説明

非極性及び極性脱離基

本発明は、医薬を調製し、そして精製するための新規且つ利点を有する方法を提供する。前記方法は、求核反応を含んで成り、ここで求核反応におけるベクターの、高められた親油性を有する変性された脱離基LMは、非反応前駆体ベクター−LM及び副産物LMから生成物を精製するために便利な及び時間の節約できる手段を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、医薬の調製に関する。特に、本発明は、標的ベクターに対する脱離基LMを含んで成る前駆体標的ベクター上の求核性試薬Xとの効果的“液相”求核置換反応を実施するための方法及びキットに関し、ここで前記脱離基LMは高められた親油性を有する。本発明の方法及びキットは、非反応性前駆体、及び前記脱離基LMをまだ含む副産物から所望する医薬ベクター−Xの単純な精製を可能にする。
【背景技術】
【0002】
多くの医薬、例えば放射性ハロゲン化された医薬の調製においては、スキーム1aに示されるような求核置換反応が有用であり、そして通常使用される。
【0003】
【表1】

【0004】
ここでベクターは標的ベクターであり、
Xは求核性試薬であり、そして
Lは脱離基である。
【0005】
例えば、アメリカ特許第5,565,185号は、ハロ脱錫化によるメタヨードベンジルグアニジン(MIBG)の非キャリヤー放射性ラベリング方法を開示する。しかしながら、前記方法は、多くの不純物が放射性ラベルされたMIBGと共に溶液に残存することにおいて不都合である。特に、毒性錫副産物が、溶液に残存し、そして放射性ラベルされたMIBGが使用準備ができる前、分離されるべきである。
【0006】
副産物、例えば過剰前駆体を除去するための方策は、臨床学的に興味ある化合物の好結果をもたらす(放射性)合成及び続く安全な投与について確立されるべきであった。そのような反応はしばしば、使用される放射性ラベリング剤の量に対して高い過剰下で存在する量で非放射性有機前駆体を使用する。次に、過剰前駆体は、放射性ラベルされた化合物が診断及び/又は治療用途のために患者に適用される前、反応混合物から除去されるべきである。
【0007】
放射性ハロゲン医薬の場合、Xは一般的に、例えばアルミナ固相抽出を用いて、反応混合物における他の種から容易に分離され得る。さらに、当業者は一般的に、標準の精製プロトコールを用いて、他の放射性ラベルされた求核種、例えば11C−化合物又は求核化合物を除去するための方法を意識している。
【0008】
しかしながら、ベクター−X及びベクター−Lを分離することは困難である。多くの場合、ベクター−Lは、ベクター−Lが競争し、そしてベクター−Xのその標的物への結合を妨げるので、ラベルされていない標的ベクター−Lからベクター−Xを分離することが特に重要である。この競争が存在する場合、この効果は放射性医薬の最適以下の性能特性を導く。これは特に、受容体−結合(すなわち、特異的標的化)放射性医薬についての場合である。
【0009】
ベクター−Lからのベクター−Xの精製は通常、クロマトグラフィー、例えばHPLC、精製方法を用いることにより達成される。しかしながら、この技法は専門化された装置を必要とし、そしてさらに、退屈で且つ手間がかかる。ほとんどの臨床学的に有用な放射性同位体の半減期を考慮すると、できるだけ早く患者への投与の前、放射性合成及び精製を完結することが所望される。例えば、18Fの半減期は110分であり、そして従って18F−ラベルされた標的ベクターは、臨床使用の1時間以内に、合成され、そして精製される。
【0010】
上記観点においては、最終医薬ベクター−Xからの急速で且つ効果的な所望しない種の分離を提供する精製技法についての必要性が当業界において存在することが明らかである。
【0011】
ペプチド合成についての固相合成の導入以来、不溶性ポリマー支持体が、生成物を促進するために多くの合成方法に導入されて来た。固相ペプチド合成方法においては、置換反応の求核体は、スキーム2aに示されるように、固相に共存結合される。置換反応に続いて、過剰のベクター−L及び置換された脱離基Lは、濾過により樹脂−結合された生成物樹脂−X−ベクターから容易に分離される。
【0012】
【表2】

【0013】
WO2003/0012730号は、置換反応のベクターがスキーム3aに示されるように、脱離基を通して固相に共有結合される他の放射性ハロゲン化方法を開示する。
【0014】
【表3】

【0015】
この方策によれば、放射性ラベル剤Xは固相支持されたベクターと反応され、ベクター−Xが形成され、これは、樹脂の洗浄及び濾過により、反応しなかった樹脂−L−ベクター及び樹脂結合された脱離基樹脂−Lから便利に分離される。
陽電子放出トモグラフィー放射性トレーサーとしての使用のために適切な18F−放射性ラベルされたトレーサーの生成のための固相方法は例えば、WO2003/002157号に開示される。
【0016】
固相−支持された求核置換技法は実質的に精製段階を単純にすることができるが、それらは、異種反応条件が通常、低い有効性であり、良好でない放射性化学収率を導き、そして固体支持体を伴わないで溶液において実施される反応に比較して、遅い反応時間である固有の欠点を有する。
相同置換反応条件を利用する他の放射性ラベリング方策は例えば、WO2005/107819号及びDonavan など (J Am Chem Soc , 2006, 128, 3536-3537)の科学出版物に開示されている。
【0017】
WO2005/107819号は、固体支持体−結合されたスキャベンジャー基(スキャベンジャー樹脂)を用いて、基質ベクターX−Y上のYとのR*の置換反応に起因する放射性ラベルされたトレーサーベクターX−R*の精製に関する。スキャベンジャー樹脂Z−樹脂は、Yを置換し、そして生成物ベクターX−R*(溶液に残存する)から濾過され得る。ベクターX−Z−樹脂を生成するために、反応しなかった基質ベクターX−Yに対する類似する置換を受ける。従って、精製方法は、未反応前駆体から生成物を分離する。スキャベンジャー樹脂は単に、反応基の成分Yを置換するよう企画される。言い換えれば、このアプローチは、反応しなかった前駆体を除去するために制限されるが、しかし生成物からY脱離基の同時除去を可能にしない。さらに、WO2005/107819号に記載されるスキャベンジャー樹脂の反応成分Zは、Yのための良好な置換基である基に単に制限される。
【0018】
Donavanなど(上記)は、弗素に富んでいる陽性支持体を利用する求核放射性ヨウ素置換についての“相同”可溶性の支持された方法を記載し、ここで脱離基は過弗素化された成分に結合される。放射性ヨウ素化された生成物は、他の過弗素化された種に対する過弗素化された成分の強い親和性に基づいて、未反応の基質及び脱離基の両者から単離された。
【0019】
弗素に基づく精製を伴っての相同置換方法は放射性ヨウ素化のために効果的であることが示されているが、Sn基質は求核置換に対して特異的であるので、例えば18F放射性ラベリング又は求核反応のために有用であるとは思えない。求核18F置換は、放射性弗素ガス[18F]F2は容易には入手できず、そしてそれは低い比活性(添加される[19F]F2キャリヤーガスに起因する)を有するので、しばしば実施されない。さらに、[18F]フッ素化によるより好ましい(高い比活性)求核置換反応は、過弗素化された成分からの冷(19F)弗素による18Fの交換の観点からの問題あることが予測される。そのような弗素交換反応は、良く知られており、そして低い放射性化学収率及び放射性医薬の不良な比活性を導く。
【0020】
上記から、上記のような従来技術に比較して、広い適用性を容易使用し、そして提供する、中でも放射性ハロゲン医薬についての他の可溶性−支持された精製方策が必要とされることは明白である。従って、HPLC精製を必要とせず、そして未反応の前駆体化合物ベクターL及び脱離基副産物LからのベクターXの効果的分離を確かに確保する、放射性ハロゲン含有医薬を精製するための他の方策を開発することが有用である。
【発明の概要】
【0021】
本発明は一般的に、医薬の調製及び精製のための新規方法及びキットに関する。特に、本発明は、医薬、例えば放射性医薬を調製するための効果的液相求核置換反応を実施するための方法及びキット、脱離基(この基の親油性は、容易で単純な精製を可能にするために変性されている)を用いての生成物の続く精製に関する。本発明の精製方法は、非反応性前駆体分子及び求核置換反応の置換された脱離基から置換生成物を分離する。
【0022】
それらが生成する方法及び生成物は、いくつかの点において好都合である。前記方法は、標準の実験操作を用いて、及び洗練された精製装置の必要性を伴わないで、所望する主生成物からの非反応性前駆体及び副産物の単純且つ有効果分離をを可能にする。さらに、本発明の方法に従っての本明細書に記載されるような分離方法はしばしば、より便利で、柔軟であり、そして最も重要なことは、時間がかからず、このことは、臨床学的に使用される短命な放射性医薬、例えば18F−ラベルされた医薬の取り扱いにおいて非常に好都合である。
【0023】
従って、本発明は、第1の観点においては、医薬ベクター−Xの調製方法に関し、ここで前駆体種ベクター−LMの成分LMが前記医薬ベクター−X及び種LMを形成するために液相核置換を通して、反応体Xにより置換され、ここでベクターは標的ベクターであり;LMは、前記求核置換反応の前、ベクターに共有結合される変性された親油性を有する脱離基であり;LMの特徴は、前記変性された脱離基を含まない種に比較して、より単純な精製方法を可能にする。任意には、ベクター−Xはさらに、最終生成物ベクター−X’を生成するために反応せしめられる。
【0024】
第2の観点においては、本発明は医薬ベクター−Xの調製及び精製方法に関し、ここで前駆体種ベクター−LMの成分LMは、前記医薬ベクター−X及び脱離基種LMを形成するために液相求核置換を通して反応体Xにより置換され、任意には、ベクター−Xはさらに、最終生成物ベクター−X’を得るために反応せしめられ;そしてここで、前記変性された脱離基LMをまだ含むいずれかの種は、さらに下記に詳細に記載されるように、精製方法により、前記変性された脱離基LM、好ましくはベクター−Xを含まない種から選択的に分離される。
【0025】
第3の観点においては、本発明は、精製方法を用いて、医薬ベクター−Xから、変性された脱離基を含むいずれかの種を選択的に分離することにより、ベクター−X、ベクター−LM及び任意にはLMを含んで成る液相反応混合物から医薬ベクター−Xを精製するための方法に関する。本発明の適切な精製方法は、下記にさらに詳細に記載されるであろう。
好ましい態様においては、液相求核置換反応は、相同求核置換反応であり、すなわち反応は単一液相下で実施される。
【0026】
さらに、本発明のもう1つの観点は、本発明の求核置換及び/又は精製を実施するためのキットに関する。1つの態様においては、本発明のキットは、ベクターに結合される少なくとも1つの変性された脱離基LMを含んで成る。任意には、本発明のキットは、製品マニュアル、精製段階を実施するための1又は複数の化合物又は樹脂、及び/又は適切な反応又は精製媒体、及び同様のものを含んで成る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、正相及び逆相における4種の異なった塩化スルホニルのTLCを示し;Cs=塩化セシル(6);Ds=塩化ジプシル(7);Chs=塩化コレシル(8)。
【図2−1】図2−1は、[18F]FLTピークの前及び後での大きな有機不純物を示す。
【図2−2】図2−2は、[18F]FLTピークの前及び後での大きな有機不純物を示す。
【図2−3】図2−3は、[18F]FLTピークの前及び後での大きな有機不純物を示す。
【図2−4】図2−4は、[18F]FLTピークの前及び後での大きな有機不純物を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
特定の記載
第1の観点:本発明は、液相、好ましくは相同反応条件下で実施される求核置換反応に関し、すなわち置換は液体反応媒体において生じる。本発明の新規液相求核置換及び続く精製方法が下記スキームに4aに一般的態様で示されている。
【0029】
【表4】

