長させることを含む。
【0072】
上述の非極性のGaN薄膜は、自立型の非極性のGaN基板上に成長させられた。しかしながら、また、本発明の範囲は、エピタキシャル側方成長法(ELO)(Ga、Al、In、B)Nテンプレート上に成長させられた非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N薄膜も網羅している。ELO法は、後続エピタキシャル層内の貫通転位(TD)密度を減少させる方法である。TD密度の減少は、素子性能の改良につながり得る。c−面窒化物LEDおよびダイオードレーザの場合、これらの改良として、出力パワーの増加、内部量子効率の上昇、素子寿命の延長、および閾値電流密度の減少が挙げられ得る[参考文献19]。これらの利点は、ELOテンプレート上に成長させられたすべての非極性または半極性の窒化物LEDおよびダイオードレーザに関連するであろう。
【0073】
上述の技術説明は、HVPEによって、c−方向に成長させられ、次いで、m−面表面を曝露するようにスライスされた、自立型の非極性のGaN基板上の非極性のGaN薄膜の成長について論じた。また、自立型の非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板は、外来基板を厚い非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N層から除去することによって、バルク(Ga、Al、In、B)Nインゴットまたはブールを個々の非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)Nウエハに切生することによって、あるいは任意の他の可能性のある結晶成長またはウエハ製造法によって、生成されてもよい。本発明の範囲は、あらゆる可能性のある結晶成長法およびウエハ製造法によって生成される、あらゆる可能性のある自立型非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nウエハ上の非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N薄膜の成長を含む。
【0074】
(利点および改良点)
既存の実践は、極性[0001]c−方向に沿って、窒化物LEDおよびダイオードレーザを成長させることである。付随分極誘導電場および本質的に大きい有効正孔質量は、最先端のc−面窒化物LEDおよびダイオードレーザの性能に悪影響を及ぼす。非極性または半極性面上の窒化物LEDおよびダイオードレーザの成長は、分極効果を低減させ、有効正孔質量を減少させることによって、素子性能を大幅に改良可能である。
【0075】
本発明は、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上の(Ga、Al、In、B)N薄膜の表面形態を改良するための方法について説明する。これらの平滑(Ga、Al、In、B)N薄膜は、高性能の非極性または半極性の窒化物LEDおよびダイオードレーザの成長のためのテンプレートとしての役割を果たすことが可能である。サファイア上のc−面(Ga、Al、In、B)Nの高温成長に対して、ほとんどのグループが、キャリアガスとして、100%H2の使用を報告している。一般的な成長条件下では、キャリアガスとしての100%H2の使用は、最小転位密度および最平滑エピタキシャル表面を有するc−面(Ga、Al、In、B)Nエピタキシャル層をもたらす[参考文献1]。しかしながら、一般的なc−面(Ga、Al、In、B)N成長条件が、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上での(Ga、Al、In、B)Nの再成長のために使用される場合、独特の表面形態が生じ得る[参考文献2−4]。本発明は、N2等の不活性キャリアガスを使用することによって、非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板上の(Ga、Al、In、B)N薄膜の成長形態を改良するための方法について説明する。
【0076】
改良された表面形態は、非極性または半極性の窒化物素子製造業者に対して、所与の素子内の個々の層の厚さ、組成、ドーピング、電気特性、および発光特性におけるより優れた均一性を含むがそれらに限定されない、いくつかの利点をもたらすことが可能である。さらに、平滑表面は、特に、非極性または半極性の窒化物レーザダイオードにとって有益であって、光学散乱損失の大幅な低減をもたらすことが可能である。
【0077】
本発明の用途として、固体投写型ディスプレイ、高解像度プリンタ、高密度光学データ記憶システム、次世代DVDプレーヤ、高効率固体照明、光感知用途、および医療用途が挙げられる。
【0078】
(参考文献)
以下の参考文献は、参照することにより本明細書にその全体が組み込まれる。
【0079】
【表1−1】
【0080】
【表1−2】
(結論)
これは、本発明の好適な実施形態の説明を締めくくるものである。本発明の1つ以上の実施形態の上述の説明は、図解および説明のために示したものである。この記述は、網羅的であること、または本発明を開示された形態に限定することを意図したものではない。上述の教示に照らして、多数の修正および変形が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、むしろ本明細書に添付された請求項によって限定されることを意図する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(Ga、Al、In、B)N薄膜を加工する方法であって、