【0030】
-LM=変性された脱離基、
ベクター−X=求核置換前駆体、
X-=求核成分
ベクター−X=求核置換されたベクター。
【0031】
本発明は、下記式:
ベクター−LM(I) → ベクター− X(II)
[式中、式Iの化合物のlog(D)と式IIの化合物のlog Dとの間の差異が1.5以上であり、
ベクターは、標的ベクターであり、
LMは、直接的求核性弗素化のために適切な変性された脱離基であり、そして
Xは、求核成分である]で表される、式Iの化合物の直接的求核放射性弗素化による式IIの化合物の調製方法に関する。
【0032】
好ましくは、求核成分Xは、放射性ハロゲン同位体、好ましくは18Fを含んで成る。
好ましくは、式Iの化合物のlog(D)と式IIの化合物のlog Dとの間の差異が、2以上、より好ましくは4以上である。
好ましくは、LMはスルホネート誘導体である。
【0033】
より好ましくは、LMは、下記である:
【化1】

【0034】
好ましくは、式Iの化合物は、
【化2】

から成る群から選択される。
【0035】
本発明の好ましい態様は放射性ハロゲン−同位体、例えば18Fによる求核置換を言及するが、放射性ハロゲンに対するそのようないずれかの参照は単に例により使用されるが、いずれかの手段により制限するものではない。例えば、前記方法は、他の放射性医薬、ハロゲン含有の非放射性医薬又はさらにいずれかの求核残基含有医薬を生成するために実施され得る。
【0036】
本発明のすべての方法は、特定の変性された脱離基(LM)の関連により特徴づけられる。本発明によれば、前記変性された脱離基LMは、前駆体X*(X*は反応に求核体Xを供給する適切な前駆体である:X*についての非制限例は、Xの塩である)又は前駆体**(ここでXは、求核葉能の間、X**からベクターにトランスファーされる求核成分である)に、置換反応の前又は間、由来することができる、求核成分Xを結合する求核置換反応にゆだねられる前駆体化合物ベクター−LMを形成するためのベクターに共有結合される。本発明の求核置換反応(及びキット)においては、ベクターは標的ベクターであり、そしてLMは、前記求核置換反応の間、脱離基である。
【0037】
変性された脱離基LMは、LMを含まない他の種からLMを含むいずれかの種の容易な分離を可能にする高められた親油性による特徴を有する。高められた親油性を有するそれらの脱離基は、当業者により使用される脱離基、すなわちメシレート、トリフレート又はトシレートよりも明白により親油性である。変性された脱離基LMを使用することにより影響される種々の分離方法は、さらに下記に詳細に記載される。変性された脱離基LMは、所望する生成物ベクター−Xからの非反応性前駆体ベクター−LM及び副産物LMの効果的且つ便利な分離を可能にする。LMを含まないそれらの種からのLM−含有種の分離は、LMの親油性質の程度に依存し、そして一般的に、当業者に知られている方法により実施され得ることが理解されるであろう。それらの態様に制限されないが、本発明は種々の分離タイプを、より詳細に記載することにより例示される。
【0038】
第2の観点:本発明は、第1の観点におけるように、求核置換反応に起因するか又はその反応に参加する式Iの化合物及び副産物から式IIの化合物を分離するための方法に関し、ここで、下記式II:
ベクター−X II
の直接的求核放射性弗素化化合物のための前駆体である、下記式I:
ベクター−LM I
上記式中、
式Iの化合物のlog(D)と式IIの化合物のlog Dとの間の差異が1.5以上であり、
ベクターは、標的ベクターであり、
Xは、求核成分、好ましくは18Fであり、そして
LMは、直接的求核性弗素化のために適切な変性された脱離基である。副産物は、LM(ベクター−LM)又はLMそれ自体を含む化合物である。2つの種を分離するのに有用な方法は、固相抽出、濾過、沈殿、蒸留及び液体−液体抽出の群から選択される。
【0039】
好ましくは、式Iの化合物のlogDと式IIの化合物のlog Dとの間の差異が、2以上、より好ましくは4以上である。
好ましくは、LMはスルホネート誘導体であり、より詳細については上記を参照のこと。
好ましくは、求核成分Xは放射性ハロゲン同位体を含んで成り、ここで前記放射性ハロゲン同位体は好ましくは18Fである。
【0040】
好ましくは、分離方法は、
−式Iの化合物及びXの混合物と、LMに対する高い親和性を有する液相又は固相とを接触し、そして
−式IIの化合物を、液体抽出相により除く段階を含んで成る。さらに、前記方法は任意には、第1の観点の方法(式Iの化合物の直接的求核放射性弗素化による式IIの化合物の調製方法)に続く。
【0041】
分離は、溶液相(液相)又はLMに対する親和性を有する樹脂(固相)を用いての液体−液体又は固体−液体抽出に基づかれる。そのような分離においては、LM含有種の液体抽出相又は固体樹脂への除去は一般的に、液体抽出相又は固体樹脂の極性、イオン性又は非極性質へのLMの親和性に依存する。一般的に、前記成分LMを含まないいずれかの種(例えば、所望する反応生成物ベクター−X)は実質的に、反応混合物に残存し、そして液体抽出又は固体樹脂にトランスファーされず、それにより、LMを含まないそれらの種からのLM−含有種の分離を達成する。他方では、液体−液体抽出の態様においては、LM−含有種は、反応混合物に対する親和性を有し、そして実質的に前記混合物に残存し、すなわちそれらは液体抽出相にトランスファーされない。
【0042】
上記液体−液体抽出の他の態様においては、LM−含有種及び成分LMを含まない種の分離は、液体抽出相へのLM−含有種の親和性に基づかれ、ところが精製成分LMを含まない種は液体抽出相中に抽出され、すなわち液体−液体抽出分離方法の特定の態様においては、LMは抽出液相に対してよりもむしろ反応液体液相に対する親和性を有し、そして従って、反応生成物ベクター−Xは、精製をもたらすために反応溶液を抽出され得る。
【0043】
言い換えれば、成分LMを含まない種からのLM−含有種の分離に関する本発明の一定の態様においては、前記分離は、反応相への前記LMの親和性に依存する。
固体−液体抽出の態様においては、LM−含有種の抽出は、固体樹脂(又は樹脂に結合される基)への前記種の親和性に依存する。
【0044】
さらに、LM−含有種はまた、生成物ベクター−Xからも分離され得、すなわちそれらは、LMが一定の条件下でそれらを沈殿する傾向があるようにするので(分離型B)、沈殿及び続く濾過又は遠心分離により、反応混合物から除去され得る。例えば、LMは、水に添加される場合、沈殿する傾向があるコレステリル成分を含むことができる。次に、そのような化合物は、濾過又は遠心分離により容易に除去され得る。
【0045】
第1の観点におけるX、LM、ベクター−LMについての好ましい特徴は、本明細書に開示される。
第3の観点:本発明は、下記式II:
ベクター−X II
の直接的求核放射性弗素化化合物のための前駆体である、下記式I:
ベクター−LM I
の化合物[上記式中、
式Iの化合物のlogDと式IIの化合物のlog Dとの間の差異が1.5以上であり、
ベクターは、標的ベクターであり、
Xは、求核成分、好ましくは18Fであり、そして
LMは、直接的求核性弗素化のために適切な変性された脱離基である]に関する。
【0046】
好ましくは、式Iの化合物のlogDと式IIの化合物のlog Dとの間の差異が、2以上、より好ましくは4以上である。
好ましい特徴は、一緒に組合され得、そして本発明の範囲内にある(上記を参照のこと)。
【0047】
次の化合物は、本発明の選択された化合物であり:
【化3】

【0048】
【化4】

【0049】
ここでRは、下記式:
【化5】

である。
【0050】
第4の観点:本発明は、下記式III :
R1−LM1(III )
[式中、R1は、ハロゲン化物であり、そしてS*に共有結合され、そして
LM1は、下記式:
【0051】
【化6】

である]で表される化合物に関する。
【0052】
好ましい化合物は、
下記式:
【化7】

【0053】
により表される3−[(10S, 13R)−17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10、13−ジメチル−ヘキサデカヒドロ−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルメチル]−ベンゼンスルホニル塩化物(3)−塩化コレシル;
【0054】
下記式:
【化8】

【0055】
により表される塩化アシル;
下記式:
【化9】

により表される塩化ジプシルである。
【0056】
第5の観点:本発明は、式III の化合物とベクターとを反応せしめることによる式Iの化合物の入手方法に関する。第1の観点におけるR1、 LM、ベクター−LM(式Iの化合物)についての好ましい特徴は、本明細書に開示される。
【0057】
定義
本発明においては、次の定義が適用されるであろう:
用語“a”又は“an”とは、本明細書において使用される場合、“1つの”、“少なくとも1つの”又は“1又は複数”を意味する。
【0058】
本発明の求核置換反応は、“液相”下で実施される。本明細書に定義されるような液相求核置換反応は任意には相移行触媒の存在下で、2相液体−液体反応、例えば2種の非混和性溶媒を言及するか、又は“相同反応”を言及する。用語“相同”とは、置換反応を記載するために本明細書において使用される場合、反応条件が均質である(すなわち、固体支持体を包含する従来技術の精製について記載されるような異種反応に比較して)ことを意味する。言い換えれば、異種求核置換反応は、単一液相下で生じ、そして反応体は、反応の間、前記相内に溶解される。当業者は、いくつかの化合物が、置換反応の完結の後、液体反応混合物から沈殿することができるが、しかしその混合物は異種求核反応により混乱されないことを理解するであろう。
【0059】
用語“ベクター”又は“標的ベクター”とは、本明細書において使用される場合、病理学、疾病又は疾状をイメージングするために好ましい生分布を付与する固有の性質を好ましくは有する化合物を記載する。求核置換反応の前、ベクターは、液相求核置換反応にゆだねられる変性された脱離基LMに共有結合される。
【0060】
ベクターは、意図される目的のために選択されるいずれかの適切な標的ベクターであり、そして約50000、約30000、約15000、約10000以下、好ましくは約5000 Da以下、より好ましくは約2500 Da以下、及び最も好ましくは約1500 Da以下の分子量を一般的には有する。
【0061】
既に実際的な理由のために、少なくとも化学が定義されるほうが良いので、小さな標的ベクターが好ましく、そして本発明の溶液は求核置換反応において求核体Xと相互作用するか/干渉する少ない官能基が存在することは明白である。ベクターは典型的には、合成小分子、医薬的活性化合物(すなわち、薬物分子)、代謝物、シグナル分子、ホルモン、ペプチド、タンパク質、受容体アンタゴニスト、受容体アゴニスト、受容体逆作動薬、ビタミン、必須栄養物、アミノ酸、脂肪酸、脂質、核酸、一−、ニ−、三−又は多糖、ステロイド及び同様のものから成る群から選択される。前述の選択肢のいくつかはそれらの意味においてオードーラップし、すなわちペプチドはまた、医薬活性化合物でもあり得、又はホルモンはシグナル分子又はペプチドホルモンであり得ることが理解されるであろう。さらに、前述の物質種類の誘導体がまた包含されることが理解されるであろう。
【0062】
ベクター(又は任意には、それぞれベクター又はベクター−Xのいずれかの代謝物)は、好ましくは、哺乳類身体において標的部位に対して特異的に結合する成分である。これに関しての特異的結合とは、ベクター、又はさらにベクター−Xが周囲の組織又は細胞に比較して、この標的部位でかなりの程度、蓄積することを意味する。例えば、ベクターは、哺乳類身体内の病原性部位で選択的に発現される、受容体又はインテグリン又は酵素に対して特異的に結合することができるか、又はベクターは、哺乳類身体内の病原性部位で選択的に発現されるトランスポーターにより特異的に輸送され得る。
【0063】
いくつかの態様においては、受容体、インテグリン、酵素又はトランスポーターは、哺乳類身体内の病原性部位で、すなわち健康な対象において異なるか又は不在である部位に独占的に発現され、逆もまた同様である。この場合、ベクターは好ましくは、哺乳類身体内の病原性部位で独占的に発現されるか又は存在し、そして非病原性部位で発現されないか又は不在である(但し、後者は、まちがいなく高く所望されるが、実際、まれに達成されるが)、受容体又はインテグリン又はトランスポーターに対して特異的に結合することが理解されるであろう。
【0064】
特異的結合についての例は、次のものを含有するが、但しそれらだけには限定されない:感染、炎症、癌、血小板凝集、脈管形成、壊死、虚血、組織低酸素血症、血管由来の脈管、アルツハイマー病プラーク、動脈硬化プラーク、膵臓島細胞、トロンビン、セロトニントランスポーター、神経エピネフリントランスポーター、LAT 1トランスポーター、アポトーシス細胞、マクロファージ、好中球、EDBフィブロネクチン、受容体チロシンキナーゼ、心臓交感ニューロン、及び同様のものの部位への特異的結合を包含する。
【0065】
好ましい態様においては、ベクターは、合成小分子、医薬的活性化合物(薬物)、ペプチド、代謝物、シグナル分子、ホルモン、タンパク質、受容体アンタゴニスト、受容体アゴニスト、受容体逆作動薬、ビタミン、必須栄養物、アミノ酸、脂肪酸、脂質、核酸、一−、二−、三−又は多糖、ステロイド、ホルモン及び同様のものから成る群から選択され得る。より特定には、ベクターは、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンニトール、スクロース、又はスタキオース及びそれらの誘導体(例えば、N−Ac基が結合されるか、又は−LM以外の官能基が保護される)、グルタミン、グルタメート、チロシン、ロイシン、メチオニン、トリプトファン、アセテート、コリン、チミジン、フォレート、メトトレキセート、Arg-Gly-Asp(RGD)ペプチド、走化性ペプチド、αマラノトロピンペプチド、ソマトスタチン、ポンベシン、ヒトプロ−インスリン結合ペプチド及びそれらの類似体、GPIIb/III a−結合化合物、PF4−結合化合物、αVβ3、αVβ6、又はα4β1インテグリン−結合化合物、ソマトスタチン受容体結合化合物、GLP−1受容体結合化合物、シグマ2受容体結合化合物、シグマ1受容体結合化合物、末梢ベンゾジアゼピン受容体結合化合物、PSMA結合化合物、エストロゲン受容体結合化合物、アンドロゲン受容体結合化合物、セロトニントランスポーター結合化合物、神経エピネフリントランスポーター化合物、ドーパミントランスポーター結合化合物、LAT1トランスポーター結合化合物及びホルモン、例えばペプチドホルモン、及び同様のものから成る群から選択され得る。
【0066】
本発明の態様においては、一般的には、ベクター−Xが実質的に同じ生物学的に適切な特徴を示し、例えばベクターとして、哺乳類における標的部位に対して特異的に結合する標的成分であることが好ましいであろう。言い換えれば、Xは実質的に、ベクターの標的性質を変更しない。
【0067】
さらに、もう1つの好ましい態様においては、ベクター−Xは、局所組織潅流の主器官における評価を可能にする態様で主器官において蓄積することができる。例えば、ベクターは、局所潅流レベルによれば、潜在的心発作患者の心臓に蓄積することができ、そして心臓が閉塞冠状動脈を有する領域の評価を可能にする。同様に、脳における潅流に影響を及ぼすベクターが卒中の領域の同定を助けることができる。
【0068】
用語“タンパク質とは、本明細書において使用される場合、少なくとも約20個又はそれ以上のアミノ酸(そのD及び/又はL形)を有するいずれかのタンパク質、例えばペプチド、酵素、糖タンパク質、ホルモン、受容体、抗原、抗体、成長因子、等を意味するが、但しそれらだけには限定されない。約20個以上のアミノ酸残基、約50個以上のアミノ酸残基、及び時々、約100又は200個以上のアミノ酸残基を有するタンパク質がその意味に包含される。
【0069】
用語“ペプチド”とは、本明細書において使用される場合、少なくとも1つのペプチド結合を含んで成るいずれかの実在物を言及し、そしてD及び/又はLアミノ酸を含んで成る。用語ペプチドの意味は時々、上記に定義されたような用語タンパク質とオーバーラップする。従って、本発明のペプチドは、少なくとも2〜約50個のアミノ酸を有する。しかしながら、最も好ましくは、ペプチドは2〜約20個のアミノ酸、及びある態様においては、2〜約15個のアミノ酸を有する。
【0070】
用語“小分子”とは、約1000個以下の原子単位であるすべての分子を包含する。本発明の一定の態様においては、小分子は、天然源からであり得るか、又は合成的に生成され得るペプチドである。他の態様においては、小分子は、有機、非ペプチド/タンパク質分子であり、そして好ましくは、合成的に生成される。特定の態様においては、小分子は医薬的活性化合物(すなわち、薬物)、又はそのプロドラッグ、薬物の代謝物、又は天然の生物学的方法、例えば刺激に応答しての酵素機能又は器官機能に関連する反応の生成物である。小分子は一般的に、約75〜約1000の分子量を有する。
【0071】
ペプチドホルモンについての非制限的例は、次のものである:アンギオテンシン、レプチン、プロラクチン、オキシトシン、バソプレシン、ブラジキニン、デスモプレッシン、ゴナドリベリン、インシュリン、グルカゴン、ガストリン、ソマトスタチン、カルシトニン、パラトルモン、ANF、グレリン、オベスタチン、HCG、甲状腺刺激ホルモン、サイロリベリン、ホリトロピン、黄体刺激ホルモン、アドレノコルチコトロピン、MSH、EPO、ソマトトロピン、IGF、LH/FSH、TSH、ACTH 及びGH。
【0072】
ベクターは一般的に、ベクター−LM種内に含まれるので、ベクターは、求核剤X又はXを含んで成る成分/分子/前駆体に対する変性された脱離基LM(ベクターに結合される)を交換するために選択的求核置換反応に参加するのに適切であるいずれかの形のベクターを言及する。言い換えれば、すなわち、ベクターは任意には、LMの他に、他の反応性基を有することができる。いくつかの態様においては、前記他の反応性基の少なくとも1つが、求核置換が実施される前、保護されるべきである。さらに、ベクターは所望する医薬の前駆体であり得、すなわちベクターは所望する生成物を得るために、求核置換の後、さらに変性されるべきである。
【0073】
脱離基LMは好ましくは、−OSO2−R(ここで、Rは単純な精製方法を可能にするために変性されている)から成る群から選択される。
ある態様においては、脱離基LMは1つよりも多くのRを含む。
【0074】
用語“LM”又は“変性された脱離基”とは、本明細書において使用される場合、求核置換反応に関連し、そしてベクターに共有結合され、そして前記求核反応体Xにより置換される成分を言及する。本明細書において定義されるようなLMは、前記精製成分LMを含まない他の種からの、前記精製成分LMを含む種の分離を可能にする特徴を有する。
【0075】
用語“X”又は“反応体X”とは、本明細書において使用される場合、ベクター−X種をもたらすか、ベクター−LM前駆体のLM成分の求核置換を実施するのに適切ないずれかの求核剤を言及する。例えば、Xは、全体として求核剤であるか、又はベクター−LMと反応する求核基(例えば、アミン基)を含んで成る成分/分子である。他方では、Xは、前駆体X*(例えば、塩)、又は前駆体X**に由来し、ここでXは、求核反応の間、X**からベクターに移行される求核成分であり、そしてそれにより、Xはベクター−LMの成分LMを置換する。反応体Xの反応領域は好ましくは、負に荷電されるが、しかしまた、分子の極性電子に富んでいる部分でもあり得る。
【0076】
前述からの明らかなように、用語“X”又は“反応体X”とは、本明細書において使用される場合、前記反応の前、間及び後、本発明に従って求核反応を実施するために反応混合物に存在することができる、すべての可能な形のXを記載することを意味する。本発明において有用な異なった可能な形のXを例示するための例として、Xは前記求核反応の前、アニオン形であり得るか、又は求核反応の間、中間体状態で含まれ、そしていずれかの場合、生成物ベクター−Xを形成する求核反応の後、ベクターへの共有結合される基であろう。同じ原理がまた、本明細書において使用される他の類似種、例えばベクター、LM、等に拡張することが理解されるであろう。
【0077】
本発明の特定の態様においては、Xは、ハロゲン又はハロゲン化物、例えば弗素又は弗化物である。他の好ましい態様においては、求核剤Xは、下記群から選択された放射性同位体であるか又はそれらを含んで成るが、但しそれらだけには限定されない:99mTc、111In、18F、201TI、123I、124I、125I、131I、 34Cl、11C、32P、72As、76Br、89Sr、 153Sm、 186Re、188Re、212Bi、213Bi、89Zr、86Y、90Y、67Cu、64Cu、192Ir、165Dy、177Lu、117mSn、213Bi、212Bi、211At、225Ac、223Ra、169Yb、68Ga及び67Ga。
【0078】
上記に列挙される放射性同位体のいくつかはそれら自体、求核置換反応を実施するのに適切でないことが理解されるであろう。しかしながら、当業者は、列挙される放射性同位体のどれが求核反応において求核体(例えば、18F)を表すのに適切であるか、そしてどの放射性同位体が求核置換反応によりLMを置換するのに適切なもう1つの求核成分に結合されるかを知っているであろう。
【0079】
Xが放射性同位体である態様においては、放射性同位体が放射性ハロゲン、例えば18F、123I、124I、125I、131I、34Cl及び 211Atである場合が好ましい。本発明おいて最も好ましい放射性同位体は、弗素の18F放射性同位体である。上記に列挙される放射性ハロゲンは求核剤として(すなわち、アニオン種として又は極性成分として、同様のものとして)、反応混合物に存在するか、又はそれらは求核剤内に含まれ得、ここで放射性同位体は求核反応において活発に関与されないが、しかし置換成分Xの一部であることが理解されるであろう。
【0080】
典型的には、及び特にことわらない限り、用語“前駆体”とは、本明細書において使用される場合、求核置換反応の少なくとも1つの、1以上の又すべての反応体、すなわちX、 X*、X**及びベクター−LHを言及する。
【0081】
用語“ベクター−X”とは、本明細書において使用される場合、求核剤Xと前駆体/反応体ベクター−LMとの液相求核反応の生成物を言及する。用語“ベクター−X”は、中性、非極性、極性、負又は正に荷電された種を包含する。生成物“ベクター−X”は、保護された反応基を含んで成り、そして/又はベクター−X結合と相互作用しない追加の変性、例えば最終ベクター−X’を調製するために異なった反応基の保護解除又は変性にゆだねられ得る。
【0082】
1つの好ましい態様においては、ベクター−Xはハロゲン化された生成物である。さらにもう1つの好ましい態様においては、ベクター−Xは、放射性ラベルされた生成物、好ましくは放射性ハロゲンによりラベルされた生成物及び最も好ましくは、18Fラベルされた生成物である。
【0083】
用語“反応媒体”とは、本明細書において使用される場合、典型的には、本発明の求核反応を実施するためのすべての化合物、例えば緩衝液、塩、溶媒及び可溶性支持体を含んで成る。任意には、前駆体ベクター−LM及びXはさらに、求核置換の前、反応媒体に存在することができることが理解されるべきである。
【0084】
用語“反応混合物”とは、本明細書において使用される場合、典型的には、本発明の液相求核置換反応にゆだねられ、そして主生成物及び任意には、副産物及び非反応反応体を含んで成るか、又は含んで成ると思われる液体組成物に関する。反応混合物は、前記置換反応の後、及び続く精製段階の前、例えばキレート化固体−液体抽出のための最適化されたpH値を得るために酸又は塩基を添加することによりpHをわずかに変更する前記精製段階を実施するためにより適切である条件を創造するために添加される添加剤を含んで成ることができる。
【0085】