(Ga、Al、In、B)N膜を非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板もしくはテンプレート上に直接成長させることと、
該成長ステップの間、キャリアガスを使用することであって、該キャリアガスの少なくとも一部は不活性ガスから構成される、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記基板またはテンプレートに、低指数の結晶方位から離れる方向のミスカットを提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板あるいはテンプレートは、m−面の基板あるいはテンプレートであって、前記ミスカットは、[000−1]方向に向かい、0.75°乃至1.50°のミスカット角度を有し、(Ga、Al、In、B)N膜は、該ミスカットの表面上に成長させられる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記不活性ガスは、N2、He、Ne、Ar、Kr、またはXeのうちの1つ以上から構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
1つ以上の素子層が、前記膜の上面に配置され、該素子層は、H2から構成され、前記キャリアガスの少なくとも一部によって成長させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記素子層は、前記素子の1つ以上のp型ドープ層を含み、該p型ドープ層は、H2から構成されている前記キャリアガスの少なくとも一部によって成長させられる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)Nの膜であって、
非極性または半極性の面である上面であって、該上面は、平面で光学的に平滑な領域を有することにより、該領域が、光学顕微鏡を使用して、400ナノメートル乃至600ナノメートルの光波長を用いて測定される場合、識別可能な非平面の表面起伏または特徴が無い、上面を備えており、該領域は、20ミリアンペアの駆動電流において少なくとも2ミリワットの出力強度を有する光を発する1つ以上の素子層のエピタキシャル析出のための基板としての使用に対して十分に大きい、膜。
【請求項8】
前記領域は、ストライエーションが無い、請求項7に記載の膜。
【請求項9】
前記領域は、少なくとも100平方マイクロメートルである、請求項7に記載の膜。
【請求項10】
前記上面は、Ga、Al、In、B、およびNの原子の直径のオーダーの表面粗度を有して原子的に平滑である、請求項9に記載の膜。
【請求項11】
前記上面は、前記領域にわたって、0.5ナノメートル未満の二乗平均を有する表面粗度を有する、請求項9に記載の膜。
【請求項12】
前記上面は、前記領域にわたって、0.25ナノメートル未満の二乗平均を有する表面粗度を有する、請求項9に記載の膜。
【請求項13】
前記膜は、m−面基板の表面上に析出され、該m−面基板の表面は、[000−1]方向に向かい、0.75°乃至1.50°のミスカット角度を有するミスカットである、請求項9に記載の膜。
【請求項14】
前記上面の領域は、図2(a)−2(b)、3(a)−3(f)、4(a)−4(b)、5、6(a)−6(b)、7(a)−7(c)、8(a)−8(c)、または9(d)−9(f)に示される上面よりも平滑かつ平面である、請求項7に記載の膜。
【請求項15】
前記上面の領域は、密度8.4×102cm−2、大きさ10マイクロメートル、および勾配角度0.1°を有するピラミッド形小丘で特徴付けられた表面よりも平滑である、請求項7に記載の膜。
【請求項16】
前記上面の領域は、密度1.1×106cm−2を有する、ピラミッド形小丘で特徴付けられた表面よりも平滑である、請求項7に記載の膜。
【請求項17】
前記上面は、図7(d)−7(f)、8(d)−8(f)、または9(a)−9(c)に示される表面と少なくとも同程度に平滑である平滑度または表面粗度を有する、請求項7に記載の膜。
【請求項18】
前記膜は、m−面GaN膜であって、前記上面は、該m−面GaN膜のm−面である、請求項7に記載の膜。
【請求項19】
前記素子層は、前記膜の上面と少なくとも同程度に平滑である上面を有する、請求項7に記載の膜。
【請求項20】
前記上面の表面の平滑度または粗度は、成長した状態のままである、請求項7に記載の膜。
【請求項1】
(Ga、Al、In、B)N薄膜を加工する方法であって、
(Ga、Al、In、B)N膜を非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)N基板もしくはテンプレート上に直接成長させることと、
該成長ステップの間、キャリアガスを使用することであって、該キャリアガスの少なくとも一部は不活性ガスから構成される、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記基板またはテンプレートに、低指数の結晶方位から離れる方向のミスカットを提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板あるいはテンプレートは、m−面の基板あるいはテンプレートであって、前記ミスカットは、[000−1]方向に向かい、0.75°乃至1.50°のミスカット角度を有し、(Ga、Al、In、B)N膜は、該ミスカットの表面上に成長させられる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記不活性ガスは、N2、He、Ne、Ar、Kr、またはXeのうちの1つ以上から構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