本出願においては、用語“精製するための”“精製”、“分離するための”及び“分離”とは、交換可能的に使用され、そして精製成分LMの存在又は不在に基づいて複数の種の混合物のいずれかの分割を意味し、ここで成分LMを含まない少なくとも1つの種が液体画分に存在するか又は抽出され、そしてLM−含有種は別の液体又は固体画分に存在する。従って、分離は、LM−含有種の特異的及び選択的富化又は消耗、濃縮及び/又は単離、又は成分LMを含まない種のそれらを包含するが、但しそれらだけには限定されない。しかしながら、精製は典型的には、成分LMを含まない種をまた含む液相内のLM−含有種の消耗を意味することが理解されると思われるであろう(成分LMを含まない前記非−LM種はさらに、変性されるか、又は他の化合物から分離されるかどうかに関係なく)。精製の後、液相に残存するLM−含有種の不純物が存在することができることが明白である。
【0086】
従って、“精製するための”とは、本明細書において使用される場合、この用語は好ましくは、LM−含有種のより完全な消耗を意味するが、精製段階の後、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%の、成分LMを含まない少なくとも1つの種を含む液相におけるLM−含有種の消耗に関することが理解されるべきである。従って、本出願が用語“精製するための”、“精製”、“分離するための”又は“分離”を言及する場合いつでも、それらは、精製段階の後、50%、60%、70%、80%、90%、好ましくは95%、より好ましくは99%及び最も好ましくは100%の、成分LMを含まない種を含む液相からのLM−含有種の消耗を意味する。精製レベルがLM−含有種の少なくとも95%、好ましくは97%、より好ましくは99%及び最も好ましくは100%消耗でない場合、連続(反復)精製方法が、全体の精製を所望するベルトに高めるために反応混合物に対して実施され得る。
【0087】
用語“可溶性の支持された”又は“可溶性支持体”とは、本明細書において使用される場合、可溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコールに基づく合成方法を言及する。ポリマー支持体を使用しない相同反応スキームを言及する“従来の”又は“溶解”合成に比較して、用語“可溶性の支持された”反応とは、本明細書において使用される場合、例えば生成物の単離を促進するために可溶性高分子キャリヤーを組込む方法のために保持される。
【0088】
本発明の“可溶性支持体”は、可溶性高分子キャリヤイーである。典型的には、本発明の方法のために適切な可溶性支持体は、良好な化学安定性を示し、そして有機成分の容易な結合のための適切な官能基を供給し、そして低溶解性の分子体を溶解し、そして標的化合物の物理化学性質に関係なく、一般的な合成方法を可能にするために、可溶化力を示す。可溶性支持体は典型的には、1つの個々分子量を示さないかも知らないが、しかし代わりに、種々のサイズ/分子量を有する高分子から成ることができることが理解されるべきである。適切な個体支持体は、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリメチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンオキシド、セルロース、ポリアクリルアミド及び同様のものから成る群から選択され得るが、但しそれらだけには限定されない。
【0089】
用語“樹脂”とは、本明細書において使用される場合、固相を言及し、すなわち、それは、求核置換反応を実施するために使用される液体において、又は続く精製の間、不溶性である。典型的には、樹脂は、樹脂の表面に結合されるか、又はリンカーにより樹脂の表面に結合される反応性基を任意には含んで成るポリマーである。
【0090】
前述から明らかなように、本発明は中でも、液相求核置換反応、及び未反応反応体から所望する生成物を精製するための可能なダウンストリーム方法を含んで成る、医薬の調製方法に向けられる。
【0091】
用語“ハロゲン化物”とは、単独で又はもう1つの基の一部として本明細書において使用される場合、当業者に知られているか、又は明白であり、そしてフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
【0092】
方法
1つの態様は、医薬ベクター−Xの調製方法であり、ここで前駆体種ベクター−LMの成分LMが、前記医薬ベクター−X及び種LMを形成するために液相求核置換を通して反応体Xにより置換され、ここで
ベクターは、標的ベクターであり、
LMは、前記求核置換反応の前、ベクターに共有結合される変性された脱離基であり;そして任意には、ベクター−Xはさらに、最終生成物ベクター−X’を得るために反応せしめられる。
【0093】
本発明のもう1つの観点は、医薬ベクター−Xの調製及び精製方法であり、ここで前駆体種ベクター−LMの成分LMが、前記医薬ベクター−X及び種LMを形成するために液相求核置換を通して反応体Xにより置換され、ここで
ベクターは、標的ベクターであり、
LMは、前記求核置換反応の前、ベクターに共有結合される変性された脱離基であり;そして任意には、ベクター−Xはさらに、最終生成物ベクター−X’を得るために反応せしめられ;そして前記精製成分LMを含むいずれかの種(LM−含有種)は、精製方法を用いることにより、前記精製成分LM、好ましくはベクター−Xを含まない種から選択的に分離される。
【0094】
本発明のさらに1つの観点は、ベクター−X、ベクター−LM及び任意にはLMを含んで成る液相反応混合物:
[ここでベクターは、標的ベクターであり;
LMは、前記求核置換反応の前、ベクターに共有結合される変性された脱離基である]から、精製方法を用いて、ベクター−Xから前記成分LMを含むいずれかの種を選択的に分離することにより、医薬ベクター−Xを精製するための方法に関する。
【0095】
本発明の特定の態様においては、ベクター−LMのS−Xへの求核置換反応は、可溶性の支持された反応として実施される。
本発明の好ましい態様においては、ベクター−LMのベクター−Xへの求核反応は、相同求核置換反応として実施される。
【0096】
1又はいくつかのLM−含有種から、成分LM、例えば所望の生成物ベクター−Xを欠いている種の分離は、当業者に一般的に知られている方法を用いて実施され得る。適切な例は、次のセクションに、より詳細に記載されるであろう。
【0097】
精製方法
液体−液体精製
好ましい態様においては、変性された脱離基LMを含まない種は、液相−液相抽出により、LM−含有種から分離され得る。従って、LM−含有種は例えば、反応混合物から除去され得る。他方では、非−LM−含有種(例えば、ベクター−X)は、反応混合物から除去され、そしてLM−含有種は反応混合物内に実質的にとどまる。
【0098】
当業者は一般的に、液体−液体抽出の原理を気づいている。好ましくは、本発明の液体−液体抽出は、それぞれ、抽出相又は反応相の親油性に対する成分LMの親油性に依存する。
【0099】
本発明の精製方法は例えば、LM−含有種の液相−液相抽出を含んで成るが、、ところが成分LMを含まない種は反応混合物に実質的に残存する。用語“反応混合物に実施的に残存する”とは、本明細書において使用される場合、成分LMを欠いている個々の種の少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%が反応混合物に残存することを意味することが理解されるべきである。より好ましくは、成分LMを含まない個々の種の少なくとも99%又は100%が反応混合物に残存する。
【0100】
求核剤Xが放射性同位体、好ましくは放射性ハロゲン、例えば18Fである本発明の態様においては、抽出媒体及び/又は成分LMは、放射性同位体との交換反応を受けることができるXの非放射性同種体を含まないことが所望される。この原理によれば、Xが放射性同位体を含んで成る場合、抽出媒体及び/又は成分LMは前記放射性同位体の非放射性同種体を含まないことが所望されることがまた理解されるであろう。液体−液体抽出においてXの非放射性同種体を含まない抽出媒体及び/又は成分LMの不在は、副産物としての種ベクター−X(例えば、“冷”ベクター−X)の非放射性類似体の生成を回避する。
【0101】
非制限例として、Xが18Fである場合、LMは放射性同位体18Fとの交換反応を受けることができる1又は複数の19F原子を含まないことが所望される。そのような弗素交換反応は、当業者に良く知られており、そして他の問題の中で、放射性医薬の低い放射性化学的収率及び不良な比活性を導く。
【0102】
本発明のもう1つの好ましい態様においては、液相−液相抽出方法は、抽出相、例えば極性又はイオン性液体抽出相へのLM−含有種の親和性に依存し、ところが、成分LMを含まない種は前記液体抽出相中に実質的に抽出できず、すなわちこの態様は液体−液体抽出工程に関連し、ここで成分LMを含まない種が抽出され、そしてLM−含有種は反応混合物に実質的に残存する。当業者は、液体−液体抽出をいかにして一般的に実施するかについて知っているであろう。液体−液体抽出は、1,2及び多くの場合、さらに、3,4,5又はそれ以上実施され得る。
【0103】
さらにもう1つの好ましい態様においては、液体−液体抽出方法は、反応混合物ほど極性ではない液体抽出相へのLM−含有種の親和性に依存し、ところが、成分LMを含まない種は前記液相中に実質的に抽出できない。
【0104】
“液体抽出”とは、本明細書に記載される液相−液相抽出において使用される場合、LM−含有種が反応混合物から抽出され、すなわち抽出混合物に移行される溶液として理解されるべきであり、ところが精製成分LMを含まない種は反応混合物に実質的に残存し、すなわち前記液低抽出相に実質的に抽出できない。この場合、実質的に抽出できないとは、成分LMを含まない個々の種の少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%が混合物に残存することを意味する。最も好ましくは、成分LMを含まない個々の少なくとも約99%又はさらに100%が反応混合物に残存する。
【0105】
固体−液体抽出
本発明のもう1つの好ましい態様においては、精製方法は、LM−含有種の固相−液相抽出を含んで成るが、ところが成分LMを含まない種は反応混合物に残存する。当業者は一般的に、固体−液体抽出をいかにして実施するかを知っている。そのような抽出は遠心分離又は濾過により除去され得るビーズの使用を含有し、又はそのような抽出は例えば、カラム及び同様のものの使用を包含し、ここで固相は定常相であり、そして反応混合物は移動相であるか又はその相に存在する。樹脂は本発明の固相であり得る。樹脂は例えば、変性されないか、又はそれに結合される1又は複数の活性及び/又は相補基を含んで成る。好ましくは、本発明の固体−液体抽出は、固体抽出相への親油性LMの親和性に依存する。他方では、本発明の固体−液体抽出は、LMと固体抽出相との間の非共有親和性に依存し、ここでvan der Waals、イオン及び/又は極性相互作用の組合せが抽出方法に包含される。
【0106】
さらに、本発明の好ましい態様は、Xが放射性同位体である方法に関する。それらの場合、固体樹脂又はそれに対して結合する成分は、上記に説明されたように、放射性同位体との交換反応を受けるXの非放射性同種体を含まない。
【0107】
この原子によれば、Xが放射性同位体を含んで成る場合、抽出媒体及び/又は脱離基LMは前記放射性同位体の非放射性同種体を含まないことが所望されることがまた理解されるであろう。
【0108】
さらにもう1つの態様においては、抽出方法は、LMと樹脂に結合される相補的化合物との間の非共有親和性に依存し、ここでvan der Waale、イオン及び/又は極性相互作用の組合せが包含される。
【0109】
沈殿による精製
本発明の教授に従えば、LM−含有種は、LM−含有種を沈殿することにより、成分LMを含まない種から分離され得、すなわち精製方法は、LM−含有種が沈殿し、そして成分LMを含まない種が溶解したまま存続するような条件に反応混合物を調製することを含んで成る。
【0110】
LM−含有種の沈殿は例えば、反応混合物の極性、pH、温度及び/又はイオン強度を調節することにより、及び/又はLM−含有種が沈殿するが、ところが成分LMを含まない種は溶解したまま存続するように反応混合物に特定のイオンを付加することにより達成され得る。例えば、LMは、水に添加される場合、沈殿する傾向があるコレステリルを含んで成る。そのような沈殿された種は、濾過又は遠心分離により容易に除去され得る。
【0111】
キット
本発明のもう1つの観点は、本明細書に記載されるような求核置換反応及び/又は精製方法を実施するためのキットに関する。
【0112】
本発明のいくつかの態様によれば、キットは化合物LM及びベクター−LMを、いずれかの適切な組合せで含むことができ、そしてさらに、任意には種X又はXの前駆体、例えばX*又はX**を含んで成る。特に、放射性種Xが、それがキットを収容し、製造し、開放し、輸送し、そして受容するために適切に長い半減期を有する場合、キットを供給することができるが、しかしそれはまた、放射性Xが使用の部位で生成される場合(例えば、サイクロトロンにより)、削除され得る。
【0113】
時々、キットはさらに、それぞれ、1又は複数の適切なベクター−LM又はベクター成分、又はベクター−LMを合成するためのカウンターパート及び前記合成を実施するための反応条件を言及する製品マニュアルを含んで成ることができる。任意には、製品マニュアルは、ベクター−LMの合成をいかに実施するかの1又は複数の実験プロトコール、及び/又は本発明の求核置換反応をいかに実施するかの1又は複数の実験プロトコール(すなわち、それぞれベクター−X又はベクター−X’の合成をいかに実施するかの1又は複数の実験プロトコール)、及び/又はベクター−Xの生成を実施するための1又は複数の実験プロトコールを説明することができる。
【0114】
さらに、本発明の態様に従って方法を実施するためのキットはさらに、本明細書に記載されるような求核剤X又はXの前駆体を含んで成る。
【0115】
キットに含まれる化合物は、単一の反応混合物の一部として供給され、又は1又は多くの適切な容器中に別々にパッケージされることは理解されるであろう。キットがさらに、液体−可溶性支持体及び/又は適切な反応媒体を含んで成る場合、多くの場合、それは好都合である。
【0116】
本発明のキットはさらに、液体抽出相、又は本明細書に記載されるような精製方法により、成分LMを含まない種子からLM−含有種を分離するための液体抽出相を調製するための化合物を含んで成ることができる。
【0117】
任意には、キットはさらに、本明細書に記載されるように成分LMを含まない種からLM−含有種を分離するための少なくとも1つの抽出樹脂を含んで成り、そして/又はキットは、LM−含有種は沈殿するが、ところが精製成分LMを含まない種は溶解したまま存続するよう、反応混合物内の条件を達成するための化合物を含んで成る。そのような化合物は、pHを調節するための酸又は塩基、極性を調節するための有機溶媒、又は反応混合物のイオン強度を調節するための塩であり得る。
【0118】
もう1つの態様においては、キットはまた、精製成分を含まない種からLM−含有種を分離するために、LM−含有種の成分LM上の反応基に共有結合するのに適切である相補的反応基を含んで成る樹脂も含むであろう。
【0119】
本発明のキットは、容易な使用形で存在する(すなわち、すべての成分は本発明の方法を実施するために所望する濃度で存在する)、1又は複数の溶液として種々の化合物又は媒体を含んで成るか、又はそれらは、使用の前、予定された量の溶媒により希釈されるべきである濃縮溶液の形で1又はいくつかの化合物又は媒体を含むことができる。そのような原液の濃度は、容易に使用するための溶液の濃度の1.5x、2x、2.5x、5x、10x、5Ox、100x、又は1000xであり得る。他方では、キットは、本発明の方法への使用のための適切な濃度に適切な溶媒により、溶解されるべき乾燥形又は凍結乾燥形で1又は複数の化合物又は媒体を含んで成る。
【0120】
本明細書に記載されるすべての好ましい化合物、及び成分LMを欠いている種を精製するための好ましい媒体及び態様が、本発明のキットに含有され得ることが理解されるであろう。
【0121】
個々の成分、個々の乾燥される成分、個々の原液又は容易に使用するための溶液(例えば、反応媒体又は液体抽出相)は、他の組合せ及びパッケージング選択がある情況下で可能であり、且つ有用であり得ることが明白であるが、密封された容器に別々に配置されるであろうことが一般的に好ましい。例えば、前駆体ベクター−LMは反応混合物と容易に組み合わされ得る。
【0122】
本明細書に記載される態様の多くの修飾及び変更は本発明の範囲内で可能であることは当業者に明らかであろう。本発明及びその利点はさらに、次の非制限的例において、さらに示される。
【実施例】
【0123】
例1非極性脱離基:塩化セシル(1)の合成
非極性脱離基の合成の図示;放射性ラベリング前駆体として(1)が下記スキーム1に与えられる。
【0124】
【化10】

【0125】
((E)−2−シクロヘキシル−(ビニル)−ベンゼンの合成
0℃での無水THF(20ml)中、ベンジルトリフェニルホスホニウム臭化物(1.0g、2.06mモル)の溶液に、窒素雰囲気下で、LDA(1.5ml、3.1mモル、THF中、2Mの溶液)溶液をゆっくり添加した。30分後、THF(3ml)中、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド(0.31g、2.7mモル)を10分間にわたって添加した。0℃での1時間の撹拌の後、反応混合物を室温に暖めた。室温での一晩の撹拌後、反応混合物を飽和HH4Cl水溶液により急冷し、そして酢酸エチル(3×20ml)により抽出した。組合された有機層をブラインにより洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。粗生成物を、ヘキサンを溶出することにより短シリカゲルカラム層に通し、生成物(0.39g、91%)を無色の液体として得た。
【0126】
(2−シクロヘキシル−エチル)−ベンゼンの合成
酢酸エチル(15ml)中、((E)−2−シクロヘキシル−ビニル)−ベンゼン(1.0g、5.37mモル)の溶液に、木炭上パラジウム(10%Pd/C、20mg)を添加した。次に、フラスコを水素バルーンに連結した。懸濁液を注意して脱気し、そして水素を再充填した。室温での8時間の撹拌の後、Pd/C触媒を、セライトパッドによる濾過により除去し、そして得られる濾液を回転蒸発機により濃縮した。粗生成物を、n−ヘキサンを溶出することにより短シリカゲルカラムに通し、(2−シクロヘキシル−エチル)−ベンゼン(0.98g、97%)を無色の液体として得た。
【0127】
4−(2−シクロヘキシル−エチル)−ベンゼンスルホニル塩化物(1)−塩化セシルの合成
CHCl3(20ml)中、クロロスルホン酸(2.9ml、43.0mモル)及びNaCl(70mg、15.2mモル)の混合物に、0℃でCHCl3(5ml)中、(2−シクロヘキシル−エチル)−ベンゼン(1.34g、7.1mモル)の溶液を添加した。室温での2時間の撹拌後、反応混合物を粉砕された氷水(100ml)中に注意して注ぎ、そしてCH2Cl2により連続して抽出した。組合された抽出物を、10%NaHCO3、ブラインにより洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして回転蒸発機により濃縮した。粗生成物のシリカゲルカラムクロマトグラフィー処理を、n−ヘキサンによる溶出により実施し、1(1.63g、80%)を無色の液体として得た。
【0128】
例2非極性脱離基:塩化ジプシル(2)の合成
非極性脱離基の合成の図示;放射性ラベリング前駆体としての(2)が下記スキーム2に与えられる:
【0129】
【化11】