1つ以上の素子層が、前記膜の上面に配置され、該素子層は、H2から構成され、前記キャリアガスの少なくとも一部によって成長させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記素子層は、前記素子の1つ以上のp型ドープ層を含み、該p型ドープ層は、H2から構成されている前記キャリアガスの少なくとも一部によって成長させられる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
非極性または半極性の(Ga、Al、In、B)Nの膜であって、
非極性または半極性の面である上面であって、該上面は、平面で光学的に平滑な領域を有することにより、該領域が、光学顕微鏡を使用して、400ナノメートル乃至600ナノメートルの光波長を用いて測定される場合、識別可能な非平面の表面起伏または特徴が無い、上面を備えており、該領域は、20ミリアンペアの駆動電流において少なくとも2ミリワットの出力強度を有する光を発する1つ以上の素子層のエピタキシャル析出のための基板としての使用に対して十分に大きい、膜。
【請求項8】
前記領域は、ストライエーションが無い、請求項7に記載の膜。
【請求項9】
前記領域は、少なくとも100平方マイクロメートルである、請求項7に記載の膜。
【請求項10】
前記上面は、Ga、Al、In、B、およびNの原子の直径のオーダーの表面粗度を有して原子的に平滑である、請求項9に記載の膜。
【請求項11】
前記上面は、前記領域にわたって、0.5ナノメートル未満の二乗平均を有する表面粗度を有する、請求項9に記載の膜。
【請求項12】
前記上面は、前記領域にわたって、0.25ナノメートル未満の二乗平均を有する表面粗度を有する、請求項9に記載の膜。
【請求項13】
前記膜は、m−面基板の表面上に析出され、該m−面基板の表面は、[000−1]方向に向かい、0.75°乃至1.50°のミスカット角度を有するミスカットである、請求項9に記載の膜。
【請求項14】
前記上面の領域は、図2(a)−2(b)、3(a)−3(f)、4(a)−4(b)、5、6(a)−6(b)、7(a)−7(c)、8(a)−8(c)、または9(d)−9(f)に示される上面よりも平滑かつ平面である、請求項7に記載の膜。
【請求項15】
前記上面の領域は、密度8.4×102cm−2、大きさ10マイクロメートル、および勾配角度0.1°を有するピラミッド形小丘で特徴付けられた表面よりも平滑である、請求項7に記載の膜。
【請求項16】
前記上面の領域は、密度1.1×106cm−2を有する、ピラミッド形小丘で特徴付けられた表面よりも平滑である、請求項7に記載の膜。
【請求項17】
前記上面は、図7(d)−7(f)、8(d)−8(f)、または9(a)−9(c)に示される表面と少なくとも同程度に平滑である平滑度または表面粗度を有する、請求項7に記載の膜。
【請求項18】
前記膜は、m−面GaN膜であって、前記上面は、該m−面GaN膜のm−面である、請求項7に記載の膜。
【請求項19】
前記素子層は、前記膜の上面と少なくとも同程度に平滑である上面を有する、請求項7に記載の膜。
【請求項20】
前記上面の表面の平滑度または粗度は、成長した状態のままである、請求項7に記載の膜。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図7(d)】
【図7(e)】
【図7(f)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図8(d)】
【図8(e)】
【図8(f)】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図9(c)】
【図9(d)】
【図9(e)】
【図9(f)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図7(d)】
【図7(e)】
【図7(f)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図8(d)】
【図8(e)】
【図8(f)】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図9(c)】
【図9(d)】
【図9(e)】
【図9(f)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2012−519394(P2012−519394A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553052(P2011−553052)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/025959
【国際公開番号】WO2010/101946
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/025959
【国際公開番号】WO2010/101946
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】
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