1,1−ジシクロヘキシル−3−フェニル−プロパン−1−オールの合成
マグネシウムチューニング(0.5g、20.5mモル)を含むTHF(25ml)溶液に、窒素下で-20℃で2−ブロモフェニルエタン(2.55ml、18mモル)を添加した。1時間後、THF(15ml)中、ジシクロヘキシルケトン(3.7ml、18mモル)の溶液を、15分間にわたって前記溶液に滴下した。室温での3時間の撹拌の後、反応を1Mの水性HClにより急冷し、そして次に、その反応混合物をセライトパッドを通して濾過し、そして濾液を酢酸エチル(3×30ml)により抽出し、組合された有機層をブラインにより洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして回転蒸発機により濃縮した。粗生成物を酢酸エチル及びヘキサンにより再結晶化し、1,1−ジシクロヘキシル−3−フェニル−プロパン−1−オール(4.7g、84%)を、白色固形物として得た。
【0130】
(3,3−ジシクロヘキシル−アリル)−ベンゼンの合成
1,1−ジシクロヘキシル−3−フェニルプロパノール(4.0g、13.3mモル)を、-20℃下でジクロロメタン(40ml)及びトリエチルアミン(9.3ml、66.6mモル)に溶解した。10分後、ジクロロメタン(2ml)中、塩化メタンスルホニル(1.1ml、14.6mモル)の溶液を添加した。10分後、その反応混合物を室温に暖め、そして6時間、撹拌した。その反応混合物を、回転蒸発機により濃縮し、そして粗生成物を、n−ヘキサンを溶出する短シリカゲル層を通して濾過し、(3,3−ジシクロヘキシル−アリル)−ベンゼン(3.3g、89%)を無色のシロップ状物として得た。
【0131】
(3,3−ジシクロヘキシル−プロピル)−ベンゼンの合成
酢酸エチル(15ml)中、(3,3−ジシクロヘキシル−アリル)−ベンゼン(1.0g、3.54mモル)の溶液に、木炭上パラジウム(10%Pd/C, 20mg)を添加した。次に、フラスコを水素バルーンに連結した。その懸濁液を注意して脱気し、水素により再充填した。室温での8時間の撹拌の後、Pd/C触媒を、セライトパッドによる濾過により除去し、そして濾液を回転蒸発機により蒸発した。粗生成物を、n−ヘキサンを溶出することにより短シリカゲルカラムを通し、(3,3−ジシクロヘキシル−プロピル)−ベンゼン(990mg、99%)を無色の液体として得た。
【0132】
4−(3,3−ジシクロヘキシル−プロピル)−ベンゼンスルホニル塩化物(2)−塩化ジプシルの合成
CHCl3(20ml)中、ククロスルホン酸(1.4ml、21.0mモル)及びNaCl(32mg、7mモル)の混合物に、0℃でのCHCl3(5ml)中、(3,3−ジシクロヘキシル−プロピル)−ベンゼン(1.0g、3.5mモル)の溶液を添加した。室温での2時間の撹拌の後、反応混合物を、粉砕した氷水(100ml)中に注意して注ぎ、そしてCH2Cl2により抽出した。組合された抽出物を、10%NaHCO3、ブラインにより洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして回転蒸発機により濃縮した。粗生成物のシリカゲルカラムクロマトグラフィー処理を、n−ヘキサンを溶出することにより実施し、塩化ジプシル2(1.0g、80%)を白色固形物として得た。
【0133】
例3非極性脱離基:塩化コレシル(3)の合成
非極性脱離基の合成の図示;放射性ラベリング前駆体としての(3)が下記スキーム3に与えられる:
【0134】
【化12】

【0135】
(1OS,13R)-17-(1,5-ジメチル-ヘキシル)-10,13-ジメチル-ヘキサデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オンの合成
コレステロール(5.0g、12mモル)を、0℃でアセトン(50ml)に溶解し、そして0℃での2時間の激しい撹拌の後、8NのJones試薬により滴定した。反応混合物を冷半飽和NaCl溶液中に注ぎ、そして酢酸エチル(30ml×3)により抽出した。酢酸エチル層を5%NaHCO3により反復して洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして真空下で濃縮し、(1OS,13R)-17-(1,5-ジメチル-ヘキシル)-10,13-ジメチル-ヘキサデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン(3.77g、76%)を白色固形物として得た。
【0136】
(10S,13R)-17-(1,5-ジメチル-ヘキシル)-10,13-ジメチル-3-[1-フェニル-メタ-(Z)-イリデン]-ヘキサデカヒドロ−シクロペンタ[a]フェナントレンの合成
無水THF(20ml)中、ベンジルトリフェニルホスホニウム臭化物(1.0g、2.0mモル)の溶液に、窒素下で0℃で、LDA(THF中、2M溶液、1.5ml、3.1mモル)を添加した。30分後、THF(3ml)中、(1OS,13R)-17-(1,5-ジメチル-ヘキシル)-10,13-ジメチル-ヘキサデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン(0.73g、1.8mモル)を前記溶液に10分間にわたって添加し、そして次に、その反応混合物を室温に暖めた。3時間の還流の後、反応混合物を水により希釈し、そして酢酸エチル(3×20ml)により抽出した。組合された有機層をブラインにより洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして回転蒸発機により濃縮した。粗生成物を、n−ヘキサンを溶出することにより短シリカゲルカラム層に通し、(10S,13R)-17-(1,5-ジメチル-ヘキシル)-10,13-ジメチル-3-[1-フェニル-メタ-(Z)-イリデン]-ヘキサデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン(0.71mg、82%)を白色固形物として得た。
【0137】
(10S,13R)-3-ベンジル-17-(1,5-ジメチル-ヘキシル)-10,13-ジメチル-ヘキサデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレンの合成
酢酸エチル(15ml)中、(10S,13R)-17-(1,5-ジメチル-ヘキシル)-10,13-ジメチル-3-[1-フェニル-メタ-(Z)-イリデン]-ヘキサデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン(1.0g、2.17mモル)の溶液に、木炭上パラジウム(10%Pd/C、20mg)を添加した。次に、フラスコを水素バルーンに結合した。その懸濁液を注意して脱気し、そして水素ガスにより再充填した。室温での8時間の撹拌の後、Pd/C触媒をセライトパッドによる濾過により除去し、そして濾液を回転蒸発機により濃縮した。粗生成物を、n−ヘキサンを溶出することにより短シリカゲルカラムに通し、(10S,13R)-3-ベンジル-17-(1,5-ジメチル-ヘキシル)-10,13-ジメチル-ヘキサデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン(0.99g、99%)を得た:
【0138】
3-[(10S,13R)-17-(1 ,5-ジメチル-ヘキシル)-10,13-ジメチル-ヘキサデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン-3-イルメチル]-ベンゼンスルホニル 塩化物 (3) -塩化コレシルの合成
CHCl3(20ml)中、クロロスルホン酸(0.89ml、13.0mモル)及びNaCl(20mg、4.3mモル)の混合物に、0℃でのCHCl3(5ml)中、(10S,13R)-3-ベンジル-17-(1,5-ジメチル-ヘキシル)-10,13-ジメチル-ヘキサデカヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン(1.0g、2.1mモル)の溶液を添加した。室温での1時間の撹拌の後、反応混合物を、粉砕された氷水(100ml)中に注意して注ぎ、そしてCH2Cl2により連続的に抽出した。組合された抽出物を、10%NaHCO3、ブラインにより洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして回転蒸発機により濃縮した。粗生成物のシリカゲルカラムクロマトグラフィー処理を、n−ヘキサンを溶出することにより実施し、塩化コレシル3(750mg、62%)を白色固形物として得た。
【0139】
塩化トシル(極性)に対する非極性脱離基の薄層クロマトグラフィー(TLC)については図1を参照のこと。
図1:正相及び逆相における次の4種の異なった塩化スルホニルのTLC:Ts=塩化トシル;Cs=塩化セシル(6);Ds=塩化ジプシル(7);Chs=塩化コレシル(8)
【0140】
【表5】

【0141】
例4セシル非極性脱離基:(4)を有するFDDNP前駆体の合成
非極性脱離基の合成の図示;放射性ラベリング前駆体としての(9)が下記スキーム4に与えられる:
【0142】
【化13】

2-(1,1-ジシアノプロペン-2-イル)-6-(2-(4-(2-シクロヘキシルエチル)ベンゼンスルホニルオキシエチル)メチルアミノナフタレン (4)の合成
2−(1,1−ジシアノプロペン−2−イル)−6−(2−ヒドロキシエチル)−メチルアミノ−ナフタレン(100mg、0.34mモル)を無水ピリジン(5ml)に溶解し、そして塩化セシル(1,324mg、1.13mモル)を前記溶液に添加した。室温での4時間の撹拌の後、反応混合物を酢酸エチルにより希釈し、そして次に、水、1NのHCl及び水性NaHCO3により洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして真空下で蒸発乾燥した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)による精製により、生成物4(125mg、68%)を、赤色の泡状固形物として得た。
【0143】
例5セシル前駆体(非極性)からのFDDNPの放射性合成
放射性弗素化においては、[18F]弗化物(185MBq)を、22mgのKryptofix(商標)(K222)及び7mgのK2CO3を含む1/1 H2O/アセトニトリル0.6mlによりQMAカートリッジ(0.5MのK2CO3により平衡化された、10mlの水により洗浄された)から反応バイアル中に溶出した。溶媒を蒸発し、そして残渣を100℃で軽いN2流下で乾燥し、さらにアセトニトリルを添加し、そして乾燥工程を反復した。500μlのMeCN中、前駆体(4)(4mg)を反応バイアル中に添加し、反応物を100℃で10分間、撹拌した。反応混合物を放射性TLC及びHPLCにより分析した。結果については、表2を参照のこと。HPLC条件:C-8逆相カラム、アセトニトリル/水=65/35、流速=4ml/分。
【0144】
例6セシル非極性脱離基:(5)を有するFLT前駆体の合成
非極性脱離基の合成の図示;放射性ラベリング前駆体としての(5)が下記スキーム9に与えられる:
【0145】
【化14】

【0146】
[5'-O-トリフェニルメチル-2-デオキシ-3'-O-(4-(2-シクロヘキシルエチル)ベンゼンスルホニル)-β-D-トレオペントフラノシル]チミンの合成
1−[5’−0−トリフェニルメチル−2’−デオキシ−β−D−トレオペントフラノシル]チミン(0.93g、1.91mモル)を、無水ピリジン(10ml)に溶解し、そしてその溶液を0℃に冷却した。塩化セシル1(1.08g、3.75mモル)及び銀トリフルオロメタンスルホネート(0.96g、3.75mモル)を添加した。その反応混合物を0℃で50分間、及び室温で2時間、撹拌した。反応を酢酸エチル(50ml)により急冷した。得られる沈殿物を濾過した。反応混合物をブライン(20ml)により洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして真空下で蒸発乾燥した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(60%酢酸エチル/ヘキサン)による精製により、生成物[5'-O-トリフェニルメチル-2-デオキシ-3'-O-(4-(2-シクロヘキシルエチル)ベンゼンスルホニル)-β-D-トレオペントフラノシル]チミン(1.1g、78%)を、黄色の泡状固形物として得た。
【0147】
3-N-t-ブトキシカルボニル-[5'-O-トリフェニルメチル-2'-デオキシ-3'-O-(4-((N-メチルメチルスルホンアミド)エチル)ベンゼンスルホニル)-β-D-トレオペントフラノシル]チミン (5)の合成
[5'-O-トリフェニルメチル-2-デオキシ-3'-O-(4-((N-メチルメチルスルホンアミド)エチル)ベンゼンスルホニル)-β-D-トレオペントフラノシル]チミン(0.3g、0.40mモル)をTHF(10ml)に溶解し、そしてt−ブトキシカルボニル無水物(0.094g、0.434mモル)を添加した。室温での80分間の撹拌の後、理論量のジメチルアミノピリジン(DMAP)を添加し、そして撹拌を室温で4時間、続けた。反応混合物を酢酸エチルにより希釈し、そしてH2O、1NのHCl及び水性NaHCO3により洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして真空下で蒸発した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/塩化メチレン)による精製により、生成物5(0.17g、50%)を、黄色の泡状固形物として得た。
【0148】
例7セシル前駆体5(非極性)からのFLTの放射性合成
放射性弗素化においては、[18F]弗化物(185MBq)を、10μgのTBAHCO3を含む1/1 H2O/アセトニトリル0.6mlによりChromafixカートリッジ(10mlの水により洗浄された)から反応バイアル中に溶出した。溶媒を蒸発し、そして残渣を100℃で軽いN2流下で乾燥し、さらにアセトニトリルを添加し、そして乾燥工程を反復した。100μlのMeCN及び500mlのtBuOH中、前駆体(5)(20mg)を反応バイアル中に添加し、反応物を120℃で15分間、撹拌した。反応混合物を放射性TLC及びHPLCにより分析した。結果については、表3を参照のこと。HPLC条件:C-8逆相カラム、メタノール/水=75/25、流速=3ml/分。
【0149】
1)放射性TLC:
【表6】

【0150】
a:すべての反応は同じ反応条件、すなわち20mgの前駆体、10μlのTBAHCO3、0.5mlのtBuOH及び0.1mlのMeCNを用いて、120℃に15分間、実施された。
【0151】
例8FDDNPについての脱離基の比較
【表7】

【0152】
通常使用される前駆体についてのlog Dの最大0.91の差異に比較して、固相抽出による精製のセシル−前駆体について2.24、ジプシル−前駆体について4.75及びコレシル−前駆体支持体について9.37のlog D値の差異。
【0153】
例9THP-FMISOについての脱離基の比較
【表8】

【0154】
通常使用される前駆体についてのlog Dの最大0.84の差異に比較して、固相抽出による精製のセシル−前駆体について2.31、ジプシル−前駆体について4.83及びコレシル−前駆体支持体について9.45のlog D値の差異。
【0155】
例10FET(保護された)についての脱離基の比較
【表9】


【0156】
通常使用される前駆体についてのlog Dの最大1.00の差異に比較して、固相抽出による精製のセシル−前駆体について2.15、ジプシル−前駆体について4.67及びコレシル−前駆体支持体について9.28のlog D値の差異。
【0157】
例11MMTr-Boc-FLTについての脱離基の比較
【表10】

【0158】
通常使用される前駆体についてのlog Dの最大0.70の差異に比較して、固相抽出による精製のセシル−前駆体について2.41、ジプシル−前駆体について4.92及びコレシル−前駆体支持体について9.54のlog D値の差異。
【0159】
例12Boc-PyStilbene1についての脱離基の比較
【表11】

【0160】
通常使用される前駆体についてのlog Dの最大1.07の差異に比較して、固相抽出による精製のセシル−前駆体について2.08、ジプシル−前駆体について4.60及びコレシル−前駆体支持体について9.21のlog D値の差異。
【0161】
例13BMS747についての脱離基の比較
【表12】

【0162】
通常使用される前駆体についてのlog Dの最大1.07の差異に比較して、固相抽出による精製のセシル−前駆体について2.07、ジプシル−前駆体について4.59及びコレシル−前駆体支持体について9.21のlog D値の差異。
【0163】
例14FP-CITについての脱離基の比較
【表13】

【0164】
通常使用される前駆体についてのlog Dの最大0.93の差異に比較して、固相抽出による精製のセシル−前駆体について2.22、ジプシル−前駆体について4.74及びコレシル−前駆体支持体について9.36のlog D値の差異。
【0165】
図2は、ノシレート脱離基が真の[18F]FLTピークの前及び後での大きな有機不純物ピークを示したことを示す。ノシレートからのそれらの有機物ピーク形のために、最終生成物に汚染の高い可能性が存在し、従ってHPLC精製方法は必須である。しかしながら、Cs脱離基は低い不純物を示し、それらの不純物はすべて、より極性であり、そして生成物ピーク近くで溶出しなかった。従って、より単純で且つより効果的にする固相抽出(SPE)方法が、HPLC方法の代わりに使用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】

[式中、式Iの化合物のlogDと式IIの化合物のlog Dとの間の差異が1.5以上であり、
ベクターは、標的ベクターであり、
LMは、直接的求核性弗素化のために適切な変性された脱離基であり、そして
Xは、求核成分、好ましくは18Fである]
で表される、式Iの化合物の直接的求核放射性弗素化による式IIの化合物の調製方法。
【請求項2】
式Iの化合物のlogDと式IIの化合物のlog Dとの間の差異が、2以上、より好ましくは4以上である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
LMがスルホネート誘導体である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
式Iの化合物が、
【化2】

から成る群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
式Iの化合物及び請求項1〜4のいずれか1項記載の求核性置換反応に起因する副産物から式IIの化合物の分離方法。
【請求項6】
式IIの化合物が、固相抽出、濾過、沈殿、蒸留又は液体−液体抽出により式Iの化合物から分離される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
下記式II:
ベクター−X II
の化合物を得るための、直接的求核放射性弗素化のための前駆体である、下記式I:
ベクター−LM I
の化合物[上記式中、
式Iの化合物のlogDと式IIの化合物のlog Dとの間の差異が1.5以上であり、
ベクターは、標的ベクターであり、
Xは、求核成分、好ましくは18Fであり、そして
LMは、直接的求核性弗素化のために適切な変性された脱離基である]。
【請求項8】
式Iの化合物のlogDと式IIの化合物のlog Dとの間の差異が、2以上、より好ましくは4以上である、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
下記式:
【化3】

で表わされる化合物;
ここでベクターは、下記式:
【化4】

【化5】

で表わされる標的ベクターであり;
上記式中、Rは下記式:
【化6】

で表わされる、請求項7記載の化合物。
【請求項10】
変性された脱離基LMが、下記式:
【化7】

で表わされる基から選択される、請求項7記載の化合物。
【請求項11】
下記式III :
R1−LM1 III :
[式中、R1はハロゲン化物であり、そしてS*に共有結合され、そして
LM1は、下記式:
【化8】

である]で表わされる化合物と、ベクターとを反応せしめることにより、請求項7記載の式Iの化合物を得るための方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【公表番号】特表2012−532833(P2012−532833A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518814(P2012−518814)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004111
【国際公開番号】WO2011/006610
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】